JP2004115285A - ガラス母材の延伸方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加熱炉45内のガラス母材41の延伸終端付近に外径測定器65を設けると共に、延伸終端における延伸体63の外径を目標外径値に維持するために、外径測定器65が検出した実測外径値と目標外径値とに基づいてガラス母材41の加熱炉45への投入速度Vaを制御する制御装置67を備え、前記制御装置67は、前記実測外径値と前記目標外径値との差をPID調節するPID制御を実施する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス母材を所定の外径に縮径・延伸するガラス母材の延伸方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ファイバは、VAD法やOVD法等で得られたガラス母材を、延伸装置によって線引きに適した外径に延伸した後、線引き装置によって更に所望外径に成形することで製造される。
図5は、このような光ファイバの製造工程に使用されるガラス母材の延伸装置の従来例を示したものである。
図5に示したガラス母材の延伸装置10は、特開平7−2539号公報に開示されたもので、ガラス母材5を加熱軟化させる加熱炉2と、吊り下げたガラス母材5を加熱炉2内に所定速度で投入する母材供給機構1と、加熱炉2から出たガラス母材端部を所定速度で引き取る引き取り機構4とを備えて、ガラス母材5の外径を予め設定した目標外径値に縮径させた延伸体6を製造する。
【0003】
ガラス母材5の加熱炉2内の加熱で軟化した部位は、引き取り機構4による引張力によって延びて、引き取り機構4側に向かって外径が徐々に縮径したテーパ状の引落部7となる。この引落部7の終端が延伸終端で、延伸終端の外径が、製造する延伸体6の仕上がり径となる。
【0004】
ところで、加熱炉2内での熱の輻射やガラス母材5内での熱伝導のために、加熱炉2内での延伸処理時間(滞留時間)の経過に伴って、加熱炉2内でのガラス母材5の軟化部位は徐々に拡大して、引き取り機構4による引張力が一定でも延伸が起こり易くなる。従って、引き取り機構4による引張力を一定のまま延伸を続けていると、次第に延伸体6の仕上がり径が小さくなって、目標外径値よりも過小になってしまう。
【0005】
そこで、図5に示した装置では、加熱炉2の外部に延伸体6の外径を検出する外径測定器3と、この外径測定器3が検出した実測外径値及び目標外径値に基づいて引き取り機構4の引き取り速度を制御する制御装置8とを設けている。
制御装置8は、加熱炉2内でのガラス母材5の軟化部位の拡大等に起因する仕上がり径の変動を防止するために、外径測定器3の検出した実測外径値と目標外径値の差に応じて引き取り速度を制御するもので、例えば、外径測定器3の検出した実測外径値が目標外径値より小さくなった場合に、実測外径値が増大するように引き取り速度を減少制御して、延伸体6の仕上がり径を目標外径値に戻す。
【0006】
ところが、図5に示したガラス母材の延伸装置10では、仕上がり径が決定する引落部7の延伸終端位置から外径測定器3までの離間距離が大きく、外径測定器3が仕上がり径の異常を検出した時には、既に、外径測定器3と引落部7との間の長さ分は、外径寸法が不良の延伸体が製造済みとなっている。
即ち、仕上がり径の異常を検出するタイミングが遅いため、仕上がり径の変動を目標外径値に戻すために引き取り速度を制御しても、外径寸法が不良の延伸体がかなりの分量で残ることになって、製品歩留まりが悪いという問題が生じる。そして、このように外径寸法が不良の延伸体が形成される傾向は、仕上がり径が大きな延伸体を製造する場合に特に顕著になる。仕上がり径が大きな延伸体を製造する場合は、延伸速度が遅くなるため、制御の応答が遅れ気味になるからである。
【0007】
このような問題を解決するためには、仕上がり径の異常を検出するタイミングを早めて、外径寸法が不良の延伸体の製造済み量を減らすためには、外径測定器3の装備位置を、加熱炉2内のガラス母材5が延伸を開始する引落部7の始端付近に近づけることが有効である。
しかし、引落部7の始端付近の外径寸法は、延伸体の仕上がり径との間の寸法差が大きいため、延伸体の仕上がり径の異常の有無を正確に検知することができず、引落部7の始端付近の外径測定に基づいて引き取り速度の制御を行うことは、仕上がり径の高精度化に適さない。
【0008】
一方、外径測定器3の装備位置を、加熱炉2内のガラス母材5が延伸を終了する引落部7の終端付近に近づけると、仕上がり径の異常の有無を正確に検出することができるが、加熱炉2内の加熱部と外径測定位置との間の離間距離が増大する分、仕上がり径の異常を検出するタイミングに遅れが生じ、制御動作の応答遅れによって、仕上がり外径を安定維持することが困難になる。
【0009】
このような背景から、図6に示す構成のガラス母材の延伸装置30が提案された。
この延伸装置30は、特開平10−167745号公報に開示されたもので、ガラス母材11を加熱軟化させる加熱炉2と、吊り下げたガラス母材11を加熱炉2内に所定速度で投入する母材供給機構12と、加熱炉2から出たガラス母材端部を所定速度で引き取る引き取り機構4と、引き取り機構4の引き取り速度を制御する制御装置14と、生成する延伸体16の最終的な外径を確認するために加熱炉2の外部位置(C点)に設けられた外径測定器3cとを備えている点では、図5に示した装置と共通である。
しかし、図6のガラス母材の延伸装置30の場合は、引き取り速度を制御するために加熱炉2内のガラス母材11の引落部11aの2箇所(A点及びB点)に外径測定器3a,3bを設けている。
外径測定器3bの装備位置のB点は、引落部11aの終端付近に設定されている。また、外径測定器3aの装備位置のA点は、引落部11aの始端寄りに設定されている。
これらの2つの外径測定器3a,3bが検出する実測外径値に基づいて、引落部11aの外径の変化をより迅速且つ正確に検知し、これらの外径測定器3a,3bの実測外径値に基づいて引き取り速度を制御することで、仕上がり径の異常を検出するタイミングの遅れを防止して、仕上がり径の高精度化を図っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図6に示した延伸装置30によるガラス母材の延伸方法は、加熱炉2内のガラス母材11の引落部11aに2個の外径測定器を装備するために加熱炉2の構造が繁雑化したり、大型化するという問題があった。また、使用する外径測定器の装備数の増加が、装置コストの増加や、制御の複雑化を招くという新たな問題を招いた。
【0011】
そこで、ガラス母材の引落部の終端側に装備した外径測定器だけで、仕上がり径の異常を検出するタイミングの遅れを補って、引き取り速度をより適正に制御可能にするため、引き取り速度の制御手法に、PID制御を組み込むことも検討されている。
PID制御は、例えば、引き取り速度を実測外径値と目標外径値との差に基づいて制御する場合に、実測外径値と目標外径値との差に応じて単純に比例制御するのではなく、実測外径値と目標外径値との差分に更に積分量と微分量を加味した制御を行うもので、タイミング遅れ等を軽減することができる。
【0012】
しかし、引き取り速度の制御で仕上がり径を目標外径値に維持しようとする従来の延伸方法では、PID制御を導入したとしても、タイミング遅れ等の軽減に限界があり、延伸体の更なる高精度化や、製品歩留まりの向上が難しい。
それは、延伸体6の引き取り速度を制御する延伸方法は、実測外径値を小さくしたい場合には引き取り速度を増加させ、実測外径値を大きくしたい場合には引き取り速度を減少させるもので、例えば、実測外径値を小さくしようとして引き取り速度を増加方向に調整した場合、引き取り速度の増加に伴って、引落部の長さが長くなり、その過程で、引落部の終端位置が下がる。引落部はテーパ状になっているので、引落部の終端位置が下がることは実測外径値を増加させるように作用し、引き取り速度の増加による実際の縮径作用が、速やかに外径測定器の実測部に反映されなくなってしまう。その結果、引き取り速度が必要以上の増減幅で繰り返されて、制御の不安定を招く虞があるからである。
【0013】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガラス母材から延伸体を製造する場合、仕上がり径の異常を検出するタイミングの遅れや制御動作の応答遅れを解消して、延伸精度の高精度化を実現することができ、しかも、装置のコンパクト化や装置コストの低減を図りつつ、延伸精度の高精度化を実現することのできるガラス母材の延伸方法及び装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るガラス母材の延伸方法及び装置は、請求項1記載のように、加熱炉内に投入されるガラス母材を、予め設定した目標外径値に延伸するガラス母材の延伸方法であって、
前記ガラス母材の延伸途中の外径と前記目標外径値との差が規定値以内となる延伸終端付近に、ガラス母材の外径を検出する外径測定器を設けると共に、
前記外径測定器が検出した実測外径値と前記目標外径値とに基づいて前記ガラス母材の加熱炉への投入速度を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記実測外径値と前記目標外径値との差をPID調節するPID制御を実施して前記投入速度を算出し且つ制御することを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係るガラス母材の延伸装置は、請求項2記載のように、ガラス母材を加熱軟化させる加熱炉と、前記加熱炉内にガラス母材を所定速度で投入する母材供給機構と、前記加熱炉から出たガラス母材端部を引き取る引き取り機構とを備えて、ガラス母材の外径を予め設定した目標外径値に延伸するガラス母材の延伸装置であって、
前記ガラス母材の延伸途中の外径と前記目標外径値との差が規定値以内となる延伸終端付近に、ガラス母材の外径を検出する外径測定器を設けると共に、
前記母材供給機構による前記ガラス母材の加熱炉への投入速度を、前記外径測定器が検出した実測外径値と前記目標外径値との差をPID調節するPID制御を実施して算出し且つ制御する制御装置を設けたことを特徴とする。
【0016】
このように構成されたガラス母材の延伸方法及び装置においては、加熱炉内のガラス母材の延伸途中の外径を外径測定器で検出して、この外径測定器の検出した実測外径値と目標外径値との差から、延伸体の仕上がり径の異常の有無を判定しているので、加熱炉の外部で延伸体の外径を実測する従来の延伸方法及び装置と比較すると、延伸体の仕上がり径の異常の有無を検出するタイミングが早くなり、検出するタイミングの遅れで外径寸法が不良の延伸体が形成されるという不都合を解消することができ、製品歩留まりの向上を図ることができる。
また、延伸体外径を目標外径値に制御する制御処理では、応答遅れ等の補正に効果的なPID制御を組み込んでいるため、外径測定器による外径測定位置をガラス母材の延伸終端位置に近接して設定したことに起因する制御の応答遅れを解消して、迅速な応答による外径制御を実現することができる。
更に、ガラス母材の加熱炉への投入速度を制御して延伸体外径を目標外径値に維持するので、従来の場合とは逆に、例えば、実測外径値を小さくしようとする場合は投入速度の減少で引落部が上がる方向に移動し、結果的に、外径測定位置における縮径の効果が増幅されて、応答性が加速される。
【0017】
また、請求項3記載のガラス母材の延伸方法は、上記目的を達成するために、請求項1記載のガラス母材の延伸方法において、前記制御装置は、前記実測外径値と前記目標外径値との差をPID調節するPID制御を実施して、前記ガラス母材の加熱炉への投入速度と前記加熱炉からの引き取り速度を算出し且つ制御することを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項4記載のガラス母材の延伸装置は、上記目的を達成するために、請求項2記載のガラス母材の延伸装置において、前記制御装置は、前記実測外径値と前記目標外径値との差をPID調節するPID制御を実施して、前記ガラス母材の加熱炉への投入速度と前記加熱炉からの引き取り速度を算出し且つ制御することを特徴とするものである。
【0019】
このように構成されたガラス母材の延伸方法及び装置においては、加熱炉へのガラス母材の投入速度と、引き取り速度の双方を、制御応答性に改善に適したPID制御によって制御するため、投入速度だけをPID制御する場合と比較して、更に、高精度な延伸を実現することが可能になり、ガラス母材の延伸体の製品歩留まりの更なる向上を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るガラス母材の延伸方法及び装置の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るガラス母材の延伸装置の一実施の形態を示したものである。
ガラス母材の延伸装置40は、ガラス母材41を発熱体43によって加熱軟化させる加熱炉45と、ガラス母材41の上端に一体化されたダミー棒41aを把持する母材送り込み用チャック47と、この母材送り込み用チャック47を加熱炉45に向かって所定速度で降下させることでガラス母材41を加熱炉45内に投入する母材供給機構49と、加熱炉45から出たガラス母材下端のダミー棒41bを所定速度で引き取る引き取り機構51とを備えている。
【0021】
母材供給機構49は、母材送り込み用チャック47を上下動可能に支持する移動用ボールねじ48と、移動用ボールねじ48を回転駆動するモータ53とを備えた構成で、モータ53による移動用ボールねじ48の回転速度を制御することで、ガラス母材41の投入速度Vaを任意に設定可能である。
引き取り機構51は、ダミー棒41bを把持する母材引き取り用チャック55と、この母材引き取り用チャック55を上下動可能に支持する移動用ボールねじ57と、移動用ボールねじ57を回転駆動するモータ59とを備えた構成で、モータ59による移動用ボールねじ57の回転速度を制御することで、ガラス母材41の引き取り速度Vbを任意に設定可能である。
【0022】
この延伸装置40は、加熱炉45に投入されたガラス母材41を発熱体43によって加熱軟化させた状態で、ダミー棒41bを引き取り機構51によって所定引き取り速度で引き取ることで、ガラス母材41の外径を予め設定した目標外径値に縮径させた延伸体63を製造する。
【0023】
この延伸装置40は、図示のように、ガラス母材41の延伸途中の外径と目標外径値との差が規定値(例えば3mm)以内となる加熱炉45内の引落部46の延伸終端付近に、延伸途中のガラス母材41の外径を検出する外径測定器65を設けている。
また、加熱炉45内の延伸終端における延伸体外径(仕上がり径)を上記した目標外径値に維持するために、母材供給機構49によるガラス母材41の加熱炉45への投入速度Vaを、外径測定器65が検出した実測外径値と目標外径値とに基づいて制御する制御装置67を備えている。
この制御装置67は、図2に示すように、内蔵のPID調節器67aによって、実測外径値と目標外径値との差(E(t))を積分量と微分量に応じた制御を組み合わせて調整するPID制御を実施して、母材供給機構49によるガラス母材41の投入速度Vaを算出し、且つ算出した投入速度Vaとなるように母材供給機構49の動作を制御することで、延伸体63の仕上がり径を目標外径値に維持する。
【0024】
以上の延伸装置40が実施するガラス母材の延伸方法では、延伸体63の外径を目標外径値に制御するために、加熱炉45内のガラス母材41の延伸途中の外径を外径測定器65で検出して、この外径測定器65の検出した実測外径値と目標外径値との差から、延伸体63の仕上がり径の異常の有無を判定する構成で、加熱炉の外部で延伸体の外径を実測する従来の延伸方法及び装置と比較すると、延伸体63の仕上がり径の異常の有無を検出するタイミングが早くなり、検出タイミングの遅れで外径寸法が不良の延伸体63が形成されるという不都合を解消することができ、製品歩留まりの向上を図ることができる。
【0025】
また、外径測定器65による外径測定位置を、ガラス母材41の引落部46における延伸終端位置に近接した位置に設定したことで、仕上がり径の異常の有無を正確に検出することができるが、その反面、引落部46の始端寄りに外径測定器を装備する場合と比較すると、加熱炉45内の加熱部と外径測定位置との間の離間距離が増大する分、仕上がり径の異常を検出するタイミングに遅れが生じ、制御動作の応答遅れの不安がある。
しかし、延伸体63の外径を目標外径値に制御する制御処理では、外径測定器65の検出した実測外径値と目標外径値との差に対して単純な比例制御を行うのではなく、応答遅れ等の補正に効果的なPID制御を組み込んでいるため、外径測定器65による外径測定位置をガラス母材41の延伸終端位置に近接して設定したことに起因する制御の応答遅れを解消して、迅速な応答による外径制御を実現することができる。
【0026】
更に、本実施の形態では、ガラス母材41の加熱炉45への投入速度Vaを制御することで、延伸体63の外径を目標外径値に維持する構成で、この構成では、加熱炉からの引き取り速度の制御で延伸体の外径を目標外径値に維持しようとする従来の場合とは逆に、例えば、実測外径値を小さくしようとする場合は投入速度の減少で引落部46が上がる方向に移動し、結果的に、外径測定位置における縮径の効果が増幅されて、応答性が加速される。
【0027】
従って、PID制御による応答性の改善作用との相乗によって、優れた制御応答性を確保することができて、小径あるいは太径の何れの延伸体63を製造する場合でも、仕上がり径の異常を検出するタイミングの遅れや制御動作の応答遅れを解消して、延伸精度の高精度化を実現することができる。
しかも、加熱炉45内での外径測定器65の装備は、延伸終端付近のみで良く、外径測定器65の装備数の増加が必要ないため、外径測定器65の装備数の増加に起因する装置の複雑化や大型化を招くこともない。
従って、装置のコンパクト化や装置コストの低減を図りつつ、延伸精度の高精度化を実現することができる。
【0028】
本実施の形態の作用効果を確認するため、外径80mmのガラス母材41を2000℃に昇温された加熱炉45に投入し、引き取り速度を40mm/分に設定して仕上がり外径30mmの延伸体を得る場合について、母材供給機構49による母材の投入速度Vaを下記に示すPID制御式(1)に基づいて算出して延伸を行った実施例と、母材の投入速度Vaを下記の式(2)に示す関係式で算出して延伸を行った比較例とで、製造した延伸体の外径を比較した。
なお、実施例及び比較例は、何れも、目標外径値を30.5mmに設定した。
【0029】
【数1】
【0030】
上記の式(1)において、V0 =5.6mm/分、KP =3000、T1 =20分、TD =5分とした。
また、上記の式(2)において、V0 =5.6mm/分、KP =50とした。実施例の場合の延伸体外径は、図3に示すように、30±0.2mmで、延伸体外径の変動が極めて微小で、高精度な延伸を確認することができた。
一方、比較例の延伸体外径は、図4に示すように、30±5mmで、延伸体外径に大きな変動が認められて、実施例と比較して、延伸精度に明かな差異が確認できた。
即ち、PID制御を行わない比較例では、仕上がり径の異常の発見が正確になるように、延伸終端に近接した部位で外径測定を行うと、逆に制御の応答遅れ等で延伸体外径に大きなばらつきが生じてしまうが、PID制御を採用した実施例では、応答遅れ等が補償されて、延伸終端に近接した延伸途中の位置で外径測定を実施したことが有効に活かされ、延伸精度の高精度化、延伸の安定化が実現されたことが確認できた。
【0031】
なお、上記の式(1)において使用するKP 、T1 、TD等のパラメータは、延伸条件に応じて調節するが、KP は30〜10000程度、積分時間T1は微分時間TDの2〜10倍程度の範囲で設定するのが好ましい。
【0032】
なお、本発明に係るガラス母材の延伸方法及び装置では、制御装置が、加熱炉内の延伸終端における延伸体の外径(仕上がり径)を目標外径値に維持するために、実測外径値と目標外径値とに基づいてガラス母材の加熱炉からの引き取り速度Vbを制御する引き取り速度制御回路を備え、且つ、この引き取り速度制御回路は、実測外径値と目標外径値との差をPID調節するPID制御を実施して、ガラス母材の加熱炉からの引き取り速度Vbを算出する構成としても良い。
その場合に、引き取り速度Vbを算出するためのPID制御式の例を、下記の式(3)に示し、実施例を記す。
【0033】
【数2】
【0034】
上記の式(3)において、Vb0 =40mm/分、KP =300、T1 =20分、TD =5分とし、合わせて投入速度を前記実施例と同様V0=5.6mm/分、KP =3000として延伸を行った結果、延伸体外径は、30±0.2mmと外径変動が極めて微小な延伸体が得られた。
【0035】
このように構成されたガラス母材の延伸方法及び装置においては、加熱炉へのガラス母材の投入速度と、引き取り速度の双方を、制御応答性に改善に適したPID制御によって制御するため、投入速度だけをPID制御する場合と比較して、更に、高精度な延伸を実現することが可能になり、延伸体の製品歩留まりの更なる向上を図ることができる。
【0036】
なお、式(3)において、KP′は式(1)のKP より小さい値が望ましく、T1 、TD は式(1)と同じ値とすることが望ましい。また、KP′はKP と同じ符号であることが望ましい。すなわち、KP′がKP と同じ正の符号で設定されている場合は、投入速度と引き取り速度の変化量の符号が同じとなるため、外径測定位置における縮径の変化がより一層増幅されて、応答性が更に加速される。
【0037】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のガラス母材の延伸方法及び装置によれば、延伸体外径を目標外径値に制御するために、ガラス母材の延伸途中の外径を外径測定器で検出して、この外径測定器の検出した実測外径値と目標外径値との差から、延伸体の仕上がり径の異常の有無を判定しているので、加熱炉の外部で延伸体の外径を実測して仕上がり径の異常の有無を判定する従来の延伸方法及び装置と比較すると、延伸体の仕上がり径の異常の有無を検出するタイミングが早くなり、検出タイミングの遅れで外径寸法が不良の延伸体が形成されるという不都合を解消することができ、製品歩留まりの向上を図ることができる。
【0038】
また、外径測定器の検出した実測外径値と目標外径値との差に対して単純な比例制御を行うのではなく、応答遅れ等の補正に効果的なPID制御を組み込んでいるため、外径測定器による外径測定位置をガラス母材の延伸終端位置に近接して設定したことに起因する制御の応答遅れを解消して、迅速な応答による外径制御を実現することができる。
【0039】
更に、ガラス母材の加熱炉への投入速度Vaを制御することで、延伸体外径を目標外径値に維持する構成により、例えば、実測外径値を小さくしようとする場合は投入速度の減少で引落部が上がる方向に移動し、結果的に、外径測定位置における縮径の効果が増幅されて、応答性が加速される。
従って、PID制御による応答性の改善作用との相乗によって、優れた制御応答性を確保することができて、仕上がり径の異常を検出するタイミングの遅れや制御動作の応答遅れを解消して、延伸精度の高精度化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガラス母材の延伸装置の一実施の形態の概略構成図である。
【図2】図1に示したガラス母材の延伸装置においてガラス母材の投入速度の制御形態を示すブロック図である。
【図3】図1に示したガラス母材の延伸装置で形成した延伸体の外径測定値を示すグラフである。
【図4】比較例の延伸装置で形成した延伸体の外径測定値を示すグラフである。
【図5】従来のガラス母材の延伸装置の概略構成図である。
【図6】従来の別のガラス母材の延伸装置の概略構成図である。
【符号の説明】
40 延伸装置
41 ガラス母材
43 発熱体
45 加熱炉
46 引落部
49 母材供給機構
51 引き取り機構
65 外径測定器
67 制御装置
Claims (4)
- 加熱炉内に投入されるガラス母材を、予め設定した目標外径値に延伸するガラス母材の延伸方法であって、
前記ガラス母材の延伸途中の外径と前記目標外径値との差が規定値以内となる延伸終端付近に、ガラス母材の外径を検出する外径測定器を設けると共に、
前記外径測定器が検出した実測外径値と前記目標外径値とに基づいて前記ガラス母材の加熱炉への投入速度を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記実測外径値と前記目標外径値との差をPID調節するPID制御を実施して前記投入速度を算出し且つ制御することを特徴とするガラス母材の延伸方法。 - ガラス母材を加熱軟化させる加熱炉と、前記加熱炉内にガラス母材を所定速度で投入する母材供給機構と、前記加熱炉から出たガラス母材端部を引き取る引き取り機構とを備えて、ガラス母材の外径を予め設定した目標外径値に延伸するガラス母材の延伸装置であって、
前記ガラス母材の延伸途中の外径と前記目標外径値との差が規定値以内となる延伸終端付近に、ガラス母材の外径を検出する外径測定器を設けると共に、
前記母材供給機構による前記ガラス母材の加熱炉への投入速度を、前記外径測定器が検出した実測外径値と前記目標外径値との差をPID調節するPID制御を実施して算出し且つ制御する制御装置を設けたことを特徴とするガラス母材の延伸装置。 - 前記制御装置は、前記実測外径値と前記目標外径値との差をPID調節するPID制御を実施して、前記ガラス母材の加熱炉への投入速度と前記加熱炉からの引き取り速度を算出し且つ制御する請求項1記載のガラス母材の延伸方法。
- 前記制御装置は、前記実測外径値と前記目標外径値との差をPID調節するPID制御を実施して、前記ガラス母材の加熱炉への投入速度と前記加熱炉からの引き取り速度を算出し且つ制御することを特徴とする請求項2記載のガラス母材の延伸装置。
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|---|---|---|---|
| JP2002276857A JP2004115285A (ja) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | ガラス母材の延伸方法及び装置 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011037692A (ja) * | 2009-08-18 | 2011-02-24 | Sumitomo Electric Ind Ltd | ガラス母材の延伸方法 |
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2002
- 2002-09-24 JP JP2002276857A patent/JP2004115285A/ja active Pending
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