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JP2004114322A - オーバーシートおよび化粧シート - Google Patents

オーバーシートおよび化粧シート Download PDF

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JP2004114322A
JP2004114322A JP2002276761A JP2002276761A JP2004114322A JP 2004114322 A JP2004114322 A JP 2004114322A JP 2002276761 A JP2002276761 A JP 2002276761A JP 2002276761 A JP2002276761 A JP 2002276761A JP 2004114322 A JP2004114322 A JP 2004114322A
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JP2002276761A
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Yoshiki Nishikawa
西川 良樹
Takashi Chino
千野 貴史
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Plastics Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】優れたエンボス加工性および接着性を有し、かつ、耐熱性および耐薬品性を有するオーバーシート、並びに、このオーバーシートを用いた化粧シートを提供することにある。
【解決手段】オーバーシートは、ポリエチレンテレフタレート40〜70質量%、ポリブチレンテレフタレート0〜40質量%、および、軟質ポリブチレンテレフタレート系共重合体10〜40質量%を主成分として含むポリエステル系樹脂組成物からなる表層と、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含む芳香族ポリエステル系樹脂組成物からなる基材層を有し、この表層の厚さが20μm〜80μmである。化粧シートは、このオーバーシートを、表面の少なくとも一部に印刷層が形成された下地シートに積層した積層体である。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドアや机等の面材の表面に用いられるオーバーシート及びこのオーバーシートを用いた化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドアや机等の面材は種々の方法で製造される。一般的には、木目等の印刷を施した着色シートの上に透明のシート(以下「オーバーシート」という)を貼り合わせながら、オーバーシート表面に木目調の凹凸をエンボス加工により施したり、場合によってはエンボス加工を施した窪み部にワイピングと呼ばれる印刷を行ったオーバーシートを合板やパーティクルボードなどの木質基材に接着して製造される。
オーバーシートとしては、加工性、材料コスト、耐久性等に優れるポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなるシート(以下「PVCシート」という)が使われていたが、近年のエコロジーブームに乗って、PVC以外の素材のニーズが高まっている。例えば、PVCの代替材料としてポリプロピレンが提案されているが、ポリプロピレン系樹脂シートは、建材用に用いるには腰が弱すぎて作業性が悪く、表面硬度が低くて凹み傷がつきやすいこと、また、印刷適性が悪いので、コロナ処理やアンカーコート等の表面処理が必要となる等の問題がある。また、ポリエチレンテレフタレートの構成部分であるエチレングリコール成分の約30モル%を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換した実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂(以下「PETG」という)からなるシートも提案されている。このシートはPVCシートに近い加工性を有しており、着色シート等との接着性に優れ、特にエンボス加工性に優れていて、深いエンボスが可能なため、高級用途には一部用いられているが、耐熱性や耐薬品性に劣るという問題がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−270055号公報
【特許文献2】
特開2002−86652号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、優れたエンボス加工性および接着性を有し、かつ耐薬品性および耐熱性を有するオーバーシート、並びに、このオーバーシートを用いた化粧シートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のオーバーシートは、ポリエチレンテレフタレート40〜70質量%、ポリブチレンテレフタレート0〜40質量%、および、軟質ポリブチレンテレフタレート系共重合体10〜40質量%を主成分として含むポリエステル系樹脂組成物からなる表層と、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含む芳香族ポリエステル系樹脂組成物からなる基材層を有し、前記表層の厚さが20μm〜80μmであることを特徴とするオーバーシート。
ここで、前記軟質ポリブチレンテレフタレート系共重合体は、ポリブチレンテレフタレートのテレフタル酸成分の10〜40モル%が脂肪族ジカルボン酸で置換されているものであることができる。
また、前記オーバーシートの全厚さは、50μm〜250μmであることが好ましい。
また、前記オーバーシートは、少なくとも片面に10点平均粗さが3μm〜30μmであるマット加工が施されていてもよい。
また、前記表層は、その表面を、日本工業規格 JIS K 5400に基いて測定した鉛筆硬度がBまたはそれより硬いことが好ましい。
【0006】
本発明の化粧シートは、表面の少なくとも一部に印刷層が形成されている下地シートと、上記オーバーシートとを有する積層体であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のオーバーシートは、ポリエチレンテレフタレート40〜70質量%、ポリブチレンテレフタレート0〜40質量%、および、軟質ポリブチレンテレフタレート系共重合体10〜40質量%を主成分として含むポリエステル系樹脂組成物からなる表層と、実質的に非結晶性である芳香族ポリエステル系樹脂を主成分とする芳香族ポリエステル系樹脂組成物からなる基材層とを有する積層体である。
【0008】
表層がポリエチレンテレフタレートのみから成る場合、耐薬品性は向上するが、台所のコンロ周辺や温風噴出し口付近に使用されると、熱によって艶戻りが起こったり、場合によっては変形が生じることもある。ポリエチレンテレフタレートにポリブチレンテレフタレート(PBT)を配合することによって耐熱性を向上させることができるが、耐熱性の向上に伴ってエンボス適性が悪くなるので、エンボス柄の転写率が低下して、所望の意匠を自由に再現することができなくなる。ところが、さらに軟質ポリブチレンテレフタレート系共重合体を配合し、かつ、積層体とすることにより、耐薬品性のみならず、耐熱性およびエンボス適性にも優れたオーバーシートを得ることができる。ただし、軟質ポリブチレンテレフタレート系共重合体として、結晶性が残存しているものを使用する場合には、ポリブチレンテレフタレートを配合しなくてもよい。
すなわち、ポリエチレンテレフタレート40〜70質量%、ポリブチレンテレフタレート0〜40質量%、軟質ポリブチレンテレフタレート系共重合体を10〜40質量%の範囲内で配合することにより、耐薬品性、耐熱性およびエンボス適性に優れたオーバーシートを得ることができる。ポリエチレンテレフタレートの配合量が40質量%未満では、透明性が低下し、70質量%より多いと、十分な耐熱性が得られない。軟質ポリブチレンテレフタレートの配合量が10質量%未満であると、エンボス適性の改良効果が得られず、40質量%を超えると、透明性が低下したり、オーバーシートの表面の硬度が低下して傷がつきやすくなる。また、ポリブチレンテレフタレートの配合量が40質量%を超えると、エンボス適性が悪化したり、また、長時間、高温に晒されたときに、結晶化が進行して透明性が低下する。
【0009】
ここで、軟質ポリブチレンテレフタレート系共重合体とは、ASTM D790に基づいて測定した曲げ弾性率が、約100MPa以上、1,000MPa以下のポリブチレンテレフタレート系共重合体である。軟質ポリブチレンテレフタレート系共重合体は、例えば、ポリブチレンテレフタレートのテレフタル酸成分またはグリコール成分の一部を置換することによって、例えば、5モル%より多く置換することによって得られる。本発明においては、テレフタル酸成分の一部を脂肪族ジカルボン酸で置換したものが好ましく、この場合には、置換の割合(変性率)が5モル%より多いことが必要であり、約10モル%以上であることが望ましい。また、変性率が40モル%以下であることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸への変性率が約10モル%以上であれば、エンボス適性の改良が十分となる。また、脂肪族ジカルボン酸への変性率が40モル%を超えるものは、商業的に入手することが困難である。テレフタル酸成分の10モル%〜40モル%を脂肪族ジカルボン酸で置換したポリブチレンテレフタレートは、比較的耐熱性の低下が少ないので好ましく使用される。
例えば、ポリブチレンテレフタレートのグリコール成分を長鎖脂肪族ジオールで置換したものは、耐熱性が低下することがあるが、グリコール成分への置換の割合(変性率)が異なるものを組み合わせることによって、柔軟性を大幅に向上させることができるという利点がある。したがって、耐熱性が低下しない範囲内で、変性率の異なるポリブチレンテレフタレートを適宜組み合わせることによって、所望の柔軟性を有するポリブチレンテレフタレート系共重合体を得ることができる。ただし、エンボス適性を考慮すると、長鎖脂肪族ジオールへの変性率は10モル%以上であることが好ましい。
本発明において、テレフタル酸成分の一部を他の酸成分で置換したり、グリコール成分の一部を他のグリコール成分で置換する方法(変性手法)としては、特に限定されることなく、公知の方法を採用することができる。
【0010】
軟質ポリブチレンテレフタレートに共重合可能なものとしては、例えば、ジカルボン酸成分としては、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸等が挙げられ、ジオール成分としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0011】
本発明において芳香族ポリエステル系樹脂とは、芳香族ジカルボン酸とジオールとの脱水縮合体をいい、本発明の基材層に用いられる実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(以下「非結晶性ポリエステル」と表記することもある)とは、いわゆる芳香族ポリエステル系樹脂の中でも特に結晶性の低いもので、プレス融着などの実用上頻繁に行われる熱加工を行っても、結晶化による白濁や融着不良を起こさないものをいう。
【0012】
ジカルボン酸成分の代表的なものとしてはテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられるが、テレフタル酸の一部を他のジカルボン酸で置換してもよい。他のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ネオペンチル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、p−オキシ安息香酸などが挙げられる。なお、用いられる他のジカルボン酸成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジカルボン酸の量も適宜選択することができる。
【0013】
ジオール成分の代表的なものとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられるが、エチレングリコールの一部を他のジオール成分で置換してもよい。他のジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロール、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。なお、用いられる他のジオール成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジオールの量も適宜選択することができる。
【0014】
本発明に用いられる芳香族ポリエステル系樹脂としては、具体的には、テレフタル酸とエチレングリコールとを縮合重合させたポリエチレンテレフタレートがコストの観点から好ましいが、テレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分及び/又はエチレングリコール以外の他のジオール成分を含んだ共重合ポリエステルを使用することもできる。
共重合ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分の60モル%以上がテレフタル酸であり、残りのジカルボン酸成分が他のジカルボン酸成分で置換されたジカルボン酸成分と、ジオール成分の60モル%以上がエチレングリコールで、残りのジオール成分が他のジオール成分で置換されたジオール成分とを縮合重合させた共重合ポリエステルが挙げられる。
本発明における芳香族ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレートと上記の共重合ポリエステルとの混合物であってもよい。ただし、共重合ポリエステルを使用する場合には、共重合成分の選択や含有量等によっては、シートのガラス転移温度や引張り弾性率の変化が大きいので注意を要する。
【0015】
特に好適に使用される共重合ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコールの約30モル%を、1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換した実質的に非晶性の芳香族ポリエステル系樹脂が挙げられ、例えば、イーストマンケミカル社製の商品名「PETG」を商業的に入手することができる。
【0016】
非結晶性ポリエステルは、下地シート等との熱融着性に優れ、エンボス加工性も優れているが、耐熱性、耐薬品性に劣る。また、オーバーシートが既述した表層のポリエステル系樹脂組成物からなる単層シートである場合には、エンボス加工性に劣り、下地シートとの接着性が不良となる。しかしながら、本発明のように、非結晶性ポリエステルからなる層に、上記表層を積層すれば、良好な積層体を形成することができ、しかも、この問題を解決することができる。下地シート側に非結晶性ポリエステルからなる基材層を配置すれば、下地シート等との接着性にも優れたものとなる。
【0017】
本発明のオーバーシートは、表層の厚さが20μm以上、80μm以下であることが必要である。表層の厚さが20μm未満では、十分な耐熱性を実現することができず、表層の厚さが80μmを超えると、エンボス加工性が低下する。
本発明のオーバーシートは、全シートの厚さが、50μm以上、250μm以下であることが好ましい。全シート厚が50μm未満では、エンボス加工を施す際に不都合が生じる場合がある。例えば、オーバーシートを下地シートに積層してなる化粧シートの表面にエンボス加工を施したときに、エンボスの深さがオーバーシートの厚みを超えて、下地シート等に達することがある。また、全シート厚が250μmを超えると、下地シート等への貼りあわせ速度が遅くなることがあるので、作業効率上、250μm以下であることが好ましい。
【0018】
本発明においては、オーバーシートの少なくとも一方の面に、10点平均粗さが3μm以上、30μm以下であるマット加工が施されていることが望ましい。基材層面のマット加工は、下地シート等との貼り合わせの際に、その界面に存在するエアを抜け易くする作用があり、表層面のマット加工は、建材製品等の表面に擦れ傷を付き難くする作用がある。マットの粗さが3μm未満では、オーバーシートを貼り合せる際のエア抜きの効果が十分でなかったり、表面の傷つき防止の効果が十分でないことがある。一方、マットの粗さが30μmを超える場合には、オーバーシートを貼り合せたときにエア抜きが十分に行えずエアが残ったり、表層面のマットが強すぎて印刷層の視認性が十分でなくなることがある。
【0019】
本発明のオーバーシートは透明であることが好ましい。オーバーシートが透明であれば、下地シートの印刷面にオーバーシートを重ねて化粧シートを作成した場合に、下地シートの印刷面の絵柄等を視認することができるからである。なお、本発明において「透明」とは、0.1mm厚のシートの全光線透過率が85%以上であることをいう。全光線透過率は、JIS K−7105に基づいて測定される。
【0020】
本発明のオーバーシートは、表層側より、日本工業規格 JIS K 5400に基いて測定した鉛筆硬度が、Bまたはそれより硬いことが好ましい。このような硬度を有することにより、オーバーシートを積層した建材や家具製品等の表面に凹み傷等をつきにくくすることができ、製品等の商品価値が下がることを防ぐことができる。
【0021】
なお、本発明のオーバーシートは、表層と基材層との間に他の層を設けてもよく、表層の上にコート層等の他の層を設けてもよい。また、基材層の下に、接着層等の他の層を設けてもよい。オーバーシートを構成する各層には、必要に応じて滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤等を添加することができる。
【0022】
本発明のオーバーシートを構成する各層の積層方法としては、例えば、各層の樹脂組成物を共押し出しして積層する共押出法、各層を予めフィルム状に形成し、これをラミネートする方法等が挙げられる。具体的には、表層および基材層の樹脂組成物をそれぞれ配合し、あるいは必要に応じてペレット状にして、Tダイを共有するように連結した2台の押出機の各ホッパーにそれぞれ投入する。温度250℃〜290℃の範囲で溶融して2層Tダイから共押し出しした後、冷却ロール、水中または空冷等で冷却固化して、表層と基材層の2層構成の積層体を形成する。表層は、急冷や延伸等によって透明状態で固化されていることが好ましい。結晶化が進み白化が起こっていると、下地シートの印刷層の視認性が不十分となる。
なお、本発明のオーバーシートは、上記方法に限定されることなく公知の方法により形成することができ、例えば、特開平10−71763号第(6)〜(7)頁の記載に従って得ることができる。
【0023】
本発明のオーバーシートは、壁材、床材、ドアの面材等の建材の他、家具や調度品、収納物品や小物入れ、家電製品、車両内装材等の表面に適用することができる。例えば、オーバーシートを用いて化粧シートを形成し、これらの建材や家具等の表面化粧に使用してもよい。
【0024】
以下に、本発明のオーバーシートを用いて形成した化粧シートについて説明する。図1は、本発明の化粧シートの一実施形態の層構成を示す図である。下地シート1の上には印刷層2が形成されており、この印刷層2の上に、オーバーシート6が積層されている。オーバーシート6は、基材層3と表層4とからなり、表層4の最外表面にはエンボスによる凹凸5が形成されている。
【0025】
印刷層2は、印刷インキや塗料等を使用して、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、ドライオフセット印刷法、凸版印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の各種の印刷方法や塗装法等により設けることができる。使用される印刷インキのビヒクルとしては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、スチレン系樹脂、繊維素誘導体等や、これらを2種以上共重合させた樹脂共重合体、2種以上混合させた混合物等が挙げられる。但し、環境保護の観点からは、塩素を含有しない非ハロゲン系のビヒクルを使用することが望ましい。
【0026】
印刷層2は、文字、図形、模様等が形成されていても、単に一色で着色されていてもよい。例えば、木目柄、石目柄、布目柄、幾何学図形、漢字やアルファベット等の文字、記号等が印刷等されていても良いし、あるいは、茶色、黒色等の一色で着色されていてもよい。また、化粧シートに充分な隠蔽性を賦与するために、不透明な顔料を大量に含有する印刷インキ又は塗料等を用いて形成された隠蔽層をさらに設けてもよい。
なお、本実施形態においては、一定の厚さの印刷層が全面に形成されている化粧シートを示したが、印刷層が部分的に設けられていてもよいし、また、印刷層が2層以上から形成されていて、立体的な図柄効果を演出するように形成されていても良い。
【0027】
図1に示す化粧シートは、表層4に、エンボスによる凹凸5が形成されているが、その凹凸の大きさや凹凸の配置(凹凸模様)等は、化粧シートの用途等に応じて、適宜設計されることが好ましい。なお、化粧シートの用途によっては、エンボスによる凹部にワイピング等の印刷を行ってもよいし、あるいは、エンボス加工を行わなくても、また鏡面仕上げとしてもよい。
エンボス加工は、表層と基材層とを積層する前、積層と同時、または積層後に施すことができる。例えば、表層と基材層とをラミネートすると同時にエンボスを施す方法、表層と基材層とを共押出しし、冷却固化する前に、冷却したエンボスロールによってエンボスを施す方法、予めエンボス加工をしておいた表層と基材層とをラミネートする方法等が例示される。
【0028】
下地シートとしては、従来の化粧シートにおいて下地シートとして用いられていたものと同様のものを使用することができるが、例えば、天然紙、合成紙等の紙類、各種プラスチックシート等が挙げられる。
【0029】
オーバーシートと下地シートとは、接着層等を介して貼り合せることができるが、下地シートの材質として、オーバーシートと熱融着可能なものを選択した場合には、接着剤等を用いることなく、オーバーシートと下地シートとを貼り合せることができる。例えば、下地シートの材料が、非結晶性ポリエステル、ポリ塩化ビニル等であるものは、本発明のオーバーシートと熱融着可能であり、好ましく使用される。
【0030】
本発明の化粧シートは、例えば、合板、中密度繊維板、パーティクルボード等の木質系基材、石膏ボード、珪酸カルシウム板等の無機質系基材、鋼板、アルミニウム板等の金属系基材、オレフィン系樹脂、ABS樹脂、FRP等の合成樹脂系基材等の表面に貼着等により積層して、建材、家具材、家電製品の表面材、車両内装材等を形成することができる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、本実施例では、以下の方法で評価を行った。
【0032】
(評価方法)
(1)エンボス適性
オーバーシートにエンボス加工を行った。ただし、段階的に温度を上げてエンボス加工を行い、シートに貼りついたり、破断が起きたときの温度を記録した。この温度に達するまでの全温度範囲で、艶消し調のエンボス模様を十分に転写することができた場合を記号「○」、艶消し調のエンボス模様を十分に転写することができず、光沢感が認められた場合を記号「×」で示した。
【0033】
(2)耐熱性
▲1▼ 艶変化の評価
化粧シートを、80℃のオーブン中に4時間放置した後、取り出し、表層の表面を目視観察した。表層に形成した艶消し調のエンボス模様が、オーブンに入れる前と後とで変化しなかったものを記号「○」、表層の表面に艶戻りが認められたものを記号「×」で示した。なお、艶消し調のエンボス加工を行った直後から光沢感が認められたものについても、光沢感の変化を目視観察して艶変化の評価を行った。すなわち、オーブンに入れる前と後とで光沢感に変化が認められなかったものを記号「○」、光沢感の変化が認められたものを記号「×」で示した。
▲2▼ 透明性の変化の評価
▲1▼の評価と共に、各化粧シートについて透明性の評価を行った。すなわち、オーバーシート表面側から木目調の印刷の色調を目視観察し、オーブンに入れる前と後とで色調に変化が認められなかったものを記号「○」、表層が白化して、色調に変化が認められるものを記号「×」で示した。
【0034】
(3)鉛筆硬度(傷つき性)
オーバーシートの傷つき性についてはシートの硬さで代用評価した。すなわち、日本工業規格 JIS K 5400に基づいて測定した鉛筆硬度が、Bまたはそれより硬いものを記号「○」、鉛筆硬度が2Bまたはそれより軟らかいものを記号「×」で示した。
【0035】
(実施例1)
<オーバーシートの作製>
表層として、ポリエチレンテレフタレート(固有粘度IV=0.8)を50質量%と、ポリブチレンテレフタレート(固有粘度IV=0.8)を30質量%と、テレフタル酸成分の30モル%を脂肪族ジカルボン酸で置換した軟質ポリブチレンテレフタレートを20質量%とを混合したポリエステル系樹脂組成物を用い、基材層として、非結晶性ポリエステルであるイーストマンケミカル社製の「PETG6763」を用いた。これら樹脂組成物を押出機の各ホッパーにそれぞれ供給し、温度260℃で溶融させた。その後、Tダイを用いて2種2層となるように押し出した後、冷却ロールに接触させて冷却固化させて、表層厚さ50μm、基材層厚さ100μmの積層シートを得た。次いで、得られた積層シートを、1対のマットロール間を通過させて、両面に、10点平均粗さが10μmのマット加工を施して、オーバーシートを作製した。
得られたオーバーシートについて、エンボス適性、および、シートの傷つき性(鉛筆硬度)の評価を行った。その結果を表1に示す。
<化粧シートの作製>
PETG6763に茶色の着色剤マスターバッチ(東洋インキ製造(株)製の「PEM 6KA441 BRN」)を15質量%添加し、Tダイから茶色に着色された単層シートを押し出して下地シートを作製した。次に、得られた下地シートの片面に、グラビア印刷法により木目調の印刷を施して印刷層を形成した。
下地シートの印刷層面に、オーバーシートの基材層面を重ねて、熱ロールによりラミネートを行った。ただし、ラミネートと同時に、オーバーシートの表層側にエンボスロールを圧着させてエンボス模様の面転写を行い、艶消し調のエンボス加工を施して、化粧シートを作製した。
得られた化粧シートについて、耐熱性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0036】
(実施例2〜7)
実施例1において、表層のポリエステル系樹脂組成物の組成、および、各層の厚さを表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、オーバーシートを作製した。得られたオーバーシートを用いて、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
得られたオーバーシートについて、エンボス適性、および、シートの傷つき性の評価を行い、得られた化粧シートについて、耐熱性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0037】
(比較例1)
PETG6763を押出機のホッパーに供給し、温度250℃で溶融した。Tダイを用いて押し出した後、冷却ロールに接触させて冷却固化させて、厚さ150μmの単層シートを得た。次いで、得られた単層シートを、1対のマットロール間を通過させて、両面に、10点平均粗さが10μmのマット加工を施して、オーバーシートを作製した。
得られた単層のオーバーシートを用いて、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
得られたオーバーシートについて、エンボス適性、および、シートの傷つき性の評価を行い、得られた化粧シートについて、耐熱性の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0038】
(比較例2)
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度IV=0.8)を50質量%と、ポリブチレンテレフタレート(固有粘度IV=0.8)を30質量%と、テレフタル酸成分の30モル%を脂肪族ジカルボン酸で置換した軟質ポリブチレンテレフタレートを20質量%とを混合したポリエステル系樹脂組成物を押出機のホッパーに供給し、温度260℃で溶融した。Tダイを用いて押し出した後、冷却ロールに接触させて冷却固化させて、厚さ150μmの単層シートを得た。次いで、得られた単層シートを、1対のマットロール間を通過させて、両面に、10点平均粗さが10μmのマット加工を施して、オーバーシートを作製した。
得られた単層のオーバーシートを用いて、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
得られたオーバーシートについて、エンボス適性、および、シートの傷つき性の評価を行い、得られた化粧シートについて、耐熱性の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0039】
(比較例3〜10)
実施例1において、表層のポリエステル系樹脂組成物の組成、および、各層の厚さを表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、オーバーシートを作製した。得られたオーバーシートを用いて、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
得られたオーバーシートについて、エンボス適性、および、シートの傷つき性の評価を行い、得られた化粧シートについて、耐熱性の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0040】
【表1】
Figure 2004114322
【0041】
【表2】
Figure 2004114322
【0042】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜7のオーバーシートは、エンボス適性および耐熱性に優れていることが分かった。また、実施例1〜7の化粧シートは、接着剤を用いずにラミネートによってオーバーシートと下地シートとを積層することができ、優れた接着性を有するものであった。なお、実施例1〜7のオーバーシートについて、エタノール、トルエン等の薬品試験を行ったところ、耐薬品性にも優れていることが分かった。また、実施例1〜7のオーバーシートは透明であり、下地シートの木目調の印刷が鮮明に認められた。
表2から明らかなように、非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂層のみからならなる比較例1のオーバーシートは、熱をかけると艶変化が起こり、耐熱性に劣ったものであることが分かった。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、および、軟質ポリブチレンテレフタレート系共重合体からなる層のみの単層シートである比較例2のオーバーシートは、接着性に劣っており、かつ、エンボス加工性に劣っているものであることが分かった。表層のポリエステル系樹脂組成物の組成が本発明外のものである比較例3〜8のオーバーシートは、エンボス適性、耐熱性および傷つき性(鉛筆硬度)の評価の1つ以上において、劣ったものであることが分かった。また、表層の厚さが20μm未満である比較例9は、耐熱性に劣ったものであり、表層の厚さが80μmより厚い比較例10は、エンボス適性に劣ったものであることが分かった。
【0043】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、非PVC系シートであり、優れたエンボス加工性および接着性を有し、透明性に優れ、かつ、耐熱性および耐薬品性を有するオーバーシートを提供することができる。また、このオーバーシートを用いて、エンボス加工性、耐熱性、耐薬品性等に優れた化粧シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る化粧シートの層構成を示す図である。
【符号の説明】
1 下地シート
2 印刷層
3 基材層
4 表層
5 エンボスによる凹凸
6 オーバーシート

Claims (6)

  1. ポリエチレンテレフタレート40〜70質量%、ポリブチレンテレフタレート0〜40質量%、および、軟質ポリブチレンテレフタレート系共重合体10〜40質量%を主成分として含むポリエステル系樹脂組成物からなる表層と、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含む芳香族ポリエステル系樹脂組成物からなる基材層を有し、前記表層の厚さが20μm〜80μmであることを特徴とするオーバーシート。
  2. 前記軟質ポリブチレンテレフタレート系共重合体が、ポリブチレンテレフタレートのテレフタル酸成分の10〜40モル%が脂肪族ジカルボン酸で置換されているものであることを特徴とする請求項1記載のオーバーシート。
  3. 前記オーバーシートの全厚さが、50μm〜250μmであることを特徴とする請求項1または2記載のオーバーシート。
  4. 前記オーバーシートは、少なくとも片面に10点平均粗さが3μm〜30μmであるマット加工が施されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のオーバーシート。
  5. 前記表層の表面を、日本工業規格 JIS K 5400に基いて測定した鉛筆硬度がBまたはそれより硬いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のオーバーシート。
  6. 表面の少なくとも一部に印刷層が形成されている下地シートと、請求項1〜4のいずれか1項記載のオーバーシートとを有する積層体であることを特徴とする化粧シート。
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