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JP2004198140A - 生体分子検出方法及びデバイス - Google Patents

生体分子検出方法及びデバイス Download PDF

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薫 中嶋
Shozo Fujita
省三 藤田
Kenji Fujiwara
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Abstract

【課題】蛋白質やその他の生体分子を簡便にかつ幅広い濃度で認識し、検出することができ、また、幅広い濃度の生体分子を認識でき、さらに、検出デバイスの小型化を図ることができる生体分子検出方法を提供すること。
【解決手段】異なる解離定数を有する少なくとも2種類の生体分子認識物質を組み合わせて使用し、前記生体分子と前記生体分子認識物質との反応により前記生体分子を検出するように構成する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体分子の検出方法及びデバイスに関し、さらに詳しく述べると、病気の診断や医薬品開発に有利に使用できる、蛋白質やその他の生体分子を幅広い濃度で認識し、検出可能な方法と、そのような方法を実施可能な、小型であり、集積化の限界を打破できる生体分子検出デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
1990年代に入って進められてきたヒトゲノム計画は、各国が分担してヒトの遺伝暗号を全て解読しようとする試みであり、2000年夏にドラフト版が完成したことが公表された。今後、機能ゲノム科学や構造ゲノム科学の進展によって、解読されたヒトゲノム配列情報の各々の箇所がどのような機能にかかわっているかが明らかにされていくものと予想される。
【0003】
このヒトゲノム計画は、ライフサイエンスにかかわりを持つ科学技術ならびに産業に対して、大きなパラダイムの変化をもたらした。例えば糖尿病は、血糖値が高くなるという病状に基づいて分類が行われ、発症の原因としては患者の体内でインシュリン産成能がどの程度あるかに基づいてI型(体内でインシュリンを産成できない)、II型(体内でインシュリン量の調整ができない)のような分類が行われてきた。ヒトゲノム計画は、血糖とインシュリンの検出、合成、分解などの調節に係わっている酵素やレセプターなどの蛋白質のアミノ酸配列構造、並びにそのような蛋白質の存在量の制御にかかわっている遺伝子のDNA配列の情報を全て提示している。このような情報を使うと、血糖値の調節が正常に行われないという現象としての糖尿病は、検出、合成、分解などの一連の処理に係わるそれぞれの蛋白質のどれが不調なのかによって、サブタイプに分類でき、それによって適切な診断と治療を行うことが可能になるはずである。特に、製薬業界ではヒトゲノム配列に基づいて特定の蛋白質に対する薬剤を開発するゲノム創薬が精力的に進められており、このような一連の機能的にかかわりのある蛋白質の状態を把握してゲノム創薬薬剤を投与し、症状の緩和や治癒を行う時代がくると予想される。
【0004】
しかし、このような一連の機能的にかかわりのある蛋白質の存在量を簡便に測定できる技術は、プロテオーム解析技術として発展途上にある。現在確立された方法として、二次元電気泳動と質量分析の組み合わせで測定する方法があるが、これには比較的大がかりな装置が必要になる。臨床の現場、例えば病院の検査室やベッドサイドで、患者の症状を把握するためには、より簡便な新たな技術の開発が必要とされている。
【0005】
こうしたなかで、micro−Total Analysis System(μ−TAS)やLab−on−a−chipと呼ばれる研究に関心が集ってきている。これは、数センチメートル角のガラスやシリコンの基板にマイクロメートルサイズの溝(マイクロチャネル)を加工して微細な装置となし、その中で化学分析や反応を行うものである。液体や気体のサンプルを微細な流路(数百μm〜数μm幅)の中に流すため、試料・廃棄物量の低減、高速処理などの利点をもたらし、更に化学プラントさえも小型化できる可能性があり、この技術のバイオ分野への応用が期待される。なお、μ−TASは、「集積化化学分析システム」、「マイクロ化学・生化学分析システム」等と訳され、センサ、分析装置などを小型化した化学分析システムであり、分析化学実験室で使用される機器の機能をチップ上に集約させたものである。
【0006】
なかでも、DNAチップ(またはDNAマイクロアレイ)に代表されるバイオチップの技術は、遺伝子解析に有効な手段として注目されている。バイオチップとは、ガラス、シリコン、プラスチックなどからなる基板の表面上に、DNA、蛋白質などの生体高分子からなる多数の異なったプローブを高密度に整列化してスポットしたもので、臨床診断や薬物治療などの分野で、核酸やタンパク質の試験を簡素化できるのが特徴である(例えば、特許文献1を参照されたい)。
【0007】
プローブとしては、例えばDNAや、ヌクレオチドなどが用いられる。このようなバイオチップに未知のDNAの断片を流した場合に、DNAがそれと相補的関係にあるDNAと結合する性質を利用して、プローブとハイブリダイゼーションさせることにより、ターゲットであるDNAを捕獲する。未知のDNAに蛍光標識を予め付加しておけば、捕獲されたターゲットは、バイオチップ上の各スポットからの蛍光シグナルとして検出され、これをコンピュータでデータ解析することにより、ターゲット中の数千から数万のDNAあるいはRNAの状況を一挙に観測することが可能となる。
【0008】
しかしながら、上記のようなバイオチップは、次のような問題を有している。第一に、特定の生体分子に対しては、多数の異なったプローブを高密度に整列化してスポットする必要があり、対象とする生体分子毎に反応させるための器を並べる必要がある。しかも、この器の1つ1つが目で見えるサイズであるため、小型化への障害になっている。
【0009】
第二に、蛋白質を認識するに当り、定量認識ではなくて、特異性及び解離定数の大きい蛋白質を選択し、過剰の抗体を用いて、特定蛋白質の有無の確認に主眼をおいていた。しかし、この方法では、試料中に存在する蛋白質を認識する場合に、もしも解離定数Kd=0と仮定し、このような抗体を用いるとすると、蛋白質よりも多い数の抗体あるいは人工抗体を使用することが必要であるという問題がある。
【0010】
すなわち、上述のような方法では、蛋白質を認識できるもの(抗体あるいは人工抗体)の集合体は、解離定数の強い抗体で1種類のものを流用していた。したがって、すべての蛋白質を認識するためには、蛋白質よりも多い数の抗体あるいは人工抗体を使用することが必要であった。その理由は、次のような点にある:例えば、合計して100個の抗体あるいは人工抗体を用意したとする。ここで、10個の分子を認識できた場合には、蛋白質が10個存在していることがわかる。しかし、もしも100個の分子を認識できた場合には、蛋白質がちょうど100個だけ存在していたのか、あるいは本当は100個以上、例えば1000個と、蛋白質は認識分子よりも多く存在しているのに、100個としか認識できていないだけであるのか、明確でない。したがって、蛋白質を認識しようとする場合、抗体あるいは人工抗体は、蛋白質よりも多い数を常に用意しておくことが必要であった。このように多数の抗体あるいは人工抗体を予め用意しておくことは、煩雑であり、不経済であるばかりでなく、集積化において大面積を必要とし、デバイスの小型化の障害となっている。
【0011】
第三に、フォトリソグラフィーを利用して基板に微細な流路パターンを形成した後、エッチング等の方法で溝を形成し、蓋をして流路を形成するのが、μ−TASのような複雑なバイオチップの作製時に一般的に行われている方法であるが、密閉した後にDNAプローブを取り付ける手段がない。このため、プローブを高密度に整列化してスポットする作業は、バイオチップの作製過程中に行う必要があり、その後のバイオチップの作製プロセス中に加わるDNAへの影響が問題となる。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−235468号公報(段落番号0002〜0009)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来の技術の問題点を解決することを目的とする。
【0014】
本発明の目的は、蛋白質やその他の生体分子を簡便にかつ幅広い濃度で認識し、検出でき、また、検出結果も正確である生体分子検出方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的は、生体分子をより少ない数の抗体あるいは人工抗体で認識可能とし、よって検出デバイスの小型化を可能とする生体分子検出方法を提供することにある。
【0016】
さらに、本発明の目的は、病気の診断や医薬品開発に有利に使用できる生体分子検出方法を提供することにある。
【0017】
さらにまた、本発明の目的は、上述のような生体分子検出方法を実施可能な、小型な生体分子検出デバイスを提供することにある。
【0018】
本発明の上記した目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その1つの面において、特定の生体分子を認識し、検出する方法において、
異なる解離定数を有する少なくとも2種類の生体分子認識物質を組み合わせて使用し、前記生体分子と前記生体分子認識物質との反応により前記生体分子を検出することを特徴とする生体分子検出方法にある。
【0020】
本発明方法では、少なくとも2種類の生体分子認識物質を組み合わせて使用することで、各生体分子認識物質の有する応答範囲を超えた広い分析が可能となり、更に検出結果も正確となる。
【0021】
また、本発明は、そのもう1つの面において、特定の生体分子を認識し、検出するデバイスにおいて、
前記生体分子と結合できる、異なる解離定数を有する少なくとも2種類の生体分子認識物質の組み合わせからなる検出素子を少なくとも有していることを特徴とする生体分子検出デバイスにある。
【0022】
本発明の生体分子検出デバイスにおいて、前記生体分子認識物質は、前記基板のそれぞれの検出区画の所定位置に、情報に従い、前記基板上に形成された担体を介して付着もしくは固定されているか、もしくは前記基板のそれぞれの検出区画の所定位置に、前記基板上に形成された担体と前記生体分子認識物質に結合している担体とが相補鎖の認識により結合することを介して、結果的に前記基板に付着もしくは固定されていることが好ましい。
【0023】
本発明では、生体分子(例えば、蛋白質)を認識できるもの、すなわち、生体分子認識物質(例えば抗体あるいは人工抗体)の集合体から、ポリクロナール抗体あるいはその人工抗体の混合物を分ける流出条件を変えることによって、さまざまな解離定数をもっているものをそれぞれ選び出して、蛋白質溶液濃度に対する、蛋白質と結合した抗体量との関係がゆるやかで範囲の広い関係を描くような、換言すると、時間に対する流出量が範囲の広いガウス分布を描くような生体分子検出デバイスが得られ、したがって、結合分子を変えることで、ダイナミックレンジの広いアッセイ系を提供することができる。
【0024】
また、本発明の生体分子検出デバイスでは、2種類以上の生体分子認識物質の組み合わせからなる検出素子を備えたことによって、生体分子をより少ない数の生体分子認識物質で認識可能とし、更に、幅広い濃度の認識、検出時間の短縮、検出結果の正確化、工程の簡略化、生体分子の取り扱いの容易化、そしてデバイスの小型化を実現することができる。
【0025】
さらに、本発明の生体分子検出デバイスでは、所定の面積当たりに付着もしくは固定することのできる生体分子認識物質の数、換言すると、そのような物質を付着もしくは固定する部位の数を増大させることができるので、更なるデバイスの小型化を達成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明は、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下、本発明の実施の形態を添付の図面、実施例等を参照して説明する。なお、以下の説明は、本発明の典型的な形態を例示するためのものであり、本発明の範囲を何ら制限するものではないこと、また、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることを理解されたい。
【0027】
本発明は、上記したように、蛋白質等の特定の生体分子に対して、さまざまな解離定数を有する生体分子認識物質、例えば抗体あるいは人工抗体を組み合わせて使用し、生体分子と生体分子認識物質との反応により生体分子を検出することができる。本発明によると、生体分子に対して、各生体分子認識物質の有する応答範囲を超えて、ダイナミックレンジの広い分析が可能となる。
【0028】
本発明では、少なくとも2種類の生体分子認識物質を使用するが、「少なくとも2種類の生体分子認識物質」とは、例えば、「種類の異なる蛋白質」と言うように、本発明によって生体分子の検出に用いられる生体分子認識物質が2種類以上あることを意味する。また、生体分子と生体分子認識物質の間で利用される反応は、使用目的に応じて自由に定めることができる。さらに、一般に試料溶液中に含まれる被検生体分子は、定性分析することも定量分析することも、使用目的に応じて可能である。すなわち、本発明による生体分子の検出とは、特定の生体分子の存在を検出することや、被検試料中に特定の生体分子がどの程度含まれているかを分析することを包含する。
【0029】
本発明方法及びデバイスの実施において、測定により認識されるべき生体分子は、生体中に含まれ、疾病等に関与し得る任意の物質を意味する。かかる生体分子の典型例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、蛋白質、核酸、複合糖質などを包含する。本発明は、特に蛋白質の認識に好適である。
【0030】
また、これらの生体分子の認識に用いられる生体分子認識物質は、特に限定されるものではなく、被検生体分子に応じて広い範囲から選択することができる。適当な生体分子認識物質の典型例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、抗体、人工抗体、蛋白質、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドなどを包含する。本発明の場合、これらの生体分子認識物質を少なくとも2種類、それも解離定数(デソリューション・コンスタント)が互いに異なるように配慮して、使用することが必要である。生体分子に対する生体分子認識物質の分子を多種類使用することで、ダイナミックレンジを広げることができ、幅広い濃度の生体分子を認識できるからである。なお、生体分子には、生体に由来するものの他、生体に由来するものを加工したもの、合成された分子も含まれる。
【0031】
また、これらの生体分子認識物質は、通常、基板上に配置して使用することが好ましい。適当な基板の一例として、例えばガラス基板、プラスチック基板の他、シリコン基板、サファイア基板などの半導体基板を挙げることができる。このような基板は、必要に応じて、その上にさらに担体を有していてもよい。担体の存在により、基板に対する生体分子認識物質の付着、固定等をより強固に、高い信頼性の下で行うことができるからである。担体は、任意の材料からなることができるけれども、一般的には金属材料、例えばアルミニウム、銅、金などからなるのが好ましい。とりわけ金が、担体材料として好適である。担体は、通常、薄膜の形で基板上に設けられる。薄膜状の担体は、任意の成膜法によって形成することができ、適当な成膜法として、例えば、CVD法、スパッタ法などを挙げることができる。
【0032】
生体分子認識物質は、基板もしくはその上の担体に直接固定してもよく、あるいは、追加の担体や結合基、化合物などを介して固定してもよい。例えば、生体分子認識物質は、物理吸着により付けたヌクレオチドなどの化合物を介して、あるいは化学反応によりチオエーテル基(−S−)のような適当な結合基を介して付けたヌクレオチドなどの化合物を介して、DNA相補鎖の認識により間接的に固定してもよい。また、生体分子認識物質の基板(あるいは担体)への固定は、カーボンナノチューブあるいはカーボンナノファイバーと呼ばれる新しいタイプの炭素質材料を使用して行うこともできる。カーボンナノチューブあるいはカーボンナノファイバーは、上記の生体分子認識物質を固定しようとする基板(あるいは担体)上に触媒(例えばNiなど)を配置し、熱CVDあるいはプラズマCVDで電極(あるいは導電体層)表面から垂直方向に成長させて形成することができる。形成したカーボンナノチューブあるいはカーボンナノファイバーの先端の五員環部分は、容易に化学修飾することができ、この特性を利用してカーボンナノチューブあるいはカーボンナノファイバーの先端に生体分子認識物質(所定の分子又は化合物)を接合することができる。カーボンナノチューブあるいはカーボンナノファイバーは固い材料なので、このような材料を介して基板(あるいは担体)に結合した分子又は化合物は、より強固に固定されることになり、例えば粘性の高い生体分子溶液を使用する場合などに有利である。測定後に高粘性の溶液を排出する際には、固定された分子又は化合物にはかなりの力が作用することになるからである。
【0033】
さらに、上述のような基板は、生体分子を検出可能な検出素子の1構成員として使用するのが好ましい。ここでいう検出素子は、いろいろな形態を包含することができるけれども、好ましくは、小型のチップである。すなわち、検出素子は、好ましくは、例えばプロテインチップ、DNAチップ等のバイオチップである。よって、以下、検出素子を「バイオチップ」ともいう。
【0034】
また、検出素子は、好ましくは、複数の検出区画を表面に有する基板と、その基板表面に検出区画ごとに独立して付着もしくは固定された生体分子認識物質とからなる。なお、「検出区画」とは、基板あるいはその上の担体が機械的加工などにより複数の区画に区分されているかあるいは材料的に複数の区画に区分されていることを意味するのではなくて、異なる生体分子をそれぞれの区画で互いに独立して認識できる領域であることを意味する。検出区画は、所定数の生体分子認識物質を付着もしくは固定できればよく、特に限定されるわけではない。検出区画は、通常、矩形であるが、必要に応じて、その他の形であってもよい。
【0035】
本発明の実施において、基板に対する生体分子認識物質の固定は、いろいろな手法によって有利に実施することができる。
【0036】
例えば、生体分子認識物質を、例えばプラスチック基板、ガラス基板、半導体基板などの基板もしくはその上の担体に直接固定する場合には、以下のようにして固定を行うことができる。
【0037】
プラスチック基板の場合には、図1(A)に示すように、プラスチック基板2−1上に、−NH2 や−COOHを付けておく。基板2−1の表面に存在する−NH2 や−COOHなどの官能基を、既存の方法や情報に従い、生体分子認識物質(抗体)3cと反応させて、図1(B)に示すようにこれを吸着させる。基板2−1上の−NH2 は生体分子認識物質3cの表面に有する官能基−COOHと反応し、基板2−1上の−COOHは生体分子認識物質3cの表面に有する官能基−NH2 と反応し、図示のようにプラスチック基板2−1と生体分子認識物質3cが結合する。反応後の官能基は、リンカー(担体)Lとして機能する。
【0038】
また、ガラス基板の場合は、図2(A)に示すように、ガラス基板2−2上には既に−OH基が存在している。従ってSiを含む化合物と−OH基を反応させる。そしてSiの上に−NH2 や−COOHなどの官能基を付ける。これらの官能基と生体分子認識物質3cとの反応は、上記に示す同様の反応に従う。これらの反応によって生成したリンカー(担体)Lを介して、図2(B)に示すように、ガラス基板2−2と生体分子認識物質3cを結合することができる。
【0039】
さらに、半導体基板の場合には、図3(A)に示すように、半導体基板2−3上に例えば金電極1を形成した後、その金電極1上に、−S−を介して−NH2 や−COOHなどの官能基を付ける。これらの官能基と生体分子認識物質3cとの反応は、上記に示す同様の反応に従う。これらの反応によって生成したリンカー(担体)Lを介して半導体基板2−3上の金電極1と生体分子認識物質3cを結合することができる。
【0040】
一方、生体分子認識物質を、追加の担体を介して固定する場合には、例えば、プローブとしての抗体を付着させ、固定する場合、次のような手順で有利に実施することができる。
【0041】
(1)抗体がその表面に−NH2 ,−COOH等の官能基を有していることを活用する。
【0042】
(2)抗体表面の官能基と反応可能な物質を有する反応性DNAを用意するか、もしくはDNAにそのような物質を結合させて反応性DNAを調製する。
【0043】
(3)官能基含有抗体を反応性DNAと化学反応させて、抗体に対してDNAを共有結合により結合させる。ここで、官能基含有抗体に付加可能なDNAの数は抗体ごとに様々であり、DNAが沢山付加している抗体もあれば、僅かしか付加していない抗体もある。本発明の実施では、このようなDNA付加抗体の中からDNAが1本ほど付加している抗体を精製して取り出すのが好ましい。取り出した抗体は、例えば、以下に図4及び図5を参照して説明するようにして、基板(検出区画)に固定することができる。
【0044】
図4のバイオチップの場合、そのシリコン基板2の上に第1の担体として形成された金薄膜1に、プローブ3aが第2の担体として電気的あるいはクーロン力によって結合している。また、生体分子認識物質3cは第3の担体としてのプローブ3bと共有結合により化学結合している。なお、この結合は、生体分子認識物質3cの表面に有する官能基(−NH2 ,−COOHなど)と反応する物質をプローブ3bに付け、反応させることで、容易に実現することができる。そして、プローブ3aには、図示される通り、プローブ3aと相補的関係を有するプローブ3bが相補的に結合している。この相補的結合の一例として、例えば、アデニンAとチミンT、シトシンCとグアニンGの結合を挙げることができる。プローブ3aに対するプローブ3bの結合は、図4の左側において図示するように、浮遊状態にあるプローブ3bをプローブ3aに選択的に付着させることによって、行うことができる。つまり、共有結合でDNA(プローブ)3bと化学結合している抗体(生体分子認識物質)3cは、金薄膜(第1の担体)1と電気的あるいはクーロン力によって結合しているプローブ3aとの間において、プローブ3aとDNA3bの相補的関係により結合することで、基板(検出区画)に固定することができる。要するに、生体分子認識物質3cは、基板2上の金薄膜1と結合しているプローブ3aと、生体分子認識物質3cと結合しているプローブ3bとの相補的結合により基板2に付着しているのである。ところで、生体分子認識物質3cには、図4の右側に拡大して示すように、生体分子6が選択的に反応し、結合可能である。
【0045】
また、図5のバイオチップの場合、そのシリコン基板2の上に第1の担体として形成された金薄膜1に、第2の担体としてのプローブ13aがリンカーL(チオエーテル基;−S−)を介して化学結合している。プローブ13aには、図4の場合と同様に、生体分子認識物質13cを備えた第3の担体(プローブ)13bが相補的に結合している。ここで、生体分子認識物質3c及び13cは、それを結合させている第2の担体3a及び13a、そして第3の担体3b及び13bを含めて、それぞれバイオチップのプローブとして機能するものであるので、上記したように、プローブとも呼ぶことができる。
【0046】
図6は、本発明の生体分子検出デバイスで用いられるチップ状の検出素子(バイオチップ)10を示している。バイオチップ10は、シリコン基板2と、シリコン基板2の上にスパッタ法で付着せしめられた金の担体薄膜1と、さらに担体薄膜1の上に結合している生体分子認識物質3cとからなる。金は、通常水溶液である試料溶液との反応性を有しておらず、付着作業も容易に可能であるので、生体分子認識物質3cが付着する担体として好適である。担体薄膜1は、図示されるように、ほぼ同じ大きさの6個の検出区画、1a〜1fに区分されている。これらの矩形の検出区画は、それぞれに専用の生体分子認識物質3cを付着もしくは固定するように設計されており、その面積は任意に変更可能である。また、図6では便宜上6個の検出区画を示したけれども、必要に応じて区画数の増減が可能である。なお、図6では、それぞれの検出区画が仕切り線によって相互に区分されているように示されているが、仕切り線は説明の都合上示したものであり、通常は含まれていない。
【0047】
容易に理解されるように、先に説明した図4及び図5は、それぞれ、図6に示した検出素子の1個の検出区画について、その基板に対する生体分子認識物質の付着形態を示したものであり、それぞれの検出区画は電気的に独立して制御可能である。
【0048】
本発明による生体分子検出デバイスは、いろいろな構成を有することができるが、検出素子としてバイオチップを備えるとともに、このバイオチップと機能的に組み合わせてその他の構成員を任意に備える構成を有することが好ましい。生体分子検出デバイスの好ましい一構成例を示すと、
試料溶液注入口を備えた容器と、
容器内に配置された検出素子と、
容器内に試料溶液注入口を介して注入された、生体分子を含む試料溶液と
を含むデバイスがある。この種のデバイスにおいて、容器は、通常、箱、円筒等の形態を有することができる。また、試料溶液は、生体分子ごとにそれに最適な組成を有することができる。生体分子の溶解にも、任意の溶媒を使用することができる。
【0049】
図7は、上述のような構成を有するバイオチップを組み込んだ生体分子検出デバイスの一例である。生体分子検出デバイス20は、試料溶液注入口7を備えた容器5からなり、容器5の底壁にバイオチップ10が取り付けられている。容器1の内部には、被検生体分子を含有する試験溶液4が入れられる。
【0050】
図7の生体分子検出デバイス20は、例えば、次のようにして生体分子の検出検出(定性又は定量分析)に使用することができる。
【0051】
まず、試料溶液4を、試料溶液注入口7を通して容器5に注入する。注入手段としては、例えば、ピペット、シリンジなどを使用することができる。試料溶液4は、シリコン基板2上の金薄膜1に設けられた複数の検出区画に導かれる。検出区画は、通常のバイオチップのセンサーアレイ部に相当するところであり、その表面に前述の担体3a及び3bの相補的結合を介して多数の生体分子認識物質(プローブ)3cが付着せしめられている。試料溶液4とプローブ3cが接触する結果、生体分子と生体分子認識物質の間で反応が起こり、その結果に基づいて生体分子を認識し、検出することができる。
【0052】
ところで、本発明の場合、多数のプローブをバイオチップの所定の検出区画に設置する方法であるため、プローブの種類を制御でき、すなわち、抗体の種類を選択的に制御でき、したがって、従来のように、生体分子認識物質の種類毎に異なる基板で1回1回処理工程を行うという手間のかかる作業を必要としない。すなわち、本発明によれば、プローブ溶液(生体分子認識物質の溶液)と検出区画(プローブ配置場所)との間に電位差を与えた場合のクーロン力の差異を利用して、プローブをバイオチップの所定のプローブ配置場所に設置することができる。この方法を使用すると、複数のプローブ配置場所を表面に備えた基板上にプローブ溶液を流し込むだけで、所定のプローブ配置場所にプローブを選択的に付着せしめ、その他のプローブ配置場所においてはプローブの付着が生じないようにすることができ、工程の手間を排除できる。ここで、プローブ溶液とは、プローブそのものが液状である場合の他、プローブを液状媒体で希釈したものも含まれる。
【0053】
複数のプローブをそれぞれ別々のプローブ配置場所に設置するには、含有されるプローブの種類の異なるプローブ溶液を使用するたびに、プローブ溶液とプローブ配置場所との間に電位差を与える際に、目的とするプローブ配置場所に他のプローブ配置場所とは異なる電位を与え、当該所定のプローブ配置場所に所定プローブを電気的に付着せしめるようにすればよい。
【0054】
本発明による上述のプローブ配置方法によれば、解離定数の異なる生体分子認識物質を選択的に付けることができ、バイオチップの構造を簡略化でき、バイオチップの小型化も図ることができる。
【0055】
また、プローブ配置場所への蓋の取り付けの後等では従来のプローブ配置方法は実行不可能であるため、プローブ配置場所への蓋の取り付け前にプローブ配置を実施せざるを得ず、プローブ配置後のバイオチップ製造ステップがプローブを変質させる恐れがあったが、本発明のプローブ配置方法を採用すると、プローブ溶液を流し込むだけでよいため、プローブを変質させる恐れのある製造ステップの後任意の段階でプローブを付着配置することが可能となり、プローブ変質の問題を解消できる。また、バイオチップを完成した後にプローブを配置することも可能となる。さらに、本発明のプローブ配置方法を採用すれば、所定の面積当たりに配することのできるプローブ配置場所の数を増大させることができ、バイオチップの小型化が可能となる。
【0056】
本発明によりプローブをバイオチップの所定のプローブ配置場所に設置した場合、試料溶液の導入時にプローブが流出しないようにプローブを固定することが必要となる場合もある。この固定方法は、本発明の趣旨に反しない限り、任意に選択することができる。
【0057】
例えば、蛋白質、DNA、ヌクレオチド体などでは、ジスルフィド基やチオール基を導入したプローブを合成し、表面研磨した基板(あるいは担体)と接触させる方法等、公知の方法を採用することができる。ジスルフィド基やチオール基とヌクレオチド結合との間に、例えば−(CH2n−の構造を有するリンカー(結合手)を挿入してもよい。プローブ配置場所に固定できる感応部の数はこのリンカーの種類や結合の長さによって影響を受けることが多い。一般的にはCH2 単位の数が減ると検出区画に固定できる感応部の数は減少する傾向にあり、多すぎる場合は効果がなくなるため、むやみに増やす必要はない。n=2〜15であるのが好ましい。
【0058】
バイオチップの製造において、本発明では、上述のように、2種類以上のプローブをそれぞれ所定のプローブ配置場所に配置するに際し、当該所定のプローブ配置場所に他のプローブ配置場所とは異なる電位を与え、当該所定のプローブ配置場所に所定プローブを電気的に付着せしめる配置方法を利用することができる。これにより、人手を排除でき、バイオチップの構造を簡略化でき、さらにはバイオチップの小型化が図れる。また、プローブを変質させる恐れのある製造ステップの後であれば、任意の段階でプローブを配置することが可能となり、プローブ変質の問題を解消できる。バイオチップを完成した後にプローブを配置することも可能となる。所定の面積当たりに配することのできるプローブ配置場所の数を増大させることができ、バイオチップを小型化することが可能となる。
【0059】
本発明によって提供される生体分子検出デバイスは、例えば糖尿病において肝細胞がインシュリンの受容状態に応じて細胞内グリコーゲン代謝を切り換える場合などに、インシュリン受容体からグリコーゲン分解酵素に至る一連の蛋白質相互作用ネットワークの一部が低下または昂進していることを捉える蛋白質検出デバイスとして使用できる。
【0060】
また、このような蛋白質検出デバイスを利用することによって、リン酸化や糖鎖付加などのいわゆる翻訳後修飾も含めて、蛋白質のポピュレーションを捉えることが可能になる。
【0061】
さらに、従来のように症状として現れた現象を大括りにして糖尿病と捉えるのではなく、例えば、相互作用ネットワークに係わるある特定の蛋白質の機能低下が糖代謝の不全を起こしていることを把握できるようになり、機能不全の原因に対応した、適切な診断と治療ならびに治療結果の検証が可能になる。同様の手法は、糖尿病に限らず、高血圧症、高脂血症、癌(細胞増殖制御不全)その他の多因子性疾患全般に対しても適用が可能である。
【0062】
【実施例】
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、下記の実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
実施例1
本例では、図6を参照して先に説明したような、6個の検出区画からなるセンサアレイ部を有するバイオチップを作製した。基板としてシリコン基板を使用し、その上に、担体として機能させるため、Au薄膜をスパッタ法によって成膜した。Au薄膜の厚さは、100〜200μmであった。
(1)図9のバイオチップの作製
図8に示すようなAu薄膜1付きのシリコン基板(図示せず)を用意した。Au薄膜1は、6個の検出区画1a〜1fを有しており、それぞれの検出区画に互いに独立して、プローブ3A〜3Fを設置するようになっている。検出区画1a〜1fは、互いに電気的に独立でき、図示しないが、それぞれ電極から電位が与えられるように配線されている。
【0063】
図9には、それぞれの検出区画にプローブ3A〜3Fを設置した後の状態が示されている。検出区画1a〜1fにプローブA〜Fをこの順に配置するため、次のようにして操作を行った。
【0064】
バイオチップ完成後、図7に示した容器5の試料溶液注入口2の試料導入口4からプローブ溶液を注入した。このとき、検出区画1b〜1fの電位を、検出区画1aの電位よりマイナス側にしてプローブ溶液と各検出区画の間に電圧を印加した。具体的には、プローブ溶液と各検出区画との間に、検出区画1aの電位が0(ゼロ)V,検出区画1b〜1fのそれがマイナス数百Vの電位となるように、電圧を印加した。この状態で、プローブAを含むプローブ溶液を容器5内に流し込んだ。この操作により、図8に示すように、検出区画1aにプローブAが付着せしめられた。なお、ここで採用する印加電圧や検出区画における電位は、実験等により最適値を適宜定めることができる。
【0065】
次いで、同様の操作を検出区画1b〜1fについても繰り返した。まず、検出区画1a及び検出区画1c〜1fの電位を、検出区画1bの電位よりマイナス側にしてプローブ溶液と各検出区画の間に電圧を印加した。この状態で、プローブBを含むプローブ溶液を容器5内に流し込んだ。この操作により、図9に示すように、検出区画1bにプローブBが付着せしめられた。この際、検出区画1aにすでに付着せしめられているプローブAが若干流出する可能性もあるが、必要量のプローブAはそのまま残存させることができ、何らの問題も生じない。
【0066】
同様にして、検出区画1c〜1fまでの各検出区画にそれぞれプローブ3C〜3Fを付着させた。このようにして、図9に示すように、検出区画1a〜1fにプローブ3A〜3Fが付着せしめられたバイオチップが得られた。
(2)図11のバイオチップの作製
図8及び図9を参照して上記した手法と同様な手法に従って、図11のバイオチップを作製した。このバイオチップが図9のそれと相違する点は、プローブ13A〜13Fの検出区画1a〜1fに対する固定の方法である。すなわち、本例の場合、プローブ13A〜13Fは、それぞれ、検出区画1a〜1fに対してリンカー(チオエーテル基;−S−)を介して付着せしめられている。リンカー(−S−)は、次のような化学反応によって導かれたものである。
【0067】
RSH+Au→AuSR+H+ +e-
ここで、RはDNAのヌクレオチド構造を表し、SHはチオール基を表す。
【0068】
上記の化学反応を利用して、検出区画1aがプラスの電位、検出区画1b〜1fがマイナス電位になるように電圧を印加して、図10に示すように検出区画1aにプローブ13Aを付着させた。次いで、残された検出区画1b〜1fについても同様な操作を行った結果、図11に示すように、検出区画1a〜1fにプローブ13A〜13Fが付着せしめられたバイオチップが得られた。
【0069】
このようにしてバイオチップを作製した結果、手作業によるプローブの配置作業を廃止することができ、製造時間の短縮、工程の簡素化、対象物質の取扱いの容易化が実現できた。また、微小領域や物理的にアクセス困難な複雑な形状の領域にもプローブを配置することができ、所定の面積当たりに配することのできる検出区画の数を増大させることができ、生体分子検出デバイスを従来品より小型化できた。
実施例2
本例では、前記実施例1で作製したバイオチップを備えた生体分子検出デバイスを使用して、下記の手順で蛋白質の検出を行った。
【0070】
まず、ウサギに対して、パン酵母(G-6-PDH:グリコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)を免疫原として、G-6-PDH 抗血清を作製し、IgG 成分を精製してIgGポリクローナル抗体を得た。この抗体作製プロセスは、常法に従って実施した。
【0071】
次いで、免疫原IgGポリクローナル抗体を結合定数(解離定数)によって分画した。具体的には、アフィニティカラム用の担体CYANOGEN BROMIDE Activatide agaroseに免疫原を固定した。これにポリクローナル抗体をpH緩衝液(pH=7.4)に溶かして、固定化免疫原と結合させ、流出成分が無くなるまで充分洗浄した。そこに免疫原の濃度を0〜2%の範囲で徐々に増加させて、固定化免疫原との競合結合反応を行わせることにより、抗体成分を流出させた。徐々に流出した抗体成分を含む20画分を分取し、2番目、8番目、18番目について、免疫原との解離定数を調べたところ、それぞれ1×10-7、3×10-5、1×10-4であった。この3画分をA、B、Cとして、以下の実験に供した。
【0072】
図12は、上記の抗体3画分(A、B、C)をそれぞれ、担体に固定し、溶液中の免疫原濃度を変化させた際の抗体の免疫原結合率を示す。図から理解されるように、画分Aは、3nM〜30μMで優意な結合率変化を起こし、画分B及びCは、それぞれ、30nM〜300μM及び300nM〜3mMで変化した。ここで、これらの3種の結合率を平均化することにより、ダイナミックレンジが3nM〜3mMと6桁拡大できた。
【0073】
また、図12は、蛋白質濃度を増加させていった場合の、蛋白質濃度と、蛋白質と結合した抗体量との関係をプロットしたグラフである。図示の関係は、以下の式により導出することができた。なお、式中、Koは抗体量の初期値、K は蛋白質と未結合の抗体量、そしてKpは蛋白質と結合した抗体量である。
【0074】
Ko = K + Kp
∴Kp = Ko - K
Bd = [ Kp ] / ( [ Ko - Kp ] [ P ] )
∴[Kp]= Bd [Ko] [P] / ( 1 + Bd [P] )
〔Bd:バインディング定数(=1/(解離定数))
P :蛋白質〕
次いで、親和性の集合体、ポリクローナルの強度の違うものをプロットした。ポリクローナルを親和性で分けて精製した(A、B、C)。数学的に、A、B、Cの3種類をたし合わせる(混合する)と、実線Dになった。すなわち、本例で使用した生体分子検出デバイスは、溶液濃度が低いときには、結合定数の大きい(解離定数の小さい)抗体において、そして溶液濃度上昇に従い、結合定数の低いもので認識するのと同等の広いダイナミックレンジを保証できるアッセイ系(蛋白検出デバイス)であると言うことができる。
【0075】
なお、本例は、分画したポリクローナル抗体について特に実験を行ったけれども、異なる解離定数を有するモノクローナル抗体の組み合わせにも適用可能である。
【0076】
以上、本発明による生体分子検出方法及びデバイスをその実施の形態及び実施例に関して詳細に説明した。最後に、本発明をその好ましい態様について整理すると、次の通りである。
(付記1)特定の生体分子を認識し、検出する方法において、
異なる解離定数を有する少なくとも2種類の生体分子認識物質を組み合わせて使用し、前記生体分子と前記生体分子認識物質との反応により前記生体分子を検出することを特徴とする生体分子検出方法。
(付記2)前記生体分子が、蛋白質、核酸又は複合糖質であることを特徴とする付記1に記載の生体分子検出方法。
(付記3)前記生体分子認識物質を基板上に配置して使用することを特徴とする付記1又は2に記載の生体分子検出方法。
(付記4)前記基板が、検出素子の1構成員であることを特徴とする付記3に記載の生体分子検出方法。
(付記5)前記基板が、その上にさらに担体を有することを特徴とする付記3又は4に記載の生体分子検出方法。
(付記6)前記生体分子認識物質を、それぞれ独立して、前記基板の表面において予め規定されている検出区画に付着もしくは固定して使用することを特徴とする付記3〜5のいずれか1項に記載の生体分子検出方法。
(付記7)前記生体分子認識物質が、それぞれ、プラスもしくはマイナスに帯電し得る物質であることを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の生体分子検出方法。
(付記8)前記基板の表面において予め規定されている検出区画に、前記検出区画ごとに異なる電位を与え、それぞれの検出区画に、その検出区画に予定されている担体もしくはプローブを電気的に付着もしくは固定し、それと相補鎖の認識により結合する担体が結合している前記生体分子認識物質とを反応させ、固定することを特徴とする付記7に記載の生体分子検出方法。
(付記9)前記生体分子認識物質が、抗体、人工抗体、蛋白質、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド又はその混在物であることを特徴とする付記1〜8のいずれか1項に記載の生体分子検出方法。
(付記10)特定の生体分子を認識し、検出するデバイスにおいて、
前記生体分子と結合できる、異なる解離定数を有する少なくとも2種類の生体分子認識物質の組み合わせからなる検出素子を少なくとも有していることを特徴とする生体分子検出デバイス。
(付記11)前記検出素子が、複数の検出区画を表面に有する基板と、その基板表面に検出区画ごとに独立して付着もしくは固定された前記生体分子認識物質とからなることを特徴とする付記10に記載の生体分子検出デバイス。
(付記12)前記生体分子認識物質が、前記基板のそれぞれの検出区画において、所定の位置に化学反応により付着せしめられていることを特徴とする付記11に記載の生体分子検出デバイス。
(付記13)前記基板が、その上にさらに担体を有していることを特徴とする付記11又は12に記載の生体分子検出デバイス。
(付記14)前記生体分子認識物質が、前記基板もしくはその上の担体にチオエーテル結合を介して付着もしくは固定されていることを特徴とする付記11〜13のいずれか1項に記載の生体分子検出デバイス。
(付記15)前記生体分子認識物質が、前記基板もしくはその上の担体にヌクレオチドを介して付着もしくは固定されていることを特徴とする付記11〜13のいずれか1項に記載の生体分子検出デバイス。
(付記16)前記生体分子認識物質が、前記基板もしくはその上の担体にカーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーを介して付着もしくは固定されていることを特徴とする付記11〜13のいずれか1項に記載の生体分子検出デバイス。
(付記17)試料溶液注入口を備えた容器と、
前記容器内に配置された前記検出素子と、
前記容器内に前記試料溶液注入口を介して注入された、前記生体分子を含む試料溶液と
を含むことを特徴とする付記10〜16のいずれか1項に記載の生体分子検出デバイス。
【0077】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明によれば、蛋白質やその他の生体分子を簡便にかつ幅広い濃度で認識し、検出することができる。
【0078】
また、本発明によれば、蛋白質等の生体分子を認識する際に、認識分子のダイナミックレンジを広くすることができ、幅広い濃度の生体分子を認識できる。
【0079】
さらに、本発明によれば、生体分子認識物質として最低数の抗体等を用意すればよく、生体分子認識物質の集積化は小面積で可能であり、集積化の限界を打破するとともに、検出デバイスの小型化を図ることができる。
【0080】
したがって、本発明の生体分子検出方法及び検出デバイスは、病気の診断や医薬品開発に有利に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】生体分子認識物質をプラスチック基板上に固定する方法を模式的に示した断面図である。
【図2】生体分子認識物質をガラス基板上に固定する方法を模式的に示した断面図である。
【図3】生体分子認識物質を半導体基板上に固定する方法を模式的に示した断面図である。
【図4】検出素子における生体分子認識物質の好ましい1付着例を示した断面図である。
【図5】検出素子における生体分子認識物質のもう1つの好ましい付着例を示した断面図である。
【図6】本発明による生体分子検出デバイスで用いられる検出素子の一例を示した斜視図である。
【図7】本発明による生体分子検出デバイスの好ましい1例を示した断面図である。
【図8】検出素子の基板に対するプローブの第1の付着工程を示した斜視図である。
【図9】図8の検出素子の基板に対するプローブの付着処理が完了した状態を示した斜視図である。
【図10】検出素子の基板に対するプローブの第1の付着工程を示した斜視図である。
【図11】図10の検出素子の基板に対するプローブの付着処理が完了した状態を示した斜視図である。
【図12】溶液中の免疫原濃度を変化させた際の抗体の免疫原結合率を示すグラフである。
【符号の説明】
1…担体
2…基板
3a,13a…プローブ
3b,13b…担体
3c,13c…生体分子認識物質
4…試料溶液
6…生体分子
7…試料溶液注入口
10…検出素子
20…生体分子検出デバイス

Claims (5)

  1. 特定の生体分子を認識し、検出する方法において、
    異なる解離定数を有する少なくとも2種類の生体分子認識物質を組み合わせて使用し、前記生体分子と前記生体分子認識物質との反応により前記生体分子を検出することを特徴とする生体分子検出方法。
  2. 前記生体分子が、蛋白質、核酸又は複合糖質であること及び(又は)前記生体分子認識物質が、抗体、人工抗体、蛋白質、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド又はその混在物であることを特徴とする請求項1に記載の生体分子検出方法。
  3. 特定の生体分子を認識し、検出するデバイスにおいて、
    前記生体分子と結合できる、異なる解離定数を有する少なくとも2種類の生体分子認識物質の組み合わせからなる検出素子を少なくとも有していることを特徴とする生体分子検出デバイス。
  4. 前記検出素子が、複数の検出区画を表面に有する基板を含み、かつ前記生体分子認識物質が、前記基板のそれぞれの検出区画の所定位置に、情報に従い、前記基板上に形成された担体を介して付着もしくは固定されていることを特徴とする請求項3に記載の生体分子検出デバイス。
  5. 前記検出素子が、複数の検出区画を有する基板を含み、かつ前記生体分子認識物質が、前記基板のそれぞれの検出区画の所定位置に、前記基板上に形成された担体と前記生体分子認識物質に結合している担体とが相補鎖の認識により結合することを介して、結果的に前記基板に付着もしくは固定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の生体分子検出デバイス。
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