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JP2004182690A - トリブロモメチル基含有化合物の結晶形及びトリブロモメチル基含有化合物の保存方法 - Google Patents

トリブロモメチル基含有化合物の結晶形及びトリブロモメチル基含有化合物の保存方法 Download PDF

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JP2004182690A
JP2004182690A JP2002354362A JP2002354362A JP2004182690A JP 2004182690 A JP2004182690 A JP 2004182690A JP 2002354362 A JP2002354362 A JP 2002354362A JP 2002354362 A JP2002354362 A JP 2002354362A JP 2004182690 A JP2004182690 A JP 2004182690A
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Japan
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group
compound
tribromomethyl group
tribromomethyl
crystal form
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Pending
Application number
JP2002354362A
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English (en)
Inventor
Junro Tatsumi
淳郎 巽
Mitsuru Harada
満 原田
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】長期間保存しても色相が悪化しない安定なトリブロモメチル基含有化合物の結晶形を得る。
【解決手段】トリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物の結晶形であって、熱重量−示差熱分析において、溶融吸熱極大を示すとともに、前記溶融吸熱極大よりも走査温度の低い領域で発熱極大を示さないことを特徴とする実質的に結晶学的に純粋なトリブロモメチル基含有化合物の結晶形。前記トリブロモメチル基含有化合物には、トリブロモメチル基の隣接位に、置換又は無置換フェニレン基、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO−、−SOO−又は−SONH−基を有している化合物が含まれる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃剤、医薬、農薬、写真薬、感光剤等の精密化学品又はその合成中間体などとして有用なトリブロモメチル基含有化合物の結晶形、該トリブロモメチル基含有化合物の色相の悪化を防止する方法、及び該トリブロモメチル基含有化合物の保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物は臭素ラジカルを放出しやすい特性を有しており、その臭素ラジカルの酸化作用等により種々の機能を発現することから、難燃剤、医薬、農薬、写真薬、感光剤等の精密化学品又はその合成中間体として注目されている(特許文献1参照)。しかしながら、前記トリブロモメチル基含有化合物は他面において不安定であって、長期間保存すると次第に分解し、着色して、所望の機能を十分に果たさなくなるという問題があった。
【0003】
一方、結晶多形体が存在する化合物では、その結晶形により安定性に差があることは知られている。しかし、上記のようなトリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物の結晶形とその安定性との関連性については従来全く検討されていなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−55411号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は長期間保存しても色相が悪化しない安定なトリブロモメチル基含有化合物の結晶形を提供することにある。
本発明の他の目的はトリブロモメチル基含有化合物の色相の経時的な悪化を効果的に抑制する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的はトリブロモメチル基含有化合物を、品質を低下させることなく長期間安定に保存する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記目的を達成するため鋭意検討の結果、トリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物には複数種の結晶形が存在し、そのうち特定の結晶形が他の結晶形と比較して極めて安定であり、その結晶形で長期間保存した場合には色相の劣化が見られないことを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、トリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物の結晶形であって、熱重量−示差熱分析において、溶融吸熱極大を示すとともに、前記溶融吸熱極大よりも走査温度の低い領域で発熱極大を示さないことを特徴とする実質的に結晶学的に純粋なトリブロモメチル基含有化合物の結晶形を提供する。
【0008】
前記トリブロモメチル基含有化合物には、トリブロモメチル基の隣接位に、置換又は無置換フェニレン基、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO−、−SOO−又は−SONH−基を有する化合物が含まれる。
【0009】
本発明は、また、トリブロモメチル基の隣接位に−CONH−基を有するトリブロモメチル基含有化合物の結晶形であって、赤外線吸収スペクトルにおいて1600〜1720cm−1の領域に複数個の吸収ピークが観測されることを特徴とする実質的に結晶学的に純粋なトリブロモメチル基含有化合物の結晶形を提供する。
【0010】
前記各結晶形において、トリブロモメチル基含有化合物には、例えば、下記式(1)
【化3】
Figure 2004182690
(式中、Aは2価の有機基、Rは1〜4価の有機基、nは1〜4の整数を示す)で表されるトリブロモアセチルアミノ基含有エステル化合物が含まれる。
【0011】
前記トリブロモメチル基含有化合物の分子量は、例えば500以上である。また、前記各結晶形には、熱重量−示差熱分析において、0〜190℃の温度領域で発熱極大を示さない結晶形が含まれる。また、前記トリブロモメチル基含有化合物として、下記式(1a)
【化4】
Figure 2004182690
で表される2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオン酸 3−[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシメチル]プロピルエステルが挙げられる。
【0012】
本発明は、さらに、CuKα線を特性X線とする粉末X線回折において、次のような誤差範囲±0.2の粉末X線回折値(2θ)を有する、実質的に結晶学的に純粋な2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオン酸 3−[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシメチル]プロピルエステルの結晶形を提供する。
Angle 2θ(°):約5.6,約6.7,約11.1
【0013】
本発明は、さらにまた、トリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物を前記の結晶形の形態で保存することにより経時的な色相の悪化を防止することを特徴とするトリブロモメチル基含有化合物の色相の悪化を防止する方法を提供する。
【0014】
本発明は、また、トリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物を2週間以上保存する方法であって、該トリブロモメチル基含有化合物を前記の結晶形の形態で保存することを特徴とするトリブロモメチル基含有化合物の保存方法を提供する。
【0015】
本明細書において、「実質的に結晶学的に純粋な」とは、分析上、他の結晶形が確認できないことを意味する。この場合、分析とは、熱重量−示差熱分析(TG−DTA)、赤外線吸収スペクトル法(IR)、及び粉末X線回折の少なくとも1つを意味する。
【0016】
【発明の実施の形態】
トリブロモメチル基(CBr)の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物(以下、単に「トリブロモメチル基含有化合物」と称することがある)は、二重結合の存在によって複数種の結晶形(結晶多形体)が存在しうる。これら複数の結晶形のうち、熱重量−示差熱分析において、溶融吸熱極大を示すとともに、前記溶融吸熱極大よりも走査温度の低い領域(例えば、0〜190℃)で発熱極大を示さない結晶形(以下、「結晶形A」と称することがある)は高い安定性を有し、長期間(例えば2週間以上、好ましくは1ヶ月以上)保存しても、色相の悪化や分解などが生じにくい。なお、結晶形Aは溶融吸熱極大とともに分解吸熱極大を示すことが多い。また、結晶形Aとしては、前記溶融吸熱極大よりも走査温度の低い領域(例えば、0〜190℃)で発熱極大及び吸熱極大の何れも示さないのが好ましい。
【0017】
これに対し、熱重量−示差熱分析において、溶融吸熱極大よりも走査温度の低い領域で発熱極大を示す結晶形は、長期間保存すると分解して種々の不純物が生成するとともに、次第に着色(例えば、黄色乃至褐色)が顕著となる。溶融吸熱極大よりも走査温度の低い領域(例えば、0〜190℃)で現れる発熱極大は結晶転移によるものと思われる。なお、前記不純物の生成は高速液体クロマトグラフィーにより確認できる。着色は臭素又は臭素化合物に起因するものと推測される。
【0018】
前記トリブロモメチル基含有化合物としては、トリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有する化合物であれば特に限定されないが、より具体的には、トリブロモメチル基の隣接位に、置換又は無置換フェニレン基、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO−、−SOO−又は−SONH−基を有している化合物、例えば、トリブロモメチルフェニル基含有化合物、トリブロモアセチルケトン化合物、トリブロモ酢酸エステル化合物、トリブロモ酢酸アミド化合物、トリブロモメチルスルホン化合物、トリブロモメタンスルホン酸エステル化合物、トリブロモメタンスルホン酸アミド化合物などが例示される。
【0019】
前記フェニレン基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル基などのC1−4アルキル基等)、ハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基などのC1−4ハロアルキル基等)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル基などのC1−10アシル基等)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基などのC1−4アルコキシ基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基などのC1−6アシルオキシ基等)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などのC2−7アルコキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基などのC6−15アリールオキシカルボニル基等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基などのC7−16アラルキルオキシカルボニル基等)、ニトロ基、シアノ基、置換又は無置換アミノ基(アミノ基;ジメチルアミノ基などのモノ又はジC1−4アルキルアミノ基等)、置換又は無置換カルバモイル基などが挙げられる。
【0020】
前記トリブロモメチル基含有化合物の代表的な例として、前記式(1)で表されるトリブロモアセチルアミノ基含有エステル化合物が挙げられる。式(1)中、Aにおける2価の有機基としては、2価の炭化水素基、2価の複素環式基、及びこれらが複数個結合した2価の基が挙げられる。2価の炭化水素基には、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、ジメチルメチレン、テトラメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基(炭素数1〜10程度のアルキレン基など);プロペニレン基などの直鎖状又は分岐鎖状アルケニレン基(炭素数2〜6程度のアルケニレン基など);シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、1,3−シクロペンチレン、1,3−シクロへキシレン基などの2価の脂環式炭化水素基(炭素数3〜15程度の2価の脂環式炭化水素基など);フェニレン基などのアリーレン基(炭素数6〜20程度のアリーレン基など);これらが2以上結合した2価の基などが含まれる。2価の複素環式基には、ピリジン−2,6−ジイル基などの酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から選択された少なくとも1種の複素原子を1〜4個有する3〜15員程度の2価の複素環式基などが含まれる。これらの炭化水素基、複素環式基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、炭素数1〜6程度のアルキル基、炭素数1〜6程度のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ部分の炭素数が1〜6程度のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換又は無置換アミノ基、置換又は無置換カルバモイル基、ニトロ基、シアノ基などが例示されるが、これらに限定されない。
【0021】
前記2価の有機基は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミノ基(−NR−)[Rは水素原子又は炭化水素基(メチル、エチル、プロピル基等のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基など)を示す。Rは該有機基を構成する原子と結合して環を形成していてもよい]、カルボニル基(−CO−)、アミド結合(−CONR−)[Rは前記に同じ]などの2価の基を1又は2以上含んでいてもよい。
【0022】
好ましい2価の有機基には、直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基(例えば炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基)、2価の脂環式炭化水素基、アリーレン基、これらが2以上結合した基などの2価の炭化水素基が含まれる。Aとしては、特に、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
【0023】
式(1)中、Rにおける1〜4価の有機基には炭素数は1〜30程度(好ましくは1〜20程度)の有機基が含まれる。このような有機基として、例えば、炭化水素基、複素環式基、これらが複数個結合した基などが挙げられる。炭化水素基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらが複数個結合した基などが挙げられる。これらの有機基は置換基を有していてもよい。また、前記有機基は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミノ基(−NR−)[Rは水素原子又は炭化水素基(メチル、エチル、プロピル基等のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基など)を示す。Rは該有機基を構成する原子と結合して環を形成していてもよい]、カルボニル基(−CO−)、アミド結合(−CONR−)[Rは前記に同じ]などを含んでいてもよい。
【0024】
前記式(1)で表されるトリブロモアセチルアミノ基含有エステル化合物は、下記式(2)
【化5】
Figure 2004182690
(式中、Xはハロゲン原子を示す。Aは前記に同じ)
で表されるトリブロモアセチルアミノ基含有カルボン酸ハライドと、下記式(3)
【化6】
Figure 2004182690
(式中、R及びnは前記に同じ)
で表されるヒドロキシ化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0025】
式(2)中、Xにおけるハロゲン原子には、塩素原子、臭素原子などが含まれる。式(2)で表される化合物の具体例として、2−トリブロモアセチルアミノ酢酸クロリド、2−トリブロモアセチルアミノプロピオン酸クロリド、2−トリブロモアセチルアミノ酪酸クロリド、2−トリブロモアセチルアミノイソ酪酸クロリド、2−トリブロモアセチルアミノペンタン酸クロリド、2−トリブロモアセチルアミノヘキサン酸クロリド、3−トリブロモアセチルアミノプロピオン酸クロリド、4−トリブロモアセチルアミノ酪酸クロリド、6−トリブロモアセチルアミノヘキサン酸クロリドなどが例示される。
【0026】
式(2)で表される化合物は、以下に示す反応工程式により製造することができる。すなわち、式(4)で表されるトリブロモ酢酸と式(5)で表されるハロゲン化チオニル等のハロゲン化剤とを反応させて、式(6)で表されるトリブロモ酢酸ハライドを得、このトリブロモ酢酸ハライドと式(7)で表されるアミノ基含有カルボン酸とを反応させて、式(8)で表されるトリブロモアセチルアミノ基を有するカルボン酸とし、次いで、これに式(9)で表されるハロゲン化チオニル等のハロゲン化剤を反応させることにより、式(2)で表されるトリブロモアセチルアミノ基を有するカルボン酸ハライドを得ることができる。式(5)で表されるハロゲン化チオニル等のハロゲン化剤と式(9)で表されるハロゲン化チオニル等のハロゲン化剤とは同一の化合物であってもよく、異なる化合物であってもよい。
【0027】
【化7】
Figure 2004182690
(式中、A、Xは前記に同じ)
【0028】
式(4)で表されるトリブロモ酢酸と式(5)で表されるハロゲン化チオニル等のハロゲン化剤との反応は、溶媒の存在下又は非存在下の何れで行ってもよい。溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、エーテルなどが挙げられる。ハロゲン化剤の使用量は、トリブロモ酢酸1モルに対して、例えば0.9〜2モル、好ましくは0.9〜1.5モル程度である。反応には、N,N−ジメチルホルムアミドなどの触媒を用いることもできる。反応温度は、通常10〜100℃、好ましくは40〜90℃程度である。反応終了後、反応で副生したハロゲン化水素及び二酸化硫黄、並びに反応溶媒を留去することにより、蒸留残渣として式(6)で表されるトリブロモ酢酸ハライドを得ることができる。トリブロモ酢酸ハライドは、必要に応じて、蒸留等によりさらに精製してもよい。
【0029】
式(6)で表されるトリブロモ酢酸ハライドと式(7)で表されるアミノ基含有カルボン酸との反応は塩基の存在下で行われる。反応は、通常、トリブロモ酢酸ハライドとアミノ基含有カルボン酸とを塩基の存在下で反応させてトリブロモアセチルアミノ基を有するカルボン酸の塩を生成させる工程(以下、第1工程と称する場合がある)と、該トリブロモアセチルアミノ基を有するカルボン酸の塩を酸により遊離化して2−トリブロモアセチルアミノ基を有するカルボン酸を生成させる工程(以下、第2工程と称する場合がある)とからなる。
【0030】
前記第1工程において、トリブロモ酢酸ハライドの使用量は、アミノ基含有カルボン酸1モルに対して、通常0.5〜2.0モル、好ましくは0.8〜1.5モル程度である。第1工程で用いられる塩基としては特に限定されないが、アルカリ金属含有塩基が好ましい。アルカリ金属含有塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。塩基(アルカリ金属含有塩基など)の使用量は、アミノ基含有カルボン酸に対して、通常0.8〜1.5当量、好ましくは0.9〜1.2当量程度である。
【0031】
トリブロモ酢酸ハライドとアミノ基含有カルボン酸との反応は通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、水、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、エステル、鎖状又は環状エーテル、ケトン、アミド又はウレア系溶媒、イオウ原子含有溶媒、これらの混合溶媒などが挙げられる。反応溶媒としては少なくとも水を用いるのが好ましい。反応は1層系、水層と有機層の2層系等の何れで行ってもよい。トリブロモ酢酸ハライドとアミノ基含有カルボン酸との反応の方式は、特に限定されないが、反応系の液性をpH10〜pH14の範囲内にコントロールできる方式(半回分式、連続式など)が好ましい。反応温度は、通常−20℃〜50℃程度、好ましくは−10℃〜40℃程度である。
【0032】
第2工程では、第1工程で生成した式(8)で表される化合物の塩(アルカリ金属塩など)を塩酸などの酸で処理して、式(8)で表されるトリブロモアセチルアミノ基を有するカルボン酸を生成させる。酸は、通常、第1工程の反応混合液、又はこれに希釈、濃縮、溶媒交換、分液等の処理を施した処理液に添加される。酸の添加により生成したトリブロモアセチルアミノ基を有するカルボン酸は、晶析、再結晶、リンス、リパルプ、抽出、共沸脱水、濃縮、乾燥、カラムクロマトグラフィーなどの分離精製手段、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
【0033】
式(8)で表されるトリブロモアセチルアミノ基を有するカルボン酸と式(9)で表されるハロゲン化チオニル等のハロゲン化剤との反応において、ハロゲン化剤の使用量は、トリブロモアセチルアミノ基を有するカルボン酸1モルに対して、好ましくは2モル以下(例えば0.9〜2モル)程度である。反応は溶媒の存在下又は非存在下の何れで行ってもよいが、操作性等の点からは溶媒中で行うのが好ましい。反応溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、鎖状又は環状エーテル、これらの混合溶媒などが挙げられる。反応には、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン等の触媒を用いてもよい。反応温度は、通常110℃以下(例えば、20〜80℃程度)であるが、反応温度を65℃以下(例えば、20〜65℃)にコントロールしつつ反応させるのが好ましい。反応は、回分式、半回分式、連続式の何れの方式で行うこともできる。反応終了後、反応で副生したハロゲン化水素及び二酸化硫黄、並びに反応溶媒(有機溶媒)を留去することにより、蒸留残渣として式(2)で表されるトリブロモアセチルアミノ基を有するカルボン酸ハライドを得ることができる。この化合物は、必要に応じて晶析、濾過、再結晶、蒸留、抽出、カラムクロマトグラフィーその他の方法により精製することもできる。
【0034】
前記式(3)で表されるヒドロキシ化合物には、アルコール及びフェノールが含まれる。アルコールの具体的な例として、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、デカノール、メトキシエタノール、シクロヘキシルアルコール、アダマンタノール、1,3−ジメチル−5−アダマンタノールなどの1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アダマンタンジオール、アダマンタントリオール、アダマンタンテトラオール、1,3−ジメチルアダマンタン−5,7−ジオールなどの多価アルコール(2価、3価、4価又はそれ以上の価数を有するアルコール)などが挙げられる。フェノールには、フェノールなどの1価フェノール、カテコールなどの多価フェノールが含まれる。これらの中でも特に多価アルコール等の多価ヒドロキシ化合物が好適である。
【0035】
式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応において、両者の使用割合は、一般には、前者/後者(当量比)=0.5〜2、好ましくは前者/後者(当量比)=0.75〜1.5程度である。反応は酸捕捉剤(塩基)の存在下で行われる。酸捕捉剤としては、反応により副生するハロゲン化水素等の酸を捕捉可能な化合物(塩基)であればよく、例えば、ピリジンなどの窒素原子含有芳香族複素環化合物、トリエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−5(DBU)などの第3級アミンなどが挙げられる。酸捕捉剤の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、通常0.5〜15モル、好ましくは0.8〜10モル程度である。反応は溶媒の存在下又は非存在下の何れで行ってもよいが、操作性等の点からは溶媒中で行うのが好ましい。反応溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、エステル、鎖状又は環状エーテル、ケトン、アミド又はウレア系溶媒、イオウ原子含有溶媒、これらの混合溶媒などが挙げられる。反応温度は、通常50℃以下(例えば−20℃〜50℃程度)、好ましくは−20℃〜10℃程度である。反応は、回分式、半回分式、連続式の何れの方式で行うこともできる。反応は水でクエンチすることにより終了する。
【0036】
反応終了後、反応混合液を、中和、希釈、濃縮、抽出、蒸留、晶析、再結晶、濾過、乾燥、カラムクロマトグラフィーなどの分離精製手段に付すことにより、式(1)で表される化合物を分離精製することができる。例えば、反応混合液に酸水溶液(塩酸など)を加えて中和した後、2層に分液して有機層に目的化合物を移行させ、必要であれば該有機層の溶媒を適当な溶媒に置換した後、晶析操作に付すことにより、式(1)で表される化合物を得ることができる。
【0037】
式(1)で表されるトリブロモアセチルアミノ基含有エステル化合物の代表的な例として、前記式(1a)で表される2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオン酸 3−[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシメチル]プロピルエステルが挙げられる。
【0038】
前記トリブロモメチル基含有化合物の分子量は、特に制限はないが、通常500以上(例えば、500〜3000程度)、好ましくは600以上(例えば、600〜2500程度)である。
【0039】
前記トリブロモメチル基含有化合物の複数の結晶形のうち結晶形Aと他の結晶形とは赤外線吸収スペクトル法によっても判別できる。特に、トリブロモメチル基含有化合物がトリブロモメチル基の隣接位に−CONH−基を有する化合物である場合には、結晶形によってカルボニル基の会合状態が異なるため、C=O伸縮振動に帰属される吸収帯に特徴が見られる。すなわち、結晶形Aでは、赤外線吸収スペクトルにおいて1600〜1720cm−1の領域に複数個(例えば、2又は3個)の吸収ピークが観測されるのに対し、結晶形A以外の結晶形では、1600〜1720cm−1の領域に1本の吸収しか観測されない。
【0040】
前記トリブロモメチル基含有化合物の複数の結晶形のうち結晶形Aと他の結晶形とは、また、粉末X線回折によっても判別できる。例えば、式(1a)で表される2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオン酸 3−[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシメチル]プロピルエステルは2つの結晶形を有するが、そのうち結晶形Aは、CuKα線を特性X線とする粉末X線回折において、以下のような誤差範囲±0.2の粉末X線回折値(2θ)を有する。
Angle 2θ(°):約5.6,約6.7,約11.1
【0041】
一方、式(1a)で表される化合物の2つの結晶形のうち結晶形Aとは異なる結晶形は、CuKα線を特性X線とする粉末X線回折において、以下のような誤差範囲±0.2の粉末X線回折値(2θ)を有する。
Angle 2θ(°):約7.3,約11.3
【0042】
前記トリブロモメチル基含有化合物の複数の結晶形のうち結晶形Aと他の結晶形とは、さらに固体NMR(CP−MAS法等)の測定によってもスペクトル上で容易に判別できる。さらに緩和時間(T)の測定を行うと、トリブロモメチル基の炭素原子の緩和時間(T)、及び該トリブロモメチル基の隣接位にカルボニル基を有する場合にはそのカルボニル基の炭素原子の緩和時間(T)が、結晶形Aでは結晶形A以外の結晶と比較して非常に長いという特徴がある。このことは、結晶形Aは他の結晶形と比較して、例えば水素結合性が高い状態で存在し、運動性が低いことを示しており、この結晶形Aが保存安定性に優れ、分解しにくいことと整合している。
【0043】
より具体的には、前記式(1a)で表される化合物の2つの結晶形のうち結晶形Aについて13C−固体NMR(CP−MAS法)を測定すると、トリブロモメチル基の炭素原子及び該トリブロモメチル基の隣接位のカルボニル基の炭素原子のケミカルシフトδ(ppm)と緩和時間(T)は以下の通りとなる。
Br:δ 36.37(T=10.73秒),37.42(T=8.23秒)
=O:δ 162.13(T=39.61秒),163.12(T=30.01秒)
【0044】
これに対し、式(1a)で表される化合物の2つの結晶形のうち結晶形A以外の結晶形の13C−固体NMR(CP−MAS法)を測定すると、トリブロモメチル基の炭素原子及び該トリブロモメチル基の隣接位のカルボニル基の炭素原子のケミカルシフトδ(ppm)と緩和時間(T)は以下の通りとなる。
Br:δ 37.19(T=6.16秒),38.39(T=3.36秒)
=O:δ 162.63(T=7.94秒)
【0045】
前記トリブロモメチル基含有化合物の結晶形Aは晶析(本明細書では再結晶を含む意味に用いる)によって得られる。晶析は、例えば、該トリブロモメチル基含有化合物を溶媒に加熱溶解させた状態から冷却する方法、該トリブロモメチル基含有化合物の溶液を濃縮する方法、該トリブロモメチル基含有化合物の良溶媒溶液に貧溶媒を添加する方法など、又はこれらの組み合わせにより実施できる。晶析溶媒としては、トリブロモメチル基含有化合物の種類によっても異なるが、一般に水素結合性の低い溶媒、特にアセトニトリルなどのニトリル系、トルエンなどの芳香族系化合物が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを組み合わせて使用するのも好ましい。
【0046】
良溶媒と貧溶媒の組み合わせの例として、例えば、(i)水溶性有機溶媒(良溶媒)と水(貧溶媒)との組み合わせ、(ii)極性有機溶媒(比較的親水性の高い有機溶媒)(良溶媒)と非極性有機溶媒(疎水性有機溶媒)(貧溶媒)との組み合わせなどが挙げられる。前記(i)における水溶性有機溶媒として、例えば、アセトニトリル等のニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、アセトン等のケトン、これらの混合溶媒などが例示される。(i)の場合における水溶性有機溶媒の使用量は、トリブロモメチル基含有化合物100重量部に対して、10〜10000重量部程度であり、水の使用量は水溶性有機溶媒100重量部に対して10〜300重量部、好ましくは20〜200重量部程度である。前記(ii)における極性有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル等のエステル、ジエチルエーテル等のエーテルなどが挙げられ、非極性有機溶媒としては、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。この場合、極性有機溶媒の使用量は、トリブロモメチル基含有化合物100重量部に対して、10〜10000重量部程度であり、非極性有機溶媒の使用量は、極性溶媒100重量部に対して、10〜5000重量部、好ましくは10〜1000重量部程度である。
【0047】
晶析する際の溶液中のトリブロモメチル基含有化合物の濃度は、トリブロモメチル基含有化合物の種類及び溶媒の種類によっても異なるが、通常10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%程度である。トリブロモメチル基含有化合物の溶解温度は、室温〜溶媒の還流温度であり、好ましくは40〜60℃程度である。晶析温度は、−30℃〜50℃程度、好ましくは0〜30℃程度である。溶液を冷却する際、直線的に冷却してもよいし、一定温度で所定の時間撹拌するという操作を繰り返しながら段階的に冷却してもよい。
【0048】
晶析は撹拌下に行ってもよい。撹拌翼としては、例えば、プロペラ型、ファウドラー型などを使用できる。撹拌速度は一般に0〜500rpmであり、晶析の過程で変化させてもよい。
【0049】
実質的に結晶学的に純粋な前記トリブロモメチル基含有化合物の結晶形Aは、晶析に際し、溶媒の種類、2種以上の溶媒の組み合わせ(種類、混合比、添加順序)、析出方法、溶解温度、晶析温度、溶液の冷却速度、晶析時間、晶析時の撹拌速度や静置時間などを適宜選択することにより取得できる。例えば、実質的に結晶学的に純粋な式(1a)で表される化合物の結晶形Aは、反応により得た式(1a)で表される化合物を、水、アセトン、トルエンなどの溶媒を用いた晶析操作に1〜5回付した後、得られた結晶を50℃程度のアセトニトリル等の水溶性有機溶媒に溶解し、この溶液を前記水溶性有機溶媒と同量程度の水中に、50℃程度の温度に維持しながら、緩やかな撹拌下に1時間程度かけて滴下し、0.5〜2時間かけて約30℃まで徐々に(或いは段階的に)冷却し、撹拌速度を徐々に遅くし、同温度で3時間ほど静置することにより得ることができる。晶析後は、例えば遠心分離、濾過等により溶媒を除去し、減圧乾燥、熱風乾燥等により乾燥して所望の結晶が得られる。晶析に付す化合物は、任意の結晶形(例えば、前記結晶形A以外の結晶形)を持つ結晶や非晶質、又はこれらの混合物等の何れであってもよい。晶析の際、結晶形Aを種晶として用いることもできる。
【0050】
こうして得られる本発明の実質的に結晶学的に純粋なトリブロモメチル基含有化合物の結晶形(結晶形A)は、他の結晶形に比べて安定性が著しく高く、長期間(例えば、室温で2週間以上、さらには室温で1ヶ月以上)保存しても、分解等に起因する色相の悪化や純度の低下がほとんど無く、一定の品質を長期間保持できる。
【0051】
本発明のトリブロモメチル基含有化合物の色相の悪化を防止する方法においては、トリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物を前記結晶形Aの形態で保存することにより該化合物の経時的な色相の悪化(着色の増大)を防止する。また、本発明のトリブロモメチル基含有化合物の保存方法においては、トリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物を上記結晶形Aの形態で2週間以上保存する。これらの方法は、トリブロモメチル基含有化合物の色相や純度の経時的な劣化を効果的に抑制できるため、品質面のみならず、取扱性や生産計画の立てやすさなどの点からも工業的に極めて有利である。なお、結晶の保存は室温以下(例えば30℃以下)の温度で、遮光下に行うのが好ましい。
【0052】
本発明のトリブロモメチル基含有化合物の結晶形は、難燃剤、医薬、農薬、写真薬、感光剤等の精密化学品又はその合成中間体などとして使用できる。
【0053】
【発明の効果】
本発明のトリブロモメチル基含有化合物の結晶形によれば、極めて安定であり長期間保存しても着色が増大しない。
本発明のトリブロモメチル基含有化合物の色相の悪化を防止する方法によれば、該トリブロモメチル基含有化合物の色相の経時的な悪化を効果的に抑制できる。
本発明のトリブロモメチル基含有化合物の保存方法によれば、該トリブロモメチル基含有化合物を品質を低下させることなく長期間安定に保存できる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、熱重量−示差熱分析(TG−DTA)、赤外線吸収スペクトルの測定、粉末X線回折の測定及び13C−固体NMR(CP−MAS法)の測定は以下の装置及び条件で行った。
【0055】
(熱重量−示差熱分析)
装置:TG/DTA6300(セイコーインスツルメンツ社製)
温度条件:25℃(0分)→20℃/分→550℃
試料容器:Al密封容器
雰囲気:N、300ml/分
サンプリングタイム:0.5秒
【0056】
(赤外線吸収スペクトル)
装置:MAGNA−IR 860(ニコレ社製)
測定方法:KBr ディスク法
ディスク:3mmφ
【0057】
(粉末X線回折)
装置:RINT−1500(理学電気工業株式会社製)
特性X線:CuKα線(モノクロメーター使用)
管電流/管電圧:40kV/50mA
検出器:比例計数管
走査速度:4°/分
走査範囲:2θ=3°〜50°
スリット系:発散スリット;1°、散乱スリット;1°、受光スリット;0.3mm
【0058】
13C−固体NMR)
装置:INOVA 400(Varian社製)
【0059】
製造例1
2−アミノイソ酪酸100g(0.97モル)と等モル量のトリブロモ酢酸クロライド(アルドリッチ社製)とを水酸化ナトリウム水溶液中で混合し、0〜20℃の範囲で温度管理しながら1時間撹拌して反応させた後、酸析、乾燥を経て、2−トリブロモアセチルアミノイソ酪酸の固体354gを得た。
[2−トリブロモアセチルアミノイソ酪酸のスペクトルデータ]
H−NMR(500MHz, DMSO−d6) δ:1.40(s, 6H, CH), 8.60(s, 1H, NH), 12.70(brs, 1H, COOH)
【0060】
製造例2
2−トリブロモアセチルアミノイソ酪酸の固体200g(0.52モル)と等モル量の塩化チオニルとを、触媒量のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の存在下、トルエン中で混合し、40〜80℃の範囲で温度管理しながら2時間撹拌した。反応混合液からトルエンを留去し、アセトニトリルを加えて、2−トリブロモアセチルアミノイソ酪酸クロリドを20重量%含むアセトニトリル溶液998gを得た。
[2−トリブロモアセチルアミノイソ酪酸クロリドのスペクトルデータ]
H−NMR(500MHz, DMSO−d6) δ:1.59(s, 6H, CH), 7.25(s, 1H, NH)
【0061】
実施例1
下記式(2a)
【化8】
Figure 2004182690
で表される2−トリブロモアセチルアミノイソ酪酸クロリドを20重量%(=0.20モル)含有するアセトニトリル溶液400gに、下記式(3a)
【化9】
Figure 2004182690
で表されるペンタエリスリトール5.7g(0.04モル)、DBU15.8g(0.1モル)、ピリジン25.3g(0.32モル)の混合液を1時間かけて加え、5℃で1時間撹拌した。反応混合液に過剰量の水を加えて析出した固体を濾取し、トルエンで再結晶したところ、下記式(1a)
【化10】
Figure 2004182690
で表される2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオン酸 3−[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシメチル]プロピルエステルを60.6g得た。
[式(1a)で表される化合物のスペクトルデータ]
H−NMR(500MHz, CDCl) δ:1.62(s, 24H, CH), 4.25(s, 8H, CH), 7.30(s, 4H, NH)
こうして得られた式(1a)で表される化合物50gをアセトンで2回、トルエンで1回再結晶した後、アセトニトリル250gに溶解し、50℃で1時間撹拌した。この溶液の温度を50℃に維持しながら、1時間かけて水250gを滴下した。この間、ファウドラー型撹拌翼を用いて回転数を150rpmに維持しながら撹拌を継続した。混合液を下記の温度プロファイルに沿って段階的に冷却した。
Figure 2004182690
冷却後、撹拌翼の回転数を段階的に減少させ、1時間かけて撹拌を停止した。混合液を30℃で3時間静置し、析出した結晶を濾取し、乾燥して、前記式(1a)で表される化合物の結晶(白色結晶)(以下、「結晶a」と称することがある)を45g得た。
【0062】
比較例1
前記式(2a)で表される2−トリブロモアセチルアミノイソ酪酸クロリドを20重量%(=20ミリモル)含有するアセトニトリル溶液40gに、前記式(3a)で表されるペンタエリスリトール0.5g(3.7ミリモル)、DBU1.5g(9.6ミリモル)、ピリジン2.3g(29.6ミリモル)の混合液を1時間かけて加え、5℃で1時間撹拌した。反応混合液に過剰量の水を加えて析出した固体を濾取し、トルエンで再結晶したところ、前記式(1a)で表される2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオン酸 3−[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシメチル]プロピルエステルを4.1g得た。
これをアセトン400gに溶解し、30℃に維持しながら、水400gを加えて撹拌した。析出した固体を濾取し、乾燥して、前記式(1a)で表される化合物の結晶(白色結晶)(以下、「結晶b」と称することがある)を3.5g得た。
【0063】
結晶の分析
実施例1で得られた結晶a及び比較例1で得られた結晶bについて、熱重量−示差熱分析、赤外線吸収スペクトルの測定、粉末X線回折の測定及び13C−固体NMRの測定を行った。
【0064】
(熱重量−示差熱分析)
結晶aの熱重量−示差熱分析の測定結果を図1に、結晶bの熱重量−示差熱分析の測定結果を図2に示す。その結果は以下に要約される。
結晶a:走査温度約193℃に溶融吸熱極大と走査温度約288℃に分解吸熱極大を示し、前記溶融吸熱極大よりも走査温度の低い領域で発熱極大を示さない。
結晶b:走査温度約139℃に転移発熱極大、走査温度約192℃に溶融吸熱極大、走査温度約289℃に分解吸熱極大を示す。
【0065】
(赤外線吸収スペクトル)
結晶aの赤外線吸収スペクトルを図3及び図4に、結晶bの赤外線吸収スペクトルを図5及び図6に示す。2つの結晶の主な吸収を対比させると以下の通りである。
【0066】
【表1】
Figure 2004182690
【0067】
(粉末X線回折)
結晶aの粉末X線回折パターンを図7に、結晶bの粉末X線回折パターンを図8に示す。主な回折値(相対強度20%以上のもの)を以下に示す。
【0068】
【表2】
Figure 2004182690
【0069】
13C−固体NMR)
結晶aの13C−固体NMRスペクトルを図9に、結晶bの13C−固体NMRスペクトルを図10に示す。
【0070】
以上の分析結果より、実施例1で得られた結晶aは結晶形Aに属し、比較例1で得られた結晶bは結晶形A以外の結晶形に属する。
【0071】
評価試験
実施例1で得られた結晶a及び比較例1で得られた結晶bを、それぞれ表3に示す条件で保存し、安定性を評価した。その結果を表3に示す。表3より明らかなように、前記式(1a)で表される化合物の結晶形A(結晶a)は、他の結晶形(結晶b)と比較して、保存安定性に著しく優れる。
【0072】
【表3】
Figure 2004182690

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた結晶aの熱重量−示差熱分析のTG−DTA曲線である。
【図2】比較例1で得られた結晶bの熱重量−示差熱分析のTG−DTA曲線である。
【図3】実施例1で得られた結晶aの赤外線吸収スペクトルである。
【図4】実施例1で得られた結晶aの赤外線吸収スペクトルである。
【図5】比較例1で得られた結晶bの赤外線吸収スペクトルである。
【図6】比較例1で得られた結晶bの赤外線吸収スペクトルである。
【図7】実施例1で得られた結晶aの粉末X線回折パターンである。
【図8】比較例1で得られた結晶bの粉末X線回折パターンである。
【図9】実施例1で得られた結晶aの13C−固体NMRスペクトルである。
【図10】比較例1で得られた結晶bの13C−固体NMRスペクトルである。

Claims (10)

  1. トリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物の結晶形であって、熱重量−示差熱分析において、溶融吸熱極大を示すとともに、前記溶融吸熱極大よりも走査温度の低い領域で発熱極大を示さないことを特徴とする実質的に結晶学的に純粋なトリブロモメチル基含有化合物の結晶形。
  2. トリブロモメチル基含有化合物が、トリブロモメチル基の隣接位に、置換又は無置換フェニレン基、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO−、−SOO−又は−SONH−基を有している請求項1記載のトリブロモメチル基含有化合物の結晶形。
  3. トリブロモメチル基の隣接位に−CONH−基を有するトリブロモメチル基含有化合物の結晶形であって、赤外線吸収スペクトルにおいて1600〜1720cm−1の領域に複数個の吸収ピークが観測されることを特徴とする実質的に結晶学的に純粋なトリブロモメチル基含有化合物の結晶形。
  4. トリブロモメチル基含有化合物が、下記式(1)
    Figure 2004182690
    (式中、Aは2価の有機基、Rは1〜4価の有機基、nは1〜4の整数を示す)で表される化合物である請求項1〜3の何れかの項に記載のトリブロモメチル基含有化合物の結晶形。
  5. トリブロモメチル基含有化合物の分子量が500以上である請求項1〜4の何れかの項に記載のトリブロモメチル基含有化合物の結晶形。
  6. 熱重量−示差熱分析において、0〜190℃の温度領域で発熱極大を示さない請求項1〜5の何れかの項に記載のトリブロモメチル基含有化合物の結晶形。
  7. トリブロモメチル基含有化合物が、下記式(1a)
    Figure 2004182690
    で表される2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオン酸 3−[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシメチル]プロピルエステルである請求項1〜6の何れかの項に記載のトリブロモメチル基含有化合物の結晶形。
  8. CuKα線を特性X線とする粉末X線回折において、次のような誤差範囲±0.2の粉末X線回折値(2θ)を有する、実質的に結晶学的に純粋な2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオン酸 3−[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−メチル−2−(2,2,2−トリブロモアセチルアミノ)プロピオニルオキシメチル]プロピルエステルの結晶形。
    Angle 2θ(°):約5.6,約6.7,約11.1
  9. トリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物を請求項1〜8の何れかの項に記載の結晶形の形態で保存することにより経時的な色相の悪化を防止することを特徴とするトリブロモメチル基含有化合物の色相の悪化を防止する方法。
  10. トリブロモメチル基の隣接位に二重結合を有するトリブロモメチル基含有化合物を2週間以上保存する方法であって、該トリブロモメチル基含有化合物を請求項1〜8の何れかの項に記載の結晶形の形態で保存することを特徴とするトリブロモメチル基含有化合物の保存方法。
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