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JP2004179160A - リチウム−硫黄電池用正極 - Google Patents

リチウム−硫黄電池用正極 Download PDF

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JP2004179160A JP2003386584A JP2003386584A JP2004179160A JP 2004179160 A JP2004179160 A JP 2004179160A JP 2003386584 A JP2003386584 A JP 2003386584A JP 2003386584 A JP2003386584 A JP 2003386584A JP 2004179160 A JP2004179160 A JP 2004179160A
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Abstract

【課題】 リチウム−硫黄電池用正極の硫黄の電気化学的酸化還元反応への参与率を向上させる。
【解決手段】 リチウム−硫黄電池用正極に,無機硫黄(S),硫黄系列化合物及びこれらの混合物からなる正極活物質と,導電剤と,バインダーと,粒度D(v,50%)が5000nm以下である電解液に不溶性の無機添加剤と,を含むようにした。このとき,上記無機添加剤は,金属酸化物,金属硫化物またはこれらの混合物からなり,更に上記無機添加剤の金属は,V,Al,Zr及びTiからなる群より選択される一つ以上の金属からなるようにした。または,上記無機添加剤は,V,ZrO,TiSからなる群より選択される一つ以上の化合物からなるようにした。
【選択図】 図2

Description

本発明は,リチウム−硫黄電池用正極にかかり,さらに詳しくは寿命特性に優れたリチウム−硫黄電池用正極に関する。
携帯電子機器などの発展により,軽くて高容量の電池に対する要求がますます増加している。このような要求を満足させる二次電池として,硫黄系物質を正極活物質として用いるリチウム−硫黄電池に関する開発が活発に行われている。
リチウム−硫黄電池は,硫黄−硫黄結合(S−S結合)を有する硫黄系列化合物を正極活物質として用い,リチウムのようなアルカリ金属,またはリチウムイオンなどのような金属イオンの挿入/離脱が起こる炭素系物質を負極活物質として用いる二次電池である。このようなリチウム−硫黄電池は,還元反応時(放電時)にはS−S結合が切れながら硫黄Sの酸化数が減少し,酸化反応時(充電時)には硫黄Sの酸化数が増加しながらS−S結合が再び形成される酸化−還元反応を利用して電気的エネルギーを保存及び放出する。
リチウム−硫黄電池は,負極活物質としてリチウム金属を用いる場合エネルギー密度が3830mAh/gであり,正極活物質として硫黄を用いる場合エネルギー密度が1675mAh/gであるため,現在までに開発されている電池の中でエネルギー密度面では最も有望な電池である。また,正極活物質として用いられる硫黄系物質は値段が安くて環境親和的な物質であるという長所もある。
しかし,まだリチウム−硫黄電池システムとして商品化に成功した例は実際にないのが実情である。リチウム−硫黄電池が商品化できない理由としては,硫黄を活物質として用いた場合,利用率,即ち投入された硫黄の量に対する電池内の電気化学的酸化還元反応に参与する硫黄の量が低く,電池容量が理論容量と異なり実際にはきわめて低い電池容量を示すからである。
したがって,電気化学的酸化還元反応を増加させて容量を増加させるための研究が進められている。
従来のリチウム−硫黄電池としては,例えば,添加剤としてVを正極に用いて電気化学的酸化還元反応を増加させて容量を増加させたもの(例えば,特許文献1,2参照。)や,Alを正極に用いて容量を増加させたもの(例えば,特許文献3,4,5参照。)が開示されている。また,1000nm以下の酸化バナジウムを正極活物質として用いるリチウム−硫黄電池(例えば,特許文献6参照。)も開示されている。更に,アルミナを乾燥剤として含む正極(例えば,特許文献7参照。)や,0.5ミクロンの粒子サイズを有するアルミナを使用した固体電解質(例えば,特許文献8参照。)なども開示されている。
米国特許第6,238,821号明細書 米国特許第6,210,831号明細書 米国特許第6,238,821号明細書 米国特許第6,406,814号明細書 米国特許第6,210,831号明細書 米国特許第6,130,007号明細書 米国特許第5,474,858号明細書 米国特許第5,360,686号明細書
しかし,上記特許文献に記載されている発明はいずれも,電池の容量を増加させるという観点において満足する程度の効果は得られていない,という問題点があった。また,上記特許文献6の発明においては,適切な容量及び寿命特性が得られていなかった。更に,特許文献8の発明においては,アルミナは電解質の機械的強度を増加させるために用いられており,電池の内部抵抗を減少させるために用いられる旨の記載はされていない。このように,従来のリチウム−硫黄電池は電池容量を十分に増加させることができていなかった。
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,硫黄の電気化学的酸化還元反応への参与率が向上されたリチウム−硫黄電池用正極を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,無機硫黄(Elemental Sulfur:S),硫黄系列化合物及びこれらの混合物からなる正極活物質と,導電剤と,バインダーと,粒度D(v,50%)が5000nm以下である電解液に不溶性である無機添加剤と,を含むリチウム−硫黄電池用正極が提供される。
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,無機硫黄,硫黄系列化合物及びこれらの混合物からなる正極活物質と,導電剤と,バインダーと,金属酸化物または金属硫化物を含む無機添加剤とを含むこと,を特徴とするリチウム−硫黄電池用正極が提供される。
更に,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,無機硫黄,硫黄系列化合物及びこれらの混合物からなる正極活物質と,導電剤と,バインダーと,粒度D(v,50%)が5000nm以下であるV無機添加剤と,を含むことを特徴とするリチウム−硫黄電池用正極提供される。
本明細書における粒度D(v,50%)とは,粒径が0.1,0.2,0.3,・・・3,5,7,・・・10,20,30μmのような様々な粒子が分布している活物質粒子を体積比で50%まで粒子を累積させた時の粒子サイズを意味する。即ち,ある粒径より大きい紛体粒子の全紛体量に対する質量百分率が50%となるときの粒径を粒度D(v,50%)とする。このとき,上記リチウム−硫黄電池の無機添加剤は,粒度D(v,50%)値が小さいほどイオン伝導度が向上するという効果を奏すため,粒度D(v,50%)値は小さいほど良い。一方,粒度D(v,50%)値が大きくなると製造された正極の表面粗度Ra値が大きくなってしまい,正極表面の平坦性が悪くなり,電池の容量及び寿命,特に寿命特性が劣化して好ましくない。
このような本発明にかかるリチウム−硫黄電池用正極によれば,特定粒度の添加剤を添加することによって正極表面の粗度を調節することができるので,リチウム−硫黄電池用正極の寿命特性を向上させることができる。上記添加剤の粒度を調節することにより正極の平均表面粗度であるRa値を低くすれば,正極とセパレータの界面抵抗が減少し,結果的に電池の内部抵抗が減少して優れた性能の電池が得られる。すなわち,本発明にかかるリチウム−硫黄電池用正極を用いれば,容量特性に優れ,寿命が向上されたリチウム−硫黄電池を提供することができる。
そして,上記無機添加剤には,金属酸化物,金属硫化物またはこれらの混合物を用いることができ,用いる金属の種類によって正極の粒度を最適に調節することができる。無機添加剤の金属としてV,Al,Zr及びTiからなる群より選択される一つ以上の金属を用いることができ,この場合,添加剤の粒度D(v,50%)は5000nm以下であることが好ましい。
また,上記無機添加剤には,V,ZrO,TiSからなる群より選択される一つ以上の化合物を用いることもできる。即ち,これらの化合物は上記無機添加剤の金属酸化物または金属硫化物としての好ましい例であり,この場合にも粒度D(v,50%)は5000nm以下であることが好ましい。
上記無機添加剤の粒度D(v,50%)は,1〜5000nmであることが望ましく,更に5〜4000nmであることが望ましく,更に10〜3000nmであることが最も望ましい。
また,上記無機添加剤の添加量は,1〜50重量%であることが望ましく,更に2〜25重量%であることが望ましく,更に3〜20重量%であることが最も望ましい。このような無機添加剤の添加量によっても正極のイオン伝導度及び表面粗度を調節することができる。
また,上記無機添加剤には,Alを用いることもできる。Alは上記無機添加剤の金属酸化物としての好ましい例であり,この場合,Alの粒度D(v,50%)は,35000nm以下であることが望ましく,更に1〜35000nmであることが望ましく,更に3〜10000nmであることがより望ましく,5〜5000nmであることが最も望ましい。
また,上記正極活物質の硫黄系列化合物は,LiSn(n≧1),有機硫黄化合物,及び炭素−硫黄ポリマー((C:x=2.5〜50,n≧2)からなる群より選択されることが望ましい。
上記リチウム−硫黄電池用正極は,コーティング層をさらに含み,このコーティング層は高分子,無機物又は有機物からなる群より選択されることが望ましい。上記コーティング層の高分子は,ポリフッ化ビニリデン,ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー,ポリ(ビニルアセテート),ポリ(ビニルブチラル−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート),ポリ(メチルメタクリレート−コ−アクリル酸エチル),ポリアクリロニトリル,ポリ塩化ビニルコ−ビニルアセテート,ポリビニルアルコール,ポリ(1−ビニルピロリドン−コ−ビニルアセテート),セルロースアセテート,ポリビニルピロリドン,ポリアクリレート,ポリメタクリレート,ポリオレフィン,ポリウレタン,ポリビニルエーテル,アクリロニトリル−ブタジエンラバー,スチレン−ブタジエンラバー,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン,スルホネイテッドスチレン/エチレンブチレン/スチレントリブロックコポリマー,ポリエチレンオキシド及びこれらの混合物からなる群より選択されるのが好ましい。また,上記コーティング層の無機物は,コロイダルシリカ,非晶質シリカ,表面処理されたシリカ,コロイダルアルミナ,非晶質アルミナ,酸化錫,酸化チタン,硫化チタニウム,酸化バナジウム,酸化ジルコニウム,酸化鉄,硫化鉄,チタン酸鉄,チタン酸バリウム及びこれらの混合物からなる群より選択されるのが好ましい。そして,上記コーティング層の有機物は,導電性カーボンであることが好ましい。
本発明によれば,特定粒度を有する無機添加剤を含むことにより,イオン伝導度が高く,極板粗度が低いリチウム−硫黄電池用正極を提供できるものである。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本実施形態にかかるリチウム−硫黄電池用正極は,特定粒度を有する電解液に溶解しない無機添加剤を使用することにより寿命特性を向上させることができる。
本実施形態にかかるリチウム−硫黄電池用正極は,無機硫黄(S),硫黄系列化合物及びこれらの混合物からなる正極活物質と,導電剤と,バインダーと,電解液に不溶性の無機添加剤と,を含む。
上記電解液に溶解されない無機添加剤は,特定粒度を有し,金属酸化物,金属硫化物またはこれらの混合物を用いることができる。上記無機添加剤の金属としてはV,Al,ZrまたはTiが望ましい。更に,この金属の酸化物または硫化物の好ましい例としては,V,Al,ZrO,またはTiSがある。
ここで,上記無機添加剤の好ましい粒度は用いられる金属の種類,つまり,無機添加剤の種類によって異なり,V,Al,ZrO,またはTiSを用いる場合には粒度D(v,50%)値が5000nm以下,好ましくは1〜5000nm,さらに好ましくは5〜4000nm,最も好ましくは10〜3000nmである。
本明細書における粒度D(v,50%)とは,粒径が0.1,0.2,0.3,・・・3,5,7,・・・10,20,30μmのような様々な粒子が分布している活物質粒子を体積比で50%まで粒子を累積させた時の粒子サイズを意味する。即ち,ある粒径より大きい紛体粒子の全紛体量に対する質量百分率が50%となるときの粒径を粒度D(v,50%)とする。このとき,上記リチウム−硫黄電池の無機添加剤は,粒度D(v,50%)値が小さいほどイオン伝導度が向上するという効果を奏すため,粒度D(v,50%)値は小さいほど良い。一方,粒度D(v,50%)値が上記範囲を外れる場合には製造された正極の表面粗度Ra値が大きくなってしまい,正極表面の平坦性が悪くなり,電池の容量及び寿命,特に寿命特性が劣化して好ましくない。
上記無機添加剤の粒度は,円筒型胴内に粉砕媒体を入れて胴体を回転させることにより粉砕するボールミルによるボールミル工程のような機械的混合(mechanically mixing)工程で調節することができる。これをより詳しく説明すれば,金属酸化物または金属硫化物をジルコニアボール及び溶媒を利用して3〜24時間粉砕し粒度を調節する。この粉砕工程の実施時間が3時間未であると所望の粒度を有する添加剤が得られなくなる。一方,粉砕工程を24時間実施すれば所望の粒度を有する添加剤を得るのに充分である。また,24時間を超えて実施しても,それ以上粒度は小さくならないので24時間以上実施する必要はない。上記溶媒としては,金属酸化物や金属硫化物とは反応せずにボールミル工程が円滑に起こる一般的にボールミル工程で用いられる溶媒であればいずれも用いることができ,その代表的な例として,イソプロピルアルコール,エチルアルコールまたはメチルアルコールがある。
このような粒度を有する金属酸化物,金属硫化物またはこれらの混合物を添加剤として用いて正極を製造すれば,平均表面粗度であるRa値が5μm以下にまで低くなり,これにより正極とセパレータの界面抵抗が減少し,結果的に電池の内部抵抗が減少して優れた性能の電池が得られる。
つまり,本発明は特定粒度を有する無機添加剤を正極に添加して電池性能を向上させるためのものであって,このように添加剤の粒度による電池効果に対する研究はいままで行われていなかった。例えば,特許文献1,2にはVを正極に用いる内容が記載されており,特許文献3〜5にはAlを正極に用いる内容が記載されているが,これらの発明にはV及びAlの粒度調節に関する内容が全く記載されていない。また,特許文献6には1000nm以下の酸化バナジウムを正極活物質として用いる内容が記載されているが,この場合,適切な容量及び寿命特性が得られなかった。また,特許文献7にはアルミナを乾燥剤として含む正極が記述されているが,この特許にもアルミナの粒度値に関する内容は全く言及されていない。また,特許文献8には0.5ミクロンの粒子サイズを有するアルミナを使用した固体電解質が記載されているが,アルミナは電解質の機械的強度を増加させるために用いられただけであり,アルミナが電池の内部抵抗を減少させるという内容は全く言及されていないので本発明の効果が得られない。
結果的に,従来の発明には本願発明のように特定粒度を有する添加剤を正極に使用して電池の内部抵抗を減少させて電池性能を向上させる本願発明の特徴が記載されておらず,したがって,本願発明の効果を得ることはできない。
上記リチウム−硫黄電池用正極の正極活物質としては,無機硫黄(Elemental Sulfur,S),硫黄系列化合物またはこれらの混合物を用いることができる。上記正極活物質の硫黄系列化合物は,LiSn(n≧1),有機硫黄化合物,及び炭素−硫黄ポリマー((C:x=2.5〜50,n≧2)からなる群より選択されるものを用いることができる。
上記リチウム−硫黄電池用正極の導電剤は,電子が正極活物質内で円滑に移動するようにするための電気伝導性導電剤であって,このような導電剤としては特に限定しないが,黒鉛系列又はカーボン系列物質のような導電性物質または導電性高分子(導電性ポリマー)を用いることができる。上記黒鉛系列物質としては,例えばKS6(TIMCAL社)があり,上記カーボン系列物質としては,例えばSUPER P(MMM社),ケッチェンブラック,デンカブラック,アセチレンブラック,カーボンブラックなどがある。上記導電性高分子としては,例えばポリアニリン,ポリチオフェン,ポリアセチレン,ポリピロールのような電導性高分子を単独または混合して用いることができる。
上記リチウム−硫黄電池用正極のバインダーとしては,正極活物質を集電体によく付着させることができるバインダーとして,例えば,ポリ(ビニルアセテート),ポリビニルアルコール,ポリエチレンオキシド,ポリビニルピロリドン,アルキレイテッドポリエチレンオキシド,架橋結合されたポリエチレンオキシド,ポリビニルエーテル,ポリ(メチルメタクリレート),ポリフッ化ビニリデン,ポリヘキサフルオロプロピレンとポリフッ化ビニリデンのコポリマー(商品名:Kynar),ポリ(アクリル酸エチル),ポリテトラフルオロエチレン,ポリ塩化ビニル,ポリアクリロニトリル,ポリビニルピリジン,ポリスチレン,これらの誘導体,混合物,コポリマー(共重合体)などを用いることができる。
本実施形態にかかるリチウム−硫黄電池用正極は,高分子,無機物,有機物またはこれらの混合物からなるコーティング層をさらに含むことができる。
上記コーティング層の高分子には,ポリフッ化ビニリデン,ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー,ポリ(ビニルアセテート),ポリ(ビニルブチラル−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート),ポリ(メチルメタクリレート−コ−アクリル酸エチル),ポリアクリロニトリル,ポリ塩化ビニル−コ−ビニルアセテート,ポリビニルアルコール,ポリ(1−ビニルピロリドン−コ−ビニルアセテート),セルロースアセテート,ポリビニルピロリドン,ポリアクリレート,ポリメタクリレート,ポリオレフィン,ポリウレタン,ポリビニルエーテル,アクリロニトリル−ブタジエンラバー,スチレン−ブタジエンラバー,アクリロニトリル−ブタジエンスチレン,スルホネイテッドスチレン/エチレン−ブチレン/スチレントリブロックコポリマー,ポリエチレンオキシド及びこれらの混合物からなる群より選択されるものを用いることができる。
上記コーティング層の無機物としては,コロイダルシリカ,非晶質シリカ,表面処理されたシリカ,コロイダルアルミナ,非晶質アルミナ,酸化錫,酸化チタン,硫化チタニウム,酸化バナジウム,酸化ジルコニウム,酸化鉄,硫化鉄,チタン酸鉄,チタン酸バリウム及びこれらの混合物からなる群より選択されるものを用いることができる。上記コーティング層の有機物としては,導電性カーボンを用いることができる。
本実施形態にかかるリチウム−硫黄電池用正極は,正極活物質,導電剤,バインダー及び電解液に溶解されない無機添加剤を溶媒中で混合してスラリー(懸濁液)を製造し,このスラリーを電流集電体に塗布する通常の方法で製造することができる。
本実施形態にかかるリチウム−硫黄電池は上述した正極を含み,さらに負極と電解液(電解質)を含む。
本実施形態にかかるリチウム−硫黄電池1の代表的な例を図4に示した。図4において,リチウム−硫黄電池は正極3,負極4及び正極3と負極4との間に挿入されたセパレータ2を含む。そして更に,正極3,負極4及びセパレータ2を収容する電池ケース5を含む。上記電解液は正極3と負極4の間に存在する。
上記負極の負極活物質としては,リチウムイオンを可逆的に挿入または脱離できる物質,リチウムイオンと反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質,リチウム金属,及びリチウム合金からなる群より選択されるものを用いることができる。
上記リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離できる物質としては,炭素系物質であって,リチウムイオン二次電池で一般に用いられる炭素系負極活物質はいずれも用いることができ,その代表的な例としては結晶質炭素,非晶質炭素,またはこれらを共に用いることができる。また,上記リチウムイオンと反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質の代表的な例としては,酸化錫,チタニウムナイトレート,シリコンなどがあるが,これに限られるわけではない。また,上記リチウム合金としては,リチウムとNa,K,Rb,Cs,Fr,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Ra,Al及びSnからなる群より選択される金属との合金を用いることができる。
上記リチウム−硫黄電池の負極としては,リチウム金属表面に無機質保護膜,有機質保護膜またはこれらが積層された物質を用いることもできる。上記無機質保護膜はMg,Al,B,Sn,Pb,Cd,Si,In,Ga,リチウムシリケート,リチウムボレート,リチウムホスフェート,リチウムホスホロナイトライド,リチウムシリコスルファイド,リチウムボロスルファイド,リチウムアルミノスルファイド及びリチウムホスホスルファイドからなる群より選択される物質からなる。上記有機質保護膜はポリ(p−フェニレン),ポリアセチレン,ポリ(p−フェニレンビニレン),ポリアニリン,ポリピロール,ポリチオフェン,ポリ(2,5−エチレンビニレン),アセチレン,ポリ(ペリナフタレン),ポリアセン,及びポリ(ナフタレン−2,6−ジイル)からなる群より選択される導電性を有するモノマー(単量体),オリゴマー(低重合体),または高分子からなる。
上記リチウム−硫黄電池の負極として用いることのできる物質の別の例を挙げる。リチウム−硫黄電池を充放電する過程で,正極活物質として用いられる活性硫黄が不活性物質に変化して,負極表面に付着することがある。このように活性硫黄が繰返して行なわれる電気化学的または化学的反応を経て正極の電気化学反応にそれ以上参与できなくなった状態の硫黄を,不活性硫黄と言う。上記リチウム負極表面に形成された不活性硫黄は,リチウム負極の保護膜として役割を果たす長所もある。したがって,リチウム金属とこのリチウム金属上に形成された不活性硫黄,例えば硫化リチウムを負極として用いることもできる。
上記リチウム−硫黄電池の電解液としては,電解塩と有機溶媒を含むものを用いることができる。
上記電解液の有機溶媒としては,単一溶媒を用いることもでき,2つ以上の混合有機溶媒を用いることもできる。2つ以上の混合有機溶媒を用いる場合,弱い極性溶媒群,強い極性溶媒群,及びリチウムメタル保護溶媒群のうちの二つ以上の溶媒を選択して用いるのが好ましい。
上記弱い極性溶媒とは,アリール化合物,二環式エーテル,非環式カーボネートの中で無機硫黄を溶解することができる誘電常数が15より小さい溶媒であると定義される。また,上記強い極性溶媒とは,二環式カーボネート,スルホキシド化合物,ラクトン化合物,ケトン化合物,エステル化合物,スルフェート化合物,硫酸化合物の中でリチウムポリスルファイドを溶解することができる誘電常数が15より大きい溶媒であると定義される。そして,上記リチウム保護溶媒とは,飽和エーテル化合物,不飽和エーテル化合物,N,O,Sが含まれたヘテロ環式化合物のような,負極のリチウム金属に安定的にSEIフィルム(Solid Electrolyte Interface:固体電解質界面)を形成することができる充放電サイクル効率が50%以上の溶媒であると定義される。
上記弱い極性溶媒の具体的な例としては,キシレン,ジメトキシエタン,2−メチルテトラヒドロフラン,ジエチルカーボネート,ジメチルカーボネート,トルエン,ジメチルエーテル,ジエチルエーテル,ジグライム,テトラグライムなどがある。
上記強い極性溶媒の具体的な例としては,ヘキサメチルリン酸トリアミド,ガンマ−ブチロラクトン,アセトニトリル,エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,N−メチルピロリドン,3−メチル−2−オキサゾリドン,ジメチルホルムアミド,スルホラン,ジメチルアセトアミド,ジメチルスルホキシド,ジメチルスルフェート,エチレングリコールジアセテート,ジメチルサルファイト,またはエチレングリコールサルファイトなどがある。
上記リチウム保護溶媒の具体的な例としては,テトラヒドロフラン,1,3−ジオキソラン,3,5−ジメチルイソキサゾ−ル,2,5−ジメチルフラン,フラン,2−メチルフラン,1,4−オキサン,4−メチルジオキソランなどがある。
上記電解液の電解質塩であるリチウム塩の具体的な例としては,リチウムトリフルオロメタンスルホンイミド(lithium trifluoromethansulfonimide),リチウムトリフレート(lithium triflate),過塩素酸リチウム(lithium perchlorate),LiPF,LiBFまたはテトラアルキルアンモニウム,例えばテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート,または常温で液状である塩,例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス−(パーフルオロエチルスルホニル)イミドのようなイミダゾリウム塩などを一つ以上用いることができる。
また,上記正極の無機添加剤は,上記リチウム−硫黄電池を所定の回数充放電した後,解体して分離された正極を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真において,その直径が,1〜5000nmであることが望ましく,更に2〜4000nmであることがより望ましく,そして3〜3000nmであることが最も望ましい。このとき,上記充放電は,充電率0.1〜2.0Cで充電し,放電率0.1〜2.0Cで放電を行うことが望ましく,更に充電率0.2〜1.0Cで充電し,放電率0.2〜1.0Cで放電を行うことがより望ましい。また,上記充放電は,充電速度0.1〜2.0mAh/cm及び放電速度0.2〜1.0mAh/cmで行われることが好ましい。また,上記充放電の回数は,1〜100回であることが望ましく,5〜100回であることがより望ましく,5〜20回であることが最も望ましい。そして,上記充放電を実施後,電池の状態は充電または放電された状態であることが好ましい。また,上記充放電を実施後,電池の状態は充電中または放電中であってもよい。また,上記充放電を実施後の電池の開路電圧(OCV)は,1.0〜4.5Vであることが望ましく,1.5〜3.0Vであることがより望ましい。
以下,本発明の好ましい実施例及び比較例について記載する。しかし,下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず,本発明が下記の実施例に限定されるわけではない。
(実施例1)
粉末をジルコニアボールとイソプロピルアルコール溶媒を利用して3時間粉砕し,80℃で乾燥して粒度D(v,50%)値が5000nmであるV添加剤を製造した。
製造されたV添加剤,無機硫黄粉末,炭素導電剤及びポリエチレンオキサイドバインダーを1:6:2:2の重量比でアセトニトリル溶媒中で混合して正極活物質スラリー(混濁液)を製造した。上記無機硫黄粉末はジルコニアボールとイソプロピルアルコール溶媒を利用して粉砕及び乾燥した粒度D(v,50%)5000nmであるものを用いた。
上記正極活物質スラリーを,炭素−コーティングされたAl電流集電体にコーティングしてリチウム−硫黄電池用正極を製造した。
(実施例2)
粉砕工程を6時間実施して粒度D(v,50%)が200nmであるV添加剤を製造したことを除いては上記実施例1と同一に実施した。
(実施例3)
粉砕工程を12時間実施して粒度D(v,50%)が50nmであるV添加剤を製造したことを除いては上記実施例1と同一に実施した。
(実施例4)
粉砕工程を24時間実施して粒度D(v,50%)が10nmであるV添加剤を製造したことを除いては上記実施例1と同一に実施した。
(実施例5)
粉砕工程を1時間実施して粒度D(v,50%)が30000nmであるV添加剤を製造したことを除いては上記実施例1と同一に実施した。
(実施例6)
粉砕工程を実施しなかった粒度D(v,50%)値が150000nmであるV添加剤を使用したことを除いては上記実施例1と同一に実施した。
(比較例1)
添加剤を使用しないことを除いては上記実施例1と同一に実施した。
<実験例1:Vの粒度D(v,50%)値によるイオンの伝導度の測定実験>
分子量5,000,000のポリエチレンオキシドをアセトニトリルに溶解し,この溶液にリチウム塩であるLiN(SOCFを,エチレンオキシド対Liのモル比が10対1になるように添加して溶解した。この溶液に上記実施例1〜7で製造されたV添加剤を,ポリエチレンオキシドとLiN(SOCFリチウム塩の混合全量に対して10重量%を添加し,2時間攪拌した。得られた溶液をキャスティングして高分子フィルム膜を製造し,イオン伝導度を測定した。その結果を下記表1に示した。
Figure 2004179160
表1のようにVを添加することによってイオン伝導度が増加しており,Vの粒度が小さいほどイオン伝導度の増加幅もさらに大きくなることが分かる。これはVのような無機添加剤が高分子の結晶化を抑制するためである。
また,Vの添加量によるイオン伝導度の増加を見てみた。この時,Vは粒度D(v,50%)値が10nmであるものを用いた。その結果を下記表2に示した。
Figure 2004179160
表2に示したように,Vの添加量が5〜15重量%である時,イオン伝導度が最も良かった。
上記表1,2に示した結果から,Vを通じてイオン伝導度が増加し,また,Vの粒度が小さいほどイオン伝導度が大きくなることが分かった。
<実験例2:表面粗度の測定>
上記実施例1〜6及び比較例1の正極の表面粗度Ra値を測定した結果を下記表3に示した。
Figure 2004179160
表3で,Ra値は各ピーク(極板表面の高低によるピーク)の算術平均値であって,値が低いほど表面が平坦であることを意味する。表3に示したように,Vの粒度が硫黄粉末の粒度(5000nm)より大きい実施例5〜6の場合にはVを使用しなかった比較例1より正極の平坦性が悪くなり(表面が粗く),Vの粒度が硫黄粉末の粒度と同一であるか小さい実施例1〜4の場合には平坦性がほとんど同一であるか,良くなる(表面がほとんど同一であるか,さらに平坦になる)ことが分かる。
<実験例3:SEM測定>
上記実施例1のVの粗度D(v,50%)5,000nmの正極を利用して製造された電池を10回充放電した後,解体して次のようにサンプリングして撮影したSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)写真を図2に示した。図2に示したSEM写真は正極極板の中央部分の写真である。この中央部分とは,図3に示したように,正極板長さ方向の長さを100とした時,左右20%の長さを除いた中央60%に相当する部分と,正極板幅方向についても長さ方向と同様に幅を100とした時,左右20%の長さを除いた中央60%に相当する部分をいう。この時,中央60%に相当する部分でもワインディング時に畳まれた部分は除いた。また,中央部分の正極極板が横1〜5cm,縦1〜5cm程度の大きさになるようにした。この方法で正極サンプルを採取した後,採取した正極サンプルをジメトキシエタンで10秒間洗浄し,40℃で24時間乾燥後,SEM写真を撮影した。
図2に示したSEM写真に写された楕円形の粒子はV添加剤であり,つまり,この添加剤は球形ではない楕円形の形状を有することが分かる。したがって,添加剤粒度は楕円の長軸長さを直径にしたもので,その直径が5000nm以下であることが分かる。また,大部分の直径の値は1000nm以下であるが,これはスラリーを作る時ボールミルを使用したことにより元の大きさよりもその大きさが小さくなったからである。ボールミルを使用しなければ,その大きさに大きな変化はないと判断される。
<実験例4:電池特性評価>
上記実施例1〜6及び比較例1の方法で製造された正極を利用して次のような方法でパウチタイプのリチウム−硫黄電池を製造した。この電池は,正極の大きさが25mm×50mmであり,既存のコイン電池(容量3〜5mAh)よりも大きさが大きく作られており,容量が小さい電池で生じ得る偏差を減らした信頼性のある評価用電池である。
規格に合うように切断されたパウチの内側にタブが溶接された上記実施例1〜6及び比較例1で製造された正極を置いた。この正極をセパレータで覆った。このセパレータをタブが付着されたリチウム箔で覆い,上記パウチを電解液注入口のみを残してシーリングした。このパウチに1MのLiN(SOCFリチウム塩とジメトキシエタン/1,3−ジオキソラン(容量比80/20)電解液を適当量注入した。残ったパウチの一面を真空シーリングした。
製造された電池の内部抵抗と,充電率0.2Cで充電,放電率0.5Cで放電する充放電サイクルを実施した際の,第1回目のサイクルの電池容量(第1回容量)及び第100回目のサイクルの電池寿命(第100回寿命)と,を測定しその結果を下記表4に示した。また,正極の表面粗度Ra値も共に示した。
Figure 2004179160
表4の結果から分かるように,Vの粒度が硫黄粉末の粒度(5000nm)より小さいか同一な実施例1〜4では,Vを使用しない比較例1よりも正極の表面粗度が小さくなっている。すなわち正極とセパレータ間の界面抵抗が小さくなるので,これにより,電池の内部抵抗は減少し,第1回容量は多少増加し,第100回寿命は大きく増加した。
これに比べて,Vの粒度が硫黄粉末の粒度(5000nm)より大きい実施例5及び6では,Vを使用しなかった比較例1よりも正極の表面粗度が増加したために電池の内部抵抗が増加しており,第1回容量は多少減少し,第100回寿命も多少減少している。
(実施例7〜11:添加するVの量による電池特性実験)
粒度D(v,50%)が10nmであるVの添加量を下記表5に示したように変更したことを除いては上記実施例1と同一にリチウム−硫黄電池用正極を製造した。製造された正極の表面粗度Ra値を測定してその結果を下記表5に示した。粒度D(v,50%)が10nmであるVを10重量%使用した実施例4の結果も下記表5に共に示した。
Figure 2004179160
表5では,実施例4,7〜11は全てVの粒度D(v,50%)が硫黄粉末の粒度(5000nm)より小さい10nmであって,正極の表面粗度はVを添加しなかった比較例1に比べて多少減ったことが分かる。
<実験例5:電池特性評価>
上記実施例4,7〜11及び比較例1の正極を利用して上記実験例4と同一にパウチタイプのリチウム−硫黄電池を製造した。製造された電池の内部抵抗と,充電率0.2Cで充電,放電率0.5Cで放電する充放電サイクルを行なった後,第1回目のサイクルの電池容量(第1回容量)及び第100回目のサイクルの電池寿命(第100回寿命)と,を測定しその結果を下記表6に示した。正極の表面粗度Ra値も共に表6に示した。
Figure 2004179160
表6の結果から分かるように,実施例4,7〜11は,Vの粒度D(v,50%)が硫黄粉末の粒度(5000nm)より小さい10nmであり,正極の粗度が全て比較例1より減少し,正極とセパレータ間の界面抵抗が減ってこれにより電池内部抵抗が減少した。その結果,第1回容量はVを添加しなかった比較例1よりも全て多少増加しており,寿命はVの添加量が5〜20%である実施例8,4,9,10において大きく増加した。これは,極板の表面粗度Raは類似していて大きな差がないものの,Vの添加量によるイオン伝導度が5〜20%で最も大きく増加したためであると考えられる(表2参照)。
前述したように,特定粒度を有するV添加剤を使用した本実施形態にかかる正極は,イオン伝導度が高く,極板粗度が減少するので,当該正極を用いた電池においては,Vを添加しない正極を用いた電池と比較すると,容量が1200mAhから1280Ah/gに増加し,第100回寿命が60%から90%に向上した。
<実験例6:極板の電解液含浸実験>
無機硫黄84重量%,炭素導電剤12重量%及びスチレンブタジエンラバーバインダー4重量%を基本組成としてこの混合物100重量部に対してVを各々2,5,10,15,20,25及び30重量部の量で水溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造した。
上記スラリーを炭素−コーティングされたAl電流集電体にコーティングした。コーティングされた集電体を常温で2時間以上乾燥した後,80℃で12時間以上乾燥して正極を製造した。
電解液含浸実験のために製造された正極を横2.5cm,縦5.0cmに切断した。
図1に示したように,100mlビーカーに電解液溶媒であるジメトキシエタン及びジオキソランを各々約90mlずつ注いだ後,このビーカーに上記切断された正極の下端1cmが浸るようにした。次に,大気中で,常温の温度雰囲気で,1分間に溶媒が極板に沿って上がる高さを測定し,極板の電解液含浸性をテストした。その結果を下記表7に示した。
Figure 2004179160
表7によると,Vの添加量が増加するにしたがってジメトキシエタン及びジオキソランの含浸高さが大きくなっていることが分かる。これは,V添加剤によって正極板の気孔度が大きくなって電解液の含浸性が良くなったためであると判断される。極板の電解液含浸性が増加すると,電池の充放電時に電解液が正極構造内によく維持されて電解液が負極であるリチウムを損傷させることが抑制され,電池寿命が向上するものと考えられる。
(実施例12)
粒度D(v,50%)3000nmであるZrO添加剤,無機硫黄粉末,炭素導電剤及びポリエチレンオキサイドバインダーを1:6:2:2の重量比でアセトニトリル溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造した。上記無機硫黄粉末はジルコニアボールとイソプロピルアルコール溶媒を利用して粉砕及び乾燥した粒度D(v,50%)5000nmであるものを用いた。
上記正極活物質スラリーを炭素−コーティングされたAl電流集電体にコーティングしてリチウム−硫黄電池用正極を製造した。
(実施例13)
ZrOをジルコニアボールとイソプロピルアルコール溶媒を利用して1時間粉砕し,80℃で乾燥して粒度D(v,50%)値が2000nmであるZrO添加剤を製造した。
製造されたZrO添加剤,無機硫黄粉末,炭素導電剤及びポリエチレンオキサイドバインダーを1:6:2:2の重量比でアセトニトリル溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造した。上記無機硫黄粉末はジルコニアボールとイソプロピルアルコール溶媒を利用して粉砕及び乾燥した粒度D(v,50%)5000nmであるものを用いた。
上記正極活物質スラリーを炭素−コーティングされたAl電流集電体にコーティングしてリチウム−硫黄電池用正極を製造した。
(実施例14)
粉砕工程を6時間実施して粒度D(v,50%)が1000nmであるZrO添加剤を製造したことを除いては上記実施例13と同一に実施した。
(実施例15)
粉砕工程を12時間実施して粒度D(v,50%)が100nmであるZrO添加剤を製造したことを除いては上記実施例13と同一に実施した。
(実施例16)
粉砕工程を24時間実施して粒度D(v,50%)が10nmであるZrO添加剤を製造したことを除いては上記実施例13と同一に実施した。
<実験例7:ZrOの粒度D(v,50%)値によるイオン伝導度の測定実験>
分子量5,000,000のポリエチレンオキシドをアセトニトリルに溶解し,この溶液にリチウム塩であるLiN(SOCFをエチレンオキシド:Liのモル比が10:1になるように添加して溶解した。この溶液に上記実施例12〜16で製造されたZrO添加剤をポリエチレンオキシドとLiN(SOCFリチウム塩の混合全量に対して10重量%を添加し,2時間攪拌した。得られた溶液をキャスティングして高分子フィルム膜を製造し,イオン伝導度を測定した。その結果を下記表8に示した。
Figure 2004179160
表8に示されるように,ZrOを添加することによってイオン伝導度が増加しており,ZrOの粒度が小さいほどイオン伝導度の増加度がさらに大きくなる傾向があることが分かる。これは,ZrOのような無機添加剤が高分子の結晶化を抑制するためである。
また,ZrOの添加量によるイオン伝導度の増加を見てみた。この時,ZrOは粒度D(v,50%)値が10nmであるものを用いた。その結果は下記表9のようになった。
Figure 2004179160
上記表9に示したように,ZrOの添加量が5〜15重量%である時,イオン伝導度が最も良かった。
上記表8,9に示した結果から,ZrOによってイオン伝導度が増加し,また,ZrOの粒度が小さいほどイオン伝導度の増加幅が大きくなることが分かった。
<実験例8:表面粗度の測定>
上記実施例12〜16及び比較例1の正極の表面粗度Ra値を測定してその結果を下記表10に示した。
Figure 2004179160
表10で,Ra値は各ピーク(極板表面の高低によるピーク)の算術平均値であって,値が低いほど表面が平坦であることを意味する。表10に示したように,ZrOを使用しなかった比較例1は正極の平坦性が悪くなり(表面が粗く),ZrOを使用した実施例12〜16の場合には平坦性がほとんど同一であるか良くなる(表面が同一であるかさらに平坦になる)ことがが分かる。
<実験例9:電池特性評価>
上記実施例12〜16及び比較例1の方法で製造された正極を利用して次のような方法でパウチタイプのリチウム−硫黄電池を製造した。この電池は,正極の大きさが25mm×50mmであり,既存のコイン電池(容量3〜5mAh)より大きさが大きく作られており,容量が小さい電池で生じ得る偏差を減らした信頼性のある評価用電池である。
規格に合うように切断されたパウチの内側にタブが溶接された上記実施例12〜16及び比較例1で製造された正極を置いた。この正極をセパレータで覆った。上記セパレータをタブが付着されたリチウム箔で覆い,上記パウチを電解液注入口のみを残してシーリングした。このパウチに1MのLiN(SOCFリチウム塩とジメトキシエタン/1,3−ジオキソラン(容量比80/20)電解液を適当量注入した。残ったパウチの一面を真空シーリングした。
製造された電池の内部抵抗と,充電率0.2Cで充電,放電率0.5Cで放電する充放電サイクルを実施した際の,第1回目のサイクルの電池容量(第1回容量)及び第100回目のサイクルの電池寿命(第100回寿命)と,を測定しその結果を下記表11に示した。また,正極の表面粗度Ra値も共に示した。
Figure 2004179160
表11の結果から分かるように,ZrOを使用した実施例12〜16では,ZrOを使用しない比較例1よりも正極の表面粗度が小さくなっている。すなわち正極とセパレータ間の界面抵抗が小さくなるので,これにより,電池の内部抵抗が減少し,第1回容量は多少増加し,第100回寿命は大きく増加した。
(実施例17〜21:添加するZrOの量による電池特性実験)
粒度D(v,50%)が10nmであるZrOの添加量を下記表12に示したように変更したことを除いては上記実施例1と同一にリチウム−硫黄電池用正極を製造した。製造された正極の表面粗度Ra値を測定してその結果を下記表12に示した。粒度D(v,50%)が10nmであるZrOを10重量%使用した実施例16の結果も下記表12に共に示した。
Figure 2004179160
表12では,実施例16〜21は全てZrOの粒度D(v,50%)が硫黄粉末の粒度(5000nm)より小さい10nmであって,正極の表面粗度はZrOを添加しなかった比較例1に比べて多少減ったことが分かる。
<実験例10:電池特性評価>
上記実施例16〜21の正極を利用して上記実験例8と同一にパウチタイプのリチウム−硫黄電池を製造した。製造された電池の内部抵抗と,充電率0.2Cで充電,放電率0.5Cで放電する充放電サイクルを行なった後,第1回目のサイクルの電池容量(第1回容量)及び第100回目のサイクルの電池寿命(第100回寿命)と,を測定しその結果を下記表13に示した。正極の表面粗度Ra値も共に表13に示した。
Figure 2004179160
表13の結果から分かるように,実施例16〜21は,ZrOの粒度D(v,50%)が硫黄粉末の粒度(5000nm)より小さい10nmであり,正極の粗度が全て比較例1より減少し,正極とセパレータ間の界面抵抗が減ってこれにより電池内部抵抗が減少したことが分かる。その結果,第1回容量はZrOを添加しなかった比較例1より全て多少増加しており,寿命はZrOの添加量が5〜20%である実施例18〜20において大きく増加した。これは,極板の表面粗度Raは類似していて大きな差がないものの,ZrOの添加量によるイオン伝導度が5〜20%で最も大きく増加したためであると考えられる(表8参照)。
前述したように,特定粒度を有するZrO添加剤を使用した本実施形態にかかる正極は,イオン伝導度が高く,極板粗度が減少するので,当該正極を用いた電池においては,ZrOを添加しない正極を用いた電池と比較すると,容量が1200mAhから1288Ah/gに増加し,第100回寿命が60%から91%に向上した。
(実施例22)
粒度D(v,50%)75000nmであるTiS添加剤,無機硫黄粉末,炭素導電剤及びポリエチレンオキサイドバインダーを1:6:2:2の重量比でアセトニトリル溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造した。上記無機硫黄粉末はジルコニアボールとイソプロピルアルコール溶媒を利用して粉砕及び乾燥した粒度D(v,50%)5000nmであるものを用いた。
上記正極活物質スラリーを,炭素−コーティングされたAl電流集電体にコーティングしてリチウム−硫黄電池用正極を製造した。
(実施例23)
TiSをジルコニアボールとイソプロピルアルコール溶媒を利用して1時間粉砕し,80℃で乾燥して粒度D(v,50%)値が20000nmであるTiS添加剤を製造した。
製造されたTiS添加剤,無機硫黄粉末,炭素導電剤及びポリエチレンオキサイドバインダーを1:6:2:2の重量比でアセトニトリル溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造した。上記無機硫黄粉末はジルコニアボールとイソプロピルアルコール溶媒を利用して粉砕及び乾燥した粒度D(v,50%)5000nmであるものを用いた。
上記正極活物質スラリーを,炭素−コーティングされたAl電流集電体にコーティングしてリチウム−硫黄電池用正極を製造した。
(実施例24)
粉砕工程を3時間実施して粒度D(v,50%)が5000nmであるTiS添加剤を製造したことを除いては上記実施例22と同一に実施した。
(実施例25)
粉砕工程を6時間実施して粒度D(v,50%)が1000nmであるTiS添加剤を製造したことを除いては上記実施例22と同一に実施した。
(実施例26)
粉砕工程を12時間実施して粒度D(v,50%)が100nmであるTiS添加剤を製造したことを除いては上記実施例22と同一に実施した。
(実施例27)
粉砕工程を24時間実施して粒度D(v,50%)が10nmであるTiS添加剤を製造したことを除いては上記実施例22と同一に実施した。
<実験例11:TiSの粒度D(v,50%)値によるイオン伝導度測定実験>
分子量5,000,000のポリエチレンオキシドをアセトニトリルに溶解し,この溶液にリチウム塩であるLiN(SOCFをエチレンオキシド:Liのモル比が10:1になるように添加して溶解した。この溶液に上記実施例22〜27で製造されたTiS添加剤をポリエチレンオキシドとLiN(SOCFリチウム塩の混合全量に対して10重量%を添加し,2時間攪拌した。得られた溶液をキャスティングして高分子フィルム膜を製造し,イオン伝導度を測定した。その結果を下記表14に示した。
Figure 2004179160
表14に示されるように,TiSを添加することによってイオン伝導度が増加しており,TiSの粒度が小さいほどイオン伝導度の増加幅もさらに大きくなることが分かる。これは,TiSのような無機添加剤が高分子の結晶化を抑制するためである。
また,TiSの添加量によるイオン伝導度の増加を見てみた。この時,TiSは粒度D(v,50%)値が10nmであるものを用いた。その結果は下記表15のようになった。
Figure 2004179160
上記表15に示したように,TiSの添加量が5〜15重量%である時,イオン伝導度が最も良かった。
上記表14,15に示した結果から,TiSによってイオン伝導度が増加し,また,TiSの粒度が小さいほどイオン伝導度の増加幅が大きくなることが分かった。
<実験例12:表面粗度の測定>
上記実施例22〜27及び比較例1の正極の表面粗度Ra値を測定してその結果を下記表16に示した。
Figure 2004179160
上記表16で,Ra値は各ピーク(極板表面の高低によるピーク)の算術平均値であって,値が低いほど表面が平坦であることを意味する。
<実験例13:電池特性評価>
上記実施例22〜27及び比較例1の方法で製造された正極を利用して次のような方法でパウチタイプのリチウム−硫黄電池を製造した。この電池は,正極の大きさは25mm×50mmであり,既存のコイン電池(容量3〜5mAh)より大きさが大きく作られており,容量が小さい電池で生じ得る偏差を減らした信頼性のある評価用電池である。
規格に合うように切断されたパウチの内側にタブが溶接された上記実施例22〜27及び比較例1で製造された正極を置いた。この正極をセパレータで覆った。上記セパレータをタブが付着されたリチウム箔で覆い,上記パウチを電解液注入口のみ残してシーリングした。このパウチに1MのLiN(SOCFリチウム塩とジメトキシエタン/1,3−ジオキソラン(容量比80/20)電解液を適当量注入した。残ったパウチの一面を真空シーリングした。
製造された電池の内部抵抗と,充電率0.2Cで充電,放電率0.5Cで放電する充放電サイクルを実施した際の,第1回目のサイクルの電池容量(第1回容量)及び第100回目のサイクルの電池寿命(第100回寿命)と,を測定しその結果を下記表17に示した。また,正極の表面粗度Ra値も共に示した。
Figure 2004179160
表17の結果から分かるように,TiSの粒度が硫黄粉末の粒度(5000nm)より小さいか同一な実施例24〜27の場合には,TiSを使用しなかった比較例1よりも正極の表面粗度が小さくなっている。すなわち正極とセパレータ間の界面抵抗が小さくなるので,これにより,電池の内部抵抗が減少し,第1回容量は多少増加し,第100回寿命は大きく増加した。
(実施例28〜32:添加するTiSの量による電池特性実験)
粒度D(v,50%)が10nmであるTiSの添加量を下記表18に示したように変更したことを除いては上記実施例22と同一にリチウム−硫黄電池用正極を製造した。製造された正極の表面粗度Ra値を測定しその結果を下記表18に示した。参考として粒度D(v,50%)が10nmであるTiSを10重量%使用した実施例27の結果も下記表18に共に示した。
Figure 2004179160
表18では,実施例27〜32は全てTiSの粒度D(v,50%)が硫黄粉末の粒度(5000nm)より小さい10nmであって,正極の表面粗度はTiSを添加しなかった比較例1に比べて多少減ったことが分かる。
<実験例14:電池特性評価>
上記実施例27〜32の正極を利用して上記実験例13と同一にパウチタイプのリチウム−硫黄電池を製造した。製造された電池の内部抵抗と,充電率0.2Cで充電,放電率0.5Cで放電する充放電サイクルを行なった後,第1回目のサイクルの電池容量(第1回容量)及び第100回目のサイクルの電池寿命(第100回寿命)と,を測定しその結果を下記表19に示した。正極の表面粗度Ra値も共に表19に示した。
Figure 2004179160
表19の結果から分かるように,実施例27〜32は,TiSの粒度D(v,50%)が硫黄粉末の粒度(5000nm)より小さい10nmであり,正極の粗度が全て比較例1より減少し,正極とセパレータ間の界面抵抗が減ってこれにより電池内部抵抗が減少した。その結果,第1回容量はTiSを添加しなかった比較例1より全て多少増加しており,寿命はTiSの添加量が5〜20%であるである実施例29〜31において大きく増加した。これは,極板の表面粗度Raは類似していて大きな差がないものの,TiSの添加量によるイオン伝導度が5〜20%で最も大きく増加したためであると考えられる(表15参照)。
前述したように,特定粒度を有するTiS添加剤を使用した本実施形態にかかる正極は,イオン伝導度が高く,極板粗度が減少するので,当該正極を用いた電池においては,ZrOを添加しない正極を用いた電池と比較すると,電池の容量が1200mAhから1279Ah/gに増加し,第100回寿命が60%から90%に向上した。
(実施例33)
Al粉末をジルコニアボールとイソプロピルアルコール溶媒を利用して1時間粉砕し,80℃で乾燥して粒度D(v,50%)値が35000nmであるAl添加剤を製造した。
製造されたAl添加剤,無機硫黄粉末,炭素導電剤及びポリエチレンオキサイドバインダーを1:6:2:2の重量比でアセトニトリル溶媒中で混合して正極活物質スラリー(混濁液)を製造した。上記無機硫黄粉末はジルコニアボールとイソプロピルアルコール溶媒を利用して粉砕及び乾燥した粒度D(v,50%)5000nmであるものを用いた。
上記正極活物質スラリーを,炭素−コーティングされたAl電流集電体にコーティングしてリチウム−硫黄電池用正極を製造した。
(実施例34)
粉砕工程を3時間実施して粒度D(v,50%)が5000nmであるAl添加剤を製造したことを除いては上記実施例33と同一に実施した。
(実施例35)
粉砕工程を6時間実施して粒度D(v,50%)が200nmであるAl添加剤を製造したことを除いては上記実施例33と同一に実施した。
(実施例36)
粉砕工程を12時間実施して粒度D(v,50%)が50nmであるAl添加剤を製造したことを除いては上記実施例33と同一に実施した。
(実施例37)
粉砕工程を24時間実施して粒度D(v,50%)が6nmであるAl添加剤を製造したことを除いては上記実施例33と同一に実施した。
(実施例38)
粉砕工程を48時間実施して粒度D(v,50%)が5.8nmであるAl添加剤を製造したことを除いては上記実施例33と同一に実施した。
(実施例39)
粉砕工程を実施しなかった粒度D(v,50%)値が109000nmであるAl添加剤を使用したことを除いては上記実施例33と同一に実施した。
<実験例15:Alの粒度D(v,50%)値によるイオン伝導度測定実験>
分子量5,000,000のポリエチレンオキシドをアセトニトリルに溶解し,この溶液にリチウム塩であるLiN(SOCFをエチレンオキシド:Liのモル比が10:1になるように添加して溶解した。この溶液に上記実施例33〜37,39及び比較例1で製造されたAl添加剤を,ポリエチレンオキシドとLiN(SOCFリチウム塩の混合全量に対して10重量%を添加し,2時間攪拌した。得られた溶液をキャスティングして高分子フィルム膜を製造し,イオン伝導度を測定した。その結果を下記表20に示した。
Figure 2004179160
表20のようにAlを添加することによってイオン伝導度が増加しており,Alの粒度が小さいほどイオン伝導度の増加幅もさらに大きくなることが分かる。これはAlのような無機添加剤が高分子の結晶化を抑制するためである。
また,Alの添加量によるイオン伝導度の増加を見てみた。この時Alは粒度D(v,50%)値が6nmであるものを用いた。その結果を下記表21に示した。
Figure 2004179160
上記表21に示したように,Alの添加量が5〜15重量%である時,イオン伝導度が最も良かった。
上記表20,21に示した結果から,Alによってイオン伝導度が増加し,また,Alの粒度が小さいほどイオン伝導度の増加幅が大きくなることが分かった。
<実験例16:表面粗度の測定>
上記実施例33〜37,39及び比較例1の正極の表面粗度Ra値を測定した結果を下記表22に示した。
Figure 2004179160
表22で,Ra値は各ピーク(極板表面の高低によるピーク)の算術平均値であって,値が低いほど表面が平坦であることを意味する。表22に示したように,Alの粒度が硫黄粉末の粒度(5000nm)より大きい実施例39,33の場合にはAlを使用しなかった比較例1より正極の平坦性が悪くなり(表面が粗く),Alの粒度が硫黄粉末の粒度と同一であるか小さい実施例34〜37の場合には平坦性がほとんど同一であるか良くなる(表面が同一であるかさらに平坦になる)ことが分かる。
<実験例17:電池特性評価>
上記実施例33〜37,39及び比較例1の方法で製造された正極を利用して次のような方法でパウチタイプのリチウム−硫黄電池を製造した。この電池は,正極の大きさが25mm×50mmであり,既存のコイン電池(容量3〜5mAh)よりも大きさが大きく作られており,容量が小さい電池で生じ得る偏差を減らした信頼性のある評価用電池である。
規格に合うように切断されたパウチの内側にタブが溶接された上記実施例33〜37,39及び比較例1で製造された正極を置いた。この正極をセパレータで覆った。このセパレータをタブが付着されたリチウム箔で覆い,上記パウチを電解液注入口のみ残してシーリングした。このパウチに1MのLiN(SOCFリチウム塩とジメトキシエタン/1,3−ジオキソラン(容量比80/20)電解液を適当量注入した。残ったパウチの一面を真空シーリングした。
製造された電池の内部抵抗と,充電率0.2Cで充電,放電率0.5Cで放電する充放電サイクルを実施した際の,第1回目のサイクルの電池容量(第1回容量)及び第100回目のサイクルの電池寿命(第100回寿命)と,を測定しその結果を下記表23に示した。また,正極の表面粗度Ra値も共に示した。
Figure 2004179160
表23の結果から分かるように,Alの粒度が硫黄粉末の粒度(5000nm)より小さいか同一な実施例34〜37では,Alを使用しない比較例1よりも正極の表面粗度が小さくなっている。すなわち正極とセパレータ間の界面抵抗が小さくなるので,これにより,電池の内部抵抗は減少し,第1回容量は多少増加し,第100回寿命は大きく増加した。
これに比べて,Alの粒度が硫黄粉末の粒度(5000nm)より大きい実施例33及び39では,Alを使用しなかった比較例1よりも正極の表面粗度が増加して,これにより電池の内部抵抗が増加し,第1回容量は多少減少し,第100回寿命も多少減少した。
(実施例40〜44:添加するAlの量による電池特性実験)
粒度D(v,50%)が6nmであるAlの添加量を下記表24に示したように変更したことを除いては上記実施例33と同一にリチウム−硫黄電池用正極を製造した。製造された正極の表面粗度Ra値を測定しその結果を下記表24に示した。粒度D(v,50%)が6nmであるAlを10重量%使用した実施例37の結果も下記表24に共に示した。
Figure 2004179160
表24では,実施例37,40〜44は全てAlの粒度D(v,50%)が硫黄粉末の粒度(5000nm)より小さい6nmであって,正極の表面粗度はAlを添加しなかった比較例1に比べて多少減ったことが分かる。
<実験例18:電池特性評価>
上記実施例37,40〜44及び比較例1の正極を利用して上記実験例17と同一にパウチタイプのリチウム−硫黄電池を製造した。製造された電池の内部抵抗と,充電率0.2Cで充電,放電率0.5Cで放電する充放電サイクルを行なった後,第1回目のサイクルの電池容量(第1回容量)及び第100回目のサイクルの電池寿命(第100回寿命)と,を測定しその結果を下記表25に示した。正極の表面粗度Ra値も共に表25に示した。
Figure 2004179160
表25の結果から分かるように,実施例37,40〜44は,Alの粒度D(v,50%)が硫黄粉末の粒度(5000nm)より小さい6nmであり,正極の粗度が全て比較例1より減少し,正極とセパレータ間の界面抵抗が減ってこれにより電池内部抵抗が減少した。その結果,第1回容量はAlを添加しなかった比較例1よりも全て多少増加しており,寿命はAlの添加量が5〜20%である実施例41,37,42,43において大きく増加した。これは,極板の表面粗度Raは類似していて大きな差がないものの,Alの添加量によるイオン伝導度が5〜20%で最も大きく増加したためであると考えられる(表21参照)。
前述したように,特定粒度を有するAl添加剤を使用した本実施形態にかかる正極は,イオン伝導度が高く,極板粗度が減少するので,当該正極を用いた電池においては,Alを添加しない正極を用いた電池と比較すると,容量が1200mAhから1289mAh/gに増加し,第100回寿命が60%から91%に向上した。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は,例えば携帯電子機器などに用いられる二次電池などのリチウム−硫黄電池用正極に適用可能である。
正極の含浸性を知るための実験を示す図である。 本発明の実施例1の正極を使用して製造された電池を10回充放電した後,解体して図3のようにサンプリングし撮影したSEM写真である。 本発明の実施の形態においてサンプリングされる極板の範囲を示す図である。 本発明の実施の形態にかかるリチウム−硫黄電池を示す図である。
符号の説明
1 リチウム−硫黄電池
2 セパレータ
3 正極
4 負極
5 電池ケース

Claims (30)

  1. 無機硫黄(S),硫黄系列化合物及びこれらの混合物からなる正極活物質と,
    導電剤と,
    バインダーと,
    粒度D(v,50%)が5000nm以下である電解液に不溶性の無機添加剤と,
    を含むことを特徴とするリチウム−硫黄電池用正極。
  2. 前記無機添加剤は,
    金属酸化物,金属硫化物またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  3. 前記無機添加剤の金属は,
    V,Al,Zr及びTiからなる群より選択される一つ以上の金属であることを特徴とする請求項2に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  4. 前記無機添加剤は,
    ,ZrO,TiSからなる群より選択される一つ以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  5. 前記無機添加剤の粒度D(v,50%)は,1〜5000nmであることを特徴とする請求項1に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  6. 前記無機添加剤の粒度D(v,50%)は,5〜4000nmであることを特徴とする請求項5に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  7. 前記無機添加剤の粒度D(v,50%)は,10〜3000nmであることを特徴とする請求項6に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  8. 前記無機添加剤の添加量は,1〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  9. 前記無機添加剤の添加量は,2〜25重量%であることを特徴とする請求項8に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  10. 前記無機添加剤の添加量は,3〜20重量%であることを特徴とする請求項9に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  11. 前記正極活物質の硫黄系列化合物は,
    LiSn(n≧1),有機硫黄化合物,及び炭素−硫黄ポリマー((C:x=2.5〜50,n≧2)からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  12. コーティング層をさらに含み,
    前記コーティング層は高分子,無機物又は有機物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  13. 前記コーティング層の高分子は,
    ポリフッ化ビニリデン,ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー,ポリ(ビニルアセテート),ポリ(ビニルブチラル−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート),ポリ(メチルメタクリレート−コ−アクリル酸エチル),ポリアクリロニトリル,ポリ塩化ビニルコ−ビニルアセテート,ポリビニルアルコール,ポリ(1−ビニルピロリドン−コ−ビニルアセテート),セルロースアセテート,ポリビニルピロリドン,ポリアクリレート,ポリメタクリレート,ポリオレフィン,ポリウレタン,ポリビニルエーテル,アクリロニトリル−ブタジエンラバー,スチレン−ブタジエンラバー,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン,スルホネイテッドスチレン/エチレンブチレン/スチレントリブロックコポリマー,ポリエチレンオキシド及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項12に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  14. 前記コーティング層の無機物は,コロイダルシリカ,非晶質シリカ,表面処理されたシリカ,コロイダルアルミナ,非晶質アルミナ,酸化錫,酸化チタン,硫化チタニウム,酸化バナジウム,酸化ジルコニウム,酸化鉄,硫化鉄,チタン酸鉄,チタン酸バリウム及びこれらの混合物からなる群より選択され,
    前記コーティング層の有機物は,導電性カーボンであることを特徴とする請求項12に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  15. 無機硫黄,硫黄系列化合物及びこれらの混合物からなる正極活物質と,
    導電剤と,
    バインダーと,
    金属酸化物または金属硫化物を含む無機添加剤とを含むこと,
    を特徴とするリチウム−硫黄電池用正極。
  16. 前記無機添加剤の金属は,
    V,Al,Zr及びTiからなる群より選択される一つ以上の金属であることを特徴とする請求項15に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  17. 前記無機添加剤は,Alであることを特徴とする請求項15に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  18. 前記無機添加剤の粒度D(v,50%)は,35000nm以下であることを特徴とする請求項15に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  19. 前記無機添加剤の粒度D(v,50%)は,1〜35000nmであることを特徴とする請求項18に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  20. 前記無機添加剤の粒度D(v,50%)は,3〜10000nmであることを特徴とする請求項19に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  21. 前記無機添加剤の粒度D(v,50%)は,5〜5000nmであることを特徴とする請求項20に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  22. 前記無機添加剤の添加量は1〜50重量%であることを特徴とする請求項15に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  23. 前記無機添加剤の添加量は2〜25重量%であることを特徴とする請求項22に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  24. 前記無機添加剤の添加量は3〜20重量%であることを特徴とする請求項23に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  25. 前記正極活物質の硫黄系列化合物は,
    LiSn(n≧1),有機硫黄化合物,及び炭素−硫黄ポリマー((C:x=2.5〜50,n≧2)からなる群より選択されることを特徴とする請求項15に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  26. コーティング層をさらに含み,
    前記コーティング層は高分子,無機物又は有機物からなる群より選択されることを特徴とする請求項15に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  27. 前記コーティング層の高分子は,
    ポリフッ化ビニリデン,ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー,ポリ(ビニルアセテート),ポリ(ビニルブチラル−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート),ポリ(メチルメタクリレート−コ−アクリル酸エチル),ポリアクリロニトリル,ポリ塩化ビニルコ−ビニルアセテート,ポリビニルアルコール,ポリ(1−ビニルピロリドン−コ−ビニルアセテート),セルロースアセテート,ポリビニルピロリドン,ポリアクリレート,ポリメタクリレート,ポリオレフィン,ポリウレタン,ポリビニルエーテル,アクリロニトリル−ブタジエンラバー,スチレン−ブタジエンラバー,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン,スルホネイテッドスチレン/エチレンブチレン/スチレントリブロックコポリマー,ポリエチレンオキシド及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項26に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  28. 前記コーティング層の無機物は,コロイダルシリカ,非晶質シリカ,表面処理されたシリカ,コロイダルアルミナ,非晶質アルミナ,酸化錫,酸化チタン,硫化チタニウム,酸化バナジウム,酸化ジルコニウム,酸化鉄,硫化鉄,チタン酸鉄,チタン酸バリウム及びこれらの混合物からなる群より選択され,
    前記コーティング層の有機物は,導電性カーボンであることを特徴とする請求項26に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
  29. 無機硫黄,硫黄系列化合物及びこれらの混合物からなる正極活物質と,
    導電剤と,
    バインダーと,
    粒度D(v,50%)が5000nm以下であるV無機添加剤と,
    を含むことを特徴とするリチウム−硫黄電池用正極。
  30. 前記無機添加剤の粒度D(v,50%)は,1〜5000nmであることを特徴とする請求項29に記載のリチウム−硫黄電池用正極。
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