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JP2004170195A - タンパク質の固定化方法 - Google Patents

タンパク質の固定化方法 Download PDF

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JP2004170195A
JP2004170195A JP2002335334A JP2002335334A JP2004170195A JP 2004170195 A JP2004170195 A JP 2004170195A JP 2002335334 A JP2002335334 A JP 2002335334A JP 2002335334 A JP2002335334 A JP 2002335334A JP 2004170195 A JP2004170195 A JP 2004170195A
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JP2002335334A
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Noriyuki Inomata
則行 猪股
Yorimasa Suwa
頼正 諏訪
Junichi Inagawa
淳一 稲川
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Reverse Proteomics Research Institute Co Ltd
Biacore AB
Original Assignee
Reverse Proteomics Research Institute Co Ltd
Biacore AB
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Abstract

【課題】様々なタンパク質を固定化することができ、且つ、担体に対して強固に固定化する。
【解決手段】タグ部を有する固定化対象のタンパク質に対して共有結合可能な反応基を有する固定化担体における当該反応基を活性化する第1工程と、上記第1工程の後、上記固定化担体に対して、上記固定化対象のタンパク質を含む溶液を作用させる第2工程とを含み、上記第2工程では、上記タグ部と上記固定化担体のタグ部結合部位との間の相互作用及び上記反応基とタンパク質との間の共有結合を介して、上記タンパク質を上記固定化担体に固定化する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば担体の表面上にタンパク質を固定化する際に広く利用できるタンパク質の固定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンパク質−医薬品間の相互作用、及び、タンパク質−タンパク質間の相互作用に関する情報は、新規の医薬品開発や既存医薬品の作用の強化、副作用の減弱化をおこなう上で非常に有用な情報であり、さまざまな方法により解析されている。近年特にラジオアイソトープを用いず表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonanse:SPR)の原理を応用したリアルタイムでの相互作用解析を行う装置、例えば、Biacore 3000(ビアコア社製)等が用いられるようになった。
【0003】
このSPRの原理を用いた相互作用解析では、相互作用解析を行うタンパク質−タンパク質間における一方を、或いは、タンパク質−医薬品間における一方をセンサーチップ上に固定化し、その後、他方のタンパク質或いは医薬品をセンサーチップ上に作用させ、タンパク質−タンパク質相互作用或いはタンパク質−医薬品相互作用に起因する質量変化をSPRシグナルとして検出する。
【0004】
医薬品等の低分子化合物を固定化する場合、低分子化合物分子内の適当な部分に固定化のための修飾を行う必要があり、この修飾がタンパク質との結合に悪影響を与えないように慎重に修飾する部分を選択する必要がある。また、修飾部分の分子構造が相互作用解析に適する長さとなるように種々の長さの修飾分子を合成し検討することになる。
【0005】
一方、タンパク質を固定化する場合には
A)センサーチップとタンパク質を共有結合によってある程度強固にカップリングすることで固定化を行う方法
B)センサーチップとタンパク質の親和性を利用してマイルドにセンサーチップ上に結合させる方法、に大別される。
【0006】
(A)の方法としては、1)タンパク質のアミノ基とセンサーチップ上のカルボキシル基とをカップリングさせる方法(アミンカップリング法)、2)タンパク質のカルボキシル基をPDEAなどで修飾し、一方でセンサーチップ上のカルボキシル基をチオール化(−SH)して両者をS−S結合を介してカップリングさせる方法(表面チオールカップリング法)、3)センサーチップにPDEA等の修飾を行いタンパク質の遊離の−SH基と−S−S−結合を形成させてカップリングさせる方法(リガンドチオールカップリング法)などが知られている。
【0007】
(B)の方法としては、1)タンパク質にHis−tagを導入し、それをNTA(nitrilotriacetic acid)を固層化したセンサーチップにNi2+を介して結合させる方法、2)各種抗体をセンサーチップに固定化してその抗原を固定化する方法等が知られている。
【0008】
(A)の方法では、固定化によってタンパク質の任意のアミノ基もしくはカルボキシル基が修飾されることになるが多くのケースで良好な結合活性を保持している。
また、(B)の方法では、His−tag、抗原ペプチド等の親和性部位をタンパク質の遺伝子の一部に組替えDNA法を用いて加える必要があるが、固定化の際にはタンパク質に修飾を加えないで行うことが出来る。
【0009】
この様にタンパク質の固定は、一般に低分子化合物の固定化よりも容易に実施することができる。そのため多くの研究において、タンパク質をセンサーチップに固定化して相互作用解析を行っている。
【0010】
しかしながら、A)の方法ではタンパク質の固定化の際に、アミンカップリング法、表面チオールカップリング法等いずれの方法においても、センサーチップ上にタンパク質を濃縮する必要があり、この濃縮(プレコンセントレーション)なしでは一般にほとんどタンパク質を固定化することは出来ない。プレコンセントレーションは、カップリングの際にタンパク質を、その等電点(pI)よりも若干低いpHで、且つイオン強度の弱い緩衝液(10mM程度の酢酸ナトリウム緩衝液など)に溶解もしくは希釈することで行うことが出来る。つまり、タンパク質のpI以下のpHの緩衝液中ではタンパク質は総電化で+荷電になる性質があり、同時にセンサーチップ上のカルボキシル基はアルカリ側からpH3.5程度の酸性域まで−荷電を持つことから静電的な力によってタンパク質がセンサーチップ上に濃縮される。このプレコンセントレーション効果によって生理的な濃度のタンパク質を用いているにもかかわらずセンサーチップ上に高濃度のタンパク質を濃縮することができ、結果として高い固定化量を実現することが出来る。
【0011】
さらに、タンパク質は共有結合により強固にセンサーチップに固定化されるため、一旦固定化されたタンパク質は以後安定してセンサーチップに結合し、繰り返し相互作用解析をおこなうことも可能である。
【0012】
しかしながら、このプレコンセントレーション効果を得るためには一旦タンパク質を低いpH条件で、またイオン強度も生理的な条件から乖離した低い緩衝液にさらす必要があり、なおかつ多くの酸性タンパク質はpH4.0程度でも総電化として+荷電をもたないためプレコンセントレーション効果を得ることができず、結果としてタンパク質を固定化することが出来ない。
【0013】
表面チオールカップリング法では、タンパク質のカルボキシル基にPDEA等の修飾を行うため、タンパク質の−荷電数を減少させ、よってpIを上昇させてプレコンセントレーション効果を得る方法である。そのため、幾つかの酸性タンパク質でも表面チオールカップリング法によって良好な結果をえているが、この方法ではタンパク質をPDEA等で修飾する必要があり、その後精製操作が必要である。そのため、タンパク質の必要量が100μg程度とアミンカップリング法の1μg程度にくらべ100倍も多くのタンパク質が必要となる。さらに、表面チオールカップリング法ではカップリングが−S−S−結合によってなされるため、固定化したタンパク質の洗浄、及び、相互作用解析時の再生操作にアルカリ溶液を使用することが出来ないため、アルカリ溶液で再生する必要があるタンパク質に関してはセンサーチップへの固定化は可能であるが実際相互作用解析を行うことはできない。
【0014】
一方、(B)の方法では、組換えDNA法によってHis−tagをタンパク質に組み入れてあるHis−tagタンパク質を固定化する際に用いる緩衝液は、生理的な条件の緩衝液(PBSなど)を用いることができる。しかしながら、タンパク質とNTAとの結合の親和性は、一般に低く、一旦センサーチップにNi2+を介して固定化されたタンパク質はその後徐々にセンサーチップから解離してしまう。さらに、His−tagタンパク質とNTA センサーチップの結合は、高塩濃度、低塩濃度、酸性pH条件、及びアルカリpH条件でさらに不安定となり、センサーチップの洗浄や再生操作が必要な相互作用解析を行うことが出来ない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、アミンカップリングを用いる場合には、酸性タンパク質が固定化できないというような、固定化できるタンパク質が限られるといった問題があった。また、表面チオールカップリング法を用いる場合には、酸性タンパク質の多くを固定化できると考えられるが、多量のタンパク質が必要でありアルカリ性の洗浄・再生操作を行うことができないといった問題があった。さらに、His−tagを用いる場合には、センサーチップへの固定化では広範囲のHis−tagタンパク質が固定化できるが、その結合は安定せず徐々に解離してしまうといった問題、また、一般に相互作用解析時に固定化したタンパク質の洗浄・再生操作が必要なタンパク質では解析を行うことができないという問題があった。
【0016】
そこで、本発明は、このような実状に鑑みて、様々なタンパク質を固定化することができ、且つ、担体に対して強固に固定化できるタンパク質の固定化方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明者が鋭意検討した結果、担体にタンパク質を固定化する際に、固定化担体側の反応基を活性化させた後に、タグ部を有するタンパク質を作用させることで、タンパク質のタグ部と固定化担体とを相互作用させるとともにタンパク質と固定化担体とを共有結合させることができ、様々なタンパク質を強固に固定化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
本発明は以下を包含する。
(1)タグ部を有する固定化対象のタンパク質に対して共有結合可能な反応基を有する固定化担体における当該反応基を活性化する第1工程と、
上記第1工程の後、上記固定化担体に対して、上記固定化対象のタンパク質を含む溶液を作用させる第2工程とを含み、
上記第2工程では、上記タグ部と上記固定化担体のタグ部結合部位との間の相互作用及び上記反応基と上記タンパク質との間の共有結合を介して、上記タンパク質を上記固定化担体に固定化することを特徴とするタンパク質の固定化方法。
【0019】
(2)上記反応基はカルボキシル基であり、第2工程では、当該カルボキシル基と上記固定化対象のタンパク質におけるアミノ基と間でアミンカップリングさせることを特徴とする(1)記載のタンパク質の固定化方法。
【0020】
(3)上記タグ部はヒスチジンタグであり、上記第2工程では、当該ヒスチジンタグと固定化担体との間で相互作用させることを特徴とする(1)記載のタンパク質の固定化方法。
(4)上記第2工程で、上記ヒスチジンタグと固定化担体との間で錯体を介して相互作用させることを特徴とする(3)記載のタンパク質の固定化方法。
【0021】
(5)上記第2工程で、上記ヒスチジンタグと固定化担体との間でNi2+−nitrilotriacetic acid(Ni−NTA)を介して相互作用させることを特徴とする(4)記載のタンパク質の固定化方法。
【0022】
(6)上記第2工程で、当該ヒスチジンタグと固定化担体との間でNi2+−iminodiacetic acid(Ni−IDA)を介して相互作用させることを特徴とする(4)記載のタンパク質の固定化方法。
(7)上記第2工程で、固定化担体のタグ部結合部位はタグ部に対する抗体であることを特徴とする(1)記載のタンパク質の固定化方法。
【0023】
(8)上記タグ部はヒスチジンタグであり、上記抗体は抗ヒスチジンタグ抗体であり、第2工程では、当該ヒスチジンタグと固定化担体との間で抗ヒスチジンタグ抗体を介して相互作用させることを特徴とする(7)記載のタンパク質の固定化方法。
【0024】
(9)(1)〜(8)いずれか一項記載のタンパク質の固定化方法により固定化したタンパク質を有する固定化担体に対して、検出対象の低分子化合物を含む試料を作用させる工程と、
上記固定化担体に固定化されたタンパク質と、上記試料に含まれる低分子化合物との親和性を検出する工程とを含むタンパク質−低分子化合物親和性検出方法。
【0025】
(10)上記親和性を検出する工程では、表面プラズモン共鳴の原理により上記タンパク質と上記低分子化合物との親和性を検出することを特徴とする(9)記載のタンパク質−低分子化合物親和性検出方法。
【0026】
(11)(1)〜(8)いずれか一項記載のタンパク質の固定化方法により固定化したタンパク質を有する固定化担体に対して、検出対象のタンパク質を含む試料を作用させる工程と、
上記固定化担体に固定化されたタンパク質と、上記試料に含まれるタンパク質との親和性を検出する工程とを含むタンパク質−タンパク質親和性検出方法。
【0027】
(12)上記親和性を検出する工程では、表面プラズモン共鳴の原理により上記タンパク質と上記タンパク質との親和性を検出することを特徴とする(11)記載のタンパク質−タンパク質親和性検出方法。
(13)(1)〜(8)いずれか一項記載のタンパク質の固定化方法により、タンパク質を固定化した固定化担体。
【0028】
(14)基板と、基板上に配設され、固定化対象のタンパク質と共有結合可能な反応基が導入された多糖分子鎖とを備え、上記タンパク質が上記反応基と共有結合するとともに、上記多糖分子鎖とキレートを介して相互作用していることを特徴とする(13)記載のタンパク質を固定化した固定化担体。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るタンパク質の固定化方法は、固定化担体に対してタンパク質を固定化する際に適用することができ、特定の技術範囲に限定して適用するものではない。例えば、本発明に係るタンパク質の固定化方法は、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonanse:SPR)の原理を利用した解析に用いるタンパク質を固定化したセンサーチップを作製する際にも適用できるし、SPRの原理以外の原理を利用するセンサーチップを作製する際にも適用できる。例えば、SPRの原理以外の原理としては、水晶振動子マイクロバランス(Quartz−crystal microbalance:QCM)の原理を挙げることができる。
【0030】
さらに、本発明に係るタンパク質の固定化方法は、SPRの原理やQCMの原理を利用したセンサーチップを作製する際に限定されず、例えば、いわゆるプロテインチップ(プロテインアレイ)やアフィニティービーズ(アフィニティーカラム)を作製する際にも適用することができる。
【0031】
以下では、SPRの原理を利用した解析に用いるセンサーチップを例示して説明する。このセンサーチップは図1に示すように、透過性を有する基板1と、基板1の一主面上に配設された金属膜2と、金属膜2上に配設された固定化担体3とを備えている。固定化担体3は、カルボキシル基等の反応基を有する自己組織化単分子膜(SAM)、或いは、SAM及びカルボキシメチルデキストランを、金属膜2上に固定化したものである。
【0032】
固定化担体3は、固定化対象のタンパク質を共有結合する反応基を有している。固定化担体3の反応基とは、固定化対象のタンパク質との間で共有結合を形成する官能基を意味する。反応基としては、例えば、カルボキシル基及びチオール基を挙げることができる。また、固定化担体3は、固定化対象のタンパク質におけるタグ部と結合するタグ部結合部位を有している。タグ部結合部位は、上述するタグ部に応じて適宜選択されるが、例えば、ヒスチジン−タグを有するタンパク質に対してはnitrilotriacetic acid(NTA)、グルタチオンSトランスフェラーゼ−タグを有するタンパク質に対してはグルタチオン、マルトース結合タンパク質−タグを有するタンパク質に対してはマルトースを挙げることができる。また、抗原ペプチドをタグ部として有するタンパク質に対しては、タグ部結合部位として当該抗原ペプチドと抗原抗体反応する抗体をタグ部結合部位として使用することができる。
【0033】
また、本発明に係るタンパク質の固定化方法において、固定化対象としては、タグ部を有するタンパク質であれば特に限定されず、如何なるタンパク質も適用することができる。ここで、タグ部とは、固定化担体3側のタグ結合部位と相互作用して、タンパク質と固定化担体3との結合に寄与する部位である。タグ部としては、例えば、ヒスチジン−タグ(以下、His−タグと呼ぶ)、グルタチオンSトランスフェラーゼ−タグ(以下、GST−タグと呼ぶ)、マルトース結合タンパク質−タグ(以下、MBP−タグと呼ぶ)、抗原ペプチド−タグ等を挙げることができる。抗原ペプチド−タグとは、抗体が存在するペプチドをタグとするものであり、例えば、His−タグ、His G−タグ、HA−タグ、C−myc−タグ、myc−タグ、BPV−1−タグ、cl−タグ、Cre recombinase−タグ、FLAG−タグ、NS1(81)−タグ、green fluorescent protein(GFP)−タグ、IRS−タグ、LexA−タグ、Thioredoxin−タグ、Polyoma virus medium T antigen epitope−タグ、SV40 Large T Antigen−タグ、Paramoxyvirus SV5−タグ、Xpress−タグ、GST−タグ、MBP−タグ等を挙げることができる。
【0034】
タンパク質としては、何ら限定されず、如何なる特性、性質のタンパク質をも適用することができる。特に、タンパク質としては、塩基性タンパク質であっても酸性タンパク質であってもよく、また、疎水性タンパク質であっても親水性タンパク質であっても良い。
【0035】
タグ部を有するタンパク質は、例えば、タグ部をコードする遺伝子と、タンパク質をコードする遺伝子とをフレームが一致した状態で有する発現ベクターを用いて形質転換し、形質転換細胞中でタグ部とタンパク質との融合タンパク質として発現させ、当該融合タンパク質を回収することで調製できる。
【0036】
本発明に係るタンパク質の固定化方法では、先ず、固定化担体3の反応基を活性化させる。活性化とは、反応基を、当該反応基の近傍に存在する固定化対象のタンパク質に対して共有結合を形成しうる状態に遷移させることを意味する、反応基としてカルボキシル基を有する固定化担体3に対しては、例えば、N−ethyl−N’−(dimethylaminopropyl)carbodiimide(EDC)とN−hydroxysuccinimide(NHS)の混合液を作用させることによって、カルボキシル基を活性化することができる。
【0037】
次に、本発明に係るタンパク質の固定化方法では、固定化担体3に対して固定化対象のタンパク質を作用させ、当該固定化対象のタンパク質が有するタグ部と固定化担体3とを相互作用させる。ここで相互作用とは、タグ部とタグ部結合部位とが結合し、当該タンパク質と固定化担体3とが比較的緩やかに結合することを意味する。例えば、タグ部としてHis−タグを有するタンパク質の場合、固定化担体3に導入されたNTAにニッケル等の金属をトラップさせ、ニッケルを介してHis−タグとNTAとが錯体を形成する。ニッケルをNTAにトラップさせるのは固定化担体3の活性化の前後どちらでもかまわない。これにより、His−タグを有するタンパク質とNTAを導入した固定化担体3とを相互作用させることができる。
【0038】
また、タグ部としてGST−タグを有するタンパク質の場合、グルタチオンが導入された固定化担体3と当該タンパク質とを、生理的条件のリン酸緩衝液(たとえばPBS)や生理的条件のHepes緩衝液(たとえばHBS)中に共存させることで相互作用させることができる。さらに、抗原ペプチドを有するタンパク質及び抗体を導入した固定化担体3を用いる場合も、同様に、生理的条件のリン酸緩衝液(たとえばPBS)や生理的条件のHepes緩衝液(たとえばHBS)中に共存させることで相互作用させることができる。
【0039】
本発明に係るタンパク質の固定化方法では、上述したように、固定化対象のタンパク質が有するタグ部と固定化担体3とを相互作用させているため、固定化対象のタンパク質は、固定化担体3の近傍に比較的高濃度に存在する。このため、活性化した反応基とタンパク質との間に共有結合が形成しやすい状態となり、活性化した反応基とタンパク質との間に容易に共有結合が形成される。
【0040】
例えば、反応基がカルボキシル基である場合、固定化対象のタンパク質に存在するアミノ基と反応基との間で共有結合を形成、すなわちアミンカップリングを形成する。また、反応基がカルボキシル基である場合、カルボキシル基をPDEA化することにより、固定化対象のタンパク質に存在する遊離のチオール基と反応基との共有結合を形成、すなわちリガンドチオールカップリングを形成する。さらに、固定化対象のタンパク質がカルボキシル基を有する場合、予め当該タンパク質をPDEA (2−(2−pyridinyldithio) ethaneamine hydrochloride)と反応させてカルボキシル基をPDEA化する。また、固定化担体3のカルボキシル基を活性化させた後に、当該カルボキシル基をcystamine dihydrochlorideと反応させ、その後dithiothreitol(DTT)で還元することによりチオール基に変換する。そして、PDEA化したカルボキシル基と、固定化担体3側のチオール基の間で共有結合(ジスルフィド結合)を形成する。すなわち、サーフェスチオールカップリングを形成する。
【0041】
このように、タグ部とタグ結合部位との間の相互作用及び反応基とタンパク質との間の共有結合を形成することによって、固定化対象のタンパク質を固定化担体に固定化することができる。本発明に係るタンパク質の固定化方法によれば、タグ部とタグ部結合部位とを相互作用させるためにタンパク質を固定化担体3の近傍に比較的高濃度に存在させることができる。このため、本発明に係るタンパク質の固定化方法によれば、従来の方法においては固定化担体3の近傍に高濃度に存在させ難いタンパク質を固定化対象とする場合でも、タンパク質を固定化担体3に共有結合させることができる。
【0042】
本発明に係るタンパク質の固定化方法を適用して作製されたセンサーチップは、固定化したタンパク質に親和性を有するようなアナライトと検出するようなシステムに用いることができる。例えば、SPRの原理を利用した解析装置では、図2に示すように、基板1における固定化担体3を配設した主面と反対の主面に配設したプリズム4と、プリズム4を介してセンサーチップに偏光5を入射する光源6と、プリズム4を介して入射した偏光5が金属膜2で反射した反射光7が入射する検出部8と、タンパク質を固定化した固定化担体3に接するフローセル9とを備える。
【0043】
SPRの原理によれば、光源6から金薄膜2に偏光5を全反射するように当てると、反射光7の一部に、反射光強度が低下した部分が観察される。この光の暗い部分の現れる角度(=屈折率の変化)は、センサーチップ上での質量に依存する。固定化担体3に固定化されたタンパク質にアナライトが結合すると、質量変化(=質量増)が生じ、光の暗い部分がIからIIにシフトする(図2)。1mmあたり1ngの物質が結合するとI→IIに0.1度シフトすることが知られている。逆に、解離により質量が減少すれば、II→Iにその分だけ戻る。
【0044】
したがって、図2に示した解析装置によれば、試料を含む溶液をフローセル9内に流入し、反射光7における暗い部分がIからIIにシフトする量を検出部8で検出する。この解析装置では、検出の結果として、センサーチップ表面での質量変化を縦軸にとり、質量の時間変化を測定データとして表示する(センサーグラム)。縦軸の単位は、Resonance Unit(=RU:レゾナンスユニット)で表され、1RU=1pg/mmに相当する。この屈折率変化の割合は、すべての生体分子(タンパク質・核酸・脂質)で実質的に同じであり、生体分子を標識することなく、相互作用をリアルタイムでみることができる。
【0045】
このようなSPRの原理を利用した解析装置を用いれば、特に、タンパク質と低分子化合物の相互作用解析を行うことができ、なかでも新規創薬ターゲットおよび新規医薬品候補化合物を効率的に行うことができる。特に、本発明に係るタンパク質の固定化方法を適用して作製したセンサーチップでは、タンパク質の種類に限定されずに如何なるタンパク質も固定化できると同時に、タンパク質を長期間にわたって強固に固定化することができるため、多種類のタンパク質を用いた新規創薬ターゲットあるいは新規医薬品候補化合物のスクリーニングが可能となる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
【0047】
[比較例1]
比較例1として、センサーチップに対して、共有結合(アミンカップリング)を介してタンパク質を固定化する方法を説明する。
アミンカップリング法では、タンパク質の種類毎にプレコンセントレーションに適したpHの緩衝液を見つける必要がある。これは、pH5.5、pH5.0、pH4.5、及び、pH4.0の10mM程度の酢酸ナトリウム緩衝液で、タンパク質を20μg/mL程度に希釈した複数の溶液を調製し、センサーチップに各溶液を作用させることで、センサーチップに対するタンパク質の静電的吸着を引き起こし、静電的吸着を測定することで確認する。
【0048】
本例では、センサーチップとして固定化担体にカルボキシメチル基が導入されたCM5センサーチップ(ビアコア社製)を用い、タンパク質としてヒト血清アルブミン(HSA)を用い、測定装置としてSPRの原理を利用したBiacore 3000(ビアコア社製)を用いた。
【0049】
操作は、先ず、CM5センサーチップをBiacore3000にセットしてランニング緩衝液(HBS−EPなど)でシステムを満たし、そこに上記の各pHの酢酸ナトリウム緩衝液で希釈したタンパク質溶液を流速10μL/分程度で吸着が定常状態に達するまで1分から5分程度インジェクションした。この操作において、レスポンス(RU)を測定した。RU値を測定した結果を示すセンサーグラムを図3に示す。
【0050】
そして、各pHの酢酸ナトリウム緩衝液で希釈したタンパク質溶液のうちで、RU値が上昇したものをプレコンセントレーションに適した緩衝液であるとして選んだ。具体的には、図3に示したように、プレコンセントレーションの速さと定常状態の結合量の多さから、pH5.0の10mM酢酸ナトリウム緩衝液がプレコンセントレーションに適した緩衝液であると判断した。
【0051】
以上の検討から、比較例1では、pH5.0の10mM酢酸ナトリウム緩衝液でHSAを希釈してアミンカップリング法でHSAの固定化を以下のように行った。先ず、Biacore3000にCM5センサーチップをセットしてランニング緩衝液(HBS−EPなど)でシステムを満たした。次に、システムに0.2 M N−ethyl−N’−(dimethylaminopropyl)carbodiimide(EDC)と0.05 M N−hydroxysuccinimide(NHS)の混合液を流速20μL/分で8分間処理した。これにより、CM5センサーチップ上のカルボキシル基を活性化(活性中間体を形成する)した。次に、システムに10mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)で20μg/mLに希釈したHSAを7分間 加えた。これにより、活性化中間体とHSAのアミノ基とが共有結合を形成し、HSAをCM5センサーチップ上に固定化した。
【0052】
次に、システムに対して、1Mエタノールアミンを流速10μL/分、7分間処理した。これにより、反応せずに残った活性中間体とエタノールアミンを反応させた。次に、システムに対して50mM程度の水酸化ナトリウムを20μL/分、1分間処理して洗浄し、共有結合せずにCM5センサーチップ上に残った微量のHSAを除去した。
【0053】
以上の操作により固定化されたHSAの量は、固定化終了時のレスポンスから固定化開始時のレスポンスを差し引くことで計算され、4944.9RUが安定に固定化された。以上の操作におけるセンサーグラムを図4に示す。
【0054】
[比較例2]
比較例2では、固定化対象のタンパク質として酸性タンパク質を使用した以外は、比較例1と同様にして行った例である。具体的には、酸性タンパク質としてヒトトリプシンを用いた。
【0055】
本例では、ヒトトリプシンにおけるプレコンセントレーションに適したpHの緩衝液を見つける必要がある。これを比較例1と同様に検証するため、pH5.5、pH5.0、pH4.5、及び、pH4.0の10mM程度の酢酸ナトリウム緩衝液で、ヒトトリプシンを20μg/mL程度に希釈した複数の溶液を調製した。
【0056】
このように調製した複数の溶液を用いて、比較例1と同様にして、レスポンス(RU)を測定した。しかしながら、pH4.0の酢酸ナトリウム緩衝液で希釈した溶液であっても、プレコンセントレーションしなかった。また、pH4.0以下の酢酸ナトリウム緩衝液で希釈した溶液を用いることで、かろうじてプレコンセントレーションしたとしても、その後のアミンカップリング反応に際して、上記溶液のpHがアミンカップリング反応の至適pH(pH8程度)から解離した条件となる。この場合、酸性タンパク質は固定化されない。
【0057】
具体的に、本例の場合、pH4.0の10mM程度の酢酸ナトリウム緩衝液希釈した溶液でもプレコンセントレーションは、30秒間で20RU程度であり固定化は全く不可能であった。
【0058】
[比較例3]
比較例3として、センサーチップに対して、タンパク質のタグ部(His−タグ)を介して当該タンパク質を固定化する方法を説明する。
【0059】
本例では、タンパク質として、N末端にHis−タグを付加したCOX−2を用い、センサーチップとして固定化担体にnitrilotriacetic acidを導入したNTAセンサーチップ(ビアコア社製)を用い、測定装置としてBiacore3000(ビアコア社製)を用いた。
【0060】
操作は、先ず、NTAセンサーチップをBiacore3000にセットし、ランニング緩衝液(0.005%サーファクタントP20,PBSなど)でシステムを満たす。次に、システムに、0.5M NiClを流速20μL/分で1分間インジェクションした。これにより、NTAセンサーチップ上のNTAにNi2+をトラップさせた。次に、N末端His−タグCOX−2を含む溶液を流速10μL/分で20分間インジェクションした。これにより、NTAセンサーチップ上に、His−タグを介してCOX−2を固定化することができた。すなわち、N末端His−タグCOX−2は、Ni2+を結合させた状態のNTAと安定な錯体を形成することで、NTAセンサーチップ上に固定化された。
なお、N末端His−タグCOX−2を含む溶液は、上記ランニング緩衝液で100nM程度に希釈することで調製した。
【0061】
以上の操作におけるセンサーグラムを図5に示す。図5から判るように、N末端His−タグCOX−2は、一旦10,866 RU固定化された。しかしながら、N末端His−タグCOX−2の固定化は不安定であり、その後、ランニング緩衝液を流しつづけるだけで固定化されたN末端His−タグCOX−2は少しずつチップから剥がれていった。
【0062】
[比較例4]
比較例4では、固定化対象のタンパク質として、N末端にHis−タグを付加したFK506結合タンパク質(N末端His−タグFKBP)を使用した以外は、比較例3と同様にして行った例である。なお、N末端His−タグFKBPを含む溶液は、N末端His−タグFKBPを発現させた大腸菌を超音波処理等で破砕した溶菌液をランニング緩衝液で100倍に希釈して調製した。
【0063】
操作は、N末端His−タグFKBPを固定化するに際して、N末端His−タグFKBPを含む溶液を流速10μL/分で5分間インジェクションした以外は比較例3と同様に行った。以上の操作におけるセンサーグラムを図6に示す。
【0064】
図6から判るように、一旦、N末端HisタグFKBPが5061.7RU固定化されたが、固定化は不安定であり、その後緩衝液を流しつづけるだけで固定化されたN末端HisタグFKBPは急速にNTAセンサーチップから剥がれ、20分間後には1766.2RUまでに減少してしまった。
【0065】
[比較例5]
比較例5では、比較例3で作製したNTAセンサーチップに対して低分子化合物を作用させたときのN末端His−タグCOX−2と化合物との相互作用を解析した。低分子化合物としては、COX−2に対する選択的阻害剤として知られているNS398を用いた。
【0066】
操作は、先ず、比較例3のNTAセンサーチップをセットしたBiacore3000のシステムに、ランニング緩衝液(5%DMSO, 0.005%サーファクタントP20,PBSなど)を満たす。この状態で、NS398を1x10−8Mから徐々に濃度を上昇させながらインジェクション(流速10μL/分で1分間)を繰り返した。各濃度でNS398をインジェクションした際のセンサーグラムを重ね合わせた結果を図7に示す。図7においては、各濃度におけるインジェクション開始時(0時)のレスポンスを0として重ね合わせた。
【0067】
低濃度のNS−398から連続して順次高濃度のNS−398をインジェクションしたところ、1x10−5M以上の濃度で、NTAセンサーチップに固定化されたN末端His−タグCOX−2とNS−398との結合が見られた。この結合は、NS−398存在下で観察され、インジェクションの終了によって速やかに解離していた。しかしながら、図7に示したように、各濃度におけるインジェクションの結果は、ベースラインの減少のため、重ねることが出来ず、親和性の解析を行うことは困難であった。
【0068】
[比較例6]
比較例6では、比較例4で作製したNTAセンサーチップに対して低分子化合物を作用させたときのN末端His−タグFKBPと化合物との相互作用を解析した。低分子化合物としては、FKBPに結合することが知られているFK506を用いた。
【0069】
操作は、先ず、比較例4のNTAセンサーチップをセットしたBiacore3000のシステムに、ランニング緩衝液(5%DMSO, 0.005%サーファクタントP20,PBSなど)を満たす。この状態で、FK506を1x10−8Mから徐々に濃度を上昇させながらインジェクション(流速10μL/分で1分間)を繰り返した。各濃度でFK506をインジェクションした際のセンサーグラムを重ね合わせた結果を図8に示す。図8においては、各濃度におけるインジェクション開始時(0時)のレスポンスを0として重ね合わせた。
しかしながら、図8に示した結果から、NTAセンサーチップに固定化したN末端His−タグFKBPとFK506との結合はほとんど見られなかった。
【0070】
[実施例1]
実施例1では、本発明を適用して、センサーチップに対して、共有結合(アミンカップリング)及びタグ部を介してタンパク質を固定化する方法を説明する。本例では、タンパク質として、N末端にHis−タグを付加したFKBPを用い、センサーチップとして固定化担体にnitrilotriacetic acidを導入したNTAセンサーチップ(ビアコア社製)を用い、測定装置としてBiacore3000(ビアコア社製)を用いた。
【0071】
まず、NTAセンサーチップをBiacore3000にセットし、ランニング緩衝液(0.005%P20, PBS pH7.4など)でシステムを満たした。次に、システムに対して、0.2 M N−ethyl−N’−(dimethylaminopropyl) carbodiimide(EDC)と0.05 M N−hydroxysuccinimide(NHS)の混合液を流速10μL/分で7分間処理した。これによりNTAセンサーチップ上のカルボキシル基を活性化(活性中間体を形成する)した。この際、NTAセンサーチップの固定化担体であるカルボキシルメチルデキストランのカルボキシル基およびNTAのカルボキシル基の一部が活性中間体となると考えられるが、後のNi2+とN末端HisタグFKBPとの錯体形成には一部の未反応のまま残ったNTAで十分と考えられる。
【0072】
次に、システムに対して、0.5M NiClを流速20μL/分で1分間インジェクションした。これによりNTAセンサーチップ上のNTAにNi2+をトラップさせた。次に、システムに対して、N末端His−タグFKBPを含む溶液を流速10μL/分で20分間程度インジェクションした。これにより、N末端His−タグFKBPは、Ni2+を結合させた状態のNTAと錯体を形成することでNTAセンサーチップ上にコンセントレーション(濃縮)されるとともに、活性中間体と共有結合を効率的に形成し、NTAセンサーチップ上に強固に固定化された。なお、N末端His−タグFKBPを含む溶液は、N末端His−タグFKBPを発現させた大腸菌を超音波処理等で破砕した溶菌液をランニング緩衝液で100倍に希釈して調製した。
【0073】
次に、システムに対して、1Mエタノールアミンを流速10μL/分、7分間インジェクションした。これにより、反応せずに残った活性中間体とエタノールアミンとを反応させて固定化反応を終了した。次に、システムに対して、50mM程度の水酸化ナトリウムを20μL/分、1分間インジェクションした。これにより、NTAセンサーチップを洗浄し、また、共有結合されずにNTAセンサーチップ上に残った微量のN末端His−タグFKBP等を除去した。
【0074】
以上の操作におけるセンサーグラムを図9に示す。図9から、N末端HisタグFKBPは、NTAセンターチップのNTAに対してNi2+との親和性で一旦12,664RU結合した。その後、エタノールアミン処理、及び、水酸化ナトリウムによる洗浄処理を経た後であっても、N末端HisタグFKBPは、乖離することなく、6732.2RUがセンサーチップに固定化された。これは、N末端HisタグFKBPがNTAに対してNi2+との親和性で結合するときに、ほぼ同時に、アミンカップリング(共有結合)を形成したためである。
【0075】
実施例1の結果と比較例4の結果とを比較すると、NTAセンサーチップ上のカルボキシル基を活性化した後、His−タグを介してFKBPをNTAセンサーチップ上に結合させるとともに、共有結合を介してFKBPをNTAセンサーチップ上に固定化することで、FKBPをより強固に固定化できることが明らかとなった。
【0076】
[実施例2]
実施例2では、タンパク質としてN末端HisタグCOX−2を用いた以外は、実施例1と同様にしてタンパク質を固定化する方法を説明する。なお、N末端HisタグCOX−2を含む溶液は、上記ランニング緩衝液で100nM程度に希釈することで調製した。
【0077】
本例では、N末端His−タグCOX−2を固定化する際に、N末端His−タグCOX−2を含む溶液を流速10μL/分で30分間程度インジェクションした。その後は、実施例1と同様に、エタノールアミンを反応させて固定化反応を終了し、50mM程度の水酸化ナトリウムを用いて洗浄した。
【0078】
以上の操作におけるセンサーグラムを図10に示す。図10から、N末端HisタグCOX−2は9,219RU安定に固定化された。また、本例においても、エタノールアミン処理、及び、水酸化ナトリウムによる洗浄処理を経た後であっても、N末端HisタグCOX−2を、乖離することなくNTAセンサーチップ上に強固に固定化することができた。
【0079】
[実施例3]
実施例3では、本発明を適用して、センサーチップに対して、共有結合(アミンカップリング)及びタグ部を介してタンパク質を固定化する方法を説明する。本例では、タンパク質として、N末端HisタグCyclophilin Aを用い、センサーチップとして抗Hisタグ抗体を固定したCM5センサーチップ(ビアコア社製)を用い、測定装置としてBiacore3000(ビアコア社製)を用いた。
【0080】
まず、抗Hisタグ抗体を固定化したCM5センサーチップ(以下、抗Hisタグ抗体センサーチップと示す)をBiacore3000にセットし、ランニング緩衝液(HBS−EP:ビアコア社製品)でシステムを満たした。なお、抗Hisタグ抗体のCM5センサーチップへの固定化は、通常のアミンカップリング法で容易に行うことができ、本実施例では約10,000RUの抗5XHisタグ抗体(QIAGEN社製品)が固定化された。
【0081】
ついで、抗Hisタグ抗体センサーチップ上のカルボキシル基を0.2 M N−ethyl−N’−(dimethylaminopropyl) carbodiimide(EDC)と0.05 M N−hydroxysuccinimide(NHS)の混合液で流速10uL/分、4分間処理することで活性化(活性中間体を形成する)した。この際、カルボキシルメチルデキストランのカルボキシル基および抗体のカルボキシル基の一部が活性中間体となると考えられるが、後の抗体とHisタグタンパク質との結合には一部の未反応のまま残った抗体で十分と考えられる。
【0082】
次に、システムに対して、N末端His−タグCyclophilin A希釈液を流速10uL/分で30分間程度インジェクションした。これにより、Hisタグを有するタンパク質は、抗His抗体と親和性結合することでセンサーチップ上にコンセントレーション(濃縮)され、効率的に活性中間体と共有結合を形成し強固にセンサーチップ上に固定化される。なお、N末端His−タグCyclophilin Aを含む溶液は、N末端His−タグCyclophilin Aを発現させた大腸菌を超音波処理等で破砕した溶菌液をランニング緩衝液で希釈して用いた。
【0083】
次に、システムに対して、1Mエタノールアミンを流速10uL/分、7分間インジェクションして反応せずに残った活性中間体とエタノールアミンを反応させて固定化反応を終了した。次に、システムに対して、pH1.5のグリシン−塩酸緩衝液を、1分間処理した。これにより、CM5センサーチップを洗浄し、また、共有結合されずにCM5センサーチップ上に残った微量のN末端His−タグCyclophilin A等を除去した。
【0084】
以上の操作におけるセンサーグラムを図11に示す。図11から、N末端His−タグCyclophilin Aは抗体との親和性で一旦1,644RU結合し、その後、エタノールアミン処理、及び、グリシン−塩酸緩衝液による洗浄処理を経た後であっても、N末端His−タグCyclophilin Aは、乖離することなく、1,049RUがセンサーチップに固定化された。これは、N末端His−タグCyclophilin Aが抗His抗体に対して結合するときに、ほぼ同時に、アミンカップリング(共有結合)を形成したためである。
【0085】
[実施例4]
実施例4では、タンパク質としてN末端HisタグAkt1/PKBα(Upstate Biotechnology社製、商品名14−341)を用いた以外は、実施例1と同様にしてタンパク質を固定化する方法を説明する。Akt1/PKBαは、セリン/スレオニン・プロテインカイネースであることが知られている。なお、本例においてAkt1/PKBαは、市販品保存溶液から脱塩カラムにてイミダゾールを除去した後に使用した。
【0086】
本例では、実施例1と同様に、N末端His−タグAkt1/PKBαを固定化し、エタノールアミンを反応させて固定化反応を終了し、50mM程度の水酸化ナトリウムを用いて洗浄した。以上の操作におけるセンサーグラムを図12に示す。図12から、N末端HisタグAkt1/PKBαは5018.7RU安定に固定化された。また、本例においても、エタノールアミン処理、及び、水酸化ナトリウムによる洗浄処理を経た後であっても、N末端HisタグAkt1/PKBαを、乖離することなくNTAセンサーチップ上に強固に固定化することができた。
【0087】
[実施例5]
実施例5では、タンパク質としてN末端HisタグMSK1(Upstate Biotechnology社製、商品名14−438)を用いた以外は、実施例1と同様にしてタンパク質を固定化する方法を説明する。MSK1は、セリン/スレオニン・プロテインカイネースであることが知られている。
【0088】
本例では、実施例1と同様に、N末端HisタグMSK1を固定化し、エタノールアミンを反応させて固定化反応を終了し、50mM程度の水酸化ナトリウムを用いて洗浄した。以上の操作におけるセンサーグラムを図13に示す。図13から、N末端HisタグMSK1は6232.3RU安定に固定化された。また、本例においても、エタノールアミン処理、及び、水酸化ナトリウムによる洗浄処理を経た後であっても、N末端HisタグMSK1を、乖離することなくNTAセンサーチップ上に強固に固定化することができた。
【0089】
[実施例6]
実施例6では、タンパク質としてN末端HisタグPKA(Upstate Biotechnology社製、商品名14−440)を用いた以外は、実施例1と同様にしてタンパク質を固定化する方法を説明する。PKAは、セリン/スレオニン・プロテインカイネースであることが知られている。
【0090】
本例では、実施例1と同様に、N末端HisタグPKAを固定化し、エタノールアミンを反応させて固定化反応を終了し、50mM程度の水酸化ナトリウムを用いて洗浄した。以上の操作におけるセンサーグラムを図14に示す。図14から、N末端HisタグPKAは4,134.5RU安定に固定化された。また、本例においても、エタノールアミン処理、及び、水酸化ナトリウムによる洗浄処理を経た後であっても、N末端HisタグPKAを、乖離することなくNTAセンサーチップ上に強固に固定化することができた。
【0091】
[実施例7]
実施例7では、タンパク質としてN末端HisタグPRAK(Upstate Biotechnology社製、商品名14−334)を用いた以外は、実施例1と同様にしてタンパク質を固定化する方法を説明する。PRAKは、セリン/スレオニン・プロテインカイネースであることが知られている。
【0092】
本例では、実施例1と同様に、N末端HisタグPRAKを固定化し、エタノールアミンを反応させて固定化反応を終了し、50mM程度の水酸化ナトリウムを用いて洗浄した。以上の操作におけるセンサーグラムを図15に示す。図15から、N末端HisタグPRAKは5,869.6RU安定に固定化された。また、本例においても、エタノールアミン処理、及び、水酸化ナトリウムによる洗浄処理を経た後であっても、N末端HisタグPRAKを、乖離することなくNTAセンサーチップ上に強固に固定化することができた。
【0093】
[実施例8]
実施例8では、タンパク質としてN末端HisタグROKα/ROCK−II(Upstate Biotechnology社製、商品名14−338)を用いた以外は、実施例1と同様にしてタンパク質を固定化する方法を説明する。ROKα/ROCK−IIは、セリン/スレオニン・プロテインカイネースであることが知られている。
【0094】
本例では、実施例1と同様に、N末端HisタグROKα/ROCK−IIを固定化し、エタノールアミンを反応させて固定化反応を終了し、50mM程度の水酸化ナトリウムを用いて洗浄した。以上の操作におけるセンサーグラムを図16に示す。図16から、N末端HisタグROKα/ROCK−IIは4775.5RU安定に固定化された。また、本例においても、エタノールアミン処理、及び、水酸化ナトリウムによる洗浄処理を経た後であっても、N末端HisタグROKα/ROCK−IIを、乖離することなくNTAセンサーチップ上に強固に固定化することができた。
【0095】
[実施例9]
実施例9では、実施例1で作製したNTAセンサーチップに対して低分子化合物を作用させたときのN末端His−タグFKBPと化合物との相互作用を解析した。低分子化合物としては、FKBPに結合することが知られているFK506を用いた。
【0096】
操作は、先ず、実施例1のNTAセンサーチップをセットしたBiacore3000のシステムに、ランニング緩衝液(0.005%P20、5%DMSO、PBS pH7.4)を満たす。この状態で、FK506を5x10−10Mから徐々に濃度を上昇させながらインジェクション(流速50μL/分で1分間)を繰り返した。なお、各濃度でのインジェクション後、10mM glycine−HCl pH1.5を30秒間インジェクションしてFK506を解離させ再生させた。
【0097】
各濃度でFK506をインジェクションした際のセンサーグラムを重ね合わせた結果を図17に示す。図17においては、各濃度におけるインジェクション開始時(0時)のレスポンスを0として重ね合わせた。
【0098】
低濃度のFK506から連続して順次高濃度のFK506をインジェクションしたところ、5x10−8M以上の濃度で、NTAセンサーチップに固定化されたN末端His−タグFKBPとFK506との結合が見られた。また、レスポンスが10RU以上だった1x10−5 Mと5x10−6 Mの結果を選び、結合定数の算出を行ったところ、N末端His−タグFKBPとFK506の結合定数は3x10−9Mであり、文献値(0.4nM)よりはやや高い値となったが、測定温度の影響等を考えると特異的結合が検出できたものと考えられた。
【0099】
[実施例10]
実施例10では、実施例2で作製したNTAセンサーチップに対して低分子化合物を作用させたときのN末端HisタグCOX−2と化合物との相互作用を解析した。低分子化合物としては、COX−2に結合することが知られているNS−398を用いた。
【0100】
操作は、先ず、実施例2のNTAセンサーチップをセットしたBiacore3000のシステムに、ランニング緩衝液(0.005%P20、5%DMSO、PBS pH7.4)を満たす。この状態で、NS−398を5x10−8Mから徐々に濃度を上昇させながらインジェクション(流速50μL/分で1分間)を繰り返した。なお、各濃度でのインジェクション後、10mM glycine−HCl pH2.0を流速50μL/分で30秒間インジェクションしてNS−398を解離させ再生させた。なお、NS−398とCOX−2の結合は再生操作をしなくともNS−398のインジェクション終了後速やかに解離することから再生操作は比較的温和な条件とした。
【0101】
各濃度でNS−398をインジェクションした際のセンサーグラムを重ね合わせた結果を図18に示す。図18においては、各濃度におけるインジェクション開始時(0時)のレスポンスを0として重ね合わせた。
【0102】
低濃度のNS−398から連続して順次高濃度のNS−398をインジェクションしたところ、5x10−6 M以上の濃度で、NTAセンサーチップに固定化されたN末端His−タグCOX−2とNS−398との結合が見られた。また、レスポンスが高い5x10−5 M、1x10−6 M、及び、5x10−6 Mの結果を選び、結合定数の算出を行ったところ、N末端His−タグCOX−2とNS−398の結合定数はKd=5x10−4 Mであった。文献ではNS−398のCOX−2に対するKiは11.50μMであり、今回の結果はこれに対応するものと考えられた。
【0103】
[実施例11]
実施例11では、実施例3で作製したCM5センサーチップに対して低分子化合物を作用させたときのN末端His−タグCyclophilin Aと化合物との相互作用を解析した。低分子化合物としては、Cyclophilin Aに結合することが知られているCyclosporin Aを用いた。
【0104】
操作は、先ず、実施例3のCM5センサーチップをセットしたBiacore3000のシステムに、ランニング緩衝液(5%DMSO、HBS−EP緩衝液)を満たした。この状態で、Cyclosporin Aを5x10−8Mから徐々に濃度を上昇させながらインジェクション(流速50μL/分で1分間)を繰り返した。なお、Cyclophilin AとCyclosporin Aの結合は、再生操作をしなくともCyclosporin Aのインジェクション終了後速やかに解離することから、再生操作は行わなかった。
【0105】
各濃度でCyclosporin Aをインジェクションした際のセンサーグラムを重ね合わせた結果を図19に示す。図19においては、各濃度におけるインジェクション開始時(0時)のレスポンスを0として重ね合わせた。
【0106】
低濃度のCyclosporin Aから連続して順次高濃度のCyclosporin Aをインジェクションしたところ、1x10−8 M以上の濃度で、CM5センサーチップに固定化されたN末端His−タグCyclophilin AとCyclosporin Aとの結合が見られた。また、1x10−5Mまでの結果を選び、結合定数の算出を行ったところ、N末端His−タグCyclophilin AとCyclosporin Aの結合定数はKd=8.8x10−8 Mであり、文献値とほぼ一致した。
【0107】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明に係るタンパク質の固定化方法は、固定化対象のタンパク質と共有結合可能な反応基を活性化させ、その後、固定化対象のタンパク質が有するタグ部と当該固定化担体とを相互作用させ、固定化担体の反応基と固定化対象のタンパク質とを共有結合させる。本発明に係るタンパク質の固定化方法によれば、タグ部を有する全てのタンパク質を固定化することが可能であり、且つ、固定化対象のタンパク質を固定化担体に対して長期間に亘って強固に固定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るタンパク質の固定化方法を適用して作製したセンサーチップの要部断面図である。
【図2】SPRの原理を利用した解析装置の構成を説明するための概略構成図である。
【図3】各種pHにおけるタンパク質溶液を用いた場合の時間とレスポンスとの関係を示す特性図である。
【図4】HASの固定化操作におけるセンサーグラムを示す特性図である。
【図5】比較例3で行ったN末端His−タグCOX−2の固定化操作におけるセンサーグラムを示す特性図である。
【図6】比較例4で行ったN末端HisタグFKBPの固定化操作におけるセンサーグラムを示す特性図である。
【図7】比較例5で行ったN末端His−タグCOX−2とNS−398との相互作用を測定した結果を示す特性図である。
【図8】比較例6で行ったN末端His−タグFKBPとFK506との結合を測定した結果を示す特性図である。
【図9】実施例1で行ったN末端HisタグFKBPをNTAセンサーチップに固定化する操作におけるセンサーグラムを示す特性図である。
【図10】実施例2で行ったN末端HisタグCOX−2をNTAセンサーチップに固定化する操作におけるセンサーグラムを示す特性図である。
【図11】実施例3で行ったN末端His−タグCyclophilin AをCM5センサーチップに固定化する操作におけるセンサーグラムを示す特性図である。
【図12】実施例4で行ったN末端HisタグAkt1/PKBαをNTAセンサーチップに固定化する操作におけるセンサーグラムを示す特性図である。
【図13】実施例5で行ったN末端HisタグMSK1をNTAセンサーチップに固定化する操作におけるセンサーグラムを示す特性図である。
【図14】実施例6で行ったN末端HisタグPKAをNTAセンサーチップに固定化する操作におけるセンサーグラムを示す特性図である。
【図15】実施例7で行ったN末端HisタグPRAKをNTAセンサーチップに固定化する操作におけるセンサーグラムを示す特性図である。
【図16】実施例8で行ったN末端HisタグROKα/ROCK−IIをNTAセンサーチップに固定化する操作におけるセンサーグラムを示す特性図である。
【図17】実施例9で行ったN末端His−タグFKBPとFK506との結合を測定した結果を示す特性図である。
【図18】実施例10で行ったN末端HisタグCOX−2とNS−398との結合を測定した結果を示す特性図である。
【図19】実施例11で行ったN末端His−タグCyclophilin AとCyclosporin Aとの結合を測定した結果を示す特性図である。
【符号の説明】
1…基板、2…金属膜、3…固定化担体、4…プリズム、5…偏光、6…光源、7…反射光、8…検出部、9…フローセル

Claims (14)

  1. タグ部を有する固定化対象のタンパク質に対して共有結合可能な反応基を有する固定化担体における当該反応基を活性化する第1工程と、
    上記第1工程の後、上記固定化担体に対して、上記固定化対象のタンパク質を含む溶液を作用させる第2工程とを含み、
    上記第2工程では、上記タグ部と上記固定化担体のタグ部結合部位との間の相互作用及び上記反応基と上記タンパク質との間の共有結合を介して、上記タンパク質を上記固定化担体に固定化することを特徴とするタンパク質の固定化方法。
  2. 上記反応基はカルボキシル基であり、第2工程では、当該カルボキシル基と上記固定化対象のタンパク質におけるアミノ基と間でアミンカップリングさせることを特徴とする請求項1記載のタンパク質の固定化方法。
  3. 上記タグ部はヒスチジンタグであり、上記第2工程では、当該ヒスチジンタグと固定化担体との間で相互作用させることを特徴とする請求項1記載のタンパク質の固定化方法。
  4. 上記第2工程で、上記ヒスチジンタグと固定化担体との間で錯体を介して相互作用させることを特徴とする請求項3記載のタンパク質の固定化方法。
  5. 上記第2工程で、上記ヒスチジンタグと固定化担体との間でNi2+−nitrilotriacetic acid(Ni−NTA)を介して相互作用させることを特徴とする請求項4記載のタンパク質の固定化方法。
  6. 上記第2工程で、当該ヒスチジンタグと固定化担体との間でNi2+−iminodiacetic acid(Ni−IDA)を介して相互作用させることを特徴とする請求項4記載のタンパク質の固定化方法。
  7. 上記第2工程で、固定化担体のタグ部結合部位はタグ部に対する抗体であることを特徴とする請求項1記載のタンパク質の固定化方法。
  8. 上記タグ部はヒスチジンタグであり、上記抗体は抗ヒスチジンタグ抗体であり、第2工程では、当該ヒスチジンタグと固定化担体との間で抗ヒスチジンタグ抗体を介して相互作用させることを特徴とする請求項7記載のタンパク質の固定化方法。
  9. 請求項1〜8いずれか一項記載のタンパク質の固定化方法により固定化したタンパク質を有する固定化担体に対して、検出対象の低分子化合物を含む試料を作用させる工程と、
    上記固定化担体に固定化されたタンパク質と、上記試料に含まれる低分子化合物との親和性を検出する工程とを含むタンパク質−低分子化合物親和性検出方法。
  10. 上記親和性を検出する工程では、表面プラズモン共鳴の原理により上記タンパク質と上記低分子化合物との親和性を検出することを特徴とする請求項9記載のタンパク質−低分子化合物親和性検出方法。
  11. 請求項1〜8いずれか一項記載のタンパク質の固定化方法により固定化したタンパク質を有する固定化担体に対して、検出対象のタンパク質を含む試料を作用させる工程と、
    上記固定化担体に固定化されたタンパク質と、上記試料に含まれるタンパク質との親和性を検出する工程とを含むタンパク質−タンパク質親和性検出方法。
  12. 上記親和性を検出する工程では、表面プラズモン共鳴の原理により上記タンパク質と上記タンパク質との親和性を検出することを特徴とする請求項11記載のタンパク質−タンパク質親和性検出方法。
  13. 請求項1〜8いずれか一項記載のタンパク質の固定化方法により、タンパク質を固定化した固定化担体。
  14. 基板と、基板上に配設され、固定化対象のタンパク質と共有結合可能な反応基が導入された多糖分子鎖とを備え、上記タンパク質が上記反応基と共有結合するとともに、上記多糖分子鎖とキレートを介して相互作用していることを特徴とする請求項13記載のタンパク質を固定化した固定化担体。
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