JP2004161561A - 窒化ホウ素ナノチューブの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素などの不純物を含まない高純度で、小径の窒化ホウ素ナノチューブを高い収率で製造する方法を提供する。
【解決手段】ホウ素と酸化ガリウムとを1000℃から2100℃のいずれかの温度で加熱することにより反応させ、次いで、アンモニアを反応させる。
【選択図】 なし
【解決手段】ホウ素と酸化ガリウムとを1000℃から2100℃のいずれかの温度で加熱することにより反応させ、次いで、アンモニアを反応させる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、窒化ホウ素ナノチューブの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、半導体材料、エミッター材料、耐熱性充填材料、高強度材料、触媒、吸着剤等として有用な最小径を有する窒化ホウ素ナノチューブを高純度で製造する窒化ホウ素ナノチューブの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、炭素原子が網目の形で結びついてできたナノメートルサイズの筒状の物質であるカーボンナノチューブは、その特性からナノテクノロジーにおける新素材として注目されている(例えば、非特許文献1参照)。様々な分野への応用が期待されており、例えば、次世代の表示装置であるフィールド・エミッション・ディスプレー(FED)用の電子銃や、電気自動車や携帯電話に用いられる次世代電源である燃料電池の電極材料などへの応用が見込まれている。
【0003】
カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザー加熱法、化学的気相成長法等により合成されている。カーボンナノチューブにおける最小内径は、0.4nmであり、この最小内径を有するカーボンナノチューブの合成法は既に公知である(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
近年、窒化ホウ素が、炭素から成るグラファイトと構造的な類似性を有することから、窒化ホウ素ナノチューブもまた、カーボンナノチューブと同様の反応方法、すなわち、アーク放電法(例えば、非特許文3および非特許文献4参照)、レーザー加熱法(例えば、非特許文献5)、化学的気相成長法(例えば、非特許文献6)を用いて合成できることが知られている。
【0005】
これ以外にも、ホウ化ニッケル(NiB)を触媒として使用し、ボラジンを原料として窒化ホウ素を合成する方法、また、カーボンナノチューブを鋳型として利用し、酸化ホウ素と窒素を高周波誘導加熱炉中で反応させて合成する方法等が提案されている(例えば、非特許文献7および非特許文献8)。また、最近では、二層および単層窒化ホウ素ナノチューブが、改良されたアーク放電法(例えば、非特許文献9および非特許文献10)によって合成されている。
【0006】
窒化ホウ素は、半導体材料、エミッター材料、耐熱性充填材料、高強度材料、触媒、吸着剤等の分野において、従来にない特性を有する材料として利用されることが期待されている。しかしながら、従来の製造方法では窒化ホウ素ナノチューブは収率が低く、少量しか合成できなかったり、あるいは炭素などの不純物が混入したりすることから、半導体特性や強度などの物理的性質の測定を十分に実施することが不可能であるという問題があった。
【0007】
【非特許文献1】
Nature、1991年、354巻、p.56
【非特許文献2】
Nature、2000年、408巻、p.50
【非特許文献3】
Science、1995年、269巻、p.966
【非特許文献4】
Chem.Phys.Letters、1996年、259巻、p.568
【非特許文献5】
Appl.Phys.Letters、2000年、76巻、p.3239
【非特許文献6】
Chem.Mater.、2000年、12巻、p.1808
【非特許文献7】
Appl.Phys.Letters、1998年、73巻、p.3085
【非特許文献8】
Chem.Mater.、2000年、12巻、p.250
【非特許文献9】
Phys.Rev.B、2001年、64巻、p.1405
【非特許文献10】
Chem.Phys.Letters、2000年、316巻、p.211
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、炭素などの不純物を含まない高純度で、小径の窒化ホウ素ナノチューブを高い収率で製造する方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1に、ホウ素と酸化ガリウムとを1000℃から2100℃のいずれかの温度で加熱することにより反応させ、次いで、アンモニアを反応させることを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を提供する。
また、この出願の発明は、上記の窒化ホウ素ナノチューブの製造方法として、第2に、窒化ホウ素ナノチューブを堆積させるための基板としてシリコンウエハーを使用することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を、第3に、基板のシリコンウエハーの温度をホウ素と酸化ガリウムの反応温度よりも低く設定することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を、また、第4に、ホウ素と酸化ガリウムとの反応生成物を移送するキャリヤガスとしてアルゴンを使用することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を提供する。
【0010】
さらに、この出願の発明は、0.4nmの内径を有することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブをも提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に、その実施の形態について説明する。
【0012】
この出願の発明である窒化ホウ素ナノチューブの製造方法においては、まず、ホウ素と酸化ガリウムとを高温下で反応させ、酸化ホウ素と金属ガリウムを生成させる。このとき、ホウ素と酸化ガリウムとの反応温度は1000℃から2100℃のいずれかとする。次いで、得られた酸化ホウ素と金属ガリウムに対してアンモニアを反応させることにより、窒化ホウ素に転換させる。
【0013】
この出願の発明である窒化ホウ素ナノチューブの製造方法においては、原料に炭素を含む化合物を使用していないので、炭素が不純物として混入する問題がなく、高純度の窒化ホウ素ナノチューブの製造が可能となる。さらに、生成した金属ガリウムは高温で触媒活性を失わないので、窒化ホウ素ナノチューブを収率よく製造することが可能である。高温下で加熱反応させるための加熱手段としては高周波誘導加熱炉を用いることが好ましい。反応温度は、上記の通り、1000℃から2100℃のいずれかとすることが好ましい。
【0014】
以下に、この出願の発明である窒化ホウ素ナノチューブの製造方法の具体的手順を示す。
【0015】
まず、ホウ素の粉末と酸化ガリウムの粉末の混合物をよく微粉にして、窒化ホウ素製の容器に入れる。この容器とよく洗浄したシリコンウエハーを上下に離して高周波誘導加熱炉の中に置き、高温に加熱する。温度は1000℃から2100℃とすることが好適である。このとき、シリコン基板の温度は混合物の温度よりも低く設定する。
【0016】
加熱により、ホウ素と酸化ガリウムが反応し、酸化ホウ素と金属ガリウム蒸気が生成する。次に、ここで生成した酸化ホウ素と金属ガリウムを移送するために、アルゴンなどの不活性気体を流す。そして、シリコンウエハーが高温になったとき、アンモニアガスをシリコンウエハーの上に流し、窒化ホウ素生成の反応を行わせる。30分間程度の反応の後に、アンモニアガスの移送を終了し、高周波誘導加熱炉を室温に冷却する。以上の手順により、シリコンウエハー上に無色の窒化ホウ素ナノチューブが堆積する。
【0017】
生成した窒化ホウ素ナノチューブは、折れ曲がった形態のナノチューブ構造を有する。また、生成物の一部は、0.4nmの内径を有している窒化ホウ素ナノチューブである。窒化ホウ素ナノチューブが取りうる最小内径は、0.4nmであることから、この出願の発明により、これまで製造が困難であった最小内径0.4nmを有する窒化ホウ素ナノチューブを製造することが可能となる。
【0018】
以上は、この出願の発明における形態の一例であり、この出願の発明がこれらに限定されることはなく、その細部について様々な形態をとりうることが考慮されるべきであることは言うまでもない。
【0019】
この出願の発明は、以上の特徴を持つものであるが、以下に実施例を示し、さらに具体的に説明する。
【0020】
【実施例】
ホウ素と酸化ガリウムとが6:1のモル比で混合された2gの混合物を、6時間のボールミルを用いた粉砕により微粉化を行った。一方、シリコンウエハーの表面を、アセトンで洗浄し、さらに、硝酸とフッ酸でエッチングすることにより、清浄した。原料混合物とシリコンウエハーの基板とを、窒化ホウ素製の容器の内部に一定間隔を有するようにして配置した。この窒化ホウ素製の容器を、高周波誘導加熱炉内部に取り付けられたグラファイト製の支持台の上に設置し、原料混合物の温度を1550℃となるように加熱した。加熱により、原料のホウ素と酸化ガリウムが反応し、酸化ホウ素と金属ガリウムが生成した。これをアルゴンガス(流速30sccm)でシリコンウエハー基板上に移送し、シリコンウエハー基板の温度が1100℃になったとき、流速が200sccmのアンモニアガスを流入させた。30分間この状態を保った後、アンモニアの流入を停止し、高周波誘導加熱炉の温度を室温まで冷却した。この結果、無色の窒化ホウ素ナノチューブがシリコンウエハー基板上に堆積した。
【0021】
図1に、生成された窒化ホウ素ナノチューブの低倍率透過型電子顕微鏡像を示す。図1に示すとおり、合成された窒化ホウ素ナノチューブは、透過型電子顕微鏡で観察した結果、折れ曲がった形態を有していることが分かった。
【0022】
また、図2に、生成された窒化ホウ素ナノチューブの高倍率透過型電子顕微鏡像を示す。図2に示すとおり、生成された窒化ホウ素ナノチューブの結晶は0.4nmの非常に小さい内径を有する18層構造の窒化ホウ素ナノチューブであることが分かった。
【0023】
【発明の効果】
この出願の発明によって、以上詳しく説明したとおり、炭素などの不純物を含まない高純度で、小径の窒化ホウ素ナノチューブを高い収率で製造する方法が提供される。
【0024】
窒化ホウ素ナノチューブは、従来にない特性を有する新材料として、半導体材料、エミッター材料、耐熱性充填材料、高強度材料、触媒、吸着剤等の多岐に渡る分野において利用されることが期待されているが、この出願の発明により、小径で高純度の窒化ホウ素ナノチューブを合成することが可能となる。この出願の発明である窒化ホウ素ナノチューブの製造方法により、従来製造が困難であった0.4nmの内径を有する窒化ホウ素ナノチューブが製造される。すなわち、この出願の発明は、ナノレベルからアトムレベル、分子レベルといった更なる極微小サイズの領域における研究への道を拓くものであり、新たな研究分野の萌芽が期待されることから、この出願の発明の実用化が強く期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の実施例において生成された窒化ホウ素ナノチューブの低倍率透過型電子顕微鏡像である。
【図2】この出願の発明の実施例において生成された窒化ホウ素ナノチューブの高倍率透過型電子顕微鏡像である。
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、窒化ホウ素ナノチューブの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、半導体材料、エミッター材料、耐熱性充填材料、高強度材料、触媒、吸着剤等として有用な最小径を有する窒化ホウ素ナノチューブを高純度で製造する窒化ホウ素ナノチューブの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、炭素原子が網目の形で結びついてできたナノメートルサイズの筒状の物質であるカーボンナノチューブは、その特性からナノテクノロジーにおける新素材として注目されている(例えば、非特許文献1参照)。様々な分野への応用が期待されており、例えば、次世代の表示装置であるフィールド・エミッション・ディスプレー(FED)用の電子銃や、電気自動車や携帯電話に用いられる次世代電源である燃料電池の電極材料などへの応用が見込まれている。
【0003】
カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザー加熱法、化学的気相成長法等により合成されている。カーボンナノチューブにおける最小内径は、0.4nmであり、この最小内径を有するカーボンナノチューブの合成法は既に公知である(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
近年、窒化ホウ素が、炭素から成るグラファイトと構造的な類似性を有することから、窒化ホウ素ナノチューブもまた、カーボンナノチューブと同様の反応方法、すなわち、アーク放電法(例えば、非特許文3および非特許文献4参照)、レーザー加熱法(例えば、非特許文献5)、化学的気相成長法(例えば、非特許文献6)を用いて合成できることが知られている。
【0005】
これ以外にも、ホウ化ニッケル(NiB)を触媒として使用し、ボラジンを原料として窒化ホウ素を合成する方法、また、カーボンナノチューブを鋳型として利用し、酸化ホウ素と窒素を高周波誘導加熱炉中で反応させて合成する方法等が提案されている(例えば、非特許文献7および非特許文献8)。また、最近では、二層および単層窒化ホウ素ナノチューブが、改良されたアーク放電法(例えば、非特許文献9および非特許文献10)によって合成されている。
【0006】
窒化ホウ素は、半導体材料、エミッター材料、耐熱性充填材料、高強度材料、触媒、吸着剤等の分野において、従来にない特性を有する材料として利用されることが期待されている。しかしながら、従来の製造方法では窒化ホウ素ナノチューブは収率が低く、少量しか合成できなかったり、あるいは炭素などの不純物が混入したりすることから、半導体特性や強度などの物理的性質の測定を十分に実施することが不可能であるという問題があった。
【0007】
【非特許文献1】
Nature、1991年、354巻、p.56
【非特許文献2】
Nature、2000年、408巻、p.50
【非特許文献3】
Science、1995年、269巻、p.966
【非特許文献4】
Chem.Phys.Letters、1996年、259巻、p.568
【非特許文献5】
Appl.Phys.Letters、2000年、76巻、p.3239
【非特許文献6】
Chem.Mater.、2000年、12巻、p.1808
【非特許文献7】
Appl.Phys.Letters、1998年、73巻、p.3085
【非特許文献8】
Chem.Mater.、2000年、12巻、p.250
【非特許文献9】
Phys.Rev.B、2001年、64巻、p.1405
【非特許文献10】
Chem.Phys.Letters、2000年、316巻、p.211
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、炭素などの不純物を含まない高純度で、小径の窒化ホウ素ナノチューブを高い収率で製造する方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1に、ホウ素と酸化ガリウムとを1000℃から2100℃のいずれかの温度で加熱することにより反応させ、次いで、アンモニアを反応させることを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を提供する。
また、この出願の発明は、上記の窒化ホウ素ナノチューブの製造方法として、第2に、窒化ホウ素ナノチューブを堆積させるための基板としてシリコンウエハーを使用することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を、第3に、基板のシリコンウエハーの温度をホウ素と酸化ガリウムの反応温度よりも低く設定することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を、また、第4に、ホウ素と酸化ガリウムとの反応生成物を移送するキャリヤガスとしてアルゴンを使用することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を提供する。
【0010】
さらに、この出願の発明は、0.4nmの内径を有することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブをも提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に、その実施の形態について説明する。
【0012】
この出願の発明である窒化ホウ素ナノチューブの製造方法においては、まず、ホウ素と酸化ガリウムとを高温下で反応させ、酸化ホウ素と金属ガリウムを生成させる。このとき、ホウ素と酸化ガリウムとの反応温度は1000℃から2100℃のいずれかとする。次いで、得られた酸化ホウ素と金属ガリウムに対してアンモニアを反応させることにより、窒化ホウ素に転換させる。
【0013】
この出願の発明である窒化ホウ素ナノチューブの製造方法においては、原料に炭素を含む化合物を使用していないので、炭素が不純物として混入する問題がなく、高純度の窒化ホウ素ナノチューブの製造が可能となる。さらに、生成した金属ガリウムは高温で触媒活性を失わないので、窒化ホウ素ナノチューブを収率よく製造することが可能である。高温下で加熱反応させるための加熱手段としては高周波誘導加熱炉を用いることが好ましい。反応温度は、上記の通り、1000℃から2100℃のいずれかとすることが好ましい。
【0014】
以下に、この出願の発明である窒化ホウ素ナノチューブの製造方法の具体的手順を示す。
【0015】
まず、ホウ素の粉末と酸化ガリウムの粉末の混合物をよく微粉にして、窒化ホウ素製の容器に入れる。この容器とよく洗浄したシリコンウエハーを上下に離して高周波誘導加熱炉の中に置き、高温に加熱する。温度は1000℃から2100℃とすることが好適である。このとき、シリコン基板の温度は混合物の温度よりも低く設定する。
【0016】
加熱により、ホウ素と酸化ガリウムが反応し、酸化ホウ素と金属ガリウム蒸気が生成する。次に、ここで生成した酸化ホウ素と金属ガリウムを移送するために、アルゴンなどの不活性気体を流す。そして、シリコンウエハーが高温になったとき、アンモニアガスをシリコンウエハーの上に流し、窒化ホウ素生成の反応を行わせる。30分間程度の反応の後に、アンモニアガスの移送を終了し、高周波誘導加熱炉を室温に冷却する。以上の手順により、シリコンウエハー上に無色の窒化ホウ素ナノチューブが堆積する。
【0017】
生成した窒化ホウ素ナノチューブは、折れ曲がった形態のナノチューブ構造を有する。また、生成物の一部は、0.4nmの内径を有している窒化ホウ素ナノチューブである。窒化ホウ素ナノチューブが取りうる最小内径は、0.4nmであることから、この出願の発明により、これまで製造が困難であった最小内径0.4nmを有する窒化ホウ素ナノチューブを製造することが可能となる。
【0018】
以上は、この出願の発明における形態の一例であり、この出願の発明がこれらに限定されることはなく、その細部について様々な形態をとりうることが考慮されるべきであることは言うまでもない。
【0019】
この出願の発明は、以上の特徴を持つものであるが、以下に実施例を示し、さらに具体的に説明する。
【0020】
【実施例】
ホウ素と酸化ガリウムとが6:1のモル比で混合された2gの混合物を、6時間のボールミルを用いた粉砕により微粉化を行った。一方、シリコンウエハーの表面を、アセトンで洗浄し、さらに、硝酸とフッ酸でエッチングすることにより、清浄した。原料混合物とシリコンウエハーの基板とを、窒化ホウ素製の容器の内部に一定間隔を有するようにして配置した。この窒化ホウ素製の容器を、高周波誘導加熱炉内部に取り付けられたグラファイト製の支持台の上に設置し、原料混合物の温度を1550℃となるように加熱した。加熱により、原料のホウ素と酸化ガリウムが反応し、酸化ホウ素と金属ガリウムが生成した。これをアルゴンガス(流速30sccm)でシリコンウエハー基板上に移送し、シリコンウエハー基板の温度が1100℃になったとき、流速が200sccmのアンモニアガスを流入させた。30分間この状態を保った後、アンモニアの流入を停止し、高周波誘導加熱炉の温度を室温まで冷却した。この結果、無色の窒化ホウ素ナノチューブがシリコンウエハー基板上に堆積した。
【0021】
図1に、生成された窒化ホウ素ナノチューブの低倍率透過型電子顕微鏡像を示す。図1に示すとおり、合成された窒化ホウ素ナノチューブは、透過型電子顕微鏡で観察した結果、折れ曲がった形態を有していることが分かった。
【0022】
また、図2に、生成された窒化ホウ素ナノチューブの高倍率透過型電子顕微鏡像を示す。図2に示すとおり、生成された窒化ホウ素ナノチューブの結晶は0.4nmの非常に小さい内径を有する18層構造の窒化ホウ素ナノチューブであることが分かった。
【0023】
【発明の効果】
この出願の発明によって、以上詳しく説明したとおり、炭素などの不純物を含まない高純度で、小径の窒化ホウ素ナノチューブを高い収率で製造する方法が提供される。
【0024】
窒化ホウ素ナノチューブは、従来にない特性を有する新材料として、半導体材料、エミッター材料、耐熱性充填材料、高強度材料、触媒、吸着剤等の多岐に渡る分野において利用されることが期待されているが、この出願の発明により、小径で高純度の窒化ホウ素ナノチューブを合成することが可能となる。この出願の発明である窒化ホウ素ナノチューブの製造方法により、従来製造が困難であった0.4nmの内径を有する窒化ホウ素ナノチューブが製造される。すなわち、この出願の発明は、ナノレベルからアトムレベル、分子レベルといった更なる極微小サイズの領域における研究への道を拓くものであり、新たな研究分野の萌芽が期待されることから、この出願の発明の実用化が強く期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の実施例において生成された窒化ホウ素ナノチューブの低倍率透過型電子顕微鏡像である。
【図2】この出願の発明の実施例において生成された窒化ホウ素ナノチューブの高倍率透過型電子顕微鏡像である。
Claims (5)
- ホウ素と酸化ガリウムとを1000℃から2100℃のいずれかの温度で加熱することにより反応させ、次いで、アンモニアを反応させることを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法。
- 窒化ホウ素ナノチューブを堆積させるための基板としてシリコンウエハーを使用することを特徴とする請求項1記載の窒化ホウ素ナノチューブの製造方法。
- 基板のシリコンウエハーの温度をホウ素と酸化ガリウムの反応温度よりも低く設定することを特徴とする請求項2記載の窒化ホウ素ナノチューブの製造方法。
- ホウ素と酸化ガリウムとの反応生成物を移送するキャリヤガスとしてアルゴンを使用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの窒化ホウ素ナノチューブの製造方法。
- 0.4nmの内径を有することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブ。
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