JP2004144268A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒートロールからの放熱を抑制して事務機器等の省エネルギー化を図ることができる転がり軸受を提供する。
【解決手段】内輪2と外輪3との間に複数の転動体4が配設された転がり軸受1において、内輪2及び外輪3の金属材料を、硬さHv400以上、熱伝導率20W/m・K以下のチタン合金とし、かつ該チタン合金の熱伝導率をα1、転動体4の材料の熱伝導率をα2とした場合に、α2/α1を0.2〜4とする。
【選択図】 図1
【解決手段】内輪2と外輪3との間に複数の転動体4が配設された転がり軸受1において、内輪2及び外輪3の金属材料を、硬さHv400以上、熱伝導率20W/m・K以下のチタン合金とし、かつ該チタン合金の熱伝導率をα1、転動体4の材料の熱伝導率をα2とした場合に、α2/α1を0.2〜4とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり軸受に関し、特に複写機(PPC:白黒、カラー、アナログ、デジタル、その他各種)、レーザビームプリンタ(LBP)、ファックス(FAX)又はこれらの複合機等の事務機器等に使用される転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、転がり軸受においては、可動子、支持体、転動体等は鋼等の金属材料で形成されている。また、転がり軸受の内部にグリース等の潤滑剤を循環させるか或いは封入することにより、潤滑が行われている。このような従来の転がり軸受は、通常の使用条件下では問題なく使用されている。
【0003】
一方、複写機、レーザビームプリンタ、ファックス又はこれらの複合機などの事務機器においては、該事務機器の更なる高性能化(用紙1枚当たりの処理速度の向上等) 、更なるコンパクト化の要求があり、常に改良が求められている。このような要求を満たすため、前記事務機器の用紙の搬送部などに用いられる転がり軸受は、より小型のものが使用され、且つその使用条件はより高速で、より高荷重になる傾向にある。
【0004】
特に、定着部のヒートロールやプレッシャロールに用いられる転がり軸受は、用紙上のトナーを熱により溶かして用紙上に定着させる工程で200〜250°Cの高温下で使用されるため、さらに使用条件が厳しい(定着部以外の部分で使用される場合は100〜150°C)。その上、省資源化のため転がり軸受を組み込んだヒートロール部ユニットのリサイクルが進められているので、転がり軸受は高温環境下で、より長寿命であることが要求されている。
【0005】
このような転がり軸受の小型化及び使用条件の高速化、高荷重化、高温化は、転がり軸受の転動体と可動子及び支持体との接触面において潤滑剤の油膜が形成されることを難しくし、潤滑作用を低下させる傾向にある。従って、このような厳しい条件下で使用される転がり軸受では潤滑性が不十分となり、比較的短時間の使用で摩耗によりトルクが著しく増大したり、焼き付きが発生する虞れがあり、前述のような高性能化、コンパクト化された事務機器において使用される転がり軸受としては好適でないという問題がある。
【0006】
特に、定着部のヒートロールやプレッシャロールに用いられる転がり軸受は、高温下で使用され、また、ヒートロールには、省エネルギー化のために外部に熱を逃がしにくい特性が要求されているが、従来の転がり軸受では、転動体、可動子及び支持体が熱伝導性に優れた金属材料により形成されているため、トナー定着のために加熱した熱が、ヒートロールから転がり軸受を介して外部に逃げてしまい、加熱のためのエネルギー(電力)をより消費してしまって省エネルギー化を妨げる原因になる。
【0007】
そこで、このような問題を解決する手段として、熱伝導率40W/m・Kのセラミックスを転動体に用いる事例が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−240668号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1では、転がり軸受の可動子及び支持体はSUJ2に代表される鋼で形成されるために、ヒートロールから可動子を介して逃げる熱を減少させることは難しく、また、SUJ2の可動子および支持体には、シールド板が接触してヒートロールの熱が可動子からシールド板を介して外部へと逃げるため、転動体のみ熱伝導率を小さくしても、その効果が小さいという問題がある。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、事務機器等の省エネルギー化を図ることができる転がり軸受を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、回転自在な可動子と、該可動子を支持する支持体と、前記可動子と前記支持体との間に配設され該可動子の回転に伴って転動する複数の転動体とを備えた転がり軸受において、
前記可動子及び前記支持体の金属材料が、硬さHv400以上、熱伝導率20W/m・K以下のチタン合金とされ、かつ該チタン合金の熱伝導率をα1、前記転動体の材料の熱伝導率をα2とした場合に、α2/α1が0.2〜4であることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記可動子及び前記支持体に硬質セラミックコーティング被膜又はダイヤモンドライクカーボン被膜を施したことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記転動体が、前記チタン合金、熱伝導率が40W/m・K以下のセラミックス、析出硬化型ステンレス鋼のいずれかであることを特徴とする。
【0012】
前記可動子及び前記支持体の材質であるチタン合金は、軸受鋼(SUJ2)やSUS440Cに代表される鉄鋼材料と比較して著しく熱伝導率が低い(熱伝導率が20W/m・K以下)物理的性質を有している。従って、本発明の転がり軸受の前記可動子及び前記支持体の金属材料としてチタン合金を適用することにより、ヒートロール等からの放熱を大幅に抑制することができる。
【0013】
チタン合金の種類としては、α型、α+β型、β型があるが、高強度が得られ、転がり軸受として必要なHv400以上の硬さが得られるα+β型、β型チタン合金が好適に使用できる。Hv400以上の硬さであれば、耐摩耗性が向上するため、より長い転がり寿命が得られる。特にβ型チタン合金は、チタン合金の中でも熱伝導率が小さく、10W/m・K以下であるので本発明の前記可動子及び前記支持体に特に好適に使用することができる。
【0014】
一方、前記可動子及び前記支持体を熱伝導率の小さいチタン合金としても、転動体が熱伝導率の大きいSUJ2等の鋼である場合には、転動体から熱が逃げてしまうため、鋼製の転動体は不適である。熱の逃げを防止するためには、転動体の熱伝導率も小さくすることが好ましく、このような転動体材料としてはセラミックスが好適で、この場合、転動体のセラミックスの熱伝導率は、40W/m・K以下であることが好ましい。また、転動体を前記可動子及び前記支持体と同じチタン合金で構成するのも好適である。
【0015】
また、転動体材料が鋼であれば、SUS630やSUS631などの析出硬化型ステンレス鋼は、熱伝導率が17W/m・Kなので好適に使用することができる。更に、転動体材料として、前記可動子及び前記支持体のチタン合金の熱伝導率と同等もしくはそれ以下であるセラミックスを用いた場合には更に熱の逃げを防止する効果は大きい。
【0016】
また、転がり軸受は、通常、グリース等の潤滑で使用される。チタン合金は、耐摩耗性に劣るので、TiN、TiCN、TiAlN、TiC等の硬質セラミックコーティング被膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)被膜等の硬質被膜処理を施すことによって、耐摩耗性、耐焼付性が改善される。これらセラミックコーティング被膜やDLC被膜を施すことにより、耐摩耗性が向上すると同時に、グリース等の潤滑剤を用いなくても、安定した回転性能を示し、特に回転トルクを低減することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の一例を図を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の一例である転がり軸受を説明するための要部断面図、図2は転動体材料を窒化珪素とした場合の内外輪の熱伝導率と耐放熱性との関係を示すグラフ図、図3はα2(転動体の熱伝導率)/α1(内外輪の熱伝導率)と耐放熱性との関係を示すグラフ図である。なお、この実施の形態では、転がり軸受として、内輪回転用の深みぞ玉軸受を例に採る。
【0018】
本発明の実施の形態の一例である転がり軸受1は、図1に示すように、外輪(支持体)3がハウジング10に固定され、内輪(可動子)2がシャフト9に外嵌されている。内輪2と外輪3との間には空隙部8が形成され、該空隙部8には波形保持器5を介して周方向に転動自在に保持された複数の転動体4が配設されている。また、転がり軸受1の軸方向の両端部の内輪2と外輪3との間には、シールド板7が配設されている。
【0019】
次に、実施例1〜13及び比較例比較例14〜19の転がり軸受に、日本精工株式会社製の内輪回転用深みぞ玉軸受(型番6907:内径35mm、外径55mm、幅10mm)を使用した。各転がり軸受の内外輪材料、転動体材料を表1に示す。また、チタン合金の内外輪については、次に条件で熱処理し、硬さをHv400以上とした。
(溶体化処理)
730〜950°C×1時間Ar雰囲気中加熱後、ガス冷却または水冷
(時効処理)
350〜500°C×5〜60時間大気中加熱後、炉冷
【0020】
【表1】
【0021】
[ 耐放熱性試験]
転がり軸受の耐放熱性(熱の逃がし易さ) に及ぼす転動体材質の影響を調べるために、内輪、外輪、転動体および波型保持器から構成された転がり軸受の外輪にヒータを巻き、外輪を200°Cに加熱したときの、内輪が200°Cに達するまでの時間を測定した。
【0022】
尚、表1における各実施例1〜13および比較例14〜19の転がり軸受の耐放熱性は、比較例18の耐放熱性を1としたときの相対値であり、この値が大きいほど転がり軸受から放熱しにくいこと、即ち、耐放熱性に優れていることを示す。
表1、図2および図3に結果を纏めて示す。図2及び図3のグラフの縦軸は表1の比較例18の値を1とした相対値である。
【0023】
図2は内外輪の熱伝導率の効果を見るために、表1において転動体の材質を窒化珪素(Si3 N4 )にした場合の熱伝導率と耐放熱性との関係をまとめたグラフである。図2から、内外輪の材質を熱伝導率が20W/m・K以下のチタン合金とした場合の耐放熱性が優れていることがわかる。
また、表1及び図3に示すように、外輪材料であるチタン合金の熱伝導率α1と転動体材料であるセラミックス又は鋼の熱伝導率α2との比、α2/α1が0.2〜4の範囲で耐放熱性が、著しく改善されていることがわかる。
【0024】
なお、本実施形態においては、転がり軸受として深みぞ玉軸受を例に説明したが、本発明の転がり軸受は、他の種類の転がり軸受にも適用可能であることは勿論である。
また、内外輪2,3のチタン合金にTiN、TiCN、TiAlN、TiC等の硬質セラミックコーティング被膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)被膜等の硬質被膜処理を施すようにしてもよく、このようにすると、耐摩耗性が向上すると同時に、グリース等の潤滑剤を用いなくても、安定した回転性能を示し、特に回転トルクを低減することができる。
【0025】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明の転がり軸受によれば、複写機、レーザビームプリンタ、ファックス又はこれらの複合機等の事務機器の定着部のヒートロールに使用した場合に、ヒートロールから該転がり軸受を通して熱が外部に逃げることを低減させることが可能となり、前記事務機器を省エネルギー化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例である転がり軸受を説明するための要部断面図である。
【図2】転動体材料を窒化珪素とした場合の内外輪の熱伝導率と耐放熱性との関係を示すグラフ図である。
【図3】α2(転動体の熱伝導率)/α1(内外輪の熱伝導率)と耐放熱性との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1…転がり軸受
2…内輪(可動子)
3…外輪(支持体)
4…転動体
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり軸受に関し、特に複写機(PPC:白黒、カラー、アナログ、デジタル、その他各種)、レーザビームプリンタ(LBP)、ファックス(FAX)又はこれらの複合機等の事務機器等に使用される転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、転がり軸受においては、可動子、支持体、転動体等は鋼等の金属材料で形成されている。また、転がり軸受の内部にグリース等の潤滑剤を循環させるか或いは封入することにより、潤滑が行われている。このような従来の転がり軸受は、通常の使用条件下では問題なく使用されている。
【0003】
一方、複写機、レーザビームプリンタ、ファックス又はこれらの複合機などの事務機器においては、該事務機器の更なる高性能化(用紙1枚当たりの処理速度の向上等) 、更なるコンパクト化の要求があり、常に改良が求められている。このような要求を満たすため、前記事務機器の用紙の搬送部などに用いられる転がり軸受は、より小型のものが使用され、且つその使用条件はより高速で、より高荷重になる傾向にある。
【0004】
特に、定着部のヒートロールやプレッシャロールに用いられる転がり軸受は、用紙上のトナーを熱により溶かして用紙上に定着させる工程で200〜250°Cの高温下で使用されるため、さらに使用条件が厳しい(定着部以外の部分で使用される場合は100〜150°C)。その上、省資源化のため転がり軸受を組み込んだヒートロール部ユニットのリサイクルが進められているので、転がり軸受は高温環境下で、より長寿命であることが要求されている。
【0005】
このような転がり軸受の小型化及び使用条件の高速化、高荷重化、高温化は、転がり軸受の転動体と可動子及び支持体との接触面において潤滑剤の油膜が形成されることを難しくし、潤滑作用を低下させる傾向にある。従って、このような厳しい条件下で使用される転がり軸受では潤滑性が不十分となり、比較的短時間の使用で摩耗によりトルクが著しく増大したり、焼き付きが発生する虞れがあり、前述のような高性能化、コンパクト化された事務機器において使用される転がり軸受としては好適でないという問題がある。
【0006】
特に、定着部のヒートロールやプレッシャロールに用いられる転がり軸受は、高温下で使用され、また、ヒートロールには、省エネルギー化のために外部に熱を逃がしにくい特性が要求されているが、従来の転がり軸受では、転動体、可動子及び支持体が熱伝導性に優れた金属材料により形成されているため、トナー定着のために加熱した熱が、ヒートロールから転がり軸受を介して外部に逃げてしまい、加熱のためのエネルギー(電力)をより消費してしまって省エネルギー化を妨げる原因になる。
【0007】
そこで、このような問題を解決する手段として、熱伝導率40W/m・Kのセラミックスを転動体に用いる事例が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−240668号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1では、転がり軸受の可動子及び支持体はSUJ2に代表される鋼で形成されるために、ヒートロールから可動子を介して逃げる熱を減少させることは難しく、また、SUJ2の可動子および支持体には、シールド板が接触してヒートロールの熱が可動子からシールド板を介して外部へと逃げるため、転動体のみ熱伝導率を小さくしても、その効果が小さいという問題がある。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、事務機器等の省エネルギー化を図ることができる転がり軸受を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、回転自在な可動子と、該可動子を支持する支持体と、前記可動子と前記支持体との間に配設され該可動子の回転に伴って転動する複数の転動体とを備えた転がり軸受において、
前記可動子及び前記支持体の金属材料が、硬さHv400以上、熱伝導率20W/m・K以下のチタン合金とされ、かつ該チタン合金の熱伝導率をα1、前記転動体の材料の熱伝導率をα2とした場合に、α2/α1が0.2〜4であることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記可動子及び前記支持体に硬質セラミックコーティング被膜又はダイヤモンドライクカーボン被膜を施したことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記転動体が、前記チタン合金、熱伝導率が40W/m・K以下のセラミックス、析出硬化型ステンレス鋼のいずれかであることを特徴とする。
【0012】
前記可動子及び前記支持体の材質であるチタン合金は、軸受鋼(SUJ2)やSUS440Cに代表される鉄鋼材料と比較して著しく熱伝導率が低い(熱伝導率が20W/m・K以下)物理的性質を有している。従って、本発明の転がり軸受の前記可動子及び前記支持体の金属材料としてチタン合金を適用することにより、ヒートロール等からの放熱を大幅に抑制することができる。
【0013】
チタン合金の種類としては、α型、α+β型、β型があるが、高強度が得られ、転がり軸受として必要なHv400以上の硬さが得られるα+β型、β型チタン合金が好適に使用できる。Hv400以上の硬さであれば、耐摩耗性が向上するため、より長い転がり寿命が得られる。特にβ型チタン合金は、チタン合金の中でも熱伝導率が小さく、10W/m・K以下であるので本発明の前記可動子及び前記支持体に特に好適に使用することができる。
【0014】
一方、前記可動子及び前記支持体を熱伝導率の小さいチタン合金としても、転動体が熱伝導率の大きいSUJ2等の鋼である場合には、転動体から熱が逃げてしまうため、鋼製の転動体は不適である。熱の逃げを防止するためには、転動体の熱伝導率も小さくすることが好ましく、このような転動体材料としてはセラミックスが好適で、この場合、転動体のセラミックスの熱伝導率は、40W/m・K以下であることが好ましい。また、転動体を前記可動子及び前記支持体と同じチタン合金で構成するのも好適である。
【0015】
また、転動体材料が鋼であれば、SUS630やSUS631などの析出硬化型ステンレス鋼は、熱伝導率が17W/m・Kなので好適に使用することができる。更に、転動体材料として、前記可動子及び前記支持体のチタン合金の熱伝導率と同等もしくはそれ以下であるセラミックスを用いた場合には更に熱の逃げを防止する効果は大きい。
【0016】
また、転がり軸受は、通常、グリース等の潤滑で使用される。チタン合金は、耐摩耗性に劣るので、TiN、TiCN、TiAlN、TiC等の硬質セラミックコーティング被膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)被膜等の硬質被膜処理を施すことによって、耐摩耗性、耐焼付性が改善される。これらセラミックコーティング被膜やDLC被膜を施すことにより、耐摩耗性が向上すると同時に、グリース等の潤滑剤を用いなくても、安定した回転性能を示し、特に回転トルクを低減することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の一例を図を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の一例である転がり軸受を説明するための要部断面図、図2は転動体材料を窒化珪素とした場合の内外輪の熱伝導率と耐放熱性との関係を示すグラフ図、図3はα2(転動体の熱伝導率)/α1(内外輪の熱伝導率)と耐放熱性との関係を示すグラフ図である。なお、この実施の形態では、転がり軸受として、内輪回転用の深みぞ玉軸受を例に採る。
【0018】
本発明の実施の形態の一例である転がり軸受1は、図1に示すように、外輪(支持体)3がハウジング10に固定され、内輪(可動子)2がシャフト9に外嵌されている。内輪2と外輪3との間には空隙部8が形成され、該空隙部8には波形保持器5を介して周方向に転動自在に保持された複数の転動体4が配設されている。また、転がり軸受1の軸方向の両端部の内輪2と外輪3との間には、シールド板7が配設されている。
【0019】
次に、実施例1〜13及び比較例比較例14〜19の転がり軸受に、日本精工株式会社製の内輪回転用深みぞ玉軸受(型番6907:内径35mm、外径55mm、幅10mm)を使用した。各転がり軸受の内外輪材料、転動体材料を表1に示す。また、チタン合金の内外輪については、次に条件で熱処理し、硬さをHv400以上とした。
(溶体化処理)
730〜950°C×1時間Ar雰囲気中加熱後、ガス冷却または水冷
(時効処理)
350〜500°C×5〜60時間大気中加熱後、炉冷
【0020】
【表1】
【0021】
[ 耐放熱性試験]
転がり軸受の耐放熱性(熱の逃がし易さ) に及ぼす転動体材質の影響を調べるために、内輪、外輪、転動体および波型保持器から構成された転がり軸受の外輪にヒータを巻き、外輪を200°Cに加熱したときの、内輪が200°Cに達するまでの時間を測定した。
【0022】
尚、表1における各実施例1〜13および比較例14〜19の転がり軸受の耐放熱性は、比較例18の耐放熱性を1としたときの相対値であり、この値が大きいほど転がり軸受から放熱しにくいこと、即ち、耐放熱性に優れていることを示す。
表1、図2および図3に結果を纏めて示す。図2及び図3のグラフの縦軸は表1の比較例18の値を1とした相対値である。
【0023】
図2は内外輪の熱伝導率の効果を見るために、表1において転動体の材質を窒化珪素(Si3 N4 )にした場合の熱伝導率と耐放熱性との関係をまとめたグラフである。図2から、内外輪の材質を熱伝導率が20W/m・K以下のチタン合金とした場合の耐放熱性が優れていることがわかる。
また、表1及び図3に示すように、外輪材料であるチタン合金の熱伝導率α1と転動体材料であるセラミックス又は鋼の熱伝導率α2との比、α2/α1が0.2〜4の範囲で耐放熱性が、著しく改善されていることがわかる。
【0024】
なお、本実施形態においては、転がり軸受として深みぞ玉軸受を例に説明したが、本発明の転がり軸受は、他の種類の転がり軸受にも適用可能であることは勿論である。
また、内外輪2,3のチタン合金にTiN、TiCN、TiAlN、TiC等の硬質セラミックコーティング被膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)被膜等の硬質被膜処理を施すようにしてもよく、このようにすると、耐摩耗性が向上すると同時に、グリース等の潤滑剤を用いなくても、安定した回転性能を示し、特に回転トルクを低減することができる。
【0025】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明の転がり軸受によれば、複写機、レーザビームプリンタ、ファックス又はこれらの複合機等の事務機器の定着部のヒートロールに使用した場合に、ヒートロールから該転がり軸受を通して熱が外部に逃げることを低減させることが可能となり、前記事務機器を省エネルギー化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例である転がり軸受を説明するための要部断面図である。
【図2】転動体材料を窒化珪素とした場合の内外輪の熱伝導率と耐放熱性との関係を示すグラフ図である。
【図3】α2(転動体の熱伝導率)/α1(内外輪の熱伝導率)と耐放熱性との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1…転がり軸受
2…内輪(可動子)
3…外輪(支持体)
4…転動体
Claims (3)
- 回転自在な可動子と、該可動子を支持する支持体と、前記可動子と前記支持体との間に配設され該可動子の回転に伴って転動する複数の転動体とを備えた転がり軸受において、
前記可動子及び前記支持体の金属材料が、硬さHv400以上、熱伝導率20W/m・K以下のチタン合金とされ、かつ該チタン合金の熱伝導率をα1、前記転動体の材料の熱伝導率をα2とした場合に、α2/α1が0.2〜4であることを特徴とする転がり軸受。 - 前記可動子及び前記支持体に硬質セラミックコーティング被膜又はダイヤモンドライクカーボン被膜を施したことを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
- 前記転動体が、前記チタン合金、熱伝導率が40W/m・K以下のセラミックス、析出硬化型ステンレス鋼のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2記載の転がり軸受。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002312749A JP2004144268A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002312749A JP2004144268A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 転がり軸受 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004144268A true JP2004144268A (ja) | 2004-05-20 |
Family
ID=32457555
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002312749A Pending JP2004144268A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 転がり軸受 |
Country Status (1)
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|---|---|
| JP (1) | JP2004144268A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007116613A1 (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Thk Co., Ltd. | 運動案内装置および運動案内装置に用いられるクラッド材 |
| WO2010016202A1 (ja) * | 2008-08-06 | 2010-02-11 | Ntn株式会社 | リユース軸受およびそのリユース方法 |
-
2002
- 2002-10-28 JP JP2002312749A patent/JP2004144268A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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