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JP2004038765A - 特定電気機器の動作状態推定方法及びシステム並びに電力需要家在室者の安否確認方法及びシステム並びに高調波信号注入装置を備えた電気機器 - Google Patents

特定電気機器の動作状態推定方法及びシステム並びに電力需要家在室者の安否確認方法及びシステム並びに高調波信号注入装置を備えた電気機器 Download PDF

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JP2004038765A JP2002197438A JP2002197438A JP2004038765A JP 2004038765 A JP2004038765 A JP 2004038765A JP 2002197438 A JP2002197438 A JP 2002197438A JP 2002197438 A JP2002197438 A JP 2002197438A JP 2004038765 A JP2004038765 A JP 2004038765A
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中野 幸夫
Kimihide Sawabe
澤邉 公秀
Saburo Nagaie
永家 三郎
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Central Research Institute of Electric Power Industry
Kyushu Electric Power Co Inc
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Abstract

【課題】簡易な構成で尚且つ非侵入的に電力需要家在室者の安否を確認する。
【解決手段】電力需要家在室者の安否確認システムは、電力需要家2内の電気機器3のうち特定の電気機器に取り付けられて、特徴的な高調波電流を電力需要家2内の屋内配線回路17に流す高調波信号注入装置6と、電力需要家2の給電線引込口付近で測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の基本波並びに高調波の電流及び電圧に対するそれらの位相差を求め、当該求めた総負荷電流の基本波並びに高調波の電流及び電圧に対するそれらの位相差に基づいて特定電気機器の動作状態を推定する非侵入型モニタリングシステム1と、非侵入型モニタリングシステム1の推定結果情報を管理する安否情報管理手段15または在室者に対応する予め定められた情報端末機16に、非侵入型モニタリングシステム1の推定結果を通知する通知手段14とを有する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定電気機器の動作状態推定方法及びシステム並びに電力需要家在室者の安否確認方法及びシステム並びに高調波信号注入装置を備えた電気機器に関する。さらに詳述すると、本発明は、電力需要家の家屋内に入らない非侵入的な方法で、特定の電気機器の動作状態を推定する方法及びシステム、並びに当該推定方法及びシステムを応用して当該電力需要家の在室者の安否を確認する方法及びシステム、並びにこれらの方法及びシステムに用いる高調波信号注入装置を備えた電気機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気機器の動作状態を非侵入的に推定するモニタリングシステムが提案されている(特開2000−292465号公報参考)。このモニタリングシステムでは、電力需要家において設置されている電気機器が発生する高調波電流のパターンに着目し、給電線引込口付近で測定される総負荷電流と電圧から、総負荷電流の基本波並びに高調波の電流及び電圧に対するそれらの位相差を求め、そのパターンから屋内で使用されている電気機器と電気機器個別の動作状態を推定するようにしている。
【0003】
一方、一人暮らしの老人や身体障害者等の安否を遠距離監視可能な生活モニターシステムに関する技術が提案されている(特開2002−78034号公報参考)。この生活モニターシステムは、電気製品(例えば電気ポット)の操作または動作を検出するとともに送信先等の情報を記憶した監視ユニット、および、当該監視ユニットによって検出した情報を通信網を介して家庭外に送信する送信手段と、前記送信手段から前記電気製品の情報を受信し、多数の監視対象者の情報を一元管理する情報蓄積手段と、前記情報蓄積手段の蓄積情報を表示可能に加工する加工手段と、前記加工手段によって加工したデータを外部から閲覧可能に表示する表示手段とを備えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2000−292465号公報に開示されたモニタリングシステムでは、同一あるいは類似の高調波電流を発生する複数の電気機器が接続されている場合、そのうちの特定の電気機器の動作状態を一意に確定的に弁別することは困難である。
【0005】
また、特開2002−78034号公報に開示された生活モニターシステムでは、監視対象となる電気製品にマイクロコンピュータ等の情報処理機能や無線通信装置等の通信機能を付加または内蔵しなければならない。このため、電気製品自体をインテリジェント化する必要があり、コスト高となってしまう。また、電力需要家の屋内に接続された電気製品が、電力需要家外部の情報処理装置と通信を行なうことは、電力需要家在室者にとっては、第三者から常に監視されているようで心地の良いものではない。
【0006】
そこで本発明は、同一あるいは類似の高調波電流を発生する複数の電気機器が電力需要家内に接続されている場合であっても、特定の電気機器の動作状態を非侵入的に推定できる方法及びシステムを提供することを目的とする。また、当該推定方法及びシステムを応用して、電力需要家在室者の安否を確認する方法及びシステムを提供することを目的とする。また、これらの方法及びシステムに用いる高調波信号注入装置を備えた電気機器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の特定電気機器の動作状態の推定方法は、電力需要家内の特定の電気機器の動作に伴って、電力需要家内の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流が電力需要家内の屋内配線回路に流れるようにし、電力需要家の給電線引込口付近で総負荷電流及び電圧を測定し、当該測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求め、当該求めた総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差に基づいて特定電気機器の動作状態を推定するようにしている。
【0008】
また、請求項2記載の特定電気機器の動作状態の推定システムは、電力需要家内の特定の電気機器に取り付けられて、特定電気機器の動作に伴い電力需要家内の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流を電力需要家内の屋内配線回路に流す高調波信号注入装置と、電力需要家の給電線引込口付近で測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求め、当該求めた総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差に基づいて特定電気機器の動作状態を推定する非侵入型モニタリングシステムとを有するようにしている。
【0009】
したがって、特定電気機器の動作に伴って特徴的な高調波が屋内配線回路に流れる。当該特徴的な高調波は、総負荷電流の高調波成分及び電圧に対する高調波電流の位相差に特徴的な影響を与える。このため、電力需要家の給電線引込口付近で測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求めれば、当該特徴的な高調波の有無に基づいて特定電気機器の動作状態を推定することができる。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、対象となる電力需要家の在室者の安否を確認する方法であり、電力需要家内の特定の電気機器の動作に伴って、電力需要家内の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流が電力需要家内の屋内配線回路に流れるようにし、電力需要家の給電線引込口付近で総負荷電流及び電圧を測定し、当該測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求め、当該求めた総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差に基づいて特定電気機器の動作状態を推定し、当該推定した結果を、在室者の安否情報を管理する手段または在室者に対応する予め定められた情報端末機に通知するようにしている。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、対象となる電力需要家の在室者の安否を確認するシステムであり、電力需要家内の特定の電気機器に取り付けられて、特定電気機器の動作に伴い電力需要家内の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流を電力需要家内の屋内配線回路に流す高調波信号注入装置と、電力需要家の給電線引込口付近で測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求め、当該求めた総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差に基づいて特定電気機器の動作状態を推定する非侵入型モニタリングシステムと、非侵入型モニタリングシステムの推定結果情報を管理する安否情報管理手段または在室者に対応する予め定められた情報端末機に、非侵入型モニタリングシステムの推定結果を通知する通知手段とを有するようにしている。
【0012】
したがって、特定電気機器の動作に伴って特徴的な高調波が屋内配線回路に流れるので、当該特徴的な高調波の有無に基づいて特定電気機器の動作状態を推定できる。この推定結果は、安否情報管理手段または予め定められた情報端末機に通知される。在室者の安否確認を業として行う安否確認事業者または在室者の家族や担当医師等は、安否情報管理手段または情報端末機を用いて、特定電気機器の動作頻度、動作時間、動作時間帯等から在室者が健常に生活しているか否かを判断することができる。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の電力需要家在室者の安否確認システムにおいて、高調波信号注入装置は、任意の次数の高調波電流を単一で又は組み合わせて発生させるようにしている。
【0014】
したがって、一般の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴的な高調波電流を発生させることができる。例えば、一般の電気機器が発生する高調波電流は、奇数次のものが卓越して現れ、偶数次のものは小さく、また3次、5次、7次といった次数のものまでが支配的であり、9次、11次、13次といった高次の高調波電流は総負荷電流に含まれる割合が頗る小さい。したがって、高調波信号注入装置が発生する高調波電流は、偶数次、或いは9次以上の奇数次のいずれかの周波数に合致するもの、あるいは偶数次と9次以上の奇数次との周波数の一部又は全部の組み合わせで構成されるものが好ましい。
【0015】
また、請求項6記載の発明は、請求項4または5記載の電力需要家在室者の安否確認システムにおいて、高調波信号注入装置は、特定電気機器の電流取込部に電気的に接続するインターフェースと、屋内配線回路の電流供給部に電気的に接続するインターフェースとを有するようにしている。この場合、既存の特定電気機器と既存の屋内配線回路との間に高調波信号注入装置を取り付けるように構成できる。
【0016】
また、請求項7記載の発明は、電力需要家内の屋内配線回路に接続されて使用される電気機器において、該電気機器の動作時に、電力需要家内の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流を電力需要家内の屋内配線回路に流す高調波信号注入装置を備えるようにしている。したがって、この電気機器の動作に伴って特徴的な高調波が屋内配線回路に流れる。この特徴的な高調波の有無に基づいて当該電気機器の動作状態を推定することができ、更に当該推定結果に基づいて電力需要家在室者が健常に生活しているか否かを判断することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1から図7に本発明の電力需要家在室者の安否確認方法及びシステムの実施の一形態を示す。本発明の対象電力需要家の在室者の安否を確認する方法は、電力需要家内の特定の電気機器の動作に伴って、電力需要家内の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流が電力需要家内の屋内配線回路に流れるようにし、電力需要家の給電線引込口付近で総負荷電流及び電圧を測定し、当該測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求め、当該求めた総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差に基づいて特定電気機器の動作状態を推定し、当該推定した結果を、在室者の安否情報を管理する手段または在室者に対応する予め定められた情報端末機に通知するようにしたものである。
【0019】
この電力需要家在室者の安否確認方法は、電力需要家在室者の安否確認システムとして装置化される。この電力需要家在室者の安否確認システムは、電力需要家2内の電気機器3のうち特定の電気機器3fに取り付けられて、特定電気機器の動作に伴い電力需要家2内の電気機器3が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流を電力需要家2内の屋内配線回路17に流す高調波信号注入装置6と、電力需要家2の給電線引込口付近で測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求め、当該求めた総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差に基づいて特定電気機器の動作状態を推定する非侵入型モニタリングシステム1と、非侵入型モニタリングシステム1の推定結果情報を管理する安否情報管理手段15または在室者に対応する予め定められた情報端末機16に、非侵入型モニタリングシステム1の推定結果を通知する通知手段14とを有する。
【0020】
本実施形態では、安否確認システムの対象となる電力需要家2の在室者を単に対象者と呼ぶ。対象者は例えば一人暮らしの老人(独居高齢者)や身体障害者等であり、本発明の安否確認システムにより、対象者の家族や担当医師等は対象者が健常に生活しているか否かを遠隔から確認することができる。
【0021】
特定電気機器とは、高調波信号注入装置6が取り付けられる電気機器3である。この特定電気機器としては、例えば対象者の生活行動と密接に結びついて使用される電気機器3であって、当該電気機器3の動作頻度、動作時間、動作時間帯等から対象者が健常に生活しているか否かを推測できるものが好ましい。例えば本実施形態では、説明を簡単にするため、対象者の電力需要家2内の屋内配線回路17(給電線下流)には、電気機器3として、テレビジョン受像機3a、冷蔵庫3b、インバータエアコンデショナー3c、蛍光灯3d、白熱灯3eからなる居間照明機器、白熱灯3fからなるトイレ照明機器のみが接続されているものとし、白熱灯3fからなるトイレ照明機器を特定電気機器としている。屋内配線回路17は、給電線(即ち、引込線4及び電柱5に架設された電線)を介して電気事業者等の電力系統に接続されている。尚、対象者の電力需要家2内の屋内配線回路17に接続されている電気機器3は、本実施形態に例示したものに限定されないのは勿論である。また、本実施形態では、特定電気機器は白熱灯3fからなるトイレ照明機器のみの例について説明するが、特定電気機器は必ずしも単数に限らず複数あっても良い。
【0022】
本実施形態の高調波信号注入装置6は、特定電気機器が電源オンの状態にあるときに、特徴的な高調波電流を屋内配線回路17に流す装置である。本実施形態では、非侵入型モニタリングシステム1が、当該特徴的な高調波電流の有無から、特定電気機器が電源オンの状態にあるか否かを推定できるようにしている。
【0023】
高調波信号注入装置6が発生する高調波電流(即ち交流電流の高調波成分)は、電力需要家2内の電気機器3(例えば本実施形態では、テレビジョン受像機3a、冷蔵庫3b、インバータエアコンデショナー3c、蛍光灯3d、白熱灯3eからなる居間照明機器、白熱灯3fからなるトイレ照明機器)が発生する高調波電流にはない特徴を有するものとする。その特徴とは、例えば、高調波電流の次数、高調波電流の強さ、高調波電流の基本波電圧に対する位相差、またはこれらの組み合せとして表される。一般の電気機器3が発生する高調波電流は、奇数次のものが卓越して現れ、偶数次のものは小さく、また3次、5次、7次といった次数のものまでが支配的であり、9次、11次、13次といった高次の高調波電流は総負荷電流に含まれる割合が頗る小さい。したがって、高調波信号注入装置6が発生する高調波電流は、偶数次、或いは9次以上の奇数次のいずれかの周波数に合致するもの、あるいは偶数次と9次以上の奇数次との周波数の一部又は全部の組み合わせで構成されるものが好ましい。例えば本実施形態の高調波信号注入装置6では、特定電気機器が電源オンの状態にあるときに、13次の高調波電流を0.5Aで且つ基本波電圧に対して位相差0°で、屋内配線回路17に流すようにしている。ただし、高調波信号注入装置6が発生する特徴的な高調波電流は、本実施形態の例に限定されるものではない。例えば、高調波信号注入装置6が発生する高調波電流の基本波電圧に対する位相差に、電力需要家2内の全ての電気機器3にはない特徴が表れるようにしても良い。また、電力需要家2内の電気機器3の動作に影響を及ぼさない範囲内において、高調波信号注入装置6が発生する高調波電流を13次よりも更に高次のものとして、電力需要家2内の全ての電気機器3にはない特徴が表れるようにしても良い。
【0024】
この高調波信号注入装置6は、特定電気機器(本実施形態では白熱灯3f)と並列となるように屋内配線回路17に取り付けても良く、または特定電気機器と直列となるように屋内配線回路17に取り付けても良い。
【0025】
並列型の高調波信号注入装置6は、例えば図6に示すように、任意の次数の高調波の電気信号を単一で又は組み合わせて発生させる信号発生部25と、信号発生部25から出力される電気信号を増幅させる電圧増幅部26および電力増幅部27と、スイッチ18がオンの状態となったことを検出する電圧検出部29と、電圧検出部29からの出力信号に基づいて信号発生部25および電圧増幅部26および電力増幅部27の動作を制御する制御部28と、インピーダンス整合部30とを有して構成される。インピーダンス整合部30は、電力増幅部27で増幅した信号電力を効率良く屋内配線回路17に送り出すために、電力増幅部27の出力インピーダンスと屋内配線回路17のインピーダンスを同等に揃えるための回路である。
【0026】
また、直列型の高調波信号注入装置6は、例えば図7に示すように、任意の次数の高調波の電気信号を単一で又は組み合わせて発生させる信号発生部25と、信号発生部25から出力される電気信号を増幅させる電圧増幅部26および電力増幅部27と、スイッチ18がオンの状態となったことを検出する電流検出部31と、電流検出部31からの出力信号に基づいて信号発生部25および電圧増幅部26および電力増幅部27の動作を制御する制御部28と、生成された高調波電流を特定電気機器に流れる負荷電流に重畳させる信号混合部32とを有して構成される。
【0027】
ただし、高調波信号注入装置6の構成は、図6や図7に例示したものに限定されるものではない。例えば並列型の高調波信号注入装置6を、特定の周波数の交流電流を発生させる回路あるいは特定の周波数の交流電流を組み合せて発生させる回路と、電流増幅器等から構成しても良い。また、例えば直列型の高調波信号注入装置6を、基本波周波数ならびに低次の高調波周波数に対して低インピーダンスとなるような非線形素子を用いて、特定電気機器に流れる負荷電流の高次の高調波周波数領域に変歪を加え、特徴的な高調波パターンを発生させるように構成しても良い。並列型と直列型のどちらの高調波信号注入装置6も、スイッチ18の操作により特定電気機器(本実施形態では白熱灯3f)に電流が流れると、動作するように構成され、動作を開始した高調波信号注入装置6は、屋内配線回路17に上述した特徴的な高調波電流を流す。この特徴的な高調波電流は、特定電気機器に流れる負荷電流に重畳される。
【0028】
例えば本実施形態では、並列型の高調波信号注入装置6を採用している。また、本実施形態における並列型の高調波信号注入装置6は、特定電気機器の電流取込部(例えば電源プラグ或いは電源プラグに相当する部分)に電気的に接続するインターフェースと、屋内配線回路17の電流供給部(例えばコンセント或いはコンセントに相当する部分)に電気的に接続するインターフェースとを有して構成される。この場合、高調波信号注入装置6を特定電気機器や屋内配線回路17に組み込む必要はなく、既存の特定電気機器と既存の屋内配線回路17との間に高調波信号注入装置6を簡単に取り付けることができる。
【0029】
非侵入型モニタリングシステム1として、例えば本実施形態では、特開2000−292465号に開示された電気機器モニタリングシステムを採用している。この非侵入型モニタリングシステム1によれば、電力需要家2において設置されている電気機器3が発生する基本波並びに高調波の電流とそれらの電圧に対する位相のパターンに着目し、ニューラルネットワーク等のパターン認識手法を応用することにより、給電線引込口付近での総負荷電流と電圧の測定結果からインバータ機器を含む複数の電気機器3の個別の動作状態を推定することができる。
【0030】
ここで、白熱灯3fからなるトイレ照明機器は、その動作頻度、動作時間、動作時間帯等から対象者が健常に生活しているか否かを推測できる特定電気機器として好適ではあるが、他の電気機器3と比較して消費電力が小さく、しかも高調波をあまり出さないために、非侵入型モニタリングシステム1のみでは、白熱灯3fからなるトイレ照明機器の動作状態を精度良く識別することは困難である。また、本実施形態の電力需要家2内には白熱灯3e,3fと2つあるが、特定の白熱灯3fの動作状態のみを識別するのは、非侵入型モニタリングシステム1のみでは困難である。そこで、本発明では、高調波信号注入装置6を用いることで、白熱灯3fからなるトイレ照明機器の動作状態を確実に識別できるようにしている。
【0031】
また、本実施形態の非侵入型モニタリングシステム1によれば、特定電気機器の動作状態の推定のみならず、電力需要家2内の特定電気機器以外の電気機器3の個別の動作状態をも推定することができる。例えば、テレビジョン受像機3aもまた、その動作頻度、動作時間、動作時間帯等から対象者が健常に生活しているか否かを推測できるものである。例えば本実施形態では、白熱灯3fからなるトイレ照明機器の動作情報に加えて、テレビジョン受像機3aの動作情報をも得るようにしている。以下、本実施形態では、対象者の安否確認の判断対象となる特定電気機器を含む電気機器3を対象電気機器と呼ぶ。
【0032】
この非侵入型モニタリングシステム1は、基本的には、測定センサーと、測定センサーで検出した測定データから基本波並びに高調波の電流とそれらの電圧に対する位相に関するデータを取り出すデータ抽出手段12と、データ抽出手段12からの前述のデータを基に当該電力需要家2が使用している電気機器3の動作状態を推定するパターン認識手段、例えばニューラルネットワーク13とからなる。
【0033】
ここで、上述した測定センサーは、電力需要家2の引込線4の引込口の付近に一箇所に設置している。このように測定センサーを引込口の付近に一箇所に設置する構成としたことにより、非侵入的なシステムとすることができる。この測定センサーは、具体的には、例えば引込口の付近の引込線4に電気的に並列接続されている計器用変成器(PT)と、同付近の引込線4に直列接続された計器用変流器(CT)とからなる。さらに具体的に説明すれば、前記PTの一次側は、引込線4の電圧波形を測定できるように引込線4に並列に接続されている。同様に、CTの一次側は、引込線4の電流波形を測定できるように引込線4に直列に接続されている。これらPTとCTの各二次側は、データ抽出手段12の入力端子に接続されている。
【0034】
上述したデータ抽出手段12は、前記測定センサーであるPT及びCTで検出した測定データから基本波並びに高調波の電流に関するデータと、電圧に対する基本波と高調波の電流の位相に関するデータとを取り出すことができる。このデータ抽出手段12からの基本波並びに高調波の電流に関するデータと、電圧に対する基本波の電流(基本波電流とも呼ぶ)と高調波の電流(高調波電流とも呼ぶ)の位相に関するデータとが、上述したパターン認識手段の1つとしてのニューラルネットワーク13に与えられる。
【0035】
上述したニューラルネットワーク13は、人間の脳の神経細胞を模倣した情報処理システムであり、いくつかの神経細胞(ニューロン)がシナプスと呼ばれる媒体を介して相互に結合して情報を交換しながら情報処理を行うようにした並列分散処理システムのことである。このニューラルネットワーク13は、当該電力需要家2が使用しているインバータ機器を含む電気機器3の動作状態を推定する推定手段131を備えている。
【0036】
この推定手段131には、まず、教師データを与えておく。この教師データとは、複数の電気機器3の種々の組み合わせと、それらの電気機器3の種々の動作状態の組み合わせについて、あらかじめ測定したいくつかの基本波と高調波の電流とそれらの電圧に対する位相に関するデータとその時の解答である電気機器3の動作状態とからなるデータのことをいう。また、この推定手段131は、電力需要家2の測定センサーによって測定した総負荷電流の高調波成分と位相に関するデータを入力することによって、パターン認識によってインバータ機器を含む複数の電気機器3の個別の動作状態を推定することができるようになっている。
【0037】
図2に、非侵入型モニタリングシステム1の具体的構成例を示す。この図において、電力需要家2に引き込まれた引込線4が単相三線式である場合、日本の場合には、引込線4は、A相4aと中性線4nとの間で交流100〔V〕、B相4bと中性線4nとの間で交流100〔V〕、A相4aとB相4bとの間で200〔V〕となる。A相4aと中性線4nとの間に、電流IA1,IA2,…,IA6を流し、電圧・電流の位相差φA1,φA2,…,φA6を持つ電気機器3が接続されている。同様に、B相4bと中性線4nとの間に、電流IB1,IB2,…,IB6を流し、電圧・電流の位相差φB1,φB2,…,φB6を持つ電気機器3が接続されている。そして、PT111aの一次側は、A相4aと中性線4nとの間に接続されている。PT111aの二次側には、A相4aの電圧と相似の電圧VA が出力される。PT111bの一次側は、B相4bと中性線4nとの間に接続されている。PT111bの二次側には、B相4bの電圧と相似の電圧V が出力される。CT112a,112bには貫通型を使用するものとすると、CT112aはA相4aに流れる電流を測定して二次側からA相の電流と相似の電流I を出力し、また、CT112bはB相4bに流れる電流を測定して二次側からB相の電流と相似の電流I を出力する。ここで、電圧VとIの位相関係はA相電圧とA相電流の位相関係に原理的に等しく、また、VとIの位相関係もB相電圧とB相電流の位相関係に原理的に等しく保たれている。これら電圧V ,V と、電流I ,I は、データ抽出手段12に入力される。
【0038】
データ抽出手段12は、アナログ/デジタル(A/D)変換器121と、高速フーリエ変換器122とからなる。A/D変換器121は電圧V ,V と電流I ,I とをデジタルデータに変換することができる。このA/D変換器121の出力は、高速フーリエ変換器122に与えられる。高速フーリエ変換器122は、前記A/D変換器121からのデジタルデータから電流データIA(1−13),IB(1−13)、位相差データφA(1−13) ,φB(1−13)を得ることができる。ここで、電流データIA1,IB1、位相差データφA1,φB1はそれぞれ基本波の電流並びに位相差を示し、電流データIA(2−13)、IB(2−13)、位相差データφA(2−13)、φB(2−13)は添字(2〜13)が高調波の次数2次から13次を表す高調波の電流と位相差とをそれぞれ示し、給電線に供給される交流電力の基本周波数にその次数の数値を乗ずることでその高調波のもつ周波数を表す。例えば、基本周波数が50Hzの場合、3次高調波電流とは150Hzの周波数成分のみをもつ電流成分のことを指す。また、一般に、奇数次の高調波が卓越して現れ、偶数次のものは小さいため、ここでは2次から13次のうち、奇数次のデータを高調波データとしてニューラルネットワーク13に入力として与えている。
【0039】
これらの基本波並びに高調波の電流データIA(1−13)、IB(1−13) 、位相差データφA(1−13) ,φB(1−13) の各データは、ニューラルネットワーク13に与えられる。ニューラルネットワーク13はあらかじめ教師データによって学習を終了している。学習は例えば次のようにして行う。即ち、図3に示す電力需要家2内の複数の電気機器3個々につけられたスイッチ18〜23を入り切りして、更にはインバータ機器の電流を任意に設定して(例えば、インバータエアコンデショナー3cなら室内設定温度や設定風速を変化させることで電流を変えることができる。)、複数の電気機器3が種々の動作状態となる状況を作る。当該状況のそれぞれについて、即ち複数の電気機器3の種々の動作状態の各組み合わせについて、測定センサーであるPT111a,111b及びCT112a,112bとデータ抽出手段12とを用いて、基本波電流と高調波電流とそれら基本波電流と高調波電流の基本波電圧に対する位相に関するデータを測定する。当該測定したデータと、当該測定したデータに対応する状況における電気機器3の動作状態(即ち、各電気機器3の電源がオンの状態であったかオフの状態であったか、更に電源オンの状態であればどの程度(何ワット)の電力を消費しているか)とを、教師データとしてニューラルネットワーク13に与えて学習を行う。
【0040】
例えば、白熱灯3fからなるトイレ照明機器以外の電気機器3(テレビジョン受像機3a、冷蔵庫3b、インバータエアコンデショナー3c、蛍光灯3d、白熱灯3eからなる居間照明機器)が稼働したときの基本波並びに高調波の電流パターンと基本波電圧に対するそれらの位相差パターンは、例えば図4に示すようなものとして得られる。また、例えば白熱灯3eからなる居間照明機器以外の電気機器3(テレビジョン受像機3a、冷蔵庫3b、インバータエアコンデショナー3c、蛍光灯3d、白熱灯3fからなるトイレ照明機器)が稼働したときの基本波並びに高調波の電流パターンと基本波電圧に対するそれらの位相差パターンは、例えば図5に示すようなものとして得られる。尚、図4と図5において、横軸には電流の次数を、縦軸には電流値〔A〕及び位相差をそれぞれ示している。また、電流値は各次数の実効値、位相差は正弦関数値で表している。基本波および各高調波次数の電流値は太線で棒状に、位相差は細線で示している。ここで、各電流値及び位相差は情報のもつ重みを均等化するために0から1の範囲あるいは−1から1の範囲に正規化することが好ましい。
【0041】
図4と図5の13次の高調波電流に表れる電流の大きさと位相差の差が高調波信号注入装置6の動作の有無に起因しているものである。非侵入型モニタリングシステム1では、このようなパターンの差異を認識し、当該差異から特定電気機器を含む電気機器3の動作状態を、一意に確定的に識別することができる。
【0042】
このように図4や図5に示すような複数の電気機器3を種々の動作状態の組み合わせで動作させたときに得られるデータと、その時の解答である電気機器3の動作状態とを教師データとしてニューラルネットワーク13に与えて、ニューラルネットワーク13を学習させておく。なお、教師データはこの例で示したものに限定されないのは勿論であり、適当な電気機器3の組み合わせ、適当な動作状態の組み合わせの時のデータをいくつか用意すればよい。
【0043】
このようにしてニューラルネットワーク13を教師データで学習させた後に、実際に、図1に示すように電力需要家2の特定電気機器の動作状態を非侵入的に測定することになる。尚、この非侵入型モニタリングシステム1では、ニューラルネットワーク13による推定精度を向上させるための学習を、電力需要家2の外部から電話回線、光ファイバー専用回線等を利用して外部から行うことができる。
【0044】
本実施形態の通知手段14は、非侵入型モニタリングシステム1の推定結果として特定電気機器の動作情報を、安否情報管理手段15または予め定められた情報端末機16に送信する装置である。さらに本実施形態の通知手段14は、非侵入型モニタリングシステム1の推定結果として特定電気機器以外の電気機器3である例えばテレビジョン受像機3aの動作情報をも、安否情報管理手段15または予め定められた情報端末機16に送信するようにしている。本実施形態の通知手段14は、対象電気機器(白熱灯3fからなるトイレ照明機器またはテレビジョン受像機3a)の電源がオフからオン或いはオンからオフとなった時点で、その動作情報を安否情報管理手段15または予め定められた情報端末機16に送信する。当該動作情報には、例えば、対象者(電力需要家2)を特定する対象者IDと、対象電気機器を特定する電気機器ID(例えば本実施形態では、白熱灯3fとテレビジョン受像機3aとのどちらの情報なのかを特定するID)と、電気機器3の動作状態を特定するコード(例えば本実施形態では、電源がオフからオンになったのか或いはオンからオフとなったのかを表すコード)が含まれる。
【0045】
安否情報管理手段15は、例えば通知手段14から送信された対象電気機器の動作情報を受信する手段と、当該受信した対象電気機器の動作情報を記録し管理する手段と、当該記録し管理している対象電気機器の動作情報の一部又は全部をディスプレイ等の出力装置に出力する手段等を有するコンピュータである。安否情報管理手段15は、対象者の安否確認を業として行う安否確認事業者によって運用されている。安否確認事業者は、安否情報管理手段15が受信した対象電気機器の動作情報に基づいて、白熱灯3fからなるトイレ照明機器またはテレビジョン受像機3aの動作頻度、動作時間、動作時間帯等を把握することができ、対象者が健常に生活しているか否かを判断することができる。その結果、何らかの異常が確認された場合(例えば白熱灯3fからなるトイレ照明機器またはテレビジョン受像機3aの電源が一日以上オフの状態となっている等)には、安否確認事業者は、例えば対象者に電話連絡等をして安否確認を直接とる、または対象者の家族や担当医師等に電話連絡等をして対象者の安否確認を依頼する等の措置を施すことができる。尚、安否情報管理手段15としてのコンピュータが有する演算機能により、対象電気機器の動作頻度、動作時間、動作時間帯が許容値の範囲内にあるか否かを判断し、許容値の範囲外にある場合に警告音や警告灯または警告メッセージ等を出力して、安否確認事業者または対象者の家族や担当医師等に注意を促すように構成しても良い。
【0046】
情報端末機16は、通知手段14から送信された対象電気機器の動作情報を受信する手段と、当該受信した対象電気機器の動作情報をディスプレイやスピーカー等の出力装置に出力する手段等を有する装置であり、例えば対象者の家族や担当医師等が所有するパーソナルコンピュータ、電話機、携帯電話機等である。対象者に対応する情報端末機16を予め設定する場合は、例えば通知手段14が有する記憶装置に、対象電気機器の動作情報を送信すべき情報端末機16の情報(例えば、電話番号、電子メールアドレス、IPアドレス等)を予め記憶させておく。この場合、安否情報管理手段15および安否確認事業者を介在させず、通知手段14から直接的に対象者の家族や担当医師等に対象電気機器の動作情報を通知するシステムが構築できる。尚、対象電気機器の動作状態が変化する度に、通知手段14と情報端末機16との間で通信することが不都合な場合等には、一定時間毎に通知手段14が当該一定時間内における対象電気機器の動作情報をまとめて情報端末機16に送信するようにしても良い。更に、この場合、対象電気機器の動作情報を加工して(例えば対象電気機器の動作状態の経時変化をグラフで表して)、情報端末機16に送信するようにしても良い。
【0047】
尚、通知手段14が直接的に情報端末機16に対象電気機器の動作情報を送信するものに限らず、安否情報管理手段15が対象電気機器の動作情報を予め定められた情報端末機16に例えば電子メールや音声メッセージ等として送信するようにしても良い。また、安否情報管理手段15をWWWサーバとして構成し、対象者の家族や担当医師等が自身の所有する情報端末機16のブラウザソフトウェアを用いて、安否情報管理手段15にアクセスし、対象電気機器の動作情報を閲覧できるようにしても良い。
【0048】
通知手段14と安否情報管理手段15または情報端末機16との間の通信には、既知の有線又は無線の通信技術および通信回線(例えば、電話回線、インターネット専用回線、PHS(Personal Handy phone System)網、携帯電話網、ケーブルテレビ回線等)を適宜採用して良い。通知手段14、安否情報管理手段15、情報端末機16は、採用された通信技術および通信回線による通信を可能にするハードウェアやソフトウェアを備えて構成される。
【0049】
以上のように構成された電力需要家在室者の安否確認システムによると、以下のようにして対象者の安否を非侵入的に確認することが可能である。すなわち、引込線4の電力需要家2の引込口に測定センサーであるPT111a,111b及びCT112a,112bを配置し、実際に、非侵入型モニタリングシステム1を動作させて電力需要家2の対象電気機器の動作状態を推定させる。尚、この電力需要家2の電気機器3の動作状態の組み合わせは、上述した教師データとは異なる電気機器3の動作状態の組み合せであっても良い。
【0050】
この電力需要家2における電気機器3の測定データ、すなわち測定センサーであるPT111a,111b及びCT112a,112bからの測定データ(電圧V ,V 、電流I ,I )は、例えば教師データとして学習に使っていないデータである。このようなPT111a,111b及びCT112a,112bからの測定データを、データ抽出手段12に入力する。
【0051】
このデータ抽出手段12において、アナログ電圧データV ,V とアナログ電流データIA ,I とは、A/D変換器121によりデジタルデータに変換される。このA/D変換器121からのデジタルデータを用いて、高速フーリエ変換器122により、基本波並びに高調波の電流データIA(1−13)、IB(1−13)及び位相差データφA(1−13) ,φB(1−13) を得る。
【0052】
これらの基本波並びに高調波の電流データIA(1−13)、IB(1−13)及び位相差データφA(1−13) ,φB(1−13) は、ニューラルネットワーク13に供給される。ニューラルネットワーク13では、推定手段131によって、現在入力されている測定データのパターンを参照し、学習によって得られた推定能力によってパターン認識し、そのパターン認識した結果をニューラルネットワーク13の推定結果(図では「対象電気機器の動作状態」と表示する)として出力する。
【0053】
通知手段14は、既知の通信技術により非侵入型モニタリングシステム1の推定結果として対象電気機器の動作情報を安否情報管理手段15または予め定められた情報端末機16に送信する。安否確認事業者は、安否情報管理手段15が受信した対象電気機器の動作情報に基づいて、白熱灯3fからなるトイレ照明機器またはテレビジョン受像機3aの動作頻度、動作時間、動作時間帯等を把握して、対象者が健常に生活しているか否かを判断することができる。また、対象者の家族や担当医師等も、情報端末機16が受信した対象電気機器の動作情報に基づいて、白熱灯3fからなるトイレ照明機器またはテレビジョン受像機3aの動作頻度、動作時間、動作時間帯等を把握して、対象者が健常に生活しているか否かを、安否確認事業者を介さずに直接的に判断することができる。
【0054】
本発明の電力需要家在室者の安否確認方法及びシステムによれば、給電線入口位置に非侵入型モニタリングシステム1を設置し、特定電気機器に高調波信号注入装置6を取り付けるだけで、特定電気機器にマイクロコンピュータ等の情報処理機能や無線通信装置等の通信機能を付加または内蔵することなく、簡易な構成で特定電気機器の動作状態を把握することができる。さらに、本発明は、電気機器自体が電力需要家外部の情報処理装置と通信を行うわけではなく、電力需要家2の家屋内に入らない非侵入的な方法で対象者の安否を確認することができるので、対象者に第三者から監視されている等の意識を極力もたれないように構成できる。
【0055】
また、本実施形態で採用した非侵入型モニタリングシステム1によれば、インバータ機器を含む複数の電気機器3の動作状態を推定することができ、特定電気機器の動作情報のみならず、他の電気機器3の動作情報をも加えた総合的な対象者の安否判断が可能となる利点がある。更に、特定電気機器の消費電力が他の電気機器3と比較して相対的に小さくしかも高調波をあまり発生さないために非侵入型モニタリングシステム1のみでは動作状況の識別が比較的難しい場合でも、高調波信号注入装置6を接続して特定電気機器がオン動作するときに特徴的な高調波を屋内配線回路17に流すことで、非侵入型モニタリングシステム1が特定電気機器の動作状態を確実に識別することができる。
【0056】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本発明の適用は、戸建て住宅のみばかりが対象ではなく、アパート等の集合住宅、高齢者施設、病院等にも適用可能である。この場合、例えば、各戸(部屋)内の特定電気機器に高調波信号注入装置6を取り付け、各戸(部屋)の分電盤に非侵入型モニタリングシステム1を取り付ければ良い。さらに、各戸(部屋)毎に非侵入型モニタリングシステム1を取り付けず、例えば、各戸(部屋)の高調波信号注入装置6がそれぞれユニークな高調波電流を発生させるようにして、複数戸(部屋)一括の非侵入型モニタリングシステム1を給電線の上流に設置するようにしても良い。
【0057】
また、上述の実施形態では、特定電気機器は電力需要家2内に一つであったが、二つ以上であっても良い。この場合、例えば、注入信号(交流電流)の周波数、振幅、基本波電圧に対する位相差を適宜調整できるように高調波信号注入装置6を構成して、複数の特定電気機器のそれぞれに取り付ける高調波信号注入装置6がそれぞれユニークな高調波電流を発生させるようにすれば良い。これにより、非侵入型モニタリングシステム1では、複数の特定電気機器が単独あるいは同時に動作したときの状態を特定電気機器個別に一意に確定的に識別できる。
【0058】
また、上述の実施形態では、非侵入型モニタリングシステム1として、電力需要家2内の複数の電気機器3の個別の動作状態を推定することができるものを採用したが、必ずしも複数の電気機器3の個別の動作状態を推定する必要はなく、特定電気機器のみの動作状態を推定するものであっても良い。この場合、例えばニューラルネットワーク13の学習を次のようにして行うようにする。即ち、図3に示す複数の電気機器3個々につけられたスイッチ18〜23を入り切りして、更にはインバータ機器の電流を任意に設定して、複数の電気機器3が種々の動作状態となる状況を作る。当該状況のそれぞれについて、即ち複数の電気機器3の種々の動作状態の各組み合わせについて、測定センサーであるPT111a,111b及びCT112a,112bとデータ抽出手段12とを用いて、高調波電流と高調波電流の基本波電圧に対する位相に関するデータを測定する。当該測定したデータと、当該測定したデータに対応する状況における特定電気機器の動作状態(即ち、特定電気機器の電源がオンの状態であったかオフの状態であったか)とを、教師データとしてニューラルネットワークに与えて学習を行う。これにより、非侵入型モニタリングシステム1では、特定電気機器の動作の有無(即ち、高調波信号注入装置6の動作の有無)に起因する高調波電流のパターンの差異を認識し、当該差異から特定電気機器の動作状態を、一意に確定的に識別することができる。
【0059】
また、上述の実施形態では、パターン認識手段としてニューラルネットワークを用いた例について主に説明したがこれに特に限定されるものではなく、例えば最も近くの範例を探す最近傍法や、ラージ・マージン・クラスファイア、その他既知又は新規の推定アルゴリズムを採用しても良い。
【0060】
さらに、本発明は、特定電気機器の動作状態の推定方法及びシステムとして構成することもできる。即ち、特定電気機器の動作状態の推定方法では、電力需要家内の特定の電気機器の動作に伴って、電力需要家内の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流が電力需要家内の屋内配線回路に流れるようにし、電力需要家の給電線引込口付近で総負荷電流及び電圧を測定し、当該測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求め、当該求めた総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差に基づいて特定電気機器の動作状態を推定するようにする。また、上記方法を装置化した特定電気機器の動作状態の推定システムは、電力需要家2内の電気機器3のうち特定の電気機器に取り付けられて、特定電気機器の動作に伴い電力需要家2内の電気機器3が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流を電力需要家2内の屋内配線回路17に流す高調波信号注入装置6と、電力需要家2の給電線引込口付近で測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求め、当該求めた総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差に基づいて特定電気機器の動作状態を推定する非侵入型モニタリングシステム1とを有するようにする。
【0061】
この場合、特定電気機器の動作状態の推定結果は、需要家在室者の安否確認に用いられるものには限らない。例えば、電気事業者や電気機器の製造業者や販売業者等にとって電力需要家2の側の重要な情報の一つに電力需要家2が保有する電気機器の構成や使用実態に関する情報がある。これらの情報は、DSM(Demand Side Management)の効果評価、潜在需要の予測、負荷率低下の要因分析、きわめて細かな季時別料金システムの構築、需要家への各種サービスの提供等を行う上で必要不可欠である。従って、特定電気機器の動作状態の推定結果を、電力需要家2が保有する電気機器の構成や使用実態に関する有用な情報の1つとして活用することができる。尚、この場合の特定電気機器は、需要家在室者が健常に生活しているか否かを推測できるものである必要はない。
【0062】
また、上述の実施形態では、高調波信号注入装置6を電気機器とは別体として構成したが、高調波信号注入装置6を電気機器に内蔵させても良い。従来は低減させることが常識であった高調波を、電気機器の動作に影響を及ぼさない範囲であえて発生させる電気機器は、従来ない新規なものである。そして、高調波信号注入装置6を備えた電気機器によれば、上述したように当該電気機器の動作状態を非侵入的に且つ高い信頼性で推定することが可能になる。更に当該推定結果は、需要家在室者の安否確認や、電力需要家2が保有する電気機器の構成や使用実態に関する有益情報等として活用できる。
【0063】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の特定電気機器の動作状態推定方法および請求項2記載の特定電気機器の動作状態推定システムによれば、同一あるいは類似の高調波電流を発生する複数の電気機器が電力需要家内に接続されている場合であっても、特定の電気機器の動作状態を非侵入的に推定することができる。
【0064】
また、請求項3記載の電力需要家在室者の安否確認方法および請求項4記載の電力需要家在室者の安否確認システムによれば、特定電気機器にマイクロコンピュータ等の情報処理機能や無線通信装置等の通信機能を付加または内蔵することなく、簡易な構成で特定電気機器の動作状態を把握することができる。さらに、電力需要家の家屋内に入らない非侵入的な方法で当該電力需要家の在室者の安否を確認することができ、電気機器自体が電力需要家外部の情報処理装置と通信を行うわけではないので、電力需要家在室者に第三者から監視されている等の意識を極力もたれないように構成できる。
【0065】
さらに、請求項5記載の電力需要家在室者の安否確認システムによれば、一般の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴的な高調波電流を確実に発生させることができる。
【0066】
さらに、請求項6記載の電力需要家在室者の安否確認システムによれば、高調波信号注入装置を特定電気機器や屋内配線回路に組み込む必要はなく、既存の特定電気機器と既存の屋内配線回路との間に高調波信号注入装置を簡単に取り付けることができる。
【0067】
さらに、請求項7記載の高調波信号注入装置を備えた電気機器によれば、特徴的な高調波の有無に基づいて当該電気機器の動作状態を推定することができ、更に当該推定結果に基づいて電力需要家在室者が健常に生活しているか否かを判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電力需要家在室者の安否確認方法及びシステムが適用された電力需要家の電気系を示す図である。
【図2】非侵入型モニタリングシステムの構成の一例を示す概略構成図である。
【図3】図1における電気回路だけを取り出した概略ブロック図である。
【図4】非侵入型モニタリングシステムの教師データとして使用する入力データ例を示し、特定電気機器が動作してない状態を示す図である。
【図5】非侵入型モニタリングシステムの教師データとして使用する入力データ例を示し、特定電気機器が動作している状態を示す図である。
【図6】特定電気機器と並列となるように高調波信号注入装置を屋内配線回路に取り付けた場合を示す概略ブロック図である。
【図7】特定電気機器と直列となるように高調波信号注入装置を屋内配線回路に取り付けた場合を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
1 非侵入型モニタリングシステム
2 電気需要家
3 電気機器
4 引込線
4a A相
4b B相
4n 中性線
12 データ抽出手段
13 パターン認識手段としてのニューラルネットワーク
14 通知手段
15 安否情報管理手段
16 情報端末機
111a、111b PT(計器用変成器)
112a、112b CT(計器用変流器)
121 A/D変換器
122 高速フーリエ変換器
131 推定手段

Claims (7)

  1. 電力需要家内の特定の電気機器の動作に伴って、前記電力需要家内の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流が前記電力需要家内の屋内配線回路に流れるようにし、前記電力需要家の給電線引込口付近で総負荷電流及び電圧を測定し、当該測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求め、当該求めた前記総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差に基づいて前記特定電気機器の動作状態を推定するようにしたことを特徴とする特定電気機器の動作状態の推定方法。
  2. 電力需要家内の特定の電気機器に取り付けられて、前記特定電気機器の動作に伴い前記電力需要家内の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流を前記電力需要家内の屋内配線回路に流す高調波信号注入装置と、前記電力需要家の給電線引込口付近で測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求め、当該求めた前記総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差に基づいて前記特定電気機器の動作状態を推定する非侵入型モニタリングシステムとを有することを特徴とする特定電気機器の動作状態推定システム。
  3. 対象となる電力需要家の在室者の安否を確認する方法であり、前記電力需要家内の特定の電気機器の動作に伴って、前記電力需要家内の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流が前記電力需要家内の屋内配線回路に流れるようにし、前記電力需要家の給電線引込口付近で総負荷電流及び電圧を測定し、当該測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求め、当該求めた前記総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差に基づいて前記特定電気機器の動作状態を推定し、当該推定した結果を、前記在室者の安否情報を管理する手段または前記在室者に対応する予め定められた情報端末機に通知するようにしたことを特徴とする電力需要家在室者の安否確認方法。
  4. 対象となる電力需要家の在室者の安否を確認するシステムであり、前記電力需要家内の特定の電気機器に取り付けられて、前記特定電気機器の動作に伴い前記電力需要家内の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流を前記電力需要家内の屋内配線回路に流す高調波信号注入装置と、前記電力需要家の給電線引込口付近で測定した総負荷電流及び電圧から当該総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差を求め、当該求めた前記総負荷電流の高調波の電流及び電圧に対する高調波の電流の位相差に基づいて前記特定電気機器の動作状態を推定する非侵入型モニタリングシステムと、前記非侵入型モニタリングシステムの推定結果情報を管理する安否情報管理手段または前記在室者に対応する予め定められた情報端末機に、前記非侵入型モニタリングシステムの推定結果を通知する通知手段とを有することを特徴とする電力需要家在室者の安否確認システム。
  5. 前記高調波信号注入装置は、任意の次数の高調波電流を単一で又は組み合わせて発生させることを特徴とする請求項4記載の電力需要家在室者の安否確認システム。
  6. 前記高調波信号注入装置は、前記特定電気機器の電流取込部に電気的に接続するインターフェースと、前記屋内配線回路の電流供給部に電気的に接続するインターフェースとを有することを特徴とする請求項4または5記載の電力需要家在室者の安否確認システム。
  7. 電力需要家内の屋内配線回路に接続されて使用される電気機器において、該電気機器の動作時に、前記電力需要家内の電気機器が発生する高調波電流にはない特徴を有する高調波電流を前記電力需要家内の屋内配線回路に流す高調波信号注入装置を備えたことを特徴とする電気機器。
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