JP2004038004A - 反射型液晶表示素子および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶応答の非対称性の要因となる電池効果をなくし、駆動電圧に印加するオフセット電圧を不要にすると共に、長期駆動を行った場合にも高い信頼性を確保することができ、さらに、製造プロセスを複雑化することなく容易に製造できるようにする。
【解決手段】画素電極42Aの透明電極に対向する面側に、対向する透明電極と同材料の導電性薄膜43を、絶縁性薄膜45を介して形成する。導電性薄膜43を設けることにより、対向する電極間での電池効果が消滅する。従って、液晶応答の非対称性が解消され、従来駆動電圧に必要とされていたオフセット電圧が不要となる。結果的に、駆動時の長期信頼性の向上が図られる。また、導電性薄膜43による被覆が、絶縁性薄膜45を介して行われていることにより、隣接する画素電極42A間での通電が防止される。
【選択図】 図2
【解決手段】画素電極42Aの透明電極に対向する面側に、対向する透明電極と同材料の導電性薄膜43を、絶縁性薄膜45を介して形成する。導電性薄膜43を設けることにより、対向する電極間での電池効果が消滅する。従って、液晶応答の非対称性が解消され、従来駆動電圧に必要とされていたオフセット電圧が不要となる。結果的に、駆動時の長期信頼性の向上が図られる。また、導電性薄膜43による被覆が、絶縁性薄膜45を介して行われていることにより、隣接する画素電極42A間での通電が防止される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型の画素電極を有する反射型液晶表示素子およびそれを利用した反射型液晶プロジェクタ等の液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プロジェクションディスプレイ(プロジェクタ)などの各種表示装置には、液晶表示素子が利用されている。液晶表示素子は、液晶パネルまたは液晶セルなどとも呼ばれている。液晶表示素子の種類には、大別して透過型と反射型とがあり、いずれも、画素電極基板とこれに対向する対向基板との間に液晶を封入した構成となっている。透過型液晶表示素子では、画素電極基板と対向基板との双方に、例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極が設けられている。
【0003】
一方、反射型液晶表示素子は、近年、液晶プロジェクタの高精細化、小型化および高輝度化が進むにつれて、その表示デバイスとして、小型化および高精細化が可能で高い光利用効率が期待できるものとして注目され、実際に実用化されている。この反射型液晶表示素子は、対向基板側に例えばITOからなる透明電極が設けられ、画素電極基板側に反射型の画素電極(以下、単に「反射電極」ともいう。)が設けられている。液晶プロジェクタに使用される反射型液晶表示素子は、一般にアクティブ型であり、画素電極基板として、例えば、C−MOS(Complementary−Metal Oxide Semiconductor)型の半導体スイッチング回路をシリコン基板上に形成したものを用いている。反射電極は、このシリコン駆動素子基板の上に配置される。反射電極は、対向基板側から入射した光を反射する機能と、液晶に対して電圧を印加する機能とを有している。反射電極の材料としては、一般にLSI(Large Scale Integrated)プロセスで用いられている、アルミニウム(Al)を主成分とした金属材料が利用されている。
【0004】
この反射型液晶表示素子では、各基板に設けられた透明電極と画素電極とにより、液晶に対して電圧が印加される。このとき、液晶は、対向する電極間の電位差に応じて光学的な特性が変化し、入射した光を変調させる。この光変調により階調表現が可能となり、その変調された光が映像表示に利用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、液晶表示素子では、液晶内に存在するイオンが、駆動中に片方の基板に焼き付くことを防ぐために、所定期間ごとに駆動電圧の極性を±反転させて、電極間に電圧を印加するような駆動方式が一般的である。図10に、この駆動方式による駆動電圧の概念図を示す。図中、太い実線で示したように、対向電極間に印加される各極性の電圧の絶対値がV1で同じならば、本来、液晶にかかる実効的な電圧に差は生じず、上記したような焼き付き等の現象が起こらない。しかしながら、実際には、特に反射型液晶表示素子の場合、印加電圧がプラスとマイナスの場合とで液晶にかかる実効的な電圧に差が生じる。これは、反射型液晶表示素子では、各基板に用いられている電極材料が異なっていることに起因している。
【0006】
すなわち、反射型液晶表示素子では、上述したように透明電極として、一般にITOが用いられ、対向する画素電極には銅等がわずかに混合されたアルミニウム金属膜が用いられている。この場合、ITOとアルミニウムのそれぞれの電極自身が有する標準電極電位が異なっているために、これらの異種金属電極を用いた素子内に電池効果が発生する。アルミニウムの標準電極電位は、−1.66Vであり、このアルミニウム電極とITO電極とを組み合わせた場合には、それらの電極間でかなり大きな電池効果が発生する。なお、「標準電極電位」とは、電極反応に関与する物質がすべて標準状態にあるときの平衡電極電位のことをいう。
【0007】
このため、図10の太い実線で示したような、各極性で絶対値の同じ電圧を外部から印加したとしても、電池効果により起電力が発生し、液晶には非対称な電圧が加わる。その結果、印加電圧の極性によって素子の反射率が異なることになり、フリッカーが生じたり、素子内に内部電圧が蓄積されて焼き付き等の問題を起こす。ITO透明電極に代えてアルミニウム電極を用い、対向する電極を双方とも同じアルミニウム電極とすれば、電池効果は相殺され上記のような非対称性は起こらない。しかしながら、これでは素子内に光が透過しなくなるので、実用的ではない。また、当然のことながら、対向する電極がITO同士で構成される通常の透過型液晶デバイスでは、同種電極のためこのような非対称性の問題は起こらない。従って、この非対称性は反射型液晶素子が持つ本質的な問題である。
【0008】
この反射率の非対称性をなくすために、反射型液晶表示素子では、駆動電圧に直流的なオフセット電圧ΔVを掛け、図10に太い破線で示したように、各極性で絶対値の異なる駆動電圧を印加する必要がある。例えば、反射電極材料としてアルミニウム、対向する透明電極にITOを用いた場合、液晶にかかる各極性間での実効的な電圧差は1V以上になるが、この分をオフセット電圧ΔVとして印加する。しかしながら、オフセット電圧ΔVの数値があまり大きいと完全に非対称性を除去することができないばかりか、長期駆動中に、オフセット電圧ΔVが初期の設定値から徐々に変化してしまい、結果的に素子内に内部電圧が蓄積され、焼き付きが起こる。このため、長期駆動時の信頼性が低下する。また、オフセット電圧ΔVを印加するためには、それ用の回路を設ける必要があり、電気回路が複雑化する。従って、反射型液晶表示素子においては、本来、電池効果があることは好ましくない。
【0009】
一方、例えば特開平9−244068号公報および特開平10−54995号公報では、反射電極材料として、アルミニウムより標準電極電位が十分に低い金属、例えばタングステン(W)、チタン(Ti)または窒化チタン(TiN)を用いることによって、上述の電圧差の問題を緩和し、電池効果を回避してオフセット電圧を低減できることが示されている。
【0010】
しかしながら、反射電極材料としてタングステン、チタンまたは窒化チタンを用いた場合、一般的に用いられているアルミニウムと比較すると十分な反射率が得られないため、この点で、適切な電極材料とはいない。従って、反射電極としての光の反射機能を損なうことなく、かつ、オフセット電圧の低減を図ることができる技術の開発が望まれる。
【0011】
そこで、本願出願人は、先に、画素電極を対向透明電極と同じ材料の導電性薄膜によって被覆することにより、オフセット電圧の低減を図るようにした発明を提案している(特願2002−165958号)。この発明によれば、事実上、オフセット電圧を不要にすることができるが、一方で、製造プロセスが複雑化するおそれがある。すなわち、画素電極上に直接導電性薄膜を被覆する場合、導電性薄膜を介して隣り合う画素電極同士が通電するおそれがあるので、その通電するおそれのある部分を画素電極の形状に合わせて切り取る必要がある。このため、例えばフォトリソグラフィ工程を新たに追加する必要がある。この工程を省略できれば、製造プロセスの点で有利になる。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、液晶応答の非対称性の要因となる電池効果をなくし、駆動電圧に印加するオフセット電圧を不要にすると共に、長期駆動を行った場合にも高い信頼性を確保することができ、さらに、製造プロセスを複雑化することなく容易に製造できるようにした反射型液晶表示素子、およびその反射型液晶表示素子を用いた液晶表示装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による反射型液晶表示素子は、金属材料によって構成された複数の反射型の画素電極、を有する画素電極基板と、画素電極に対向するよう設けられた透明電極、を有する対向基板と、画素電極基板と対向基板との間に注入された液晶とを備え、複数の画素電極の透明電極に対向する面側が、絶縁性の薄膜を介して、透明電極と同材料の導電性薄膜によって被覆されているものである。
【0014】
本発明による液晶表示装置は、上記した本発明による反射型液晶表示素子によって変調された光を用いて映像表示を行うようにしたものである。
【0015】
本発明による反射型液晶表示素子および液晶表示装置では、画素電極の透明電極に対向する面側が、透明電極と同材料の導電性薄膜によって被覆されていることにより、対向する電極間での電池効果が消滅する。これにより、液晶応答の非対称性が解消され、従来駆動電圧に必要とされていたオフセット電圧が不要とされる。また、この導電性薄膜による被覆が、絶縁性の薄膜を介して行われていることにより、例えば、導電性薄膜を複数の画素電極全体に被覆したとしても、隣接する画素電極間での通電が防止される。このため、通電するおそれのある部分を切り取るプロセスも不要となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
[反射型液晶表示素子の説明]
図1に示したように、本実施の形態に係る反射型液晶表示素子21は、互いに対向配置された対向基板30および画素電極基板40と、これらの基板間に液晶材料を注入することによって形成された液晶層35とを備えている。
【0018】
液晶層35を形成する液晶材料は、例えば、一般に垂直配向液晶と呼ばれる、垂直配列タイプのネマチック液晶である。なお、垂直配列とは、液晶の初期の分子配向が各基板面に対して垂直に配列されている状態のことをいう。一般に垂直配向液晶と呼ばれる。
【0019】
対向基板30は、ガラス基板31を備え、このガラス基板31の液晶層35側の面上に、少なくとも、透明電極層32と配向膜33とが積層されて構成されている。配向膜33としては、例えばポリイミド系の有機化合物をラビング(配向)処理した膜や、二酸化ケイ素(SiO2)等の無機材料の斜め蒸着膜が使われる。配向膜33の液晶層35側の表面は、液晶分子を所定の配列状態にするために、ラビング処理が施されている。透明電極層32は、光の透過作用のある透明電極が全面に設けられて構成されている。透明電極の材料としては、一般に、酸化すず(SnO2)と酸化インジウム(In2O3)との固溶体物質であるITOが用いられる。透明電極には、全画素領域で共通の電位(例えば接地電位)が印加されるようになっている。
【0020】
画素電極基板40は、例えばシリコン材料からなる基板41を備え、この基板41の液晶層35側の面上に、少なくとも、反射電極層50と配向膜44とが積層されて構成されている。基板41上には、反射電極層50の各画素電極42A(図2)に選択的に電圧を印加するためのスイッチング素子(図示せず)が設けられている。
【0021】
配向膜44は、対向基板30の配向膜33と同様に、例えばポリイミド系の有機化合物の膜や、二酸化ケイ素等の無機材料の斜め蒸着膜が使われており、その表面にはラビング処理が施されている。
【0022】
反射電極層50は、図2に示したように、基板41側から順に、少なくとも、反射型の画素電極42Aと、絶縁性薄膜45と、導電性薄膜43とが基板41上に積層された構成となっている。
【0023】
画素電極42Aは、金属材料で構成され、基板41上にマトリクス状に複数配置されている。画素電極42Aの厚さは、例えば50nm〜500nmである。この画素電極42Aには、基板41上に設けられた図示しないスイッチング素子によって、駆動電圧が印加されるようになっている。スイッチング素子は、各画素電極42Aに対応して設けられるものであり、例えばC−MOS型またはMIS(Metal Insulator Semiconductor)型の電界効果トランジスタ(FET(Field Effect Transistor))によって構成されている。
【0024】
画素電極42Aの金属材料としては、可視域で高い反射率を有するものが好ましく、一般にアルミニウム、より詳しくは、LSIプロセスで配線に用いられている、銅やシリコンを数wt%以下添加したアルミニウム金属膜が使用されている。ただし、十分な反射率が得られるものであれば、画素電極42Aの金属材料として、アルミニウム以外のものを用いても構わない。
【0025】
絶縁性薄膜45は、各画素電極42Aの透明電極に対向する面側を全体的に覆うように、オーバコート(被覆)することにより形成されたものである。この絶縁性薄膜45の厚さは、例えば、5nm以上500nm未満である。絶縁性薄膜45としては、例えば、一般にLSIプロセスで準備されている、(SiO2,SiO膜(酸化シリコン膜)等の酸化薄膜、もしくはSiN膜(窒化シリコン膜)等の窒化薄膜、またはそれらの多層膜を用いることができる。
【0026】
導電性薄膜43は、絶縁性薄膜45を介して、各画素電極42Aの透明電極に対向する面側を全体的に覆うように、絶縁性薄膜45上に被覆することにより成膜されている。この導電性薄膜43の厚さは、例えば、10nm以上300nm未満である。導電性薄膜43は、対向する透明電極層32と同様の材料、例えばITOによって形成されている。この導電性薄膜43は、液晶応答の非対称性を解消するために設けられたものである。
【0027】
導電性薄膜43を絶縁性薄膜45を介して被覆したのは、画素電極42A上に直接被覆すると、導電性薄膜43を介して隣り合う画素電極42A同士が通電するおそれがあるので、その通電するおそれのある部分を絶縁するためである。図2の例では、隣り合う画素電極42A間の溝51も含めて、画素構造全体を絶縁性薄膜45によって被覆し、さらにその上全面に導電性薄膜43を被覆している。ただし、必ずしも画素構造全体を被覆する必要はなく、例えば図3に示した反射電極層50Aのように、各画素電極42Aのそれぞれを独立して、絶縁性薄膜45と導電性薄膜43とによって全体的に被覆するようにしても良い。画素電極42A間の溝51に一部被覆されていない領域があっても構わない。
【0028】
なお、絶縁性薄膜45は、例えば熱酸化法または気相成長法などにより形成することができる。また、導電性薄膜43は、例えばスパッタリング法により形成することができる。
【0029】
なお、反射電極層50における各構成要素の材料の選定およびその層構造は、反射電極層50全体としての反射率が低下しないような構成とすることが望ましい。すなわち、本来の反射機能を有する画素電極42Aの材料のみならず、導電性薄膜43および絶縁性薄膜45についても光学的な膜として活用し、トータルでの反射率が向上するような膜構成を選ぶことが望ましい。例えば、導電性薄膜43をITO薄膜とした場合、光学薄膜としては高屈折率であることを活用して、例えば絶縁性薄膜45を屈折率の低いSiO2膜とし、その膜厚を調整することで、それらの薄膜間での光学的な干渉が生じる。これにより、本来の画素電極42Aよりも反射率を向上させることが可能となる。
【0030】
以上のように、画素電極42A上に、対向する透明電極と同じ材質の導電性薄膜43が、絶縁性薄膜45を介してオーバコートされている点が、本反射型液晶表示素子21における最大の特徴部分である。
【0031】
次に、以上のように構成された反射型液晶表示素子21の作用、動作を説明する。
【0032】
この反射型液晶表示素子21では、対向基板30側から入射し、液晶層35を通過した入射光L1を、反射電極層50に設けられた画素電極42Aの反射機能により反射させる。反射電極層50において反射された光L1は、入射時とは逆方向に、液晶層35および対向基板30を通過して出射される。このとき、液晶層35は、対向する電極間の電位差に応じて、その光学的な特性が変化し、通過する光L1を変調させる。この光変調により階調表現が可能となり、その変調された光L2が映像表示に利用される。
【0033】
ところで、反射電極層50の画素電極42Aには、例えば所定期間ごとにその極性が±反転する駆動電圧が印加される。このとき、従来の反射型液晶表示素子では、対向する電極同士でその標準電極電位が大きく異なる電極材料を用いていることにより、その極性に応じて、電極間でいわゆる電池効果を要因とした内部電圧が発生し、液晶の応答に非対称性を生じる。このため、これを補正するための直流電圧を、別途オフセット電圧として印加して駆動させることになる。このオフセット電圧の大きさが大きくなると、完全な補正が難しくなるばかりか、長期の駆動においては値がばらついたり変化したりするため、これを起因として焼き付きなどの問題が生じる。
【0034】
一方、本反射型液晶表示素子21では、導電性薄膜43を設けて、画素電極42A上に(絶縁性薄膜45を介して)、対向する透明電極と同じ材質の薄膜をオーバコートしていることにより、対向する透明電極との間で発生する電池効果が基本的に消滅する。導電性薄膜43の材料としては、例えばITOを用いているので、入射光は導電性薄膜43をそのまま透過し、素子の反射機能自体には影響を及ぼさない。従って、本反射型液晶表示素子21では、その反射機能を維持しつつ、液晶応答の非対称性が解消され、従来駆動電圧に必要とされていたオフセット電圧が不要となる。これにより結果的に、長期駆動時に高い信頼性が得られる。
【0035】
ここで、画素電極42A上に、対向する透明電極と同じ材質の薄膜をオーバコートすることによって電池効果が抑制される理由を以下に述べる。電池効果は、対向する電極間に電位差があるときに、現れるものである。一般に、アルミニウムの標準電極電位は、−1.66Vであり、符号がマイナスで非常に値が大きい。このため、対向するITOなどの透明電極との間に大きな電位差が発生し、これを起因として、液晶駆動が非対称になる。対向する電極同士が同じ材質で構成されていれば電池効果は原理的に発生しないが、ITO透明電極同士で液晶セルを構成すれば、それは透過型パネルとなり、反射型デバイスにはならない。
【0036】
本実施の形態では、反射型デバイスに要求される光の反射機能を、従来と同様にアルミニウム電極などを用いた画素電極42Aに持たせる一方、液晶への電圧印加は、対向する電極と同じ材質の透明な導電性薄膜43を介して行っている。画素電極42Aは液晶セル内に存在するものの、セルを実質的に形成している液晶層35の両端部分には、同じ材料の導電性薄膜43が設置されることになる。これにより、液晶層35の両端には電位差が発生しないことになり、電池効果が抑止される。
【0037】
ところで、導電性薄膜43を画素電極42A上に直接被覆すると、導電性薄膜43を介して隣り合う画素電極42A同士が通電するおそれがある。画素電極42Aは基板41上で所定形状に切断されているので、この通電を防止するためには、導電性薄膜43を形成する際に画素電極42Aと同様な形で、例えばフォトリソグラフィ技術などを用いて、画素状に切る必要がある。このように加工することは、もちろん十分に可能であるが、この製造プロセスを新たに組み込む必要性がでてくる。
【0038】
これに対し、本実施の形態では、絶縁性薄膜45を介して導電性薄膜43を形成していることにより、導電性薄膜43を画素領域全面に形成したとしても、通電が防止され、隣り合う画素電極42A間の電位には影響しない。このため、プロセス的には上述のフォトリソグラフィ工程を新たに加えることが不要となり、容易に形成できる。また、導電性薄膜43および絶縁性薄膜45の膜厚・屈折率を最適化し、それらの薄膜間での光学的な干渉を利用することで、本来の画素電極42Aよりも反射率を向上させることが可能となる。
【0039】
実際に、画素電極42A上に、絶縁性薄膜45を介して導電性薄膜43を設けた液晶セルを作製して起電力の測定を行った結果、本反射型液晶表示素子21では、起電力が発生しないことを観測した。導電性薄膜43を設けていない従来の液晶セルでは、電池効果により起電力が測定されることはいうまでもない。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態に係る反射型液晶表示素子21によれば、画素電極42Aの透明電極に対向する面側に、絶縁性薄膜45を介して透明電極と同材料の導電性薄膜43を設けるようにしたので、対向する電極間での電池効果を消滅させることができる。従って、液晶応答の非対称性が解消され、従来駆動電圧に必要とされていたオフセット電圧が不要となる。結果的に、長期駆動を行った場合にも高い信頼性を確保することができる。また、オフセット電圧を印加するための回路が不要になる。
【0041】
また、導電性薄膜43による被覆を、絶縁性薄膜45を介して行うようにしたので、隣接する画素電極42A間での通電を防止することができる。このため、通電するおそれのある部分を切り取るフォトリソグラフィ工程などのプロセスが不要となる。このため、製造プロセスを複雑化することなく容易に製造することができる。さらに、導電性薄膜43と絶縁性薄膜45との膜厚および屈折率を最適化し、それらの薄膜間での光学的な干渉を利用することで、本来の画素電極42Aより反射率を向上させることもできる。
【0042】
[液晶表示装置の説明]
次に、反射型液晶表示素子21を使用した液晶表示装置の例について説明する。ここでは、図4に示したように、反射型液晶表示素子21をライトバルブとして使用した反射型液晶プロジェクタの例について説明する。
【0043】
図4に示した反射型液晶プロジェクタは、赤、青および緑の各色用の液晶ライトバルブ21R,21G,21Bを3枚用いてカラー画像表示を行う、いわゆる3板方式のものである。この反射型液晶プロジェクタは、光軸10に沿って、光源11と、ダイクロイックミラー12,13と、全反射ミラー14とを備えている。この反射型液晶プロジェクタは、また、偏光ビームスプリッタ15,16,17と、合成プリズム18と、投射レンズ19と、スクリーン20とを備えている。
【0044】
光源11は、カラー画像表示に必要とされる、赤色光(R)、青色光(G)および緑色光(B)を含んだ白色光を発するものであり、例えばハロゲンランプ、メタルハライドランプまたはキセノンランプなどにより構成されている。
【0045】
ダイクロイックミラー12は、光源11からの光を、青色光とその他の色光とに分離する機能を有している。ダイクロイックミラー13は、ダイクロイックミラー12を通過した光を、赤色光と緑色光とに分離する機能を有している。全反射ミラー14は、ダイクロイックミラー12によって分離された青色光を、偏光ビームスプリッタ17に向けて反射するようになっている。
【0046】
偏光ビームスプリッタ15,16,17は、それぞれ、赤色光、緑色光および青色光の光路に沿って設けられている。これらの偏光ビームスプリッタ15,16,17は、それぞれ、偏光分離面15A,16A,17Aを有し、この偏光分離面15A,16A,17Aにおいて、入射した各色光を互いに直交する2つの偏光成分に分離する機能を有している。偏光分離面15A,16A,17Aは、一方の偏光成分(例えばS偏光成分)を反射し、他方の偏光成分(例えばP偏光成分)は透過するようになっている。
【0047】
液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、反射型液晶表示素子21によって構成されている。これらの液晶ライトバルブ21R,21G,21Bには、偏光ビームスプリッタ15,16,17の偏光分離面15A,16A,17Aによって分離された所定の偏光成分(例えばS偏光成分)の色光が入射されるようになっている。液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、画像信号に基づいて与えられた駆動電圧に応じて駆動され、入射光を変調させると共に、その変調された光を偏光ビームスプリッタ15,16,17に向けて反射する機能を有している。
【0048】
合成プリズム18は、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bから出射され、偏光ビームスプリッタ15,16,17を通過した所定の偏光成分(例えばP偏光成分)の色光を、合成する機能を有している。投射レンズ19は、合成プリズム18から出射された合成光を、スクリーン20に向けて投射する機能を有している。
【0049】
以上のように構成された反射型液晶プロジェクタにおいて、光源11から出射された白色光は、まず、ダイクロイックミラー12の機能によって青色光とその他の色光(赤色光および緑色光)とに分離される。このうち青色光は、全反射ミラー14の機能によって、偏光ビームスプリッタ17に向けて反射される。一方、赤色光および緑色光は、ダイクロイックミラー13の機能によって、さらに、赤色光と緑色光とに分離される。分離された赤色光および緑色光は、それぞれ、偏光ビームスプリッタ15,16に入射される。
【0050】
偏光ビームスプリッタ15,16,17は、入射した各色光を、偏光分離面15A,16A,17Aおいて、互いに直交する2つの偏光成分に分離する。このとき、偏光分離面15A,16A,17A、一方の偏光成分(例えばS偏光成分)を液晶ライトバルブ21R,21G,21Bに向けて反射する。
【0051】
液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、画像信号に基づいて与えられた駆動電圧に応じて駆動され、入射した所定の偏光成分の色光を画素単位で変調させる。このとき、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、上述の反射型液晶表示素子21によって構成されているので、オフセット電圧が不要とされ、対称性の良い駆動電圧によって良好に駆動される。
【0052】
液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、変調した各色光を偏光ビームスプリッタ15,16,17に向けて反射する。偏光ビームスプリッタ15,16,17は、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bからの反射光(変調光)のうち、所定の偏光成分(例えばP偏光成分)のみを通過させ、合成プリズム18に向けて出射する。合成プリズム18は、偏光ビームスプリッタ15,16,17を通過した所定の偏光成分の色光を合成し、投射レンズ19に向けて出射する。投射レンズ19は、合成プリズム18から出射された合成光を、スクリーン20に向けて投射する。これにより、スクリーン20に、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bによって変調された光に応じた映像が投影され、所望の映像表示がなされる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態に係る反射型液晶プロジェクタによれば、その画素電極42A上に、対向する透明電極と同材料の導電性薄膜43が設けられて構成された反射型液晶表示素子21を、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bとして用いるようにしたので、従来、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの駆動電圧に必要とされていたオフセット電圧が不要とされる。これにより、オフセット電圧を印加するための回路が不要とされ、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの駆動回路を簡素化することができる。また、導電性薄膜43による被覆を、絶縁性薄膜45を介して行うようにしたので、反射型液晶表示素子21の製造が容易となり、それを用いた液晶ライトバルブ21R,21G,21Bも容易に製造できる。
【0054】
【実施例】
次に、反射型液晶表示素子21の具体的な特性を実施例として示す。以下、実施例を説明する前に、まず、従来の反射型液晶表示素子の特性を比較例として示す。
【0055】
[比較例]
比較例となる評価用の反射型液晶表示素子(液晶セル)として、対向基板における透明電極材料にITO、画素電極基板における画素電極にアルミニウムを用いたものを用意した。この評価用の素子は、次のようにした作製した。まず、対向基板となる、ITO透明電極が成膜されたガラス基板と、画素電極基板となる、アルミニウム電極(アルミニウム膜の厚さ150nm)が形成されたシリコン基板とを洗浄後、それぞれ蒸着装置に導入し、それぞれに配向膜としてSiO2膜を、蒸着角度45°〜55°の範囲で斜め蒸着して形成した。配向膜の膜厚は50nmとした。液晶のプレティルト角は約3°になるように制御した。その後、配向膜が形成された各基板の間に2μm径のガラスビーズを適当な数だけ散布して、両者を張り合わせ、誘電異方性Δεが負の垂直液晶材料を注入して、反射型液晶セルを作製した。
【0056】
このようにして作製した素子において、ITO透明電極と画素電極との間に、駆動電圧として、図10に示したような、60Hzの矩形波電圧(±V1)を印加したときの液晶の透過率の変化(反射型なので実際にはデバイスの反射率を測定している。これは液晶の透過率を測定していることと等価である。)を、駆動特性として測定した。測定は、波長520nmで、室温で行った。
【0057】
図5に、この測定結果を横軸を印加電圧(V)、縦軸を透過率として示す(以下、この画素電極への印加電圧Vに対する反射率Rの変化を、V−T特性という)。図5において、黒塗りの○印のプロットは画素電極側にプラスの電圧を印加した場合の反射率R(+)の変化を、白抜きの〇印のプロットはマイナスの電圧を印加した場合の反射率R(−)の変化を示している。なお、図5では、横軸の印加電圧を絶対値として、図を簡略化している。
【0058】
このV−T特性を示す曲線(V−T曲線)から分かるように、印加電圧の極性に対してV−T曲線は非対称(R(+),R(−)の曲線が重なっていないことは対称でないことを示す)となり、印加電圧がプラスの場合の反射率R(+)のV−T曲線が、マイナスの場合の反射率R(−)のV−T曲線よりも、低電圧側にシフトしている。すなわち、同じ印加電圧(絶対値)で比較すると、常にR(+)>R(−)となる特性が得られた。
【0059】
プラス・マイナスで同じ外部電圧を液晶セルに印加しているにも関わらず、このように液晶が非対称な駆動をしていることは、液晶に対して対称の電圧が印加されていないことを示しているが、これはITO透明電極とアルミニウム電極との異種電極間で発生する直流的な電池効果による。この状態で駆動を続けると液晶セル内に内部電圧が蓄積され、それにより焼き付きを起こす。従って、実用のためにはR(+)=R(−)となるように、そのシフト分の電圧だけ(電池効果の分だけ)オフセット電圧ΔVを印加する必要がある。この比較例の場合は、ΔV=0.6Vであり、図10に示したように、ΔVだけ信号電圧に直流的なオフセット電圧を印加して駆動することになる。しかしながら、ΔVの数値を正確に設定し印加し続けないと上述の焼き付き現象が長期駆動では懸念される上に、長い駆動や環境温度の変化等によって、ΔVの値そのものが変化する可能性があるため、本質的にはΔVを低減する、あるいはなくすことが実用上必須である。
【0060】
なお、上記の現象は、配向膜にポリイミド膜を用いた場合にも、また垂直配向液晶以外のネマチック液晶材料を用いた場合にも、同じように起こった。
【0061】
ところで、以上の反射率R(+),R(−)の非対称性は、画素電極として用いたアルミニウムの標準電極電位が、ITO透明電極と大きく異なっていることに起因すると考えられる。従って、画素電極上に、ITO透明電極と同材料の薄膜を被覆することにより、以下に示す実施例のように、非対称性の改善を行うことができる。
【0062】
[実施例1]
本実施例では、画素電極42Aの金属材料として、上記比較例と同様、アルミニウム(膜厚150nm)を用いた。アルミニウム電極上には、絶縁性薄膜45としてSiO2膜を膜厚50nmで全面的に成膜した。さらに、そのSiO2膜上に、対向するITO透明電極と同じ材料の導電性薄膜43(ITO薄膜)をスパッタ成膜によって形成した。オーバコートされたITO薄膜の膜厚は、100nmである。このようにして作製した液晶セルのV−T特性を調べた。液晶セルの作製は、画素電極42A上に絶縁性薄膜45を介して導電性薄膜43を設けている以外は、上述の比較例と同様である。また、測定条件も比較例と同様であり、60Hzの矩形波電圧を印加したときの液晶の反射率Rの変化を測定した。V−T曲線は、比較例と同様、横軸を印加電圧の絶対値として簡略化して示す。
【0063】
図6に、そのV−T特性を示す。透過率(反射率R)の値は、アルミニウムの値に対する相対的な値を示している。また、図9に、その測定結果を、R(+),R(−)の関係(非対称性の状況)およびオフセット電圧の値と共にまとめて示す。
【0064】
この結果から分かるように、画素電極42Aを、SiO2膜を介してITO薄膜によって被覆することで、比較例と比べてV−T曲線の状態は大きく変化し、R(+)=R(−)となり、各極性間での反射率R(+),R(−)の非対称性は全く観察されず、オフセット電圧も全く観測されなくなった。すなわち、対称駆動となり、長期駆動を行っても、焼き付き等の問題は全く観察されなかった。
【0065】
なお、本実施例の効果は、配向膜にポリイミド膜を用いた場合にも、また垂直配向液晶以外のネマチック液晶材料を用いた場合にも、同様に認められた。
【0066】
[実施例2]
次に、画素電極42A上に、絶縁性薄膜45としてSiN膜を膜厚50nmで成膜して作製した液晶セルのV−T特性を調べた。液晶セルの作製および測定条件は、SiN膜を用いたことを除いて、実施例1と同様である。
【0067】
図7に、そのV−T特性を示す。透過率の値は、アルミニウムの値に対する相対的な値を示している。また、図9に、その測定結果を、R(+),R(−)の関係(非対称性の状況)およびオフセット電圧の値と共にまとめて示す。
【0068】
この結果から分かるように、画素電極42Aを、SiN膜を介してITO薄膜によって被覆した場合にも、R(+)=R(−)となり、各極性間での反射率R(+),R(−)の非対称性は全く観察されず、オフセット電圧も全く観測されなくなった。すなわち、対称駆動となり、長期駆動を行っても、焼き付き等の問題は全く観察されなかった。
【0069】
なお、本実施例の効果は、配向膜にポリイミド膜を用いた場合にも、また垂直配向液晶以外のネマチック液晶材料を用いた場合にも、同様に認められた。
【0070】
[実施例3]
次に、絶縁性薄膜45の上に形成するITO薄膜の膜厚を、10nm,30nm,300nmと変えて、実施例1と同様の液晶セルを作製し、評価を行った。評価用の液晶セルの作製および測定条件は、ITO薄膜の膜厚を除いて実施例1と同様である。
【0071】
その結果を図9に示す。この結果から、ITO薄膜のオーバコートによる効果は、10nm以上であれば十分であることが確認された。10nm未満でも非対称性の抑制の効果があると思われるが、この場合、均一に薄膜を形成することが困難になる。一方、膜厚が300nmを超えると、結晶粒が急激に成長するため、表面形状が荒くなり光が散乱されるようになる。このため、例えば液晶プロジェクタに応用した場合には、そのプロジェクション光学系での光の集光効率が低下し、結果的にトータルの輝度、光量が低下する。従って、オーバコートするITO薄膜の膜厚としては、10nm以上300nm未満が妥当といえる。
【0072】
[実施例4]
次に、絶縁性薄膜45の上に形成するITO薄膜の膜厚を、10nm〜300nmの間で種々変えて、実施例1と同様の液晶セルを作製し、その反射率を測定した。評価用の液晶セルの作製および測定条件は、ITO薄膜の膜厚を除いて実施例1と同様である。
【0073】
図8に、横軸を膜厚(nm)、縦軸を反射率(%)として、その測定結果を示す。図には、ITO薄膜をオーバコートせずにアルミニウム画素電極のみで液晶セルを構成した場合を100%として、その相対反射率を示した。この測定結果から、ITO薄膜の膜厚を適当に選ぶことで、屈折率の高いITO薄膜と低いSiO2膜との2層膜の光学的な干渉効果により、本来のアルミニウム画素電極のみの場合よりも、反射率を高くすることが可能であることが分かる。
【0074】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、本発明の反射型液晶表示素子は、液晶プロジェクタに限らず、その他の表示装置、ならびに各種携帯型電子機器および各種情報処理端末などにおける映像表示部に広く適用することが可能である。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の反射型液晶表示素子、または請求項10もしくは11記載の液晶表示装置によれば、画素電極の透明電極に対向する面側を、透明電極と同材料の導電性薄膜によって被覆するようにしたので、対向する電極間での電池効果をなくすことができる。これにより、液晶応答の非対称性をなくすことができるので、従来駆動電圧に印加していたオフセット電圧が不要となる。液晶応答を完全に対称にすることができるので、結果的に、長期駆動を行った場合にも高い信頼性を確保することができる。また、この導電性薄膜による被覆を、絶縁性の薄膜を介して行うようにしたので、例えば、導電性薄膜を複数の画素電極全体に被覆したとしても、隣接する画素電極間での通電を防止することができる。このため、通電するおそれのある部分を切り取るフォトリソグラフィ工程などのプロセスが不要となる。このため、製造プロセスを複雑化することなく容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る反射型液晶表示素子の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る反射型液晶表示素子の画素電極層の第1の構成例を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る反射型液晶表示素子の画素電極層の第2の構成例を示す断面図である。
【図4】図1に示した反射型液晶表示素子を使用して構成された液晶表示装置の一例を示す構成図である。
【図5】画素電極の金属材料としてアルミニウムを用いた場合(比較例)における、駆動電圧と透過率との関係を示す特性図である。
【図6】画素電極にSiO2薄膜を介してITO薄膜を被覆した場合における、駆動電圧と透過率との関係を示す特性図である。
【図7】画素電極にSiN薄膜を介してITO薄膜を被覆した場合における、駆動電圧と透過率との関係を示す特性図である。
【図8】画素電極にSiO2薄膜を介してITO薄膜を被覆した場合における、ITO薄膜の膜厚と反射率との関係を示す特性図である。
【図9】各実施例についての、非対称性の状況とオフセット電圧との測定結果をまとめて示す説明図である。
【図10】液晶表示素子における駆動方式の一例を説明するための波形図である。
【符号の説明】
11…光源、19…投射レンズ、20…スクリーン、21…反射型液晶表示素子、21R,21G,21B…液晶ライトバルブ、31…ガラス基板、32…透明電極層、33,44…配向膜、35…液晶層、40…画素電極基板、41…基板、42A…画素電極、43…導電性薄膜、45…絶縁性薄膜、50,50A…反射電極層、51…溝。
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型の画素電極を有する反射型液晶表示素子およびそれを利用した反射型液晶プロジェクタ等の液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プロジェクションディスプレイ(プロジェクタ)などの各種表示装置には、液晶表示素子が利用されている。液晶表示素子は、液晶パネルまたは液晶セルなどとも呼ばれている。液晶表示素子の種類には、大別して透過型と反射型とがあり、いずれも、画素電極基板とこれに対向する対向基板との間に液晶を封入した構成となっている。透過型液晶表示素子では、画素電極基板と対向基板との双方に、例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極が設けられている。
【0003】
一方、反射型液晶表示素子は、近年、液晶プロジェクタの高精細化、小型化および高輝度化が進むにつれて、その表示デバイスとして、小型化および高精細化が可能で高い光利用効率が期待できるものとして注目され、実際に実用化されている。この反射型液晶表示素子は、対向基板側に例えばITOからなる透明電極が設けられ、画素電極基板側に反射型の画素電極(以下、単に「反射電極」ともいう。)が設けられている。液晶プロジェクタに使用される反射型液晶表示素子は、一般にアクティブ型であり、画素電極基板として、例えば、C−MOS(Complementary−Metal Oxide Semiconductor)型の半導体スイッチング回路をシリコン基板上に形成したものを用いている。反射電極は、このシリコン駆動素子基板の上に配置される。反射電極は、対向基板側から入射した光を反射する機能と、液晶に対して電圧を印加する機能とを有している。反射電極の材料としては、一般にLSI(Large Scale Integrated)プロセスで用いられている、アルミニウム(Al)を主成分とした金属材料が利用されている。
【0004】
この反射型液晶表示素子では、各基板に設けられた透明電極と画素電極とにより、液晶に対して電圧が印加される。このとき、液晶は、対向する電極間の電位差に応じて光学的な特性が変化し、入射した光を変調させる。この光変調により階調表現が可能となり、その変調された光が映像表示に利用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、液晶表示素子では、液晶内に存在するイオンが、駆動中に片方の基板に焼き付くことを防ぐために、所定期間ごとに駆動電圧の極性を±反転させて、電極間に電圧を印加するような駆動方式が一般的である。図10に、この駆動方式による駆動電圧の概念図を示す。図中、太い実線で示したように、対向電極間に印加される各極性の電圧の絶対値がV1で同じならば、本来、液晶にかかる実効的な電圧に差は生じず、上記したような焼き付き等の現象が起こらない。しかしながら、実際には、特に反射型液晶表示素子の場合、印加電圧がプラスとマイナスの場合とで液晶にかかる実効的な電圧に差が生じる。これは、反射型液晶表示素子では、各基板に用いられている電極材料が異なっていることに起因している。
【0006】
すなわち、反射型液晶表示素子では、上述したように透明電極として、一般にITOが用いられ、対向する画素電極には銅等がわずかに混合されたアルミニウム金属膜が用いられている。この場合、ITOとアルミニウムのそれぞれの電極自身が有する標準電極電位が異なっているために、これらの異種金属電極を用いた素子内に電池効果が発生する。アルミニウムの標準電極電位は、−1.66Vであり、このアルミニウム電極とITO電極とを組み合わせた場合には、それらの電極間でかなり大きな電池効果が発生する。なお、「標準電極電位」とは、電極反応に関与する物質がすべて標準状態にあるときの平衡電極電位のことをいう。
【0007】
このため、図10の太い実線で示したような、各極性で絶対値の同じ電圧を外部から印加したとしても、電池効果により起電力が発生し、液晶には非対称な電圧が加わる。その結果、印加電圧の極性によって素子の反射率が異なることになり、フリッカーが生じたり、素子内に内部電圧が蓄積されて焼き付き等の問題を起こす。ITO透明電極に代えてアルミニウム電極を用い、対向する電極を双方とも同じアルミニウム電極とすれば、電池効果は相殺され上記のような非対称性は起こらない。しかしながら、これでは素子内に光が透過しなくなるので、実用的ではない。また、当然のことながら、対向する電極がITO同士で構成される通常の透過型液晶デバイスでは、同種電極のためこのような非対称性の問題は起こらない。従って、この非対称性は反射型液晶素子が持つ本質的な問題である。
【0008】
この反射率の非対称性をなくすために、反射型液晶表示素子では、駆動電圧に直流的なオフセット電圧ΔVを掛け、図10に太い破線で示したように、各極性で絶対値の異なる駆動電圧を印加する必要がある。例えば、反射電極材料としてアルミニウム、対向する透明電極にITOを用いた場合、液晶にかかる各極性間での実効的な電圧差は1V以上になるが、この分をオフセット電圧ΔVとして印加する。しかしながら、オフセット電圧ΔVの数値があまり大きいと完全に非対称性を除去することができないばかりか、長期駆動中に、オフセット電圧ΔVが初期の設定値から徐々に変化してしまい、結果的に素子内に内部電圧が蓄積され、焼き付きが起こる。このため、長期駆動時の信頼性が低下する。また、オフセット電圧ΔVを印加するためには、それ用の回路を設ける必要があり、電気回路が複雑化する。従って、反射型液晶表示素子においては、本来、電池効果があることは好ましくない。
【0009】
一方、例えば特開平9−244068号公報および特開平10−54995号公報では、反射電極材料として、アルミニウムより標準電極電位が十分に低い金属、例えばタングステン(W)、チタン(Ti)または窒化チタン(TiN)を用いることによって、上述の電圧差の問題を緩和し、電池効果を回避してオフセット電圧を低減できることが示されている。
【0010】
しかしながら、反射電極材料としてタングステン、チタンまたは窒化チタンを用いた場合、一般的に用いられているアルミニウムと比較すると十分な反射率が得られないため、この点で、適切な電極材料とはいない。従って、反射電極としての光の反射機能を損なうことなく、かつ、オフセット電圧の低減を図ることができる技術の開発が望まれる。
【0011】
そこで、本願出願人は、先に、画素電極を対向透明電極と同じ材料の導電性薄膜によって被覆することにより、オフセット電圧の低減を図るようにした発明を提案している(特願2002−165958号)。この発明によれば、事実上、オフセット電圧を不要にすることができるが、一方で、製造プロセスが複雑化するおそれがある。すなわち、画素電極上に直接導電性薄膜を被覆する場合、導電性薄膜を介して隣り合う画素電極同士が通電するおそれがあるので、その通電するおそれのある部分を画素電極の形状に合わせて切り取る必要がある。このため、例えばフォトリソグラフィ工程を新たに追加する必要がある。この工程を省略できれば、製造プロセスの点で有利になる。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、液晶応答の非対称性の要因となる電池効果をなくし、駆動電圧に印加するオフセット電圧を不要にすると共に、長期駆動を行った場合にも高い信頼性を確保することができ、さらに、製造プロセスを複雑化することなく容易に製造できるようにした反射型液晶表示素子、およびその反射型液晶表示素子を用いた液晶表示装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による反射型液晶表示素子は、金属材料によって構成された複数の反射型の画素電極、を有する画素電極基板と、画素電極に対向するよう設けられた透明電極、を有する対向基板と、画素電極基板と対向基板との間に注入された液晶とを備え、複数の画素電極の透明電極に対向する面側が、絶縁性の薄膜を介して、透明電極と同材料の導電性薄膜によって被覆されているものである。
【0014】
本発明による液晶表示装置は、上記した本発明による反射型液晶表示素子によって変調された光を用いて映像表示を行うようにしたものである。
【0015】
本発明による反射型液晶表示素子および液晶表示装置では、画素電極の透明電極に対向する面側が、透明電極と同材料の導電性薄膜によって被覆されていることにより、対向する電極間での電池効果が消滅する。これにより、液晶応答の非対称性が解消され、従来駆動電圧に必要とされていたオフセット電圧が不要とされる。また、この導電性薄膜による被覆が、絶縁性の薄膜を介して行われていることにより、例えば、導電性薄膜を複数の画素電極全体に被覆したとしても、隣接する画素電極間での通電が防止される。このため、通電するおそれのある部分を切り取るプロセスも不要となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
[反射型液晶表示素子の説明]
図1に示したように、本実施の形態に係る反射型液晶表示素子21は、互いに対向配置された対向基板30および画素電極基板40と、これらの基板間に液晶材料を注入することによって形成された液晶層35とを備えている。
【0018】
液晶層35を形成する液晶材料は、例えば、一般に垂直配向液晶と呼ばれる、垂直配列タイプのネマチック液晶である。なお、垂直配列とは、液晶の初期の分子配向が各基板面に対して垂直に配列されている状態のことをいう。一般に垂直配向液晶と呼ばれる。
【0019】
対向基板30は、ガラス基板31を備え、このガラス基板31の液晶層35側の面上に、少なくとも、透明電極層32と配向膜33とが積層されて構成されている。配向膜33としては、例えばポリイミド系の有機化合物をラビング(配向)処理した膜や、二酸化ケイ素(SiO2)等の無機材料の斜め蒸着膜が使われる。配向膜33の液晶層35側の表面は、液晶分子を所定の配列状態にするために、ラビング処理が施されている。透明電極層32は、光の透過作用のある透明電極が全面に設けられて構成されている。透明電極の材料としては、一般に、酸化すず(SnO2)と酸化インジウム(In2O3)との固溶体物質であるITOが用いられる。透明電極には、全画素領域で共通の電位(例えば接地電位)が印加されるようになっている。
【0020】
画素電極基板40は、例えばシリコン材料からなる基板41を備え、この基板41の液晶層35側の面上に、少なくとも、反射電極層50と配向膜44とが積層されて構成されている。基板41上には、反射電極層50の各画素電極42A(図2)に選択的に電圧を印加するためのスイッチング素子(図示せず)が設けられている。
【0021】
配向膜44は、対向基板30の配向膜33と同様に、例えばポリイミド系の有機化合物の膜や、二酸化ケイ素等の無機材料の斜め蒸着膜が使われており、その表面にはラビング処理が施されている。
【0022】
反射電極層50は、図2に示したように、基板41側から順に、少なくとも、反射型の画素電極42Aと、絶縁性薄膜45と、導電性薄膜43とが基板41上に積層された構成となっている。
【0023】
画素電極42Aは、金属材料で構成され、基板41上にマトリクス状に複数配置されている。画素電極42Aの厚さは、例えば50nm〜500nmである。この画素電極42Aには、基板41上に設けられた図示しないスイッチング素子によって、駆動電圧が印加されるようになっている。スイッチング素子は、各画素電極42Aに対応して設けられるものであり、例えばC−MOS型またはMIS(Metal Insulator Semiconductor)型の電界効果トランジスタ(FET(Field Effect Transistor))によって構成されている。
【0024】
画素電極42Aの金属材料としては、可視域で高い反射率を有するものが好ましく、一般にアルミニウム、より詳しくは、LSIプロセスで配線に用いられている、銅やシリコンを数wt%以下添加したアルミニウム金属膜が使用されている。ただし、十分な反射率が得られるものであれば、画素電極42Aの金属材料として、アルミニウム以外のものを用いても構わない。
【0025】
絶縁性薄膜45は、各画素電極42Aの透明電極に対向する面側を全体的に覆うように、オーバコート(被覆)することにより形成されたものである。この絶縁性薄膜45の厚さは、例えば、5nm以上500nm未満である。絶縁性薄膜45としては、例えば、一般にLSIプロセスで準備されている、(SiO2,SiO膜(酸化シリコン膜)等の酸化薄膜、もしくはSiN膜(窒化シリコン膜)等の窒化薄膜、またはそれらの多層膜を用いることができる。
【0026】
導電性薄膜43は、絶縁性薄膜45を介して、各画素電極42Aの透明電極に対向する面側を全体的に覆うように、絶縁性薄膜45上に被覆することにより成膜されている。この導電性薄膜43の厚さは、例えば、10nm以上300nm未満である。導電性薄膜43は、対向する透明電極層32と同様の材料、例えばITOによって形成されている。この導電性薄膜43は、液晶応答の非対称性を解消するために設けられたものである。
【0027】
導電性薄膜43を絶縁性薄膜45を介して被覆したのは、画素電極42A上に直接被覆すると、導電性薄膜43を介して隣り合う画素電極42A同士が通電するおそれがあるので、その通電するおそれのある部分を絶縁するためである。図2の例では、隣り合う画素電極42A間の溝51も含めて、画素構造全体を絶縁性薄膜45によって被覆し、さらにその上全面に導電性薄膜43を被覆している。ただし、必ずしも画素構造全体を被覆する必要はなく、例えば図3に示した反射電極層50Aのように、各画素電極42Aのそれぞれを独立して、絶縁性薄膜45と導電性薄膜43とによって全体的に被覆するようにしても良い。画素電極42A間の溝51に一部被覆されていない領域があっても構わない。
【0028】
なお、絶縁性薄膜45は、例えば熱酸化法または気相成長法などにより形成することができる。また、導電性薄膜43は、例えばスパッタリング法により形成することができる。
【0029】
なお、反射電極層50における各構成要素の材料の選定およびその層構造は、反射電極層50全体としての反射率が低下しないような構成とすることが望ましい。すなわち、本来の反射機能を有する画素電極42Aの材料のみならず、導電性薄膜43および絶縁性薄膜45についても光学的な膜として活用し、トータルでの反射率が向上するような膜構成を選ぶことが望ましい。例えば、導電性薄膜43をITO薄膜とした場合、光学薄膜としては高屈折率であることを活用して、例えば絶縁性薄膜45を屈折率の低いSiO2膜とし、その膜厚を調整することで、それらの薄膜間での光学的な干渉が生じる。これにより、本来の画素電極42Aよりも反射率を向上させることが可能となる。
【0030】
以上のように、画素電極42A上に、対向する透明電極と同じ材質の導電性薄膜43が、絶縁性薄膜45を介してオーバコートされている点が、本反射型液晶表示素子21における最大の特徴部分である。
【0031】
次に、以上のように構成された反射型液晶表示素子21の作用、動作を説明する。
【0032】
この反射型液晶表示素子21では、対向基板30側から入射し、液晶層35を通過した入射光L1を、反射電極層50に設けられた画素電極42Aの反射機能により反射させる。反射電極層50において反射された光L1は、入射時とは逆方向に、液晶層35および対向基板30を通過して出射される。このとき、液晶層35は、対向する電極間の電位差に応じて、その光学的な特性が変化し、通過する光L1を変調させる。この光変調により階調表現が可能となり、その変調された光L2が映像表示に利用される。
【0033】
ところで、反射電極層50の画素電極42Aには、例えば所定期間ごとにその極性が±反転する駆動電圧が印加される。このとき、従来の反射型液晶表示素子では、対向する電極同士でその標準電極電位が大きく異なる電極材料を用いていることにより、その極性に応じて、電極間でいわゆる電池効果を要因とした内部電圧が発生し、液晶の応答に非対称性を生じる。このため、これを補正するための直流電圧を、別途オフセット電圧として印加して駆動させることになる。このオフセット電圧の大きさが大きくなると、完全な補正が難しくなるばかりか、長期の駆動においては値がばらついたり変化したりするため、これを起因として焼き付きなどの問題が生じる。
【0034】
一方、本反射型液晶表示素子21では、導電性薄膜43を設けて、画素電極42A上に(絶縁性薄膜45を介して)、対向する透明電極と同じ材質の薄膜をオーバコートしていることにより、対向する透明電極との間で発生する電池効果が基本的に消滅する。導電性薄膜43の材料としては、例えばITOを用いているので、入射光は導電性薄膜43をそのまま透過し、素子の反射機能自体には影響を及ぼさない。従って、本反射型液晶表示素子21では、その反射機能を維持しつつ、液晶応答の非対称性が解消され、従来駆動電圧に必要とされていたオフセット電圧が不要となる。これにより結果的に、長期駆動時に高い信頼性が得られる。
【0035】
ここで、画素電極42A上に、対向する透明電極と同じ材質の薄膜をオーバコートすることによって電池効果が抑制される理由を以下に述べる。電池効果は、対向する電極間に電位差があるときに、現れるものである。一般に、アルミニウムの標準電極電位は、−1.66Vであり、符号がマイナスで非常に値が大きい。このため、対向するITOなどの透明電極との間に大きな電位差が発生し、これを起因として、液晶駆動が非対称になる。対向する電極同士が同じ材質で構成されていれば電池効果は原理的に発生しないが、ITO透明電極同士で液晶セルを構成すれば、それは透過型パネルとなり、反射型デバイスにはならない。
【0036】
本実施の形態では、反射型デバイスに要求される光の反射機能を、従来と同様にアルミニウム電極などを用いた画素電極42Aに持たせる一方、液晶への電圧印加は、対向する電極と同じ材質の透明な導電性薄膜43を介して行っている。画素電極42Aは液晶セル内に存在するものの、セルを実質的に形成している液晶層35の両端部分には、同じ材料の導電性薄膜43が設置されることになる。これにより、液晶層35の両端には電位差が発生しないことになり、電池効果が抑止される。
【0037】
ところで、導電性薄膜43を画素電極42A上に直接被覆すると、導電性薄膜43を介して隣り合う画素電極42A同士が通電するおそれがある。画素電極42Aは基板41上で所定形状に切断されているので、この通電を防止するためには、導電性薄膜43を形成する際に画素電極42Aと同様な形で、例えばフォトリソグラフィ技術などを用いて、画素状に切る必要がある。このように加工することは、もちろん十分に可能であるが、この製造プロセスを新たに組み込む必要性がでてくる。
【0038】
これに対し、本実施の形態では、絶縁性薄膜45を介して導電性薄膜43を形成していることにより、導電性薄膜43を画素領域全面に形成したとしても、通電が防止され、隣り合う画素電極42A間の電位には影響しない。このため、プロセス的には上述のフォトリソグラフィ工程を新たに加えることが不要となり、容易に形成できる。また、導電性薄膜43および絶縁性薄膜45の膜厚・屈折率を最適化し、それらの薄膜間での光学的な干渉を利用することで、本来の画素電極42Aよりも反射率を向上させることが可能となる。
【0039】
実際に、画素電極42A上に、絶縁性薄膜45を介して導電性薄膜43を設けた液晶セルを作製して起電力の測定を行った結果、本反射型液晶表示素子21では、起電力が発生しないことを観測した。導電性薄膜43を設けていない従来の液晶セルでは、電池効果により起電力が測定されることはいうまでもない。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態に係る反射型液晶表示素子21によれば、画素電極42Aの透明電極に対向する面側に、絶縁性薄膜45を介して透明電極と同材料の導電性薄膜43を設けるようにしたので、対向する電極間での電池効果を消滅させることができる。従って、液晶応答の非対称性が解消され、従来駆動電圧に必要とされていたオフセット電圧が不要となる。結果的に、長期駆動を行った場合にも高い信頼性を確保することができる。また、オフセット電圧を印加するための回路が不要になる。
【0041】
また、導電性薄膜43による被覆を、絶縁性薄膜45を介して行うようにしたので、隣接する画素電極42A間での通電を防止することができる。このため、通電するおそれのある部分を切り取るフォトリソグラフィ工程などのプロセスが不要となる。このため、製造プロセスを複雑化することなく容易に製造することができる。さらに、導電性薄膜43と絶縁性薄膜45との膜厚および屈折率を最適化し、それらの薄膜間での光学的な干渉を利用することで、本来の画素電極42Aより反射率を向上させることもできる。
【0042】
[液晶表示装置の説明]
次に、反射型液晶表示素子21を使用した液晶表示装置の例について説明する。ここでは、図4に示したように、反射型液晶表示素子21をライトバルブとして使用した反射型液晶プロジェクタの例について説明する。
【0043】
図4に示した反射型液晶プロジェクタは、赤、青および緑の各色用の液晶ライトバルブ21R,21G,21Bを3枚用いてカラー画像表示を行う、いわゆる3板方式のものである。この反射型液晶プロジェクタは、光軸10に沿って、光源11と、ダイクロイックミラー12,13と、全反射ミラー14とを備えている。この反射型液晶プロジェクタは、また、偏光ビームスプリッタ15,16,17と、合成プリズム18と、投射レンズ19と、スクリーン20とを備えている。
【0044】
光源11は、カラー画像表示に必要とされる、赤色光(R)、青色光(G)および緑色光(B)を含んだ白色光を発するものであり、例えばハロゲンランプ、メタルハライドランプまたはキセノンランプなどにより構成されている。
【0045】
ダイクロイックミラー12は、光源11からの光を、青色光とその他の色光とに分離する機能を有している。ダイクロイックミラー13は、ダイクロイックミラー12を通過した光を、赤色光と緑色光とに分離する機能を有している。全反射ミラー14は、ダイクロイックミラー12によって分離された青色光を、偏光ビームスプリッタ17に向けて反射するようになっている。
【0046】
偏光ビームスプリッタ15,16,17は、それぞれ、赤色光、緑色光および青色光の光路に沿って設けられている。これらの偏光ビームスプリッタ15,16,17は、それぞれ、偏光分離面15A,16A,17Aを有し、この偏光分離面15A,16A,17Aにおいて、入射した各色光を互いに直交する2つの偏光成分に分離する機能を有している。偏光分離面15A,16A,17Aは、一方の偏光成分(例えばS偏光成分)を反射し、他方の偏光成分(例えばP偏光成分)は透過するようになっている。
【0047】
液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、反射型液晶表示素子21によって構成されている。これらの液晶ライトバルブ21R,21G,21Bには、偏光ビームスプリッタ15,16,17の偏光分離面15A,16A,17Aによって分離された所定の偏光成分(例えばS偏光成分)の色光が入射されるようになっている。液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、画像信号に基づいて与えられた駆動電圧に応じて駆動され、入射光を変調させると共に、その変調された光を偏光ビームスプリッタ15,16,17に向けて反射する機能を有している。
【0048】
合成プリズム18は、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bから出射され、偏光ビームスプリッタ15,16,17を通過した所定の偏光成分(例えばP偏光成分)の色光を、合成する機能を有している。投射レンズ19は、合成プリズム18から出射された合成光を、スクリーン20に向けて投射する機能を有している。
【0049】
以上のように構成された反射型液晶プロジェクタにおいて、光源11から出射された白色光は、まず、ダイクロイックミラー12の機能によって青色光とその他の色光(赤色光および緑色光)とに分離される。このうち青色光は、全反射ミラー14の機能によって、偏光ビームスプリッタ17に向けて反射される。一方、赤色光および緑色光は、ダイクロイックミラー13の機能によって、さらに、赤色光と緑色光とに分離される。分離された赤色光および緑色光は、それぞれ、偏光ビームスプリッタ15,16に入射される。
【0050】
偏光ビームスプリッタ15,16,17は、入射した各色光を、偏光分離面15A,16A,17Aおいて、互いに直交する2つの偏光成分に分離する。このとき、偏光分離面15A,16A,17A、一方の偏光成分(例えばS偏光成分)を液晶ライトバルブ21R,21G,21Bに向けて反射する。
【0051】
液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、画像信号に基づいて与えられた駆動電圧に応じて駆動され、入射した所定の偏光成分の色光を画素単位で変調させる。このとき、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、上述の反射型液晶表示素子21によって構成されているので、オフセット電圧が不要とされ、対称性の良い駆動電圧によって良好に駆動される。
【0052】
液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、変調した各色光を偏光ビームスプリッタ15,16,17に向けて反射する。偏光ビームスプリッタ15,16,17は、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bからの反射光(変調光)のうち、所定の偏光成分(例えばP偏光成分)のみを通過させ、合成プリズム18に向けて出射する。合成プリズム18は、偏光ビームスプリッタ15,16,17を通過した所定の偏光成分の色光を合成し、投射レンズ19に向けて出射する。投射レンズ19は、合成プリズム18から出射された合成光を、スクリーン20に向けて投射する。これにより、スクリーン20に、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bによって変調された光に応じた映像が投影され、所望の映像表示がなされる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態に係る反射型液晶プロジェクタによれば、その画素電極42A上に、対向する透明電極と同材料の導電性薄膜43が設けられて構成された反射型液晶表示素子21を、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bとして用いるようにしたので、従来、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの駆動電圧に必要とされていたオフセット電圧が不要とされる。これにより、オフセット電圧を印加するための回路が不要とされ、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの駆動回路を簡素化することができる。また、導電性薄膜43による被覆を、絶縁性薄膜45を介して行うようにしたので、反射型液晶表示素子21の製造が容易となり、それを用いた液晶ライトバルブ21R,21G,21Bも容易に製造できる。
【0054】
【実施例】
次に、反射型液晶表示素子21の具体的な特性を実施例として示す。以下、実施例を説明する前に、まず、従来の反射型液晶表示素子の特性を比較例として示す。
【0055】
[比較例]
比較例となる評価用の反射型液晶表示素子(液晶セル)として、対向基板における透明電極材料にITO、画素電極基板における画素電極にアルミニウムを用いたものを用意した。この評価用の素子は、次のようにした作製した。まず、対向基板となる、ITO透明電極が成膜されたガラス基板と、画素電極基板となる、アルミニウム電極(アルミニウム膜の厚さ150nm)が形成されたシリコン基板とを洗浄後、それぞれ蒸着装置に導入し、それぞれに配向膜としてSiO2膜を、蒸着角度45°〜55°の範囲で斜め蒸着して形成した。配向膜の膜厚は50nmとした。液晶のプレティルト角は約3°になるように制御した。その後、配向膜が形成された各基板の間に2μm径のガラスビーズを適当な数だけ散布して、両者を張り合わせ、誘電異方性Δεが負の垂直液晶材料を注入して、反射型液晶セルを作製した。
【0056】
このようにして作製した素子において、ITO透明電極と画素電極との間に、駆動電圧として、図10に示したような、60Hzの矩形波電圧(±V1)を印加したときの液晶の透過率の変化(反射型なので実際にはデバイスの反射率を測定している。これは液晶の透過率を測定していることと等価である。)を、駆動特性として測定した。測定は、波長520nmで、室温で行った。
【0057】
図5に、この測定結果を横軸を印加電圧(V)、縦軸を透過率として示す(以下、この画素電極への印加電圧Vに対する反射率Rの変化を、V−T特性という)。図5において、黒塗りの○印のプロットは画素電極側にプラスの電圧を印加した場合の反射率R(+)の変化を、白抜きの〇印のプロットはマイナスの電圧を印加した場合の反射率R(−)の変化を示している。なお、図5では、横軸の印加電圧を絶対値として、図を簡略化している。
【0058】
このV−T特性を示す曲線(V−T曲線)から分かるように、印加電圧の極性に対してV−T曲線は非対称(R(+),R(−)の曲線が重なっていないことは対称でないことを示す)となり、印加電圧がプラスの場合の反射率R(+)のV−T曲線が、マイナスの場合の反射率R(−)のV−T曲線よりも、低電圧側にシフトしている。すなわち、同じ印加電圧(絶対値)で比較すると、常にR(+)>R(−)となる特性が得られた。
【0059】
プラス・マイナスで同じ外部電圧を液晶セルに印加しているにも関わらず、このように液晶が非対称な駆動をしていることは、液晶に対して対称の電圧が印加されていないことを示しているが、これはITO透明電極とアルミニウム電極との異種電極間で発生する直流的な電池効果による。この状態で駆動を続けると液晶セル内に内部電圧が蓄積され、それにより焼き付きを起こす。従って、実用のためにはR(+)=R(−)となるように、そのシフト分の電圧だけ(電池効果の分だけ)オフセット電圧ΔVを印加する必要がある。この比較例の場合は、ΔV=0.6Vであり、図10に示したように、ΔVだけ信号電圧に直流的なオフセット電圧を印加して駆動することになる。しかしながら、ΔVの数値を正確に設定し印加し続けないと上述の焼き付き現象が長期駆動では懸念される上に、長い駆動や環境温度の変化等によって、ΔVの値そのものが変化する可能性があるため、本質的にはΔVを低減する、あるいはなくすことが実用上必須である。
【0060】
なお、上記の現象は、配向膜にポリイミド膜を用いた場合にも、また垂直配向液晶以外のネマチック液晶材料を用いた場合にも、同じように起こった。
【0061】
ところで、以上の反射率R(+),R(−)の非対称性は、画素電極として用いたアルミニウムの標準電極電位が、ITO透明電極と大きく異なっていることに起因すると考えられる。従って、画素電極上に、ITO透明電極と同材料の薄膜を被覆することにより、以下に示す実施例のように、非対称性の改善を行うことができる。
【0062】
[実施例1]
本実施例では、画素電極42Aの金属材料として、上記比較例と同様、アルミニウム(膜厚150nm)を用いた。アルミニウム電極上には、絶縁性薄膜45としてSiO2膜を膜厚50nmで全面的に成膜した。さらに、そのSiO2膜上に、対向するITO透明電極と同じ材料の導電性薄膜43(ITO薄膜)をスパッタ成膜によって形成した。オーバコートされたITO薄膜の膜厚は、100nmである。このようにして作製した液晶セルのV−T特性を調べた。液晶セルの作製は、画素電極42A上に絶縁性薄膜45を介して導電性薄膜43を設けている以外は、上述の比較例と同様である。また、測定条件も比較例と同様であり、60Hzの矩形波電圧を印加したときの液晶の反射率Rの変化を測定した。V−T曲線は、比較例と同様、横軸を印加電圧の絶対値として簡略化して示す。
【0063】
図6に、そのV−T特性を示す。透過率(反射率R)の値は、アルミニウムの値に対する相対的な値を示している。また、図9に、その測定結果を、R(+),R(−)の関係(非対称性の状況)およびオフセット電圧の値と共にまとめて示す。
【0064】
この結果から分かるように、画素電極42Aを、SiO2膜を介してITO薄膜によって被覆することで、比較例と比べてV−T曲線の状態は大きく変化し、R(+)=R(−)となり、各極性間での反射率R(+),R(−)の非対称性は全く観察されず、オフセット電圧も全く観測されなくなった。すなわち、対称駆動となり、長期駆動を行っても、焼き付き等の問題は全く観察されなかった。
【0065】
なお、本実施例の効果は、配向膜にポリイミド膜を用いた場合にも、また垂直配向液晶以外のネマチック液晶材料を用いた場合にも、同様に認められた。
【0066】
[実施例2]
次に、画素電極42A上に、絶縁性薄膜45としてSiN膜を膜厚50nmで成膜して作製した液晶セルのV−T特性を調べた。液晶セルの作製および測定条件は、SiN膜を用いたことを除いて、実施例1と同様である。
【0067】
図7に、そのV−T特性を示す。透過率の値は、アルミニウムの値に対する相対的な値を示している。また、図9に、その測定結果を、R(+),R(−)の関係(非対称性の状況)およびオフセット電圧の値と共にまとめて示す。
【0068】
この結果から分かるように、画素電極42Aを、SiN膜を介してITO薄膜によって被覆した場合にも、R(+)=R(−)となり、各極性間での反射率R(+),R(−)の非対称性は全く観察されず、オフセット電圧も全く観測されなくなった。すなわち、対称駆動となり、長期駆動を行っても、焼き付き等の問題は全く観察されなかった。
【0069】
なお、本実施例の効果は、配向膜にポリイミド膜を用いた場合にも、また垂直配向液晶以外のネマチック液晶材料を用いた場合にも、同様に認められた。
【0070】
[実施例3]
次に、絶縁性薄膜45の上に形成するITO薄膜の膜厚を、10nm,30nm,300nmと変えて、実施例1と同様の液晶セルを作製し、評価を行った。評価用の液晶セルの作製および測定条件は、ITO薄膜の膜厚を除いて実施例1と同様である。
【0071】
その結果を図9に示す。この結果から、ITO薄膜のオーバコートによる効果は、10nm以上であれば十分であることが確認された。10nm未満でも非対称性の抑制の効果があると思われるが、この場合、均一に薄膜を形成することが困難になる。一方、膜厚が300nmを超えると、結晶粒が急激に成長するため、表面形状が荒くなり光が散乱されるようになる。このため、例えば液晶プロジェクタに応用した場合には、そのプロジェクション光学系での光の集光効率が低下し、結果的にトータルの輝度、光量が低下する。従って、オーバコートするITO薄膜の膜厚としては、10nm以上300nm未満が妥当といえる。
【0072】
[実施例4]
次に、絶縁性薄膜45の上に形成するITO薄膜の膜厚を、10nm〜300nmの間で種々変えて、実施例1と同様の液晶セルを作製し、その反射率を測定した。評価用の液晶セルの作製および測定条件は、ITO薄膜の膜厚を除いて実施例1と同様である。
【0073】
図8に、横軸を膜厚(nm)、縦軸を反射率(%)として、その測定結果を示す。図には、ITO薄膜をオーバコートせずにアルミニウム画素電極のみで液晶セルを構成した場合を100%として、その相対反射率を示した。この測定結果から、ITO薄膜の膜厚を適当に選ぶことで、屈折率の高いITO薄膜と低いSiO2膜との2層膜の光学的な干渉効果により、本来のアルミニウム画素電極のみの場合よりも、反射率を高くすることが可能であることが分かる。
【0074】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、本発明の反射型液晶表示素子は、液晶プロジェクタに限らず、その他の表示装置、ならびに各種携帯型電子機器および各種情報処理端末などにおける映像表示部に広く適用することが可能である。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の反射型液晶表示素子、または請求項10もしくは11記載の液晶表示装置によれば、画素電極の透明電極に対向する面側を、透明電極と同材料の導電性薄膜によって被覆するようにしたので、対向する電極間での電池効果をなくすことができる。これにより、液晶応答の非対称性をなくすことができるので、従来駆動電圧に印加していたオフセット電圧が不要となる。液晶応答を完全に対称にすることができるので、結果的に、長期駆動を行った場合にも高い信頼性を確保することができる。また、この導電性薄膜による被覆を、絶縁性の薄膜を介して行うようにしたので、例えば、導電性薄膜を複数の画素電極全体に被覆したとしても、隣接する画素電極間での通電を防止することができる。このため、通電するおそれのある部分を切り取るフォトリソグラフィ工程などのプロセスが不要となる。このため、製造プロセスを複雑化することなく容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る反射型液晶表示素子の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る反射型液晶表示素子の画素電極層の第1の構成例を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る反射型液晶表示素子の画素電極層の第2の構成例を示す断面図である。
【図4】図1に示した反射型液晶表示素子を使用して構成された液晶表示装置の一例を示す構成図である。
【図5】画素電極の金属材料としてアルミニウムを用いた場合(比較例)における、駆動電圧と透過率との関係を示す特性図である。
【図6】画素電極にSiO2薄膜を介してITO薄膜を被覆した場合における、駆動電圧と透過率との関係を示す特性図である。
【図7】画素電極にSiN薄膜を介してITO薄膜を被覆した場合における、駆動電圧と透過率との関係を示す特性図である。
【図8】画素電極にSiO2薄膜を介してITO薄膜を被覆した場合における、ITO薄膜の膜厚と反射率との関係を示す特性図である。
【図9】各実施例についての、非対称性の状況とオフセット電圧との測定結果をまとめて示す説明図である。
【図10】液晶表示素子における駆動方式の一例を説明するための波形図である。
【符号の説明】
11…光源、19…投射レンズ、20…スクリーン、21…反射型液晶表示素子、21R,21G,21B…液晶ライトバルブ、31…ガラス基板、32…透明電極層、33,44…配向膜、35…液晶層、40…画素電極基板、41…基板、42A…画素電極、43…導電性薄膜、45…絶縁性薄膜、50,50A…反射電極層、51…溝。
Claims (11)
- 金属材料によって構成された複数の反射型の画素電極、を有する画素電極基板と、
前記画素電極に対向するよう設けられた透明電極、を有する対向基板と、
前記画素電極基板と前記対向基板との間に注入された液晶と
を備えた反射型液晶表示素子であって、
前記複数の画素電極の前記透明電極に対向する面側が、絶縁性の薄膜を介して、前記透明電極と同材料の導電性薄膜によって被覆されている
ことを特徴とする反射型液晶表示素子。 - 隣接する前記画素電極間の溝を含む前記複数の画素電極全体が、前記絶縁性の薄膜によって被覆されている
ことを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示素子。 - 前記複数の画素電極のそれぞれが独立して、前記絶縁性の薄膜によって被覆されている
ことを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示素子。 - 前記絶縁性の薄膜として、酸化薄膜もしくは窒化薄膜、またはそれらの多層膜が用いられている
ことを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示素子。 - 前記透明電極および前記導電性薄膜の材料として、インジウム・すず酸化膜(ITO)が用いられている
ことを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示素子。 - 前記画素電極の主成分が、アルミニウムである
ことを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示素子。 - 前記導電性薄膜の厚さが、10nm以上300nm未満である
ことを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示素子。 - 前記画素電極は、シリコン基板上に設けられたスイッチング素子によって駆動されるものである
ことを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示素子。 - 前記液晶は、垂直配向液晶である
ことを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示素子。 - 反射型液晶表示素子を備え、この反射型液晶表示素子によって変調された光を用いて映像表示を行う液晶表示装置であって、
前記反射型液晶表示素子が、
金属材料によって構成された複数の反射型の画素電極、を有する画素電極基板と、
前記画素電極に対向するよう設けられた透明電極、を有する対向基板と、
前記画素電極基板と前記対向基板との間に注入された液晶と
を備え、
前記複数の画素電極の前記透明電極に対向する面側が、絶縁性の薄膜を介して、前記透明電極と同材料の導電性薄膜によって被覆されている
ことを特徴とする液晶表示装置。 - 光源と、
前記光源から発せられ、前記反射型液晶表示素子によって変調された光をスクリーンに投射する投射手段と
を備え、
反射型液晶プロジェクタとして構成されている
ことを特徴とする請求項10記載の液晶表示装置。
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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| JP2002197315A Pending JP2004038004A (ja) | 2002-07-05 | 2002-07-05 | 反射型液晶表示素子および液晶表示装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004038004A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN110928055A (zh) * | 2018-09-20 | 2020-03-27 | 夏普株式会社 | 液晶显示装置 |
-
2002
- 2002-07-05 JP JP2002197315A patent/JP2004038004A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN110928055A (zh) * | 2018-09-20 | 2020-03-27 | 夏普株式会社 | 液晶显示装置 |
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