JP2004037228A - 水中全窒素測定用二酸化チタン、その製造方法及びその二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、酸化分解能力が高く試料水中からの分離性に優れた水中全窒素測定用二酸化チタン、その製造方法、及びその二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法を提供するものである。
【解決手段】未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理することにより得られる水中全窒素測定用二酸化チタン、その製造方法、及びその二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法に関する。
【選択図】 なし
【解決手段】未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理することにより得られる水中全窒素測定用二酸化チタン、その製造方法、及びその二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法に関する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中全窒素測定用二酸化チタン、その製造方法及びその二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
全窒素とは、水中に含まれるアンモニウム、亜硝酸、硝酸等の各イオン中の窒素(無機体窒素)および尿素、アミノ酸をはじめとする有機窒素化合物の窒素(有機体窒素)の合計量をいう。
【0003】
従来、無機体窒素または有機体窒素をそれぞれ別々に定量することが行われていたが、湖沼、河川などでの富栄養化問題に関しては全窒素としての定量が重要視されている。
【0004】
我が国における水中の窒素化合物の測定法は、JISのK0102 45.2によって公的に規格化されている(公定法)。具体的には、試料水にアルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウム溶液を加え、高圧蒸気滅菌器中で120℃、30分加熱分解して、全ての窒素化合物を硝酸イオンに酸化し、試料水を放冷後pHを2〜3に調整し、硝酸イオンによる波長220nmでの紫外線吸光度を測定するものである。しかし、この公定法では、アルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウム溶液の調整等、操作が煩雑で、また、装置化するにあたっては、耐熱耐圧構造の反応釜を必要とするため、装置の高価格化を招き、また高温高圧にて動作するため、部品消耗が激しく、メンテナンス性にも問題がある。
【0005】
他の測定法としては、特開平9−127005号公報記載の測定法がある。これは、試料水をpH 11に調整後、二酸化チタン粉末を光触媒として用い、紫外線(低圧水銀灯とブラックライト)を照射し、全ての窒素化合物を硝酸イオンに酸化した後、波長220nmにおける硝酸イオンの紫外線吸光度を測定するものである。しかし、該公報には、二酸化チタンについてアナタース型TiO2粉末を用いるとの記載はあるが、二酸化チタン中に含まれる或いは吸着されている微量窒素成分の除去については何ら考慮されていない。また、該窒素成分を除去するため光酸化反応に先立ち二酸化チタンを加熱処理により調製するとの記載はない。
【0006】
さらに、特開平9−281099号公報記載の測定法では、特開平9−127005号公報記載の方法と同様であるが、触媒活性の劣化を防ぎ耐久性を付与するため、二酸化チタン粉末の代わりに、二酸化チタン粉末と粉ガラスとを基材表面で焼結させたものを用いている。しかし、この測定法では、二酸化チタンの担持体を使用しているため、酸化反応において粉末分散に比較し表面積が小さく実用的な分解能が得られないという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、酸化分解能力が高く水試料中からの分離性に優れた水中全窒素測定用二酸化チタン、その製造方法、及びその二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、下記の水中全窒素測定用二酸化チタン、その製造方法、及びその二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法を提供する。
【0009】
項2.未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理することにより得られる水中全窒素測定用二酸化チタン。
【0010】
項2.未処理二酸化チタンが、硫酸法により製造されたものでありかつ粒子径が2〜15nmである項1に記載の水中全窒素測定用二酸化チタン。
【0011】
項3.加熱処理後における二酸化チタン250mgを水20ml中に加えた場合に、硫酸イオン(SO4 2−)濃度が、5〜50mg/L程度である項2に記載の水中全窒素測定用二酸化チタン。
【0012】
項4.未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理することを特徴とする水中全窒素測定用二酸化チタンの製造方法。
【0013】
項5.下記(i)〜(iii)の工程を含むことを特徴とする水中全窒素測定方法:
(i)請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中全窒素測定用二酸化チタンの存在下、空気または酸素の存在下、試料水に紫外線を照射し、試料水中の窒素化合物を酸化して硝酸イオンを生じさせる酸化反応工程、
(ii)該酸化反応で得られた試料水から水中全窒素測定用二酸化チタンを分離する工程、及び
(iii)試料水中の硝酸イオンを吸光光度法を用いて測定する工程。
【0014】
項6.(i)における紫外線の光源が高圧水銀灯であり、(ii)における分離がフィルターを用いたろ過である請求項5記載の水中全窒素測定方法。
【0015】
項7.未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理する方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
(1)水中全窒素測定用二酸化チタン
本発明の水中全窒素測定用二酸化チタンとは、水中全窒素測定用に供し得る二酸化チタンをいい、具体的には、本発明の水中全窒素測定の前半処理すなわち窒素化合物の光酸化反応の触媒として供し得るものをいう。
【0017】
水中全窒素測定用二酸化チタンは、例えば、未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理することにより得られる。
【0018】
未処理二酸化チタンとは、水中全窒素測定用に何ら処理されていない市販の二酸化チタンをいう。該未処理二酸化チタンは、公知の方法で製造されたものでよく、例えば、塩素法、硫酸法等により製造されたものが挙げられる。中でも、後述する試料水中からの二酸化チタン粉末の分離の効率性を考慮すると、硫酸法により製造されたものが好ましい。また、二酸化チタンの結晶構造は特に限定はないが、アナターゼ型の結晶構造のものが好ましい。未処理二酸化チタンの大きさは、触媒効率を高める点において、試料水中の分散の度合いが大きくなる粉末、微粒子状態のものが好ましい。例えば、粒子径が2〜30nm程度のものが好ましく、2〜15nm程度のものがより好ましい。また、未処理二酸化チタンの粒子の表面形状は、試料水との接触面が大きくなる多孔性のものが好ましい。
【0019】
空気の存在下とは、例えば、空気を加熱処理槽に継続的に供給した状態、あるいは空気を加熱処理槽に充填した状態という意味である。
【0020】
この加熱処理により、未処理二酸化チタンに含まれる、NH4 +等の窒素成分の揮発除去、不純物の酸化的な除去等ができ、水中全窒素測定の測定誤差を減少させることがでる。
【0021】
加熱処理の温度は、例えば、400〜700℃が好ましく、500〜600℃がより好ましい。処理温度を高くすると、窒素成分の除去等の効率は高くなるが、二酸化チタンの粒子が成長し(粒径が大きくなり)比表面積が小さくなるため酸化分解の効率が低下してしまい、また、処理温度が低すぎると窒素成分の除去等の効率が低下してしまうため好ましくない。
【0022】
加熱処理の圧力は、特に限定はないが、常圧下であればよい。
【0023】
加熱処理の時間は、例えば、15〜60分程度でよい。
【0024】
一般に、二酸化チタンは、水中、酸性領域で水素イオン(H+)を吸着してプラスに帯電した状態で安定分散しやすい。特に、粒子径が15nm以下の未処理二酸化チタンを使用する場合、そのような微粒子を沈殿分離、ろ過により試料水中から完全に除去することは困難である。しかし、二酸化チタンの加熱処理を行い、該加熱処理後の二酸化チタンを試料水中に加えると試料水中における二酸化チタンの凝集沈降性が高くなることを見いだした。
【0025】
これは、加熱処理により未処理二酸化チタン中に含まれるTiOSO4から硫酸イオン(SO4 2−)が生じ、該加熱処理後の二酸化チタンを試料水に加えると試料水中のマイナスイオン成分(SO4 2−)が増加する。そして、プラスの電気的反発力により安定分散する二酸化チタンがそのマイナスイオン成分(SO4 2−)により電気的に中和されたため、二酸化チタンの凝集沈降性が高まり、水から分離しやすくなったと考えられる。しかも、本熱処理で生じる硫酸イオンは吸光光度測定には何ら悪影響を与えない。これにより、光酸化反応後の二酸化チタンの分離操作が極めて容易になることから、本加熱処理により得られる二酸化チタンは、吸光光度測定を用いた水中全窒素測定用の二酸化チタンとして好適である。
【0026】
特に、加熱処理後における二酸化チタン250mgを水20ml中に加えた場合に、硫酸イオン濃度が、例えば、5〜50mg/L程度であり、好ましくは10〜30mg/L程度の場合、上記凝集沈降効果が顕著にあらわれる。
【0027】
なお、二酸化チタンの分離操作性を上げるために、水中で安定分散した二酸化チタンに価数の高いマイナスイオン成分を添加するという手段もとりうるが、使用する試薬が増え、測定操作が煩雑になり、さらにその試薬が測定に与える影響(不純物等)についても十分考慮する必要がある点で好ましくない。
【0028】
(2)本発明の二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法
本発明の水中全窒素測定方法は、下記(i)〜(iii)の工程を含むものである。
(i)上記(1)で得られる水中全窒素測定用二酸化チタンの存在下、空気または酸素の存在下、試料水に紫外線を照射し、試料水中の窒素化合物を酸化して硝酸イオンを生じさせる酸化反応工程、
(ii)該酸化反応で得られた試料水から水中全窒素測定用二酸化チタンを分離する工程、及び
(iii)試料水中の硝酸イオンを吸光光度法を用いて測定する工程。
【0029】
(i)酸化反応工程
酸化反応に用いる試料水は、試料水中の窒素濃度が2mg/L程度以下であれば河川等から採取したものをそのまま用いることができ、必ずしも測定用に調整する必要はない。試料水中の窒素濃度が2mg/L程度をこえる場合は、窒素濃度が2mg/L程度以下となるよう窒素成分を含まない精製水で希釈してもよい。また、必要に応じ試料水をアルカリ性に調整して用いることができる。この場合、アルカリ調整剤として、例えば、水酸化ナトリウムを使用することができ、試料水中の水酸化ナトリウム濃度が0.2mol/L程度になるよう調整を行えばよい。
【0030】
水中全窒素測定用二酸化チタンの使用量としては、例えば、試料水1mLに対して、2〜20mg程度を用いることができる。使用量が少ないと分解効率が低下しやすくなり、また使用量が多いと触媒が試料中で沈殿してしまい分解反応に寄与せず有効活用されないからである。
【0031】
酸化反応に用いる紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、ブラックライト、エキシマレーザ、重水素ランプ、キセノンランプ、Hg−Zn−Pbランプ等から選ばれる1種類の光源または波長域の異なる2種類の光源を用いることができる。とりわけ、実用的な分解効率の確保の点から、高圧水銀灯(出力約100〜400 W)が好ましい。また、硝酸イオンの回収率低下を避けるため、光源からの280nm以下の波長をカットするパイレックス(登録商標)フィルターで光源を被覆しておくことが好ましい。
【0032】
空気または酸素の存在下とは、試料水中に酸化反応に必要な酸素分子を有している状態にすることであり、その方法としては、例えば、試料水中に連続的にまたは間欠的に空気または酸素を供給する方法が挙げられる。具体的には、試料水中に空気または酸素を直接吹き込む方法、試料水と空気または酸素を加えた反応容器を撹拌または震とうする方法、水の電気分解による方法等が挙げられる。
【0033】
空気または酸素を試料水中に連続的に供給する場合、その供給量としては、例えば、試料水1mLに対し毎分0.01〜0.2L程度の割合で供給するのが好ましく、とりわけ、分解効率の点から、試料水1mLに対し酸素ガスを毎分0.01〜0.1L程度の割合で供給するのが好ましい。
【0034】
また、反応容器全体を内部ミラーで覆うことにより、紫外線の照射効率を大きくし酸化反応を促進することができる。
【0035】
本方法は常温での酸化反応が可能な方法であるが、更に反応時間を短縮する場合には試料水を加熱しても良い。加熱温度は、例えば、40〜80℃であればよい。加熱する場合は、試料水の蒸発等により測定値に影響を及ぼさないよう、反応容器の密閉性等に十分留意して行う。
【0036】
本酸化反応の反応時間は、反応容器の大きさ、試料水中の窒素化合物の濃度、光触媒の使用量、紫外線の光源等の反応条件により異なってくるが、約30〜60分程度で進行する。
【0037】
本工程において、上記の条件を用いることにより、試料水中のアンモニウム、亜硝酸等の無機体窒素およびアミノ酸、ポリペプチド、タンパク質等の有機体窒素を効率よく硝酸イオンに酸化することができる。
【0038】
(ii)二酸化チタンの分離工程
本工程は、試料水を(iii)の硝酸イオンの吸光光度測定に供するために、試料水中の二酸化チタンを分離する工程である。試料水中に二酸化チタンが残存すると、二酸化チタンが220nmの光を吸収するため、硝酸イオンの定量に悪影響を及ぼしてしまうからである。
【0039】
分離の方法は、例えば、自然分離、遠心分離、フィルターろ過等が挙げられる。吸光光度測定に悪影響を及ぼさない程度に二酸化チタンを迅速に分離するためには、フィルターろ過が好ましい。該フィルターとしては、例えば、フッ素樹脂フィルターが挙げられる。フッ素樹脂フィルターとしては、例えば、PTFE樹脂フィルター、PVDF樹脂フィルターが挙げられる。中でも、耐薬品性に優れ、不純物の少ない点からPTFE樹脂フィルターが好ましい。フィルターの孔径は、使用する二酸化チタンをろ過しうるものであればよく、二酸化チタンの粒径に応じて、例えば、0.1〜1μm程度であればよい。
【0040】
ろ過操作は、公知の方法を用いればよく、常圧ろ過、加圧ろ過、又は減圧吸引ろ過等いずれで行ってもよい。
【0041】
前述したように、本製法で得られる二酸化チタンを用いて分離操作を行うことにより、吸光光度測定に影響を与えない程度に二酸化チタンを分離することができる。
【0042】
(iii)吸光光度測定の工程
二酸化チタンをろ別した後の試料水中の硝酸イオンを、公定法(JIS K 0102 45.2)に準じた吸光光度法で測定する。吸光光度測定は、試料水中の硝酸イオンを、220nmの吸光度を測定して評価する。
【0043】
【実施例】
以下、本発明について実施例をあげて説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0044】
実施例1(二酸化チタンの加熱処理)
硫酸法で製造された二酸化チタン2g(ST−01 (粒径7nm)、石原産業製)を、灰皿(91x58x15)上全面に薄く堆積し、電気マッフル炉(アドバンテック社製KM−160)に入れ、空気雰囲気下、600℃で30分間加熱処理することにより、本発明の二酸化チタン(ST−01熱処理)を得た。
【0045】
実施例2(二酸化チタンを用いた水中全窒素測定法)
(1)試料水中の窒素酸化反応
石英セル(60×44×5mm)に二酸化チタン粉末(ST−01又はST−01熱処理)0.1gを採取し、さらに試料水8ml(試料窒素濃度:2ppm)を採取した。石英セル中の試料水に、毎分0.4Lの割合で酸素ガスを吹き込み、UV光源であるパイレックス(登録商標)フィルターで被覆した高圧水銀灯(AHH100S(100W)(株)ユーブイ製)を点灯し、高圧水銀灯の光源を水冷しながら、45分間試料水に光照射した。
(2)上記(1)で得られた試料水を、孔径0.2μmのフッ素樹脂(PTFE)フィルターを注射筒先端に装着し、注射筒に試料水を入れ、加圧ろ過した。
(3)JIS公定法に準じて上記(2)で得られた試料水の吸光光度測定を行った。すなわち、ろ過試料を5ml採取し、これに塩酸(1+60)を1mlを加えた。この溶液を石英吸収セルに移し、波長220nmの吸光度を測定した(島津製作所製 UV−260)。窒素標準液を0.5mg/L, 1mg/L, 2mg/Lに調整して検量線を作成し、得られた検量線から全窒素濃度を算出した。
【0046】
検量線は次のようにして作成した。窒素標準液(0.004mgN/ml)1〜50mlを段階的にメスフラスコ100mlにとり、それぞれ水で100mlとする。その25mlをそれぞれビーカーにとり、塩酸(1+500)5mlを加え、この溶液の一部を吸収セルに移し、波長220nmの吸光度を測定した。別に空試験として水25mlをビーカーにとり、塩酸(1+500)5mlを加えこの溶液の一部を吸収セルに移し、波長220nmの吸光度を測定し、窒素標準液について得た吸光度を補正した。窒素(N)の量と吸光度との関係線を作成した。
【0047】
比較例(各種窒素化合物に対する全窒素定量性能の比較)
市販の二酸化チタン(ST−01)を用いた測定法(A)、実施例1で得られた加熱処理後の二酸化チタン(ST−01熱処理)を用いた測定法(B)、及び公定法JISK0102 45.2(C)について、各種窒素化合物に対する全窒素定量性能試験をおこなった。その結果を表1に示す。試料水中の窒素濃度はいずれも1mg/lとした。
【0048】
【表1】
【0049】
表1の結果より、本発明の測定法(B)は、公定法(C)とほぼ同等の高い窒素回収率を示した。なお、表中で100%を越えた数値は測定誤差に基づくものである。しかし、測定法(A)では、市販の二酸化チタンに含まれるNH4等の窒素成分が測定値に影響し大きな誤差を生じていることが分かる。
【0050】
実験例1(二酸化チタンからの溶出成分の比較)
硫酸法で製造された市販の二酸化チタン(ST−01)及び実施例1で加熱処理して得られた二酸化チタン(ST−01熱処理)の水中での溶出成分(SO4 2−)の分析を行った。
【0051】
蒸留水をイオン交換筒でさらに精製した水20mlに、各二酸化チタン0.25gを添加した。30分放置後、フッ素樹脂(PTFE)フィルター(孔径0.2ミクロン)でろ過した。下記の条件でイオンクロマトグラフを使用して、得られたろ液の溶出イオン成分を測定した。その結果を表2に示す。
【0052】
イオンクロマトグラフ:ダイオネクス製 DX−100
カラム:CS12(陽イオン)、AS12(陰イオン)
溶離液:メタンスルホン酸 20mmol/L(陽イオン)、Na2CO3 3.0mmol/L
NaHCO3 2.5mmol/L(陰イオン)
【0053】
【表2】
【0054】
ST−01ではNH4 +が含まれているが、ST−01熱処理ではNH4が消失しかつ陰イオンであるSO4 2−が増加していることが分かる。
【0055】
実験例2(二酸化チタンの自然分離性の比較)
蒸留水をイオン交換筒でさらに精製した水80mlに、各二酸化チタン1gを添加した。充分撹拌して二酸化チタンを分散させ、放置後の上澄み液を採取する。下記の条件で分光光度計を使用し、各上澄み液における波長220nmの光の透過率を測定した。その結果を表3に示す。透過率が高いほど二酸化チタンの分離が進んでいることを示す。
【0056】
分光光度計:島津製作所製 UV−260
リファレンス:上記精製水
【0057】
【表3】
【0058】
ST−01では透過率がゼロであり、ST−01熱処理では透過率が高くなっている。これは、二酸化チタンの加熱処理により凝集沈降効果が向上したことを示すものである。
【0059】
実験例3(二酸化チタンのろ過分離性の比較)
蒸留水をイオン交換筒でさらに精製した水80mlに、各二酸化チタン1gを添加した。充分撹拌して二酸化チタンを分散させ、10分放置後の上澄み液10mlを採取する。孔径0.2ミクロンのフッ素樹脂フィルターで上澄みをろ過する。下記の条件で分光光度計を使用し、各ろ液における波長220nmの光の透過率を測定した。その結果を表4に示す
【0060】
【表4】
【0061】
ST−01ではろ過分離性はある程度高いが、ろ液には二酸化チタンが残存するためそのままろ液を吸光光度測定に供するには充分ではない。一方で、ST−01熱処理ではろ過分離性が極めて高く吸光光度測定に悪影響を与えることがないレベルである。
【0062】
【発明の効果】
本発明の水中全窒素測定用二酸化チタンは、未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理することにより得られる。
【0063】
この加熱処理により、未処理二酸化チタンに含まれるNH4 +等の窒素成分が揮発除去され、水中全窒素測定の吸光光度測定における硝酸イオンの測定誤差を減少させることができる。また、加熱処理により、二酸化チタン中の陰イオン(硫酸イオン)が増加し、水中の二酸化チタンの凝集沈殿効果をも向上させることができ、ろ過分離を効率よく実施できる。
【0064】
従って、本発明の二酸化チタンは、吸光光度測定を用いた水中全窒素測定に好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中全窒素測定用二酸化チタン、その製造方法及びその二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
全窒素とは、水中に含まれるアンモニウム、亜硝酸、硝酸等の各イオン中の窒素(無機体窒素)および尿素、アミノ酸をはじめとする有機窒素化合物の窒素(有機体窒素)の合計量をいう。
【0003】
従来、無機体窒素または有機体窒素をそれぞれ別々に定量することが行われていたが、湖沼、河川などでの富栄養化問題に関しては全窒素としての定量が重要視されている。
【0004】
我が国における水中の窒素化合物の測定法は、JISのK0102 45.2によって公的に規格化されている(公定法)。具体的には、試料水にアルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウム溶液を加え、高圧蒸気滅菌器中で120℃、30分加熱分解して、全ての窒素化合物を硝酸イオンに酸化し、試料水を放冷後pHを2〜3に調整し、硝酸イオンによる波長220nmでの紫外線吸光度を測定するものである。しかし、この公定法では、アルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウム溶液の調整等、操作が煩雑で、また、装置化するにあたっては、耐熱耐圧構造の反応釜を必要とするため、装置の高価格化を招き、また高温高圧にて動作するため、部品消耗が激しく、メンテナンス性にも問題がある。
【0005】
他の測定法としては、特開平9−127005号公報記載の測定法がある。これは、試料水をpH 11に調整後、二酸化チタン粉末を光触媒として用い、紫外線(低圧水銀灯とブラックライト)を照射し、全ての窒素化合物を硝酸イオンに酸化した後、波長220nmにおける硝酸イオンの紫外線吸光度を測定するものである。しかし、該公報には、二酸化チタンについてアナタース型TiO2粉末を用いるとの記載はあるが、二酸化チタン中に含まれる或いは吸着されている微量窒素成分の除去については何ら考慮されていない。また、該窒素成分を除去するため光酸化反応に先立ち二酸化チタンを加熱処理により調製するとの記載はない。
【0006】
さらに、特開平9−281099号公報記載の測定法では、特開平9−127005号公報記載の方法と同様であるが、触媒活性の劣化を防ぎ耐久性を付与するため、二酸化チタン粉末の代わりに、二酸化チタン粉末と粉ガラスとを基材表面で焼結させたものを用いている。しかし、この測定法では、二酸化チタンの担持体を使用しているため、酸化反応において粉末分散に比較し表面積が小さく実用的な分解能が得られないという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、酸化分解能力が高く水試料中からの分離性に優れた水中全窒素測定用二酸化チタン、その製造方法、及びその二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、下記の水中全窒素測定用二酸化チタン、その製造方法、及びその二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法を提供する。
【0009】
項2.未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理することにより得られる水中全窒素測定用二酸化チタン。
【0010】
項2.未処理二酸化チタンが、硫酸法により製造されたものでありかつ粒子径が2〜15nmである項1に記載の水中全窒素測定用二酸化チタン。
【0011】
項3.加熱処理後における二酸化チタン250mgを水20ml中に加えた場合に、硫酸イオン(SO4 2−)濃度が、5〜50mg/L程度である項2に記載の水中全窒素測定用二酸化チタン。
【0012】
項4.未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理することを特徴とする水中全窒素測定用二酸化チタンの製造方法。
【0013】
項5.下記(i)〜(iii)の工程を含むことを特徴とする水中全窒素測定方法:
(i)請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中全窒素測定用二酸化チタンの存在下、空気または酸素の存在下、試料水に紫外線を照射し、試料水中の窒素化合物を酸化して硝酸イオンを生じさせる酸化反応工程、
(ii)該酸化反応で得られた試料水から水中全窒素測定用二酸化チタンを分離する工程、及び
(iii)試料水中の硝酸イオンを吸光光度法を用いて測定する工程。
【0014】
項6.(i)における紫外線の光源が高圧水銀灯であり、(ii)における分離がフィルターを用いたろ過である請求項5記載の水中全窒素測定方法。
【0015】
項7.未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理する方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
(1)水中全窒素測定用二酸化チタン
本発明の水中全窒素測定用二酸化チタンとは、水中全窒素測定用に供し得る二酸化チタンをいい、具体的には、本発明の水中全窒素測定の前半処理すなわち窒素化合物の光酸化反応の触媒として供し得るものをいう。
【0017】
水中全窒素測定用二酸化チタンは、例えば、未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理することにより得られる。
【0018】
未処理二酸化チタンとは、水中全窒素測定用に何ら処理されていない市販の二酸化チタンをいう。該未処理二酸化チタンは、公知の方法で製造されたものでよく、例えば、塩素法、硫酸法等により製造されたものが挙げられる。中でも、後述する試料水中からの二酸化チタン粉末の分離の効率性を考慮すると、硫酸法により製造されたものが好ましい。また、二酸化チタンの結晶構造は特に限定はないが、アナターゼ型の結晶構造のものが好ましい。未処理二酸化チタンの大きさは、触媒効率を高める点において、試料水中の分散の度合いが大きくなる粉末、微粒子状態のものが好ましい。例えば、粒子径が2〜30nm程度のものが好ましく、2〜15nm程度のものがより好ましい。また、未処理二酸化チタンの粒子の表面形状は、試料水との接触面が大きくなる多孔性のものが好ましい。
【0019】
空気の存在下とは、例えば、空気を加熱処理槽に継続的に供給した状態、あるいは空気を加熱処理槽に充填した状態という意味である。
【0020】
この加熱処理により、未処理二酸化チタンに含まれる、NH4 +等の窒素成分の揮発除去、不純物の酸化的な除去等ができ、水中全窒素測定の測定誤差を減少させることがでる。
【0021】
加熱処理の温度は、例えば、400〜700℃が好ましく、500〜600℃がより好ましい。処理温度を高くすると、窒素成分の除去等の効率は高くなるが、二酸化チタンの粒子が成長し(粒径が大きくなり)比表面積が小さくなるため酸化分解の効率が低下してしまい、また、処理温度が低すぎると窒素成分の除去等の効率が低下してしまうため好ましくない。
【0022】
加熱処理の圧力は、特に限定はないが、常圧下であればよい。
【0023】
加熱処理の時間は、例えば、15〜60分程度でよい。
【0024】
一般に、二酸化チタンは、水中、酸性領域で水素イオン(H+)を吸着してプラスに帯電した状態で安定分散しやすい。特に、粒子径が15nm以下の未処理二酸化チタンを使用する場合、そのような微粒子を沈殿分離、ろ過により試料水中から完全に除去することは困難である。しかし、二酸化チタンの加熱処理を行い、該加熱処理後の二酸化チタンを試料水中に加えると試料水中における二酸化チタンの凝集沈降性が高くなることを見いだした。
【0025】
これは、加熱処理により未処理二酸化チタン中に含まれるTiOSO4から硫酸イオン(SO4 2−)が生じ、該加熱処理後の二酸化チタンを試料水に加えると試料水中のマイナスイオン成分(SO4 2−)が増加する。そして、プラスの電気的反発力により安定分散する二酸化チタンがそのマイナスイオン成分(SO4 2−)により電気的に中和されたため、二酸化チタンの凝集沈降性が高まり、水から分離しやすくなったと考えられる。しかも、本熱処理で生じる硫酸イオンは吸光光度測定には何ら悪影響を与えない。これにより、光酸化反応後の二酸化チタンの分離操作が極めて容易になることから、本加熱処理により得られる二酸化チタンは、吸光光度測定を用いた水中全窒素測定用の二酸化チタンとして好適である。
【0026】
特に、加熱処理後における二酸化チタン250mgを水20ml中に加えた場合に、硫酸イオン濃度が、例えば、5〜50mg/L程度であり、好ましくは10〜30mg/L程度の場合、上記凝集沈降効果が顕著にあらわれる。
【0027】
なお、二酸化チタンの分離操作性を上げるために、水中で安定分散した二酸化チタンに価数の高いマイナスイオン成分を添加するという手段もとりうるが、使用する試薬が増え、測定操作が煩雑になり、さらにその試薬が測定に与える影響(不純物等)についても十分考慮する必要がある点で好ましくない。
【0028】
(2)本発明の二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法
本発明の水中全窒素測定方法は、下記(i)〜(iii)の工程を含むものである。
(i)上記(1)で得られる水中全窒素測定用二酸化チタンの存在下、空気または酸素の存在下、試料水に紫外線を照射し、試料水中の窒素化合物を酸化して硝酸イオンを生じさせる酸化反応工程、
(ii)該酸化反応で得られた試料水から水中全窒素測定用二酸化チタンを分離する工程、及び
(iii)試料水中の硝酸イオンを吸光光度法を用いて測定する工程。
【0029】
(i)酸化反応工程
酸化反応に用いる試料水は、試料水中の窒素濃度が2mg/L程度以下であれば河川等から採取したものをそのまま用いることができ、必ずしも測定用に調整する必要はない。試料水中の窒素濃度が2mg/L程度をこえる場合は、窒素濃度が2mg/L程度以下となるよう窒素成分を含まない精製水で希釈してもよい。また、必要に応じ試料水をアルカリ性に調整して用いることができる。この場合、アルカリ調整剤として、例えば、水酸化ナトリウムを使用することができ、試料水中の水酸化ナトリウム濃度が0.2mol/L程度になるよう調整を行えばよい。
【0030】
水中全窒素測定用二酸化チタンの使用量としては、例えば、試料水1mLに対して、2〜20mg程度を用いることができる。使用量が少ないと分解効率が低下しやすくなり、また使用量が多いと触媒が試料中で沈殿してしまい分解反応に寄与せず有効活用されないからである。
【0031】
酸化反応に用いる紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、ブラックライト、エキシマレーザ、重水素ランプ、キセノンランプ、Hg−Zn−Pbランプ等から選ばれる1種類の光源または波長域の異なる2種類の光源を用いることができる。とりわけ、実用的な分解効率の確保の点から、高圧水銀灯(出力約100〜400 W)が好ましい。また、硝酸イオンの回収率低下を避けるため、光源からの280nm以下の波長をカットするパイレックス(登録商標)フィルターで光源を被覆しておくことが好ましい。
【0032】
空気または酸素の存在下とは、試料水中に酸化反応に必要な酸素分子を有している状態にすることであり、その方法としては、例えば、試料水中に連続的にまたは間欠的に空気または酸素を供給する方法が挙げられる。具体的には、試料水中に空気または酸素を直接吹き込む方法、試料水と空気または酸素を加えた反応容器を撹拌または震とうする方法、水の電気分解による方法等が挙げられる。
【0033】
空気または酸素を試料水中に連続的に供給する場合、その供給量としては、例えば、試料水1mLに対し毎分0.01〜0.2L程度の割合で供給するのが好ましく、とりわけ、分解効率の点から、試料水1mLに対し酸素ガスを毎分0.01〜0.1L程度の割合で供給するのが好ましい。
【0034】
また、反応容器全体を内部ミラーで覆うことにより、紫外線の照射効率を大きくし酸化反応を促進することができる。
【0035】
本方法は常温での酸化反応が可能な方法であるが、更に反応時間を短縮する場合には試料水を加熱しても良い。加熱温度は、例えば、40〜80℃であればよい。加熱する場合は、試料水の蒸発等により測定値に影響を及ぼさないよう、反応容器の密閉性等に十分留意して行う。
【0036】
本酸化反応の反応時間は、反応容器の大きさ、試料水中の窒素化合物の濃度、光触媒の使用量、紫外線の光源等の反応条件により異なってくるが、約30〜60分程度で進行する。
【0037】
本工程において、上記の条件を用いることにより、試料水中のアンモニウム、亜硝酸等の無機体窒素およびアミノ酸、ポリペプチド、タンパク質等の有機体窒素を効率よく硝酸イオンに酸化することができる。
【0038】
(ii)二酸化チタンの分離工程
本工程は、試料水を(iii)の硝酸イオンの吸光光度測定に供するために、試料水中の二酸化チタンを分離する工程である。試料水中に二酸化チタンが残存すると、二酸化チタンが220nmの光を吸収するため、硝酸イオンの定量に悪影響を及ぼしてしまうからである。
【0039】
分離の方法は、例えば、自然分離、遠心分離、フィルターろ過等が挙げられる。吸光光度測定に悪影響を及ぼさない程度に二酸化チタンを迅速に分離するためには、フィルターろ過が好ましい。該フィルターとしては、例えば、フッ素樹脂フィルターが挙げられる。フッ素樹脂フィルターとしては、例えば、PTFE樹脂フィルター、PVDF樹脂フィルターが挙げられる。中でも、耐薬品性に優れ、不純物の少ない点からPTFE樹脂フィルターが好ましい。フィルターの孔径は、使用する二酸化チタンをろ過しうるものであればよく、二酸化チタンの粒径に応じて、例えば、0.1〜1μm程度であればよい。
【0040】
ろ過操作は、公知の方法を用いればよく、常圧ろ過、加圧ろ過、又は減圧吸引ろ過等いずれで行ってもよい。
【0041】
前述したように、本製法で得られる二酸化チタンを用いて分離操作を行うことにより、吸光光度測定に影響を与えない程度に二酸化チタンを分離することができる。
【0042】
(iii)吸光光度測定の工程
二酸化チタンをろ別した後の試料水中の硝酸イオンを、公定法(JIS K 0102 45.2)に準じた吸光光度法で測定する。吸光光度測定は、試料水中の硝酸イオンを、220nmの吸光度を測定して評価する。
【0043】
【実施例】
以下、本発明について実施例をあげて説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0044】
実施例1(二酸化チタンの加熱処理)
硫酸法で製造された二酸化チタン2g(ST−01 (粒径7nm)、石原産業製)を、灰皿(91x58x15)上全面に薄く堆積し、電気マッフル炉(アドバンテック社製KM−160)に入れ、空気雰囲気下、600℃で30分間加熱処理することにより、本発明の二酸化チタン(ST−01熱処理)を得た。
【0045】
実施例2(二酸化チタンを用いた水中全窒素測定法)
(1)試料水中の窒素酸化反応
石英セル(60×44×5mm)に二酸化チタン粉末(ST−01又はST−01熱処理)0.1gを採取し、さらに試料水8ml(試料窒素濃度:2ppm)を採取した。石英セル中の試料水に、毎分0.4Lの割合で酸素ガスを吹き込み、UV光源であるパイレックス(登録商標)フィルターで被覆した高圧水銀灯(AHH100S(100W)(株)ユーブイ製)を点灯し、高圧水銀灯の光源を水冷しながら、45分間試料水に光照射した。
(2)上記(1)で得られた試料水を、孔径0.2μmのフッ素樹脂(PTFE)フィルターを注射筒先端に装着し、注射筒に試料水を入れ、加圧ろ過した。
(3)JIS公定法に準じて上記(2)で得られた試料水の吸光光度測定を行った。すなわち、ろ過試料を5ml採取し、これに塩酸(1+60)を1mlを加えた。この溶液を石英吸収セルに移し、波長220nmの吸光度を測定した(島津製作所製 UV−260)。窒素標準液を0.5mg/L, 1mg/L, 2mg/Lに調整して検量線を作成し、得られた検量線から全窒素濃度を算出した。
【0046】
検量線は次のようにして作成した。窒素標準液(0.004mgN/ml)1〜50mlを段階的にメスフラスコ100mlにとり、それぞれ水で100mlとする。その25mlをそれぞれビーカーにとり、塩酸(1+500)5mlを加え、この溶液の一部を吸収セルに移し、波長220nmの吸光度を測定した。別に空試験として水25mlをビーカーにとり、塩酸(1+500)5mlを加えこの溶液の一部を吸収セルに移し、波長220nmの吸光度を測定し、窒素標準液について得た吸光度を補正した。窒素(N)の量と吸光度との関係線を作成した。
【0047】
比較例(各種窒素化合物に対する全窒素定量性能の比較)
市販の二酸化チタン(ST−01)を用いた測定法(A)、実施例1で得られた加熱処理後の二酸化チタン(ST−01熱処理)を用いた測定法(B)、及び公定法JISK0102 45.2(C)について、各種窒素化合物に対する全窒素定量性能試験をおこなった。その結果を表1に示す。試料水中の窒素濃度はいずれも1mg/lとした。
【0048】
【表1】
【0049】
表1の結果より、本発明の測定法(B)は、公定法(C)とほぼ同等の高い窒素回収率を示した。なお、表中で100%を越えた数値は測定誤差に基づくものである。しかし、測定法(A)では、市販の二酸化チタンに含まれるNH4等の窒素成分が測定値に影響し大きな誤差を生じていることが分かる。
【0050】
実験例1(二酸化チタンからの溶出成分の比較)
硫酸法で製造された市販の二酸化チタン(ST−01)及び実施例1で加熱処理して得られた二酸化チタン(ST−01熱処理)の水中での溶出成分(SO4 2−)の分析を行った。
【0051】
蒸留水をイオン交換筒でさらに精製した水20mlに、各二酸化チタン0.25gを添加した。30分放置後、フッ素樹脂(PTFE)フィルター(孔径0.2ミクロン)でろ過した。下記の条件でイオンクロマトグラフを使用して、得られたろ液の溶出イオン成分を測定した。その結果を表2に示す。
【0052】
イオンクロマトグラフ:ダイオネクス製 DX−100
カラム:CS12(陽イオン)、AS12(陰イオン)
溶離液:メタンスルホン酸 20mmol/L(陽イオン)、Na2CO3 3.0mmol/L
NaHCO3 2.5mmol/L(陰イオン)
【0053】
【表2】
【0054】
ST−01ではNH4 +が含まれているが、ST−01熱処理ではNH4が消失しかつ陰イオンであるSO4 2−が増加していることが分かる。
【0055】
実験例2(二酸化チタンの自然分離性の比較)
蒸留水をイオン交換筒でさらに精製した水80mlに、各二酸化チタン1gを添加した。充分撹拌して二酸化チタンを分散させ、放置後の上澄み液を採取する。下記の条件で分光光度計を使用し、各上澄み液における波長220nmの光の透過率を測定した。その結果を表3に示す。透過率が高いほど二酸化チタンの分離が進んでいることを示す。
【0056】
分光光度計:島津製作所製 UV−260
リファレンス:上記精製水
【0057】
【表3】
【0058】
ST−01では透過率がゼロであり、ST−01熱処理では透過率が高くなっている。これは、二酸化チタンの加熱処理により凝集沈降効果が向上したことを示すものである。
【0059】
実験例3(二酸化チタンのろ過分離性の比較)
蒸留水をイオン交換筒でさらに精製した水80mlに、各二酸化チタン1gを添加した。充分撹拌して二酸化チタンを分散させ、10分放置後の上澄み液10mlを採取する。孔径0.2ミクロンのフッ素樹脂フィルターで上澄みをろ過する。下記の条件で分光光度計を使用し、各ろ液における波長220nmの光の透過率を測定した。その結果を表4に示す
【0060】
【表4】
【0061】
ST−01ではろ過分離性はある程度高いが、ろ液には二酸化チタンが残存するためそのままろ液を吸光光度測定に供するには充分ではない。一方で、ST−01熱処理ではろ過分離性が極めて高く吸光光度測定に悪影響を与えることがないレベルである。
【0062】
【発明の効果】
本発明の水中全窒素測定用二酸化チタンは、未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理することにより得られる。
【0063】
この加熱処理により、未処理二酸化チタンに含まれるNH4 +等の窒素成分が揮発除去され、水中全窒素測定の吸光光度測定における硝酸イオンの測定誤差を減少させることができる。また、加熱処理により、二酸化チタン中の陰イオン(硫酸イオン)が増加し、水中の二酸化チタンの凝集沈殿効果をも向上させることができ、ろ過分離を効率よく実施できる。
【0064】
従って、本発明の二酸化チタンは、吸光光度測定を用いた水中全窒素測定に好適である。
Claims (7)
- 未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理することにより得られる水中全窒素測定用二酸化チタン。
- 未処理二酸化チタンが、硫酸法により製造されたものでありかつ粒子径が2〜15nmである請求項1に記載の水中全窒素測定用二酸化チタン。
- 加熱処理後における二酸化チタン250mgを水20ml中に加えた場合に、硫酸イオン(SO4 2−)濃度が、5〜50mg/L程度である請求項2に記載の水中全窒素測定用二酸化チタン。
- 未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理することを特徴とする水中全窒素測定用二酸化チタンの製造方法。
- 下記(i)〜(iii)の工程を含むことを特徴とする水中全窒素測定方法:
(i)請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中全窒素測定用二酸化チタンの存在下、空気または酸素の存在下、試料水に紫外線を照射し、試料水中の窒素化合物を酸化して硝酸イオンを生じさせる酸化反応工程、
(ii)該酸化反応で得られた試料水から水中全窒素測定用二酸化チタンを分離する工程、及び
(iii)試料水中の硝酸イオンを吸光光度法を用いて測定する工程。 - (i)における紫外線の光源が高圧水銀灯であり、(ii)における分離がフィルターを用いたろ過である請求項5記載の水中全窒素測定方法。
- 未処理二酸化チタンを、空気の存在下、400〜700℃程度で加熱処理する方法。
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|---|---|---|---|
| JP2002194242A JP2004037228A (ja) | 2002-07-03 | 2002-07-03 | 水中全窒素測定用二酸化チタン、その製造方法及びその二酸化チタンを用いた水中全窒素測定方法 |
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Cited By (2)
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|---|---|---|---|---|
| EP2328212A1 (en) * | 2009-11-26 | 2011-06-01 | Nippon Chemical Industrial Company Limited | Method for manufacturing lithium titanate for lithium secondary battery active material |
| CN114636611A (zh) * | 2022-03-07 | 2022-06-17 | 中国科学院兰州化学物理研究所 | 分支化二氧化钛纳米棒阵列材料在富集检测重金属铅中的应用 |
-
2002
- 2002-07-03 JP JP2002194242A patent/JP2004037228A/ja active Pending
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