JP2004031629A - 電磁波吸収部材とその製造方法、及びこれを用いた高周波回路パッケージ用蓋体並びに高周波回路パッケージ - Google Patents
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Abstract
【課題】高周波回路パッケージの内部に装着された電磁波吸収体において、蓋体と電磁波吸収体を耐熱性に優れ、強固に止着できる止着層から構成された電磁波吸収部材を提供する。
【解決手段】金属、セラミックス及び樹脂の少なくとも一種からなる基体の表面の少なくとも一部にAu層を形成し、前記Au層上にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種を含有する止着層を介して、Ni,Fe,AlおよびCの少なくとも一種を主成分とする電磁波吸収体を止着した電磁波吸収部材からなる。
【選択図】図3
【解決手段】金属、セラミックス及び樹脂の少なくとも一種からなる基体の表面の少なくとも一部にAu層を形成し、前記Au層上にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種を含有する止着層を介して、Ni,Fe,AlおよびCの少なくとも一種を主成分とする電磁波吸収体を止着した電磁波吸収部材からなる。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波回路用パッケージの内部に装着される電磁波吸収体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機に限らず、無線通信機器等において、高周波回路は電磁波を輻射したり干渉することから、ノイズ等の原因となり、電子機器等の誤動作の原因となることから、種々の対策が取られている。例えば、高周波回路の周囲に金属板で覆ういわゆるシールドが良く行われている。また、必要に応じて、シールドの一部に電磁波吸収材を設けることも提案されている。
【0003】
例えば、図5は特開平6−338696号公報に開示されているこの種の高周波回路パッケージの断面図であり、金属製の有底箱型ケース51の内部に電子部品52を実装し、この電子部品52とケース51の側壁に取り付けられたセラミック端子53と配線パターン54との間をボンディングワイヤ55で接続した後、金属製の蓋体をろう付け(以下「ろう付けA」と記載)した構造となっている。
【0004】
ここで、電子部品52の動作周波数が高い場合、電子部品52やボンディングワイヤ55からの輻射電磁波によって、パッケージの内部空間で電磁波が共振するため、動作上、支障をきたすことがある。そこで、金属製蓋体56の裏面(パッケージの内部空間を臨む側の面)にフェライト系等の電磁波吸収材57をろう付け(以下「ろう付けB」と記載)することにより、不要な輻射電磁波を吸収、抑制して高周波回路パッケージを実現していた。または、特開2000−165084号公報では「金ゲル(Au−Ge)」や耐熱性接着剤を使用しない構造により、メタルパッケージを提供していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示す従来の高周波回路パッケージにあっては、蓋体56の裏面に電磁波吸収材57をろう付け(ろう付けB)する構成となっているため、このろう付けBの作業温度をろう付けAの作業温度よりも高くしておかなければ、ろう付けAを行う際に電磁波吸収材57が脱落する可能性があった。
【0006】
従って、一般にろう付けAには濡れ性のよい「金すず(Au−Sn)」は280℃(共晶)〜350℃程度で使用することが多いから、ろう付けBには、この金すずよりも作業温度は高いが、濡れ性に劣る例えば「金ゲル(Au−Ge)」を使用せざるを得ないという問題があり、高周波パッケージの蓋体に電磁波吸収体を金すず、金ゲル等の処理温度よりも耐熱性がある止着層で強固に止着するという課題があった。また、特開2000−165084号公報では、電磁波吸収体を、弾性を持つスペーサーと凸部を設けたヘッダー部との挟み込みによってキャップ部の内部に固定する方法により、構造的に電磁波吸収体を固定していたが、製造時ずれたり、はずれたりするという問題があり、高周波パッケージの蓋体に電磁波吸収体を強固に止着するという課題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電磁波吸収部材は、金属、セラミックス及び樹脂の少なくとも一種からなる基体の表面の少なくとも一部にAu層を形成し、前記Au層上にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種を含有する止着層を介して、Ni,Fe,AlおよびCの少なくとも一種を主成分とする電磁波吸収体を止着したことを特徴とするものである。
【0008】
また、前記Au層表面の酸素濃度が5原子%以上であることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記止着層がさらにNa、Kの少なくとも一種を含有することを特徴とする。
【0010】
また、前記止着層が珪酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、コロイダルシリカのうち少なくとも1種を含有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の電磁波吸収部材の製造方法は、前記止着層の前駆体を塗布した前記電磁波吸収体と、表面の少なくとも一部にAu層を形成した前記基体とを積層後、酸化性雰囲気中100℃〜400℃で加熱することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の高周波回路パッケージ用蓋体は、前記電磁波吸収部材を用いたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の高周波回路パッケージは、前記高周回路パッケージ用蓋体を用いたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態による電磁波吸収部材1の断面図である。図2は本発明の実施形態による電磁波吸収部材1をキャビティ側からみた図である。
【0016】
電磁波吸収部材1は、蓋体5、止着層6、電磁波吸収体7から構成される。そこで、電磁波吸収部材1は、金属、セラミックス及び樹脂の少なくとも一種からなる基体2の表面にNi層3を形成し、さらにNi層3の少なくとも一部にAu層4を形成して蓋体5を得る。前記Au層4上にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種以上を含有する止着層6を介して、Ni、Fe、Al及びCの少なくとも一種を主成分とする電磁波吸収体7を止着することが重要である。
【0017】
本発明の電磁波吸収部材1を構成する蓋体5は、金属、セラミックスおよび樹脂の少なくとも一種からなり、金属では、例えば、コバール、ステンレス等、またはセラミックスでは、例えば、アルミナ、ジルコニア等、さらに樹脂では、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の少なくとも一種からなる基体の表面に少なくとも一部にAu層4を形成したものを用いる。Au層4の下地にはNi層3等が望ましい。特に、蓋体5は基体2がコバール、Ni層3、Au層4からなることが望ましい。
【0018】
蓋体5の形状は、平板、キャップ、ハット型キャップ等形状からなり、形状はこの限りではない。
【0019】
止着層6は、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、石英、ケイ石、陶石、石英ガラス、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、燐酸アルミニウム、燐酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、ムライト、コージライト、ジルコンのいずれか一種以上が好ましい。
【0020】
さらに、本発明の止着層6はAl及びSiを主成分とすれば、接着強さを最大に引き出せる。
【0021】
また、蓋体5と電磁波吸収体7との接着強さをさらに強くするためには、前記止着層6がNa、Kの少なくとも一種を含有することが好ましく、特に望ましくは前記Na、Kの含有量は0.1〜15重量%である。
【0022】
前記Na、Kの含有量は、一般に原子吸光分析法を用いて測定する。また、前記、珪酸ナトリウムや珪酸カリウムの存在及び含有量は微小X線回折法、蛍光X線分析法や原子吸光分析法、ICP発光分光分析法により前記珪酸ナトリウムや珪酸カリウムの定量を測定する。
【0023】
また、前記止着層6は珪酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、コロイダルシリカのうち少なくとも一種を含有することがさらに接着強さを強くする理由から望ましい。
【0024】
前記珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム等が望ましい。前記珪酸ナトリウムの出発原料は、二酸化硅素と水酸化ナトリウムで、オルト珪酸ソーダ、セスキ珪酸ソーダ、メタ珪酸ソーダ等がある。また、珪酸カリウムとしては、カリウムジシリケート、カリウムテトラシリケート等がある。前記燐酸塩としては、燐酸アルミニウム、燐酸マグネシウム、燐酸カルシウム等がある。前記コロイダルシリカは直径10〜100μmのSiO2粒子がNa2Oなどの安定化剤中に分散したものが望ましく、出発原料としては前記SiO2粒子及び前記安定化剤が水に分散したものを用いる。特に望ましくは、珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸ナトリウムとしては、オルト珪酸ソーダ、燐酸塩としては、燐酸アルミニウムである。
【0025】
前記珪酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、コロイダルシリカ等の出発原料としては、溶液を用いることが、蓋体5と電磁波吸収体7の止着にあたり、止着時、流動性を良くする理由から望ましい。特に珪酸塩の溶液を用いることは接着強さを向上させるために望ましい。
【0026】
前記珪酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、コロイダルシリカの定性分析及び定量分析は、蛍光X線分析法、ICP発光分光分析法、原子吸光分析法、X線回折法、微小X線回折法等の分析手法により行う。元素濃度換算で、0.1〜15重量%含むことが好ましい。
【0027】
電磁波吸収体7の構造材料としては、金属磁性体粒子、金属酸化物、炭素系材料が挙げられ、例えば、カーボニル鉄、パーマロイ、フェロシリコン、センダスト、アモルファス合金、電磁ステンレス鋼、または、金属酸化物では、例えば、NiO、NiFe2O4、Fe2O3、NiFe2O4CaO、NiZnFe2O4の酸化物等、炭素系材料では、例えば、炭化珪素等の炭化物、炭素、黒鉛、炭素繊維等が主成分であることが望ましい。特に好ましくは電磁波吸収体7の主成分がパーマロイもしくはNiZnFe2O4からなる。
【0028】
なお、上記電磁波吸収体7が金属磁性体粒子から構成される場合、減衰量が大きいという点からNi、Fe、またはその合金の一種であるパーマロイが好ましく、パーマロイの中でも減衰量の大きいMoパーマロイが一層好適である。
【0029】
ここで、前記減衰量とは、高周波伝送線路の伝送特性、すなわち、4端子回路をインピーダンスが較正された高周波電源に接続したときの電力反射係数(S11)と透過係数(S21)より、以下の数式を用いて算出する。
【0030】
減衰量(dB)=20log|S21/1−S11|
本発明で用いる上記電磁波吸収体7の減衰量は、高周波回路パッケージの共振を抑制するためにも2dB以上が好ましい。
【0031】
本発明の電磁波吸収部材1においては、前記Au層4表面の酸素濃度を5原子%以上とすることが、接着強さを強くするために望ましい。前記酸素原子濃度が5原子%未満では、蓋体2と止着層6の接着強さを著しく向上させることができない。その理由は、本発明の電磁波吸収部材1においては、Au層4の下地のNi層3がAu層4表面に拡散し、酸素と結合することにより接着強さが発現することから、Au層4表面の酸素濃度が低いと接着強さを著しく向上させることができないためである。
【0032】
前記Au層4表面の酸素濃度測定方法は、一般に2次イオン質量分析法(SISM)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)などの、いわゆる表面分析法を用い、表面からの深さ方向の酸素濃度測定する。例えば、X線光電子分光法(XPS)を用いて、Au層表面の酸素原子濃度を測定する。そのときの測定条件の例を下記に示す。
【0033】
また、X線光電子分光法(XPS)により、前記酸素原子濃度を測定できる理由は次の通りである。X線を物質に照射すると、光電子が放出される。照射されたX線のエネルギーから放出された光電子のエネルギーを差し引くとその光電子の結合エネルギーが求まる。結合エネルギーは元素により固有の値を取るためその値から元素を同定する事ができる。また、元素の結合状態の変化(価数や結合原子の違い)により結合エネルギーが変化する。よって、ピークのシフトや波形の変化で状態分析が可能となる。また、表面をアルゴンイオンで除去しながら分析することにより、深さ方向も同様に分析することができる。
【0034】
図3に示すように、上記蓋体5を高周波回路パッケージに装着すると、電磁波吸収体7に入射した電磁波は反射しにくくなるため、電磁波吸収特性が向上する。
【0035】
本発明の電磁波吸収部材1を用いることにより、高周波回路パッケージ蓋体とパッケージとの接合に一般に使用される金すずが使用でき、封止性の悪い金ゲルを使用しなくてよくなる。また、構造的に電磁波吸収体を固定していたが、本発明により電磁波吸収体のズレ発生がなくなった。
【0036】
次に、本発明の電磁波吸収部材1の製造方法に関して説明する。
【0037】
本発明の電磁波吸収部材1は、止着層6の前駆体を塗布した電磁波吸収体7と表面の少なくとも一部にAu層4を形成した基体2とを積層後、酸化性雰囲気中100℃〜400℃で加熱することが重要である。
【0038】
前記前駆体は、Al、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種以上を有する前駆体であり、例えば、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、石英、ケイ石、陶石、石英ガラス、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、燐酸アルミニウム、燐酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、コージライト、ムライト、ジルコン、珪酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、コロイダルシリカ等のうち少なくとも一種から構成されるもので、(1)アルミナと珪酸塩、(2)アルミナとシリカと珪酸塩、(3)ジルコニアと珪酸塩、(4)アルミナとジルコンと珪酸塩、(5)アルミナと燐酸塩、(6)シリカと燐酸塩、(7)アルミナとシリカと燐酸塩、(8)アルミナと酸化リンと珪酸塩、(9)窒化アルミニウムと珪酸塩、(10)マグネシアと珪酸塩、(11)窒化ホウ素と珪酸塩、(12)アルミナとジルコニアとマグネシアとホウ酸塩と珪酸塩、(13)アルミナとシリカとジルコンと珪酸塩等の組み合わせのうちいずれか一種が望ましい。特に接着強さを強くするために、アルミナと珪酸塩、アルミナと燐酸塩、アルミナとジルコンと珪酸塩、アルミナとシリカとジルコンと珪酸塩の組み合わせが望ましい。最も接着強さが強くするためには、アルミナとジルコンと珪酸塩が望ましい。
【0039】
上記止着層6を介することにより蓋体5と電磁波吸収体7とが強固に止着した電磁波吸収体部材1を得ることができる。
【0040】
止着層6の40℃〜300℃の熱膨張係数は4×10−6〜15×10−6℃−1が望ましい。基体2がコバールの場合は、接着性を向上させる理由から5×10−6〜10×10−6℃−1が特に望ましい。また、基体2がアルミナの場合は、接着性を向上させる理由から7×10−6〜10×10−6℃−1が特に望ましい。また、基体2がエポキシ樹脂の場合、接着性を向上させる理由から7×10−6〜20×10−6℃−1が特に望ましい。
【0041】
例えば、電磁波吸収部材1は、金属、セラミックス及び樹脂の少なくとも一種からなる基体2の表面の少なくとも一部にAu層4を形成した蓋体5と前記止着層6の上記前駆体を塗布した電磁波吸収体7を積層し、加圧保持した後、酸化性雰囲気中100℃〜400℃で加熱することにより得られる。
【0042】
また、基体2表面のAu層4はメッキ等により形成されるが、その厚みは下限は0.1μmが望ましく、上限は5.0μmが望ましい。また、基体2とAu層4の間にあるNi層3を設ける場合、Ni層3のメッキ厚みは、下限は0.1μmが望ましく、上限は3.0μmが望ましい。
【0043】
ここで、積層後、加圧保持するのは止着層7が十分に蓋体5と電磁波吸収体7の表面を覆う事により、接着強さを向上させるためである。酸化性雰囲気中100℃〜400℃で加熱するのは、100℃未満であると、接着強さの向上が著しくなく、400℃以上では、400℃未満より著しい接着強さの向上がない。
【0044】
加熱温度は150℃〜350℃が好ましく、特に、200℃〜300℃が望ましい。室温から150℃まで加熱する過程に発生する脱離ガス中の腐食性ガスあるいは炭化水素化合物を含むガスの有無については、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS、Gas Chromatograph−Mass Spectrometer)により、コールドトラップ法にて測定する。前記腐食性ガスとは、F、Cl、Br元素等含むハロゲン系ガスやS元素を含むガスをいう。
【0045】
本発明の高周波回路パッケージ用蓋体5は前記電磁波吸収部材1を用いたものであり、さらに図3のように本発明の高周波回路パッケージ用蓋体を用いて高周波パッケージを構成することができる。
【0046】
特に、本発明の電磁波吸収部材1は、蓋体5が基体2にコバール、Ni層3、Au層4を順次形成したものが望ましく、止着層6はAl、Si及びNaから構成されることが望ましく、電磁波吸収体7はNi及びFeの酸化物を主成分とすることが望ましい。
【0047】
次に、本発明の電磁波吸収部材1を高周波回路パッケージ蓋体とした高周波回路パッケージを説明する。図3に断面図で示すように、高周波回路パッケージ8は、電磁波吸収部材1を高周波回路パッケージ用蓋体とし、電磁波吸収体部材1とパッケージベース10を金すずからなるはんだ層9で封止する。電磁波吸収体7と高周波半導体素子13またはパッケージベース10上に形成された伝送線路11の形成面とが対向するように配設する。また、伝送線路11と高周波半導体素子13をボンディングワイヤ12で接続する。
【0048】
これによって、伝送線路11の信号減衰が全くなく、空洞共振を抑制することができるため、高周波回路パッケージ8は良好な伝送特性を示す。
【0049】
【実施例】
以下、本発明の実施例は図1乃至3を参照しながら説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
試料A及び試料Bに用いた蓋体5及び電磁波吸収体7を下記に示す。
<試料Aの作製>
蓋体5には、基体2の材質は表1に示すもので肉厚みが0.25mm、Ni層3が2μm、Au層4が2μmで、外形寸法10mm×10mm×0.25mmの平板状のものを用いた。
【0051】
【表1】
【0052】
また、電磁波吸収体7には、表2に示すものを用い、外形寸法が8mm×8mm×3mmの平板を用いた。電磁波吸収体7は蛍光X線分析法及び炭素分析により定量分析を行い、主な成分を示した。
【0053】
【表2】
【0054】
止着層6は表3に示す止着層6の前駆体から構成される。前記前駆体の粘度は1,000〜80,000cpsのものである。
【0055】
【表3】
【0056】
前記電磁波吸収体7の片側の面に前記前駆体をディスペンサーにより0.022cc塗布し、塗布した面と前記蓋体5の中央部裏面を貼り合わせた。その後、貼り付けた面に対して、垂直方向に49kPaの押圧で4時間加圧保持し、前記前駆体を均一に充填させた。
【0057】
その後、表4に示す熱処理温度で加熱処理を施し、試料Aの電磁波吸収部材1を得た。試料Aは引張剪断接着強さの測定に用いた。結果を表4に示す。
【0058】
試料Aの断面を切断し、止着層6に隣接したAu層4表面をX線光電子分光法(XPS)により、酸素濃度を測定した。さらに、止着層6は蛍光X線分析法により定性分析し、表4に示す元素が存在するものには○印で示した。空欄は存在しなかったことを示す。またNa、Kは原子吸光分析法により酸化物換算で定量分析した。また、X線回折法、微小X線回折法を用いて、構造分析を行った。結果を表4及び5に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
<試料Bの作製>
蓋体5には、基体2の材質は表1に示すもので肉厚みが0.25mm、Ni層3が2μm、Au層4が2μmで、外形寸法10mm×10mm×1mm、キャビティ寸法が8mm×8mm×0.8mmのハット型のキャップを用いた。
また、電磁波吸収体7には、表2に示すものを用い、外形寸法が3mm×7mm×0.4mmの平板を用いた。電磁波吸収体7は蛍光X線分析法及び炭素分析により定量分析を行い、主な成分を示した。止着層6は表3に示す止着層6の前駆体から構成される。前記前駆体の粘度は1,000〜80,000cpsのものである。
【0062】
前記電磁波吸収体7の片側の面に前記前駆体をディスペンサーにより0.007cc塗布し、図2にのように蓋体5の裏面に電磁波吸収体7を2枚貼り付けた。
【0063】
その後、貼り付けた面に対して、垂直方向に49kPaの押圧で2時間加圧保持し、前記前駆体を均一に充填させた。その後、表4に示す熱処理温度で加熱処理を施し、試料Bの電磁波吸収部材1を得た。試料Bは実装評価に用いた。
【0064】
上記電磁波吸収部材1を高周波回路パッケージ8の蓋体5に用いた。蓋体5とパッケージベース10の封止には、Au−Snから形成されるはんだ層9にて行い、高周波回路パッケージ8を得た。
【0065】
その後、高周波回路パッケージに電磁波吸収部材1を装着し共振抑制効果について評価を行った。結果を表5に示す。さらに、電磁波吸収部材1が蓋体5と電磁波吸収体7が剥がれないか、1500Gの衝撃試験を行った。結果を表5に示す。
【0066】
電磁波吸収体26の共振抑制の効果については、図4に示すように、伝送線路45が形成されたパッケージベース42とパッケージベース42上に取り付けられ、8mm×8mm×0.8mmの空洞を有する蓋体41とからなる高周波回路用パッケージ40を用いて評価した。
【0067】
電磁波吸収体46の共振抑制の評価については、伝送線路45にプローブ47を押し当て、プローブ47から同軸ケーブル(不図示)を介して接続されるネットワークアナライザー(不図示)により100MHz〜40.1GHzにおける電力透過係数S21を測定し、電磁波吸収体46を装着しないときの電力透過係数S21との差が0.1dB未満であったものを共振抑制の効果が良好なものとして○、0.1dB以上であったものを共振抑制の効果がないものとして×とした。
【0068】
表4及び表5の結果から明らかなように、止着層6にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種以上を含有するもの(No.1〜30)は1500Gの衝撃試験にも耐え、共振抑制の効果あるものが得られる。
【0069】
また、止着層6にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種以上を含有しない(No.31〜32)は蓋体とパッケージベースの接合にAu−Snを用い、そのときに320℃まで温度が上がるため、エポキシ樹脂が分解し、接着強さが低下するため、1500Gの衝撃試験で蓋体と電磁波吸収体が剥がれる。よって、共振抑制の評価ができなかった。
【0070】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、高周波回路パッケージの電磁波吸収部材として、金属、セラミック及び樹脂の少なくとも一種からなる基体の表面の少なくとも一部にAu層を形成し、前記Au層上にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種を含有する止着層を介して、Ni、Fe、Al及びCの少なくとも一種を主成分とする電磁波吸収体を止着したことによって、パッケージの蓋体とパッケージベースの接合にAu−Snのろう材を用いて、蓋体と電磁波吸収体を強固に止着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁波吸収部材の断面図である。
【図2】本発明の電磁波吸収部材の平面図である。
【図3】本発明の電磁波吸収部材を用いた高周波回路パッケージの断面図である。
【図4】本発明の電磁波吸収部材を用いた高周波回路パッケージの共振抑制を評価する方法を示す断面図である。
【図5】
従来の電磁波吸収体を用いた高周波回路パッケージの断面図である。
【符号の説明】
1 電磁波吸収部材
2 基体
3 Ni層
4 Au層
5 蓋体
6 止着層
7 電磁波吸収体
8 高周波回路パッケージ
9 はんだ層
10 パッケージベース
11 伝送線路
12 ボンディングワイヤ
13 高周波半導体素子
40 高周波回路パッケージ
41 蓋体
42 パッケージベース
43 グラウンド
44 高周波回路基板
45 伝送線路
46 電磁波吸収体
47 プローブ
50 メタルパッケージ
51 金属製の有底箱型ケース
52 電子部品
53 セラミック端子
54 配線パターン
55 ボンディングワイヤ
56 金属製の蓋体
57 電磁波吸収体
58 端子部
A ろう付けA
B ろう付けB
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波回路用パッケージの内部に装着される電磁波吸収体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機に限らず、無線通信機器等において、高周波回路は電磁波を輻射したり干渉することから、ノイズ等の原因となり、電子機器等の誤動作の原因となることから、種々の対策が取られている。例えば、高周波回路の周囲に金属板で覆ういわゆるシールドが良く行われている。また、必要に応じて、シールドの一部に電磁波吸収材を設けることも提案されている。
【0003】
例えば、図5は特開平6−338696号公報に開示されているこの種の高周波回路パッケージの断面図であり、金属製の有底箱型ケース51の内部に電子部品52を実装し、この電子部品52とケース51の側壁に取り付けられたセラミック端子53と配線パターン54との間をボンディングワイヤ55で接続した後、金属製の蓋体をろう付け(以下「ろう付けA」と記載)した構造となっている。
【0004】
ここで、電子部品52の動作周波数が高い場合、電子部品52やボンディングワイヤ55からの輻射電磁波によって、パッケージの内部空間で電磁波が共振するため、動作上、支障をきたすことがある。そこで、金属製蓋体56の裏面(パッケージの内部空間を臨む側の面)にフェライト系等の電磁波吸収材57をろう付け(以下「ろう付けB」と記載)することにより、不要な輻射電磁波を吸収、抑制して高周波回路パッケージを実現していた。または、特開2000−165084号公報では「金ゲル(Au−Ge)」や耐熱性接着剤を使用しない構造により、メタルパッケージを提供していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示す従来の高周波回路パッケージにあっては、蓋体56の裏面に電磁波吸収材57をろう付け(ろう付けB)する構成となっているため、このろう付けBの作業温度をろう付けAの作業温度よりも高くしておかなければ、ろう付けAを行う際に電磁波吸収材57が脱落する可能性があった。
【0006】
従って、一般にろう付けAには濡れ性のよい「金すず(Au−Sn)」は280℃(共晶)〜350℃程度で使用することが多いから、ろう付けBには、この金すずよりも作業温度は高いが、濡れ性に劣る例えば「金ゲル(Au−Ge)」を使用せざるを得ないという問題があり、高周波パッケージの蓋体に電磁波吸収体を金すず、金ゲル等の処理温度よりも耐熱性がある止着層で強固に止着するという課題があった。また、特開2000−165084号公報では、電磁波吸収体を、弾性を持つスペーサーと凸部を設けたヘッダー部との挟み込みによってキャップ部の内部に固定する方法により、構造的に電磁波吸収体を固定していたが、製造時ずれたり、はずれたりするという問題があり、高周波パッケージの蓋体に電磁波吸収体を強固に止着するという課題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電磁波吸収部材は、金属、セラミックス及び樹脂の少なくとも一種からなる基体の表面の少なくとも一部にAu層を形成し、前記Au層上にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種を含有する止着層を介して、Ni,Fe,AlおよびCの少なくとも一種を主成分とする電磁波吸収体を止着したことを特徴とするものである。
【0008】
また、前記Au層表面の酸素濃度が5原子%以上であることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記止着層がさらにNa、Kの少なくとも一種を含有することを特徴とする。
【0010】
また、前記止着層が珪酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、コロイダルシリカのうち少なくとも1種を含有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の電磁波吸収部材の製造方法は、前記止着層の前駆体を塗布した前記電磁波吸収体と、表面の少なくとも一部にAu層を形成した前記基体とを積層後、酸化性雰囲気中100℃〜400℃で加熱することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の高周波回路パッケージ用蓋体は、前記電磁波吸収部材を用いたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の高周波回路パッケージは、前記高周回路パッケージ用蓋体を用いたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態による電磁波吸収部材1の断面図である。図2は本発明の実施形態による電磁波吸収部材1をキャビティ側からみた図である。
【0016】
電磁波吸収部材1は、蓋体5、止着層6、電磁波吸収体7から構成される。そこで、電磁波吸収部材1は、金属、セラミックス及び樹脂の少なくとも一種からなる基体2の表面にNi層3を形成し、さらにNi層3の少なくとも一部にAu層4を形成して蓋体5を得る。前記Au層4上にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種以上を含有する止着層6を介して、Ni、Fe、Al及びCの少なくとも一種を主成分とする電磁波吸収体7を止着することが重要である。
【0017】
本発明の電磁波吸収部材1を構成する蓋体5は、金属、セラミックスおよび樹脂の少なくとも一種からなり、金属では、例えば、コバール、ステンレス等、またはセラミックスでは、例えば、アルミナ、ジルコニア等、さらに樹脂では、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の少なくとも一種からなる基体の表面に少なくとも一部にAu層4を形成したものを用いる。Au層4の下地にはNi層3等が望ましい。特に、蓋体5は基体2がコバール、Ni層3、Au層4からなることが望ましい。
【0018】
蓋体5の形状は、平板、キャップ、ハット型キャップ等形状からなり、形状はこの限りではない。
【0019】
止着層6は、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、石英、ケイ石、陶石、石英ガラス、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、燐酸アルミニウム、燐酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、ムライト、コージライト、ジルコンのいずれか一種以上が好ましい。
【0020】
さらに、本発明の止着層6はAl及びSiを主成分とすれば、接着強さを最大に引き出せる。
【0021】
また、蓋体5と電磁波吸収体7との接着強さをさらに強くするためには、前記止着層6がNa、Kの少なくとも一種を含有することが好ましく、特に望ましくは前記Na、Kの含有量は0.1〜15重量%である。
【0022】
前記Na、Kの含有量は、一般に原子吸光分析法を用いて測定する。また、前記、珪酸ナトリウムや珪酸カリウムの存在及び含有量は微小X線回折法、蛍光X線分析法や原子吸光分析法、ICP発光分光分析法により前記珪酸ナトリウムや珪酸カリウムの定量を測定する。
【0023】
また、前記止着層6は珪酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、コロイダルシリカのうち少なくとも一種を含有することがさらに接着強さを強くする理由から望ましい。
【0024】
前記珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム等が望ましい。前記珪酸ナトリウムの出発原料は、二酸化硅素と水酸化ナトリウムで、オルト珪酸ソーダ、セスキ珪酸ソーダ、メタ珪酸ソーダ等がある。また、珪酸カリウムとしては、カリウムジシリケート、カリウムテトラシリケート等がある。前記燐酸塩としては、燐酸アルミニウム、燐酸マグネシウム、燐酸カルシウム等がある。前記コロイダルシリカは直径10〜100μmのSiO2粒子がNa2Oなどの安定化剤中に分散したものが望ましく、出発原料としては前記SiO2粒子及び前記安定化剤が水に分散したものを用いる。特に望ましくは、珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸ナトリウムとしては、オルト珪酸ソーダ、燐酸塩としては、燐酸アルミニウムである。
【0025】
前記珪酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、コロイダルシリカ等の出発原料としては、溶液を用いることが、蓋体5と電磁波吸収体7の止着にあたり、止着時、流動性を良くする理由から望ましい。特に珪酸塩の溶液を用いることは接着強さを向上させるために望ましい。
【0026】
前記珪酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、コロイダルシリカの定性分析及び定量分析は、蛍光X線分析法、ICP発光分光分析法、原子吸光分析法、X線回折法、微小X線回折法等の分析手法により行う。元素濃度換算で、0.1〜15重量%含むことが好ましい。
【0027】
電磁波吸収体7の構造材料としては、金属磁性体粒子、金属酸化物、炭素系材料が挙げられ、例えば、カーボニル鉄、パーマロイ、フェロシリコン、センダスト、アモルファス合金、電磁ステンレス鋼、または、金属酸化物では、例えば、NiO、NiFe2O4、Fe2O3、NiFe2O4CaO、NiZnFe2O4の酸化物等、炭素系材料では、例えば、炭化珪素等の炭化物、炭素、黒鉛、炭素繊維等が主成分であることが望ましい。特に好ましくは電磁波吸収体7の主成分がパーマロイもしくはNiZnFe2O4からなる。
【0028】
なお、上記電磁波吸収体7が金属磁性体粒子から構成される場合、減衰量が大きいという点からNi、Fe、またはその合金の一種であるパーマロイが好ましく、パーマロイの中でも減衰量の大きいMoパーマロイが一層好適である。
【0029】
ここで、前記減衰量とは、高周波伝送線路の伝送特性、すなわち、4端子回路をインピーダンスが較正された高周波電源に接続したときの電力反射係数(S11)と透過係数(S21)より、以下の数式を用いて算出する。
【0030】
減衰量(dB)=20log|S21/1−S11|
本発明で用いる上記電磁波吸収体7の減衰量は、高周波回路パッケージの共振を抑制するためにも2dB以上が好ましい。
【0031】
本発明の電磁波吸収部材1においては、前記Au層4表面の酸素濃度を5原子%以上とすることが、接着強さを強くするために望ましい。前記酸素原子濃度が5原子%未満では、蓋体2と止着層6の接着強さを著しく向上させることができない。その理由は、本発明の電磁波吸収部材1においては、Au層4の下地のNi層3がAu層4表面に拡散し、酸素と結合することにより接着強さが発現することから、Au層4表面の酸素濃度が低いと接着強さを著しく向上させることができないためである。
【0032】
前記Au層4表面の酸素濃度測定方法は、一般に2次イオン質量分析法(SISM)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)などの、いわゆる表面分析法を用い、表面からの深さ方向の酸素濃度測定する。例えば、X線光電子分光法(XPS)を用いて、Au層表面の酸素原子濃度を測定する。そのときの測定条件の例を下記に示す。
【0033】
また、X線光電子分光法(XPS)により、前記酸素原子濃度を測定できる理由は次の通りである。X線を物質に照射すると、光電子が放出される。照射されたX線のエネルギーから放出された光電子のエネルギーを差し引くとその光電子の結合エネルギーが求まる。結合エネルギーは元素により固有の値を取るためその値から元素を同定する事ができる。また、元素の結合状態の変化(価数や結合原子の違い)により結合エネルギーが変化する。よって、ピークのシフトや波形の変化で状態分析が可能となる。また、表面をアルゴンイオンで除去しながら分析することにより、深さ方向も同様に分析することができる。
【0034】
図3に示すように、上記蓋体5を高周波回路パッケージに装着すると、電磁波吸収体7に入射した電磁波は反射しにくくなるため、電磁波吸収特性が向上する。
【0035】
本発明の電磁波吸収部材1を用いることにより、高周波回路パッケージ蓋体とパッケージとの接合に一般に使用される金すずが使用でき、封止性の悪い金ゲルを使用しなくてよくなる。また、構造的に電磁波吸収体を固定していたが、本発明により電磁波吸収体のズレ発生がなくなった。
【0036】
次に、本発明の電磁波吸収部材1の製造方法に関して説明する。
【0037】
本発明の電磁波吸収部材1は、止着層6の前駆体を塗布した電磁波吸収体7と表面の少なくとも一部にAu層4を形成した基体2とを積層後、酸化性雰囲気中100℃〜400℃で加熱することが重要である。
【0038】
前記前駆体は、Al、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種以上を有する前駆体であり、例えば、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、石英、ケイ石、陶石、石英ガラス、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、燐酸アルミニウム、燐酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、コージライト、ムライト、ジルコン、珪酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、コロイダルシリカ等のうち少なくとも一種から構成されるもので、(1)アルミナと珪酸塩、(2)アルミナとシリカと珪酸塩、(3)ジルコニアと珪酸塩、(4)アルミナとジルコンと珪酸塩、(5)アルミナと燐酸塩、(6)シリカと燐酸塩、(7)アルミナとシリカと燐酸塩、(8)アルミナと酸化リンと珪酸塩、(9)窒化アルミニウムと珪酸塩、(10)マグネシアと珪酸塩、(11)窒化ホウ素と珪酸塩、(12)アルミナとジルコニアとマグネシアとホウ酸塩と珪酸塩、(13)アルミナとシリカとジルコンと珪酸塩等の組み合わせのうちいずれか一種が望ましい。特に接着強さを強くするために、アルミナと珪酸塩、アルミナと燐酸塩、アルミナとジルコンと珪酸塩、アルミナとシリカとジルコンと珪酸塩の組み合わせが望ましい。最も接着強さが強くするためには、アルミナとジルコンと珪酸塩が望ましい。
【0039】
上記止着層6を介することにより蓋体5と電磁波吸収体7とが強固に止着した電磁波吸収体部材1を得ることができる。
【0040】
止着層6の40℃〜300℃の熱膨張係数は4×10−6〜15×10−6℃−1が望ましい。基体2がコバールの場合は、接着性を向上させる理由から5×10−6〜10×10−6℃−1が特に望ましい。また、基体2がアルミナの場合は、接着性を向上させる理由から7×10−6〜10×10−6℃−1が特に望ましい。また、基体2がエポキシ樹脂の場合、接着性を向上させる理由から7×10−6〜20×10−6℃−1が特に望ましい。
【0041】
例えば、電磁波吸収部材1は、金属、セラミックス及び樹脂の少なくとも一種からなる基体2の表面の少なくとも一部にAu層4を形成した蓋体5と前記止着層6の上記前駆体を塗布した電磁波吸収体7を積層し、加圧保持した後、酸化性雰囲気中100℃〜400℃で加熱することにより得られる。
【0042】
また、基体2表面のAu層4はメッキ等により形成されるが、その厚みは下限は0.1μmが望ましく、上限は5.0μmが望ましい。また、基体2とAu層4の間にあるNi層3を設ける場合、Ni層3のメッキ厚みは、下限は0.1μmが望ましく、上限は3.0μmが望ましい。
【0043】
ここで、積層後、加圧保持するのは止着層7が十分に蓋体5と電磁波吸収体7の表面を覆う事により、接着強さを向上させるためである。酸化性雰囲気中100℃〜400℃で加熱するのは、100℃未満であると、接着強さの向上が著しくなく、400℃以上では、400℃未満より著しい接着強さの向上がない。
【0044】
加熱温度は150℃〜350℃が好ましく、特に、200℃〜300℃が望ましい。室温から150℃まで加熱する過程に発生する脱離ガス中の腐食性ガスあるいは炭化水素化合物を含むガスの有無については、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS、Gas Chromatograph−Mass Spectrometer)により、コールドトラップ法にて測定する。前記腐食性ガスとは、F、Cl、Br元素等含むハロゲン系ガスやS元素を含むガスをいう。
【0045】
本発明の高周波回路パッケージ用蓋体5は前記電磁波吸収部材1を用いたものであり、さらに図3のように本発明の高周波回路パッケージ用蓋体を用いて高周波パッケージを構成することができる。
【0046】
特に、本発明の電磁波吸収部材1は、蓋体5が基体2にコバール、Ni層3、Au層4を順次形成したものが望ましく、止着層6はAl、Si及びNaから構成されることが望ましく、電磁波吸収体7はNi及びFeの酸化物を主成分とすることが望ましい。
【0047】
次に、本発明の電磁波吸収部材1を高周波回路パッケージ蓋体とした高周波回路パッケージを説明する。図3に断面図で示すように、高周波回路パッケージ8は、電磁波吸収部材1を高周波回路パッケージ用蓋体とし、電磁波吸収体部材1とパッケージベース10を金すずからなるはんだ層9で封止する。電磁波吸収体7と高周波半導体素子13またはパッケージベース10上に形成された伝送線路11の形成面とが対向するように配設する。また、伝送線路11と高周波半導体素子13をボンディングワイヤ12で接続する。
【0048】
これによって、伝送線路11の信号減衰が全くなく、空洞共振を抑制することができるため、高周波回路パッケージ8は良好な伝送特性を示す。
【0049】
【実施例】
以下、本発明の実施例は図1乃至3を参照しながら説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
試料A及び試料Bに用いた蓋体5及び電磁波吸収体7を下記に示す。
<試料Aの作製>
蓋体5には、基体2の材質は表1に示すもので肉厚みが0.25mm、Ni層3が2μm、Au層4が2μmで、外形寸法10mm×10mm×0.25mmの平板状のものを用いた。
【0051】
【表1】
【0052】
また、電磁波吸収体7には、表2に示すものを用い、外形寸法が8mm×8mm×3mmの平板を用いた。電磁波吸収体7は蛍光X線分析法及び炭素分析により定量分析を行い、主な成分を示した。
【0053】
【表2】
【0054】
止着層6は表3に示す止着層6の前駆体から構成される。前記前駆体の粘度は1,000〜80,000cpsのものである。
【0055】
【表3】
【0056】
前記電磁波吸収体7の片側の面に前記前駆体をディスペンサーにより0.022cc塗布し、塗布した面と前記蓋体5の中央部裏面を貼り合わせた。その後、貼り付けた面に対して、垂直方向に49kPaの押圧で4時間加圧保持し、前記前駆体を均一に充填させた。
【0057】
その後、表4に示す熱処理温度で加熱処理を施し、試料Aの電磁波吸収部材1を得た。試料Aは引張剪断接着強さの測定に用いた。結果を表4に示す。
【0058】
試料Aの断面を切断し、止着層6に隣接したAu層4表面をX線光電子分光法(XPS)により、酸素濃度を測定した。さらに、止着層6は蛍光X線分析法により定性分析し、表4に示す元素が存在するものには○印で示した。空欄は存在しなかったことを示す。またNa、Kは原子吸光分析法により酸化物換算で定量分析した。また、X線回折法、微小X線回折法を用いて、構造分析を行った。結果を表4及び5に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
<試料Bの作製>
蓋体5には、基体2の材質は表1に示すもので肉厚みが0.25mm、Ni層3が2μm、Au層4が2μmで、外形寸法10mm×10mm×1mm、キャビティ寸法が8mm×8mm×0.8mmのハット型のキャップを用いた。
また、電磁波吸収体7には、表2に示すものを用い、外形寸法が3mm×7mm×0.4mmの平板を用いた。電磁波吸収体7は蛍光X線分析法及び炭素分析により定量分析を行い、主な成分を示した。止着層6は表3に示す止着層6の前駆体から構成される。前記前駆体の粘度は1,000〜80,000cpsのものである。
【0062】
前記電磁波吸収体7の片側の面に前記前駆体をディスペンサーにより0.007cc塗布し、図2にのように蓋体5の裏面に電磁波吸収体7を2枚貼り付けた。
【0063】
その後、貼り付けた面に対して、垂直方向に49kPaの押圧で2時間加圧保持し、前記前駆体を均一に充填させた。その後、表4に示す熱処理温度で加熱処理を施し、試料Bの電磁波吸収部材1を得た。試料Bは実装評価に用いた。
【0064】
上記電磁波吸収部材1を高周波回路パッケージ8の蓋体5に用いた。蓋体5とパッケージベース10の封止には、Au−Snから形成されるはんだ層9にて行い、高周波回路パッケージ8を得た。
【0065】
その後、高周波回路パッケージに電磁波吸収部材1を装着し共振抑制効果について評価を行った。結果を表5に示す。さらに、電磁波吸収部材1が蓋体5と電磁波吸収体7が剥がれないか、1500Gの衝撃試験を行った。結果を表5に示す。
【0066】
電磁波吸収体26の共振抑制の効果については、図4に示すように、伝送線路45が形成されたパッケージベース42とパッケージベース42上に取り付けられ、8mm×8mm×0.8mmの空洞を有する蓋体41とからなる高周波回路用パッケージ40を用いて評価した。
【0067】
電磁波吸収体46の共振抑制の評価については、伝送線路45にプローブ47を押し当て、プローブ47から同軸ケーブル(不図示)を介して接続されるネットワークアナライザー(不図示)により100MHz〜40.1GHzにおける電力透過係数S21を測定し、電磁波吸収体46を装着しないときの電力透過係数S21との差が0.1dB未満であったものを共振抑制の効果が良好なものとして○、0.1dB以上であったものを共振抑制の効果がないものとして×とした。
【0068】
表4及び表5の結果から明らかなように、止着層6にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種以上を含有するもの(No.1〜30)は1500Gの衝撃試験にも耐え、共振抑制の効果あるものが得られる。
【0069】
また、止着層6にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種以上を含有しない(No.31〜32)は蓋体とパッケージベースの接合にAu−Snを用い、そのときに320℃まで温度が上がるため、エポキシ樹脂が分解し、接着強さが低下するため、1500Gの衝撃試験で蓋体と電磁波吸収体が剥がれる。よって、共振抑制の評価ができなかった。
【0070】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、高周波回路パッケージの電磁波吸収部材として、金属、セラミック及び樹脂の少なくとも一種からなる基体の表面の少なくとも一部にAu層を形成し、前記Au層上にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種を含有する止着層を介して、Ni、Fe、Al及びCの少なくとも一種を主成分とする電磁波吸収体を止着したことによって、パッケージの蓋体とパッケージベースの接合にAu−Snのろう材を用いて、蓋体と電磁波吸収体を強固に止着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁波吸収部材の断面図である。
【図2】本発明の電磁波吸収部材の平面図である。
【図3】本発明の電磁波吸収部材を用いた高周波回路パッケージの断面図である。
【図4】本発明の電磁波吸収部材を用いた高周波回路パッケージの共振抑制を評価する方法を示す断面図である。
【図5】
従来の電磁波吸収体を用いた高周波回路パッケージの断面図である。
【符号の説明】
1 電磁波吸収部材
2 基体
3 Ni層
4 Au層
5 蓋体
6 止着層
7 電磁波吸収体
8 高周波回路パッケージ
9 はんだ層
10 パッケージベース
11 伝送線路
12 ボンディングワイヤ
13 高周波半導体素子
40 高周波回路パッケージ
41 蓋体
42 パッケージベース
43 グラウンド
44 高周波回路基板
45 伝送線路
46 電磁波吸収体
47 プローブ
50 メタルパッケージ
51 金属製の有底箱型ケース
52 電子部品
53 セラミック端子
54 配線パターン
55 ボンディングワイヤ
56 金属製の蓋体
57 電磁波吸収体
58 端子部
A ろう付けA
B ろう付けB
Claims (8)
- 金属、セラミックス及び樹脂の少なくとも一種からなる基体の表面の少なくとも一部にAu層を形成し、前記Au層上にAl、Si、Zr、Mg、P、Bの少なくとも一種を含有する止着層を介して、Ni,Fe,AlおよびCの少なくとも一種を主成分とする電磁波吸収体を止着したことを特徴とする電磁波吸収部材。
- 前記Au層表面の酸素濃度が5原子%以上であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収部材。
- 前記止着層はAl及びSiを主成分とすることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の電磁波吸収部材。
- 前記止着層がさらにNa、Kの少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波吸収部材。
- 前記止着層が珪酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、コロイダルシリカのうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波吸収部材。
- 前記止着層の前駆体を塗布した前記電磁波吸収体と、表面の少なくとも一部にAu層を形成した前記基体とを積層後、酸化性雰囲気中100℃〜400℃で加熱することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電磁波吸収部材の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電磁波吸収部材を用いた高周波回路パッケージ用蓋体。
- 請求項7の高周波回路パッケージ用蓋体を用いたことを特徴とする高周波回路パッケージ。
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041208 |
|
| A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20060626 |