JP2004025488A - 液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】記録ヘッド20を搭載したキャリッジ14に、この記録ヘッド20と空間Sをおいて傾斜プレート23設ける。傾斜プレート23は、記録ヘッド20と離れるにしたがって上昇する傾きの傾斜面23fを有するとともに、キャリッジ14に取り付けた際に最下部となる突出部23aが記録ヘッド20側に設けられている。この突出部23aにより、空間Sの開口部Gを狭い隙間S1とし、その上部を広い隙間S2とする。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体噴射装置に係り、詳しくは、液体を噴射する液体噴射ヘッドをキャリッジに搭載し、このキャリッジをターゲットに対して相対移動させて、ターゲットに液体を噴射する液体噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ごく微量の液体をターゲットに噴射させる装置として、複数のインク滴を噴射させて印刷するインクジェット式プリンタがある。この種のプリンタは、微少な開口部を有する複数のノズルが形成された記録ヘッドを備え、各ノズルの開口部から各インク滴を吐出する。また、同プリンタには、メンテナンスクリーニング用のワイピング部材が設けられている。このワイピング部材は、メンテナンスクリーニングの終了時に、記録ヘッドの下面を摺動して、前記ノズルの開口部及びその周囲に付着したインクを払拭して、下面に付着した余分なインクを除去すると共に、ノズル先端部のインクのメニスカスを整える役割がある。
【0003】
また、このワイピング部材は、通常、弾性部材から構成されており、ノズルの開口部を摺動する際には、(インクを十分に除去するために)撓む。そのため、同ワイピング部材は、ノズルの開口部を払拭して記録ヘッドから離脱する際に、その復元力により急激に元に戻る。すなわち、撓んだ状態から元に戻る際に、払拭されてワイピング部材の先端に付着されたインクがその周囲に飛散して、その周囲、すなわちプリンタの内側が汚染されていた。
【0004】
そこで、ワイピング部材の先端から飛散したインクによる汚染を低減するために、記録ヘッドを払拭したワイピング部材を徐々に元の形状に戻すための傾斜プレートをキャリッジに設けたプリンタが出現している。すなわち、傾斜プレートは傾斜面を備え、ワイピング部材は、この傾斜面に沿ってゆっくりと元の形状に戻るので、インクの飛散を少なくすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、傾斜プレートは、その組み付けを容易にするために、記録ヘッドと隙間をおいてキャリッジに取り付けられている。そのため、ワイピング部材の先端がその隙間に入り込んで元の形状に戻り、傾斜プレートと記録ヘッドとの間の隙間に、広範囲にわたってインクが飛散することがある。そこで、ワイピング部材が傾斜プレートと記録ヘッドとの間に入らないようにその隙間を狭くすると、今度は、隙間が狭いために毛細管力が作用して、ワイピング部材の動きにより隙間に侵入したインクが上部へと伝わって、例えばプリンタの基板などの他の部分に伝わって、不具合を生じさせることがあった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされ、液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの間への液体の侵入を低減し、また液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの間に液体が侵入した場合には、他の部分に伝わらないようにすることができる液体噴射装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、液体を吐出する複数のノズルが下面に形成された液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを搭載し、前記ノズルの開口部を払拭するワイピング部材に対して水平方向に相対移動可能なキャリッジと、前記液体噴射ヘッドから離れるにつれて上昇する傾きの傾斜面を有し、前記液体噴射ヘッドと所定の空間をおいて前記キャリッジに搭載されている傾斜プレートとを備えた液体噴射装置において、前記空間が、下側の開口部が狭く、かつその上部が広くなるように、前記液体噴射ヘッド及び前記傾斜プレートの少なくとも一方に突出部が設けられていることを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液体噴射装置において、前記傾斜プレートの前記液体噴射ヘッド側の下面は、前記液体噴射ヘッドの前記傾斜プレート側の下面と略面一になっていることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の液体噴射装置において、前記開口部の隙間は、前記ワイピング部材の前記水平方向の幅よりも小さいことを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記傾斜プレートには、前記空間と外部とを連通する排出孔が、前記突出部の基端部及びその下面に貫通するように形成されていることを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、液体を吐出する複数のノズルが下面に形成された液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを搭載し、前記ノズルの開口部を払拭するワイピング部材に対して水平方向に相対移動可能なキャリッジと、前記液体噴射ヘッドから離れるにつれて上昇する傾きの傾斜面を有し、前記液体噴射ヘッドと所定の空間をおいて前記キャリッジに搭載されている傾斜プレートとを備えた液体噴射装置において、前記空間に侵入する前記液体を付着又は跳ね返すための侵入防止用突部が、前記液体噴射ヘッド及び前記傾斜プレートの少なくとも1つに設けられていることを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の液体噴射装置において、前記侵入防止用突部は、液体噴射ヘッド及び前記傾斜プレートに設けられており、少なくとも前記液体噴射ヘッドの侵入防止用突部が、前記傾斜プレートの侵入防止用突部と前記液体噴射ヘッドとの間の隙間を覆うように、又は前記傾斜プレートの侵入防止用突部が、前記液体噴射ヘッドの侵入防止用突部と前記傾斜プレートとの間の隙間を覆うように、前記液体噴射ヘッド及び前記傾斜プレートが設けられていることを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、液体を吐出する複数のノズルが下面に形成された液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを搭載し、前記ノズルの開口部を払拭するワイピング部材に対して水平方向に相対移動可能なキャリッジと、前記液体噴射ヘッドから離れるにつれて上昇する傾きの傾斜面を有し、前記液体噴射ヘッドと所定の空間をおいて前記キャリッジに搭載されている傾斜プレートとを備えた液体噴射装置において、前記空間に吸収材が配設されていることを要旨とする。
【0014】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、液体噴射ヘッドと、傾斜プレートとの間の所定の空間の開口部が狭くなっているので、この開口部を介して液体が空間に侵入し難い。また、開口部が狭くなっているとともに、その上部の隙間が広くなっているので、空間に侵入した液体が毛細管力により所定の空間の上部へと伝わって他の部分に不具合を生じさせることが少ない。従って、傾斜プレートのキャリッジへの組み付けを容易にしたまま、液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの空間に侵入した液体による不具合を少なくすることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、傾斜プレートの液体噴射ヘッド側の下面が、液体噴射ヘッドの傾斜プレートの下面と略面一になっている。そのため、液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの間に段差がほとんどなく、ワイピング部材が、液体噴射ヘッドから傾斜プレートへと移動する際に、段差の衝撃により先端に付着しった液体が飛散することが少ない。従って、この飛散により空間に液体が侵入する可能性をより少なくすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、所定の空間の開口部の隙間がワイピング部材の水平方向の幅より小さいので、ワイピング部材が、この隙間に嵌って、その先端に付着した液体を所定の空間に飛散する可能性を少なくすることができる。従って、所定の空間に液体が侵入する可能性を一層少なくすることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、傾斜プレートには、前記空間と外部とを連通する排出孔が、前記突出部の基端部及びその下面に貫通するように形成されているので、空間に多量の液体が侵入した場合には、侵入した液体を、排出孔を介して外部に排出することができる。従って、空間に侵入した多量の液体は、排出孔を介して容易にかつスムーズに排出されるので、液体の上部へと液体が伝わって生じる不具合をより少なくすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、液体噴射ヘッドと、傾斜プレートとの間の所定の空間に侵入しようとする液体は、侵入防止用突部に付着又は跳ね返されるので、空間上部への液体の侵入を極力防ぐことができる。そのため、組み付け容易性のために傾斜プレートを液体噴射ヘッドとの間に生じた隙間を介して液体が侵入することが少なくなり、液体が空間の上部へと伝わって他の部分に不具合を生じさせることが少ない。従って、傾斜プレートのキャリッジへの組み付けを容易にしたまま、液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの空間に侵入した液体による不具合を少なくすることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、傾斜プレートの侵入防止用突部と液体噴射ヘッドとの隙間を介して侵入する液体は、液体噴射ヘッドの侵入防止用突部に、液体噴射ヘッドの侵入防止用突部と傾斜プレートとの隙間を介して侵入する液体は傾斜プレートの侵入防止用突部に、付着又は跳ね返されるので、液体が空間の上部へと侵入することが、一層少なくすることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、空間に吸収材を配設したので、空間から侵入した液体はこの吸収材により吸着される。そのため、空間の上部へと液体が侵入することを極力防ぐことができ、組み付けを容易とするために、液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの空間に侵入した液体が他の部分に移動して、他の部分で不具合を生じさせることを極力少なくすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した液体噴射装置の一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ(以下、プリンタという)11は、そのフレーム12にプラテン13が架設され、図示しない紙送り機構により、このプラテン13上にターゲットとしての紙Pを給送する。フレーム12には、キャリッジ14がガイド部材15を介してプラテン13の軸線方向へ移動可能に支持され、キャリッジモータ16によりタイミングベルト17を介してX方向(水平方向)に往復移動される。
【0023】
また、図2に示すように、前記キャリッジ14には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド20が搭載されている。記録ヘッド20は複数のノズルを備え、その下面中央にノズルの各開口部が集合したノズルプレート部21を備えている。記録ヘッド20は、図示しない圧電素子の駆動により各ノズルの開口部からインク滴を吐出させる。
【0024】
キャリッジ14の下面には、図2の右側に、記録ヘッド20と隙間S1(例えば3mm程度)をおいて、傾斜プレート23が取り付けられている。この傾斜プレート23は、下面が傾斜面23fとなっており、この傾斜面23fは、記録ヘッド20から水平方向に離れるにつれて(図2の右側に向かうにつれて)上昇する傾きを有している。更に、同傾斜プレート23は、斜め下方に突出する突出部23aがその最下部に設けられている。詳述すると、図3に示すように、傾斜プレート23の突出部23aは、記録ヘッド20の下面側に突出して、記録ヘッド20と微少な隙間S2(例えば0.5mm以下)をおいて対向して、その先端部が記録ヘッド20の下面とほぼ同じ高さとなる。これにより、傾斜プレート23は、記録ヘッド20との間に、隙間S2の開口部Gを有した隙間S1の空間Sを区画している。また、傾斜プレート23には、空間Sと外部とを連通する円形状の排出孔24が、その突出部23aの基端部及び傾斜プレート23の下面に貫通して複数形成されている。
【0025】
更に、キャリッジ14には、図2に示すように、傾斜プレート23の右端部には、右側に突出した係合部14aが設けられている。
また、図1に示すように、キャリッジ14上には、インクカートリッジ25,26が着脱可能に搭載され、これらのインクカートリッジ25,26から記録ヘッド20にインクが供給される。インクカートリッジ25には、黒色のインクが収容されている。また、インクカートリッジ26は、カラーインクカートリッジであって、内部が3室に区画されており、この各室には、シアン、マゼンタ及びイエロの3色のインクがそれぞれ収容されている。
【0026】
従って、プリンタ11は、前記キャリッジ14がプラテン13に沿ってX方向に移動しながら、印刷データに基づく図示しない圧電素子の駆動により記録ヘッド20から紙P上にインクが吐出されて、印刷が行われる。
【0027】
一方、図1において前記フレーム12の右側の非印刷領域には、ヘッドクリーニング機構30が配設されている。このヘッドクリーニング機構30は、キャップ機構31と吸引ポンプ32とワイピング部材33とを備えている。
【0028】
詳述すると、図2に示すように、キャップ機構31のフレームFに、摺動可能に支持されたスライダ35が設けられ、このスライダ35にはキャップホルダ36が支持されている。スライダ35には、上方に延びる係合部35aが設けられているとともに、その下方には前記フレームFとの間にバネ部材37が張設されている。そのため、同スライダ35は、その係合部35aが前記キャリッジ14の係合部14aに係合することによりバネ部材37に抗してピン38を中心として右上方に揺動し、また係合部35aが係合部14aとの係合が解かれると、バネ部材37の復元力によりピン38を中心として左下方に揺動する。これによりスライダ35に支持されたキャップホルダ36は、上下動可能とされている。
【0029】
更に、同キャップホルダ36の上面には、四角枠状のキャップ部材39が突設されている。このキャップ部材39は、前記記録ヘッド20のノズルプレート部21に所定間隔をおいて対向可能となっているとともに、キャップホルダ36の上昇に伴ってノズルプレート部21のノズルの開口部を封止する。また、同キャップ部材39の中央には開口孔39aが形成されている。このキャップ部材39は、同開口孔39aを介して、図1に示すようにスライダ35の下方に配設された前記吸引ポンプ32に接続されている。更に、この吸引ポンプ32は、図示しない吸引管を介して、プラテン13と平行に配設されている廃インクタンク40に接続されている。そのため、この吸引ポンプ32により、記録ヘッド20のノズルの開口部がキャップホルダ36により封止された状態でキャップ部材39の内部空間に負圧が加えられて、記録ヘッド20から乾いた(増粘した)インクが吸引され廃インクタンク40に排出される。
【0030】
一方、ワイピング部材33は、図2で示すように、キャップホルダ36の左側に前記キャリッジ14の移動方向であるX方向とほぼ直交するように、またキャップホルダ36よりも上方に突出するように設けられている。このワイピング部材33は、略直方体形状の弾性材料からなり、X方向の幅L1が例えば3mmと、前記空間Sの開口部Gの隙間S2より大きくなっている。そのため、このワイピング部材33は、前記記録ヘッド20及び傾斜プレート23に摺接して、それらの下面を払拭清掃する。また、このワイピング部材33は、図2の紙面と垂直な方向に移動可能となっており、キャリッジ14が印刷領域から図2の非印刷領域に移動する際には、その移動経路上から退避される。
【0031】
次に、上述したプリンタ11のクリーニング動作について説明する。
プリンタ11は、図示しないクリーニング用スイッチが押下されると、クリーニング処理を開始する。プリンタ11は、まず、図4に示すように、キャリッジ14を右方に移動させて、キャップホルダ36を上昇させ、キャップ部材39により記録ヘッド20を覆う。続いて、プリンタ11は、吸引ポンプ32を駆動して、開口孔39aを介して各ノズル内のインクを廃インクタンク40へと吸引排出する。
【0032】
プリンタ11は、吸引ポンプ32の駆動を所定時間行うと、吸引ポンプ32を停止させるとともに、キャリッジ14を左方に移動させる。キャリッジ14が左方に移動すると、図3に示すように、キャップ機構31よりも上方に突出しているワイピング部材33が、前記記録ヘッド20に圧接されて記録ヘッド20の下面を払拭する。続いて、ワイピング部材33は、記録ヘッド20の払拭が終了すると、傾斜プレート23に移動し、傾斜プレート23の下面を払拭する。なお、記録ヘッド20から傾斜プレート23に移動するときに、記録ヘッド20の下面と、傾斜プレート23の突出部23aの下面とが同じ高さとなっているので、記録ヘッド20と突出部23aとの隙間S2が微少であるため、ワイピング部材33は、空間Sに入り込むことがない。また、仮に、ワイピング部材33に付着したインクが、開口部Gから空間Sに入り込んだ場合、その空間Sは、上方が隙間S1と広くなっているので、そのインクが毛細管力により上昇することがほとんどない。
【0033】
更に、この空間Sに多量のインクが侵入し、突出部23aの基端部までインクが入り込むと、そのインクは、排出孔24を介して外部に排出される。なお、排出孔24を介して外部に排出されるインクは、圧電素子22が傾斜プレート23の排出孔24を払拭する際に、一緒に払拭される。
【0034】
そして、ワイピング部材33は、傾斜プレート23の傾斜面23fを払拭しながら、その傾斜面23fの傾斜に従って元の形状に戻されると、図示しない移動装置により図2の紙面に対して垂直方向に移動されて、キャリッジ14の経路上から退避される。その後、キャリッジ14が右方に(図2に示す位置に)戻されると、再びワイピング部材33もキャリッジ14の経路上に戻される。これにより、クリーニング動作が終了する。
【0035】
本実施形態のプリンタ11によれば、以下のような効果を得ることができる。(1)本実施形態では、傾斜プレート23の最下部に突出部23aを設け、これにより、記録ヘッド20と傾斜プレート23との間の空間Sの上部が広い隙間S1で、その開口部Gを隙間S2として狭くした。すなわち、この空間Sの下部の開口部Gは微少な隙間S2となっているので、この開口部Gを介してからインクが空間Sへと入り込むことが少ない。また、その空間Sの上方は隙間S2が大きいので、仮に空間Sにインクが侵入したとしても、毛細管力によりインクが上昇することがない。更に、傾斜プレート23は、キャリッジ14との間に隙間があるようにキャリッジ14に配設されるので、組み付け精度が厳密でなくともよい。従って、傾斜プレート23の組み付けが容易としたまま、インクが空間Sを伝わって、他の部分に不具合を与える恐れをより少なくすることができる。
【0036】
(2)本実施形態では、記録ヘッド20の下面と傾斜プレート23の突出部23aの先端部とは、ほぼ同じ高さとなっている。すなわち、記録ヘッド20から傾斜プレート23に移動する際に段差がほとんどないので、ワイピング部材33は、記録ヘッド20から傾斜プレート23に移動する際に、段差の衝撃により先端に付着したインクが飛散することがほとんどなく、汚染による不具合をより低減することができる。
【0037】
(3)本実施形態では、空間Sの下部の隙間S1が、ワイピング部材33の幅L1より小さくなっている。そのため、この隙間S2にワイピング部材33の先端が入り込んで元の形状に急激に戻りインクを広範囲にわたって飛散させることが少ない。従って、この空間Sにインクが侵入するおそれをより小さくすることができる。
【0038】
(4)本実施形態では、傾斜プレート23の突出部23aの基端部に、排出孔24を設けた。そのため、空間Sに多量のインクが侵入した場合には、この排出孔24から外部に排出できる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態の液体噴射装置としてのプリンタ11を図5に従って説明する。なお、以下の各実施形態において、上述の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、本実施形態では、記録ヘッド20及び傾斜プレート23に係わる部分が上記第1実施形態と異なるのみである。
【0040】
図5に示すように、傾斜プレート23の左側には、そのY方向(図5では紙面に対して垂直な方向)の幅と同じ幅を有する突条部23b,23cが間隔をおいて設けられている。突条部23bは、上記第1実施形態の突出部23aの代わりに、記録ヘッド20側の最下部に設けられている。また、記録ヘッド20の右側には、そのY方向の幅と同じ幅を有する突条部20aが右方に突出するように設けられている。この突条部20aは、上記傾斜プレート23の突条部23b及び突条部23cの間に位置しており、各突条部23b,23cと十分な間隔をおいて配設されている。そのため、記録ヘッド20の突条部20aは、傾斜プレート23の突条部23bと記録ヘッド20との間の開口部Gを覆って、傾斜プレート23の突条部23cは、記録ヘッド20の突条部20aと傾斜プレート23との間を覆うように、すなわちそれぞれの端部e1,e2が重なるように配設されている。
【0041】
すなわち、傾斜プレート23の突条部23bと記録ヘッド20との間の開口部Gを介して侵入しようとするインクは、突条部20aに付着又は跳ね返される。また、開口部Gを通過したインクがあったとしても、このインクは記録ヘッド20の突条部20aと傾斜プレート23との間の突条部23cに付着又は跳ね返される。
【0042】
従って、本実施形態によれば、上記実施形態の(2)及び(3)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(5)本実施形態では、空間Sに突条部20a,23b,23cを設けたので、インクが空間Sに侵入しようとしても突条部20a,23b,23cに付着又は跳ね返されて、空間Sへの侵入が阻止される。従って、インクが空間Sの上部へと伝わることがなく、インクが空間Sを伝わって、他の部分に不具合を与える恐れを少なくすることができる。
【0043】
(6)本実施形態では、記録ヘッド20の突条部20aは、傾斜プレート23の突条部23bと記録ヘッド20との間を覆い、傾斜プレート23の突条部23bは、記録ヘッド20の突条部20aと傾斜プレート23との間を覆うように設けた。すなわち、記録ヘッド20の突条部20aと傾斜プレート23の突条部23bとが交互にかつその端部が重なるように配置されている。そのため、インクが空間Sに侵入しようとしても、そのインクは、傾斜プレート23の突条部23b,23cか記録ヘッド20の突条部20aに、付着又は跳ね返されて、その侵入がほとんど防止される。従って、空間Sの上部にインクが伝わるおそれをより一層少なくすることができる。
【0044】
(7)本実施形態では、突条部20aと突条部23b,23cとは、開口部Gに比べて広い間隔をおいて配設されているので、ここにおいて毛細管力が生じることがなく、インクが空間Sの上方へと伝わることを一層防止することができる。
【0045】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態の液体噴射装置としてのプリンタを図6に従って説明する。
【0046】
本実施形態においては、図6に示すように、傾斜プレート23には、その記録ヘッド20側の下端部に、上記第1実施形態の突出部23aに代わりに保持突部23dが形成されている。また、傾斜プレート23は、同保持突部23dが記録ヘッド20の下面とほぼ同じ高さとなるように、キャリッジ14に設けられている。
【0047】
更に、前記空間Sには、記録ヘッド20及び傾斜プレート23の空間Sに吸収材としてのスポンジ27が配設されている。このスポンジ27は、例えばスポンジなどの多孔質材料でなり、自由状態での断面形状が大きい下辺の台形形状をしている。そのため、スポンジ27は、その下部が縮設された状態で、保持突部23dに支持されており、これによりスポンジ27に吸着されたインクは、毛細管力により縮設された下部に集合する。
【0048】
すなわち、ワイピング部材33の先端に付着したインクが飛散して、空間Sに侵入しようとすると、そのインクはスポンジ27に吸着され、すなわちスポンジ27内に停滞する。また、スポンジ27に停滞しているインクは、毛細管力により下部に集合する。
【0049】
従って、本実施形態によれば、上記(2)及び(3)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(8)本実施形態では、記録ヘッド20と傾斜プレート23との間の空間Sの下部にスポンジ27を設けたので、空間Sに侵入したインクはスポンジ27で吸着される。従って、インクが空間Sに侵入してもプリンタ11の基板など他の部分に汚れが広がることがなく、不具合の発生を極力少なくすることができる。
【0050】
(9)本実施形態では、空間Sに配設されたスポンジ27は、その下部が圧縮されているので、スポンジ27に吸着された毛細管力によりその下部に集合する。そのため、空間Sに侵入したインクは、スポンジ27で吸着されると下部に集合するので、空間Sの上部へと伝わすことが一層なく、不具合の発生を一層少なくすることができる。
【0051】
(変更例)
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○上記各実施形態においては、記録ヘッド20の下面と傾斜プレート23の最下部とを面一としたが、これらの間に多少の段差が生じてもよい。
【0052】
○上記第1実施形態においては、空間Sの開口部Gの隙間を狭くする突出部23aを傾斜プレート23に一体的に設けた。この代わりに、突出部23aの部分だけを別体として、記録ヘッド20及び傾斜プレート23をキャリッジ14に設けた後に、突出部23aを傾斜プレート23に密着して設けるようにしてもよい。
【0053】
○上記第1実施形態においては、突出部23aは傾斜プレート23に設けた。勿論、記録ヘッド20に突部を設けて又は、記録ヘッド20及び傾斜プレート23の両方に設けて、開口部Gの隙間を狭くかつその上部の隙間を広くする形状の空間Sを区画するようにしてもよい。
【0054】
○上記第1実施形態においては、円形状の複数の排出孔24を設けるようにしたが、他の形状、例えば長方形のスリット状の排出孔24としてもよい。
○上記第2実施形態においては、記録ヘッド20及び傾斜プレート23の両方に、侵入防止用突部を設けたが、傾斜プレート23のみに設けるようにしてもよい。
【0055】
○上記第2実施形態においては、突部として記録ヘッド20及び傾斜プレート23のY方向の幅と同じ幅の突条部20a及び突条部23bを設けたが、Y方向に所定間隔をおいて配設された複数の突部を設けるようにしてもうよい。
【0056】
○上記第3実施形態において、空間Sに吸収材としてスポンジ27を配設したが、その他の吸収材(例えば綿や紙など)を配設してもよい。
○上記第3実施形態において、空間Sに吸収材のスポンジ27の代わりに、ゴムを縮設させてもよい。この場合、空間Sの隙間S1よりも長いゴムを保持突部23dに設ければ、傾斜プレート23の取り付け精度が厳密でなくても、ゴムを縮設させることができ、空間Sのインクの侵入をより一層防ぐことができる。
【0057】
○上記各実地形態では、液体噴射装置として、インクを吐出するプリンタ(ファクス、コピア等を含む印刷装置)について説明したが、他の液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。
【0058】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(A)前記吸収材は、多孔質材でなり、その下部が縮設されて前記空間に配設されていることを特徴とする請求項7に記載の液体噴射装置。
【0059】
従って、この(A)に記載の発明によれば、空間に配設された吸収材は、多孔質材でなり、その下方が圧縮された状態で配設されているので、吸着された液体は毛細管力によりその下部に集合される。そのため、空間に侵入した液体が他の部分に広がることがより少なく、不具合の発生を一層少なくすることができる。
【0060】
(B)液体を吐出する複数のノズルが下面に形成された液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを搭載し、前記ノズルの開口部を払拭するワイピング部材に対して水平方向に相対移動可能なキャリッジと、前記液体噴射ヘッドから離れるにつれて上昇する傾きの傾斜面を有し、前記液体噴射ヘッドと所定の空間をおいて前記キャリッジに搭載されている傾斜プレートとを備えた液体噴射装置において、前記空間に密閉材が配設されていることを特徴とする液体噴射装置。
【0061】
従って、この(B)に記載の発明によれば、所定の空間に密閉材を配設したので、所定の空間から侵入した液体はこの密閉材によりその侵入が阻止される。そのため、空間の上部へと液体が侵入することを極力防ぐことができ、組み付けを容易とするために、液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの空間に侵入した液体が他の部分に移動して、他の部分で不具合を生じさせることを極力少なくすることができる。
【0062】
【発明の効果】
請求項1〜4の発明によれば、液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの間の空間の開口部の隙間を狭くしその上部を広くしたので、開口部を介して液体が空間に侵入し難いとともに、液体が毛細管力により空間の上部に伝わることが少ない。従って、液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの空間に侵入した液体が他の部分に伝わって不具合を生じさせることを極力少なくすることができる。
【0063】
請求項5〜6の発明によれば、液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの間の空間に侵入防止用突部を設けたので、空間の上部に液体が侵入することを極力防ぐことができる。従って、液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの空間に侵入した液体が他の部分に伝わって不具合を生じさせることを極力少なくすることができる。
【0064】
請求項7の発明によれば、液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの間の空間に吸収材を配設したので、空間から侵入した液体は、この吸収材により吸収されるため、空間の上部に液体が侵入することを極力防ぐことができる。従って、液体噴射ヘッドと傾斜プレートとの空間に侵入した液体が他の部分に伝わって不具合を生じさせることを極力少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態におけるプリンタの全体概略斜視図。
【図2】図1のプリンタのヘッドクリーニング機構の要部の正面図。
【図3】図2のヘッドクリーニング機構のワイピング部材の作用を説明するための要部の部分拡大図。
【図4】記録ヘッドとワイピング部材との位置関係を示す吸引動作時の要部の正面図。
【図5】第2実施形態におけるプリンタのワイピング部材の要部の部分拡大断面図。
【図6】第3実施形態におけるプリンタのワイピング部材の要部の部分拡大断面図。
【符号の説明】
G 開口部
S 空間
L1 幅
S1 上部の隙間
S2 開口部の隙間
11 液体噴射装置としてのプリンタ
14 キャリッジ
20 液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド
20a 侵入防止用突部としての突条部
23 傾斜プレート
23a 突出部
23b,23c 侵入防止用突部としての突条部
23f 傾斜面
24 排出孔
27 吸収材としてのスポンジ
33 ワイピング部材
Claims (7)
- 液体を吐出する複数のノズルが下面に形成された液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを搭載し、前記ノズルの開口部を払拭するワイピング部材に対して水平方向に相対移動可能なキャリッジと、
前記液体噴射ヘッドから離れるにつれて上昇する傾きの傾斜面を有し、前記液体噴射ヘッドと所定の空間をおいて前記キャリッジに搭載されている傾斜プレートと
を備えた液体噴射装置において、
前記空間が、下側の開口部が狭く、かつその上部が広くなるように、前記液体噴射ヘッド及び前記傾斜プレートの少なくとも一方に突出部が設けられていることを特徴とする液体噴射装置。 - 前記傾斜プレートの前記液体噴射ヘッド側の下面は、前記液体噴射ヘッドの前記傾斜プレート側の下面と略面一になっていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記開口部の隙間は、前記ワイピング部材の前記水平方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射装置。
- 前記傾斜プレートには、前記空間と外部とを連通する排出孔が、前記突出部の基端部及びその下面に貫通するように形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の液体噴射装置。
- 液体を吐出する複数のノズルが下面に形成された液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを搭載し、前記ノズルの開口部を払拭するワイピング部材に対して水平方向に相対移動可能なキャリッジと、
前記液体噴射ヘッドから離れるにつれて上昇する傾きの傾斜面を有し、前記液体噴射ヘッドと所定の空間をおいて前記キャリッジに搭載されている傾斜プレートと
を備えた液体噴射装置において、
前記空間に侵入する前記液体を付着又は跳ね返すための侵入防止用突部が、前記液体噴射ヘッド及び前記傾斜プレートの少なくとも1つに設けられていることを特徴とする液体噴射装置。 - 前記侵入防止用突部は、液体噴射ヘッド及び前記傾斜プレートに設けられており、
少なくとも
前記液体噴射ヘッドの侵入防止用突部が、前記傾斜プレートの侵入防止用突部と前記液体噴射ヘッドとの間の隙間を覆うように、又は
前記傾斜プレートの侵入防止用突部が、前記液体噴射ヘッドの侵入防止用突部と前記傾斜プレートとの間の隙間を覆うように、
前記液体噴射ヘッド及び前記傾斜プレートが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置。 - 液体を吐出する複数のノズルが下面に形成された液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを搭載し、前記ノズルの開口部を払拭するワイピング部材に対して水平方向に相対移動可能なキャリッジと、
前記液体噴射ヘッドから離れるにつれて上昇する傾きの傾斜面を有し、前記液体噴射ヘッドと所定の空間をおいて前記キャリッジに搭載されている傾斜プレートと
を備えた液体噴射装置において、
前記空間に吸収材が配設されていることを特徴とする液体噴射装置。
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