JP2004023804A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータのインダクタンスの空間高調波を求める。
【解決手段】3相交流モータMの回転に同期して回転するd軸とq軸から成るdq軸座標系においてモータMの基本波電流を制御する基本波電流制御回路100と、モータMに流れる電流の基本波成分の周波数の整数倍の周波数で回転するdh軸とqh軸から成るdhqh軸座標系においてモータMの高調波電流を制御する高調波電流制御回路200と、dhqh軸座標系において高調波電流を0に制御するための高調波制御電圧と、dq軸座標系における電流値と、モータMの回転速度とに基づいて、モータMのインダクタンスの空間高調波を算出する空間高調波演算器10とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】3相交流モータMの回転に同期して回転するd軸とq軸から成るdq軸座標系においてモータMの基本波電流を制御する基本波電流制御回路100と、モータMに流れる電流の基本波成分の周波数の整数倍の周波数で回転するdh軸とqh軸から成るdhqh軸座標系においてモータMの高調波電流を制御する高調波電流制御回路200と、dhqh軸座標系において高調波電流を0に制御するための高調波制御電圧と、dq軸座標系における電流値と、モータMの回転速度とに基づいて、モータMのインダクタンスの空間高調波を算出する空間高調波演算器10とを備える。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3相交流モータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2000−312498号公報には、永久磁石型同期電動機のインダクタンスを電圧と電流の基本波の位相差から測定する手段が開示されており、また、同期電動機のインダクタンスをモータの等価回路方程式を用いて測定する手段が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、モータのインダクタンスが空間的に変化する場合、インダクタンスの基本波成分を測定することはできるが、空間高調波を測定することはできなかった。また、モータの高調波電流の制御を行う場合、インダクタンスの空間高調波の影響により、高調波電流の応答が遅くなるという問題もあった。
【0004】
本発明の目的は、モータのインダクタンスの空間高調波を算出するモータ制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によるモータ制御装置は、3相交流モータの回転に同期して回転するd軸とq軸から成る直交座標系(以下、dq座標系と呼ぶ)においてモータの基本波電流を制御する基本波電流制御手段と、モータに流れる電流の基本波成分の周波数の整数倍の周波数で回転するdh軸とqh軸から成る直交座標系(以下、dhqh座標系と呼ぶ)においてモータの高調波電流を制御する高調波電流制御手段と、dhqh座標系において高調波電流を0に制御するための高調波制御電圧と、dq座標系における電流値と、モータの回転速度とに基づいて、モータのインダクタンスの空間高調波を算出する空間高調波算出手段とを備えることにより、上記目的を達成する。
【0006】
【発明の効果】
本発明によるモータ制御装置によれば、基本波電流制御手段と高調波電流制御手段と空間高調波算出手段とを備え、空間高調波算出手段は、dhqh座標系において高調波電流を0に制御するための高調波制御電圧と、dq座標系における電流値と、モータの回転速度とに基づいて、モータのインダクタンスの空間高調波を算出するので、特別な測定手段を設けることなく、モータを制御するための状態量に基づいて、インダクタンスの空間高調波を算出することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
−第1の実施の形態−
図1は、第1の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示す制御ブロック図である。第1の実施の形態のモータ制御装置は、基本波電流制御回路100と高調波電流制御回路200とを備えている。基本波電流制御回路100は、3相同期モータMに流れる電流iu、iv、iwの励磁電流成分に対応するd軸とトルク電流成分に対応するq軸とからなる直交座標系、すなわち、モータ回転に同期して回転するdq座標系でモータ電流iu、iv、iwの基本波成分を制御する回路である。
【0008】
高調波電流制御回路200は、基本波電流制御回路100のみでモータ電流iu、iv、iwを制御した場合に発生する所定次数の高調波成分の周波数で回転する直交座標系(以下、高調波座標系と呼ぶ)でモータ電流iu、iv、iwに含まれる高調波成分を制御する回路である。高調波座標系は、換言すれば、モータ電流iu、iv、iwの基本波成分の周波数の整数倍の周波数で回転する座標系である。
【0009】
基本波電流制御回路100は、PI−dq電流制御器1、dq/3相変換部2、非干渉制御部3、電力変換部4、3相/dq変換部5、位相速度演算部12、減算器13,14および加算器15,16を備えている。減算器13,14は、d軸,q軸の実電流id,iqと電流指令値id*,iq*との偏差(id*−id),(iq*−iq)を演算する。PI−dq電流制御器1は、減算器13,14で演算された基本波電流偏差(id*−id),(iq*−iq)をPI(比例・積分)演算することにより、dq軸電圧指令値を算出する。
【0010】
非干渉制御部3は、dq軸座標系における速度起電力を補償してdq軸電流の応答性を改善するために、dq軸座標系の速度起電力を補償するためのd軸補償電圧Vd_cmpとq軸補償電圧Vq_cmpとを算出する。加算器15,16は、PI−dq電流制御器1の制御出力と、非干渉制御部3で演算されるd軸補償電圧Vd_cmp、q軸補償電圧Vq_cmpとをそれぞれ加算して、d軸とq軸の基本波電圧指令値vd*、vq*を算出する。dq/3相変換部2は、3相交流モータMの基本波電流の位相θeに基づいて、d軸とq軸の電圧指令値vd*,vq*を3相交流電圧指令値vu*、vv*、vw*に変換する。
【0011】
加算器17,18,19は、dq/3相変換部2で変換された3相交流電圧指令値vu*、vv*、vw*と、後述するdhqh/3相変換部9で変換された3相交流電圧指令値vu’、vv’、vw’とをそれぞれ加算して、加算結果を電力変換部4に出力する。電力変換部4は、IGBTなどの電力変換素子により、加算器17,18,19で加算した電圧指令値にしたがって、バッテリなどの直流電源(不図示)の直流電圧をスイッチングし、3相交流電圧U、V、Wを3相交流モータMに印加する。
【0012】
エンコーダPSは、3相交流モータMに連結され、モータMの回転位置θmを検出する。位相速度演算部12は、エンコーダPSからの回転位置信号θmに基づいて、基本波電流の位相θeを演算するとともに、基本波電流の位相θeに基づいて、dq/dhqh座標変換を行うための位相θehを演算する。位相θehは、dq軸での高調波の次数をkとすると、次式(1)により求められる。
【0013】
図2は、高調波電流の3相交流座標における次数mとdq軸座標における次数kとの関係を示す表である。例えば、3相交流座標にて5次高調波電流をdq座標系に変換した場合、k=−6(=−5−1)より、−6次高調波電流となる。
【0014】
電流センサ22,23は、3相交流モータMのU相とV相の実電流iu,ivを検出する。3相/dq変換部5は、基本波電流位相θeに基づいて、3相交流モータMの実電流iu,iv,iw(=−iu−iv)をd軸とq軸の実電流id,iqへ変換する。
【0015】
高調波電流制御回路は、ハイパス・フィルタ6、dq/dhqh変換部7、PI−dhqh電流制御器8、dhqh/3相変換部9、空間高調波演算器10、記憶装置11および加算器20,21を備えている。ハイパス・フィルタ6は、d軸,q軸の実電流id,iqにフィルタ処理を施して高周波成分を抽出する。dq/dhqh変換部7は、上述した基本波電流制御回路のみでモータ電流iu,iv,iwを制御した場合に発生する所定次数の高調波成分の周波数で回転する直交座標系(高調波座標系)dhqhを有し、d軸,q軸の実電流id,iqの高周波成分をそれぞれ、高調波座標系dhqhの実電流idh,iqhに変換する。
【0016】
減算器20,21は、dh軸とqh軸の実電流idh,iqhと、電流指令値idh*,iqh*との差を算出する。PI−dhqh電流制御器8は、減算器20,21によって減算された結果に基づいて、dh軸とqh軸の高調波電圧指令値vdh*,vqh*を演算する。dhdq/3相変換部9は、dh軸高調波電圧指令値vdh*およびとqh軸高調波電圧指令値vqh*をそれぞれ3相交流電圧指令値vd’,vq’に変換する。dhdq/3相変換部9で変換された3相交流電圧指令値vd’,vq’は、加算器17,18,19にそれぞれ出力される。
【0017】
空間高調波演算器10は、d軸,q軸の実電流id,iq、モータMの電気的角速度ω、PI−dq電流制御器8で算出された高調波電圧指令値vdh*,vqh*に基づいて、モータMのインダクタンスの空間高調波L2を算出する。インダクタンスの空間高調波L2の算出方法は後述する。算出されたインダクタンスの空間高調波L2は、記憶装置11に記憶される。
【0018】
同期モータの高調波電流発生の要因としては、インダクタンスの空間高調波と磁石磁束の高調波などが考えられる。埋込型永久磁石(IPM)モータの場合、理想的には3相での自己インダクタンスは、図2に示すように、位相に対して正弦波で変化する。IPMモータのロータの形状などによっては、図3に示すように、インダクタンスが位相に対して歪みを持つ正弦波で変化し、このような歪み(空間高調波)が高調波電流の発生要因となる。以下では、インダクタンスの空間高調波について座標変換を行い、dq座標系とdhqh座標系での回路方程式を導く。
【0019】
3相交流における自己インダクタンスLu,Lv,Lwは、空間高調波を考慮に入れると、次式(2)のように表せる。
…(2)
【0020】
上式(1)において、Loは3相同期モータMのインダクタンスの直流分、Ln(n=1,2,…)はモータMのインダクタンスの交流分、θeはモータMの電気角を表す。式(1)において、n=1の場合には、右辺第2項は一般的な内部埋め込み磁石構造を有するIPMモータの突極性を表す項となり、n≧2の場合の各相の自己インダクタンスLu,Lv,Lwの高調波成分が高調波速度起電力の発生要因となる。
【0021】
一般的なIPMモータでは、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqは、L0とL1を用いて、それぞれ次式(3),(4)で表される。
【0022】
d軸、q軸インダクタンスを用いて表される一般的なIPMモータのdq座標回路方程式は、次式(5)で表される。ただし、RはモータMの電機子抵抗、ωはモータMの電気的角速度、pは微分演算子を表している。また、φは磁石磁束による誘起電圧定数である。
【0023】
インダクタンスの空間高調波を表すn≧2の成分については、nの場合分けにより、次式(6),(7)の各項が式(5)の右辺に加わる形になる。
・n=1,4,7・・・の場合
…(6)
・n=2,5,8・・・の場合
…(7)
【0024】
インダクタンスの空間高調波が高調波速度起電力として働き、これをdhqh座標へ座標変換する際に、高調波の次数をインダクタンスの空間高調波の次数nを用いて位相θehを求めると、これらの空間高調波は簡単な直流量として表すことができる。空間高調波は各次数nの和として表しているが、ここでは、そのうちの一つを取り出して表す。
・n=1,4,7・・・の場合
dhqh座標変換の変換に位相θeh=(2n−2)θeを用いて式(6)を変換すると、
となる。
・n=2,5,8・・・の場合
dhqh座標変換の変換に位相θeh=−(2n+2)θeを用いて式(7)を変換すると、
となる。
【0025】
dq座標系における回路方程式をdhqh座標系の回路方程式として表すと、次式(10)のようになる。ただし、式(10)で表される回路方程式では、空間高調波成分を考慮していない。
…(10)
上式(10)に、空間高調波の各項が右辺に加算される形でdhqh座標の回路方程式が表される。
【0026】
例えば、n=2の空間高調波を含むモータにおいて、θeh=−6θeのdhqh座標変換を行う場合、dhqh座標の回路方程式は次式(11)で表される。
【0027】
dhqh座標系において、高調波電流指令値idh*=0,iqh*=0の高調波電流制御を行った場合について考察する。高調波電流idh,iqhがともに0に制御されており、d軸,q軸電流が定常状態であるならば、式(11)の空間高調波に関わる項での電流id,iqの微分値は0になる。式(11)中のedh,eqhの項は磁石の誘起電圧を表しているが、高調波電流制御では高調波電流を抽出して制御するだけであるから、dq軸で直流量として表される誘起電圧は高調波電流制御へ影響を及ぼさない。よって、d軸,q軸電流が定常状態の場合には、高調波電流を0に制御する電圧値のdh軸成分vdhw,qh軸成分vqhwとすると、式(11)から次式(12)が導かれる。
…(12)
【0028】
上式(12)より、モータの電気的角速度ω、d軸電流id、q軸電流iqとvdhw,vqhwが得られれば、インダクタンスの空間高調波を表すL2を次式(13),(14)から求めることができる。
…(13)
…(14)
【0029】
ここで、高調波電流idh,iqhを0に制御する電圧vdhw,vqhwが、dhqh座標系での高調波電圧指令値vdh*,vqh*と等しい場合には、モータMの電気的角速度ω、d軸電流id、q軸電流iq 、高調波電圧指令値vdh*,vqh*を用いて、インダクタンスの空間高調波を求めることができる。すなわち、空間高調波演算器10は、3相/dq変換部9で変換されたd軸電流idおよびq軸電流iqと、PI−dhqh電流制御器8で算出された高調波電圧指令値vdh*,vqh*と、モータMの電気的角速度ωとを用いて、モータMのインダクタンスの空間高調波L2を求めることができる。求めたモータMのインダクタンスの空間高調波L2は、記憶装置11に記憶される。
【0030】
第1の実施の形態におけるモータ制御装置によれば、モータMの制御に用いる各種状態量、すなわち、d軸電流id、q軸電流iq、高調波電流idh,iqhを0に制御する電圧vdhw,vqhw、モータMの電気的角速度ωを用いて、モータの等価回路方程式から、モータMのインダクタンスの空間高調波を求めることができる。高調波電流idh,iqhを0に制御する電圧vdhw,vqhwがdhqh座標系での制御電圧vdh*,vqh*と等しい場合には、容易にインダクタンスの空間高調波L2を求めることができる。すなわち、基本波電流制御回路100と高調波電流制御回路200とを備えるモータ制御装置では、d軸電流id、q軸電流iq、dhqh座標系での制御電圧vdh*,vqh*、モータMの電気的角速度ωは、モータMの制御を行うために通常求められるものであるから、特別な測定器を用いることなくモータMのインダクタンスの空間高調波を求めることができる。
【0031】
また、高調波電流制御回路でのdhqh座標を、測定対象であるモータMのインダクタンスの空間高調波を直流量として表せるように設定するので、等価回路方程式を簡易な形で表すことができ、より簡易にインダクタンスの空間高調波を算出することができる。
【0032】
−第2の実施の形態−
第2の実施の形態におけるモータ制御装置は、vdhw,vqhwが高調波電圧指令値vdh*,vqh*と一致しない場合に、vdhw,vqhwをそれぞれ求めた後、モータMのインダクタンスの空間高調波を算出する。高調波電流の周波数が低く、PI−dq電流制御器1がd軸,q軸に含まれる高調波電流も含めてd軸電流およびq軸電流を制御できる周波数範囲では、vdhw,vqhwは、vdh*,vqh*とはそれぞれ一致しない。すなわち、d軸電流の制御電圧vd*およびq軸電流の制御電圧vq*にも、高調波電流を制御するための電圧成分が存在するので、この電圧成分を抽出して高調波電圧指令値vdh*,vqh*に加算することにより、精度の高いvdhw,vqhwを求めることができる。
【0033】
図5は、第2の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示す図である。第2の実施の形態におけるモータ制御装置は、第1の実施の形態におけるモータ制御装置の構成に加えて、d軸電流の制御電圧vd*およびq軸電流の制御電圧vq*の高調波成分vd*a,vq*aを抽出するハイパスフィルタ6aと、ハイパスフィルタ6aで抽出した高調波成分vd*a,vq*aをdq座標系からdhqh座標系に変換するdq/dhqh変換部7aとを備える。
【0034】
dq/dhqh変換部7aは、次式(15)により、ハイパスフィルタ6aにて抽出されたvd*aとvq*aをdhqh座標系へ座標変換して、vdhaとvqhaを求める。
加算器24は、dhqh座標での高調波電流制御電圧vdh*とvdhaとを加算してvdhwを算出し、加算器25は、dhqh座標での高調波電流制御電圧vqh*とvqhaとを加算してvqhwを算出する。空間高調波演算器10aは、加算器24,25にて算出されたvdhw,vqhwと、d軸電流id、q軸電流iq、モータMの電気的角速度ωを用いて、式(13),(14)より、モータMのインダクタンスの空間高調波を求める。求めたインダクタンスの空間高調波は、記憶装置11に記憶される。
【0035】
−モータの磁石磁束に歪みが存在する場合−
モータMの磁石磁束に歪みが存在し、高調波電流の発生源となっている場合、磁石の誘起電圧edh,eqhの高調波次数によってはdhqh座標において、インダクタンスの空間高調波による速度起電力と同様に直流量で表される。そのため、高調波電流を0に制御する電圧値のdh軸成分vdhwおよびqh軸成分vqhwは、式(12)とは異なり、次式(16)で表される。
【0036】
このような場合、式(16)から磁石の誘起電圧edh,eqhのうち、直流量として表される分も考慮した式(17),(18)からインダクタンスの空間高調波を求めることができる。
ここで、磁石の誘起電圧edh,eqhの大きさは、電力変換部4によりモータMに電圧を印加せずに、他の駆動手段を用いてモータMを回転させたときの誘起電圧などから測定することができる。
【0037】
−第3の実施の形態−
第1の実施の形態および第2の実施の形態におけるモータ制御装置のように、モータMのインダクタンスの空間高調波L2を算出することができれば、高調波速度起電力の補償制御が可能になる。dhqh座標系を次数k=−6で変換される座標に設定すると、インダクタンスの空間高調波n=2の成分が式(12)のように速度起電力として表される。この高調波速度起電力は、電流制御系に対しては外乱として作用するので、電流の応答性を悪化させる要因となる。第3の実施の形態におけるモータ制御装置は、dhqh電流制御系において、高調波速度起電力を推定し、推定した高調波速度起電力を高調波制御出力電圧に加算して補償を行うことで、電流応答性を向上させる
【0038】
図6は、第3の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示す図である。以下では、図1に示す第1の実施の形態におけるモータ制御装置と異なる構成部分を中心に説明する。高調波速度起電力推定器30は、記憶装置11aに記憶されているインダクタンスの空間高調波L2、d軸電流id,q軸電流iqおよびモータMの電気的角速度ωに基づいて、dh軸,qh軸の高調波速度起電力Kdhw,Kqhwをそれぞれ推定する。なお、記憶装置11aに記憶されているインダクタンスの空間高調波L2は、上述した第1の実施の形態または第2の実施の形態で算出した方法により求めることができる。高調波速度起電力Kdhw,Kqhwは、それぞれ次式(19),(20)で表される。
【0039】
高調波速度起電力推定器30にて推定された高調波速度起電力Kdhw,Kqhwは、加算器26,27に出力される。加算器26は、dh軸の高調波速度起電力KdhwとPI−dhqh電流制御器8の制御出力値とを加算して、高調波電圧指令値vdh*を算出する。同様に、加算器27は、qh軸の高調波速度起電力KqhwとPI−dhqh電流制御器8の制御出力値とを加算して、高調波電圧指令値vqh*を算出する。これにより、高調波速度起電力の補償制御を行うことができる。
【0040】
図7は、高調波電流制御の応答結果を表す一例であり、横軸は時間、縦軸はqh軸の高調波電流iqhを示している。図7は、時刻0.1(sec)の時に、高調波電流指令値iqh*=0としたときの電流制御応答性を示しているが、高調波速度起電力の補償が無い場合に比べて、高調波速度起電力の補償がある場合の方が応答性が良いことが分かる。
【0041】
−変形例−
高調波速度起電力推定器30は、高調波速度起電力Kdhw,Kqhwを推定する際に、式(19),(20)に示すように、電流センサ22,23で検出したモータMの電流値id,iqを用いたが、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*を用いてもよい。この場合のモータ制御装置の構成を図8に示す。高調波速度起電力推定器30aは、次式(21),(22)を用いて高調波速度起電力Kdhw,Kqhwを推定する。
【0042】
第3の実施の形態におけるモータ制御装置によれば、算出されたモータMのインダクタンスの空間高調波L2を用いて、高調波電流制御において外乱として作用する高調波速度起電力を推定し、推定した高調波速度起電力を用いて高調波速度起電力の補償制御を行うので、高調波電流制御の応答性を高め、モータMの効率・性能を向上させることができる。
【0043】
なお、以上の式(11)〜(22)はインダクタンスの空間高調波n=2を例にあげて説明をしたが、他のnについても同様に、回路方程式からインダクタンスの空間高調波の値を求めることができる。
【0044】
本発明は、上述した実施の形態に限定されることはない。例えば、第3の実施の形態におけるモータ制御装置の変形例では、高調波速度起電力Kdhw,Kqhwを推定する際に、電流センサ22,23で検出したモータMの電流値id,iqの代わりに、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*を用いた。同様に、第1および第2の実施の形態におけるモータ制御装置において、d軸,q軸電流制御によってid,iqが電流指令値id*,iq*に収束している場合には、式(13),(14),(17),(18)のid,iqの代わりに、id*,iq*を用いてインダクタンス空間高調波を測定することもできる(次式(23)〜(26))。
・式(13),(14)にid*,iq*を用いた場合
・式(17),(18)にid*,iq*を用いた場合
この場合、電流センサ22,23で検出する電流に含まれる電流リプルやノイズなどの影響を受けることがなくなるので、精度良くインダクタンスの空間高調波を算出することができる。
【0045】
また、モータ制御を行うモータMは、上述した同期モータに限定されることはなく、誘導モータにも本発明によるモータ制御装置を適用することができる。
【0046】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、基本波電流制御回路100が基本波電流制御手段を、高調波電流制御回路200が高調波電流制御手段を、空間高調波演算器10が空間高調波演算手段を、ハイパスフィルタ6aが高調波成分抽出手段を、加算器24,25が加算手段を、電流センサ22,23が電流検出手段を、3相/dq変換部5が座標変換手段を、高調波速度起電力推定器30が高調波速度起電力推定手段を、加算器26,27が補償手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示す図
【図2】高調波電流の3相交流座標系における次数mと、dq軸座標系における次数kとの関係を示す表
【図3】理想的なIPMモータの自己インダクタンス
【図4】空間高調波を含むIPMモータの自己インダクタンス
【図5】第2の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示す図
【図6】第3の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示す図
【図7】高調波速度起電力補償が有るときと無いときの高調波電流iqhの制御応答性結果を示す図
【図8】第3の実施の形態おけるモータ制御装置の変形構成例を示す図
【符号の説明】
1…PI−dq電流制御器、2…dq/3相変換部、3…非干渉制御部、4…電力変換部、5…3相/dq変換部、6…ハイパスフィルタ、7…dq/dhqh変換部、8…PI−dq電流制御器、9…dhqh/3相変換部、10…空間高調波演算器、11,11a…記憶装置、12…位相速度演算部、13,14,20,21…減算器、15,16,17,18,19,24,25,26,27…加算器、22,23…電流センサ、30,30a…高調波速度起電力推定器、100…基本波電流制御回路、200…高調波電流制御回路、PS…エンコーダ、3相同期モータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、3相交流モータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2000−312498号公報には、永久磁石型同期電動機のインダクタンスを電圧と電流の基本波の位相差から測定する手段が開示されており、また、同期電動機のインダクタンスをモータの等価回路方程式を用いて測定する手段が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、モータのインダクタンスが空間的に変化する場合、インダクタンスの基本波成分を測定することはできるが、空間高調波を測定することはできなかった。また、モータの高調波電流の制御を行う場合、インダクタンスの空間高調波の影響により、高調波電流の応答が遅くなるという問題もあった。
【0004】
本発明の目的は、モータのインダクタンスの空間高調波を算出するモータ制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によるモータ制御装置は、3相交流モータの回転に同期して回転するd軸とq軸から成る直交座標系(以下、dq座標系と呼ぶ)においてモータの基本波電流を制御する基本波電流制御手段と、モータに流れる電流の基本波成分の周波数の整数倍の周波数で回転するdh軸とqh軸から成る直交座標系(以下、dhqh座標系と呼ぶ)においてモータの高調波電流を制御する高調波電流制御手段と、dhqh座標系において高調波電流を0に制御するための高調波制御電圧と、dq座標系における電流値と、モータの回転速度とに基づいて、モータのインダクタンスの空間高調波を算出する空間高調波算出手段とを備えることにより、上記目的を達成する。
【0006】
【発明の効果】
本発明によるモータ制御装置によれば、基本波電流制御手段と高調波電流制御手段と空間高調波算出手段とを備え、空間高調波算出手段は、dhqh座標系において高調波電流を0に制御するための高調波制御電圧と、dq座標系における電流値と、モータの回転速度とに基づいて、モータのインダクタンスの空間高調波を算出するので、特別な測定手段を設けることなく、モータを制御するための状態量に基づいて、インダクタンスの空間高調波を算出することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
−第1の実施の形態−
図1は、第1の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示す制御ブロック図である。第1の実施の形態のモータ制御装置は、基本波電流制御回路100と高調波電流制御回路200とを備えている。基本波電流制御回路100は、3相同期モータMに流れる電流iu、iv、iwの励磁電流成分に対応するd軸とトルク電流成分に対応するq軸とからなる直交座標系、すなわち、モータ回転に同期して回転するdq座標系でモータ電流iu、iv、iwの基本波成分を制御する回路である。
【0008】
高調波電流制御回路200は、基本波電流制御回路100のみでモータ電流iu、iv、iwを制御した場合に発生する所定次数の高調波成分の周波数で回転する直交座標系(以下、高調波座標系と呼ぶ)でモータ電流iu、iv、iwに含まれる高調波成分を制御する回路である。高調波座標系は、換言すれば、モータ電流iu、iv、iwの基本波成分の周波数の整数倍の周波数で回転する座標系である。
【0009】
基本波電流制御回路100は、PI−dq電流制御器1、dq/3相変換部2、非干渉制御部3、電力変換部4、3相/dq変換部5、位相速度演算部12、減算器13,14および加算器15,16を備えている。減算器13,14は、d軸,q軸の実電流id,iqと電流指令値id*,iq*との偏差(id*−id),(iq*−iq)を演算する。PI−dq電流制御器1は、減算器13,14で演算された基本波電流偏差(id*−id),(iq*−iq)をPI(比例・積分)演算することにより、dq軸電圧指令値を算出する。
【0010】
非干渉制御部3は、dq軸座標系における速度起電力を補償してdq軸電流の応答性を改善するために、dq軸座標系の速度起電力を補償するためのd軸補償電圧Vd_cmpとq軸補償電圧Vq_cmpとを算出する。加算器15,16は、PI−dq電流制御器1の制御出力と、非干渉制御部3で演算されるd軸補償電圧Vd_cmp、q軸補償電圧Vq_cmpとをそれぞれ加算して、d軸とq軸の基本波電圧指令値vd*、vq*を算出する。dq/3相変換部2は、3相交流モータMの基本波電流の位相θeに基づいて、d軸とq軸の電圧指令値vd*,vq*を3相交流電圧指令値vu*、vv*、vw*に変換する。
【0011】
加算器17,18,19は、dq/3相変換部2で変換された3相交流電圧指令値vu*、vv*、vw*と、後述するdhqh/3相変換部9で変換された3相交流電圧指令値vu’、vv’、vw’とをそれぞれ加算して、加算結果を電力変換部4に出力する。電力変換部4は、IGBTなどの電力変換素子により、加算器17,18,19で加算した電圧指令値にしたがって、バッテリなどの直流電源(不図示)の直流電圧をスイッチングし、3相交流電圧U、V、Wを3相交流モータMに印加する。
【0012】
エンコーダPSは、3相交流モータMに連結され、モータMの回転位置θmを検出する。位相速度演算部12は、エンコーダPSからの回転位置信号θmに基づいて、基本波電流の位相θeを演算するとともに、基本波電流の位相θeに基づいて、dq/dhqh座標変換を行うための位相θehを演算する。位相θehは、dq軸での高調波の次数をkとすると、次式(1)により求められる。
【0013】
図2は、高調波電流の3相交流座標における次数mとdq軸座標における次数kとの関係を示す表である。例えば、3相交流座標にて5次高調波電流をdq座標系に変換した場合、k=−6(=−5−1)より、−6次高調波電流となる。
【0014】
電流センサ22,23は、3相交流モータMのU相とV相の実電流iu,ivを検出する。3相/dq変換部5は、基本波電流位相θeに基づいて、3相交流モータMの実電流iu,iv,iw(=−iu−iv)をd軸とq軸の実電流id,iqへ変換する。
【0015】
高調波電流制御回路は、ハイパス・フィルタ6、dq/dhqh変換部7、PI−dhqh電流制御器8、dhqh/3相変換部9、空間高調波演算器10、記憶装置11および加算器20,21を備えている。ハイパス・フィルタ6は、d軸,q軸の実電流id,iqにフィルタ処理を施して高周波成分を抽出する。dq/dhqh変換部7は、上述した基本波電流制御回路のみでモータ電流iu,iv,iwを制御した場合に発生する所定次数の高調波成分の周波数で回転する直交座標系(高調波座標系)dhqhを有し、d軸,q軸の実電流id,iqの高周波成分をそれぞれ、高調波座標系dhqhの実電流idh,iqhに変換する。
【0016】
減算器20,21は、dh軸とqh軸の実電流idh,iqhと、電流指令値idh*,iqh*との差を算出する。PI−dhqh電流制御器8は、減算器20,21によって減算された結果に基づいて、dh軸とqh軸の高調波電圧指令値vdh*,vqh*を演算する。dhdq/3相変換部9は、dh軸高調波電圧指令値vdh*およびとqh軸高調波電圧指令値vqh*をそれぞれ3相交流電圧指令値vd’,vq’に変換する。dhdq/3相変換部9で変換された3相交流電圧指令値vd’,vq’は、加算器17,18,19にそれぞれ出力される。
【0017】
空間高調波演算器10は、d軸,q軸の実電流id,iq、モータMの電気的角速度ω、PI−dq電流制御器8で算出された高調波電圧指令値vdh*,vqh*に基づいて、モータMのインダクタンスの空間高調波L2を算出する。インダクタンスの空間高調波L2の算出方法は後述する。算出されたインダクタンスの空間高調波L2は、記憶装置11に記憶される。
【0018】
同期モータの高調波電流発生の要因としては、インダクタンスの空間高調波と磁石磁束の高調波などが考えられる。埋込型永久磁石(IPM)モータの場合、理想的には3相での自己インダクタンスは、図2に示すように、位相に対して正弦波で変化する。IPMモータのロータの形状などによっては、図3に示すように、インダクタンスが位相に対して歪みを持つ正弦波で変化し、このような歪み(空間高調波)が高調波電流の発生要因となる。以下では、インダクタンスの空間高調波について座標変換を行い、dq座標系とdhqh座標系での回路方程式を導く。
【0019】
3相交流における自己インダクタンスLu,Lv,Lwは、空間高調波を考慮に入れると、次式(2)のように表せる。
…(2)
【0020】
上式(1)において、Loは3相同期モータMのインダクタンスの直流分、Ln(n=1,2,…)はモータMのインダクタンスの交流分、θeはモータMの電気角を表す。式(1)において、n=1の場合には、右辺第2項は一般的な内部埋め込み磁石構造を有するIPMモータの突極性を表す項となり、n≧2の場合の各相の自己インダクタンスLu,Lv,Lwの高調波成分が高調波速度起電力の発生要因となる。
【0021】
一般的なIPMモータでは、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqは、L0とL1を用いて、それぞれ次式(3),(4)で表される。
【0022】
d軸、q軸インダクタンスを用いて表される一般的なIPMモータのdq座標回路方程式は、次式(5)で表される。ただし、RはモータMの電機子抵抗、ωはモータMの電気的角速度、pは微分演算子を表している。また、φは磁石磁束による誘起電圧定数である。
【0023】
インダクタンスの空間高調波を表すn≧2の成分については、nの場合分けにより、次式(6),(7)の各項が式(5)の右辺に加わる形になる。
・n=1,4,7・・・の場合
…(6)
・n=2,5,8・・・の場合
…(7)
【0024】
インダクタンスの空間高調波が高調波速度起電力として働き、これをdhqh座標へ座標変換する際に、高調波の次数をインダクタンスの空間高調波の次数nを用いて位相θehを求めると、これらの空間高調波は簡単な直流量として表すことができる。空間高調波は各次数nの和として表しているが、ここでは、そのうちの一つを取り出して表す。
・n=1,4,7・・・の場合
dhqh座標変換の変換に位相θeh=(2n−2)θeを用いて式(6)を変換すると、
となる。
・n=2,5,8・・・の場合
dhqh座標変換の変換に位相θeh=−(2n+2)θeを用いて式(7)を変換すると、
となる。
【0025】
dq座標系における回路方程式をdhqh座標系の回路方程式として表すと、次式(10)のようになる。ただし、式(10)で表される回路方程式では、空間高調波成分を考慮していない。
…(10)
上式(10)に、空間高調波の各項が右辺に加算される形でdhqh座標の回路方程式が表される。
【0026】
例えば、n=2の空間高調波を含むモータにおいて、θeh=−6θeのdhqh座標変換を行う場合、dhqh座標の回路方程式は次式(11)で表される。
【0027】
dhqh座標系において、高調波電流指令値idh*=0,iqh*=0の高調波電流制御を行った場合について考察する。高調波電流idh,iqhがともに0に制御されており、d軸,q軸電流が定常状態であるならば、式(11)の空間高調波に関わる項での電流id,iqの微分値は0になる。式(11)中のedh,eqhの項は磁石の誘起電圧を表しているが、高調波電流制御では高調波電流を抽出して制御するだけであるから、dq軸で直流量として表される誘起電圧は高調波電流制御へ影響を及ぼさない。よって、d軸,q軸電流が定常状態の場合には、高調波電流を0に制御する電圧値のdh軸成分vdhw,qh軸成分vqhwとすると、式(11)から次式(12)が導かれる。
…(12)
【0028】
上式(12)より、モータの電気的角速度ω、d軸電流id、q軸電流iqとvdhw,vqhwが得られれば、インダクタンスの空間高調波を表すL2を次式(13),(14)から求めることができる。
…(13)
…(14)
【0029】
ここで、高調波電流idh,iqhを0に制御する電圧vdhw,vqhwが、dhqh座標系での高調波電圧指令値vdh*,vqh*と等しい場合には、モータMの電気的角速度ω、d軸電流id、q軸電流iq 、高調波電圧指令値vdh*,vqh*を用いて、インダクタンスの空間高調波を求めることができる。すなわち、空間高調波演算器10は、3相/dq変換部9で変換されたd軸電流idおよびq軸電流iqと、PI−dhqh電流制御器8で算出された高調波電圧指令値vdh*,vqh*と、モータMの電気的角速度ωとを用いて、モータMのインダクタンスの空間高調波L2を求めることができる。求めたモータMのインダクタンスの空間高調波L2は、記憶装置11に記憶される。
【0030】
第1の実施の形態におけるモータ制御装置によれば、モータMの制御に用いる各種状態量、すなわち、d軸電流id、q軸電流iq、高調波電流idh,iqhを0に制御する電圧vdhw,vqhw、モータMの電気的角速度ωを用いて、モータの等価回路方程式から、モータMのインダクタンスの空間高調波を求めることができる。高調波電流idh,iqhを0に制御する電圧vdhw,vqhwがdhqh座標系での制御電圧vdh*,vqh*と等しい場合には、容易にインダクタンスの空間高調波L2を求めることができる。すなわち、基本波電流制御回路100と高調波電流制御回路200とを備えるモータ制御装置では、d軸電流id、q軸電流iq、dhqh座標系での制御電圧vdh*,vqh*、モータMの電気的角速度ωは、モータMの制御を行うために通常求められるものであるから、特別な測定器を用いることなくモータMのインダクタンスの空間高調波を求めることができる。
【0031】
また、高調波電流制御回路でのdhqh座標を、測定対象であるモータMのインダクタンスの空間高調波を直流量として表せるように設定するので、等価回路方程式を簡易な形で表すことができ、より簡易にインダクタンスの空間高調波を算出することができる。
【0032】
−第2の実施の形態−
第2の実施の形態におけるモータ制御装置は、vdhw,vqhwが高調波電圧指令値vdh*,vqh*と一致しない場合に、vdhw,vqhwをそれぞれ求めた後、モータMのインダクタンスの空間高調波を算出する。高調波電流の周波数が低く、PI−dq電流制御器1がd軸,q軸に含まれる高調波電流も含めてd軸電流およびq軸電流を制御できる周波数範囲では、vdhw,vqhwは、vdh*,vqh*とはそれぞれ一致しない。すなわち、d軸電流の制御電圧vd*およびq軸電流の制御電圧vq*にも、高調波電流を制御するための電圧成分が存在するので、この電圧成分を抽出して高調波電圧指令値vdh*,vqh*に加算することにより、精度の高いvdhw,vqhwを求めることができる。
【0033】
図5は、第2の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示す図である。第2の実施の形態におけるモータ制御装置は、第1の実施の形態におけるモータ制御装置の構成に加えて、d軸電流の制御電圧vd*およびq軸電流の制御電圧vq*の高調波成分vd*a,vq*aを抽出するハイパスフィルタ6aと、ハイパスフィルタ6aで抽出した高調波成分vd*a,vq*aをdq座標系からdhqh座標系に変換するdq/dhqh変換部7aとを備える。
【0034】
dq/dhqh変換部7aは、次式(15)により、ハイパスフィルタ6aにて抽出されたvd*aとvq*aをdhqh座標系へ座標変換して、vdhaとvqhaを求める。
加算器24は、dhqh座標での高調波電流制御電圧vdh*とvdhaとを加算してvdhwを算出し、加算器25は、dhqh座標での高調波電流制御電圧vqh*とvqhaとを加算してvqhwを算出する。空間高調波演算器10aは、加算器24,25にて算出されたvdhw,vqhwと、d軸電流id、q軸電流iq、モータMの電気的角速度ωを用いて、式(13),(14)より、モータMのインダクタンスの空間高調波を求める。求めたインダクタンスの空間高調波は、記憶装置11に記憶される。
【0035】
−モータの磁石磁束に歪みが存在する場合−
モータMの磁石磁束に歪みが存在し、高調波電流の発生源となっている場合、磁石の誘起電圧edh,eqhの高調波次数によってはdhqh座標において、インダクタンスの空間高調波による速度起電力と同様に直流量で表される。そのため、高調波電流を0に制御する電圧値のdh軸成分vdhwおよびqh軸成分vqhwは、式(12)とは異なり、次式(16)で表される。
【0036】
このような場合、式(16)から磁石の誘起電圧edh,eqhのうち、直流量として表される分も考慮した式(17),(18)からインダクタンスの空間高調波を求めることができる。
ここで、磁石の誘起電圧edh,eqhの大きさは、電力変換部4によりモータMに電圧を印加せずに、他の駆動手段を用いてモータMを回転させたときの誘起電圧などから測定することができる。
【0037】
−第3の実施の形態−
第1の実施の形態および第2の実施の形態におけるモータ制御装置のように、モータMのインダクタンスの空間高調波L2を算出することができれば、高調波速度起電力の補償制御が可能になる。dhqh座標系を次数k=−6で変換される座標に設定すると、インダクタンスの空間高調波n=2の成分が式(12)のように速度起電力として表される。この高調波速度起電力は、電流制御系に対しては外乱として作用するので、電流の応答性を悪化させる要因となる。第3の実施の形態におけるモータ制御装置は、dhqh電流制御系において、高調波速度起電力を推定し、推定した高調波速度起電力を高調波制御出力電圧に加算して補償を行うことで、電流応答性を向上させる
【0038】
図6は、第3の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示す図である。以下では、図1に示す第1の実施の形態におけるモータ制御装置と異なる構成部分を中心に説明する。高調波速度起電力推定器30は、記憶装置11aに記憶されているインダクタンスの空間高調波L2、d軸電流id,q軸電流iqおよびモータMの電気的角速度ωに基づいて、dh軸,qh軸の高調波速度起電力Kdhw,Kqhwをそれぞれ推定する。なお、記憶装置11aに記憶されているインダクタンスの空間高調波L2は、上述した第1の実施の形態または第2の実施の形態で算出した方法により求めることができる。高調波速度起電力Kdhw,Kqhwは、それぞれ次式(19),(20)で表される。
【0039】
高調波速度起電力推定器30にて推定された高調波速度起電力Kdhw,Kqhwは、加算器26,27に出力される。加算器26は、dh軸の高調波速度起電力KdhwとPI−dhqh電流制御器8の制御出力値とを加算して、高調波電圧指令値vdh*を算出する。同様に、加算器27は、qh軸の高調波速度起電力KqhwとPI−dhqh電流制御器8の制御出力値とを加算して、高調波電圧指令値vqh*を算出する。これにより、高調波速度起電力の補償制御を行うことができる。
【0040】
図7は、高調波電流制御の応答結果を表す一例であり、横軸は時間、縦軸はqh軸の高調波電流iqhを示している。図7は、時刻0.1(sec)の時に、高調波電流指令値iqh*=0としたときの電流制御応答性を示しているが、高調波速度起電力の補償が無い場合に比べて、高調波速度起電力の補償がある場合の方が応答性が良いことが分かる。
【0041】
−変形例−
高調波速度起電力推定器30は、高調波速度起電力Kdhw,Kqhwを推定する際に、式(19),(20)に示すように、電流センサ22,23で検出したモータMの電流値id,iqを用いたが、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*を用いてもよい。この場合のモータ制御装置の構成を図8に示す。高調波速度起電力推定器30aは、次式(21),(22)を用いて高調波速度起電力Kdhw,Kqhwを推定する。
【0042】
第3の実施の形態におけるモータ制御装置によれば、算出されたモータMのインダクタンスの空間高調波L2を用いて、高調波電流制御において外乱として作用する高調波速度起電力を推定し、推定した高調波速度起電力を用いて高調波速度起電力の補償制御を行うので、高調波電流制御の応答性を高め、モータMの効率・性能を向上させることができる。
【0043】
なお、以上の式(11)〜(22)はインダクタンスの空間高調波n=2を例にあげて説明をしたが、他のnについても同様に、回路方程式からインダクタンスの空間高調波の値を求めることができる。
【0044】
本発明は、上述した実施の形態に限定されることはない。例えば、第3の実施の形態におけるモータ制御装置の変形例では、高調波速度起電力Kdhw,Kqhwを推定する際に、電流センサ22,23で検出したモータMの電流値id,iqの代わりに、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*を用いた。同様に、第1および第2の実施の形態におけるモータ制御装置において、d軸,q軸電流制御によってid,iqが電流指令値id*,iq*に収束している場合には、式(13),(14),(17),(18)のid,iqの代わりに、id*,iq*を用いてインダクタンス空間高調波を測定することもできる(次式(23)〜(26))。
・式(13),(14)にid*,iq*を用いた場合
・式(17),(18)にid*,iq*を用いた場合
この場合、電流センサ22,23で検出する電流に含まれる電流リプルやノイズなどの影響を受けることがなくなるので、精度良くインダクタンスの空間高調波を算出することができる。
【0045】
また、モータ制御を行うモータMは、上述した同期モータに限定されることはなく、誘導モータにも本発明によるモータ制御装置を適用することができる。
【0046】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、基本波電流制御回路100が基本波電流制御手段を、高調波電流制御回路200が高調波電流制御手段を、空間高調波演算器10が空間高調波演算手段を、ハイパスフィルタ6aが高調波成分抽出手段を、加算器24,25が加算手段を、電流センサ22,23が電流検出手段を、3相/dq変換部5が座標変換手段を、高調波速度起電力推定器30が高調波速度起電力推定手段を、加算器26,27が補償手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示す図
【図2】高調波電流の3相交流座標系における次数mと、dq軸座標系における次数kとの関係を示す表
【図3】理想的なIPMモータの自己インダクタンス
【図4】空間高調波を含むIPMモータの自己インダクタンス
【図5】第2の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示す図
【図6】第3の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示す図
【図7】高調波速度起電力補償が有るときと無いときの高調波電流iqhの制御応答性結果を示す図
【図8】第3の実施の形態おけるモータ制御装置の変形構成例を示す図
【符号の説明】
1…PI−dq電流制御器、2…dq/3相変換部、3…非干渉制御部、4…電力変換部、5…3相/dq変換部、6…ハイパスフィルタ、7…dq/dhqh変換部、8…PI−dq電流制御器、9…dhqh/3相変換部、10…空間高調波演算器、11,11a…記憶装置、12…位相速度演算部、13,14,20,21…減算器、15,16,17,18,19,24,25,26,27…加算器、22,23…電流センサ、30,30a…高調波速度起電力推定器、100…基本波電流制御回路、200…高調波電流制御回路、PS…エンコーダ、3相同期モータ
Claims (7)
- 3相交流モータの回転に同期して回転するd軸とq軸から成る直交座標系(以下、dq座標系と呼ぶ)において前記モータの基本波電流を制御する基本波電流制御手段と、
前記モータに流れる電流の基本波成分の周波数の整数倍の周波数で回転するdh軸とqh軸から成る直交座標系(以下、dhqh座標系と呼ぶ)において前記モータの高調波電流を制御する高調波電流制御手段と、
前記dhqh座標系において高調波電流を0に制御するための高調波制御電圧と、前記dq座標系における電流値と、前記モータの回転速度とに基づいて、前記モータのインダクタンスの空間高調波を算出する空間高調波算出手段とを備えることを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1に記載のモータ制御装置において、
前記dhqh座標系では、前記モータのインダクタンスの空間高調波が直流量として表されることを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1または2に記載のモータ制御装置において、
前記高調波制御電圧は、前記dhqh座標系における高調波電流を高調波電流指令値と一致させるための制御電圧であることを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項3に記載のモータ制御装置において、
前記dq座標系における電流制御電圧に含まれる高調波成分を抽出する高調波成分抽出手段と、
前記dq座標系における電流制御電圧に含まれる高調波成分と、前記dhqh座標系における制御電圧とを加算する加算手段とをさらに備え、
前記空間高調波算出手段は、前記高調波制御電圧として前記加算手段による加算結果を用いて前記モータのインダクタンスの空間高調波を算出することを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のモータ制御装置において、
前記空間高調波算出手段が前記モータのインダクタンスの空間高調波を算出する際に用いるdq座標系における電流値は、前記dq座標系における電流指令値であることを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のモータ制御装置において、
前記モータに流れる3相交流電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出された3相交流電流を前記dq座標系における電流値に変換する座標変換手段とをさらに備え、
前記空間高調波算出手段が前記モータのインダクタンスの空間高調波を算出する際に用いるdq座標系における電流値は、前記座標変換手段により座標変換された電流値であることを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載のモータ制御装置において、
前記空間高調波算出手段により算出されたインダクタンスの空間高調波を用いて前記モータの高調波速度起電力を推定する高調波速度起電力推定手段と、
前記高調波速度起電力推定手段により推定された高調波速度起電力を補償する補償手段とをさらに備えることを特徴とするモータ制御装置。
Priority Applications (1)
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| JP2002171171A JP2004023804A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | モータ制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2006106642A1 (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-12 | Toshiba Elevator Kabushiki Kaisha | 制御装置 |
| US7208903B2 (en) | 2004-09-06 | 2007-04-24 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control device for alternating-current motor |
| JP2009296788A (ja) * | 2008-06-05 | 2009-12-17 | Denso Corp | 回転機の回転角度推定装置 |
| JP2021040425A (ja) * | 2019-09-03 | 2021-03-11 | 日産自動車株式会社 | 回転電機制御方法及び回転電機制御システム |
-
2002
- 2002-06-12 JP JP2002171171A patent/JP2004023804A/ja active Pending
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