JP2004023781A - 超音波探触子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二次元アレイ探触子1において、振動子エレメント30ごとに超音波ビームが拡散するための音響レンズ5を設け、さらに生体との密着性向上のために、各音響レンズ間を埋めると共に振動子エレメント群全体を覆うように保護層を形成する。
【選択図】
図1
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、超音波ビームの指向性を改善し、超音波ビームを大きく偏向した場合でも、十分な感度を得ることができる超音波診断装置用二次元アレイ探触子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の二次元アレイ探触子1は、図4に示すように超音波を送信すると共にその反射エコーを受信する複数の圧電体2を平面状あるいは曲面状に配置し、各圧電体2の両面に電極3を設け、超音波放射面側の電極の上に音響整合層4を形成した構造となっている。また該電極背面にバッキング材6が設けられている。さらに超音波放射面側に全振動子エレメントを覆うように、ある曲率を持った音響レンズ5を設けることにより焦点形成を行う場合もある。
【0003】
一方、前記振動子エレメントが円形である場合、1エレメントから放射される超音波の強度分布Rは、振動子の半径をa、放射される超音波の波長をλ、メインローブの中心からの方位角をθ、J1(x)を一次ベッセル関数とすると、下記の式(1)および(2)によって表される。
【0004】
【0005】
つまり、振動子エレメントから放射される超音波ビームは図2に示すような指向性を有する。また、従来の二次元アレイ探触子は、前記振動子エレメントを二次元的に配列して構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の二次元アレイ探触子において、各振動子から超音波を送受信する際に、位相差を制御することにより超音波ビームを偏向する(ステアリング、フォーカシング)ことが通常行われる。この場合、各振動子エレメントから放射される超音波ビームが図2に示すようにθが大きくなるほどメインローブ20の強度が低下するという指向性を有するために、前記二次元アレイ探触子における超音波ビームの偏向角が大きい領域では感度が低下する。
【0007】
このような領域で十分な感度を得る方法として、前記振動子エレメントの半径aを小さくすることにより超音波ビームを無指向性に近づけることが考えられるが、超音波の周波数が高くなるほど微細加工が要求されるため現実的には製造上困難が伴ってくるという問題が生じる。一方、振動子エレメントを小さくするほど超音波の出力強度が低下するため反射超音波の信号対雑音比が低下するという問題も生ずる。
【0008】
そこで、本発明は、振動子エレメントをそれほど小さくすることなく、放射超音波ビームの指向性を向上することにより、偏向角が大きい領域でも十分な感度を得ることのできる超音波診断装置用の二次元アレイ探触子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、矩形または円形或いは六角形の形状を有する上記振動子エレメントを、平面状または凸面状或いは凹面状に二次元配置し、上記振動子エレメントごとに超音波ビームを拡散する音響レンズを設けることにより、各エレメントをそれほど小さくしなくても超音波ビームの指向性を向上することが可能である。
【0010】
前記音響レンズは、振動子エレメントごとに個別に形成され、且つ単一の曲面または複数の曲面の集合体で構成される。
【0011】
また、前記音響レンズは、振動子エレメントごとの音響レンズを連結して一体形成された構造としてもよい。
【0012】
前記二次元アレイ探触子は、複数の独立した圧電体によって振動子エレメントを構成するか若しくは一枚の圧電体に電極パターンを形成することによって振動子エレメントを構成してもよい。
【0013】
前記圧電体は単一の圧電体または複合圧電体を用いる。
【0014】
前記二次元アレイ探触子において、各音響レンズ間を埋め且つ音響レンズ群全体または音響レンズ集合体全体を覆うように保護層を設ける。
【0015】
【作用】
上記構成を有する二次元アレイ探触子は、振動子エレメントごとに超音波ビームを拡散するための音響レンズを設けることにより、超音波ビームのメインローブの幅が広がり指向性を向上することができるため、電子スキャンにおいて偏向角を大きくした場合でも十分な感度を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図3(a)、(b)および(c)は本発明の振動子エレメント30を上から見た図であり、それぞれ矩形、円形および六角形の形状を有している。また、図3(d)および(e)は本発明の振動子エレメント30を横から見た図であり、圧電体2の上下両面に電極3を設け、前記電極の片側に超音波の背面放射を吸収するためのバッキング材6を配し、さらに超音波放射面の電極の前には音響インピーダンスマッチングのための音響整合層4を形成し、前記音響整合層の前に超音波ビームを拡散するための音響レンズ5を設けている。
【0017】
図1の(a)、(b)、(c)および(d)は本発明の前記振動子エレメントを二次元配置する実施例を示している。図1(a)は図3の矩形振動子エレメントを二次元配置する実施例であり、(b)および(c)は円形振動子エレメントを二次元配置する実施例である。さらに図1の(d)は六角形振動子エレメントを二次元配置する実施例を示している。(a)、(c)および(d)は面積効率が高い配置であり、(a)および(b)は直交配置である。その他の配置方法も考えられるが、一般的に各エレメントの間隔が密で、エレメント数を多くしたほうが指向性を向上することができる。
【0018】
図1(e)および(f)は本発明の第一の実施例であり、前記振動子エレメントを二次元配置して構成した二次元アレイ探触子を横から見た断面図を示す。振動子エレメント30を図1(a)、(b)、(c)および(d)などのように二次元配列し、その超音波ビームの放射面側全体に、生体との密着性向上と保護を目的とした保護層40を設ける。該保護層は音速および音響インピーダンスとも生体に近い材料を用いて、複数の前記音響レンズの先端が成す面にほぼ平行あるいは生体に合わせた形状となるように形成する。また端部は生体密着性を向上するために滑らかな形状とする。
【0019】
前記音響レンズ5内の音速値が前記保護層40内の音速値と比較して速い材料を使用する場合は、図3(d)および図1(e)に示すように音響レンズを凸面状に形成することにより超音波ビームを拡散することができる。逆に音速値が遅い材質を用いる場合には、図3(e)および図1(f)に示すように音響レンズを凹面状に形成することにより超音波ビームを拡散することが可能である。
【0020】
図5は本発明の第二の実施例を示している。図5(a)および(b)に示すように、振動子エレメント30は、圧電体2の上下両面に電極3を設け、超音波放射面の電極の前には音響インピーダンスマッチングのための音響整合層4を形成し、前記音響整合層の前に超音波ビームを拡散するための音響レンズ5を設けている。図5(c)、(d)および(e)は前記振動子エレメント30を二次元配置して成る二次元アレイ探触子の実施例を横から見た断面図を示している。図5(c)では平面のバッキング材6を形成し、その上に前記振動子エレメント30を二次元配置している。図5(d)ではある曲率でバッキング材6を形成し、その凹面側に前記振動子エレメント30を二次元配置している。さらに図5(e)では凸面状にバッキング材6を形成し、その上に前記振動子エレメント30を二次元配置している。図5(c)、(d)および(e)の超音波ビーム放射面側には、二次元アレイ全体を覆うように保護層40を形成する。該保護層の表面形状は超音波ビームの放射方向と直交するように形成されるか若しくは生体の形状に合わせた形状に形成され、端部は生体との密着性を向上するために滑らかな形状とする。図5(c)、(d)および(e)は凸状音響レンズを用いた(a)の振動子エレメントで構成されているが、凹状音響レンズを用いた(b)の振動子エレメントで構成してもよい。また、振動子エレメントの二次元配置の方法は、図1(a)、(b)、(c)、(d)またはその他の如何なる配置を採用してもよい。
【0021】
図6は前記音響レンズの具体的な形状の例を示す。図6(a)は前記振動子エレメントごとに設けられる音響レンズ5が、単一の曲面から形成される例である。図6(b)は前記振動子エレメントごとに設けられる音響レンズ5が、複数の曲面の集合体で形成される例である。
【0022】
図6(a)の音響レンズ5の場合、前記振動子エレメントごとに放射される超音波ビームの進行方向は60の方向に均等に拡散するため、各音響レンズに対して波面が球面状となる。一方、図6(b)の音響レンズ5の場合は、前記振動子エレメントごとに音響レンズが複数の微小曲面で構成されており、超音波ビームは該微小曲面から均等に拡散するため、前記振動子エレメントから放射される超音波ビームの進行方向は60’であり、前記振動子エレメントの波面は中央が平面波、周辺部は曲面状となる。第一および第二の実施例においては、図6に示す何れの形状の音響レンズを用いてもよい。
【0023】
図7は前記音響レンズを一体形成する場合の第三の実施例を示す。図7(a)は図6(a)の音響レンズを二次元的に連結して一体形成した音響レンズ集合体70を用いた本発明の二次元アレイ探触子における実施例を横から見た断面図であり、図7(b)は図6(b)の音響レンズを二次元的に連結して一体形成した音響レンズ集合体70を用いた本発明の二次元アレイ探触子における実施例を横から見た断面図である。図7の実施例では二次元配置された複数の振動子エレメント30と同じ位置にそれぞれ音響レンズ5が配置されるように音響レンズ集合体70が形成されているため、第一および第二の実施例のように音響レンズを振動子エレメントごとに個別に配置する場合と同一の効果が得られる。さらに本実施例では、製造工程上著しく作業が簡略化できるという利点がある。本実施例では、振動子エレメントを二次元配置する方法として図1(a)、(b)、(c)、(d)またはその他の如何なる配置を採用してもよい。また、図5(c)、(d)および(e)に示すように、平面、凸面または凹面状に形成されたバッキング材の上に振動子エレメントを並べる方法を採用してもよい。
【0024】
ここで、第一、第二および第三の実施例においては、複数の独立したアレイ状圧電体を集めて二次元アレイ探触子が形成されているが、図8に示す第四の実施例のように一枚の圧電体2の両面にアレイ状電極パターン80を形成する方法を用いてもよい。図8(a)および(b)において圧電体2の超音波放射面側全面に共通電極を形成し、その逆面にはアレイ状電極パターンを形成する。図8(c)に示すように、前記共通電極側に整合層4を設け、その上に前記音響レンズまたは音響レンズ集合体70を形成し、さらにその上に保護層40を設ける。また、アレイ状電極パターン側にはバッキング材6を配置する。本実施例は、複数の独立した振動子エレメントを集めて二次元アレイ探触子を形成する第一、第二および第三の実施例と同一の作用をもたらす。さらに第一、第二および第三の実施例と比較して、製造工程上の位置決め作業が容易である。本実施例において、振動モードの厚み振動成分が大きく横振動成分が少ないポリフッ化ビニリデン(PVDF)やチタン酸鉛(PT)などの圧電体を用いることが望ましい。本実施例においては、振動子エレメントを二次元配置する方法として、図1(a)、(b)、(c)、(d)またはその他の如何なる配置を採用してもよい。また、二次元アレイ探触子全体の形状が図8(c)に示すような平面であるのみでなく、凸面或いは凹面であってもよい。さらにアレイ状電極パターンの形状は、図3(a)、(b)、(c)またはその他の如何なる形状でもよく、その配置は図1(a)、(b)、(c)、(d)またはその他の如何なる配置方法を採用してもよい。また本実施例における音響レンズの構成は第一、第二および第三の実施例で記載した如何なる構成を採用してもよい。
【0025】
図9は複合圧電体を用いて二次元アレイ探触子を構成した本発明における第五の実施例を示す。図9(a)の複合圧電体90の超音波放射面側全面に図9(b)、(c)に示すように共通電極81を形成し、その逆面にはアレイ状電極パターン80を形成する。図9(d)に示すように、前記共通電極側に音響整合層4を設け、その上に前記音響レンズまたは音響レンズ集合体70を形成し、さらにその上に保護層40を設ける。また、アレイ状電極パターン側にはバッキング材6を配置する。本実施例において複合圧電体を用いることにより、隣接するエレメント同士の影響を低減することが可能である。本実施例においては、振動子エレメントを二次元配置する方法として、図1(a)、(b)、(c)、(d)またはその他の如何なる配置を採用してもよい。また、二次元アレイ探触子全体の形状が図9(d)に示すような平面であるのみでなく、凸面或いは凹面であってもよい。さらにアレイ状電極パターンの形状は、図3(a)、(b)、(c)またはその他の如何なる形状でもよく、その配置は図1(a)、(b)、(c)、(d)またはその他の如何なる配置方法を採用してもよい。また本実施例における音響レンズの構成は第一、第二および第三の実施例で記載した如何なる構成を採用してもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、超音波診断装置に用いる二次元アレイ探触子において、振動子エレメントごとに超音波ビームを拡散するための音響レンズを設けることにより、それほど各振動子エレメントを小さくしなくても放射超音波の指向性を向上することができ、これにより超音波ビームの偏向角が大きい領域で感度が低下するという問題を解決することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の振動子エレメントの並べ方と第一の実施例における二次元アレイ探触子を横から見た断面図
【図2】円形振動素子から放射される超音波の指向性
【図3】本発明の各振動子エレメントの形状と構造を示す図
【図4】従来の二次元アレイ探触子の例
【図5】本発明の第二の実施例における二次元アレイ探触子を横から見た断面図。
【図6】本発明における音響レンズと音響レンズを通過する超音波ビームの進行方向と波面を説明する図。
【図7】本発明の第三の実施例における二次元アレイ探触子を横から見た断面図。
【図8】本発明の第四の実施例における二次元アレイ探触子の構造を説明する図。
【図9】本発明の第五の実施例における二次元アレイ探触子の構造を説明する図。
【符号の説明】
1 二次元アレイ探触子
2 圧電体
3 電極
4 音響整合層
5 音響レンズ
6 バッキング材
20 メインローブ
21 サイドローブ
30 振動子エレメント
40 保護層
60、60’ 超音波ビーム進行方向
61、61’ 波面
70 音響レンズ集合体
80 アレイ状電極パターン
81 共通電極
90 複合圧電体
Claims (7)
- 超音波診断装置に用いる二次元アレイ探触子において、各振動子エレメントが矩形または円形或いは六角形の形状を有し、且つ平面状または凸面状或いは凹面状に各振動子エレメントを二次元的に配置し、且つ振動子エレメントごとに超音波ビームを拡散する音響レンズを設けたことを特徴とする二次元アレイ探触子。
- 前記音響レンズは、振動子エレメントごとに個別に形成され、且つ単一の曲面または複数の曲面の集合体で構成されることを特徴とする請求項1記載の二次元アレイ探触子。
- 前記音響レンズは、振動子エレメントごとの音響レンズを連結して一体形成されたことを特徴とする請求項2記載の二次元アレイ探触子。
- 前記振動子エレメントが複数の独立した圧電体によって構成されることを特徴とする請求項2または請求項3記載の二次元アレイ探触子。
- 一枚の圧電体に電極パターンを形成することにより、前記振動子エレメントを構成することを特徴とする請求項2または請求項3記載の(超音波診断装置用)二次元アレイ探触子。
- 前記圧電体は、単一の圧電体または複合圧電体であることを特徴とする請求項5記載の二次元アレイ探触子。
- 前記二次元アレイ探触子は、二次元配置された振動子エレメント群の前面に、各音響レンズ間を埋め且つ音響レンズ群全体を覆うように形成された保護層を設けることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5或いは請求項6記載の二次元アレイ探触子。
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