JP2004022964A - Al−SiC系複合体およびそれを用いた放熱部品、半導体モジュール装置 - Google Patents
Al−SiC系複合体およびそれを用いた放熱部品、半導体モジュール装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】Al−SiC系複合体からなる放熱部品と支持部材の間に隙間が生じることなく半導体チップから発生した熱を外部へ十分に発散でき得るAl−SiC系複合体およびそれを用いた放熱部品および半導体モジュール装置を提供する。
【解決手段】Al−SiC系複合体の半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmである板状体のAl−SiC系複合体であって、半導体基板を接合後、該半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面の突出量が40〜120μmになることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】Al−SiC系複合体の半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmである板状体のAl−SiC系複合体であって、半導体基板を接合後、該半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面の突出量が40〜120μmになることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化ケイ素(SiC)とアルミニウム(Al)の複合体(Al−SiC系複合体)に関し、特に主に炭化ケイ素からなる多孔体に、アルミニウムを主成分とする金属を含浸して形成したAl−SiC系複合体に関する。本発明のAl−SiC系複合体は、低熱膨張、高熱伝導特性を有し、放熱基板、ヒートシンク、パッケージなど半導体装置に用いられる放熱部品に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業機器の分野では、半導体スイッチングデバイスを用いて大きな電力を最適な電力に効率よく交換制御する大電力モジュール装置の開発が進んでいる。例えば、電動車輌用インバータとして高電圧、大電流動作が可能なIGBTモジュールがある。このような大電力モジュール化に伴い、半導体チップから発生する熱も増大している。半導体チップは熱に弱く、発熱が大きくなれば半導体回路の誤動作や破壊を招くことになる。そこで、半導体チップなど電子部品を搭載するための回路基板の裏面にヒートシンクなどの放熱部品を設けて、放熱部品を介して半導体チップから発生した熱を外部に発散させ、半導体回路の動作を安定にすることが行われている。半導体チップなどの電子部品を搭載するための半導体基板としては、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al2O3)などのセラミックス基板が主に用いられている。
【0003】
従来の放熱部品用材料として、銅、モリブデン、タングステンなどがある。モリブデンやタングステンからなる放熱部品は高価であり、また金属の比重が大きいため放熱部品の重量が重くなり、放熱部品の軽量化が望まれる用途には好ましくない。
【0004】
また、銅からなる放熱部品は、放熱部品と接合されるセラミックス基板との熱膨張係数の差が大きいので、放熱部品とセラミックス基板との加熱接合時や、使用中の熱サイクルにより、はんだ層の破壊、熱流路の遮断、セラミックス基板の割れを生じやすい。つまり、放熱部品と接合されるセラミックス基板との熱膨張係数の差が大き過ぎる場合、互いの接合部には熱応力および熱歪みが残留する。そして、モジュール装置の使用時に熱ストレスが繰り返し与えられ、残留熱応力および熱歪みに重畳されると、はんだ層の疲労破壊による熱流路の遮断と、機械的に脆い性質を持つセラミックス基板の割れを生じる。
【0005】
銅などの従来材に替わる放熱部品用材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金中に炭化ケイ素を分散させた低熱膨張・高熱伝導特性を有するAl−SiC系複合体が注目されている(特公平7−26174号、特開昭64−83634号等参照)。Al−SiC系複合体の製法としては、炭化ケイ素粉末あるいは炭化ケイ素繊維で形成された多孔体(プリフォーム)を用い、この多孔体を型内の空間に配置し、アルミニウムインゴットを接触させて、窒素雰囲気中で加圧もしくは非加圧で加熱溶融したアルミニウムを型内の空間に流し込むことによって、炭化ケイ素の多孔体に含浸させ、冷却して作製する溶融金属含浸法などがある。この製造方法によれば、炭化ケイ素の含有量を20〜90体積%の範囲で選択できる。また、炭化ケイ素多孔体の形状の自由度が高く、複雑な形状の製品をネットシェイプ成形できる利点を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、放熱部品とセラミックス基板とは、はんだによりろう付けされており、ろう材の融点以上に加熱した後、室温まで冷却される。その際、ろう材の凝固点で互いに固定され、その後は固定されたまま放熱部品とセラミックス基板がそれぞれ固有の熱膨張係数に従って収縮し、放熱部品全体に反りなどの変形を生じる。
【0007】
板形状の放熱部品を半導体モジュール装置に組立てる場合、放熱部品に固定用穴を数箇所設け、固定用穴にボルト、ワッシャなどの固定部材を装着し、モジュール装置を構成するヒートシンクなどの支持部材にグリースなどの緩衝剤を介して放熱部品を固定することが一般に行われる。その際、放熱部品に反りなどの変形がある場合、放熱部品と支持部材の間に隙間が生じ、半導体チップから発生した熱の外部への放熱が阻害され、半導体回路の誤動作や破壊を招くことになる。
【0008】
これを図面に基づいて説明する。図5は、従来のAl−SiC系複合体からなる放熱部品を具備する半導体モジュール装置の一例を示す。図5において、上側は平面図、下側は縦断面図である。半導体モジュール装置は、複数個の半導体チップ7を搭載した半導体基板2と、Al−SiC系複合体からなる板形状の放熱部品1と、ヒートシンクなどの支持部材5とから主に構成される。
【0009】
放熱部品1の上面には半導体基板2がはんだ付けなどにより接合される。この放熱部品1と支持部材5の間にグリースなどの緩衝剤を介在させて、放熱部品1の底面に支持部材5を配置する。そして、放熱部品1および支持部材5の所定の位置に数箇所設けた固定用穴3にボルトなどの固定部材4を装着して締め付けることにより、放熱部品1を支持部材5に固定する。
【0010】
このような組立てを行なう場合、半導体基板2を放熱部品1にはんだ付けにより接合する際、ろう材の融点以上に加熱させた後、室温まで冷却される。そのとき、ろう材の凝固点で互いに固定され、その後は固定されたまま放熱部品1と半導体基板2がそれぞれ固有の熱膨張係数に従って収縮するため、放熱部品1全体に反りなどの変形を生じる。
【0011】
反りが生じた状態で放熱部品1を支持部材5に締め付け固定すると、放熱部品1と支持部材5の接合面間の中央部にわずかな隙間6が生じ、両部材が十分に接触しないため半導体チップ7から発生した熱の外部への放熱が阻害されるという問題がある。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、放熱部品と支持部材の間に隙間が生じることなく半導体チップから発生した熱を外部へ十分に発散でき得るAl−SiC系複合体、そのAl−SiC系複合体を用いた放熱部品および半導体モジュール装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のAl−SiC系複合体は、半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmである板状体のAl−SiC系複合体であって、半導体基板を接合後、該半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面の突出量が40〜120μmになることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第1態様のAl−SiC系複合体は、半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmであるとともに、半導体基板が接合される側の主面が平坦状であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第2態様のAl−SiC系複合体は、半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmであり、その突出は加熱しながら負荷を与えて塑性変形により付与されたことを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の第3態様のAl−SiC系複合体は、半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmであり、その突出は半導体基板が接合される側の主面に形成されるアルミニウム被覆層の厚みを、反対側の主面に形成されるそれより厚くすることにより付与されたことを特徴とする。
【0017】
前記本発明において、Al−SiC系複合体が主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸して形成されたことを特徴とする。また本発明は、前記本発明のAl−SiC系複合体からなる放熱部品であることを特徴とする。さらに、前記本発明のAl−SiC系複合体からなる放熱部品を具備する半導体モジュール装置であることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
Al−SiC系複合体からなる放熱部品において、半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面すなわち放熱部品の底面の突出量を種々変化させて、半導体基板が接合される側の主面に半導体基板をはんだ付けにより接合したときの放熱性の良否を検討した。その結果、半導体基板を接合後の放熱部品の底面の突出量が40〜120μm(より好ましくは70〜120μm)の範囲であれば、放熱部品と支持部材の接合面間の中央部に空洞状の隙間が見られず、放熱部品と支持部材とが密接に接触して、半導体チップから発生した熱の外部への放熱が良好であった。放熱部品に半導体基板をはんだ付けにより接合したとき、放熱部品全体に反りを生じるため、半導体基板を接合後の放熱部品の底面の突出量を40〜120μmとするには、半導体基板を接合前の放熱部品の底面の突出量を150〜500μmの範囲にしておく必要がある。
【0019】
(実施例1)
図1は、本発明実施例1(本発明の第1態様)のAl−SiC系複合体からなる放熱部品の縦断面図を示す。図1において、放熱部品1は板形状のAl−SiC系複合体からなり、主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸して形成されたAl−SiC複合本体部10と、Al−SiC複合本体部10の表面全体にわたって形成された実質的にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム被覆層11を有する。ただし、実施例1はアルミニウム被覆層11の有無にかかわらず、本発明の効果を得ることができる。
【0020】
本発明実施例1の放熱部品1は板状体であり、半導体基板が接合される側の主面8(上面)と反対側の主面9(底面)が、端部13から中央部12に向かって凸状に突出し特定の突出量で反っているとともに、半導体基板が接合される側の主面8が平坦状であることを特徴とする。主面8が平坦状とは表面にわずかな凹凸、好ましくは100μm以下の凹凸があっても構わない。放熱部品1の底面9全体が球面形状でもよいし、一方の板幅方向のみが凸状に突出した所謂かまぼこ形状でもよい。
【0021】
実施例1の放熱部品を以下のように製造した。まず、平均粒径60μm、純度98%以上の炭化ケイ素粉末に結合剤、保形剤の溶媒を加え、これを攪拌機で混合して炭化ケイ素のスラリーを得た。このスラリーを、一方の主面のみが球面形状に凹んだ空間を有する金型内に注入して成形後、冷却して脱型した。これを乾燥して炭化ケイ素の多孔体を作製した。
【0022】
ついで、得られた炭化ケイ素の多孔体と型の内壁との間に所定の隙間を確保した状態で、炭化ケイ素の多孔体を型内に装入した。その後、炭化ケイ素の多孔体を装入した型内に加熱溶融したアルミニウム合金を圧入し含浸させた。含浸完了、冷却後、型を解体し、Al−SiC系複合体からなる板状の放熱部品を作製した。
【0023】
このようにして、板状体の寸法および底面の突出量が異なる数種類のAl−SiC系複合体を作製した。
【0024】
そして、これらのAl−SiC系複合体の上面に、それぞれ半導体基板をはんだ付けにより接合した。ここで、半導体基板を接合する前および接合した後における、Al−SiC系複合体の底面の突出量を測定した。Al−SiC系複合体の底面の高さを突出した板幅方向の一端部から他端部までの全長にわたって測定して、その最大高低差を突出量とした。
【0025】
表1に、Al−SiC系複合体の寸法(縦×横×厚み)、半導体基板の接合前後のAl−SiC系複合体の底面の突出量を示す。表1において、Al−SiC系複合体底面の突出量の符号が+は凸状、−は凹状に反っていることを表わす。また、No.11〜14は本発明例、No.15〜16は比較例である。
【0026】
【0027】
(実施例2)
図2は、本発明実施例2(本発明の第2態様)のAl−SiC系複合体からなる放熱部品の縦断面図を示す。図2において、放熱部品1は板形状のAl−SiC系複合体からなり、主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸して形成されたAl−SiC複合本体部10と、Al−SiC複合本体部10の表面全体にわたって形成された実質的にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム被覆層11を有する。ただし、実施例2はアルミニウム被覆層11の有無にかかわらず、本発明の効果を得ることができる。
【0028】
本発明実施例2の放熱部品1は板状体であり、半導体基板が接合される側の主面8(上面)と反対側の主面9(底面)が、端部13から中央部12に向かって凸状に突出し特定の突出量で反っているとともに、上面8も底面9と同じ方向に反っていることを特徴とする。放熱部品1の底面9全体が球面形状でもよいし、一方の板幅方向のみが凸状に突出した所謂かまぼこ形状でもよい。
【0029】
実施例2の放熱部品を以下のように製造した。まず、平均粒径60μm、純度98%以上の炭化ケイ素粉末に結合剤、保形剤の溶媒を加え、これを攪拌機で混合して炭化ケイ素のスラリーを得た。このスラリーを所望の形状の金型内に注入して成形後、冷却して脱型した。これを乾燥して炭化ケイ素の多孔体を作製した。
【0030】
ついで、得られた炭化ケイ素の多孔体と型の内壁との間に所定の隙間を確保した状態で、炭化ケイ素の多孔体を型内に装入した。その後、炭化ケイ素の多孔体を装入した型内に加熱溶融したアルミニウム合金を圧入し含浸させた。含浸完了、冷却後、型を解体し、Al−SiC系複合体からなる板状の放熱部品を作製した。
【0031】
次に、このAl−SiC系複合体の外周縁部の下面に、薄いシム板を敷いた状態で、Al−SiC系複合体を加熱炉の中に入れた。そして、Al−SiC系複合体の半導体基板が接合される側の主面の中央部に錘を載せて、全体を加熱しながらAl−SiC系複合体全体に反りを付与し底面を突出させた。
【0032】
このようにして、板状体の寸法および底面の突出量が異なる数種類のAl−SiC系複合体を作製した。
【0033】
そして、実施例1同様、半導体基板を接合する前および接合した後における、Al−SiC系複合体の底面の突出量を測定した。
【0034】
表2に、Al−SiC系複合体の寸法(縦×横×厚み)、半導体基板の接合前後のAl−SiC系複合体の底面の突出量を示す。表2において、No.21〜24は本発明例、No.25〜26は比較例である。
【0035】
【0036】
(実施例3)
図3は、本発明実施例3(本発明の第3態様)のAl−SiC系複合体からなる放熱部品の縦断面図を示す。図3において、放熱部品1は板形状のAl−SiC系複合体からなり、主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸して形成されたAl−SiC複合本体部10と、Al−SiC複合本体部10の表面全体にわたって形成された実質的にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム被覆層11を有する。実施例3は、後述するように、アルミニウム被覆層11の存在により本発明の効果を得ることができるものである。
【0037】
本発明実施例3の放熱部品1は板状体であり、半導体基板が接合される側の主面8(上面)と反対側の主面9(底面)が、端部13から中央部12に向かって凸状に突出し特定の突出量で反っているとともに、上面8も底面9と同じ方向に反っている。さらには、上面8に形成されたアルミニウム被覆層11aの厚みが、底面9に形成されたアルミニウム被覆層11bのそれより厚いことを特徴とする。放熱部品1の底面9全体が球面形状でもよいし、一方の板幅方向のみが凸状に突出した所謂かまぼこ形状でもよい。
【0038】
実施例3の放熱部品を以下のように製造した。まず、平均粒径60μm、純度98%以上の炭化ケイ素粉末に結合剤、保形剤の溶媒を加え、これを攪拌機で混合して炭化ケイ素のスラリーを得た。このスラリーを所望の形状の金型内に注入して成形後、冷却して脱型した。これを乾燥して炭化ケイ素の多孔体を作製した。
【0039】
ついで、得られた炭化ケイ素の多孔体と型の内壁との間に所定の隙間を確保した状態で、炭化ケイ素の多孔体を型内に装入した。ここで、アルミニウムの含浸によって形成されるアルミニウム被覆層について、半導体基板が接合される側の主面に形成されるアルミニウム被覆層の厚みを、反対側の主面に形成されるそれより厚くするため、半導体基板が接合される側の主面と型の内壁との間の隙間が、反対側の主面と型の内壁との間の隙間より大きくなるようにした。その後、炭化ケイ素の多孔体を装入した型内に加熱溶融したアルミニウム合金を圧入し含浸させた。含浸時、溶融したアルミニウムが炭化ケイ素の多孔体と型の内壁との隙間を通り、アルミニウム被覆層が形成された。含浸完了、冷却後、型を解体し、Al−SiC系複合体からなる板状の放熱部品を作製した。
【0040】
Al−SiC系複合体の上面に形成されたアルミニウム被覆層の厚みを、底面に形成されたアルミニウム被覆層のそれより厚くして、凝固時の収縮差を著しくすることにより、底面が端部近傍から中央部に向かって凸状に突出するようにAl−SiC系複合体全体に反りを付与し底面を突出させた。
【0041】
このようにして、板状体の寸法および底面の突出量が異なる数種類のAl−SiC系複合体を作製した。
【0042】
そして、実施例1同様、半導体基板を接合する前および接合した後における、Al−SiC系複合体の底面の突出量を測定した。
【0043】
また、Al−SiC系複合体を破断して、半導体基板が接合される側の上面に形成されたアルミニウム被覆層と、底面に形成されたアルミニウム被覆層の厚みを測定した。
【0044】
表3に、Al−SiC系複合体の寸法(縦×横×厚み)、半導体基板の接合前後のAl−SiC系複合体の底面の突出量、上面および底面のアルミニウム被覆層の厚みを示す。表3において、No.31〜34は本発明例、No.35〜36は比較例である。
【0045】
【0046】
ここで、実施例1〜実施例3で得た本発明例および比較例のAl−SiC系複合体からなる放熱部品を用いて、半導体モジュール装置を組立て、両者の放熱性能を比較した。
【0047】
図4は、本発明例のAl−SiC系複合体からなる放熱部品を具備する半導体モジュール装置の一例を示す。図4において、上側は平面図、下側は縦断面図である。図4は本発明の最も特徴とするところを除いて図5と同様の構成である。半導体モジュール装置は、複数個の半導体チップ7を搭載した半導体基板2と、Al−SiC系複合体からなる板形状の放熱部品1と、ヒートシンクなどの支持部材5とから主に構成される。なお、図4ではアルミニウム被覆層11の図示を省略した。
【0048】
放熱部品1の半導体基板2が接合される側の主面8に半導体基板2をはんだ付けにより接合したとき、放熱部品1全体に中央部12ほど半導体基板2側に反る形で反りが発生した。本発明例の放熱部品1の場合、放熱部品1の底面が予め適度な突出量150〜500μmで凸状に突出しているため、半導体基板2の接合後は、放熱部品1の底面が突出量40〜120μmでわずかに凸状に反った形の平坦に近い状態になる。
【0049】
そして、この放熱部品1の底面と支持部材5の上面との間にグリースなどの緩衝剤を介在させた後、放熱部品1および支持部材5の所定の位置に数箇所設けた固定用穴3にボルトなどの固定部材4を装着して締め付けることにより、放熱部品1を支持部材5に固定した。
【0050】
半導体基板2を接合した後の放熱部品1の底面はわずかに凸状に反った形で平坦に近いため、放熱部品1と支持部材5の接合面間の中央部には空洞状の隙間が見られず、放熱部品1と支持部材5とが密接に接触して、半導体チップ7から発生した熱の外部への放熱を十分に行なえることを確認できた。
【0051】
一方、比較例の放熱部品の場合、半導体基板を接合した後の放熱部品の底面が逆に凹状に反ったため、放熱部品と支持部材の接合面間の中央部には空洞状の隙間が見られ、本発明例に比べて半導体チップから発生した熱の外部への放熱が不十分であった。
【0052】
【発明の効果】
本発明のAl−SiC系複合体によれば、Al−SiC系複合体からなる放熱部品と支持部材の間に隙間が生じることなく、半導体チップから発生した熱の外部への放熱が阻害されることなく、十分に放熱できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1のAl−SiC系複合体からなる放熱部品の縦断面図を示す。
【図2】本発明実施例2のAl−SiC系複合体からなる放熱部品の縦断面図を示す。
【図3】本発明実施例3のAl−SiC系複合体からなる放熱部品の縦断面図を示す。
【図4】本発明例のAl−SiC系複合体からなる放熱部品を具備する半導体モジュール装置の一例を示す。
【図5】従来のAl−SiC系複合体からなる放熱部品を具備する半導体モジュール装置の一例を示す。
【符号の説明】
1 放熱部品、 2 半導体基板、 3 固定用穴、 4 固定部材、 5 支持部材、
6 隙間、 7 半導体チップ、 8 半導体基板が接合される側の主面、
9 半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面、
10 Al−SiC複合本体部、 11 アルミニウム被覆層、
11a 上面に形成されたアルミニウム被覆層、
11b 底面に形成されたアルミニウム被覆層、
12 中央部、 13 端部
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化ケイ素(SiC)とアルミニウム(Al)の複合体(Al−SiC系複合体)に関し、特に主に炭化ケイ素からなる多孔体に、アルミニウムを主成分とする金属を含浸して形成したAl−SiC系複合体に関する。本発明のAl−SiC系複合体は、低熱膨張、高熱伝導特性を有し、放熱基板、ヒートシンク、パッケージなど半導体装置に用いられる放熱部品に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業機器の分野では、半導体スイッチングデバイスを用いて大きな電力を最適な電力に効率よく交換制御する大電力モジュール装置の開発が進んでいる。例えば、電動車輌用インバータとして高電圧、大電流動作が可能なIGBTモジュールがある。このような大電力モジュール化に伴い、半導体チップから発生する熱も増大している。半導体チップは熱に弱く、発熱が大きくなれば半導体回路の誤動作や破壊を招くことになる。そこで、半導体チップなど電子部品を搭載するための回路基板の裏面にヒートシンクなどの放熱部品を設けて、放熱部品を介して半導体チップから発生した熱を外部に発散させ、半導体回路の動作を安定にすることが行われている。半導体チップなどの電子部品を搭載するための半導体基板としては、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al2O3)などのセラミックス基板が主に用いられている。
【0003】
従来の放熱部品用材料として、銅、モリブデン、タングステンなどがある。モリブデンやタングステンからなる放熱部品は高価であり、また金属の比重が大きいため放熱部品の重量が重くなり、放熱部品の軽量化が望まれる用途には好ましくない。
【0004】
また、銅からなる放熱部品は、放熱部品と接合されるセラミックス基板との熱膨張係数の差が大きいので、放熱部品とセラミックス基板との加熱接合時や、使用中の熱サイクルにより、はんだ層の破壊、熱流路の遮断、セラミックス基板の割れを生じやすい。つまり、放熱部品と接合されるセラミックス基板との熱膨張係数の差が大き過ぎる場合、互いの接合部には熱応力および熱歪みが残留する。そして、モジュール装置の使用時に熱ストレスが繰り返し与えられ、残留熱応力および熱歪みに重畳されると、はんだ層の疲労破壊による熱流路の遮断と、機械的に脆い性質を持つセラミックス基板の割れを生じる。
【0005】
銅などの従来材に替わる放熱部品用材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金中に炭化ケイ素を分散させた低熱膨張・高熱伝導特性を有するAl−SiC系複合体が注目されている(特公平7−26174号、特開昭64−83634号等参照)。Al−SiC系複合体の製法としては、炭化ケイ素粉末あるいは炭化ケイ素繊維で形成された多孔体(プリフォーム)を用い、この多孔体を型内の空間に配置し、アルミニウムインゴットを接触させて、窒素雰囲気中で加圧もしくは非加圧で加熱溶融したアルミニウムを型内の空間に流し込むことによって、炭化ケイ素の多孔体に含浸させ、冷却して作製する溶融金属含浸法などがある。この製造方法によれば、炭化ケイ素の含有量を20〜90体積%の範囲で選択できる。また、炭化ケイ素多孔体の形状の自由度が高く、複雑な形状の製品をネットシェイプ成形できる利点を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、放熱部品とセラミックス基板とは、はんだによりろう付けされており、ろう材の融点以上に加熱した後、室温まで冷却される。その際、ろう材の凝固点で互いに固定され、その後は固定されたまま放熱部品とセラミックス基板がそれぞれ固有の熱膨張係数に従って収縮し、放熱部品全体に反りなどの変形を生じる。
【0007】
板形状の放熱部品を半導体モジュール装置に組立てる場合、放熱部品に固定用穴を数箇所設け、固定用穴にボルト、ワッシャなどの固定部材を装着し、モジュール装置を構成するヒートシンクなどの支持部材にグリースなどの緩衝剤を介して放熱部品を固定することが一般に行われる。その際、放熱部品に反りなどの変形がある場合、放熱部品と支持部材の間に隙間が生じ、半導体チップから発生した熱の外部への放熱が阻害され、半導体回路の誤動作や破壊を招くことになる。
【0008】
これを図面に基づいて説明する。図5は、従来のAl−SiC系複合体からなる放熱部品を具備する半導体モジュール装置の一例を示す。図5において、上側は平面図、下側は縦断面図である。半導体モジュール装置は、複数個の半導体チップ7を搭載した半導体基板2と、Al−SiC系複合体からなる板形状の放熱部品1と、ヒートシンクなどの支持部材5とから主に構成される。
【0009】
放熱部品1の上面には半導体基板2がはんだ付けなどにより接合される。この放熱部品1と支持部材5の間にグリースなどの緩衝剤を介在させて、放熱部品1の底面に支持部材5を配置する。そして、放熱部品1および支持部材5の所定の位置に数箇所設けた固定用穴3にボルトなどの固定部材4を装着して締め付けることにより、放熱部品1を支持部材5に固定する。
【0010】
このような組立てを行なう場合、半導体基板2を放熱部品1にはんだ付けにより接合する際、ろう材の融点以上に加熱させた後、室温まで冷却される。そのとき、ろう材の凝固点で互いに固定され、その後は固定されたまま放熱部品1と半導体基板2がそれぞれ固有の熱膨張係数に従って収縮するため、放熱部品1全体に反りなどの変形を生じる。
【0011】
反りが生じた状態で放熱部品1を支持部材5に締め付け固定すると、放熱部品1と支持部材5の接合面間の中央部にわずかな隙間6が生じ、両部材が十分に接触しないため半導体チップ7から発生した熱の外部への放熱が阻害されるという問題がある。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、放熱部品と支持部材の間に隙間が生じることなく半導体チップから発生した熱を外部へ十分に発散でき得るAl−SiC系複合体、そのAl−SiC系複合体を用いた放熱部品および半導体モジュール装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のAl−SiC系複合体は、半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmである板状体のAl−SiC系複合体であって、半導体基板を接合後、該半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面の突出量が40〜120μmになることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第1態様のAl−SiC系複合体は、半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmであるとともに、半導体基板が接合される側の主面が平坦状であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第2態様のAl−SiC系複合体は、半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmであり、その突出は加熱しながら負荷を与えて塑性変形により付与されたことを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の第3態様のAl−SiC系複合体は、半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmであり、その突出は半導体基板が接合される側の主面に形成されるアルミニウム被覆層の厚みを、反対側の主面に形成されるそれより厚くすることにより付与されたことを特徴とする。
【0017】
前記本発明において、Al−SiC系複合体が主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸して形成されたことを特徴とする。また本発明は、前記本発明のAl−SiC系複合体からなる放熱部品であることを特徴とする。さらに、前記本発明のAl−SiC系複合体からなる放熱部品を具備する半導体モジュール装置であることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
Al−SiC系複合体からなる放熱部品において、半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面すなわち放熱部品の底面の突出量を種々変化させて、半導体基板が接合される側の主面に半導体基板をはんだ付けにより接合したときの放熱性の良否を検討した。その結果、半導体基板を接合後の放熱部品の底面の突出量が40〜120μm(より好ましくは70〜120μm)の範囲であれば、放熱部品と支持部材の接合面間の中央部に空洞状の隙間が見られず、放熱部品と支持部材とが密接に接触して、半導体チップから発生した熱の外部への放熱が良好であった。放熱部品に半導体基板をはんだ付けにより接合したとき、放熱部品全体に反りを生じるため、半導体基板を接合後の放熱部品の底面の突出量を40〜120μmとするには、半導体基板を接合前の放熱部品の底面の突出量を150〜500μmの範囲にしておく必要がある。
【0019】
(実施例1)
図1は、本発明実施例1(本発明の第1態様)のAl−SiC系複合体からなる放熱部品の縦断面図を示す。図1において、放熱部品1は板形状のAl−SiC系複合体からなり、主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸して形成されたAl−SiC複合本体部10と、Al−SiC複合本体部10の表面全体にわたって形成された実質的にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム被覆層11を有する。ただし、実施例1はアルミニウム被覆層11の有無にかかわらず、本発明の効果を得ることができる。
【0020】
本発明実施例1の放熱部品1は板状体であり、半導体基板が接合される側の主面8(上面)と反対側の主面9(底面)が、端部13から中央部12に向かって凸状に突出し特定の突出量で反っているとともに、半導体基板が接合される側の主面8が平坦状であることを特徴とする。主面8が平坦状とは表面にわずかな凹凸、好ましくは100μm以下の凹凸があっても構わない。放熱部品1の底面9全体が球面形状でもよいし、一方の板幅方向のみが凸状に突出した所謂かまぼこ形状でもよい。
【0021】
実施例1の放熱部品を以下のように製造した。まず、平均粒径60μm、純度98%以上の炭化ケイ素粉末に結合剤、保形剤の溶媒を加え、これを攪拌機で混合して炭化ケイ素のスラリーを得た。このスラリーを、一方の主面のみが球面形状に凹んだ空間を有する金型内に注入して成形後、冷却して脱型した。これを乾燥して炭化ケイ素の多孔体を作製した。
【0022】
ついで、得られた炭化ケイ素の多孔体と型の内壁との間に所定の隙間を確保した状態で、炭化ケイ素の多孔体を型内に装入した。その後、炭化ケイ素の多孔体を装入した型内に加熱溶融したアルミニウム合金を圧入し含浸させた。含浸完了、冷却後、型を解体し、Al−SiC系複合体からなる板状の放熱部品を作製した。
【0023】
このようにして、板状体の寸法および底面の突出量が異なる数種類のAl−SiC系複合体を作製した。
【0024】
そして、これらのAl−SiC系複合体の上面に、それぞれ半導体基板をはんだ付けにより接合した。ここで、半導体基板を接合する前および接合した後における、Al−SiC系複合体の底面の突出量を測定した。Al−SiC系複合体の底面の高さを突出した板幅方向の一端部から他端部までの全長にわたって測定して、その最大高低差を突出量とした。
【0025】
表1に、Al−SiC系複合体の寸法(縦×横×厚み)、半導体基板の接合前後のAl−SiC系複合体の底面の突出量を示す。表1において、Al−SiC系複合体底面の突出量の符号が+は凸状、−は凹状に反っていることを表わす。また、No.11〜14は本発明例、No.15〜16は比較例である。
【0026】
【0027】
(実施例2)
図2は、本発明実施例2(本発明の第2態様)のAl−SiC系複合体からなる放熱部品の縦断面図を示す。図2において、放熱部品1は板形状のAl−SiC系複合体からなり、主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸して形成されたAl−SiC複合本体部10と、Al−SiC複合本体部10の表面全体にわたって形成された実質的にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム被覆層11を有する。ただし、実施例2はアルミニウム被覆層11の有無にかかわらず、本発明の効果を得ることができる。
【0028】
本発明実施例2の放熱部品1は板状体であり、半導体基板が接合される側の主面8(上面)と反対側の主面9(底面)が、端部13から中央部12に向かって凸状に突出し特定の突出量で反っているとともに、上面8も底面9と同じ方向に反っていることを特徴とする。放熱部品1の底面9全体が球面形状でもよいし、一方の板幅方向のみが凸状に突出した所謂かまぼこ形状でもよい。
【0029】
実施例2の放熱部品を以下のように製造した。まず、平均粒径60μm、純度98%以上の炭化ケイ素粉末に結合剤、保形剤の溶媒を加え、これを攪拌機で混合して炭化ケイ素のスラリーを得た。このスラリーを所望の形状の金型内に注入して成形後、冷却して脱型した。これを乾燥して炭化ケイ素の多孔体を作製した。
【0030】
ついで、得られた炭化ケイ素の多孔体と型の内壁との間に所定の隙間を確保した状態で、炭化ケイ素の多孔体を型内に装入した。その後、炭化ケイ素の多孔体を装入した型内に加熱溶融したアルミニウム合金を圧入し含浸させた。含浸完了、冷却後、型を解体し、Al−SiC系複合体からなる板状の放熱部品を作製した。
【0031】
次に、このAl−SiC系複合体の外周縁部の下面に、薄いシム板を敷いた状態で、Al−SiC系複合体を加熱炉の中に入れた。そして、Al−SiC系複合体の半導体基板が接合される側の主面の中央部に錘を載せて、全体を加熱しながらAl−SiC系複合体全体に反りを付与し底面を突出させた。
【0032】
このようにして、板状体の寸法および底面の突出量が異なる数種類のAl−SiC系複合体を作製した。
【0033】
そして、実施例1同様、半導体基板を接合する前および接合した後における、Al−SiC系複合体の底面の突出量を測定した。
【0034】
表2に、Al−SiC系複合体の寸法(縦×横×厚み)、半導体基板の接合前後のAl−SiC系複合体の底面の突出量を示す。表2において、No.21〜24は本発明例、No.25〜26は比較例である。
【0035】
【0036】
(実施例3)
図3は、本発明実施例3(本発明の第3態様)のAl−SiC系複合体からなる放熱部品の縦断面図を示す。図3において、放熱部品1は板形状のAl−SiC系複合体からなり、主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸して形成されたAl−SiC複合本体部10と、Al−SiC複合本体部10の表面全体にわたって形成された実質的にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム被覆層11を有する。実施例3は、後述するように、アルミニウム被覆層11の存在により本発明の効果を得ることができるものである。
【0037】
本発明実施例3の放熱部品1は板状体であり、半導体基板が接合される側の主面8(上面)と反対側の主面9(底面)が、端部13から中央部12に向かって凸状に突出し特定の突出量で反っているとともに、上面8も底面9と同じ方向に反っている。さらには、上面8に形成されたアルミニウム被覆層11aの厚みが、底面9に形成されたアルミニウム被覆層11bのそれより厚いことを特徴とする。放熱部品1の底面9全体が球面形状でもよいし、一方の板幅方向のみが凸状に突出した所謂かまぼこ形状でもよい。
【0038】
実施例3の放熱部品を以下のように製造した。まず、平均粒径60μm、純度98%以上の炭化ケイ素粉末に結合剤、保形剤の溶媒を加え、これを攪拌機で混合して炭化ケイ素のスラリーを得た。このスラリーを所望の形状の金型内に注入して成形後、冷却して脱型した。これを乾燥して炭化ケイ素の多孔体を作製した。
【0039】
ついで、得られた炭化ケイ素の多孔体と型の内壁との間に所定の隙間を確保した状態で、炭化ケイ素の多孔体を型内に装入した。ここで、アルミニウムの含浸によって形成されるアルミニウム被覆層について、半導体基板が接合される側の主面に形成されるアルミニウム被覆層の厚みを、反対側の主面に形成されるそれより厚くするため、半導体基板が接合される側の主面と型の内壁との間の隙間が、反対側の主面と型の内壁との間の隙間より大きくなるようにした。その後、炭化ケイ素の多孔体を装入した型内に加熱溶融したアルミニウム合金を圧入し含浸させた。含浸時、溶融したアルミニウムが炭化ケイ素の多孔体と型の内壁との隙間を通り、アルミニウム被覆層が形成された。含浸完了、冷却後、型を解体し、Al−SiC系複合体からなる板状の放熱部品を作製した。
【0040】
Al−SiC系複合体の上面に形成されたアルミニウム被覆層の厚みを、底面に形成されたアルミニウム被覆層のそれより厚くして、凝固時の収縮差を著しくすることにより、底面が端部近傍から中央部に向かって凸状に突出するようにAl−SiC系複合体全体に反りを付与し底面を突出させた。
【0041】
このようにして、板状体の寸法および底面の突出量が異なる数種類のAl−SiC系複合体を作製した。
【0042】
そして、実施例1同様、半導体基板を接合する前および接合した後における、Al−SiC系複合体の底面の突出量を測定した。
【0043】
また、Al−SiC系複合体を破断して、半導体基板が接合される側の上面に形成されたアルミニウム被覆層と、底面に形成されたアルミニウム被覆層の厚みを測定した。
【0044】
表3に、Al−SiC系複合体の寸法(縦×横×厚み)、半導体基板の接合前後のAl−SiC系複合体の底面の突出量、上面および底面のアルミニウム被覆層の厚みを示す。表3において、No.31〜34は本発明例、No.35〜36は比較例である。
【0045】
【0046】
ここで、実施例1〜実施例3で得た本発明例および比較例のAl−SiC系複合体からなる放熱部品を用いて、半導体モジュール装置を組立て、両者の放熱性能を比較した。
【0047】
図4は、本発明例のAl−SiC系複合体からなる放熱部品を具備する半導体モジュール装置の一例を示す。図4において、上側は平面図、下側は縦断面図である。図4は本発明の最も特徴とするところを除いて図5と同様の構成である。半導体モジュール装置は、複数個の半導体チップ7を搭載した半導体基板2と、Al−SiC系複合体からなる板形状の放熱部品1と、ヒートシンクなどの支持部材5とから主に構成される。なお、図4ではアルミニウム被覆層11の図示を省略した。
【0048】
放熱部品1の半導体基板2が接合される側の主面8に半導体基板2をはんだ付けにより接合したとき、放熱部品1全体に中央部12ほど半導体基板2側に反る形で反りが発生した。本発明例の放熱部品1の場合、放熱部品1の底面が予め適度な突出量150〜500μmで凸状に突出しているため、半導体基板2の接合後は、放熱部品1の底面が突出量40〜120μmでわずかに凸状に反った形の平坦に近い状態になる。
【0049】
そして、この放熱部品1の底面と支持部材5の上面との間にグリースなどの緩衝剤を介在させた後、放熱部品1および支持部材5の所定の位置に数箇所設けた固定用穴3にボルトなどの固定部材4を装着して締め付けることにより、放熱部品1を支持部材5に固定した。
【0050】
半導体基板2を接合した後の放熱部品1の底面はわずかに凸状に反った形で平坦に近いため、放熱部品1と支持部材5の接合面間の中央部には空洞状の隙間が見られず、放熱部品1と支持部材5とが密接に接触して、半導体チップ7から発生した熱の外部への放熱を十分に行なえることを確認できた。
【0051】
一方、比較例の放熱部品の場合、半導体基板を接合した後の放熱部品の底面が逆に凹状に反ったため、放熱部品と支持部材の接合面間の中央部には空洞状の隙間が見られ、本発明例に比べて半導体チップから発生した熱の外部への放熱が不十分であった。
【0052】
【発明の効果】
本発明のAl−SiC系複合体によれば、Al−SiC系複合体からなる放熱部品と支持部材の間に隙間が生じることなく、半導体チップから発生した熱の外部への放熱が阻害されることなく、十分に放熱できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1のAl−SiC系複合体からなる放熱部品の縦断面図を示す。
【図2】本発明実施例2のAl−SiC系複合体からなる放熱部品の縦断面図を示す。
【図3】本発明実施例3のAl−SiC系複合体からなる放熱部品の縦断面図を示す。
【図4】本発明例のAl−SiC系複合体からなる放熱部品を具備する半導体モジュール装置の一例を示す。
【図5】従来のAl−SiC系複合体からなる放熱部品を具備する半導体モジュール装置の一例を示す。
【符号の説明】
1 放熱部品、 2 半導体基板、 3 固定用穴、 4 固定部材、 5 支持部材、
6 隙間、 7 半導体チップ、 8 半導体基板が接合される側の主面、
9 半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面、
10 Al−SiC複合本体部、 11 アルミニウム被覆層、
11a 上面に形成されたアルミニウム被覆層、
11b 底面に形成されたアルミニウム被覆層、
12 中央部、 13 端部
Claims (7)
- 半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmである板状体のAl−SiC系複合体であって、半導体基板を接合後、該半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面の突出量が40〜120μmになることを特徴とするAl−SiC系複合体。
- 半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmであるとともに、半導体基板が接合される側の主面が平坦状であることを特徴とするAl−SiC系複合体。
- 半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmであり、その突出は加熱しながら負荷を与えて塑性変形により付与されたことを特徴とするAl−SiC系複合体。
- 半導体基板が接合される側の主面と反対側の主面が、端部から中央部に向かって凸状に突出し、その突出量が150〜500μmであり、その突出は半導体基板が接合される側の主面に形成されるアルミニウム被覆層の厚みを、反対側の主面に形成されるそれより厚くすることにより付与されたことを特徴とするAl−SiC系複合体。
- Al−SiC系複合体が主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸して形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のAl−SiC系複合体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のAl−SiC系複合体からなることを特徴とする放熱部品。
- 請求項6に記載の放熱部品を具備することを特徴とする半導体モジュール装置。
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