JP2004017009A - 櫛目跡のでない櫛目ごて - Google Patents
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Abstract
【解決手段】櫛目部に特殊な形状を有する櫛目ごてを使用すること、より具体的には櫛目部2を有する本体部1と前記本体部を保持する握持部3からなる櫛目ごてであって、櫛目部を構成する櫛目の接地幅が0.50〜0.90mmであること等を特徴とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
床材の施工時に接着剤の塗布する目的で使用する櫛目ごてであって、床材施工後に前記床材の表面に現出する櫛目跡を防止し、さらに2箇所以上の櫛目部を設けることにより一の櫛目ごてで接着剤のオープンタイムを調整し、あるいは塗布量、床材等被着体等に対する貼付け時の接着剤のタック力(以下、単にタック力と記す。)等を適宜選択することが可能な櫛目ごてに関する。
【0002】
【従来の技術】
床タイル、床シート等の床材を施工する際には、接着剤を床下地に塗布し、貼着する方法が一般的に行われている。わが国では石材が高価なこともあり、よほどの重歩行でない限り、石材を床面には用いず、それ以外の場所では殆どが床材として、ポリ塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂等の合成樹脂からなる床材が用いられている。
【0003】
一方、建築業界では、合成樹脂からなるタイル、シート等の床材(以下、床材と記す。)を貼着するために塗布される接着剤は比較的粘度が高い上、床材との追従性、床下地の不陸への対応、及びオープンタイムや塗布量、タック力発現時間の調整等を目的として、接着剤の塗布部分が櫛目状になるように接着剤の塗布部分が櫛目状になった所謂櫛目ごてが用いられている。また、当該櫛目ごてを用いて、櫛目状に接着剤を塗布することにより、床下地の接着剤の均一塗布が容易になり、接着力を向上させるという効果があることも上記業界では周知である。
【0004】
しかしながら、従来の櫛目ごてでは上述した長所がある反面、施工後、特に施工から長期間経過した後に床材の表面に前記櫛目ごてで形成した接着剤の櫛目形状が現出することがしばしばあった。かかる現象は多くの床材が有する柔軟性に起因するものであり、床面の美観を損なうものとして改善が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、特開昭51−88825号公報に開示されているように、熱可塑性樹脂からなるタイルにおいて、当該床材の内部に白セメント、アルミナセメント等の水硬性材料を分散させることにより、外部の水分を前記水硬性材料が吸収して硬化し、タイル全体に適度な剛直性を付与することにより、タイル表面に接着剤の櫛目が現出することを抑制する技術が提供されている。
【0006】
しかしながら、上記技術において、水硬性材料として用いられる白セメント、アルミナセメント等は通常の床材に充填剤として用いられる炭酸カルシウムと比較して、遥かに高価であり、原材料価格を上昇させてしまうため、結果的に床材自体のコストを押し上げてしまうこととなり、経済的、実用的側面からの問題があった。
【0007】
また、前記技術を用いたタイルは施工前に吸収した水分によって、硬化することもあった。例えば、製造工程上、熱可塑性樹脂等をタイルに加工する場合には、加熱、加圧してシート化するが、当該シートをタイル状、即ち、一定の形状に打ち抜き等するためには十分に前記シートを冷却することが必要である。設備面、コスト面、及び生産の効率性等の観点から、一般的には前記シートを移送しながら水槽に浸漬させることにより、冷却する方法が用いられている。かかる、水冷方式ではシートを水に浸漬するため、通常、不可避的にタイル自体にある程度水を含んでしまう。従って、上記水性材料を混入させたタイルでは製造過程で前記水性材料が水分を吸収し、タイルが硬化してしまうことがある。また、当該タイルの硬化は、輸送時におけるタイルの損傷の原因となったり、施工時の作業性が悪い等、種々の問題を引き起こす可能性が高い。さらに、保管する際にも特段の処理、例えば、タイルをシュリンクパックで密封したり、或いは低湿度に調整された倉庫に保管する等しない限り、梅雨時期等の季節的要因やタイルの保管場所等により、タイルが水分を吸収し、硬化してしまうこともある。
【0008】
このように、上記の従来の技術では原材料単価を押上げてしまい、櫛目跡の防止効果を奏する為には、製造段階、保管段階等に特段の注意が必要であり、経済的側面、及び労力的側面から負担が大きく、さらなる改善が望まれていた。
【0009】
また、接着剤の塗布については、床材等、及び接着剤の種類、及び下地状況等により、下地に形成する接着剤の櫛山の幅、及び高さを増減する必要がある。かかる場合には従来は複数の櫛目ごてを準備し、作業者が所望の接着剤の櫛山を形成するために、適宜櫛目ごてを選択して接着剤を塗布しなければならなかったため、作業が煩雑になることが多かった。さらに、従来の櫛目ごては櫛目部を一箇所しか設けられておらず、しかもモルタル等粗面の下地上に塗布する際に使用されるため、櫛目部の摩耗は早く、短期間の使用で櫛目ごてが廃棄処分されているのも現状である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、櫛目部に特殊な形状を有する櫛目ごてを使用することにより、従来、床材の表面に接着剤の櫛目跡の現出を効果的に防止するものであり、より具体的には請求項1記載の発明は櫛目部を有する本体部と前記本体部の一部であり、接着剤等塗布の際、握持し、かつ櫛目部と対照に位置する部分である握持部からなる櫛目ごてであって、前記櫛目部を構成する櫛目が0.50〜0.90mmの接地幅と、1.40〜1.90mmの開口幅と、1.00〜1.20mmの目の深さを有することを特徴とした櫛目ごてを提供するものである。即ち、櫛目跡は櫛目ごてで塗布することにより形成した接着剤の縞状の形状が施工後の床材表面に現出する現象であり、前記接着剤の塗布されたときの形状に起因し、とりわけ、一定形状に形成された接着剤の塗布部分間の幅が関与している。従って、本請求項記載の発明は、使用する櫛目ごての櫛目部の接地幅を0.50〜0.90mmにすることにより、櫛目跡の現出を防止するものである。
【0011】
また、本発明櫛目ごての櫛目間の開口幅は1.40〜1.90mmである。櫛目跡が現出しない接着剤の塗布形状を形成するためには上述したように、接着剤の塗布部分間の幅が櫛目跡の現出には大きく関与しているが、接着剤の形状について、開口幅が広すぎた場合には、塗布すべき接着剤量が過多となり、余分な接着剤を使用することになり、経済的観点等から好ましくない。一方、前記開口幅が狭すぎた場合には接着剤の適切な塗布作業が円滑に行えないことがある。従って、本請求項記載の発明により、櫛目跡の現出防止の他、接着剤の適切な塗布量を確保し、経済性等に資するとともに、オープンタイム等をも調整可能であることから、作業性向上にも寄与することができる。
【0012】
さらに、本発明の櫛目ごての櫛目の各々の目の深さは1.00〜1.20mmである。櫛目ごての目の深さは塗布した接着剤の高さに影響し、塗布した接着剤の高さが過度となると、上記したのと同様、経済性等の観点から好ましくない。従って、本請求項記載の発明により、櫛目の深さを適度にすることで、櫛目跡の現出防止の他、接着剤の適切な塗布量を確保し、オープンタイム等をも調整することで経済性、作業性等に資することができる。
【0013】
請求項2記載の発明は請求項1の特徴に加え、本体部に2箇所以上の櫛目部を有した櫛目ごてであることを特徴とした櫛目ごてを提供するものである。本発明のように本体部に2箇所以上の櫛目部を設けることにより、接着剤の塗布作業の際にも使用する櫛目部を変更するだけで、塗布量を変更、及びオープンタイム、タック力発現時間の調整等することができる。また、2箇所以上の櫛目部を有しているため、一の櫛目部が摩耗のため、使用不能になった場合でも、他の櫛目部を使用することができるため、一つの櫛目ごての寿命を従来の櫛目ごての2倍以上伸ばすことも可能である。従って、本発明により、一の櫛目ごてで接着剤の塗布量の変更の他、オープンタイム、及びタック力発現時間の調整等可能であるし、櫛目ごて自体の寿命を長くすることもできる。
【0014】
請求項3記載の発明は請求項1、2の特徴に加え、握持部に握持部材を設けた櫛目ごてであって、前記櫛目ごての本体部、及び/又は握持部材に各々突出部、及び/又は係止部を形成し、前記突出部と係止部が互いに嵌合、及び/又は係止させるとともに、前記握持部材により前記本体部の表裏両面から狭持することにより、本体部から握持部材を脱着可能に設けたことを特徴とする櫛目ごてを提供するものである。尚、本明細書において、握持部材とは握持部に取り付ける部材をいうものとする。
【0015】
請求項4記載の発明は請求項1〜3の何れか一の特徴に加え、前記櫛目間の開口部が櫛目ごて本体部の内部方向に向かって収束した形状を有する櫛目ごてを提供するものである。櫛目ごての開口部の形状は接着剤の塗布形状や塗布作業性に影響する。従って、本請求項記載の発明により、櫛目間の開口部をが握持部方向に向かって収束した形状にすることにより、櫛目跡の現出防止の他、適切な塗布作業性等を確保できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。図1に本発明櫛目ごての一例の平面図を示す。図1に示すように、本発明櫛目ごては本体部1、当該本体部に形成された櫛目部2、及び握持部3から構成されている。本発明櫛目ごては本体部1に櫛目部2、及び握持部3を有していれば、特に形状は限定されないが、床面への接着剤塗布の作業性の観点から、図1に示すように握持部3から櫛目部2方向に広がっていく形状がより好ましい。例えば、壁面等のように床面に対し、直角、若しくは略直角に立ち上がっている箇所付近の床面に接着剤を塗布する場合には、握持部が前記壁面等に当ったり、引っかかったりすることがより容易に防止できるからである。また、握持部3は本体部の一部を握持部として形成してもよいし、別途部材を取り付けることにより握持部を設けてもよい。
【0017】
図2に本発明櫛目ごての櫛目部の一例の部分平面図を示す。wtは接地幅、woは開口幅を、hは櫛目の深さを示す。一般に櫛目ごては塗布した接着剤の形状を縞状に形成することを目的として使用される。床材を貼着する接着剤を縞状の形状に塗布する理由の一つは床材に貼着するために使用する接着剤は比較的粘度が高く作業者の塗布作業性を確保する必要があることが挙げられる。即ち、接着剤の塗布用具に櫛目状ではなく、ヘラ状の塗布用具を用いた場合には、接着剤の均一塗布が困難となる上、展延に多大な労力を要してしまう。また、櫛目ごてを使用して接着剤を縞状に形成するのは床材との追従性の確保、床下地の不陸への対応、及びオープンタイムの調整等も目的としている。従って、床材を貼着する際に接着剤を縞状に形成することは不可欠なこととなっているが、一方で床材の施工後、特に一定期間後に接着剤の櫛目が現出し、美観を著しく損なっているのも現状である。
【0018】
施工時の接着剤の塗布性、及び施工後の櫛目跡の現出に接地幅wtが大きく影響している。接地幅wtが広くなるほど塗布性は向上する傾向にあるが、広くなりすぎると接着剤の塗布量や後述する接着剤の縞状形状の形成状態が悪くなる等の問題が発生する可能性がある。また、接地幅wtは塗布後の縞状に形成された各々の接着剤間の幅に関係している。即ち、前記縞状に形成された接着剤間の幅を0.5〜0.9mmにすることにより、施工時の接着剤の塗布性を良好に保ち、施工後の床材表面に現出する櫛目跡を有効に防止することができる。床材の貼着用として使用される接着剤の粘度は通常、10000〜50000cpsであり、当該粘度を有する接着剤は接地幅wt0.50〜0.90mmの櫛目ごてを用いることにより、塗布後の接着剤間の幅を適正にし、施工後に現出する櫛目跡を効果的の防止することができる。
【0019】
また、櫛目ごてでは櫛目間の開口幅woも施工上、重要な要素となっている。開口幅woは各々縞状に形成した接着剤の幅に大きく影響する。さらに、前記接着剤の幅は接着剤の塗布量、さらには櫛目跡の発生、及び接着強度等に影響する。本発明櫛目ごての櫛目の開口幅woは1.40〜1.90mmが好ましい。前記開口幅woが1.40mmより小さくなると、接着剤の塗布の際、目詰まりが生じることがあり、接着剤を適切な縞状に形成することが困難となり、作業性の面で問題が生ずる可能性がある。一方、前記開口幅woが1.90mmより大きくなると接着剤の塗布量が過多となり、接着剤自体の乾燥遅延等により十分な接着力を発揮できない等の問題が生ずることがあり適切ではない。
【0020】
また、櫛目ごてにおいて、櫛目の目の深さhは各々縞状に形成した接着剤の高さに大きく影響する。前記接着剤の高さは接着剤の乾燥の早さ、及び施工後の床材表面に生じる櫛目跡の発生等に影響するため、本発明櫛目ごての各櫛目の目の深さhは1.00〜1.20mmが好ましい。前記櫛目の深さが1.00mmより小さくなると、接着剤の塗布の際、目詰まりが生じることがある上、接着剤を適切な縞状に形成することが困難となり、作業性の面で問題が生ずる可能性がある。一方、前記目の深さが1.20mmより大きくなると櫛目跡が発生することがあり適切ではない。
【0021】
さらに、前記櫛目間の開口部の形状については、接着剤が円滑に通過し、縞状の形状を形成することができれば、三角形、半円形、半楕円形等、特に限定はされないが、接着剤の塗布の際、接着剤と櫛目との間に抵抗を減少させ、接着剤を所望の縞状に円滑に形成するという観点から、櫛目間の開口部の形状については櫛目ごて本体部に向かって、徐々に収束していく形状、即ち、三角形の形状がより好ましい。
【0022】
また、櫛目ごての本体部に2箇所以上の櫛目部を設けることにより、櫛目ごての実用的利便性、及び櫛目ごて自体の寿命を飛躍的に伸ばすことができる。図3に本発明櫛目ごての他の一例の平面図を示す。図3には本体部に櫛目部を4箇所設けている。本発明櫛目ごて本体部に設ける櫛目部の数は2箇所以上であれば特に限定されないが、櫛目ごての使用容易性という観点から、同図に一例として示すように、四角形の本体部の各辺に一箇所、計4箇所設けることが好ましい。2箇所以上設けられる櫛目部の各々の櫛目の形状、すなわち、接地幅、開口幅、櫛目の深さ、及び開口部の形状の異同は目的に応じて任意に選択することができる。
【0023】
上記櫛目ごてにおいて、2箇所以上の櫛目部を設ける場合の実施形態では、本体部に設ける接地幅、開口幅、櫛目の深さ、及び開口部の形状等が異なる櫛目部を2箇所以上設けることにより、櫛目部の数だけ一の櫛目ごてで、異なった接着剤の塗布形状を得ることができ、その結果、接着剤のオープンタイム、塗布量、及びタック力発現時間の制御等が可能となる。また、本体部に接地幅、開口幅、櫛目の深さ、及び開口部の形状の同様の櫛目部を2箇所以上設けることにより、一の櫛目ごての寿命が延びることとなり、施工現場での櫛目ごてによる産業廃棄物の減少に質することができる。また、後述する脱着可能な握持部材を設けることにより、握持が容易になり、作業性を向上させることができる。
【0024】
本発明櫛目ごての握持部に脱着可能な握持部材を設けても良い。特に、上述したように本体部に2箇所以上の櫛目部を設けた場合、とりわけ図3に一例として示すように櫛目部を4箇所設けた場合のように、櫛目部が握持部となる場合、当該櫛目部を握持して接着剤の塗布作業を行うことは作業性の観点からも、安全上の観点からも好ましくない。塗布作業の際、櫛目ごてが握持しにくい上、前記櫛目ごての櫛目によって、握持している手を傷つけてしまうことがあるからである。
【0025】
本発明櫛目ごてに設ける脱着可能な握持部材の固定方法は脱着可能であって、接着剤の塗布作業中に外れたりしなければ特に限定されず、任意の公知の方法を用いることができる。具体的には突出部を係止部でもって係止することにより、又は突出部を嵌合部でもって嵌合することにより固定する。図4に係止部を設けた一例の握持部材の斜視図を、図5に前記握持部材の縦断面図を、図6に突出部を設けた一例の本体部の部分平面図を、図7に握持部材を本体部に係止させた際の一例の部分側面図を示す。
【0026】
図6に示すように、本体部の握持部に突出部11,11’が設けられている。一方、握持部に装着する握持部材には図4、及び5に示すように前記握持部に設けられた突出部11,11’を係止するための係止部が設けられている。前記握持部材に設けられた係止部5,5’6,6’は図4に示すように、両側に対になるように形成する方が、本体部と装着した際に当該本体部に設けられた突出部と握持部材に設けられた係止部により、前記突出部が係止部により係止されるとともに、前記握持部材において両側に設けられた係止部が前記本体部を挟着することができ、より安定して握持部材を装着、固定することができるとともに、脱着ができ非常に有用である。また、図5に示すように係止部は突出部を係止する部分に限らず、握持部材全幅に亘って設ける方が、また、直接突出部を係止しなくとも握持部を狭持する効果があるため、好ましい。
【0027】
さらに、図4に示すように握持部材に握持部の嵌挿部7を設けることにより、握持部に握持部材を装着した際の装着安定性がより向上する。即ち、図7に示すように、突出部14と係止部による係止、及び狭持効果に加え、前記嵌挿部を設けることにより、装着安定性が向上し、塗布作業の作業性等に寄与することができる。尚、握持部に係止部を、握持部材に突出部を設けてもよいし、握持部に係止部、及び突出部を、握持部材に前記係止部に係止される突出部、及び前記突出部を係止する係止部を設けても良い。また、上記係止部に代えて突出部と嵌合可能な嵌合部を設けることにより、握持部材を装着してもよい。嵌合部は突出部と嵌合し、かつ安定的に握持部に握持部材を装着できるものであればよく、公知の任意の形式、例えば突出部と嵌合する孔を設け、前記突出部を前記嵌合する孔に嵌め込んで握持部材を装着、固定する等であってもよい。
【0028】
また、本体部に2箇所以上の櫛目部を設けた櫛目ごての場合には、上述したように櫛目部が接着剤塗布作業の際、手で握る部分、即ち、握持部になることがあり、当該実施形態では上述したように本体部の握持部、握持部材に突出部、係止部等を設け、握持部材を脱着可能に設けることが作業者の安全性、及び作業効率の観点からより好ましい。図8に四角形の本体部に2箇所以上の櫛目部を設け、握持部となる部分に突出部を形成した櫛目ごての一例の平面図を示す。同図に示す櫛目ごては4箇所に櫛目部が設けられており、各々の櫛目部を使用する際の握持部、即ち、使用する櫛目部の対照位置にある櫛目部付近に係止するための突出部を設け、当該突出部と係止可能な係止部を有する握持部材を装着する。図9に本体部に2箇所以上の櫛目部を設け、前記本体部の突出部を設けた握持部に係止部を設けた握持部材を装着した状態の一例の平面図を示す。同図からも理解されるように、本体部に2箇所以上の櫛目部を有しており、かつ櫛目部が握持部となる場合においても握持部材を握持部に装着する形態は上述した実施形態と同様である。図9に示すように握持部に設けられた突出部17、17’を握持部材14に設けられた係止部15、16により係止するとともに、係止部により握持部を狭持することにより握持部材14を装着、固定する。図10に本体部に4箇所櫛目部を設けた櫛目ごての握持部に握持部材を装着、固定した状態の一例の部分側面図を示す。
【0029】
また、本体部に2箇所以上の櫛目部を設けた場合であっても、握持部材の握持部への装着、固定の形態は同様であり、握持部に突出部を係止部により、係止、固定してもよいし、又は、突出部、及び当該突出部に嵌合する嵌合部により、嵌着、固定してもよい。また、突出部、係止部、嵌合部は握持部材、及び本体部に握持部材が装着可能なように任意に設けることができる。
【0030】
【実施例】
1.塗布作業性試験
室温20±2℃、湿度65±10%の条件の下、床材の試料(2mm厚コンポジションタイル1(マチココーデラ−東リ製)、2mm厚コンポジションタイル2(A社製)、3mm鏡面プリントタイル1(メルストーン−東リ製)、3mm鏡面プリントタイル2(A社製)、接着剤(ゴム系ラテックス形接着剤(ロイヤルセメントS)、ビニル共重合樹脂系溶剤形(ゴーセイF)、ウレタン樹脂系溶剤形(USセメント)−以上、東リ製)、下地板(8mm厚フレキシブル板(900mm×1800mm))、櫛目ごて(本発明櫛目ごて、及び従来の櫛目ごて双方を含む24種類)、及びその他施工道具(100ポンドローラー)を24時間以上養生した。次に、各櫛目ごて(本発明櫛目ごてを含む24種類)を用いて、下地板全面に各接着剤を10回塗り重ねて塗布した。その際、▲1▼櫛目ごての扱い易さを官能により調べた。更に、各接着剤塗布後に、▲2▼櫛目ごての櫛目の詰まりの状況、及び▲3▼前記各接着剤の櫛目形状の形成状態、即ち、櫛目形状が均一に形成されるか否かを目視によって確認した。
評価は下記の基準で行った。
○〜良好である、△〜実用上十分使用可能な程度、×〜実用上問題が発生する可能性がある程度
2.櫛目発現試験
上記「塗布作業性試験」において、塗布した各接着剤を各々所定のオープンタイム放置後、床材の試料を前記接着剤塗布面に貼着させ、さらに、100ポンドローラーを2往復させることにより、圧着させた。その後、7日間養生した後、キャスター試験(DIN54325 Chair CasterTest)に準拠して床材に負荷をかけた。即ち、上記で得られた各床材上で鉄製脚輪(直径75mm、幅25mm)3輪に60kgの荷重をかけながら、前記脚輪を4時間正転、及び反転させた。前記キャスターによる負荷をかけた直後、7日間後、及び1ヶ月後に夫々、標準光源(3A型高演色形自然昼白色、Ra99、色温度5000K)の光線を床材の表面の照度が1000ルクスになるように直下照射し、45°の角度で立視点から、及び標準光源を30°の角度から照射し、30°の角度で立視点から斜視し、櫛目発現状況を観察した。
評価は下記の基準で行った。
○〜キャスターによる負荷直後、7日後、及び1ヶ月後の何れの時点においても櫛目は全く認められない、△〜キャスターによる負荷直後、7日後、及び1ヶ月後の何れかの時点で櫛目がごく僅か認められるが、実用上問題にならない程度、×〜キャスターによる負荷直後、7日後、及び1ヶ月後の何れかの時点で櫛目が認められ、実用上問題が発生する可能性がある程度
3.接着剤塗布量
300mm角の表面が平滑、かつ接着剤が浸透しない塩ビ製の板を下地板として用い、当該下地板について、接着剤塗布前の重量、及び接着剤塗布後の重量を測定し、櫛目ごての従来品の塗布量を1.00とした場合の相対値で本発明櫛目ごてによる接着剤の塗布重量を示した。
上記、塗布作業性試験、櫛目発現試験、及び接着剤塗布量各試験結果は表1に示す。
【表1】
表1より次のことが導出される。接地幅が0.50mm未満、又は0.90mmを超えると櫛目発現抑止効果がなくなった。さらに、0.50mm未満では目詰まり等が起こり、塗布作業性を低下させてしまうことが分かった。また、開口幅については1.40mm未満では塗布作業性を低下させてしまった。一方、1.70mmを超えると塗布作業性は良いが、櫛目発現抑止効果がなくなってしまう。さらに、櫛目の深さが1.20mmを超えると塗布作業性は問題ないが、櫛目発現抑止効果がなくなってしまう。また、接着剤塗布量についても、従来品と同等の塗布量が確保できる他、若干少ない塗布量をも選択することができる。
4.接着性試験
接着性試験としてオープンタイムの測定、並びに接着強度、及びその剥離状態を調査した。本発明櫛目ごて(接地幅:0.8mm、開口幅:1.6mm、目の深さ:1.0mm)、及び従来の汎用的櫛目ごて(接地幅:3.0mm、開口幅:2.0mm、目の深さ:2.0mm、以下、単に従来品と記す。)を用いて接着剤を塗布した場合のオープンタイムを測定した。
オープンタイムの測定は次の方法で行った。まず、繊維強化セメント板(JISA5403に規定する厚さ8mmのもので大きさが50mm×300mm。以下、セメント板と記す。)を80℃のオーブンで8時間加熱した後、当該繊維強化セメント板を櫛目ごて、繊維強化セメント板(JISA5403に規定する厚さ8mmのもので大きさが50mm×300mm)、被着体(2mm厚コンポジションタイル(マチココーデラ−東リ製))、接着剤(ウレタン樹脂系溶剤形(USセメント−東リ製))、ゴム系ラテックス形(ロイヤルセメントS−東リ製))、分銅(1kg)とともに5±1℃、湿度50±10%の条件の下、24時間養生した。次に、セメント板に所定の接着剤を均一に塗布し、15分毎に前記塗布した接着剤の表面を人差し指で触れ、接着剤塗布から接着剤が指に付着しなくなるまでの時間をオープンタイムとした。一方、同様に接着剤を塗布し、15分毎に25mm×200mmの被着体を櫛目に直角に載置し、分銅で一定時間荷重をかけて貼着し、オートグラフで前記被着体の端部を直角に引張ったときの強度を測定し、タック力とした。
接着強度、及びその剥離状態は接着剤としてウレタン樹脂系溶剤形(USセメント−東リ製)を使用し、JISA5536の引張り接着強さに準じて行った。また、本試験における接着剤塗布量は上記接着剤塗布量の測定法に準じた。
以上、オープンタイム、及び接着強度の測定結果は各々表2、3に示し、タック力の推移のグラフは表4に示した。
【表2】
表2より、本発明櫛目ごての使用により、従来品と比較してオープンタイムが大幅に短縮される。従って、接着剤塗布後、オープンタイムを待つことなく床材等の施工作業が可能となり、作業効率を大幅に向上させることができる。
【表3】
表3より、本発明櫛目ごてを使用することにより、従来品を使用した場合と比較して、少ない接着剤量でより強い接着強度が得られ、接着剤の塗布量の節減にも寄与することができ、経済的にも非常に有用である。
【表4】
表4のグラフより、本発明櫛目ごて(実施例)を用いることにより、従来品(比較例)と比較して、タック力の向上が顕著であり、短時間で十分なタック力を得ることができた。具体的には、1.50N/cm2のタック力を得るために、本発明櫛目ごてでは30分足らずで済むのに対し、従来品では約75分も要した。また、タック力の強度面に対しても、本発明櫛目ごてを用いることにより、3.50N/cm2を超えるタック力が得られるのに対し、従来品では2.50N/cm2を僅かに超える強度に止まった。さらに、従来品ではタック力の減衰が約90分で生じるのに対し、本発明櫛目ごてでは約125分からタック力の減衰が生じ、タック力の保持性という点でも極めて優れていた。上記より、本発明櫛目ごてを使用することにより、早期に十分なタック力が得られ、かつその減衰が遅いため、安定した施工作業という観点から非常に有用である。
【0031】
【発明の効果】
本発明は以上のように実施され、以下のような効果を奏する。
本発明櫛目ごてを使用することにより、施工後の床材に櫛目跡が現出しなくなり、美観が著しく向上し、非常に有益である。また、とりわけ特殊な構成部分を付加する必要はなく、形状面において、単に櫛目の接地幅等の長さを変更するだけで得られ、従来の櫛目ごてと比較してコスト的にも不利な部分はない。また、当該櫛目ごてをまた、接着剤塗布作業においても、作業性を低下させることはない。さらに、本発明櫛目ごてを使用することにより、縞状に形成される接着剤の形状を変更することにで、接着剤の塗布量を変えることも、また塗布量を変えずにオープンタイムを短くする等調整することによる床材の施工作業の効率向上も可能であり、従来と比較してが接着剤の塗布量が多くなる等の経済的不利益はなく、むしろ少ない塗布量でより強い接着力を得ることができる。
【0032】
また、本発明櫛目ごてにより接着剤塗布後、従来の櫛目ごてと比較して、早期により強いタック力が出現し、かつタック力の減衰が遅いという点でも、施工作業の容易化・効率化に寄与することができる。
【0033】
本発明櫛目ごての櫛目の接地幅、開口幅、及び櫛目の深さを適宜選択することにより、従来の櫛目ごてと比較して、少ない接着剤塗布量で、より優れた接着強度が得られ、使用する接着剤量の節減等経済面での効果のみならず、接着剤の性能をもより引き出せることもあり実用上非常に有益である。
【0034】
また、従来の技術と比較した場合、本発明櫛目ごてを使用することにより、床材自体に特殊な原材料を混入させる必要はなく、床材の原材料コストを押上げてしまうこともない。また、従来技術のように床材の製造工程上、床材となるシートを水冷することができないといった製造上の自由度が制限されたり、製造後の床材を保管する環境を前記床材が水分を吸収しないように管理する必要があり、今まで不要であったコストや労力を費やす必要が全くなく、本発明櫛目ごてはかかる点においても非常に優れている。
【0035】
また、本発明櫛目ごては握持部を脱着可能に設けることにより、櫛目ごてを廃棄する際、握持部を脱着、櫛目ごて本体部のみを廃棄することとなるため、櫛目ごての廃棄量の減少に寄与することもできる。さらに、後述する一の櫛目ごてに櫛目部を2箇所以上設ける実施形態の場合にはかかる握持部を設けることにより、取り扱い易さが向上するだけでなく、櫛目部を有する部分に握持部を脱着可能にすることにより、前記実施形態における実用的利便性が向上する。
【0036】
また、2箇所以上の櫛目部を櫛目ごての本体部に設けた本発明櫛目ごてにより、従来の櫛目ごてと比較して、遥かに櫛目ごて自体の寿命を長くすることができる。即ち、従来は櫛目の摩耗等により、早期に廃棄処分されていたが、2箇所以上の櫛目部を櫛目ごての本体部に設け、一の櫛目部が摩耗した場合に他の櫛目部を使用することにより、従来の櫛目ごてと比較して単純に2倍以上の寿命を有することになり、施工現場での櫛目ごての廃棄物減少に大きく貢献することができる。
【0037】
さらに、本発明櫛目ごて本体部に設けられる2箇所以上の櫛目部の櫛目の大きさ等を各々変えることにより、接着剤の塗布量、を一の櫛目ごてで適宜変更することができ、従来のように、施工作業者が複数の櫛目ごてを所持し、その都度櫛目ごてを取り替えて塗布作業をする必要もなく、前記作業者の作業効率向上に寄与することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明櫛目ごての一例の平面図である。
【図2】本発明櫛目ごての櫛目部の一例の部分平面図を示す。
【図3】本体部に4箇所の櫛目部を設けた本発明櫛目ごての一例の平面図である。
【図4】係止部を設けた一例の握持部材の斜視図である。
【図5】握持部材の一例の縦断面図である。
【図6】本発明櫛目ごてであって、突出部を設けた握持部の一例の部分平面図である。
【図7】本発明櫛目ごてであって、握持部材を本体部の握持部に係止させた状態を示す一例の部分側面図である。
【図8】本発明櫛目ごての他の実施形態であって、本体部に2箇所以上の櫛目部を設け、握持部となる部分に突出部を形成した櫛目ごての一例の平面図を示す。
【図9】本発明櫛目ごての他の実施形態であって、本体部に2箇所以上の櫛目部を設け、前記本体部の突出部を設けた握持部に係止部を設けた握持部材を装着した状態を示す一例の平面図である。
【図10】本発明櫛目ごての他の実施形態であって、本体部に2箇所以上の櫛目部を設け、前記本体部の突出部を設けた握持部に係止部を設けた握持部材を装着した状態を示す一例の部分側面図である。
【符号の説明】
1 本体部
2 櫛目部
3、13、21 握持部
5、5’、6、6’、9、10 係止部
7 嵌挿部
11、11’、14、22、23突出部
12、20 握持部材
Claims (4)
- 櫛目部を有する本体部と前記本体部を保持する握持部からなる櫛目ごてであって、前記櫛目部を構成する櫛目が0.50〜0.90mmの接地幅と、1.40〜1.90mmの開口幅と、1.00〜1.20mmの目の深さを有することを特徴とした櫛目ごて。
- 本体部に2箇所以上の櫛目部を有した櫛目ごてであることを特徴とした請求項1の櫛目ごて。
- 握持部に握持部材を設けた櫛目ごてであって、前記櫛目ごての本体部、及び/又は握持部材に各々突出部、及び/又は係止部を形成し、前記突出部と係止部が互いに嵌合、及び/又は係止させるとともに、前記握持部材により前記本体部の表裏両面から狭持することにより、本体部から握持部材を脱着可能に設けたことを特徴とする請求項1、又は2記載の櫛目ごて。
- 前記櫛目間の開口部が櫛目ごて本体部の内部方向に向かって収束した形状を有する請求項1〜3の何れか一に記載の櫛目ごて。
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Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2015090068A (ja) * | 2013-11-05 | 2015-05-11 | ザ・ボーイング・カンパニーTheBoeing Company | 鏝 |
| CN110905178A (zh) * | 2019-12-09 | 2020-03-24 | 浙江亚厦装饰股份有限公司 | 一种刮板及其薄法施胶的方法 |
-
2002
- 2002-06-20 JP JP2002179415A patent/JP2004017009A/ja active Pending
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