JP2004010395A - ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶及びそれを用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ファラデー回転角の温度依存性の増大等を抑制しつつ飽和磁界を低減できる磁性ガーネット単結晶及びそれを用いた光学素子を提供する。
【解決手段】LPE法により育成され、(BixTb3−x−y−zYbyMz)(Fe5−a−b−cGaaGebNc)O12(ただし、MはBi、Tb、Ybを置換し得る1種類以上の元素、NはSi、Ti、Ptから選択される1種類以上の元素であり、1.0≦x≦1.4、0<y≦0.5、0≦z≦0.1、0.4≦a≦0.8、0<b≦0.1、0≦c≦0.1)で示されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いる。光アイソレータ100は、上記ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶で作製したファラデー回転子1を有している。ファラデー回転子1の光入射側には偏光子8が配置され、光射出側には検光子10が配置されている。
【選択図】 図1
【解決手段】LPE法により育成され、(BixTb3−x−y−zYbyMz)(Fe5−a−b−cGaaGebNc)O12(ただし、MはBi、Tb、Ybを置換し得る1種類以上の元素、NはSi、Ti、Ptから選択される1種類以上の元素であり、1.0≦x≦1.4、0<y≦0.5、0≦z≦0.1、0.4≦a≦0.8、0<b≦0.1、0≦c≦0.1)で示されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いる。光アイソレータ100は、上記ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶で作製したファラデー回転子1を有している。ファラデー回転子1の光入射側には偏光子8が配置され、光射出側には検光子10が配置されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飽和に要する磁界が小さいビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶及びそれを用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子(光アイソレータ、光サーキュレータ、光スイッチ、光アッテネータなど)に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザを用いた光通信や光応用機器には光アイソレータ、光サーキュレータなどが広く使われている。これらのデバイスに必須な素子の一つとしてファラデー回転子が挙げられる。ファラデー回転子にはYIG(イットリウム鉄ガーネット)単結晶、ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶が知られているが、現在では液相エピタキシャル法(LPE法)により育成されたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を用いたファラデー回転子が主流になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
偏波依存型光アイソレータは、半導体レーザと一体化したいわゆる半導体レーザモジュールとして用いられることから、小型化が強く求められている。光アイソレータの小型化にはファラデー回転子を磁気的に飽和させるための円筒形の永久磁石を小型化することが有効である。しかし、永久磁石を小型化すると円筒形の永久磁石の内部における磁界が弱くなるので、弱い外部磁界でも磁気的に飽和するファラデー回転子が必要となる。
【0004】
すなわち、永久磁石を小型化するためには、ファラデー回転子に用いられるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の飽和に要する磁界を小さくすることが必要である。ところが、現在標準的に用いられているファラデー回転子の飽和磁界は約1000(Oe)と非常に大きい。
【0005】
そこで、例えば、特開平11−1394号公報には、光アイソレータを小型化するための低飽和ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜が開示されている。上記公報では、液相エピタキシャル成長法により育成され、一般式がTb3−xBixFe5−y−zGayAlzO12(ただし、1.25<x<1.40、0.5<y+z<0.65、0.45<z/y<0.75)で示され、350Oe以下の低飽和磁界で十分なファラデー回転角が得られる低飽和ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜が提案されている。
【0006】
上記のようにFeの一部をAlやGaなどの非磁性元素で置換すると飽和磁界を低減するには有効であるが、一方でファラデー回転角の温度依存性が増大したり、ファラデー回転能(単位厚さ当りのファラデー回転角)が低下して膜厚が増加してしまったり、エピタキシャル膜育成時の割れが多発したり、あるいは消光比が悪化したり挿入損失が増加したりする等の問題が生じ易くなる。
【0007】
本発明の目的は、ファラデー回転角の温度依存性が増大したり、ファラデー回転能が低下したりせず、また消光比が悪化したり挿入損失が増加したりすることなく、飽和に要する磁界を低減させることができるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶及びそれを用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、液相エピタキシャル成長法により育成され、一般式が(BixTb3−x−y−zYbyMz)(Fe5−a−b−cGaaGebNc)O12(ただし、MはBi、Tb、Ybを置換し得る1種類以上の元素、NはSi、Ti、Ptから選択される1種類以上の元素であり、1.0≦x≦1.4、0<y≦0.5、0≦z≦0.1、0.4≦a≦0.8、0<b≦0.1、0≦c≦0.1)で示されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶によって達成される。
【0009】
また、上記目的は、上記本発明のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶で作製され、飽和磁界が100(Oe)以上500(Oe)以下であることを特徴とするファラデー回転子によって達成される。
【0010】
さらに、上記目的は、上記本発明のファラデー回転子と、前記飽和磁界を前記ファラデー回転子に印加する磁気回路とを有することを特徴とする光学素子によって達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶及びそれを用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子について以下に表1乃至表4及び図1、図2を用いて説明する。まず、飽和磁界を低減するには、鉄(Fe)の一部を非磁性元素であるGaやGeで置換することが有効である。ところが、多量の非磁性元素の置換に伴ってファラデー回転角の温度依存性が大きくなるために、光アイソレータの性能に影響を与える。特に光通信用レーザモジュールで用いられる光アイソレータに使用するには飽和磁界の低下に伴う温度依存性の増加は問題となるが、特公平3−69847号公報に記載されているように、ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜において希土類元素にTbを選択するとファラデー回転子の温度依存性が小さくなり有効である。
【0012】
また、Feの一部を多量の非磁性元素で置換するとファラデー回転能が小さくなるために、ファラデー回転子の厚さが増加する。ファラデー回転能を大きくし、厚さの増加を抑えるには、ビスマス置換量を増やすことが有効である。しかし、ビスマス置換量が多くなるとビスマスのイオン半径が大きいが故に格子定数も大きくなり、結局基板との格子整合が取れず割れや結晶欠陥が多発し、単結晶膜を育成するのが困難になる。
【0013】
そこでTbイオンの一部をよりイオン半径の小さなYbイオンで置換することにより、エピタキシャル膜と基板の格子定数を一致させながらBi置換量を増やすことが可能となる。また、YbイオンはTbイオンと置換し得る希土類元素イオンの中でもイオン半径は小さいため、TbイオンをYbイオンで置換した場合でも温度特性の改善に有効な元素であるTbイオン量の減少を最小に抑えることができ、飽和磁界の低減に伴うファラデー回転子の温度特性の悪化を最小限に抑えることができる。さらにYbは光通信で使用される波長である1300nmから1650nmの帯域で光吸収がないためファラデー回転子の挿入損失の増加を抑える点でも有効な元素である。すなわち、低飽和磁界のファラデー回転子を作製するに当り、Ybは、Tb及びBiと組み合わせることでファラデー回転能を大きくできること、温度特性の悪化を最小限に抑えられること、挿入損失を増加させないこと等の点で極めて優れた元素である。
【0014】
さらに、特公平6−46604号公報に記載されているように、Geなどの四価元素を置換することによってガーネットに起因する光吸収を低減でき、挿入損失を小さくすることができる。
【0015】
また、Geイオンはガーネット型構造の結晶ではaサイトもしくはdサイトのFeイオンと置換されるため、ファラデー回転子の飽和磁界を低減する点でも有効な元素である。
【0016】
以上のようにFeの一部をGaやGeで置換することによって飽和磁界を低減でき、Ge置換では挿入損失も低減することができる。また主たる希土類元素にTbを選択するとファラデー回転角の温度依存性を良好に保つことができる。そしてTbの一部をYbで置換することにより挿入損失の増加を抑えながら、ガーネット単結晶膜の格子定数ならびにBi置換量を制御できるためにファラデー回転能を制御でき、ファラデー回転子に必要とされる磁気光学特性を満たすことが可能となる。
【0017】
すなわち、本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶は、液相エピタキシャル成長法によって育成され、一般式が(BixTb3−x−y−zYbyMz)(Fe5−a−b−cGaaGebNc)O12(ただし、MはBi、Tb、Ybを置換し得る1種類以上の元素、NはSi、Ti、Ptから選択される1種類以上の元素であり、1.0≦x≦1.4,0<y≦0.5、0≦z≦0.1、0.4≦a≦0.8、0<b≦0.1、0≦c≦0.1)で示される。本実施の形態のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いて飽和磁界の小さいファラデー回転子を実現できる。
【0018】
本実施の形態のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶において、xが1.0未満になるとファラデー回転能が小さくなるため製品厚さが厚くなったり、エピタキシャル膜の育成中に割れが多発したり、また、消光比が低下したり挿入損失が増加したりするので好ましくない。また、xが1.4を越えると非磁性ガーネット基板との格子定数のマッチングが困難になる上、育成中の融液にエピタキシャル成長以外の結晶成長が起きて結晶欠陥の原因となることから好ましくない。
【0019】
yが0.5を越える条件でエピタキシャル膜と基板の格子定数を一致させるとBi量が1.4を超えることになるため好ましくない。またMはたとえばPbやCa、あるいは他の希土類元素でありファラデー回転子の特性の調整に有効である。しかし、zが0.1を越えると、挿入損失や温度特性などの特性が悪化するため好ましくない。
【0020】
aが0.4未満であると飽和磁界が大きくなり、0.8を超えるとファラデー回転角の温度係数が大きくなり、ファラデー回転能が低下するため好ましくない。また、bが0.1を越えると挿入損失が大きくなるため好ましくない。さらに、Ptに代表されるNの量cが0.1を越えるとやはり挿入損失が大きくなるために好ましくない。
【0021】
以下、本実施の形態に係るビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶及びそれを用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子の具体的実施例として、実施例1乃至8及び比較例1及び2について表1乃至表4及び図1を参照しつつ説明する。
(実施例1)
酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を26.042g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を5.490g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を4.776g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を110.47g、酸化鉛(PbO,3N)を2575.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2016.4g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を25.165g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を335.90g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して撹件を行い均質化した後、780℃まで温度を下げた。その後3インチφ(直径)の(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=l.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら36時間膜成長を行ったところ、580μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0022】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.(度)となるように表面および裏面(GGG基板のあった側)を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜(ARコート)を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0023】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表1に示すように、(Bi1.05Tb1.66Yb0.24Pb0.05)(Fe4.55Ga0.41Ge0.02Pt0.02)O12であった。
【0024】
【表1】
【0025】
また表2に示すように、飽和に要する磁界は452Oe、膜厚446μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.060deg./℃となった。
【0026】
【表2】
【0027】
(実施例2)
実施例1と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を26.239g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を4.426g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を4.776g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を110.47g、酸化鉛(PbO,3N)を2575.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2016.4g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を31.039g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を330.89g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して撹伴を行い均質化した後、780℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495n m)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら36時間膜成長を行ったところ、580μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0028】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0029】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表1に示すように、(Bi1.04Tb1.72Yb0.19Pb0.05)(Fe4.47Ga0.49Ge0.02Pt0.02)O12であった。
【0030】
また表2に示すように、飽和に要する磁界は347Oe、膜厚450μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.062deg./℃となった。
【0031】
(実施例3)
実施例1及び2と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を26.239g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を4.426g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を4.776g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を110.47g、酸化鉛(PbO,3N)を2575.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2016.4g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を33.554g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を328.72g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、780℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら36時間膜成長を行ったところ、580μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0032】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0033】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表1に示すように、(Bi1.07Tb1.69Yb0.19Pb0.05)(Fe4.42Ga0.53Ge0.02Pt0.03)O12であった。
【0034】
また表2に示すように、飽和に要する磁界は291Oe、膜厚459μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.063deg./℃となった。
【0035】
(実施例4)
実施例1乃至3と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を23.403g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を5.921g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を4.776g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を110.47g、酸化鉛(PbO,3N)を2575.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2016.4g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を37.750g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を325.19g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、770℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=l.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら36時間膜成長を行ったところ、580μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0036】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表1に示すように、(Bi1.13Tb1.56Yb0.26Pb0.05)(Fe4.36Ga0.59Ge0.02Pt0.03)O12であった。
【0037】
また表2に示すように、飽和に要する磁界は291Oe、膜厚429μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.064deg./℃となった。
【0038】
(実施例5)
実施例1乃至4と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を23.359g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を6.895g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を4.776g、酸化ホウ素(B203,3N)を110.47g、酸化鉛(PbO,3N)を2575.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2016.4g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を50.306g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を314.30g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、770℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら34時間膜成長を行ったところ、580μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0039】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0040】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表1に示すように、(Bi1.17Tb1.48Yb0.29Pb0.06)(Fe4.21Ga0.74Ge0.02Pt0.03)O12であった。
【0041】
また表2に示すように、飽和に要する磁界は151Oe、膜厚441μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.065deg./℃となった。
【0042】
(比較例1)
実施例1乃至4と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を33.758g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を1.424g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を4.777g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を110.47g、酸化鉛(PbO,3N)を2575.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2016.4g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を357.33g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、800℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=l.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら41時間膜成長を行ったところ、630μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0043】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0044】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表1に示すように、(Bi0.90Tb2.00Yb0.05Pb0.05)(Fe4.96Ge0.02Pt0.02)O12であった。
【0045】
また表2に示すように、飽和に要する磁界は830Oe、膜厚517μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.045deg./℃となった。
【0046】
(実施例6)
実施例1乃至5と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を25.145g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を4.241g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を3.914g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を109.69g、酸化鉛(PbO,3N)を2557.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2002.3g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を36.654g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を359.10g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、790℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら39時間膜成長を行ったところ、620μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0047】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0048】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表3に示すように、(Bi1.18Tb1.59Yb0.18Pb0.05)(Fe4.45Ga0.51Ge0.02Pt0.03)O12であった。
【0049】
【表3】
【0050】
また表4に示すように、飽和に要する磁界は322Oe、膜厚450μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.062deg./℃,挿入損失は0.09dBとなった。
【0051】
【表4】
【0052】
(実施例7)
実施例1乃至6と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を25.145g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を4.241g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を6.523g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を109.69g、酸化鉛(PbO,3N)を2557.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2002.3g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を36.654g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を359.10g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、790℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら39時間膜成長を行ったところ、620μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0053】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0054】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表3に示すように、(Bi1.19Tb1.58Yb0.17Pb0.06)(Fe4.45Ga0.50Ge0.03Pt0.02)O12であった。
【0055】
また表4に示すように、飽和に要する磁界は307Oe、膜厚464μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.062deg./℃、挿入損失は0.06dBとなった。
【0056】
(実施例8)
実施例1乃至7と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を25.145g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を4.241g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を10.230g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を109.69g、酸化鉛(PbO,3N)を2557.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2002.3g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を36.654g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を359.10g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、790℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら39時間膜成長を行ったところ、620μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0057】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0058】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表3に示すように、(Bi1.19Tb1.58Yb0.18Pb0.05)(Fe4.44Ga0.49Ge0.05Pt0.02)O12となった。
【0059】
また表4に示すように、飽和に要する磁界は277Oe、膜厚469μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.062deg./℃、挿入損失は0.10dBとなった。
【0060】
(比較例2)
実施例1乃至8と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を25.145g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を4.241g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を109.69g、酸化鉛(PbO,3N)を2557.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2002.3g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を36.654g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を359.10g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、790℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら39時間膜成長を行ったところ、620μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0061】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0062】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表3に示すように、(Bi1.18Tb1.59Yb0.18Pb0.05)(Fe4.46Ga0.52Pt0.02)O12であった。
【0063】
また表4に示すように、飽和に要する磁界は352Oe、膜厚446μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.062deg./℃、挿入損失は0.25dBとなり、Ge無添加では飽和に要する磁界および挿入損失が大きくなることがわかった。
【0064】
以上説明したように本実施の形態によれば、実施例1乃至8から明らかなようにGa置換量を0.4以上0.8以下にすると、ファラデー回転角の温度係数を悪化させずに光アイソレータ等に利用されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の飽和磁界を低減することができる。本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いることにより、飽和磁界が100(Oe)以上500(Oe)以下のファラデー回転子が得られる。このため、小型の永久磁石でファラデー回転子に飽和磁界を印加することが可能になり、光学素子の小型化が可能になる。
また実施例6乃至8から明らかなようにGe置換量を0.02以上0.05以下にすると挿入損失が0.1(dB)以下となり、挿入損失および飽和磁界を低減することができる。
【0065】
次に、本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子としての光アイソレータ100の概略の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施例に係る光アイソレータ100の概略構成を示している。図1において、光アイソレータ100は、本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いたファラデー回転子1を有している。ファラデー回転子1の光入射側には偏光子8が配置され、ファラデー回転子1の光射出側には検光子10が配置されている。
【0066】
ファラデー回転子1に飽和磁界を印加して所定のファラデー回転角を付与するために磁気回路が設けられている。磁気回路は、一組のリング型永久磁石2、4を有している。リング型永久磁石2、4はファラデー回転子1の入射光Iiの入射側と射出光Ioの射出側とに磁極を揃えて配置されている。リング型永久磁石2、4によりファラデー回転子1に対して光の入射出方向に飽和磁界が印加される。光アイソレータ100のファラデー回転子1は、本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いることにより100(Oe)以上500(Oe)以下の飽和磁界が得られている。このため、リング型永久磁石2、4が小型であってもファラデー回転子1に十分な飽和磁界を印加することが可能になる。
【0067】
次に、本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶で作製されたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子としての光アッテネータ110の概略の構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る光アッテネータ110の概略構成を示している。図2において、光アッテネータ110は、本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶で作製されたファラデー回転子1を有している。ファラデー回転子1の光入射側には光の入射順に偏光子8と旋光子12が配置され、ファラデー回転子1の光射出側には検光子10が配置されている。ファラデー回転子1に飽和磁界を印加して所定のファラデー回転角を付与するために磁気回路が設けられている。磁気回路は、リング型永久磁石2、4を有しており、ファラデー回転子1の入射光Iiの入射側と射出光Ioの射出側に一組のリング型永久磁石2、4が磁極を揃えて配置されている。これらリング型永久磁石2、4により光の入射出方向に固定磁界が印加される。
【0068】
また、ファラデー回転子1に対して固定磁界の方向とほぼ直交する方向に可変磁界を印加する電磁石6が配置されている。可変磁界の強度は電磁石6のコイル(不図示)に流す電流を変化させることにより制御できる。可変磁界の強度を変化させることによりファラデー回転角を制御して射出光量の減衰率を制御することができる。本実施の形態による光アッテネータ110は、上記実施例に基づくビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶で作製され、飽和磁界が100(Oe)以上500(Oe)以下のファラデー回転子1を有している。このため、小型のリング型永久磁石2、4でファラデー回転子1に飽和磁界を印加することが可能になる。
【0069】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、飽和に要する磁界を低減させても、ファラデー回転角の温度依存性が増大せず、ファラデー回転能も低下せず、消光比も悪化せず、挿入損失も増加しないビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶及びそれを用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いたファラデー回転子及びそれを用いた光アイソレータの概略の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いたファラデー回転子及びそれを用いた光アッテネータの概略の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ファラデー回転子
2、4 リング型永久磁石
6 電磁石
8 偏光子
10 検光子
12 旋光子
100 光アイソレータ
110 光アッテネータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、飽和に要する磁界が小さいビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶及びそれを用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子(光アイソレータ、光サーキュレータ、光スイッチ、光アッテネータなど)に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザを用いた光通信や光応用機器には光アイソレータ、光サーキュレータなどが広く使われている。これらのデバイスに必須な素子の一つとしてファラデー回転子が挙げられる。ファラデー回転子にはYIG(イットリウム鉄ガーネット)単結晶、ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶が知られているが、現在では液相エピタキシャル法(LPE法)により育成されたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を用いたファラデー回転子が主流になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
偏波依存型光アイソレータは、半導体レーザと一体化したいわゆる半導体レーザモジュールとして用いられることから、小型化が強く求められている。光アイソレータの小型化にはファラデー回転子を磁気的に飽和させるための円筒形の永久磁石を小型化することが有効である。しかし、永久磁石を小型化すると円筒形の永久磁石の内部における磁界が弱くなるので、弱い外部磁界でも磁気的に飽和するファラデー回転子が必要となる。
【0004】
すなわち、永久磁石を小型化するためには、ファラデー回転子に用いられるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の飽和に要する磁界を小さくすることが必要である。ところが、現在標準的に用いられているファラデー回転子の飽和磁界は約1000(Oe)と非常に大きい。
【0005】
そこで、例えば、特開平11−1394号公報には、光アイソレータを小型化するための低飽和ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜が開示されている。上記公報では、液相エピタキシャル成長法により育成され、一般式がTb3−xBixFe5−y−zGayAlzO12(ただし、1.25<x<1.40、0.5<y+z<0.65、0.45<z/y<0.75)で示され、350Oe以下の低飽和磁界で十分なファラデー回転角が得られる低飽和ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜が提案されている。
【0006】
上記のようにFeの一部をAlやGaなどの非磁性元素で置換すると飽和磁界を低減するには有効であるが、一方でファラデー回転角の温度依存性が増大したり、ファラデー回転能(単位厚さ当りのファラデー回転角)が低下して膜厚が増加してしまったり、エピタキシャル膜育成時の割れが多発したり、あるいは消光比が悪化したり挿入損失が増加したりする等の問題が生じ易くなる。
【0007】
本発明の目的は、ファラデー回転角の温度依存性が増大したり、ファラデー回転能が低下したりせず、また消光比が悪化したり挿入損失が増加したりすることなく、飽和に要する磁界を低減させることができるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶及びそれを用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、液相エピタキシャル成長法により育成され、一般式が(BixTb3−x−y−zYbyMz)(Fe5−a−b−cGaaGebNc)O12(ただし、MはBi、Tb、Ybを置換し得る1種類以上の元素、NはSi、Ti、Ptから選択される1種類以上の元素であり、1.0≦x≦1.4、0<y≦0.5、0≦z≦0.1、0.4≦a≦0.8、0<b≦0.1、0≦c≦0.1)で示されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶によって達成される。
【0009】
また、上記目的は、上記本発明のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶で作製され、飽和磁界が100(Oe)以上500(Oe)以下であることを特徴とするファラデー回転子によって達成される。
【0010】
さらに、上記目的は、上記本発明のファラデー回転子と、前記飽和磁界を前記ファラデー回転子に印加する磁気回路とを有することを特徴とする光学素子によって達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶及びそれを用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子について以下に表1乃至表4及び図1、図2を用いて説明する。まず、飽和磁界を低減するには、鉄(Fe)の一部を非磁性元素であるGaやGeで置換することが有効である。ところが、多量の非磁性元素の置換に伴ってファラデー回転角の温度依存性が大きくなるために、光アイソレータの性能に影響を与える。特に光通信用レーザモジュールで用いられる光アイソレータに使用するには飽和磁界の低下に伴う温度依存性の増加は問題となるが、特公平3−69847号公報に記載されているように、ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜において希土類元素にTbを選択するとファラデー回転子の温度依存性が小さくなり有効である。
【0012】
また、Feの一部を多量の非磁性元素で置換するとファラデー回転能が小さくなるために、ファラデー回転子の厚さが増加する。ファラデー回転能を大きくし、厚さの増加を抑えるには、ビスマス置換量を増やすことが有効である。しかし、ビスマス置換量が多くなるとビスマスのイオン半径が大きいが故に格子定数も大きくなり、結局基板との格子整合が取れず割れや結晶欠陥が多発し、単結晶膜を育成するのが困難になる。
【0013】
そこでTbイオンの一部をよりイオン半径の小さなYbイオンで置換することにより、エピタキシャル膜と基板の格子定数を一致させながらBi置換量を増やすことが可能となる。また、YbイオンはTbイオンと置換し得る希土類元素イオンの中でもイオン半径は小さいため、TbイオンをYbイオンで置換した場合でも温度特性の改善に有効な元素であるTbイオン量の減少を最小に抑えることができ、飽和磁界の低減に伴うファラデー回転子の温度特性の悪化を最小限に抑えることができる。さらにYbは光通信で使用される波長である1300nmから1650nmの帯域で光吸収がないためファラデー回転子の挿入損失の増加を抑える点でも有効な元素である。すなわち、低飽和磁界のファラデー回転子を作製するに当り、Ybは、Tb及びBiと組み合わせることでファラデー回転能を大きくできること、温度特性の悪化を最小限に抑えられること、挿入損失を増加させないこと等の点で極めて優れた元素である。
【0014】
さらに、特公平6−46604号公報に記載されているように、Geなどの四価元素を置換することによってガーネットに起因する光吸収を低減でき、挿入損失を小さくすることができる。
【0015】
また、Geイオンはガーネット型構造の結晶ではaサイトもしくはdサイトのFeイオンと置換されるため、ファラデー回転子の飽和磁界を低減する点でも有効な元素である。
【0016】
以上のようにFeの一部をGaやGeで置換することによって飽和磁界を低減でき、Ge置換では挿入損失も低減することができる。また主たる希土類元素にTbを選択するとファラデー回転角の温度依存性を良好に保つことができる。そしてTbの一部をYbで置換することにより挿入損失の増加を抑えながら、ガーネット単結晶膜の格子定数ならびにBi置換量を制御できるためにファラデー回転能を制御でき、ファラデー回転子に必要とされる磁気光学特性を満たすことが可能となる。
【0017】
すなわち、本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶は、液相エピタキシャル成長法によって育成され、一般式が(BixTb3−x−y−zYbyMz)(Fe5−a−b−cGaaGebNc)O12(ただし、MはBi、Tb、Ybを置換し得る1種類以上の元素、NはSi、Ti、Ptから選択される1種類以上の元素であり、1.0≦x≦1.4,0<y≦0.5、0≦z≦0.1、0.4≦a≦0.8、0<b≦0.1、0≦c≦0.1)で示される。本実施の形態のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いて飽和磁界の小さいファラデー回転子を実現できる。
【0018】
本実施の形態のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶において、xが1.0未満になるとファラデー回転能が小さくなるため製品厚さが厚くなったり、エピタキシャル膜の育成中に割れが多発したり、また、消光比が低下したり挿入損失が増加したりするので好ましくない。また、xが1.4を越えると非磁性ガーネット基板との格子定数のマッチングが困難になる上、育成中の融液にエピタキシャル成長以外の結晶成長が起きて結晶欠陥の原因となることから好ましくない。
【0019】
yが0.5を越える条件でエピタキシャル膜と基板の格子定数を一致させるとBi量が1.4を超えることになるため好ましくない。またMはたとえばPbやCa、あるいは他の希土類元素でありファラデー回転子の特性の調整に有効である。しかし、zが0.1を越えると、挿入損失や温度特性などの特性が悪化するため好ましくない。
【0020】
aが0.4未満であると飽和磁界が大きくなり、0.8を超えるとファラデー回転角の温度係数が大きくなり、ファラデー回転能が低下するため好ましくない。また、bが0.1を越えると挿入損失が大きくなるため好ましくない。さらに、Ptに代表されるNの量cが0.1を越えるとやはり挿入損失が大きくなるために好ましくない。
【0021】
以下、本実施の形態に係るビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶及びそれを用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子の具体的実施例として、実施例1乃至8及び比較例1及び2について表1乃至表4及び図1を参照しつつ説明する。
(実施例1)
酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を26.042g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を5.490g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を4.776g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を110.47g、酸化鉛(PbO,3N)を2575.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2016.4g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を25.165g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を335.90g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して撹件を行い均質化した後、780℃まで温度を下げた。その後3インチφ(直径)の(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=l.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら36時間膜成長を行ったところ、580μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0022】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.(度)となるように表面および裏面(GGG基板のあった側)を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜(ARコート)を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0023】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表1に示すように、(Bi1.05Tb1.66Yb0.24Pb0.05)(Fe4.55Ga0.41Ge0.02Pt0.02)O12であった。
【0024】
【表1】
【0025】
また表2に示すように、飽和に要する磁界は452Oe、膜厚446μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.060deg./℃となった。
【0026】
【表2】
【0027】
(実施例2)
実施例1と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を26.239g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を4.426g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を4.776g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を110.47g、酸化鉛(PbO,3N)を2575.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2016.4g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を31.039g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を330.89g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して撹伴を行い均質化した後、780℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495n m)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら36時間膜成長を行ったところ、580μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0028】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0029】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表1に示すように、(Bi1.04Tb1.72Yb0.19Pb0.05)(Fe4.47Ga0.49Ge0.02Pt0.02)O12であった。
【0030】
また表2に示すように、飽和に要する磁界は347Oe、膜厚450μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.062deg./℃となった。
【0031】
(実施例3)
実施例1及び2と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を26.239g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を4.426g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を4.776g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を110.47g、酸化鉛(PbO,3N)を2575.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2016.4g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を33.554g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を328.72g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、780℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら36時間膜成長を行ったところ、580μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0032】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0033】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表1に示すように、(Bi1.07Tb1.69Yb0.19Pb0.05)(Fe4.42Ga0.53Ge0.02Pt0.03)O12であった。
【0034】
また表2に示すように、飽和に要する磁界は291Oe、膜厚459μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.063deg./℃となった。
【0035】
(実施例4)
実施例1乃至3と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を23.403g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を5.921g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を4.776g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を110.47g、酸化鉛(PbO,3N)を2575.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2016.4g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を37.750g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を325.19g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、770℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=l.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら36時間膜成長を行ったところ、580μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0036】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表1に示すように、(Bi1.13Tb1.56Yb0.26Pb0.05)(Fe4.36Ga0.59Ge0.02Pt0.03)O12であった。
【0037】
また表2に示すように、飽和に要する磁界は291Oe、膜厚429μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.064deg./℃となった。
【0038】
(実施例5)
実施例1乃至4と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を23.359g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を6.895g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を4.776g、酸化ホウ素(B203,3N)を110.47g、酸化鉛(PbO,3N)を2575.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2016.4g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を50.306g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を314.30g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、770℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら34時間膜成長を行ったところ、580μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0039】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0040】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表1に示すように、(Bi1.17Tb1.48Yb0.29Pb0.06)(Fe4.21Ga0.74Ge0.02Pt0.03)O12であった。
【0041】
また表2に示すように、飽和に要する磁界は151Oe、膜厚441μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.065deg./℃となった。
【0042】
(比較例1)
実施例1乃至4と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を33.758g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を1.424g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を4.777g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を110.47g、酸化鉛(PbO,3N)を2575.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2016.4g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を357.33g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、800℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=l.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら41時間膜成長を行ったところ、630μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0043】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0044】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表1に示すように、(Bi0.90Tb2.00Yb0.05Pb0.05)(Fe4.96Ge0.02Pt0.02)O12であった。
【0045】
また表2に示すように、飽和に要する磁界は830Oe、膜厚517μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.045deg./℃となった。
【0046】
(実施例6)
実施例1乃至5と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を25.145g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を4.241g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を3.914g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を109.69g、酸化鉛(PbO,3N)を2557.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2002.3g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を36.654g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を359.10g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、790℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら39時間膜成長を行ったところ、620μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0047】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0048】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表3に示すように、(Bi1.18Tb1.59Yb0.18Pb0.05)(Fe4.45Ga0.51Ge0.02Pt0.03)O12であった。
【0049】
【表3】
【0050】
また表4に示すように、飽和に要する磁界は322Oe、膜厚450μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.062deg./℃,挿入損失は0.09dBとなった。
【0051】
【表4】
【0052】
(実施例7)
実施例1乃至6と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を25.145g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を4.241g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を6.523g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を109.69g、酸化鉛(PbO,3N)を2557.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2002.3g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を36.654g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を359.10g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、790℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら39時間膜成長を行ったところ、620μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0053】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0054】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表3に示すように、(Bi1.19Tb1.58Yb0.17Pb0.06)(Fe4.45Ga0.50Ge0.03Pt0.02)O12であった。
【0055】
また表4に示すように、飽和に要する磁界は307Oe、膜厚464μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.062deg./℃、挿入損失は0.06dBとなった。
【0056】
(実施例8)
実施例1乃至7と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を25.145g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を4.241g、酸化ゲルマニウム(GeO2,4N)を10.230g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を109.69g、酸化鉛(PbO,3N)を2557.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2002.3g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を36.654g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を359.10g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、790℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら39時間膜成長を行ったところ、620μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0057】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0058】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表3に示すように、(Bi1.19Tb1.58Yb0.18Pb0.05)(Fe4.44Ga0.49Ge0.05Pt0.02)O12となった。
【0059】
また表4に示すように、飽和に要する磁界は277Oe、膜厚469μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.062deg./℃、挿入損失は0.10dBとなった。
【0060】
(比較例2)
実施例1乃至8と同様に、酸化テルビウム(Tb4O7,3N)を25.145g、酸化イッテリビウム(Yb2O3,3N)を4.241g、酸化ホウ素(B2O3,3N)を109.69g、酸化鉛(PbO,3N)を2557.8g、酸化ビスマス(Bi2O3,3N)を2002.3g、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を36.654g、酸化第二鉄(Fe2O3,3N)を359.10g秤量して白金製のルツボに充填し、約900℃で融解して攪拌を行い均質化した後、790℃まで温度を下げた。その後3インチφの(Ca,Zr,Mg)含有GGG単結晶基板(格子定数=1.2495nm)を100r.p.m.で回転させながら、当該GGG単結晶基板上に液相エピタキシャル成長を開始させ、格子定数を制御しながら39時間膜成長を行ったところ、620μmの膜厚を持つビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を得た。
【0061】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜から当該GGG単結晶基板を研磨して除去した後、波長1550nmにてファラデー回転角が45deg.となるように表面および裏面を鏡面研磨した。その後、膜両面に反射防止膜を形成して所望のファラデー回転子を得た。
【0062】
得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の組成を蛍光X線分析装置により分析したところ表3に示すように、(Bi1.18Tb1.59Yb0.18Pb0.05)(Fe4.46Ga0.52Pt0.02)O12であった。
【0063】
また表4に示すように、飽和に要する磁界は352Oe、膜厚446μm、ファラデー回転角の温度係数は−0.062deg./℃、挿入損失は0.25dBとなり、Ge無添加では飽和に要する磁界および挿入損失が大きくなることがわかった。
【0064】
以上説明したように本実施の形態によれば、実施例1乃至8から明らかなようにGa置換量を0.4以上0.8以下にすると、ファラデー回転角の温度係数を悪化させずに光アイソレータ等に利用されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の飽和磁界を低減することができる。本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いることにより、飽和磁界が100(Oe)以上500(Oe)以下のファラデー回転子が得られる。このため、小型の永久磁石でファラデー回転子に飽和磁界を印加することが可能になり、光学素子の小型化が可能になる。
また実施例6乃至8から明らかなようにGe置換量を0.02以上0.05以下にすると挿入損失が0.1(dB)以下となり、挿入損失および飽和磁界を低減することができる。
【0065】
次に、本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子としての光アイソレータ100の概略の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施例に係る光アイソレータ100の概略構成を示している。図1において、光アイソレータ100は、本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いたファラデー回転子1を有している。ファラデー回転子1の光入射側には偏光子8が配置され、ファラデー回転子1の光射出側には検光子10が配置されている。
【0066】
ファラデー回転子1に飽和磁界を印加して所定のファラデー回転角を付与するために磁気回路が設けられている。磁気回路は、一組のリング型永久磁石2、4を有している。リング型永久磁石2、4はファラデー回転子1の入射光Iiの入射側と射出光Ioの射出側とに磁極を揃えて配置されている。リング型永久磁石2、4によりファラデー回転子1に対して光の入射出方向に飽和磁界が印加される。光アイソレータ100のファラデー回転子1は、本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いることにより100(Oe)以上500(Oe)以下の飽和磁界が得られている。このため、リング型永久磁石2、4が小型であってもファラデー回転子1に十分な飽和磁界を印加することが可能になる。
【0067】
次に、本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶で作製されたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子としての光アッテネータ110の概略の構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る光アッテネータ110の概略構成を示している。図2において、光アッテネータ110は、本実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶で作製されたファラデー回転子1を有している。ファラデー回転子1の光入射側には光の入射順に偏光子8と旋光子12が配置され、ファラデー回転子1の光射出側には検光子10が配置されている。ファラデー回転子1に飽和磁界を印加して所定のファラデー回転角を付与するために磁気回路が設けられている。磁気回路は、リング型永久磁石2、4を有しており、ファラデー回転子1の入射光Iiの入射側と射出光Ioの射出側に一組のリング型永久磁石2、4が磁極を揃えて配置されている。これらリング型永久磁石2、4により光の入射出方向に固定磁界が印加される。
【0068】
また、ファラデー回転子1に対して固定磁界の方向とほぼ直交する方向に可変磁界を印加する電磁石6が配置されている。可変磁界の強度は電磁石6のコイル(不図示)に流す電流を変化させることにより制御できる。可変磁界の強度を変化させることによりファラデー回転角を制御して射出光量の減衰率を制御することができる。本実施の形態による光アッテネータ110は、上記実施例に基づくビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶で作製され、飽和磁界が100(Oe)以上500(Oe)以下のファラデー回転子1を有している。このため、小型のリング型永久磁石2、4でファラデー回転子1に飽和磁界を印加することが可能になる。
【0069】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、飽和に要する磁界を低減させても、ファラデー回転角の温度依存性が増大せず、ファラデー回転能も低下せず、消光比も悪化せず、挿入損失も増加しないビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶及びそれを用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いたファラデー回転子及びそれを用いた光アイソレータの概略の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を用いたファラデー回転子及びそれを用いた光アッテネータの概略の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ファラデー回転子
2、4 リング型永久磁石
6 電磁石
8 偏光子
10 検光子
12 旋光子
100 光アイソレータ
110 光アッテネータ
Claims (3)
- 液相エピタキシャル成長法により育成され、一般式が
(BixTb3−x−y−zYbyMz)(Fe5−a−b−cGaaGebNc)O12
(ただし、MはBi、Tb、Ybを置換し得る1種類以上の元素、NはSi、Ti、Ptから選択される1種類以上の元素であり、1.0≦x≦1.4、0<y≦0.5、0≦z≦0.1、0.4≦a≦0.8、0<b≦0.1、0≦c≦0.1)で示されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶。 - 請求項1記載のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶で作製され、
飽和磁界が100(Oe)以上500(Oe)以下であること
を特徴とするファラデー回転子。 - 請求項2記載のファラデー回転子と、
前記飽和磁界を前記ファラデー回転子に印加する磁気回路と
を有することを特徴とする光学素子。
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| JP2002164051A Withdrawn JP2004010395A (ja) | 2002-06-05 | 2002-06-05 | ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶及びそれを用いたファラデー回転子及びそれを用いた光学素子 |
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| JP (1) | JP2004010395A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009084131A (ja) * | 2007-10-02 | 2009-04-23 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 磁気光学素子とその製造方法およびそれを用いて作製した光学デバイス |
| JP2017044770A (ja) * | 2015-08-25 | 2017-03-02 | 住友金属鉱山株式会社 | ファラデー回転子の製造方法 |
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2002
- 2002-06-05 JP JP2002164051A patent/JP2004010395A/ja not_active Withdrawn
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