JP2004095515A - 固体高分子型燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】水素供給の際の危険性を減じた固体高分子型燃料電池の提供。
【解決手段】CO2の含有率を30−70mol%としたH2を、必要により水素選択透過性膜を通して、固体高分子型燃料電池のアノードに供給することで、純水素を供給する際の危険性を減じる。また、CO2リッチなアノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、生鮮食料品の保存、植物育成の促進、人工炭酸泉に有効利用し、省エネルギーや地球温暖化防止に役立たせる。
【選択図】図1
【解決手段】CO2の含有率を30−70mol%としたH2を、必要により水素選択透過性膜を通して、固体高分子型燃料電池のアノードに供給することで、純水素を供給する際の危険性を減じる。また、CO2リッチなアノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、生鮮食料品の保存、植物育成の促進、人工炭酸泉に有効利用し、省エネルギーや地球温暖化防止に役立たせる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池システムに関する。
【技術的背景】
水素をアノードに供給し、空気をカソードに供給して発電する固体高分子型燃料電池が、家庭等の熱電併給用、携帯用、および電気自動車用電源として注目を集めている。分散型発電方式である熱電併給の特徴は、従来の集中型発電方式に比較して送電ロスが無く、また排熱を海に廃棄する集中型発電方式とは異なり、温水の形で排熱を有効利用できるため、総合的なエネルギー効率が80%程度と高い点にある。この結果使用燃料が削減され、CO2発生量の減少による地球温暖化防止が可能になる上に、異常気象の要因の一つと考えられている海洋の熱汚染が抑制されるので、その実用化が強く望まれている。一方、燃料電池自動車は窒素酸化物等の大気汚染物質を出さないため、環境保護の面から実用化が期待されている。これらのシステムを実用化する場合の最大の問題は、燃料である水素の供給方法であり、「固体高分子型燃料電池の開発と実用化」(技術情報協会、1999年)の第5,6章に記載されているように、次のような種々の方法が試みられている。
【0002】
(1)圧縮水素や液化水素の供給
この方法はシステムが単純であり、アノード触媒のCO被毒がないため長期の安定運転が可能であるが、事故によりボンベや配管が破損して純水素が噴出する際、静電気や摩擦熱で着火する危険性が高いという問題点がある。
(2)吸蔵水素の供給
金属、炭素、無機溶液等に吸蔵された水素を脱離させて供給する方法であるが、効率が高く、安価で安全な作動物質の開発が困難な上、吸蔵、脱離のための特別な装置が必要である。また、配管が破損して純水素が噴出する際、静電気や摩擦熱で着火する危険性が高いという問題点もある。
(3)改質ガスの供給
天然ガス、メタノール、プロパン、ガソリン等の炭化水素を、脱硫後、水蒸気改質し、高温CO変成器および低温CO変成器を通して水素を発生させる。低温CO変成後の改質ガス組成は、一般に70−80%H2、20−30%CO2、0.1−1.0%COとなるので、このままアノードに供給すると触媒のCO被毒が激しい。そのため空気を加えてCOを選択的に10ppm程度まで酸化除去する方法が試みられているが、安定運転の困難さやH2の燃焼ロスの問題を抱えている。このように、改質ガスを供給する方法は、システムが複雑で高価であり、また残存COによるアノード触媒の被毒等のため、電気自動車用で5000時間、熱電併給用で4万時間も必要とする燃料電池システムの長期の安定運転が困難である。また、急発進や急停車を繰り返す電気自動車用では、改質システムの応答性の悪さが、大きな問題として指摘されている。
上述したように、従来の水素供給方法は何れも欠点を有しており、固体高分子型燃料電池システムの実用化のため、より優れた方法が強く求められている。また、従来のシステムにおいては、アノードの排ガスは改質炉で燃焼されて大気に放出され、排ガス中に含まれるCO2の有効利用がされていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の純水素供給方法における欠点を改良し、危険性の少ない固体高分子型燃料電池システムの実用化を促進することである。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、30−70mol%のCO2を含有したH2を、アノードに供給することを特徴とする固体高分子型燃料電池システムである。
また、前記CO2を含有したH2を、水素選択透過性膜を通してアノードへ供給することもできる。
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態においては、ボンベや配管が破損して純水素が噴出する際、静電気や摩擦熱で着火する危険性を減じるために、CO2の含有率を30−70mol%としたH2を、燃料ガスとして使用する。
本発明の実施形態において、CO2の含有率を30−70mol%としたH2をアノードに供給する場合、水素選択透過性膜を通すことでH2純度を高め、燃料電池の効率を上げることが可能であり、特にCO2の含有率が高い時に有効である。水素選択透過性膜としては、上記の書籍の第6章に記載されているように、セルロースアセテート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリオレフィン等の高分子膜やPd系、水素吸蔵合金等の金属膜を使用できるが、コストの面から高分子膜を用いることが好ましい。これらの膜は、平膜型、スパイラル型、中空糸型等にモジュール化され、アノードの前に設置される。
図面を用いて、本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の固体高分子型燃料電池システムの構成を説明する図である。図1において、固体高分子型燃料電池30には、CO2の含有率を30−70mol%としたH2が、ボンベまたは水素製造ステーションからのパイプライン等で供給されている。図1の場合は、供給されたCO2を含むH2は、水素選択透過性膜10によりH2の濃度を高めてから,加湿器20を通して、燃料電池30のアノード32に燃料ガスとして供給される。加湿器20は、固体高分子型燃料電池30における高分子電解質膜34の乾燥を防ぐために、水分が飽和されるように設置されている。燃料電池30のカソード36には、必要により加湿された空気(酸素)が供給される。
【0005】
燃料ガスは、電解H2やコークス炉の副生H2等にCO2を混合し、ボンベに充填して供給されるか、水蒸気改質法を用いた水素製造ステーションで、改質H2と副生CO2の含有率を調整して、パイプラインで直接供給されるか、ボンベに充填して供給される。
さて、例えば、25%の不活性気体を含有したH2を、750気圧でノズルから噴出させると、着火して10m以上の火柱となる。燃料電池の場合は、H2の圧力はボンベで100−200気圧程度、燃料電池のアノードで1−5気圧程度なので、H2中のCO2の含有率を、一般には30−70mol%の範囲に調整するが、水素の含有量および安全性の面から、35−60mol%の範囲に調整することが好ましい。
【0006】
本発明の実施形態における燃料ガスは、水蒸気改質法を用いた水素製造ステーションで、脱硫、水蒸気改質、高温CO変成、低温CO変成工程の後、下記の二つの方法で製造されることが望ましい。水素製造ステーションにおいては、上記の改質ガス供給システムに用いられるCO選択酸化法に比較して、H2の燃焼ロスがなく、工業的実績の長いCO除去法(水素精製法)を使用することができ、アノード触媒を被毒するCOを、安定して10ppm以下にできる。また、原料に用いた炭化水素やメタネーション法により生成するCH4が、燃料ガス中に微量含有されていても、触媒毒にならないので許容される。なお、改質ガス中に含まれる水分は、プロセスラインに設けられた凝縮器で除去され、また、必要により、PSA方式の乾燥器で除去される。
(1)メタネーション法、PSA法、深冷分離法またはその組み合わせで、COを10ppm以下とした後、改質H2の一部を膜分離法により取り除き、副生CO2の含有率を20−30mol%から30−70mol%に高める。
(2)副生CO2が、炭酸ガス吸収法,PSA法等により改質ガスから分離され、大気に放出されている水素製造ステーションでは、該副生CO2を回収精製して、メタネーション法、PSA法、深冷分離法またはその組み合わせで、COを10ppm以下とした改質H2に、副生CO2の含有率が30−70mol%になるように混合する。
上記の副生CO2の含有率を30−70mol%とし、COの含有率を10ppm以下とした改質H2は、100−200気圧程度に圧縮され、通常鋼製のボンベに充填されて使用場所に配送されるが、炭素繊維やガラス繊維で補強されたアルミ製ボンベまたはプラスチック製のコンポジットボンベを使用することも可能であり、ボンベ運搬時の軽量化が図られるので好ましい。また水素製造ステーションから、パイプラインで使用場所に配送する方法も可能であり、ガス圧縮に要する動力やボンベ運搬に必要な手間やエネルギーが不要なので好ましい。
【0007】
また、本発明の固体高分子型燃料電池システムを電気自動車用に用いる場合は、道路端にオンサイト水素製造ステーションを設置し、都市ガス,天然ガス,プロパン,灯油,ガソリン等を水蒸気改質して、上記の方法で燃料ガスを調製後、ボンベに充填して車載する。なお、ボンベが、自動車に内蔵された構造とすることもできる。
純水素の危険性を減ずるために、CO2の代わりに、不活性気体であるN2を用いることも不可能ではないが、空気液化分離には高価な機器と大量の電気エネルギーが必要であり、コストや地球温暖化防止の面から現実的でない。
【0008】
本発明の実施形態において、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスは、H2が燃料電池で消費されるか選択的に膜分離されるため、CO2リッチになっており、長倉功著「炭酸ガス 命を支える不思議な物質」(朝日新聞社、1988)の第4章、第11−12章、第15−16章に記載されているように、次のような目的に有効利用し、省エネルギーや地球温暖化防止に寄与することができる。
なお、排ガスを用いるときは、燃料電池で消費されなかったり、膜分離されなかった水素を含んでいるために、換気等に留意する必要がある。
【0009】
(1)生鮮食料品の保存
上記の書籍によれば、炭酸ガスを保存容器に吹き込んで3%以上とし、酸素を減らすことで、魚、野菜、果物等の生鮮食料品の変質を防ぐことができる。本発明の携帯用システムにおいては、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、生鮮食料品の保存容器に吹き込むことで上記の効果を実現でき、釣りやキャンプ等において便利である。また、発電した電気を冷蔵庫の冷却用電源に用い、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、該冷蔵庫内に設置した生鮮食料品の保存容器に吹き込む結合システムも可能であり、冷蔵庫の温度を高めに設定することができるので、省エネルギーに有効である。
【0010】
(2)植物育成の促進
野菜、果物、花等の植物は、雰囲気の炭酸ガス濃度を500−2500ppm程度にすると、光合成が促進されて、収穫量が増え品質が向上するので、農業で広く実用化されているが、灯油等の燃焼によりCO2を発生させるので、コストが高いことが欠点である。本発明のシステムでは、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、温室またはビニールハウスに吹き込むことで、農業分野におけるCO2利用のコストを低減することが可能であり、また上記の効果を家庭菜園や庭園で実現できる。また、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、発電した電気を照明および制御用電源として用いる温室またはビニールハウスに吹き込む結合システムも可能である。このシステムでは、カソードの排温水を、必要により温室やビニールハウスの保温用に用いることができる。従来の改質ガス供給システムでは大気に放出されていた副生CO2を、上記のシステムでは植物に吸収させるので、地球温暖化防止の効果が実現できる。
【0011】
(3)人工炭酸泉
上記の書籍によれば、炭酸ガスを500−3000ppm程度含有する炭酸泉は血行を良くし、肩こり、冷え性、腰痛、筋肉痛、疲労、だるさ、高血圧、床ずれ等の改善に有効である。本発明の熱電併給システムにおいては、上記の健康効果を実現するために、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、カソードの排温水を入れた浴槽に吹き込み、人工炭酸泉とすることができる。この場合、排温水は80℃程度なので、浴槽で水を添加する等の方法で35−45℃程度の温水とすることが好ましい。また、家庭、旅館、温泉、浴場等で広く用いられている循環温浴器の場合は、発電した電気を保温用電源、またカソードの排温水を補給水に用い、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、該循環温浴器の浴槽に吹き込む結合システムが可能であり、省エネルギーを実現できる。尚、高分子電解質膜の耐熱性が向上し、燃料電池の運転温度が100℃以上になった場合は、カソードからは水蒸気が排出されるが、この場合は上記の排温水の代わりに、排水蒸気が使用される。
【0012】
【実施例】
次に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
市販のガス拡散電極(E−TEK社製、0.4mgPt/cm2)に、5wt%のNafion溶液(Aldrich社製)を含浸させ、80℃で1時間乾燥した。Nafion115(DuPont社製)を、上記の2枚の電極で挟み、圧力50kg/cm2、温度140℃でホットプレスして、MEAを作製した。これを単セル評価装置に組み込み、アノードには、(H2 65mol%+CO2 35mol%)に調整した燃料ガスをボンベから供給し、カソードには空気を供給した。燃料ガスおよび空気は、90℃の加湿器を通して電極に供給し、常圧、80℃で燃料電池を運転したところ、500mA/cm2,1000mA/cm2の電流密度の時、セル端子電圧はそれぞれ、0.57V、0.42Vであった。また、カソードの排温水を容器に受け、38℃に冷却後、アノードの排ガスを吹き込んだところ、CO2を1200ppm含む温水が得られた。
【0013】
【発明の効果】
本発明の固体高分子型燃料電池システムにおいては、ボンベまたは水素製造ステーションからのパイプラインにより、CO2の含有率を30−70mol%としたH2を、必要により水素選択透過性膜を通してアノードに供給するので、純水素を供給する場合の危険性を減じることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の固体高分子型燃料電池システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
10 水素選択透過性膜
20 加湿器
30 固体高分子型燃料電池
32 アノード
34 高分子電解質膜
36 カソード
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池システムに関する。
【技術的背景】
水素をアノードに供給し、空気をカソードに供給して発電する固体高分子型燃料電池が、家庭等の熱電併給用、携帯用、および電気自動車用電源として注目を集めている。分散型発電方式である熱電併給の特徴は、従来の集中型発電方式に比較して送電ロスが無く、また排熱を海に廃棄する集中型発電方式とは異なり、温水の形で排熱を有効利用できるため、総合的なエネルギー効率が80%程度と高い点にある。この結果使用燃料が削減され、CO2発生量の減少による地球温暖化防止が可能になる上に、異常気象の要因の一つと考えられている海洋の熱汚染が抑制されるので、その実用化が強く望まれている。一方、燃料電池自動車は窒素酸化物等の大気汚染物質を出さないため、環境保護の面から実用化が期待されている。これらのシステムを実用化する場合の最大の問題は、燃料である水素の供給方法であり、「固体高分子型燃料電池の開発と実用化」(技術情報協会、1999年)の第5,6章に記載されているように、次のような種々の方法が試みられている。
【0002】
(1)圧縮水素や液化水素の供給
この方法はシステムが単純であり、アノード触媒のCO被毒がないため長期の安定運転が可能であるが、事故によりボンベや配管が破損して純水素が噴出する際、静電気や摩擦熱で着火する危険性が高いという問題点がある。
(2)吸蔵水素の供給
金属、炭素、無機溶液等に吸蔵された水素を脱離させて供給する方法であるが、効率が高く、安価で安全な作動物質の開発が困難な上、吸蔵、脱離のための特別な装置が必要である。また、配管が破損して純水素が噴出する際、静電気や摩擦熱で着火する危険性が高いという問題点もある。
(3)改質ガスの供給
天然ガス、メタノール、プロパン、ガソリン等の炭化水素を、脱硫後、水蒸気改質し、高温CO変成器および低温CO変成器を通して水素を発生させる。低温CO変成後の改質ガス組成は、一般に70−80%H2、20−30%CO2、0.1−1.0%COとなるので、このままアノードに供給すると触媒のCO被毒が激しい。そのため空気を加えてCOを選択的に10ppm程度まで酸化除去する方法が試みられているが、安定運転の困難さやH2の燃焼ロスの問題を抱えている。このように、改質ガスを供給する方法は、システムが複雑で高価であり、また残存COによるアノード触媒の被毒等のため、電気自動車用で5000時間、熱電併給用で4万時間も必要とする燃料電池システムの長期の安定運転が困難である。また、急発進や急停車を繰り返す電気自動車用では、改質システムの応答性の悪さが、大きな問題として指摘されている。
上述したように、従来の水素供給方法は何れも欠点を有しており、固体高分子型燃料電池システムの実用化のため、より優れた方法が強く求められている。また、従来のシステムにおいては、アノードの排ガスは改質炉で燃焼されて大気に放出され、排ガス中に含まれるCO2の有効利用がされていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の純水素供給方法における欠点を改良し、危険性の少ない固体高分子型燃料電池システムの実用化を促進することである。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、30−70mol%のCO2を含有したH2を、アノードに供給することを特徴とする固体高分子型燃料電池システムである。
また、前記CO2を含有したH2を、水素選択透過性膜を通してアノードへ供給することもできる。
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態においては、ボンベや配管が破損して純水素が噴出する際、静電気や摩擦熱で着火する危険性を減じるために、CO2の含有率を30−70mol%としたH2を、燃料ガスとして使用する。
本発明の実施形態において、CO2の含有率を30−70mol%としたH2をアノードに供給する場合、水素選択透過性膜を通すことでH2純度を高め、燃料電池の効率を上げることが可能であり、特にCO2の含有率が高い時に有効である。水素選択透過性膜としては、上記の書籍の第6章に記載されているように、セルロースアセテート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリオレフィン等の高分子膜やPd系、水素吸蔵合金等の金属膜を使用できるが、コストの面から高分子膜を用いることが好ましい。これらの膜は、平膜型、スパイラル型、中空糸型等にモジュール化され、アノードの前に設置される。
図面を用いて、本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の固体高分子型燃料電池システムの構成を説明する図である。図1において、固体高分子型燃料電池30には、CO2の含有率を30−70mol%としたH2が、ボンベまたは水素製造ステーションからのパイプライン等で供給されている。図1の場合は、供給されたCO2を含むH2は、水素選択透過性膜10によりH2の濃度を高めてから,加湿器20を通して、燃料電池30のアノード32に燃料ガスとして供給される。加湿器20は、固体高分子型燃料電池30における高分子電解質膜34の乾燥を防ぐために、水分が飽和されるように設置されている。燃料電池30のカソード36には、必要により加湿された空気(酸素)が供給される。
【0005】
燃料ガスは、電解H2やコークス炉の副生H2等にCO2を混合し、ボンベに充填して供給されるか、水蒸気改質法を用いた水素製造ステーションで、改質H2と副生CO2の含有率を調整して、パイプラインで直接供給されるか、ボンベに充填して供給される。
さて、例えば、25%の不活性気体を含有したH2を、750気圧でノズルから噴出させると、着火して10m以上の火柱となる。燃料電池の場合は、H2の圧力はボンベで100−200気圧程度、燃料電池のアノードで1−5気圧程度なので、H2中のCO2の含有率を、一般には30−70mol%の範囲に調整するが、水素の含有量および安全性の面から、35−60mol%の範囲に調整することが好ましい。
【0006】
本発明の実施形態における燃料ガスは、水蒸気改質法を用いた水素製造ステーションで、脱硫、水蒸気改質、高温CO変成、低温CO変成工程の後、下記の二つの方法で製造されることが望ましい。水素製造ステーションにおいては、上記の改質ガス供給システムに用いられるCO選択酸化法に比較して、H2の燃焼ロスがなく、工業的実績の長いCO除去法(水素精製法)を使用することができ、アノード触媒を被毒するCOを、安定して10ppm以下にできる。また、原料に用いた炭化水素やメタネーション法により生成するCH4が、燃料ガス中に微量含有されていても、触媒毒にならないので許容される。なお、改質ガス中に含まれる水分は、プロセスラインに設けられた凝縮器で除去され、また、必要により、PSA方式の乾燥器で除去される。
(1)メタネーション法、PSA法、深冷分離法またはその組み合わせで、COを10ppm以下とした後、改質H2の一部を膜分離法により取り除き、副生CO2の含有率を20−30mol%から30−70mol%に高める。
(2)副生CO2が、炭酸ガス吸収法,PSA法等により改質ガスから分離され、大気に放出されている水素製造ステーションでは、該副生CO2を回収精製して、メタネーション法、PSA法、深冷分離法またはその組み合わせで、COを10ppm以下とした改質H2に、副生CO2の含有率が30−70mol%になるように混合する。
上記の副生CO2の含有率を30−70mol%とし、COの含有率を10ppm以下とした改質H2は、100−200気圧程度に圧縮され、通常鋼製のボンベに充填されて使用場所に配送されるが、炭素繊維やガラス繊維で補強されたアルミ製ボンベまたはプラスチック製のコンポジットボンベを使用することも可能であり、ボンベ運搬時の軽量化が図られるので好ましい。また水素製造ステーションから、パイプラインで使用場所に配送する方法も可能であり、ガス圧縮に要する動力やボンベ運搬に必要な手間やエネルギーが不要なので好ましい。
【0007】
また、本発明の固体高分子型燃料電池システムを電気自動車用に用いる場合は、道路端にオンサイト水素製造ステーションを設置し、都市ガス,天然ガス,プロパン,灯油,ガソリン等を水蒸気改質して、上記の方法で燃料ガスを調製後、ボンベに充填して車載する。なお、ボンベが、自動車に内蔵された構造とすることもできる。
純水素の危険性を減ずるために、CO2の代わりに、不活性気体であるN2を用いることも不可能ではないが、空気液化分離には高価な機器と大量の電気エネルギーが必要であり、コストや地球温暖化防止の面から現実的でない。
【0008】
本発明の実施形態において、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスは、H2が燃料電池で消費されるか選択的に膜分離されるため、CO2リッチになっており、長倉功著「炭酸ガス 命を支える不思議な物質」(朝日新聞社、1988)の第4章、第11−12章、第15−16章に記載されているように、次のような目的に有効利用し、省エネルギーや地球温暖化防止に寄与することができる。
なお、排ガスを用いるときは、燃料電池で消費されなかったり、膜分離されなかった水素を含んでいるために、換気等に留意する必要がある。
【0009】
(1)生鮮食料品の保存
上記の書籍によれば、炭酸ガスを保存容器に吹き込んで3%以上とし、酸素を減らすことで、魚、野菜、果物等の生鮮食料品の変質を防ぐことができる。本発明の携帯用システムにおいては、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、生鮮食料品の保存容器に吹き込むことで上記の効果を実現でき、釣りやキャンプ等において便利である。また、発電した電気を冷蔵庫の冷却用電源に用い、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、該冷蔵庫内に設置した生鮮食料品の保存容器に吹き込む結合システムも可能であり、冷蔵庫の温度を高めに設定することができるので、省エネルギーに有効である。
【0010】
(2)植物育成の促進
野菜、果物、花等の植物は、雰囲気の炭酸ガス濃度を500−2500ppm程度にすると、光合成が促進されて、収穫量が増え品質が向上するので、農業で広く実用化されているが、灯油等の燃焼によりCO2を発生させるので、コストが高いことが欠点である。本発明のシステムでは、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、温室またはビニールハウスに吹き込むことで、農業分野におけるCO2利用のコストを低減することが可能であり、また上記の効果を家庭菜園や庭園で実現できる。また、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、発電した電気を照明および制御用電源として用いる温室またはビニールハウスに吹き込む結合システムも可能である。このシステムでは、カソードの排温水を、必要により温室やビニールハウスの保温用に用いることができる。従来の改質ガス供給システムでは大気に放出されていた副生CO2を、上記のシステムでは植物に吸収させるので、地球温暖化防止の効果が実現できる。
【0011】
(3)人工炭酸泉
上記の書籍によれば、炭酸ガスを500−3000ppm程度含有する炭酸泉は血行を良くし、肩こり、冷え性、腰痛、筋肉痛、疲労、だるさ、高血圧、床ずれ等の改善に有効である。本発明の熱電併給システムにおいては、上記の健康効果を実現するために、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、カソードの排温水を入れた浴槽に吹き込み、人工炭酸泉とすることができる。この場合、排温水は80℃程度なので、浴槽で水を添加する等の方法で35−45℃程度の温水とすることが好ましい。また、家庭、旅館、温泉、浴場等で広く用いられている循環温浴器の場合は、発電した電気を保温用電源、またカソードの排温水を補給水に用い、アノードまたは水素選択透過性膜の排ガスを、該循環温浴器の浴槽に吹き込む結合システムが可能であり、省エネルギーを実現できる。尚、高分子電解質膜の耐熱性が向上し、燃料電池の運転温度が100℃以上になった場合は、カソードからは水蒸気が排出されるが、この場合は上記の排温水の代わりに、排水蒸気が使用される。
【0012】
【実施例】
次に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
市販のガス拡散電極(E−TEK社製、0.4mgPt/cm2)に、5wt%のNafion溶液(Aldrich社製)を含浸させ、80℃で1時間乾燥した。Nafion115(DuPont社製)を、上記の2枚の電極で挟み、圧力50kg/cm2、温度140℃でホットプレスして、MEAを作製した。これを単セル評価装置に組み込み、アノードには、(H2 65mol%+CO2 35mol%)に調整した燃料ガスをボンベから供給し、カソードには空気を供給した。燃料ガスおよび空気は、90℃の加湿器を通して電極に供給し、常圧、80℃で燃料電池を運転したところ、500mA/cm2,1000mA/cm2の電流密度の時、セル端子電圧はそれぞれ、0.57V、0.42Vであった。また、カソードの排温水を容器に受け、38℃に冷却後、アノードの排ガスを吹き込んだところ、CO2を1200ppm含む温水が得られた。
【0013】
【発明の効果】
本発明の固体高分子型燃料電池システムにおいては、ボンベまたは水素製造ステーションからのパイプラインにより、CO2の含有率を30−70mol%としたH2を、必要により水素選択透過性膜を通してアノードに供給するので、純水素を供給する場合の危険性を減じることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の固体高分子型燃料電池システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
10 水素選択透過性膜
20 加湿器
30 固体高分子型燃料電池
32 アノード
34 高分子電解質膜
36 カソード
Claims (2)
- 30−70mol%のCO2を含有したH2を、アノードに供給することを特徴とする固体高分子型燃料電池システム。
- 前記CO2を含有したH2を、水素選択透過性膜を通してアノードへ供給する、請求項1記載の固体高分子型燃料電池システム。
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