JP2004091479A - マレイミド化合物、それを含有する活性エネルギー線硬化性組成物、低屈折光学材料用重合体、及びマレイミド化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(1)で表されるマレイミド化合物、それを含有する組成物、該組成物を硬化させてなる屈折率が1.47以下の低屈折光学材料用重合体、及び、マレイミド酢酸の酸ハロゲン化物とヒドロキシ基のβ位メチレン基にフッ素原子が結合している化合物とを反応させる際に、反応容器中にピリジンを滴下する、フッ素原子を含有するマレイミド化合物の製造方法。
【化1】
(式中、Xは、一部または全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基またはポリメチレン基を表す。Zは、一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された、分岐となる環を含んでいても良い脂肪族炭化水素基を表し、nは2〜8の整数を表す。)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素原子を含有するマレイミド化合物とその製造方法、及び、該化合物を含有し、重合開始剤を全く添加しないか、あるいは添加してもごく微量でよく、得られる重合体が低屈折率を有する活性エネルギー線硬化性組成物、およびブリードアウトや硬化時の臭気が少なく、かつ低屈折率を有する光学材料用重合体に関する。
【0002】
【従来技術】
フッ素原子を含有する樹脂の屈折率が低いことは古くから知られており、光学材料のコーティング剤や粘接着剤、あるいは反射防止機能を有する光学材料として広く用いられている。
近年、これらの光学材料の生産性向上等を目的として素子構成の簡素化が進み、光学材料として光学特性のみならず、強度等が求められるようになってきた。これらの要求を満たすべく、紫外線硬化等を応用した材料開発が盛んである。例えば、フッ素原子とアクリロイル基を有する硬化性化合物を含有する光硬化性組成物を、光照射により重合して得られる光学薄膜が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に、化合物が含有するフッ素原子含有量と、その化合物の屈折率には相関があり、フッ素原子含有量が多い程屈折率が低くなることが知られている。
一方、化合物が含有するフッ素原子含有量が多い程、有機化合物との相溶性は低くなる。例えば、前記特許文献1に記載のフッ素原子とアクリロイル基を有する硬化性化合物の場合、光硬化性組成物に通常添加する光重合開始剤は、有機化合物であるため相溶しにくく、均一な組成物とすることが困難であった。また、一般的な光重合開始剤は屈折率の高いものが多く、光学材料の低屈折率化に不利になる場合や、重合開始剤に起因する樹脂の黄変やブリードアウト、成型時の臭気の発生が問題になる場合があった。
【0004】
最近、これらの光重合開始剤を用いない光硬化システムがいくつか提案されている。この中の1つである、マレイミド化合物を含有する光硬化性組成物は(例えば、特許文献2,特許文献3,特許文献4参照)、光重合開始剤を使用せずに、光照射により硬化することが知られている。従って、低屈折率のマレイミド化合物を設計し、これを光学材料に応用すれば、上記の光重合開始剤の添加に起因する問題点を解決することができる。
【0005】
低屈折率のフッ素を含有するマレイミド化合物としてN−フルオロアルキルマレイミドが知られており、該化合物を成分の一つとした共重合体を使用した耐熱性に優れた光ファイバクラッド材が知られている。(特許文献5参照)しかし、この単官能マレイミドを用いた共重合体は架橋部位を有しない直鎖状高分子であるため、耐久性や強度が低いという不具合な点があった。従って、より耐久性や強度の高い架橋系コーティング剤に使用できる、多官能マレイミド化合物が望まれている。
【0006】
多官能マレイミド化合物を合成する方法は幾つか知られているが、フッ素含有量の多い原料として入手しやすい、フッ素を含有するアルコールを利用するには、マレイミドカルボン酸誘導体と反応させる方法(例えば、特許文献2参照)が有利である。しかし、該公報に開示された方法では、ヒドロキシ基のδ位より遠いメチレン基にフッ素原子が結合しているアルコールを使用した場合は、反応させることができるが、ヒドロキシ基のβ位のメチレン基にフッ素原子が結合しているようなアルコールを使用すると、反応が全く進まず、低屈折コーティング材料として有用な、フッ素原子含有量が高く、架橋点間距離の短い多官能マレイミド化合物を設計しようにも、合成することができなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−1633号公報
【特許文献2】
特開平11−124403号公報
【特許文献3】
特開平11−124404号公報
【特許文献4】
特開2000−319252号公報
【特許文献5】
特許第2871086号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、フッ素を含有する多官能マレイミド化合物を提供することにあり、該化合物を含有し、光重合開始剤を全く添加しないか、あるいは添加してもごく微量で、光硬化させることのできる硬化性組成物、該硬化性組成物を光硬化させて得られる低屈折率の光学材料用重合体、及び、特定の位置にフッ素が置換している多官能マレイミド化合物の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定の構造を有するフッ素含有量の大きい多官能マレイミド化合物が、上記課題を解決することを見出した。
即ち、複数のマレイミド基を有することで、光重合開始剤を全く添加しないか、あるいは添加してもごく微量で、良好に光硬化し、耐久性や強度に優れた硬化物が得られる。
また、これらのマレイミド化合物のうち、従来法では合成できなかった低屈折コーティング材料として有用な、フッ素原子含有量が高く、架橋点間距離の短い多官能マレイミド化合物は、マレイミド酢酸の酸ハロゲン化物と、ヒドロキシ基のβ位メチレン基にフッ素原子が結合しているアルコール化合物とを反応させる際、反応が生じる温度条件下で、該反応容器中にピリジン又はピリジン誘導体を滴下することで合成することができる。
【0010】
即ち、本発明は、一般式(1)で表されるマレイミド化合物を提供する。
【0011】
【化4】
(式中、Xは、一部または全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基またはポリメチレン基を表す。複数存在するXはそれぞれ同じでも異なっていても良い。Zは、Z1又はZ2−(Z3)mを表し、Z1は、一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜70のn価の脂肪族炭化水素基(但し、置換基として、フッ素原子をもたない1つ以上のメチレン基は、酸素原子が互いに隣接しないものとして、−O−、−CO−、−OCO−、−CO−O−、−NHCO−O−又は―OCONH―で置換されていてもよい。)を表し、Z2は、2〜8個の遊離原子価を有するイソシアヌル環、ベンゼン環、ナフタレン環、テトラヒドロフラン環、デカヒドロナフタレン環、ノルボルネン環、又はシクロヘキサン環を表し、Z3は、一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜70の2価の脂肪族炭化水素基(但し、置換基として、フッ素原子をもたない1つ以上のメチレン基は、酸素原子が互いに隣接しないものとして、−O−、−CO−、−OCO−、−CO−O−、−NHCO−O−又は―OCONH―で置換されていてもよい。)を表し、mはZ2が有する遊離原子価と同じ整数を表し、nは2〜8の整数を表す。)
【0012】
また、本発明は、一般式(1)で表されるマレイミド化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記記載の活性エネルギー線硬化性組成物を重合して得られ、屈折率が1.47以下である低屈折光学材料用重合体を提供する。
【0014】
また、本発明は、反応容器中で、マレイミド酢酸の酸ハロゲン化物と、ヒドロキシ基のβ位メチレン基にフッ素原子が結合しているアルコール化合物とを反応させる際、反応が生じる温度条件下で、該反応容器中にピリジン又はピリジン誘導体を滴下する、フッ素原子を含有するマレイミド化合物の製造方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
一般式(1)で表されるマレイミド化合物の説明
一般式(1)で表されるマレイミド化合物は、マレイミドカルボン酸と、ポリオールとを反応させて得られる。以下にその反応の一例を示す。
【0016】
【化5】
【0017】
式中、(a)はマレイミドカルボン酸を表し、(b)はポリオールを表し、(c)は本発明の一般式(1)で表されるマレイミド化合物を表す。
【0018】
一般式(1)において、Xは、一部または全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基またはポリメチレン基を表す。複数存在するXはそれぞれ同じでも異なっていても良い。
Xを部分構造に有するマレイミドカルボン酸(a)としては、例えば、マレイミド酢酸、マレイミドプロピオン酸、マレイミド酪酸、マレイミドカプロン酸、あるいはマレイミドウンデカン酸などがあげられる。Xの鎖長が長いほど、マレイミド化合物単位質量あたりのマレイミド基数が少なくなるために最終的に得られる硬化物の架橋密度が低くなり、また、Xを構成するアルキレン基またはポリメチレン基の水素原子のフッ素原子への置換率が低い場合は、マレイミド化合物としてのフッ素原子含有量も低下することから、本発明において使用するマレイミドカルボン酸としては、Xが最も短い、マレイミド酢酸が好ましい。
これらのマレイミドカルボン酸はジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス 第57巻 219頁(1995年)やジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー 第62巻 2652頁(1997年)に開示されているような公知の方法で合成することができる。
【0019】
一般式(1)において、n、即ちマレイミド基の数は2〜8であり、2〜4が更に好ましい。高い強度を有するコーティング剤としては官能基数が多い方が有利であるが、一般的に入手が容易なフッ素含有ポリオールがジオールであり、多官能化に際してフッ素原子を有さない核となる化合物を用いなければならない等化合物の低屈折率化には不利となることから、nが2であることが望ましい。
【0020】
一般式(1)において、Z1は、一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜70のn価の脂肪族炭化水素基(但し、置換基としてフッ素原子をもたない1つ以上のメチレン基は、酸素原子が互いに隣接しないものとして、−O−、−CO−、−OCO−、−CO−O−、−NHCO−O−又は―OCONH―で置換されていてもよい。)であり、Z3は、一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜70の2価の脂肪族炭化水素基(但し、置換基としてフッ素原子をもたない1つ以上のメチレン基は、酸素原子が互いに隣接しないものとして、−O−、−CO−、−OCO−、−CO−O−、−NHCO−O−又は―OCONH―で置換されていてもよい。)である。脂肪族炭化水素基は非環式が好ましく、一部環式を含んでいてもよい。また炭素数が70以上となると架橋点間距離が長くなりすぎ、材料の強度が低下するので好ましくない。
中でも、一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜40の二価のアルキレン基またはポリメチレン基、あるいはそれらが−O−(エーテル結合)でつながった二価の基が好ましい。これらの構造においては、原料が比較的入手しやすいうえに、屈折率を上げる要因が最も少なくなる。特に、該アルキレン基またはポリメチレン基がエーテル結合で繋がった二価の基は、フッ素原子で置換されたアルキレン基またはポリメチレン基より、同じフッ素含有量でも低屈折率化できる場合が多く特に好ましい。
【0021】
Z1を部分構造に有するn=2のポリオール(b)としては、例えば、2,2,3,3,4,4,−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオールなどのパーフルオロアルキルジオール;パーフルオロトリエチレングリコール、パーフルオロテトラエチレングリコールなどのパーフルオロアルキレングリコール;α−(1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル)−ω−(2,2−ジフルオロエタノール)ポリ(オキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン)、α−(1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル)−ω−(2,2−ジフルオロエタノール)ポリ(オキシ−ジフルオロメチレン)、α−(1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル)−ω−(2,2−ジフルオロエタノール)ポリ(オキシ−ジフルオロメチレン)(オキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン)などのポリパーフルオロアルキレンエーテルジオール;3−パーフルオロブチル−1,2−エポキシプロパン、3−パーフルオロオクチル−1,2−エポキシプロパン、3−パーフルオロブチル−1,2−エポキシプロパンなどのフルオロアルキルエポキシドの開環ジオール;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン等があげられる。また、これらのフッ素含有ジオールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドといったアルキレンオキシドを付加させたジオールを用いることもできる。
【0022】
また、Z1を部分構造に有するn≧3のポリオール(b)としては、1,1,1−トリス(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−6−ヒドロキシヘキシルオキシメチル)エタン、1,1,1−トリス(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−6−ヒドロキシヘキシルオキシメチル)プロパン、1,1,1−トリス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−8−ヒドロキシオクチルオキシメチル)プロパン、2,2−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−6−ヒドロキシヘキシルオキシメチル)−1,3−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−6−ヒドロキシヘキシルオキシ)プロパン、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−6−ヒドロキシヘキシルオキシ)−3−[3−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−6−ヒドロキシヘキシルオキシ)−2,2−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−6−ヒドロキシヘキシルオキシメチル)プロポキシ]−2,2−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−6−ヒドロキシヘキシルオキシメチル)プロパン等といったフッ素含有ポリオールや、それらにエチレンオキシドやプロピレンオキシドといったアルキレンオキシドを付加させたポリオールを用いることもできる。
【0023】
Z2−(Z3)mを部分構造に有する環状構造を有するポリオール(b)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体、やトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートに上述のZ1にあげたようなフッ素含有ジオールを反応させたイソシアヌル環を有するトリオールやシクロヘキサン―1,2,4−トリカルボン酸、シクロヘキサン―1,2,4,5−テトラカルボン酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、デカヒドロナフタレン−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタカルボン酸、テトラヒドロフラン―2,3,4,5―テトラカルボン酸、2,3,5,6−ノルボルネン四酢酸や4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸、に上述のZ1にあげたようなフッ素含有ジオールを反応させた、シクロヘキサン環、ナフタレン環、デカヒドロナフタレン環、テトラヒドロフラン環、ノルボルネン環やベンゼン環を有する3〜8官能の多官能アルコールがあげられる。Z2で表されるイソシアヌル環、ベンゼン環、ナフタレン環、デカヒドロナフタレン環、テトラヒドロフラン環、ノルボルネン環、シクロヘキサン環は、マレイミド基数を増やすための分岐部位であり、該部位にもフッ素原子が含有されていることが好ましいが、原料の入手が困難な場合が多く、一般的にはフッ素を有していないので屈折率が上がる要因となる。しかし、特に高い強度が要求される用途においては、架橋点間距離を短くすることができることから有利となる。
【0024】
本発明のマレイミド化合物中のフッ素含有量は多い方が良く、好ましくは25%以上であり、より好ましくは30%以上である。また、同じフッ素含有量でも、Z1又はZ3が、フッ素で置換されたアルキレン基またはポリメチレン基であるよりも、−O−(エーテル結合)を有する基である方が、より低屈折率化できる場合が多い。
【0025】
一般式(2)、(3)で表されるマレイミド化合物の説明
一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(2)で表される化合物は、特に低屈折率であり好ましい。
【0026】
【化6】
【0027】
式中、X1及びX2はそれぞれ独立して、一部または全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基またはポリメチレン基を表し、rは1〜20の整数を表す。
【0028】
一般式(2)で表される化合物は、屈折率が高くなる構成要素が殆どなく、屈折率を低くするフッ素原子の含有率が高くなるため、得られる硬化物の屈折率が低くなる。rが大きくなるほど活性エネルギー線硬化性組成物の粘度が高くなる傾向がある。
【0029】
また、一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(3)で表される化合物は、活性エネルギー線硬化性組成物の粘度が低く抑えられ、かつ屈折率の低い硬化物が得られ好ましい。
【0030】
【化7】
【0031】
式中、X1及びX2はそれぞれ独立して、一部または全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基またはポリメチレン基を表し、p、qは等しくても異なってもよい0〜20の整数であり、かつp+qは1〜20である。ここで、pおよびqで表される整数は、それぞれのカッコでくくられた単位の数の比を表しており、アルコール残基中における各単位の配列はランダムであってもよい。
一般式(1)〜(3)で表される化合物の好ましい態様を以下に示す。
【0032】
【化8】
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)ジオール分子量:1000、1500、2000
【0035】
【化11】
ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)ジオール分子量:1000、1500、2000
【0036】
【化12】
【0037】
合成方法
一般式(1)で表される化合物のうち、フッ素原子を含有するアルコールとして、ヒドロキシ基から、そのδ位メチレン基より遠い位置にフッ素原子を有していたり、フッ素原子を有しないアルキレンオキシド等で末端変性されているアルコールを用いる場合は、公知の方法、例えば、マレイミドカルボン酸とアルコールとの脱水縮合反応、マレイミドカルボン酸の酸ハロゲン化物とアルコールとの脱ハロゲン化水素反応、あるいはマレイミドカルボン酸エステルとアルコールとのエステル交換反応など、公知のエステル合成反応によって製造することができる。エステル合成反応に際しては、酸触媒、脂肪族または芳香族スルホン酸、有機錫化合物、金属ハロゲン化物、金属酸化物等、公知慣用のエステル化触媒、あるいはエステル交換触媒、脱ハロゲン化水素反応においてはトリエチルアミン、ピリジン、コリジンなどの公知慣用のハロゲン化水素スカベンジャーを使用することができる。エステル合成反応中にマレイミド基が熱重合するのを防止するためには、ヒドロキノンや4−tert−ブチルカテコールなど公知慣用の重合禁止剤を使用してもよい。
【0038】
一般式(2)と(3)で表される化合物等では、フッ素原子を含有するアルコールとして、ヒドロキシ基のβ位メチレン基にフッ素原子が結合しているアルコール化合物を使用するが、これは、公知の方法では反応しない。本発明者らは、反応容器中で、マレイミド酢酸の酸ハロゲン化物と、ヒドロキシ基のβ位メチレン基にフッ素原子が結合しているアルコール化合物とを反応させる際、反応が生じる温度条件下で、該反応容器中にピリジン又はピリジン誘導体を滴下すれば、反応が進むことを見出した。
【0039】
本反応で用いることができる塩基はピリジン又はピリジン誘導体である。本反応は反応性の低いヒドロキシ基のβ位メチレン基にフッ素原子が結合しているアルコール化合物を用いる為に比較的高い反応温度が必要となり、このような条件下で強い塩基を用いるとマレイミド部位の重合等が生じる。また、ピリジン又はピリジン誘導体を、反応が生じうる条件下で滴下することにより、はじめて反応が進行する。この原因は明確になっていないが、ヒドロキシ基のβ位メチレン基にフッ素原子が結合しているアルコール化合物の比較的強い酸性に起因するものと推測している。
本反応で用いられるピリジン誘導体を例示すると、ピコリン、エチルピリジン、ルチジン、コリジン等のアルキル基を有するピリジン、クロロピリジン、ジクロロピリジン等のハロゲンを有するピリジン、キノリン、イソキノリン等の窒素含有複素芳香族化合物があげられる。
【0040】
本反応で使用されるピリジン又はピリジン誘導体の量は、反応により発生するハロゲン化水素に対して当量以上であれば良いが、あまり多くても経済的でなく、該ハロゲン化水素に対して1〜2当量程度が好ましい。
本反応におけるピリジン又はピリジン誘導体の滴下による添加は、ヒドロキシ基のβ位メチレン基にフッ素原子が結合しているアルコール化合物とマレイミド酢酸の酸ハロゲン化物の反応が生じうる温度条件下で行われ、また、反応の進行に応じて滴下されることが好ましい。この反応が生じうる温度条件はヒドロキシ基のβ位メチレン基にフッ素原子が結合しているアルコール化合物やマレイミド酢酸の酸ハロゲン化物の構造や反応に用いられる溶媒等に依存する為、好適な範囲を一概には示すことは難しいが、おおよそ60〜150℃程の範囲である。また、適切な滴下速度も反応速度に影響を与える基質の構造、溶媒や反応温度により変化する為、好適な範囲を一概には示すことは難しいが、30分から数時間程度の範囲である。
本反応で使用される反応溶媒は、本反応に影響を及ぼさない限りにおいていかなる溶媒も用いることができる。使用するアルコール化合物の構造にもよるが、反応が生じる温度で該アルコール化合物を均一に溶解しうる溶媒を使用することが好ましい。このような溶媒を例示すると、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどがあげられる。
また、本反応に際しても上述のフッ素原子を含有するアルコールとしてヒドロキシ基のδ位メチレン基より遠い位置にフッ素原子を有していたり、フッ素原子を有しないアルキレンオキシドで末端変性されているアルコールを用いる場合の反応と同様に重合禁止剤を用いることもできる。
【0041】
活性エネルギー線硬化性組成物
本発明のマレイミド化合物は、単独で、あるいは、共重合可能な重合性化合物を添加して、活性エネルギー線硬化性組成物として使用する。このような重合性化合物としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレンなど、マレイミド化合物と共重合可能な公知の単量体、あるいはウレタン(メタ)アクリレートなどの、重合性官能基を有するオリゴマーが挙げられる。
また、本発明のマレイミド化合物を開始剤として用い、フッ素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル等の低屈折材料を硬化することも可能である。
【0042】
本発明のマレイミド化合物は、それ自身が重合開始剤として作用するので、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、重合開始剤を添加する必要はないが、活性エネルギー線硬化性組成物中の本発明のマレイミド化合物の含有率が極端に低い場合や、高い重合速度を必要とする場合には、通常の熱重合あるいは活性エネルギー線重合の場合と同様に、公知慣用の熱重合開始剤や光重合開始剤を使用してもよい。しかしながら、得られる重合体を光学材料などに使用する場合には、活性エネルギー線硬化性組成物中に含有される重合性化合物全量に対して0〜1%の範囲で使用するのが好ましい。添加率が1質量%を超えた場合には、重合体中に残存する未反応の重合開始剤や、その分解生成物が、硬化時の臭気の発生や、硬化物の耐光性低下の原因となりやすい。
【0043】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、ヒドロキノンや4−tert−ブチルカテコールなど公知慣用の重合禁止剤や、アセトン、トルエン、酢酸エチル、クロロホルム、あるいはジクロロメタンなどの溶剤を添加することもできる。
【0044】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線照射により硬化させることができる。中でも紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマランプ、ショーアーク灯、ヘリウム・カドミウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマレーザーなどを使用することができる。
【0045】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、熱硬化させることもできる。このときの熱源は特に限定なく、公知の熱源が使用できる。また、この場合も、重合開始剤なしで硬化させることができるが、必要に応じて前記公知慣用の熱重合開始剤を添加してもよい。
【0046】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を、光学部品あるいはそのコーティング剤、接着剤、または反射防止剤などの低屈折率光学材料として使用する場合には、最終的に得られる重合体の屈折率は1.47以下であるのが好ましい。このような低屈折率を有する重合体を得るためには、活性エネルギー線硬化性組成物に、本発明のマレイミド化合物との共重合性を有し、分子中にフッ素原子を有する(メタ)アクリル系単量体を配合するとよい。フッ素原子を有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば2,2,3,3,3−ペンタフルオロエチルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロエチルメタクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート等の単官能モノマーや、2,2,3,3,4,4,−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール 、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオールなどのパーフルオロアルキルジオール;パーフルオロトリエチレングリコール、パーフルオロテトラエチレングリコールなどのパーフルオロアルキレングリコール;α−(1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル)−ω−(2,2−ジフルオロエタノール)ポリ(オキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン)、α−(1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル)−ω−(2,2−ジフルオロエタノール)ポリ(オキシ−ジフルオロメチレン)、α−(1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル)−ω−(2,2−ジフルオロエタノール)ポリ(オキシ−ジフルオロメチレン)(オキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン)などのポリパーフルオロアルキレンエーテルジオール等のジオールのジアクリレートやジメタクリレートがあげられる。
【0047】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。特に断らない限り、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
【0048】
(合成例1) マレイミド酢酸の合成
撹拌機、温度計、滴下ロート、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた反応容器に、トルエン1400部、p−トルエンスルホン酸一水和物52部及びトリエチルアミン28部を順次仕込み、撹拌しながら無水マレイン酸300部を加えた後、30℃まで昇温させながら溶解させた。さらにグリシン230部を加えた後、撹拌しながら70℃で3時間反応させた。その後、さらにトルエン500部、トリエチルアミン600部を加え、溶媒を加熱還流させて生成する水を除去しながら1時間反応させた。反応混合物から溶媒を留去して得られた残留物に、4mol/dm3塩酸を加えてpH2に調整した後、加熱−再結晶して、マレイミド酢酸の淡黄色固体73部を得た。
【0049】
(合成例2) マレイミド酢酸クロライドの合成
滴下ロート、攪拌機、温度計、窒素導入管および水酸化ナトリウム水溶液トラップを備えた反応容器に、マレイミド酢酸20部およびトルエン200部を仕込み、撹拌しながら、室温下、塩化チオニル50部を滴下した。滴下終了後、反応混合物を50℃まで加熱し、撹拌下、5時間反応させた。冷却後、反応混合物を減圧蒸留し、マレイミド酢酸クロライド20部を得た。
【0050】
(合成例3) トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートの酸クロライドの合成
冷却装置、滴下ロート、攪拌機、温度計を備えた反応容器に四国化成製1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート120部、ジメチルホルムアミド450部を仕込み、20℃まで冷却した。冷却装置を止めた後に、2時間かけて塩化チオニル146部を滴下ロートから加えた。滴下終了後さらに2時間攪拌した後、攪拌を止めて再び反応器を冷却した。15℃まで冷却し、生成した固体を吸引ろ過によりろ別した。固体はクロロホルム50部で洗浄した後、減圧乾燥し、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートの酸クロライド120部(白色固体)を得た。
【0051】
(実施例1)
マレイミド酢酸クロライド175部、ダイキン化成品販売社製2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジオール「A−7412」100部、p−メトキシフェノール1.4部、トルエン2500部を反応容器に仕込み、攪拌しながら100℃まで昇温後、2時間同温度を保持した。次いで、ピリジン58部を30分かけて滴下し、さらに2時間同温度を保持した。反応混合物からトルエンを留去し、残査を酢酸エチル/トルエン混合溶剤に溶解、再結晶化させた後、脱溶剤して2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジオールのビスマレイミド酢酸エステル[マレイミド化合物(1−1)]20部を得た。
1H nmr(CD3COCD3) δ7.00(一重線、4H)、δ4.40(一重線、4H)、δ4.75(多重線、4H)
【0052】
得られたマレイミド化合物(1−1)を使用し、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
マレイミド化合物(1−1) 80部
メタクリル酸メチル(以下、「MMA」と略記する。) 20部
N,N−ジメチルホルムアミド 900部
【0053】
(実施例2)
マレイミド酢酸クロライド94部、下記一般式(4)で表されるアウジモント社製フッ素含有ジオール「FLUOROLINK D10」100部、p−メトキシフェノール1.0部、トルエン2500部を反応容器に仕込み、攪拌しながら100℃まで昇温し、2時間同温度を保持した。
【0054】
【化13】
(p、qは整数で不定であり、種々の値を有するものの混合物。NMRにより測定した数平均分子量1000)
【0055】
次いで、ピリジン31部を30分かけて滴下し、さらに2時間同温度を保持した。反応混合物からトルエンを留去し、残査を酢酸エチルに溶解、再結晶化させた後、脱溶剤して、下記一般式(4)で表されるフッ素含有ジオールの、ビスマレイミド酢酸エステル[マレイミド化合物(1−2)]20部を得た。
1H nmr(CD3COCD3) δ6.85(一重線、4H)、δ4.40(一重線、4H)、δ4.68(多重線、4H)
【0056】
実施例1におけるマレイミド化合物(1−1)の代わりに、マレイミド化合物(1−2)を使用した以外は実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
【0057】
(実施例3)
下記一般式(5)で表されるアウジモント社製フッ素含有ジオール「FLUOROLINK E10」300部、トリエチルアミン14部およびトルエン3000部を反応容器に加え、室温下、撹拌しながら合成例3で得られたトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートの酸クロライド16部とトルエン50部からなる溶液を滴下した。
【0058】
【化14】
(u、vは整数で平均1〜2。s、tは整数で不定であり、種々の値を有するものの混合物。NMRにより測定した数平均分子量1000)
【0059】
滴下終了後、反応混合物を50℃に加熱し、5時間反応させた。冷却後、酢酸エチルで希釈し、濾過により、トリエチルアミンの塩酸塩を除去した。酢酸エチルを減圧下で留去し、得られた混合物をカラムクロマトグラフィーで分離し、目的化合物であるトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートの3モルFLUOROLINK E10エステル体(中間化合物A)40部を得た。
得られた中間化合物A 33部、トルエン100部、p−メトキシフェノール0.3部およびピリジン5部を反応容器に加え、撹拌しながら、室温下、マレイミド酢酸の酸クロライド26部およびトルエン20部からなる溶液を滴下した。滴下終了後、反応混合物を90℃まで加熱して10時間反応させた。反応混合物からトルエンを留去し、残査をカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体化合物Aの3つのヒドロキシ基がマレイミド酢酸によりエステル化された[マレイミド化合物(1−3)]5部を得た。
1H nmr(CD3COCD3) δ6.95(一重線、6H)、δ4.40(一重線、6H)、δ4.60(多重線、14H)、δ3.90(多重線、14H)、δ3.60(多重線、18H)、δ2.55(三重線、6H)
【0060】
得られたマレイミド化合物(1−3)を使用し、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
マレイミド化合物(1−3) 60部
化合物(比−1) 40部
N,N−ジメチルホルムアミド 900部
【0061】
(比較例1)
ダイキン化成品販売社製2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジオール「A−7412」100部、ピリジン67部およびp−メトキシフェノール1.0部を反応容器に仕込み、攪拌しながら、室温下、アクリル酸クロライド92部を滴下した。滴下終了後、反応混合物を100℃まで昇温し、5時間同温度を保持した。反応混合物をカラムクロマトグラフィーにより精製して2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジオールのジアクリル酸エステル[化合物(比−1)]14部を得た。
【0062】
得られた化合物(比−1)を使用し、下記組成の活性エネルギー線硬化性組
成物を調製した。
化合物(比−1) 80部
MMA 20部
N,N−ジメチルホルムアミド 900部
【0063】
(比較例2)
得られた化合物(比−1)を使用し、下記組成の活性エネルギー線硬化性組
成物を調製した。
【0064】
(比較例3)
撹拌機、温度計、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた反応容器にマレイミド酢酸155部、ダイキン化成品販売社製2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジオール「A−7412」100部、p−メトキシフェノール1.4部、p−トルエンスルホン酸7.2部およびトルエン2500部を仕込み、攪拌しながら、加熱し、反応により発生する水を除去すべく、16時間還流させたが、エステル化反応は起こらなかった。
【0065】
(比較例4)
マレイミド酢酸ブチル211部、ダイキン化成品販売社製2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジオール「A−7412」100部、p−メトキシフェノール1.4部、ジブチル錫オキシド6.2部、トルエン2500部を反応容器に仕込み、攪拌しながら、加熱し、還流させた。反応により生成するブタノールを除去すべく、時間あたり60部のトルエンを留去し、新たなトルエン60部を加えながら、反応を20時間続けたが、エステル交換反応は起こらなかった。
【0066】
(比較例5)
ダイキン化成品販売社製2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジオール「A−7412」100部、ピリジン67部およびp−メトキシフェノール1.0部を反応容器に仕込み、攪拌しながら、室温下、マレイミド酢酸の酸クロライド175部を滴下した。滴下終了後、反応混合物を100℃まで昇温し、5時間同温度を保持したが、目的のエステル体は得られなかった。
【0067】
(活性エネルギー線硬化性組成物塗膜の硬化性試験)
実施例および比較例で調製した活性エネルギー線硬化性組成物を硬化後の塗膜厚が10μmとなるよう、バーコーターでガラス板に塗布し、アイグラフィックス社製UV照射装置を使用して、照射量が3kJ/m2となるよう紫外線を照射した。その後、まず50℃、常圧で、続いて50℃、133Paの減圧下、乾燥機中でN,N−ジメチルホルムアミドを揮発させた。得られた硬化塗膜について、官能検査によって臭気の有無を調べ、指触検査によって硬化の度合いを調べた。実用的な硬化度合いが得られた場合を○、実用的な硬化度合いが得られなかった場合を×と評価した。
【0068】
(屈折率測定)
実施例および比較例で調製した活性エネルギー線硬化性組成物を、厚さ6mmのガラス板上に、硬化後の塗膜厚が0.05〜1.0μmとなるようにバーコーターで塗布後、アイグラフィックス社製UV照射装置を使用して、照射量が3kJ/m2となるよう紫外線を照射した。その後、まず50℃、常圧で、続いて50℃、133Paの減圧下、乾燥機中でN,N−ジメチルホルムアミドを揮発させた。得られた硬化塗膜をガラス板から剥離することなく、フォトデバイス社製エリプソメーター「MARY−102MM」を使用し、632.8nmの光に対する上記硬化塗膜の屈折率を測定した。
【0069】
(耐候性試験)
前記(活性エネルギー線硬化性組成物塗膜の硬化性試験)において得られた活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜について、ダイプラ・ウィンテス社製メタルウエザー耐候性試験機を使用して、窒素雰囲気下、光照射量180J/cm2・hrで4時間、次いで光を照射しない状態で4時間放置の繰り返しを11サイクル行い、目視検査によってブリードアウトの有無を調べた。ブリードアウトが観察されなかった場合を○、ブリードアウトが観察された場合を×と評価した。
【0070】
【表1】
(表1)
光重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュアー184
【0071】
この結果、実施例1、2は、臭気もなく耐候性に優れ、屈折率が1.47以下の塗膜が得られた。実施例3は、本発明のマレイミド化合物にフッ素原子を有するアクリルモノマーを添加した例であるが、光重合開始剤なしでも硬化し、塗膜特性に問題はなかった。フッ素原子を有するアクリルモノマーを使用した例は、光重合開始剤を使用しないと硬化せず(比較例1)、光重合開始剤を使用すると臭気及び耐候性が悪かった(比較例2)。
【0072】
【発明の効果】
本発明のマレイミド化合物は、光重合開始剤を全く添加しないか、あるいは添加してもごく微量で、良好に光硬化し、耐久性や強度に優れた硬化物が得られる。
また、これらのマレイミド化合物のうち、従来法では合成できなかった低屈折コーティング材料として有用な、フッ素原子含有量が高く、架橋点間距離の短い多官能マレイミド化合物は、マレイミド酢酸の酸ハロゲン化物と、ヒドロキシ基のβ位メチレン基にフッ素原子が結合しているアルコール化合物とを反応させる際、反応が生じる温度条件下で、該反応容器中にピリジン又はピリジン誘導体を滴下することで合成することができる。
【0073】
また、本発明のマレイミド化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を光硬化させて得られる屈折率1.47以下の重合体は、耐候性や耐熱性に優れ、ブリードアウトや黄変が少ないので、光学材料として有用である。
Claims (7)
- 一般式(1)で表されるマレイミド化合物。
(式中、Xは、一部または全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基またはポリメチレン基を表す。複数存在するXはそれぞれ同じでも異なっていても良い。Zは、Z1又はZ2−(Z3)mを表し、Z1は、一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜70のn価の脂肪族炭化水素基(但し、置換基として、フッ素原子をもたない1つ以上のメチレン基は、酸素原子が互いに隣接しないものとして、−O−、−CO−、−OCO−、−CO−O−、−NHCO−O−又は―OCONH―で置換されていてもよい。)を表し、Z2は、2〜8個の遊離原子価を有するイソシアヌル環、ベンゼン環、ナフタレン環、テトラヒドロフラン環、デカヒドロナフタレン環、ノルボルネン環又はシクロヘキサン環を表し、Z3は、一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜70の2価の脂肪族炭化水素基(但し、置換基としてフッ素原子をもたない1つ以上のメチレン基は、酸素原子が互いに隣接しないものとして、−O−、−CO−、−OCO−、−CO−O−、−NHCO−O−又は―OCONH―で置換されていてもよい。)を表し、mはZ2が有する遊離原子価と同じ整数を表し、nは2〜8の整数を表す。) - 請求項1〜3のいずれかに記載のマレイミド化合物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
- 重合開始剤の含有率が重合性化合物に対して0〜1質量%である請求項4に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 請求項4に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を重合して得られ、屈折率が1.47以下であることを特徴とする低屈折光学材料用重合体。
- 反応容器中で、マレイミド酢酸の酸ハロゲン化物と、ヒドロキシ基のβ位メチレン基にフッ素原子が結合している化合物とを反応させる際、反応が生じる温度条件下で、該反応容器中にピリジン又はピリジン誘導体を滴下することを特徴とする、フッ素原子を含有するマレイミド化合物の製造方法。
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