JP2004089760A - 高選択性脱リン剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式
MII 1−xMIII x(OH)2An− y・mH2O
(MIIは二価金属の中から選ばれた少なくとも1種、MIIIは三価金属の中から選ばれた少なくとも1種、An−はn価の陰イオン、x、y及びmは、0<x≦0.67、0<y≦1、0≦m≦2)
で表わされる複合金属水酸化物の結晶の加熱処理物を有効成分とし、かつ水に溶存しているリンの硫酸イオンに対する選択係数が5以上である高選択性脱リン剤とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川、湖沼、海水、上下水道に含まれ汚染源となっているリンを効率よく除去し、浄化するための脱リン剤及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工場や家庭から排出される排水中のリンは、河川、湖沼、海水の富栄養化の原因となり、環境破壊を引き起すことから、これの除去、回収は大きな社会問題となっている。
【0003】
そのため、これまで多種多様の水中脱リン剤や水中脱リン方法が提案されている。すなわち、水中脱リン剤としては、例えば石灰質原料、ケイ酸質原料及びゼオライトの反応生成物からなる脱リン材(特開2001−9470号公報)、アロフェンを主成分とする物質を成形し、300〜600℃で焼成してなる除去材(特開平3−68445号公報)、産業廃棄物を溶融処理して得たスラグを微粉砕し、その中の酸化カルシウムをアルカリ処理して除去し、多孔状化したリン除去用無機吸着材(特開昭63−39632号公報)、流動床ボイラーから排出される灰を主成分とする脱リン材(特開平5−261378号公報)、ハイドロタルサイト類を有効成分とした脱リン剤(特開2000−24658号公報)などが知られているし、また水中脱リン方法としては、例えば、酸化アルミニウム及び酸化ナトリウムを含む活性アルミナに海水を接触させる海水の脱リン方法(特開平6−328067号公報)、アンモニウムイオンを含有するリン酸塩排水にマグネシウムイオンを添加し、次いでpH値を8以上に調整したのち、リン酸マグネシウムアンモニウム含有粒状物の充填層に通し、排水中のリンをリン酸マグネシウムアンモニウム粒子として上記粒状物の表面層に析出させる方法(特開昭63−200888号公報)、リンを含む水溶液をカルシウムイオンの存在下で、リン除去能力を有する粒状物と接触させる際に、この水溶液中に塩類溶液を添加して液の電気伝導度を2000マイクロモー/cm以上に調整して接触脱リンする方法(特開平3−207489号公報)、二価金属と三価金属とを含む複合金属水酸化物にリン含有排水を接触させてリン成分を吸着し、次いでリン成分を吸着したリン吸着剤をアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の水溶液で処理して再生する方法(特開平11−57695号公報)などが知られている。
【0004】
しかしながら、これらの脱リン剤や脱リン方法は、他の陰イオン、特に硫酸イオンが共存するとリンの除去率が低下し、海水域などで実際に富栄養化を完全に阻止することはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、水に溶存しているリンとその他の陰イオンとの選択係数を高め、他の陰イオンの存在下においても、リンの除去率が選択的に高い脱リン剤を提供することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、他の陰イオンと共存していても高い選択率によりリンを選択的に除去しうる脱リン剤を開発するために鋭意研究を重ねた結果、所定の組成の再結晶性複合金属水酸化物、すなわち所定の組成の複合金属水酸化物の結晶の加熱処理物において、リンの硫酸イオンに対する選択係数が5以上になるように調整することによりその目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、一般式
MII 1−xMIII x(OH)2An− y・mH2O (I)
(式中のMIIは二価金属の中から選ばれた少なくとも1種、MIIIは三価金属の中から選ばれた少なくとも1種、An−はn価の陰イオンを示し、x、y及びmは、0<x≦0.67、0<y≦1、0≦m≦2を満足する数である)
で表わされる複合金属水酸化物の結晶の加熱処理物を有効成分とし、かつ水に溶存しているリンの硫酸イオンに対する選択係数が5以上であることを特徴とする高選択性脱リン剤、及び二価金属の水溶性化合物と三価金属の水溶性化合物を含む水溶液に、無機酸又は有機酸の水溶性塩と水酸化アルカリの混合水溶液を滴下したのち、0〜90℃の温度に保って反応させ、一般式
MII 1−xMIII x(OH)2An− y・mH2O (I)
(式中のMIIは二価金属の中から選ばれた少なくとも1種、MIIIは三価金属の中から選ばれた少なくとも1種、An−はn価の陰イオンを示し、x、y及びmは、0<x≦0.67、0<y≦1、0≦m≦2を満足する数である)
で表わされる複合金属水酸化物の結晶の沈殿を生成させ、あるいは二価金属の水溶性化合物と二価マンガンの水溶性化合物を含む水溶液に、無機酸又は有機酸の水溶性塩と水酸化アルカリの混合水溶液を滴下したのち、酸化条件下、0〜90℃の温度に保って反応させ、一般式
MII 1−xMn(III)x(OH)2An− y・mH2O (II)
(式中のMII、An−、x、y及びmは前記と同じ意味をもつ)
で表わされる複合金属水酸化物の結晶の沈殿を生成させ、次いで、この沈殿を分別し、200〜500℃において加熱処理することを特徴とする脱リン剤の製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の一般式(I)中における二価金属MIIとしては、例えばMg、Zn、Cu(II)、Co(II)、Ni(II)などを挙げることができるが、特に好ましいのは、Mg、Zn及びCo(II)である。また、三価金属MIIIとしては、Al、Mn(III)、Fe(III)、Co(III)を挙げることができるが、特に好ましいのはMn及びAlである。このMII及びMIIIは、それぞれ単独の金属であってもよいし、また2種以上の金属の複合でもよい。
【0009】
次に、一般式(I)中の陰イオンAn−は、イオン交換性を有することが必要であり、例えば炭酸イオン、硫酸イオン、ハロゲンイオン、水酸化物イオンなどが挙げられる。この中で水酸化物イオンが特に好ましく、また加熱処理により容易に水酸化物イオンに変わるという点で炭酸イオン、炭酸水素イオンが好ましい。
【0010】
本発明の脱リン剤においては、従来の脱リン剤がリン酸と金属との反応に基づくものであるのに対し、イオン交換に基づく点で明らかに異なっている。しかも、このイオン交換は、炭酸イオン、ハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオンが共存していてもリン酸の電離体のみと選択的に行われる。
【0011】
次に、一般式(I)中のxは、0よりも大きく0.67以下の範囲の数であり、mは0と2との間の範囲の数であることが必要である。
そして、陰イオンAn−の量yは、Mn、Coなどの遷移金属を含む場合、原子価が単一でないため、このyは理論値(x/n)に対し、約30%の許容範囲を有している。特に好ましいのは、xが0.33付近でmが0≦m≦2の範囲内にあるものである。
【0012】
本発明の脱リン剤は、一般式(I)の組成を有する複合金属水酸化物の結晶の加熱処理物を有効成分とするものであって、かつ水に溶存しているリンの硫酸イオンに対する選択係数が5以上であることが必要である。この加熱処理物は、結晶構造を維持できず、層構造が崩れるが、リンを吸着すると層構造が回復するという特徴を有する。このもののリンに対する高い選択性は脱リン剤の層間の空隙により発現すると考えられる。すなわち、本発明の脱リン剤においては、層構造が乱れ、この空隙の大きさ(4〜6Å)がリン酸イオンの大きさに一致するためであると考えられる。
この空隙の大きさは、X線回折により求められる層間間隙dとは異なり、直接求めることはできず、選択吸着性などから間接的に求められるものである。そして、同じd値を示す物質でも、構成元素の種類、加熱処理条件により、この大きさは変化する。
【0013】
したがって、本発明において、一般式(I)中の組成の複合金属水酸化物の結晶を熱処理して、所定の選択係数を有するものを得るには、先ず好適な組成をもつ複合金属水酸化物の結晶を調製することが必要である。このような組成としては、例えば一般式(I)におけるMIIIが、Mn、Al又はAlとCoの複合で、MIIがMg、Ni、Zn又はCoとZnの複合のものを挙げることができる。
【0014】
そして、このような組成をもつ複合金属水酸化物の結晶の例としては、一般式
Mg1−xMnx(OH)2(HCO3)y・mH2O (III)
Zn1−xAlx(OH)2(HCO3)y・mH2O (IV)
(Co,Zn)1−x(Co,Al)x(OH)2(HCO3)y・mH2O(V)
及び
Ni1−xMnx(OH)2(HCO3)y・mH2O (VI)
(ただし、各式中のx、y及びmは前記と同じ意味をもつ)
で表わされるものを挙げることができる。
なお、上記の(Co,Zn)及び(Co,Al)は二価金属Zn及び三価金属Alの一部がそれぞれCoで置換されていることを意味する。Mn、Coなどの遷移金属を含む場合、原子価が単一でないため、yの値は理論値(x/n)と必ずしも一致しない。したがって、yの値は0〜1の範囲内で許容される。
【0015】
このような組成の複合金属水酸化物の結晶の炭酸水素塩は200〜500℃、好ましくは250〜350℃の範囲の温度で加熱することにより、脱炭酸反応が進行し、水酸化物型に変化する。そして、金属成分としてMn、Co、Feが含まれる場合、これらは複数の原子価を有するため、温度、雰囲気及び反応時間などを適切に制御して、必要な構成及び有効層空隙をもつものとすることが必要である。
【0016】
本発明方法において、原料として用いる二価金属の水溶性化合物及び三価金属の水溶性化合物としては、Mn、Mg、Zn、Co、Ni、Fe、Alなどの金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩などを挙げることができる。そのほか、所望ならば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄のような水酸化物を用いることもできる。
【0017】
次に、前記一般式(I)中の陰イオンAn−の供給源となる無機酸又は有機酸の水溶性塩としては、炭酸、硫酸、塩酸、硝酸のような無機酸又はシュウ酸、酢酸、クエン酸、乳酸などの有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが用いられるが、特に好ましいのはアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムである。また、これと混合して用いられる水酸化アルカリとしては、アルカリ金属やアンモニウムの水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどがある。
この無機酸又は有機酸の水溶性塩と水酸化アルカリの混合水溶液は、二価金属及び三価金属化合物に対し、約1〜40倍モルの割合で用いられる。
【0018】
三価金属の水溶性化合物の代りに、二価のマンガンの水溶性化合物を用いた場合は、これと無機酸又は有機酸の水溶性塩と水酸化アルカリの混合水溶液を滴下したのち、酸化条件下、例えば特に雰囲気を制御しない大気下、0〜90℃の温度においてゆっくり反応させることにより、一般式
MII 1−xMn(III)x(OH)2An− y・mH2O (II)
(式中のAn−はn価の陰イオンを示し、MII、x、y及びmは前記と同じ意味をもつ)
で表わされる複合金属水酸化物の結晶の沈殿を生成させることができる。
【0019】
このようにして調製された二価金属の水溶性化合物と三価金属の水溶性化合物に無機酸又は有機酸の水溶性塩と水酸化アルカリの混合水溶液を滴下したのち、次に0〜90℃の温度において反応させる。この反応は、通常かきまぜながら1〜5時間行われる。この反応により、前記一般式(I)で表わされる複合金属水酸化物の結晶が沈殿してくるので、これをろ過又は遠心分離により分取し、中性になるまで水洗したのち、風乾することにより、複合金属水酸化物の結晶が粉末として得られる。
【0020】
この粉末は、X線構造解析、組成分析、各金属の価数分析及びTG−TDA分析の質量減少から、一般式(I)で表わされる組成を有するハイドロタルサイトであることが分る。
【0021】
次に、この複合金属酸化物の結晶を、電気炉中に入れ、200〜500℃、好ましくは250〜350℃の温度において2〜10時間加熱処理する。この加熱処理により組成中の陰イオンが脱離するとともに、層構造が再配列し、水に溶存しているリンの硫酸イオンに対する選択係数が5以上の高選択性脱リン剤が得られる。
【0022】
このようにして得られる本発明の脱リン剤は、リン溶存水溶液中において、塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオンなど、通常リンの吸着を阻害すると考えられている陰イオンが共存してもリンを選択的に高い効率で吸着することができる。
【0023】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、各例中における脱リン剤についての、水に溶存しているリンの硫酸イオンに対する選択係数は次のようにして求めた。
【0024】
炭酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、リン酸二水素イオン、硫酸イオン(いずれもナトリウム塩として用いる)の等モル量(0.02mmol)混合溶液で、混合陰イオン吸着実験を行い、溶液中のイオン種の減少量から各陰イオンの吸着容量を求め、リン酸二水素イオンの吸着容量を分子に、他の陰イオンの吸着容量を分母とした比をとり、脱リン剤の水中における各種陰イオンに対する溶存したリンの選択係数とした。
【0025】
実施例1
塩化マンガン(II)1質量部と塩化マグネシウム3質量部とを含む水溶液に、水酸化ナトリウム80質量部と炭酸ナトリウム40質量部を含む水溶液を撹拌しながら滴下し、60℃で2時間反応させ、沈殿物を得た。次いで、この沈殿物を遠心分離し、中性になるまで水洗したのち、風乾した。生成物を粉末X線構造解析、組成分析、マンガンの価数分析した結果、Mg0.75Mn0.25(OH)2(HCO3)0.25・mH2O型のハイドロタルサイトと同定された。また、TG−TDA分析の質量減少から、mの値は、1から2の間であることが分った。
【0026】
この試料を300℃の電気炉の中で4時間加熱することにより脱リン剤を製造し、陰イオン吸着性能を以下の方法で測定した。すなわち、この試料0.1gに対して0.02mmolの炭酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、リン酸二水素イオン、硫酸イオン(いずれもナトリウム塩)を加え、混合陰イオン吸着実験を27℃で3日間行ったのち、溶液を陰イオンクロマトグラフィで分析したところ、添加したリン酸二水素イオンの99%が吸着したのに対し、硫酸イオンの吸着は9%であった。すなわち、脱リン剤の水中における硫酸イオンに対する溶存したリンの選択係数は11であった。また、リン酸単独での飽和吸着容量を測定したところ、1.4mmol/gであった。
【0027】
実施例2
塩化アルミニウム1質量部と塩化亜鉛3質量部を含む水溶液に、水酸化ナトリウム80質量部と炭酸ナトリウム40質量部とを含む水溶液を撹拌しながら滴下し、60℃で2時間反応させ、沈殿物を得た。この沈殿物を遠心分離し、中性になるまで水洗したのち、風乾した。生成物を粉末X線構造解析、組成分析した結果、Zn0.75Al0.25(OH)2(HCO3)0.25・mH2O型のハイドロタルサイトと同定された。また、TG−TDA分析の質量減少から、mの値は1から2の間にあることが分った。
【0028】
次に、この生成物を300℃の電気炉の中で4時間加熱することにより脱リン剤を製造し、このものの陰イオン吸着性能を以下の方法で測定した。すなわち、この脱リン剤0.1gに対して0.02mmolの炭酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、リン酸二水素イオン、硫酸イオン(いずれもナトリウム塩)を加え、混合陰イオン吸着実験を27℃で3日間行ったのち、溶液を陰イオンクロマトグラフィで分析した。リン酸二水素イオンが73%吸着したのに対し、硫酸イオンの吸着は6%であった。したがって、この脱リン剤の水中における硫酸イオンに対する溶存したリンの選択係数は13であった。また、リン酸単独での飽和吸着容量を測定したところ、1.2mmol/gであった。
【0029】
実施例3
塩化アルミニウム1質量部と塩化コバルト(II)1.5質量部と塩化亜鉛1.5質量部とを含む水溶液に、炭酸ナトリウム40質量部を含む水溶液を撹拌しながら滴下したのち、水酸化ナトリウム水溶液でpHを9に調整した。この混合物を80℃で4時間反応させ、沈殿物を得た。次に、この沈殿物を遠心分離し、中性になるまで水洗したのち、40℃で1日乾燥した。この生成物を粉末X線構造解析した結果、ハイドロタルサイトと同定された。また、また、TG−TDA分析の質量減少から、mの値は1から2の間であることが分った。
【0030】
次に、この生成物を300℃の電気炉の中で4時間加熱することにより、脱リン剤を製造し、陰イオン吸着性能を以下の方法で測定した。すなわち、この脱リン剤0.1gに対して0.02mmolの炭酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、リン酸二水素イオン、硫酸イオン(いずれもナトリウム塩)を加え、混合陰イオン吸着実験を27℃で3日間行ったのち、液を陰イオンクロマトグラフィで分析した。その結果、リン酸二水素イオンが91%吸着したのに対し、硫酸イオンの吸着は2%であった。したがって、この脱リン剤の水中における硫酸イオンに対する溶存したリンの選択係数は55であった。また、リン酸単独での飽和吸着容量を測定したところ、0.6mmol/gであった。
【0031】
実施例4
塩化マンガン(II)1質量部と塩化ニッケル3質量部とを含む水溶液に、水酸化ナトリウム80質量部と炭酸ナトリウム40質量部を含む水溶液を撹拌しながら滴下し、60℃で2時間反応させ、沈殿物を得た。この沈殿物を遠心分離し、中性になるまで水洗し、風乾した。このようにして得た生成物を粉末X線構造解析、組成分析、マンガンの価数分析した結果、Ni0.75Mn0.25(OH)2(HCO3)0.25・mH2O型のハイドロタルサイトであると同定された。また、TG−TDA分析の質量減少から、mの値は1から2の間であることが分った。
【0032】
この生成物を300℃の電気炉の中で4時間加熱することにより脱リン剤を製造し、陰イオン吸着性能を以下の方法で測定した。すなわち、この脱リン剤0.1gに対して0.02mmolの炭酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、リン酸二水素イオン、硫酸イオン(いずれもナトリウム塩)を加え、混合陰イオン吸着実験を27℃で3日間行ったのち、溶液を陰イオンクロマトグラフィで分析したところ、リン酸二水素イオンが24%吸着したのに対し、硫酸イオンの吸着は4%であった。したがって、この脱リン剤の水中における硫酸イオンに対する溶存したリンの選択係数は6であった。また、リン酸単独での飽和吸着容量を測定したところ、0.16mmol/gであった。
【0033】
比較例
市販のMg0.75Al0.25(OH)2(HCO3)0.25型のハイドロタルサイトを300℃の電気炉の中で4時間加熱したものを脱リン剤とし、陰イオン吸着性能を以下の方法で測定した。この脱リン剤0.1gに対して0.02mmolの炭酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、リン酸二水素イオン、硫酸イオン(いずれもナトリウム塩)を加え、混合陰イオン吸着実験を27℃で3日間行ったのち、溶液を陰イオンクロマトグラフィで分析したところ、添加したリン酸二水素イオンが80%吸着したのに対し、硫酸イオンが36%、塩化物イオンは13%、硝酸イオンが10%吸着され、これらは主に炭酸イオンとイオン交換していた。また、リン酸単独での飽和吸着容量を測定したところ、1.1mmol/gであった。また、この脱リン剤の水中における硫酸イオンに対する溶存したリンの選択係数はおよそ2であった。
【0034】
以上の結果から、本発明の高選択性脱リン剤は、従来のものと比較して、高いリン選択性を有することが分る。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、リン含有水溶液において、ハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオンなどの陰イオンが共存していても、リンを選択的に吸着しうる高選択性脱リン剤が得られるので、海水中のリンの除去に有用である。
Claims (9)
- 一般式
MII 1−xMIII x(OH)2An− y・mH2O
(式中のMIIは二価金属の中から選ばれた少なくとも1種、MIIIは三価金属の中から選ばれた少なくとも1種、An−はn価の陰イオンを示し、x、y及びmは、0<x≦0.67、0<y≦1、0≦m≦2を満足する数である)
で表わされる複合金属水酸化物の結晶の加熱処理物を有効成分とし、かつ水に溶存しているリンの硫酸イオンに対する選択係数が5以上であることを特徴とする高選択性脱リン剤。 - 一般式中のMIIIがMnである請求項1記載の高選択性脱リン剤。
- 一般式中のMIIIがAl又はAlとCoの組合せである請求項1記載の高選択性脱リン剤。
- 一般式中のMIIがMg又はNi、An−がHCO3 −である請求項2記載の高選択性脱リン剤。
- 一般式中のMIIがZn、An−がHCO3 −である請求項3記載の高選択性脱リン剤。
- 一般式中のMIIがCo及びZn、An−がHCO3 −である請求項3記載の高選択性脱リン剤。
- 二価金属の水溶性化合物と三価金属の水溶性化合物を含む水溶液に、無機酸又は有機酸の水溶性塩と水酸化アルカリの混合水溶液を滴下したのち、0〜90℃の温度に保って反応させ、一般式
MII 1−xMIII x(OH)2An− y・mH2O
(式中のMIIは二価金属の中から選ばれた少なくとも1種、MIIIは三価金属の中から選ばれた少なくとも1種、An−はn価の陰イオンを示し、x、y及びmは、0<x≦0.67、0<y≦1、0≦m≦2を満足する数である)
で表わされる複合金属水酸化物の結晶の沈殿を生成させ、次いで、この沈殿を分別し、200〜500℃において加熱処理することを特徴とする脱リン剤の製造方法。 - 二価金属の水溶性化合物と二価マンガンの水溶性化合物を含む水溶液に、無機酸又は有機酸の水溶性塩と水酸化アルカリの混合水溶液を滴下したのち、酸化条件下、0〜90℃の温度に保って反応させ、一般式
MII 1−xMn(III)x(OH)2An− y・mH2O
(式中のMIIは二価金属の中から選ばれた少なくとも1種、An−はn価の陰イオンを示し、x、y及びmは、0<x≦0.67、0<y≦1、0≦m≦2を満足する数である)
で表わされる複合金属水酸化物の結晶の沈殿を生成させ、次いで、この沈殿を分別し、200〜500℃において加熱処理することを特徴とする脱リン剤の製造方法。 - 無機酸又は有機酸の水溶性塩が炭酸アルカリ塩である請求項7及び8記載の脱リン剤の製造方法。
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