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JP2004079991A - 圧電素子、インクジェットヘッド、角速度センサ及びこれらの製造方法、並びにインクジェット式記録装置 - Google Patents

圧電素子、インクジェットヘッド、角速度センサ及びこれらの製造方法、並びにインクジェット式記録装置 Download PDF

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JP2004079991A JP2003117954A JP2003117954A JP2004079991A JP 2004079991 A JP2004079991 A JP 2004079991A JP 2003117954 A JP2003117954 A JP 2003117954A JP 2003117954 A JP2003117954 A JP 2003117954A JP 2004079991 A JP2004079991 A JP 2004079991A
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Akiyuki Fujii
映志 藤井
Atsushi Tomosawa
淳 友澤
Akiko Murata
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Ryoichi Takayama
良一 高山
Hiroshi Hirasawa
拓 平澤
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Abstract

【課題】圧電素子20において結晶性及び(001)面結晶配向性の良好なペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層3を形成して、この圧電素子20の特性ばらつきを低減するとともに、信頼性を向上させる。
【解決手段】シリコン基板1上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層2を形成し、この第1の電極層2上に、菱面体晶系又は正方晶系のペロブスカイト型酸化物(PZT等)からなる圧電体層3を形成して、該圧電体層3を(001)面に優先配向させる。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機械変換機能を呈する圧電素子、この圧電素子を用いたインクジェットヘッド、角速度センサ及びこれらの製造方法、並びに上記インクジェットヘッドを印字手段として備えたインクジェット式記録装置に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、圧電材料は、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換し、或いは電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する材料である。この圧電材料の代表的なものとしては、ペロブスカイト型結晶構造のチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)(以下、PZTという)がある。このPZTにおいて最も大きな圧電変位が得られる方向は、正方晶系の場合には<001>軸方向(c軸方向)であり、菱面体晶系の場合には<111>軸方向である。しかし、多くの圧電材料は、結晶粒子の集合体からなる多結晶体であるため、各結晶粒子の結晶軸はでたらめな方向を向いている。したがって、自発分極Psもでたらめに配列している。
【0003】
ところで、近年の電子機器の小型化に伴って、圧電材料を用いた圧電素子に対しても小型化が強く要求されるようになってきている。そして、この要求を満足させるために、圧電素子を、従来より多くの用途に使用されてきた焼結体に比べて体積を著しく小さくできる薄膜の形態で使用する傾向にあり、このような圧電素子に対する薄膜化の研究開発が盛んになってきている。例えば、正方晶系PZTの場合、自発分極Psは<001>軸方向を向いているので、薄膜化しても高い圧電特性を実現するためには、PZT薄膜を構成する結晶の<001>軸を基板表面に対して垂直方向に揃える必要がある。これを実現するために、従来においては、結晶方位(100)面が表面に出るように切り出したNaCl型結晶構造の酸化マグネシウム(MgO)からなる単結晶の基板を用い、この基板上に、スパッタ法により、下部電極として(100)面に配向したPt電極薄膜を形成し、このPt電極上に、その表面に対して垂直方向に<001>軸配向した結晶性良好なPZT薄膜を600〜700℃の温度で形成していた(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。
【0004】
上記の方法は、MgO単結晶の基板を用いることが特徴であり、それによってはじめて、高い圧電特性を有する結晶方向に優先的に結晶配向した圧電薄膜が実現されたわけであるが、このMgO単結晶は非常に高価な材料であるために、この方法で形成した圧電薄膜を有する圧電素子を利用した工業製品を大量生産するには、コスト的に問題がある。
【0005】
そこで、シリコン等の安価な基板の上に圧電材料の結晶配向膜を形成する方法として、いろいろな工夫がなされている。例えば、PZT等の圧電体層の結晶の優先配向面を制御する方法として、特許文献2には、基板の表面に酸化ジルコニウムを主成分とする下地層を形成し、この下地層上にイリジウムを含有する下部電極を形成し、この下部電極上に極薄のチタン層を積層し、このチタン層上に、圧電特性を発現する強誘電体を構成する、金属元素及び酸素元素を含む非晶質の圧電体前駆体薄膜を形成し、この非晶質の薄膜を高温で熱処理する方法で結晶化させて圧電性を発現する圧電体薄膜に変化させる製造方法(ゾル・ゲル法)が開示されており、その際にチタン層の膜厚を制御することで圧電体薄膜の結晶配向性をコントロールできることが示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−209517号公報
【特許文献2】
特開2001−88294号公報
【非特許文献1】
“ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス
(Journal of Applied Physics)”,(米国),アメリカ物理学会,
1989年2月15日,第65巻,第4号,p.1666−1670
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献2に開示された方法は、高価なMgO単結晶基板を用いない方法として優れているものの、ゾル・ゲル法により圧電体薄膜を形成するため、MgO単結晶基板上に圧電体薄膜を形成する場合のように、膜形成時において結晶配向した結晶性良好な膜を得ることは困難である。このために、一旦、非晶質の圧電体前駆体薄膜を形成し、この膜を含む積層膜を最後に基板ごと熱処理することで、結晶軸が相応しい方向に優先配向するようにしている。
【0008】
このため、ゾル・ゲル法では、圧電素子を工業的に量産すると、有機物を取り除く脱脂工程において非晶質の圧電体前駆体薄膜に体積変化によりクラックが生じ易く、また、非晶質の圧電体前駆体薄膜を高温で加熱して結晶化させる工程においても、結晶変化によりクラックや下部電極との膜剥離が生じ易く、さらに成膜後の後熱処理工程があるために、工程数が多くなり、ともすると歩留りが低くなってしまうという問題がある。
【0009】
一方、上記特許文献2では、非晶質薄膜を一旦形成し、結晶化熱処理なる後処理によって結晶性薄膜に変化させて合成する方法であるゾル・ゲル法(MOD法も含む)以外の方法、つまり熱処理による結晶化工程なしに直接に結晶質薄膜を形成する成膜法、例えばスパッタ法、レーザーアブレーション法、CVD法により、強誘電体薄膜の代表のPZT膜の配向制御を試みたが、ゾル・ゲル法以外に配向制御ができなかったとしている。その理由は、ゾル・ゲル法では下部電極側から上部電極側にかけて徐々にPZT膜の結晶化が進行するのに対し、CVD法やスパッタ法等では、PZT膜の結晶化がランダムに進行して、結晶化に規則性がないことが配向制御を困難にしているためとしている。
【0010】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低コストで、圧電特性に優れていて高信頼性の圧電素子が得られるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、電極層を、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金で構成しておき、この電極層上に、菱面体晶系又は正方晶系のペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層を形成して、該圧電体層を(001)面に優先配向させるようにした。
【0012】
具体的には、請求項1の発明では、第1の電極層と、該第1の電極層上に設けられた圧電体層と、該圧電体層上に設けられた第2の電極層とを備えた圧電素子を対象とする。
【0013】
そして、上記第1の電極層は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなり、上記圧電体層は、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなるものとする。
【0014】
上記の構成により、第1の電極層上に圧電体層をスパッタ法等により形成すれば、第1の電極層が(111)面配向等であったとしても、第1の電極層が結晶配向制御層の役目を果たして、圧電体層が(001)面(菱面体晶系の場合には、(100)面と(001)面とは同じあるため、この菱面体晶系の(100)面配向を含む)に配向し易くなる。すなわち、圧電体層の直接の下地になる第1の電極層が、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅といった比較的酸素を化学吸着し易い金属原子と酸化され難い貴金属原子(例えば白金原子)との合金材料からなるために、この第1の電極層の表面においては、貴金属原子中に上記金属原子が点在する平滑面になっていると推測される。この第1の電極層上にPZT等のペロブスカイト型結晶構造酸化物(化学量論組成よりも鉛元素が過剰であることが望ましい)からなる圧電体層を例えばスパッタ法により形成する際には、この酸化物の酸素量を安定にさせるために、スパッタガスとして、不活性なアルゴンガスに酸素を混合させるが、その酸素ガスの原子が、まず、上記第1の電極膜の平滑表面に点在するコバルト等の金属原子に吸着することになる。この吸着は、NaCl型結晶構造で安定な配位構造をとって起こり、その上に同じ配位の金属原子(例えば鉛)と酸素原子との関係を持つペロブルカイト型結晶構造の酸化物がつながって結晶成長することになる。この際、成膜時の酸素分圧は比較的低くて成膜雰囲気中に酸素が少ないために、酸素原子のみが層状に並ぶ現象(このとき(111)面が成長する)が起こり難く、よって、金属原子と酸素原子とが交互に層状に配列する(001)面が成長し易いと考えられる。もちろん、貴金属原子の上にも圧電膜が成長するが、ここでは結晶面がランダムな粒子の集合体の圧電膜が成長することになる(その中には(001)面配向の結晶粒子も存在する)。また、シリコン等の基板を用いる場合には、通常、第1の電極層は(111)面配向になっているため、圧電体層において第1の電極層の表面部における上記コバルト等の金属原子が存在しない部分の上側領域では、(001)面以外の面配向(例えば(111)面配向)になったりアモルファスになったりする。しかし、上記のように酸素を含む成膜雰囲気下では(001)面が成長し易いので、上記金属原子上にできた圧電膜の(001)面の結晶成長速度が速くて、逆円錐形状で横に拡がりながら、その(001)面以外の結晶成長速度が遅い面に配向した結晶粒子(例えば(111)配向の粒子等)の成長を抑えた状態で膜成長が起こるため、ついには全体が(001)面配向の圧電膜になると考えられる。つまり、圧電体層の層厚方向と垂直な断面における上記(001)面配向領域の面積が第1の電極層側からその反対側(第2の電極層側)に向かって大きくなり、圧電体層の厚みが20nm程度となった段階では表面の略全体が(001)面配向の領域となる。この結果、圧電体層を例えば0.5μm以上の膜厚とすれば、圧電体層の大部分が(001)面配向の領域となり、90%以上の(001)面配向度が十分に得られる。
【0015】
このように圧電体層の結晶配向を制御できるのは、圧電材料がペロブスカイト型の結晶構造の物質であって、鉛等の金属原子と酸素原子との配列及び結晶格子の間隔が、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅といった酸化され易い金属が酸化してできる安定物質である岩塩(NaCl)構造の酸化物とほぼ一致するからであり、スパッタ法のように、下の層の上に積もりながら膜成長するタイプの薄膜形成の工法を用いて、圧電体層の結晶配向制御が可能になる。
【0016】
したがって、第1の電極層が、電極としての役割に加えて圧電体層の結晶配向を制御する役割をも果たすので、安価なシリコン等の基板上に、ゾル・ゲル法以外の、熱処理による結晶化工程なしに直接に結晶性薄膜を形成する成膜法(スパッタ法やCVD法等)であっても、配向性が良好な圧電体層が得られ、これにより、ゾルゲル法で必要な工程である、圧電体層を成膜後に熱処理して結晶化する工程を無くすことができ、この結果、クラックの発生や特性ばらつきを少なくできて、工業的に量産しても圧電特性の再現性、ばらつき及び信頼性の良好な圧電素子が得られる。この圧電素子は、その圧電体層の膜表面に対して垂直方向に電界を印加して用いられるため、特に正方晶系ペロブスカイト型PZT膜においては、(001)面配向により、電界方向が<001>分極軸方向と平行になって大きな圧電特性が得られる。また、電界印加による分極の回転が起きないため、圧電特性のばらつきを低く抑えることができるとともに、信頼性を向上させることができる。一方、菱面体晶系ペロブスカイト型PZT膜においては、分極軸が<111>方向であるため、(100)面配向により、電界方向と分極軸方向との間に約54°の角度が生じるものの、(100)面配向性を向上させることにより、電界印加に対して分極は常に一定の角度を保つことができるため、この場合も電界印加による分極の回転が起きず、これにより、圧電特性のばらつきを低く抑えることができるとともに、信頼性を向上させることができる(例えば、無配向のPZT膜の場合には分極はいろいろな方向を向いているため、電界を印加すると、電界と平行方向に分極軸を向けようとするため、圧電特性が電圧依存性を有してばらつきが大きくなったり、経時変化が生じて信頼性に問題が生じたりする)。
【0017】
また、高価なMgO単結晶基板を用いなくても、良好な結晶配向性を有する圧電体層が容易に得られるので、安価なガラス基板、金属基板、セラミックス基板、Si基板等を用いることにより、製造コストを低減することができる。
【0018】
さらに、圧電体層の膜厚が1μm以上であっても、一回の塗布工程で厚い膜を形成できないゾル・ゲル法のように、厚い膜を形成するために同じ工程を何回も繰り返す必要がなく、圧電体層をスパッタ法等により容易に形成することができ、歩留まりの低下を抑制することができる。
【0019】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、第1の電極層と圧電体層との間に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層が設けられているものとする。
【0020】
このことにより、第1の電極層上に配向制御層をスパッタ法等により形成すれば、第1の電極層が(111)面配向等であったとしても、請求項1の発明の圧電体層と同様に、配向制御層が(100)面又は(001)面(立方晶系の場合は(100)面と(001)面とは同じである)に配向し易くなる。こうして形成した配向制御層上に、該配向制御層と同様の結晶構造の圧電体層を形成すれば、該配向制御層により圧電体層は(001)面配向となる。このような配向制御層を設けることにより、圧電体層には、圧電特性が良好な圧電材料を使用しつつ、配向制御層には結晶性や配向性をより向上させ得る材料を使用することができ、この結果、結晶配向性が高くかつ安定した圧電体層が容易に得られる。尚、配向制御層において(100)面や(001)面に配向していない領域は、第1の電極層の表面近傍部だけでなく、圧電体層側の表面に存在していてもよい。このような場合であっても、配向制御層の層厚が0.01μm以上であれば、圧電体層側の表面の大部分は(100)面又は(001)面配向の領域となり、圧電体層の(001)面配向度を90%以上にすることができる。
【0021】
また、このような配向制御層を設けることで、安価なシリコン等の基板上に、ゾル・ゲル法以外の、熱処理による結晶化工程なしに600℃に達しない温度で直接に結晶性薄膜を形成する成膜法(スパッタ法やCVD法等)であっても、配向性が良好な圧電体層が得られ、これにより、ゾルゲル法のように圧電体層を成膜後に熱処理して結晶化する工程を無くすことができるとともに、配向制御層を設けない場合に比べて、より低温で成膜することができ、圧電特性の再現性、ばらつき及び信頼性がより一層良好な圧電素子が得られる。
【0022】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、配向制御層は、チタン酸ランタン鉛又はチタン酸ランタン鉛にマグネシウム及びマンガンの少なくとも一方を添加したものからなるものとする。
【0023】
すなわち、例えばスパッタ法では、圧電特性が特に良好なPZTに比較してチタン酸ランタン鉛の方が安定して結晶膜を形成し易いので、この材料を配向制御層に用いることで、比較的低温で、(100)面又は(001)面配向膜を容易に形成することができる。そして、圧電体層にPZTを用いる場合、このチタン酸ランタン鉛とPZTとは結晶構造が全く同じであるために、配向制御層上に圧電体層を形成すれば、チタン酸ランタン鉛の表面に、イオンの並び方が類似のPZTがそのまま膜成長し、よって、低温でも、(001)面に容易に結晶配向させることができる。
【0024】
請求項4の発明では、請求項2の発明において、配向制御層は、ストロンチウムを含むペロブスカイト型酸化物からなるものとする。
【0025】
このことにより、ストロンチウムを含むペロブスカイト型酸化物も、チタン酸ランタン鉛と同様に、PZT等に比べて低温形成が可能であり、配向性及び結晶性が良好な薄膜が得られ易くなる。
【0026】
請求項5の発明では、請求項4の発明において、配向制御層は、チタン酸ストロンチウムを含有しているものとする。
【0027】
このことで、配向制御層の(100)面又は(001)面配向性及び結晶性を確実に向上させることができ、延いては圧電体層の配向性を向上させることができる。
【0028】
請求項6の発明では、請求項1〜5のいずれか1つの発明において、第1の電極層における貴金属が、白金、イリジウム、パラジウム及びルテニウムの群から選ばれた少なくとも1種であるものとする。
【0029】
このことにより、圧電素子の各膜をスパッタ法等により形成する際の温度に十分に耐えられるとともに、電極として適切な材料とすることができる。
【0030】
請求項7の発明では、請求項1〜6のいずれか1つの発明において、第1の電極層におけるコバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属の含有量が、0を越え26モル%以下であるものとする。
【0031】
すなわち、金属の含有量は、26モル%を越えると圧電体層(配向制御層)の結晶性及び配向性が低下するので、このように26モル%以下とするのがよい。
【0032】
請求項8の発明では、請求項1〜7のいずれか1つの発明において、第1の電極層は、基板上に設けられており、上記基板と第1の電極層との間に、該基板と第1の電極層との密着性を高める密着層が設けられているものとする。
【0033】
こうすることで、基板と第1の電極層との密着性を向上させることができて、圧電素子の製造時における膜剥離を防止することができるとともに、第1及び第2の電極層間への電圧印加による作動時においても膜剥離が生じ難くなる。
【0034】
請求項9の発明では、請求項8の発明において、密着層は、チタン、タンタル及びモリブデンの群から選ばれた一種からなるものとする。
【0035】
このことにより、基板と第1の電極層との密着性を向上させるのに好適な材料が得られる。
【0036】
請求項10の発明は、第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子と、該圧電素子の第2の電極層側の面に設けられた振動層と、該振動層の圧電素子とは反対側の面に接合され、インクを収容する圧力室を有する圧力室部材とを備え、上記圧電素子の圧電体層の圧電効果により上記振動層を層厚方向に変位させて上記圧力室内のインクを吐出させるように構成されたインクジェットヘッドの発明である。
【0037】
そして、この発明では、上記圧電素子の第1の電極層は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなり、上記圧電体層は、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなるものとする。
【0038】
この発明により、基板上に、第1の電極層、圧電体層、第2の電極層及び振動層をスパッタ法等により順次形成して、この振動層に圧力室部材を接合した後に上記基板を除去するようにすれば、請求項1の発明と同様の構成の圧電素子を備えたインクジェットヘッドが得られる。この結果、インクの吐出能力が高くなり、しかも、多数の圧力室及びノズル孔を設けて該各圧力室(ノズル孔)にそれぞれ対応するように圧電素子を設けた場合でも、それら圧電素子間のばらつきが小さくなり、どのノズル孔からも安定的にインクを吐出させることができる。また、インクの吐出能力が高いため、電源電圧の調整幅に関してマージンを大きくとることができ、これにより、インクの吐出ばらつきを容易にコントロールすることができる。
【0039】
請求項11の発明では、請求項10の発明において、圧電素子の第1の電極層と圧電体層との間に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層が設けられているものとする。
【0040】
このことにより、基板上に、第1の電極層、配向制御層、圧電体層、第2の電極層及び振動層をスパッタ法等により順次形成して、この振動層に圧力室部材を接合した後に上記基板を除去するようにすれば、請求項2の発明と同様の構成の圧電素子を備えたインクジェットヘッドが得られ、このインクジェットヘッドのインク吐出能力が安定して高くなり、インク吐出ばらつきを容易にコントロールすることができる。
【0041】
請求項12の発明では、第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子と、該圧電素子の第1の電極層側の面に設けられた振動層と、該振動層の圧電素子とは反対側の面に接合され、インクを収容する圧力室を有する圧力室部材とを備え、上記圧電素子の圧電体層の圧電効果により上記振動層を層厚方向に変位させて上記圧力室内のインクを吐出させるように構成されたインクジェットヘッドを対象とする。
【0042】
そして、上記圧電素子の第1の電極層は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなり、上記圧電体層は、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなるものとする。
【0043】
このことで、圧力室部材を基板として、その上に、振動層、第1の電極層、圧電体層及び第2の電極層をスパッタ法等により順次形成するようにすれば、請求項10の発明と同様の作用効果を有するインクジェットヘッドが得られる。
【0044】
請求項13の発明では、請求項12の発明において、圧電素子の第1の電極層と圧電体層との間に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層が設けられているものとする。
【0045】
こうすることで、圧力室部材を基板として、その上に、振動層、第1の電極層、配向制御層、圧電体層及び第2の電極層をスパッタ法等により順次形成するようにすれば、請求項11の発明と同様の作用効果を有するインクジェットヘッドが得られる。
【0046】
請求項14の発明は、固定部と、該固定部から所定の方向に延びる少なくとも一対の振動部とを有する基板を備え、該基板の少なくとも各振動部上に、第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されており、該各振動部上における第2の電極層が、当該振動部を振動部の幅方向に振動させるための少なくとも1つの駆動電極と、当該振動部の厚み方向の変形を検出するための少なくとも1つの検出電極とにパターン化された角速度センサの発明である。
【0047】
そして、この発明では、上記第1の電極層は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなり、上記圧電体層は、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなるものとする。
【0048】
この発明により、第2の電極層の駆動電極及び第1の電極層間に電圧を印加することで、基板の各振動部を振動部の幅方向に振動させ、この振動時にコリオリ力によって振動部が厚み方向に変形すると、第2の電極層の検出電極及び第1の電極層間に電圧が発生し、この電圧の大きさ(コリオリ力)から角速度を検出することができる。そして、このように角速度を検出する部分(振動部)が、請求項1の発明と同様の構成の圧電素子で構成されていることになるので、従来の水晶を用いた角速度センサよりも圧電定数を40倍程度に大きくすることができ、かなり小型化することができる。また、工業的に量産しても、特性の再現性が良好で、ばらつきが少なく、耐電圧及び信頼性の良好な角速度センサが得られる。
【0049】
請求項15の発明では、請求項14の発明において、第1の電極層と圧電体層との間に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層が設けられているものとする。
【0050】
このことで、角速度を検出する部分(振動部)が、請求項2の発明と同様の構成の圧電素子で構成された角速度センサが得られ、この角速度センサの特性の再現性、耐電圧及び信頼性が良好なものとなる。
【0051】
請求項16の発明は、圧電素子の製造方法の発明であり、この発明では、基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、上記第1の電極層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、上記圧電体層上に第2の電極層を形成する工程とを含むものとする。
【0052】
この発明により、請求項1の発明に係る圧電素子を容易に製造することができる。
【0053】
請求項17の発明では、圧電素子の製造方法として、基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、上記第1の電極層上に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層をスパッタ法により形成する工程と、上記配向制御層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、上記圧電体層上に第2の電極層を形成する工程とを含むものとする。
【0054】
このことにより、請求項2の発明に係る圧電素子を容易に製造することができる。
【0055】
請求項18の発明は、第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子を備え、該圧電素子の圧電体層の圧電効果により振動層を層厚方向に変位させて圧力室内のインクを吐出させるように構成されたインクジェットヘッドの製造方法の発明である。
【0056】
そして、この発明では、基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、上記第1の電極層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、上記圧電体層上に第2の電極層を形成する工程と、上記第2の電極層上に、振動層を形成する工程と、上記振動層の第2の電極層とは反対側の面に、圧力室を形成するための圧力室部材を接合する工程と、上記接合工程後に、上記基板を除去する工程とを含むものとする。
【0057】
この発明により、請求項10の発明に係るインクジェットヘッドを容易に製造することができる。
【0058】
請求項19の発明では、第1の電極層と配向制御層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子を備え、該圧電素子の圧電体層の圧電効果により振動層を層厚方向に変位させて圧力室内のインクを吐出させるように構成されたインクジェットヘッドの製造方法を対象とする。
【0059】
そして、基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、上記第1の電極層上に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層をスパッタ法により形成する工程と、上記配向制御層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、上記圧電体層上に第2の電極層を形成する工程と、上記第2の電極層上に、振動層を形成する工程と、上記振動層の第2の電極層とは反対側の面に、圧力室を形成するための圧力室部材を接合する工程と、上記接合工程後に、上記基板を除去する工程とを含むものとする。
【0060】
このことにより、請求項11の発明に係るインクジェットヘッドを容易に製造することができる。
【0061】
請求項20の発明では、第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子を備え、該圧電素子の圧電体層の圧電効果により振動層を層厚方向に変位させて圧力室内のインクを吐出させるように構成されたインクジェットヘッドの製造方法を対象とする。
【0062】
そして、圧力室を形成するための圧力室基板上に、振動層を形成する工程と、上記振動層上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、上記第1の電極層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、上記圧電体層上に第2の電極層を形成する工程と、上記圧力室基板に、圧力室を形成する工程とを含むものとする。
【0063】
このことで、請求項12の発明に係るインクジェットヘッドを容易に製造することができる。
【0064】
請求項21の発明では、第1の電極層と配向制御層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子を備え、該圧電素子の圧電体層の圧電効果により振動層を層厚方向に変位させて圧力室内のインクを吐出させるように構成されたインクジェットヘッドの製造方法を対象とする。
【0065】
そして、圧力室を形成するための圧力室基板上に、振動層を形成する工程と、上記振動層上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、上記第1の電極層上に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層をスパッタ法により形成する工程と、上記配向制御層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、上記圧電体層上に第2の電極層を形成する工程と、上記圧力室基板に、圧力室を形成する工程とを含むものとする。
【0066】
このことにより、請求項13の発明に係るインクジェットヘッドを容易に製造することができる。
【0067】
請求項22の発明は、固定部と、該固定部から所定の方向に延びる少なくとも一対の振動部とを有する基板を備え、該基板の少なくとも各振動部上に、第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されており、該各振動部上における第2の電極層が、当該振動部を振動部の幅方向に振動させるための少なくとも1つの駆動電極と、当該振動部の厚み方向の変形を検出するための少なくとも1つの検出電極とにパターン化された角速度センサの製造方法の発明である。
【0068】
そして、この発明では、基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、上記第1の電極層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、上記圧電体層上に、第2の電極層を形成する工程と、上記第2の電極層をパタ−ニングして上記駆動電極及び検出電極を形成する工程と、上記圧電体層及び第1の電極層をパタ−ニングする工程と、上記基板をパタ−ニングして上記固定部及び振動部を形成する工程とを含むものとする。
【0069】
この発明により、請求項14の発明に係る角速度センサを容易に製造することができる。
【0070】
請求項23の発明では、固定部と、該固定部から所定の方向に延びる少なくとも一対の振動部とを有する基板を備え、該基板の少なくとも各振動部上に、第1の電極層と配向制御層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されており、該各振動部上における第2の電極層が、当該振動部を振動部の幅方向に振動させるための少なくとも1つの駆動電極と、当該振動部の厚み方向の変形を検出するための少なくとも1つの検出電極とにパターン化された角速度センサの製造方法を対象とする。
【0071】
そして、基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、上記第1の電極層上に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層をスパッタ法により形成する工程と、上記配向制御層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、上記圧電体層上に、第2の電極層を形成する工程と、上記第2の電極層をパタ−ニングして上記駆動電極及び検出電極を形成する工程と、上記圧電体層、配向制御層及び第1の電極層をパタ−ニングする工程と、上記基板をパタ−ニングして上記固定部及び振動部を形成する工程とを含むものとする。
【0072】
このことにより、請求項15の発明に係る角速度センサを容易に製造することができる。
【0073】
請求項24の発明は、第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子と、該圧電素子の第2の電極層側の面に設けられた振動層と、該振動層の圧電素子とは反対側の面に接合され、インクを収容する圧力室を有する圧力室部材とを有しかつ記録媒体に対して相対移動可能に構成されたインクジェットヘッドを備え、該インクジェットヘッドが記録媒体に対して相対移動しているときに、該インクジェットヘッドにおける圧電素子の圧電体層の圧電効果により上記振動層を層厚方向に変位させて、上記圧力室内のインクを、該圧力室に連通するノズル孔から上記記録媒体に吐出させて記録を行うように構成されたインクジェット式記録装置の発明である。
【0074】
そして、この発明では、上記インクジェットヘッドにおける圧電素子の第1の電極層は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなり、上記圧電体層は、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなるものとする。
【0075】
この発明により、インクの吐出ばらつきを容易にコントロールすることが可能なインクジェットヘッドを用いて構成することで、記録媒体に対する記録のばらつきを小さくすることができ、この結果、信頼性の高いインクジェット式記録装置を実現することができる。
【0076】
請求項25の発明では、請求項24の発明において、インクジェットヘッドにおける圧電素子の第1の電極層と圧電体層との間に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層が設けられているものとする。
【0077】
このことにより、信頼性の高いインクジェット式記録装置が安定的にかつ容易に得られる。
【0078】
請求項26の発明では、第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子と、該圧電素子の第1の電極層側の面に設けられた振動層と、該振動層の圧電素子とは反対側の面に接合され、インクを収容する圧力室を有する圧力室部材とを有しかつ記録媒体に対して相対移動可能に構成されたインクジェットヘッドを備え、該インクジェットヘッドが記録媒体に対して相対移動しているときに、該インクジェットヘッドにおける圧電素子の圧電体層の圧電効果により上記振動層を層厚方向に変位させて、上記圧力室内のインクを、該圧力室に連通するノズル孔から上記記録媒体に吐出させて記録を行うように構成されたインクジェット式記録装置を対象とする。
【0079】
そして、上記インクジェットヘッドにおける圧電素子の第1の電極層は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなり、上記圧電体層は、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなるものとする。
【0080】
このことで、請求項24の発明と同様の作用効果を有するインクジェット式記録装置が得られる。
【0081】
請求項27の発明では、請求項26の発明において、インクジェットヘッドにおける圧電素子の第1の電極層と圧電体層との間に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層が設けられているものとする。
【0082】
こうすることで、請求項25の発明と同様の作用効果を有するインクジェット式記録装置が得られる。
【0083】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0084】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態における圧電素子を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態の圧電素子20は、長さ15.0mm、厚さ0.30mm、幅3.0mmの短冊平板形状のシリコンからなる基板1と、このシリコン基板1上に配設された積層体10とを備えている。この圧電素子20は、その一端から3.0mmまでの部分で、エポキシ系接着剤6によって、圧電素子20と垂直な方向(図1に示す座標軸のY軸方向)に延びる幅3.0mm、長さ10.0mm、厚み1.0mmのステンレス支持基板5に固定されており、これにより片持ち梁が構成されている。尚、基板1は、シリコンに限るものではなく、ガラス基板や、金属基板、セラミックス基板等であってもよい。
【0085】
上記積層体10は、シリコン基板1上に配設された第1の電極層2と、この第1の電極層2上に配設された圧電体層3と、この圧電体層3上に配設された第2の電極層4とで構成されていて、基板1上に、第1の電極層2、圧電体層3及び第2の電極層4をスパッタ法により順次成膜して積層したものである。尚、上記各膜の成膜法はスパッタ法に限らず、熱処理による結晶化工程なしに直接に結晶性薄膜を形成する成膜法(例えばCVD法等)であればよく、第2の電極層4の成膜法は、ゾル・ゲル法等であってもよい。また、シリコン基板1と第1の電極層2との間に、該シリコン基板1と第1の電極層2との密着性を高める密着層を形成してもよい(後述の実施形態2の変形例参照)。この密着層は、チタン、タンタル及びモリブデンの群から選ばれた一種で構成すればよい。
【0086】
上記第1の電極層2は、厚さが0.10μmであって6モル%のコバルト(Co)を含むイリジウム(Ir)薄膜で構成されている。つまり、第1の電極層2は、コバルトと貴金属としてのイリジウムとの合金からなっていて、電極としての役割に加えて、後述の如く圧電体層3の結晶配向を制御する役割をも果たす電極兼結晶配向制御層を構成している。尚、第1の電極層2は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなっていればよく、その貴金属は、白金、イリジウム、パラジウム及びルテニウムの群から選ばれた少なくとも1種であればよい。さらに、第1の電極層2が、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金以外に、その組成中に極くわずかの酸素を含む合金であってもよい。そして、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属の含有量は、結晶配向を良好に制御できる点で、0を越え26モル%以下であることが好ましい。さらに、第1の電極層2の膜厚は、0.05〜2μmの範囲であればよい。
【0087】
上記圧電体層3は、上記第1の電極層2上において上記ステンレス支持基板5に接着された側(基端側)の一端から3.0mmまでの部分を除いた全面(つまり幅3.0mmで長さ12.0mmの部分)に設けられていて、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向した(菱面体晶系の場合には、(100)面と(001)面とは同じあるため、この菱面体晶系の(100)面配向を含む)ペロブスカイト型酸化物からなっている。この実施形態では、圧電体層3は、厚さ2.50μmのPZT薄膜で構成されており、このPZTの組成は、Zr/Ti=53/47である(このため、菱面体晶系となる)。尚、Zr/Ti組成は、Zr/Ti=53/47に限らず、Zr/Ti=30/70〜70/30であればよい。また、圧電体層3の構成材料は、PZTにSr、Nb、Al、Mg等の添加物を含有したもの等のように、PZTを主成分とする圧電材料であればよく、その他、Laを含むPZT(すなわち、PLZT)であってもよい。さらに、圧電体層3の厚みは、0.5〜5.0μmの範囲であればよい。
【0088】
上記第2の電極層4は、厚さ0.25μmの白金(Pt)薄膜からなっており、上記第1の電極層2及び第2の電極層4には、それぞれリード線7,8が接続されている。尚、第2の電極層4の構成材料はPtに限らず、導電性材料であればよく、膜厚は0.1〜0.4μmの範囲であればよい。
【0089】
そして、上記リード線7,8を介して圧電素子20の第1の電極層2と第2の電極層4との間に電圧を印加すると、圧電体層3は、図1に示す座標軸のX軸方向(圧電体層3の長さ方向)に伸びる。このとき、圧電体層3の伸びの変化量ΔL(m)は、印加電圧をE(V)、圧電体層3の厚さをt(m)、圧電体層3の長さをL(m)、圧電体層3の圧電定数をd31(pm/V)とすると、
ΔL=d31×L×E/t
となる。
【0090】
ここで、圧電体層3において膜厚の薄い第2の電極層4と接合された上側部分はX軸方向へ伸びるが、第1の電極層2を介してシリコン基板1と接合された下側部分は、厚いシリコン基板1によってその伸び変位が抑制される。この結果、ステンレス支持基板5に固定された基端側(リード線7,8が接続された端子側)に対して反対側に位置する圧電素子20の先端側が、図1に示す座標軸のZ軸方向の負側(図1では下側)に変位する。これによって、電圧の印加と除去とを一定周波数で交互に繰り返すと、圧電素子20の先端が所定の変位幅で上下運動する。そして、印加電圧と圧電素子20の先端の変位幅との関係を測定することにより、圧電素子20の変位特性を評価することができる。
【0091】
次に、上記圧電素子20の製造方法について、図2の工程図を参照しながら説明する。
【0092】
まず、図2(a)に示すように、(001)面が研磨された20mm角で厚み0.30mmのシリコン基板1の上に、幅5.0mmで長さ18.0mmの長方形の開口部をもつ厚み0.2mmのステンレス製マスク(図示せず)を用いて、RFスパッタ法によって、コバルトを6モル%含むイリジウム膜からなる第1の電極層2を、厚さが0.10μmになるように形成する。
【0093】
具体的には、このコバルトを含むイリジウム膜は、3元RFマグネトロンスパッタ装置で、シリコン基板1を予め400℃の温度に加熱保持し、スパッタリングガスとしてアルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar:O=15:1)を用い、トータルガス圧力を0.25Paに保持して、3元スパッタ装置の第1ターゲットとしてコバルトターゲットを用い、第2ターゲットとしてイリジウムターゲットを用いて、それぞれ100W及び200Wの高周波電力を印加して15分間スパッタリングすることによって形成する(第3ターゲットは使用せず)。
【0094】
続いて、幅5.0mmで長さ12.0mmの長方形の開口部をもつステンレス製マスク(厚み0.2mm)を用いて、上記第1の電極層2の表面上に正確に、RFマグネトロンスパッタ法によって、厚み2.50μmのPZT膜からなる圧電体層3を形成する。このPZT膜の圧電体層3の形成方法については、後で詳細に説明する。
【0095】
次いで、上記圧電体層3の形成時と同じ形状のステンレス製マスクを用いて、圧電体層3の表面上にRFスパッタ法によって白金からなる厚み0.25μmの第2の電極層4を形成する。これにより、図2(b)に示すようなシリコン基板1上に圧電体層3を含む積層体10が設けられた構造体21が得られる。
【0096】
次に、図2(c)に示すように、幅3.0mmで長さ15.0mmの短冊形状になるように、かつ、その一端の幅3.0mm、長さ3.0mmの正方形部分において第1の電極層2の一部が露出するように、上記構造体21をダイシングソーで切断する。これにより、第2の電極層4が第1の電極層2における幅3.0mmで長さ12.0mmの部分の上側において露出している圧電素子構造体部品22が得られる。
【0097】
続いて、図2(d)に示すように、上記圧電素子構造体部品22におけるシリコン基板1の一端部を、エポキシ系接着剤6を用いて、ステンレス支持基板5に接合する。
【0098】
次いで、図2(e)に示すように、上記圧電素子構造体部品22において露出している第1の電極層2に導電性接着剤(銀ペースト)を用いて0.1mmの金のリード線7を接続し、同じ一端側の第2の電極層4にワイヤボンディングで同様なリード線8を接続することで、圧電素子20が完成する。
【0099】
ここで、上記圧電体層3の形成方法について詳細に説明する。すなわち、RFマグネトロンスパッタ装置を用い、成膜室内で、コバルトを含むイリジウム膜からなる第1の電極層2が形成されたシリコン基板1を600℃まで加熱保持し、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZr0.53Ti0.47)に、酸化鉛(PbO)をモル比で5モル%過剰に加えて調合した焼結体ターゲットを用いて、600Wの高周波電力を印加して125分間スパッタリングすることによって、圧電体層3を形成する。この成膜時は、アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar:O=19:1)をスパッタリングガスとして用い、そのトータルガス圧力を0.3Paに保持する。
【0100】
この圧電体層3は、第1の電極層2における圧電体層3側の表面部に点在するコバルトを核にして結晶成長し、これにより、コバルト上において(001)面に配向し易くなる。つまり、コバルト(ニッケル、鉄、マンガン及び銅も同様)は、圧電体層3の形成時におけるスパッタガス中の酸素を吸着し易くて、しかもこの吸着は、NaCl型結晶構造で安定な配位構造をとって起こる。この結果、その上に同じ配位の金属原子(鉛)と酸素原子との関係を持つPZTがつながって結晶成長することになる。この際、成膜時の酸素分圧は比較的低くて成膜雰囲気中に酸素が少ないために、酸素原子のみが層状に並ぶ現象(このとき(111)面が成長する)が起こり難く、よって、金属原子(鉛)と酸素原子とが交互に層状に配列する(001)面が成長し易くなる。一方、シリコン基板1を用いることで、第1の電極層2は(111)面配向になっており、圧電体層3において第1の電極層2の表面部におけるコバルトが存在しない部分の上側領域では、(001)面以外の面配向(例えば(111)面配向)になったりアモルファスになったりする(イリジウム膜の場合にはアモルファスになる)。しかし、上記のように酸素を含む成膜雰囲気下では(001)面が成長し易いので、コバルト上におけるPZT膜の(001)面の結晶成長速度が、コバルトが存在しない部分の上側領域における(001)面以外に配向した結晶粒子の成長よりも速く、これにより、(001)面の結晶成長は、逆円錐形状で横に拡がりながら、(001)面以外に配向した結晶粒子の成長を抑える。この結果、圧電体層3の厚みが20nm程度となった段階では表面の略全体が(001)面配向の領域となる。この結果、圧電体層16の厚みを0.5μm以上とすれば、圧電体層16の大部分が(001)面配向の領域となり、その(001)面配向度(菱面体晶系の(100)面配向度)が90%以上となる。
【0101】
ここで、具体的に実施した実施例について説明する。
【0102】
先ず、実施例1の圧電素子として、上記実施形態と同じものを上記と同じ製造方法で作製した。尚、その作製途中で、第1の電極層及び圧電体層の各膜について、X線マイクロアナライザーで組成分析を行うとともに、X線回折法による解析によって圧電体層の結晶配向率を調べた。
【0103】
上記第1の電極層(イリジウム膜)の組成分析の結果、この膜の組成は、6モル%のコバルトを含むイリジウムであることが判った。また、圧電体層(PZT膜)の組成分析の結果、PZT膜の陽イオンの組成比はPb:Zr:Ti=1.00:0.53:0.47であり、Pb(Zr0.53Ti0.47)Oで表記できる化学組成になっていることが判った。
【0104】
さらに、圧電体層についてX線回折法によって解析した結果、ペロブスカイト型の結晶構造を示し、かつ、(001)面結晶配向率が99%に優先配向した薄膜(<001>軸が表面に垂直な方向を向いた構造の薄膜)であることが判った。ここで、結晶配向率は、PZT膜のX線回折パターンの(001)面、(100)面、(010)面、(110)面、(011)面、(101)面、(111)面のピーク強度の合計に対する(001)面のピーク強度の割合(百分率)である。
【0105】
次に、上記作製した実施例1の圧電素子における第1の電極層と第2の電極層との間にリード線を介して0Vから−10Vの三角波電圧を印加し、図1に示す座標軸のZ軸方向に上下運動する圧電素子の先端の変位量を測定した。
【0106】
図3に、周波数100Hzの電圧を印加した場合における圧電素子の先端の変位量を示す。図3に示すように、0V〜−10Vの電圧を印加した場合、この圧電素子の先端の最大変位量は3.8μmであった。
【0107】
ここで、上記実施例1の圧電素子と同じ条件で、シリコン基板上に第1の電極層を形成したものを3個準備し、これらを用いて、上記実施例1の圧電素子と同じPZT膜を形成した。但し、この際に、3つの基板のスパッタ時間をそれぞれ2分間、5分間、及び20分間に選んで成膜した。このようにして形成したPZT膜の膜厚はそれぞれ0.02μm、0.09μm、及び0.40μmであった。これらのPZT膜の(001)面結晶配向率をX線回折法で調べた。
【0108】
この結果、PZT膜の(001)面結晶配向率は、PZT膜厚が0.02μmの場合には85%であり、0.09μmの場合には95%であり、0.40μmの場合には98%であった。このことから、PZT膜の結晶配向性は、第1の電極側表面から膜成長に伴って、しだいに(001)面配向が優性になることが判った。
【0109】
次に、3元RFマグネトロンスパッタ装置の各ターゲットを異なる材料に交換し、スパッタ電力及びスパッタ時間を制御することで、組成及び膜厚がそれぞれ異なる第1の電極層を有する圧電素子(実施例2〜実施例39)を作製した。この第1の電極層を形成するときの各ターゲットの組成、スパッタ電力及びスパッタ時間を表1に示す。
【0110】
【表1】
Figure 2004079991
【0111】
そして、上記実施例1と同様に、上記実施例2〜実施例39の各圧電素子における第1の電極層の膜厚測定及び組成分析を行うとともに、圧電体層の(001)面結晶配向率を調べ、さらに、三角波電圧を印加したときの圧電素子の先端の変位量(最大変位量)を測定した。この結果を表2にまとめて示す。
【0112】
【表2】
Figure 2004079991
【0113】
このことより、各実施例における圧電体層の(001)面結晶配向率は、後述の比較例のものに比べてかなり高く、特に、第1の電極層においてコバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属の含有量を26モル%以下にすれば、確実に90%以上になるとともに、圧電素子の先端の最大変位量も高レベルになることが判る。
【0114】
尚、上記実施例1〜実施例39の各圧電素子の圧電体層は、一定組成のPZT膜としたが、Ti/Zrモル比が異なる組成のPZT膜でも同様の結果が得られた。また、圧電体層としては、Laを含むPZT膜(PLZT膜)でも、NbやMg等のイオンを含むPZT膜でもよくてペロブスカイト型結晶構造の酸化物膜であれば、全て、上記実施例1〜実施例39の各圧電素子と同じように(001)面配向膜が得られた。
【0115】
次に、比較例として、以下に示す圧電素子を作製した(比較例1及び比較例2)。
【0116】
すなわち、比較例1の圧電素子では、作製工程の一部分を特開2001−88294号公報の記載に従って圧電薄膜をスパッタ法で形成した。具体的には、まず、スパッタ装置を用いて、上記実施例1で用いたものと同様のシリコン基板を、1100℃の電気炉に入れ、乾燥酸素を流して22時間酸化処理し、表面層に約1μmの酸化珪素膜を形成した。その基板の表面に、ジルコニウムをターゲットにして、酸素を導入しながら反応スパッタ法で膜厚0.4μmの酸化ジルコニウムの薄膜を形成し(スパッタ条件:スパッタ電力200W、真空度0.3Pa)、その表面に、イリジウムをターゲットとするRFマグネトロンスパッタ装置を用いて、膜厚1.0μmのイリジウム薄膜からなる第1の電極層を形成し、さらにその表面に、上記実施形態と同じステンレスマスクを用いて、チタンをターゲットとするDCマグネトロンスパッタ装置を使って、膜厚0.06μmのチタン薄膜を形成した。さらに、そのチタン膜の表面に、実施例1と同様の方法で、実施例1と同じ組成のPZT膜を形成し、さらに、実施例1と同様の膜厚0.25μmの白金薄膜からなる第2の電極層を形成し、その後、実施例1と同様に加工して、実施例1(図1)と同形状の圧電素子を作製した。
【0117】
上記比較例1の圧電素子における圧電体層のPZT膜の(001)面結晶配向率を調べたところ、23%であった。また、三角波電圧を印加したときの比較例1の圧電素子の先端の変位量を測定したところ、図4に示す結果となり、最大変位量は2.4μmであった(尚、上記結晶配向率及び最大変位量の各値は、表2において上記実施例及び後述の比較例2と共に並記している)。
【0118】
上記比較例1の圧電素子の構成では、圧電体層の作製にスパッタ法を用いると、特開2001−88294号公報に記載されているように、圧電薄膜の結晶配向性のコントロールが困難であり、(001)面結晶配向性の高いPZT膜が得られないことが判る。
【0119】
次いで、比較例2の圧電素子を作製した。この比較例2のものは、第1の電極層のイリジウム膜にコバルト等の金属を含有させない点が上記実施例のものとは異なる。すなわち、第1の電極層を形成する際、第1ターゲットのコバルトターゲットへのスパッタ電力を0Wにし、第2ターゲットのイリジウムターゲットへのスパッタ電力を200Wにして16分間スパッタリングする。このことで、結晶配向制御層として機能しないと考えられる厚み0.10μmの第1の電極層(イリジウム膜)を形成し、その他は実施例1と全く同じようにして圧電素子を作製した。
【0120】
上記比較例2の圧電素子における圧電体層についてX線回折法によって解析すると、実施例1のように(001)面配向の薄膜になっておらず、(001)面以外に(111)面や(110)面の強度の高い回折ピークを含むX線回折パターンを示し、(001)面結晶配向率は22%であった。これは、第1の電極層がコバルト等の金属を含有していないために、結晶配向制御層として機能しなかったからであり、これにより、その上のPZT膜の(001)面結晶配向率が低下したと考えられる。
【0121】
また、三角波電圧を印加したときの比較例2の圧電素子の先端の変位量を測定したところ、最大変位量は2.3μmであった。
【0122】
次に、基板として、シリコン基板(長さ15.0mm、厚さ0.30mm、幅3.0mmの短冊平板形状)の代わりに、700℃でも変形しない耐熱性結晶化ガラス(厚み0.30mm:熱膨張係数87×10―/℃)からなる長さ15.0mm、幅3.0mmの短冊平板形状の基板を用いて、上記実施例1と同形状の圧電素子を実施例1と同じ方法で作製した(この圧電素子を実施例40とする)。
【0123】
また、上記実施例40と同じ基板を用いて、上記実施例7と同様にして作製した圧電素子(実施例41)と、実施例13と同様にして作製した圧電素子(実施例42)と、実施例19と同様にして作製した圧電素子(実施例43)と、実施例32と同様にして作製した圧電素子(実施例44)と、上記比較例2と同様にして作製した、第1の電極層がイリジウムのみからなる圧電素子(比較例3)とを得た。
【0124】
上記のようにガラス基板を用いて作製した実施例40〜実施例44及び比較例3の各圧電素子における第1の電極層の膜厚測定及び組成分析を行うとともに、圧電体層の(001)面結晶配向率を調べ、さらに、三角波電圧を印加したときの圧電素子の先端の変位量(最大変位量)を測定した。この結果を表3に示す。
【0125】
【表3】
Figure 2004079991
【0126】
このことより、基板がシリコンと異なるガラスの場合であっても、本実施例の構成の圧電素子は、高い配向率で(001)面に結晶配向した圧電体層を備えていて、高い圧電変位が可能になることが判る。また、基板材料の違いによって電圧印加の際の変位量は異なるが、安定した変位特性を示すことが判った。
【0127】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態に係る他の圧電素子を示し(尚、図1と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、上記実施形態1における圧電素子の第1の電極層2と圧電体層3との間に、配向制御層11を設けたものである。
【0128】
すなわち、本実施形態の圧電素子20は、上記実施形態1と同様に、シリコン基板1と、このシリコン基板1上に配設された積層体10とを備えていて、その一端から3.0mmまでの部分で、エポキシ系接着剤6によってステンレス支持基板5に固定されており、これにより片持ち梁が構成されている。尚、本実施形態においても、基板1は、シリコンに限るものではなく、ガラス基板や、金属基板、セラミックス基板等であってもよい。
【0129】
上記積層体10は、シリコン基板1上に配設された第1の電極層2と、この第1の電極層2上に配設された配向制御層11と、この配向制御層11上に配設された圧電体層3と、この圧電体層3上に配設された第2の電極層4とで構成されていて、基板1上に、第1の電極層2、配向制御層11、圧電体層3及び第2の電極層4をスパッタ法により順次成膜して積層したものである。尚、本実施形態においても、上記各膜の成膜法はスパッタ法に限らず、熱処理による結晶化工程なしに直接に結晶性薄膜を形成する成膜法(例えばCVD法等)であればよく、第2の電極層4の成膜法は、ゾル・ゲル法等であってもよい。
【0130】
上記第1の電極層2は、上記実施形態1と同様に、コバルトとイリジウムとの合金からなっていて、電極としての役割に加えて、配向制御層11延いては圧電体層3の結晶配向を制御する役割をも果たす電極兼結晶配向制御層を構成している。但し、本実施形態では、コバルトの含有量は1モル%であり、厚みは0.22μmである。尚、本実施形態においても、第1の電極層2は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなっていればよく、その貴金属は、白金、イリジウム、パラジウム及びルテニウムの群から選ばれた少なくとも1種であればよい。さらに、第1の電極層2が、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金以外に、その組成中に極くわずかの酸素を含む合金であってもよい。そして、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属の含有量は、結晶配向を良好に制御できる点で、0を越え26モル%以下であることが好ましい。さらに、第1の電極層2の膜厚は、0.05〜2μmの範囲であればよい。
【0131】
上記配向制御層11は、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなっている。この実施形態では、チタン酸ランタン鉛(組成比Pb:La:Ti=1.12:0.08:1.00)からなり、膜厚は0.02μmである。この配向制御層11は、上記第1の電極層2により結晶配向が制御されており、これにより、圧電体層3の結晶配向を制御するものである。尚、配向制御層11を構成する材料は、チタン酸ランタン鉛に限らず、このチタン酸ランタン鉛に、マグネシウム及びマンガンの少なくとも一方を添加したものであってもよく、チタン酸ランタン鉛と同様にPZT等に比べて低温形成が可能な、ストロンチウムを含むペロブスカイト型酸化物で構成してもよい。この場合、とりわけ、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)が含有されていることが好ましく、このチタン酸ストロンチウムのみが含有されていてもよく、チタン酸ストロンチウムの他にチタン酸鉛やチタン酸ランタン鉛、チタン酸バリウム等が含有されていてもよい。また、配向制御層11の膜厚は0.01〜0.2μmの範囲であればよい。
【0132】
上記圧電体層3は、上記実施形態1と同様に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなっていて、厚さ2.50μmのPZT薄膜(Zr/Ti=53/47)で構成されている。尚、本実施形態においても、Zr/Ti組成は、Zr/Ti=53/47に限らず、Zr/Ti=30/70〜70/30であればよい。また、圧電体層3の構成材料は、PZTにSr、Nb、Al、Mg等の添加物を含有したもの等のように、PZTを主成分とする圧電材料であればよく、その他、Laを含むPZT(すなわち、PLZT)であってもよい。さらに、圧電体層3の厚みは、0.5〜5.0μmの範囲であればよい。
【0133】
上記第2の電極層4は、上記実施形態1と同様に、厚さ0.25μmの白金薄膜からなっているが、導電性材料であればよく、膜厚は0.1〜0.4μmの範囲であればよい。
【0134】
そして、上記実施形態1と同様に、第1及び第2の電極層2,4にそれぞれ接続したリード線7,8を介して該第1及び第2の電極層2,4間に電圧を印加して、印加電圧と圧電素子20の先端の変位幅との関係を測定することにより、圧電素子20の変位特性を評価することができる。
【0135】
次に、上記圧電素子20の製造方法について、図6の工程図を参照しながら説明する。
【0136】
まず、上記実施形態1と同様に、(001)面が研磨された20mm角のシリコン基板1の上に、幅5.0mmで長さ18.0mmの長方形の開口部をもつステンレス製マスクを用いて、RFスパッタ法(詳細条件は、後述の表4における実施例45の欄参照)によって、コバルトを1モル%含むイリジウム膜からなる第1の電極層2を形成する(図6(a)参照)。
【0137】
続いて、幅5.0mmで長さ12.0mmの長方形の開口部をもつステンレス製マスクを用いて、上記第1の電極層2の表面上に正確に、RFマグネトロンスパッタ法によって、厚み0.02μmのチタン酸ランタン鉛膜からなる配向制御層11を形成し、その後、この配向制御層11の表面上に正確に、RFマグネトロンスパッタ法によって、厚み2.50μmのPZT膜からなる圧電体層3を形成する。これら配向制御層11及び圧電体層3の形成方法については、後で詳細に説明する。
【0138】
次いで、上記実施形態1と同様に、上記圧電体層3の表面上にRFスパッタ法によって第2の電極層4を形成して、シリコン基板1上に積層体10が設けられた構造体21を得る(図6(b)参照)。
【0139】
次に、上記実施形態1と同様の形状になるように、上記構造体21をダイシングソーで切断して、圧電素子構造体部品22を得る(図6(c)参照)。
【0140】
続いて、上記実施形態1と同様に、上記圧電素子構造体部品22におけるシリコン基板1の一端部を、エポキシ系接着剤6を用いて、ステンレス支持基板5に接合し(図6(d)参照)、次いで、上記圧電素子構造体部品22において露出している第1の電極層2にリード線7を接続するとともに、第2の電極層4にリード線8を接続することで、圧電素子20が完成する(図6(e)参照)。
【0141】
ここで、上記配向制御層11及び圧電体層3の形成方法について詳細に説明する。すなわち、2つの同じ構造の成膜室を有しかつ薄膜形成すべき基板を真空を破らずに一方の成膜室から他方の成膜室へ移動可能なRFマグネトロンスパッタ装置を用い、一方の成膜室には化学量論比のチタン酸ランタン鉛(モル比でPb:La:Ti=0.92:0.08:1.00)にPbOを約20モル%過剰に加えて調合した焼結体ターゲット(組成モル比Pb:La:Ti=1.12:0.08:1.00)を取り付け、他方の成膜室にはチタン酸ジルコン酸鉛(PbZr0.53Ti0.47)に酸化鉛(PbO)をモル比で5モル%過剰に加えて調合した焼結体ターゲットを取り付けておき、この装置によって、上記第1の電極層2を形成したシリコン基板1に対してスパッタリングすることによって配向制御層11及び圧電体層3の各膜を形成する。
【0142】
具体的には、最初に、チタン酸ランタン鉛のターゲットを取り付けた成膜室の中で、第1の電極層2を形成したシリコン基板1を予め550℃の温度に加熱保持し、その表面に、<001>軸が表面に対して垂直方向に成長したペロブスカイト型結晶構造で過剰の鉛を含有するチタン酸ランタン鉛からなる膜厚0.02μmの薄膜を形成する。このとき、アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar:O=19:1)をスパッタリングガスとして用い、そのトータルガス圧力を0.3Paに保持し、300Wの高周波電力を印加して10分間スパッタリングを行う。
【0143】
次いで、上記配向制御層11を形成したシリコン基板1を、真空を破らずに、チタン酸ジルコン酸鉛のターゲットを取り付けた成膜室に搬送し、その中で基板1の温度500℃に加熱して、配向制御層11上に膜厚2.50μmのPb1.00(Zr0.53Ti0.47)Oで表記できる圧電体層3を形成する。このとき、アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar:O=19:1)をスパッタリングガスとして用い、そのトータルガス圧力を0.3Paに保持し、700Wの高周波電力を印加して50分間スパッタリングを行う。
【0144】
上記配向制御層11は、上記実施形態1における圧電体層3と同様に、第1の電極層2における配向制御層11側の表面部に点在するコバルトを核にして結晶成長し、これにより、コバルト上において(100)面又は(001)面に配向し易くなる。しかも、配向制御層11をチタン酸ランタン鉛で構成することで、比較的低温で、(100)面又は(001)面配向膜を容易にかつ安定的に形成することができる。そして、こうして形成した配向制御層11上にPZTからなる圧電体層3を形成すれば、チタン酸ランタン鉛とPZTとは結晶構造が全く同じであるために、チタン酸ランタン鉛の表面に、イオンの並び方が類似のPZTがそのまま膜成長し、配向制御層11により圧電体層3は(001)面配向(菱面体晶系の場合には、(100)面と(001)面とは同じあるため、この菱面体晶系の(100)面配向を含む)となり、圧電体層3の(001)面配向度(菱面体晶系の(100)面配向度)が90%以上となる。
【0145】
尚、配向制御層11において(100)面や(001)面に配向していない領域は、第1の電極層2の表面近傍部だけでなく、圧電体層3側の表面に存在していてもよい。このような場合であっても、配向制御層11の層厚が0.01μm以上であれば、圧電体層3側の表面の大部分は(100)面又は(001)面配向の領域となり、圧電体層3の(001)面配向度を90%以上にすることができる。
【0146】
図7は、上記実施形態2の圧電素子20の変形例を示し(尚、図5と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、シリコン基板1と第1の電極層2との間に密着層14を配設したものである。
【0147】
すなわち、この変形例の圧電素子20は、上記実施形態2のものと、密着層14を除いて同様の構成である。但し、第1の電極層2の構成材料及び厚みが異なり、第1の電極層2は、コバルトを14モル%含む厚さ0.15μmの白金膜からなっている。
【0148】
上記密着層14は、シリコン基板1と第1の電極層2との密着性を高めるものであって、チタンからなり、その膜厚は0.006μmである。尚、密着層14は、チタン、タンタル及びモリブデンの群から選ばれた一種からなっていればよく、膜厚は0.005〜1μmの範囲であればよい。
【0149】
この圧電素子の製造方法について、図8を参照しながら説明する。
【0150】
すなわち、(001)面が研磨された20mm角のシリコン基板1の上に、幅5.0mmで長さ18.0mmの長方形の開口部をもつステンレス製マスクを用いて、RFスパッタ法によって、厚さ0.006μmのチタン膜からなる密着層14を形成する。このチタン膜は、基板1の温度を400℃に保持し、スパッタリングガスとしてアルゴンガスを用い、ガス圧力を1Paに保持して、スパッタ電力100Wで2分間スパッタすることで形成する。そして、この密着層14上に、上記と同じステンレス製のマスクを用いて、上記実施形態2と同様にして、コバルトを14モル%含む白金膜からなる第1の電極層2を、厚さが0.15μmになるように形成する(図8(a)参照)。
【0151】
続いて、上記実施形態2と同様にして、上記第1の電極層2上に配向制御層11を形成し、この配向制御層11上に圧電体層3を形成し、この圧電体層3上に第2の電極層4を形成することで、シリコン基板1上に積層体10が設けられた構造体21が得られる(図8(b)参照)。
【0152】
次いで、上記実施形態2と同様にして、上記構造体21をダイシングソーで正確に切断して圧電素子構造体部品22を作製し(図8(c)参照)、その後、シリコン基板1の一端部をステンレス支持基板5に接合する(図8(d)参照)。そして、第1及び第2の電極層2,4にリード線7,8をそれぞれ接続することで、圧電素子20が完成する(図8(e)参照)。
【0153】
このように、シリコン基板1と第1の電極層2との間に密着層14を配設することにより、シリコン基板1と第1の電極層2との密着性を向上させることができて、圧電素子20の製造時における膜剥離を防止することができるとともに、第1及び第2の電極層2,4間への電圧印加による作動時においても膜剥離が生じ難くなる。
【0154】
ここで、具体的に実施した実施例について説明する。
【0155】
先ず、実施例45の圧電素子として、上記図5の圧電素子と同じものを上記と同じ製造方法で作製した。尚、その作製途中で、第1の電極層、配向制御層及び圧電体層の各膜について組成分析を行うとともに、X線回折法による解析によって圧電体層の結晶配向率を調べた。
【0156】
上記第1の電極層(イリジウム膜)をX線マイクロアナライザーで組成分析を行った結果、この膜の組成は、1モル%のコバルトを含むイリジウムであることが判った。また、配向制御層(チタン酸ランタン鉛膜)をターゲットと比較しながら、X線光電子分光(XPS)装置で組成分析した結果、この薄膜の組成は、ターゲット組成と同組成のモル比Pb:La:Ti=1.12:0.08:1.00であった。さらに、圧電体層(PZT膜)をX線マイクロアナライザーで組成分析を行った結果、PZT膜の陽イオンの組成比はPb:Zr:Ti=1.00:0.53:0.47であり、Pb(Zr0.53Ti0.47)Oで表記できる化学組成になっていることが判った。
【0157】
また、上記圧電体層についてX線回折法によって解析した結果、ペロブスカイト型の結晶構造を示し、かつ、(001)面結晶配向率が99.5%に優先配向した薄膜(<001>軸が表面に垂直な方向を向いた構造の薄膜)であることが判った。
【0158】
次に、上記作製した実施例45の圧電素子における第1の電極層と第2の電極層との間にリード線を介して0V〜−25Vの三角波電圧を印加し、図5に示す座標軸のZ軸方向に上下運動する圧電素子の先端の変位量を測定した。
【0159】
図9に、周波数50Hzの電圧を印加した場合における圧電素子の先端の変位量を示す。図9に示すように、0V〜−25Vの電圧を印加した場合、この圧電素子の先端の最大変位量は10.8μmであった。
【0160】
また、この圧電素子における第1の電極層と第2の電極層との間に、0V〜−30Vの三角波電圧を印加した場合、0V〜−40Vの三角波電圧を印加した場合、及び、0V〜−50Vの三角波電圧を印加した場合(いずれの場合も電圧周波数は50Hzで2時間駆動)のそれぞれについて、圧電体層のクラック発生の有無を調べたところ、クラックの発生は全く見られなかった。
【0161】
ここで、上記実施例45の圧電素子と同じ条件で、シリコン基板上に第1の電極層及び配向制御層を形成したものを3個準備し、これらを用いて、上記実施例45の圧電素子と同じPZT膜を形成した。但し、この際に、3つの基板のスパッタ時間をそれぞれ2分間、5分間、及び20分間に選んで成膜した。このようにして形成したPZT膜の膜厚はそれぞれ0.02μm、0.09μm、及び0.40μmであった。これらのPZT膜の(001)面結晶配向率をX線回折法で調べた。
【0162】
この結果、PZT膜の(001)面結晶配向率は、PZT膜厚が0.02μmの場合には93%であり、0.09μmの場合には98%であり、0.40μmの場合には99%であった。このことから、PZT膜の結晶配向性は、配向制御層側表面から膜成長に伴って、しだいに(001)面配向が優性になることが判った。
【0163】
次に、3元RFマグネトロンスパッタ装置の各ターゲットを異なる材料に交換し、スパッタ電力及びスパッタ時間を制御するとともに、配向制御層の成膜に用いるスパッタ装置のターゲットの組成及びスパッタ時間を制御することで、組成及び膜厚がそれぞれ異なる第1の電極層及び配向制御層を有する圧電素子(実施例46〜実施例56)を作製した。この第1の電極層を形成するときの各ターゲットの組成、スパッタ電力及びスパッタ時間、並びに配向制御層を形成するときのターゲットの組成及びスパッタ時間を表4に示す。
【0164】
【表4】
Figure 2004079991
【0165】
そして、上記実施例45と同様に、上記実施例46〜実施例56の各圧電素子における第1の電極層及び配向制御層の膜厚測定及び組成分析を行うとともに、圧電体層の(001)面結晶配向率を調べ、さらに、0V〜−25Vの三角波電圧を印加したときの圧電素子の先端の変位量(最大変位量)を測定した。また、0V〜−30Vの三角波電圧を印加した場合、0V〜−40Vの三角波電圧を印加した場合、及び、0V〜−50Vの三角波電圧を印加した場合(いずれの場合も電圧周波数は50Hzで2時間駆動)のそれぞれについて、圧電体層のクラック発生の有無を調べた。この結果を表5にまとめて示す。
【0166】
【表5】
Figure 2004079991
【0167】
このことより、各実施例における圧電体層の(001)面結晶配向率は、後述の比較例4のものに比べて高く、特に、第1の電極層においてコバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属の含有量を26モル%以下にすれば、確実に90%以上になるとともに、圧電素子の先端の最大変位量も高レベルになることが判る。
【0168】
また、配向制御層として、Mn添加のチタン酸ランタン鉛膜やMg添加のチタン酸ランタン鉛膜を用いた場合でも、チタン酸ランタン鉛膜を用いた実施例45と同様の圧電素子が得られることが判る。
【0169】
尚、上記実施例45〜実施例56の各圧電素子の圧電体層は、一定組成のPZT膜としたが、Ti/Zrモル比が異なる組成のPZT膜でも同様の結果が得られた。また、圧電体層としては、Laを含むPZT膜(PLZT膜)でも、NbやMg等のイオンを含むPZT膜でもよくてペロブスカイト型結晶構造の酸化物膜であれば、全て、上記実施例45〜実施例56の各圧電素子と同じように(001)面配向膜が得られた。さらに、配向制御層としてチタン酸ストロンチウム膜を用いた場合でも、(001)面配向膜が得られた。
【0170】
次に、比較例として、以下に示す圧電素子を作製した(比較例4及び比較例5)。
【0171】
すなわち、比較例4の圧電素子は、第1の電極層のイリジウム膜にコバルト等の金属を含有させない点が上記実施例のものとは異なる。具体的には、第1の電極層を形成する際、第1ターゲットのコバルトターゲットへのスパッタ電力を0Wにし、第2ターゲットのイリジウムターゲットへのスパッタ電力を200Wにして16分間スパッタリングする。このことで、結晶配向制御層として機能しないと考えられる厚み0.10μmの第1の電極層(イリジウム膜)を形成し、その他は実施例45と全く同じようにして圧電素子を作製した。
【0172】
上記比較例4の圧電素子における配向制御層についてX線回折法によって解析すると、(100)面や(001)面配向の薄膜にならず、(100)面及び(001)面以外に(111)面や(110)面の強度の高い回折ピークを含むX線回折パターンを示した。そして、比較例4の圧電素子における圧電体層の(001)面結晶配向率をX線回折法によって調べたところ、65%であった。これは、配向制御層の結晶配向性が悪かったために、その影響でその上のPZT膜も配向率が低下したと考えられる。
【0173】
また、三角波電圧を印加したときの比較例1の圧電素子の先端の変位量を測定したところ、最大変位量は7.7μmであった。
【0174】
次いで、上記実施例45のものに対して配向制御層が無い構成の圧電素子を作製した。この圧電素子は、配向制御層が無いことのみが実施例45と異なるだけであり、その他は実施例45と全く同じようにした。つまり、圧電体層の膜形成は基板温度を500℃に加熱し、アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar:O=19:1)をスパッタリングガスとして用い、そのトータルガス圧力を0.3Paに保持し、700Wの高周波電力を印加して50分間スパッタリングを行って、厚み2.50μmのPZT膜を形成した。
【0175】
しかしながら、圧電体層はX線回折の分析から目的の圧電特性を示すペロブスカイト型結晶構造のPZT膜でなく、それよりも一般に低温でできる圧電特性を示さないパイロクロア型結晶相の鉛、チタン及びジルコンを組成にする酸化物膜(膜厚3.5μm)であった。したがって、配向制御層が無いと、500℃の温度では、ペロブスカイト型結晶構造のPZT膜からなる圧電体層は形成できないことが判った。
【0176】
そこで、圧電体層の形成温度を600℃にして、配向制御層が無い構成の圧電素子を作製し、この圧電素子を比較例5とした。
【0177】
この比較例5の(001)面結晶配向率は100%と極めて良好であり、0〜−25Vの三角波電圧を印加したときの圧電素子の先端の変位量(最大変位量)は12.5μmであった。しかしながら、0〜−40Vの三角波電圧を印加して駆動したときに膜面に微少クラックが入り、駆動開始から40分後には、圧電素子の膜剥がれから破壊が起こった。これは、圧電体層の形成温度が、配向制御層がある場合に比べて100℃高温の600℃であるため、PZT成膜後の室温までの冷却課程で、シリコン基板とPZT膜との熱膨張率の違いからPZT膜に、より大きな引っ張り応力が作用し、さらに駆動によりPZT膜が縮むように作動するために、膜破壊が起こったものと考えられる。
【0178】
次に、上記図7と同じ圧電素子を上記と同じ製造方法で作製した(これを実施例57とする)。また、3元RFマグネトロンスパッタ装置の各ターゲットを異なる材料に交換し、スパッタ電力及びスパッタ時間を制御するとともに、配向制御層の成膜に用いるスパッタ装置のターゲットの組成及びスパッタ時間を制御し、さらに密着層の成膜に用いるスパッタ装置のターゲットの組成及びスパッタ時間を制御することで、組成及び膜厚がそれぞれ異なる第1の電極層、配向制御層及び密着層を有する圧電素子(実施例58〜実施例64)を作製した。この第1の電極層を形成するときの各ターゲットの組成、スパッタ電力及びスパッタ時間、並びに配向制御層及び密着層の各層を形成するときのターゲットの組成及びスパッタ時間を、上記実施例57のものと併せて表6に示す。
【0179】
【表6】
Figure 2004079991
【0180】
上記実施例57〜実施例64の各圧電素子に対して、上記実施例45〜実施例56と同様の評価を行った。この結果を表7に示す。
【0181】
【表7】
Figure 2004079991
【0182】
このことより、基板と第1の電極層との間に密着層を設けた場合も、第1の電極層においてコバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属の含有量を26モル%以下とすることで、(001)面結晶配向率を90%以上にすることができるとともに、圧電素子の先端の最大変位量を高レベルに維持できることが判る。
【0183】
また、配向制御層として、Mn添加のチタン酸ランタン鉛膜やMg添加のチタン酸ランタン鉛膜を用いた場合でも、チタン酸ランタン鉛膜を用いた実施例57と同様の特性良好な圧電素子が得られることが判る。
【0184】
さらに、密着層の材料として、チタンの代わりに、タンタル又はモリブデンを用いた場合でも、実施例57と同様の圧電素子が得られることが判る。
【0185】
尚、上記実施例57〜実施例64の各圧電素子の圧電体層は、一定組成のPZT膜としたが、Ti/Zrモル比が異なる組成のPZT膜でも同様の結果が得られた。また、圧電体層としては、Laを含むPZT膜(PLZT膜)でも、NbやMg等のイオンを含むPZT膜でもよくてペロブスカイト型結晶構造の酸化物膜であれば、全て、上記実施例57〜実施例64の各圧電素子と同じように(001)面配向膜が得られた。さらに、配向制御層としてチタン酸ストロンチウム膜を用いた場合でも、(001)面配向膜が得られた。
【0186】
次に、基板として、シリコン基板(長さ15.0mm、厚さ0.30mm、幅3.0mmの短冊平板形状)の代わりに、厚み0.30mmの硼珪酸ガラス(#7089、熱膨張係数45×10―/℃)からなる長さが15.0mm、幅が3.0mmの短冊平板形状の基板を用いて、上記実施例45と同形状の圧電素子を実施例45と同じ方法で作製した(この圧電素子を実施例65とする)。
【0187】
また、上記実施例65と同じ基板を用いて、上記実施例46と同様にして作製した圧電素子(実施例66)と、実施例47と同様にして作製した圧電素子(実施例67)と、実施例48と同様にして作製した圧電素子(実施例68)と、実施例50と同様にして作製した圧電素子(実施例69)と、実施例51と同様にして作製した圧電素子(実施例70)と、実施例53と同様にして作製した圧電素子(実施例71)と、実施例54と同様にして作製した圧電素子(実施例72)と、実施例55と同様にして作製した圧電素子(実施例73)と、上記比較例4と同様にして作製した、第1の電極層がイリジウムのみからなる圧電素子(比較例6)とを得た。
【0188】
上記のように硼珪酸ガラス基板を用いて作製した実施例65〜実施例73及び比較例6の各圧電素子に対して、上記実施例45〜実施例56と同様の評価を行った。この結果を表8に示す。
【0189】
【表8】
Figure 2004079991
【0190】
このことより、基板をシリコンと異なるガラスにした場合であっても、本実施例の構成の圧電素子は、高い配向率で(001)面に結晶配向した圧電体層を備えていて、大きい圧電変位を得ることが可能になることが判る。また、基板材料の硬さの違いによって電圧印加の際の変位量は異なるが、安定した変位特性を示すことが判った。
【0191】
尚、上記実施例65のものに対して配向制御層が無い構成の圧電素子を作製したが、その圧電体層はX線回折の分析から目的の圧電特性を示すペロブスカイト型結晶構造のPZT膜でなく、それよりも一般に低温でできる圧電特性を示さないパイロクロア型結晶構造の鉛、チタン及びジルコンを組成にする酸化物膜(膜厚3.5μm)であった。したがって、基板をガラスにした場合でも、配向制御層が無いと、500℃の温度では、ペロブスカイト型結晶構造のPZT膜からなる圧電体層は形成できないことが判った。
【0192】
(実施形態3)
次に、本発明の圧電素子の積層膜構成を用いたインクジェットヘッドについて説明する。
【0193】
図10は、本発明の実施形態におけるインクジェットヘッドを示す概略構成図である。図10に示すように、本実施形態のインクジェットヘッド201は、複数個(図10では、10個)が列状に並んで配置された同形状のインク吐出素子202と、それらのインク吐出素子202を駆動するICチップ等の駆動電源素子203とで構成されている。
【0194】
図11は、上記各インク吐出素子202の構成を示す一部破断した分解斜視図である。この図11において、Aはガラス製の圧力室部材であって、この圧力室部材Aには圧力室用開口部31が形成されている。Bは圧力室用開口部31の上端開口面(大きさ:短軸が200μm、長軸が400μmの楕円形状)を覆うように配置されたアクチュエータ部であり、Cは圧力室用開口部31の下端開口面を覆うように配置されたインク流路部材である。すなわち、圧力室部材Aの圧力室用開口部31は、その上下に位置するアクチュエータ部Bとインク流路部材Cとにより区画され、これにより圧力室32(深さ0.2mm)が形成されている。
【0195】
上記アクチュエータ部Bは、上記圧力室32の略真上に位置する第1の電極層33(個別電極)を有している。また、インク流路部材Cには、インク供給方向に並ぶ複数個のインク吐出素子202の各圧力室32間で共用される共通液室35と、この共通液室35を圧力室32に連通させて、共通液室35のインクを圧力室32に供給するための供給口36と、圧力室32内のインクを吐出させるためのインク流路37とが形成されている。さらに、Dはノズル板であって、このノズル板Dには、インク流路37に連通するノズル孔38(直径30μm)が穿設されている。そして、上記圧力室部材A、アクチュエータ部B、インク流路部材C及びノズル板Dが接着剤によって接着されて、インク吐出素子202が構成されている。
【0196】
本実施形態では、上記圧力室部材A、アクチュエータ部B(第1の電極層33及び圧電体層41(図12参照)を除く)、インク流路部材C及びノズル板Dは、全てのインク吐出素子202に亘って一体形成されたものであり、1つの圧力室32と、この圧力室32に対応して設けられたノズル孔38、第1の電極層33及び圧電体層41とを含む部分をインク吐出素子202としている。尚、各インク吐出素子202を別個に形成してそれらを並べて結合したものであってもよい。また、インクジェットヘッド201は、複数個のインク吐出素子202で構成する必要はなく、1個のインク吐出素子202で構成したものであってもよい。
【0197】
上記駆動電源素子203は、ボンディングワイヤーを介して複数のインク吐出素子202のアクチュエータ部Bの各第1の電極層33にそれぞれ接続されており、この駆動電源素子203から各第1の電極層33に電圧を供給するようになっている。
【0198】
次に、上記アクチュエータ部Bの構成について、図12を参照しながら説明する。図12は、図11で示すインク吐出素子202のアクチュエータ部BのXII−XII線断面図である。図12に示すように、このアクチュエータ部Bは、上記の如く各圧力室32の略真上にそれぞれ位置する第1の電極層33と、この各第1の電極層33上(同図では下側)に設けられた圧電体層41と、この圧電体層41上(同下側)に設けられ、全圧電体層41(全インク吐出素子202)に共通となる第2の電極層42(共通電極)と、この第2の電極層42上(同下側)全体に設けられ、上記圧電体層41の圧電効果により層厚方向に変位し振動する振動層43とを有している。この振動体層43も、第2の電極層42と同様に、各インク吐出素子202のそれぞれの圧力室32間で共用される(全てのインク吐出素子202に亘って一体形成されている)。
【0199】
上記第1の電極層33、圧電体層41及び第2の電極層42は、これらが順に積層されてなる圧電素子を構成することになる。また、振動層43は、この圧電素子の第2の電極層42側の面に設けられていることになる。
【0200】
上記第1の電極層33は、上記実施形態1と同様に、厚さが0.10μmであって6モル%のコバルト(Co)を含むイリジウム(Ir)膜からなり、電極としての役割に加えて、上記圧電体層41の結晶配向を制御する役割をも果たす電極兼結晶配向制御層を構成している。
【0201】
上記圧電体層41は、上記実施形態1と同様に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなり、本実施形態においても、厚さ2.50μmのPb(Zr0.53Ti0.47)Oで表記されるPZT膜からなる。
【0202】
上記第2の電極層42は、上記実施形態1と同様に、白金薄膜(但し、膜厚は0.10μm)からなっている。
【0203】
上記振動層43は、厚さ3.5μmのクロム(Cr)膜からなっている。尚、この振動層43の材料は、Crに限らず、ニッケル、アルミニウム、タンタル、タングステン、シリコン又はこれらの酸化物若しくは窒化物(例えば二酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化シリコン)等であってもよい。また、振動層43の膜厚は2〜5μmであればよい。
【0204】
上記第2の電極層42上における上記第1の電極層33及び圧電体層41の積層膜の周囲には、上面が第1の電極層33の高さと同じになるようにポリイミド樹脂からなる電気絶縁有機膜44が設けられており、この電気絶縁有機膜44の上面には、第1の電極層33から延びるリード線形状の金薄膜(膜厚0.10μm)の引き出し電極膜45が形成されている。
【0205】
次に、上記インクジェットヘッド201の製造方法を図13により説明する。
【0206】
すなわち、まず、図13(a)に示すように、縦20mm、横20mm、厚み0.3mmのシリコン基板51を用いて、上記実施形態1と同様にして、シリコン基板51上に第1の電極層33と圧電体層41と第2の電極層42とを順次積層して、構造体54を得る。尚、シリコン基板51と第1の電極層33との間に、上記実施形態1と同様に、チタン、タンタル及びモリブデンの群から選ばれた一種からなる密着層を形成してもよい。
【0207】
続いて、図13(b)に示すように、上記構造体54の第2の電極層42上に、RFスパッタ法で室温でクロム(Cr)膜(厚さ3.5μm)からなる振動層43を形成する。
【0208】
次いで、図13(c)に示すように、上記振動層43を形成した構造体54を、接着剤(アクリル樹脂)55を用いて圧力室部材Aに接合する。このとき、上記振動層43の第2の電極層42とは反対側の面に、予め圧力室用開口部31を形成した圧力室部材Aを接合する。
【0209】
その後、図13(d)に示すように、プラズマ反応エッチング装置を用いて、上記シリコン基板51をSFガスを用いたドライエッチングにより除去する。尚、シリコン基板51と第1の電極層33との間に密着層を形成した場合には、その密着層も除去する。
【0210】
次に、図13(e)に示すように、第1の電極層33及び圧電体層41の積層膜を楕円形状パターン(大きさ:短軸が180μm、長軸が380μmの楕円形状)にパターンニングするために、第1の電極層33上の非エッチング部分に、フォトレジスト樹脂膜57を塗布する。
【0211】
そして、図13(f)に示すように、弱フッ酸を用いて、エッチング処理を行うことで、第1の電極層33と圧電体層41とをパターン化して個別化し、その後、図13(g)に示すように、レジスト剥離液で処理して、フォトレジスト樹脂膜57を除去する。
【0212】
続いて、図13(h)に示すように、上記のパターン化により露出した第2の電極層42上に、ポリイミド樹脂からなる電気絶縁有機膜44を印刷法によって形成し、さらに、図13(i)に示すように、この電気絶縁有機膜44の上面に、DCスパッタ法で金薄膜からなるリード線形状の引き出し電極膜45を形成し、これにより、アクチュエータ部Bが完成する。
【0213】
一方、図示は省略するが、予め共通液室35、供給口36及びインク流路37を形成したインク流路部材Cと、予めノズル孔38を形成したノズル板Dとを接着剤を用いて接着しておく。そして、上記完成したアクチュエータ部Bと接合された圧力室部材Aと、ノズル板Dを接着したインク流路部材Cとのアライメント調整を行って、この両者を接着剤により接着する。こうしてインクジェットヘッド201が完成する。
【0214】
尚、上記第1の電極層33、圧電体層41及び第2の電極層42は、上記実施形態1で述べた材料であれば、どれを用いても、高特性のアクチュエータ部Bを作製することができる。また、これら各層の厚みも、上記実施形態1で述べた範囲であればよい。
【0215】
上記のように構成されたインクジェットヘッド201においては、駆動電源素子203からボンディングワイヤーを介して複数のインク吐出素子202の各第1の電極層33に電圧が供給され、圧電体層41の圧電効果によって共通電極である第2の電極層42と接合された振動層43が変位し振動することにより、共通液室35内のインクが供給口36、圧力室32及びインク流路37を経由してノズル孔38から吐出される。この場合、インクジェットヘッド201において、インク吐出素子202のアクチュエータ部Bを構成する圧電体層41は、その結晶配向性が(001)面に揃ったものであり、圧電変位特性も大きな値でかつ揃っていることから、大きな圧電変位(変位量)を得ることが可能で、しかも、複数個のインク吐出素子202間において圧電変位特性のばらつきが小さくなる。そして、圧電変位が大きいことから、インクの吐出能力が高く、また、電源電圧の調整幅にマージンを大きくとることができ、複数個のインク吐出素子202の個々のインクの吐出ばらつきが小さくなるように、容易にコントロールすることができる。
【0216】
ここで、上記の製造方法によって、250個の同形状のインク吐出素子202を有するインクジェットヘッド201を実際に作製し、圧電体層41を挟む2つの電極層33,42に、0V〜−10Vのサイン波形電圧(200Hz)を印加して、振動層43の層厚方向の振動振幅のばらつきを測定したところ、そのばらつきσは1.5%と極めて少ないことが判明した。
【0217】
(実施形態4)
図14は、本発明の実施形態に係る他のインクジェットヘッド201におけるインク吐出素子202のアクチュエータ部Bを示し(尚、図12と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、図12で示したもの(実施形態3)に対し、上記実施形態2のように、第1の電極層33と圧電体層41との間に配向制御層46を配設したものであり、他の構成は図12で示したものと同様である。
【0218】
すなわち、この実施形態では、アクチュエータ部Bは、各圧力室32の略真上にそれぞれ位置する第1の電極層33と、この各第1の電極層33上(図14では下側)に設けられた配向制御層46と、この配向制御層46上(同下側)に設けられた圧電体層41と、この圧電体層41上(同下側)に設けられた第2の電極層42と、この第2の電極層42上(同下側)全体に設けられ、上記圧電体層41の圧電効果により層厚方向に変位し振動する振動層43とを有している。
【0219】
上記第1の電極層33、配向制御層46、圧電体層41及び第2の電極層42は、これらが順に積層されてなる圧電素子を構成することになる。また、振動層43は、この圧電素子の第2の電極層42側の面に設けられていることになる。
【0220】
上記第1の電極層33は、上記実施形態2と同様に、厚さ0.22μmであって1モル%のコバルト(Co)を含むイリジウム(Ir)膜からなり、電極としての役割に加えて、上記圧電体層41の結晶配向を制御する役割をも果たす電極兼結晶配向制御層を構成している。
【0221】
上記配向制御層46は、上記実施形態2と同様に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなり、本実施形態においても、厚さ0.02μmのチタン酸ランタン鉛膜(組成比Pb:La:Ti=1.12:0.08:1.00)からなる。
【0222】
上記圧電体層41は、上記実施形態2と同様に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなり、本実施形態においても、厚さ2.50μmのPb(Zr0.53Ti0.47)Oで表記されるPZT膜からなる。
【0223】
上記第2の電極層42は、上記実施形態2と同様に、白金薄膜(但し膜厚は、0.10μm)からなっている。。
【0224】
上記振動層43は、上記実施形態3と同様に、厚さ3.5μmのクロム膜からなっている。
【0225】
上記第2の電極層42上における上記第1の電極層33及び圧電体層41の積層膜の周囲には、上面が第1の電極層33の高さと同じになるようにポリイミド樹脂からなる電気絶縁有機膜44が設けられており、この電気絶縁有機膜44の上面には、第1の電極層33から延びるリード線形状の金薄膜(膜厚0.10μm)の引き出し電極膜45が形成されている。
【0226】
次に、上記インクジェットヘッド201の製造方法を図15により説明する。
【0227】
すなわち、まず、縦20mm、横20mm、厚み0.3mmのシリコン基板51を用いて、上記実施形態2(又は3)と同様に、シリコン基板51上に第1の電極層33と配向制御層46と圧電体層41と第2の電極層42とを順次積層して、構造体54を得る(図15(a)参照)。尚、シリコン基板51と第1の電極層33との間に、上記実施形態3で説明したように、チタン、タンタル及びモリブデンの群から選ばれた一種からなる密着層を形成してもよい。
【0228】
続いて、上記実施形態3と同様に、上記構造体54の第2の電極層42上に、RFスパッタ法で室温でクロム膜(厚さ3.5μm)からなる振動層43を形成し(図15(b)参照)、続いて、この振動層43を形成した構造体54を、接着剤55を用いて圧力室部材Aに接合する(図15(c)参照)。
【0229】
その後、上記実施形態3と同様に、上記シリコン基板51をドライエッチングにより除去する(図15(d)参照)。尚、シリコン基板51と第1の電極層33との間に密着層を形成した場合には、その密着層も除去する。
【0230】
次に、上記実施形態3と同様に、第1の電極層33、配向制御層46及び圧電体層41の積層膜をパターンニングするために、第1の電極層33上の非エッチング部分に、フォトレジスト樹脂膜57を塗布し(図15(e)参照)、続いて、エッチング処理を行うことで、第1の電極層33、配向制御層46及び圧電体層41をパターン化して個別化し(図15(f)参照)、その後、レジスト剥離液で処理して、フォトレジスト樹脂膜57を除去する(図15(g)参照)。
【0231】
続いて、上記実施形態3と同様に、上記のパターン化により露出した第2の電極層42上に、電気絶縁有機膜44を形成し(図15(h)参照)、さらに、この電気絶縁有機膜44の上面に、引き出し電極膜45を形成し(図15(i)参照)、これにより、アクチュエータ部Bが完成する。
【0232】
一方、上記実施形態3と同様に、予め共通液室35、供給口36及びインク流路37を形成したインク流路部材Cと、予めノズル孔38を形成したノズル板Dとを接着剤を用いて接着しておき、上記完成したアクチュエータ部Bと接合された圧力室部材Aと、ノズル板Dを接着したインク流路部材Cとのアライメント調整を行って、この両者を接着剤により接着する。こうしてインクジェットヘッド201が完成する。
【0233】
尚、上記第1の電極層33、配向制御層46、圧電体層41及び第2の電極層42は、上記実施形態2で述べた材料であれば、どれを用いてもよく、振動層43は、上記実施形態3で述べた材料であれば、どれを用いてもよい。また、これら各層の厚みも、上記実施形態2及び3で述べた範囲であればよい。
【0234】
上記のように構成されたインクジェットヘッド201においても、上記実施形態3と同様に、アクチュエータ部Bを構成する圧電体層41は、その結晶配向性が(001)面に揃ったものであり、圧電変位特性も大きな値でかつ揃っていることから、大きな圧電変位(変位量)を得ることが可能で、しかも、複数個のインク吐出素子202間において圧電変位特性のばらつきが小さくなる。そして、圧電変位が大きいことから、インクの吐出能力が高く、また、電源電圧の調整幅にマージンを大きくとることができ、複数個のインク吐出素子202の個々のインクの吐出ばらつきが小さくなるように、容易にコントロールすることができる。
【0235】
ここで、上記の製造方法によって、250個の同形状のインク吐出素子202を有するインクジェットヘッド201を実際に作製し、上記実施形態3と同様に、振動層43の層厚方向の振動振幅のばらつきを測定したところ、そのばらつきσは1.2%と極めて少ないことが判明した。
【0236】
(実施形態5)
図16は、本発明の実施形態に係るさらに別のインクジェットヘッド201におけるインク吐出素子202のアクチュエータ部Bを示す。この実施形態では、積層膜を形成するために用いた基板(この実施形態では、圧力室基板70という(次の実施形態6においても同じ))をエッチングして圧力室用開口部71を形成することで上記実施形態3及び4と同様の圧力室部材とし、これにより、圧力室基板70(圧力室部材)とアクチュエータ部Bとを一体化する点が上記実施形態3及び4とは異なる。
【0237】
上記圧力室基板70とアクチュエータ部Bとを一体化したものに、上記実施形態3及び4と同様のインク流路部材とノズル板とを接着することで、図11と類似の形状のインク吐出素子202が得られることになる。
【0238】
すなわち、この実施形態では、圧力室用開口部71が形成された圧力室基板70の上に、非晶質の酸化アルミニウムからなる膜厚2.50μmの振動層65が設けられ、この振動層65上に、コバルトを含むイリジウム膜(膜厚0.10μm)からなる第1の電極層61(共通電極)が設けられ、この第1の電極層61上に、PZT薄膜(膜厚2.50μm)からなる圧電体層62が設けられ、この圧電体層62上に、白金薄膜(膜厚0.10μm)からなりかつ上記実施形態3及び4における第1の電極層33と同様に楕円形状に個別化された第2の電極層63(個別電極)が設けられている。上記第1の電極層61、圧電体層62及び第2の電極層63は、これらが順に積層されてなる圧電素子を構成することになる。また、振動層65は、この圧電素子の第1の電極層61側の面に設けられていることになる。尚、上記振動層65と第1の電極層61との間に、該振動層65と第1の電極層61との密着性を高める密着層を設けてもよい。この密着層も、チタン、タンタル及びモリブデンの群から選ばれた一種で構成すればよい。
【0239】
上記圧電体層62及び第2の電極層63は、圧力室基板70において圧力室用開口部71が形成された部分(シリコンが取り除かれた空間)の上方位置にのみ、振動層65及び第1の電極層61を介して存在するように個別化されており、第1の電極層61上における上記圧電体層62及び第2の電極層63の周囲の部分は、上記実施形態3及び4と同様に、ポリイミド樹脂からなる電気絶縁有機膜64で被覆されている。また、上記個別化された第2の電極層63には、金薄膜(膜厚0.1μm)の引き出し電極膜75が設けられている。
【0240】
次に、上記インクジェットヘッドの製造方法を図17により説明する。
【0241】
すなわち、図17(a)に示すように、厚さ0.3mmのシリコンからなる圧力室基板70の表面上に、振動層65と第1の電極層61と圧電体層62と第2の電極層63とを順次スパッタ法で成膜して積層する。
【0242】
上記振動層65は、RFマグネトロンスパッタ装置を使用して、基板温度400℃で、酸化アルミニウムのターゲットを用いて、スパッタガスをアルゴンと酸素とが14:1の混合ガスを用い、ガス圧0.2Pa、スパッタ電力700Wで3時間スパッタリングすることで得られる。また、上記第1の電極層61、圧電体層62及び第2の電極層63は、上記実施形態1で説明した方法と同様にして得られる。
【0243】
続いて、図17(b)に示すように、上記圧力室基板70において上記各層からなる積層膜の形成面とは反対側の表面に、圧力室開口部71(大きさ:短軸が200μm、長軸が400μmの楕円形状)を形成するためにそれ以外の部分を覆うようにフォトレジスト樹脂膜66をパターン塗布する。
【0244】
そして、図17(c)に示すように、プラズマ反応エッチング装置を使用して、SF6ガスを用いてドライエッチングを行い、圧力室基板70に圧力室開口部71を形成する。
【0245】
次いで、図17(d)に示すように、上記フォトレジスト樹脂膜66を除去し、その後、図17(e)に示すように、上記第2の電極層63上(圧力室開口部71の真上の部分)に、楕円形状パターン(大きさ:短軸180μm、長軸380μmの楕円形状)にフォトレジスト樹脂膜67を形成する。
【0246】
次に、図17(f)に示すように、平行平板型プラズマ反応エッチング装置を使用し、アルゴンガスとCF4ガスとの混合ガスを用いてドライエッチングして、上記フォトレジスト樹脂膜67と同形状の楕円パターンに個別化された、圧電体層62と第2の電極層63との積層膜を得る。このドライエッチングの際に、第1の電極層61は、他の層と異なりエッチング速度が遅いので、エッチングの終点として使用できる。
【0247】
続いて、図17(g)に示すように、上記楕円形状のフォトレジスト樹脂膜67を取り除くとともに、上記個別化された積層膜の周囲に印刷法でポリイミド樹脂の塗膜を形成し、その後にその塗膜を180℃で硬化させて、ポリイミド樹脂からなる電気絶縁有機膜64を形成する。
【0248】
次いで、図17(h)に示すように、上記電気絶縁有機膜64に、上記第2の電極層63の一部と重なるように、スパッタ法で金薄膜(膜厚0.1μm)からなる引き出し電極75を形成し、このことで、圧力室基板70が一体化したアクチュエータ部Bが完成する。
【0249】
そして、上記圧力室基板70(圧力室部材)に、上記実施形態3及び4と同様にして、インク流路部品とノズル板とを接着し、こうしてインクジェットヘッド201が完成する。
【0250】
この実施形態においても、上記実施形態3と同様に、圧電体層62の結晶配向性が(001)面に揃っており、このことで、大きな圧電変位(変位量)を得ることが可能で、しかも、複数個のインク吐出素子202において圧電変位特性のばらつきを小さく抑えることができる。
【0251】
尚、上記第1の電極層61、圧電体層62及び第2の電極層63は、上記実施形態1で述べた材料であれば、どれを用いてもよく、振動層65は、上記実施形態3で述べた材料であれば、どれを用いてもよい。また、これら各層の厚みも、上記実施形態1及び3で述べた範囲であればよい。
【0252】
ここで、上記の製造方法によって、150個の同形状のインク吐出素子202を有するインクジェットヘッド201を実際に作製し、上記実施形態3と同様に、振動層65の層厚方向の振動振幅のばらつきを測定したところ、そのばらつきσは2.0%と極めて少ないことが判明した。
【0253】
(実施形態6)
図18は、本発明の実施形態に係るさらに別のインクジェットヘッド201におけるインク吐出素子202のアクチュエータ部Bを示し(尚、図16と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、図16で示したもの(実施形態5)に対し、上記実施形態2及び4のように、第1の電極層61と圧電体層62との間に配向制御層69を配設したものであり、他の構成は図16で示したものと同様である。
【0254】
すなわち、この実施形態では、圧力室用開口部71が形成された圧力室基板70の上に振動層65が設けられ、この振動層65上に第1の電極層61が設けられ、この第1の電極層61上に配向制御層69が設けられ、この配向制御層69上に圧電体層62が設けられ、この圧電体層62上に第2の電極層63が設けられている。上記第1の電極層61、配向制御層69、圧電体層62及び第2の電極層63は、これらが順に積層されてなる圧電素子を構成することになる。また、振動層65は、この圧電素子の第1の電極層61側の面に設けられていることになる。尚、上記振動層65と第1の電極層61との間に、該振動層65と第1の電極層61との密着性を高める密着層を設けてもよい。この密着層も、チタン、タンタル及びモリブデンの群から選ばれた一種で構成すればよい。
【0255】
上記配向制御層69も、圧電体層62及び第2の電極層63と同様に、圧力室基板70において圧力室用開口部71が形成された部分の上方位置にのみ存在するように個別化されている。
【0256】
次に、上記インクジェットヘッドの製造方法を図19により説明する。
【0257】
すなわち、実施形態2(又は5)と同様に、厚さ0.3mmのシリコンからなる圧力室基板70の表面上に、振動層65と第1の電極層61と配向制御層69と圧電体層62と第2の電極層63とを順次スパッタ法で成膜して積層する(図19(a)参照)。
【0258】
上記振動層65は、上記実施形態5で説明した方法と同様にして得られる。また、上記第1の電極層61、配向制御層69、圧電体層62及び第2の電極層63は、上記実施形態2で説明した方法と同様にして得られる。
【0259】
続いて、上記実施形態5と同様に、上記圧力室基板70において上記各層からなる積層膜の形成面とは反対側の表面に、圧力室開口部71を形成するためにそれ以外の部分を覆うようにフォトレジスト樹脂膜66をパターン塗布し(図19(b)参照)、その後、ドライエッチングを行って、圧力室基板70に圧力室開口部71を形成する(図19(c)参照)。
【0260】
そして、上記実施形態5と同様に、上記フォトレジスト樹脂膜66を除去し(図19(d)参照)、その後、上記第2の電極層63上(圧力室開口部71の真上の部分)に、楕円形状パターンにフォトレジスト樹脂膜67を形成する(図19(e)参照)。
【0261】
次に、上記実施形態5と同様に、ドライエッチングを行って、上記フォトレジスト樹脂膜67と同形状の楕円パターンに個別化された、配向制御層69と圧電体層62と第2の電極層63との積層膜を得る(図19(f)参照)。
【0262】
続いて、上記実施形態5と同様に、上記楕円形状のフォトレジスト樹脂膜67を取り除くとともに、上記個別化された積層膜の周囲にポリイミド樹脂の塗膜を形成し、その後にその塗膜を180℃で硬化させて、ポリイミド樹脂からなる電気絶縁有機膜64を形成し(図19(g)参照)、次いで、この電気絶縁有機膜64に引き出し電極75を形成し(図19(h)参照)、このことで、圧力室基板70が一体化したアクチュエータ部Bが完成する。
【0263】
そして、上記圧力室基板70(圧力室部材)に、上記実施形態5と同様にして、インク流路部品とノズル板とを接着し、こうしてインクジェットヘッド201が完成する。
【0264】
この実施形態においても、上記実施形態4と同様に、圧電体層62の結晶配向性が(001)面に揃っており、このことで、大きな圧電変位(変位量)を得ることが可能で、しかも、複数個のインク吐出素子202において圧電変位特性のばらつきを小さく抑えることができる。
【0265】
尚、上記第1の電極層61、配向制御層69、圧電体層62及び第2の電極層63は、上記実施形態2で述べた材料であれば、どれを用いてもよく、振動層65は、上記実施形態3で述べた材料であれば、どれを用いてもよい。また、これら各層の厚みも、上記実施形態2及び3で述べた範囲であればよい。
【0266】
ここで、上記の製造方法によって、150個の同形状のインク吐出素子202を有するインクジェットヘッド201を実際に作製し、上記実施形態3と同様に、振動層65の層厚方向の振動振幅のばらつきを測定したところ、そのばらつきσは2.3%と極めて少ないことが判明した。
【0267】
(実施形態7)
図20は、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置81を示し、このインクジェット式記録装置81は、上記実施形態3〜6のいずれか1つと同様のインクジェットヘッド201を備えている。このインクジェットヘッド201において圧力室(上記実施形態3で説明した圧力室32)に連通するように設けたノズル孔(上記実施形態3で説明したノズル孔38)から該圧力室内のインクを記録媒体82(記録紙等)に吐出させて着弾させることにより、記録を行うように構成されている。
【0268】
上記インクジェットヘッド201は、主走査方向xに延びるキャリッジ軸83に設けられたキャリッジ84に搭載されていて、このキャリッジ84がキャリッジ軸83に沿って往復動するのに応じて主走査方向xに往復動するように構成されている。このことで、キャリッジ83は、インクジェットヘッド201と記録媒体82とを主走査方向xに相対移動させる相対移動手段を構成することになる。
【0269】
また、このインクジェット式記録装置81は、上記記録媒体82をインクジェットヘッド201の主走査方向x(幅方向)と略垂直方向の副走査方向yに移動させる複数のローラ85を備えている。このことで、複数のローラ85は、インクジェットヘッド201と記録媒体82とを副走査方向yに相対移動させる相対移動手段を構成することになる。尚、図20中、zは上下方向である。
【0270】
そして、インクジェットヘッド201がキャリッジ84により主走査方向xに移動しているときに、インクジェットヘッド201のノズル孔からインクを記録媒体82に吐出させ、この一走査の記録が終了すると、上記ローラ85により記録媒体82を所定量移動させて次の一走査の記録を行う。
【0271】
以上のように、インクジェット式記録装置81を、複数個のインク吐出素子202間のインクの吐出ばらつきを容易にコントロールすることが可能な上記実施形態3〜6のいずれか1つのインクジェットヘッド201を用いて構成することにより、紙等の記録媒体82に対する記録のばらつきを小さくすることができるので、信頼性の向上化を図ることができる。
【0272】
(実施形態8)
図21及び図22は、本発明の実施形態に係る角速度センサを示し、この角速度センサは、音叉型のものであって、車両に搭載されるナビゲーション装置等に好適に用いられるものである。
【0273】
上記角速度センサは、厚み0.3mmのシリコンウエハからなる基板500を備えている(ガラス基板や金属基板、セラミックス基板であってもよい)。この基板500は、固定部500aと、該固定部500aから所定の方向(検出する角速度の回転中心軸が延びる方向;本実施形態では、図21に示すy方向)に延びる一対の振動部500bとを有している。これら固定部500a及び一対の振動部500bは、基板500の厚み方向(図21に示すz方向)から見て音叉状をなしており、一対の振動部500bは音叉のアーム部に相当していて、振動部500bの幅方向に並んだ状態で互いに平行に延びている。
【0274】
上記基板500の各振動部500b及び固定部500aの振動部側の部分上には、第1の電極層503と配向制御層504と圧電体層505と第2の電極層506とが順に積層されている。尚、この角速度センサにおいても、上記基板500と第1の電極層503との間に、上記実施形態2の変形例における圧電素子と同様に、密着層を設けることが好ましい。
【0275】
上記第1の電極層503、配向制御層504、圧電体層505及び第2の電極層506の各構成材料及び厚みは、上記実施形態2で説明した第1の電極層2、配向制御層11、圧電体層3及び第2の電極層4とそれぞれ同様である。また、配向制御層504及び圧電体層505の構造も、配向制御層15及び圧電体層16とそれぞれ同様であり、配向制御層504における第1の電極層503側の表面近傍部は、(100)面又は(001)面配向の領域が第1の電極層503における配向制御層504側の表面部に位置する金属(コバルト等)上に存在していて層厚方向と垂直な断面における上記領域の面積が第1の電極層503側から圧電体層505側に向かって大きくなる構造を有している。
【0276】
上記第2の電極層506は、上記各振動部500b上において、当該振動部500bを振動部500bの幅方向(図21に示すx方向)に振動させるための2つの駆動電極507と、当該振動部500bの厚み方向(z方向)の変形(たわみ)を検出するための1つの検出電極508とにパターン化されている。
【0277】
上記2つの駆動電極507は、当該振動部500bの幅方向(x方向)両端部上において、振動部500bの長さ方向(y方向)全体に亘って設けられ、各駆動電極507の固定部500a側の端部は、固定部500a上に位置して接続端子507aを構成している。尚、各振動部500bの幅方向一端部上に1つの駆動電極507を設けるだけであってもよい。
【0278】
一方、上記検出電極508は、当該振動部500bの幅方向中央部上において、振動部500bの長さ方向全体に亘って設けられ、上記駆動電極507と同様に、検出電極508の固定部500a側の端部は、固定部500a上に位置して接続端子508aを構成している。尚、各振動部500b上において複数の検出電極508を設けてもよい。
【0279】
尚、上記第1の電極層503は、固定部500a上における一対の振動部500b間の中央位置において、振動部500bとは反対側に突出する接続端子503aを有している。
【0280】
上記各振動部500b上における上記第1の電極層503と2つの駆動電極507との間には、当該振動部500bがその幅方向に振動するように、振動部500bの固有振動と共振する周波数の電圧が印加されるようになっている。すなわち、第1の電極層503には、グランド電圧が印加される一方、2つの駆動電極507には、正負が互いに逆の電圧が印加され、このことで、各振動部500bの幅方向一端部側が伸長するときには、他端部側が収縮して、該振動部500bがその他端部側に変形する。一方、各振動部500bの幅方向一端部側が収縮するときには、他端部側が伸長して、振動部500bがその一端部側に変形する。この動作を交互に繰り返すことによって振動部500bがその幅方向に振動する。尚、各振動部500b上における2つの駆動電極500bのいずれか一方に電圧を印加するだけでも、当該振動部500bをその幅方向に振動させることは可能である。そして、一対の振動部500bは、各振動部500bの幅方向において互いに反対向きに変形し、一対の振動部500b間の中央にあって該振動部500bの長さ方向に延びる中央線Lに対して対称に振動するようになっている。
【0281】
上記構成の角速度センサにおいて、一対の振動部500bをその幅方向(x方向)に上記中央線Lに対して対称に振動させているときに、その中央線L回りに角速度ωが加わると、2つ振動部500bは、コリオリ力によって厚み方向(z方向)にたわんで変形し(一対の振動部500bは互いに反対向きに同じ量たわむ)、これにより、圧電体層505にもたわみが発生して、第1の電極層503と検出電極508との間には、コリオリ力の大きさに応じた電圧が発生する。この電圧の大きさ(コリオリ力)から角速度ωを検出することができる。
【0282】
すなわち、コリオリ力Fcは、各振動部500bの幅方向の速度をv、各振動部500bの質量をmとすると、
Fc=2mvω
となるので、コリオリ力Fcから角速度ωの値が分かることになる。
【0283】
次に、上記角速度センサの製造方法について図23及び図24に基づいて説明する。
【0284】
すなわち、図23(a)に示すように、厚み0.3mmのφ4インチシリコンウエハ(平面図は図24参照)からなる基板500を用意し、図23(b)に示すように、この基板500上に、上記実施形態2と同様の条件で、第1の電極層503をスパッタ法により形成する。
【0285】
続いて、図23(c)に示すように、上記第1の電極層503上に、上記実施形態2と同様の条件で、配向制御層504をスパッタ法により形成する。上記実施形態2で説明したように、この配向制御層504における第1の電極層503側の表面近傍は、(100)面又は(001)面配向の領域がチタン上に存在しかつ層厚方向と垂直な断面における上記領域の面積が第1の電極層503側から上側に向かって大きくなる。
【0286】
次いで、図23(d)に示すように、上記配向制御層504上に、上記実施形態2と同様の条件で、圧電体層505をスパッタ法により形成する。上記実施形態2で説明したように、この圧電体層505は菱面体晶系であり、(001)面配向度が90%以上となる。
【0287】
続いて、図23(e)に示すように、上記圧電体層505上に、上記実施形態2と同様の条件で、第2の電極層506をスパッタ法により形成する。
【0288】
次いで、図23(f)及び図24に示すように、上記第2の電極層506をパタ−ニングして駆動電極507及び検出電極508を形成する。すなわち、第2の電極層506上に感光樹脂を塗布し、この感光樹脂に駆動電極507及び検出電極508のパタ−ンを露光し、その後、露光していない部分の感光樹脂を除去し、この感光樹脂を除去した部分における第2の電極層506をエッチングにより除去し、次いで、駆動電極507及び検出電極508上の感光樹脂を除去する。
【0289】
上記第2の電極層506のパターンニング後、同様の工程により圧電体層505、配向制御層504及び第1の電極層503をパタ−ニングするとともに、上記基板500をパタ−ニングして固定部500a及び振動部500bを形成する。こうして上記の角速度センサが完成する。
【0290】
尚、上記各層の成膜法はスパッタ法に限らず、熱処理による結晶化工程なしに直接に結晶性薄膜を形成する成膜法(例えばCVD法等)であればよい。
【0291】
ここで、図25及び図26を参照しながら従来の角速度センサについて説明する。
【0292】
この従来の角速度センサは、厚み0.3mmの水晶からなる圧電体600を備え、この圧電体600が、本実施形態に係る角速度センサの基板500と同様に、固定部600aと該固定部600aからその一側方(図25に示すy方向)に互いに平行に延びる一対の振動部600bとを有している。そして、上記各振動部600bの厚み方向(図25に示すz方向)に対向する両面には、当該振動部600bをその幅方向(図25に示すx方向)に振動させるための駆動電極603がそれぞれ1つずつ設けられ、各振動部600bの両側面には、当該振動部600bの厚み方向の変形を検出するための検出電極607がそれぞれ1つずつ設けられている。
【0293】
そして、上記従来の角速度センサにおいて、各振動部600bにおける2つの駆動電極603間に、当該振動部600bの固有振動と共振する周波数の電圧を印加して、本実施形態に係る角速度センサと同様に、一対の振動部600bをその幅方向(x方向)に該一対の振動部600b間の中央にある中央線Lに対して対称に振動させる。このときに、その中央線L回りに角速度ωが加わると、一対の振動部600bは、コリオリ力によって厚み方向(z方向)にたわんで変形し、各振動部600bにおける2つの検出電極607間にコリオリ力の大きさに応じた電圧が発生し、この電圧の大きさ(コリオリ力)から角速度ωを検出することができる。
【0294】
上記従来の角速度センサにおいては、水晶からなる圧電体600を用いるので、その圧電定数は−3pC/Nとかなり低く、しかも固定部600a及び振動部600bは機械加工により形成するため、小型化が困難であり、寸法精度が低いという問題がある。
【0295】
これに対し、本実施形態に係る角速度センサにおいては、角速度を検出する部分(振動部500b)が、上記実施形態2と同様の構成の圧電素子で構成されていることになるので、上記従来の角速度センサに対して圧電定数を40倍程度に大きくすることができ、かなりの小型化を図ることができる。また、薄膜形成技術を用いて微細加工を行うことができ、寸法精度を格段に向上させることができる。さらに、工業的に量産しても、特性の再現性が良好で、ばらつきが少なく、耐電圧及び信頼性に優れる。
【0296】
尚、本実施形態における角速度センサにおいても、第1の電極層503、配向制御層504、圧電体層505及び第2の電極層506の材料は、上記実施形態2で述べた材料であれば、どれを用いてもよい。そして、上記実施形態1のように、この配向制御層504をなくすようにしても、高性能の角速度センサが得られる。
【0297】
また、本実施形態における角速度センサにおいては、基板500に一対の振動部500bを1組しか設けていないが、複数組設けて、種々の方向に延びる複数軸回りの角速度を検出するようにしてもよい。
【0298】
さらに、本実施形態における角速度センサにおいては、基板500の各振動部500b及び固定部500aの振動部側の部分上に、第1の電極層503と配向制御層504と圧電体層505と第2の電極層506とを順に積層したが、これら各層を積層する箇所は、各振動部500b上のみであってもよい。
【0299】
加えて、上記実施形態では、本発明の圧電素子を、インクジェットヘッド(インクジェット式記録装置)及び角速度センサに適用したが、この以外にも、薄膜コンデンサー、不揮発性メモリ素子の電荷蓄積キャパシタ、各種アクチュエータ、赤外センサー、超音波センサー、圧力センサー、加速度センサー、流量センサー、ショックセンサー、圧電トランス、圧電点火素子、圧電スピーカー、圧電マイクロフォン、圧電フィルタ、圧電ピックアップ、音叉発振子、遅延線等にも適用可能である。特に、ディスク装置(コンピュータの記憶装置等として用いられるもの)における回転駆動されるディスクに対して情報の記録又は再生を行うヘッドが基板上に設けられたヘッド支持機構において、該基板上に設けた薄膜圧電体素子によって、基板を変形させて該ヘッドを変位させるディスク装置用薄膜圧電体アクチュエータ(例えば特開2001−332041号公報参照)に好適である。つまり、上記薄膜圧電体素子は、上記実施形態で説明したものと同様の構成の第1の電極層と配向制御層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなり、この第2の電極層が上記基板に接合されたものである。
【0300】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる、結晶配向制御層を兼ねる第1の電極層を設け、この第1の電極層上に、菱面体晶系又は正方晶系のペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層を設けた構成とすることによって、成膜後の熱処理による結晶化工程なしに直接的に、例えばスパッタ法等で、結晶構造と優先配向面とを制御した圧電体層を形成することでき、このことで、ゾルゲル法のように、クラックの発生や特性ばらつきの要因となるような熱処理による結晶化工程を無くすことができる。この結果、工業的に量産しても圧電特性の再現性、ばらつき及び信頼性の良好な圧電素子とこの圧電素子を有するインクジエツトヘツド及び角速度センサとを提供することができる。また、吐出能のばらつきが少なくて高い信頼性を有するインクジエツト式記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。
【図2】図1の圧電素子の製造方法を示す工程図である。
【図3】図1の圧電素子において第1の電極層と第2の電極層との間に三角波電圧を印加したときの、圧電素子の先端の変位量を示す特性図である。
【図4】比較例1の圧電素子における図3相当図である。
【図5】本発明の実施形態に係る他の圧電素子を示す斜視図である。
【図6】図5の圧電素子の製造方法を示す工程図である。
【図7】図5の圧電素子の変形例を示す斜視図である。
【図8】図7の圧電素子の製造方法を示す工程図である。
【図9】図5の圧電素子における図3相当図である。
【図10】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドを示す概略図である。
【図11】図10のインクジェットヘッドのインク吐出素子を示す一部破断した分解斜視図である。
【図12】図11のXII−XII線断面図である。
【図13】図10のインクジェットヘッドの製造方法を示す工程図である。
【図14】本発明の実施形態に係る他のインクジェットヘッドの要部(アクチュエータ部)を示す図12相当図である。
【図15】図14のインクジェットヘッドの製造方法を示す工程図である。
【図16】本発明の実施形態に係るさらに別のインクジェットヘッドの要部(アクチュエータ部)を示す図12相当図である。
【図17】図16のインクジェットヘッドの製造方法を示す工程図である。
【図18】本発明の実施形態に係るさらに別のインクジェットヘッドの要部(アクチュエータ部)を示す図12相当図である。
【図19】図18のインクジェットヘッドの製造方法を示す工程図である。
【図20】本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置を示す概略斜視図である。
【図21】本発明の実施形態に係る角速度センサを示す概略斜視図である。
【図22】図21のXXII−XXII線断面図である。
【図23】図21の角速度センサの製造方法を示す工程図である。
【図24】図21の角速度センサの製造方法において、第2の電極層をパターニングした状態を示す平面図である。
【図25】水晶を用いた従来の角速度センサを示す概略斜視図である。
【図26】図25のXXVI−XXVI線断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 第1の電極層
3 圧電体層
4 第2の電極層
11 配向制御層
14 密着層
20 圧電素子
32 圧力室
33 第1の電極層(個別電極)
38 ノズル孔
41 圧電体層
42 第2の電極層(共通電極)
43 振動層
46 配向制御層
51 基板
61 第1の電極層(共通電極)
62 圧電体層
63 第2の電極層(個別電極)
65 振動層
69 配向制御層
70 圧力室基板(圧力室部材)
81 インクジェット式記録装置
82 記録媒体
84 キャリッジ(相対移動手段)
201 インクジエツトヘツド
500 基板
500a 固定部
500b 振動部
503 第1の電極層
504 配向制御層
505 圧電体層
506 第2の電極層
507 駆動電極
508 検出電極
A 圧力室部材
B アクチュエータ部

Claims (27)

  1. 第1の電極層と、該第1の電極層上に設けられた圧電体層と、該圧電体層上に設けられた第2の電極層とを備えた圧電素子であって、
    上記第1の電極層は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなり、
    上記圧電体層は、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなることを特徴とする圧電素子。
  2. 請求項1記載の圧電素子において、
    第1の電極層と圧電体層との間に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層が設けられていることを特徴とする圧電素子。
  3. 請求項2記載の圧電素子において、
    配向制御層は、チタン酸ランタン鉛又はチタン酸ランタン鉛にマグネシウム及びマンガンの少なくとも一方を添加したものからなることを特徴とする圧電素子。
  4. 請求項2記載の圧電素子において、
    配向制御層は、ストロンチウムを含むペロブスカイト型酸化物からなることを特徴とする圧電素子。
  5. 請求項4記載の圧電素子において、
    配向制御層は、チタン酸ストロンチウムを含有していることを特徴とする圧電素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の圧電素子において、
    第1の電極層における貴金属が、白金、イリジウム、パラジウム及びルテニウムの群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする圧電素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の圧電素子において、
    第1の電極層におけるコバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属の含有量が、0を越え26モル%以下であることを特徴とする圧電素子。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載の圧電素子において、
    第1の電極層は、基板上に設けられており、
    上記基板と第1の電極層との間に、該基板と第1の電極層との密着性を高める密着層が設けられていることを特徴とする圧電素子。
  9. 請求項8記載の圧電素子において、
    密着層は、チタン、タンタル及びモリブデンの群から選ばれた一種からなることを特徴とする圧電素子。
  10. 第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子と、該圧電素子の第2の電極層側の面に設けられた振動層と、該振動層の圧電素子とは反対側の面に接合され、インクを収容する圧力室を有する圧力室部材とを備え、上記圧電素子の圧電体層の圧電効果により上記振動層を層厚方向に変位させて上記圧力室内のインクを吐出させるように構成されたインクジェットヘッドであって、
    上記圧電素子の第1の電極層は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなり、
    上記圧電体層は、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなることを特徴とするインクジェットヘッド。
  11. 請求項10記載のインクジェットヘッドにおいて、
    圧電素子の第1の電極層と圧電体層との間に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層が設けられていることを特徴とするインクジェットヘッド。
  12. 第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子と、該圧電素子の第1の電極層側の面に設けられた振動層と、該振動層の圧電素子とは反対側の面に接合され、インクを収容する圧力室を有する圧力室部材とを備え、上記圧電素子の圧電体層の圧電効果により上記振動層を層厚方向に変位させて上記圧力室内のインクを吐出させるように構成されたインクジェットヘッドであって、
    上記圧電素子の第1の電極層は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなり、
    上記圧電体層は、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなることを特徴とするインクジェットヘッド。
  13. 請求項12記載のインクジェットヘッドにおいて、
    圧電素子の第1の電極層と圧電体層との間に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層が設けられていることを特徴とするインクジェットヘッド。
  14. 固定部と、該固定部から所定の方向に延びる少なくとも一対の振動部とを有する基板を備え、該基板の少なくとも各振動部上に、第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されており、該各振動部上における第2の電極層が、当該振動部を振動部の幅方向に振動させるための少なくとも1つの駆動電極と、当該振動部の厚み方向の変形を検出するための少なくとも1つの検出電極とにパターン化された角速度センサであって、
    上記第1の電極層は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなり、
    上記圧電体層は、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなることを特徴とする角速度センサ。
  15. 請求項14記載の角速度センサにおいて、
    第1の電極層と圧電体層との間に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層が設けられていることを特徴とする角速度センサ。
  16. 基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記第1の電極層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記圧電体層上に第2の電極層を形成する工程とを含むことを特徴とする圧電素子の製造方法。
  17. 基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記第1の電極層上に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記配向制御層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、上記圧電体層上に第2の電極層を形成する工程とを含むことを特徴とする圧電素子の製造方法。
  18. 第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子を備え、該圧電素子の圧電体層の圧電効果により振動層を層厚方向に変位させて圧力室内のインクを吐出させるように構成されたインクジェットヘッドの製造方法であって、
    基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記第1の電極層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記圧電体層上に第2の電極層を形成する工程と、
    上記第2の電極層上に、振動層を形成する工程と、
    上記振動層の第2の電極層とは反対側の面に、圧力室を形成するための圧力室部材を接合する工程と、
    上記接合工程後に、上記基板を除去する工程とを含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  19. 第1の電極層と配向制御層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子を備え、該圧電素子の圧電体層の圧電効果により振動層を層厚方向に変位させて圧力室内のインクを吐出させるように構成されたインクジェットヘッドの製造方法であって、
    基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記第1の電極層上に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記配向制御層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記圧電体層上に第2の電極層を形成する工程と、
    上記第2の電極層上に、振動層を形成する工程と、
    上記振動層の第2の電極層とは反対側の面に、圧力室を形成するための圧力室部材を接合する工程と、
    上記接合工程後に、上記基板を除去する工程とを含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  20. 第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子を備え、該圧電素子の圧電体層の圧電効果により振動層を層厚方向に変位させて圧力室内のインクを吐出させるように構成されたインクジェットヘッドの製造方法であって、
    圧力室を形成するための圧力室基板上に、振動層を形成する工程と、
    上記振動層上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の郡から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記第1の電極層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記圧電体層上に第2の電極層を形成する工程と、
    上記圧力室基板に、圧力室を形成する工程とを含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  21. 第1の電極層と配向制御層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子を備え、該圧電素子の圧電体層の圧電効果により振動層を層厚方向に変位させて圧力室内のインクを吐出させるように構成されたインクジェットヘッドの製造方法であって、
    圧力室を形成するための圧力室基板上に、振動層を形成する工程と、
    上記振動層上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記第1の電極層上に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記配向制御層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記圧電体層上に第2の電極層を形成する工程と、
    上記圧力室基板に、圧力室を形成する工程とを含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  22. 固定部と、該固定部から所定の方向に延びる少なくとも一対の振動部とを有する基板を備え、該基板の少なくとも各振動部上に、第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されており、該各振動部上における第2の電極層が、当該振動部を振動部の幅方向に振動させるための少なくとも1つの駆動電極と、当該振動部の厚み方向の変形を検出するための少なくとも1つの検出電極とにパターン化された角速度センサの製造方法であって、
    基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記第1の電極層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記圧電体層上に、第2の電極層を形成する工程と、
    上記第2の電極層をパタ−ニングして上記駆動電極及び検出電極を形成する工程と、
    上記圧電体層及び第1の電極層をパタ−ニングする工程と、
    上記基板をパタ−ニングして上記固定部及び振動部を形成する工程とを含むことを特徴とする角速度センサの製造方法。
  23. 固定部と、該固定部から所定の方向に延びる少なくとも一対の振動部とを有する基板を備え、該基板の少なくとも各振動部上に、第1の電極層と配向制御層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されており、該各振動部上における第2の電極層が、当該振動部を振動部の幅方向に振動させるための少なくとも1つの駆動電極と、当該振動部の厚み方向の変形を検出するための少なくとも1つの検出電極とにパターン化された角速度センサの製造方法であって、基板上に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなる第1の電極層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記第1の電極層上に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記配向制御層上に、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層をスパッタ法により形成する工程と、
    上記圧電体層上に、第2の電極層を形成する工程と、
    上記第2の電極層をパタ−ニングして上記駆動電極及び検出電極を形成する工程と、
    上記圧電体層、配向制御層及び第1の電極層をパタ−ニングする工程と、
    上記基板をパタ−ニングして上記固定部及び振動部を形成する工程とを含むことを特徴とする角速度センサの製造方法。
  24. 第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子と、該圧電素子の第2の電極層側の面に設けられた振動層と、該振動層の圧電素子とは反対側の面に接合され、インクを収容する圧力室を有する圧力室部材とを有しかつ記録媒体に対して相対移動可能に構成されたインクジェットヘッドを備え、該インクジェットヘッドが記録媒体に対して相対移動しているときに、該インクジェットヘッドにおける圧電素子の圧電体層の圧電効果により上記振動層を層厚方向に変位させて、上記圧力室内のインクを、該圧力室に連通するノズル孔から上記記録媒体に吐出させて記録を行うように構成されたインクジェット式記録装置であって、
    上記インクジェットヘッドにおける圧電素子の第1の電極層は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなり、
    上記圧電体層は、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなることを特徴とするインクジェット式記録装置。
  25. 請求項24記載のインクジェット式記録装置において、
    インクジェットヘッドにおける圧電素子の第1の電極層と圧電体層との間に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層が設けられていることを特徴とするインクジェット式記録装置。
  26. 第1の電極層と圧電体層と第2の電極層とが順に積層されてなる圧電素子と、該圧電素子の第1の電極層側の面に設けられた振動層と、該振動層の圧電素子とは反対側の面に接合され、インクを収容する圧力室を有する圧力室部材とを有しかつ記録媒体に対して相対移動可能に構成されたインクジェットヘッドを備え、該インクジェットヘッドが記録媒体に対して相対移動しているときに、該インクジェットヘッドにおける圧電素子の圧電体層の圧電効果により上記振動層を層厚方向に変位させて、上記圧力室内のインクを、該圧力室に連通するノズル孔から上記記録媒体に吐出させて記録を行うように構成されたインクジェット式記録装置であって、
    上記インクジェットヘッドにおける圧電素子の第1の電極層は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン及び銅の群から選ばれた少なくとも1種の金属と貴金属との合金からなり、
    上記圧電体層は、菱面体晶系又は正方晶系の(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなることを特徴とするインクジェット式記録装置。
  27. 請求項26記載のインクジェット式記録装置において、
    インクジェットヘッドにおける圧電素子の第1の電極層と圧電体層との間に、立方晶系又は正方晶系の(100)面又は(001)面に優先配向したペロブスカイト型酸化物からなる配向制御層が設けられていることを特徴とするインクジェット式記録装置。
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