JP2004079123A - 光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】対物レンズのシフトに起因するトラッキングエラー信号のDC成分を抑制し、高精度のトラッキングサーボを可能とする。
【解決手段】a:対物レンズの有効径、d:記録媒体のトラックピッチ、NA:対物レンズの開口数としたとき、±1次回折光が対物レンズに入射する際のラジアル方向の幅αがα ≦λ×a/(2d×NA)を満足し、0次、±1次回折光が対物レンズを経て光ディスク上に集光され、戻り光がディスクラジアル方向に直行する方向に分割境界線を有した各光検出器上で検出され、0次光、+1次光、−1次光の差動信号をTE1、TE2、TE3、和出力をA1、A2、A3、ゲインG2をG2=A2/A3としたとき、トラッキングエラー信号TESを、TES=TE1−G1×(TE2+G2×TE3)とする。また、b:対物レンズシフト量としたときに、±1次回折光のラジアル方向の幅αは4b≦α を満足する。
【選択図】 図1
【解決手段】a:対物レンズの有効径、d:記録媒体のトラックピッチ、NA:対物レンズの開口数としたとき、±1次回折光が対物レンズに入射する際のラジアル方向の幅αがα ≦λ×a/(2d×NA)を満足し、0次、±1次回折光が対物レンズを経て光ディスク上に集光され、戻り光がディスクラジアル方向に直行する方向に分割境界線を有した各光検出器上で検出され、0次光、+1次光、−1次光の差動信号をTE1、TE2、TE3、和出力をA1、A2、A3、ゲインG2をG2=A2/A3としたとき、トラッキングエラー信号TESを、TES=TE1−G1×(TE2+G2×TE3)とする。また、b:対物レンズシフト量としたときに、±1次回折光のラジアル方向の幅αは4b≦α を満足する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク上のトラックに対しての記録あるいはトラックからの再生を行う際に、光スポットを光ディスク上の目的のトラックに位置決めするためのトラッキングエラー信号を生成する光ディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置において、光ディスクに書き込まれた情報を読み出す処理の担い手は、光ピックアップにより光ディスク上に形成される微小な光スポットとしてのレーザースポットである。即ち、この微小なレーザースポットが光ディスク上のトラックを走査することにより、光ディスクからの情報の読み出しが行われる。
【0003】
この場合、レーザースポットおよびトラックは微細であるため、振動などによってレーザースポットがトラックから外れてしまい、結果的に読み取りエラーが発生する恐れがある。したがって、光ディスクに書き込まれたデータを正確かつ連続的に読み出すには、レーザースポットをトラックに追従させるサーボ技術が不可欠である。このために、光ディスク装置では、トラッキングエラー信号に基づいて、レーザースポットをトラックに追従させるトラッキングサーボが一般に行われている。
【0004】
トラッキングサーボにおいて、光ディスクのラジアル方向への対物レンズシフトやチルトが発生すると、トラッキングエラー信号にはそれによるDC成分が加算され、本来のトラック中心とは異なる位置をスポットが走査する、もしくはサーボ外れが発生するといった問題が生じる。したがって、このときに走査している点からトラック中心までの距離をオフセットとすると、安定したトラッキングエラー信号を得るには、対物レンズシフト等によるオフセットを0に抑えこむ技術、即ちDC成分の無いトラッキングエラー信号が得られるサーボ方式の開発が不可欠である。
【0005】
トラッキングエラー信号におけるDC成分を抑制できる従来の技術としては、例えば特開平10−162389号公報に記載のものが知られている。同公報に記載の手法では、レーザ光源から光ディスクまでの光路中に、光束の断面積よりも小さい面積を有する円形の回折格子を配し、入射光束を0次回折光と±1次回折光とからなる3ビームに分割し、これら各光ビームにより得られた差動信号を用いてオフセットを相殺するようにしている。なお、以下では、0次回折光をメインビーム、±1次回折光をサブビームと称する。
【0006】
具体的には、上記円形の回折格子は、
λ:光源の波長
a:対物レンズの有効径
d:光ディスクのトラックピッチ
NA:対物レンズの開口数
としたときに、サブビームが対物レンズに入射する際の、サブビームの光束における光ディスクのラジアル方向の幅αが、条件
α≦λ×a/(2d×NA) ……(1)
を満足するようになっている。
【0007】
上記の式(1)を満足するような光束を発生させる回折格子を使用し、その回折格子によって分離された光束が対応する光検出器にて受光されることにより、メインビームによる差動信号にはトラックの位置情報(プッシュプル成分)と対物レンズシフトの情報(DC成分)とが含まれ、サブビームによる差動信号には対物レンズシフトの情報(DC成分)のみが含まれた状態となる。
【0008】
ここで、メインビームの差動信号をTE1’、サブビームの2つの差動信号をTE2’、TE3’とすると、トラッキングエラー信号TES’は
TES’=TE1’−G1’・(TE2’+G2’×TE3’) ……(2)
となる。
【0009】
上記の式(2)での演算は、メインビームおよびサブビームによる差動信号に含まれるDC成分をキャンセルすることに相当する。なお、同式中のゲインG1’はメインビームとサブビームとの光量比、ゲインG2’はサブビーム間の光量比によりそれぞれ定義されており、それぞれDC成分をキャンセルする役割とサブビーム間の光量ムラを解消する役割を担っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
近年、光ディスクは益々高密度化されており、この高密度化に伴って高い精度のサーボ方式が要求されている。例えば、波長405nmの青紫色半導体LDとNA0.85の高NA対物レンズとを使用して記録再生される、0.32μmのトラックピッチと0.1mmの透明カバー層を有した直径120mmの大容量光ディスクが提案されている。このような光ディスクに対して安定な記録再生動作を行うには、光ディスク装置において上記オフセットとして0.005μm程度しか許容されず、非常に高精度なトラッキングサーボが必要となる。
【0011】
しかしながら、前述の従来公報に記載の技術は、上記の要望を十分に満足するものではなく、トラッキングサーボの精度としては不十分である。
【0012】
したがって、本発明は、対物レンズのシフトに起因するトラッキングエラー信号のDC成分を抑制し、高精度のトラッキングサーボを可能とする光ディスク装置の提供を目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の光ディスク装置は、光源と、対物レンズと、これら光源と対物レンズの間に配置された回折光学素子とを備え、
λ:光源の波長
a:対物レンズの有効径
d:記録媒体のトラックピッチ
NA:対物レンズの開口数
としたとき、該回折光学素子に形成された第1の回折格子によって回折された±1次回折光が対物レンズに入射する際のラジアル方向の幅αが以下の条件を満足し、
α ≦λ×a/(2d×NA)
0次回折光、±1次回折光それぞれが対物レンズによって光ディスク上に集光され、その戻り光が各光検出器上で検出される際、それら光検出器は、記録媒体のラジアル方向に直行する方向に相当する方向に少なくとも1本の分割境界線を有したものであり、
0次光を受光した光検出器の差動信号をTE1、和出力をA1
+1次光を受光した光検出器の差動信号をTE2、和出力をA2
−1次光を受光した光検出器の差動信号をTE3、和出力をA3
ゲインG2をG2=A2/A3としたとき、
ゲインG1を使用して、トラッキングエラー信号TESを
TES=TE1−G1×(TE2+G2×TE3)
とする光ディスク装置において、
b:対物レンズシフト量
としたときに、±1次回折光のラジアル方向の幅αは、4b≦αを満足することを特徴としている。
【0014】
対物レンズのシフト補償を高精度に行うためには、対物レンズのシフトに対して、メインビーム(回折格子による0次回折光と回折格子以外の領域における透過光とからなる光束)の差動信号のDC成分とサブビーム(回折格子による±1次回折光)の差動信号のDC成分との比が一定であること、即ち、両光束がそれぞれの光検出器上において分割境界線を跨いでいることが必要である。一方、対物レンズのシフト量が所定の値bに達すると、サブビームは光検出器の分割境界線を跨ぎきってしまうことになる。そこで、上記のように、4b≦αとすれば、この事態を防止することができ、この結果、光ディスクにおいて発生し得る対物レンズのシフトに対し、補償後の残留オフセットを許容範囲内に抑制することができる。
【0015】
上記の光ディスク装置は、0次回折光のRIM強度、および0時回折光と±1次回折光における光ディスクラジアル方向の幅との比に基づいてゲインG1を決定する構成としてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、0次回折光のRIM強度、および0時回折光と±1次回折光における光ディスクラジアル方向の幅との比に基づいてゲインG1を決定することにより、信号TESのDC成分を0に抑え込めるゲインG1を設定することができ、また、上記G1を設計段階で決定することができる。さらに、使用する素子毎の光学パラメータをもとに上記の設定を各光ディスク装置に対して行えば、光ディスク装置ごとに生じる補償精度のばらつきを抑えることができる。
【0017】
上記の光ディスク装置は、フォーカスサーボON、ラジアルサーボOFFの状態で対物レンズをシフトさせながらゲインG1を連続的に変化させ、前記演算信号TESのDC成分が0になる時をゲインG1の最良値として決定する構成としてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、上記のα≧4bを満足するような対物レンズのシフトに対し、ラジアルサーボONの状態で信号TESのDC成分を限りなく0に抑えることができ、結果として光ディスクラジアル方向に残留する残留オフセットをさらに適切に抑制でき、高精度のトラッキングサーボを行うことができる。即ち、対物レンズのシフトに対し、トラッキングエラー信号に急激なDC成分の増加が生じず、ラジアル方向に残留する残留オフセット量を大容量の光ディスクシステム(大容量の光ディスクとこれに対して記録再生可能な光ディスク装置とを備えたシステム)を安定に動作させるための許容範囲内に収めることができる。
【0019】
また、上記の構成によれば、光学系の調整段階においてゲインG1の設定ができ、装置毎に上記の手法を用いることにより、装置間での補償精度のばらつきを抑えることができる。
【0020】
上記の光ディスク装置において、前記回折光学素子には、第1の回折格子が形成された領域以外の領域における、少なくとも対物レンズへの入射光束の断面に相当する領域に、第1の回折格子とは回折方向が異なり、格子深さおよびデューティー比が等しい第2の回折格子が形成されている構成としてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、回折光学素子を透過した例えば0次回折光(メインビーム)において、第1の回折格子を透過した光束と第2の回折格子を透過した光束との間に位相や振幅の分布が発生しない。したがって、光ディスク上の集光スポットのサイドローブ発生によるクロストークといったS/Nの悪化を抑制することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1ないし図13に基づいて以下に説明する。
まず、図2を用いて本実施の形態における光学系の構成について説明する。図2は、本実施の形態の光ディスク装置のピックアップ装置における光学系を示している。
【0023】
この光学系において、光源からの光が光ディスクへ到達するまでの光路においては、光源となる半導体レーザ1、コリメータレンズ2、回折光学素子3、ビームスプリッタ4、対物レンズ5および光ディスク7が配置されており、それら光学素子の中心は光ディスク7の面に垂直な方向に一直線上に並んでいる。また、ビームスプリッタ4を始点として、上記光路に対して垂直な方向の光路においては、集光レンズ8、円筒形レンズ9および光検出器10が配置されている。半導体レーザ1から出射された光は、上記構成における各光学素子を順に経て、最終的に光検出器10に到達する。
【0024】
なお、6aは、アパーチャー形成部材6に形成された対物レンズアパーチャー(以下、単にアパーチャーと称する)である。このアパーチャー6aは円形の孔であり、アパーチャー形成部材6は対物レンズ5を保持している。アパーチャー6aの径は対物レンズの有効径に相当する。通常、アパーチャー6aの径は入射光束より小さく設定されており、入射光束においてアパーチャー6aの径より大きな部分を遮断する働きがある。これは、入射光束の断面が完全に円形に整形されていない場合に、良好な円形のビームを作るためである。他には、対物レンズ5のシフト発生時においても、アパーチャー6aを経由後の光束が円形の状態で対物レンズ5に入射するようにするためである。
【0025】
上記の回折光学素子3は、図3に示すように、中央部に帯形の回折格子11を有する。回折光学素子3への入射光束は、回折格子11による0次回折光と回折格子11以外の領域における透過光とからなる光束(以下、メインビームと称する)、および回折格子11による±1次回折光(以下、サブビームと称する)の3つの光束に回折される。これらメインビームとサブビームの関係を図4に示す。
【0026】
図3において、12,13は回折光学素子3への入射光束であり、小さい半径の円によって示される入射光束12は、対物レンズ5の有効径に相当する光束径を有する。また、大きい半径の円によって示される入射光束13は、コリメータレンズ2から回折光学素子3に入射する光束である。なお、同図中に矢印にて示したラジアル方向とタンジェンシャル方向は、それぞれ光ディスク7におけるラジアル方向とタンジェンシャル方向に相当する。
【0027】
回折光学素子3における回折格子11のラジアル方向の幅は、図2に示したように、回折光学素子3をコリメータレンズ2と対物レンズ5との間の平行光束中に配置しているので、回折格子11にて回折された±1次回折光が対物レンズ5に入射する際(対物レンズ5の入射瞳面上)の光束の幅αと一致する。
【0028】
この幅αは、
λ:光源の波長
a:対物レンズの有効径
d:光ディスクのトラックピッチ
NA:対物レンズの開口数
としたとき、条件
α≦λ×a/(2d×NA) ……(3)
を満足している。
【0029】
次に、光検出器10について説明する。光検出器10は、図1に示すように、3つの光検出器31〜33により構成されている。これら光検出器31〜33は、トラッキングエラー信号を得るため、光ディスク7上のタンジェンシャル方向と平行な方向に、少なくとも1つの分割境界線を有している。
【0030】
また、光検出器10によるフォーカス信号の検出には、いわゆる非点収差法が用いられている。したがって、光検出器31〜33のうちの光検出器31は、非点収差法によるフォーカス信号検出のために、4分割されたものとなっている。また、非点収差法によるフォーカス信号検出のために、図2に示すように、光検出器10の前段には円筒形レンズ9が設けられている。さらに、円筒形レンズ9は、レンズ効果を有する方向が光ディスク7上のラジアル方向およびタンジェンシャル方向から45度傾いた方向となるように配置されている。したがって、光ディスク7上における3つのレーザビームの配列方向(この場合タンジェンシャル方向)と差動信号を得るための光検出器31〜33における分割線の方向が90度異なっている。
【0031】
また、光ディスク装置は、図1に示すように、演算回路(演算部)14を備えている。この演算回路14は、上記3つのレーザビームを受光した各光検出器31〜33より出力された差動信号に基づいて、DC成分の無いトラッキングエラー信号を得るためのものである。
【0032】
演算回路14は、減算器50,53,54,58、加算器51,52,56およびゲインアンプ55,57を備えている。減算器50は、光検出器32における2分割の領域a,bの出力から差動信号を得る。加算器51,52は、光検出器31の4分割領域c〜fの出力である4信号を2信号に変換する。減算器54は、前記2信号から差動信号を得る。減算器53は、光検出器33の2分割領域g,hの出力から差動信号を得る。ゲインアンプ55は、減算器53の出力にゲインG2をかける。加算器56は、ゲインアンプ55の出力と減算器50の出力を加算する。ゲインアンプ57は、加算器56の出力にゲインG1をかける。減算器58は、減算器54の出力とゲインアンプ57の出力との差動信号を出力する。なお、光検出器31〜33において差動を取る方向は統一されている。
【0033】
図1において、メインビームおよびサブビームの各差動信号は、
TE1(メインビームの差動信号)=(c+d)−(e+f) ……(4)
TE2(サブビームの差動信号)=a−b ……(5)
TE3(サブビームの差動信号)=g−h ……(6)
であり、したがってトラッキングエラー信号TESは、
TES=TE1−G1・(TE2+G2×TE3) ……(7)
の演算により得られる。
【0034】
ここで、例えば光ディスク7の偏心などにより、例えばbμm程度の対物レンズ5のシフトが懸念される場合、シフト量bμmまでの補償を確実にするためには、サブビームの光束幅αを4bμm以上、即ち式(3)に
α≧4b ……(11)
といった限定を加える必要がある。この理由について説明する。
【0035】
本実施の形態では、メインビームおよびサブビームの差動信号を式(4)〜(6)のように演算することにより対物レンズ5のシフト補償を行うが、この補償機構(演算回路14)が高精度の性能を発揮するためには、ある対物レンズ5のシフトに対して、メインビームの差動信号のDC成分とサブビームの差動信号のDC成分との比が一定であること、つまり両光束がそれぞれの光検出器31〜33上において分割境界線を跨いでいることが前提としてある。
【0036】
しかしながら、対物レンズ5のシフト量が所定の値(bμm)に達すると、サブビームは光検出器32,33の分割境界線を跨ぎきってしまう。これは、光ディスク7のラジアル方向におけるサブビームの幅はメインビームの幅よりも小さく、また、光検出器31〜33上でのサブビームの移動量はメインビームの移動量よりも大きいことが要因である。ここで、サブビームの移動量がメインビームのそれよりも大きい点について図5(a)〜図5(c)を用いて説明する。
【0037】
図5(a)は光検出器31上におけるメインビームの光束を示し、図5(b)は光検出器32,33上におけるサブビームの光束を示し、図5(c)は対物レンズ5と光検出器31〜33との位置関係を示している。これらの図は、対物レンズ5が中立位置にある状態(対物レンズ5a)からOLsだけシフトした状態(対物レンズ5b)を示している。
【0038】
この場合、対物レンズ5の中心は、図5(c)に示すように、対物レンズ5への入射光束の中心と一致している中立位置21aからOLsだけ移動し、図中に二点鎖線にて示す位置21bに移動する。メインビームの中心は、図5(a)に示すように、光検出器31の中心と一致している中立位置23a(メインビーム24a)からMs1だけ移動し、位置23b(メインビーム24b)に移動する。なお、24b1はメインビーム24bの中心を示す。また、サブビームは、図5(b)に示すように、光検出器32,33の中心と一致している中立位置26a(サブビーム27a(28a))からSs1だけ移動し、位置26b(サブビーム27b(28b))に移動する。なお、27b1(28b1)はサブビーム27b(28b)の中心を示す。
【0039】
対物レンズ5の上記シフトによるメインビームとサブビームとの移動量の比は、図5(a),(b)中のパラメータを用いて、
Ms1/Ss1=1/2 ……(8)
のように表すことができる。
【0040】
この関係は、次のように図5(c)に基づいて説明可能である。
まず、対物レンズ5に入射するメインビームの光束径は対物レンズ5の有効径よりも大きいので、対物レンズ5がシフトした場合にもいわゆるけられが生じない。したがって、対物レンズ5のシフト後においてアパーチャー6a内を透過した直後の光束の中心(位置21b)は対物レンズ5(対物レンズ5b)の中心(位置21b)と一致し、光ディスク7から戻ってくる光束の中心は位置21bとなる。
【0041】
これに対し、サブビームにおける光ディスクラジアル方向の光束幅は対物レンズ5の有効径よりも小さいので、対物レンズ5のシフトにより、アパーチャー6a内を透過した直後の光束の中心(位置21a)は対物レンズ5(対物レンズ5b)の中心(位置21b)からずれることになる。このため、光ディスク7から戻ってくる光束の中心は位置22となる。
【0042】
なお、本明細書において、上記の「けられ」とは、対物レンズ5のシフトにより入射光束と対物レンズ5のアパーチャー6aの相対的な位置関係(光軸に垂直な面内での位置関係)が変化した結果、入射光束の最外周部がアパーチャー6a内を透過してしまう動作を意味する。具体的には、図6(a)に示すように、「けられ」が生じていない場合、入射光束Bの最外周部の光線はアパーチャー形成部材6上に入射する。これにより、対物レンズ5に入射する光束の断面は円形となる。一方、図6(b)に示すように、「けられ」が生じている場合、入射光束Bの最外周部の光線はアパーチャー6a内を通過する。これにより、対物レンズ5に入射する光束の断面は円形が欠けた形状となり、結果的に光ディスク7上の集光スポットに影響を及ぼすことになる(微小なスポットが少しぼやける)。
【0043】
上記の理由から、図5(a),(b)において、対物レンズ5のシフト後の光検出器31〜33上におけるメインビーム(メインビーム24b)およびサブビーム(サブビーム27b(28b))の光束中心は、それぞれ位置23b,26bとなり、上記の式(8)が成立する。
【0044】
このようなメインビームとサブビームの移動量の違いから、サブビームが光検出器32,33の分割境界線を跨ぎきってしまった状態を示したのが図9(a)(b)である。図9(a)は光検出器31上のメインビームの光束を示しており、図9(b)は光検出器32,33上のサブビームの光束を示している。この場合、メインビームの中心は、光検出器31の中心と一致している中立位置23a(メインビーム24a)からMs2だけ移動し、その結果、位置23c(メインビーム24c)に移動する。なお、24c1はメインビーム24cの中心を示す。また、サブビームは、光検出器32,33の中心と一致している中立位置26a(サブビーム27a(28a))からSs2だけ移動し、その結果、位置26c(サブビーム27c(28c))に移動する。なお、27c1(28c1)はサブビーム27c(28c)の中心を示す。また、光検出器31上におけるメインビームの光束径は対物レンズ5の有効径と一致し、サブビームにおける光ディスク7のラジアル方向の幅はαであり、対物レンズ5のシフト量はbである。
【0045】
上記の場合、対物レンズ5のシフト量bと対物レンズ5のシフトによるメインビームの移動量との関係は、
Ms2=b ……(12)
である。
【0046】
また、シフト量bだけ対物レンズ5がシフトした場合、図5(c)において、対物レンズ5の中心の中立位置21aと対物レンズ5のシフト後に光ディスク7から戻ってくるサブビームの光束における中心の位置22とは、シフト後における対物レンズ5の中心の位置21bに対して対称な位置関係となる。このため、対物レンズ5のシフト量bと対物レンズ5のシフトによるサブビームの移動量との関係は、
Ss2=2b ……(13)
である。また、図9(b)からも分かるように、
Ss2=α/2 ……(14)
である。
【0047】
上記の式(12)〜式(14)より、対物レンズ5のシフト量bμmまでの補償を確実にするためには、サブビームが分割境界線上を跨いでいる必要がある。したがって、回折格子の幅αは4bμm以上にする必要があり、このときの条件は前述した式(11)となる。
【0048】
図10に、異なる幅の帯形の回折格子11により回折された±1次回折光が対物レンズ5に入射する場合の対物レンズシフト量と、演算回路(式(7))で補償しきれずにトラッキングエラー信号TESにDC成分が残留した結果、発生するトラックオフセット(=残留オフセット)との関係についてのシミュレーション結果を示す。ここでは、一例として、帯形の回折格子11における光ディスク7のラジアル方向の幅が2.1mmである場合と1.2mmである場合とについて調べた。なお、シミュレーションの条件として、光束の幅(回折格子11における光ディスク7のラジアル方向の幅と等価)以外のパラメータは前述のシミュレーションの場合(図8)と同一である。
【0049】
前述の式(11)より、300μmまでの対物レンズ5のシフト補償を確実にするには、光束の幅が1.2mm以上でなければならない。この場合、光束の幅1.2mmおよび2.1mmは式(11)を満足する。したがって、これら光束を用いた場合には、図10に示すように、300μmまでの対物レンズ5のシフトに対して補償後のオフセットが小さく抑えられ、対物レンズ5のシフトに対する補償が確実に行われる。
【0050】
一方、525μmまでの対物レンズ5のシフト補償を確実にするには、光束の幅が2.1mm以上でなければならない。仮にこの条件を誤り、光束の幅を2.1mmよりも狭い1.2mmと設定した場合、300μm以上の対物レンズ5のシフトでは補償後のオフセットが急激に大きくなる。このため、525μm以内の対物レンズ5のシフトに対応できないことが分かる。以上のことから、対物レンズ5のシフト補償機構として確実に補償できるシフト量が分かっている場合、光束の幅は式(11)に準じた設計値であることが必要であるといえる。
【0051】
また、図10において対物レンズシフトbμm以内の範囲で、残留オフセットを精度よく0付近に抑え込めているが、これは式(7)におけるゲインG1、G2を正しく設定し、信号TESにおけるDC成分をキャンセルできているためである。ここで本発明におけるゲインG1,G2について説明する。
【0052】
ゲインG1は、対物レンズのシフトによってメインビームの差動信号とサブビームの差動信号それぞれのDC成分をキャンセルするための係数である。式(7)より、それは式(11)を満足する対物レンズシフトが発生した時、ラジアルサーボOFFの状態での信号TESのDC成分が0となる際のメインビームの差動信号とサブビームの差動信号の比そのものである。また、ゲインG2は、サブビーム間の光量ムラを解消するためのものである。
【0053】
次に、ゲインG1,G2の決定方法について説明する。
ゲインG1は光学系の種々のパラメータに依存し、それらを基に決定されるはずである。この点から設計段階でゲインG1を決定することが可能である。従来技術(特開平10−162383号公報)では、ゲインG1の決定要素として、メインビームとサブビームの光量比のみを挙げ、それをもとにゲインを設定するとされていたが、これでは不十分である。本発明において行ったシミュレーションによれば、ゲインG1は光量比以外に、入射光束のRIM(周縁部)強度やメインビームとサブビームのラジアル方向の幅の比にも依存することが分かっている。
【0054】
ここで行ったシミュレーションについて説明する。シミュレーション内容は、実際の光学系に準じたモデルを立て、式(11)を満足する対物レンズシフトが発生した時のメインビーム及びサブビームそれぞれの差動信号を求め、式(7)においてラジアルサーボOFFの状態での演算信号TESのDC成分が0になるゲインG1を算出するというものである。G2については後述するが、ここでG2を1と設定した。シミュレーションの条件は、
波長:405nm
対物レンズのNA:0.85
トラックピッチ:0.32μm
光ディスク上のカバー層の厚み:0.1mm
光ディスク上のカバー層の屈折率:1.6
対物レンズの有効径:φ3mm
光量比(メインビームの光量÷サブビームの光量):6
であり、メインビームとサブビームのラジアル方向の幅の比とRIM強度をパラメータとして計算した。結果を図11に示す。この図から、信号TESのDC成分を0に抑え込めるゲインG1は少なくともメインビームとサブビームのラジアル方向の幅の比やRIM強度に依存しており、よってゲインG1を光量比(=6)のみで規定できないことが分かる。
【0055】
以上のことから、設計段階でゲインG1を決定するには、メインビームとサブビームのラジアル方向の幅の比やRIM強度といった用いる光学系の光学パラメータに基づいてシミュレーションを行い、ラジアルサーボOFFの状態で信号TESのDC成分が0となるゲインG1を逆算すればよい。ここで、例えばRIM強度は半導体レーザーの放射角により決定され、素子ごとにそれぞれの性能のばらつきがあることを考慮すると、用いる光学素子全ての光学パラメータを測定した上で、それらを基にシミュレーションを行い、ゲインG1を逆算することが妥当である。
【0056】
また、ラジアルサーボOFFの状態で演算信号TESが0となる時のゲインG1が最良値という観点からすると、ゲインG1は光学系の調整段階で決定することも可能である。光学系をセットアップした後の調整段階において、ラジアルサーボOFFの状態で、式(11)を満足するように対物レンズをシフトさせながら、ゲインG1の値を連続的に変化させ、式(7)の演算信号が0となる時をゲインG1の最良値としてゲインG1を決定できる。前述のように、素子ごとの特性のばらつきを考慮すると、装置毎にこの調整方法を用いることで同素子の装置間のばらつきを抑え、結果的に補償制度のばらつきを抑えるため、有効である。ただしこの時、フォーカスサーボはONの状態であり、また、対物レンズのシフト量としては、式(11)の範囲内であることを注意しなければならない。
【0057】
また、ゲインG2はサブビーム間の光量比で決定される。したがって、
G2=A2/A3 ……(10)
のように、一方のサブビームの光量(この場合+1次回折光)をもう一方のサブビームの光量により規格化することで決定できる。なお、規格化するサブビームは+1次回折光であってもかまわない。
【0058】
次に、以上の光ディスク装置における対物レンズシフト補償の補償精度について説明する。
【0059】
図7は従来技術、即ち円形の回折格子を使用し、ゲインG1を光量比とした補償機構において、また、図8は本実施の形態、即ち帯形の回折格子を使用し、ゲインを光学系のパラメータに基づいたシミュレーションにより逆算した補償機構を使用した際のシミュレーション結果である。それぞれラジアルサーボがONの状態で式(11)を満足するように対物レンズがシフトした場合の、補償後の残留オフセットをシミュレーションした結果である。
【0060】
シミュレーションの条件は、
波長:405nm
対物レンズのNA:0.85
トラックピッチ:0.32μm
光ディスク上のカバー層の厚み:0.1mm
光ディスク上のカバー層の屈折率:1.6
対物レンズの有効径:φ3mm
帯形回折格子によって回折された±1次回折光が対物レンズに入射する際のラジアル方向の幅α:2.1mm
円形回折格子によって回折された±1次回折光が対物レンズに入射する際の直径:2.1mm
としている。
【0061】
図7および図8から、対物レンズが式(11)で規定される範囲においてシフトした場合の補償後の残留オフセット量は、従来技術よりも本実施の形態のほうが小さいことが明らかである。特に、上記の条件で規定される高密度光ディスクシステムにおいて許容されるオフセットが0.005μm程度であることを考慮すると、従来技術よりも本実施の形態の方が、対物レンズ5のより大きなシフトに対応可能であるとともに、オフセットをより小さく抑制できるため、有効である。
【0062】
なお、実際には光検出器10に対して、集光光学系を用いて光を集光しているため、光検出器10上のビーム径はそれぞれ上述のものとは異なるものの、式(11)の条件は変わらない。
【0063】
さらに、回折格子11は、回折方向が光ディスク7におけるタンジェンシャル方向であり、帯形の長手方向の端部にて回折された光が対物レンズ5に入射されないような長さ(図3のγ)となっている。このように設定することにより、アパーチャー透過後の光束がけられる状態(回折光の断面において、最外周部の光線がアパーチャー形成部材6上に入射せず、アパーチャー6a内に入射してしまう状態)を避けることができ、光束の断面が円形のまま、対物レンズに入射でき、微小なスポットを形成できる。
【0064】
次に、メインおよびサブビームそれぞれの光ディスク7上における配置を図12に示す。同図に示すように、メインビームの集光スポット41に対し、サブビームの集光スポット42,43は光ディスク7におけるタンジェンシャル方向に配置されている。サブビームから得られる差動信号にはトラック44の位置情報を示すプッシュプル信号が発生しないため、サブビームの集光スポット42,43のトラック44に対する配置は任意の配置で良い。例えば、メインビームの集光スポット41が位置するトラック44に対し、隣のトラック44に配置されていても良い。つまり、サブビームの集光スポット42,43についてのトラック44上での厳密な位置調整は不要であることを意味する。
【0065】
ただし、メインビームの集光スポット41に対し、サブビームの集光スポット42,43をラジアル方向(図12においてトラック44方向と直交する方向)に配置した場合には、光ディスク7の最内周のトラック44に対して読み/書きするためにメインビームの集光スポット41を最内周のトラック44に移動させると、メインビームの集光スポット41に対し内周側のサブビームの集光スポット(集光スポット42,43の何れか)がトラック44から外れることになる。したがって、集光スポット41〜43の並ぶ方向は可能な限りタンジェンシャル方向に平行であることが望ましい。
【0066】
次に、回折光学素子の他の例を図13に基づいて説明する。
同図に示す回折光学素子51は、2種類の回折格子11,52を有しており、中央部には、前記の回折光学素子3と同様、帯形の前記回折格子11を有し、その両側に、即ち回折格子11に対する光ディスク7のラジアル方向の両側にそれぞれ帯形の回折格子52を有している。回折格子52は、少なくとも対物レンズ5への入射光束13の断面に相当する領域に形成されている。即ち、回折格子52は、回折光学素子51の回折格子11が形成されている領域以外の領域の、対物レンズ5への入射光束の断面における少なくとも回折格子11への入射部分を除いた部分に相当する領域を有するように形成されている。これにより、入射光束は、回折光学素子51からはみ出すことなく入射可能である。
【0067】
回折格子52は、回折格子11に対して、格子の深さとデューティー比が一致する一方、回折方向が異なり、回折格子52による回折光がトラッキングエラー信号に影響しないような構成となっている。
【0068】
なお、上記デューティーとは次の意味である。即ち、回折格子の断面は山と谷の繰り返しの周期構造となっており、デューティー比とは、山一つ及び谷一つそれぞれの幅の比を意味する。このデューティー比によって、0次回折光が回折格子から受ける位相差量が変わってくると考えられる。したがって、図11に示した回折光学素子51において、回折格子11と回折格子52とのデューティー比が同じであれば、それぞれの領域で発生した0次回折光の間には位相差が発生しない一方、デューティー比が異なれば位相差が発生すると考えられる。ここでは、位相差が発生しないことが望ましい。
【0069】
上記の構成とすることにより、回折光学素子51を透過した0次回折光(メインビーム)において、回折格子11を透過した光束と回折格子52を透過した光束との間に位相や振幅の分布が発生しないため、光ディスク7上の集光スポットのサイドローブ発生によるクロストークといったS/Nの悪化を抑制することができる。
【0070】
以上の実施の形態においては、回折光学素子3,51がコリメータレンズ2と対物レンズ5との間の平行光束中に配置され、回折光学素子3,51から対物レンズ5までの光路において光束が収束・発散しない構成となっている。このために、帯形の回折格子11における光ディスク7のラジアル方向の幅と回折格子11にて回折された±1次回折光が対物レンズ5に入射する際(対物レンズ5の入射瞳面上)の光束のラジアル方向の幅αが一致している。
【0071】
しかしながら、本発明により得られる効果はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、回折光学素子3,51を光源(半導体レーザ1)とコリメータレンズ2との間の発散光束中に配置してもかまわない。あるいは、回折光学素子3,51と対物レンズ5との間に、凸レンズと凹レンズを組合せたビームエキスパンダー等のビーム径変換光学系を配置してもかまわない。
【0072】
これらの構成においては、帯形の回折格子11の幅と回折格子11によって回折された±1次回折光(サブビーム)が対物レンズに入射する際(対物レンズの入射瞳面上)の光束の幅αとが異なるものになる。この場合には、回折格子11により回折された±1次回折光(サブビーム)が対物レンズ5に入射する際(対物レンズ5の入射瞳面上)の光束の幅αが式(2)の条件を満足するように、回折格子11の幅を設定すればよい。
【0073】
以上のように、本発明のトラッキングエラー信号生成方法は、ビーム光を回折させてメインビームとサブビームとを生成し、これら両ビームを対物レンズにより記録媒体のトラックに集光させ、前記記録媒体からの戻り光を受光した光検出器のメインビームによる出力とサブビームによる出力とからトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成方法において、補償精度を決定するゲインG1を設計段階で光学パラメータを加味してシミュレーションを行う方法、あるいは調整段階で信号TESのDC成分が0になるようにゲインG1を連続的に変化させるといった調整方法に基づいて決定し、補正する構成である。
【0074】
また、上記の光ディスク装置は、回折光学素子の前記回折格子を第1の回折格子としたときに、この第1の回折格子が形成されている領域以外の領域の、少なくとも前記対物レンズへの入射光束の断面に相当する領域に、第2の回折格子が形成されており、第2の回折格子と第1の回折格子とが、格子深さおよびデューティー比が互いに等しい構成としてもよい。これにより、光ディスク上のビームスポットのサイドローブ発生によるクロストークといったS/Nの悪化を抑制することができる。
【0075】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光ディスク装置は、光源と、対物レンズと、これら光源と対物レンズの間に配置された回折光学素子とを備え、
λ:光源の波長
a:対物レンズの有効径
d:記録媒体のトラックピッチ
NA:対物レンズの開口数
としたとき、該回折光学素子に形成された第1の回折格子によって回折された±1次回折光が対物レンズに入射する際のラジアル方向の幅αが以下の条件を満足し、
α ≦λ×a/(2d×NA)
0次回折光、±1次回折光それぞれが対物レンズによって光ディスク上に集光され、その戻り光が各光検出器上で検出される際、それら光検出器は、記録媒体のラジアル方向に直行する方向に相当する方向に少なくとも1本の分割境界線を有したものであり、
0次光を受光した光検出器の差動信号をTE1、和出力をA1
+1次光を受光した光検出器の差動信号をTE2、和出力をA2
−1次光を受光した光検出器の差動信号をTE3、和出力をA3
ゲインG2をG2=A2/A3としたとき、
ゲインG1を使用して、トラッキングエラー信号TESを
TES=TE1−G1×(TE2+G2×TE3)
とする光ディスク装置において、
b:対物レンズシフト量
としたときに、±1次回折光のラジアル方向の幅αは、4b≦αを満足する構成である。
【0076】
これにより、光ディスクにおいて発生し得る対物レンズのシフトに対し、補償後の残留オフセットを許容範囲内に抑制することができる。
【0077】
上記の光ディスク装置は、0次回折光のRIM強度、および0時回折光と±1次回折光における光ディスクラジアル方向の幅との比に基づいてゲインG1を決定する構成としてもよい。
【0078】
これにより、信号TESのDC成分を0に抑え込めるゲインG1を設定することができ、また、上記G1を設計段階で決定することができる。さらに、使用する素子毎の光学パラメータをもとに上記の設定を各光ディスク装置に対して行えば、光ディスク装置ごとに生じる補償精度のばらつきを抑えることができる。
【0079】
上記の光ディスク装置は、フォーカスサーボON、ラジアルサーボOFFの状態で対物レンズをシフトさせながらゲインG1を連続的に変化させ、前記演算信号TESのDC成分が0になる時をゲインG1の最良値として決定する構成としてもよい。
上記の構成によれば、上記のα≧4bを満足するような対物レンズのシフトに対し、ラジアルサーボONの状態で信号TESのDC成分を限りなく0に抑えることができ、結果として光ディスクラジアル方向に残留する残留オフセットをさらに適切に抑制でき、高精度のトラッキングサーボを行うことができる。即ち、対物レンズのシフトに対し、トラッキングエラー信号に急激なDC成分の増加が生じず、ラジアル方向に残留する残留オフセット量を大容量の光ディスクシステム(大容量の光ディスクとこれに対して記録再生可能な光ディスク装置とを備えたシステム)を安定に動作させるための許容範囲内に収めることができる。
【0080】
また、上記の構成によれば、光学系の調整段階においてゲインG1の設定ができ、装置毎に上記の手法を用いることにより、装置間での補償精度のばらつきを抑えることができる。
【0081】
上記の光ディスク装置において、前記回折光学素子には、第1の回折格子が形成された領域以外の領域における、少なくとも対物レンズへの入射光束の断面に相当する領域に、第1の回折格子とは回折方向が異なり、格子深さおよびデューティー比が等しい第2の回折格子が形成されている構成としてもよい。
【0082】
上記の構成によれば、回折光学素子を透過した例えば0次回折光(メインビーム)において、第1の回折格子を透過した光束と第2の回折格子を透過した光束との間に位相や振幅の分布が発生しない。したがって、光ディスク上の集光スポットのサイドローブ発生によるクロストークといったS/Nの悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の光ディスク装置が備える光検出器の構成、およびこの光検出器の出力からトラッキングエラー信号を得るための演算回路を示す図である。
【図2】本発明の実施の一形態の光ディスク装置が備える光ピックアップ装置の光学系の構成を示す模式図である。
【図3】図2に示した回折光学素子の正面図である。
【図4】図2に示した回折光学素子により入射光束が回折されて生じるメインビームとサブビームの関係を示す説明図である。
【図5】図5(a)は、対物レンズのシフトが発生したときの光検出器上でのメインビームの移動を説明する模式図、図5(b)は同サブビームの移動を説明する模式図、図5(c)は、上記移動におけるメインビームとサブビームとの移動量の違いを説明する模式図である。
【図6】図6(a)は、入射光束の最外周部の光線がアパーチャー形成部材上に入射する場合を示す説明図、図6(b)は、入射光束の最外周部の光線がアパーチャー内を通過する場合を示す説明図である。
【図7】対物レンズのシフトに対する従来の補償機構における対物レンズのシフト量とトラッキングエラー信号に発生するオフセット量との関係のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図8】対物レンズのシフトに対する本発明の実施の形態の補償機構における対物レンズのシフト量とトラッキングエラー信号に発生するオフセット量との関係のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図9】図9(a)は、対物レンズのシフトにより、サブビームが光検出器の分割境界線を跨ぎきった場合における光検出器上でのメインビームの移動を説明する模式図、図9(b)は上記場合における光検出器上でのサブビームの移動を説明する模式図である。
【図10】対物レンズのシフトに対する本発明の実施の形態の補償機構において、±1次回折光の光束における光ディスクのラジアル方向の幅が、2.1mmである場合と1.2mmである場合とにおける対物レンズシフト量と残留しているトラックオフセット量(残留オフセット)との関係についてのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図11】対物レンズのシフトに対する本発明の実施の形態の補償機構において、メインビームとサブビームの幅の比と(信号TESのDC成分が0となる時の)ゲインG1との関係についてのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態の光ディスク装置における、光ディスク上におけるメインビームおよびサブビームの集光スポットの位置関係を示す模式図である。
【図13】図3に示した回折光学素子の他の例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 半導体レーザ
3 回折光学素子
5 対物レンズ
6a 対物レンズアパーチャー
7 光ディスク
10 光検出器
11 回折格子
12 対物レンズの有効径
13 回折格子へ入射する光束の径
14 演算回路(演算部)
31〜33 光検出器
51 回折光学素子
52 回折格子
55,57 ゲインアンプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク上のトラックに対しての記録あるいはトラックからの再生を行う際に、光スポットを光ディスク上の目的のトラックに位置決めするためのトラッキングエラー信号を生成する光ディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置において、光ディスクに書き込まれた情報を読み出す処理の担い手は、光ピックアップにより光ディスク上に形成される微小な光スポットとしてのレーザースポットである。即ち、この微小なレーザースポットが光ディスク上のトラックを走査することにより、光ディスクからの情報の読み出しが行われる。
【0003】
この場合、レーザースポットおよびトラックは微細であるため、振動などによってレーザースポットがトラックから外れてしまい、結果的に読み取りエラーが発生する恐れがある。したがって、光ディスクに書き込まれたデータを正確かつ連続的に読み出すには、レーザースポットをトラックに追従させるサーボ技術が不可欠である。このために、光ディスク装置では、トラッキングエラー信号に基づいて、レーザースポットをトラックに追従させるトラッキングサーボが一般に行われている。
【0004】
トラッキングサーボにおいて、光ディスクのラジアル方向への対物レンズシフトやチルトが発生すると、トラッキングエラー信号にはそれによるDC成分が加算され、本来のトラック中心とは異なる位置をスポットが走査する、もしくはサーボ外れが発生するといった問題が生じる。したがって、このときに走査している点からトラック中心までの距離をオフセットとすると、安定したトラッキングエラー信号を得るには、対物レンズシフト等によるオフセットを0に抑えこむ技術、即ちDC成分の無いトラッキングエラー信号が得られるサーボ方式の開発が不可欠である。
【0005】
トラッキングエラー信号におけるDC成分を抑制できる従来の技術としては、例えば特開平10−162389号公報に記載のものが知られている。同公報に記載の手法では、レーザ光源から光ディスクまでの光路中に、光束の断面積よりも小さい面積を有する円形の回折格子を配し、入射光束を0次回折光と±1次回折光とからなる3ビームに分割し、これら各光ビームにより得られた差動信号を用いてオフセットを相殺するようにしている。なお、以下では、0次回折光をメインビーム、±1次回折光をサブビームと称する。
【0006】
具体的には、上記円形の回折格子は、
λ:光源の波長
a:対物レンズの有効径
d:光ディスクのトラックピッチ
NA:対物レンズの開口数
としたときに、サブビームが対物レンズに入射する際の、サブビームの光束における光ディスクのラジアル方向の幅αが、条件
α≦λ×a/(2d×NA) ……(1)
を満足するようになっている。
【0007】
上記の式(1)を満足するような光束を発生させる回折格子を使用し、その回折格子によって分離された光束が対応する光検出器にて受光されることにより、メインビームによる差動信号にはトラックの位置情報(プッシュプル成分)と対物レンズシフトの情報(DC成分)とが含まれ、サブビームによる差動信号には対物レンズシフトの情報(DC成分)のみが含まれた状態となる。
【0008】
ここで、メインビームの差動信号をTE1’、サブビームの2つの差動信号をTE2’、TE3’とすると、トラッキングエラー信号TES’は
TES’=TE1’−G1’・(TE2’+G2’×TE3’) ……(2)
となる。
【0009】
上記の式(2)での演算は、メインビームおよびサブビームによる差動信号に含まれるDC成分をキャンセルすることに相当する。なお、同式中のゲインG1’はメインビームとサブビームとの光量比、ゲインG2’はサブビーム間の光量比によりそれぞれ定義されており、それぞれDC成分をキャンセルする役割とサブビーム間の光量ムラを解消する役割を担っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
近年、光ディスクは益々高密度化されており、この高密度化に伴って高い精度のサーボ方式が要求されている。例えば、波長405nmの青紫色半導体LDとNA0.85の高NA対物レンズとを使用して記録再生される、0.32μmのトラックピッチと0.1mmの透明カバー層を有した直径120mmの大容量光ディスクが提案されている。このような光ディスクに対して安定な記録再生動作を行うには、光ディスク装置において上記オフセットとして0.005μm程度しか許容されず、非常に高精度なトラッキングサーボが必要となる。
【0011】
しかしながら、前述の従来公報に記載の技術は、上記の要望を十分に満足するものではなく、トラッキングサーボの精度としては不十分である。
【0012】
したがって、本発明は、対物レンズのシフトに起因するトラッキングエラー信号のDC成分を抑制し、高精度のトラッキングサーボを可能とする光ディスク装置の提供を目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の光ディスク装置は、光源と、対物レンズと、これら光源と対物レンズの間に配置された回折光学素子とを備え、
λ:光源の波長
a:対物レンズの有効径
d:記録媒体のトラックピッチ
NA:対物レンズの開口数
としたとき、該回折光学素子に形成された第1の回折格子によって回折された±1次回折光が対物レンズに入射する際のラジアル方向の幅αが以下の条件を満足し、
α ≦λ×a/(2d×NA)
0次回折光、±1次回折光それぞれが対物レンズによって光ディスク上に集光され、その戻り光が各光検出器上で検出される際、それら光検出器は、記録媒体のラジアル方向に直行する方向に相当する方向に少なくとも1本の分割境界線を有したものであり、
0次光を受光した光検出器の差動信号をTE1、和出力をA1
+1次光を受光した光検出器の差動信号をTE2、和出力をA2
−1次光を受光した光検出器の差動信号をTE3、和出力をA3
ゲインG2をG2=A2/A3としたとき、
ゲインG1を使用して、トラッキングエラー信号TESを
TES=TE1−G1×(TE2+G2×TE3)
とする光ディスク装置において、
b:対物レンズシフト量
としたときに、±1次回折光のラジアル方向の幅αは、4b≦αを満足することを特徴としている。
【0014】
対物レンズのシフト補償を高精度に行うためには、対物レンズのシフトに対して、メインビーム(回折格子による0次回折光と回折格子以外の領域における透過光とからなる光束)の差動信号のDC成分とサブビーム(回折格子による±1次回折光)の差動信号のDC成分との比が一定であること、即ち、両光束がそれぞれの光検出器上において分割境界線を跨いでいることが必要である。一方、対物レンズのシフト量が所定の値bに達すると、サブビームは光検出器の分割境界線を跨ぎきってしまうことになる。そこで、上記のように、4b≦αとすれば、この事態を防止することができ、この結果、光ディスクにおいて発生し得る対物レンズのシフトに対し、補償後の残留オフセットを許容範囲内に抑制することができる。
【0015】
上記の光ディスク装置は、0次回折光のRIM強度、および0時回折光と±1次回折光における光ディスクラジアル方向の幅との比に基づいてゲインG1を決定する構成としてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、0次回折光のRIM強度、および0時回折光と±1次回折光における光ディスクラジアル方向の幅との比に基づいてゲインG1を決定することにより、信号TESのDC成分を0に抑え込めるゲインG1を設定することができ、また、上記G1を設計段階で決定することができる。さらに、使用する素子毎の光学パラメータをもとに上記の設定を各光ディスク装置に対して行えば、光ディスク装置ごとに生じる補償精度のばらつきを抑えることができる。
【0017】
上記の光ディスク装置は、フォーカスサーボON、ラジアルサーボOFFの状態で対物レンズをシフトさせながらゲインG1を連続的に変化させ、前記演算信号TESのDC成分が0になる時をゲインG1の最良値として決定する構成としてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、上記のα≧4bを満足するような対物レンズのシフトに対し、ラジアルサーボONの状態で信号TESのDC成分を限りなく0に抑えることができ、結果として光ディスクラジアル方向に残留する残留オフセットをさらに適切に抑制でき、高精度のトラッキングサーボを行うことができる。即ち、対物レンズのシフトに対し、トラッキングエラー信号に急激なDC成分の増加が生じず、ラジアル方向に残留する残留オフセット量を大容量の光ディスクシステム(大容量の光ディスクとこれに対して記録再生可能な光ディスク装置とを備えたシステム)を安定に動作させるための許容範囲内に収めることができる。
【0019】
また、上記の構成によれば、光学系の調整段階においてゲインG1の設定ができ、装置毎に上記の手法を用いることにより、装置間での補償精度のばらつきを抑えることができる。
【0020】
上記の光ディスク装置において、前記回折光学素子には、第1の回折格子が形成された領域以外の領域における、少なくとも対物レンズへの入射光束の断面に相当する領域に、第1の回折格子とは回折方向が異なり、格子深さおよびデューティー比が等しい第2の回折格子が形成されている構成としてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、回折光学素子を透過した例えば0次回折光(メインビーム)において、第1の回折格子を透過した光束と第2の回折格子を透過した光束との間に位相や振幅の分布が発生しない。したがって、光ディスク上の集光スポットのサイドローブ発生によるクロストークといったS/Nの悪化を抑制することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1ないし図13に基づいて以下に説明する。
まず、図2を用いて本実施の形態における光学系の構成について説明する。図2は、本実施の形態の光ディスク装置のピックアップ装置における光学系を示している。
【0023】
この光学系において、光源からの光が光ディスクへ到達するまでの光路においては、光源となる半導体レーザ1、コリメータレンズ2、回折光学素子3、ビームスプリッタ4、対物レンズ5および光ディスク7が配置されており、それら光学素子の中心は光ディスク7の面に垂直な方向に一直線上に並んでいる。また、ビームスプリッタ4を始点として、上記光路に対して垂直な方向の光路においては、集光レンズ8、円筒形レンズ9および光検出器10が配置されている。半導体レーザ1から出射された光は、上記構成における各光学素子を順に経て、最終的に光検出器10に到達する。
【0024】
なお、6aは、アパーチャー形成部材6に形成された対物レンズアパーチャー(以下、単にアパーチャーと称する)である。このアパーチャー6aは円形の孔であり、アパーチャー形成部材6は対物レンズ5を保持している。アパーチャー6aの径は対物レンズの有効径に相当する。通常、アパーチャー6aの径は入射光束より小さく設定されており、入射光束においてアパーチャー6aの径より大きな部分を遮断する働きがある。これは、入射光束の断面が完全に円形に整形されていない場合に、良好な円形のビームを作るためである。他には、対物レンズ5のシフト発生時においても、アパーチャー6aを経由後の光束が円形の状態で対物レンズ5に入射するようにするためである。
【0025】
上記の回折光学素子3は、図3に示すように、中央部に帯形の回折格子11を有する。回折光学素子3への入射光束は、回折格子11による0次回折光と回折格子11以外の領域における透過光とからなる光束(以下、メインビームと称する)、および回折格子11による±1次回折光(以下、サブビームと称する)の3つの光束に回折される。これらメインビームとサブビームの関係を図4に示す。
【0026】
図3において、12,13は回折光学素子3への入射光束であり、小さい半径の円によって示される入射光束12は、対物レンズ5の有効径に相当する光束径を有する。また、大きい半径の円によって示される入射光束13は、コリメータレンズ2から回折光学素子3に入射する光束である。なお、同図中に矢印にて示したラジアル方向とタンジェンシャル方向は、それぞれ光ディスク7におけるラジアル方向とタンジェンシャル方向に相当する。
【0027】
回折光学素子3における回折格子11のラジアル方向の幅は、図2に示したように、回折光学素子3をコリメータレンズ2と対物レンズ5との間の平行光束中に配置しているので、回折格子11にて回折された±1次回折光が対物レンズ5に入射する際(対物レンズ5の入射瞳面上)の光束の幅αと一致する。
【0028】
この幅αは、
λ:光源の波長
a:対物レンズの有効径
d:光ディスクのトラックピッチ
NA:対物レンズの開口数
としたとき、条件
α≦λ×a/(2d×NA) ……(3)
を満足している。
【0029】
次に、光検出器10について説明する。光検出器10は、図1に示すように、3つの光検出器31〜33により構成されている。これら光検出器31〜33は、トラッキングエラー信号を得るため、光ディスク7上のタンジェンシャル方向と平行な方向に、少なくとも1つの分割境界線を有している。
【0030】
また、光検出器10によるフォーカス信号の検出には、いわゆる非点収差法が用いられている。したがって、光検出器31〜33のうちの光検出器31は、非点収差法によるフォーカス信号検出のために、4分割されたものとなっている。また、非点収差法によるフォーカス信号検出のために、図2に示すように、光検出器10の前段には円筒形レンズ9が設けられている。さらに、円筒形レンズ9は、レンズ効果を有する方向が光ディスク7上のラジアル方向およびタンジェンシャル方向から45度傾いた方向となるように配置されている。したがって、光ディスク7上における3つのレーザビームの配列方向(この場合タンジェンシャル方向)と差動信号を得るための光検出器31〜33における分割線の方向が90度異なっている。
【0031】
また、光ディスク装置は、図1に示すように、演算回路(演算部)14を備えている。この演算回路14は、上記3つのレーザビームを受光した各光検出器31〜33より出力された差動信号に基づいて、DC成分の無いトラッキングエラー信号を得るためのものである。
【0032】
演算回路14は、減算器50,53,54,58、加算器51,52,56およびゲインアンプ55,57を備えている。減算器50は、光検出器32における2分割の領域a,bの出力から差動信号を得る。加算器51,52は、光検出器31の4分割領域c〜fの出力である4信号を2信号に変換する。減算器54は、前記2信号から差動信号を得る。減算器53は、光検出器33の2分割領域g,hの出力から差動信号を得る。ゲインアンプ55は、減算器53の出力にゲインG2をかける。加算器56は、ゲインアンプ55の出力と減算器50の出力を加算する。ゲインアンプ57は、加算器56の出力にゲインG1をかける。減算器58は、減算器54の出力とゲインアンプ57の出力との差動信号を出力する。なお、光検出器31〜33において差動を取る方向は統一されている。
【0033】
図1において、メインビームおよびサブビームの各差動信号は、
TE1(メインビームの差動信号)=(c+d)−(e+f) ……(4)
TE2(サブビームの差動信号)=a−b ……(5)
TE3(サブビームの差動信号)=g−h ……(6)
であり、したがってトラッキングエラー信号TESは、
TES=TE1−G1・(TE2+G2×TE3) ……(7)
の演算により得られる。
【0034】
ここで、例えば光ディスク7の偏心などにより、例えばbμm程度の対物レンズ5のシフトが懸念される場合、シフト量bμmまでの補償を確実にするためには、サブビームの光束幅αを4bμm以上、即ち式(3)に
α≧4b ……(11)
といった限定を加える必要がある。この理由について説明する。
【0035】
本実施の形態では、メインビームおよびサブビームの差動信号を式(4)〜(6)のように演算することにより対物レンズ5のシフト補償を行うが、この補償機構(演算回路14)が高精度の性能を発揮するためには、ある対物レンズ5のシフトに対して、メインビームの差動信号のDC成分とサブビームの差動信号のDC成分との比が一定であること、つまり両光束がそれぞれの光検出器31〜33上において分割境界線を跨いでいることが前提としてある。
【0036】
しかしながら、対物レンズ5のシフト量が所定の値(bμm)に達すると、サブビームは光検出器32,33の分割境界線を跨ぎきってしまう。これは、光ディスク7のラジアル方向におけるサブビームの幅はメインビームの幅よりも小さく、また、光検出器31〜33上でのサブビームの移動量はメインビームの移動量よりも大きいことが要因である。ここで、サブビームの移動量がメインビームのそれよりも大きい点について図5(a)〜図5(c)を用いて説明する。
【0037】
図5(a)は光検出器31上におけるメインビームの光束を示し、図5(b)は光検出器32,33上におけるサブビームの光束を示し、図5(c)は対物レンズ5と光検出器31〜33との位置関係を示している。これらの図は、対物レンズ5が中立位置にある状態(対物レンズ5a)からOLsだけシフトした状態(対物レンズ5b)を示している。
【0038】
この場合、対物レンズ5の中心は、図5(c)に示すように、対物レンズ5への入射光束の中心と一致している中立位置21aからOLsだけ移動し、図中に二点鎖線にて示す位置21bに移動する。メインビームの中心は、図5(a)に示すように、光検出器31の中心と一致している中立位置23a(メインビーム24a)からMs1だけ移動し、位置23b(メインビーム24b)に移動する。なお、24b1はメインビーム24bの中心を示す。また、サブビームは、図5(b)に示すように、光検出器32,33の中心と一致している中立位置26a(サブビーム27a(28a))からSs1だけ移動し、位置26b(サブビーム27b(28b))に移動する。なお、27b1(28b1)はサブビーム27b(28b)の中心を示す。
【0039】
対物レンズ5の上記シフトによるメインビームとサブビームとの移動量の比は、図5(a),(b)中のパラメータを用いて、
Ms1/Ss1=1/2 ……(8)
のように表すことができる。
【0040】
この関係は、次のように図5(c)に基づいて説明可能である。
まず、対物レンズ5に入射するメインビームの光束径は対物レンズ5の有効径よりも大きいので、対物レンズ5がシフトした場合にもいわゆるけられが生じない。したがって、対物レンズ5のシフト後においてアパーチャー6a内を透過した直後の光束の中心(位置21b)は対物レンズ5(対物レンズ5b)の中心(位置21b)と一致し、光ディスク7から戻ってくる光束の中心は位置21bとなる。
【0041】
これに対し、サブビームにおける光ディスクラジアル方向の光束幅は対物レンズ5の有効径よりも小さいので、対物レンズ5のシフトにより、アパーチャー6a内を透過した直後の光束の中心(位置21a)は対物レンズ5(対物レンズ5b)の中心(位置21b)からずれることになる。このため、光ディスク7から戻ってくる光束の中心は位置22となる。
【0042】
なお、本明細書において、上記の「けられ」とは、対物レンズ5のシフトにより入射光束と対物レンズ5のアパーチャー6aの相対的な位置関係(光軸に垂直な面内での位置関係)が変化した結果、入射光束の最外周部がアパーチャー6a内を透過してしまう動作を意味する。具体的には、図6(a)に示すように、「けられ」が生じていない場合、入射光束Bの最外周部の光線はアパーチャー形成部材6上に入射する。これにより、対物レンズ5に入射する光束の断面は円形となる。一方、図6(b)に示すように、「けられ」が生じている場合、入射光束Bの最外周部の光線はアパーチャー6a内を通過する。これにより、対物レンズ5に入射する光束の断面は円形が欠けた形状となり、結果的に光ディスク7上の集光スポットに影響を及ぼすことになる(微小なスポットが少しぼやける)。
【0043】
上記の理由から、図5(a),(b)において、対物レンズ5のシフト後の光検出器31〜33上におけるメインビーム(メインビーム24b)およびサブビーム(サブビーム27b(28b))の光束中心は、それぞれ位置23b,26bとなり、上記の式(8)が成立する。
【0044】
このようなメインビームとサブビームの移動量の違いから、サブビームが光検出器32,33の分割境界線を跨ぎきってしまった状態を示したのが図9(a)(b)である。図9(a)は光検出器31上のメインビームの光束を示しており、図9(b)は光検出器32,33上のサブビームの光束を示している。この場合、メインビームの中心は、光検出器31の中心と一致している中立位置23a(メインビーム24a)からMs2だけ移動し、その結果、位置23c(メインビーム24c)に移動する。なお、24c1はメインビーム24cの中心を示す。また、サブビームは、光検出器32,33の中心と一致している中立位置26a(サブビーム27a(28a))からSs2だけ移動し、その結果、位置26c(サブビーム27c(28c))に移動する。なお、27c1(28c1)はサブビーム27c(28c)の中心を示す。また、光検出器31上におけるメインビームの光束径は対物レンズ5の有効径と一致し、サブビームにおける光ディスク7のラジアル方向の幅はαであり、対物レンズ5のシフト量はbである。
【0045】
上記の場合、対物レンズ5のシフト量bと対物レンズ5のシフトによるメインビームの移動量との関係は、
Ms2=b ……(12)
である。
【0046】
また、シフト量bだけ対物レンズ5がシフトした場合、図5(c)において、対物レンズ5の中心の中立位置21aと対物レンズ5のシフト後に光ディスク7から戻ってくるサブビームの光束における中心の位置22とは、シフト後における対物レンズ5の中心の位置21bに対して対称な位置関係となる。このため、対物レンズ5のシフト量bと対物レンズ5のシフトによるサブビームの移動量との関係は、
Ss2=2b ……(13)
である。また、図9(b)からも分かるように、
Ss2=α/2 ……(14)
である。
【0047】
上記の式(12)〜式(14)より、対物レンズ5のシフト量bμmまでの補償を確実にするためには、サブビームが分割境界線上を跨いでいる必要がある。したがって、回折格子の幅αは4bμm以上にする必要があり、このときの条件は前述した式(11)となる。
【0048】
図10に、異なる幅の帯形の回折格子11により回折された±1次回折光が対物レンズ5に入射する場合の対物レンズシフト量と、演算回路(式(7))で補償しきれずにトラッキングエラー信号TESにDC成分が残留した結果、発生するトラックオフセット(=残留オフセット)との関係についてのシミュレーション結果を示す。ここでは、一例として、帯形の回折格子11における光ディスク7のラジアル方向の幅が2.1mmである場合と1.2mmである場合とについて調べた。なお、シミュレーションの条件として、光束の幅(回折格子11における光ディスク7のラジアル方向の幅と等価)以外のパラメータは前述のシミュレーションの場合(図8)と同一である。
【0049】
前述の式(11)より、300μmまでの対物レンズ5のシフト補償を確実にするには、光束の幅が1.2mm以上でなければならない。この場合、光束の幅1.2mmおよび2.1mmは式(11)を満足する。したがって、これら光束を用いた場合には、図10に示すように、300μmまでの対物レンズ5のシフトに対して補償後のオフセットが小さく抑えられ、対物レンズ5のシフトに対する補償が確実に行われる。
【0050】
一方、525μmまでの対物レンズ5のシフト補償を確実にするには、光束の幅が2.1mm以上でなければならない。仮にこの条件を誤り、光束の幅を2.1mmよりも狭い1.2mmと設定した場合、300μm以上の対物レンズ5のシフトでは補償後のオフセットが急激に大きくなる。このため、525μm以内の対物レンズ5のシフトに対応できないことが分かる。以上のことから、対物レンズ5のシフト補償機構として確実に補償できるシフト量が分かっている場合、光束の幅は式(11)に準じた設計値であることが必要であるといえる。
【0051】
また、図10において対物レンズシフトbμm以内の範囲で、残留オフセットを精度よく0付近に抑え込めているが、これは式(7)におけるゲインG1、G2を正しく設定し、信号TESにおけるDC成分をキャンセルできているためである。ここで本発明におけるゲインG1,G2について説明する。
【0052】
ゲインG1は、対物レンズのシフトによってメインビームの差動信号とサブビームの差動信号それぞれのDC成分をキャンセルするための係数である。式(7)より、それは式(11)を満足する対物レンズシフトが発生した時、ラジアルサーボOFFの状態での信号TESのDC成分が0となる際のメインビームの差動信号とサブビームの差動信号の比そのものである。また、ゲインG2は、サブビーム間の光量ムラを解消するためのものである。
【0053】
次に、ゲインG1,G2の決定方法について説明する。
ゲインG1は光学系の種々のパラメータに依存し、それらを基に決定されるはずである。この点から設計段階でゲインG1を決定することが可能である。従来技術(特開平10−162383号公報)では、ゲインG1の決定要素として、メインビームとサブビームの光量比のみを挙げ、それをもとにゲインを設定するとされていたが、これでは不十分である。本発明において行ったシミュレーションによれば、ゲインG1は光量比以外に、入射光束のRIM(周縁部)強度やメインビームとサブビームのラジアル方向の幅の比にも依存することが分かっている。
【0054】
ここで行ったシミュレーションについて説明する。シミュレーション内容は、実際の光学系に準じたモデルを立て、式(11)を満足する対物レンズシフトが発生した時のメインビーム及びサブビームそれぞれの差動信号を求め、式(7)においてラジアルサーボOFFの状態での演算信号TESのDC成分が0になるゲインG1を算出するというものである。G2については後述するが、ここでG2を1と設定した。シミュレーションの条件は、
波長:405nm
対物レンズのNA:0.85
トラックピッチ:0.32μm
光ディスク上のカバー層の厚み:0.1mm
光ディスク上のカバー層の屈折率:1.6
対物レンズの有効径:φ3mm
光量比(メインビームの光量÷サブビームの光量):6
であり、メインビームとサブビームのラジアル方向の幅の比とRIM強度をパラメータとして計算した。結果を図11に示す。この図から、信号TESのDC成分を0に抑え込めるゲインG1は少なくともメインビームとサブビームのラジアル方向の幅の比やRIM強度に依存しており、よってゲインG1を光量比(=6)のみで規定できないことが分かる。
【0055】
以上のことから、設計段階でゲインG1を決定するには、メインビームとサブビームのラジアル方向の幅の比やRIM強度といった用いる光学系の光学パラメータに基づいてシミュレーションを行い、ラジアルサーボOFFの状態で信号TESのDC成分が0となるゲインG1を逆算すればよい。ここで、例えばRIM強度は半導体レーザーの放射角により決定され、素子ごとにそれぞれの性能のばらつきがあることを考慮すると、用いる光学素子全ての光学パラメータを測定した上で、それらを基にシミュレーションを行い、ゲインG1を逆算することが妥当である。
【0056】
また、ラジアルサーボOFFの状態で演算信号TESが0となる時のゲインG1が最良値という観点からすると、ゲインG1は光学系の調整段階で決定することも可能である。光学系をセットアップした後の調整段階において、ラジアルサーボOFFの状態で、式(11)を満足するように対物レンズをシフトさせながら、ゲインG1の値を連続的に変化させ、式(7)の演算信号が0となる時をゲインG1の最良値としてゲインG1を決定できる。前述のように、素子ごとの特性のばらつきを考慮すると、装置毎にこの調整方法を用いることで同素子の装置間のばらつきを抑え、結果的に補償制度のばらつきを抑えるため、有効である。ただしこの時、フォーカスサーボはONの状態であり、また、対物レンズのシフト量としては、式(11)の範囲内であることを注意しなければならない。
【0057】
また、ゲインG2はサブビーム間の光量比で決定される。したがって、
G2=A2/A3 ……(10)
のように、一方のサブビームの光量(この場合+1次回折光)をもう一方のサブビームの光量により規格化することで決定できる。なお、規格化するサブビームは+1次回折光であってもかまわない。
【0058】
次に、以上の光ディスク装置における対物レンズシフト補償の補償精度について説明する。
【0059】
図7は従来技術、即ち円形の回折格子を使用し、ゲインG1を光量比とした補償機構において、また、図8は本実施の形態、即ち帯形の回折格子を使用し、ゲインを光学系のパラメータに基づいたシミュレーションにより逆算した補償機構を使用した際のシミュレーション結果である。それぞれラジアルサーボがONの状態で式(11)を満足するように対物レンズがシフトした場合の、補償後の残留オフセットをシミュレーションした結果である。
【0060】
シミュレーションの条件は、
波長:405nm
対物レンズのNA:0.85
トラックピッチ:0.32μm
光ディスク上のカバー層の厚み:0.1mm
光ディスク上のカバー層の屈折率:1.6
対物レンズの有効径:φ3mm
帯形回折格子によって回折された±1次回折光が対物レンズに入射する際のラジアル方向の幅α:2.1mm
円形回折格子によって回折された±1次回折光が対物レンズに入射する際の直径:2.1mm
としている。
【0061】
図7および図8から、対物レンズが式(11)で規定される範囲においてシフトした場合の補償後の残留オフセット量は、従来技術よりも本実施の形態のほうが小さいことが明らかである。特に、上記の条件で規定される高密度光ディスクシステムにおいて許容されるオフセットが0.005μm程度であることを考慮すると、従来技術よりも本実施の形態の方が、対物レンズ5のより大きなシフトに対応可能であるとともに、オフセットをより小さく抑制できるため、有効である。
【0062】
なお、実際には光検出器10に対して、集光光学系を用いて光を集光しているため、光検出器10上のビーム径はそれぞれ上述のものとは異なるものの、式(11)の条件は変わらない。
【0063】
さらに、回折格子11は、回折方向が光ディスク7におけるタンジェンシャル方向であり、帯形の長手方向の端部にて回折された光が対物レンズ5に入射されないような長さ(図3のγ)となっている。このように設定することにより、アパーチャー透過後の光束がけられる状態(回折光の断面において、最外周部の光線がアパーチャー形成部材6上に入射せず、アパーチャー6a内に入射してしまう状態)を避けることができ、光束の断面が円形のまま、対物レンズに入射でき、微小なスポットを形成できる。
【0064】
次に、メインおよびサブビームそれぞれの光ディスク7上における配置を図12に示す。同図に示すように、メインビームの集光スポット41に対し、サブビームの集光スポット42,43は光ディスク7におけるタンジェンシャル方向に配置されている。サブビームから得られる差動信号にはトラック44の位置情報を示すプッシュプル信号が発生しないため、サブビームの集光スポット42,43のトラック44に対する配置は任意の配置で良い。例えば、メインビームの集光スポット41が位置するトラック44に対し、隣のトラック44に配置されていても良い。つまり、サブビームの集光スポット42,43についてのトラック44上での厳密な位置調整は不要であることを意味する。
【0065】
ただし、メインビームの集光スポット41に対し、サブビームの集光スポット42,43をラジアル方向(図12においてトラック44方向と直交する方向)に配置した場合には、光ディスク7の最内周のトラック44に対して読み/書きするためにメインビームの集光スポット41を最内周のトラック44に移動させると、メインビームの集光スポット41に対し内周側のサブビームの集光スポット(集光スポット42,43の何れか)がトラック44から外れることになる。したがって、集光スポット41〜43の並ぶ方向は可能な限りタンジェンシャル方向に平行であることが望ましい。
【0066】
次に、回折光学素子の他の例を図13に基づいて説明する。
同図に示す回折光学素子51は、2種類の回折格子11,52を有しており、中央部には、前記の回折光学素子3と同様、帯形の前記回折格子11を有し、その両側に、即ち回折格子11に対する光ディスク7のラジアル方向の両側にそれぞれ帯形の回折格子52を有している。回折格子52は、少なくとも対物レンズ5への入射光束13の断面に相当する領域に形成されている。即ち、回折格子52は、回折光学素子51の回折格子11が形成されている領域以外の領域の、対物レンズ5への入射光束の断面における少なくとも回折格子11への入射部分を除いた部分に相当する領域を有するように形成されている。これにより、入射光束は、回折光学素子51からはみ出すことなく入射可能である。
【0067】
回折格子52は、回折格子11に対して、格子の深さとデューティー比が一致する一方、回折方向が異なり、回折格子52による回折光がトラッキングエラー信号に影響しないような構成となっている。
【0068】
なお、上記デューティーとは次の意味である。即ち、回折格子の断面は山と谷の繰り返しの周期構造となっており、デューティー比とは、山一つ及び谷一つそれぞれの幅の比を意味する。このデューティー比によって、0次回折光が回折格子から受ける位相差量が変わってくると考えられる。したがって、図11に示した回折光学素子51において、回折格子11と回折格子52とのデューティー比が同じであれば、それぞれの領域で発生した0次回折光の間には位相差が発生しない一方、デューティー比が異なれば位相差が発生すると考えられる。ここでは、位相差が発生しないことが望ましい。
【0069】
上記の構成とすることにより、回折光学素子51を透過した0次回折光(メインビーム)において、回折格子11を透過した光束と回折格子52を透過した光束との間に位相や振幅の分布が発生しないため、光ディスク7上の集光スポットのサイドローブ発生によるクロストークといったS/Nの悪化を抑制することができる。
【0070】
以上の実施の形態においては、回折光学素子3,51がコリメータレンズ2と対物レンズ5との間の平行光束中に配置され、回折光学素子3,51から対物レンズ5までの光路において光束が収束・発散しない構成となっている。このために、帯形の回折格子11における光ディスク7のラジアル方向の幅と回折格子11にて回折された±1次回折光が対物レンズ5に入射する際(対物レンズ5の入射瞳面上)の光束のラジアル方向の幅αが一致している。
【0071】
しかしながら、本発明により得られる効果はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、回折光学素子3,51を光源(半導体レーザ1)とコリメータレンズ2との間の発散光束中に配置してもかまわない。あるいは、回折光学素子3,51と対物レンズ5との間に、凸レンズと凹レンズを組合せたビームエキスパンダー等のビーム径変換光学系を配置してもかまわない。
【0072】
これらの構成においては、帯形の回折格子11の幅と回折格子11によって回折された±1次回折光(サブビーム)が対物レンズに入射する際(対物レンズの入射瞳面上)の光束の幅αとが異なるものになる。この場合には、回折格子11により回折された±1次回折光(サブビーム)が対物レンズ5に入射する際(対物レンズ5の入射瞳面上)の光束の幅αが式(2)の条件を満足するように、回折格子11の幅を設定すればよい。
【0073】
以上のように、本発明のトラッキングエラー信号生成方法は、ビーム光を回折させてメインビームとサブビームとを生成し、これら両ビームを対物レンズにより記録媒体のトラックに集光させ、前記記録媒体からの戻り光を受光した光検出器のメインビームによる出力とサブビームによる出力とからトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成方法において、補償精度を決定するゲインG1を設計段階で光学パラメータを加味してシミュレーションを行う方法、あるいは調整段階で信号TESのDC成分が0になるようにゲインG1を連続的に変化させるといった調整方法に基づいて決定し、補正する構成である。
【0074】
また、上記の光ディスク装置は、回折光学素子の前記回折格子を第1の回折格子としたときに、この第1の回折格子が形成されている領域以外の領域の、少なくとも前記対物レンズへの入射光束の断面に相当する領域に、第2の回折格子が形成されており、第2の回折格子と第1の回折格子とが、格子深さおよびデューティー比が互いに等しい構成としてもよい。これにより、光ディスク上のビームスポットのサイドローブ発生によるクロストークといったS/Nの悪化を抑制することができる。
【0075】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光ディスク装置は、光源と、対物レンズと、これら光源と対物レンズの間に配置された回折光学素子とを備え、
λ:光源の波長
a:対物レンズの有効径
d:記録媒体のトラックピッチ
NA:対物レンズの開口数
としたとき、該回折光学素子に形成された第1の回折格子によって回折された±1次回折光が対物レンズに入射する際のラジアル方向の幅αが以下の条件を満足し、
α ≦λ×a/(2d×NA)
0次回折光、±1次回折光それぞれが対物レンズによって光ディスク上に集光され、その戻り光が各光検出器上で検出される際、それら光検出器は、記録媒体のラジアル方向に直行する方向に相当する方向に少なくとも1本の分割境界線を有したものであり、
0次光を受光した光検出器の差動信号をTE1、和出力をA1
+1次光を受光した光検出器の差動信号をTE2、和出力をA2
−1次光を受光した光検出器の差動信号をTE3、和出力をA3
ゲインG2をG2=A2/A3としたとき、
ゲインG1を使用して、トラッキングエラー信号TESを
TES=TE1−G1×(TE2+G2×TE3)
とする光ディスク装置において、
b:対物レンズシフト量
としたときに、±1次回折光のラジアル方向の幅αは、4b≦αを満足する構成である。
【0076】
これにより、光ディスクにおいて発生し得る対物レンズのシフトに対し、補償後の残留オフセットを許容範囲内に抑制することができる。
【0077】
上記の光ディスク装置は、0次回折光のRIM強度、および0時回折光と±1次回折光における光ディスクラジアル方向の幅との比に基づいてゲインG1を決定する構成としてもよい。
【0078】
これにより、信号TESのDC成分を0に抑え込めるゲインG1を設定することができ、また、上記G1を設計段階で決定することができる。さらに、使用する素子毎の光学パラメータをもとに上記の設定を各光ディスク装置に対して行えば、光ディスク装置ごとに生じる補償精度のばらつきを抑えることができる。
【0079】
上記の光ディスク装置は、フォーカスサーボON、ラジアルサーボOFFの状態で対物レンズをシフトさせながらゲインG1を連続的に変化させ、前記演算信号TESのDC成分が0になる時をゲインG1の最良値として決定する構成としてもよい。
上記の構成によれば、上記のα≧4bを満足するような対物レンズのシフトに対し、ラジアルサーボONの状態で信号TESのDC成分を限りなく0に抑えることができ、結果として光ディスクラジアル方向に残留する残留オフセットをさらに適切に抑制でき、高精度のトラッキングサーボを行うことができる。即ち、対物レンズのシフトに対し、トラッキングエラー信号に急激なDC成分の増加が生じず、ラジアル方向に残留する残留オフセット量を大容量の光ディスクシステム(大容量の光ディスクとこれに対して記録再生可能な光ディスク装置とを備えたシステム)を安定に動作させるための許容範囲内に収めることができる。
【0080】
また、上記の構成によれば、光学系の調整段階においてゲインG1の設定ができ、装置毎に上記の手法を用いることにより、装置間での補償精度のばらつきを抑えることができる。
【0081】
上記の光ディスク装置において、前記回折光学素子には、第1の回折格子が形成された領域以外の領域における、少なくとも対物レンズへの入射光束の断面に相当する領域に、第1の回折格子とは回折方向が異なり、格子深さおよびデューティー比が等しい第2の回折格子が形成されている構成としてもよい。
【0082】
上記の構成によれば、回折光学素子を透過した例えば0次回折光(メインビーム)において、第1の回折格子を透過した光束と第2の回折格子を透過した光束との間に位相や振幅の分布が発生しない。したがって、光ディスク上の集光スポットのサイドローブ発生によるクロストークといったS/Nの悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の光ディスク装置が備える光検出器の構成、およびこの光検出器の出力からトラッキングエラー信号を得るための演算回路を示す図である。
【図2】本発明の実施の一形態の光ディスク装置が備える光ピックアップ装置の光学系の構成を示す模式図である。
【図3】図2に示した回折光学素子の正面図である。
【図4】図2に示した回折光学素子により入射光束が回折されて生じるメインビームとサブビームの関係を示す説明図である。
【図5】図5(a)は、対物レンズのシフトが発生したときの光検出器上でのメインビームの移動を説明する模式図、図5(b)は同サブビームの移動を説明する模式図、図5(c)は、上記移動におけるメインビームとサブビームとの移動量の違いを説明する模式図である。
【図6】図6(a)は、入射光束の最外周部の光線がアパーチャー形成部材上に入射する場合を示す説明図、図6(b)は、入射光束の最外周部の光線がアパーチャー内を通過する場合を示す説明図である。
【図7】対物レンズのシフトに対する従来の補償機構における対物レンズのシフト量とトラッキングエラー信号に発生するオフセット量との関係のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図8】対物レンズのシフトに対する本発明の実施の形態の補償機構における対物レンズのシフト量とトラッキングエラー信号に発生するオフセット量との関係のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図9】図9(a)は、対物レンズのシフトにより、サブビームが光検出器の分割境界線を跨ぎきった場合における光検出器上でのメインビームの移動を説明する模式図、図9(b)は上記場合における光検出器上でのサブビームの移動を説明する模式図である。
【図10】対物レンズのシフトに対する本発明の実施の形態の補償機構において、±1次回折光の光束における光ディスクのラジアル方向の幅が、2.1mmである場合と1.2mmである場合とにおける対物レンズシフト量と残留しているトラックオフセット量(残留オフセット)との関係についてのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図11】対物レンズのシフトに対する本発明の実施の形態の補償機構において、メインビームとサブビームの幅の比と(信号TESのDC成分が0となる時の)ゲインG1との関係についてのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態の光ディスク装置における、光ディスク上におけるメインビームおよびサブビームの集光スポットの位置関係を示す模式図である。
【図13】図3に示した回折光学素子の他の例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 半導体レーザ
3 回折光学素子
5 対物レンズ
6a 対物レンズアパーチャー
7 光ディスク
10 光検出器
11 回折格子
12 対物レンズの有効径
13 回折格子へ入射する光束の径
14 演算回路(演算部)
31〜33 光検出器
51 回折光学素子
52 回折格子
55,57 ゲインアンプ
Claims (4)
- 光源と、
対物レンズと、
これら光源と対物レンズの間に配置された回折光学素子とを備え、
λ:光源の波長
a:対物レンズの有効径
d:記録媒体のトラックピッチ
NA:対物レンズの開口数
としたとき、該回折光学素子に形成された第1の回折格子によって回折された±1次回折光が対物レンズに入射する際のラジアル方向の幅αが以下の条件を満足し、
α ≦λ×a/(2d×NA)
0次回折光、±1次回折光それぞれが対物レンズによって光ディスク上に集光され、その戻り光が各光検出器上で検出される際、それら光検出器は、記録媒体のラジアル方向に直行する方向に相当する方向に少なくとも1本の分割境界線を有したものであり、
0次光を受光した光検出器の差動信号をTE1、和出力をA1
+1次光を受光した光検出器の差動信号をTE2、和出力をA2
−1次光を受光した光検出器の差動信号をTE3、和出力をA3
ゲインG2を
G2=A2/A3
としたとき、
ゲインG1を使用して、トラッキングエラー信号TESを
TES=TE1−G1×(TE2+G2×TE3)
とする光ディスク装置において、
b:対物レンズシフト量
としたときに、±1次回折光のラジアル方向の幅αは、
4b≦α
を満足することを特徴とする光ディスク装置。 - 0次回折光のRIM強度、および0時回折光と±1次回折光における光ディスクラジアル方向の幅の比とに基づいてゲインG1を決定することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
- フォーカスサーボON、ラジアルサーボOFFの状態で対物レンズをシフトさせながらゲインG1を連続的に変化させ、前記演算信号TESのDC成分が0になる時をゲインG1の最良値として決定することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
- 前記回折光学素子には、第1の回折格子が形成された領域以外の領域における、少なくとも対物レンズへの入射光束の断面に相当する領域に、第1の回折格子とは回折方向が異なり、格子深さおよびデューティー比が等しい第2の回折格子が形成されていることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002241102A JP2004079123A (ja) | 2002-08-21 | 2002-08-21 | 光ディスク装置 |
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| JP2002241102A JP2004079123A (ja) | 2002-08-21 | 2002-08-21 | 光ディスク装置 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004079123A true JP2004079123A (ja) | 2004-03-11 |
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| JP (1) | JP2004079123A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009230833A (ja) * | 2008-03-25 | 2009-10-08 | Sanyo Electric Co Ltd | 光ピックアップ装置 |
-
2002
- 2002-08-21 JP JP2002241102A patent/JP2004079123A/ja not_active Withdrawn
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