JP2004075709A - 蛍光持続性の優れた透明性を有する熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蛍光着色剤入り樹脂組成物の長期間使用における蛍光性の低下を改善し、蛍光持続性の優れた樹脂組成物を提供する.
【解決手段】透明性を有する熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、およびアンスラキノン系蛍光染料の中から選択される少なくとも1種からなる蛍光着色剤(B)0.001〜1重量部を有機溶剤(C)に飽和溶解度以下の濃度で溶解して添加することを特徴とする透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法および同組成物。
【解決手段】透明性を有する熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、およびアンスラキノン系蛍光染料の中から選択される少なくとも1種からなる蛍光着色剤(B)0.001〜1重量部を有機溶剤(C)に飽和溶解度以下の濃度で溶解して添加することを特徴とする透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法および同組成物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明性を有する熱可塑性樹脂組成物とその製造方法に関し、詳しくは、蛍光持続性に優れた透明性を有する熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、主として透明性を有する熱可塑性樹脂において、その透明性を活かして蛍光着色剤を配合した樹脂組成物が知られており、パチンコ部品、各種ランプ類のケースやカバー、その他各種電気製品のハウジング、再帰性反射シート等の幅広い分野に使用されている。しかしながら、蛍光着色剤添加の樹脂製品の多くは長時間の使用や屋外での使用、又はランプ類での使用において、紫外線や熱などの影響を受け、蛍光性の低下が生じ、商品としての価値が低下する。この蛍光持続性を改善する方法として、特開2002−30220号公報において、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂等に蛍光着色剤を2種以上併用する方法が開示されているが、一般的に蛍光着色剤は融点が高く、ポリカーボネート樹脂のように成形温度が高い樹脂には適しているが、アクリル系樹脂や非晶性ポリオレフィン樹脂等のように成形温度の低い樹脂には、樹脂中で着色剤が十分に分散せず、蛍光持続性を維持できない。また、上記公報においては、JIS A 1415に示される方法を用いて蛍光持続性の試験が成されているが、連続1000時間までの試験に留まっており、それ以上の時間に渡って蛍光持続性を維持できるか不明確な上、色が赤色系やオレンジ色系に限定されており、世間的に一般的な蛍光色である黄色については言及されていない。さらに、液状の媒体に溶解又は分散させる方法も言及されているが、分散させた粒子の大きさが定義されておらず、その効果については不明確である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような蛍光着色剤入り樹脂組成物の長期間使用における蛍光性の低下を改善し、蛍光持続性の優れた樹脂組成物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定の蛍光着色剤を樹脂中に微分散させることで蛍光持続性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は
(1)透明性を有する熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、およびアンスラキノン系蛍光染料の中から選択される少なくとも1種からなる蛍光着色剤(B)0.001〜1重量部を有機溶剤(C)に飽和濃度以下の濃度で溶解して添加することを特徴とする透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
(2)蛍光着色剤(B)が透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の中で10nm以下の微小粒子状で分散していることを特徴とする請求項1記載の透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
(3)透明性を有する熱可塑性樹脂(A)が、アクリル系樹脂である請求項1または2記載の透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
(4)透明性を有する熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、およびアンスラキノン系蛍光染料の中から選択される少なくとも1種からなる蛍光着色剤(B)0.001〜1重量部からなり、該蛍光着色剤(B)が10nm以下の微小粒子状で、透明性を有する熱可塑性樹脂(A)中に分散していることを特徴とする透明性を有する熱可塑性樹脂組成物、
(5)透明性を有する熱可塑性樹脂(A)が、アクリル系樹脂である請求項4記載の透明性を有する熱可塑性樹脂組成物、
(6)アクリル系樹脂が、アクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量%、他の共重合ビニル単量体1種以上0〜49.9重量%および共重合可能な1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体0.1〜10重量%からなる少なくとも一層の弾性共重合体(a−1)5〜85重量部にメタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなる単量体またはその混合物である少なくとも一層のグラフト成分(a−2)95〜15重量部を共重合しており、かつその弾性共重合体(a−1)の重量平均粒子径が50〜400nmであることを特徴とする請求項4または5記載の透明性を有する熱可塑性樹脂組成物、に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】透明性を有する熱可塑性樹脂(A)は特に限定されない。アクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、塩化ビニル樹脂、MS樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられ、これらを単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。中でもアクリル系樹脂は透明性、耐候性に優れ、幅広い用途展開が可能であるために本発明において好ましい熱可塑性樹脂としてあげることができる。アクリル系樹脂の代表例としては、アクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量%、他の共重合ビニル単量体1種以上0〜49.9重量%および共重合可能な1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体0.1〜10重量%からなる少なくとも一層の弾性共重合体(a−1)5〜85重量部にメタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなる単量体またはその混合物である少なくとも一層のグラフト成分(a−2)95〜15重量部を共重合しており、かつその弾性共重合体(a−1)の重量平均粒子径が50〜400nmである。弾性重合体(a−1)に用いられるアクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−n−オクチル等が上げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。前記アクリル酸アルキルエステルのアルキル機は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、炭素数が8を超える場合には反応速度が遅くなる。前記アクリル酸アルキルエステルの使用範囲は50〜99.9重量%であり、好ましくは60〜99重量%、さらに好ましくは70〜95重量%である。アクリル酸アルキルエステルが50重量%未満になると成形した際の成形品の耐衝撃性が低下し、99.9重量%を超えると成形品の透明性が低下する。また、弾性共重合体(a−1)に用いられる1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体は、架橋剤、グラフト交叉剤として使用する成分であり、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジブチレングリコールジメタクリレートなどのジアルキレングリコールジメタクリレーと又はコレラノメタクリレートをアクリレートにしたもの、ジビニルベンゼン、ジビニルアジペート等のビニル基含有多官能性単量体などが挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用いられる。前記多官能性単量体の使用割合は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%、さらに好ましくは0.7〜5重量%である。多官能性単量体の使用割合が0.1重量%未満の場合は樹脂の耐溶剤性が低下し、10重量%を超えると、伸度や耐衝撃性が低下する。弾性共重合体(a−1)は一層でも多層でも規定の単量体の範囲内であれば特に規定されない。
【0007】
グラフト成分(a−2)に用いられるメタクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は1〜4が好ましく、例えば、代表例として、メタクリル酸メチルが挙げられるが、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。前記メタクリル酸アルキルエステルのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、炭素数が4を超える場合には反応速度が遅くなる。前記メタクリル酸アルキルエステルの使用割合は、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。メタクリル酸アルキルエステルの使用割合が50重量%未満になると、耐溶剤性や透明性が低下する。グラフト成分(a−2)は一層でも多層でも規定の単量体の範囲内であれば、特に規定されない。
【0008】
当該アクリル系樹脂に用いられる弾性重合体(a−1)とグラフト成分(a−2)の使用割合は、前者が5〜85重量部、後者が95〜15重量部、好ましくは、前者が10〜80重量部、後者が90〜20重量部、さらに好ましくは前者が20〜65重量部、後者が80〜35重量部である。弾性重合体(a−1)が5重量部未満では、耐衝撃性が低下し、85重量部を超えると成形品の伸びや透明性が低下する。弾性重合体(a−1)の重量平均粒子径は、50〜400nm、好ましくは100〜350nm、さらに好ましくは150〜300nmである。重量平均粒子径が50nm未満では耐衝撃性が低下し、400nmを超えると成形品の透明性が低下する。
【0009】
当該アクリル系樹脂の製造方法は特に限定されない。例えば、懸濁重合法、乳化重合法が挙げられるが、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、これらの単量体と共重合しうる1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を用い、乳化重合法で製造するのが好ましい。さらに詳しくは、例えば、乳化重合法を用いて、弾性重合体(a−1)を得て、グラフト成分(a−2)を同一重合機で製造することができる。
【0010】
前記乳化重合法においては、通常の重合開始剤、特に遊離基を発生する重合開始剤が使用される。このような重合開始剤の具体例としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物や、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。さらにアゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤も使用される。これらは単独でも2種以上組み合わせて用いられる。これら重合開始剤は、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄等の還元剤と組み合わせた通常のレドックス型開始剤として使用してもよい。
【0011】
前記乳化重合に使用される界面活性剤にも特に限定は無く、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。例えば、アルキル硫酸ソーダ、アルキルベンゼンスルフォン酸ソーダ、ラウリン酸ソーダ等の陰イオン性界面活性剤やアルキルフェノール類とエチレンオキサイドとの反応生成物等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。さらに必要に応じて、アルキルアミン塩酸塩等の陽イオン性界面活性剤を使用してもよい。
【0012】
このような共重合によって得られる重合体ラテックスから、通常の凝固(例えば、塩を用いた凝固)と洗浄、脱水、乾燥により、または噴霧、凍結乾燥等による処理によって樹脂分が分離、回収される。
【0013】
蛍光着色剤(B)は、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、アンスラキノン系蛍光染料の中から選択される少なくとも1種からなるものであり、クマリン系蛍光染料の具体例としては、CI Solvent Yellow 160:1、Macrolex Fluorescent Red G(バイエル社製)及びKayaset Yellow SF−G(日本化薬社製)等、ベンゾピラン系蛍光染料の具体例としては、Kayaset Red SF−B(日本化薬社製)やRed BK(ビーエーエスエフ社製)等、ペリレン系蛍光染料の具体例としては、CI Vat Red 15、CI Vat Orange 7、CI Solvent Yellow 5、Lumogen F Yellow 083(ビーエーエスエフ社製)、及びLumogen F Red 305(ビーエーエスエフ社製)等、チオキサンテン系蛍光染料の具体例としては、CI Solvent Yellow 98等、チオインジゴ系蛍光染料の具体例としては、CI Vat Red 1、CI Vat Red 2、及びCI Vat Red 41等、アンスラキノン系蛍光染料の具体例としては、CI Solvent Red 150、CI Solvent Red 197、及びCI Solvent Red 150等が挙げられる。
【0014】
これら、蛍光着色剤(B)は単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。これら蛍光着色剤(B)の使用量は透明性を有する熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.8重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部である。蛍光着色剤の使用量が0.001重量部未満では十分な蛍光性が得られず、1重量部を超えると成形品から蛍光染料がブリードして好ましくない。
【0015】
蛍光着色剤(B)を熱可塑性樹脂(A)に添加する際には、有機溶剤(C)に対し、蛍光着色剤(B)が飽和濃度以下の濃度になるように溶解させた上で樹脂(A)に添加する。有機溶剤(C)で溶解する蛍光着色剤(B)の濃度が飽和濃度以上であると、蛍光着色剤(B)が十分に分散されなくなり成形品の表面にブツと呼ばれる表面欠陥が発生することがあり、好ましくない。
【0016】
有機溶剤(C)は、蛍光着色剤(B)を溶解するものであれば、特に限定されないが、例えば、アルコール系、ケトン系、カルボン酸エステル系、エーテル系、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、アルデヒド系、アジピン酸エステル系の有機溶剤が好ましく使用される。アルコール系の具体例としては、メタノール、エタノール等、ケトン系の具体例としては、アセトン、2−ブタノン等、カルボン酸エステル系の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等、エーテル系の具体例としては、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、エチルフェニルエーテル等、炭化水素系の具体例としては、トルエン、キシレン、二硫化炭素等、ハロゲン化炭化水素系の具体例としては、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、フッ化メチレン等、アルデヒド系の具体例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等、アジピン酸エステル系の具体例としては、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジターシャリーブチル等が上げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。溶解させたものをフィルター濾過して異物や未溶解物を取り除くことが好ましい。
【0017】
熱可塑性樹脂組成物中の蛍光着色剤の粒子は、大きさ(粒子径)が10nm以下、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは1nm以下である。大きさが10nmを超えると、蛍光持続性が低下して好ましくない。
【0018】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形方法は特に限定されない。例えば、必要な原材料を混合し、ベント付き押出機で溶融混練しながら、真空状態で有機溶剤(C)を除去する方法や熱可塑性樹脂(A)と蛍光着色剤(B)を溶解させた溶液を混合し、圧搾乾燥やスプレードライさせたものを溶融混練する方法等が挙げられる。さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物には、熱や光に対する安定性を増すために酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を1種又は2種以上組み合わせて添加してもよい。
【0019】
溶融混練された熱可塑性樹脂組成物はペレットとして得られた後に各種樹脂成形品に形成される。溶融混練する装置はベント付きのスクリュー式の溶融混練装置が好ましい。例えば、単軸押出機、二軸押出機の使用が可能である。
【0020】
本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形品を得る方法としては従来公知の種々の方法が使用でき、例えば、射出成形、押出成形等の方法で成形することができる。
【0021】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は各種用途に使用可能であり、パチンコ部品、ランプカバー、建材シート、農業用シート、標識に利用される再帰性反射シート等の用途に使用可能である。特に本熱可塑性樹脂組成物は、厚みが300μm以下のシート又はフィルムとして有用であり、例えば、通常の溶融押出法であるインフレーションやTダイ押出法、あるいはカレンダー法等により、高延伸シート又はフィルムが得られる。
【0022】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、以下の記載において、「部」又は「%」は、特に断らない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」を表す。また、以下の記載における略号は、それぞれ下記の物質を示す。
B A;アクリル酸ブチル
MMA;メタクリル酸メチル
CHP;クメンハイドロパーオキサイド
AMA;メタクリル酸アリル
tDM;ターシャリードデシルメルカプタン
(1)熱可塑性樹脂(A)
A−1の製造
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、モノマー供給管、還流冷却器を備えた8リットル重合器に以下の物質。
【0023】
水 200部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.15部
硫酸第一鉄・2水塩 0.0015部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.006部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.25部
を仕込み、器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素の無い状態とした後、内温を60℃にし、MMA3部、BA27部、AMA0.4部、CHP0.02部の混合物を15部/時間の割合で連続的に添加し、重合させた。添加終了後に1時間重合を継続し、重合転化率を98%とした。その後、MMA63部、BA7部、tDM0.2部、CHP0.3部の混合物を10部/時間の割合で連続的に添加して重合させ、さらに、1時間重合を継続し、重合転化率を98%以上にして、熱可塑性樹脂(A)のラテックスを得た。前記ラテックスを塩化カルシウムで塩析し、水洗、乾燥を行い、熱可塑性樹脂(A)の乾燥粉末を得た。
A−2 メタクリル酸メチル・アクリル酸メチル共重合体 旭化成工業製 デルペット80N
(2)蛍光着色剤(B)
B−1 クマリン系蛍光染料 日本化薬社製 黄色蛍光染料 Kayaset Yellow SF−G
B−2 ベンゾピラン系蛍光染料 日本化薬社製 赤色蛍光染料 Kayaset Red SF−B
B−3 ペリレン系蛍光染料 ビーエーエスエフ社製 黄色蛍光染料 Lumogen F Yellow 083
B−4 チオキサンテン系蛍光染料 クラリアント社製 黄色蛍光染料 Hostasol Yellow 3G
B−5 チオインジゴ系蛍光染料 有本化学工業製 赤色蛍光染料 PlastRed D−54
B−6 アンスラキノン系蛍光染料 有本化学工業製 橙色蛍光染料 Plast Red 8365
(3)有機溶剤(C)
C−1 2−ブタノン
C−2 アジピン酸ジ2−エチルヘキシル
(4)熱可塑性樹脂組成物の製造
(実施例1〜8、比較例1〜2)表1及び表2に示す蛍光着色剤(B)を有機溶剤(C)にて溶解し、異物や溶け残りをフィルターで除去した。この溶液を熱可塑性樹脂(A)に添加し、ヘンシェルミキサーで混合した。この混合物を粉砕し、有機溶剤の含有量が1000ppm以下になるまで乾燥し、熱可塑性樹脂組成物のパウダーを得た。このパウダーに紫外線吸収剤としてチヌビン234(チバガイギー社製ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)2.0部を添加し、ベント式押出機で200℃設定で押出し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。このペレットを水分が500ppm以下になるまで乾燥し、T型ダイス付き押出機でダイスの設定温度を240℃とし、フィルム成形を実施した。フィルムの膜厚は200μmとした。
【0024】
(比較例3〜4)蛍光着色剤(B)を粉体のまま、熱可塑性樹脂(A)に混合し、この混合物をベント式押出機で200℃設定で押出し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。このペレットを水分が500ppm以下になるまで乾燥し、T型ダイス付き押出機でダイスの設定温度を240℃とし、フィルム成形を実施した。
【0025】
当該フィルムを用い、下記の条件に基づき、促進耐候性試験を行い、蛍光持続性を目視確認により判断した。
【0026】
○:蛍光性を有する。
【0027】
×:蛍光性を有しない。
【0028】
【0029】
フィルム中の蛍光着色剤の粒子の大きさは透過型電子顕微鏡で100,000倍に拡大して観察し測定した。
【0030】
フィルム表面のブツは目視にて下記の基準により判定した。
【0031】
○:ブツの発生がない。
【0032】
△:ブツがフィルム1平方メートル中50個以下
×:ブツがフィルム1平方メートル中50個以上
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】表1から明らかなように本発明の熱可塑性樹脂組成物は、一般的な蛍光染料入り樹脂組成物の長期間の使用における蛍光持続性に優れたものである。
【発明の属する技術分野】本発明は透明性を有する熱可塑性樹脂組成物とその製造方法に関し、詳しくは、蛍光持続性に優れた透明性を有する熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、主として透明性を有する熱可塑性樹脂において、その透明性を活かして蛍光着色剤を配合した樹脂組成物が知られており、パチンコ部品、各種ランプ類のケースやカバー、その他各種電気製品のハウジング、再帰性反射シート等の幅広い分野に使用されている。しかしながら、蛍光着色剤添加の樹脂製品の多くは長時間の使用や屋外での使用、又はランプ類での使用において、紫外線や熱などの影響を受け、蛍光性の低下が生じ、商品としての価値が低下する。この蛍光持続性を改善する方法として、特開2002−30220号公報において、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂等に蛍光着色剤を2種以上併用する方法が開示されているが、一般的に蛍光着色剤は融点が高く、ポリカーボネート樹脂のように成形温度が高い樹脂には適しているが、アクリル系樹脂や非晶性ポリオレフィン樹脂等のように成形温度の低い樹脂には、樹脂中で着色剤が十分に分散せず、蛍光持続性を維持できない。また、上記公報においては、JIS A 1415に示される方法を用いて蛍光持続性の試験が成されているが、連続1000時間までの試験に留まっており、それ以上の時間に渡って蛍光持続性を維持できるか不明確な上、色が赤色系やオレンジ色系に限定されており、世間的に一般的な蛍光色である黄色については言及されていない。さらに、液状の媒体に溶解又は分散させる方法も言及されているが、分散させた粒子の大きさが定義されておらず、その効果については不明確である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような蛍光着色剤入り樹脂組成物の長期間使用における蛍光性の低下を改善し、蛍光持続性の優れた樹脂組成物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定の蛍光着色剤を樹脂中に微分散させることで蛍光持続性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は
(1)透明性を有する熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、およびアンスラキノン系蛍光染料の中から選択される少なくとも1種からなる蛍光着色剤(B)0.001〜1重量部を有機溶剤(C)に飽和濃度以下の濃度で溶解して添加することを特徴とする透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
(2)蛍光着色剤(B)が透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の中で10nm以下の微小粒子状で分散していることを特徴とする請求項1記載の透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
(3)透明性を有する熱可塑性樹脂(A)が、アクリル系樹脂である請求項1または2記載の透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
(4)透明性を有する熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、およびアンスラキノン系蛍光染料の中から選択される少なくとも1種からなる蛍光着色剤(B)0.001〜1重量部からなり、該蛍光着色剤(B)が10nm以下の微小粒子状で、透明性を有する熱可塑性樹脂(A)中に分散していることを特徴とする透明性を有する熱可塑性樹脂組成物、
(5)透明性を有する熱可塑性樹脂(A)が、アクリル系樹脂である請求項4記載の透明性を有する熱可塑性樹脂組成物、
(6)アクリル系樹脂が、アクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量%、他の共重合ビニル単量体1種以上0〜49.9重量%および共重合可能な1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体0.1〜10重量%からなる少なくとも一層の弾性共重合体(a−1)5〜85重量部にメタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなる単量体またはその混合物である少なくとも一層のグラフト成分(a−2)95〜15重量部を共重合しており、かつその弾性共重合体(a−1)の重量平均粒子径が50〜400nmであることを特徴とする請求項4または5記載の透明性を有する熱可塑性樹脂組成物、に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】透明性を有する熱可塑性樹脂(A)は特に限定されない。アクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、塩化ビニル樹脂、MS樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられ、これらを単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。中でもアクリル系樹脂は透明性、耐候性に優れ、幅広い用途展開が可能であるために本発明において好ましい熱可塑性樹脂としてあげることができる。アクリル系樹脂の代表例としては、アクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量%、他の共重合ビニル単量体1種以上0〜49.9重量%および共重合可能な1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体0.1〜10重量%からなる少なくとも一層の弾性共重合体(a−1)5〜85重量部にメタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなる単量体またはその混合物である少なくとも一層のグラフト成分(a−2)95〜15重量部を共重合しており、かつその弾性共重合体(a−1)の重量平均粒子径が50〜400nmである。弾性重合体(a−1)に用いられるアクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−n−オクチル等が上げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。前記アクリル酸アルキルエステルのアルキル機は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、炭素数が8を超える場合には反応速度が遅くなる。前記アクリル酸アルキルエステルの使用範囲は50〜99.9重量%であり、好ましくは60〜99重量%、さらに好ましくは70〜95重量%である。アクリル酸アルキルエステルが50重量%未満になると成形した際の成形品の耐衝撃性が低下し、99.9重量%を超えると成形品の透明性が低下する。また、弾性共重合体(a−1)に用いられる1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体は、架橋剤、グラフト交叉剤として使用する成分であり、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジブチレングリコールジメタクリレートなどのジアルキレングリコールジメタクリレーと又はコレラノメタクリレートをアクリレートにしたもの、ジビニルベンゼン、ジビニルアジペート等のビニル基含有多官能性単量体などが挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用いられる。前記多官能性単量体の使用割合は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%、さらに好ましくは0.7〜5重量%である。多官能性単量体の使用割合が0.1重量%未満の場合は樹脂の耐溶剤性が低下し、10重量%を超えると、伸度や耐衝撃性が低下する。弾性共重合体(a−1)は一層でも多層でも規定の単量体の範囲内であれば特に規定されない。
【0007】
グラフト成分(a−2)に用いられるメタクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は1〜4が好ましく、例えば、代表例として、メタクリル酸メチルが挙げられるが、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。前記メタクリル酸アルキルエステルのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、炭素数が4を超える場合には反応速度が遅くなる。前記メタクリル酸アルキルエステルの使用割合は、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。メタクリル酸アルキルエステルの使用割合が50重量%未満になると、耐溶剤性や透明性が低下する。グラフト成分(a−2)は一層でも多層でも規定の単量体の範囲内であれば、特に規定されない。
【0008】
当該アクリル系樹脂に用いられる弾性重合体(a−1)とグラフト成分(a−2)の使用割合は、前者が5〜85重量部、後者が95〜15重量部、好ましくは、前者が10〜80重量部、後者が90〜20重量部、さらに好ましくは前者が20〜65重量部、後者が80〜35重量部である。弾性重合体(a−1)が5重量部未満では、耐衝撃性が低下し、85重量部を超えると成形品の伸びや透明性が低下する。弾性重合体(a−1)の重量平均粒子径は、50〜400nm、好ましくは100〜350nm、さらに好ましくは150〜300nmである。重量平均粒子径が50nm未満では耐衝撃性が低下し、400nmを超えると成形品の透明性が低下する。
【0009】
当該アクリル系樹脂の製造方法は特に限定されない。例えば、懸濁重合法、乳化重合法が挙げられるが、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、これらの単量体と共重合しうる1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を用い、乳化重合法で製造するのが好ましい。さらに詳しくは、例えば、乳化重合法を用いて、弾性重合体(a−1)を得て、グラフト成分(a−2)を同一重合機で製造することができる。
【0010】
前記乳化重合法においては、通常の重合開始剤、特に遊離基を発生する重合開始剤が使用される。このような重合開始剤の具体例としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物や、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。さらにアゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤も使用される。これらは単独でも2種以上組み合わせて用いられる。これら重合開始剤は、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄等の還元剤と組み合わせた通常のレドックス型開始剤として使用してもよい。
【0011】
前記乳化重合に使用される界面活性剤にも特に限定は無く、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。例えば、アルキル硫酸ソーダ、アルキルベンゼンスルフォン酸ソーダ、ラウリン酸ソーダ等の陰イオン性界面活性剤やアルキルフェノール類とエチレンオキサイドとの反応生成物等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。さらに必要に応じて、アルキルアミン塩酸塩等の陽イオン性界面活性剤を使用してもよい。
【0012】
このような共重合によって得られる重合体ラテックスから、通常の凝固(例えば、塩を用いた凝固)と洗浄、脱水、乾燥により、または噴霧、凍結乾燥等による処理によって樹脂分が分離、回収される。
【0013】
蛍光着色剤(B)は、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、アンスラキノン系蛍光染料の中から選択される少なくとも1種からなるものであり、クマリン系蛍光染料の具体例としては、CI Solvent Yellow 160:1、Macrolex Fluorescent Red G(バイエル社製)及びKayaset Yellow SF−G(日本化薬社製)等、ベンゾピラン系蛍光染料の具体例としては、Kayaset Red SF−B(日本化薬社製)やRed BK(ビーエーエスエフ社製)等、ペリレン系蛍光染料の具体例としては、CI Vat Red 15、CI Vat Orange 7、CI Solvent Yellow 5、Lumogen F Yellow 083(ビーエーエスエフ社製)、及びLumogen F Red 305(ビーエーエスエフ社製)等、チオキサンテン系蛍光染料の具体例としては、CI Solvent Yellow 98等、チオインジゴ系蛍光染料の具体例としては、CI Vat Red 1、CI Vat Red 2、及びCI Vat Red 41等、アンスラキノン系蛍光染料の具体例としては、CI Solvent Red 150、CI Solvent Red 197、及びCI Solvent Red 150等が挙げられる。
【0014】
これら、蛍光着色剤(B)は単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。これら蛍光着色剤(B)の使用量は透明性を有する熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.8重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部である。蛍光着色剤の使用量が0.001重量部未満では十分な蛍光性が得られず、1重量部を超えると成形品から蛍光染料がブリードして好ましくない。
【0015】
蛍光着色剤(B)を熱可塑性樹脂(A)に添加する際には、有機溶剤(C)に対し、蛍光着色剤(B)が飽和濃度以下の濃度になるように溶解させた上で樹脂(A)に添加する。有機溶剤(C)で溶解する蛍光着色剤(B)の濃度が飽和濃度以上であると、蛍光着色剤(B)が十分に分散されなくなり成形品の表面にブツと呼ばれる表面欠陥が発生することがあり、好ましくない。
【0016】
有機溶剤(C)は、蛍光着色剤(B)を溶解するものであれば、特に限定されないが、例えば、アルコール系、ケトン系、カルボン酸エステル系、エーテル系、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、アルデヒド系、アジピン酸エステル系の有機溶剤が好ましく使用される。アルコール系の具体例としては、メタノール、エタノール等、ケトン系の具体例としては、アセトン、2−ブタノン等、カルボン酸エステル系の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等、エーテル系の具体例としては、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、エチルフェニルエーテル等、炭化水素系の具体例としては、トルエン、キシレン、二硫化炭素等、ハロゲン化炭化水素系の具体例としては、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、フッ化メチレン等、アルデヒド系の具体例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等、アジピン酸エステル系の具体例としては、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジターシャリーブチル等が上げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。溶解させたものをフィルター濾過して異物や未溶解物を取り除くことが好ましい。
【0017】
熱可塑性樹脂組成物中の蛍光着色剤の粒子は、大きさ(粒子径)が10nm以下、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは1nm以下である。大きさが10nmを超えると、蛍光持続性が低下して好ましくない。
【0018】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形方法は特に限定されない。例えば、必要な原材料を混合し、ベント付き押出機で溶融混練しながら、真空状態で有機溶剤(C)を除去する方法や熱可塑性樹脂(A)と蛍光着色剤(B)を溶解させた溶液を混合し、圧搾乾燥やスプレードライさせたものを溶融混練する方法等が挙げられる。さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物には、熱や光に対する安定性を増すために酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を1種又は2種以上組み合わせて添加してもよい。
【0019】
溶融混練された熱可塑性樹脂組成物はペレットとして得られた後に各種樹脂成形品に形成される。溶融混練する装置はベント付きのスクリュー式の溶融混練装置が好ましい。例えば、単軸押出機、二軸押出機の使用が可能である。
【0020】
本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形品を得る方法としては従来公知の種々の方法が使用でき、例えば、射出成形、押出成形等の方法で成形することができる。
【0021】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は各種用途に使用可能であり、パチンコ部品、ランプカバー、建材シート、農業用シート、標識に利用される再帰性反射シート等の用途に使用可能である。特に本熱可塑性樹脂組成物は、厚みが300μm以下のシート又はフィルムとして有用であり、例えば、通常の溶融押出法であるインフレーションやTダイ押出法、あるいはカレンダー法等により、高延伸シート又はフィルムが得られる。
【0022】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、以下の記載において、「部」又は「%」は、特に断らない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」を表す。また、以下の記載における略号は、それぞれ下記の物質を示す。
B A;アクリル酸ブチル
MMA;メタクリル酸メチル
CHP;クメンハイドロパーオキサイド
AMA;メタクリル酸アリル
tDM;ターシャリードデシルメルカプタン
(1)熱可塑性樹脂(A)
A−1の製造
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、モノマー供給管、還流冷却器を備えた8リットル重合器に以下の物質。
【0023】
水 200部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.15部
硫酸第一鉄・2水塩 0.0015部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.006部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.25部
を仕込み、器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素の無い状態とした後、内温を60℃にし、MMA3部、BA27部、AMA0.4部、CHP0.02部の混合物を15部/時間の割合で連続的に添加し、重合させた。添加終了後に1時間重合を継続し、重合転化率を98%とした。その後、MMA63部、BA7部、tDM0.2部、CHP0.3部の混合物を10部/時間の割合で連続的に添加して重合させ、さらに、1時間重合を継続し、重合転化率を98%以上にして、熱可塑性樹脂(A)のラテックスを得た。前記ラテックスを塩化カルシウムで塩析し、水洗、乾燥を行い、熱可塑性樹脂(A)の乾燥粉末を得た。
A−2 メタクリル酸メチル・アクリル酸メチル共重合体 旭化成工業製 デルペット80N
(2)蛍光着色剤(B)
B−1 クマリン系蛍光染料 日本化薬社製 黄色蛍光染料 Kayaset Yellow SF−G
B−2 ベンゾピラン系蛍光染料 日本化薬社製 赤色蛍光染料 Kayaset Red SF−B
B−3 ペリレン系蛍光染料 ビーエーエスエフ社製 黄色蛍光染料 Lumogen F Yellow 083
B−4 チオキサンテン系蛍光染料 クラリアント社製 黄色蛍光染料 Hostasol Yellow 3G
B−5 チオインジゴ系蛍光染料 有本化学工業製 赤色蛍光染料 PlastRed D−54
B−6 アンスラキノン系蛍光染料 有本化学工業製 橙色蛍光染料 Plast Red 8365
(3)有機溶剤(C)
C−1 2−ブタノン
C−2 アジピン酸ジ2−エチルヘキシル
(4)熱可塑性樹脂組成物の製造
(実施例1〜8、比較例1〜2)表1及び表2に示す蛍光着色剤(B)を有機溶剤(C)にて溶解し、異物や溶け残りをフィルターで除去した。この溶液を熱可塑性樹脂(A)に添加し、ヘンシェルミキサーで混合した。この混合物を粉砕し、有機溶剤の含有量が1000ppm以下になるまで乾燥し、熱可塑性樹脂組成物のパウダーを得た。このパウダーに紫外線吸収剤としてチヌビン234(チバガイギー社製ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)2.0部を添加し、ベント式押出機で200℃設定で押出し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。このペレットを水分が500ppm以下になるまで乾燥し、T型ダイス付き押出機でダイスの設定温度を240℃とし、フィルム成形を実施した。フィルムの膜厚は200μmとした。
【0024】
(比較例3〜4)蛍光着色剤(B)を粉体のまま、熱可塑性樹脂(A)に混合し、この混合物をベント式押出機で200℃設定で押出し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。このペレットを水分が500ppm以下になるまで乾燥し、T型ダイス付き押出機でダイスの設定温度を240℃とし、フィルム成形を実施した。
【0025】
当該フィルムを用い、下記の条件に基づき、促進耐候性試験を行い、蛍光持続性を目視確認により判断した。
【0026】
○:蛍光性を有する。
【0027】
×:蛍光性を有しない。
【0028】
【0029】
フィルム中の蛍光着色剤の粒子の大きさは透過型電子顕微鏡で100,000倍に拡大して観察し測定した。
【0030】
フィルム表面のブツは目視にて下記の基準により判定した。
【0031】
○:ブツの発生がない。
【0032】
△:ブツがフィルム1平方メートル中50個以下
×:ブツがフィルム1平方メートル中50個以上
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】表1から明らかなように本発明の熱可塑性樹脂組成物は、一般的な蛍光染料入り樹脂組成物の長期間の使用における蛍光持続性に優れたものである。
Claims (6)
- 透明性を有する熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、およびアンスラキノン系蛍光染料の中から選択される少なくとも1種からなる蛍光着色剤(B)0.001〜1重量部を有機溶剤(C)に飽和濃度以下の濃度で溶解して添加することを特徴とする透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 蛍光着色剤(B)が、透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の中で10nm以下の微小粒子状で分散していることを特徴とする請求項1記載の透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 透明性を有する熱可塑性樹脂(A)が、アクリル系樹脂である請求項1または2記載の透明性を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 透明性を有する熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、およびアンスラキノン系蛍光染料の中から選択される少なくとも1種からなる蛍光着色剤(B)0.001〜1重量部からなり、該蛍光着色剤(B)が10nm以下の微小粒子状で、透明性を有する熱可塑性樹脂(A)中に分散していることを特徴とする透明性を有する熱可塑性樹脂組成物。
- 透明性を有する熱可塑性樹脂(A)が、アクリル系樹脂である請求項4記載の透明性を有する熱可塑性樹脂組成物。
- アクリル系樹脂が、アクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量%、他の共重合ビニル単量体1種以上0〜49.9重量%および共重合可能な1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体0.1〜10重量%からなる少なくとも一層の弾性共重合体(a−1)5〜85重量部にメタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなる単量体またはその混合物である少なくとも一層のグラフト成分(a−2)95〜15重量部を共重合しており、かつその弾性共重合体(a−1)の重量平均粒子径が50〜400nmであることを特徴とする請求項4または5記載の透明性を有する熱可塑性樹脂組成物。
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