[go: up one dir, main page]

JP2004070131A - 薄膜偏光子およびその製造方法 - Google Patents

薄膜偏光子およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004070131A
JP2004070131A JP2002231279A JP2002231279A JP2004070131A JP 2004070131 A JP2004070131 A JP 2004070131A JP 2002231279 A JP2002231279 A JP 2002231279A JP 2002231279 A JP2002231279 A JP 2002231279A JP 2004070131 A JP2004070131 A JP 2004070131A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
columnar
substrate
thin film
metal
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002231279A
Other languages
English (en)
Inventor
Terufusa Kunisada
國定 照房
Masatoshi Nara
奈良 正俊
Toshiaki Anzaki
安崎 利明
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sheet Glass Co Ltd filed Critical Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority to JP2002231279A priority Critical patent/JP2004070131A/ja
Publication of JP2004070131A publication Critical patent/JP2004070131A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】基体上に成膜工程のみで、断面形状の一様性に優れた金属の柱状構造を形成し、優れた偏光特性を有する薄膜偏光子を提供する
【解決手段】本発明の薄膜偏光子は、偏光特性を有する薄膜により構成され、その薄膜は、透明基体30上に形成された誘電体膜50中に多数の柱状金属40を分散させた構造である。その柱状金属40を基体30表面に対して垂直、もしくは傾斜して形成し、その基体30表面に平行な断面形状を、少なくとも基体表面から一定距離以上離れた範囲においては面積が略一定で異方性を有する形状とする。さらにこれら複数の柱状金属40を、長径方向には互いに接し(b)、短径方向には分離して配列する(a)。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光通信機器、光記録機器、光センサ、液晶モニタ等に使用される偏光子に関し、とりわけ偏光特性を有する薄膜に関し、該薄膜の構造および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
偏光子は特定方向の偏光を取り出せる光学素子であり、各種偏光子が提案され、実用化されている。例えば、アスペクト比の高い柱状銀粒子がガラス中に分散した偏光ガラス、島状金属層と誘電体層を交互に積層した後に延伸させた偏光子、高分子材料を延伸し配向させた偏光フィルム、誘電体膜と金属膜を交互に積層し、膜の断面方向から光を入射する積層型偏光子などが知られている。
【0003】
一方、光ファイバを使用した光通信が急速に普及している。光ファイバを光学部品に接続した場合に接続界面で反射が発生し、戻り光と呼ばれる伝送方向と反対向きに進行する光が発生する。このような戻り光は、光通信ではノイズとなりシステム全体に悪影響を与えることが知られている。このような戻り光を効率よく除去するために、光アイソレータが使用されている。各種の光アイソレータが提案されており、種々のアイソレータが実用化されている。そして、多くの光アイソレータにおいて構成部品として偏光子が利用されている。
【0004】
光アイソレータで使用される偏光子に求められる機能としては、40dB以上の消光比、および0.4dB以下の挿入損失である。
ただし、消光比はつぎの式(1)で定義される。
消光比(dB)=+10×log(Tmax/Tmin)    (1)
ここで、Tmaxは最大透過率が得られる偏光の透過率、Tminは最小透過率が得られる偏光の透過率である。また挿入損失は式(2)で定義される。
挿入損失(dB)=−10×log(Tmax)       (2)
【0005】
このような優れた特性を有する偏光子としては、ハロゲン化銀を含むガラス材料を延伸し、延伸方向に整列した金属銀に還元したもの(特公平2−40619号公報参照)や、基体に細孔を形成し、金属を注入したもの(特開2000−47031号公報参照)が知られている。
【0006】
これらの偏光子の製造はいずれも複雑な工程を必要とするため、成膜工程だけで基体上に偏光分離特性を有する膜を形成することが試みられている。特開平4−218662号公報には、金属と透明誘電体を同時に斜め蒸着することにより、基体上に柱状の金属膜を形成して、偏光特性を有する膜が得られる方法が開示されている。この方法によれば、光学部品の表面上に直接偏光子を形成できる利点が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この方法で作製できる偏光膜の消光比は約5dbであり、偏光子としての性能は不十分であり、光通信用、液晶プロジェクタ用などには適用できないレベルである。
【0008】
上記公報に示されている方法で作製できる柱状金属の断面構造は異方性を有し、短径部が1〜9nm、長径部が10〜90nmとされている。しかしながら、発明者らが追試を行った結果によれば、柱状金属の構造は基板表面付近と柱状金属の先端付近でまったく異なっていた。基板付近では金属が微粒子化しており、基板近傍には柱状構造が形成されない。さらに、基板/膜界面から約50nm離れた付近からは柱状構造が形成されるが、柱状金属の断面形状は基板から遠ざかるにつれて変化し、短径方向に広がる傾向が見られた。すなわち、開示されているような膜構造を得ることはできなかった。
【0009】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、基体上に成膜工程のみで、断面形状の一様性に優れた金属の柱状構造を形成し、優れた偏光特性を有する薄膜偏光子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄膜偏光子の第1の態様は、偏光特性を有する薄膜により構成され、その薄膜は、透明基体上に形成された誘電体膜中に多数の柱状金属を分散させた構造である。その柱状金属を基体表面に対して垂直、もしくは傾斜して形成し、その基体表面に平行な断面形状を、少なくとも基体表面から一定距離以上離れた範囲においては面積が略一定で異方性を有する形状とする。ここで異方性を有する形状とは、矩形、楕円形、長円形などを言う。さらにこれら複数の柱状金属を、長径方向には互いに接し、短径方向には分離して配列する。
【0011】
本発明の薄膜偏光子の第2の態様は、偏光特性を有する薄膜により構成され、その薄膜は、透明基体上に形成された多数の柱状誘電体と多数の柱状金属からなり、空隙を有している。この柱状誘電体と柱状金属の長手方向は大略平行で、基体表面に対して垂直、もしくは傾斜して形成し、その基体表面に平行な断面形状を、少なくとも基体表面から一定距離以上離れた範囲においては面積が略一定で異方性を有する形状とする。これら複数の柱状金属を、長径方向には互いに接し、短径方向には分離して配列する。またとくに柱状誘電体と柱状金属とが対をなし、それらの長手方向側面が互いに接している構造を有する場合がある。
【0012】
上記第1、第2の態様とも、柱状金属の断面形状の短径が5nm以上30nm以下であり、長径が50nm以上200nm以下であることが望ましい。また、この柱状金属は基体表面から50nm以下のところより表面側で径の大きさが均一であり、複数の柱状金属が長径方向では互いに接しており、短辺方向は30nm以上分離して配列していることが望ましい。
【0013】
上記の態様により、光通信用途、液晶プロジェクター用途などに使用するのに十分な性能を有する薄膜偏光子を提供できる。
上記いずれの態様の薄膜偏光子においても、周囲媒体と接する表面に、1層もしくは複数層の透明誘電体膜を形成するのが望ましい。これによって薄膜偏光子の耐久性を向上させることができる。また、複数の透明誘電体膜を誘電体の材料、積層順、各膜の膜厚などを選択して形成することで薄膜偏光子表面での反射を防止する機能を発現させることもできる。
【0014】
さらに、偏光特性を有する薄膜と透明基体との界面に1層もしくは複数層の透明誘電体膜を挿入することが好ましい。これにより薄膜偏光子と基体の界面での反射を低減することができる。
【0015】
上記薄膜偏光子はつぎの製造方法によって得ることができる。
本発明の製造方法においては、透明基体表面の法線に対して一定角度を有する、すなわち斜めの少なくとも1方向から金属粒子もしくは金属原子もしくは金属イオンを入射し、同時に同法線に対して一定角度を有する、斜めの少なくとも1方向から誘電体の蒸発粒子もしくは誘電体を構成する原子もしくは誘電体を構成するイオンを入射するが、その際、基体を室温より低い温度に冷却する。ここで、室温より低い温度とは−100℃以下とすることが望ましく、さらに望ましくは−180℃以下とする。
【0016】
上記製造方法において、とくに透明基体表面の法線に対して一定角度を有する対称な2方向から金属粒子もしくは金属原子もしくは金属イオンを入射し、同時に法線に対して一定角度を有する少なくとも1方向から誘電体の蒸発粒子もしくは誘電体を構成する原子もしくは誘電体を構成するイオンを入射する方法が好ましい。
【0017】
また、透明基体表面の法線に対して一定角度を有する対称な2方向から誘電体の蒸発粒子もしくは誘電体を構成する原子もしくは誘電体を構成するイオンを入射し、同時に法線に対して一定角度を有するすくなくとも1方向から金属粒子もしくは金属を構成する原子もしくは金属を構成するイオンを入射してもよい。
【0018】
いずれの方法でも成膜時に基板を冷却することが必須である。これにより、金属粒子もしくは金属原子もしくは金属イオンが基板に到達した後に起こる熱拡散が抑制される。そのため、金属粒子もしくは金属原子もしくは金属イオンの飛来する方向性が膜構造に反映され、一方向に柱状金属の断面形状が楕円化し、長径方向に柱状金属が電気的に接合されて配列するようにできる。さらには、金属の凝集を防止することが可能であり、基体直上から異方性を有する形状の柱状金属を形成せしめることが可能になる
【0019】
上記の方法によれば、第1もしくは第2の態様の薄膜偏光子が保護膜や反射防止膜を含めて成膜工程のみによって得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明者らは従来の薄膜偏光子の偏光特性が不十分であった原因について鋭意検討し、消光比が改善する薄膜構造について検討し、本発明に至った。
具体的には、薄膜偏光子における柱状金属の形状寸法と消光比の関係、および柱状金属の基体上での分散状態と消光比の関係について電磁波シミュレーションを行い、消光比を改善するために最適の構造を明らかにした。
【0021】
柱状構造のモデルとして、図1に示すような断面形状が10nm×10nmの正方形で、長さが500nmの金属柱141と断面形状が10nm×10nmの正方形で、長さが500nmの誘電体柱145が接した柱状複合体を、基板130表面に対して垂直に、各金属柱間隔が図のX方向、Y方向とも30nmになるように2次元配列させた状態の膜についての消光比を、波長1550nmにおいて計算した。
【0022】
つぎに、図2に示すように複数本の金属柱141をY方向に接合させた膜について消光比を計算し、Y方向厚み(または接合本数a)と消光比の関係を調べた。
【0023】
結果を図3に示す。同図より、金属柱のY方向の厚み(配列長)が、500nm以上(波長の1/3以上)になる場合には、消光比が30db以上となり、光通信用、あるいは液晶プロジェクタ用などに使用できることが明らかになった。
【0024】
上記結果に基づき、発明者らは、良好な偏光特性を有すると予測される柱状構造およびその分散配列状態を成膜工程で作製する方法、条件を検討し、以下に説明する製造方法に関する発明に至った。
【0025】
従来、基体の法線に対して一定角度を有する方向、すなわち斜め方向から粒子を入射して膜を形成すると、膜成長初期段階に形成される島状膜のためにシャドーイング効果が生じ、柱状構造の膜が形成されることが知られている。柱状構造膜の柱と基体のなす角(構造角)は入射粒子の方向、基体材料と膜材料の界面の濡れ性、基体の表面凹凸形状などで決定される。特に、粒子の入射方向と基体法線のなす角度が大きいほど、柱状構造膜の柱と基体法線のなす角度も大きくなる。しかし、柱状構造膜の柱と基体法線のなす角度は粒子の入射方向と基体法線のなす角度よりも常に小さくなることが知られている。
【0026】
誘電体材料と金属材料とでお互いに固溶しない材料の組み合わせを選択し、これら2つの材料を同時に斜め方向から入射して成膜すると2種材料が分相し、それぞれの材料の柱状構造膜が得られることが知られている。
【0027】
しかし、本発明者らは室温成膜では金属の凝集現象が起こり、意図したような金属柱を得ることができないことを見出した。特に、異方性の断面形状を有する柱状金属において、その長径方向に柱状金属が接合した構造を得ることは困難であった。
【0028】
そこで、基板を冷却した状態での成膜を試みた。基板を−100℃以下、さらには−180℃以下に冷却した状態で、基体の法線に対して30°以上87°以下の角度で粒子またはイオンまたは原子を入射することによりシャドーイングの効果が得られ、特に、法線に対して45°以上87°以下の角度で粒子またはイオンまたは原子を入射することにより十分なシャドーイング効果が得られる。このような大きなシャドーイング効果が得られた場合に膜の構造は異方性となり、多数の柱状金属が形成された。しかもその断面の長径方向に金属柱が接合した構造になり、大きな偏光特性を発現する。
【0029】
このとき、誘電体材料を構成する粒子を基体表面に対して垂直に近い方向から入射することにより、形成される誘電体は膜状にすることが可能であり、反対に基体の法線となす角度が90°に近い方向から粒子を入射することにより、明確な柱状膜を得ることが可能になる。
【0030】
本発明の柱状構造膜を形成するためには、膜を構成する元素を特定の方向から、基板に入射する必要があるので、成膜中のガス圧力が低いことが望ましく、特に0.1Paより低いことが望ましく、さらには0.05Paより低いことがより好ましい。成膜プロセス中のガス圧が高いと、雰囲気中の平均自由行程が短くなり、膜を構成する粒子が雰囲気ガスが散乱され、基板に入射する方向を制御することが難しくなる。
【0031】
本発明に適用できるガス圧が低い成膜方法としては、電子線蒸着、クヌーセンセルを用いた蒸着などの方法がある。スパッタリングに類する成膜方法は一般にガス圧が高いが、膜を比較的大きな面積に形成するための成膜法として好ましい。光通信用偏光子は単体としての面積は小さいが、大面積の成膜が可能であれば、より生産効率が高められる。
【0032】
スパッタリング法において粒子の平均自由行程を長くするためには、特開平9−143709号公報、もしくは特開平9−31637号公報に開示されているようなターゲット近傍以外の空間が低いガス圧でも放電の維持が可能なように工夫されたスパッタリング装置(遠距離スパッタリング装置)を用いるのが特に好ましい。
【0033】
遠距離スパッタ装置では、低ガス圧で放電できるように、マグネトロンの磁場強度を強く設計している。そして、これらの装置は図4に示すように、ターゲットを取り付けるマグネトロンカソード1、2、3を内蔵するターゲット室11、12、13を備え、各ターゲット室とスパッタ室20は独立に排気できる。各ターゲット室にはガス導入管14,15,16を通して所定のガスを独立に導入することができ、ターゲット室内のガス圧をスパッタ室よりも高く保って放電を維持する。
【0034】
スパッタされた粒子はターゲット室11、12、13外に出た後、低圧力のスパッタ室20では散乱を受けにくく、それぞれA、BおよびCで示す方向性をもって基体に到達することができる。ここでマグネトロンカソード11および12の位置を調整することが可能である。図4では3ターゲットを備えた装置の例を示したが、ターゲットの数は必要に応じて一式または複数式設けることができる。
【0035】
さらに成膜時の基板を室温以下に冷却することにより、膜構造における異方性を強調することができ、偏光分離特性の向上に有利である。クライオ冷却システムあるいは適当な冷媒(液体窒素など)を用いて成膜時の基板温度を約−100℃以下、好ましくは−180℃まで冷却することにより、膜構造の異方性はいっそう強調され、良好な偏光分離特性が得られる。
以下に具体的な実施例について述べる。
【0036】
[実施例1]
図4に示す遠距離スパッタリング装置のマグネトロンカーソード1およびマグネトロンカソード2に銅ターゲットを取り付け、マグネトロンカソード3にSiOターゲットを取り付けた。図4に示す基体10の位置に硼珪酸ガラス板を取り付けた。マグネトロンカーソード1およびマグネトロンカソード2の位置は、基体10に対して粒子の入射方向A、Bが、図5に示すように、同一平面P上になるように設定し、α=75°、β=75°とした。一方、マグネトロンカソード3は基体10の法線に対して50°傾斜した位置に設定した。
【0037】
その後、ロータリーポンプおよびクライオポンプを用いて、スパッタ室20内部の圧力を約1×10−4Paまで排気した。ターゲット室11およびターゲット室12にアルゴンガスを導入し、ターゲット室13に5%酸素混合アルゴンガスを導入した。この時スパッタ室20内部の圧力は、4×10−2Paであった。その後、マグネトロンカソード1およびマグネトロンカソード2に直流電源により負電圧を印加し、グロー放電を起こさせた。さらに、マグネトロンカソード3には高周波(周波数、13.56MHz)を印加し、グロー放電を発生させた。
【0038】
つぎに、基体10の表面上で、銅の堆積速度(棒状金属の長さの成長速度)が1.5nm/minになるようにマグネトロンカソード1およびマグネトロンカソード2に供給する電力を調整した。また、マグネトロンカソード3に供給する高周波電力を調整し、基体10の表面上でのSiO膜の堆積速度が2.0nm/minになるようにした。また基板である硼珪酸ガラス板は成膜開始前に液体窒素で−180℃以下に冷却し、成膜中も−180℃以下の温度を維持した。
【0039】
続いてマグネトロンカソード1、およびマグネトロンカソード2およびマグネトロンカソード3の前面に取り付けられているシャッタ6、7、8を同時に操作して成膜を開始し、約2時間の放置した。2時間後に前記3個のシャッタ6、7、8を同時に操作し、成膜を終了した。
【0040】
このようにして、得られた試料の断面構造を透過型電子顕微鏡で観察したところ、図6の断面模式図に示すような構造であった。硼珪酸ガラス板である基板30上にSiOを主成分とする誘電体薄膜50が堆積し、その中に銅を主成分とする柱状の金属40が分散している。柱状の金属40は基板30表面に対してほぼ垂直な状態であった。
【0041】
図6(a)に示すP面と平行な面の断面構造は、柱状金属が誘電体で分離されている構造であり、柱状金属の間隔が平均50nmであることが分かった。一方、図6(b)に示すP面と直交する面での断面構造は、複数の柱状金属が接合している構造であることが分かり、P面と直交する方向の柱状金属断面の差し渡し長さは平均500nmであることが分かった。
【0042】
入射光波長1550nmでの上記(1)式で定義される消光比を測定したところ43dBであり、(2)式で定義される挿入損失は0.4dBであった。これらの特性は光通信用光アイソレータに用いる偏光子に要求される特性を満たしている。
【0043】
[実施例2]
図4に示す遠距離スパッタリング装置のマグネトロンカーソード1およびマグネトロンカソード2にSiOターゲットを取り付け、マグネトロンカソード3に金ターゲットを取り付けた。図4に示す基体10の位置に硼珪酸ガラス板を取り付けた。マグネトロンカーソード1およびマグネトロンカソード2の位置は基体10に対して図5の配置になるように設定し、α=β=75°とした。一方、マグネトロンカソード3は基体10の法線に対して50°傾斜した位置に設定した。
【0044】
その後、ロータリーポンプおよびクライオポンプを用いて、スパッタ室20内部の圧力を約1×10−4Paまで排気した。ターゲット室11およびターゲット室12に5%酸素混合のアルゴンガスを導入し、ターゲット室13にアルゴンガスを導入した。その時にスパッタ室20内部の圧力は、4×10−2Paであった。その後、マグネトロンカソード1およびマグネトロンカソード2に高周波(周波数、13.56MHz)を印加し、グロー放電を起こさせた。さらに、マグネトロンカソード3には直流電圧を印加し、グロー放電を発生させた。
【0045】
つぎに、基体10の表面上で、金の堆積速度(棒状金属の長さの成長速度)が1.5nm/minになるようにマグネトロンカソード3に供給する電力を調整した。また、マグネトロンカソード1に供給する高周波電力を調整し、基体10の表面上におけるカソード1からのSiO膜の堆積速度が1.0nm/minになるようにした。
【0046】
さらに、マグネトロンカソード2に供給する高周波電力を調整し、基体10の表面上でのカソード3からのSiO膜の堆積速度が2.0nm/minになるようにした。また基板である硼珪酸ガラス板は成膜開始前に液体窒素で−180℃以下に冷却し、成膜中も−180℃以下に維持した。
【0047】
続いて、マグネトロンカソード1、およびマグネトロンカソード2およびマグネトロンカソード3の前面に取り付けられているシャッタ6、7、8を同時に操作して成膜を開始し、約2時間の放置した。2時間後に前記3個のシャッタ6、7,8を同時に操作し、成膜を終了した。
【0048】
このようにして、得られた試料の断面構造を透過型電子顕微鏡で観察したところ、図7の断面模式図に示すような構造であった。硼珪酸ガラス板である基板30上にSiOを主成分とする柱状の誘電体45と柱状の金属41が互いに接する形状で分散している。このような柱状の構造体70は基板30表面に対して傾斜して立った状態となり、柱状構造体70の間には空隙部分60が存在する。
【0049】
柱状の金属41は基板30表面に対して傾斜した状態であった。そして、図5のP面と平行な面の断面構造(図7(a))は、柱状金属41が空隙60および誘電体45で分離されている構造であり、柱状金属41の間隔が平均50nmであることが分かった。一方、P面と直交する面での断面構造は、複数の柱状金属が接合している構造であり(図7(b))、P面と直交する方向の柱状金属断面の差し渡し長さは平均500nmであった。
【0050】
入射光波長1550nmでの上記(1)式で定義される消光比を測定したところ41dBであり、(2)式で定義される挿入損失は0.4dBで、光アイソレータに用いる偏光子に要求される特性を満たしている。
【0051】
[実施例3]
図4に示す遠距離スパッタリング装置のマグネトロンカーソード1に銅ターゲットを取り付け、マグネトロンカソード3にSiOターゲットを取り付けた。図4に示す基体10の位置に石英ガラス板を取り付けた。マグネトロンカソードカソード1は基体10の法線方向に対して75°傾斜させ、マグネトロンカソード3は法線方向に対して60°傾斜させた位置にそれぞれ配置した。
その後、ロータリーポンプおよびクライオポンプを用いて、スパッタ室20内部の圧力を約1×10−4Paまで排気した。ターゲット室11にアルゴンガスを導入し、ターゲット室13に5%酸素混合のアルゴンガスを導入した。その時にスパッタ室内部の圧力は、3×10−2Paであった。その後、マグネトロンカソード1に直流電源により負電圧を印加し、グロー放電を起こさせた。さらに、マグネトロンカソード3には高周波(周波数、13.56MHz)を印加し、グロー放電を発生させた。
【0052】
つぎに、基体10の表面上で、銅の堆積速度(棒状金属の長さの成長速度)が1.5nm/minになるようにマグネトロンカソード1に供給する電力を調整した。また、マグネトロンカソード3に供給する高周波電力を調整し、基体10の表面上でのSiO膜の堆積速度が2.5nm/minになるようにした。基板である硼珪酸ガラス板は成膜開始前に液体窒素で−180℃以下に冷却し、成膜中も−180℃以下に維持した。
【0053】
続いて、マグネトロンカソード1、およびマグネトロンカソード3の前面に取り付けられているシャッタ6、8を同時に開放して成膜を開始し、約3時間放置した。3時間後に前記2個のシャッタ6、8を同時に閉じ、成膜を終了した。
【0054】
このようにして、得られた試料の断面構造を透過型電子顕微鏡で観察したところ、図7の断面模式図に示すような構造であった。石英ガラス板である基板30上のSiOを主成分とする柱状の誘電体45と、銅を主成分とする柱状の金属41とが互いに接した状態で分散している。この柱状構造体70は基板31表面の法線に対して約20°傾斜して立った状態となり、柱状構造体の間には空隙部分60が存在する。
【0055】
柱状の金属41は基板30表面に対して傾斜した状態であった。そして、P面と平行な面の断面構造(図7(a))は、柱状金属が空隙60および誘電体45で分離されている構造であり、柱状金属の間隔が平均50nmであった。一方、P面と直交する面での断面構造(図7(b))は、複数の柱状金属が接合している構造であり、P面と直交する方向の柱状金属の差し渡し長さは平均500nmであることが分かった。
【0056】
入射光波長1550nmでの消光比を測定したところ31dBであり、挿入損失は1.4dBであった。この特性を有する膜は、光通信用アイソレータには不十分であるが、液晶プロジェクタ用の偏光膜などの他の用途には適用可能である。
【0057】
[実施例4]
図4に示す遠距離スパッタリング装置のマグネトロンカーソード2にアルミニウムターゲットを取り付け、マグネトロンカソード3にSiOターゲットを取り付けた。図4に示す基体10の位置に硼珪酸ガラス板を取り付けた。マグネトロンカソード2は基体10の法線に対して80°傾斜させ、マグネトロンカソード3は30°傾斜させた位置に配置した。
【0058】
その後、ロータリーポンプおよびクライオポンプを用いて、スパッタ室20内部の圧力を約1×10−4Paまで排気した。ターゲット室12にアルゴンガスを導入し、ターゲット室13に5%酸素混合のアルゴンガスを導入した。その時にスパッタ室20内部の圧力は、3×10−2Paであった。その後、マグネトロンカソード2に直流負電圧を印加し、グロー放電を起こさせた。さらに、マグネトロンカソード3には高周波(周波数;13.56MHz)を印加し、グロー放電を発生させた。
【0059】
つぎに、基体10の表面上で、アルミニウムの堆積速度(棒状金属の長さの成長速度)が2.5nm/minになるようにマグネトロンカソード2に供給する電力を調整した。また、マグネトロンカソード3に供給する高周波電力を調整し、基体10の表面上におけるSiO膜の堆積速度が6.0nm/minになるようにした。また基板である硼珪酸ガラス板は成膜開始前に液体窒素で−180℃以下に冷却し、成膜中も−180℃以下に保持した。
【0060】
続いて、マグネトロンカソード3の前面に取り付けられているシャッタ8とマグネトロンカソード2の前面に取り付けられているシャッタ7を操作して成膜を開始した。2.5時間後にシャッタ7、8を閉めて成膜を終了した。
【0061】
このようにして、得られた試料の断面構造を透過型電子顕微鏡で観察したところ、図8の断面模式図に示すような構造であった。硼珪酸ガラス板である基板30上にSiOを主成分とする誘電体膜50が堆積し、その中にアルミニウムを主成分とする柱状の金属43が分散している状態であった。この柱状金属43は基板30表面に対して傾斜して立った状態であった。
【0062】
柱状の金属43は基板30表面に対して傾斜した状態であった。そして、P面と平行な面の断面構造(図8(a))は、柱状金属が誘電体50で分離されている構造であり、柱状金属の間隔が平均50nmであることが分かった。一方、P面と直交する面での断面構造(図8(b))は、複数の柱状金属が接合している構造であることが分かり、P面と直交する方向の柱状金属の差し渡し長さは平均500nmであった。
【0063】
入射光波長1550nmでの上記(1)式で定義される消光比を測定したところ37dBであり、(2)式で定義される挿入損失は1.4dBであった。光通信用光アイソレータに用いる偏光子に要求される特性は満足していないが、液晶プロジェクタ用偏光膜などの用途には適用可能である。
【0064】
[比較例1]
図12に示すマグネトロンスパッタリング装置のマグネトロンカーソード101に金ターゲットを取り付け、マグネトロンカソード102にSiOターゲットを取り付けた。図12に示す基体110の位置に石英ガラスを取り付けた。
【0065】
その後、ロータリーポンプおよびクライオポンプを用いて、スパッタ室120内部の圧力を約1×10−4Paまで排気した。マグネトロンカソード101にアルゴンガスをガス導入管103より供給し、マグネトロンカソード102に5%酸素混合のアルゴンガスをガス導入管104より供給した。その時にスパッタ室120内部の圧力は、5×10−1Paであった。この圧力下での平均自由行程は約30mmである。この程度の平均自由行程では、スパッタ粒子が基板に到達前にガス分子により散乱され、粒子が飛行する際の方向性は失われる。
【0066】
次いでマグネトロンカソード101に直流電源により負電圧を印加し、グロー放電を起こさせた。さらに、マグネトロンカソード102には高周波(周波数、13.56MHz)を印加し、グロー放電を発生させた。
【0067】
つぎに、基体110の表面上で、金の堆積速度が0.7nm/minになるようにマグネトロンカソード101に供給する電力を調整した。また、マグネトロンカソード102に供給する高周波電力を調整し、基体110の表面上でのSiO膜の堆積速度が2.5nm/minになるようにした。また基板である硼珪酸ガラス板は成膜開始前に液体窒素で−180℃以下に冷却し、成膜中も−180℃以下の温度を維持した。
【0068】
続いて、マグネトロンカソード101、およびマグネトロンカソード102の前面に取り付けられているシャッタ(図示しない)を同時に開放して成膜を開始し、約2時間放置した。2時間後に前記2個のシャッタを同時に閉じ、成膜を終了した。
【0069】
このようにして得られた試料の断面構造を透過型電子顕微鏡で観察したところ、SiO膜中に粒状のAu微粒子が分散している構造であった。入射光波長1550nmでの消光比を測定したところ0.3dBであり、挿入損失は17dBで、光アイソレータに用いる偏光子としては使用できない。
【0070】
[比較例2]
図4に示す遠距離スパッタリング装置のマグネトロンカーソード1にSiOを取り付け、マグネトロンカソード2に10%パラジウム−銀合金ターゲットを取り付けた。図4に示す基体10の位置に硼珪酸ガラスを取り付けた。マグネトロンカソード1、2とも基体10の法線に対して70°傾斜した位置に配置した。
【0071】
その後、ロータリーポンプおよびクライオポンプを用いて、スパッタ室20内部の圧力を約1×10−4Paまで排気した。次いでターゲット室11に15%酸素混合のアルゴンガスを導入した。その時にスパッタ室20内部の圧力は、2.5×10−2Paであった。その後、マグネトロンカソード1に高周波電力(周波数:13.56MHz)を供給し、グロー放電を起こさせた。
【0072】
つぎに、基体10の表面上で、SiOの堆積速度(棒状金属の長さの成長速度)が2.5nm/minになるようにマグネトロンカソード1に供給する電力を調整した。また基板である硼珪酸ガラス板は成膜開始前に液体窒素で−180℃以下に冷却し、成膜中も−180℃以下の温度を維持した。
【0073】
続いて、マグネトロンカソード1の前面に取り付けられているシャッタ6を開放して成膜を開始し、約2時間の放置した。2時間後にシャッタ6を閉じ、成膜を終了した。
【0074】
さらに、ターゲット室12にアルゴンガスを導入した。その時にスパッタ室20内部の圧力は、2.5×10−2Paであった。その後、マグネトロンカソード2に直流電力を供給し、グロー放電を起こさせた。つぎに、基体10の表面上で、10%パラジウム−銀合金ターゲットの堆積速度が2.5nm/minになるようにマグネトロンカソード2に供給する電力を調整した。続いて、マグネトロンカソード2の前面に取り付けられているシャッタ7を開放して成膜を開始し、約2時間の放置した。2時間後にシャッタ7を閉じ、成膜を終了した。
【0075】
このようにして得られた試料の断面構造を透過型電子顕微鏡で観察したところ、柱状のSiO膜上に粒状の10%パラジウム−銀合金が分散している構造であった。入射光波長1550nmでの消光比を測定したところ2dBであり、挿入損失は9.5dBで、光アイソレータに用いる偏光子としては使用できない。
【0076】
本発明の偏光特性を有する薄膜は膜の構造が柱状であり、とくに実施例2、3のように柱状構造体の間に空隙が存在する場合もある。そのため、化学的耐久性に問題が生じる場合があるが、この場合には、偏光特性を有する膜上に透明な保護膜を形成するのが望ましい。
【0077】
図9は実施例2に示した柱状構造体70を作製した後、SiO保護膜51を形成した例を示している。柱状構造体の形成が終了した後、ターゲット室11に供給している5%酸素混合のアルゴンガス流量を柱状構造体の形成時より増やして、スパッタ室20内部の圧力を、6×10−1Paに調整する。マグネトロンカソード1に高周波(周波数、13.56MHz)を印加し、シャッタ6を開いて約3nm/minの成膜速度でSiO膜を約1時間成膜した。
【0078】
さらに、高屈折率材料と中間屈折率材料、低屈折率材料など屈折率の異なる複数の層を積層すれば保護膜の機能を兼ねた反射防止膜を形成することもでき、空気と偏光膜界面での反射を抑制し挿入損失を低くする効果が得られる。
【0079】
さらに、偏光特性を有する薄膜と基板の界面の反射を防止して、挿入損失を抑制するために反射防止層として基体と偏光特性を有する膜の間に追加の層を形成して良い。
【0080】
図10は実施例4に示した偏光薄膜を作製する前に、基板30上にSiO膜52を形成し、さらに偏光薄膜形成後にSiO保護膜53を形成した例を示している。偏光薄膜形成のための調整後、マグネトロンカソード3の前面に取り付けられているシャッタ8のみを操作してSiOの成膜を開始する。1時間後に、マグネトロンカソード2の前面に取り付けられているシャッタ7を開けることにより、中断することなく偏光薄膜の成膜に移行することができる。
【0081】
さらに2.5時間後にシャッタ8を開放のまま放置し、シャッタ7のみを閉める。これにより連続して偏光薄膜表面にSiO保護膜53が成膜される。1時間後に、シャッタ8を閉めて成膜を終了すれば、図10のような構造が得られる。この場合も反射防止機能を強化するために層52、53を複数の層で構成してもよい。
【0082】
なお、本発明の偏光特性を有する膜の柱状金属の径および長さは、使用する波長域によって偏光特性を最大にするために好ましい値が異なる。使用する波長域に合わせて柱状金属の径を制御するために基体表面上に凹凸が形成されていてもよい。基体の表面凹凸を形成するために、基体表面を加工してもよいが、表面の平坦な基板上に表面に凹凸が生じるように薄膜を形成し、それを利用してもよい。
【0083】
本発明における誘電体層として上記実施例ではSiOを例示したが、使用波長領域で透明な材料であればとくに制限はない。SiN、SiO、SnO、Al、MgF、ZnO、Si、MgOなどは上記の遠距離スパッタリングで成膜ができ、適用可能である。ただし、挿入損失を小さくするためにはSiO、SiOなどがとくに好ましい。
【0084】
本発明における金属としては、金、銀、銅、パラジウム、白金、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、クロムなどの単体金属の他、銀−パラジウム合金、金−銀合金、銀−錫合金、銀−亜鉛合金、銀−アルミニウム合金などが使用できる。ただし、銀、金、アルミニウムなどの凝集しやすい金属の場合には、成膜中に微粒を形成しやすい。これらの金属の場合には、成膜時に基体の温度が上昇しないように基体を冷却することが必要になる。
【0085】
また、誘電体材料と金属材料の選定で、お互いに固溶する組み合わせの選定は好ましくない。この場合には、金属と誘電体が混合するために所望の柱状構造膜が得られなくなる。
【0086】
本発明の柱状構造体の形成には高温プロセスを必要としない。このため基体の材料はとくに限定されることはなく、石英ガラス、シリコン、硼珪酸ガラス、樹脂、ソーダライムガラスなどを用いることができる。さらに、基体の形状も特に限定されることはなく、上記実施例に示した板形状に限られない。曲面を有するレンズ表面やプリズムなどの光学部品上にも、それらに熱的損傷を与えることなく直接形成することが可能である。
【0087】
成膜方法としては、上述のように堆積させる材料の粒子を方向性をもって供給できる方法であればよい。上述の方法の他、イオンビームスパッタリングやマグネトロンスパッタリングなどの各種物理成膜方法はこの条件に適合する。
【0088】
図11に示すようなイオンビームスパッタ法は、成膜中のターゲットと基板の間のガス圧力が低く(約1×10−2Pa)、平均自由工程が長いので好ましい。このイオンビームスパッタ装置80は装置内を一排気系で比較的低圧に排気する。複数のイオンガン81、82、83からイオンビームをターゲット91、92、93にそれぞれ照射し、基体90上に薄膜を形成する。成膜はシャッタ86によって制御する。しかしこのイオンビームスパッタリングは、イオンガンとターゲットの両方が必要であり装置が複雑である。適切なイオンビーム入射角度を設定するためには、装置の設計、製作が煩雑になるという難点がある。
【0089】
図12に示すような通常のマグネトロンスパッタリングのプロセス圧力は0.1Pa以上である。したがって比較例1に示したように柱状構造膜は得られにくい。このような通常のマグネトロンスパッタリング装置を使用する場合には、図13に示すようにスパッタターゲットと基板の間に蒸発粒子の向きを揃えるためのコリメータ108を挿入するなどの工夫が必要となる。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、成膜工程だけで基体上に優れた偏光分離特性を有し、かつ優れた機械的耐久性を有する膜を形成できる。とくに本発明の製造工程には光学部品に損傷を与えるような高温加熱工程を含まないため、光学部品上に偏光子を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】柱状構造薄膜の構造モデルを示す図である。
【図2】柱状構造薄膜の他の構造モデルを示す図である。
【図3】図2の構造モデルにおける消光比の計算結果を示す図である。
【図4】本発明の柱状構造膜を成膜するための成膜装置の構成を示す模式図である。
【図5】本発明の柱状構造膜を成膜するための基本配置を示す模式図である。
【図6】実施例1により形成された柱状構造膜の断面構造を示す模式図である。
【図7】実施例2および3により形成された柱状構造膜の断面構造を示す模式図である。
【図8】実施例4により形成された柱状構造膜の断面構造を示す模式図である。
【図9】実施例2により形成された柱状構造膜表面に保護膜を設けた場合の断面構造を示す模式図である。
【図10】実施例4により形成された柱状構造膜の表面および基体界面に誘電体薄膜を設けた場合の断面構造を示す模式図である。
【図11】本発明の柱状構造膜を成膜するための他の成膜装置の構成を示す模式図である。
【図12】従来のマグネトロンスパッタ装置の構成を示す模式図である。
【図13】改良したマグネトロンスパッタ装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1,2,3,101,102 マグネトロンカソード
6,7,8,86 シャッタ
10,90,110 基体
11,12,13 ターゲット室
14,15,16,103,104 ガス導入管
20,120 スパッタ室
30,31 ガラス基板
40,41,42,43 柱状金属
45 柱状誘電体
50,51,52,53 誘電体薄膜
60,61 空隙部分
70,71 柱状構造体
80 イオンビームスパッタ装置
81,82,83 イオンガン
91,92,93 ターゲット
108 コリメータ

Claims (13)

  1. 偏光特性を有する薄膜からなる薄膜偏光子において、透明基体上に形成された誘電体膜中に多数の柱状金属が分散した構造を有し、該柱状金属の長手方向が前記基体表面に対して垂直、もしくは傾斜しており、該柱状金属の基体表面に平行な断面形状が、少なくとも該基体表面から一定距離以上離れた範囲においては面積が略一定で異方性を有する形状であり、その長径方向では複数の柱状金属が互いに接し、短径方向では分離して配列していることを特徴とする薄膜偏光子。
  2. 偏光特性を有する薄膜からなる薄膜偏光子において、前記薄膜が透明基体上に形成された多数の柱状誘電体と多数の柱状金属からなる空隙のある構造を有し、該柱状誘電体および柱状金属の長手方向は略平行で、前記基体表面に対して垂直、もしくは傾斜しており、該柱状金属の基体表面に平行な断面形状が、少なくとも該基体表面から一定距離以上離れた範囲においては面積が略一定で異方性を有する形状であり、その長径方向では複数の柱状金属が互いに接し、短径方向では分離して配列していることを特徴とする薄膜偏光子。
  3. 前記柱状誘電体と柱状金属とが対をなし、それらの長手方向側面が互いに接していることを特徴とする請求項2に記載の薄膜偏光子。
  4. 前記柱状金属の前記断面の短径の長さが5nm以上30nm以下であり、長径の長さが50nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜偏光子。
  5. 前記柱状金属の前記断面の面積が、少なくとも前記基体表面から50nm以上離れた範囲において略一定であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜偏光子。
  6. 前記複数の柱状金属が、前記断面の短径方向に30nm以上分離して配列していることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜偏光子。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の薄膜偏光子の周囲媒体と接する表面に、1層もしくは複数層の透明誘電体膜を形成したことを特徴とする薄膜偏光子。
  8. 前記偏光特性を有する薄膜と前記透明基体との界面に1層もしくは複数層の透明誘電体膜を挿入したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の薄膜偏光子。
  9. 前記透明基体上に、該透明基体表面の法線に対して一定角度を有する少なくとも1方向から金属粒子もしくは金属原子もしくは金属イオンを入射し、同時に前記透明基体表面の法線に対して一定角度を有する少なくとも1方向から誘電体の蒸発粒子もしくは該誘電体を構成する原子もしくは該誘電体を構成するイオンを入射する薄膜偏光子の製造方法において、前記基体を室温より低い温度に冷却することを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜偏光子の製造方法。
  10. 前記透明基体上に、該透明基体表面の法線に対して同一角度を有する対称な2方向から金属粒子もしくは金属原子もしくは金属イオンを入射し、同時に該透明基体表面の法線に対して一定角度を有する少なくとも1方向から誘電体の蒸発粒子もしくは該誘電体を構成する原子もしくは該誘電体を構成するイオンを入射することを特徴とする請求項9に記載の薄膜偏光子の製造方法。
  11. 前記透明基体上に、該透明基体表面の法線に対して同一角度を有する対称な2方向から誘電体の蒸発粒子もしくは該誘電体を構成する原子もしくは該誘電体を構成するイオンを入射し、同時に該透明基体表面の法線に対して角度を有する少なくとも1方向から金属粒子もしくは金属原子もしくは金属イオンを入射することを特徴とする請求項9に記載の薄膜偏光子の製造方法。
  12. 前記室温より低い温度を−100℃以下とすることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の薄膜偏光子の製造方法。
  13. 前記室温より低い温度を−180℃以下とすることを特徴とする請求項12に記載の薄膜偏光子の製造方法。
JP2002231279A 2002-08-08 2002-08-08 薄膜偏光子およびその製造方法 Pending JP2004070131A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002231279A JP2004070131A (ja) 2002-08-08 2002-08-08 薄膜偏光子およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002231279A JP2004070131A (ja) 2002-08-08 2002-08-08 薄膜偏光子およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004070131A true JP2004070131A (ja) 2004-03-04

Family

ID=32017099

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002231279A Pending JP2004070131A (ja) 2002-08-08 2002-08-08 薄膜偏光子およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004070131A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7113338B2 (en) 2003-11-28 2006-09-26 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Thin-film structure and method for producing the same
JP2011076113A (ja) * 2010-12-24 2011-04-14 Fujifilm Corp 光学素子とその製造方法、液晶装置、及び投射型表示装置
JP2015082010A (ja) * 2013-10-22 2015-04-27 デクセリアルズ株式会社 無機光学素子
JP2020026575A (ja) * 2018-08-10 2020-02-20 東京エレクトロン株式会社 成膜装置、成膜システム、および成膜方法
US11664207B2 (en) 2018-08-10 2023-05-30 Tokyo Electron Limited Film-forming apparatus, film-forming system, and film-forming method
CN121069642A (zh) * 2025-11-04 2025-12-05 电子科技大学(深圳)高等研究院 一种太赫兹波段的圆偏振选择型波前整形器件及使用方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7113338B2 (en) 2003-11-28 2006-09-26 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Thin-film structure and method for producing the same
JP2011076113A (ja) * 2010-12-24 2011-04-14 Fujifilm Corp 光学素子とその製造方法、液晶装置、及び投射型表示装置
JP2015082010A (ja) * 2013-10-22 2015-04-27 デクセリアルズ株式会社 無機光学素子
WO2015060213A1 (ja) * 2013-10-22 2015-04-30 デクセリアルズ株式会社 無機光学素子及びその製造方法
US9964670B2 (en) 2013-10-22 2018-05-08 Dexerials Corporation Inorganic optical element having a birefringent film with a columnar structure and a protective film formed thereon and method for manufacturing same
JP2020026575A (ja) * 2018-08-10 2020-02-20 東京エレクトロン株式会社 成膜装置、成膜システム、および成膜方法
US11664207B2 (en) 2018-08-10 2023-05-30 Tokyo Electron Limited Film-forming apparatus, film-forming system, and film-forming method
CN121069642A (zh) * 2025-11-04 2025-12-05 电子科技大学(深圳)高等研究院 一种太赫兹波段的圆偏振选择型波前整形器件及使用方法
CN121069642B (zh) * 2025-11-04 2026-01-30 电子科技大学(深圳)高等研究院 一种太赫兹波段的圆偏振选择型波前整形器件及使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6358440B1 (en) Process for producing thin film, thin film and optical instrument including the same
JP2004511655A (ja) マグネトロンネガティブイオンスパッタ源を用いるインジウムスズ酸化物薄膜の作製方法
CN110441844A (zh) 一种10 kW半导体激光器用高反膜及其制备方法
JP2003520296A (ja) 透明インジウム錫酸化物の電子ビーム蒸着方法
JP2004070131A (ja) 薄膜偏光子およびその製造方法
US7113338B2 (en) Thin-film structure and method for producing the same
CN109023273B (zh) 一种镀膜设备及镀膜方法
Motohiro et al. Sputter-deposited SiOx films for liquid crystal alignment
JP2003215336A (ja) 薄膜偏光子およびその製造方法
CN102051497A (zh) 金银镶嵌靶材及其薄膜的制备方法
Sato et al. Fabrication techniques and characteristics of Al-SiO/sub 2/laminated optical polarizers
JP2009179866A (ja) 紫外波長域用反射防止膜の製造方法
JP2003344651A (ja) 薄膜構造体およびそれを用いた薄膜偏光子
CN118460979A (zh) 铝膜溅镀方法及铝膜
JP2005181990A (ja) 薄膜構造体およびその製造方法
CN103556114B (zh) 一种碳基薄膜衰减滤光片的制备方法
JP2761893B2 (ja) スパッタリング装置
Jang et al. Crossover of the preferred growth orientation of AlN/Si (001) films during off-axis radio frequency sputter growth
JP3727679B2 (ja) 薄膜の製造方法
JP3776479B2 (ja) 光学薄膜およびその製造方法
JP2005325386A (ja) 薄膜構造体およびその製造方法
JP3742443B2 (ja) 薄膜の製造方法
JP3933218B2 (ja) 光学薄膜の製造方法及び光学薄膜
JPH09263936A (ja) 薄膜の製造方法および薄膜
JP3722603B2 (ja) 偏光子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050411

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080411

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080701

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081104