JP2004067394A - 両面防汚膜付きガラスおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程において傷つきが少なく、また、防汚膜の効果が両面とも高く安定している高耐久性を維持できる両面防汚膜付きガラスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】溶融ガラスをSn浴上に流しながら徐々に硬化させて板状ガラスを形成するフロートバス法によって製造した板状ガラスを使用し、この板状ガラスのSn浴に接さず形成されたトップ面上に、最初にアルカリ遮断膜を形成し、次いで防汚膜を形成し、最後にトップ面の反対面となるボトム面に、防汚膜を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】溶融ガラスをSn浴上に流しながら徐々に硬化させて板状ガラスを形成するフロートバス法によって製造した板状ガラスを使用し、この板状ガラスのSn浴に接さず形成されたトップ面上に、最初にアルカリ遮断膜を形成し、次いで防汚膜を形成し、最後にトップ面の反対面となるボトム面に、防汚膜を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両面ともに高品質、高耐久性の防汚膜で覆われた単板ガラス、複層ガラスまたは合わせガラスである両面防汚膜付きガラス、およびこれらガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス板上に、酸化チタン等の光触媒を含有する膜を形成する方法に関しては種々の方法が開示されている。
例えば特開平8−106132号公報には二酸化チタンを主成分とするゾル液をベースに、塗布や、ディッピングにより光触媒膜を形成する方法が記載されている。
また、特開平8−528290号公報には、無定形シリカの前駆体に、結晶性チタニア粒子を分散させた懸濁液を塗布し、脱水縮合させて光触媒性の親水性表面を得る方法が開示されている。
更に、特開平9−224796号公報には、基材上にアルカリ・バリアー層を形成した後、光触媒性の酸化チタンを主成分とする膜を塗布、乾燥、焼成する方法が開示されており、特開平9−233689号公報には、フロートガラス製造工程中のフロートバス中で気相合成するオンラインCVD法により、光触媒性の酸化チタン被膜を形成する方法が開示されている。
また特開2001−80939号公報には、フロートバス出口を出て成形工程が終了する間のリボン状ガラス表面に、チタン酸水溶液を噴霧してガラスの保有熱で酸化チタン膜を形成する方法が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般家屋やオフィス用建造物においては、外面側の汚れが室内側と比較して圧倒的に大きい。したがってこのような場所に配置されるガラス窓や採光口等は、上記各先行技術に基づいて外部に面するガラス片面にのみ防汚膜形成処理を行えば良かった。しかし、道路の防音壁や鉄道沿線の遮音壁等に使用するガラス板は、どちらの面も激しく汚染されるため両面の防汚膜形成処理が必要である。
【0004】
防汚膜として酸化チタンなどの光触媒膜を、直接板状ガラス上に形成すると、形成する際の条件や成膜後の環境によっては、ガラスから拡散したアルカリが原因で、光触媒膜の光触媒特性が損なわれ、防汚膜の特性が低下することがある。特に、道路の防音壁や鉄道沿線の遮音壁等に使用する板状ガラスは、屋外での使用条件が厳しいため、設置後の防汚膜の特性低下に対し、ガラスからのアルカリ拡散を抑制する配慮が必要である。
そのため、防汚膜と板状ガラスの間に、アルカリ遮断膜を形成することが必要となり、このことが成膜工程の煩雑化と成膜時に発生する傷の原因となっていた。
【0005】
従来は、ディピングによる方法を除けば、ガラス面を両面同時処理することが出来ないため、必ずどちらかの面を先に成膜処理し、次に、成膜処理済みの面を支持具で支えて反対面も成膜処理することが行われていた。ガラスの両面にアルカリ遮断膜と防汚膜を形成する際、成膜後の面を支える工程が少なくとも2工程必要であった。
成膜後の膜面は、ガラス面に比べて傷つき易いので、膜面を支える工程が多いと、傷が多く入り、傷が目立ち易いという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、板状ガラスを処理する際の傷つきが少なく、また、防汚膜の効果が両面とも安定していて高耐久性を維持できる両面防汚膜付きガラスおよびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の両面防汚膜付きガラスの第1の製造方法は、溶融ガラスをSn浴上に流し出し徐々に硬化させるフロートバス法によって製造した板状ガラスを用い、最初にこの板状ガラスのSn浴に接することなく形成されたトップ面上にアルカリ遮断膜を形成し、次いでその上に防汚膜を形成し、最後にSn浴に接して形成されたボトム面上に防汚膜を形成する方法である。
【0008】
また、本発明の両面防汚処理ガラスの第2の製造方法は、溶融ガラスをSn浴上に流し出し徐々に硬化させるフロートバス法によって製造した板状ガラスを用い、この板状ガラスのSn浴に接して形成されたボトム面上に防汚膜を形成し、このボトム面上に防汚膜を形成した板状ガラスを2枚組み合わせ、防汚膜面がいずれも外面を形成するように構成する方法である。
前記各防汚処理としては、光触媒機能を有する酸化チタンを含む膜を形成することが好ましい。
【0009】
また、前記第1の製造方法により製造された本発明の両面防汚膜付きガラスは、前記ボトム面に厚さ50〜500nmの防汚膜が形成され、トップ面に厚さ20〜200nmのアルカリ遮断膜、および厚さ50〜500nmの防汚膜がこの順に形成された構成となっている。
【0010】
また、前記第2の製造方法により製造された本発明の両面防汚膜付きガラスは、両方の外面に厚さ50〜500nmの防汚膜が形成された合わせガラスまたは複層ガラスである。
本発明の両面防汚膜付きガラスには、防汚膜として光触媒機能を有する酸化チタンを含む膜が設けられていることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。図1は本発明の第1の製造方法によって製造された両面防汚膜付き単板ガラスの一例を示す断面図である。両面防汚膜付き単板ガラス1は、フロートバス法によって製造されたフロートガラス2のトップ面(火造り面とも言う)3にアルカリ遮断膜4と防汚膜5がこの順に形成されている。また、ボトム面6にも防汚膜5と同様の防汚膜7が形成されている。
【0012】
フロートガラス2は、1000℃を優に超える温度で溶融しているガラスを約600℃の溶融錫を溜めたSn浴上に流し出しながら平板状に徐々に硬化させて形成される。したがってフロートガラス2のトップ面3にはガラスが露出しているが、ボトム面6には酸化錫の拡散層8が存在している。この拡散層8とは、ボトム面表面にて酸化錫(SnO2)濃度が最も高く、ガラス内部への深度が大きくなるに従いSnO2濃度が小さくなっている層のことであり、代表的には、ボトム面表面から1〜2nmの深さでのSnO2濃度は約30wt%、100nm深さでのSnO2濃度は約5wt%、2000nm深さでのSnO2濃度は約1wt%である。拡散層8が存在するので、ボトム面側のアルカリ溶出量は、トップ面側のそれよりも少ない。
【0013】
ここで、フロートガラスのアルカリ溶出に関連して実験値を示す。図2はフロートガラスのアルカリ溶出量について、ボトム面とトップ面との違いを示したグラフである。図2によれば、温度50℃、湿度95%の条件下にフロートガラス板を保持すると、ボトム面ではアルカリ(Na2O)がほとんど溶出しないのに対して、トップ面では16日目に7.6マイクログラム/cm2、36日目には24.6マイクログラム/cm2も溶出することがわかる。すなわち、ボトム面に形成されている酸化錫拡散層は、アルカリ溶出防止に大きく貢献していることが明らかである。
【0014】
本発明においては、このボトム面のアルカリ遮断性能を利用し、トップ面にのみアルカリ遮断膜の形成を行った。前記、第1の製造方法においては、まずトップ面3にアルカリ遮断膜を形成する。トップ面に形成するアルカリ遮断膜4としては、二酸化珪素(SiO2)膜、窒化珪素(SiNx)膜、あるいは二酸化錫(SnO2)膜が好ましいが、中でもSiO2膜が最も好ましい。
【0015】
アルカリ遮断膜4の厚さは20〜200nmが好ましい。アルカリ遮断膜4の厚さが20nm未満ではガラス面から拡散溶出するアルカリを十分に遮断することができず、防汚膜5の防汚性能が低下することがある。一方、厚さが200nmを超えると寒暖によるガラスの伸縮が原因で、防汚膜5とともに亀裂が生じ、膜が剥離するおそれがある。
【0016】
次いで、形成されたアルカリ遮断膜4の上に、さらに防汚膜5を形成する。この防汚膜の一例としては、チタン酸水溶液による酸化チタン膜の形成がある。例えばペルオキシチタン酸、あるいはチタンペロキソクエン酸アンモニウム水和物を主成分とするチタン酸水溶液を、吹き付けまたは塗布し、焼き付け処理することにより親水性および光触媒性による防汚機能を発揮するアナターゼ型酸化チタン膜を形成する。防汚膜の厚さは50〜500nmが好ましく、100〜300nmがより好ましい。この厚さが50nm未満では防汚機能が十分に発揮されず好ましくない。一方、厚さが500nmを超えると寒暖によるガラスの伸縮に対応できず、亀裂や剥離を生ずるおそれがあり、やはり好ましくない。
【0017】
最後にボトム面6の処理を行い、防汚膜7を形成する。この際、トップ面側を吸盤等の支持具で支持する工程が1回生じるが、従来の最低2回よりも取り扱いの際の傷が少ない。
【0018】
上記の方法で形成された本発明の両面防汚膜付きガラス1の防汚膜は、トップ面3側がアルカリ遮断膜4で、ボトム面6側がボトム面に存在する酸化錫拡散層8で、それぞれアルカリが遮断されるので、防汚膜5及び7の防汚性能の低下を防ぐことが出来る。
【0019】
図3は、本発明の第2の製造方法によって製造された両面防汚膜付き複層ガラスの一例を示す断面図である。両面防汚膜付き複層ガラス10は、フロートバス法によって製造されたフロートガラス2を2枚使用している。それぞれのフロートガラス2は、トップ面3を内側に、ボトム面6を外側に配置して一体化されている。ボトム面6の表面には酸化錫拡散層8が形成されているため、ガラスからのアルカリ拡散の問題が無く、ここに直接、防汚膜7を既述と同様の方法、膜厚で形成する。
【0020】
本発明の両面防汚膜付きガラス10は、ボトム面6に防汚膜7が形成された2枚のガラスを、防汚膜を外面に向けて組み合わせた構成を有しており、防汚膜形成の際には、ガラスのトップ面が支持されるのみで、他の膜が支持されることはない。よって、成膜工程の際に傷が入ることはない。また、ボトム面のアルカリ遮断性能を活用しているのでアルカリ遮断膜の形成が不要で、成膜工程上も有利である。さらに、両面の防汚性能が高くかつ均一である。
【0021】
なお、ボトム面6に防汚膜7が形成された2枚のガラスを、それら防汚膜面が外側になるよう、ブチラール樹脂等のプラスチックを挟んで接着し、合わせガラス板を形成すれば、前記複層ガラスと同様に成膜工程の際に傷が発生することなく、工程上も有利で、両面の防汚性能が高くかつ均一である。
さらに、上記接着を清浄度に優れるトップ面3同士で行うため接着力が高くなる利点もある。
【0022】
なお、本発明において、フロートガラスのトップ面とボトム面を区別する方法として、(1)暗所で紫外光をフロートガラス面に当てて、白濁して見える面をボトム面と判断する方法もしくは(2)製造直後のフロートガラスの端面を見てカッター線が入っている面をトップ面と判断する方法などを用いることができる。これら面を区別する方法を、製造工程に組み込み、成膜面を制御することで、効率的に本発明の両面防汚膜付きガラスが製造できる。
【0023】
【発明の効果】
本発明の両面防汚膜付きガラスは、Sn浴によるフロートバス法で製造した板状ガラスのボトム面のアルカリ遮断性能を活用して製造するため、製造工程で傷が入りにくく、また両面とも安定した高い防汚性能を備えている。
【0024】
従って本発明の両面防汚処理ガラスは、防汚機能が要求され、かつ、環境の厳しい施設、例えば道路の防音壁や鉄道沿線の遮音壁に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の製造方法によって製造された両面防汚膜付き単板ガラスの一例を示す断面図
【図2】フロートガラスのアルカリ溶出量について、ボトム面とトップ面との違いを示したグラフ
【図3】本発明の第2の製造方法によって製造された両面防汚膜付き複層ガラスの一例を示す断面図
【符号の説明】
1…両面防汚膜付きガラス、2…フロートガラス、3…トップ面、4…アルカリ遮断膜、5,7…防汚膜、6…ボトム面、8…酸化錫拡散層、10…両面防汚膜付き複層ガラス。
【発明の属する技術分野】
本発明は、両面ともに高品質、高耐久性の防汚膜で覆われた単板ガラス、複層ガラスまたは合わせガラスである両面防汚膜付きガラス、およびこれらガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス板上に、酸化チタン等の光触媒を含有する膜を形成する方法に関しては種々の方法が開示されている。
例えば特開平8−106132号公報には二酸化チタンを主成分とするゾル液をベースに、塗布や、ディッピングにより光触媒膜を形成する方法が記載されている。
また、特開平8−528290号公報には、無定形シリカの前駆体に、結晶性チタニア粒子を分散させた懸濁液を塗布し、脱水縮合させて光触媒性の親水性表面を得る方法が開示されている。
更に、特開平9−224796号公報には、基材上にアルカリ・バリアー層を形成した後、光触媒性の酸化チタンを主成分とする膜を塗布、乾燥、焼成する方法が開示されており、特開平9−233689号公報には、フロートガラス製造工程中のフロートバス中で気相合成するオンラインCVD法により、光触媒性の酸化チタン被膜を形成する方法が開示されている。
また特開2001−80939号公報には、フロートバス出口を出て成形工程が終了する間のリボン状ガラス表面に、チタン酸水溶液を噴霧してガラスの保有熱で酸化チタン膜を形成する方法が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般家屋やオフィス用建造物においては、外面側の汚れが室内側と比較して圧倒的に大きい。したがってこのような場所に配置されるガラス窓や採光口等は、上記各先行技術に基づいて外部に面するガラス片面にのみ防汚膜形成処理を行えば良かった。しかし、道路の防音壁や鉄道沿線の遮音壁等に使用するガラス板は、どちらの面も激しく汚染されるため両面の防汚膜形成処理が必要である。
【0004】
防汚膜として酸化チタンなどの光触媒膜を、直接板状ガラス上に形成すると、形成する際の条件や成膜後の環境によっては、ガラスから拡散したアルカリが原因で、光触媒膜の光触媒特性が損なわれ、防汚膜の特性が低下することがある。特に、道路の防音壁や鉄道沿線の遮音壁等に使用する板状ガラスは、屋外での使用条件が厳しいため、設置後の防汚膜の特性低下に対し、ガラスからのアルカリ拡散を抑制する配慮が必要である。
そのため、防汚膜と板状ガラスの間に、アルカリ遮断膜を形成することが必要となり、このことが成膜工程の煩雑化と成膜時に発生する傷の原因となっていた。
【0005】
従来は、ディピングによる方法を除けば、ガラス面を両面同時処理することが出来ないため、必ずどちらかの面を先に成膜処理し、次に、成膜処理済みの面を支持具で支えて反対面も成膜処理することが行われていた。ガラスの両面にアルカリ遮断膜と防汚膜を形成する際、成膜後の面を支える工程が少なくとも2工程必要であった。
成膜後の膜面は、ガラス面に比べて傷つき易いので、膜面を支える工程が多いと、傷が多く入り、傷が目立ち易いという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、板状ガラスを処理する際の傷つきが少なく、また、防汚膜の効果が両面とも安定していて高耐久性を維持できる両面防汚膜付きガラスおよびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の両面防汚膜付きガラスの第1の製造方法は、溶融ガラスをSn浴上に流し出し徐々に硬化させるフロートバス法によって製造した板状ガラスを用い、最初にこの板状ガラスのSn浴に接することなく形成されたトップ面上にアルカリ遮断膜を形成し、次いでその上に防汚膜を形成し、最後にSn浴に接して形成されたボトム面上に防汚膜を形成する方法である。
【0008】
また、本発明の両面防汚処理ガラスの第2の製造方法は、溶融ガラスをSn浴上に流し出し徐々に硬化させるフロートバス法によって製造した板状ガラスを用い、この板状ガラスのSn浴に接して形成されたボトム面上に防汚膜を形成し、このボトム面上に防汚膜を形成した板状ガラスを2枚組み合わせ、防汚膜面がいずれも外面を形成するように構成する方法である。
前記各防汚処理としては、光触媒機能を有する酸化チタンを含む膜を形成することが好ましい。
【0009】
また、前記第1の製造方法により製造された本発明の両面防汚膜付きガラスは、前記ボトム面に厚さ50〜500nmの防汚膜が形成され、トップ面に厚さ20〜200nmのアルカリ遮断膜、および厚さ50〜500nmの防汚膜がこの順に形成された構成となっている。
【0010】
また、前記第2の製造方法により製造された本発明の両面防汚膜付きガラスは、両方の外面に厚さ50〜500nmの防汚膜が形成された合わせガラスまたは複層ガラスである。
本発明の両面防汚膜付きガラスには、防汚膜として光触媒機能を有する酸化チタンを含む膜が設けられていることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。図1は本発明の第1の製造方法によって製造された両面防汚膜付き単板ガラスの一例を示す断面図である。両面防汚膜付き単板ガラス1は、フロートバス法によって製造されたフロートガラス2のトップ面(火造り面とも言う)3にアルカリ遮断膜4と防汚膜5がこの順に形成されている。また、ボトム面6にも防汚膜5と同様の防汚膜7が形成されている。
【0012】
フロートガラス2は、1000℃を優に超える温度で溶融しているガラスを約600℃の溶融錫を溜めたSn浴上に流し出しながら平板状に徐々に硬化させて形成される。したがってフロートガラス2のトップ面3にはガラスが露出しているが、ボトム面6には酸化錫の拡散層8が存在している。この拡散層8とは、ボトム面表面にて酸化錫(SnO2)濃度が最も高く、ガラス内部への深度が大きくなるに従いSnO2濃度が小さくなっている層のことであり、代表的には、ボトム面表面から1〜2nmの深さでのSnO2濃度は約30wt%、100nm深さでのSnO2濃度は約5wt%、2000nm深さでのSnO2濃度は約1wt%である。拡散層8が存在するので、ボトム面側のアルカリ溶出量は、トップ面側のそれよりも少ない。
【0013】
ここで、フロートガラスのアルカリ溶出に関連して実験値を示す。図2はフロートガラスのアルカリ溶出量について、ボトム面とトップ面との違いを示したグラフである。図2によれば、温度50℃、湿度95%の条件下にフロートガラス板を保持すると、ボトム面ではアルカリ(Na2O)がほとんど溶出しないのに対して、トップ面では16日目に7.6マイクログラム/cm2、36日目には24.6マイクログラム/cm2も溶出することがわかる。すなわち、ボトム面に形成されている酸化錫拡散層は、アルカリ溶出防止に大きく貢献していることが明らかである。
【0014】
本発明においては、このボトム面のアルカリ遮断性能を利用し、トップ面にのみアルカリ遮断膜の形成を行った。前記、第1の製造方法においては、まずトップ面3にアルカリ遮断膜を形成する。トップ面に形成するアルカリ遮断膜4としては、二酸化珪素(SiO2)膜、窒化珪素(SiNx)膜、あるいは二酸化錫(SnO2)膜が好ましいが、中でもSiO2膜が最も好ましい。
【0015】
アルカリ遮断膜4の厚さは20〜200nmが好ましい。アルカリ遮断膜4の厚さが20nm未満ではガラス面から拡散溶出するアルカリを十分に遮断することができず、防汚膜5の防汚性能が低下することがある。一方、厚さが200nmを超えると寒暖によるガラスの伸縮が原因で、防汚膜5とともに亀裂が生じ、膜が剥離するおそれがある。
【0016】
次いで、形成されたアルカリ遮断膜4の上に、さらに防汚膜5を形成する。この防汚膜の一例としては、チタン酸水溶液による酸化チタン膜の形成がある。例えばペルオキシチタン酸、あるいはチタンペロキソクエン酸アンモニウム水和物を主成分とするチタン酸水溶液を、吹き付けまたは塗布し、焼き付け処理することにより親水性および光触媒性による防汚機能を発揮するアナターゼ型酸化チタン膜を形成する。防汚膜の厚さは50〜500nmが好ましく、100〜300nmがより好ましい。この厚さが50nm未満では防汚機能が十分に発揮されず好ましくない。一方、厚さが500nmを超えると寒暖によるガラスの伸縮に対応できず、亀裂や剥離を生ずるおそれがあり、やはり好ましくない。
【0017】
最後にボトム面6の処理を行い、防汚膜7を形成する。この際、トップ面側を吸盤等の支持具で支持する工程が1回生じるが、従来の最低2回よりも取り扱いの際の傷が少ない。
【0018】
上記の方法で形成された本発明の両面防汚膜付きガラス1の防汚膜は、トップ面3側がアルカリ遮断膜4で、ボトム面6側がボトム面に存在する酸化錫拡散層8で、それぞれアルカリが遮断されるので、防汚膜5及び7の防汚性能の低下を防ぐことが出来る。
【0019】
図3は、本発明の第2の製造方法によって製造された両面防汚膜付き複層ガラスの一例を示す断面図である。両面防汚膜付き複層ガラス10は、フロートバス法によって製造されたフロートガラス2を2枚使用している。それぞれのフロートガラス2は、トップ面3を内側に、ボトム面6を外側に配置して一体化されている。ボトム面6の表面には酸化錫拡散層8が形成されているため、ガラスからのアルカリ拡散の問題が無く、ここに直接、防汚膜7を既述と同様の方法、膜厚で形成する。
【0020】
本発明の両面防汚膜付きガラス10は、ボトム面6に防汚膜7が形成された2枚のガラスを、防汚膜を外面に向けて組み合わせた構成を有しており、防汚膜形成の際には、ガラスのトップ面が支持されるのみで、他の膜が支持されることはない。よって、成膜工程の際に傷が入ることはない。また、ボトム面のアルカリ遮断性能を活用しているのでアルカリ遮断膜の形成が不要で、成膜工程上も有利である。さらに、両面の防汚性能が高くかつ均一である。
【0021】
なお、ボトム面6に防汚膜7が形成された2枚のガラスを、それら防汚膜面が外側になるよう、ブチラール樹脂等のプラスチックを挟んで接着し、合わせガラス板を形成すれば、前記複層ガラスと同様に成膜工程の際に傷が発生することなく、工程上も有利で、両面の防汚性能が高くかつ均一である。
さらに、上記接着を清浄度に優れるトップ面3同士で行うため接着力が高くなる利点もある。
【0022】
なお、本発明において、フロートガラスのトップ面とボトム面を区別する方法として、(1)暗所で紫外光をフロートガラス面に当てて、白濁して見える面をボトム面と判断する方法もしくは(2)製造直後のフロートガラスの端面を見てカッター線が入っている面をトップ面と判断する方法などを用いることができる。これら面を区別する方法を、製造工程に組み込み、成膜面を制御することで、効率的に本発明の両面防汚膜付きガラスが製造できる。
【0023】
【発明の効果】
本発明の両面防汚膜付きガラスは、Sn浴によるフロートバス法で製造した板状ガラスのボトム面のアルカリ遮断性能を活用して製造するため、製造工程で傷が入りにくく、また両面とも安定した高い防汚性能を備えている。
【0024】
従って本発明の両面防汚処理ガラスは、防汚機能が要求され、かつ、環境の厳しい施設、例えば道路の防音壁や鉄道沿線の遮音壁に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の製造方法によって製造された両面防汚膜付き単板ガラスの一例を示す断面図
【図2】フロートガラスのアルカリ溶出量について、ボトム面とトップ面との違いを示したグラフ
【図3】本発明の第2の製造方法によって製造された両面防汚膜付き複層ガラスの一例を示す断面図
【符号の説明】
1…両面防汚膜付きガラス、2…フロートガラス、3…トップ面、4…アルカリ遮断膜、5,7…防汚膜、6…ボトム面、8…酸化錫拡散層、10…両面防汚膜付き複層ガラス。
Claims (7)
- 溶融ガラスをSn浴上に流し出し徐々に硬化させるフロートバス法によって製造した板状ガラスを用い、最初にこの板状ガラスのSn浴に接することなく形成されたトップ面上にアルカリ遮断膜を形成し、次いでその上に防汚膜を形成し、最後にSn浴に接して形成されたボトム面上に防汚膜を形成することを特徴とする両面防汚膜付きガラスの製造方法。
- 溶融ガラスをSn浴上に流し出し徐々に硬化させるフロートバス法によって製造した板状ガラスを用い、この板状ガラスのSn浴に接して形成されたボトム面上に防汚膜を形成し、このボトム面上に防汚膜を形成した板状ガラスを2枚組み合わせ、防汚膜面がいずれも外面を形成するように構成したことを特徴とする両面防汚膜付きガラスの製造方法。
- 前記防汚膜が、光触媒機能を有する酸化チタンを含有する膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 請求項1に記載の方法で製造された両面防汚膜付きガラスであって、前記ボトム面に厚さ50〜500nmの防汚膜が形成され、トップ面に厚さ20〜200nmのアルカリ遮断膜、および厚さ50〜500nmの防汚膜がこの順に形成されていることを特徴とする両面防汚膜付きガラス。
- 請求項2に記載の方法で製造された両面防汚膜付きガラスであって、外面に厚さ50〜500nmの防汚膜が形成された複層ガラスであることを特徴とする両面防汚処理ガラス。
- 請求項2に記載の方法で製造された両面防汚膜付きガラスであって、外面に厚さ50〜500nmの防汚膜が形成された合わせガラスであることを特徴とする両面防汚処理ガラス。
- 前記防汚膜が、光触媒機能を有する酸化チタン膜である請求項4〜6のいずれか一項記載の両面防汚膜付きガラス。
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|---|---|---|---|---|
| JP2007096031A (ja) * | 2005-09-29 | 2007-04-12 | Showa Shell Sekiyu Kk | Cis系薄膜太陽電池モジュール及びその製造方法 |
| JP2011008259A (ja) * | 2009-06-26 | 2011-01-13 | Samsung Corning Precision Materials Co Ltd | ディスプレイ装置用光学フィルタ |
| JP2014235650A (ja) * | 2013-06-04 | 2014-12-15 | Smk株式会社 | タッチパネルおよびタッチパネルの製造方法 |
| JPWO2018021499A1 (ja) * | 2016-07-29 | 2019-05-23 | 日本板硝子株式会社 | ウインドシールド及びウインドシールドの製造方法 |
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2002
- 2002-08-01 JP JP2002224372A patent/JP2004067394A/ja not_active Withdrawn
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