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JP2004066730A - ガスバリア性フィルム、積層体の検査方法及びガスバリア性フィルムの製造システム - Google Patents

ガスバリア性フィルム、積層体の検査方法及びガスバリア性フィルムの製造システム Download PDF

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JP2004066730A
JP2004066730A JP2002231590A JP2002231590A JP2004066730A JP 2004066730 A JP2004066730 A JP 2004066730A JP 2002231590 A JP2002231590 A JP 2002231590A JP 2002231590 A JP2002231590 A JP 2002231590A JP 2004066730 A JP2004066730 A JP 2004066730A
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Abstract

【課題】食品や非食品及び医薬品等の包装分野や、電子デバイスの分野等、種々の分野において十分なガスバリア性を有し、そのガスバリア性により、ガスバリア対象物の良好な品質を確保することが可能な、優れたガスバリア性能を備えたガスバリア性フィルム及びその製造システム、さらに積層体の検査方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のガスバリア性フィルムは、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、セラミックで形成されるガス透過阻止層が設けられ、該ガス透過阻止層の密度が2.3以上3.0以下の高密度であり、かつガス透過阻止層の厚さが10〜500nmであり、またガス透過阻止層の最表層の密度が2.4以上3.2以下で、ガス透過阻止層全体の密度よりも高い密度をもち、かつ該最表層の平均膜厚が阻止層全体の膜厚の0.1〜50%であることが望ましい。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大気中の酸素や水蒸気を遮断し、劣化・変質を抑制するガスバリア性を必要とする食品や非食品及び医薬品等の包装分野に用いられる包装用の積層体に関するものである。また、このガスバリア性を適用したEL(エレクトロルミネッセンス)用基板に代表される、電子デバイス用の積層体に関するものである。さらに、積層体の検査方法及びガスバリア性積層体の製造システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品や非食品及び医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制し、それらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これら気体を遮断するガスバリア性を備えることが求められている。そのため従来から、温度・湿度などによる影響が少ないアルミ等の金属からなる金属箔や、それらの金属蒸着フィルム、ポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の樹脂フィルムや、これらの樹脂をコーティングしたものがガスバリア層として一般的に包装材料に用いられてきた。
【0003】
ところが、アルミ等の金属からなる金属箔やそれらの金属蒸着フィルムを用いた包装材料は、ガスバリア性に優れるが、包装材料を透視して内容物を確認することができない、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならない、検査の際に金属探知器が使用できないなどの欠点を有し問題があった。
また、ガスバリア性樹脂フィルムやそれらをコーティングしたフィルムは、温湿度依存性が大きく、高度なガスバリア性を維持できない、さらにポリ塩化ビニリデンやポリアクリロニトリル等は、廃棄・焼却の際に有害物質の原料となりうる可能性があるなどの問題がある。
【0004】
また、電子デバイスの分野においては、電子デバイス用基板として従来、Siウエハやガラスなどの無機材料が広く用いられてきた。ところが、近年、製品の軽量化、基板のフレキシブル化、低コスト化、ハンドリング特性などの様々な理由から高分子基板が望まれるようになっている。しかしながら、高分子材料は、ガラスなどの無機材料と比較した場合、ガスの透過性が著しく大きいという問題を有している。
このため、電子デバイス用基板として高分子基板を用いた場合には、高分子基板を透過して、電子デバイス内に侵入・拡散した酸素によりデバイスが酸化して劣化してしまう、電子デバイス内の必要な真空度を維持できない、等の問題がある。例えば、特開平2−251429号公報や特開平6−124785号公報では、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板として高分子フィルムが用いられている。
【0005】
しかしながら、これらの有機EL素子の場合は、基板である高分子フィルムを透過して、有機EL素子内に侵入する酸素や水蒸気により有機膜が劣化してしまうため、発光特性が不十分となり、また、耐久性に不安がある、等の問題が考えられる。
すなわち、上述したように、種々の分野において十分なガスバリア性を有し、そのガスバリア性により、ガスバリア対象物の良好な品質を確保することが可能な、優れたガスバリア性能を備えた高分子フィルムは確立されていない。
【0006】
そこで、これらの欠点を克服するため、特許第3255037号、特公平7−98872号公報等に記載されているような、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物を高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により膜密度を規定した、ガスバリアフィルムが開発されている。しかしながら、それらの密度は、1.80〜2.20と十分に緻密であるとはいえないものである(そのかわり耐屈曲性に優れている)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、食品や非食品及び医薬品等の包装分野や、電子デバイスの分野等、種々の分野において十分なガスバリア性を有し、そのガスバリア性により、ガスバリア対象物の良好な品質を確保することが可能な、優れたガスバリア性能を備えたガスバリア性フィルム、積層体の検査方法及びその製造システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のガスバリア性フィルムは、請求項1として、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、セラミックで形成されるガス透過阻止層が設けられ、該ガス透過阻止層の密度が2.3以上3.0以下の高密度であり、かつガス透過阻止層の厚さが10〜500nmであることを特徴とする。
請求項2として、請求項1に記載するガス透過阻止層の最表層の密度が2.4以上3.2以下であり、ガス透過阻止層全体の密度よりも高い密度をもち、かつ該最表層の平均膜厚が阻止層全体の膜厚の0.1〜50%であることを特徴とする。
また、請求項3として、請求項1または2に記載するガス透過阻止層のセラミックが、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、またはそれらの化合物の群の中の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4として、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、薄膜が設けられた積層体の検査方法において、薄膜の厚さと密度の測定をX線反射率法で行ない、良否を判断して、良品のみを出荷あるいは次工程へ流すことを特徴とする。
請求項5として、請求項4に記載する積層体における薄膜が、セラミックで形成されるガス透過阻止層であることを特徴とする。
従来ではプラスチック材料からなる基材上の薄膜の密度を、薄膜における膜厚の位置に応じて、薄膜の最表層部分やその他の個所における密度を、正確に測定することが出来なかったが、本発明の積層体の検査方法によれば、X線を使用した反射率から積層体における薄膜の膜密度、膜厚を解析し決定する測定方法を利用して、薄膜の厚さと密度の正確な測定が可能となる。その厚さと密度を基準値と比較して、良否を判断し、良品のみを出荷あるいは次工程へ流すことで、的確な品質管理が可能となった。
【0010】
本発明のガスバリア性フィルムの製造システムは、請求項6として、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、セラミックによりガス透過阻止層を形成するガスバリア性フィルムを製造するもので、該ガス透過阻止層の形成装置と、ガス透過阻止層の厚さと密度の測定をX線反射率法で行なう測定装置を用いて、該厚さと密度のデータを蓄積、データ処理し、厚さと密度のデータとガスバリア性の評価結果を関連付けして、上記形成装置の成膜条件を制御し、ガス透過阻止層の厚さと密度を管理して、ガスバリア性を高レベルに維持できるように品質管理を行なうことを特徴とする。この製造システムは、X線を使用した反射率から膜密度、膜厚を解析して決定する測定方法によるものであり、薄膜における膜厚の位置に応じて、薄膜の最表層部分やその他の個所における密度の測定等が可能となり、正確な密度測定が行なえるようになった。
【0011】
(作用)
本発明のガスバリア性フィルムによれば、プラスチック基材上に、無機化合物からなる高密度のガス透過阻止層が形成された構成になっているため、またそのガス透過阻止層の最表層の密度が、ガス透過阻止層全体の密度よりも高いため、ガス透過阻止層の酸素ガス、水蒸気等のガスに曝される最表面でガスの透過を阻止することができ、効率性、実用性が高く、優れたガスバリア性が得られる。
本発明のガスバリア性フィルムの製造システムによれば、ガス透過阻止層の形成装置と、ガス透過阻止層の厚さと密度の測定をX線反射率法で行なう測定装置を用いて、該厚さと密度のデータを蓄積、データ処理し、厚さと密度のデータとガスバリア性の評価結果を関連付けして、上記形成装置の成膜条件を制御し、従来ではガス透過阻止層の薄膜の密度を、特に2.2を越えるような高密度の測定を正確に行なうことが出来なかったが、ガス透過阻止層の厚さと密度の正確な測定が可能となり、そのガス透過阻止層の厚さと密度を品質管理して、ガスバリア性を高レベルに維持できるようになった。
本発明の積層体の検査方法によれば、プラスチック材料からなる基材上に薄膜が設けられた積層体の検査方法において、薄膜の厚さと密度の測定をX線反射率法で行ない、良否を判断して、良品のみを出荷あるいは次工程へ流すことで、的確な品質管理が可能となった。また、その薄膜が、セラミックで形成されるガス透過阻止層である場合、ガスバリア性を高レベルに維持できるようになった。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のガスバリア性フィルムである一つの実施形態を示す概略断面図である。プラスチック材料からなる基材1上に、セラミックで形成されるガス透過阻止層2が設けられた構成である。
以下、本発明のガスバリア性フィルムを構成する各層の説明を行なう。
(基材)
本発明のガスバリア性フィルムにおける基材1はプラスチック材料であり、その基材上に設ける無機の薄膜層や樹脂層の透明性を生かすために透明なフィルムが好ましい。基材の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエ−テルサルホンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。基材は、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。
【0013】
上記の中で、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートが包装用途において好ましく用いられる。またポリエ−テルサルホンフィルムは耐溶剤性が良く、ポリカーボネートフィルムは耐熱性が良く、電子デバイス用途において好ましく用いられる。この基材の蒸着層が設けられる面や反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などを塗布した薄膜を形成していても良い。また、薄膜との密着性を良くするために、前記基材の塗布面を前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理などを施しても良い。
基材の厚さは、包装用途の場合、特に制限を受けるものではなく、包装材料としての適性を考慮して、単体フィルム以外に異なる性質のフィルムを積層したフィルムを使用できる。なお、無機物からなる薄膜層や樹脂層を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜400μmの範囲が好ましく、特に6〜30μmとすることが好ましい。
【0014】
電子デバイス用途の場合、現在の状況下においては、ガラス基板の代替ということもあり、ガラス基板仕様で作製された後工程機器に合わせるため、比較的厚い100〜800μmの範囲が好ましいが、技術の進歩とともに、基板の軽量化、フレキシブル化、低コスト化が期待されるために、9〜400μmの厚さの範囲になると考えられる。
また、量産性を考慮すれば、連続的に無機の薄膜層や樹脂層を形成できるように、長尺の連続フィルムとすることが望ましいが、シ−ト状フィルムを連続搬送させる枚葉式でもいっこうに、かまわない。
【0015】
(ガス透過阻止層)
本発明のガスバリア性フィルムは、上記の基材上にガス透過阻止層2が設けられる。ガス透過阻止層は、非金属無機材料のセラミックスから構成され、特に酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、またはそれらの化合物、混合物等の無機酸化物が透明性を有し、ガスバリア性が高いために好ましい。
ガス透過阻止層は、セラミックスの蒸着膜からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよい。その中では、特に酸化珪素及び窒化珪素が好ましい。ただし本発明のガス透過阻止層は、上述した無機酸化物に限定されず、ガス透過阻止層の密度が2.3以上3.0以下となる条件、つまり高密度を有し、透明性、ガスバリア性を有した上記条件に適合する材料であれば用いることができる。
【0016】
本発明におけるガス透過阻止層の密度は、X線の反射率から膜密度を解析して決定するものである。
X線反射率法は、反射X線強度プロファイルの多層薄膜試料へのX線入射角依存性を、シミュレーション結果と合わせることによって、物性を評価する手法であり、例えば、薄膜/薄膜界面の平坦な試料については、反射X線強度は理論的には試料へのX線入射角θの4乗に逆比例して減衰し、薄膜/薄膜界面が平坦でない場合には、さらに急激に減衰する。
そこで、この入射角θ依存性の効果を相殺するために、最小二乗法を用いてベースラインを決定し、測定データに含まれる振動成分のみを抽出する。次いで、解析モデルにおけるパラメータとなる各膜の膜厚、密度、及び、界面ラフネスの値を適当に変えながらシミュレートした結果と、測定データに含まれる振動成分とを対比させ、所定の誤差に収まるように最小二乗法フィッティング(fitting)することによって、各層の膜厚、密度等を決定するものである。
【0017】
X線反射率法により、膜厚、密度等を測定するX線反射率測定装置の概略的構成を、図2を参照して、以下に説明する。
X線反射率測定装置は、回転対陰極等のX線源3、X線源3からの入射X線12を整形するスリット4、スリット4を通過した入射X線12の角度発散を抑える平行な二枚一組の平板状シリコン結晶からなるチャネルカット結晶5、チャネルカット結晶5によって単色化、平行化された入射X線12を整形するスリット6、スリット6を通過した入射X線12の強度を測定するイオン・チャンバーからなる入射X線強度モニター7、被測定試料8を載置し、被測定試料8に対するX線入射角θを任意に設定するゴニオメーター9、被測定試料8からの反射X線13の入射を制限するスリット10、スリット10を介して反射X線13を検出するシンチレーションカウンターからなるX線検出器11で構成される。
【0018】
この入射X線12は被測定試料6の膜構造に応じた反射率で反射され、反射された反射X線13がスリット10を介してX線検出器11で検出されることになり、この場合、ゴニオメーター9により被測定試料8の入射X線12に対する入射角θ、したがって、ゴニオメーター9の回転角を変化させながら測定を行うことになる。
この場合、スリット10及びX線検出器11はゴニオメーター9に固定されているアーム(図示していない)に取り付けられて、ゴニオメーター9の回転に連動して回転するようになっており、入射X線12のX線入射角θとX線検出器11の仰角θ′が等しくなるように動作を設定するものであり、X線検出器11の軸方向は入射X線12に対して常に2θの関係に設定されるので、この様な手法はθ−2θスキャンと呼ばれている。
【0019】
そして、この様なX線反射率法で測定した測定データにおいては、上述の様に、反射X線13の強度は理論的には、試料へのX線入射角θの4乗に逆比例して減衰する入射角θ依存性があるので、この入射角θ依存性の効果を相殺するために、最小二乗法を用いてベースラインを決定し、測定データに含まれる振動成分のみを抽出する。
次いで、解析モデルにおけるパラメータとなる各膜の膜厚、密度、及び、界面ラフネスの値を適当に変えながらシミュレートした結果と、測定データに含まれる振動成分とを対比させ、所定の誤差に収まるように最小二乗法フィッティング(fitting)することによって、各層の膜厚、密度等を決定する。
【0020】
それに対して、膜密度の測定方法に関し、特許第3255037号、特公平7−98872号公報等では、無機酸化物を高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段で膜形成し、その膜密度を浮沈法や濃度勾配管法にて、薄膜の密度を測定している。それらの方法では、基板であるプラスチックフィルムを溶剤により溶解する必要があるが、高分子であるプラスチックフィルムを100%完全に溶解させ、かつ薄膜成分のみを100%完全な収率で収集することは不可能であり、正確に膜密度を測定する手段として妥当なものではない。
【0021】
また、浮沈法や濃度勾配管法による薄膜密度の測定方法は、有機溶剤に対する比重から求めるものであり、セラミックや金属等は、一般的に有機溶剤よりも比重が極めて高いため、ある値以上(2.2以上)は測定できない。(これら方法は、高分子等有機物の比重を求める為の方法である。)今回、X線の反射率から膜密度を解析し、十分なガスバリア性を有する膜の密度が、ある範囲にあることをつきとめた。また、それは薄膜全体の膜密度のみならず、その薄膜の最表層の膜密度がある条件を満たされているとき、同様にガスバリア性が良好であることが判明した。
本発明で規定する薄膜の密度よりも高い膜密度では、プラスチック上の膜の歪みにより、カール・たわみ等の問題が生じる。また、わずかな衝撃により微粒子間にクラックが生じ、ガスバリア性が劣化してしまう。また、本発明で規定する薄膜の密度より低い膜密度では、電子デバイス基板への応用あるいは極めてガス透過率の低い機能が要求される包装材への用途には不向きである。
【0022】
本発明におけるガスバリア性フィルムにおけるガス透過阻止層における密度は、浮沈法や濃度勾配管法によるような正確な密度の測定が困難なものとは異なり、X線を使用した反射率から膜密度を解析して決定する測定方法によるものであり、薄膜における膜厚の位置に応じて、例えば、薄膜の最表層部分における密度の測定等が可能となり、正確な密度測定が行なえる。
本発明のガス透過阻止薄膜層の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜800nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると、均一な膜が得られないことや、膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が800nmを越える場合は、薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂が生じる恐れがある。好ましくは、10〜500nmの範囲内の厚さである。
【0023】
本発明におけるガス透過阻止層は、その密度は2.3以上3.0以下の範囲であり、またガス透過阻止層の最表層の密度が2.4以上3.2以下であり、ガス透過阻止層全体の密度よりも高い密度を有し、かつ該最表層の平均膜厚が阻止層全体の膜厚の0.1〜50%の範囲であることが望ましい。
このようなガス透過阻止層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
【0024】
上記のようなガス透過阻止層の形成方法において、例えば成膜中、あるいは成膜後に、熱、紫外線、電離放射線等のエネルギーを強く照射することにより、ガス透過阻止層のセラミックス(無機物)の粒子間における移動を高め、ガス透過阻止層の最表層における密度を高めることができる。また、成膜中、あるいは成膜後に、基材上のガス透過阻止層を上にした状態で、ガスバリア性フィルムが凹状になるように、ガスバリア性フィルムに応力を加えて、ガス透過阻止層の最表層が圧縮されるようにして、ガス透過阻止層の最表層における密度を高めることができる。
また、ガス透過阻止層のセラミックスが無機酸化物であれば、その酸化度を膜厚の位置により変化させ、ガス透過阻止層のセラミックスのネットワーク構造における原子間結合距離に差異をつけて、ガス透過阻止層の最表層における密度を高めることができる。
【0025】
(積層体の検査方法)
本発明の積層体の検査方法は、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、薄膜が設けられた積層体における薄膜の特性、例えば、ガスバリア性、光学特性、電気的特性等を検査する上で、薄膜の厚さと密度の測定をX線反射率法で行ない、その得られた厚さと密度を基準値と比較して、良否を判断し、良品のみを出荷あるいは次工程へ流すことで、従来より正確な検査ができ、的確な品質管理が可能となった。
また、前記の積層体における薄膜が、セラミックで形成されるガス透過阻止層である場合、例えば、2.2を越えるような高密度の測定が、薄膜における膜厚の位置に応じて、正確な行なうことが可能となり、そのガス透過阻止層の厚さと密度を検査して、品質管理でき、ガスバリア性を高レベルに維持できるようになった。
【0026】
(ガスバリア性フィルムの製造システム)
本発明のガスバリア性フィルムの製造システムについて、一つの実施形態である図3を参照して、説明する。
ガスバリア性フィルムの製造システムは、ガス透過阻止層の形成装置14と、ガス透過阻止層の厚さと密度の測定を行なうX線反射率測定装置15と、該厚さと密度のデータを蓄積、データ処理し、その厚さと密度のデータとガスバリア性の評価結果を関連付けして、上記形成装置14の成膜条件を制御し、ガス透過阻止層の厚さと密度を管理するコンピュータ16から構成されている。
【0027】
ガス透過阻止層形成装置14は、そのガス透過阻止層の成膜時の圧力、投入電力や、成膜の導入ガスの種類、流量等の成膜条件が表示、記録されている。
また、ガス透過阻止層の厚さと密度の測定を行なうX線反射率測定装置15は、前記に説明した図2に示すような概略の構成をとったもので、そのX線反射率の被測定試料は、ガス透過阻止層形成装置14により、プラスチック材料からなる基材上に、セラミックのガス透過阻止層が形成されたガスバリア性フィルムを使用している。
コンピュータ16は、少なくとも、ガス透過阻止層のX線反射率法による厚さと密度のデータの蓄積、処理部分、その厚さと密度のデータと、別に用意したガスバリア性の測定装置による測定(評価)結果を関連付けする判断部と、ガス透過阻止層形成装置14の成膜条件を制御する部分から構成されている。
【0028】
そのコンピュータ16は、ガス透過阻止層のX線反射率法で測定された厚さと密度のデータを蓄積、処理し、その厚さと密度のデータとガスバリア性の評価結果を関連付けしたデータベースの中から、ガスバリア性の幾つかの評価結果レベルの中で、閾値が設定され、その閾値を下回る場合は、ガスバリア性が不良と見なされる。
コンピュータ16における判断部は、ガス透過阻止層の厚さと密度のデータ、ガスバリア性の評価結果を関連付けして、ガスバリア性の良否を判断する部分である。
【0029】
そして、上記のコンピュータ16の判断部で決定した結果に基づいて、ガス透過阻止層形成装置におけるガス透過阻止層の成膜時の圧力、投入電力や、成膜の導入ガスの種類、流量等の成膜条件を制御する部分がある。コンピュータ16の判断部でガスバリア性良好の結果が出ていれば、成膜条件の変更はしないが、もしガスバリア性不良の結果が出れば、ガス透過阻止層の成膜時の圧力、投入電力や、また導入ガスの流量等の条件を変更して、適切なガス透過阻止層の厚さと密度になるように、成膜して、ガスバリア性の高いレベルとする。
以上のような、ガス透過阻止層の形成装置14と、ガス透過阻止層の厚さと密度の測定を行なうX線反射率測定装置15と、該厚さと密度のデータを蓄積、データ処理し、その厚さと密度のデータとガスバリア性の評価結果を関連付けして、上記形成装置14の成膜条件を制御し、ガス透過阻止層の厚さと密度を管理するコンピュータ16から少なくとも構成されるガスバリア性フィルムの製造システムにより、ガスバリア性が高レベルに維持できる品質管理を行なうことが可能となった。
【0030】
本発明のガスバリア性フィルムの製造システムは、上記に説明した構成要素の他に、必要に応じて、基材の前処理や後処理等の処理装置部分や、外観検査装置等を、追加して使用することが可能である。また、ガス透過阻止層のX線反射率法により測定された厚さと密度のデータを蓄積、データ処理し、厚さと密度のデータとガスバリア性の評価結果を関連付けし、ガス透過阻止層の成膜条件を制御し、ガス透過阻止層の厚さと密度を管理するコンピュータを使用せず、人手によるマニュアル操作を行なうことも可能である。
【0031】
【実施例】
本発明のガスバリア性フィルムを具体的な実施例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明は、その主旨を逸脱しない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
基材として、厚さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績PET A−4100)フィルムを用意した。
アネルバ製スパッタリング装置を用い以下の条件で成膜を行った。
成膜圧力:0.25Pa
成膜投入電力:2kW(0.5A、4kV)
プラズマガス:アルゴン30ccm
導入ガス:酸素10sccm
タ−ゲット:酸化珪素
【0032】
(実施例2)
基材として、厚さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績PET A−4100)フィルムを用意した。
アネルバ製スパッタリング装置を用い以下の条件で成膜を行った。
成膜圧力:0.15Pa
成膜投入電力: 0.6kW(0.6A、1kV)
プラズマガス:アルゴン10ccm
導入ガス:窒素6sccm
タ−ゲット:窒化珪素
【0033】
(実施例3)
基材として、厚さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績PET A−4100)フィルムを用意した。
アネルバ製CVD装置を用い以下の条件で成膜を行った。
成膜圧力:30Pa
成膜投入電力:0.3kW(90kHz)
導入ガス:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=10:30:30(sccm)
【0034】
(参考実施例4)
基材として、厚さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績PET A−4100)フィルムを用意した。
アネルバ製CVD装置を用い以下の条件で成膜を行った。
成膜圧力:30Pa
成膜投入電力:0.3kW(90kHz)
導入ガス:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=15:30:10(sccm)
【0035】
(比較例1)
基材として、厚さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績PET A−4100)フィルムを用意した。
アネルバ製スパッタリング装置を用い以下の条件で成膜を行った。
成膜圧力:0.25Pa
成膜投入電力:1kW(0.25A、4kV)
プラズマガス:アルゴン30ccm
導入ガス:酸素10sccm
タ−ゲット:酸化珪素
【0036】
(比較例2)
基材として、厚さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績PET A−4100)フィルムを用意した。
アネルバ製スパッタリング装置を用い以下の条件で成膜を行った。
成膜圧力:0.15Pa
成膜投入電力:0.6kW(0.6A、1kV)
プラズマガス:アルゴン10ccm
導入ガス:窒素12sccm
タ−ゲット:窒化珪素
【0037】
(比較例3)
基材として、厚さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績PET A−4100)フィルムを用意した。
アネルバ製CVD装置を用い以下の条件で成膜を行った。
成膜圧力:30Pa
成膜投入電力:0.3kW(90kHz)
導入ガス:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=10:50:30(sccm)
【0038】
(比較例4)
基材として、厚さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績PET A−4100)フィルムを用意した。
アネルバ製CVD装置を用い以下の条件で成膜を行った。
成膜圧力:30Pa
成膜投入電力:0.3kW(90kHz)
導入ガス:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=15:30:50(sccm)
【0039】
上記の実施例及び比較例で得られた各ガスバリア性フィルムに対し、酸素透過度、水蒸気透過度、ガス透過阻止層の膜厚及び膜密度、さらにガス透過阻止層の最表層の密度を以下の条件にて測定した。
(測定条件)
1)酸素透過度:酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製:OX−TRAN2/20)を用い、23℃90%Rhの条件で測定した。
2)水蒸気透過度:水蒸気透過率測定装置(MOCON社製:PERMATRAN3/31)を用い、37.8℃100%Rhの条件で測定した。
【0040】
3)膜密度及び膜厚:理学電機株式会社製X線反射率測定装置(ATX−E)を用いた。
X線源として、18kWのX線発生装置、CuターゲットによるCuKaの波長λ=1.5405Åを使用、またモノクロメーターには、放物面人工多層膜ミラーとGe(220)モノクロ結晶を使用した。設定条件として、スキャン速度0.1000°/min、サンプリング幅0.002°、走査範囲0〜4.0000°に設定した。基板ホルダーにサンプルをマグネットにより装着し、装置の自動アライメント機能により、0度位置調整を行った。そして、上記設定条件により測定し、反射率測定値を得た。得られた測定値を用い、次に解析を行った。
解析は、同社製解析ソフト(RGXR)を使用し、
フィッティングエリア:0.420°〜4.500°の条件で行った。その際、フィッティング初期値として、薄膜の元素比(Si:O=1:2)を入力した。反射率を非線形最小二乗法によりフィッティングを行ない、膜密度及び膜厚を求めた。
【0041】
測定結果を下記の表1に示す。
【表1】
Figure 2004066730
【0042】
上記結果より、実施例1〜3のガスバリア性フィルムは、ガス透過阻止層の密度が膜全体で2.3以上3.0以下の高密度である。また、実施例1及び実施例2のガスバリア性フィルムは、ガス透過阻止層の最表層の密度が2.4以上3.2以下であり、ガス透過阻止層全体の密度よりも高い密度をもち、かつ該最表層の平均膜厚は阻止層全体の膜厚の0.1〜50%であり、実施例3よりも酸素、水蒸気透過性が低く、ガスバリア性に優れていた。参考実施例4では、ガス透過阻止層全体の密度が2.3より低く、ガス透過阻止層の最表層の密度が2.4以上ではあるが、酸素、水蒸気透過性が少し高めである。
それに対して、比較例1〜4のガスバリア性フィルムは、ガス透過阻止層の密度が膜全体で2.3より低く、酸素、水蒸気透過性が非常に高くガスバリア性に劣った結果であった。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のガスバリア性フィルムは、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、セラミックで形成されるガス透過阻止層が設けられ、該ガス透過阻止層の密度が2.3以上3.0以下の高密度であり、かつガス透過阻止層の厚さが10〜500nmであり、またガス透過阻止層の最表層の密度が2.4以上3.2以下で、ガス透過阻止層全体の密度よりも高い密度をもち、かつ該最表層の平均膜厚が阻止層全体の膜厚の0.1〜50%であることが望ましい。それにより、ガス透過阻止層の最表層の密度が、ガス透過阻止層全体の密度よりも高いため、ガス透過阻止層の酸素ガス、水蒸気等のガスに曝される最表面でガスの透過を阻止することができ、効率性、実用性が高く、優れたガスバリア性が得られる。
【0044】
また、本発明のガスバリア性フィルムの製造システムによれば、ガス透過阻止層の形成装置と、ガス透過阻止層の厚さと密度の測定をX線反射率法で行なう測定装置を用いて、該厚さと密度のデータを蓄積、データ処理し、厚さと密度のデータとガスバリア性の評価結果を関連付けして、上記形成装置の成膜条件を制御し、従来ではガス透過阻止層の薄膜の密度を、特に2.2を越えるような高密度の測定を正確に行なうことが出来なかったが、ガス透過阻止層の厚さと密度の正確な測定が可能となり、そのガス透過阻止層の厚さと密度を品質管理して、ガスバリア性を高レベルに維持できるようになった。
【0045】
本発明の積層体の検査方法によれば、プラスチック材料からなる基材上に薄膜が設けられた積層体の検査方法において、薄膜の厚さと密度の測定をX線反射率法で行ない、良否を判断して、良品のみを出荷あるいは次工程へ流すことで、的確な品質管理が可能となった。また、その薄膜が、セラミックで形成されるガス透過阻止層である場合、ガスバリア性を高レベルに維持できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスバリア性フィルムである一つの実施形態を示す概略断面図である。
【図2】X線反射率測定装置の概略的構成図である。
【図3】本発明のガスバリア性フィルムの製造システムである一つの実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1   基材
2   ガス透過阻止層
3   X線源
4   スリット
5   チャネルカット結晶
6   スリット
7   入射X線強度モニター
8   被測定試料
9   ゴニオメーター
10   スリット
11   X線検出器
12   入射X線
13   反射X線
14   ガス透過阻止層の形成装置
15   X線反射率測定装置
16   コンピュータ

Claims (6)

  1. プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、セラミックで形成されるガス透過阻止層が設けられ、該ガス透過阻止層の密度が2.3以上3.0以下の高密度であり、かつガス透過阻止層の厚さが10〜500nmであることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 前記のガス透過阻止層の最表層の密度が2.4以上3.2以下であり、ガス透過阻止層全体の密度よりも高い密度をもち、かつ該最表層の平均膜厚が阻止層全体の膜厚の0.1〜50%であることを特徴とする請求項1に記載するガスバリア性フィルム。
  3. 前記のガス透過阻止層のセラミックが、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、またはそれらの化合物の群の中の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1または2に記載するガスバリア性フィルム。
  4. プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、薄膜が設けられた積層体の検査方法において、薄膜の厚さと密度の測定をX線反射率法で行ない、良否を判断して、良品のみを出荷あるいは次工程へ流すことを特徴とする積層体の検査方法。
  5. 前記の積層体における薄膜が、セラミックで形成されるガス透過阻止層であることを特徴とする請求項4に記載する積層体の検査方法。
  6. プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、セラミックによりガス透過阻止層を形成するガスバリア性フィルムの製造システムにおいて、該ガス透過阻止層の形成装置と、ガス透過阻止層の厚さと密度の測定をX線反射率法で行なう測定装置を用い、該厚さと密度のデータを蓄積、データ処理し、厚さと密度のデータとガスバリア性の評価結果を関連付けして、上記形成装置の成膜条件を制御し、ガス透過阻止層の厚さと密度を管理して、ガスバリア性を高レベルに維持できるように品質管理を行なうことを特徴とするガスバリア性フィルムの製造システム。
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