JP2004061634A - 機能性素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、
(1)基材上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層であり、かつ少なくとも光触媒およびバインダを含有する光触媒含有層を形成する工程と、
(2)上記光触媒含有層にパターン状にエネルギーを照射して第一機能性部用露光部を形成する工程と、
(3)上記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
(4)上記第一機能性部が形成された光触媒含有層の第一機能性部の周囲に、パターン状にエネルギー照射して第二機能性部用露光部を形成する工程と、
(5)上記第一機能性部を覆うように上記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
を有すること特徴とする機能性素子の製造方法を提供することにより上記目的を達成するものである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば封止材で封止された機能性素子や、光導波路等に用いられる、高精度で製造が容易な機能性部を二重に有する機能性素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高精細なパターンを形成する方法として、基材上に塗布したフォトレジスト層にパターン露光を行い、露光後、フォトレジストを現像し、さらにエッチングを行ったり、フォトレジストに機能性を有する物質を用いて、フォトレジストの露光によって目的とするパターンを直接形成する等のフォトリソグラフィー法による機能性素子の製造方法が知られている。
【0003】
また、例えば、封止材や光導波路等の、機能性部上に、その機能性部を覆うように他の種類の機能性部を有するような二重構造の機能性素子の製造は、第一機能性部を形成した後に第二機能性部を形成するという、上記フォトリソグラフィー法によるパターン形成を2回行う必要があり製造工程が多く、複雑となり、また高精度な装置を必要とすることからコストがかかるという問題があった。また、第二機能性部形成時のフォトマスクの位置調整等が難しく、高精細なパターンの形成が困難であった。また、これらの方法によっては、フォトレジストを用いると共に、露光後に液体現像液によって現像を行ったり、エッチングを行う必要があるので、廃液を処理する必要が生じる等の問題点があり、またフォトレジストとして機能性の物質を用いた場合には、現像の際に使用されるアルカリ液等によって劣化する等の問題点もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のことから、製造が容易であり、かつ高精細な機能性部を二重に有する機能性素子の製造方法の提供が望まれている。
【0005】
【課題が解決するための手段】
本発明は、請求項1に記載するように、
(1)基材上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層であり、かつ少なくとも光触媒およびバインダを含有する光触媒含有層を形成する工程と、
(2)上記光触媒含有層にパターン状にエネルギーを照射して第一機能性部用露光部を形成する工程と、
(3)上記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
(4)上記第一機能性部が形成された光触媒含有層の第一機能性部の周囲に、パターン状にエネルギー照射して第二機能性部用露光部を形成する工程と、
(5)上記第一機能性部を覆うように上記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
を有すること特徴とする機能性素子の製造方法を提供する。
【0006】
本発明によれば、光触媒含有層上のエネルギー照射が行われた部分の液体との接触角が低下することから、エネルギー照射が行われた第一機能性部用露光部が親液性領域とされ、エネルギー未照射部が撥液性領域とされる。この濡れ性の差を利用して第一機能性部を容易に形成することが可能となる。さらに、この第一機能性部が形成された周囲にエネルギーをパターン状に照射することにより、新たに親液性領域を形成することができ、この親液性領域とエネルギー未照射部の撥液性領域との濡れ性の差を利用して、容易に第一機能性部を覆うように、第二機能性部を形成することが可能となる。
【0007】
また、本発明はエネルギー照射した部分の濡れ性を変化させてパターンを形成するものであるので、特にエネルギー照射後の後処理も必要無く、濡れ性の変化した高精細なパターンを有するパターン形成体を得ることができ、このパターンに沿って機能性部を形成することにより、容易に高精細な二重構造の機能性素子を製造することができる。
【0008】
また、上記請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載するように、上記光触媒含有層が、エネルギー照射による光触媒の作用により分解され、これにより光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる分解物質を含んでいてもよい。本発明においては、光触媒の作用による光触媒含有層の濡れ性の変化が、バインダの材質に起因するものであってもよいが、このように光触媒の作用により分解される分解物質を、光触媒含有層に含有させることによりその表面の濡れ性をパターン状に変化させてもよい。
【0009】
また、上記請求項1または請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載するように、上記光触媒含有層のバインダが、YnSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。光触媒含有層に含まれるバインダは光触媒の作用により分解されない程度の結合エネルギーが必要であり、またバインダ自体が光触媒の作用により光触媒含有層の濡れ性を大きく変化させるものであることが好ましいことから上記オルガノポリシロキサンが好ましいのである。
【0010】
上記請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項4に記載するように、上記光触媒含有層は、エネルギーが照射されていない部分における表面張力40mN/mの液体との接触角が、エネルギーが照射された部分における表面張力40mN/mの液体との接触角より1°以上大きい接触角とする光触媒含有層であることが好ましい。上述したように、光触媒含有層は、エネルギー照射することにより液体との接触角が低下するが、エネルギー未照射部分と、エネルギー照射部分における液体との接触角の差が上記の値以上であることにより、この濡れ性の差を利用して、機能性部を形成することがより容易となるからである。
【0011】
また、本発明は、請求項5に記載するように、
(1)基材上に、少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層を形成する工程と、
(2)上記光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層である濡れ性変化層を形成する工程と、
(3)上記濡れ性変化層にパターン状にエネルギーを照射して第一機能性部用露光部を形成する工程と、
(4)上記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
(5)上記第一機能性部が形成された濡れ性変化層の第一機能性部の周囲に、パターン状にエネルギー照射して第二機能性部用露光部を形成する工程と、
(6)上記第一機能性部を覆うように上記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
を有すること特徴とする機能性素子の製造方法を提供する。
【0012】
本発明によれば、請求項1に記載の発明と同様に、濡れ性変化層上のエネルギー照射が行われた部分の液体との接触角が低下することから、まずエネルギー照射が行われた第一機能性部用露光部が親液性領域とされ、エネルギー未照射部の撥液性領域との濡れ性の差を利用して第一機能性部を容易に形成することが可能となる。さらに、この第一機能性部が形成された周囲にエネルギーを照射することにより、第一機能性部の周囲に親液性領域を形成することができ、この親液性領域とエネルギー未照射部の撥液性領域との濡れ性の差を利用して容易に第一機能性部を覆うように第二機能性部を形成することが可能となるのである。
【0013】
また、エネルギー照射した部分の濡れ性を変化させてパターンを形成するものであるので、特にエネルギー照射後の後処理も必要無く、濡れ性の変化した高精細なパターン形成体を得ることができ、このパターンに沿って機能性部を形成することにより、容易に高精細な二重構造の機能性素子を製造することができる。
【0014】
さらに、本発明においては、光触媒を含有する光触媒処理層上に濡れ性変化層が形成されることから、濡れ性変化層の機能性部が直接光触媒処理層と接触しない。従って、機能性部が光触媒処理層の影響を受ける可能性が少なく、様々な用途の機能性素子として用いることが可能となる。
【0015】
上記請求項5に記載の発明においては,請求項6に記載するように、上記濡れ性変化層が、YnSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。請求項3で述べた場合と同様に、濡れ性変化層に含まれるバインダは光触媒の作用により分解されない程度の結合エネルギーが必要であり、光触媒処理層の影響により濡れ性を変化させるものであることが好ましいことから上記オルガノポリシロキサンが好ましいのである。
【0016】
また、上記請求項5または請求項6に記載の発明においては、請求項7に記載するように、上記濡れ性変化層は、エネルギーが照射されていない部分における表面張力40mN/mの液体との接触角が、エネルギーが照射された部分における表面張力40mN/mの液体との接触角より1°以上大きい接触角とする濡れ性変化層であることが好ましい。上述したように、上記濡れ性変化層は、エネルギー照射することにより液体との接触角が低下するが、エネルギー未照射部分と、エネルギー照射部分における液体との接触角の差が上記以上であることにより、この濡れ性の差を利用して、機能性部を形成することがより容易となるからである。
【0017】
また、本発明は請求項8に記載するように、
(1)基材上に、少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層を形成する工程と、
(2)上記光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される層である分解除去層を形成する工程と、
(3)上記分解除去層にパターン状にエネルギーを照射して第一機能性部用露光部を形成する工程と、
(4)上記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
(5)上記第一機能性部が形成された分解除去層の第一機能性部の周囲に、パターン状にエネルギー照射して第二機能性部用露光部を形成する工程と、
(6)上記第一機能性部を覆うように上記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
を有すること特徴とする機能性素子の製造方法を提供する。
【0018】
本発明によれば、分解除去層上のエネルギー照射が行われた部分は、分解除去層が分解除去されて光触媒処理層が露出し、エネルギー未照射部分は分解除去層が残存することから、分解除去層表面に凹凸が形成される。このエネルギー照射が行われた凹部となった領域に、この凹凸を利用して第一機能性部を容易に形成することが可能となる。さらに、この第一機能性部が形成された周囲にエネルギーを照射することにより、さらに第二機能性部用露光部として凹部が形成され、この凹凸を利用して容易に機能性部を形成することが可能である。
【0019】
また、上記分解除去層の凹凸を利用してパターンを形成するものであるので、特にエネルギー照射後の後処理も必要無く、凹凸を有する高精細なパターン形成体を得ることができ、このパターンに沿って機能性部を形成することにより、容易に高精細な二重構造の機能性素子を製造することができる。
【0020】
また、上記請求項8に記載された発明においては、請求項9に記載するように、上記分解除去層が、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、もしくは交互吸着膜のいずれかであることが好ましい。上記分解除去層が、上記の膜であることにより、比較的強度の高い欠陥のない膜を形成することが可能となるからである。
【0021】
また、上記請求項8または請求項9に記載の発明については、請求項10に記載するように、上記分解除去層は、分解除去層が残存する部分における表面張力40mN/mの液体との接触角が、エネルギーが照射されて分解除去層が分解除去されて露出した光触媒処理層における表面張力40mN/mの液体との接触角より1°以上大きい接触角とする分解除去層であることが好ましい。上記分解除去層が残存する部分と、エネルギー照射されて分解除去層が分解除去されて露出した光触媒処理層との接触角の差が、上記以上であることにより、分解除去層上の凹凸だけでなく、この濡れ性の差を利用して、機能性部を形成することがより容易となるからである。
【0022】
上記請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の発明については,請求項11に記載するように、上記光触媒が、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)から選択される1種または2種以上の物質であることが好ましく、中でも請求項12に記載するように、上記光触媒が酸化チタン(TiO2)であることが特に好ましい。これは、二酸化チタンのバンドギャップエネルギーが高いため光触媒として有効であり、かつ化学的にも安定で毒性もなく、入手も容易だからである。
【0023】
上記請求項1から請求項12までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項13に記載されるように、エネルギー照射が、光触媒を加熱しながらなされることが好ましい。上記エネルギー照射の際に、光触媒を加熱することにより、光触媒の効果をより高めることが可能となり、効率よく機能性素子を形成することが可能となるからである。
【0024】
本発明においては、請求項14に記載するように、基材と、上記基材上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層であり、かつ少なくとも光触媒およびバインダを含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上にパターン状に形成された第一機能性部と、上記第一機能性部を覆うように形成された第二機能性部とを有することを特徴とする機能性素子を提供する。
【0025】
本発明によれば、光触媒含有層のエネルギー照射部の濡れ性と、未照射部の濡れ性との差を利用して機能性部を形成することが可能となることから、製造が容易であり、結果的に低コストで高精細な機能性素子とすることが可能となる。
【0026】
また、本発明においては、請求項15に記載するように、基材と、上記基材上に形成された少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層である濡れ性変化層と、上記濡れ性変化層上にパターン状に形成された第一機能性部と、上記第一機能性部を覆うように形成された第二機能性部とを有することを特徴とする機能性素子を提供する。
【0027】
本発明によれば、請求項14に記載された発明と同様に、濡れ性変化層のエネルギー照射部の濡れ性と、エネルギー未照射部の濡れ性との差を利用して機能性部を形成することが可能となることから、製造が容易であり、結果的に低コストで高精細な機能性素子とすることが可能となる。さらに、濡れ性変化層に光触媒を含有する必要がないことから、光触媒と機能性部が直接接触せず、機能性部が経時的に光触媒の影響を受ける可能性を低くすることが可能であり、高品質な機能性素子とすることができる。
【0028】
さらに本発明は、請求項16に記載するように、基材と、上記基材上に形成された少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される層である分解除去層と、上記光触媒処理層上の上記分解除去層が分解除去された領域に、パターン状に形成された第一機能性部と、上記第一機能性部の周囲であり、かつ上記光触媒処理層上の上記分解除去層が分解除去された領域に、上記第一機能性部を覆うように形成された第二機能性部とを有することを特徴とする機能性素子を提供する。
【0029】
本発明によれば、分解除去層がエネルギー照射により分解されることから、エネルギー照射部と、未照射部の凹凸を利用して機能性部を形成することが可能となることから、製造が容易であり、結果的に低コストな機能性素子とすることが可能となる。
【0030】
さらに上記請求項14から請求項16までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項17に記載するように、機能性素子の第二機能性部が封止材であることを特徴とする機能性素子を提供する。上記の機能性素子に形成された第二機能性部が封止材であることにより、高精細に封止材で封止された機能性素子とすることが可能となるからである。
【0031】
また、本発明は、請求項18に記載するように、請求項14から請求項16までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の第一機能性部がコア層であり、第二機能性部がクラッド層であることを特徴とする光導波路を提供する。
【0032】
本発明によれば、上記の機能性素子の第一機能性部をコア層として、コア層を覆うように形成された第二機能性部をクラッド層として用いることにより、上記機能性素子は、製造が容易であり、高精細なパターンであることから、低コストで高精細なパターンを有する光導波路とすることが可能となるのである。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明は、機能性素子の製造方法および機能性素子に関するものである。以下、これらについてわけて説明する。
【0034】
A.機能性素子の製造方法
本発明の機能性素子の製造方法は、3つの実施態様を含むものである。以下、これらについて各実施態様ごとに説明する。
【0035】
1.第一実施態様
本発明の第一実施態様は、
(1)基材上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層であり、かつ少なくとも光触媒およびバインダを含有する光触媒含有層を形成する工程と、
(2)上記光触媒含有層にパターン状にエネルギーを照射して第一機能性部用露光部を形成する工程と、
(3)上記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
(4)上記第一機能性部が形成された光触媒含有層の第一機能性部の周囲に、パターン状にエネルギー照射して第二機能性部用露光部を形成する工程と、
(5)上記第一機能性部を覆うように上記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
を有すること特徴とする機能性素子の製造方法である。
【0036】
本実施態様は、例えば図1に示すように、基材1上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下する光触媒含有層2を形成する(図1(a))。次に、上記光触媒含有層2上に、フォトマスク3を用いてエネルギー4を第一機能性部を形成するパターン状に照射する(図1(b))。ここで、エネルギー照射が行われた光触媒含有層上の領域は液体との接触角が低下した親液性領域となり、エネルギー未照射部の領域は撥液性領域となる。このエネルギー照射により親液性領域とされた第一機能性部用露光部5に、第一機能性部6を形成する(図1(c))。この際に、第一機能性部用露光部5と隣接するエネルギー未照射の光触媒含有層2は撥液性であることから、第一機能性部を機能性部用組成物等で形成した場合には、撥液性領域である光触媒含有層2上には付着せず、第一機能性部用露光部のみに均一に第一機能性部を形成することが可能となるのである。次に、上記工程で第一機能性部6が形成された光触媒含有層に、さらにフォトマスク3を用いて、第一機能性部6の周囲に第二機能性部を形成するようにパターン状にエネルギー4を照射する(図1(d))。これにより上記と同様に、エネルギーの照射された第二機能性部用露光部が親液性領域とされる。この第二機能性部用露光部7に、第一機能性部6を覆うように第二機能性部8を形成する(図1(e))。この際、上記と同様に、第二機能性部を機能性部用組成物等により形成することにより、容易に第二機能性部用露光部上のみに第二機能性部を形成することが可能となり、容易に二重に機能性部を有する機能性素子を製造することが可能となるのである。以下、これらの製造方法について詳しく説明する。
【0037】
(1)光触媒含有層形成工程
本実施態様において、光触媒含有層形成工程とは、例えば図1(a)に示すように、基材1上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層であり、かつ少なくとも光触媒およびバインダを含有する光触媒含有層2を形成する工程である。これらの光触媒含有層工程の各構成についてそれぞれ説明する。
【0038】
a.基材
まず、本実施態様に用いられる基材について説明する。本実施態様に用いられる基材は、例えば図1(a)に示すように、基材上に光触媒含有層が形成されるものであり、特に材料等は限定されるものではなく、必要に応じて種々の材料を用いることができる。具体的には、ガラス、アルミニウム、およびその合金等の金属、プラスチック、織物、不織布等を挙げることができる。
【0039】
また、基材は、必要に応じてアルカリ溶出防止用やガスバリア性付与その他の目的の表面処理を施したものを用いてもよく、基材表面と光触媒含有層との密着性を向上させるために、基材上にプライマー層を形成するようにしてもよい。このようなプライマー層としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
【0040】
b.光触媒含有層
次に、本実施態様に用いられる光触媒含有層について説明する。
【0041】
本実施態様に用いられる光触媒含有層は、基材上に設けられ、エネルギー照射により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する層である。このように、エネルギー照射により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する光触媒含有層を設けることにより、エネルギーのパターン照射等を行った場合、容易に濡れ性を変化させ、液体との接触角の小さい親液性領域とすることができ、例えば塗工液を塗布して機能性部とする部分のみ容易に親液性領域とすることが可能となる。したがって、この濡れ性の差を利用して効率的に機能性部を製造することができ、コスト的に有利となる。なお、この場合のエネルギーとしては、通常紫外光を含む光が用いられる。
【0042】
ここで、親液性領域とは、液体との接触角が小さい領域であり、各種機能性部用組成物等に対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、各種機能性部用組成物等に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
【0043】
本実施態様における光触媒含有層は、エネルギー照射されていない部分における表面張力40mN/mの液体との接触角を、エネルギー照射された部分における表面張力40mN/mの液体との接触角より1°以上大きい接触角とすることが可能な層であることが好ましい。このように、少なくとも接触角の差が1°以上あれば、各種機能性部用組成物を親液性領域に沿って塗布することが容易となるからである。
【0044】
具体的には、エネルギー照射していない部分においては、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上であることが好ましい。これは、エネルギー照射していない部分は、本発明においては撥液性が要求される部分であることから、液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、各種機能性部用組成物等が残存する可能性が生じるため好ましくないからである。
【0045】
また、上記光触媒含有層は、エネルギー照射すると液体との接触角が低下して、表面張力40mN/mの液体との接触角が9°以下、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となるような層であることが好ましい。エネルギー照射した部分の液体との接触角が高いと、この部分での各種機能性部用組成物等の広がりが劣る可能性があり、精度良く機能性部を形成することができない可能性があるからである。
【0046】
なお、ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
【0047】
本実施態様における光触媒含有層は、少なくとも光触媒、およびバインダとから構成されている。このような層とすることにより、エネルギーをパターン照射することによって光触媒の作用で光触媒含有層上の臨界表面張力を高くすることが可能となり、液体との接触角が異なるパターンを形成することができる。
【0048】
このような光触媒含有層における、後述するような酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。
【0049】
本実施態様における光触媒含有層では、光触媒により、バインダの一部である有機基や、後述する分解物質の酸化、分解等の作用を用いて、エネルギー照射部の濡れ性を変化させて親液性とし、エネルギー未照射部との濡れ性に大きな差を生じさせることができる。よって、各種機能性部用組成物等との受容性(親液性)および反撥性(撥液性)を高めることによって、品質の良好でかつコスト的にも有利な機能性素子を得ることができる。
【0050】
以下、このような光触媒含有層の必須成分である、光触媒およびバインダについて説明し、次いでその他の成分について説明する。
【0051】
(光触媒)
本発明で使用する光触媒としては、光半導体として知られる例えば酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0052】
本発明においては、特に酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の酸化チタンが好ましい。アナターゼ型酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
【0053】
このようなアナターゼ型酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0054】
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下であることが好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。また、光触媒の粒径が小さいほど、形成された光触媒含有層の表面粗さが小さくなるので好ましく、光触媒の粒径が100nmを越えると光触媒含有層の中心線平均表面粗さが粗くなり、光触媒含有層のエネルギー未照射部の撥液性が低下し、またエネルギー照射部の親液性の発現が不十分となるため好ましくない。
【0055】
光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。
【0056】
(バインダ)
本実施態様においては、光触媒含有層上の濡れ性の変化をバインダ自体に光触媒が作用することにより行う場合(第1の形態)と、エネルギー照射による光触媒の作用により分解され、これにより光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる分解物質を光触媒含有層に含有させることにより変化させる場合(第2の形態)と、これらを組み合わせることにより行う場合(第3の形態)の三つ形態に分けることができる。上記第1の形態および第3の形態において用いられるバインダは、光触媒の作用により光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる機能を有する必要があり、上記第2の形態では、このような機能は特に必要ない。
【0057】
以下、まず第2の形態に用いられるバインダ、すなわち光触媒の作用により光触媒含有層上の濡れ性を変化させる機能を特に必要としないバインダについて説明し、次に第1の形態および第3の形態に用いられるバインダ、すなわち光触媒の作用により光触媒含有層上の濡れ性を変化させる機能を有するバインダについて説明する。
【0058】
上記第2の形態に用いられる、光触媒の作用により光触媒含有層上の濡れ性を変化させる機能を特に必要としないバインダとしては、主骨格が上記光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものであれば特に限定されるものではない。具体的には、有機置換基を有しない、もしくは多少有機置換基を有するポリシロキサンを挙げることができ、これらはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を加水分解、重縮合することにより得ることができる。
【0059】
このようなバインダを用いた場合は、添加剤として後述するエネルギー照射による光触媒の作用により分解され、これにより光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる分解物質を光触媒含有層中に含有させることが必須となる。
【0060】
次に、上記第1の形態および第3の形態に用いられる、光触媒の作用により光触媒含有層上の濡れ性を変化させる機能を必要とするバインダについて説明する。このようなバインダとしては、主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものであって、光触媒の作用により分解されるような有機置換基を有するものが好ましく、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0061】
上記の(1)の場合、一般式:
YnSiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
【0062】
また、バインダとして、特にフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンが好ましく用いることができ、具体的には、下記のフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si CH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si CH3(OCH3)2;
CF3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)7SO2N(C2H5)C2H4CH2Si(OCH3)3
上記のようなフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンをバインダとして用いることにより、光触媒含有層のエネルギー未照射部の撥液性が大きく向上し、各種機能性部用組成物の付着を妨げる機能を発現する。
【0063】
また、上記の(2)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
【0064】
【化1】
【0065】
ただし、nは2以上の整数であり、R1,R2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R1、R2がメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
【0066】
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコン化合物をバインダに混合してもよい。
【0067】
(分解物質)
上記第2の形態および第3の形態においては、さらにエネルギー照射による光触媒の作用により分解され、これにより光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる分解物質を光触媒含有層に含有させる必要がある。すなわち、バインダ自体に光触媒含有層上の濡れ性を変化させる機能が無い場合、およびそのような機能が不足している場合に、上述したような分解物質を添加して、上記光触媒含有層上の濡れ性の変化を起こさせる、もしくはそのような変化を補助させるようにするのである。
【0068】
このような分解物質としては、光触媒の作用により分解し、かつ分解されることにより光触媒含有層表面の濡れ性を変化させる機能を有する界面活性剤を挙げることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0069】
また、界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ナイロン、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を挙げることができる。
【0070】
(フッ素の含有)
また、本実施態様においては、光触媒含有層がフッ素を含有し、さらにこの光触媒含有層表面のフッ素含有量が、光触媒含有層に対しエネルギーを照射した際に、上記光触媒の作用によりエネルギー照射前に比較して低下するように上記光触媒含有層が形成されていることが好ましい。
【0071】
このような特徴を有する機能性素子においては、エネルギーをパターン照射することにより、後述するように容易にフッ素の含有量の少ない部分からなるパターンを形成することができる。ここで、フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものであり、このためフッ素を多く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。したがって、フッ素の含有量の多い部分の表面の臨界表面張力に比較してフッ素の含有量の少ない部分の臨界表面張力は大きくなる。これはすなわち、フッ素含有量の少ない部分はフッ素含有量の多い部分に比較して親液性領域となっていることを意味する。よって、周囲の表面に比較してフッ素含有量の少ない部分からなるパターンを形成することは、撥液性域内に親液性領域のパターンを形成することとなる。
【0072】
したがって、このような光触媒含有層を用いた場合は、エネルギーをパターン照射することにより、撥液性領域内に親液性領域のパターンを容易に形成することができるので、濡れ性の差によるパターンの形成が容易に可能となり、利用価値の高い機能性素子を製造することができる。よって、本実施態様においてフッ素の添加は、パターン精度を高めることができるという面で特に有効であるといえる。
【0073】
上述したような、フッ素を含む光触媒含有層中に含まれるフッ素の含有量としては、エネルギーが照射されて形成されたフッ素含有量が低い親液性領域におけるフッ素含有量が、エネルギー照射されていない部分のフッ素含有量を100とした場合に10以下、好ましくは5以下、特に好ましくは1以下であることが好ましい。
【0074】
このような範囲内とすることにより、エネルギー照射部分と未照射部分との親液性に大きな違いを生じさせることができる。したがって、このような光触媒含有層に機能性部を形成することにより、フッ素含有量が低下した親液性領域のみに正確に機能性部を形成することが可能となり、精度良く機能性素子を得ることができるからである。なお、この低下率は重量を基準としたものである。
【0075】
このような光触媒含有層中のフッ素含有量の測定は、一般的に行われている種々の方法を用いることが可能であり、例えばX線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy, ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測定できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0076】
また、本実施態様においては、光触媒として上述したように二酸化チタンが好適に用いられるが、このように二酸化チタンを用いた場合の、光触媒含有層中に含まれるフッ素の含有量としては、X線光電子分光法で分析して定量化すると、チタン(Ti)元素を100とした場合に、フッ素(F)元素が500以上、このましくは800以上、特に好ましくは1200以上となる比率でフッ素(F)元素が光触媒含有層表面に含まれていることが好ましい。
【0077】
フッ素(F)が光触媒含有層にこの程度含まれることにより、光触媒含有層上における臨界表面張力を十分低くすることが可能となることから表面における撥液性を確保でき、これによりエネルギーをパターン照射してフッ素含有量を減少させたパターン部分における表面の親液性領域との濡れ性の差異を大きくすることができ、最終的に得られる機能性素子の精度を向上させることができるからである。
【0078】
さらに、このような機能性素子においては、エネルギーをパターン照射して形成される親インク領域におけるフッ素含有量が、チタン(Ti)元素を100とした場合にフッ素(F)元素が50以下、好ましくは20以下、特に好ましくは10以下となる比率で含まれていることが好ましい。
【0079】
光触媒含有層中のフッ素の含有率をこの程度低減することができれば、機能性部を形成するためには十分な親液性を得ることができ、上記エネルギーが未照射である部分の撥液性との濡れ性の差異により、機能性部を精度良く形成することが可能となり、利用価値の高い機能性素子を得ることができる。
【0080】
c.光触媒含有層の基材上への形成方法
上記光触媒含有層は、光触媒、およびバインダを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して光触媒含有層形成用塗工液を調製し、この塗工液を上記基材上に塗布することにより光触媒含有層を形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することができる。
【0081】
上記、光触媒含有層形成用塗工液中の光触媒の含有量は、固形分の5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。
【0082】
このようにして得られた光触媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内であることが好ましい。
【0083】
(2)第一機能性部用露光部形成工程
次に、第一機能性部用露光部を形成する工程について説明する。本実施態様においては、例えば図1(b)に示すように、上記光触媒含有層を形成する工程により形成された光触媒含有層2表面に対して、例えばフォトマスク3を用いる方法等によりエネルギー4をパターン状に照射して、濡れ性の異なる部位からなる第一機能性部用露光部を形成する工程が行われる。なお、本実施態様でいう第一機能性部用露光部とは、一般的にエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、濡れ性が低下した第一機能性部を形成する領域をいう。
【0084】
以下、本実施態様に用いられるエネルギーとパターン照射の方法について説明する。
【0085】
(エネルギー)
本実施態様の機能性素子の製造方法においては、エネルギーのパターン照射が行われるが、ここで用いられるエネルギーとしては、光触媒含有層に用いられている光触媒を励起することができるエネルギーであれば特に限定されるものではない。例えば、後述するパターン照射の項で詳述するように光と熱エネルギーの組合せ等であってもよいが、通常光が好適に用いられる。
【0086】
本実施態様において用いられる光触媒は、そのバンドギャップによって触媒反応を生じさせる光の波長が異なる。例えば、硫化カドニウムであれば496nm、また酸化鉄であれば539nmの可視光であり、二酸化チタンであれば388nmの紫外光である。したがって、光であれば可視光であれ紫外光であれ本実施態様で用いることができる。しかしながら、上述したようにバンドギャップエネルギーが高いため光触媒として有効であり、かつ化学的にも安定で毒性もなく、入手も容易といった理由から光触媒としては二酸化チタンが好適に用いられる関係上、この二酸化チタンの触媒反応を生じさせる紫外光を含む光であることが好ましい。
【0087】
このような紫外光を含む光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を挙げることができる。このエネルギー照射に用いる光の波長は400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定することができ、また、エネルギー照射に際しての光の照射量は、エネルギー照射された部位が光触媒の作用により親液性を発現するのに必要な照射量とすることができる。
【0088】
(パターン照射)
本実施態様においては、このようなエネルギーをパターン状に照射する必要がある。パターン状に照射する方法としては、特に限定されるものではないが、通常フォトマスクを用いる方法により行われる。
【0089】
このフォトマスクを用いる方法以外の方法としては、レーザ等を用いてエネルギーを描画照射するような方法でエネルギーのパターン照射を行っても良い。具体的には、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を挙げることができる。
【0090】
また、本実施態様においては、光触媒を加熱しながらエネルギーのパターン照射を行うことが好ましい。光触媒を加熱することにより、感度を上昇させることが可能となり、効率的な濡れ性の変化を行うことができるからである。具体的には、30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
【0091】
(3)第一機能性部形成工程
次に、上述した第一機能性部用露光部形成工程により、親液性領域とされた第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程について説明する。
【0092】
例えば図1(c)に示すように、第一機能性部6は、上述したように親液性領域とされた第一機能性部用露光部5に例として機能性部用組成物等を用いて形成される。この際、上述したように、エネルギー未照射部である光触媒含有層2上は、撥液性領域であり、エネルギー照射部である第一機能性部5上は親液性領域である。これにより、撥液性領域である光触媒含有層2上には、塗工液は付着せず、第一機能性部用露光部5のみに例えば機能性部用組成物等を用いて種々の機能性部を第一機能性部用露光部に形成することが可能となり、また第一機能性部用露光部5は、親液性であることから、塗工液により均一に機能性部を形成することが可能となるのである。この場合には、光触媒含有層上のエネルギー未照射部は、臨界表面張力が50mN/m以下、好ましくは30mN/m以下であることが望ましい。
【0093】
ここで機能性とは、光学的(光選択吸収、反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等)、磁気的(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、電気・電子的(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等)、化学的(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等)、機械的(耐摩耗性等)、熱的(伝熱性、断熱性、赤外線放射性等)、生体機能的(生体適合性、抗血栓性等)のような各種の機能を意味するものである。
【0094】
本発明に用いられる機能性部用組成物としては、上述したように機能性素子の機能、機能性素子の形成方法等によって大きく異なるものであるが、例えば、紫外線硬化型モノマー等に代表される溶剤で希釈されていない組成物や、溶剤で希釈した液体状の組成物等を用いることができる。また、機能性部用組成物としては粘度が低いほど短時間にパターンが形成できることから特に好ましい。ただし、溶剤で希釈した液体状組成物の場合には、パターン形成時に溶剤の揮発による粘度の上昇、表面張力の変化が起こるため、溶剤が低揮発性であることが望ましい。さらに、後述するように、この機能性部上に第二機能性部を形成することから、第一機能性部を形成する機能性部用組成物は、親液性であることが好ましい。これにより、第二機能性部を均一に第一機能性部上に形成することが可能となるからである。また、第一機能性部を形成後、その表面を親液性とするように親液性処理を施してもよい。これにより、第二機能性部を第一機能性部上に均一に形成することが可能となるからである。
【0095】
本発明に用いられる機能性部用組成物としては、第一機能性部用露光部に付着等させて配置されることにより機能性部となるものであってもよく、また第一機能性部用露光部上に配置された後、薬剤により処理され、もしくは紫外線、熱等により処理された後に機能性部となるものであってもよい。この場合、機能性部用組成物の結着剤として、紫外線、熱、電子線等で効果する成分を含有している場合には、硬化処理を行うことにより素早く機能性部が形成できることから好ましい。
【0096】
このような機能性素子の形成方法を具体的に説明すると、機能性部用組成物は、ディップコート、ロールコート、ブレードコート、スピンコート等の塗布手段、インクジェット等を含むノズル吐出手段等の手段を用いて機能性素子上に形成された親液性領域のパターン上に機能性部を形成する。中でもノズル吐出手段を用いることが好ましく、特にインクジェット法であることが好ましい。
【0097】
本実施態様において、好ましい第一機能性部としては、光導波路のコア層、ハードコート材により保護されるマイクロレンズ、絶縁層により被覆される金属配線等が挙げられる。
【0098】
(4)第二機能性部用露光部形成工程
次に、第一機能性部が形成された光触媒含有層上に、第二機能性部用露光部を形成する工程について説明する。本実施態様における第二機能性部用露光部を形成する工程は、例えば図1(d)に示すように、フォトマスク3を用いて、第一機能性部の周囲の第二機能性部を形成するパターン状に、エネルギー4を照射する。このエネルギー照射により、上述したように、エネルギーを照射した第二機能性部用露光部が親液性領域とされる。
【0099】
ここで、本実施態様における、第一機能性部の周囲とは、例えば図2に示すように、第二機能性部用露光部7が第一機能性部6の全ての周りを囲むものであるものや、図3または図4に示すように、第一機能性部6の一部の周りを囲むものであるものも含むものとする。また、図5に示すように、第一機能性部の両側に第二機能性部用露光部が形成されたものであってもよい。
【0100】
なお、本工程におけるエネルギーやこのパターン照射、さらにはパターン形成等については、第一機能性部用露光部形成工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0101】
(5)第二機能性部形成工程
次に、第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程について説明する。例えば図1(e)に示すように、上記工程により第一機能性部6の周囲の第二機能性部用露光部7が親液性領域とされていることから、この第二機能性部8を、第一機能性部6の周囲、かつ上記第一機能性部6を覆うように形成する。これにより、機能性部が二重に形成された機能性素子とすることが可能となるのである。この機能性部の種類や、形成方法は特に限定されるものではなく、第一機能性部形成工程で述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0102】
ここで、本実施態様における、第二機能性部としては、封止材、光導波路のクラッド層、マイクロレンズのハードコート材、金属配線を覆う絶縁層等が挙げられ、中でも封止材、光導波路のクラッド層であることが好ましい。
【0103】
まず、第二機能性部が封止材である場合には、第一機能性部形成工程で形成した第一機能性部を封止することができ、高精細なパターンで第一機能性部を封止することが可能となるからである。
【0104】
また、機能性素子が光導波路である場合には、第一機能性部をコア層、第二機能性部をクラッド層とすることが可能となり、光導波路を容易に、かつ高精細に製造することができるからである。
【0105】
2.第二実施態様
本発明の機能性素子の製造方法の、第二実施態様は、
(1)基材上に、少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層を形成する工程と、
(2)上記光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層である濡れ性変化層を形成する工程と、
(3)上記濡れ性変化層にパターン状にエネルギーを照射して第一機能性部用露光部を形成する工程と、
(4)上記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
(5)上記第一機能性部が形成された濡れ性変化層の第一機能性部の周囲に、パターン状にエネルギー照射して第二機能性部用露光部を形成する工程と、
(6)上記第一機能性部を覆うように上記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
を有すること特徴とする方法である。
【0106】
本実施態様の例として、図6に示すように、まず基材1上に少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層9を形成する(図6(a))。次に、その光触媒処理層9上にエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下する濡れ性変化層10を形成する(図6(b))。この濡れ性変化層10に、フォトマスク3を用いて、第一機能性部を形成するパターン状に、エネルギー4を照射する(図6(c))。ここで、エネルギーが照射された領域の濡れ性変化層は、親液性領域とされる。これにより、親液性領域とされた第一機能性部用露光部5上に、機能性部用組成物等を用いて第一機能性部6が形成される(図6(d))。この際、エネルギー未照射領域の濡れ性変化層10は、撥液性領域であることから、機能性部用組成物は付着せず、高精細なパターンの第一機能性部6を形成することが可能となるのである。さらに、この第一機能性部6が形成された濡れ性変化層10の第一機能性部の周囲に、第二機能性部を形成するパターン状にフォトマスク3を用いてエネルギー4をパターン状に照射する(図6(e))。これにより、上記と同様に第二機能性部用露光部7が親液性領域とされ、容易に機能性部用組成物等により、第二機能性部8を、第一機能性部の周囲、かつ第一機能性部を覆うように形成することが可能となるのである(図6(f))。
【0107】
また、本実施態様においては、光触媒が濡れ性変化層中に含有されないことから、機能性部と光触媒が直接接触しない。これにより、経時的に機能性部が光触媒の影響を受ける可能性が低くなり、様々な用途に用いることが可能な機能性素子とすることが可能となるのである。
【0108】
以下、これらの第二実施態様の各工程について詳しく説明する。
【0109】
(1)光触媒処理層形成工程
まず、本実施態様の光触媒処理層形成工程について説明する。例えば図6(a)に示すように、本実施態様においては、基材1上に、光触媒処理層9が形成される。なお基材は、上記第一実施態様で述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0110】
本実施態様における光触媒処理層は、少なくとも光触媒を含有するものであり、バインダの有無を問わない点で上記第一実施態様における光触媒含有層と異なるものである。
【0111】
本実施態様において、光触媒処理層がバインダを有する場合は、上記第一実施態様で説明した光触媒含有層と同様であるので、ここでの説明は省略する。ただし、第二実施態様においては、光触媒処理層上の濡れ性は特に変化する必要がないことから、バインダ自体に光触媒が作用することによる濡れ性の変化が生じない場合であっても、第一実施態様のように分解物質を光触媒処理層に含有させる必要がない。また、バインダを有する場合の光触媒処理層の製造方法は、上述した第一実施態様と同様であるので、これについての説明も省略する。
【0112】
一方、バインダを有さない場合の光触媒含有層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることができる。真空製膜法により光触媒含有層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒含有層とすることが可能であり、これにより濡れ性変化層上の濡れ性を均一に変化させることが可能であり、かつ光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して効率的に濡れ性変化層上の濡れ性を変化させることが可能となる。
【0113】
また、光触媒のみからなる光触媒含有層の他の形成方法としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基体上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
【0114】
(2)濡れ性変化層形成工程
次に、濡れ性変化層形成工程について説明する。本実施態様においては、例として図6(b)に示すように、上述した光触媒処理層9上にエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する濡れ性変化層10を形成する。これにより、濡れ性変化層中に光触媒を含有する必要がないことから、経時的に機能性部が光触媒の影響を受ける可能性を少なくすることができ、高品質な機能性素子とすることが可能となるのである。
【0115】
この濡れ性変化層は、光触媒処理層の作用により濡れ性が変化する層であれば特に限定されるものではいが、上記第一実施態様の光触媒処理層中のバインダと同様の材料で形成することが好ましい。なお、このように上記第一実施態様の光触媒含有層中のバインダと同様の材料で形成した場合の濡れ性変化層の材料および形成方法に関しては、上記第一実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0116】
本実施態様において、この濡れ性変化層の厚みは、光触媒による濡れ性の変化速度等の関係より、0.001μmから1μmであることが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.1μmの範囲内である。
【0117】
本発明において上述した成分の濡れ性変化層を用いることにより、隣接する光触媒処理層中の光触媒の作用により、上記成分の一部である有機基や添加剤の酸化、分解等の作用を用いて、エネルギー照射部分の濡れ性を変化させて親液性とし、エネルギー未照射部との濡れ性に大きな差を生じさせることができる。よって、各種機能性部用組成物等との受容性(親液性)および反撥性(撥液性)を高めることによって、利用価値の高い機能性素子とすることができる。
【0118】
本実施態様における濡れ性変化層は、エネルギー照射されていない部分における表面張力40mN/mの液体との接触角を、エネルギー照射された部分における表面張力40mN/mの液体との接触角より1°以上大きい接触角とすることが可能な層であることが好ましい。このように、少なくとも接触角の差が1°以上あれば、各種機能性部用組成物を親液性領域に沿って塗布することが容易となるからである。
【0119】
具体的には、エネルギー照射していない部分においては、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上であることが好ましい。これは、エネルギー照射していない部分は、本発明においては撥液性が要求される部分であることから、液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、各種機能性部用組成物等が残存する可能性が生じるため好ましくないからである。
【0120】
また、上記濡れ性変化層は、エネルギー照射すると液体との接触角が低下して、表面張力40mN/mの液体との接触角が9度未満、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となるような層であることが好ましい。エネルギー照射した部分の液体との接触角が高いと、この部分での各種機能性部用組成物等の広がりが劣る可能性があり、精度良く機能性部を形成することができない可能性があるからである。
【0121】
なお、この濡れ性変化層には、上記第一実施態様における光触媒含有層の説明中「フッ素の含有」の項で記載したものと同様にして同様のフッ素を含有させることができる。
【0122】
(3)第一機能性部用露光部形成工程
次に、第一機能性部用露光部形成工程について説明する。例えば図6(c)に示すように、上述した濡れ性変化層10上に、例としてフォトマスク3等を用いることによって、第一機能性部を形成するパターン状にエネルギー4を照射し、濡れ性が低下した第一機能性部用露光部5を形成する工程である。これにより、第一機能性部をこの親液性領域である第一機能性部用露光部上に形成することが可能となるのである。このエネルギーの照射や、照射方法、パターン形成方法等については、上述した第一実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0123】
(4)第一機能性部形成工程
次に、第一機能性部形成工程を説明する。この第一機能性部形成工程は、例えば図6(d)に示すように、上述した工程により、親液性領域とされた第一機能性部用露光部5に第一機能性部6を形成する工程である。この機能性部の種類や、形成方法は特に限定されるものではなく、第一実施態様で述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0124】
(5)第二機能性部用露光部形成工程
次に、第二機能性部用露光部を形成する。この工程は、例として図6(e)に示すように、上述した工程により形成された第一機能性部6の周囲であり、かつ第二機能性部を形成するパターン状に、例えばフォトマスク3等を用いてエネルギー4を照射する工程である。これにより、上述したように、第二機能性部用露光部を親液性領域とすることが可能となり、容易に第二機能性部を形成することが可能となるのである。この第二機能性部用露光部の形成工程については、第一実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0125】
(6)第二機能性部形成工程
次に、上述した工程で親液性領域とされた第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する。この工程は、例として図6(f)に示すように、上記工程により親液性領域とされた第二機能性部用露光部7上、かつ第一機能性部を覆うように、例えば機能性部用組成物等を用いて第二機能性部8を形成する工程である。これにより、第一機能性部の周囲、かつ第一機能性部上に第二機能性部を容易に形成することが可能となり、高精細な機能性素子とすることが可能となるのである。
【0126】
この第二機能性部形成工程についても、第一実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0127】
3.第三実施態様
本発明の第三実施態様は、
(1)基材上に、少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層を形成する工程と、
(2)上記光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される層である分解除去層を形成する工程と、
(3)上記分解除去層にパターン状にエネルギーを照射して第一機能性部用露光部を形成する工程と、
(4)上記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
(5)上記第一機能性部が形成された分解除去層の第一機能性部の周囲に、パターン状にエネルギー照射して第二機能性部用露光部を形成する工程と、
(6)上記第一機能性部を覆うように上記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
を有すること特徴とする機能性素子の製造方法を提供する。
【0128】
本実施態様は、例として図7に示すように、基材1上に少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層9を形成する(図7(a))。次に、その光触媒処理層9上にエネルギー照射に伴う光触媒の影響により分解除去される分解除去層11を形成する(図7(b))。その分解除去層11上に、第一機能性部を形成するパターン状に、フォトマスク3を用いてエネルギー4を照射する(図7(c))。このエネルギー照射により、第一機能性部を形成する領域のみ分解除去層11が分解除去される。ここで、この分解除去層11の液体との接触角が、分解除去層11が分解除去されて露出する光触媒処理層9の液体との接触角より大きいことが好ましい。これにより、第一機能性部の形成を分解除去層11が分解除去された凹凸だけでなく、濡れ性の差も利用して、容易に行うことが可能となるからである。さらに、この分解除去層11が分解除去された第一機能性部用露光部5に、第一機能性部6を形成する(図7(d))。次に、第一機能性部が形成された分解除去層11の、第二機能性部が形成される第一機能性部6の周囲に、フォトマスク3を用いてエネルギー4の照射をパターン状に行う(図7(e))。これにより、エネルギー照射された第二機能性部用露光部7の分解除去層11が分解除去され、凹凸が形成され、第二機能性部8を容易に形成することが可能となる(図7(f))。
【0129】
以下、これらの各工程についてそれぞれ説明する。
【0130】
(1)光触媒処理層形成工程
まず、本実施態様の光触媒処理層形成工程について説明する。例えば図7(a)に示すように、本実施態様においては、基材1上に、光触媒処理層9が形成される。基材は、上記第一実施態様で述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。また、光触媒処理層は、上記第二実施態様で述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0131】
(2)分解除去層形成工程
次に、分解除去層形成工程について説明する。本実施態様の分解除去層形成工程は、例えば図7(b)に示すように、上記工程で形成された光触媒処理層上に分解除去層11を形成する工程である。本実施態様で用いられる分解除去層は、エネルギー照射された際に光触媒処理層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された部分の分解除去層が分解除去される層であれば、特に限定されるものではない。
【0132】
このように分解除去層は、エネルギー照射した部分が光触媒の作用により分解除去されることから、現像工程や洗浄工程を行うことなく分解除去層のある部分と無い部分からなるパターン、すなわち凹凸を有するパターンを形成することができる。
【0133】
なお、この分解除去層は、エネルギー照射による光触媒の作用により酸化分解され、気化等されることから、現像・洗浄工程等の特別な後処理なしに除去されるものであるが、分解除去層の材質によっては、洗浄工程等を行ってもよい。
【0134】
また、本実施態様に用いられる分解除去層は、凹凸を形成するのみならず、この分解除去層が、上記基材表面と比較して、液体との接触角が高いことが好ましい。これにより、分解除去層が分解除去され、基材が露出した領域を親液性領域、上記分解除去層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となり、種々のパターンを形成することが可能となるからである。
【0135】
ここで、上記エネルギー照射により分解除去層が分解除去されて露出する光触媒処理層からなる親液性領域と、エネルギー未照射部の分解除去層からなる撥液性領域との特性が、その後塗布する機能性部用組成物が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角において、少なくとも1°以上、好ましくは5°以上、特に10°以上異なる親液性領域および撥液性領域から形成されたパターンであることが好ましい。
【0136】
また、本実施態様の分解除去層表面の液体との接触角は、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上の値を示すことが好ましい。
【0137】
また、本実施態様においては、光触媒処理層が親液性であることが好ましく、具体的には、表面張力40mN/mの液体との接触角として9°以下であることが好ましく、さらに好ましくは、表面張力40mN/mの液体との接触角として5°以下、特に好ましくは1°以下であることである。
【0138】
分解除去層および光触媒処理層の濡れ性が、上記範囲内であることにより、光触媒処理層が露出した領域を親液性領域、分解除去層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となり、高精細なパターンの形成が容易となるからである。ここで、液体との接触角は、第一実施態様において説明した方法により測定した値である。
【0139】
本実施態様の分解除去層に用いることができる膜としては、具体的にはフッ素系や炭化水素系の撥液性を有する樹脂等による膜を挙げることができる。これらのフッ素系や炭化水素系の樹脂は、撥液性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、これらの樹脂を溶媒に溶解させ、例としてスピンコート法等の一般的な成膜方法により形成することが可能である。
【0140】
また、本実施態様においては、機能性薄膜、すなわち、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜等を用いることにより、欠陥のない膜を形成することが可能であることから、このような成膜方法を用いることがより好ましいといえる。
【0141】
ここで、本実施態様に用いられる自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜について具体的に説明する。
【0142】
(i)自己組織化単分子膜
自己組織化単分子膜(Self−Assembled Monolayer)の公式な定義の存在を発明者らは知らないが、一般的に自己組織化膜として認識されているものの解説文としては、例えばAbraham Ulmanによる総説“Formation and Structure of Self−Assembled Monolayers”, Chemical Review, 96, 1533−1554 (1996)が優れている。本総説を参考にすれば、自己組織化単分子膜とは、適当な分子が適当な基材表面に吸着・結合(自己組織化)した結果生じた単分子層のことと言える。自己組織化膜形成能のある材料としては、例えば、脂肪酸などの界面活性剤分子、アルキルトリクロロシラン類やアルキルアルコキシド類などの有機ケイ素分子、アルカンチオール類などの有機イオウ分子、アルキルフォスフェート類などの有機リン酸分子などが挙げられる。分子構造の一般的な共通性は、比較的長いアルキル鎖を有し、片方の分子末端に基材表面と相互作用する官能基が存在することである。アルキル鎖の部分は分子同士が2次元的にパッキングする際の分子間力の源である。もっとも、ここに示した例は最も単純な構造であり、分子のもう一方の末端にアミノ基やカルボキシル基などの官能基を有するもの、アルキレン鎖の部分がオキシエチレン鎖のもの、フルオロカーボン鎖のもの、これらが複合したタイプの鎖のものなど様々な分子から成る自己組織化単分子膜が報告されている。また、複数の分子種から成る複合タイプの自己組織化単分子膜もある。また、最近では、デンドリマーに代表されるような粒子状で複数の官能基(官能基が一つの場合もある)を有する高分子や直鎖状(分岐構造のある場合もある)の高分子が一層基材表面に形成されたもの(後者はポリマーブラシと総称される)も自己組織化単分子膜と考えられる場合もあるようである。本実施態様は、これらも自己組織化単分子膜に含める。
【0143】
(ii)ラングミュア−ブロジェット膜
本実施態様に用いられるラングミュア−ブロジェット膜(Langmuir−Blodgett Film)は、基材上に形成されてしまえば形態上は上述した自己組織化単分子膜との大きな相違はない。ラングミュア−ブロジェット膜の特徴はその形成方法とそれに起因する高度な2次元分子パッキング性(高配向性、高秩序性)にあると言える。すなわち、一般にラングミュア−ブロジェット膜形成分子は気液界面上に先ず展開され、その展開膜がトラフによって凝縮されて高度にパッキングした凝縮膜に変化する。実際は、これを適当な基材に移しとって用いる。ここに概略を示した手法により単分子膜から任意の分子層の多層膜まで形成することが可能である。また、低分子のみならず、高分子、コロイド粒子なども膜材料とすることができる。様々な材料を適用した最近の事例に関しては宮下徳治らの総説“ソフト系ナノデバイス創製のナノテクノロジーへの展望” 高分子 50巻 9月号 644−647 (2001)に詳しく述べられている。
【0144】
(iii)交互吸着膜
交互吸着膜(Layer−by−Layer Self−Assembled Film)は、一般的には、最低2個の正または負の電荷を有する官能基を有する材料を逐次的に基材上に吸着・結合させて積層することにより形成される膜である。多数の官能基を有する材料の方が膜の強度や耐久性が増すなど利点が多いので、最近ではイオン性高分子(高分子電解質)を材料として用いることが多い。また、タンパク質や金属や酸化物などの表面電荷を有する粒子、いわゆる“コロイド粒子”も膜形成物質として多用される。さらに最近では、水素結合、配位結合、疎水性相互作用などのイオン結合よりも弱い相互作用を積極的に利用した膜も報告されている。比較的最近の交互吸着膜の事例については、静電的相互作用を駆動力にした材料系に少々偏っているがPaula T. Hammondによる総説“Recent Explorations in Electrostatic Multilayer Thin Film Assembly”Current Opinion in Colloid & Interface Science, 4, 430−442 (2000)に詳しい。交互吸着膜は、最も単純なプロセスを例として説明すれば、正(負)電荷を有する材料の吸着−洗浄−負(正)電荷を有する材料の吸着−洗浄のサイクルを所定の回数繰り返すことにより形成される膜である。ラングミュア−ブロジェット膜のように展開−凝縮−移し取りの操作は全く必要ない。また、これら製法の違いより明らかなように、交互吸着膜はラングミュア−ブロジェット膜のような2次元的な高配向性・高秩序性は一般に有さない。しかし、交互吸着膜及びその作製法は、欠陥のない緻密な膜を容易に形成できること、微細な凹凸面やチューブ内面や球面などにも均一に成膜できることなど、従来の成膜法にない利点を数多く有している。
【0145】
また、分解除去層の膜厚としては、後述するエネルギー照射工程において照射されるエネルギーにより分解除去される程度の膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的な膜厚としては、照射されるエネルギーの種類や分解除去層の材料等により大きく異なるものではあるが、一般的には、0.001μm〜1μmの範囲内、特に0.01μm〜0.1μmの範囲内とすることが好ましい。
【0146】
(3)第一機能性部用露光部形成工程
次に、第一機能性部用露光部形成工程を説明する。本実施態様においては、例として図7(c)に示すように、第一機能性部を形成する領域に、例としてフォトマスク3を用いる等により、エネルギー4をパターン状に照射する。これにより、上述した分解除去層11の第一機能性部用露光部5のみが分解除去され、凹凸を有するパターンを形成することが可能となるのである。また、上述したように、分解除去層11が残存する領域が撥液性領域、分解除去層11がエネルギー照射により除去されて、光触媒処理層9が露出した第一機能性部用露光部5が親液性領域であることが好ましく、この濡れ性の差を利用して、より容易に第一機能性部を形成することが可能となる。このエネルギー照射や、照射方法、パターン形成方法等については、上述した第一実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0147】
(4)第一機能性部形成工程
次に、第一機能性部形成工程を説明する。この第一機能性部形成工程は、例えば図7(d)に示すように、上述した工程により、分解除去層が分解除去された光触媒処理層9上の第一機能性部用露光部5に第一機能性部6を形成する工程である。この機能性部の種類や、形成方法は特に限定されるものではなく、第一実施態様で述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0148】
なお、本実施態様における第一機能性部形成工程において、エネルギー照射部とエネルギー未照射部との特性の差が分解除去層の有無による凹凸のみである場合には、第一機能性部はノズル吐出法により形成することが好ましい。
【0149】
(5)第二機能性部用露光部形成工程
次に、第二機能性部用露光部を形成する。この工程は、例として図7(e)に示すように、上述した工程により形成された第一機能性部6の周囲であり、かつ第二機能性部を形成するパターン状に、例えばフォトマスク3等を用いてエネルギー4を照射する工程である。これにより、上述したように、第二機能性部用露光部7の分解除去層11を分解除去することが可能となり、容易に第二機能性部8を形成することが可能となるのである。この第二機能性部用露光部形成工程は、上記第一機能性部形成工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0150】
(6)第二機能性部形成工程
次に、上述した工程で分解除去層が分解除去された第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する。この工程は、例として図7(f)に示すように、上記工程により分解除去層11が分解除去されて、光触媒処理層9が露出した第二機能性部用露光部7上であり、また第一機能性部を覆うように、例えば機能性部用組成物等を用いて第二機能性部8を形成する工程である。これにより、第一機能性部の周囲、かつ第一機能性部上に第二機能性部を容易に形成することが可能となり、高精細な機能性素子とすることが可能となるのである。
【0151】
この第二機能性部形成工程については、第一実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0152】
B.機能性素子
次に、本発明の機能性素子について説明する。本発明の機能性素子は、3つの態様があり、第一の態様は、例として図8に示すように、基材1と、その基材1上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下する層であり、かつ少なくとも光触媒およびバインダを含有する光触媒含有層2と、その光触媒含有層2上にパターン状に形成された第一機能性部6と、その第一機能性部6の周囲であり、かつ第一機能性部6を覆うように第二機能性部8とを有する機能性素子である。ここで、光触媒含有層は、上記エネルギー照射により形成される親液性領域と、エネルギー未照射の撥液性領域との特性が、その後塗布する機能性部用組成物が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角において、少なくとも1°以上、好ましくは5°以上、特に10°以上異なる親液性領域および撥液性領域から形成されたパターンであることが好ましい。また、本実施態様の機能性素子における撥液性領域は、その特性が表面張力40mN/mの液体との接触角として10°以上であることが好ましく、特に表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、中でも表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上であることが好ましい。
【0153】
さらに、本実施態様の機能性素子における親液性領域は、その特性が表面張力40mN/mの液体との接触角として、9°以下であることが好ましく、特に表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、中でも表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下であることが好ましい。
【0154】
これにより、光触媒含有層のエネルギー照射部の濡れ性と、光触媒含有層のエネルギー未照射部との濡れ性の差を利用して、機能性部を形成することが可能となることから、製造が容易であり、結果的に低コストで高精細なパターンを形成することが可能となるからである。
【0155】
第二の態様は、例として図9に示すように、基材1と、上記基材1上に形成された少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層9と、上記光触媒処理層9上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層である濡れ性変化層10と、上記濡れ性変化層10上にパターン状に形成された第一機能性部6と、上記第一機能性部6を覆うように形成された第二機能性部8とを有することを特徴とする機能性素子である。
【0156】
第二の態様においても、上記エネルギー照射により形成される親液性領域と、エネルギー未照射の撥液性領域との特性が、その後塗布する機能性部用組成物が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角において、少なくとも1°以上、好ましくは5°以上、特に10°以上異なる親液性領域および撥液性領域から形成されたパターンであることが好ましい。また、本実施態様の機能性素子における撥液性領域は、その特性が表面張力40mN/mの液体との接触角として10°以上であることが好ましく、特に表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、中でも表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上であることが好ましい。
【0157】
さらに、本実施態様の機能性素子における親液性領域は、その特性が表面張力40mN/mの液体との接触角として、9°以下であることが好ましく、特に表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、中でも表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下であることが好ましい。
【0158】
これにより、第一の態様と同様に、濡れ性変化層のエネルギー照射部の濡れ性と、濡れ性変化層のエネルギー未照射部の濡れ性との差を利用して、機能性部を形成することが可能となることから、製造が容易であり、結果的に低コストで高精細なパターンを形成することが可能となるからである。さらに、第二の態様においては、濡れ性変化層に光触媒を含有される必要がないことから、機能性部と光触媒が直接接触せず、経時的に機能性部が光触媒の影響を受ける可能性を低くすることが可能であり、高品質な機能性素子とすることが可能となる。
【0159】
第三の態様は、図10に示すように、基材1と、上記基材1上に形成された少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層9と、上記光触媒処理層9上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される層である分解除去層11と、上記光触媒処理層9上の上記分解除去層11が分解除去された領域に、パターン状に形成された第一機能性部6と、上記第一機能性部6の周囲であり、かつ上記光触媒処理層9上の上記分解除去層11が分解除去された領域に、上記第一機能性部6を覆うように形成された第二機能性部8とを有することを特徴とする機能性素子である。ここで、分解除去層の液体との接触角は、分解除去層が分解除去されて露出する光触媒処理層の液体との接触角より大きいことが好ましい。これにより、分解除去層が残存する領域が撥液性領域、光触媒処理層が露出した領域を親液領域とされ、パターンの形成が容易となるからである。具体的には、分解除去層からなる撥液性領域は、その特性が表面張力40mN/mの液体との接触角として10°以上であることが好ましく、特に表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、中でも表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上であることが好ましい。
【0160】
また、光触媒処理層からなる親液性領域は、具体的には、表面張力40mN/mの液体との接触角として9°以下であることが好ましく、さらに好ましくは、表面張力40mN/mの液体との接触角として5°以下、特に好ましくは1°以下であることである。また、上述した機能性素子の機能性部の機能性や、構成に関しては、上述した機能性素子の製造方法で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0161】
本発明における第一機能性部と第二機能性部は同じ機能性部であってもよく、異なる機能性部であってもよいが、異なる機能性部であることが一般的な機能発現上は好ましいといえる。
【0162】
ここで、本発明の上記の機能性素子を具体的に用いた機能性素子としては、第二機能性部を封止材とする機能性素子が挙げられ、例えば図2に示すように、まず、光触媒含有層上2にパターン上に第一機能性部6を形成する。次にその第一機能性部6が形成された部位の周囲を取り囲むようにエネルギー照射を行い第二機能性部用露光部7を形成する。この第二機能性部用露光部7上、かつ第一機能性部6を覆うように封止材である第二機能性部を形成する。これにより、高精細な封止材で封止された機能性素子とすることが可能となるのである。
【0163】
また、上記の封止材の他に、第一機能性部がマイクロレンズであり、第二機能性部がそのマイクロレンズを保護するハードコート材である機能性素子や、第一機能性部が金属配線であり、第二機能性部がその金属配線を外部から遮蔽する絶縁層である機能性素子等が挙げられる。
【0164】
なお、本発明の機能性部、光触媒含有層、基材、エネルギー等の各構成および工程については、上述した機能性素子の製造方法の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0165】
C.光導波路
また、本発明は上述した機能性素子を光導波路とすることが可能である。光導波路は、光を導波するコア層と、そのコア層を覆うように形成されるコア層より屈折率の小さいクラッド層とを有する構造である。このことから、本発明の機能性素子が光導波路として用いられる場合において、上記の機能性素子の第一機能性部としてコア層が用いられ、第二機能性部が上部クラッド層として用いられる。
【0166】
ここで、本発明の機能性素子には、上述したように3つの態様があり、上記機能性素子の第一の態様においては、例えば図8に示すように第一機能性部であるコア層6は、光触媒含有層2上に形成され、第二機能性部であるクラッド層8が、そのコア層6を覆うように形成される。また、上記機能性素子の第2の態様においては、例えば図7に示すように第一機能性部であるコア層6は、濡れ性変化層10上に形成され、第二機能性部であるクラッド層8が、そのコア層6を覆うように形成される。さらに、第3の態様においては、例えば図8に示すように第一機能性部であるコア層6は、光触媒処理層9上に形成され、第二機能性部であるクラッド層8が、そのコア層6を覆うように形成される。このことから、上述したコア層と直接接触する光触媒含有層、濡れ性変化層、および光触媒含有層が本発明の光導波路において下部クラッド層として用いられる。これらの光導波路における各構成について説明する。
【0167】
まず、本発明の機能性素子が光導波路として用いられる場合にコア層が形成される部位である、光触媒含有層、濡れ性変化層、および光触媒処理層のいずれかである下部クラッド層について説明する。本発明の下部クラッド層は、上記の機能性素子の製造方法において説明した光触媒含有層、濡れ性変化層、および光触媒処理層と同様であり、ここでの説明は省略する。ここで、上述した層の中でも屈折率が1.1〜1.7の範囲内、中でも1.1〜1.5の範囲内であることが下部クラッド層としての機能性を果たす面から好ましい。さらに、後述するコア層と屈折率の差が0.03以上あることが好ましい。
【0168】
次に、本発明の機能性素子の第一機能性部として形成されるコア層について説明する。本発明によれば、上記の機能性素子の項で述べたように、上述した上記クラッド層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化したパターンや凹凸が形成されたパターンを利用して、容易にコア層を形成することが可能である。このようなコア層を形成するための材料としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、酸化ケイ素等が挙げられる。これらの材料をスピンコート法やディップコート法等の各種コーティング法やインクジェット法等のノズル吐出法、蒸着法および無電解メッキ法等を材料の特性に応じて選択し、コア層を形成する。選択する材料の種類や混合比率により屈折率を制御することが可能である。
【0169】
ここでコア層の形状に関しては、通常コア層内を導波する光のモード等を考慮して決定する。導波光としては、一般に赤外光を用いることから、コア層の頂部から底部までの膜厚が、0.8〜300μmの範囲内、好ましくは1〜100μmの範囲内が好ましい。またコア層底部の幅は0.8〜300μmの範囲内、好ましくは1〜100μmの範囲内が好ましい。上記範囲内のコア層とすることにより、コア層内を滞りなく光が導波し、効率の良好な光導波路を得ることができるからである。また、コア層の屈折率が1.1〜1.7の範囲内、好ましくは1.4〜1.7の範囲内とすることが好ましい。
【0170】
次に、第二機能性部として、上記コア層が形成された周囲、かつコア層を覆うように上部クラッド層が形成される。本発明によれば、上記の機能性素子の項で述べたように、第二機能性部である上部クラッド層を形成する領域に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、濡れ性の異なるパターンや凹凸を有するパターンを形成することが可能であり、容易に上部クラッド層を形成することが可能となるのである。本発明における上部クラッド層は、コア層表面を被覆するような形状であれば、特に限定はされない。
【0171】
また、光導波路における上部クラッド層の役割としては、光導波路の光伝送損失を抑制することの他に、外部からの応力等による悪影響の防止や、光導波路端面を切断して端面研磨する際、高い寸法精度の加工を可能とすること等を挙げることができる。
【0172】
本発明において上部クラッド層は、透明性を有する材料で形成されている場合と、不透明である場合とのいずれの態様であってもよい。
【0173】
上部クラッド層が透明性を有する材料で形成されている場合に用いられる材料としては、例えば、シリコン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、酸化珪素、UV硬化型エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、フッ素化ポリイミド、ポリイミド、ポリカーボネイト―MMA、重水素化ポリフルオロメタクリレート等を挙げることができる。
【0174】
これらの材料は例えば蒸着法等により付着させることも可能であるが、好ましい方法としては、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の各種コーティング法やインクジェットなどの吐出法等により、塗工液とした上記材料を塗布することによって上部クラッド層を形成する方法を挙げることができる。また選択する材料の種類や材料の混合比率によって屈折率を容易に変化させることができるため、コア層の屈折率に応じて屈折率差を制御した上部クラッド層の形成が可能である。
【0175】
本発明において上部クラッド層の屈折率は1.1〜1.7の範囲内、好ましくは1.4〜1.7の範囲内であることが好ましい。上部クラッド層の屈折率を上記範囲内とすることにより、光伝送損失の一要因である吸収損失を効果的に防止することができるからである。また、上部クラッド層とコア層との屈折率の差は、0.03以上、特に0.05以上であることが好ましい。上記範囲程度にコア層の屈折率がクラッド層の屈折率よりも高ければ、吸収損失による光伝送損失を効率よく防止でき伝送効率の良好な光導波路が製造できるからである。
【0176】
なお、本発明の基材、エネルギー等の各構成および工程については、上述した機能性素子の製造方法の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0177】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0178】
例えば、上記説明においては、機能性素子の機能性部は二重構造を有するものであったが、本発明においては、機能性部を二重に有する機能性素子に限定されるものではなく、二重構造を有する機能性素子にさらに複数層の機能性部を同様にして形成した多重に機能性部を有する機能性素子も含まれるものとする。
【0179】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0180】
[実施例1]
(1)光触媒含有層の形成
イソプロピルアルコール30gとフルオロアルキルシランが主成分であるMF−160E(トーケムプロダクツ(株)製)0.4gとトリメトキシメチルシラン(東芝シリコーン(株)製TSL8113)3gと光触媒酸化チタン水分散体であるST−K01(石原産業(株)製)20gとを混合し100℃で20分間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより3倍に希釈し光触媒含有膜組成物とした。
【0181】
上記の組成物をガラス基板上に、スピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理により、透明な光触媒含有層(厚み0.2μm)を形成した。
【0182】
(2)第1機能性部用露光部の形成
光触媒含有層側層をフォトマスクを介して超高圧水銀灯(波長365nm)により70mW/cm2の照度で50秒間露光し、光触媒含有層上に親液性領域からなる第1機能性部用露光部をパターン状に形成した。
【0183】
このとき、未露光部及び第1機能性部用露光部と表面張力40mN/mの液体(純正化学株式会社製)との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)した結果、それぞれ、60°と7°であった。
【0184】
(3)光導波路コア層の形成
上記親液性の第1機能性部用露光部にポリメタクリル酸メチルのN−メチル−2ピロリドン溶液をディップコート法にて塗布し、これを250℃で30分間乾燥硬化させた。
【0185】
(4)第2機能性部用露光部の形成
上記コア層を形成した基板にコア部の周囲にパターン状に上記2同様に露光し、第2機能性部用露光部を形成した。
【0186】
(5)光導波路クラッド層の形成
上記親液性の第2機能性部用露光部及び第1機能性部上にポリスチレンのシクロヘキサノン溶液をディップコート法にて塗布し、これを250℃で30分間乾燥硬化させた。
【0187】
[実施例2]
(1)光触媒処理層の形成
イソプロピルアルコール30gとトリメトキシメチルシラン(東芝シリコーン(株)製TSL8113)3gと光触媒酸化チタン水分散体であるST−K01(石原産業(株)製)20gとを混合し100℃で20分間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより3倍に希釈し光触媒処理層用組成物とした。
【0188】
上記の組成物をガラス基板上に、スピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理により、透明な光触媒処理層(厚み0.2μm)を形成した。
【0189】
(2)分解除去層の形成
カチオン性高分子であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA、平均分子量100,000−200,000、アルドリッチ)、アニオン性高分子であるポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(PSS、平均分子量70,000、アルドリッチ)を上記光触媒処理層上に交互吸着させ厚さを約2nmとした。
【0190】
(3)第1機能性部用露光部の形成
上記基板をフォトマスクを介して超高圧水銀灯(波長365nm)により40mW/cm2の照度で140秒間露光し、分解除去層を分解除去し第1機能性部用露光部をパターン状に形成した。
【0191】
このとき、未露光部及び画素部形成部と表面張力40mN/mの濡れ指数標準液(純正化学株式会社製)との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)した結果、それぞれ、34°と6°であった。
【0192】
(4)金属配線の形成
上記親液性の第1機能性部用露光部に銀コロイド溶液(濃度30%)をディップコート法にて塗布し、これを500℃で60分間乾燥硬化させた。
【0193】
(5)第2機能性部用露光部の形成
上記金属配線を形成した基板に金属配線の周囲にパターン状に上記3同様に露光し、第2機能性部用露光部を形成した。
【0194】
(6)絶縁層の形成
トリメトキシメチルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113)5gと0.5規定塩酸2.5gを混合し、8時間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより10倍に希釈し絶縁層用組成物とした。
【0195】
上記絶縁層用組成物を上記親液性の第2機能性部用露光部及び第1機能性部上にディップコート法にて塗布し、これを400℃で30分間乾燥硬化させた。
【0196】
【発明の効果】
本発明によれば、光触媒含有層上のエネルギー照射が行われた部分の液体との接触角が低下することから、エネルギー照射が行われた第一機能性部用露光部が親液性領域とされ、エネルギー未照射部が撥液性領域とされる。この濡れ性の差を利用して第一機能性部を容易に形成することが可能となる。さらに、この第一機能性部が形成された周囲にエネルギーをパターン状に照射することにより、新たに親液性領域を形成することができ、この親液性領域とエネルギー未照射部の撥液性領域との濡れ性の差を利用して、容易に第一機能性部を覆うように、第二機能性部を形成することが可能となる。
【0197】
また、本発明はエネルギー照射した部分の濡れ性を変化させてパターンを形成するものであるので、特にエネルギー照射後の後処理も必要無く、濡れ性の変化した高精細なパターンを有するパターン形成体を得ることができ、このパターンに沿って機能性部を形成することにより、容易に高精細な二重構造の機能性素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機能性素子の製造方法の一例を示す図である。
【図2】本発明の第二機能性部用露光部の一例を示す図である。
【図3】本発明の第二機能性部用露光部の他の例を示す図である。
【図4】本発明の第二機能性部用露光部の他の例を示す図である。
【図5】本発明の第二機能性部用露光部の他の例を示す図である。
【図6】本発明の機能性素子の製造方法の他の例を示す図である。
【図7】本発明の機能性素子の製造方法の他の例を示す図である。
【図8】本発明の機能性素子の一例を示す図である。
【図9】本発明の機能性素子の他の例を示す図である。
【図10】本発明の機能性素子の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 … 基材
2 … 光触媒含有層
3 … フォトマスク
4 … エネルギー
5 … 第一機能性部用露光部
6 … 第一機能性部
7 … 第二機能性部用露光部
8 … 第二機能性部
9 … 光触媒処理層
10… 濡れ性変化層
11… 分解除去層
Claims (18)
- (1)基材上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層であり、かつ少なくとも光触媒およびバインダを含有する光触媒含有層を形成する工程と、
(2)前記光触媒含有層にパターン状にエネルギーを照射して第一機能性部用露光部を形成する工程と、
(3)前記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
(4)前記第一機能性部が形成された光触媒含有層の第一機能性部の周囲に、パターン状にエネルギー照射して第二機能性部用露光部を形成する工程と、
(5)前記第一機能性部を覆うように前記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
を有すること特徴とする機能性素子の製造方法。 - 前記光触媒含有層が、エネルギー照射による光触媒の作用により分解され、これにより光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる分解物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の機能性素子の製造方法。
- 前記光触媒含有層のバインダが、YnSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機能性素子の製造方法。
- 前記光触媒含有層は、エネルギーが照射されていない部分における表面張力40mN/mの液体との接触角が、エネルギーが照射された部分における表面張力40mN/mの液体との接触角より1°以上大きい接触角とする光触媒含有層であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
- (1)基材上に、少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層を形成する工程と、
(2)前記光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層である濡れ性変化層を形成する工程と、
(3)前記濡れ性変化層にパターン状にエネルギーを照射して第一機能性部用露光部を形成する工程と、
(4)前記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
(5)前記第一機能性部が形成された濡れ性変化層の第一機能性部の周囲に、パターン状にエネルギー照射して第二機能性部用露光部を形成する工程と、
(6)前記第一機能性部を覆うように前記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
を有すること特徴とする機能性素子の製造方法。 - 前記濡れ性変化層が、YnSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項5に記載の機能性素子の製造方法。
- 前記濡れ性変化層は、エネルギーが照射されていない部分における表面張力40mN/mの液体との接触角が、エネルギーが照射された部分における表面張力40mN/mの液体との接触角より1°以上大きい接触角とする濡れ性変化層であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の機能性素子の製造方法。
- (1)基材上に、少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層を形成する工程と、
(2)前記光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される層である分解除去層を形成する工程と、
(3)前記分解除去層にパターン状にエネルギーを照射して第一機能性部用露光部を形成する工程と、
(4)前記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
(5)前記第一機能性部が形成された分解除去層の第一機能性部の周囲に、パターン状にエネルギー照射して第二機能性部用露光部を形成する工程と、
(6)前記第一機能性部を覆うように前記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
を有すること特徴とする機能性素子の製造方法。 - 前記分解除去層が、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、もしくは交互吸着膜のいずれかであることを特徴とする請求項8に記載の機能性素子の製造方法。
- 前記分解除去層は、分解除去層が残存する部分における表面張力40mN/mの液体との接触角が、エネルギーが照射されて分解除去層が分解除去されて露出した光触媒処理層における表面張力40mN/mの液体との接触角より1°以上大きい接触角とする分解除去層であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の機能性素子の製造方法。
- 前記光触媒が、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)から選択される1種または2種以上の物質であることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
- 前記光触媒が酸化チタン(TiO2)であることを特徴とする請求項11に記載の機能性素子の製造方法。
- 前記エネルギー照射が、光触媒を加熱しながらなされることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
- 基材と、前記基材上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層であり、かつ少なくとも光触媒およびバインダを含有する光触媒含有層と、前記光触媒含有層上にパターン状に形成された第一機能性部と、前記第一機能性部を覆うように形成された第二機能性部とを有することを特徴とする機能性素子。
- 基材と、前記基材上に形成された少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層と、前記光触媒処理層上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する層である濡れ性変化層と、前記濡れ性変化層上にパターン状に形成された第一機能性部と、前記第一機能性部を覆うように形成された第二機能性部とを有することを特徴とする機能性素子。
- 基材と、前記基材上に形成された少なくとも光触媒が含有された光触媒処理層と、前記光触媒処理層上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される層である分解除去層と、前記光触媒処理層上の前記分解除去層が分解除去された領域に、パターン状に形成された第一機能性部と、前記第一機能性部の周囲であり、かつ前記光触媒処理層上の前記分解除去層が分解除去された領域に、前記第一機能性部を覆うように形成された第二機能性部とを有することを特徴とする機能性素子。
- 前記第二機能性部が封止材であることを特徴とする請求項14から請求項16までのいずれかの請求項に記載の機能性素子。
- 請求項14から請求項16までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の第一機能性部がコア層であり、第二機能性部がクラッド層であることを特徴とする光導波路。
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