JP2004061205A - 検出表面及びセンサーチップ - Google Patents
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Abstract
【課題】立体障害等を防止することにより、ハイブリダイゼーション効率の良い検出表面を提供する。
【解決手段】検出用ヌクレオチド鎖Dの末端が固定化され、固定化された状態の前記検出用ヌクレオチド鎖Dと標的ヌクレオチド鎖Tとの間のハイブリダイゼーションを検出するための検出表面2において、ハイブリダイゼーションの際の立体障害を防止できるように、前記検出用ヌクレオチド鎖Tを、介挿分子Sを介して前記表面2に固定化する。
【選択図】 図1
【解決手段】検出用ヌクレオチド鎖Dの末端が固定化され、固定化された状態の前記検出用ヌクレオチド鎖Dと標的ヌクレオチド鎖Tとの間のハイブリダイゼーションを検出するための検出表面2において、ハイブリダイゼーションの際の立体障害を防止できるように、前記検出用ヌクレオチド鎖Tを、介挿分子Sを介して前記表面2に固定化する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオインフォマティクス(生命情報科学)分野において特に有用である、物質間相互反応作用をセンシングするための検出表面に関する。より詳しくは、ハイブリダイゼーションの際の立体障害を、介挿分子を用いて効果的に防止できるように工夫された検出表面と、該検出表面を備えるDNAチップに関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の主たる従来技術を以下説明する。現在、マイクロアレイ技術によって所定のDNAが微細配列された、いわゆるDNAチップ又はDNAマイクロアレイ(以下、「DNAチップ」と総称。)と呼ばれるバイオアッセイ用の集積基板が、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されており、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
【0003】
このDNAチップは、ガラス基板やシリコン基板上に多種・多数のDNAオリゴ鎖やcDNA(complementary DNA)等が集積されていることから、ハイブリダイゼーション等の分子間相互反応の網羅的解析が可能となる点が特徴とされている。
【0004】
DNAチップによる解析手法の一例を簡潔に説明すれば、ガラス基板やシリコン基板上に固相化されたDNAプローブに対して、細胞、組織等から抽出したmRNAを逆転写PCR反応等によって蛍光プローブdNTPを組み込みながらPCR増幅し、前記基板上においてハイブリダイゼーションを行い、所定の検出器で蛍光測定を行うという手法である。
【0005】
ここで、DNAチップは二つのタイプに分類できる。第1のタイプは、半導体露光技術を応用したフォトリソグラフィーの技術を用いて、所定の基板上に直接オリゴヌクレオチドを合成していくものであり、アフィメトリクス社(Affymetrix社)によるものが代表的である(例えば、特表平4−505763号公報参照)。この種のチップは、集積度は高いが、基板上でのDNA合成には限界があって、数十塩基程度の長さである。第2のタイプは、「スタンフォード方式」とも称されるもので、先割れピンを用いて、予め用意されたDNAを基板上に分注・固相化していくことによって作製されるものである(例えば、特許第3272365号公報参照)。この種のチップは、集積度は前者に比べて低いが、1kb程度のDNA断片を固相化できるという利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のDNAチップ技術では、検出表面に固定化配列された状態のDNAプローブ等の検出用ヌクレオチド鎖がランダムコイル状に丸まっていたり、近接する検出用ヌクレオチド鎖同士が絡み合っていたり等していることが原因となって、ハイブリダイゼーション効率が悪かった。
【0007】
より具体的に説明する。有機高分子間の反応においては、相互の分子の構造やコンフォーメーションの関係によって、いわゆる「立体障害」が発生し、反応効率が低下することが知られている。ヌクレオチド鎖間のハイブリダイゼーションにおいても例外ではない。
【0008】
DNAチップ等の狭小な検出表面に固定化されて集積されている状態の検出用ヌクレオチド鎖やこれと二重鎖を作った標的ヌクレオチド鎖(検出用ヌクレオチド鎖の塩基配列と相補性のある塩基配列部分を備えるヌクレオチド鎖)がランダムコイル状に丸まっていたり、近接する検出用ヌクレオチド鎖同士が絡み合っていたり、検出部(スポット部)での蛍光強度を上げるために検出用ヌクレオチド鎖の密度を上げすぎたり等している状態では、検出用ヌクレオチド鎖に対して標的ヌクレオチド鎖が近づく際に立体障害が発生し、ハイブリダイゼーションが円滑に進行しない。これは、DNAチップ全体の検出精度の低下を招き、また、反応に長時間を要する原因となっていた。
【0009】
特に、DNAの検出表面に固定化されるプローブDNA(検出用ヌクレオチド鎖)は、一般に50〜100塩基であり、一方の標的ヌクレオチド鎖は、一般に1600塩基であるので、ハイブリダイゼーションの際における立体障害の問題は深刻である。事実、スタンフォード式のDNAチップでは、プローブDNAをスポッティングした後の乾燥工程の際、プローブDNAが検出表面(スポット領域)の中心に集まり易く、高密度になるので、検出表面の中心では立体障害が発生してハイブリダイゼーションが進行し難くなることが知られている。
【0010】
そこで、本発明は、DNAチップの検出表面におけるハイブリダイゼーションの際の立体障害を所定の介挿分子を利用して防止することにより、ハイブリダイゼーション効率を高めることを主な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために、本願では、以下の「検出表面」並びに該検出表面を備えるDNAチップを含む「センサーチップ」を提供する。なお、センサーチップとは、物質間の相互反応作用を検出するための検出表面を備える基板を意味する。
【0012】
まず、本発明に係る検出表面は、検出用ヌクレオチド鎖の末端が固定化されており、この固定化された状態の前記検出用ヌクレオチド鎖と標的ヌクレオチド鎖との間のハイブリダイゼーションを検出するためのセンサー表面として利用される。そして、前記ハイブリダイゼーションの際の立体障害を防止できるように、前記検出用ヌクレオチド鎖を、介挿分子を介して前記表面に固定化するように工夫されている。介挿分子は、一種に限らず、分子長の異なる複数種の分子を用いることができ、好適には、分子長の異なる分子を交互に配列させてもよい。
【0013】
この手段では、所定の介挿分子を介して、検出用ヌクレオチド鎖を検出表面の官能基又は該官能基に結合したリンカー分子に結合、配列させるように工夫したので、検出ヌクレオチド鎖を検出表面から離れた位置に存在させることができるようになる。
【0014】
この結果、検出表面に固定化された状態の検出ヌクレオチド鎖が傾倒し、その検出表面に付着してしまう状態(ヌクレオチド鎖の陰電荷を帯びるリン酸基群がアミノ基等の陽電荷をもつ検出表面に静電結合する状態)や近接する検出用ヌクレオチド鎖同士が絡み合った状態など、ハイブリダイゼーションには好ましくないと考えられる状態を有効に回避することができる。
【0015】
また、本発明では、複数種の介挿分子を用い、特に好適には分子長の異なる分子を交互に配列させて用いて、検出表面に固定化された状態の検出用ヌクレオチド鎖同士を隣接しないように工夫することによって、検出用ヌクレオチド鎖同士の絡み合いや立体障害を有効に防止することができる。
【0016】
更に、検出表面に結合された介挿分子を電界の作用、より詳しくは誘電泳動(一様でない電界において粒子が電界の強い方へ駆動する原理)によって伸長させるようにすれば、各介挿分子が検出表面上に直立した構成の検出表面を作製できる。
【0017】
この結果、これらの介挿分子に連結された検出用ヌクレオチド鎖は、検出表面との間に所定距離(介挿分子の分子長に相当する距離)を保って固定化されるようになるため、検出用ヌクレオチド鎖が傾倒し、静電結合等により検出表面に付着してしまうのを有効に防止できる。
【0018】
なお、上記電界(誘電泳動)の作用を利用すれば、介挿分子に結合された検出用ヌクレオチド鎖や反応領域に添加された標的ヌクレオチド鎖をも伸長させることができるので(監修・林 輝、「マイクロマシンと材料技術(シーエムシー発行)」、P37〜P46・第5章・細胞およびDNAのマニピュレーション参照)、相補性のある塩基配列同士の会合(水素結合)の確率をより高めることができる。
【0019】
上記した検出表面は、DNAチップ等のバイオセンサーチップにおける反応領域に設けることができ、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用できる。
【0020】
ここで、本願における主な技術用語の定義付けを行う。
【0021】
ここで、本願において「ヌクレオチド鎖」とは、プリンまたはピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステルの重合体を意味し、DNAプローブを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチオドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cDNAプローブ)、RNA、ポリアミドヌクレオチド誘導体(PNA)等を広く含む。
【0022】
「検出表面」は、ヌクレオチド鎖の末端を固定化できる好適な表面処理が施された表面部位を意味する。一例を挙げれば、例えば、ストレプトアビジンによって表面処理された検出表面の場合には、ビオチン化されたヌクレオチド鎖の固定化に適する。
【0023】
「検出用ヌクレオチド鎖」は、前記検出表面に直接的に又は間接的に固定化されるヌクレオチド鎖であり、「標的ヌクレオチド鎖」は、前記検出用ヌクレオチド鎖と相補的な塩基配列を備えるヌクレオチド鎖であって、場合によっては、蛍光物質等により標識される。
【0024】
「介挿分子」は、その一端部が検出表面の官能基又は該検出表面に結合するリンカー分子に結合し、他端部が検出用ヌクレオチド鎖の末端に結合可能に構成された分子、即ち、DNAプローブ等の検出用ヌクレオチド鎖と検出表面をつなぐ分子である。例えば、ポリT、ポリエチレングリコール等の長鎖エチレン分子、フッ化炭素(CF)2分子等を例示できる。
【0025】
「ハイブリダイゼーション」は、相補的な塩基配列構造を備えるヌクレオチド鎖間の相補鎖(二重鎖)形成反応を意味する。
【0026】
「立体障害(steric hindrance)」は、分子内の反応中心等の近傍に嵩高い置換基の存在や反応分子の姿勢や立体構造(高次構造)によって、反応相手の分子の接近が困難になることによって、所望の反応(本願では、ハイブリダイゼーション)が起こりにくくなる効果を意味する。
【0027】
以上のように、本発明は、DNAチップ等のバイオセンサーチップに利用できる検出表面に係わる新規技術を提供するという技術的意義を有している。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0029】
まず、図1〜図4は、本発明に係る好適な検出表面の好適な実施形態を模式的に表す部分拡大図である。各図に示された符号1は、DNAチップ等のセンサーチップを構成する基板を示している。この基板1は、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレンその他の合成樹脂によって形成される。
【0030】
符号2は、DNAプローブ等の検出用ヌクレオチド鎖Dを固定化するのに適した表面処理が施されている検出表面を示している。この検出表面2は、DNAプローブ等の所望の検出用ヌクレオチド鎖Dを固定化するのに適した表面処理が適宜選択される。
【0031】
例えば、アミノ基含有のシランカップリング剤溶液やポリリシン溶液で表面処理される。基板1が合成樹脂製であれば、その表面をプラズマ処理及びDUV(DeepUV、遠赤外)照射処理後、アミノ基含有シランカップリング剤溶液で処理する。また、表面に銅、銀、アルミニウム又は金をスパッタして成膜して、その表層にアミノ基、チオール基、カルボキシル基等の官能基(活性基)を有する物質やシステアミン、ストレプトアビジン等をコートすることもできる。
【0032】
検出表面2の表面処理の具体例を示すと、前記検出表面2は、例えば、ガラス基板1表面の水酸基に、Si原子の反対側末端にアルデヒド基を持つアルデヒドプロピルシランを反応させておき、更にストレプトアビジン蛋白(リンカー分子)を反応させ、このストレプトアビジン蛋白表面のアミノ基と前記アルデヒド基とを結合させた構成を採用できる。
【0033】
この構成の表面に対して、5’末端がビオチン修飾された検出用ヌクレオチド鎖Dを反応させると、アビジン−ビオチン結合によって、前記検出用ヌクレオチド鎖Dを検出表面2に確実に固定化できる。なお、図1中の符号Tは、検出表面2の周囲に形成された反応領域Rに添加された試料溶液中の標的ヌクレオチド鎖を表している。
【0034】
ここで、前記ストレプトアビジン蛋白の直径は、約10nmであることから、該蛋白分子を検出表面2に対してほぼ飽和するまで反応させると、蛋白分子同士は、該蛋白分子直径の1.5〜2倍程度の距離15〜20nm程度に配列することになり、蛋白分子の濃度等の条件を調整することによって、検出表面2上のストレプトアビジン蛋白の密度(蛋白分子間の距離)を、例えば20〜50nmにまで調整することができる。
【0035】
従って、リンカー分子として機能するストレプトアビジン蛋白の密度を調整することにより、(該蛋白に結合する)検出用ヌクレオチド鎖Dの検出表面2上の密度を調整することができる。
【0036】
また、ストレプトアビジン蛋白をリンカー分子として利用して検出表面2を被覆することによって、検出表面2に固定化された状態の検出用ヌクレオチド鎖Dが、検出表面2に静電結合等をして付着してしまうことを有効に防止できる。即ち、検出表面2に固定化された状態の検出用ヌクレオチド鎖Dの姿勢を自由状態に維持できるので、ハイブリダイゼーション効率を高めることが可能となる。
【0037】
なお、上記リンカー分子は、ストレプトアビジン蛋白に限定されることはなく、直径10〜40nm程度の種々のタンパク質を利用できる。
【0038】
ここで、本発明では、上記説明した検出表面2と検出用ヌクレオチド鎖Dとの間に、符号Sで示す介挿分子を挿入することによって、検出表面2からより離れた位置に検出用ヌクレオチド鎖Dを固定化することを特徴としている(第1実施形態、図1参照)。
【0039】
例えば、ガラス基板1の水酸基に、Si原子の反対側末端にアルデヒド基を持つアルデヒドプロピルシランを反応させておき、一方では、検出用ヌクレオチド鎖Dの5’末端位置に、例えば分子長20〜50nmのポリエチレングリコールからなる介挿分子Sを導入して、固定化用の検出用ヌクレオチド鎖Xを得る。
【0040】
そして、(介挿分子Sが導入された)検出用ヌクレオチド鎖Xと前記アルデヒドプロピルシラン処理した検出表面2とを反応させると、検出用ヌクレオチド鎖Xは、導入された介挿分子Sを介して検出表面2に固定化されることになる。
【0041】
また、本発明では、前記検出用ヌクレオチド鎖Xと介挿分子Sを持たない検出用ヌクレオチド鎖D(5’末端がアミノ基修飾されている)を等モル混合して、アルデヒドプロピルシラン処理した検出表面2と反応させることによって、検出表面2上に、検出用ヌクレオチド鎖XとDとを確率的に交互に配列させることができる(第2実施形態、図2参照)。
【0042】
更に、本発明では、分子長の異なる介挿分子SaとSbを用意し、介挿分子Sa導入された検出用ヌクレオチド鎖Yと介挿分子Sbが導入された検出用ヌクレオチド鎖Yとを等モル混合し、アルデヒドプロピルシラン処理した検出表面2と反応させることによって、検出表面2上に、検出用ヌクレオチド鎖YとZとを確率的に交互に配列させることができる(第3実施形態、図3参照)。
【0043】
上記した第2実施形態や第3実施形態のような「交互配列」を備える構成では、近傍に存在する検出用ヌクレオチド鎖D同士が隣接しなくなるので、検出用ヌクレオチド鎖Dが互いに絡み合ったりすることがなくなる。また、ハイブリダイゼーションした標的ヌクレオチド鎖Tの余剰塩基配列部分がブラウン運動の作用によって形作る糸球状の分子塊によってもたらされる立体障害の問題を有効に防止できるため、検出表面2上では効率の良いハイブリダイゼーションを達成することができる。
【0044】
また、第2実施形態や第3実施形態のような交互配列を採用した場合には、検出用ヌクレオチド鎖D間の配置距離を確保しなくても、立体障害等の問題を解決できるので、所望のハイブリダイゼーション効率化効果を得ることができることから、検出用ヌクレオチド鎖Dの単位面積当たりの配列密度が高い検出表面2を提供することができるので、好ましい。
【0045】
ここで、本発明においては、検出表面2に結合させたポリT等の介挿分子S(Sa,Sb)が存在する反応領域Rに、不均一電界(不平等性を持つ電界)を形成することによって、前記電界に沿って伸長する介挿分子S’を作製すると同時に、該介挿分子S’に結合している検出用ヌクレオチド鎖Dも誘電泳動の作用によって伸長させることができる(第4実施形態、図4参照)。なお、図4中の符号D’は、伸長した検出用ヌクレオチド鎖を示している。
【0046】
この第4実施形態では、介挿分子S’の伸長効果に基づいて、検出用ヌクレオチド鎖D(D’)を検出表面2からより離れた位置に存在させることによって(図4中の符号SとS’を比較参照)、検出用ヌクレオチド鎖D(D’)が検出表面2に静電結合等して付着することを有効に防止できる。
【0047】
また、検出用ヌクレオチド鎖D(D’)に加えて反応領域R中の標的ヌクレオチド鎖Tを伸長させることによって、両鎖DとTの相補性のある塩基配列同士の会合(水素結合)を効率よく進行させることが可能となる。なお、図4中の符号T’は、伸長した標的ヌクレオチド鎖を示している。
【0048】
なお、上記実施形態で使用する介挿分子Sの分子長は、検出用ヌクレオチド鎖Dや標的ヌクレオチド鎖Dの長さ(塩基数)、検出用ヌクレオチド鎖D同士の距離等に応じて適宜決定できる。
【0049】
例えば、50〜100塩基のプローブDNAを伸長した検出用ヌクレオチド鎖Dに対して1,600塩基程度の標的ヌクレオチド鎖Tをハイブリダイゼーションさせる場合を想定すると、標的ヌクレオチド鎖Tの余剰塩基配列部分(相補鎖を作らない配列部分)がブラウン運動によってランダムコイル状の分子塊になったときの直径は、10〜40nmと計算できる。
【0050】
この場合、標的ヌクレオチド鎖Tの前記分子塊部分による立体障害を有効に防ぐためには、介挿分子S(又は伸長した状態の介挿分子S’)の分子長は10〜40nm確保するのが好適であり、また検出表面2上に配列される介挿分子S(又はS’)間の距離についても、10〜40nm程度が望ましい。
【0051】
【発明の効果】
(1)本発明に係る検出表面及び該検出表面を備えるDNAチップ等のセンサーチップは、検出表面上において進行するハイブリダイゼーションの弊害となる立体障害を、介挿分子を利用して防止することが可能となるので、ハイブリダイゼーション効率を高め、反応時間を短縮することできる。
【0052】
(2)本発明に係る検出表面を備えるDNAチップは、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用でき、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を表す検出表面部位拡大図
【図2】本発明の第2実施形態の構成を表す検出表面部位拡大図
【図3】本発明の第3実施形態の構成を表す検出表面部位拡大図
【図4】本発明の第4実施形態の構成を表す検出表面部位拡大図
【符号の説明】
1 基板
2 検出表面
D 検出用ヌクレオチド鎖
R 反応領域
S 介挿分子
T 標的ヌクレオチド鎖
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオインフォマティクス(生命情報科学)分野において特に有用である、物質間相互反応作用をセンシングするための検出表面に関する。より詳しくは、ハイブリダイゼーションの際の立体障害を、介挿分子を用いて効果的に防止できるように工夫された検出表面と、該検出表面を備えるDNAチップに関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の主たる従来技術を以下説明する。現在、マイクロアレイ技術によって所定のDNAが微細配列された、いわゆるDNAチップ又はDNAマイクロアレイ(以下、「DNAチップ」と総称。)と呼ばれるバイオアッセイ用の集積基板が、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されており、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
【0003】
このDNAチップは、ガラス基板やシリコン基板上に多種・多数のDNAオリゴ鎖やcDNA(complementary DNA)等が集積されていることから、ハイブリダイゼーション等の分子間相互反応の網羅的解析が可能となる点が特徴とされている。
【0004】
DNAチップによる解析手法の一例を簡潔に説明すれば、ガラス基板やシリコン基板上に固相化されたDNAプローブに対して、細胞、組織等から抽出したmRNAを逆転写PCR反応等によって蛍光プローブdNTPを組み込みながらPCR増幅し、前記基板上においてハイブリダイゼーションを行い、所定の検出器で蛍光測定を行うという手法である。
【0005】
ここで、DNAチップは二つのタイプに分類できる。第1のタイプは、半導体露光技術を応用したフォトリソグラフィーの技術を用いて、所定の基板上に直接オリゴヌクレオチドを合成していくものであり、アフィメトリクス社(Affymetrix社)によるものが代表的である(例えば、特表平4−505763号公報参照)。この種のチップは、集積度は高いが、基板上でのDNA合成には限界があって、数十塩基程度の長さである。第2のタイプは、「スタンフォード方式」とも称されるもので、先割れピンを用いて、予め用意されたDNAを基板上に分注・固相化していくことによって作製されるものである(例えば、特許第3272365号公報参照)。この種のチップは、集積度は前者に比べて低いが、1kb程度のDNA断片を固相化できるという利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のDNAチップ技術では、検出表面に固定化配列された状態のDNAプローブ等の検出用ヌクレオチド鎖がランダムコイル状に丸まっていたり、近接する検出用ヌクレオチド鎖同士が絡み合っていたり等していることが原因となって、ハイブリダイゼーション効率が悪かった。
【0007】
より具体的に説明する。有機高分子間の反応においては、相互の分子の構造やコンフォーメーションの関係によって、いわゆる「立体障害」が発生し、反応効率が低下することが知られている。ヌクレオチド鎖間のハイブリダイゼーションにおいても例外ではない。
【0008】
DNAチップ等の狭小な検出表面に固定化されて集積されている状態の検出用ヌクレオチド鎖やこれと二重鎖を作った標的ヌクレオチド鎖(検出用ヌクレオチド鎖の塩基配列と相補性のある塩基配列部分を備えるヌクレオチド鎖)がランダムコイル状に丸まっていたり、近接する検出用ヌクレオチド鎖同士が絡み合っていたり、検出部(スポット部)での蛍光強度を上げるために検出用ヌクレオチド鎖の密度を上げすぎたり等している状態では、検出用ヌクレオチド鎖に対して標的ヌクレオチド鎖が近づく際に立体障害が発生し、ハイブリダイゼーションが円滑に進行しない。これは、DNAチップ全体の検出精度の低下を招き、また、反応に長時間を要する原因となっていた。
【0009】
特に、DNAの検出表面に固定化されるプローブDNA(検出用ヌクレオチド鎖)は、一般に50〜100塩基であり、一方の標的ヌクレオチド鎖は、一般に1600塩基であるので、ハイブリダイゼーションの際における立体障害の問題は深刻である。事実、スタンフォード式のDNAチップでは、プローブDNAをスポッティングした後の乾燥工程の際、プローブDNAが検出表面(スポット領域)の中心に集まり易く、高密度になるので、検出表面の中心では立体障害が発生してハイブリダイゼーションが進行し難くなることが知られている。
【0010】
そこで、本発明は、DNAチップの検出表面におけるハイブリダイゼーションの際の立体障害を所定の介挿分子を利用して防止することにより、ハイブリダイゼーション効率を高めることを主な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために、本願では、以下の「検出表面」並びに該検出表面を備えるDNAチップを含む「センサーチップ」を提供する。なお、センサーチップとは、物質間の相互反応作用を検出するための検出表面を備える基板を意味する。
【0012】
まず、本発明に係る検出表面は、検出用ヌクレオチド鎖の末端が固定化されており、この固定化された状態の前記検出用ヌクレオチド鎖と標的ヌクレオチド鎖との間のハイブリダイゼーションを検出するためのセンサー表面として利用される。そして、前記ハイブリダイゼーションの際の立体障害を防止できるように、前記検出用ヌクレオチド鎖を、介挿分子を介して前記表面に固定化するように工夫されている。介挿分子は、一種に限らず、分子長の異なる複数種の分子を用いることができ、好適には、分子長の異なる分子を交互に配列させてもよい。
【0013】
この手段では、所定の介挿分子を介して、検出用ヌクレオチド鎖を検出表面の官能基又は該官能基に結合したリンカー分子に結合、配列させるように工夫したので、検出ヌクレオチド鎖を検出表面から離れた位置に存在させることができるようになる。
【0014】
この結果、検出表面に固定化された状態の検出ヌクレオチド鎖が傾倒し、その検出表面に付着してしまう状態(ヌクレオチド鎖の陰電荷を帯びるリン酸基群がアミノ基等の陽電荷をもつ検出表面に静電結合する状態)や近接する検出用ヌクレオチド鎖同士が絡み合った状態など、ハイブリダイゼーションには好ましくないと考えられる状態を有効に回避することができる。
【0015】
また、本発明では、複数種の介挿分子を用い、特に好適には分子長の異なる分子を交互に配列させて用いて、検出表面に固定化された状態の検出用ヌクレオチド鎖同士を隣接しないように工夫することによって、検出用ヌクレオチド鎖同士の絡み合いや立体障害を有効に防止することができる。
【0016】
更に、検出表面に結合された介挿分子を電界の作用、より詳しくは誘電泳動(一様でない電界において粒子が電界の強い方へ駆動する原理)によって伸長させるようにすれば、各介挿分子が検出表面上に直立した構成の検出表面を作製できる。
【0017】
この結果、これらの介挿分子に連結された検出用ヌクレオチド鎖は、検出表面との間に所定距離(介挿分子の分子長に相当する距離)を保って固定化されるようになるため、検出用ヌクレオチド鎖が傾倒し、静電結合等により検出表面に付着してしまうのを有効に防止できる。
【0018】
なお、上記電界(誘電泳動)の作用を利用すれば、介挿分子に結合された検出用ヌクレオチド鎖や反応領域に添加された標的ヌクレオチド鎖をも伸長させることができるので(監修・林 輝、「マイクロマシンと材料技術(シーエムシー発行)」、P37〜P46・第5章・細胞およびDNAのマニピュレーション参照)、相補性のある塩基配列同士の会合(水素結合)の確率をより高めることができる。
【0019】
上記した検出表面は、DNAチップ等のバイオセンサーチップにおける反応領域に設けることができ、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用できる。
【0020】
ここで、本願における主な技術用語の定義付けを行う。
【0021】
ここで、本願において「ヌクレオチド鎖」とは、プリンまたはピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステルの重合体を意味し、DNAプローブを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチオドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cDNAプローブ)、RNA、ポリアミドヌクレオチド誘導体(PNA)等を広く含む。
【0022】
「検出表面」は、ヌクレオチド鎖の末端を固定化できる好適な表面処理が施された表面部位を意味する。一例を挙げれば、例えば、ストレプトアビジンによって表面処理された検出表面の場合には、ビオチン化されたヌクレオチド鎖の固定化に適する。
【0023】
「検出用ヌクレオチド鎖」は、前記検出表面に直接的に又は間接的に固定化されるヌクレオチド鎖であり、「標的ヌクレオチド鎖」は、前記検出用ヌクレオチド鎖と相補的な塩基配列を備えるヌクレオチド鎖であって、場合によっては、蛍光物質等により標識される。
【0024】
「介挿分子」は、その一端部が検出表面の官能基又は該検出表面に結合するリンカー分子に結合し、他端部が検出用ヌクレオチド鎖の末端に結合可能に構成された分子、即ち、DNAプローブ等の検出用ヌクレオチド鎖と検出表面をつなぐ分子である。例えば、ポリT、ポリエチレングリコール等の長鎖エチレン分子、フッ化炭素(CF)2分子等を例示できる。
【0025】
「ハイブリダイゼーション」は、相補的な塩基配列構造を備えるヌクレオチド鎖間の相補鎖(二重鎖)形成反応を意味する。
【0026】
「立体障害(steric hindrance)」は、分子内の反応中心等の近傍に嵩高い置換基の存在や反応分子の姿勢や立体構造(高次構造)によって、反応相手の分子の接近が困難になることによって、所望の反応(本願では、ハイブリダイゼーション)が起こりにくくなる効果を意味する。
【0027】
以上のように、本発明は、DNAチップ等のバイオセンサーチップに利用できる検出表面に係わる新規技術を提供するという技術的意義を有している。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0029】
まず、図1〜図4は、本発明に係る好適な検出表面の好適な実施形態を模式的に表す部分拡大図である。各図に示された符号1は、DNAチップ等のセンサーチップを構成する基板を示している。この基板1は、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレンその他の合成樹脂によって形成される。
【0030】
符号2は、DNAプローブ等の検出用ヌクレオチド鎖Dを固定化するのに適した表面処理が施されている検出表面を示している。この検出表面2は、DNAプローブ等の所望の検出用ヌクレオチド鎖Dを固定化するのに適した表面処理が適宜選択される。
【0031】
例えば、アミノ基含有のシランカップリング剤溶液やポリリシン溶液で表面処理される。基板1が合成樹脂製であれば、その表面をプラズマ処理及びDUV(DeepUV、遠赤外)照射処理後、アミノ基含有シランカップリング剤溶液で処理する。また、表面に銅、銀、アルミニウム又は金をスパッタして成膜して、その表層にアミノ基、チオール基、カルボキシル基等の官能基(活性基)を有する物質やシステアミン、ストレプトアビジン等をコートすることもできる。
【0032】
検出表面2の表面処理の具体例を示すと、前記検出表面2は、例えば、ガラス基板1表面の水酸基に、Si原子の反対側末端にアルデヒド基を持つアルデヒドプロピルシランを反応させておき、更にストレプトアビジン蛋白(リンカー分子)を反応させ、このストレプトアビジン蛋白表面のアミノ基と前記アルデヒド基とを結合させた構成を採用できる。
【0033】
この構成の表面に対して、5’末端がビオチン修飾された検出用ヌクレオチド鎖Dを反応させると、アビジン−ビオチン結合によって、前記検出用ヌクレオチド鎖Dを検出表面2に確実に固定化できる。なお、図1中の符号Tは、検出表面2の周囲に形成された反応領域Rに添加された試料溶液中の標的ヌクレオチド鎖を表している。
【0034】
ここで、前記ストレプトアビジン蛋白の直径は、約10nmであることから、該蛋白分子を検出表面2に対してほぼ飽和するまで反応させると、蛋白分子同士は、該蛋白分子直径の1.5〜2倍程度の距離15〜20nm程度に配列することになり、蛋白分子の濃度等の条件を調整することによって、検出表面2上のストレプトアビジン蛋白の密度(蛋白分子間の距離)を、例えば20〜50nmにまで調整することができる。
【0035】
従って、リンカー分子として機能するストレプトアビジン蛋白の密度を調整することにより、(該蛋白に結合する)検出用ヌクレオチド鎖Dの検出表面2上の密度を調整することができる。
【0036】
また、ストレプトアビジン蛋白をリンカー分子として利用して検出表面2を被覆することによって、検出表面2に固定化された状態の検出用ヌクレオチド鎖Dが、検出表面2に静電結合等をして付着してしまうことを有効に防止できる。即ち、検出表面2に固定化された状態の検出用ヌクレオチド鎖Dの姿勢を自由状態に維持できるので、ハイブリダイゼーション効率を高めることが可能となる。
【0037】
なお、上記リンカー分子は、ストレプトアビジン蛋白に限定されることはなく、直径10〜40nm程度の種々のタンパク質を利用できる。
【0038】
ここで、本発明では、上記説明した検出表面2と検出用ヌクレオチド鎖Dとの間に、符号Sで示す介挿分子を挿入することによって、検出表面2からより離れた位置に検出用ヌクレオチド鎖Dを固定化することを特徴としている(第1実施形態、図1参照)。
【0039】
例えば、ガラス基板1の水酸基に、Si原子の反対側末端にアルデヒド基を持つアルデヒドプロピルシランを反応させておき、一方では、検出用ヌクレオチド鎖Dの5’末端位置に、例えば分子長20〜50nmのポリエチレングリコールからなる介挿分子Sを導入して、固定化用の検出用ヌクレオチド鎖Xを得る。
【0040】
そして、(介挿分子Sが導入された)検出用ヌクレオチド鎖Xと前記アルデヒドプロピルシラン処理した検出表面2とを反応させると、検出用ヌクレオチド鎖Xは、導入された介挿分子Sを介して検出表面2に固定化されることになる。
【0041】
また、本発明では、前記検出用ヌクレオチド鎖Xと介挿分子Sを持たない検出用ヌクレオチド鎖D(5’末端がアミノ基修飾されている)を等モル混合して、アルデヒドプロピルシラン処理した検出表面2と反応させることによって、検出表面2上に、検出用ヌクレオチド鎖XとDとを確率的に交互に配列させることができる(第2実施形態、図2参照)。
【0042】
更に、本発明では、分子長の異なる介挿分子SaとSbを用意し、介挿分子Sa導入された検出用ヌクレオチド鎖Yと介挿分子Sbが導入された検出用ヌクレオチド鎖Yとを等モル混合し、アルデヒドプロピルシラン処理した検出表面2と反応させることによって、検出表面2上に、検出用ヌクレオチド鎖YとZとを確率的に交互に配列させることができる(第3実施形態、図3参照)。
【0043】
上記した第2実施形態や第3実施形態のような「交互配列」を備える構成では、近傍に存在する検出用ヌクレオチド鎖D同士が隣接しなくなるので、検出用ヌクレオチド鎖Dが互いに絡み合ったりすることがなくなる。また、ハイブリダイゼーションした標的ヌクレオチド鎖Tの余剰塩基配列部分がブラウン運動の作用によって形作る糸球状の分子塊によってもたらされる立体障害の問題を有効に防止できるため、検出表面2上では効率の良いハイブリダイゼーションを達成することができる。
【0044】
また、第2実施形態や第3実施形態のような交互配列を採用した場合には、検出用ヌクレオチド鎖D間の配置距離を確保しなくても、立体障害等の問題を解決できるので、所望のハイブリダイゼーション効率化効果を得ることができることから、検出用ヌクレオチド鎖Dの単位面積当たりの配列密度が高い検出表面2を提供することができるので、好ましい。
【0045】
ここで、本発明においては、検出表面2に結合させたポリT等の介挿分子S(Sa,Sb)が存在する反応領域Rに、不均一電界(不平等性を持つ電界)を形成することによって、前記電界に沿って伸長する介挿分子S’を作製すると同時に、該介挿分子S’に結合している検出用ヌクレオチド鎖Dも誘電泳動の作用によって伸長させることができる(第4実施形態、図4参照)。なお、図4中の符号D’は、伸長した検出用ヌクレオチド鎖を示している。
【0046】
この第4実施形態では、介挿分子S’の伸長効果に基づいて、検出用ヌクレオチド鎖D(D’)を検出表面2からより離れた位置に存在させることによって(図4中の符号SとS’を比較参照)、検出用ヌクレオチド鎖D(D’)が検出表面2に静電結合等して付着することを有効に防止できる。
【0047】
また、検出用ヌクレオチド鎖D(D’)に加えて反応領域R中の標的ヌクレオチド鎖Tを伸長させることによって、両鎖DとTの相補性のある塩基配列同士の会合(水素結合)を効率よく進行させることが可能となる。なお、図4中の符号T’は、伸長した標的ヌクレオチド鎖を示している。
【0048】
なお、上記実施形態で使用する介挿分子Sの分子長は、検出用ヌクレオチド鎖Dや標的ヌクレオチド鎖Dの長さ(塩基数)、検出用ヌクレオチド鎖D同士の距離等に応じて適宜決定できる。
【0049】
例えば、50〜100塩基のプローブDNAを伸長した検出用ヌクレオチド鎖Dに対して1,600塩基程度の標的ヌクレオチド鎖Tをハイブリダイゼーションさせる場合を想定すると、標的ヌクレオチド鎖Tの余剰塩基配列部分(相補鎖を作らない配列部分)がブラウン運動によってランダムコイル状の分子塊になったときの直径は、10〜40nmと計算できる。
【0050】
この場合、標的ヌクレオチド鎖Tの前記分子塊部分による立体障害を有効に防ぐためには、介挿分子S(又は伸長した状態の介挿分子S’)の分子長は10〜40nm確保するのが好適であり、また検出表面2上に配列される介挿分子S(又はS’)間の距離についても、10〜40nm程度が望ましい。
【0051】
【発明の効果】
(1)本発明に係る検出表面及び該検出表面を備えるDNAチップ等のセンサーチップは、検出表面上において進行するハイブリダイゼーションの弊害となる立体障害を、介挿分子を利用して防止することが可能となるので、ハイブリダイゼーション効率を高め、反応時間を短縮することできる。
【0052】
(2)本発明に係る検出表面を備えるDNAチップは、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用でき、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を表す検出表面部位拡大図
【図2】本発明の第2実施形態の構成を表す検出表面部位拡大図
【図3】本発明の第3実施形態の構成を表す検出表面部位拡大図
【図4】本発明の第4実施形態の構成を表す検出表面部位拡大図
【符号の説明】
1 基板
2 検出表面
D 検出用ヌクレオチド鎖
R 反応領域
S 介挿分子
T 標的ヌクレオチド鎖
Claims (5)
- 検出用ヌクレオチド鎖の末端が固定化されており、固定化された状態の前記検出用ヌクレオチド鎖と標的ヌクレオチド鎖との間のハイブリダイゼーションを検出するためのセンサー表面であって、
前記ハイブリダイゼーションの際の立体障害を防止できるように、前記検出用ヌクレオチド鎖が介挿分子を介して前記表面に固定化されたことを特徴とする検出表面。 - 前記介挿分子には、分子長の異なる複数種の分子が用いられたことを特徴とする請求項1記載の検出表面。
- 分子長の異なる分子を交互に配列させたことを特徴とする請求項2記載の検出表面。
- 前記介挿分子は電界の作用により伸長されていることを特徴とする請求項1記載の検出表面。
- 請求項1記載の検出表面を備えることを特徴とするセンサーチップ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002217646A JP2004061205A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 検出表面及びセンサーチップ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002217646A JP2004061205A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 検出表面及びセンサーチップ |
Publications (1)
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|---|---|
| JP2004061205A true JP2004061205A (ja) | 2004-02-26 |
Family
ID=31939047
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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| JP2002217646A Pending JP2004061205A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 検出表面及びセンサーチップ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004061205A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP5238250B2 (ja) * | 2005-03-31 | 2013-07-17 | 国立大学法人名古屋大学 | 核酸マイクロアレイ、その製造方法および核酸マイクロアレイ用基材 |
-
2002
- 2002-07-26 JP JP2002217646A patent/JP2004061205A/ja active Pending
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| JP5238250B2 (ja) * | 2005-03-31 | 2013-07-17 | 国立大学法人名古屋大学 | 核酸マイクロアレイ、その製造方法および核酸マイクロアレイ用基材 |
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