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JP2004053004A - 動圧軸受装置および動圧軸受装置の製造方法 - Google Patents

動圧軸受装置および動圧軸受装置の製造方法 Download PDF

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JP2004053004A
JP2004053004A JP2002350855A JP2002350855A JP2004053004A JP 2004053004 A JP2004053004 A JP 2004053004A JP 2002350855 A JP2002350855 A JP 2002350855A JP 2002350855 A JP2002350855 A JP 2002350855A JP 2004053004 A JP2004053004 A JP 2004053004A
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sleeve
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Yoshinari Yokoo
横尾 嘉也
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Abstract

【課題】耐衝撃性を向上させ、A−RRO(軸の揺動運動)を小さくでき、温度変化に対する軸受け剛性の変化を小さくし、しかも電流ロスを押さえること。
【解決手段】この動圧軸受装置は、シャフト2の径より大径となる円形状のスラスト板3とシャフト2とをステンレス鋼にて一体形成してシャフト体とし、スリーブ11を、アルミシリコン合金にて形成し、シャフト体の線膨張係数を17×10−6プラス/マイナス5%以内とし、スリーブ11の線膨張係数を0℃〜100℃の範囲の測定で14×10−6プラス/マイナス5%以内としている。また、スラスト板3の軸方向厚さを0.1〜0.7mmとし、スリーブ11の硬度をシャフト2の硬度より小さくし、シャフト2と対向する部分にラジアル軸受用の動圧溝21,22を設け、カンタープレート13のスラスト板3と対向する位置に、第1のスラスト動圧溝23を設け、スリーブ11に、第2のスラスト動圧溝24を設けている。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動圧軸受装置および動圧軸受装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
動圧軸受装置は、ハードディスクドライブ機構(以下、HDDという。)や、デジタルバーサタイルディスク機構(以下、DVDという。)や、スキャナ装置などに搭載されるもので、ハードディスクやデジタルバーサタイルディスクやミラーを高速回転させる際に使用される。HDDやDVD等に使用される軸受装置は、高速回転、高回転精度、静音、高信頼性などが要求される。
【0003】
軸受装置としては、従来はボールベアリングが使用されてきたが、近年は動圧軸受装置が使用されるようになってきている。動圧軸受装置は、その原理上、基本的に前述の要求に応える特性を有し、HDD等に適したものである。しかし、その優れた特性を発揮するためには、構造上および機器への応用において諸条件を考慮しなければならない。すなわち、動圧軸受装置は、軸(シャフト)と軸支持部は、相対的な回転によって発生する油や空気の圧力によって非接触状態で支持される。このとき、所定の圧力を維持するためには流体力学の理論によって、隙間、油や空気の粘度、さらには直角度などの形状精度などを極めて厳しく管理する必要があると共に、温度変化や径時変化に対する微小変化を防止するための特別な工夫もなされなければならない。
【0004】
以下に、各種の工夫がなされた従来の動圧軸受装置を採用したスピンドルモータの構造を示す。なお、動体軸受装置を採用したスピンドルモータは、特許文献1の図4や特許文献2に示されるような軸が固定される軸固定型と、特許文献1の図1や特許文献3に示されるような軸がロータと共に回転する軸回転型の2種類が知られている。最初に、従来の軸固定型の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータ100について図16に基づいて説明する。
【0005】
このスピンドルモータ100では、ベース101にシャフト(軸)102が圧入固定され、このシャフト102の先端側にスラスト板103が圧入固定されている。ベース101の中央の円筒部の外周には、中央の各孔部分がその円筒部に嵌り込む複数の薄板磁性金属板からなるコア104が配置されている。このコア104には、径方向にのびる複数の突極が周方向に所定間隔で配置されており、その突極にはコイル巻線105が施されている。ベース101とコア104とコイル巻線105とで、スピンドルモータ100のステータが構成されている。
【0006】
シャフト102の周囲には、軸受けとなる円筒状のスリーブ111が配置され、そのスリーブ111の中心孔(図16における上方)を塞ぐようにカウンタプレート112がかしめにてスリーブ111に固定されている。スリーブ111の外周には、ハードディスク等のディスク113を載置するための円筒状のハブ114が圧入、焼きバメ、接着などにより固定されている。
【0007】
ハブ114の円筒状部の内周部分には、磁性体となる金属製の円筒状のヨーク115を介して円筒状の磁石116が固定されている。ハブ114には、ディスク113を取り付けたり、取り外したりするためのねじ117が挿通するねじ孔が設けられている。そして、クランパ118とハブ114との間にディスク113をはさみ込んだ後、ねじ117をそのねじ孔に挿通しつつ、ねじ117を締めることによってディスク113をハブ114に固定可能とされている。スリーブ111と、カウンタプレート112と、ハブ114と、ヨーク115と、磁石116とでスピンドルモータ100のロータが構成される。
【0008】
シャフト102(スラスト板103含む)とスリーブ111との間のわずかな隙間には、油が入れられその油がスリーブ111外に漏出しない状態で保持される。スリーブ111の内周面の一端側にはシャフト102のラジアル方向の動きを規制するラジアル動圧溝121が設けられると共に他端側にもラジアル動圧溝122が設けられている。ここで、シャフト102,スリーブ111およびラジアル動圧溝121,122によって、第1の動圧流体軸受が構成されている。
【0009】
スラスト板103のカウンタプレート112と対向する面に、ロータのスラスト方向の動きを規制するスラスト動圧溝が設けられていると共にスラスト板103のスリーブ111の段部123と対向する面に同様のスラスト動圧溝が設けられている。ここで、スラスト板103、スリーブ111、カウンタプレート112およびスラスト板103に設けられる2つのスラスト動圧溝によって、第2の動圧流体軸受が構成されている。
【0010】
次に、図17に基づいて、従来の軸回転型の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータ200の構造を示す。
【0011】
このスピンドルモータ200では、ベース201の中央に円筒状のスリーブ202が圧入固定され、このスリーブ202の中央孔を塞ぐようにカウンタプレート203がスリーブ202にかしめ固定されている。スリーブ202の外周には、薄板からなる磁性金属板が積層されたコア204が配置され、そのコア204の突極部分にはコイル巻線205が施されている。ベース201と、スリーブ202(カウンタプレート203含む)と、コア204と、コイル巻線205とでスピンドルモータ200のステータが構成されている。
【0012】
スリーブ202には、ハブ211に接着固定されたシャフト212が挿入され、シャフト212の先端にはスラスト板213が圧入固定されている。ハブ211には円筒状のヨーク214を介して円筒状の磁石215が固定されている。シャフト212には、バーサタイルディスク等のディスク216を取付可能とするねじ217をねじ係合するためのめねじ部となるねじ凹部が設けられている。
【0013】
そして、クランパ218とハブ211との間にディスク216をはさみ込んだ後、ねじ217をねじ凹部にさし込み、ねじ217を締めることによってディスク216をハブ211に取り付け可能とされている。ここで、ハブ211と、シャフト212と、スラスト板213と、ヨーク214と、磁石215とでスピンドルモータ200のロータが構成される。
【0014】
スリーブ202とシャフト212との間のわずかな隙間には油が入れられ、その油がスリーブ202外に漏出しない状態で保持される。スリーブ202の内周面の一端側と他端側にはそれぞれ一対のラジアル動圧溝221,222が設けられている。ここで、スリーブ202、シャフト212およびラジアル動圧溝221,222によって第1の動圧流体軸受が構成されている。スラスト板213のカウンタプレート203と対向する面とスリーブ202の段部223と対向する面の両面にそれぞれスラスト動圧溝が設けられている。ここで、スラスト板213、スリーブ202および2つのスラスト動圧溝によって第2の動圧流体軸受が構成されている。
【0015】
【特許文献1】特開平8−335366号公報(図1、図4)
【特許文献2】特開2000−41359号公報
【特許文献3】特開2000−324753号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
従来の動圧軸受装置を使用した固定型のスピンドルモータ100や、軸回転型の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータ200は、次のような大きな5つの欠点を有している。第1の欠点は、従来の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータ100,200では、相対回転する部分が別部材の組み合わせで構成されているため、衝撃に弱いことである。
【0017】
第2の欠点は、従来の動圧軸受装置を採用したスピンドルモータ100,200では、シャフト102,212とロータとの間の垂直度が不十分となりやすく、ハブ114,211の部分での回転振れが大きくなることである。この回転振れには、リピータブル ランアウト(Repeatable Runout:繰り返し回転振れで、以下RROという)とノンリピータブル ランアウト(Non Repeatable Runout:非繰り返し回転振れで、以下RROという)とが存在する。また、種類として、軸振れと面振れとがあり、従来のスピンドルモータ100,200では、軸振れのRRO(以下、A−RROという。)が大きいものとなっている。ハブ114,211のA−RROが大きくなると、ディスク113,216の面での面振れのRROが大きくなり、ディスク113,216に対する情報の記録や、ディスク113,216からの情報の読み取りの面でエラーが発生してくる。
【0018】
従来のスピンドルモータ100,200において、A−RROが大きくなるのは次の点が原因と考えられる。すなわち、スピンドルモータ100の場合、スリーブ111とハブ114の固定部100aは、圧入、焼きバメ、接着などにより固定されているが、これらの工法を採用すると、ハブ114はスリーブ111に対して設計精度からのずれがどうしても発生する。このずれは、組み立ての際にも発生するが、さらに固定部100aには取り付け上の応力が残存しており、温度変化や径時変化などによって精度ずれが発生する。この精度ずれは、垂直度の悪化となり、A−RROの悪化に直結する。
【0019】
スピンドルモータ200の場合、シャフト212の径が小さく、かつシャフト212とハブ211の固定部200aの接触幅が小さいので、この固定部200aにおける直角度を高精度に管理するのは極めて困難であり、どうしても直角度(垂直度)が保持できない。また、仮に、組み立て時に直角度が出たとしても、シャフト212とハブ211の固定は圧入や接着などで行われており、スピンドルモータ100のスリーブ111とハブ114の固定と同様に、取り付け上の応力が残存し、温度変化や径時変化などによって直角度が維持されない。直角度が出せないという状態は、A−RROの悪化に直結する。
【0020】
スピンドルモータ100,200のいずれにおいても、シャフト102とスラスト板103の組み立てや、シャフト212とスラスト板213の組み立ての際に、スラスト板103,213がシャフト102,212に対して微小な傾きが発生する。この傾き(垂直度の悪化)は、ハブ114,211のA−RROの悪化をもたらす。
【0021】
第3の欠点は、従来のスピンドルモータ100,200では、温度変化に対する軸受け剛性の変化が大きなものとなることである。軸受け剛性が低下しすぎると、リピータブル ランアウト(RRO)や、ノンリピータブル ランアウト(NRRO)が大きくなり、モータとして使用することができなくなる。
【0022】
従来のスピンドルモータ100,200において、温度変化に対する軸受け剛性の大きな変化(低下)は、次の点が原因と考えられる。すなわち、従来のスピンドルモータ100,200では、シャフト102,212の材質をステンレス鋼の400系(SUS−400系)、たとえばCrを18%含有するSUS430とし、スリーブ111,202の材質を真鍮やステンレス鋼の300系(SUS−300系)、たとえばCrを18%、Niを8%含有するSUS304としている。これらの材質を採用すると、線膨張係数の差による影響で、温度が上昇した時にシャフト102とスリーブ111との隙間や、シャフト212とスリーブ202との隙間が大きくなって、動圧効果が低下し、ラジアル方向の軸受け剛性が低下してしまうのである。また、温度が上昇すると、動圧用の油の粘度が低下してしまい、軸受け剛性が一層低下してしまう。
【0023】
先に示したSUS430とSUS304の場合、より固いSUS430の線膨張係数が10.4×10−6で、よりやわらかいSUS304の線膨張係数が16.4×10−6となり、温度が上昇するとスリーブ111,202の方が大きく膨張し、シャフト102,212との間の隙間が広くなってしまうのである。なお、軸受け剛性の問題は、ラジアル方向のみならず、スラスト方向にも同様な原因によって生じている。
【0024】
この軸受け剛性の問題に対しては、スリーブ111,202の材質をシャフト102,212の材質と同じSUS−400系にすれば改善される(線膨張係数の差による影響は発生しない)が、スリーブ111,202が固くなり、それらに対する溝加工や形状加工等の加工が困難となり、生産性が大幅に悪化すると共に生産コストが上昇してしまう。また、軸受け部分の温度上昇に伴う油の粘度変化に対しては、依然として改善はされず、問題が残ったままとなる。
【0025】
なお、シャフト102,212の材質をスリーブ111,202の材質と同じSUS−300系にするという案も理論上はあり得る。しかし、シャフト102,212がスリーブ111,202と同材質でかつ柔らかい材質となることは、シャフト102,212に傷がつき易くなり、回転の安定性が損なわれ易くなると共に、シャフト102,212とスリーブ111,202との間でロックし易くなってしまい、この構成は採用できない。
【0026】
また、シャフト102,212をSUS−300系とし、スリーブ111,202をSUS−400系としても良いが、スリーブ111,202をSUS−400系にすると、熱膨張の差が大きすぎて、高温時に、シャフト102,212がロックしてしまう。すなわち、SUS−400系は、熱膨張度が小さいため、高温になると、シャフト102,212とスリーブ111,202の間の隙間が零となり、ロックする。また、時には、隙間が小さくなることで、シャフト102,212が堅いSUS−400系のスリーブ111,202にぶつかり、シャフト102,212に傷がついたりする。
【0027】
また、シャフト102,212をSUS−300系とし、スリーブ111,202をSUS−400系とすると、SUS−400系は、その硬度が高いため、内径の寸法出し、真円度化、面相度を細かくすること、高円筒度化などの高精度加工や動圧溝加工が困難となる。内径寸法のバラツキは、適正な隙間が得られないこととなり、測定による選別組み合わせという多大な時間を要する工程を必要とする。これは生産性やコストの面で問題となる。動圧溝加工が困難になるということは、溝深さの均一性や対称性が悪くなることに直結し、軸受け特性が悪化する。また生産性や価格の面にも悪影響を及ぼす。
【0028】
これらの理由により、シャフト102,212をSUS−300系とし、スリーブ111,202をSUS−400系とする組み合わせも、実質的には採用できない。
【0029】
さらに、第4の欠点は、従来のスピンドルモータ100,200では、電流ロスが大きなものとなることである。これには2つの原因が考えられる。1つは、構造的問題である。すなわち、図16に示す軸固定型のスピンドルモータ100のスリーブ111とハブ114との固定部100aにおける強度や効率的な作業性を得るためには、固定部100aの軸方向長さを長くしたり、各部品の径方向の肉厚を十分に大きくしなければならないが、そのためには、コア104やコイル巻線105を収納する空間が狭くなり、結果として電磁特性(Kt)が小さくなるのである。収納空間が狭くなり、電磁特性が小さくなるこの傾向は、軸回転型のスピンドルモータ200でも生じる。
【0030】
電流ロスが大きくなる原因の他の1つは、軸受け構造の問題である。すなわち、軸受け部分の軸損トルクは、シャフト102,212の径を小さくして、かつラジアル隙間を小さくすれば、軸受け剛性を低下させること無く、軸損トルクを低減できる。しかし、スピンドルモータ100の場合、シャフト102の径が小さくなると、シャフト102とベース101との固定部100bでの結合力や直角度が出にくくなる。また、スピンドルモータ200の場合、シャフト212の径が小さくなると、シャフト212とハブ211との固定部200aにおける接触面積がさらに小さくなり、上述したようにA−RROのさらなる悪化が生ずる。また、ラジアル隙間を小さくすると線膨張係数の差の影響が大きく出てしまう。
【0031】
電流ロスが大きくなる原因の中には、スラスト板103,213の厚さの問題がある。現状では、スラスト板103,213の垂直度および各固定部100c,200bでの固定強度を得るために、スラスト板103,213をどうしても厚くせざるを得ない。具体的には、スラスト板103,213の厚さを、1〜1.5mm程度としている。このため、電流ロスがかなり大きくなっている。
【0032】
このように、シャフト102,212の径を小さくしたり、スラスト板103,213を薄くすることは、極めて困難であり、このことによって電流が上昇し、電流ロスが大きくなる。
【0033】
第5の欠点は、従来のスピンドルモータ100,200では、3.5インチハードディスク用への対応は容易に可能であるが、さらに小型で薄型となる2.5インチや1.8インチのハードディスク用への対応が困難なことである。すなわち、従来のスピンドルモータ100,200では、相対回転部分が別部材を組み立てることで得られる組み立て部品となっているため、軸受け部分のギャップである隙間の管理が難しく、どうしても大きな隙間とならざるを得ず、小型化、薄型化がしづらいものとなっている。特に、組み込みの強度や精度を考慮すると、スラスト板103,213やハブ114,211を厚くせざるを得ず、軸方向厚さが大きくなりがちとなっている。
【0034】
従来の動圧軸受装置は、従来のスピンドルモータ100,200が有する5つの欠点の大きな部分を占めている。すなわち、第2の欠点の垂直度の悪化、第3の欠点である軸受け剛性の変化の問題、第4の欠点の電流ロスの問題の原因の1つである軸構造の問題やスラスト板の厚さの問題、第5の欠点の小型化、薄型化がしづらい原因の1つであるスラスト板の厚さの問題等は、従来の動圧軸受装置そのものの問題でもある。
【0035】
本発明は、上述した動圧軸受装置の問題点を解決するためになされたものであり、耐衝撃性を向上させ得、A−RRO(いわゆる軸の揺動運動)を小さくでき、温度変化に対する軸受け剛性の変化を小さくでき、しかも電流ロスを押さえることができると共に小型化、薄型化が可能となる動圧軸受装置を提供することを目的とする。また、他の発明は、温度変化に対する軸受け剛性の変化を小さくでき、安定した性能を長期に渡って維持することができる動圧軸受装置を提供することを目的とする。
【0036】
また、他の発明は、電流ロスを押さえることができると共に、スラスト側の動圧溝の設置位置の自由度が増し、動圧効果を適切なものとすることができる動圧軸受装置を提供することを目的とする。さらに、他の発明は、温度変化に対する軸受け剛性の変化を小さくでき、しかもシャフトがスリーブに衝突してしまうのを防止できる動圧軸受装置を提供することを目的とする。
【0037】
さらに、他の発明は、A−RRO(いわゆる軸の揺動運動)を小さくできると共に薄型化への対応を簡単に行うことができる動圧軸受装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明の動圧軸受装置は、ベースと、このベースに固定されるシャフトと、このシャフトの周りに回転可能に配置されるスリーブと、を有する動圧軸受装置において、シャフトのベースとは反対側の端部に設けられ、シャフト部分の径より大径となる円形状のスラスト板とシャフトとをステンレス鋼にて一体形成してシャフト体とし、スリーブを、アルミニウムとシリコンを成分として有するアルミシリコン合金にて形成し、シャフト体の線膨張係数を17×10−6プラス/マイナス5%以内とし、スリーブの線膨張係数を0℃〜100℃の範囲の測定で14×10−6プラス/マイナス5%以内とし、スラスト板部分の軸方向厚さを0.15〜0.35mmとし、スリーブの硬度をシャフトの硬度より小さくし、よりやわらかな部材となるスリーブであってシャフトと対向する部分にラジアル軸受用の動圧溝を設け、スラスト板と対向する位置であってこのスラスト板を覆うと共にスリーブの中心孔を塞ぐようにして設けられたカウンタープレートのスラスト板と対向する位置に、スラスト軸受用の第1のスラスト動圧溝を設け、スラスト板の第1のスラスト動圧溝と対向する面とは反対となる面と対向するスリーブ部分に、第2のスラスト動圧溝を設けている。
【0039】
この発明の動圧軸受装置は、ベースに固定されるシャフトとスラスト板とを一体化し一体部材としているので、耐衝撃性が向上すると共に、垂直度を得やすいものとなる。このため、シャフトに対し相対回転するスリーブのA−RROを小さくできる。また、スリーブとシャフト体の各線膨張係数をシャフト側をより大きくした所定のものとしているので、温度変化に対する軸受け剛性の変化が小さくなる。また、回転側のスリーブをアルミニウムとシリコンを有するアルミシリコン合金としているので、アルミニウムと同程度の質量となり、電流ロスやイナーシャが小さなものとなる。
【0040】
また、この動圧軸受装置は、軸固定型であるため、スラスト板がシャフトの径に比べ大径であったとしても、このシャフト体を組み込むことが可能となる。また、硬度がより柔らかとなるスリーブ側にラジアル軸受用の動圧溝を設けているので、従来の真鍮のスリーブと同様にボール転造でスリーブの内部に動圧溝を簡単に、かつひび割れが生じないように形成することができると共に、動圧用の溝部に設けられる突出部(動圧溝を形成する前に、スリーブの表面に中心側に突出する段部を設けることが多いが、この段部のこと)によってシャフトの表面が傷つくことが防止される。さらに、スリーブをシャフト体より柔らかな材質としているので、シャフト体をスリーブに挿入する際に、両者が接触してもシャフト側は傷がつかず、安定した性能を長期に渡って得ることができる。
【0041】
さらに、スラスト板部分の軸方向厚さを0.15〜0.35mmとしているので、電流ロスが低減されると共に小型化、薄型化が可能となる。また、スラスト軸受用の動圧溝をスラスト板に対向するカウンタプレートとスリーブとに設けているので、スラスト板という面積が小さくなりがちなものに動圧溝を設置する場合に比べ、動圧溝の設置位置や設計の自由度が増し、より適切な動圧効果が得やすいものとなると共にコストの低減化も可能となる。
【0042】
他の発明の動圧軸受装置は、シャフトと、このシャフトに相対回転可能に配置されるスリーブと、シャフトまたはスリーブのいずれか一方を固定するベースを有する動圧軸受装置において、シャフトをステンレス鋼にて形成し、スリーブを、アルミニウムとシリコンを成分として有するアルミシリコン合金にて形成し、シャフトの線膨張係数を17×10−6プラス/マイナス5%以内とし、スリーブの線膨張係数を0℃〜100℃の範囲の測定で11×10−6〜15×10−6とし、スリーブの硬度をシャフトの硬度より小さくし、よりやわらかな部材となるスリーブ側であってシャフトと対向する部分にラジアル軸受用の動圧溝を設けている。
【0043】
この発明の動圧軸受装置は、スリーブとシャフト体の各線膨張係数をシャフト側をより大きくした所定のものとしているので、温度変化に対する軸受け剛性の変化が小さくなる。また、この動圧軸受装置は、硬度がより柔らかとなるスリーブ側にラジアル軸受用の動圧溝を設けているので、従来の真鍮のスリーブと同様にボール転造でスリーブの内部に動圧溝を簡単に、かつひび割れが生じないように形成することができると共に、動圧用の溝部に設けられる突出部(動圧溝を形成する前に、スリーブの表面に中心側に突出する段部を設けることが多いが、この段部のこと)によってシャフトの表面が傷つくことが防止される。さらに、スリーブをシャフトより柔らかな材質としているので、シャフトをスリーブに挿入する際に、両者が接触してもシャフト側は傷がつかず、安定した性能を長期に渡って維持することができる。
【0044】
また、他の発明の動圧軸受装置は、シャフトと、このシャフトに相対回転可能に配置されるスリーブと、シャフトまたはスリーブのいずれか一方を固定するベースを有する動圧軸受装置において、スリーブを、Alが65〜69重量%、Siが28〜32重量%、Cuその他が1〜5重量%で構成されるアルミシリコン合金にて形成し、このスリーブの線膨張係数を0℃〜100℃の範囲の測定でシャフトの線膨張係数に対して1×10−6〜7×10−6だけ小さくし、スリーブの硬度をシャフトの硬度より小さくし、よりやわらかな部材となるスリーブ側であってシャフトと対向する部分にラジアル軸受用の動圧溝を設けている。
【0045】
この発明の動圧軸受装置は、スリーブとシャフトの各線膨張係数をシャフト側をより大きくした所定のものとしているので、温度変化に対する軸受け剛性の変化が小さくなる。また、スリーブをアルミニウムとシリコンでほとんどを占めるアルミシリコン合金としているので、質量はアルミニウムと同程度か若干軽くなり、この動圧軸受装置を使用した装置を軽量化できると共に回転側にこのアルミシリコン合金を使用すると電流ロスやイナーシャが小さくなる。また、この動圧軸受装置は、硬度がよりやわらかとなるスリーブ側にラジアル軸受用の動圧溝を設けているので、従来の真鍮のスリーブと同様にボール転造でスリーブの内部に動圧溝を簡単に、かつひび割れが生じないように形成することができると共に、動圧用の溝部に設けられる突出部によってシャフトの表面が傷つくことが防止される。さらに、スリーブをシャフトより柔らかな材質としているので、シャフトをスリーブに挿入する際に、両者が接触してもシャフト側は傷がつかず、安定した性能を長期に渡って維持することができる。
【0046】
また、他の発明の動圧軸受装置は、シャフトと、このシャフトに相対回転可能に配置されるスリーブと、シャフトまたはスリーブのいずれか一方を固定するベースを有する動圧軸受装置において、シャフトのベースとは反対側の端部にスラスト板を設け、スリーブを、アルミニウムとシリコンを成分として有するアルミシリコン合金にて形成し、シャフトを、Crを10.5〜32重量%、Niを4〜13重量%含有した鉄系合金となるステンレス鋼で形成し、スリーブのシャフトと対向する部分であるスリーブの内面に、ラジアル軸受用の動圧溝を設け、スラスト板と対向する位置であってこのスラスト板を覆うと共にスリーブの中心孔を塞ぐようにして設けられたカウンタープレートのスラスト板と対向する位置に、スラスト軸受用の第1のスラスト動圧溝を設け、スラスト板の第1のスラスト動圧溝と対向する面とは反対となる面と対向するスリーブ部分に、第2のスラスト動圧溝を設けている。
【0047】
この発明の動圧軸受装置は、アルミニウムより軽いシリコンを含んだアルミシリコン合金をスリーブとしているので、このスリーブ部分を回転側とすると、回転部分がステンレス鋼よりはかなり軽くなり、アルミニウムより若干軽くなる。このため、電流ロスが軽減されると共にイナーシャが小さくなる。また、スリーブを固定側とした場合、動圧軸受装置としての重量が小さくなり、この動圧軸受装置を組み込んだ装置の軽量化に貢献できるものとなる。さらに、スラスト軸受用の動圧溝をスラスト板に対向するカウンタプレートとスリーブとに設けているので、スラスト板という面積が小さくなりがちなものに動圧溝を設置する場合に比べ、動圧溝の設置位置や設計の自由度が増し、より適切な動圧効果が得やすいものとなると共にコストの低減化も可能となる。
【0048】
さらに、他の発明の動圧軸受装置は、シャフトと、このシャフトに相対回転可能に配置されるスリーブと、シャフトまたはスリーブのいずれか一方を固定するベースを有する動圧軸受装置において、スリーブを、少なくとも0℃〜100℃の温度範囲で、温度が高くなるほど線膨張係数が大きくなる、アルミニウムとシリコンを成分として有するアルミシリコン合金にて形成し、シャフトの線膨張係数をスリーブの線膨張係数より大きくかつ温度範囲で一定とし、スリーブの硬度をシャフトの硬度より小さくし、よりやわらかな部材となるスリーブ側であってシャフトと対向する部分にラジアル軸受用の動圧溝を設けている。
【0049】
この発明の動圧軸受装置は、スリーブを、少なくとも0℃〜100℃の温度範囲で、温度が高くなるほど線膨張係数が大きくなる、アルミニウムとシリコンを成分として有するアルミシリコン合金とし、シャフトの線膨張係数をその一体部材の線膨張係数より大きくかつ上記温度範囲で一定としているので、温度が高くなると、スリーブ内の動圧溝の間隙が狭くなり、軸受けの剛性力が維持されると共に、スリーブとシャフトとが接触してしまう危険性を大きく軽減することができる。なお、ここで、線膨張係数が一定とは、全く変化しないもののみならず、アルミシリコン合金に比べ、その変化が5分の1程度以下のものを含むものとする。
【0050】
さらに、他の発明は、上述の発明の動圧軸受装置に加え、シャフトをベースに固定すると共にスリーブをシャフトの周りに回転可能に配置している。この動圧軸受装置は、軸固定型であるため、シャフトとスラスト板を一体部材とし、かつスラスト板がシャフトの径に比べ大径であったとしても、このシャフト体を組み込むことが可能となる。このように、この発明では、設計の自由度が増すものとなる。
【0051】
加えて、他の発明は、上述の発明の動圧軸受装置に加え、スリーブと一体回転するディスク保持用のハブをスリーブと共にアルミシリコン合金にて一体形成している。この動圧軸受装置では、スリーブとハブとを一体化し、一体部材としているので、ハブ部分の耐衝撃性が向上すると共に、ハブの垂直度を得やすいものとなる。このため、軸受装置としてのA−RROを非常に小さくできる。しかも、小型化、薄型化も可能となる。
【0052】
また、他の発明の動圧軸受装置は、上述の発明の動圧軸受装置に加え、シャフトのベースとは反対側の端部に、シャフトの径より大径となるスラスト板を設け、このスラスト板とシャフトとをステンレス鋼にて一体形成してシャフト体とし、スラスト板部分の軸方向厚さを0.1〜0.7mmとしている。
【0053】
この発明の動圧軸受装置では、シャフトとスラスト板を一体化し、シャフト体としているので、シャフト体の耐衝撃性が向上すると共に、シャフト部分の垂直度を得やすいものとなる。このため、軸受装置としてのA−RROを小さくすることができる。しかも、小型化、薄型化も可能となる。加えて、スラスト板部分の軸方向厚さを0.1〜0.7mmとしているので、スラスト軸受けの機能を十分満足させつつ、軸方向長さを一層小さくでき、一層の小型化、薄型化が可能となる。また、スラスト板部分を薄くすることで、電流ロスを低減させることができる。
【0054】
また、他の発明は、上述の発明の動圧軸受装置に加え、スリーブと一体回転するロータをスリーブと共にアルミシリコン合金にて一体形成している。この動圧軸受装置では、スリーブとロータとを一体化し、一体部材としているので、ロータ部分の耐衝撃性が向上すると共に、ロータの垂直度を得やすいものとなる。このため、ロータのA−RROを非常に小さくできる。しかも、小型化、薄型化も可能となる。
【0055】
本発明の動圧軸受装置の製造方法は、ベースと、このベースに固定されるシャフトと、このシャフトの周りに回転可能に配置されるスリーブと、を有する動圧軸受装置の製造方法において、シャフトとベースの軸方向厚さを完成状態に比べ厚くしておき、シャフトをベースに組み込んだ後に、シャフトの底側の一部とベースの底側の一部とを、同時にかつ両者の切り取り面が一定の平面となるように切り取り、完成状態の厚さとしている。
【0056】
この製造方法を採用すると、軸固定型の動圧軸受装置であって、軸方向厚さが薄いものでも、ベースに対するシャフトの垂直度を十分出すことができる。すなわち、スリーブのA−PROを小さくできると共に薄型化への対応を簡単に行うことができることとなる。
【0057】
【本発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る動圧軸受装置について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態では、スピンドルモータに使用される動圧軸受装置について説明する。また、動圧軸受装置を搭載したディスク駆動装置に関しては、スピンドルモータおよびその周辺のみを説明し、ディスク情報を読み取ったり、書き込んだりするヘッド部分、スピンドルモータやそのヘッド部分等を制御する制御回路等の回路部分および他の機構部分は、従来のディスク装置と同様であり、その説明を省略する。
【0058】
この実施の形態に係る動圧軸受装置は、スピンドルモータ10に組み込まれている。このスピンドルモータ10は、軸固定型の動圧軸受装置を有するスピンドルモータで、HDDに搭載されているものである。このスピンドルモータ10では、図1に示すように、アルミニウム等の金属や機能性樹脂等の固い樹脂材からなるベース1にシャフト2が圧入、焼きバメ、接着、溶接などの各種の固定方法の1つまたは複数を利用して固定されている。シャフト2の先端側(図1では上側)にスラスト板3がシャフト2と一体的設けられており、スラスト板部とされている。すなわち、シャフト2とスラスト板3は、一部品から構成される一体部材のシャフト体とされている。後述の第2の一体部材との関係から、以下ではこの一体部材をシャフト体の代わりに第1の一体部材と呼ぶこともある。
【0059】
この第1の一体部材(シャフト体)は、18重量%のCrと8重量%のNiを含有した鉄系の合金であるステンレス鋼(SUS−304)から形成されている。第1の一体部材は、この棒状のSUS−304の外周を切削することで、円柱状のシャフト2の部分と円形状(具体的には偏平な円柱状)のスラスト板3の部分が形成されている。このスラスト板3部分の軸方向厚さは、0.3mmとされているが、0.1〜0.7mmの範囲とすれば、強度の面と電流ロス減少の面で好ましいものとなる。なお、この範囲は、0.15〜0.35mmとすれば、さらに好ましいものとなる。
【0060】
この第1の一体部材の線膨張係数は、16.4×10−6とされ、ビッカース(硬度)は約196とされている。なお、第1の一体部材としてはSUS−300系であれば、他のものでも良い。すなわち、Crを10.5〜32重量%、Niを4〜13重量%含有した鉄系合金であれば良い。ただし、線膨張係数としては17×10−6プラス/マイナス5%以内が好ましい。なお、線膨張係数とは、固体における長さの変化に関する線膨張率で、lを長さ、loを0℃における長さ、θを温度としたとき、(dl/dθ)/loの値を指す。なお、第1の一体部材となるシャフト側(SUS−304)の線膨張係数は、0℃〜100℃の範囲で略一定になっている。なお、ここで述べる一定とは、全く変化しないもののみならず、後述する第2の一体部材に比べ、その変化が5分の1程度以下のものも含むものとする。
【0061】
ベース1の中央には円筒状の円筒部1aが設けられ、その円筒部1aの外周には、中央の孔部分が円筒部1aに嵌り込む薄型状の磁性金属板が積層された状態で配置され、コア4を形成している。コア4の固定は、接着、圧入、かしめなどのいずれか1つまたは複数を組み合わせてなされる。このコア4には、径方向にのびる複数の突極が周方向に所定間隔にて形成されており、その各突極にはコイル巻線5が施されている。このコア4とコイル巻線5が収納される収納空間Sは、後述するような理由によって、従来のスピンドルモータに比べ広くすることが可能とされている。なお、ベース1と、コア4とコイル巻線5等によってスピンドルモータ10のステータが構成されている。
【0062】
第1の一体部材の周囲には、軸受けとなる円筒状のスリーブ11部分と円盤状のハブ12部分とが一体形成された第2の一体部材が配置されている。先のベース1と、シャフト2またはシャフト体と、このスリーブ11とで動圧軸受装置の基本構成部材が形成される。
【0063】
この第2の一体部材は、Alが67〜68重量%で、Siが30重量%で、Cuその他が2〜3重量%のアルミシリコン合金とされ、熱処理が施されたものである。その線膨張係数は、0℃〜100℃の範囲の測定で、14×10−6となり、そのうち40℃〜100℃の範囲の測定で、14.7×10−6となり、100℃〜200℃の範囲の測定で、16.0×10−6となり、200℃〜300℃の範囲の測定で、17.6×10−6となり、300℃〜400℃の範囲の測定で、19.0×10−6となる。この測定中、40℃〜400℃の範囲については、示差膨張測定で、室温から400℃の範囲で、昇温速度は毎分10℃で、窒素気流中という条件で行ったものである。
【0064】
このように、この第1の一体部材は、その線膨張係数が、温度が高くなるほど、その値が高くなる(40℃〜400℃の範囲では、平均すると、10℃当たり、約0.15×10−6の割合)ような性質を有するものである。
【0065】
この線膨張係数は、測定誤差や含有金属割合のわずかな変更等を考慮すると、第1の一体部材側との関係では、0℃〜100℃の範囲の測定で、14×10−6とせず、この値のプラス/マイナス5%以内であれば良く、100℃付近で、15.3×10−6のプラス/マイナス5%以内であれば良い。また、その材料配分としては、Alが65〜69重量%で、Siが28〜32重量%で、Cuその他が1〜5重量%の範囲のアルミシリコン合金としても良い。このように、アルミシリコン合金の線膨張係数を、0℃〜100℃の範囲の測定で、14×10−6のプラス/マイナス5%以内とするには、珪素(Si)の含有量によっても調節することができる。
【0066】
第2の一体部材は、上述のような線膨張係数を有する、新たに開発されたアルミシリコン合金とされている。その硬さは、第1の一体部材よりやわらかなものとされ、その硬度はビッカース硬さで約114〜165〔kg/mm〕とされている。なお、硬度は、ビッカース硬さで80以上あれば、第2の一体部材側の回転開始、回転停止時における両一体部材の衝突に際しても、この第2の一体部材側がへこんでしまうことは無い。また、硬度は、熱処理の方法、条件によって変動するもので、装置として求められる値をこの範囲(ビッカース硬さ114〜165〔kg/mm〕)から適宜得ることができる。なお、熱処理を施さない押し出し部材のままの場合は、ビッカース硬さで114〔kg/mm〕で、熱処理を施すことで得られる本第2の一体部材は、ビッカース硬さで165〔kg/mm〕となっている。熱処理の方法を変えることで、さらに若干は硬さを高くすることができる。この第2の一体部材は、押し出し部材を熱間鍛造で所定の形状とし、その後に熱処理を加えている。
【0067】
第2の一体部材のスリーブ11部分には、その中心孔の一端(図1の上方)側を塞ぐように円板状の金属製のカウンタプレート13が固定されている。この固定は、図2に示すように、第2の一体部材のスリーブ11の上端側の上方段部平面部11aにカウンタプレート13を載置した後、スリーブ11側をかしめることによって、このカウンタプレート13を押さえ込む方法によって行われる。かしめ部分を11bとして示す。なお、このかしめ作業の後、そのかしめ部11bに接着剤を塗布するようにしても良い。
【0068】
第2の一体部材のスリーブ11部分には、上述の上方段部平面部11a、かしめ部分11b以外に、カウンタプレート13の外周が係合する大径のスリーブ内径部11cと、スラスト板3部分の外周が対向する小径のスリーブ内径部11dと、スラスト板3部分の外周に突出した部分における図1の下方面が対向する下方段部平面部11eと、シャフト2部分と対向すると共に、最も小径となるシャフト対向内面部11fとが形成されている。
【0069】
アルミシリコン合金で形成された第2の一体部材のハブ12部分には、ハードディスクであるディスク14を載置するためのディスク載置用の段部12aと、円筒状の磁性金属からなるヨーク15やそのヨーク15に固定される円筒状の磁石16を接着、圧入、かしめなどによって同心上に固定保持する大径円筒部12bと、ディスク14を載置するディスク載置部12cと、ディスク14をディスク載置部12cに載置した状態で固定するためのねじ17を挿通するためのねじ孔12dと、ディスク14をディスク載置部12cとの間にはさみ込むためのクランパ18が載置されるクランパ載置部12eと、クランパ18の中央孔が嵌り込むクランパ嵌合段部12fと、コイル巻線5のスペースを十分確保するために凹状にくぼんだコイル対向凹部12gとが形成されている。なお、第2の一体部材と、カウンタプレート13と、ヨーク15と、磁石16等によってスピンドルモータ10のロータが構成される。
【0070】
この第2の一体部材の材料となるアルミシリコン合金は、上述したような材料配分とされるが、この製造方法は、図3に示すとおりである。すなわち、まずアトマイズ法によってアルミ合金の急冷凝固粉末を製造する(ステップS51)。アトマイズ法としては、ガスアトマイズ法、超音波ガスアトマイズ法等が採用される。
【0071】
この急冷凝固粉末は、アルミニウムとケイ素とからなる合金の溶湯をタンディッシュ(底に穴を有する容器)から流出させると同時に、その溶湯流に噴霧媒(気体あるいは液体)のジェットを衝突させ、その溶湯が飛散して微細な液滴となった後に熱を奪われることで凝固して形成される。この粉末粒は、例えば、2μm程度の径の多数のシリコンを含む100μm程度の径のものとされる。
【0072】
その後、セラミックスと特殊合金粉末からなる添加物を添加し(ステップS52)、最終材料が、Alが67〜68重量%で、Siが30重量%で、Cu(銅)その他が2〜3重量%となるように、急冷凝固粉末と混合する。そして、熱間プレスによってビレット状の圧粉体を得る(ステップS53)。その後、真空中あるいは非酸化性雰囲気中で加熱して粉末の各表面に吸着している酸化物や非酸化物を吸着した水分などを除去する脱ガス処理を行う(ステップS54)。次に、熱間押出しを行う(ステップS55)ことで、押出材が得られる。この押出材を加工して第2の一体部材を形成する。この後、適宜、熱処理を行う。
【0073】
得られるアルミシリコン合金の線膨張係数は、珪素(Si)の含有率によって変化する。この実施の形態では、珪素が30重量%含有されており、0℃〜100℃の範囲の測定で、約14×10−6の線膨張係数を有している。珪素の含有率をさらに高めていくと、線膨張係数は、比例的に低下していき、珪素の含有率が約36%となると、約13×10−6の線膨張係数となり、珪素の含有率が約44〜48%となると、10×10−6の線膨張係数(これはSUS−400系の線膨張係数と同程度)となる。なお、珪素のみを変化させるのではなく、珪素にニッケルをまぜ、この珪素とニッケルの合計量を30重量%から徐々に上げていくようにして、線膨張率を下げるようにしても良い。
【0074】
ディスク14は、このスピンドルモータ10がディスク駆動装置に搭載されるに際して取り付けされる。この取り付けは、ディスク14をディスク載置部12cに載置した後、クランパ18をクランパ載置部12eに載置し、ねじ17をねじ孔12dに挿通しつつねじ17を締めることによって取り付けがなされる。この実施の形態のディスク14は、2.5インチハードディスク用のディスクとされている。
【0075】
シャフト2とスラスト板3とが一体形成された第1の一体部材と、スリーブ11とハブ12とが一体形成された第2の一体部材との間のわずかな隙間であって、後述する動圧溝が形成されている部分には、動圧用の油が入れられ、その油がスリーブ11部分から外に漏出しないように保持される。
【0076】
このシャフト2部分の外周面とスリーブ11部分のシャフト対向内面部11fとの間の隙間は2〜4μmとされている。一般的には、シャフト2部分の径が4mmであると、その隙間は4μm、3mmであると、隙間は3μmというように、隙間の大きさはシャフト2部分の径の1000分の1とされている。この実施の形態では、シャフト2部分の径が2.5mmで、シャフト2部分とシャフト対向内面部11fとの間の隙間は2.5μmとされている。また、スラスト板3部分とカウンタプレート13との間の隙間や、スラスト板3部分とスリーブ11部分との間の隙間も同様に2.5μmとされている。
【0077】
シャフト対向内面部11fには、ラジアル軸受用の動圧溝が2つ設けられている。すなわち、シャフト対向内面部11fの一端側(図1で上方側)には、第2の一体部材のラジアル方向の動きを規制する第1のラジアル動圧溝21が設けられ、他端側(図1で下方側)には、同様の機能を有する第2のラジアル動圧溝22が設けられている。
【0078】
また、スラスト板3部分を覆うカウンタプレート13のスラスト板3と対向する位置であってスラスト板3のシャフト2部分から外周方向に突出した部分に対向する位置に、第2の一体部材のスラスト方向の動きを規制する第1のスラスト動圧溝23が設けられている。また、スリーブ11部分の下方段部平面部11e、すなわちスラスト板3部分のシャフト12部分から外周方向に突出した部分の平面部に対向する位置に、同様の機能を有する第2のスラスト動圧溝24が設けられている。
【0079】
第1と第2のラジアル動圧溝21,22は、図1、図2に示すように、複数の>形の溝が周方向に並列して設けられ、シャフト対向内面部11f内を一周するように形成されている。第1と第2のスラスト動圧溝23,24は、共に、多数の>形の溝が円形状に並んで配置されたものとされている。この動圧溝21,22,23,24の各形状は、他の形状としても良い。たとえば、スラスト動圧溝を径が異なる円を同心状に並べたものとしたり渦巻き状のものとしたり、ラジアル動圧溝の各溝を>状とせず単に直線状の斜め線(/)の溝とする構成としても良い。
【0080】
各動圧溝21,22,23,24は、プレス加工、エッチング加工、切削加工、ボール転造などの転造加工、放電加工等によって形成される。動圧用の油は、上述した第1のラジアル動圧溝21、第2のラジアル動圧溝22、第1のスラスト動圧溝23、第2のスラスト動圧溝24の各溝部分に施され、その各溝21,22,23,24が油で満たされるようにされている。
【0081】
以上のように構成される動圧軸受装置およびスピンドルモータ10の組み立て順序について、以下に説明する。
【0082】
まず、ハブ12を有する第2の一体部材に、スラスト板3を一体成形したシャフト(第1の一体部材)を挿入する。次に、大径のスリーブ内径部11cに、その外周が対向するようにかつ上方段部平面部11aに接触するようにカウンタプレート13を配置した後、スリーブ11部分に対してカウンタプレートをかしめ固定する。そして、必要により接着剤をかしめ部分11bに付与する。その後、第1の一体部材と第2の一体部材の間の隙間(この例では、約2.5μm)を、真空装置を利用して、動圧用の油で満たす。なお、第2の一体部材に対しては、ヨーク15や磁石16が、事前に圧入、接着、かしめなどによって同心上に固定されている。
【0083】
一方、ベース1に対してコア4を接着、圧入、かしめなどによって固定し、コイル巻線5を突極に巻くことでステータが形成される。なお、コア4にコイル巻線5を施した後に、ベース1にコア4を固定するようにしても良い。このステータを構成するベース1の中央孔に対して、先ほどのシャフト2が圧入、焼きバメ、接着、溶接などの1つまたは複数を組み合わせた方法で固定される。
【0084】
この組み込み状態では、シャフト2の長さやシャフト2が圧入されるベース1部分の軸方向厚さは、完成状態に比べ、大きくされている。そのため、組み込み後に、ベース1とシャフト2の底側の一部が切削により、切り取られ、完成状態の大きさとされる。これによってスピンドルモータ10が完成する。この組み込み方法を採用しているのは、精度の良い垂直度を得るためである。精度の良い垂直度を得るには、シャフト2の径と同程度の圧入しろが必要とされている。2.5インチハードディスク用のこのスピンドルモータ10のシャフト2の径は、2.5mm程度であることから、ベース1のシャフト2の圧入部分の厚さを一旦、2.5mmとし、垂直度を十分出した後に、1.5mm程度を切り取り、ベース1の底部分の最終形態での厚さを1mmとし、薄型化している。
【0085】
このような組み立て方法を採用することで、ベース1に対するシャフト2の垂直度を維持すると共に、薄型化を達成している。また、ベース1の底側を切り取るので、ベース1の中央孔の外方端に面取りを施す作業が不要となる。なお、この組み立て方法(シャフト2を圧入した後、切り取る方法)は、2.5インチ、1.8インチなど超小型、超薄型のハードディスク用のスピンドルモータに採用すると好ましいものである。
【0086】
このスピンドルモータ10をディスク駆動装置に搭載する際は、ディスク14をディスク載置部12cに載置し、ディスク載置部12cとの間でディスク14をはさみ込むようにしてクランパ18をクランパ載置部12eに載せる。その後、ねじ17によってクランパ18を締めつけ、ディスク14を固定する。この状態のスピンドルモータ10をディスク駆動装置内部に組み込み、他の機構、他の回路等を備えさせることでディスク駆動装置が完成する。
【0087】
次に、この動圧軸受装置の基本動作を説明し、その説明と併せてこの動圧軸受装置を使用したスピンドルモータ10およびスピンドルモータ10を搭載したディスク駆動装置の各特性と従来装置の各特性を比較したものについて説明する。
【0088】
まず、動圧軸受装置の基本動作を説明するが、最初に評価の前提となるもの、すなわち油の粘度の変化、評価用軸受け装置、隙間の変化と軸受けの特性との関係について、図4から図9を参照しながら説明する。
【0089】
図4は、温度に対する油(動圧軸受装置に使用される一般的な油)の動粘度の変化を示す。動粘度とは、粘度(絶対粘度)を密度で除した値で、たとえば、1mPa・s(ミリ・パスカル・セコンド)の粘度で、密度が1g/cmであれば、1mm/s(平方ミリメートル・パー・セコンド)の動粘度となる。なお、従来のセンチストークス(cSt)の単位とは、同数値となる。動粘度も、粘度同様、数値が大きいほど「粘り」があることとなり、硬いものとなる。
【0090】
図4に示すように、油の動粘度は、温度が上昇すると、急激に低下する。粘度の低下は、軸受け剛性、すなわち動圧力の低下をもたらす。このため、温度上昇時には、軸受け剛性を維持するために、シャフトと軸支持部との隙間を小さくする必要が生じる。しかし、隙間が過小であると、軸受け剛性が高くなりすぎ、後述するように、軸損トルクが増加したり、最悪の場合は、シャフトと軸支持部とが接触してロック(回転不能)してしまう場合も生ずる。
【0091】
図5は、評価用の動圧軸受装置を示す。この装置は、シャフト26の径L1が3mmで、上ラジアル動圧溝(上BRG)27の幅L2は、3mmで、下ラジアル動圧溝(下BRG)28の幅L3は、2mmとされ、図5で示される位置、方向に、横方向の外力F1として0.01Kgが加わっている。すなわち、上BRG27と下BRG28との間隔L4は、1mmとされ、その中間の位置から上BRG27側に1.5mm離れた位置に横方向の外力F1が加わるものとされている。また、下方には、径がシャフト26より大きくなるスラスト軸受け部が設けられている。また、シャフト26の回転数は、7200RPMとされている。このような油と評価用の動圧軸受装置を用いて、シャフト2(シャフト26に相当)とスリーブ11(上BRG27と下BRG28に相当)のシャフト対向内面部11fとの間の隙間を、0.5μm単位で変化させた時の軸受け特性(離心率と軸損トルク)を解析した結果を図6から図9に示す。
【0092】
HDDの場合に、最も重要な特性はNRROであり、これには軸受け剛性が大きく影響する。軸受け剛性が小さい(低い)程、隙間が変化し離心率が大きくなるが、離心率の許容値は実験的、経験的に0.01程度である。離心率eとは、楕円がどれくらい偏平となっているかを表す指標で、楕円の中心から長手方向の外周までの長径をa、短手方向の外周までの短径をbとしたとき、次の数式1で定義されるものである。
【0093】
【数式1】
Figure 2004053004
【0094】
この数式1において、離心率eが0のとき真円となる。なお、軸受け剛性とは、Fをロータに作用する力の総和(外力の総和)とし、xをロータの変化量とすると、k=F/xで表されるkを指し、ここではその単位を〔kg・f/μm〕として示す。
【0095】
図6に示される20℃のように温度が低い時は、離心率は比較的余裕があるが、高温では粘度が低下し、軸受け剛性が低くなるので、隙間は2〜3μmにしなけらえば使用に耐えることはできない。すなわち、図8の60℃や図9の80℃の場合のグラフに示されるように、高温となると上ラジアル動圧溝27(図1では、上側の第1のラジアル動圧溝21に相当)の部分での離心率eが3μm程度の隙間のときに0.01を超えてしまう。一方、隙間が過小の場合は、軸損トルクが増加したり、最悪の場合には、シャフト2とスリーブ11とが接触して回転不能となる場合も有り得る。ここで軸損トルクとは、軸(シャフト)が回転する際に、油の粘度等によって失われる軸トルクであり、その値は小さい程良い。ここでは、その単位を〔g・cm〕で示す。
【0096】
次に、動圧軸受装置の基本動作の一つである温度変化による剛性の変化について説明する。
【0097】
隙間は、シャフトやスリーブの熱膨張によっても変化する。シャフトとスリーブの材質の組み合わせによる温度変化に対する隙間の変化を図10に示す。動圧軸受装置は、回転により油に圧力を発生させるが、隙間が小さいほど、また、油の粘度が高いほど、高い圧力を発生させることができる。油の粘度は、低温では高く、高温では低くなる。したがって、シャフトおよびスリーブの材質は、選定時に、シャフトの線膨張係数がスリーブのそれよりも大きくすれば高温にて隙間が減少するので、粘度低下による圧力低下を補うことができる。
【0098】
現在のスピンドルモータに採用されている材料と本発明で使用されるアルミシリコン合金をそれぞれシャフトとし、スリーブとした場合の組み合わせと、その特性は次のように整理される。まず、シャフトとスリーブとを同材質にすると、隙間は温度によって変化しない。隙間の長さが変化しないということは、シャフトの外径もスリーブの内径も共に大きくなりながら隙間が同じということであり、これは隙間部分の体積が増加することを示す。高温になると油の粘性は低下する。このため、隙間部分の体積の増加と油の粘性低下が生じ、軸受け剛性は悪化する。また、シャフトとスリーブとが同材質であると、シャフトとスリーブとが衝突した際にシャフトに傷がつき軸受け特性が悪化する。シャフトとスリーブとを同材質とすることは、このように欠点が多く採用するのは好ましくない。
【0099】
シャフトをSUS−400系とし、スリーブを真鍮(BsBn)あるいは青銅(Bronze)系とする組み合わせは加工性に関しては比較的良好となる。しかし、熱膨張的には高温になると隙間が増加し、油の粘性低下とともに、軸受け剛性は悪化に向かう。特に、1.8インチや2.5インチなどのように小型のHDDに使用されるスピンドルモータの動圧軸受装置は軸受け剛性に余裕が無いため、各動圧溝部の隙間を極めて微小に設計しなければならない。しかし、要求される厳しい公差をクリアすることは困難であり、また、温度(低温)によってはシャフトとスリーブが干渉することが生じ、軸受けとしては機能しなくなる。また、スリーブの材質は、摩耗性に対して十分では無く、表面にニッケル/クロムなどのメッキが必要となる。このため、この組み合わせも問題ありと言える。
【0100】
シャフトをSUS−300系とし、スリーブをSUS−400系とする組み合わせは熱膨張だけを考えると好ましい。すなわち、温度上昇に伴って隙間が減少するので、油の粘度低下による剛性の低下を補う効果を有する。しかし、従来の技術で詳述したように、スリーブをSUS−400系とすることは、その硬度が高いことから種々の問題が発生する。すなわち、高温になると、隙間が小さくなり、シャフトがスリーブに接触したり、ロックしたりする。また、内径の寸法、真円度、面相度、円筒度などの高精度加工や動圧溝加工が困難となる。内径寸法のバラツキが大きくなると、シャフトとの適正な隙間を得ることができず、測定による選別組み合わせをしなければならない。動圧溝加工においても溝深さの均一性や対称性が悪くなり、軸受け特性に悪い影響を及ぼす。このように、シャフトをSUS−300系とし、スリーブをSUS−400系とする組み合わせは、性能面、生産性、価格面などで問題を生ずる。
【0101】
シャフトをSUS−300系とし、スリーブを本発明の第2の一体部材で用いられているアルミシリコン合金とすると、図10に示す表に示されるように、温度が高くなると、隙間が少しずつ狭くなる。具体的に示せば、その隙間は、温度0℃で、0.2μm広くなり、20℃で変化0、40℃で0.2μm狭くなり、60℃で0.4μm狭くなり、80℃で0.6μm狭くなり、100℃で0.8μm狭くなる。この各値は、油の粘度低下による剛性の低下を補う上で最適な値となる。
【0102】
この図10で示す値は、シャフトの径を3mmとしたものであり、シャフトの径を他の値、たとえば、2.5mmや2mmとすると、シャフト側の膨張による増加量の絶対値が小さくなるため、隙間の変化量も小さくなる。しかし、一般的に、シャフトの径が小さい場合、軸受け剛性との関係では、隙間も小さくする必要があり、元々の隙間に対する隙間の変化量の割合は、シャフトの径が小さい場合もそれほどの変化はない。ただし、厳密に言えば、その割合は変化するので、シャフトをSUS−300系とし、スリーブを本発明のアルミシリコン合金とした場合であっても、両者の線膨張係数の差をシャフトの径によって異ならせる必要がある。上述の実施の形態では、両者の線膨張係数の差を、1.5×10−6〜4.5×10−6程度としているが、シャフトの径を2mm程度とすると、隙間は2μm程度となり、両者の差は7×10−6以下は必要とされ、逆に、シャフトの径を4mm程度とすると、隙間は4μm程度となり、両者の差は1×10−6以上あれば良いものとなる。
【0103】
次に、動圧軸受装置の基本動作の説明の最後として、消費電流と剛性の関係について説明する。
【0104】
軸受けの剛性と電流は、相反する条件となる。つまり、軸受けの剛性を大きくするためには、隙間を小さくしたり、油の粘度を高くしなければならない。一方、電流を小さくするため、すなわち損失トルクを小さくするためには、隙間を大きくしたり、油の粘度を低くしなければならない。同じ軸受剛性を維持しながら軸損トルクを小さくさせるためにはシャフトの径を小さくして隙間も小さくすれば良い。しかしながら、スリーブの内径が小さくなり、かつ公差もより厳しくなるので、従来から使用されている材質のように固い部材、たとえば真鍮やSUS−300系を従来よりさらに精度良く加工することは極めて困難となる。従来の材質を使用した場合は、シャフト径とスリーブ内径を全数測定し選別組み合わせをする必要が生ずるが、この方法は生産コストが大きく上昇する。しかも、スリーブ内径が小径となるため、その真円度も精度が悪くなって歩留まりも悪くなる。
【0105】
以上の考察を図11および図12を参照しながら説明する。なお、図11は、シャフトをSUS−400系とし、スリーブを真鍮とした場合を示し、図12は、本発明の構成、すなわち、シャフト2をSUS−304とし、スリーブ11を本発明に使用されるアルミシリコン合金とした場合を示す。
【0106】
図11に示すように、シャフトとしてSUS−400系を採用し、スリーブとして真鍮を採用した場合、温度が58℃当たりを越すと、上ラジアル動圧溝27における離心率eが許容限界値である0.01を越す。また、傾斜角が温度の上昇に伴い急激に大きくなる。ここで傾斜角とは、シャフトのベースに対する傾斜を指し、ベースに対して90度(垂直)の状態を0度としたものである。
【0107】
これに対して、本発明の組み合わせ(シャフト2に相当するシャフト26をSUS−300系とし、スリーブ11に相当する上BRG27および下BRG28を本発明のアルミシリコン合金としたもの)では、図12に示すように、温度が20℃から80℃の間において、離心率eが許容限界値である0.01内に入ることとなる。
【0108】
このように、本実施の形態において使用するアルミシリコン合金は、アルミニウムの基本特性としての加工性、耐食性、軽量、安価、高強度などを悪化させないで、線膨張係数がシャフト2の値よりも小さい値となる。すなわち、アルミニウムに珪素(Si)やその他の添加物を入れていくことにより、線膨張係数が低下していく性質を利用し、線膨張係数が0℃〜100℃の範囲の測定で、14×10−6プラス/マイナス5%以内のアルミシリコン合金としたものである。なお、このアルミシリコン合金の線膨張係数は、SUS−300系とSUS−400系の各線膨張係数の略中間の値、すなわち14×10−6となっている。加えて、このアルミシリコン合金は、0℃〜100℃の温度範囲で、約13.5〜約15.3×10−6となっており、かつその値は温度が高くなる程大きい値となる。なお、0℃〜100℃の温度範囲は、ハードディスク用モータとして必要とされる耐熱条件であり、使用温度環境でもある。
【0109】
本実施の形態で使用されるアルミシリコン合金(Siが30重量%で、Cuその他が2〜3重量%で残りがAl)の他の特性は、次のとおりである。引っ張り強度は46.6kgf/mm、耐力は40.0kgf/mm、ヤング率は9700kgf/mm、硬度は150Hv(ビッカース硬さ)、密度は2.6g/cmである。
【0110】
上述の実施の形態では、シャフト2とスラスト板3とをSUS−300系の一体部材とし、また、スリーブ11とハブ12とを上述のアルミシリコン合金の一体部材としているので、RRO(特にA−RRO)とNRROが共に非常に小さなものとなる。これはスリーブとハブとのはめ合いが無くなると共にシャフトとスラスト板とのはめ合いが無くなるためである。これによってスリーブ11部分とハブ12部分の直角度は完全に維持される。すなわち、スリーブとハブを一体材質とし、ハブ12部分のディスク載置部12cやその他の部分を同時加工すれば各部分の垂直度や水平度を高精度なものとすることができる。シャフト2とスラスト板3の一体部材についても同様である。
【0111】
また、両一体部材は、共にはめ込み構造ではないので、耐衝撃性が向上すると共に、不均一な応力も働かず、時間的(経時的)にも温度的にも安定した精度を維持することが可能となる。また、この実施の形態では、スリーブ11部分とハブ12部分とが一体部材で構成されているので、ハブ12部分のスリーブ11部分に対する固定を考慮する必要がなくなり、コア4やコイル巻線5のための収納空間を十分大きくすることができ、電流ロスを小さくすることができる。また、硬度がよりやわらかとなるスリーブ11側にラジアル軸受用の動圧溝21,22を設けているので、従来の真鍮のスリーブと同様にボール転造でスリーブ11の内部に動圧溝を簡単に、かつひび割れが生じないように形成することができる。
【0112】
また、上述の実施の形態の動圧軸受装置やこの動圧軸受装置が使用されるスピンドルモータ10では、回転部品やシャフト2の垂直度を高精度に維持できるものとなっているので、安定した動圧力が得られ、寿命も長くなる。また、両一体部材は、共にはめ込み構造でないので、耐熱衝撃性も向上する。
【0113】
また、スラスト軸受用の動圧溝23,24をスラスト板3に対向するカウンタプレート13とスリーブ11とに設けているので、スラスト板3という面積が小さくなりがちなものに動圧溝を設置する場合に比べ、動圧溝の設置位置の自由度が増し、より適切な動圧効果が得やすいものとなると共に動圧溝の中心を出しやすいものとなる。
【0114】
また、この実施の形態では、その一体部材を線膨張係数が0℃〜100℃の範囲の測定で、14×10−6プラス/マイナス5%以内のアルミシリコン合金としているので、スリーブ11部分内に動圧溝を形成しやすくなると共に、シャフト2部分としてSUS300系を採用することができる。しかも、ハブ12の根元部分の厚さ(従来のモータのスリーブとハブとの結合部分におけるハブ側)を、載置されるディスク14の厚さの1.3倍としているので、ディスク14との一体回転がスムーズとなると共に、コア4やコイル巻線5の収納空間Sを大きくすることができる。収納空間Sを大きくすることで、電流ロスを抑えることができる。
【0115】
また、シャフト2のスラスト板3部分の軸方向厚さを0.3mmとしているので、すなわち従来に比べ1/3〜1/5としているので、スラスト軸受けの機能を十分満足させつつ、モータの軸方向長さを小さくでき、薄型化が可能になると共に電流ロスが大幅に減少する。
【0116】
また、このディスク駆動装置では、A−RROが小さくなり、軸受け剛性の変化が小さくなり、しかも電流ロスを抑えることができるので、ディスク14からの情報の読み取りやディスク14への情報の書き込みがミスなく行えるものとなると共に電池使用の際の長時間稼働を達成することができる。なお、A−RROの他のRROやNRROも非常に小さくなる。
【0117】
また、スラスト軸受用の動圧溝23,24をスラスト板3部分に対向するカウンタプレート13とスリーブ11とに設けているので、スラスト板3という面積が小さくなりがちなものに動圧溝を設置する場合に比べ、スラスト軸受け用の動圧溝の設置位置や設計の自由度が増し、より適切な動圧効果が得やすいものとなる。このため、ディスク駆動装置として、情報の書き込みミスや読み取りミスが無い高品質な装置とすることができる。さらに、このように、このディスク駆動装置は、内部のスピンドルモータの各種のRROやNRRO(これらの中で少なくともA−RRO)が小さくなり、軸方向長さが小さくなるので、情報の読み取りや書き込みが安定すると共に、モータの薄型化に伴い装置の薄型化が可能となる。
【0118】
上述の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、上述の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータとしては、図13に示すスピンドルモータ30のように、ハブ12部分の外径の軸方向長さを延伸させ、ディスク14の搭載数を増すようにしても良い。なお、他の構成は、基本的に図1に示すスピンドルモータ10と同様となっている。
【0119】
また、上述の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータとしては、図14に示すスピンドルモータ40のように、ハブ12部分の外形の軸方向長さを延伸させ、その収納空間Sにコア4、コイル巻線5、ヨーク15、磁石16を配するようにしても良い。このスピンドルモータ40もディスク14の搭載数を増すことができる。なお、他の構成は、基本的に図1や図13に示すスピンドルモータ10,30と同様となっている。
【0120】
さらに、図15のスピンドルモータ50のように、2.5インチ以下のHDDに搭載されるのに好ましい形状としても良い。この小型のスピンドルモータ50は、ハブ12部分の上部のカウンタプレート13付近を少し上方に延伸させて図15のようなボス形状部51とし、このボス形状部51の外径に溝52を設けて、ここにクランパ18の内径部をはめ込むことによって、2枚のディスク14,14を固定させるものである。なお、2枚のディスク14,14の間には、ディスク14,14の間隔を形成すると共にその間隔を維持するための円筒形の間隔保持部材53が設けられている。
【0121】
このスピンドルモータ50は、クランパ18の厚さを薄くし、かつディスク14,14を固定するねじがないのでハブ12部分の軸方向高さを短くできる。また、従来のものと同一の高さとした場合には、第1のラジアル動圧溝21を上方に移動することができるので、モーメント剛性を大きくすることが可能となる。また、ハブ12の根本部分54(従来のモータのスリーブとハブとの結合部分におけるハブ側)の厚さをディスク14の厚さと略同一としているため、ディスク14との一体回転がスムーズになると共にコア4、コイル巻線5のための収納空間Sを薄型にも拘わらず大きなものとすることができる。収納空間Sが大きくなるため、電流ロスを抑えることができる。
【0122】
上述の実施の形態の動圧軸受装置を使用した各スピンドルモータ10,30,40,50は、軸固定型の動圧軸受装置を採用しているため、いわゆる軸固定型のスピンドルモータとなっているが、このように軸固定型とすることで、相対回転部分(スリーブ11とシャフト2部分、ハブ12とスラスト板3部分)の垂直度を高精度に維持できるという利点を有する。すなわち、スピンドルモータでは、相対回転部分が2ヶ所あるが、垂直度を得るには、そららの部分を一体部材とするのが好ましい。このような要請に対して、軸固定型のスピンドルモータの場合、相対回転部分を、スラスト板3とシャフト2との一体部材と、ハブ12とスリーブ11の一体部材の両一体部材に分離でき、かつ組み込みが可能となる。これに対し、軸回転型のスピンドルモータの場合、シャフトとスラスト板とを一体部材とすると、ハブ部分を含めたロータ部分(シャフト、スラスト板、ハブが含まれる)を組み込めなくなる。このように、垂直度の精度を上げるためには、軸固定型のスピンドルモータが好ましい。
【0123】
また、上述の各スピンドルモータ10,30,40,50では、回転部品やシャフト2の垂直度を高精度に維持できるものとなっているので、安定した動圧力が得られ、寿命も長くなる。また、両一体部材は、共にはめ込み構造でないので、耐衝撃性や耐熱衝撃性も向上する。このような性質を一部犠牲にしても、従来以上の利点を有するスピンドルモータとすることができる。たとえば、上述の実施の形態では、シャフト2部分とスラスト板3部分を一体部材とすると共にスリーブ11部分とハブ12部分を一体部材とした動圧軸受装置として、2つの一体部材を有するスピンドルモータ10,30,40,50としているが、いずれか一方の一体部材のみを有する動圧軸受装置を備えるスピンドルモータとしても良い。その場合でも従来のスピンドルモータや動圧軸受装置に比べ、A−RRO等の面で有利な効果を有するものとなる。また、本発明で示したアルミシリコン合金をスリーブ11のみに使用し、スリーブ11とハブ12とを一体部材とせず、2部品で構成する場合も、各種の軸受け特性は向上する。
【0124】
また、上述した実施の形態では、いわゆる軸固定型のスピンドルモータについて説明したが、軸回転型のスピンドルモータのスリーブ部分に、またはスリーブ部分とベース部分を一体化し、その一体部材に、本発明の第2の一体部材の材料となるアルミシリコン合金を使用し、シャフトにSUS−300系を使用するようにしても良い。この場合、シャフトとハブとを一体部材とすると、さらに好ましいものとなる。
【0125】
また、第2の一体部材の線膨張係数を、0℃〜100℃で14×10−6プラス/マイナス5%以内としたが、第1の一体部材であるシャフト体の線膨張係数が17×10−6プラス/マイナス5%以内である場合、第2の一体部材の線膨張係数は、0℃〜100℃の温度範囲で、11×10−6〜15×10−6の範囲であれば、従来に比べ、相当な効果を有するものとなる。また、線膨張係数が0℃〜100℃の温度範囲で、17×10−6程度のものとしては、SUS−300系が好ましいが、他の金属部材としたり、表面処理によって表面のみこの値とした金属部材を採用しても良い。
【0126】
さらに、第2の一体部材を所定のアルミ合金とすることで、かなりの硬度と所定の線膨張係数を有するものとし、その線膨張係数をシャフト2の線膨張係数に対して、0℃〜100℃の温度範囲で、1×10−6〜7×10−6だけ小さくすれば、隙間が数ミクロンのものにおける軸受け剛性が安定したものとなる。また、上述の実施の形態では、第2の一体部材は、その線膨張係数が、温度が高くなるほど、その値が高くなる(10℃当たり、約0.15〜0.2×10−6の割合)ような性質を有するものとしたが、その高くなる割合を他の値としたり、温度が高くなるほどその変化値が大きくなるものとしても良い。また、第2の一体部材は、0℃〜100℃の範囲で、線膨張係数が一定値(約11×10−6〜15×10−6の範囲の特定値)となるものとしても良い。
【0127】
さらに、ハブ12の根本部分(従来のモータのスリーブとハブとの結合部分におけるハブ側)の厚さを、ディスク14の厚さと略同一としたり、1.3倍程度としているが、この関係は、載置されるディスク14の厚さの0.5倍以上で2倍以下の範囲であれば、ディスク14との一体回転がスムーズになると共にコア4、コイル巻線5のための収納空間Sを薄型にも拘わらず大きなものとすることができる。収納空間Sを大きくすることで、電流ロスも抑えることができる。
【0128】
また、シャフト2のスラスト板3部分の軸方向厚さを、0.1〜0.7mm、より好ましくは0.15〜0.35mmとするのが良い。このような構成とすると、スラスト軸受けの機能を十分満足させつつ、モータの軸方向長さを小さくでき、薄型化が可能になると共に電流ロスが大幅に減少する。また、上述の実施の形態では、第1の一体部材となるシャフト側を0℃〜100℃の範囲で、線膨張係数が一定となるものにしているが、ここで一定とは、全く変化しないもののみならず、アルミシリコン合金に比べ、その変化が5分の1程度以下のものを含むものとする。
【0129】
また、上述の実施の形態では、HDD用のスピンドルモータを示したが、光走査(スキャナ)装置用のモータ等、他の装置用のスピンドルモータとしても良い。そのような場合、スラスト板3やカウンタプレート13のいずれか一方または両者が不要となることがある。また、ハブ12に相当する部分がなくなる場合もあり得る。また、動圧軸受装置としては、油の代わりに、他の液体を利用したり、空気などの気体を利用するものとしても良い。
【0130】
【発明の効果】
本発明では、耐衝撃性を向上させ得、A−RRO(いわゆる軸の揺動運動)を小さくでき、温度変化に対する軸受け剛性の変化を小さくでき、しかも電流ロスを押さえることができると共に小型化、薄型化が可能となる動圧軸受装置を得ることができる。また、他の発明では、温度変化に対する軸受け剛性の変化を小さくでき、安定した性能を長期に渡って維持することができる動圧軸受装置を得ることができる。
【0131】
また、他の発明では、電流ロスを押さえることができると共にスラスト側の動圧溝の設置位置の自由度が増し、動圧効果を適切なものとすることができる動圧軸受装置を得ることができる。さらに、他の発明では、温度変化に対する軸受け剛性の変化を小さくでき、しかもシャフトがスリーブに衝突してしまうのを防止できる動圧軸受装置を得ることができる。
【0132】
さらに、他の発明では、A−RRO(いわゆる軸の揺動運動)を小さくできると共に、薄型化への対応を簡単に行うことができる動圧軸受装置の製造方法を得ることができる。すなわち、薄型化しても、ベースに対するシャフトの垂直度を維持できるスピンドルモータを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る動圧軸受装置と、その動圧軸受装置を使用したスピンドルモータの構造を示す断面図である。
【図2】図1の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータのカウンタプレートおよびその周辺の拡大図で、第1の一体部材を省略した図である。
【図3】図1の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータのスリーブ部分とハブ部分を一体化した一体部材の材料となるアルミシリコン合金を得るための製造方法のステップを示す図である。
【図4】図1の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータの動圧溝に使用される油の特性(温度に対する油の粘度の変化)を示すグラフである。
【図5】図1の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータや従来のスピンドルモータの各種性能を評価するための評価用の動圧軸受装置を示す図である。
【図6】図4に示す特性の油と図5に示す評価用の動圧軸受装置を使用して、シャフトの外径とスリーブの内径との隙間を0.5μm単位で変化させたときの軸受け特性(軸損トルクと離心率)を示すグラフで、温度が20℃のときのグラフである。
【図7】図4に示す特性の油と図5に示す評価用の動圧軸受装置を使用して、シャフトの外径とスリーブの内径との隙間を0.5μm単位で変化させたときの軸受け特性(軸損トルクと離心率)を示すグラフで、温度が40℃のときのグラフである。
【図8】図4に示す特性の油と図5に示す評価用の動圧軸受装置を使用して、シャフトの外径とスリーブの内径との隙間を0.5μm単位で変化させたときの軸受け特性(軸損トルクと離心率)を示すグラフで、温度が60℃のときのグラフである。
【図9】図4に示す特性の油と図5に示す評価用の動圧軸受装置を使用して、シャフトの外径とスリーブの内径との隙間を0.5μm単位で変化させたときの軸受け特性(軸損トルクと離心率)を示すグラフで、温度が80℃のときのグラフである。
【図10】図1の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータや従来のスピンドルモータのシャフトやスリーブに使用されている材質の組み合わせによる温度変化に対する隙間の変化を示す表である。
【図11】従来のスピンドルモータに採用されている材質の組み合わせによる温度に対する軸受け特性(軸損トルク、傾斜角、離心率、軸受け剛性)を示すグラフである。
【図12】図1に示す本実施の形態に係る動圧軸受装置を使用したスピンドルモータに採用されている材質の組み合わせによる温度に対する軸受け特性(軸損トルク、傾斜角、離心率、軸受け剛性)を示すグラフである。
【図13】本実施の形態に係る動圧軸受装置を使用したスピンドルモータの第1の変形例の構造を示す断面図である。
【図14】本実施の形態に係る動圧軸受装置を使用したスピンドルモータの第2の変形例の構造を示す断面図である。
【図15】本実施の形態に係る動圧軸受装置を使用したスピンドルモータの第3の変形例の構造を示す断面図である。
【図16】従来の軸固定型の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータの構造を示す断面図である。
【図17】従来の軸回転型の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ベース(ステータの一部)
2 シャフト(第1の一体部材の一部でシャフト体の一部)
3 スラスト板(第1の一体部材の一部でシャフト体の一部)
4 コア(ステータの一部)
5 コア巻線(ステータの一部)
10 スピンドルモータ
11 スリーブ(第2の一体部材の一部、ロータの一部)
12 ハブ(第2の一体部材の一部、ロータの一部)
12a ディスク載置用の段部
12c ディスク載置部
13 カウンタプレート(ロータの一部)
14 ディスク
15 ヨーク(ロータの一部)
16 磁石(ロータの一部)
21 第1のラジアル動圧溝(ラジアル軸受用の動圧溝)
22 第2のラジアル動圧溝(ラジアル軸受用の動圧溝)
23 第1のスラスト動圧溝
24 第2のスラスト動圧溝

Claims (10)

  1. ベースと、このベースに固定されるシャフトと、このシャフトの周りに回転可能に配置されるスリーブと、を有する動圧軸受装置において、
    上記シャフトの上記ベースとは反対側の端部に設けられ、上記シャフト部分の径より大径となる円形状のスラスト板と上記シャフトとをステンレス鋼にて一体形成してシャフト体とし、
    上記スリーブを、アルミニウムとシリコンを成分として有するアルミシリコン合金にて形成し、
    上記シャフト体の線膨張係数を17×10−6プラス/マイナス5%以内とし、
    上記スリーブの線膨張係数を0℃〜100℃の範囲の測定で14×10−6プラス/マイナス5%以内とし、
    上記スラスト板部分の軸方向厚さを0.15〜0.35mmとし、
    上記スリーブの硬度を上記シャフトの硬度より小さくし、よりやわらかな部材となる上記スリーブであって上記シャフトと対向する部分にラジアル軸受用の動圧溝を設け、
    上記スラスト板と対向する位置であってこのスラスト板を覆うと共に上記スリーブの中心孔を塞ぐようにして設けられたカウンタープレートの上記スラスト板と対向する位置に、スラスト軸受用の第1のスラスト動圧溝を設け、上記スラスト板の上記第1のスラスト動圧溝と対向する面とは反対となる面と対向する上記スリーブ部分に、第2のスラスト動圧溝を設けた、
    ことを特徴とする動圧軸受装置。
  2. シャフトと、このシャフトに相対回転可能に配置されるスリーブと、上記シャフトまたは上記スリーブのいずれか一方を固定するベースを有する動圧軸受装置において、
    上記シャフトをステンレス鋼にて形成し、
    上記スリーブを、アルミニウムとシリコンを成分として有するアルミシリコン合金にて形成し、
    上記シャフトの線膨張係数を17×10−6プラス/マイナス5%以内とし、
    上記スリーブの線膨張係数を0℃〜100℃の範囲の測定で11×10−6〜15×10−6とし、
    上記スリーブの硬度をシャフトの硬度より小さくし、よりやわらかな部材となる上記スリーブ側であって上記シャフトと対向する部分にラジアル軸受用の動圧溝を設けたことを特徴とする動圧軸受装置。
  3. シャフトと、このシャフトに相対回転可能に配置されるスリーブと、上記シャフトまたは上記スリーブのいずれか一方を固定するベースを有する動圧軸受装置において、
    上記スリーブを、Alが65〜69重量%、Siが28〜32重量%、Cuその他が1〜5重量%で構成されるアルミシリコン合金にて形成し、このスリーブの線膨張係数を0℃〜100℃の範囲の測定で上記シャフトの線膨張係数に対して1×10−6〜7×10−6だけ小さくし、上記スリーブの硬度を上記シャフトの硬度より小さくし、よりやわらかな部材となる上記スリーブ側であって上記シャフトと対向する部分にラジアル軸受用の動圧溝を設けたことを特徴とする動圧軸受装置。
  4. シャフトと、このシャフトに相対回転可能に配置されるスリーブと、上記シャフトまたは上記スリーブのいずれか一方を固定するベースを有する動圧軸受装置において、
    上記シャフトの上記ベースとは反対側の端部にスラスト板を設け、
    上記スリーブを、アルミニウムとシリコンを成分として有するアルミシリコン合金にて形成し、
    上記シャフトを、Crを10.5〜32重量%、Niを4〜13重量%含有した鉄系合金となるステンレス鋼で形成し、
    上記スリーブの上記シャフトと対向する部分である上記スリーブの内面に、ラジアル軸受用の動圧溝を設け、上記スラスト板と対向する位置であってこのスラスト板を覆うと共に上記スリーブの中心孔を塞ぐようにして設けられたカウンタープレートの上記スラスト板と対向する位置に、スラスト軸受用の第1のスラスト動圧溝を設け、上記スラスト板の上記第1のスラスト動圧溝と対向する面とは反対となる面と対向する上記スリーブ部分に、第2のスラスト動圧溝を設けたことを特徴とする動圧軸受装置。
  5. シャフトと、このシャフトに相対回転可能に配置されるスリーブと、上記シャフトまたは上記スリーブのいずれか一方を固定するベースを有する動圧軸受装置において、
    上記スリーブを、少なくとも0℃〜100℃の温度範囲で、温度が高くなるほど線膨張係数が大きくなる、アルミニウムとシリコンを成分として有するアルミシリコン合金にて形成し、上記シャフトの線膨張係数を上記スリーブの線膨張係数より大きくかつ上記温度範囲で一定とし、上記スリーブの硬度を上記シャフトの硬度より小さくし、よりやわらかな部材となる上記スリーブ側であって上記シャフトと対向する部分にラジアル軸受用の動圧溝を設けたことを特徴とする動圧軸受装置。
  6. 前記シャフトを前記ベースに固定すると共に前記スリーブを前記シャフトの周りに回転可能に配置したことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項記載の動圧軸受装置。
  7. 前記スリーブと一体回転するディスク保持用のハブを前記スリーブと共に前記アルミシリコン合金にて一体形成したことを特徴とする請求項6記載の動圧軸受装置。
  8. 前記シャフトの前記ベースとは反対側の端部に、前記シャフトの径より大径となるスラスト板を設け、このスラスト板と前記シャフトとをステンレス鋼にて一体形成してシャフト体とし、上記スラスト板部分の軸方向厚さを0.1〜0.7mmとしたことを特徴とする請求項6または7記載の動圧軸受装置。
  9. 前記スリーブと一体回転するロータを前記スリーブと共に前記アルミシリコン合金にて一体形成したことを特徴とする請求項6、7または8記載の動圧軸受装置。
  10. ベースと、このベースに固定されるシャフトと、このシャフトの周りに回転可能に配置されるスリーブと、を有する動圧軸受装置の製造方法において、
    上記シャフトと上記ベースの軸方向厚さを完成状態に比べ厚くしておき、上記シャフトを上記ベースに組み込んだ後に、上記シャフトの底側の一部と上記ベースの底側の一部とを、同時にかつ両者の切り取り面が一定の平面となるように切り取り、完成状態の厚さとしたことを特徴とする動圧軸受装置の製造方法。
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