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JP2004051691A - 水分散性カーボンブラックと該カーボンブラック水分散体 - Google Patents

水分散性カーボンブラックと該カーボンブラック水分散体 Download PDF

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JP2004051691A
JP2004051691A JP2002208122A JP2002208122A JP2004051691A JP 2004051691 A JP2004051691 A JP 2004051691A JP 2002208122 A JP2002208122 A JP 2002208122A JP 2002208122 A JP2002208122 A JP 2002208122A JP 2004051691 A JP2004051691 A JP 2004051691A
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dispersion
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JP2002208122A
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Hidenao Nakada
中田 英尚
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Tokai Carbon Co Ltd
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Tokai Carbon Co Ltd
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Abstract

【課題】水中への分散性能に優れた水分散性カーボンブラック、及びこの水分散性カーボンブラックを水中に分散させた、例えば、水性黒色インキ用として好適なカーボンブラック水分散体を提供する。
【解決手段】本発明の水分散性カーボンブラックは、NSAが 160〜200m/g 、IAが 140〜190mg/g 、NSA/IAが 0.96 〜1.20、CTABが 140〜170m/g 、DBP が100〜140cm/100g 、Tintが 120以上、アグリゲートのストークス相当径分布のモード径Dst が50〜70nm、同分布における半値幅ΔDst が60nm以下の特性を有し、表面に存在するカルボキシル基が 2.0〜5.0 μmol/mに酸化処理されたことを特徴とする。その水分散体はカーボンブラックの分散濃度が50wt% 以下の水分散体において、カーボンブラックアグロメレートの平均粒径Dupa50% が90〜150nm 、最大粒径Dupa99% が 200〜350nm 、カーボンブラックアグロメレートの半値幅ΔDupa(mode)とモード粒径Dupa(mode)との比ΔDupa(mode)/Dupa(mode)の値が1.20以下に分級処理されたことを特徴とする。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中への分散性能に優れ、例えば、水性黒色インキ用などの顔料として好適な水分散性カーボンブラック及びこの水分散性カーボンブラックを水中に分散させた高黒色度(高印字濃度)の水性黒色インキなどとして好適なカーボンブラック水分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラックは疎水性で水に対する濡れ性が低いために水中に高濃度で安定に分散させることは極めて困難である。これはカーボンブラック表面に存在する水分子との親和性が高い官能基が極めて少ないことに起因する。そこで、カーボンブラックを酸化改質して表面に親水性の官能基を形成する方法が古くから知られている。
【0003】
例えば、特開昭48−18186号公報にはカーボンブラックを次亜ハロゲン酸塩の水溶液で酸化処理する方法が、また、特開昭57−159856号公報にはカーボンブラックを低温酸化プラズマ処理する水分散性改質カーボンブラックの製造方法が開示されている。
【0004】
水分散性に優れたカーボンブラックは水性黒色インキ用顔料として有用されており、筆記具をはじめ、特に近年ではインクジェットプリンター用の記録液などとしても注目されている。水分散性カーボンブラックを用いた水性インキとして例えば、特開平8−3498号公報には水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキにおいて、該カーボンブラックが1.5mmol/g以上の表面活性水素含有量を有する水性顔料インキ、及び、水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキの製造方法において、(a) 酸性カーボンブラックを得る工程と、(b) 前記酸性カーボンブラックを水中で次亜ハロゲン酸塩で更に酸化する工程とを、包含する水性顔料インキの製造方法が提案されている。また、特開平8−319444号公報には吸収量100cm/100g以下のカーボンブラックを水性媒体中に微分散する工程;及び次亜ハロゲン酸塩を用いて該カーボンブラックを酸化する工程;を包含する水性顔料インキの製造方法が開示されている。
【0005】
上記の特開平8−3498号公報及び特開平8−319444号公報ではカーボンブラックを酸化して、表面に親水性の活性水素含有官能基を多く生成させることにより水分散性が良好で、長期間の分散安定性に優れた水性顔料インキを得るものである。しかしながら、カーボンブラックが水中に分散して安定な分散状態を維持するためにはカーボンブラック粒子表面と水分子との接触界面に存在する親水性の官能基量が大きく機能し、単にカーボンブラック単位重量当たりに存在する官能基量を規制するのみでは分散性の良否を的確に判断することは困難である。すなわち、カーボンブラックには比表面積が異なる多様な品種があり、例えばカーボンブラック1g 中に存在する官能基量が同じであっても、水中への分散性能に大きく影響する水分子との接触界面に存在するこれらの官能基量は、その比表面積によって異なるものとなる。
【0006】
そこで、本出願人は分散性能の良否を的確に判断する新たな指標としてカーボンブラック単位表面積当たりに存在する親水性の水素含有官能基量に着目して研究を進め、表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル基とヒドロキシル基の総和量が、単位表面積当たり3μeq/m以上である易水分散性カーボンブラック、及びその製造方法を開発、提案した(特開平11−148027号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カーボンブラックを水性黒色インキ用の顔料、例えばプリンターインキ用の顔料として使用するためには、容易に水中に分散し、かつ安定な分散状態を長期に亘って維持し得るばかりでなく、印字した際の紙定着濃度、印字濃度、吐出安定性、耐光性、保存安定性などのインキ性能に優れていることが要求される。一般に、カーボンブラックは黒色顔料として水へ分散させただけでは、例えば、インクジェット用インキ顔料として使用した場合に、吐出安定性の低下、顔料の沈降などの問題を生じることとなる。この原因は、カーボンブラックが、幅広い粒度分布を有する上に、大きな凝集体形成するという性質があるからと考えられている。
【0008】
そこで、本発明者は水性黒色インキの顔料として好適なカーボンブラックの性状について鋭意研究を進めた結果、カーボンブラックの基本特性である比表面積、粒子径、ストラクチャー、表面性状などを広範に特定するとともに、カーボンブラック粒子表面を酸化変性することにより、優れた水分散性能及びインキ性能を付与し得ることを確認した。また、このカーボンブラックを分級処理を行ったり、溶液中のイオン不純物質(還元塩、未中和塩、フミン酸塩など)を極力除去することにより、更に優れた水分散性能及びインキ性能を付与し得ることを確認した。
【0009】
本発明は、この知見に基づいて開発されたもので、その目的は水分散性能及びインキ性能に優れ、普通紙、専用紙、OHPシート、アート紙などに印字する場合に紙定着濃度、印字品位、吐出安定性、耐光性、保存安定性などが高く、水性インキ用の黒色顔料として好適な水分散性カーボンブラック、及び、この水分散性カーボンブラックを水中に分散させた水性黒色インキとして好適なカーボンブラック水分散体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の水分散性カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(NSA)が160〜200m/g、沃素吸着量(IA)が140〜190mg/g、N2 SA/IAが0.96〜1.20、CTAB比表面積が140〜170m/g、DBP吸収量が100〜140cm/100g、着色力(Tint)が120%以上、アグリゲートのストークス相当径分布のモード径Dstが50〜70nm、同分布における半値幅ΔDstが60nm以下の特性を有するカーボンブラックであって、表面に存在するカルボキシル基が2.0〜5.0μmol/mに酸化処理されたものであることを構成上の特徴とする。
【0011】
また、本発明のカーボンブラック水分散体は、上記の水分散性カーボンブラックを水中に分散させたカーボンブラック水分散体であって、カーボンブラックの分散濃度が50wt%以下の水分散体において、カーボンブラックアグロメレートの平均粒径Dupa50%が90〜150nm、最大粒径Dupa99%が200〜350nm、カーボンブラックアグロメレートの半値幅ΔDupa(mode) とモード粒径Dupa(mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) の値が1.20以下に分級処理されたことを構成上の特徴とする。また、前記の水分散体において、カーボンブラックの分散濃度を20wt%に調整した時の水分散体の電気伝導度が2mS/cm 未満であることがより好ましい態様となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で特定するカーボンブラック特性のうち窒素吸着比表面積(NSA)は、カーボンブラックを水中に分散させて水性黒色インキなどを作製する場合に、カーボンブラック粒子と水分子との接触界面〔液(水)−固(カーボンブラック)界面〕の面積に関与し、N2 SAが160m/g未満であると液−固界面の面積が小さくなるので分散性能が低下し、水性黒色インキなどの水分散体とした場合に沈殿残渣率が増加して濾過性や吐出安定性が著しく低下する。一方、200m/gを越えると印字した際の定着濃度が低くなり、また表面積が大きいため表面を均一に酸化することが難しくなる。沃素吸着量(IA)も窒素吸着比表面積(NSA)と同様に水中に分散した際の液−固界面の面積に影響し、IAが140mg/g未満であると濾過性や吐出安定性が低下し、190mg/gを越えると印字濃度が低下することとなる。
【0013】
そして、N2 SA/IAの値が0.96未満であるとカーボンブラックの揮発分(表面官能基)が少ないために、酸化剤水溶液との濡れ性が悪くなって充分に酸化処理することができず、水分散性が低下する。また、N2 SA/IAの値が1.20を越えるとカーボンブラック粒子表面に未燃分が多く存在することとなり、やはり酸化剤水溶液との濡れ性が低下して酸化が充分に行われず、水分散性が低下することになる。
【0014】
CTAB比表面積も窒素吸着比表面積(NSA)と同様に作用し、140m/g未満では液−固界面の面積が小さいために水分散性能が低くなり、水分散体とした場合に沈殿残渣率が増加し、濾過性や吐出安定性の低下を招くことになる。また、170m/gを越えると印字した際の定着濃度が低下し、液−固界面の面積が大きくなり、酸化処理を均一に行い難くなる。
【0015】
DBP吸収量はカーボンブラックのストラクチャーレベルを示すもので、水中に分散した状態におけるカーボンブラック粒子の凝集体の大きさに関連する特性である。この値が100cm/100g未満であると、カーボンブラック粒子の凝集体が小さいために、水分散体として水性黒色インキなどに使用する場合に、定着濃度が低くなり印字濃度が低下することになる。また、この値が140cm/100gを越えると、カーボンブラック粒子が凝集し易くなり、黒色度は向上するが、沈殿残渣率及び粘度が増加することとなる。
【0016】
着色力(Tint)は、カーボンブラックの粒子径、比表面積、ストラクチャー、更にはアグリゲート径などにも関連する特性であり、着色力(Tint)が120%未満であると粒度分布がブロード化して、水分散体における沈殿残渣率が増大し、濾過性が低下する。
【0017】
これらの特性に加えて、カーボンブラックの基本微粒子が複雑に、鎖状に融着結合したアグリゲートの大きさを表すストークス相当径分布のモード径Dstが、50〜70nmであることが必要である。Dstが50nm未満であると水分散状態でのカーボンブラック凝集体の粒径が小さくなって、黒色度が低下し、一方、70nmを越えると黒色度は向上するが沈殿残渣率が増加して濾過性が低下することになるためである。また、アグリゲートの半値幅ΔDstが60nmを越えるとアグリゲート分布がブロードになるため沈殿残渣率が増加し、濾過性が低下する。
【0018】
なお、これらの特性は下記の方法によって測定される。
(1)窒素吸着比表面積(NSA)、沃素吸着量(IA)、CTAB比表面積、DBP吸収量、着色力(Tint);JIS K6217(97)「ゴム用カーボンブラックの基本性能の試験法」
【0019】
(2)アグリゲートのストークスモード径Dst(nm)、半値幅ΔDst(nm);
JIS K6221(1982) 5「乾燥試料の作り方」に基づいて乾燥したカーボンブラック試料を少量の界面活性剤を含む20容量%エタノール水溶液と混合してカーボンブラック濃度0.1kg/m3 の分散液を作製し、これを超音波で十分に分散させて試料とする。ディスク・セントリフュージ装置(英国Joyes Lobel 社製)を100 s−1の回転数に設定し、スピン液(2重量%グリセリン水溶液、25℃)を0.015dm3 加えた後、0.001dm3 のバッファー液(20容量%エタノール水溶液、25℃)を注入する。次いで、温度25℃のカーボンブラック分散液0.0005dm3 を注射器で加えた後、遠心沈降を開始し、同時に記録計を作動させて図1に示す分布曲線(横軸;カーボンブラック分散液を注射器で加えてからの経過時間、縦軸;カーボンブラックの遠心沈降に伴い変化した特定点での吸光度)を作成する。この分布曲線より各時間Tを読み取り、次式(数1)に代入して各時間に対応するストークス相当径を算出する。
【0020】
【数1】
Figure 2004051691
【0021】
数1において、ηはスピン液の粘度(0.935×10−3Pa・s)、Nはディスク回転スピード(100 s−1) 、r1 はカーボンブラック分散液注入点の半径(0.0456m) 、rは吸光度測定点までの半径(0.0482m) 、ρCBはカーボンブラックの密度(kg/m) 、ρ1 はスピン液の密度(1.00178kg/m)である。
【0022】
このようにして得られたストークス相当径と吸光度の分布曲線(図2)における最大頻度のストークス相当径をアグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とする。また、最大頻度の1/2値における大小2点のストークス相当径の差をアグリゲートの半値幅ΔDst(nm)とする。
【0023】
本発明の水分散性カーボンブラックは、上記の特性を有するカーボンブラックの粒子表面に存在する官能基量としてカルボキシル基が2.0〜5.0μmol/mに酸化処理されたものであることを特徴としている。
【0024】
カーボンブラックを酸化処理すると酸化条件によって、カルボキシル基(−COOH)、ヒドロキシル基(−OH)、キノン基(>C=O)、などの種々の官能基が表面に生成する。これらの官能基のうち水分子との親和性が高く、水中で安定した分散状態を形成するためには、活性水素を含む酸性官能基であるカルボキシル基とヒドロキシル基の存在量が関係する。しかし、ヒドロキシル基の解離常数は8〜10で、カルボキシル基の2〜5に比べて非常に大きいので水分散性に関する官能基はカルボキシル基が支配的となる。また、キノン基は分子との親和性が小さくむしろ水中への分散性を阻害する要因となる。
【0025】
したがって、カーボンブラックの粒子表面に存在する官能基としてカルボキシル基の量を増加させれば水への分散性は、向上することとなる。一方、水への親水性が向上するとカーボンブラックの紙繊維間への浸透性も大きくなり、印字した際に黒色度が低下する傾向が生じる。また、カーボンブラックが水中に分散する過程及び水中に分散した状態においては、カーボンブラックと水分子との接触界面に存在する親水性の官能基量が重要な機能を発揮する。したがって、カーボンブラック単位重量当たりの官能基量では分散性能の良否を的確に評価することができない。そこで、水分散性と黒色度を同時に満足するにはカルボキシル基量として、カーボンブラックの窒素比表面積でカルボキシル基量を除した値が、2.0〜5.0μmol/mに設定する。
【0026】
なお、上記カルボキシル基の測定は、以下の方法によって測定される。
(3)カルボキシル基;0.976mol/dm3 炭酸水素ナトリウム0.5dm3 の中にカーボンブラック2〜5g を添加して6時間振盪した後、カーボンブラックを反応液から濾別し、濾液に0.05mol/dm3 塩酸水溶液を加えた後、pHが7.0になるまで0.05mol/dm3 水酸化ナトリウム水溶液にて中和滴定試験を行ってカルボキシル基を定量する。次に、この測定値をカーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA ;m/g)で除した値をカルボキシル基 (μmol/m) とする。
【0027】
酸化処理は湿式酸化が好ましく、酸化剤としては、例えば、ペルオキソ2酸、ペルオキソ2酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩、過燐酸塩などが好ましく用いられ、酸化剤の酸としては、硫酸、硼酸、炭酸、燐酸など、また、酸化剤の塩としては、アルカリ金属類としてナトリウム、カリウム、リチウム等やアンモニウム塩などが好適に用いられる。酸化処理は、これらの酸化剤水溶液中にカーボンブラックを入れて攪拌混合することにより行われ、酸化剤水溶液の濃度、カーボンブラックの添加量、反応温度、反応時間などを適宜に制御することにより行われる。
【0028】
酸化処理したカーボンブラックは、電気透析あるいは分離膜(逆浸透膜、限外濾過膜、ルーズR.O等)で還元塩を分離脱塩する。次いで、中和剤で中和する。中和剤としては、水酸化塩、炭酸水素塩、酢酸塩類などの無機系アルカリ水溶液、或いは、第4級アミン系水酸化物などの有機系アルカリ水溶液が好ましい。また、中和の度合いはpH4.0〜9.0がゲル化を防止するうえで好ましい。
【0029】
原料のカーボンブラックは粒度分布があり、上記した酸化処理によるカーボンブラックにおいても粒度分布を持っており、酸化が不十分なために水分散性に乏しいものも存在するうえ、沈降し易い粒度の大きなものも含まれている。そのため、酸化が不十分なものおよび粒度の大きなものを選択的に除去する操作が必須となる。選択除去する手段としては、分級処理があり、遠心分離による方法、機能性膜による分離等を施す。この結果、アグロメレート粒度分布がシャープで酸化処理により充分に酸化された水分散性に優れたカーボンブラックに改質されることとなる。
【0030】
本発明のカーボンブラック水分散体は、上記の特性及び酸化処理した水分散性カーボンブラックを所定の濃度、例えば50wt%以下の濃度で水中に分散させたものであって、水分散体中においてカーボンブラックアグロメレートの平均粒径Dupa50%が90〜150nm、最大粒径Dupa99%が200〜350nm、カーボンブラック粒子凝集体の半値幅ΔDupa(mode) とモード粒径Dupa(mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) の値が1.20以下に分級処理する。カーボンブラックの水分散濃度が50wt%を越えると分散体中においてカーボンブラックが再凝集し易く、長期に亘って安定分散を維持し難いからである。
【0031】
カーボンブラック水分散体中のカーボンブラックは、主にアグロメレートの状態で分散している。そして、カーボンブラックの水分散性能及び水分散体のインキ性能などはアグロメレートの大きさに影響されるところが少なくない。そこで、本発明のカーボンブラック水分散体は分散体中のカーボンブラックの粒子凝集体の大きさを示すアグロメレートの平均粒径Dupa50%が90〜150nm、最大粒径Dupa99%が200〜350nm、アグロメレートの半値幅ΔDupa(mode) とモード粒径Dupa(mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) の値が1.20以下に分級処理、設定する。
【0032】
アグロメレートの平均粒径Dupa50%の値が90nm未満であると、水性インキとした場合に紙繊維の隙間からカーボンブラックが通過し、紙表面に捕捉されるカーボンブラック量が減少するため黒色度が低下する。一方、150nmを越えると紙表面に捕捉されるカーボンブラック量が増加するため黒色度は向上するが、濾過性が悪化してインクノズルからの吐出安定性が低下し、沈殿残渣率が増大する。同様に、アグロメレートの最大粒径Dupa99%の値が200nm未満であると黒色度が低下し、350nmを越えると濾過性、吐出安定性の低下及び沈殿残渣率の増大が著しくなる。
【0033】
更に、アグロメレートの半値幅ΔDupa(mode) をアグロメレートのモード粒径Dupa(mode) で除した値が、1.20以下であるように分級処理にて調整することにより、濾過性、吐出安定性が向上し、沈殿残渣率が低下する。
【0034】
なお、Dupa50%(nm)、Dupa99%(nm)、Dupa(mode) 、ΔDupa(mode) は下記の方法によって測定される。
(4)カーボンブラックを水に分散して0.1〜0.5kg/m の分散液を調製し、ヘテロダインレーザードップラー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製、UPA mode1 9340)を用いて分散液にレーザー光を照射して、散乱光の周波数変調の度合いから分散液中のアグロメレートの粒径を測定する。分散液中のカーボンブラックはブラウン運動しており、ドップラー効果によって分散しているカーボンブラック凝集体の大きさにより散乱光の周波数が変調する。したがって、凝集体の大きさによるブラウン運動の激しさが異なることから、水中に分散している状態における凝集体の大きさ、すなわちアグロメレートの粒径を測定することができる。このようにして測定したアグロメレート粒径からその累積度数分布曲線を作成し、50%累積度数の値をアグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)、99%累積度数の値をアグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)とする。
また、測定したアグロメレート粒径からその頻度数分布曲線を作成し、この粒度分布曲線におけるモード径Dupa(mode) における頻度値の1/2に相当する大小2点間の粒子径差を半値幅ΔDupa(mode) (nm)とする。
【0035】
更に、分級したカーボンブラックの水分散体における分散濃度が20wt%に調整した時、電気伝導度で2mS/cm 未満とすることが好ましい。
分級したカーボンブラック水分散体には、未中和塩などが存在し、これらの塩が多量に存在すると塩析によりカーボンブラックが凝集沈殿を起こすので、速やかに脱塩精製を行う。脱塩精製の方法としては、限外濾過膜、逆浸透膜、電気透析膜等の機能膜により精製・濾過を行い、長期間の保存に耐えうるよう電気伝導度で2mS/cm 未満に調整される。
この水分散体における電気伝導度が2mS/cm 以上であると、長期保存期間中にカーボンブラックから溶出してくる塩(フミン酸塩など)の影響により、カーボンブラックの凝集が起こり、粘度増大や分散安定性が低下する場合がある。また、インキ媒体になった場合でも機械への腐食等の問題が生じる。
【0036】
(5)電気伝導度の測定;
電気伝導度をJIS K0130に準拠した方法で測定し、温度298Kにおける電気伝導度を東亜電波社製、CM−30Gにより測定する。
【0037】
本発明のカーボンブラック水分散体は水性黒色インキなどとして好適に使用することができ、例えばインクジェット用の記録液用インキなどとして用いる場合には、カーボンブラックの分散濃度を20wt%として、25℃での粘度10 mPa・s 以下、比重1.30以下、表面張力60mN/m以上、pH4〜9、沈殿残渣率40wt%未満などの性状を有していることが好ましい。
【0038】
すなわち、粘度が10 mPa・s を越えるとプリンタヘッドに詰まりを生じ易くインキの吐出安定性が低下し、比重が1.30を越えるとチキソトロピー化を起こす可能性が高い。表面張力が60mN/m未満ではノズル先端の濡れなどにより印字汚れが発生して印字品位が損なわれることになり、pHが4未満では粘度が上昇して分散安定性も悪化し、pHが9を越えると印字したときに耐水性が低下し、また加温による粘度上昇を招くことになる。また、水分散体の沈殿残渣率が40wt%を越えると分散安定性が著しく低下することとなるためである。
なお、本発明による水分散体におけるカーボンブラック含有量を4wt%として純水で希釈し、#6バーコータによりコピー紙(ゼロックス4024紙)にドローダウンした場合の黒色度(光濃度)1.40以上と十分な印字濃度を提供できる。
【0039】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
【0040】
実施例1〜2、比較例1〜4
表1に示すA−1からB−4の特性を有する6種類のカーボンブラックを用いて、カーボンブラックの単位表面積当たり0.20mmol/m2 のペルオキソ2硫酸ナトリウム(Na) が反応するように式1により秤量し、純水に溶解させ3dm3 とした水溶液とカーボンブラック100g を添加した反応溶液を、反応温度60℃、反応時間10時間、攪拌速度0.12s −1で酸化処理した。次いで、濾別したカーボンブラックを純水中に分散させて水酸化ナトリウム水溶液で中和した。中和後、カーボンブラックのスラリーを遠心分離器(日立工機製 CR22F)で回転数7.5×10−3s −1にて15分間処理した。その後、得られた上澄み液を限外濾過膜〔旭化成(株)製、AHP−1010、分画分子量 50000〕により残存する塩を精製分離し、カーボンブラック分散濃度を20wt%となるように水分を除去して、カーボンブラック水分散体を得た。
【0041】
式1
必要量=(ペルオキソ2硫酸ナトリウムのカーボンブラックの単位面積当たりの必要モル数mmol/m2 )×(カーボンブラックの比表面積m/g)×(ペルオキソ2硫酸ナトリウムの当量238.1g/mol )
に従って計算する。
例えば、A−1のカーボンブラックを処理するとすると、必要ペルオキソ2硫酸ナトリウムの重量はカーボンブラック100g 当たり
0.20(mmol/m) ×170(m/g)×100(g) ×238.1(g/mol) =809.54(g)
となる。
【0042】
【表1】
Figure 2004051691
【0043】
比較例5
実施例1で使用したカーボンブラックA−1をオゾン処理器中に添加し、オゾン発生器〔日本オゾン発生器(株)製 IOT−4A6、オゾン発生量 18g/h〕に100g を静置し、オゾン雰囲気下で1時間酸化処理を行った。酸化処理後、純水中に分散し、炭酸水素ナトリウムにて中和した。中和後、実施例1と同様にカーボンブラックのスラリーを遠心分離し、上澄み液を限外濾過膜にて分散体中に残存する塩を精製分離し、カーボンブラック分散濃度を20wt%となるように水分を除去して、カーボンブラック水分散体を得た。
【0044】
比較例6
実施例1で使用したカーボンブラックA−1に単位表面積当たり0.40mmol/m2 のペルオキソ2硫酸ナトリウム(Na) が反応するように処理した以外は、実施例1と同様に処理してカーボンブラック水分散体を得た。
【0045】
次に、これら水分散体のカーボンブラックアグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)、最大粒径Dupa99%(nm)、モード粒径Dupa(mode)(nm) および半値幅ΔDupa(mode)(nm) を測定した。また下記の方法により測定して、水分散性能およびインキ性能などを評価した。これらの結果を表2に示した。
【0046】
(6)加温安定性;
サンプルを密閉容器に入れ、70℃の温度に保持して1〜4週間各経過後の粘度を測定して加温安定性を比較した。なお、粘度は回転振動式粘度計〔山一電機(株)製、VM−100A−L 〕により測定した。
【0047】
(7)濾過性;
サンプル200g を90φの濾紙(アドバンテックTOYO製No.2)および膜孔径3μm 、0.8μm 、0.65μm 、0.45μm (富士フィルム(株)製)のフィルターを用いて2666.4Paの減圧下で濾過試験を行い、通過率を測定した。
【0048】
(8)沈殿残渣率;
サンプルを20000Gの重力加速度で30分間遠心分離処理を行った後の沈殿残渣量(M 1)と、遠心分離処理前のカーボンブラックの重量(M 0)との重量比(M 1/M 0)を沈殿残渣率とした。この値が低いほど分散安定性は良好になる。
【0049】
(9)印字濃度;
カーボンブラック水分散体をカーボンブラック分散濃度4wt%に希釈し、コピー紙(ゼロックス4024紙)に#6バーコータにより印字して、マクベス濃度計(コルモーゲン社製 RD−927 )を用いて光学濃度を測定した。
【0050】
(10)電気伝導度;JIS K0130により測定した。
【0051】
(11)pH;JIS Z8802により測定した。
【0052】
【表2】
Figure 2004051691
【0053】
表1、2の結果から、比較例1〜4において、カーボンブラックの窒素比表面積や沃素吸着量などの値が大きな比較例1では初期の粘度が高く、カーボンブラックの窒素比表面積や沃素吸着量が要件を満足しても窒素吸着比表面積と沃素吸着量との比が小さい比較例2では、70℃の加温状態においては時間の経過と伴に粘度が上昇することが認められる。また、カーボンブラックのアグリゲートが小粒子径の比較例3では黒色度性が劣り、大粒子径の比較例4では沈殿残渣率が多く分散安定性に劣ることが認められた。
【0054】
比較例7
遠心分離器による分級処理を行わない以外は実施例1と同様に処理してカーボンブラック水分散体を得た。
【0055】
比較例8
遠心分離器の回転数を1.2×10−2s −1とした以外は、実施例1と同様に処理してカーボンブラック水分散体を得た。
【0056】
比較例9
遠心分離器の回転数を6.0×10−3s −1として処理時間を60分とした以外は、実施例1と同様に処理してカーボンブラック水分散体を得た。
【0057】
比較例10
電気伝導度を3mS/cm 以上にした以外は、実施例1と同様に処理してカーボンブラック水分散体を得た結果を表3に示した。
【0058】
比較例11〜12
pHを3.4、9.0とした以外は、実施例1と同様に処理してカーボンブラック水分散体を得た結果を表3に示した。
【0059】
このように、分級処理の条件を変えた例を実施例1とともに表3に示した。
【0060】
【表3】
Figure 2004051691
【0061】
遠心分離器による分級操作を行わなかった比較例7は、酸化処理後に大粒部分が存在するため黒色度に優れるものの濾過性が著しく低下した。また、遠心分離器により分級が不十分な比較例8も濾過性が低下する。一方、遠心分離器による分級処理を過度に行うと、濾過性、沈殿残渣率などは非常に良好であるが、平均粒径や最大粒径が小さくなって、黒色度は低下することが分かる。
【0062】
比較例10は特定導電度が高いため、70℃の加温状態においては3週間でゲル化が生じ、また塩析を起こして粘度が著しく増加した。
【0063】
なお、比較例11や12で示すように、pHは望ましい範囲より低い場合には分散性、初期粘度、加温安定性などの特性が低下し、規定pHは望ましい範囲より高い場合には、伝導度の増加が著しくなるため、加温安定性が低下する。
【0064】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の、水分散性カーボンブラックによれば、特定した基本特性を有するカーボンブラックを特定の酸化剤条件で処理し、カーボンブラック表面のカルボキシル基量を特定した範囲内で酸化変性することにより、水中への分散性能に優れた水分散性カーボンブラックが提供される。また、この水分散性カーボンブラックを水中に分散させた本発明のカーボンブラック水分散体は、分散安定性や印字濃度などのインキ性能に優れており、例えば水性黒色インキなどとして好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Dstの測定時におけるカーボンブラック分散液を加えてからの経過時間とカーボンブラックの遠心沈降による吸光度の変化を示した分布曲線である。
【図2】Dstの測定時に得られるストークス相当径と吸光度の関係を示す分布曲線である。

Claims (3)

  1. 窒素吸着比表面積(NSA)が160〜200m/g、沃素吸着量(IA)が140〜190mg/g、N2 SA/IAが0.96〜1.20、CTAB比表面積が140〜170m/g、DBP吸収量が100〜140cm/100g、比着色力(Tint)が120%以上、アグリゲートのストークス相当径分布のモード径Dstが50〜70nm、同分布における半値幅ΔDstが60nm以下の特性を有するカーボンブラックであって、表面に存在するカルボキシル基が2.0〜5.0μmol/mに酸化処理されたものであることを特徴とする水分散性カーボンブラック。
  2. 請求項1記載の水分散性カーボンブラックを水中に分散させたカーボンブラック水分散体であって、カーボンブラックの分散濃度が50wt%以下の水分散体において、カーボンブラックアグロメレートの平均粒径Dupa50%が90〜150nm、最大粒径Dupa99%が200〜350nm、カーボンブラックアグロメレートの半値幅ΔDupa(mode) とモード粒径Dupa(mode) との比ΔDupa(mode) /Dupa(mode) の値が1.20以下に分級処理されたことを特徴とするカーボンブラック水分散体。
    但し、Dupa50%は、カーボンブラックの水分散体にレーザー光を照射して散乱光の周波数変調度合からアグロメレート粒径の累積度数分布曲線を作成し、同分布曲線における50% 累積度数の粒径値を示し、Dupa99%は、同分布曲線における99% 累積度数の粒径値を示す。また粒度分布の半値幅ΔDupa(mode) はアグロメレート粒径の頻度分布曲線におけるモード径Dupa(mode) における頻度値の1/2に相当する大小2点間の粒子径差を半値幅ΔDupa(mode)(nm) とする。
  3. カーボンブラックの分散濃度を20wt%に調整した時の水分散体の電気伝導度が2mS/cm 未満であることを特徴とする請求項2記載のカーボンブラック水分散体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006008879A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Tokai Carbon Co Ltd カーボンブラック黒色顔料とその水分散体
WO2023112472A1 (ja) * 2021-12-14 2023-06-22 東海カーボン株式会社 導電性塗料用カーボンブラック水性分散体および導電性塗料用カーボンブラック水性分散体の製造方法

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