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JP2004051485A - ケイ皮酸誘導体を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤 - Google Patents

ケイ皮酸誘導体を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤 Download PDF

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JP2004051485A
JP2004051485A JP2002195879A JP2002195879A JP2004051485A JP 2004051485 A JP2004051485 A JP 2004051485A JP 2002195879 A JP2002195879 A JP 2002195879A JP 2002195879 A JP2002195879 A JP 2002195879A JP 2004051485 A JP2004051485 A JP 2004051485A
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hydrogen atom
lower alkyl
alkyl group
group
cinnamic acid
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JP2002195879A
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Mitsuo Miyazawa
宮澤 三雄
Mitsuo Hiyakumachi
百町 満朗
Yutaka Takagi
高木 裕
Nobuo Kasahara
笠原 信男
Masahiro Matsui
松井 正弘
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YUTAKA PHARMACY KK
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WORLD ONE KK
YUTAKA PHARMACY KK
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Abstract

【課題】本発明は、各種雪腐病原菌に対し高い溶菌活性を有するケイ皮酸誘導体を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤、並びに該ケイ皮酸誘導体及び糸状菌フミコーラ グリセア バル グリセアM6834を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤を提供する。
【解決手段】一般式(I):
【化1】
Figure 2004051485

(式中、Rは水素原子又は−ORで示される基、Rは水素原子、低級アルキル基又は低級アルカノイル基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rは水素原子又は低級アルキル基を表す)
で示されるケイ皮酸誘導体又はその塩を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤等に関する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物病原菌類に対し強い溶菌作用を有するケイ皮酸誘導体を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤に関するものである。さらに、ケイ皮酸誘導体及び糸状菌フミコーラ グリセア バル グリセアM6834を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
雪腐病は、寒冷地の積雪地帯における芝草に特有の病害であり、これらの病原菌の被害を受けた芝草は、積雪下で菌が繁殖し、雪どけ直後茎葉が熱湯をかけたように水浸状淡緑色になって腐敗し、乾燥すると灰白色から淡桃色を呈し枯れる。原因となる病原菌の種類に応じ、雪腐褐色小粒菌核病、雪腐黒色小粒菌核病、雪腐大粒菌核病、紅色雪腐病、褐色雪腐病などの種類が知られている。
【0003】
これらの雪腐病菌の防除剤としては、従来より8−ヒドロキシキノリン銅などを有効成分とした有機銅剤、3’−イソプロポキシ−2−メチルベンズアニリドを主成分とするメブロニル剤、3−ヒドロキシ−5−メチルイソキサゾールカリウムを主成分とするヒドロキシイソキサゾール剤などが用いられてきた。しかし、これらの薬剤は、人体や動物に対する毒性が強く、環境汚染を引き起こすと共に、継続的に使用すると耐性菌が出現するという問題があった。
【0004】
これまで病害防除の方法は農薬に大きく依存していたが、近年環境保護の観点より農薬から脱却し、拮抗微生物を有効利用しようとする研究が盛んになってきている。
【0005】
例えば、特開平7−289242号公報には、芝草雪腐病の病原菌に対する拮抗菌として、Pseudomonas fluorescens A−11菌株が開示されている。
【0006】
また、国際公開WO96/28977号公報には、雪腐病原菌に対して拮抗作用を有する糸状菌として、フミコーラ グリセア バル グリセアM6834(Humicola grisea var. grisea M 6834)菌株(FERM BP−5452)が開示されている。しかし、このM6834菌株が産生していると考えられる、雪腐病の防除機構を発現する物質が抽出、単離されたという報告例はない。
【0007】
他方、ケイ皮酸誘導体が、各種雪腐病原菌に対する溶菌作用を有し、雪腐病の防除機構を有することはこれまで知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、各種雪腐病原菌に対し高い溶菌活性を有するケイ皮酸誘導体を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤を提供することを目的とする。さらに、該ケイ皮酸誘導体及び糸状菌フミコーラ グリセア バル グリセアM6834を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤をも提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らは、Humicola grisea var. grisea M 6834菌株が、植物病原菌の菌糸に対して何らかの拮抗作用を示す物質を産生し、この物質が各種雪腐病の防除機構に関与していると考えた。発明者らは、鋭意研究の結果、このM 6834菌株が産生する、各種雪腐病原菌に対し強い溶菌活性を有する物質を抽出、単離することに成功し本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、一般式(I):
【0011】
【化6】
Figure 2004051485
【0012】
(式中、Rは水素原子又は−ORで示される基、Rは水素原子、低級アルキル基又は低級アルカノイル基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rは水素原子又は低級アルキル基を表す)
で示されるケイ皮酸誘導体又はその塩を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の農業用抗菌・殺菌剤は、化合物(I)で示されるケイ皮酸誘導体を有効成分とするものである。
【0014】
化合物(I)において、R、R、R又はRで示される低級アルキルとしては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルが挙げられ、とりわけ炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルが挙げられる。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。
【0015】
化合物(I)において、Rで示される低級アルカノイルとしては、例えば、例えば、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルカノイルが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルカノイルが挙げられ、より好ましくは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、i−ブチリル、バレリル、ピバロイル等が挙げられる。
【0016】
好ましいRとしては、例えば、水素原子、−OH、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ等が挙げられ、より好ましくは、水素原子、−OHが挙げられる。
【0017】
好ましいRとしては、例えば、水素原子、メチル、エチル等が挙げられ、より好ましくは、水素原子が挙げられる。
【0018】
好ましいRとしては、例えば、水素原子、メチル、エチル等が挙げられ、より好ましくは、水素原子が挙げられる。
【0019】
好ましいRとしては、例えば、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル等が挙げられ、より好ましくは、水素原子が挙げられる。
【0020】
化合物(I)のうち好ましいものとしては、例えば、一般式(I−a):
【0021】
【化7】
Figure 2004051485
【0022】
(R又はRは、前記で定義される通りである)
で示されるケイ皮酸誘導体が挙げられる。
【0023】
化合物(I)うちより好ましいものとしては、例えば、ケイ皮酸、p−ヒドロキシケイ皮酸、p−ヒドロキシケイ皮酸メチルエステル、p−ヒドロキシケイ皮酸エチルエステル、p−メトキシケイ皮酸、p−エトキシケイ皮酸、p−アセチルオキシケイ皮酸、p−プロピオニルオキシケイ皮酸等が挙げられる。また、これらからなる群より選ばれる少なくとも1個のケイ皮酸誘導体が挙げられる。
【0024】
化合物(I)うち最も好ましいものとしては、ケイ皮酸、p−ヒドロキシケイ皮酸が挙げられる。
【0025】
化合物(I)は、二重結合の幾何異性体(シス体又はトランス体、或いはZ体又はE体)を有するが、化合物(I)は、それらのうちいずれか1個の異性体又はその混合物のいずれをも含むものである。
【0026】
化合物(I)は、遊離の形でも、その塩の形でも本発明の用途に用いることができる。塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0027】
化合物(I)又はその塩は、溶媒和物(例えば、水、エタノール等)であってもよい。
【0028】
化合物(I)は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0029】
【化8】
Figure 2004051485
【0030】
(R、R、R、及びRは前記で定義される通りである)
化合物(II)と化合物(III)を酢酸ナトリウム等の塩基の存在下で縮合させ、さらに必要に応じ常法によりエステル化することにより化合物(I)を製造できる。本製造方法は、例えば、J. R. Johnson, Org. React. 1, 210 (1942)等に準じて実施できる。
【0031】
化合物(I)は、病原菌(雪腐病菌: Fusarium nivale MAFF 101049菌株及びMicronectriella nivalis MAFF 305031菌株)に対し、公知の抗菌作用を有する8−ハイドロキシキノリン銅と同等又はそれ以上の溶菌活性を示すことから、化合物(I)は、農薬として用いることができる。特に、農業用抗菌・殺菌剤として用いることができる。
【0032】
本発明の農業用抗菌・殺菌剤は、例えば、芝草の雪腐病(例えば、雪腐褐色小粒菌核病、雪腐黒色小粒菌核病、雪腐大粒菌核病、紅色雪腐病、褐色雪腐病等)、斑点落葉病、葉腐病(例えば、ラージパッチ、ブラウンパッチ等)、疑似葉腐病(例えば、イエローパッチ、象の足跡、春ハゲ病)、フザリウム病、ダラースポット病、ピシウム病、赤焼病、カーブラリア葉枯病、ヘルミントスポリウム葉枯病、さび病、炭疽病;イネのいもち病、ごま葉枯病、苗立枯病;ムギ類の赤かび病、赤さび病、黄さび病、黒さび病、うどんこ病;甘薯の黒斑病等の植物病害に防除効果を有する。
【0033】
また、本発明の農業用抗菌・殺菌剤は、各種植物の病原菌を防除対象とすることができる。例えば、オーチャードグラス(雪腐病等)、ライグラス(雪腐病等)、ケンタッキーブルーグラス(雪腐病等)、フェスク(雪腐病等)、ベントグラス(葉腐病、雪腐病等)、セントオーガスチングラス(雪腐病等)、ブルーグラス(雪腐病等)、シバ(葉腐病、雪腐病等)、コウライシバ(雪腐病等)、バミューダグラス(カーブラリア葉枯病等)等の牧草用植物;ソラマメ(さび病等)、エンドウ(うどんこ病等)、ホウレンソウ(立枯病等)、セロリ(葉枯病等)、キュウリ(うどんこ病等)、イチゴ(うどんこ病等)、ホップ(灰色かび病等)、リンゴ(赤星病等)、ナシ(黒星病等)、モモ(黒星病等)、カキ(うどんこ病等)、バラ(うどんこ病等)等の農業用植物等が挙げられる。防除対象となる植物病原菌は、上記例示したものに限定されることはない。とりわけ、芝生等の牧草用植物における雪腐病、葉腐病及び疑似葉腐病の防除剤として極めて有効である。
【0034】
化合物(I)は、それ自体で農業用抗菌・殺菌剤として用いることができるが、公知の農薬補助剤を含んだ組成物の形態で農業用抗菌・殺菌剤として用いることが好ましい。その形態は、例えば、乳剤、水和剤、水溶剤、懸濁剤(フロアブル剤)、油剤等の液剤;粉剤、微粒剤、粒剤、錠剤、マイクロカプセル剤等の固形剤;くん煙剤;くん蒸剤等の形態の組成物が好適である。農薬用補助剤は、例えば、効果の向上、安定化、分散性の向上等の目的で使用することができ、具体的には、担体(希釈剤)、展着剤、乳化剤、湿展剤、分散剤、崩壊剤等を挙げることができる。
【0035】
液体担体としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノール、グリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチルナフタレン、シクロヘキサン、動植物油、脂肪酸等を挙げることができる。
【0036】
固体担体としては、例えば、クレー、カオリン、タルク、珪藻土、シリカ、炭酸カルシウム、モンモリナイト、ベントナイト、長石、石英、アルミナ、鋸屑、ニトロセルロース、でんぷん、アラビアゴム等を用いることができる。
【0037】
乳化剤、分散剤としては、通常の界面活性剤を使用することができ、例えば、高級アルコール硫酸ナトリウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の展着剤;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルスルホサクシネート等の湿展剤;カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の固着剤;リグニンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の崩壊剤を用いることができる。
【0038】
農業用抗菌・殺菌剤に配合される化合物(I)の含有量は、特に限定されず、農業用抗菌・殺菌剤の形態、使用の目的及び使用方法等の条件に応じて適宜選択することが可能である。例えば、粉剤、水和剤及び乳化剤等では、農業用抗菌・殺菌剤の全重量に対して、0.001〜20重量%程度、好ましくは0.03〜10重量%程度の範囲から選択することができる。
【0039】
農業用抗菌・殺菌剤の形態、製造方法、並びに使用方法は、公知の方法に基づき当業者が適宜選択可能である。
【0040】
本発明の農業用抗菌・殺菌剤は、有効成分である化合物(I)以外に、他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、昆虫生育調製剤、肥料、土壌改良剤等の有効成分を任意に配合してもよい。
【0041】
本発明の農業用抗菌・殺菌剤の施用対象及び施用形態は、特に限定されないが、例えば、茎葉処理(液剤散布、粉剤散布、煙霧等)、種子処理(浸漬、粉衣、塗抹等)、土壌処理(粉剤散布、灌注、混和、くん蒸等)、水面施用(粒剤散布等)等のいずれでもよい。例えば、茎葉散布の場合、1〜1000ppm程度の溶液を1アールあたり10〜100L程度の施用量で用いればよく、水面施用の場合は、通常、有効成分が1〜20%程度の粒剤では、1アールあたり0.1〜1kg程度であればよい。
【0042】
更に、本発明の農業用抗菌・殺菌剤は、農業用抗菌・殺菌剤として使用しうる濃度の範囲では、人体への悪影響を及ぼすことがなく低毒性であり、生分解性がよく安全性が高いという特長をも有する。
【0043】
本発明の農業用抗菌・殺菌剤は、また、化合物(I)で示されるケイ皮酸誘導体及びそれを産生する糸状菌であるフミコーラ グリセア バル グリセアM6834(Humicola grisea var. grisea M 6834)菌株(FERM BP−5452)を有効成分とするものである。
【0044】
糸状菌フミコーラ グリセア バル グリセアM6834(以下、「M6834」と呼ぶ)は、国際公開WO96/28977号公報に記載のように、動植物に対し無害であり、上述した雪腐病原菌をはじめとする他の植物病原菌にも高い拮抗作用を有し、低温に対しても耐性を有し、活動又は増殖が可能であって、土壌に対する定着性も好ましい。
【0045】
上記公報の記載に従い製造されるM6834を含有する雪腐病害防除微生物資材と化合物(I)で示されるケイ皮酸誘導体とを合わせたものを、対象植物に対して施用してもよい。また、該雪腐病害防除微生物資材と化合物(I)で示されるケイ皮酸誘導体とを、別々に対象植物に対して施用してもよい。ここで、化合物(I)で示されるケイ皮酸誘導体は、上述のようにそれ自体で用いても農業用補助剤を含んだ組成物の形態で用いてもよい。
【0046】
糸状菌M6834を含む雪腐病害防除微生物資材と化合物(I)の配合量、施用量は、特に限定はなく、糸状菌M6834については上記公報に記載の範囲で、また化合物(I)については上述に記載の範囲で、任意に選択することができる。この併用による病害防除効果は極めて大きい。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の具体例(実施例)を示すが、これにより本発明が限定されるものではない。
【0048】
実施例1(M6834菌株が産生する溶菌物質の同定)
米糠液体培地の長期低温培養ろ液中でM6834菌株が産生する溶菌物質を単離同定した。
(1)供試菌株
溶菌観察用として、Fusarium nivale (Fries) Cesati MAFF 101049菌株、Micronectriella nivalis (Schffnit) MAFF 305031菌株、及びHumicola grisea var.grisea M6834菌株を用いた。
(2)溶菌観察用の病原菌の調製
予め25℃で7日〜14日間ジャガイモグルコース寒天培地(PDA)上で伸長させた菌の菌層先端を、直径3mmのコルクボーラーで打ち抜いた。2%のグルコースを加えた素寒天培地(WA)上に7mm四方のセロファンを敷き、含菌寒天の半分がセロファンにかかるように置床した後、25℃で1〜2日間伸長させた。このとき、各菌の伸長は、セロファンから菌糸先端が出てしまわない程度であった。
(3)溶菌観察用の溶液の調製
溶菌試験を行う各画分の物質を、1%DMSOの滅菌水中に溶解させ濃度を3×10−4g/ml(=300ppm)とした。具体的には、各画分の物質をDMSOに溶かし、このDMSO溶液に滅菌水の加えて、滅菌水中のDMSOの濃度を1%とした。なお、1%DMSO水溶液は、溶菌には影響を与えない濃度である。また、セロファンを浮かべたマルチサンプルケースの1セルには、300μlの溶液を入れた。
(4)溶菌の観察方法
上記(3)で得られる溶液に、上記(2)で得られる菌糸を伸ばしておいたセロファンを浮かべ、3℃で48時間静置した。セロファンをスライドグラス上に取り出し、0.05%のコットンブルー(cotton blue)で菌糸を染色後、光学顕微鏡で観察した。菌糸の染色具合により溶菌の程度を評価した(図1参照)。すなわち、下記に示した3タイプの染色度合い(A、B及びC)を示す菌糸細胞を、合計が100となるように計測し、各割合を下記式にあてはめ溶菌率(%)として求めた。
【0049】
【式1】
Figure 2004051485
【0050】
濃青色の細胞(A):菌糸細胞質が健全で変化がなく、菌糸細胞が完全に染まっているもの。
【0051】
淡青色の細胞(B):菌糸細胞に変化が生じ菌糸細胞がうっすらとしか染まらないもの、又は細胞質凝固により細胞全体が完全に染まりきらないもの。
【0052】
無色の細胞(C):細胞質が完全に消失し、菌糸細胞が全く染まらないもの。
(5)M6834の培養
予め25℃で7日〜14日間ジャガイモグルコース寒天培地(PDA)上で伸長させたM6834の菌層先端を、7mmのコルクボーラーで打ち抜き、含菌寒天を米糠液体培地(米糠;30g、スキムミルク;20g、グルコース;10g、蒸留水;1L)300mlに10片接種した。25℃、120rpmで2日間回転培養した後、3℃で30日間以上静置培養した。
(6)長期低温培養ろ液からの溶菌活性化合物の抽出・分画(図2参照)
上記(5)で得られる長期低温培養液を吸引ろ過し、培養ろ液(50L)をn−BuOHで抽出した後、濃縮し濃縮物(53.84g)を得た。これに水を加えて懸濁させ、EtOAc、n−BuOHの順で再抽出し、EtOAc抽出物(12.42g)、n−BuOH抽出物(21.45g)、及び水抽出物(19.97g)を得た。各抽出物の溶菌活性を調べたところ、n−BuOH抽出物に溶菌活性が認められた。
【0053】
【表1】
Figure 2004051485
【0054】
n−BuOH抽出物を、CHCl−MeOH系の溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して、画分1〜4を得た。画分1(5.15g)に溶菌活性が認められた。
【0055】
【表2】
Figure 2004051485
【0056】
次に、画分1を、Hexane−EtOAc系の溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して、さらに画分5〜7を得た。画分6(1241mg)に溶菌活性が認められた。
【0057】
【表3】
Figure 2004051485
【0058】
次に、画分6を、Hexane−EtOAc系の溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して溶菌活性化合物を単離した。溶菌活性化合物のRf値は0.52(EtOAc=100)であった。
【0059】
【表4】
Figure 2004051485
【0060】
溶菌活性化合物の機器分析データ:
EI−MS m/z: 164, 147, 119, 91, 65, 63;
IRνmax cm−1:3240, 2926, 2854, 2353, 1697, 1604, 1516, 1274, 984, 666;
トランス体: H−NMR (500.00MHz, CDCl, TMS内部標準) δppm:6.25(1H, d, J=14.5Hz), 6.61(1H, brs), 6.85(2H, ddd, J=8.0, 3.0, 1.0Hz), 7.41(2H, ddd, J=8.0, 3.0, 1.0Hz), 7.51(1H, d, J=14.5Hz), 10.75(1H, brs);
シス体:H−NMR (500.00MHz, CDCl, TMS内部標準) δppm:5.81 (1H, d, J=9.1Hz), 6.52(1H, brs), 6.65(2H, ddd, J=8.0, 3.0, 1.0Hz), 6.75(2H, ddd, J=8.0, 3.0, 1.0Hz), 7.63(1H, d, J=9.1Hz), 11.10(1H, brs).
MS、IR及びNMRの機器分析により、上記溶菌活性化合物の同定を試みた。MSから親イオンとして164(ベースピーク)が検出された。その他のフラグメンテーションのパターン等からベンゼン環を有する安定な構造からなる化合物であると考えられた。IRスペクトラムからは、3400cm−1と1273cm−1にフェノール性水酸基の吸収がみられ、1700cm−1の吸収等から共役カルボニル基の存在が示唆された。また、2584cm−1にベンゼン環に共役したオレフィンに基づく吸収がみられた。NMRスペクトラムからは、5.81ppm及び6.25ppmのシグナルから、ベンゼン環に共役したオレフィンの2つのプロトンの存在が確認された。以上より、この化合物の化学構造はp−ヒドロキシケイ皮酸の幾何異性体の混合物であると決定された。単離したp−ヒドロキシケイ皮酸のトランス体とシス体の比は、NMRのオレフィンプロトンの積分比(トランス体:6.25ppm、シス体:5.81ppm)より、約5:1であった。
【0061】
実施例2(溶菌活性化合物と8−ヒドロキシキノリン銅との溶菌活性の比較)
(1)供試菌株
溶菌観察用として、紅色雪腐病を引き起こす、Fusarium nivale (Fries) Cesati MAFF 101049菌株、Micronectriella nivalis (Schffnit) MAFF 305031菌株を用いた。
(2)溶菌観察用の病原菌の調製
溶菌観察用の病原菌の調製は、実施例1の(2)に準じて行った。
(3)溶菌観察用の溶液の調製
溶菌活性化合物と8−ヒドロキシキノリン銅の水溶液の濃度調製は、実施例1の(3)に準じて行った。なお、p−ヒドロキシケイ皮酸(カタログNo. 12109−1A;関東化学(株)製)、ケイ皮酸(カタログNo. 035−03412;和光純薬工業(株)製)は、いずれもトランス体が98%以上の試薬を用いた。
(4)溶菌の観察方法
溶菌の観察方法は、実施例1の(4)に準じ、各物質の濃度を100ppm、300ppm及び500ppmに設定して行った。測定結果を表5及び表6に示す。
【0062】
【表5】
Figure 2004051485
【0063】
【表6】
Figure 2004051485
【0064】
表5よりF. nivale 101049に対し、p−ヒドロキシケイ皮酸及びケイ皮酸は8−ヒドロキシキノリン銅と同等又はそれ以上の溶菌活性を示すことが分かった。また、表6よりM. nivalis 303051に対し、p−ヒドロキシケイ皮酸及びケイ皮酸は8−ヒドロキシキノリン銅と同等又はそれ以上の溶菌活性を示すことが分かった。
【0065】
【発明の効果】
Humicola grisea var. grisea M6834菌株は雪腐病に対する拮抗作用を有する糸状菌であることは知られていたが、今回、M6834菌株が産生するp−ヒドロキシケイ皮酸が雪腐病菌に対する溶菌活性物質であることをつきとめた。
【0066】
本発明の農業用抗菌・殺菌剤であるp−ヒドロキシケイ皮酸、ケイ皮酸等は、8−ヒドロキシキノリン銅と同等又はそれ以上の各種雪腐病原菌に対する溶菌活性を有する。従って、p−ヒドロキシケイ皮酸は、農業用抗菌・殺菌剤、病害防除剤として用いることができる。特に、雪腐病の防除剤として有効に用いることができる。
【0067】
本発明の農業用抗菌・殺菌剤は低毒性であり、生分解性がよく安全性が高いという特長をも有する。
【0068】
更に、本発明は、化合物(I)で示されるケイ皮酸誘導体及び糸状菌M6834を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤をも提供し、高い病害防除効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】菌糸の細胞質を0.05%コットン ブルーで染色したときの光学顕微鏡による観察図である。
【図2】H.M6834の培養ろ液から溶菌活性化合物を単離精製する工程を示す図である。

Claims (7)

  1. 一般式(I):
    Figure 2004051485
    (式中、Rは水素原子又は−ORで示される基、Rは水素原子、低級アルキル基又は低級アルカノイル基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rは水素原子又は低級アルキル基を表す)
    で示されるケイ皮酸誘導体又はその塩を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤。
  2. 一般式(I−a):
    Figure 2004051485
    (式中、Rは水素原子又は−ORで示される基、Rは水素原子、低級アルキル基又は低級アルカノイル基、Rは水素原子又は低級アルキル基を表す)
    で示されるケイ皮酸誘導体又はその塩を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤。
  3. ケイ皮酸、p−ヒドロキシケイ皮酸、p−ヒドロキシケイ皮酸メチルエステル、p−ヒドロキシケイ皮酸エチルエステル、p−メトキシケイ皮酸、p−エトキシケイ皮酸、p−アセチルオキシケイ皮酸、p−プロピオニルオキシケイ皮酸からなる群より選ばれる少なくとも1個のケイ皮酸誘導体又はその塩を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤。
  4. 請求項1、2又は3に記載のケイ皮酸誘導体又はその塩を有効成分とする雪腐病の防除剤。
  5. 一般式(I):
    Figure 2004051485
    (式中、Rは水素原子又は−ORで示される基、Rは水素原子、低級アルキル基又は低級アルカノイル基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rは水素原子又は低級アルキル基を表す)
    で示されるケイ皮酸誘導体又はその塩、及び糸状菌フミコーラ グリセア バルグリセアM6834(Humicola grisea var. grisea M 6834)菌株(FERM
    BP−5452)を有効成分とする農業用抗菌・殺菌剤。
  6. 一般式(I):
    Figure 2004051485
    (式中、Rは水素原子又は−ORで示される基、Rは水素原子、低級アルキル基又は低級アルカノイル基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rは水素原子又は低級アルキル基を表す)
    で示されるケイ皮酸誘導体又はその塩を植物に適用することを特徴とする雪腐病の防除方法。
  7. 一般式(I):
    Figure 2004051485
    (式中、Rは水素原子又は−ORで示される基、Rは水素原子、低級アルキル基又は低級アルカノイル基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rは水素原子又は低級アルキル基を表す)
    で示されるケイ皮酸誘導体又はその塩、及び糸状菌フミコーラ グリセア バルグリセアM6834(Humicola grisea var. grisea M 6834)菌株(FERMBP−5452)を植物に適用することを特徴とする雪腐病の防除方法。
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