JP2004049133A - N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】N−ミリストイルトランスフェーゼ(NMT)活性を簡便かつ迅速に、しかも高感度で測定する方法、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性測定用キット、及びN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質のスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】下記の工程:
(1) N−ミリストイルトランスフェラーゼを含む測定試料、N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質、及びミリストイルCoAを混合して酵素反応を行い、N−ミリストイル化標識ペプチドを生成する工程;
(2) 前記反応で生成したN−ミリストイル化標識ペプチドを、固相担体に固定化した該ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体で捕捉する工程:
(3) 前記反応で捕捉したN−ミリストイル化標識ペプチドを、該標識物質を利用して検出する工程:
を含む、測定試料中のN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性の測定方法。
【選択図】 なし
【解決手段】下記の工程:
(1) N−ミリストイルトランスフェラーゼを含む測定試料、N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質、及びミリストイルCoAを混合して酵素反応を行い、N−ミリストイル化標識ペプチドを生成する工程;
(2) 前記反応で生成したN−ミリストイル化標識ペプチドを、固相担体に固定化した該ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体で捕捉する工程:
(3) 前記反応で捕捉したN−ミリストイル化標識ペプチドを、該標識物質を利用して検出する工程:
を含む、測定試料中のN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性の測定方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウイルス性タンパク質などのN−ミリストイル化を触媒するN−ミリストイルトランスフェラーゼの活性を簡便かつ迅速に高感度で測定する方法、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性測定用キット、及びN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質のスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1982年,仔ウシ心筋由来cAMP依存性プロテインキナーゼ触媒サブユニットの全一次構造配列決定途上、N−末端グリシン残基のα−NH2基に炭素数14の長鎖飽和脂肪酸であるミリスチン酸が酸アミド結合を介して共有結合していることがShojiらにより初めて見い出された(S.A., Carr, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,79, 6128−6131, 1982;S., Shoji, et al., Biochemistry, 22, 3702−3709, 1983)。以降、このタンパク質修飾はN−ミリストイル化と呼ばれ、現在までに多数の細胞性、癌原性、ウイルス性タンパク質、及び菌類のタンパク質においてN−ミリストイル化が報告されており(庄司省三ら、薬学雑誌、109、71−85、1989)、N−ミリストイル化の生物学的意義が注目されている。細胞性N−ミリストイル化タンパク質としては、Src family tyrosine kinaseであるpp60c−src (J.E., Buss, et al., J.Virol., 53, 7−12, 1985)、p56lck(G.A., Marchildon, et al., Proc.Natl.Acad.Sci., USA, 81, 7679−7682, 1984)及びその他のYes,Fyn,Lyn,Hck protein(M.D., Resh, Biochimica et Biophysica Acta, 1451, 1−16, 1999)、Serine/Threonine kinaseであるcAMP依存性プロテインキナーゼ触媒サブユニット(J.Zha, et al., Science, 290, 1761−1765, 2000)、Guanine nucleotide binding proteinのG proteinαsubunit(M.D.,Resh, Biochimica et Biophysica Acta, 1451, 1−16, 1999)、ADP−ribosylation factor群(H.A., Brown, et al., Cell, 75, 1137−1144, 1993)、細胞骨格タンパク質vinculin(S., Kellie, et al.,FEBS LETTERS, 213, 428−432, 1987)、膜及び細胞骨格結合タンパク質Myristoylated Alanine−Rich C Kinase(A.A., Aderem, et al., Nature, 332, 362−354, 1988)等がある。また、ウイルス性N−ミリストイル化タンパク質としては、ヒトレトロウイルスであるHuman T−cell leukemia virus type−1(HTLV−1)のp19gagタンパク質(Y., Ootuyama, et al., J.Cancer Ras., 76, 1132−1135, 1985)、Human immunodeficiency virus type−1(HIV−1)の前駆体タンパク質Pr55gag (F.M., Veronese, et al., J.Virol., 62, 795−801, 1988)、及び調節タンパク質であるp27nef(S., Shoji, et al., J.Biochem, 103, 747−749, 1988)等が報告されており、これら以外でもほぼ全てのレトロウイルスの構造タンパク質GagがN−ミリストイル化を受けている(A.M., Shultz, et al., J.Virol., 46, 355−361, 1983)。
【0003】
タンパク質のN−ミリストイル化はN−ミリストイルトランスフェラーゼ(N−Myristoyltransferase:NMT)により触媒され,タンパク質生合成においてまだ発生期のポリペプチド鎖がリボソームに結合している間に生じる翻訳時修飾である(I., Deichaite, et al., Mol.Cell.Biol., 8, 4295−4301, 1988;C., Wilcox, et al., Science, 238, 1275−1278, 1987)。NMTはミリストイル−CoAからミリストイル基を基質タンパク質のN−末端へN−転移する過程を触媒する酵素である。S.cerevisiae由来のNMT1pに関する酵素学的研究により、そのメカニズムは、ミリストイル−CoAがNMTに結合することによりペプチド基質がNMTに結合できるようになり、ミリスチン酸がペプチドN−末端のGlyに転移後、CoAが酵素から放出されるとN−ミリストイル化ペプチドが生成されるという、いわゆるBi−Bi反応過程を示すことが明らかとなった(D.A., Rudnick, et al., J.Biol.Chem., 265, 13370−13378, 1990)。
【0004】
以上のように、ミリストイル化されたタンパク質は種々の細胞内タンパク質、ウイルス構成タンパク質及び発ガン遺伝子産物等で見出されている。特に、前記したようにウイルス構成タンパク質にミリストイル基が多く発見されていることにより、ウイルスの機能にとってタンパク質のミリストイル化が必須であると推定されている。従って、ミリストイル化を触媒するNMT活性を阻害することが抗ウイルス剤の開発のための一つの戦略であると提唱されており(Shiraishi, T.,et al., Biochem.Biophys.Res.Commun., 282, 1201−1205, 2001;Furuishi, K.,et al., Biochem.Biophys.Res.Commun., 237, 504−511, 1997)、ウイルス性タンパク質がミリストイル化されることを阻止することのできる物質は抗ウイルス剤として有力な候補となる。また、ヒトNMTは胆嚢癌(Rajala, R.V., et al., Cancer, 88, 1992−1999, 2000)や直腸腺癌(Raju, R.V., et al., Exp.Cell.Res., 235, 145−154, 1997)においてその発現が増加するゆえ抗腫瘍剤の標的となることもまた示唆される。
さらに、抗HIV−1剤を開発することにおいて、ウイルス性タンパク質をターゲットとすると変異が起こってウイルスが耐性を獲得する問題がある。これに対して宿主側、つまり細胞性因子であるNMTをターゲットとすれば変異が起きにくく耐性のウイルスの出現がないので有利でもある。
従って、抗ウイルス剤や抗腫瘍剤の開発を進める上で、NMTの酵素学的な研究、及び多数の化合物を効率よくスクリーニングし評価することが可能なNMT活性測定法の開発が望まれる。
【0005】
NMT活性のためのin vitroアッセイとしては、これまで放射標識したミリストイル化ペプチド産物を同定するために逆相高速液体クロマトグラフィー(Towler, D.A., et al., Proc,Natl.Acad.Sci., USA, 84, 2708−2712, 1987)やP81ホスホセルロースペーパーマトリックス(King, M.J., et al., Anal.Biochem., 199, 149−153, 1991)を用いるアッセイ、酵素によって遊離される最初の産物であるCoAの測定に基づくアッセイ(Farazi, T.A., et al., Biochemistry, 39, 15807−15816, 2000;Rudnick, D.A., et al., J.Biol.Chem., 265, 13370−13378, 1990)、及び基質としてダンシルペプチドを用いる連続蛍光比色法によるアッセイ(Pennise, C.R., et al., Anal.Biochem., 300, 275−277, 2002)などが報告されている。
しかしながら、上記の方法は、放射性同位体を使用するための特別な設備が必要であったり、あるいは多段階の工程を経るために操作が煩雑であるなどの問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、N−ミリストイルトランスフェーゼ(NMT)活性を簡便かつ迅速に、しかも高感度で測定する方法、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性測定用キット、及びN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質のスクリーニング方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、N末端にGlyを含む特定構造のオリゴペプチドを基質とし、N−ミリストイルトランスフェラーゼ(NMT)及びミリストイルCoAを酵素として用いる酵素反応を行い、反応産物であるN−ミリストイル化標識ペプチドを、該ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識するモノクローナル抗体を固定化した固相担体を用いるELISA系によって測定すれば、NMT活性を簡便かつ迅速に、しかも高感度で測定できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明によれば、下記の工程:
(1) N−ミリストイルトランスフェラーゼを含む測定試料、N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質、及びミリストイルCoAを混合して酵素反応を行い、N−ミリストイル化標識ペプチドを生成する工程;
(2) 前記反応で生成したN−ミリストイル化標識ペプチドを、固相担体に固定化した該ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体で捕捉する工程:
(3) 前記反応で捕捉したN−ミリストイル化標識ペプチドを、該標識物質を利用して検出する工程:
を含む、測定試料中のN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性の測定方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、下記の試薬:
(1) ミリストイルCoA
(2) N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質
(3) ミリストイル化ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体
を含む、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性測定用キットが提供される。
【0010】
さらに、本発明によれば、下記の工程:
(1) N−ミリストイルトランスフェラーゼ、N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質、及びミリストイルCoAを用いてN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を阻害する候補物質の存在下で酵素反応を行い、N−ミリストイル化標識ペプチドを生成する工程;
(2) 前記反応で生成したN−ミリストイル化標識ペプチドを、固相担体に固定化した該ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体で捕捉する工程:
(3) 前記反応で捕捉したN−ミリストイル化標識ペプチドを、該標識物質を利用して検出する工程:
を含む、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質のスクリーニング方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
[1]N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性の測定方法
以下、本発明のN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性の測定方法の好ましい態様を図1に基づいて説明する。
【0012】
(1)N−ミリストイル化標識ペプチドの生成
まず、N−ミリストイルトランスフェラーゼを含有する測定試料にN末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質とミリストイルCoAを添加して一定時間酵素反応を行う。
この酵素反応によってミリストイル残基が上記ペプチド基質のN末端に導入され、N−ミリストイル化標識ペプチドが生成される。
【0013】
本発明において使用する、「N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質」のペプチドは、好ましくはアミノ酸数5〜30のオリゴペプチド、より好ましくはアミノ酸数5〜200のオリゴペプチド、特に好ましくは8から15のオリゴペプチドである。具体的にはGly−Asn−Ala−Ala−Ala−Ala−Arg−Arg(配列番号1)、Gly−Ser−Ser−Lys−Ser−Lys−Pro−Lys(配列番号2)、Gly−Ala−Arg−Ala−Ser−Val−Lys−Ser、(配列番号3)、及びGly−Gly−Lys−Trp−Ser−Lys−Ser−Ser(配列番号4)等が好適に用いられる。
【0014】
また、N−ミリストイルトランスフェラーゼのペプチド基質におけるコンセンサスなアミノ酸配列はMet−Gly−X−X−X−Ser/Thr−であり、開始Metは翻訳時にメチオニンアミノペプチダーゼによって除去され、N−末端にGly残基が露出される。N−ミリストイルトランスフェラーゼを介したN−ミルストイル化にはN−末端にGly残基が絶対的に要求され、他のアミノ酸ではN−ミルストイル化は起こらない。一般に、6位のSer又はThrが好ましく、7位や8位には塩基性アミノ酸が好ましい(表1参照)。
【0015】
【表1】
【0016】
従って、このようなN−ミリストイルトランスフェラーゼの基質特異性に関する情報を利用すれば、より選択的にN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を測定するのに用いるためのペプチド基質をデザインできる。
【0017】
また、N−ミリストイルトランスフェラーゼ阻害物質をスクリーニングする場合は、例えば現在までに報告のある下記表2、表3に示す細胞性N−ミリストイル化タンパク質、ウイルス性N−ミリストイル化タンパク質のN末端配列がペプチド基質として好適に使用されうる。例えば、HIV−1pr55gag,HIV−1p27nefのN末端配列をペプチド基質として用いた場合は抗HIV剤の候補物質を、またpp60c−src のN末端配列をペプチド基質として用いた場合は抗腫瘍剤の候補物質をスクリーニングすることができる。
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
ペプチド基質のC末端を標識する標識物質としては、酵素、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、又はアビジン等が挙げられる。具体的には、酵素としてはペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコ−ス−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、アルコール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ペニシリナーゼ、カタラーゼ、アポグルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、ルシフェラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ等が、蛍光物質としては、フルオレスセインイソチオシアネート(FITC)、フィコビリタンパク、希土類金属キレート、ダンシルクロライド、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(RITC)等が、化学発光物質としては、ルミノール、アクリジニウムエステル、アクリジニウムアシルスルホンアミド等が挙げられる。標識物質と抗体との結合法は、グルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法又は過ヨウ素酸法等の公知の方法を用いることができる。
【0021】
本発明において使用する「N−ミリストイルトランスフェラーゼ」としては、腫瘍細胞、ウイルス、真菌類などの天然由来のN−ミリストイルトランスフェラーゼであってもよく、大腸菌等で発現させた組換えN−ミリストイルトランスフェラーゼであってもよい。
【0022】
(2)N−ミリストイル化標識ペプチドの固相担体への捕捉
次に、前記(1)の反応で生成したN−ミリストイル化標識ペプチドを試料とし、これを該ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体を固定化した固相担体に添加し、一定時間インキュベートする。
上記抗体はポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいずれも用いることができる。また、これらの抗体のF(ab’)2、Fab’、又はFab等の活性断片等を用いてもよい。抗体のクラス、サブクラスは任意である。これらの抗体の調製は公知の方法にて行うことができる。例えば、ポリクローナル抗体はキーホールリンペットヘモシアニン(以下、KLHという)を結合させたN−Myr−Gly−KLHをアジュバントとともに動物に注射等により投与して免疫し、抗体価が上昇した後にその血液を採取し、抗血清を分離するか、抗血清より抗N−ミリストイルトランスフェラーゼ抗体を回収することにより製造される。
【0023】
また、モノクローナル抗体(以下、該N−ミリストイル化標識ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識するモノクローナル抗体を抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体という)の調製は、特開平11−080199号に記載の方法に従い、以下のようにして行えばよい。
まず、N−Myr−Gly抗原の調製を行なう。この抗原の調製には、水溶性活性エステル化試薬(DSP:4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムメチルサルフェート)を用いることができる。免疫抗原としては、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)を結合させたN−Myr−Gly−KLHを調製し、スクリーニング抗原としては、ウシ血清アルブミン(以下、BSAという)を結合させたN−Myr−Gly−BSAを調製する。免疫抗原としてN−Myr−Gly−KLHをマウスに対して免疫し、マウスをしゃ血致死させ、脾細胞を取得し、常法に従ってPEGを用いてマウスミエローマ細胞(P3U1)と細胞融合し、HAT培地によりハイブリドーマの選別を行う。得られるハイブリドーマを、N−Myr−Gly−BSA抗原により2度スクリーニングを行い、限界希釈法によりミリストイル化ペプチド中のN−Myr−Gly部分を認識するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得る。得られたハイブリドーマを常法により培養し、培養終了後、培地を濾過して培養上清を得る。この培養上清を限外濾過等によって濃縮し、硫安によりタンパク質を沈澱させて沈澱物を回収し、この沈澱を透析することにより脱塩して抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体を得る。また、別の製造方法として、上記ハイブリドーマをマウスの腹腔内に移植し、増殖させて、腹水を採取し、この腹水を上記と同じ方法によって濃縮、沈澱、透析等を行うことによって抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体を得ることもできる。
【0024】
上記抗体を固定化させる固相担体としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル類ポリマー、フッ素樹脂、架橋デキストラン、ポリサッカライド等の高分子化合物のほか、ガラス、金属、磁性粒子及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。また、固相担体の形状としては、例えば、トレイ状、球状、繊維状、棒状、盤状、容器状、セル、マイクロプレート、試験管等のいずれの形状でもよい。これらの中でも多数の検体を処理する際にはマイクロタイタープレートが好ましい。また、これら固相担体への抗体の固定化方法は任意であるが、物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法等を用いることができる。
【0025】
(3)N−ミリストイル化標識ペプチドの検出
次に、固相担体に捕捉されたN−ミリストイル化標識ペプチドを、該標識を利用して検出する。標識物質として蛍光物質を用いた場合は、単独で検出可能なシグナルをもたらすことができるが、標識物質として酵素、ビオチン及びアビジンは、単独では検出可能なシグナルをもたらすことができないため、さらに1種以上の他の物質と反応することにより検出可能なシグナルを生じさせる。例えば、酵素の場合には少なくとも基質が必要であり、酵素活性を測定する方法(比色法、蛍光法、生物発光法あるいは化学発光法等)に依存して種々の基質が用いられる。例えば酵素としてパーオキシダーゼを用い、その活性を比色法で測定する場合は、発色基質としてオルトフェニレンジアミン又はテトラメチルベンジジンを用いる。
また、標識物質がビオチンの場合には少なくともアビジンあるいは酵素修飾アビジンを反応させるのが一般的である。必要に応じてさらに該基質に依存する種々の発色物質が用いられる。
本発明においては特に、ビオチンを標識物質として用い、アビジンービオチニル化パーオキシダーゼ複合体(ABC;avidine−biotinylated peroxidase complex)を反応させる態様が好ましい。
【0026】
これとは別にN−ミリストイルトランスフェラーゼ標準試料を用いて上記と同じ方法によって検出のためのシグナル強度(例えば発色、蛍光、発光)を測定し、N−ミリストイルトランスフェラーゼ濃度に対してプロットして検量線を作成する。この検量線に基づき、上記の未知の測定試料を用いて測定したシグナル強度から測定試料中のN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を求めることができる。
【0027】
[2]N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性測定用キット
本発明のキットは、測定試料中のN−ミリストイルトランスフェラーゼと反応してN−ミリストイル化標識ペプチドを生成するためのミリストイルCoA、N末端にGlyを含みC末端を標識したペプチド基質、ならびに生成したN−ミリストイル化標識ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体を必須の試薬として含む。
本発明のキットには、該キットを効率的かつ簡便に利用できるようにするために、上記の試薬に種々の補助剤を含めてもよい。補助剤としては、例えば固相担体を洗浄するための洗浄剤、試薬が固体である場合にそれを溶解させるための溶解剤、標識物質として酵素を使用した場合に活性を測定するための基質、その反応停止剤などの免疫学的測定試薬のキットとして通常使用されるものが挙げられる。
【0028】
[3]N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質のスクリーニング方法
本発明のN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質のスクリーニング方法は、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を阻害する候補物質の存在下にN−ミリストイルトランスフェラーゼ、N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質、及びミリストイルCoAを用いる酵素反応を行い、前記[1]と同様にしてN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性の測定を行う。より具体的には、例えば、候補物質の存在下又は非存在下の両方の場合について上記酵素反応を行い、候補物質の非存在下で酵素反応行った場合に、検出のためのシグナル強度が低くなる被験物質を、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を阻害する物質の候補物質として選択する。
【0029】
候補物質としては任意の物質を使用することができる。候補物質の種類は特に限定されず、個々の低分子合成化合物でもよいし、天然物抽出物中に存在する化合物でもよく、あるいは化合物ライブラリー、ファージディスプレーライブラリー、コンビナトリアルライブラリーでもよい。候補物質は、好ましくは低分子化合物であり、低分子化合物の化合物ライブラリーが好ましい。化合物ライブラリーの構築は当業者に公知であり、また市販の化合物ライブラリーを使用することもできる。
上記した本発明によるスクリーニング法により得られるN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質も本発明の範囲内である。このようなN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質は、抗HIV剤を初めとする抗ウイルス剤、抗癌剤、抗真菌剤、免疫抑制剤などの各種薬剤の候補物質として有用である。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕 NMT−ELISA系によるNMT活性の測定
(1)実験方法
▲1▼ 材料
Saccharomyces cerevisiae NMT (酵母(y)NMT)発現プラスミド(pBB131)(Duronio, R.J., et al., Proc.Natl.Acad.Sci., USA 87, 1506−1510, 1990)はJ.I.Gordon博士(ワシントン大学医学部)より得た。
抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体(Furuishi, K., et al., Biochem Biophys.Res.Commun., 222, 344−351, 1996)を含む無血清培地は日水製薬株式会社より得た。
セリナール亜硫酸付加物は池田博士(Trii & Co., Ltd.)より得た。
▲2▼ 組み換えyNMTの調製
yNMT発現プラスミドであるPBB131(Duronio,R.J., et al., Proc.Natl.Acad.Sci., USA, 87, 1506−1510, 1990)によって大腸菌JM101形質転換させた。形質転換させた大腸菌JM101をイソプロピル1−チオ−β−ガラクトシドで処理し、yNMTを誘導し、ホモジナイズして酵素溶液として用いた(Takamune, N., et al., FEBS.Lett., 506, 81−84, 2001)。
【0031】
▲3▼ C末端ビオチン標識ペプチド基質の合成
ペプチド基質は1,2−ジアミノエタントリチル樹脂及びペプチドのN−末端アミノ酸残基としてN−α−tert−ブトキシカルボニルグリシンを用いるFmocケミストリーに従い、自動ペプチド合成機を用いて合成した。
ペプチドのC末端アミノ酸を樹脂から除去した後、5−(N−スクシンイミジロキシカルボニル)ペンチルD−ビオチンアミドを用いて1,2−ジアミノエタンを介しビオチン標識した。ビオチン標識ペプチドの側鎖の全ての保護基をトルフルオロ酢酸と反応させることによって除去した。合成ペプチドはマトリックス支援イオン化―飛行時間型質量分析(matrix−assisted laser desorption ionization−time−of flight mass spectrometry;MALDI−TOF MS)(Bruker Franzen Analytik GmbH, Bremen, Germany)によって同定した。
【0032】
▲4▼ 酵素反応
50mM TAPS緩衝液(pH8.0) 150μl に所定濃度のC末端ビオチン標識ペプチド基質(NH2−Gly−Asn−Ala−Ala−Ala−Ala−Arg−Arg−Biotin)50μl、0.5mMミリスチルCoA100μl、及び上記酵素溶液50μlを加えた。混合物を水浴で37℃にて所定時間(0,10,20,30分間)インキュベートすることにより酵素反応を行い、0.3 N H2SO4 50μlを加えることで酵素反応を停止した。反応混合物を15,000 rpm,5分間遠心し、その上清をELISA試料とした。
【0033】
▲5▼ NMT−ELISA
図1はNMT−ELISAの模式図を示す。本NMT−ELISA系において酵素反応から生じた反応混合物中のN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドを検出することができるかどうかを調べた。
Nunc−ImmunoTM plate MaxisorpTM Surfaceの各ウェルを、抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体を含む無血清培養上清と4℃にて一晩インキュベートすることによって抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体を固定化した。次に、溶液を捨て、プレートの各ウェルを洗浄バッファー(0.1%ポリエチレンソルビタンモノオレート)で3回洗浄した。洗浄後、上記で調製したELISA試料100μlを、抗体を固定化したウェルに加え、2時間37℃にてインキュベートした。プレートの各ウェルを洗浄バッファーで3回洗浄し、Tris−緩衝化生理食塩水(TBS)(10mM Tris−HCl (pH7.5)及び0.5M NaCl)ですすぎ、次いで100μlのストレプト−ビオチン−パーオキシダーゼ複合体(ABC)溶液(和光純薬工業(株)製)を加えた。37℃にて30分間インキュベートした後、プレートの各ウェルを洗浄バッファーで3回洗浄し水にて2回すすいだ。N−ミリストル化ビオチン標識ペプチドに結合したパーオキシダーゼの測定は基質溶液(0.38mg/mlの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン2塩酸塩・2水和物(TMBZ・HCl)とインキュベーションした後に行った。反応は100μlの0.3NH2SO4の添加によって終結させた。主波長450 nm,参照波長630 nmの吸光度(λ450−λ630)をVmax kinetic Sicroplate reader(Molecular Devices, USA)にて測定した。
【0034】
(2)実験結果
図2Aは、N−ミリストイル化C末端ビオチン標識ペプチド(NH2−Myr−Gly−Asn−Ala−Ala−Ala−Ala−Arg−Arg−Biotin)又はC末端ビオチン標識ペプチド(NH2−Gly−Asn−Ala−Ala−Ala−Ala−Arg−Arg−Biotin)をそれぞれ合成し、上記NMT−ELISAで測定した結果を示す。
図2Aに示すように、ミリストイル化されていないペプチドに比べてN−ミリストイル化ペプチドは、吸光度(λ450−λ630)が顕著に増加した。この結果は、Nunc−ImmunoTM plate MaxisorpTM上に固定化した抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体はN−ミリストイル化ペプチドを特異的に認識し捕捉することができることを示す。
図2Bは、ビオチン標識ペプチド基質の濃度と吸光度との関係を示す。図2Bに示すように、30分間のインキュベーション後の試料の吸光度の増加はビオチン標識ペプチド基質の濃度に依存していた。一方、0分間のインキュベーション後の試料の吸光度は基質濃度に関わらず一定であった。
図2Cは、インキュベーション時間と吸光度との関係(反応混合物中におけるN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドの経時変化)を示す。図2Cに示すように、吸光度はインキュベーション時間に比例していることがわかった。
図2Dは、酵素溶液のタンパク濃度と吸光度との関係を示す。図2Dに示すように、吸光度は酵素溶液のタンパク濃度に比例することもまた観察された。
図2Eは合成N−ミリストイル化ペプチドの濃度と相関係数0.993を有する吸光度との間の直接的な関係を示す。これは、本NMT−ELISA系がNMTの活性の定量的な分析に用いられることを示すものである。本NMT−ELISA系を用いて、ビオチン標識Gly−Asn−Ala−Ala−Ala−Ala−Arg−Argのミカエリス係数(Km)をラインウィーバーブルクプロットから」算出した。Kmの値は76.6μMであり、それは先の報告(Duronio,R.J., et al., Proc.Natl.Acad.Sci., USA, 87, 1506−1510, 1990)の65.8μMよりわずかに高かった。
【0035】
(実施例2) (各種ビオチン標識ペプチドの合成と分析・確認およびNMT−ELISA)
(1)実験方法
▲1▼ C末端ビオチン標識ペプチド基質の合成
N−末端にBoc−Glyを用いる以外はFmoc法に従い、Peptide Synthesizer 431Aを用いて合成後、Cleaving solutionを用いて樹脂から保護基が結合した状態でペプチドを切り出し、Boc−GN(Trt)AAAAR(Pbf)R(Pbf)−DAE、Boc−GS(tBu)S(tBu)K(Boc)S(tBu)K(Boc)PK(Boc)−DAE、Boc−GAR(Pbf)AS(tBu)VLS(tBu)−DAE、Boc−GGK(Boc)W(Boc)S(tBu)K(Boc)S(tBu)S(tBu)−DAEを得た。
【0036】
それぞれのペプチド0.1 mmolを1 ml DMSOに溶解し、0.13 mmolの Biotin−(AC5)2−COOH、BOP、HOBtを0.5 mlのDMSOに溶解してペプチドの方へ加え、よく混合した後、TEAでpH 8に調整し、室温で6時間反応させた。反応後,冷水を加えてペプチドを27,700×g,4 ℃で30分間遠心した。得られた沈殿を80 % CH3CNに溶解し、凍結乾燥した。この凍結乾燥品をTFA、m−Cresol、Thioanisol、EDT、TMBSを用いて脱保護し、冷エーテルを加え3,000 rpm,4℃で10分間遠心し、沈殿を再度TFAに溶解し、冷エーテルで洗浄した後、80% CH3CNに溶解し、凍結乾燥を行い、各種ビオチン標識ペプチドを得た。
【0037】
▲2▼ HPLC/MALDI−TOF MS
得られた凍結乾燥品を10 % CH3CNに溶解し、HPLCにより10〜100 % CH3CN contg. 0.1 %TFA,15分の濃度勾配により分離分析し、目的とするビオチン標識ペプチドのピークをMALDI−TOF MSにより確認後(図3)、精製したビオチン標識ペプチドを凍結乾燥し、4 ℃で保存した。
【0038】
▲3▼ 酵素反応
各種ビオチン標識ペプチド基質を50 mM TAPS緩衝液(pH 8.0)に溶解し、0.8 mM基質溶液とした。また、Myr−CoAも同様に50 mM TAPS緩衝液(pH 8.0)に溶解し、0.5 mM Myr−CoA溶液とした。基質溶液100 μlに50 mM TAPS緩衝液(pH 8.0) 150μl、0.5 mM Myr−CoA溶液100μl、yeast NMT及びhuman NMT−1粗酵素溶液50μlを加えて混合した後、37℃で0,10,20,30分間インキュベートすることにより酵素反応を行った。0.3 N H2SO4 50μl加えることで酵素反応を停止し、15,000 rpm,5分間遠心し、その上清をELISA試料とした。
【0039】
▲4▼ NMT−ELISA
Nunc−ImmunoTM plate MaxisorpTMを精製水で2回洗浄し、抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体の無血清培養上清100μlを各ウェルに加え、プレートをプラスチックフィルムで覆い、4 ℃で一晩インキュベートすることによって抗体を固定化した。固定化後、抗体を除去し、洗浄バッファーで一回、水で一回洗浄を行い、ELISA試料及び標準品としてMyr−GNAAAARR−DAE−(AC5)2−Biotinを100 μlずつウェルに加え,フィルムを被せ、37℃で2時間インキュベートした。試料溶液を除去し、プレートを先に述べた洗浄操作を3回繰り返すことで洗浄を行った。次にTBSbufferでABC 溶液.を100倍希釈したもの100μlを各ウェルに加え、フィルムで被い室温で30分間インキュベートした。ABC 溶液を除去し,3回の洗浄操作を行い、発色液100μlを各ウェルに加え発色を開始し、反応停止液100μlを各ウェルに加え、反応を停止させた。オートリーダーにより主波長450 nm,参照波長630 nmの吸光度(λ450−λ630)を測定した。
【0040】
(2)実験結果
合成したGNAAAARR−DAE−(AC5)2−Biotin(ペプチド1)、GSSKSKPK−DAE−(AC5)2−Biotin(ペプチド2)、GARASVLS−DAE−(AC5)2−Biotin (ペプチド3)、GGKWSKSS−DAE−(AC5)2−Biotin(ペプチド4)を基質として酵素反応を行い、得られた各N−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドのHPLC/MALDI−TOF MSによる分析結果をそれぞれ図4〜図7に示す。
また、標準基質であるMyr−GNAAAARR−DAE−(AC5)2−BiotinのELISAによる分析結果を図8に示す。
【0041】
(実施例3) NMT−ELISA系によるNMT活性阻害物質のスクリーニング
NMT基質に関する共通配列はMet−Gly−X−X−X−Ser/Thr−であり、最初のMetはメチオニンアミノペプチダーゼによって翻訳中に除去されている。2位のGlyは絶対的に要求され、6位のSer又ThrはNMT活性にとって好ましい(Duronio,R.J., et al., Proc.Natl.Acad.Sci., USA, 87, 1506−1510, 1990)。yNMTとミリストイルCoA及びペプチド基質アナログとの三元複合体の構造分析ではyNMTの6位のSer/Thrに結合部位の存在を示した。それゆえ、いくつかのセリナール誘導体(Takamune,N., et al., IUBMB life, 48, 311−315, 1999) を設計・合成し、そのyNMT阻害活性を前記NMT−ELISA系を用いて実施例1と同様にして調べた。表4に示すように、誘導体のうちの一つ、セリナール亜硫酸付加物が強くyNMT活性を阻害した(IC50=4.9μM)。このことによって本発明のNMT−ELISA系が抗菌剤としてNMT阻害物質を探索するのに役立つことが証明された。
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、ウイルス性タンパク質などのN−ミリストイル化を触媒するN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を簡便かつ迅速に、しかも高感度で測定することができるアッセイ系が提供される。本アッセイ系は、ハイスループット、非放射性という利点を備えているので多くの試料を一度に短時間で測定できる。また、本アッセイ系を用いることによってNMT活性阻害物質を探索することができ、ヒト癌、腫瘍、真菌感染症の治療薬の開発に応用できるほか、細胞内のNMTの機構解明にも有用である。
【0044】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のNMT−ELISAの模式図を示す。
【図2】本発明のNMT−ELISAによるN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドの特異的検出を示す。
図2Aは、N−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドとビオチン標識ペプチドをNMT−ELISAで測定した結果を示す。
図2Bは、ビオチン標識ペプチド基質の濃度と吸光度との関係を示す。
図2Cは、インキュベーション時間と吸光度との関係(反応混合物中におけるN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドの経時変化)を示す。
図2Dは、酵素溶液のタンパク濃度と吸光度との関係を示す。
図2Eは、N−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドの濃度と吸光度との間の直線関係を示す。
【図3】各種ビオチン標識ペプチドのピークをMALDI−TOF MSによる分析により確認した結果を示す。
【図4】GNAAAARR−DAE−(AC5)2−Biotin(ペプチド1)を基質として酵素反応を行うことによって得られたN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドのHPLC/MALDI−TOF MSによる分析結果を示す。
【図5】GSSKSKPK−DAE−(AC5)2−Biotin(ペプチド2)を基質として酵素反応を行うことによって得られたN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドのHPLC/MALDI−TOF MSによる分析結果を示す。
【図6】GARASVLS−DAE−(AC5)2−Biotin (ペプチド3)を基質として酵素反応を行うことによって得られたN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドのHPLC/MALDI−TOF MSによる分析結果を示す。
【図7】GGKWSKSS−DAE−(AC5)2−Biotin(ペプチド4)を基質として酵素反応を行うことによって得られたN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドのHPLC/MALDI−TOF MSによる分析結果を示す。
【図8】標準基質であるMyr−GNAAAARR−DAE−(AC5)2−BiotinのELISAによる分析結果を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウイルス性タンパク質などのN−ミリストイル化を触媒するN−ミリストイルトランスフェラーゼの活性を簡便かつ迅速に高感度で測定する方法、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性測定用キット、及びN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質のスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1982年,仔ウシ心筋由来cAMP依存性プロテインキナーゼ触媒サブユニットの全一次構造配列決定途上、N−末端グリシン残基のα−NH2基に炭素数14の長鎖飽和脂肪酸であるミリスチン酸が酸アミド結合を介して共有結合していることがShojiらにより初めて見い出された(S.A., Carr, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,79, 6128−6131, 1982;S., Shoji, et al., Biochemistry, 22, 3702−3709, 1983)。以降、このタンパク質修飾はN−ミリストイル化と呼ばれ、現在までに多数の細胞性、癌原性、ウイルス性タンパク質、及び菌類のタンパク質においてN−ミリストイル化が報告されており(庄司省三ら、薬学雑誌、109、71−85、1989)、N−ミリストイル化の生物学的意義が注目されている。細胞性N−ミリストイル化タンパク質としては、Src family tyrosine kinaseであるpp60c−src (J.E., Buss, et al., J.Virol., 53, 7−12, 1985)、p56lck(G.A., Marchildon, et al., Proc.Natl.Acad.Sci., USA, 81, 7679−7682, 1984)及びその他のYes,Fyn,Lyn,Hck protein(M.D., Resh, Biochimica et Biophysica Acta, 1451, 1−16, 1999)、Serine/Threonine kinaseであるcAMP依存性プロテインキナーゼ触媒サブユニット(J.Zha, et al., Science, 290, 1761−1765, 2000)、Guanine nucleotide binding proteinのG proteinαsubunit(M.D.,Resh, Biochimica et Biophysica Acta, 1451, 1−16, 1999)、ADP−ribosylation factor群(H.A., Brown, et al., Cell, 75, 1137−1144, 1993)、細胞骨格タンパク質vinculin(S., Kellie, et al.,FEBS LETTERS, 213, 428−432, 1987)、膜及び細胞骨格結合タンパク質Myristoylated Alanine−Rich C Kinase(A.A., Aderem, et al., Nature, 332, 362−354, 1988)等がある。また、ウイルス性N−ミリストイル化タンパク質としては、ヒトレトロウイルスであるHuman T−cell leukemia virus type−1(HTLV−1)のp19gagタンパク質(Y., Ootuyama, et al., J.Cancer Ras., 76, 1132−1135, 1985)、Human immunodeficiency virus type−1(HIV−1)の前駆体タンパク質Pr55gag (F.M., Veronese, et al., J.Virol., 62, 795−801, 1988)、及び調節タンパク質であるp27nef(S., Shoji, et al., J.Biochem, 103, 747−749, 1988)等が報告されており、これら以外でもほぼ全てのレトロウイルスの構造タンパク質GagがN−ミリストイル化を受けている(A.M., Shultz, et al., J.Virol., 46, 355−361, 1983)。
【0003】
タンパク質のN−ミリストイル化はN−ミリストイルトランスフェラーゼ(N−Myristoyltransferase:NMT)により触媒され,タンパク質生合成においてまだ発生期のポリペプチド鎖がリボソームに結合している間に生じる翻訳時修飾である(I., Deichaite, et al., Mol.Cell.Biol., 8, 4295−4301, 1988;C., Wilcox, et al., Science, 238, 1275−1278, 1987)。NMTはミリストイル−CoAからミリストイル基を基質タンパク質のN−末端へN−転移する過程を触媒する酵素である。S.cerevisiae由来のNMT1pに関する酵素学的研究により、そのメカニズムは、ミリストイル−CoAがNMTに結合することによりペプチド基質がNMTに結合できるようになり、ミリスチン酸がペプチドN−末端のGlyに転移後、CoAが酵素から放出されるとN−ミリストイル化ペプチドが生成されるという、いわゆるBi−Bi反応過程を示すことが明らかとなった(D.A., Rudnick, et al., J.Biol.Chem., 265, 13370−13378, 1990)。
【0004】
以上のように、ミリストイル化されたタンパク質は種々の細胞内タンパク質、ウイルス構成タンパク質及び発ガン遺伝子産物等で見出されている。特に、前記したようにウイルス構成タンパク質にミリストイル基が多く発見されていることにより、ウイルスの機能にとってタンパク質のミリストイル化が必須であると推定されている。従って、ミリストイル化を触媒するNMT活性を阻害することが抗ウイルス剤の開発のための一つの戦略であると提唱されており(Shiraishi, T.,et al., Biochem.Biophys.Res.Commun., 282, 1201−1205, 2001;Furuishi, K.,et al., Biochem.Biophys.Res.Commun., 237, 504−511, 1997)、ウイルス性タンパク質がミリストイル化されることを阻止することのできる物質は抗ウイルス剤として有力な候補となる。また、ヒトNMTは胆嚢癌(Rajala, R.V., et al., Cancer, 88, 1992−1999, 2000)や直腸腺癌(Raju, R.V., et al., Exp.Cell.Res., 235, 145−154, 1997)においてその発現が増加するゆえ抗腫瘍剤の標的となることもまた示唆される。
さらに、抗HIV−1剤を開発することにおいて、ウイルス性タンパク質をターゲットとすると変異が起こってウイルスが耐性を獲得する問題がある。これに対して宿主側、つまり細胞性因子であるNMTをターゲットとすれば変異が起きにくく耐性のウイルスの出現がないので有利でもある。
従って、抗ウイルス剤や抗腫瘍剤の開発を進める上で、NMTの酵素学的な研究、及び多数の化合物を効率よくスクリーニングし評価することが可能なNMT活性測定法の開発が望まれる。
【0005】
NMT活性のためのin vitroアッセイとしては、これまで放射標識したミリストイル化ペプチド産物を同定するために逆相高速液体クロマトグラフィー(Towler, D.A., et al., Proc,Natl.Acad.Sci., USA, 84, 2708−2712, 1987)やP81ホスホセルロースペーパーマトリックス(King, M.J., et al., Anal.Biochem., 199, 149−153, 1991)を用いるアッセイ、酵素によって遊離される最初の産物であるCoAの測定に基づくアッセイ(Farazi, T.A., et al., Biochemistry, 39, 15807−15816, 2000;Rudnick, D.A., et al., J.Biol.Chem., 265, 13370−13378, 1990)、及び基質としてダンシルペプチドを用いる連続蛍光比色法によるアッセイ(Pennise, C.R., et al., Anal.Biochem., 300, 275−277, 2002)などが報告されている。
しかしながら、上記の方法は、放射性同位体を使用するための特別な設備が必要であったり、あるいは多段階の工程を経るために操作が煩雑であるなどの問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、N−ミリストイルトランスフェーゼ(NMT)活性を簡便かつ迅速に、しかも高感度で測定する方法、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性測定用キット、及びN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質のスクリーニング方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、N末端にGlyを含む特定構造のオリゴペプチドを基質とし、N−ミリストイルトランスフェラーゼ(NMT)及びミリストイルCoAを酵素として用いる酵素反応を行い、反応産物であるN−ミリストイル化標識ペプチドを、該ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識するモノクローナル抗体を固定化した固相担体を用いるELISA系によって測定すれば、NMT活性を簡便かつ迅速に、しかも高感度で測定できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明によれば、下記の工程:
(1) N−ミリストイルトランスフェラーゼを含む測定試料、N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質、及びミリストイルCoAを混合して酵素反応を行い、N−ミリストイル化標識ペプチドを生成する工程;
(2) 前記反応で生成したN−ミリストイル化標識ペプチドを、固相担体に固定化した該ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体で捕捉する工程:
(3) 前記反応で捕捉したN−ミリストイル化標識ペプチドを、該標識物質を利用して検出する工程:
を含む、測定試料中のN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性の測定方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、下記の試薬:
(1) ミリストイルCoA
(2) N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質
(3) ミリストイル化ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体
を含む、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性測定用キットが提供される。
【0010】
さらに、本発明によれば、下記の工程:
(1) N−ミリストイルトランスフェラーゼ、N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質、及びミリストイルCoAを用いてN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を阻害する候補物質の存在下で酵素反応を行い、N−ミリストイル化標識ペプチドを生成する工程;
(2) 前記反応で生成したN−ミリストイル化標識ペプチドを、固相担体に固定化した該ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体で捕捉する工程:
(3) 前記反応で捕捉したN−ミリストイル化標識ペプチドを、該標識物質を利用して検出する工程:
を含む、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質のスクリーニング方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
[1]N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性の測定方法
以下、本発明のN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性の測定方法の好ましい態様を図1に基づいて説明する。
【0012】
(1)N−ミリストイル化標識ペプチドの生成
まず、N−ミリストイルトランスフェラーゼを含有する測定試料にN末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質とミリストイルCoAを添加して一定時間酵素反応を行う。
この酵素反応によってミリストイル残基が上記ペプチド基質のN末端に導入され、N−ミリストイル化標識ペプチドが生成される。
【0013】
本発明において使用する、「N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質」のペプチドは、好ましくはアミノ酸数5〜30のオリゴペプチド、より好ましくはアミノ酸数5〜200のオリゴペプチド、特に好ましくは8から15のオリゴペプチドである。具体的にはGly−Asn−Ala−Ala−Ala−Ala−Arg−Arg(配列番号1)、Gly−Ser−Ser−Lys−Ser−Lys−Pro−Lys(配列番号2)、Gly−Ala−Arg−Ala−Ser−Val−Lys−Ser、(配列番号3)、及びGly−Gly−Lys−Trp−Ser−Lys−Ser−Ser(配列番号4)等が好適に用いられる。
【0014】
また、N−ミリストイルトランスフェラーゼのペプチド基質におけるコンセンサスなアミノ酸配列はMet−Gly−X−X−X−Ser/Thr−であり、開始Metは翻訳時にメチオニンアミノペプチダーゼによって除去され、N−末端にGly残基が露出される。N−ミリストイルトランスフェラーゼを介したN−ミルストイル化にはN−末端にGly残基が絶対的に要求され、他のアミノ酸ではN−ミルストイル化は起こらない。一般に、6位のSer又はThrが好ましく、7位や8位には塩基性アミノ酸が好ましい(表1参照)。
【0015】
【表1】
【0016】
従って、このようなN−ミリストイルトランスフェラーゼの基質特異性に関する情報を利用すれば、より選択的にN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を測定するのに用いるためのペプチド基質をデザインできる。
【0017】
また、N−ミリストイルトランスフェラーゼ阻害物質をスクリーニングする場合は、例えば現在までに報告のある下記表2、表3に示す細胞性N−ミリストイル化タンパク質、ウイルス性N−ミリストイル化タンパク質のN末端配列がペプチド基質として好適に使用されうる。例えば、HIV−1pr55gag,HIV−1p27nefのN末端配列をペプチド基質として用いた場合は抗HIV剤の候補物質を、またpp60c−src のN末端配列をペプチド基質として用いた場合は抗腫瘍剤の候補物質をスクリーニングすることができる。
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
ペプチド基質のC末端を標識する標識物質としては、酵素、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、又はアビジン等が挙げられる。具体的には、酵素としてはペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコ−ス−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、アルコール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ペニシリナーゼ、カタラーゼ、アポグルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、ルシフェラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ等が、蛍光物質としては、フルオレスセインイソチオシアネート(FITC)、フィコビリタンパク、希土類金属キレート、ダンシルクロライド、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(RITC)等が、化学発光物質としては、ルミノール、アクリジニウムエステル、アクリジニウムアシルスルホンアミド等が挙げられる。標識物質と抗体との結合法は、グルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法又は過ヨウ素酸法等の公知の方法を用いることができる。
【0021】
本発明において使用する「N−ミリストイルトランスフェラーゼ」としては、腫瘍細胞、ウイルス、真菌類などの天然由来のN−ミリストイルトランスフェラーゼであってもよく、大腸菌等で発現させた組換えN−ミリストイルトランスフェラーゼであってもよい。
【0022】
(2)N−ミリストイル化標識ペプチドの固相担体への捕捉
次に、前記(1)の反応で生成したN−ミリストイル化標識ペプチドを試料とし、これを該ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体を固定化した固相担体に添加し、一定時間インキュベートする。
上記抗体はポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいずれも用いることができる。また、これらの抗体のF(ab’)2、Fab’、又はFab等の活性断片等を用いてもよい。抗体のクラス、サブクラスは任意である。これらの抗体の調製は公知の方法にて行うことができる。例えば、ポリクローナル抗体はキーホールリンペットヘモシアニン(以下、KLHという)を結合させたN−Myr−Gly−KLHをアジュバントとともに動物に注射等により投与して免疫し、抗体価が上昇した後にその血液を採取し、抗血清を分離するか、抗血清より抗N−ミリストイルトランスフェラーゼ抗体を回収することにより製造される。
【0023】
また、モノクローナル抗体(以下、該N−ミリストイル化標識ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識するモノクローナル抗体を抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体という)の調製は、特開平11−080199号に記載の方法に従い、以下のようにして行えばよい。
まず、N−Myr−Gly抗原の調製を行なう。この抗原の調製には、水溶性活性エステル化試薬(DSP:4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムメチルサルフェート)を用いることができる。免疫抗原としては、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)を結合させたN−Myr−Gly−KLHを調製し、スクリーニング抗原としては、ウシ血清アルブミン(以下、BSAという)を結合させたN−Myr−Gly−BSAを調製する。免疫抗原としてN−Myr−Gly−KLHをマウスに対して免疫し、マウスをしゃ血致死させ、脾細胞を取得し、常法に従ってPEGを用いてマウスミエローマ細胞(P3U1)と細胞融合し、HAT培地によりハイブリドーマの選別を行う。得られるハイブリドーマを、N−Myr−Gly−BSA抗原により2度スクリーニングを行い、限界希釈法によりミリストイル化ペプチド中のN−Myr−Gly部分を認識するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得る。得られたハイブリドーマを常法により培養し、培養終了後、培地を濾過して培養上清を得る。この培養上清を限外濾過等によって濃縮し、硫安によりタンパク質を沈澱させて沈澱物を回収し、この沈澱を透析することにより脱塩して抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体を得る。また、別の製造方法として、上記ハイブリドーマをマウスの腹腔内に移植し、増殖させて、腹水を採取し、この腹水を上記と同じ方法によって濃縮、沈澱、透析等を行うことによって抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体を得ることもできる。
【0024】
上記抗体を固定化させる固相担体としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル類ポリマー、フッ素樹脂、架橋デキストラン、ポリサッカライド等の高分子化合物のほか、ガラス、金属、磁性粒子及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。また、固相担体の形状としては、例えば、トレイ状、球状、繊維状、棒状、盤状、容器状、セル、マイクロプレート、試験管等のいずれの形状でもよい。これらの中でも多数の検体を処理する際にはマイクロタイタープレートが好ましい。また、これら固相担体への抗体の固定化方法は任意であるが、物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法等を用いることができる。
【0025】
(3)N−ミリストイル化標識ペプチドの検出
次に、固相担体に捕捉されたN−ミリストイル化標識ペプチドを、該標識を利用して検出する。標識物質として蛍光物質を用いた場合は、単独で検出可能なシグナルをもたらすことができるが、標識物質として酵素、ビオチン及びアビジンは、単独では検出可能なシグナルをもたらすことができないため、さらに1種以上の他の物質と反応することにより検出可能なシグナルを生じさせる。例えば、酵素の場合には少なくとも基質が必要であり、酵素活性を測定する方法(比色法、蛍光法、生物発光法あるいは化学発光法等)に依存して種々の基質が用いられる。例えば酵素としてパーオキシダーゼを用い、その活性を比色法で測定する場合は、発色基質としてオルトフェニレンジアミン又はテトラメチルベンジジンを用いる。
また、標識物質がビオチンの場合には少なくともアビジンあるいは酵素修飾アビジンを反応させるのが一般的である。必要に応じてさらに該基質に依存する種々の発色物質が用いられる。
本発明においては特に、ビオチンを標識物質として用い、アビジンービオチニル化パーオキシダーゼ複合体(ABC;avidine−biotinylated peroxidase complex)を反応させる態様が好ましい。
【0026】
これとは別にN−ミリストイルトランスフェラーゼ標準試料を用いて上記と同じ方法によって検出のためのシグナル強度(例えば発色、蛍光、発光)を測定し、N−ミリストイルトランスフェラーゼ濃度に対してプロットして検量線を作成する。この検量線に基づき、上記の未知の測定試料を用いて測定したシグナル強度から測定試料中のN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を求めることができる。
【0027】
[2]N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性測定用キット
本発明のキットは、測定試料中のN−ミリストイルトランスフェラーゼと反応してN−ミリストイル化標識ペプチドを生成するためのミリストイルCoA、N末端にGlyを含みC末端を標識したペプチド基質、ならびに生成したN−ミリストイル化標識ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体を必須の試薬として含む。
本発明のキットには、該キットを効率的かつ簡便に利用できるようにするために、上記の試薬に種々の補助剤を含めてもよい。補助剤としては、例えば固相担体を洗浄するための洗浄剤、試薬が固体である場合にそれを溶解させるための溶解剤、標識物質として酵素を使用した場合に活性を測定するための基質、その反応停止剤などの免疫学的測定試薬のキットとして通常使用されるものが挙げられる。
【0028】
[3]N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質のスクリーニング方法
本発明のN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質のスクリーニング方法は、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を阻害する候補物質の存在下にN−ミリストイルトランスフェラーゼ、N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質、及びミリストイルCoAを用いる酵素反応を行い、前記[1]と同様にしてN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性の測定を行う。より具体的には、例えば、候補物質の存在下又は非存在下の両方の場合について上記酵素反応を行い、候補物質の非存在下で酵素反応行った場合に、検出のためのシグナル強度が低くなる被験物質を、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を阻害する物質の候補物質として選択する。
【0029】
候補物質としては任意の物質を使用することができる。候補物質の種類は特に限定されず、個々の低分子合成化合物でもよいし、天然物抽出物中に存在する化合物でもよく、あるいは化合物ライブラリー、ファージディスプレーライブラリー、コンビナトリアルライブラリーでもよい。候補物質は、好ましくは低分子化合物であり、低分子化合物の化合物ライブラリーが好ましい。化合物ライブラリーの構築は当業者に公知であり、また市販の化合物ライブラリーを使用することもできる。
上記した本発明によるスクリーニング法により得られるN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質も本発明の範囲内である。このようなN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質は、抗HIV剤を初めとする抗ウイルス剤、抗癌剤、抗真菌剤、免疫抑制剤などの各種薬剤の候補物質として有用である。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕 NMT−ELISA系によるNMT活性の測定
(1)実験方法
▲1▼ 材料
Saccharomyces cerevisiae NMT (酵母(y)NMT)発現プラスミド(pBB131)(Duronio, R.J., et al., Proc.Natl.Acad.Sci., USA 87, 1506−1510, 1990)はJ.I.Gordon博士(ワシントン大学医学部)より得た。
抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体(Furuishi, K., et al., Biochem Biophys.Res.Commun., 222, 344−351, 1996)を含む無血清培地は日水製薬株式会社より得た。
セリナール亜硫酸付加物は池田博士(Trii & Co., Ltd.)より得た。
▲2▼ 組み換えyNMTの調製
yNMT発現プラスミドであるPBB131(Duronio,R.J., et al., Proc.Natl.Acad.Sci., USA, 87, 1506−1510, 1990)によって大腸菌JM101形質転換させた。形質転換させた大腸菌JM101をイソプロピル1−チオ−β−ガラクトシドで処理し、yNMTを誘導し、ホモジナイズして酵素溶液として用いた(Takamune, N., et al., FEBS.Lett., 506, 81−84, 2001)。
【0031】
▲3▼ C末端ビオチン標識ペプチド基質の合成
ペプチド基質は1,2−ジアミノエタントリチル樹脂及びペプチドのN−末端アミノ酸残基としてN−α−tert−ブトキシカルボニルグリシンを用いるFmocケミストリーに従い、自動ペプチド合成機を用いて合成した。
ペプチドのC末端アミノ酸を樹脂から除去した後、5−(N−スクシンイミジロキシカルボニル)ペンチルD−ビオチンアミドを用いて1,2−ジアミノエタンを介しビオチン標識した。ビオチン標識ペプチドの側鎖の全ての保護基をトルフルオロ酢酸と反応させることによって除去した。合成ペプチドはマトリックス支援イオン化―飛行時間型質量分析(matrix−assisted laser desorption ionization−time−of flight mass spectrometry;MALDI−TOF MS)(Bruker Franzen Analytik GmbH, Bremen, Germany)によって同定した。
【0032】
▲4▼ 酵素反応
50mM TAPS緩衝液(pH8.0) 150μl に所定濃度のC末端ビオチン標識ペプチド基質(NH2−Gly−Asn−Ala−Ala−Ala−Ala−Arg−Arg−Biotin)50μl、0.5mMミリスチルCoA100μl、及び上記酵素溶液50μlを加えた。混合物を水浴で37℃にて所定時間(0,10,20,30分間)インキュベートすることにより酵素反応を行い、0.3 N H2SO4 50μlを加えることで酵素反応を停止した。反応混合物を15,000 rpm,5分間遠心し、その上清をELISA試料とした。
【0033】
▲5▼ NMT−ELISA
図1はNMT−ELISAの模式図を示す。本NMT−ELISA系において酵素反応から生じた反応混合物中のN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドを検出することができるかどうかを調べた。
Nunc−ImmunoTM plate MaxisorpTM Surfaceの各ウェルを、抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体を含む無血清培養上清と4℃にて一晩インキュベートすることによって抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体を固定化した。次に、溶液を捨て、プレートの各ウェルを洗浄バッファー(0.1%ポリエチレンソルビタンモノオレート)で3回洗浄した。洗浄後、上記で調製したELISA試料100μlを、抗体を固定化したウェルに加え、2時間37℃にてインキュベートした。プレートの各ウェルを洗浄バッファーで3回洗浄し、Tris−緩衝化生理食塩水(TBS)(10mM Tris−HCl (pH7.5)及び0.5M NaCl)ですすぎ、次いで100μlのストレプト−ビオチン−パーオキシダーゼ複合体(ABC)溶液(和光純薬工業(株)製)を加えた。37℃にて30分間インキュベートした後、プレートの各ウェルを洗浄バッファーで3回洗浄し水にて2回すすいだ。N−ミリストル化ビオチン標識ペプチドに結合したパーオキシダーゼの測定は基質溶液(0.38mg/mlの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン2塩酸塩・2水和物(TMBZ・HCl)とインキュベーションした後に行った。反応は100μlの0.3NH2SO4の添加によって終結させた。主波長450 nm,参照波長630 nmの吸光度(λ450−λ630)をVmax kinetic Sicroplate reader(Molecular Devices, USA)にて測定した。
【0034】
(2)実験結果
図2Aは、N−ミリストイル化C末端ビオチン標識ペプチド(NH2−Myr−Gly−Asn−Ala−Ala−Ala−Ala−Arg−Arg−Biotin)又はC末端ビオチン標識ペプチド(NH2−Gly−Asn−Ala−Ala−Ala−Ala−Arg−Arg−Biotin)をそれぞれ合成し、上記NMT−ELISAで測定した結果を示す。
図2Aに示すように、ミリストイル化されていないペプチドに比べてN−ミリストイル化ペプチドは、吸光度(λ450−λ630)が顕著に増加した。この結果は、Nunc−ImmunoTM plate MaxisorpTM上に固定化した抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体はN−ミリストイル化ペプチドを特異的に認識し捕捉することができることを示す。
図2Bは、ビオチン標識ペプチド基質の濃度と吸光度との関係を示す。図2Bに示すように、30分間のインキュベーション後の試料の吸光度の増加はビオチン標識ペプチド基質の濃度に依存していた。一方、0分間のインキュベーション後の試料の吸光度は基質濃度に関わらず一定であった。
図2Cは、インキュベーション時間と吸光度との関係(反応混合物中におけるN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドの経時変化)を示す。図2Cに示すように、吸光度はインキュベーション時間に比例していることがわかった。
図2Dは、酵素溶液のタンパク濃度と吸光度との関係を示す。図2Dに示すように、吸光度は酵素溶液のタンパク濃度に比例することもまた観察された。
図2Eは合成N−ミリストイル化ペプチドの濃度と相関係数0.993を有する吸光度との間の直接的な関係を示す。これは、本NMT−ELISA系がNMTの活性の定量的な分析に用いられることを示すものである。本NMT−ELISA系を用いて、ビオチン標識Gly−Asn−Ala−Ala−Ala−Ala−Arg−Argのミカエリス係数(Km)をラインウィーバーブルクプロットから」算出した。Kmの値は76.6μMであり、それは先の報告(Duronio,R.J., et al., Proc.Natl.Acad.Sci., USA, 87, 1506−1510, 1990)の65.8μMよりわずかに高かった。
【0035】
(実施例2) (各種ビオチン標識ペプチドの合成と分析・確認およびNMT−ELISA)
(1)実験方法
▲1▼ C末端ビオチン標識ペプチド基質の合成
N−末端にBoc−Glyを用いる以外はFmoc法に従い、Peptide Synthesizer 431Aを用いて合成後、Cleaving solutionを用いて樹脂から保護基が結合した状態でペプチドを切り出し、Boc−GN(Trt)AAAAR(Pbf)R(Pbf)−DAE、Boc−GS(tBu)S(tBu)K(Boc)S(tBu)K(Boc)PK(Boc)−DAE、Boc−GAR(Pbf)AS(tBu)VLS(tBu)−DAE、Boc−GGK(Boc)W(Boc)S(tBu)K(Boc)S(tBu)S(tBu)−DAEを得た。
【0036】
それぞれのペプチド0.1 mmolを1 ml DMSOに溶解し、0.13 mmolの Biotin−(AC5)2−COOH、BOP、HOBtを0.5 mlのDMSOに溶解してペプチドの方へ加え、よく混合した後、TEAでpH 8に調整し、室温で6時間反応させた。反応後,冷水を加えてペプチドを27,700×g,4 ℃で30分間遠心した。得られた沈殿を80 % CH3CNに溶解し、凍結乾燥した。この凍結乾燥品をTFA、m−Cresol、Thioanisol、EDT、TMBSを用いて脱保護し、冷エーテルを加え3,000 rpm,4℃で10分間遠心し、沈殿を再度TFAに溶解し、冷エーテルで洗浄した後、80% CH3CNに溶解し、凍結乾燥を行い、各種ビオチン標識ペプチドを得た。
【0037】
▲2▼ HPLC/MALDI−TOF MS
得られた凍結乾燥品を10 % CH3CNに溶解し、HPLCにより10〜100 % CH3CN contg. 0.1 %TFA,15分の濃度勾配により分離分析し、目的とするビオチン標識ペプチドのピークをMALDI−TOF MSにより確認後(図3)、精製したビオチン標識ペプチドを凍結乾燥し、4 ℃で保存した。
【0038】
▲3▼ 酵素反応
各種ビオチン標識ペプチド基質を50 mM TAPS緩衝液(pH 8.0)に溶解し、0.8 mM基質溶液とした。また、Myr−CoAも同様に50 mM TAPS緩衝液(pH 8.0)に溶解し、0.5 mM Myr−CoA溶液とした。基質溶液100 μlに50 mM TAPS緩衝液(pH 8.0) 150μl、0.5 mM Myr−CoA溶液100μl、yeast NMT及びhuman NMT−1粗酵素溶液50μlを加えて混合した後、37℃で0,10,20,30分間インキュベートすることにより酵素反応を行った。0.3 N H2SO4 50μl加えることで酵素反応を停止し、15,000 rpm,5分間遠心し、その上清をELISA試料とした。
【0039】
▲4▼ NMT−ELISA
Nunc−ImmunoTM plate MaxisorpTMを精製水で2回洗浄し、抗N−Myr−Glyモノクローナル抗体の無血清培養上清100μlを各ウェルに加え、プレートをプラスチックフィルムで覆い、4 ℃で一晩インキュベートすることによって抗体を固定化した。固定化後、抗体を除去し、洗浄バッファーで一回、水で一回洗浄を行い、ELISA試料及び標準品としてMyr−GNAAAARR−DAE−(AC5)2−Biotinを100 μlずつウェルに加え,フィルムを被せ、37℃で2時間インキュベートした。試料溶液を除去し、プレートを先に述べた洗浄操作を3回繰り返すことで洗浄を行った。次にTBSbufferでABC 溶液.を100倍希釈したもの100μlを各ウェルに加え、フィルムで被い室温で30分間インキュベートした。ABC 溶液を除去し,3回の洗浄操作を行い、発色液100μlを各ウェルに加え発色を開始し、反応停止液100μlを各ウェルに加え、反応を停止させた。オートリーダーにより主波長450 nm,参照波長630 nmの吸光度(λ450−λ630)を測定した。
【0040】
(2)実験結果
合成したGNAAAARR−DAE−(AC5)2−Biotin(ペプチド1)、GSSKSKPK−DAE−(AC5)2−Biotin(ペプチド2)、GARASVLS−DAE−(AC5)2−Biotin (ペプチド3)、GGKWSKSS−DAE−(AC5)2−Biotin(ペプチド4)を基質として酵素反応を行い、得られた各N−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドのHPLC/MALDI−TOF MSによる分析結果をそれぞれ図4〜図7に示す。
また、標準基質であるMyr−GNAAAARR−DAE−(AC5)2−BiotinのELISAによる分析結果を図8に示す。
【0041】
(実施例3) NMT−ELISA系によるNMT活性阻害物質のスクリーニング
NMT基質に関する共通配列はMet−Gly−X−X−X−Ser/Thr−であり、最初のMetはメチオニンアミノペプチダーゼによって翻訳中に除去されている。2位のGlyは絶対的に要求され、6位のSer又ThrはNMT活性にとって好ましい(Duronio,R.J., et al., Proc.Natl.Acad.Sci., USA, 87, 1506−1510, 1990)。yNMTとミリストイルCoA及びペプチド基質アナログとの三元複合体の構造分析ではyNMTの6位のSer/Thrに結合部位の存在を示した。それゆえ、いくつかのセリナール誘導体(Takamune,N., et al., IUBMB life, 48, 311−315, 1999) を設計・合成し、そのyNMT阻害活性を前記NMT−ELISA系を用いて実施例1と同様にして調べた。表4に示すように、誘導体のうちの一つ、セリナール亜硫酸付加物が強くyNMT活性を阻害した(IC50=4.9μM)。このことによって本発明のNMT−ELISA系が抗菌剤としてNMT阻害物質を探索するのに役立つことが証明された。
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、ウイルス性タンパク質などのN−ミリストイル化を触媒するN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を簡便かつ迅速に、しかも高感度で測定することができるアッセイ系が提供される。本アッセイ系は、ハイスループット、非放射性という利点を備えているので多くの試料を一度に短時間で測定できる。また、本アッセイ系を用いることによってNMT活性阻害物質を探索することができ、ヒト癌、腫瘍、真菌感染症の治療薬の開発に応用できるほか、細胞内のNMTの機構解明にも有用である。
【0044】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のNMT−ELISAの模式図を示す。
【図2】本発明のNMT−ELISAによるN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドの特異的検出を示す。
図2Aは、N−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドとビオチン標識ペプチドをNMT−ELISAで測定した結果を示す。
図2Bは、ビオチン標識ペプチド基質の濃度と吸光度との関係を示す。
図2Cは、インキュベーション時間と吸光度との関係(反応混合物中におけるN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドの経時変化)を示す。
図2Dは、酵素溶液のタンパク濃度と吸光度との関係を示す。
図2Eは、N−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドの濃度と吸光度との間の直線関係を示す。
【図3】各種ビオチン標識ペプチドのピークをMALDI−TOF MSによる分析により確認した結果を示す。
【図4】GNAAAARR−DAE−(AC5)2−Biotin(ペプチド1)を基質として酵素反応を行うことによって得られたN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドのHPLC/MALDI−TOF MSによる分析結果を示す。
【図5】GSSKSKPK−DAE−(AC5)2−Biotin(ペプチド2)を基質として酵素反応を行うことによって得られたN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドのHPLC/MALDI−TOF MSによる分析結果を示す。
【図6】GARASVLS−DAE−(AC5)2−Biotin (ペプチド3)を基質として酵素反応を行うことによって得られたN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドのHPLC/MALDI−TOF MSによる分析結果を示す。
【図7】GGKWSKSS−DAE−(AC5)2−Biotin(ペプチド4)を基質として酵素反応を行うことによって得られたN−ミリストイル化ビオチン標識ペプチドのHPLC/MALDI−TOF MSによる分析結果を示す。
【図8】標準基質であるMyr−GNAAAARR−DAE−(AC5)2−BiotinのELISAによる分析結果を示す。
Claims (13)
- 下記の工程:
(1) N−ミリストイルトランスフェラーゼを含む測定試料、N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質、及びミリストイルCoAを混合して酵素反応を行い、N−ミリストイル化標識ペプチドを生成する工程;
(2) 前記反応で生成したN−ミリストイル化標識ペプチドを、固相担体に固定化した該ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体で捕捉する工程:
(3) 前記反応で捕捉したN−ミリストイル化標識ペプチドを、該標識物質を利用して検出する工程:
を含む、測定試料中のN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性の測定方法。 - 前記標識物質が酵素、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、又はアビジンである請求項1に記載の方法。
- 前記標識物質がビオチンであり、前記抗体で捕捉したN−ミリストイル化標識ペプチドをストレプトアビジン−ビオチン−パーオキシダーゼ複合体(ABC複合体)及びパーオキシダーゼの発色基質を反応させて検出を行う請求項1に記載の方法。
- 前記ペプチド基質がアミノ酸数5〜30のオリゴペプチドである、請求項1に記載の方法。
- 前記ペプチド基質が下記のペプチド:
Gly−Asn−Ala−Ala−Ala−Ala−Arg−Arg、
Gly−Ser−Ser−Lys−Ser−Lys−Pro−Lys、
Gly−Ala−Arg−Ala−Ser−Val−Leu−Ser、及び
Gly−Gly−Lys−Trp−Ser−Lys−Ser−Ser、
から成る群より選ばれるペプチドである、請求項4に記載の方法。 - 前記抗体がモノクローナル抗体である請求項1に記載の方法。
- 下記の試薬:
(1) ミリストイルCoA
(2) N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質
(3) ミリストイル化ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体
を含む、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性測定用キット。 - 下記の工程:
(1) N−ミリストイルトランスフェラーゼ、N末端にGlyを含みC末端を標識物質で標識したペプチド基質、及びミリストイルCoAを用いてN−ミリストイルトランスフェラーゼ活性を阻害する候補物質の存在下で酵素反応を行い、N−ミリストイル化標識ペプチドを生成する工程;
(2) 前記反応で生成したN−ミリストイル化標識ペプチドを、固相担体に固定化した該ペプチドのN−Myr−Gly部分を認識する抗体で捕捉する工程:
(3) 前記反応で捕捉したN−ミリストイル化標識ペプチドを、該標識物質を利用して検出する工程:
を含む、N−ミリストイルトランスフェラーゼ活性阻害物質のスクリーニング方法。 - 前記標識物質が酵素、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、又はアビジンである請求項8に記載の方法。
- 前記標識物質がビオチンであり、前記抗体で捕捉したN−ミリストイル化標識ペプチドをストレプトアビジン−ビオチン−パーオキシダーゼ複合体(ABC複合体)及びパーオキシダーゼの発色基質を反応させて検出を行う請求項8に記載の方法。
- 前記ペプチド基質がアミノ酸数5〜30のオリゴペプチドである、請求項8に記載の方法。
- 前記ペプチド基質が下記のペプチド:
Gly−Asn−Ala−Ala−Ala−Ala−Arg−Arg、
Gly−Ser−Ser−Lys−Ser−Lys−Pro−Lys、
Gly−Ala−Arg−Ala−Ser−Val−Leu−Ser、及び
Gly−Gly−Lys−Trp−Ser−Lys−Ser−Ser、
から成る群より選ばれるペプチドである、請求項11に記載の方法。 - 前記抗体がモノクローナル抗体である請求項8に記載の方法。
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