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JP2004049043A - Gpcr遺伝子の単離方法及び新規gpcr遺伝子 - Google Patents

Gpcr遺伝子の単離方法及び新規gpcr遺伝子 Download PDF

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JP2004049043A
JP2004049043A JP2002208284A JP2002208284A JP2004049043A JP 2004049043 A JP2004049043 A JP 2004049043A JP 2002208284 A JP2002208284 A JP 2002208284A JP 2002208284 A JP2002208284 A JP 2002208284A JP 2004049043 A JP2004049043 A JP 2004049043A
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Japan
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protein
coupled receptor
gene
thtr9
tissue
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JP2002208284A
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Kyoichi Takao
高尾 恭一
Hinako Suga
須賀 比奈子
Tetsuya Takao
高尾 哲也
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Nihon University
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Nihon University
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Abstract

【課題】Gタンパク質共役型受容体遺伝子を高効率かつ簡便に単離する方法を提供し、新規なGタンパク質共役型受容体遺伝子を単離すること。
【解決手段】Gタンパク質共役型受容体遺伝子を単離する方法であって、以下のステップ:
(a) 既知のGタンパク質共役型受容体遺伝子若しくはその周辺領域の配列情報、又は推定したGタンパク質共役型受容体遺伝子の配列情報を基にプライマーを設計するステップ、
(b) 上記設計したプライマーを用いて、該Gタンパク質共役型受容体が発現する組織以外の組織に由来するcDNAライブラリーを鋳型とした増幅反応を行って、得られた増幅断片をクローニングするステップ、及び
(c) 上記クローニングした遺伝子がGタンパク質共役型受容体としての機能を有するかどうかを確認するステップ、
を含むことを特徴とするGタンパク質共役型受容体遺伝子の単離方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はGタンパク質共役型受容体遺伝子の単離方法及び該単離方法により単離された新規Gタンパク質共役型受容体遺伝子に関する。また本発明は、該Gタンパク質共役型受容体遺伝子を含有するベクター、該ベクターを含む形質転換体、並びに該形質転換体を用いたGタンパク質共役型受容体タンパク質の製造方法に関する。さらに本発明は、上記Gタンパク質共役型受容体タンパク質に対するリガンド及び該リガンドの決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生命における遺伝子は、DNAとして知られる有機化学物質上の4種類の塩基によりコードされた情報である。DNA上の遺伝子塩基配列は、各臓器や細胞により特徴的にRNAに転写され、タンパク質に翻訳され、臓器や細胞固有にタンパク質が発現する。このような遺伝情報の流れにより、生物は体を作り、変化する外界に対処しながら生命活動を営み、子孫を作り、やがて死に至る。
【0003】
近年、DNA塩基配列決定技術の発展などより、これらの遺伝情報が担われ、そして全ての遺伝子情報を含むとされているゲノムのDNA塩基配列や実際に発現している遺伝子の塩基配列データが大量かつ急速に決定されている。その決定された情報を元に遺伝子の医薬品等への利用がなされてきている。
【0004】
従来、遺伝子を単離、取得し、得られた遺伝子をもとにタンパク質を取得する場合、遺伝子が発現している特定の臓器、細胞又は細胞から得られたゲノムDNAからの遺伝子の取得が、遺伝子を単離・取得する有効な手法となっている。
【0005】
一方、ヒトゲノムプロジェクトによりヒトの全遺伝子の解読は進んだものの、ゲノム情報のみではタンパク質の構造を解析し、その機能を解析することは極めて困難である。なぜなら、ゲノム上にコードされた遺伝子は、将来、タンパク質をコードしない非翻訳領域のなかに翻訳領域が、あたかも海の上に浮かぶ島、環礁のように存在することが多く、この非翻訳領域にしても、この部分にタンパク質をコードする情報以外にさまざまなシグナルを有することが多いからである。従って、ゲノムが現在のように解読できたとしても、さらにここから、タンパク質をコードする暗号を読み解かなければ今後の研究に使うことは非常に困難である。
【0006】
しかしながら、Gタンパク質共役型受容体(G−protein coupled receptor;GPCR)の多くはこの非翻訳領域であるイントロンを含まないイントロンレスであることが多い。現在、この特徴を利用して、ヒトゲノムプロジェクトで得られた情報から直接GPCRと思われる配列を検索しようとする試みが行われ、成果を上げつつある。GPCRは、イントロンレスである他に900〜1200塩基前後と比較的短い遺伝子から構成されるため、GPCR遺伝子の単離において有利である。さらに、このGPCRは細胞上に発現するため、細胞膜上に固定される必要があり、細胞膜を7回貫通する構造をもっている。この膜貫通部位は疎水性のアミノ酸から構成されており、ゲノム情報から得られた塩基配列をもとに、アミノ酸の一次構造を推測し、このアミノ酸配列中に6〜8箇所の疎水部分を持つ塩基配列をGPCRと考えることができる。このような研究を支援するために東京農工大学からSOSUlと銘々されたサイトが存在する。
【0007】
このようにGPCR研究ではデータベースとコンピュータを用いた「ドライ」な研究方法が多数導入されている。また、新しい受容体発見が将来の創薬の原点となることから、製薬会社を中心にGPCRのクローニングとそのリガンドスクリーニングが行われている。
【0008】
このようにして研究の効率化が行われている昨今でも、GPCRのクローニング法は従来法と変わるところがあまりない。ヒトゲノムプロジェクトによってヒトのゲノム情報は増えたが、ターゲットがヒトであるがゆえに、臓器の入手には困難な面が多い。主要な比較的大きい臓器に発現するGPCRであれば、市販されているゲノムDNAやRNAを購入して実験に用いれば大きな問題は起こらない。しかし、小さい臓器の場合は、クローニングに必要な量のサンプルを入手することが困難である。例えば、味覚受容体のような場合、味覚受容体を有する味蕾、ひいてはヒトの舌組織を得なければ、ゲノムDNAを用いる以外に研究の伸展は望めない。従って、入手困難な臓器に存在するGPCR遺伝子を高効率かつ簡便に単離する方法が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、Gタンパク質共役型受容体遺伝子を高効率かつ簡便に単離する方法を提供し、新規なGタンパク質共役型受容体遺伝子を単離することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、単離しようとするGタンパク質共役型受容体が通常発現する組織以外の組織を遺伝子取得源として利用することにより、現在報告されている大部分の味覚受容体及び新規な味覚受容体THTR9を含む数種のGタンパク質共役型受容体を単離することに成功し、この新規なTHTR9タンパク質を用いてTHTR9に対するリガンドを決定することができるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、Gタンパク質共役型受容体遺伝子の単離方法であって、以下のステップ:
(a) 既知のGタンパク質共役型受容体遺伝子若しくはその周辺領域の配列情報、又は推定したGタンパク質共役型受容体遺伝子の配列情報を基にプライマーを設計するステップ、
(b) 上記設計したプライマーを用いて、Gタンパク質共役型受容体が発現する組織以外の組織由来のcDNAライブラリーを鋳型とした増幅反応を行って、得られた増幅断片をクローニングするステップ、及び
(c) 上記クローニングした遺伝子がGタンパク質共役型受容体としての機能を有するかどうかを確認するステップ、
を含む上記単離方法である。
【0012】
ここで、Gタンパク質共役型受容体としては、舌組織で発現するもの、例えば味覚受容体を例示することができる。また上記Gタンパク質共役型受容体が発現する組織以外の組織としては、例えば脳組織が挙げられる。
【0013】
また本発明は、以下の(a)又は(b)のタンパク質である。
(a) 配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b) 配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された配列を含み、かつ、Gタンパク質共役型受容体として機能するタンパク質
ここで上記タンパク質は、ヒト由来のものであることが好ましい。また上記タンパク質は、味覚受容体である。
【0014】
さらに本発明は、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子である。(a) 配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b) 配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された配列を含み、かつ、Gタンパク質共役型受容体として機能するタンパク質
【0015】
上記遺伝子としては、以下の(a)又は(b)のDNAを含むものが挙げられる。
(a) 配列番号1に示される塩基配列からなるDNA
(b) 配列番号1に示される塩基配列の全部若しくは一部の配列に相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、Gタンパク質共役型受容体として機能するタンパク質をコードするDNA
また本発明は、上記遺伝子を含有する組換えベクターである。さらに本発明は、上記ベクターを含む形質転換体である。
【0016】
またさらに本発明は、上記形質転換体を培養し、得られる培養物からGタンパク質共役型受容体タンパク質を採取することを特徴とするGタンパク質共役型受容体タンパク質の製造方法である。
【0017】
本発明はまた、上記タンパク質又はその部分ペプチドと試験化合物とを接触させたときの結合量又は細胞刺激活性が、該タンパク質若しくは部分ペプチドと接触させていない場合又はリガンドではない物質と接触させた場合と比較して120%以上となる、請求項5〜7のいずれか1項に記載のタンパク質に対するリガンドである。
【0018】
また本発明は、上記リガンドを含有することを特徴とする食品用組成物である。
さらに本発明は、上記タンパク質又はその部分ペプチドと試験化合物とを接触させ、それらの結合量又は細胞刺激活性を測定することを特徴とする、該タンパク質に対するリガンドの決定方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.Gタンパク質共役型受容体の単離方法
本発明のGタンパク質共役型受容体(以下、「GPCR」ともいう)の単離方法は、通常は大量に入手することができない組織(例えば味蕾細胞を有する舌組織)において発現するGPCRを、その組織以外の組織から単離することを特徴とするものである。
【0020】
Gタンパク質共役型受容体とは、三量体型Gタンパク質と共役して細胞内に外界刺激を伝達する受容体であり、種々のホルモン、オータコイド、神経伝達物質などの受容体や、視覚、嗅覚、味覚などの感覚器の受容体などが含まれることが知られている。構造上の特徴は、細胞膜を7回貫通し、アミノ末端が細胞外にカルボキシル末端が細胞内に存在することである。従って、Gタンパク質共役型受容体はI〜VIIの7個の膜貫通部位を有するものであり、この受容体の多くは、N末端から第III膜貫通部位にかけてリガンド結合領域を、そして第Vと第VI膜貫通部位の間にGタンパク質との共役特異性決定領域を有すると考えられている。GPCRは、多様な生理現象の調節と関連している場合が多いので、このGPCRを単離し、詳細に機能研究することが必要とされている。
【0021】
GPCRの研究においては、例えばGPCRが発現している組織の入手が困難な場合も多い。例えばGPCRの1つである味覚受容体は、通常舌で発現しているが、ヒト舌組織は入手が非常に困難であり、また味覚受容体が発現すると考えられる味蕾細胞は舌組織においても非常にわずかにしか存在しない。従って、舌を味覚受容体の遺伝子取得源としては使用できない。そこで本発明者は、容易に入手可能な組織を遺伝子取得源として選択し、GPCRを単離する方法を試みた。
以下に、本発明のGタンパク質共役型受容体の単離方法に関して、具体的に説明する。
【0022】
(1)プライマー設計
本発明のGPCR単離方法においては、既に得られている遺伝子情報やその周辺情報、又は推定GPCRの配列情報に基づいてプライマーを設計する。
既に得られている遺伝子の情報やその周辺領域の情報を利用する場合には、例えば既知のGPCRファミリーにおいて保存されている配列、他の種に由来するGPCRの配列などを基にしてプライマーを設計することができる。例えば、GPCRの機能を有するタンパク質間で保存されている領域の配列としては、第VI膜貫通部位からC末端側にある保存領域の配列が挙げられ、そのようなアミノ酸配列を基に縮合プライマー(degenerate primer)を設計することが好ましい。
【0023】
また、ゲノム情報からGPCRを推定する場合には、公開されているゲノムDNA情報を利用して、GPCRに特徴的な配列からGPCRを推定し、その配列を基にプライマーを設計することができる。GPCRに特徴的な配列とは、限定するものではないが、例えば塩基配列中のATG(メチオニンをコードする塩基配列)から約900〜1200塩基中に終止コドンが存在せず、さらにその塩基配列をアミノ酸に変換した場合に6〜8箇所の疎水性のアミノ酸が集まった細胞膜貫通部位があることなどが挙げられる。従って、ゲノムDNA情報から、例えばコンピュータを用いて、ATGから約800〜1200塩基中に終止コドンが存在しない配列を検索することにより、GPCRと推定される配列を絞り込むことができる。また、膜貫通部位の疎水性を利用してGPCRを推定する場合には、アミノ酸配列をヒドロパシーインデックス(疎水性指標)に変換し、ヒドロパシープロットを作成する。ヒドロパシープロットを作成することにより、アミノ酸配列情報から疎水性領域を推測することができる。すなわち、膜貫通部位は疎水性のアミノ酸残基が長く連続して存在する疎水性領域であり、その疎水性領域が5〜7個程度連続して配置されている場合には、それらを含む配列がGPCRをコードしていると推定できる。
【0024】
ヒドロパシーインデックスの計算方法及びヒドロパシープロットの作成方法は当技術分野で公知である。具体的に説明すると、各アミノ酸に対し、下記表1に示すヒドロパシーインデックスを割り当て、i番目のアミノ酸残基の前後3残基(すなわちi−3からi+3まで)のヒドロパシーインデックスの平均を求め、その値をi番目のアミノ酸残基の疎水性とする。
【0025】
【表1】
Figure 2004049043
【0026】
各アミノ酸残基の疎水性が−0.4以上の場合には、その残基は疎水性領域を作る可能性があるといえる。十分に長い(例えば約22〜24残基の)疎水性領域が存在する場合に、その部分は膜貫通部分と考えることができる。
上述のようにしてヒドロパシーインデックスを計算し、それをグラフにしたものがヒドロパシープロットである。ヒドロパシープロットを作成すると、ヒドロパシーインデックス、すなわち疎水性の高い領域が視覚的に理解できる。従って、膜貫通部位を推測する場合にはヒドロパシープロットを作成することが好ましい。ヒドロパシープロットから膜貫通部位を90%以上の精度で推測する方法として、KKD(Klein−Kanehisa−DeLisi)法が知られている(Klein et al., 1985, Biochim Biophys Acta, 28; 815(3): 468−76参照)。この方法は、判別関数を利用してアミノ酸の疎水性の平均値を変量として計算することによって、膜貫通部位を推測する方法である。また、膜貫通部位を推測するためのプログラムも知られており、例えば、SOSUI(http://sosui.proteome.bio.tuat.ac.jp/sosuimenu0.htmlより入手可能)、The Gene InspectorTM(HULINKS社)などが一般的に入手可能である。このような方法及びプログラムを利用することによって、7箇所の膜貫通部位を有するGPCRをより正確に推定することが可能である。
【0027】
上述のようにして推定されたGPCRの配列を基にプライマーを設計する場合には、該配列の5’末端から約20〜30塩基及び3’の終止コドンを含む上流側の約20〜30塩基を選択し、プライマーを設計することが好ましい。
プライマーは、約20〜30塩基長、好ましくは約19〜26塩基長とし、増幅される断片が約500〜1500塩基、好ましくは約880〜1000塩基となるように設計する。
【0028】
例えば、本発明者は、味覚受容体の候補と考えられるTHTR9を基に以下に示すプライマーを設計した。
フォーワードプライマー:atgataactt ttctacccat c(配列番号3)
リバースプライマー:ctatggagat gaagtcttct ctcc(配列番号4)
また、既知の味覚受容体であるTHTR1(GenBankアクセッション番号XM_069790)、THTR3(GenBankアクセッション番号XM_090424)、THTR5(GenBankアクセッション番号XM_069626)、T2R1、T2R3、T2R4、T2R5、T2R7、T2R8、T2R9、T2R10、T2R13、T2R14、T2R16、KHR1、及びKHR3を基に以下に示すプライマーを設計した。以下に示すプライマーの名称は、味覚受容体名/F又はR(Fはフォーワード、Rはリバースを表す)で示している。
【0029】
Figure 2004049043
Figure 2004049043
上述のように設計したプライマーの合成法は、当技術分野で周知である。例えば、ホスホアミダイト法などの一般的なオリゴヌクレオチド合成法を用いることができる。
【0030】
(2)増幅反応
続いて、上記設計したプライマーを用いて、単離しようとするGタンパク質共役型受容体が通常発現する組織以外の組織に由来するcDNAライブラリー又はmRNAを鋳型として増幅反応を行う。該組織としては、大量に入手可能な組織であることが好ましく、例えば、脳、肺、心臓、胃、膵臓、腎臓、胎盤などが挙げられる。増幅反応としては、限定するものではないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、LAMP法(Loop−mediated Isothermal Amplification)などが挙げられる。本発明において増幅反応は、PCRが好ましい。
【0031】
(2−1)鋳型DNAの調製
上記組織からのmRNAの抽出及びcDNAライブラリーの作製は常法に従って行うことができる。例えば、mRNAの調製は、ヒト組織から、グアニジウムチオシアネート−トリフルオロ酢酸セシウム法などにより全RNAを抽出した後、オリゴdT−セルロースやポリU−セファロース等を用いたアフィニティーカラム法により、あるいはバッチ法によりポリ(A)+RNA(mRNA)を得ることができる。さらに、ショ糖密度勾配遠心法等によりポリ(A)+RNAをさらに分画してもよい。
【0032】
このようにして得られたmRNAを鋳型として、ランダムプライマーと共に逆転写酵素を用いて一本鎖cDNAを合成した後、該一本鎖cDNAから二本鎖cDNAを合成する。次に、得られた二本鎖cDNAを適当なクローニングベクターに組み込んで組換えベクターを作製する。そしてこの組換えベクターを用いて大腸菌等を形質転換し、テトラサイクリン耐性、アンピシリン耐性等を指標として形質転換体を選択することにより、cDNAのライブラリーを得ることができる。
【0033】
また、上記組織由来のcDNAライブラリーは市販されており、例えば、ヒト脳組織としては、Invitrogen社製SUPERSCRIPTTM Premade cDNAライブラリー(ヒト脳:カタログ番号10418−010)、株式会社エムエステクノシステムズ社製ヒトcDNAライブラリー(ヒト脳:カタログ番号38356)などを利用することができる。
【0034】
あるいは、上記組織から得られたmRNAを鋳型として、ランダムプライマーと共に逆転写酵素を用いてcDNAを作製することもできる。Poly A+ RNA(mRNA)は市販されており、例えばヒト脳組織としては、Clontech社製Human Brain Poly A+ RNA(カタログ番号6516−1)などが挙げられる。逆転写酵素としては、例えばGIBCO BRL社製のSuperscript II逆転写酵素を利用可能である。
【0035】
(2−2)増幅
上記のようにして得られる形質転換体又はcDNAライブラリーから目的のDNAを有する株を選択するには、上記(1)に記載のようにして設計したプライマー、例えば、配列番号3〜36に示すプライマーを合成し、これを用いて増幅反応を行い、得られた断片をプローブとして、cDNAライブラリーからスクリーニングする方法、あるいはλファージ(λgt11等)を用いた場合は、λgt11インサート増幅用のプライマーを用いて増幅反応を行う方法を採用することができる。但し、本発明においてはこれらのプライマーに限定されるものではない。
【0036】
このようにして得られたDNA増幅断片を、32P、35S又はビオチン等で標識してプローブとし、これを形質転換体のDNAを変性固定したニトロセルロースフィルターとハイブリダイズさせ、得られたポジティブ株を検索することによりスクリーニングすることができる。
【0037】
次に、得られたクローンから全長のcDNAをクローニングする。cDNAのクローニングには、例えばRACE(Rapid Amplification of cDNA ends)法が用いられる。RACE法とは、cDNAの5’又は3’欠失部位をPCRにより迅速に回収する方法である。なお、RACE法は、市販のキット(MarathonTM cDNA Amplification Kit(Clonetech社))を用いて行うこともできる。あるいは、サブクローニング用のキットとしては、例えばInvitrogen社製のZero Blunt TOPO PCR Cloning kit for sequence versionも利用可能である。上記スクリーニングにおいて得られたcDNAの単離クローンについて、増幅産物をテンプレートにしてcDNAの塩基配列を決定する。
【0038】
塩基配列の決定はマキサム−ギルバートの化学修飾法、又はM13ファージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法等の公知手法により行うことができるが、通常は自動塩基配列決定装置(例えばApplied Biosystems社製ABI373シークエンサー等)を用いて配列決定が行われる。
【0039】
(3)GPCRとしての機能確認
続いて、上述のようにしてクローニングされた遺伝子がGPCRとしての機能を有するかどうかを確認する。GPCR機能の確認は当技術分野で公知であり、そのいずれの手法に従って確認してもよい。例えば、後述する「3.THTR9タンパク質に対するリガンド」の項に記載のように、GPCRと結合することにより生じた細胞刺激活性(例えばアラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内カルシウム遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fos活性化、pHの低下などを促進する活性又は抑制する活性)を測定することにより、GPCRの機能を確認することができる。GPCRは、通常、アラキドン酸、アセチルコリン、細胞内カルシウム、細胞内cAMP、細胞内cGMP、イノシトールリン酸などのいずれかの細胞刺激活性物質を調節することが知られている(細胞の分子生物学、第3版、Alberts, B.ら著、株式会社教育社発行、1995年、734〜771頁参照)。従って、既知のGタンパク質をGPCRと共役させることにより生じる細胞刺激活性の変化を利用して、GPCRの機能を確認することができる。
【0040】
具体的な手法の1つとして、Gタンパク質であるG16を利用する手法を例示する。G16は、非特異的にGPCRと共役して細胞内カルシウムを生じることが知られている。G16の塩基配列を配列番号37に、アミノ酸配列を配列番号38に示す。
【0041】
最初に、上記G16を、上記(2)でクローニングされたGPCR遺伝子の下流に融合した状態で配置するようにベクターを構築する。「融合した状態」とは、G16がその終止配列を含有せずに、その直下にGPCR遺伝子が配置されることを指す。該ベクターは、哺乳動物において高発現するものが好ましく、例えばpEF−BOSベクター(Mizushima, S. and Nagata, S. Nucleic Acids Res. 1990, 18, 17: 5322)が挙げられる。
【0042】
まず、次の2段階の方法でG16とGPCRを融合する。はじめに、GPCRとG16をPCR法を用いて増幅する。このとき、G16の増幅においては、フォーワードプライマーとして、GPCRの3’側から終止コドンを除いてアミノ酸8残基(24塩基長)の部分とG16の5’側のアミノ酸6残基(18塩基)の部分の合計42塩基の長さを持つプライマーを使用する。このように設計したプライマーによって増幅されたG16は、GPCRの3’側の構造を持つPCR産物となる。次にこの構造を持つG16とGPCRとを、プライマーを用いないで4回程度PCRを施行する。プライマーを用いないでPCRを行うことによって、GPCRの3’末端側とG16の5’末端側がアニーリングし、融合したものを得ることができる。融合した部分は二本鎖になっているため、続いて、ポリメラーゼによってこの部分から増幅反応が起こる。従って、融合の後、GPCRの5’側の塩基配列を基に設計したフォーワードプライマーとG16の3’側の塩基配列を基に設計したリバースプライマーを用いてPCRを施行することにより、GPCRの下流にG16が融合した塩基配列が増幅されることとなる。ここでフォーワードプライマーに制限酵素Sal Iサイト、リバースプライマーにSpe Iサイトを付加しておくことにより、ベクターのマルチクローニングサイトをSai I及びSpe Iで処理することによって、上記GPCR−G16融合PCR産物が挿入されやすくなる。
【0043】
このGPCR−G16融合PCR産物をベクター(例えばpEF−BOS)に挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。GPCRは、その遺伝子の機能が発揮されるようにベクターに組み込まれることが必要である。そこで、上記ベクターには、プロモーター、G16−GPCRのほか、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)などを連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子(G418(ジェネチシン)に耐性である)等が挙げられる。
【0044】
続いて、GPCR−G16を組み込んだ発現ベクターを、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)などの哺乳動物細胞系に導入する。導入する方法は、限定するものではないが、例えばリポフェクション、遺伝子銃、エレクトロポレーション法などが挙げられる。
【0045】
次に、上記ベクターに含まれる選択マーカーを用いて、発現ベクターが導入された細胞のみを培養する。動物細胞を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI1640培地、DMEM培地又はこれらの培地に牛胎児血清等を添加した培地等が用いられる。培養は、通常、5%CO存在下、37℃で7〜14日行う。CHO細胞を培養する場合には、HamF−12培地を用いて、5%CO存在下、37℃で10〜14日間培養する。
【0046】
培養した細胞より調製したRNAを鋳型として、ランダムプライマーと逆転写酵素を用いてcDNAを調製する。このcDNAを鋳型として、上記(1)で設計したプライマーを用いて増幅反応を行い、増幅産物のバンドが電気泳動ゲル上に出現かどうかを調べる。バンドが観察された場合は、GPCRが細胞に導入されたものであると判断できる。
【0047】
次に、G16−GPCRが導入された細胞の細胞内カルシウム濃度を測定する。細胞内カルシウム濃度の測定は、当技術分野で公知であり、例えばFura−2を用いた蛍光法などが挙げられる。その他、細胞内カルシウムの上昇に伴って細胞内の産生・放出が変化するプロスタグランジンE2(PGE2)を測定することによって間接的に細胞内カルシウム濃度を測定することができる。この産生が変化したPGE2は、細胞外に放出されるため、リガンド刺激の4時間後の培養上清を回収し、該上清中のPGE2濃度を測定する。PGE2の測定には、例えばCayman社製のProstaglandin E2
EIA測定キットを用いることができる。
G16−GPCRが導入された細胞の細胞内カルシウム濃度が非導入細胞の細胞内カルシウム濃度と比較して増大している場合には、導入したGPCRはGPCRとしての機能を有しているといえる。
【0048】
(4)種々の組織からのGPCRの単離
本発明者は、単離しようとするGタンパク質共役型受容体(味覚受容体)の遺伝子は、通常発現する組織においても発現していると考えた。そこで、舌以外の組織を遺伝子供与源としてGPCRを単離するために、既知のGPCR(味覚受容体:THTR1、THTR3、THTR5;T2R1、T2R3、T2R4、T2R5、T2R7、T2R8、T2R9、T2R10、T2R13、T2R14、T2R16)を用いて上記味覚受容体の発現確認を行った(下記実施例1)。その結果、試験した14種のGPCRのうち、THTR1(図3)以外の13種は脳組織において発現していることが認められた(図3、4、7及び8を参照)。またヒト心臓由来のcDNAにおいて発現確認を行った4種のGPCRのうち、1種の発現を検出することができた(図6)。またヒト腎臓由来のcDNAにおいて発現確認を行った3種のGPCRのうち、2種(T2R14及びT2R16)は発現を検出することができた(図7)。さらにヒト血管内皮組織(臍帯)由来のcDNAにおいて発現確認を行った3種のGPCRのち、1種(T2R16)は発現を検出することができた(図7)。
【0049】
一方、ゲノムDNAにおいて発現確認を行った4種のGPCRのうち、1種類しか発現を検出することができなかった(図5)。
またTHTR1及びTHTR5に関しては、脳、肺、心臓、胃、膵臓、腎臓及び胎盤においても発現確認を行い(下記実施例1)、THTR5がそれらの全ての組織において発現していることを確認した(図2B)。
従って、味覚受容体遺伝子、THTR1、THTR3、THTR5;T2R1、T2R3、T2R4、T2R5、T2R7、T2R8、T2R9、T2R10、T2R13、T2R14、T2R16などの単離においては、舌以外の組織が有用な遺伝子供与源であることが確認された。
【0050】
2.本発明のTHTR9タンパク質及びそれをコードする遺伝子
(1)THTR9タンパク質及びそれをコードする遺伝子
上述のGタンパク質共役型受容体の単離方法により、本発明者は新規なGタンパク質共役型受容体をヒト脳組織から単離することに成功した。この受容体のアミノ酸配列と既知味覚受容体のアミノ酸配列との相同性分析から、この新規なGタンパク質共役型受容体が新規な味覚受容体THTR9であることが判明した(図1)。
【0051】
配列番号1に、本発明のTHTR9をコードする遺伝子の塩基配列を、配列番号2に本発明のTHTR9タンパク質のアミノ酸配列を例示するが、このアミノ酸配列を含むタンパク質がGタンパク質共役型受容体として機能する限り、当該アミノ酸配列において複数個、好ましくは1個若しくは数個のアミノ酸に欠失、置換、付加等の変異が生じてもよい。
【0052】
「Gタンパク質共役型受容体としての機能」としては、例えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などが挙げられる。「Gタンパク質共役型受容体として機能する」とは、例えば配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質とほぼ同等の機能を有することを指す。従って、配列番号2に示すアミノ酸配列において変異が生じたアミノ酸を含むタンパク質のリガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性が、配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質と同等(0.5〜1.5倍程度)であることが好ましいが、これらの活性の程度やタンパク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、当技術分野で公知の方法に従って行なうことができ、例えば、後述するリガンドの決定方法に記載のようにして測定することができる。
【0053】
例えば、本発明の変異型タンパク質においては、配列番号2で表されるアミノ酸配列の1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失してもよく、配列番号2で表わされるアミノ酸配列に1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が付加してもよく、あるいは、配列番号2で表されるアミノ酸配列の1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換してもよい。但し、本発明の変異型タンパク質は、膜貫通部位以外の部分に変異(欠失、置換又は付加)が含まれるものが好ましい。従って、配列番号2に示すアミノ酸配列において、アミノ酸番号1〜7、31〜45、69〜90、114〜127、151〜179、203〜228、及び252〜309に変異が含まれていてもよい。
【0054】
また、配列番号1に示す塩基配列からなるDNAの全部又は一部の配列に相補的な配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるDNAであって、GPCRとして機能するタンパク質をコードする遺伝子も本発明のTHTR9遺伝子に含まれる。ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、相同性が高い核酸、すなわち60%以上、好ましくは80%以上の相同性を有するDNAの相補鎖がハイブリダイズし、それより相同性が低い核酸の相補鎖がハイブリダイズしない条件が挙げられる。ストリンジェントな条件とは、例えばナトリウム濃度が、10〜300mM、好ましくは20〜100mMであり、温度が25〜70℃、好ましくは42〜55℃における条件をいう。
【0055】
なお、THTR9遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法、Gapped duplex法等の公知の手法又はこれに準ずる方法を採用することができる。例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan−K(TAKARA社製)やMutan−G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異の導入が行われる。
【0056】
一旦THTR9遺伝子の塩基配列が確定されると、その後は化学合成によって、又はクローニングされたcDNAを鋳型とした増幅反応によって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることによって、THTR9遺伝子を得ることができる。さらに、部位特定変異誘発等によってTHTR9タンパク質をコードする修飾されたDNAを合成することもできる。
【0057】
また、本発明のタンパク質には、THTR9タンパク質の部分ペプチドも包含される。そのような部分ペプチドとしては、本発明のTHTR9タンパク質の部分ペプチドであればいずれのものであってもよいが、例えば、THTR9タンパク質分子のうち、細胞膜の外に露出している部位であって、受容体結合活性を有するものなどが用いられる。具体的には、THTR9タンパク質の部分ペプチドとしては、ヒドロパシープロット解析において細胞外領域(親水性部位)であると分析された部分を含むペプチドである。また、疎水性部位を一部に含むペプチドも同様に用いることができる。個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得るが、複数のドメインを同時に含む部分のペプチドでもよい。本発明の部分ペプチドのアミノ酸の数は、上記THTR9タンパク質の構成アミノ酸配列のうち少なくとも20個以上、好ましくは50個以上、より好ましくは100個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましい。
【0058】
本発明のTHTR9タンパク質又はその部分ペプチドは、前述したヒトや哺乳動物の細胞又は組織から当技術分野で公知のタンパク質の精製方法によって製造することができる。また、THTR9タンパク質をコードするDNAで形質転換された形質転換体を培養することによっても製造することができる(下記参照)。また、当技術分野で公知の化学的ペプチド合成方法、例えば固相合成法などによって製造することもできる。
【0059】
(2)組換えベクター及び形質転換体の作製
本発明の組換えベクターは、上記THTR9遺伝子を適当なベクターに連結することにより得ることができ、形質転換体は、本発明の組換えベクターを、目的の遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる。
【0060】
ベクターには、宿主微生物で自律的に増殖し得るファージ又はプラスミドが使用される。プラスミド DNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322, pBR325, pUC118, pUC119, pUC18, pUC19等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110, pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13, YEp24, YCp50等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP等)が挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクター、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)などを用いて形質転換体を作製することもできる。
ベクターに本発明のTHTR9遺伝子を挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクター DNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。
【0061】
本発明のTHTR9遺伝子は、その遺伝子の機能が発揮されるようにベクターに組み込まれることが必要である。そこで、本発明のベクターには、プロモーター、本発明のTHTR9遺伝子のほか、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)などを連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。さらに、大腸菌及び酵母などの2種以上の宿主微生物で自律的増殖が可能なベクターのほか、各種のシャトルベクターを使用することもできる。このようなベクターについても、前記制限酵素で切断し、その断片を得ることができる。
【0062】
DNA断片とベクター断片とを連結させるには、公知のDNAリガーゼを用いる。そして、DNA断片とベクター断片とをアニーリングさせた後に連結させ、組換えベクターを作製する。
形質転換に使用する宿主としては、本発明の遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、細菌(大腸菌、枯草菌等)、酵母、動物細胞(COS細胞、CHO細胞等)、昆虫細胞が挙げられる。
【0063】
細菌を宿主とする場合は、本発明の組換えベクターが該細菌中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列、本発明のTHTR9遺伝子、転写終結配列により構成されていることが好ましい。また、プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。大腸菌としては、例えばエッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5αなどが挙げられ、枯草菌としては、例えばバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などが挙げられる。プロモーターは、大腸菌等の宿主中で発現できるものであればいずれを用いてもよい。例えばtrpプロモーター、lacプロモーター、Pプロモーター、Pプロモーターなどの、大腸菌やファージに由来するプロモーターが用いられる。tacプロモーターなどのように、人為的に設計改変されたプロモーターを用いてもよい。細菌への組換えベクターの導入方法は、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
【0064】
酵母を宿主とする場合は、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などが用いられる。この場合、プロモーターは酵母中で発現できるものであれば特に限定されず、例えばGAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、AOX1プロモーター等を用いることができる。酵母への組換えベクターの導入方法は、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられる。
【0065】
動物細胞を宿主とする場合は、サル細胞COS−7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウスL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞等が用いられる。プロモーターとしてSRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター等が用いられ、また、ヒトサイトメガロウイルスの初期遺伝子プロモーター等を用いてもよい。動物細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
【0066】
昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9細胞などが用いられる。昆虫細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。
形質転換体は、導入する遺伝子内に構成されるマーカー遺伝子の性質を利用して選択される。例えば、ネオマイシン耐性遺伝子を用いた場合には、G418薬剤に抵抗性を示す細胞を選択する。
【0067】
(3)THTR9タンパク質の生産
本発明のTHTR9タンパク質は味覚受容体であるため、味覚として感知されるリガンド物質を決定するために利用することができる。
本発明において、目的のタンパク質(味覚受容体タンパク質)は、目的遺伝子を保有する前記形質転換体を培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。「培養物」とは、培養細胞、培養菌体、又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。本発明の形質転換体を培地に培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。
【0068】
大腸菌や酵母菌等の微生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
【0069】
炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が用いられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー、又はその他の含窒素化合物が用いられる。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が用いられる。
【0070】
培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、約37℃で約5時間〜30日間行う。培養期間中、pHは中性付近に保持する。pHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
【0071】
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、Lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドール酢酸(IAA)等を培地に添加してもよい。
【0072】
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI1640培地、DMEM培地又はこれらの培地に牛胎児血清等を添加した培地等が用いられる。培養は、通常、5%CO存在下、37℃で約5時間〜30日間行う。培養中は必要に応じてカナマイシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
【0073】
培養後、目的のTHTR9タンパク質は細胞表面上に生産されるため、菌体又は細胞を破砕することによりタンパク質を抽出する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から目的のタンパク質を単離精製することができる。
目的のタンパク質が得られたか否かは、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動等により確認することができる。
【0074】
3.THTR9タンパク質に対するリガンド
THTR9タンパク質又はその部分ペプチドは、本発明のTHTR9に対するリガンドを単離し、決定するための試薬として有用である。すなわち、本発明は、THTR9タンパク質又はその部分ペプチドと、試験化合物とを接触させることを特徴とするTHTR9タンパク質に対するリガンドの決定方法を提供する。試験化合物としては、甘味として例えばショ糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、ソルビトール、グリシン、アラニン、アスパラテート、リゾチーム、ステビオサイト、AcesulfameKなどが用いられ、酸味として例えばクエン酸などが用いられ、塩味として例えば食塩などが用いられ、苦味として例えばキニン、カフェイン、フェニルアラニン、トリプトファン、アルギニン、テオフィリン、イソフムロン、テオプロミンなどが用いられ、旨味として例えばグルタミン酸ソーダ、グアノシン、イノシンなどが用いられる。例えば本発明においては、上述したような試験化合物をTHTR9タンパク質に添加し、細胞刺激活性などを測定しながら分画し、最終的に単一のリガンドを得ることができる。また例えば本発明においてはTHTR9が脳に多く発現していることから、ウシやブタの脳の熱水抽出物や、乳タンパク質をタンパク質分解酵素によって分解したペプチド等を、THTR9を発現するCHO細胞に作用させ、その細胞内カルシウム濃度上昇又はPGE2産生を指標にして分画し、最終的には単一のリガンドを得ることができる。
【0075】
具体的に説明すると、本発明のリガンド決定方法は、本発明のTHTR9タンパク質又はその部分ペプチドを用いるか、または組換え型THTR9タンパク質の発現系を構築し、該発現系を用いた受容体結合アッセイ系を用いることによって、THTR9タンパク質に結合して細胞刺激活性を有する化合物を決定する方法である。細胞刺激活性としては、例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内カルシウム遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fos活性化、pHの低下などを促進する活性又は抑制する活性などが挙げられる。また細胞刺激活性を有する化合物としては、例えばペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられる。本発明のリガンド決定方法においては、THTR9タンパク質又はその部分ペプチドと試験化合物とを接触させた場合の、例えば、該タンパク質又は該部分ペプチドに対する試験化合物の結合量や、細胞刺激活性などを測定することを特徴とする。
【0076】
本発明のリガンド決定方法において、THTR9タンパク質若しくはその部分ペプチドに対する試験化合物の結合量、又は試験化合物による細胞刺激活性は、限定するものではないが、以下の(1)〜(5)に記載するいずれかの手法により測定することができる。すなわち、
(1) 標識した試験化合物を、THTR9タンパク質又はその部分ペプチドに接触させて、標識した試験化合物と該タンパク質又は該部分ペプチドとの結合量を測定する。
(2) 標識した試験化合物を、THTR9タンパク質を含有する細胞又は該細胞の膜画分に接触させて、標識した試験化合物と該細胞又は該膜画分との結合量を測定する。
(3) 標識した試験化合物を、THTR9タンパク質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したTHTR9タンパク質に接触させて、標識した試験化合物と該受容体タンパク質との結合量を測定する。
(4) 試験化合物を、THTR9タンパク質を含有する細胞に接触させて、THTR9タンパク質を介した細胞刺激活性を測定する。
(5) 試験化合物を、THTR9タンパク質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した受容体タンパク質に接触させて、THTR9タンパク質を介する細胞刺激活性を測定する。
特に、上記(1)〜(5)の試験を行ない、試験化合物がTHTR9タンパク質に結合することを確認(定性的確認)した後に、改めて、(1)〜(5)の試験方法によりその結合活性又は細胞刺激活性の定量的確認を行なうことが好ましい。
【0077】
そして、上記(1)〜(3)の試験のいずれかにより測定したTHTR9タンパク質又はその部分ペプチドと試験化合物とを接触させた場合の結合量を、該タンパク質又は部分ペプチドとリガンドではない物質とを接触させた場合の結合量(コントロール)と比較する。それにより、試験化合物と接触させた場合の結合量が、リガンドではない物質と接触させた場合の結合量の、約120%以上、好ましくは約150%以上、例えば120〜300%である場合に、該試験化合物をリガンドと決定する。ここで、「リガンドではない物質」としては、サッカリン、ステビアなどの人工甘味料などを挙げることができる。
【0078】
あるいは、上記(4)又は(5)の試験により測定したTHTR9タンパク質又はその部分ペプチドと試験化合物とを接触させた場合の細胞刺激活性を、リガンドではない物質と接触させた場合又は試験化合物と接触させていない場合の細胞刺激活性(コントロール)と比較する。それにより、試験化合物と接触させた場合の結合量が、リガンドではない物質と接触させた場合又は試験化合物と接触させていない場合の細胞刺激活性の、約120%以上、好ましくは約150%以上、より好ましくは約300%以上、例えば120〜300%である場合に、該試験化合物をリガンドと決定する。ここで、試験化合物と接触させない場合の細胞刺激活性は、上記(4)又は(5)の試験において、試験化合物を接触させずに、THTR9タンパク質を含有する細胞又は該タンパク質を細胞膜上に発現する細胞の細胞刺激活性を測定することにより、決定することができる。
【0079】
リガンド決定方法に用いるTHTR9タンパク質としては、上記した本発明のTHTR9タンパク質又はその部分ペプチドを含有するものであればいずれのものであってもよいが、動物細胞を用いて大量発現させたTHTR9タンパク質が適している。本発明のTHTR9タンパク質の製造方法は、上記「2.本発明のTHTR9タンパク質及びそれをコードする遺伝子」の項目の「(3)THTR9タンパク質の生産」の項に詳述したが、THTR9タンパク質をコードするDNAを哺乳動物細胞又は昆虫細胞で発現させて製造することが好ましい。
【0080】
本発明のリガンド決定方法において、THTR9タンパク質を含有する細胞を用いる場合には、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法は、当技術分野で公知の方法に従って行なうことができる。THTR9タンパク質を含有する細胞としては、THTR9タンパク質を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが用いられる。細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、当技術分野で公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したTHTR9タンパク質と細胞由来のリン脂質や膜タンパク質などの膜成分が多く含まれる。THTR9タンパク質を含有する細胞又はその膜画分中のTHTR9タンパク質の量は、1細胞当たり10〜10分子であるのが好ましく、10〜10分子であるのがさらに好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
【0081】
本発明のTHTR9タンパク質に対するリガンドを決定する上記の(1)〜(5)の手法を実施するためには、適当なTHTR9タンパク質画分と、標識した試験化合物が必要である。THTR9タンパク質画分としては、天然型のTHTR9タンパク質画分、又はそれと同等の活性を有する組換え型THTR9画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などを示す。標識した試験化合物としては、〔H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などの放射性同位体、フルオレセイン、スルホローダミン、テトラメチルローダミンなどの蛍光標識、ルシフェリンなどの化学発光標識で標識した呈味物質(例えばショ糖、ブドウ糖、果糖)などが好適である。
【0082】
本発明のTHTR9タンパク質に対するリガンドを決定するには、まずTHTR9タンパク質を含有する細胞又は細胞の膜画分を、リガンド決定方法に適したバッファーに懸濁することによりTHTR9溶液を調製する。バッファーは、リガンドとTHTR9タンパク質との結合を阻害しないものであればいずれでもよい。例えば、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどが挙げられる。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤、ウシ血清アルブミン又はゼラチンなどの各種タンパク質をバッファーに加えてもよい。さらに、プロテアーゼによるTHTR9又はリガンドの分解を抑制するために、PMSF、ロイペプチン、E−64、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加してもよい。上記THTR9溶液に、一定量の標識で標識した試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために、過剰量の未標識の試験化合物を加えた反応チューブも用意する。反応の温度及び時間は、THTR9量、試験化合物量などを考慮して適宜決定する。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する標識量を計測する。放射性同位体で標識した場合には、放射活性を、例えば液体シンチレーションカウンター、γ−カウンターなどにより計測することができる。蛍光標識した場合には、蛍光強度を、例えば蛍光プレートリーダー、蛍光レーザースキャナーなどにより計測することができる。全結合量(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B−NSB)が0cpmを越える試験化合物を本発明のTHTR9タンパク質に対するリガンドとして選択することができる。
【0083】
本発明のTHTR9タンパク質に対するリガンドを決定する上記の(1)〜(5)の手法を実施するためには、該受容体タンパク質を介する細胞刺激活性を公知の方法又は市販の測定用キットを用いて測定することができる。ここで細胞刺激活性としては、例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内カルシウム遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性又は抑制する活性などが挙げられる。具体的には、まず、THTR9タンパク質を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。リガンド決定を行なうにあたっては前もって新鮮な培地又は細胞に毒性を示さない適当なバッファーで交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出又は上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
上述のようにして決定されたリガンドは、THTR9に結合して味覚として感知されるため、該リガンドを含有する食品用組成物は、食品の分野で、調味料、加工食品などにおいて利用することができる。
【0084】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は下記実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
〔実施例1〕脳組織由来GPCRの発現確認
ヒトゲノムプロジェクトのデータベースより検索された既知の味覚受容体14種(THTR1、THTR3、THTR5;T2R1、T2R3、T2R4、T2R5、T2R7、T2R8、T2R9、T2R10、T2R13、T2R14、T2R16)と、データベースから推定した推定味覚受容体(THTR9)について、その遺伝子情報を基にプライマーを設計し、ゲノムDNA、及び種々の組織由来のcDNAから遺伝子の発現確認を行った。
【0085】
具体的に説明すると、脳、肺、心臓、胃、膵臓、腎臓及び胎盤組織由来のRNAは市販されているものから得た(Clontech社)。これらの組織のRNAから逆転写酵素(GIBCO BRL社製のSuperscript II)を用いてcDNAを作製し、このcDNA及びゲノムDNAを鋳型として、味覚受容体の5’側及び3’側の塩基配列のそれぞれ19〜26塩基を基にしてプライマーを設計した。そのプライマー配列を以下に示す。プライマーの名称は、味覚受容体名/F又はR(Fはフォーワード、Rはリバースを表す)で記載する。
【0086】
Figure 2004049043
Figure 2004049043
上記PCRプライマーとTaq polymeraseを用いて、変性温度95℃で1分間、アニーリング温度59℃で1分間、伸長温度72℃で1分間、反復回数35回でPCRを行い、標的の味覚受容体遺伝子を増幅した。増幅した遺伝子を、アガロース電気泳動法及びエチジウムブロマイド染色法により染色して紫外線下でゲル画像を得た(図2〜8)。
【0087】
図2に示すように、脳、肺、心臓、胃、膵臓、腎臓及び胎盤組織より得たcDNAをPCR法で増幅した場合には、味覚受容体遺伝子(THTR5及び推定味覚受容体THTR9)が増幅されて、味覚受容体遺伝子の存在を確認することができた(図2B及びC)。
また試験した14種のGPCRのうち、THTR1(図3)以外の13種は脳組織において発現していることが認められた(図3、4、7及び8を参照)。
【0088】
またヒト心臓由来のcDNAにおいて発現確認を行った4種のGPCRのうち、1種(THTR9)の発現を検出することができた(図6)。またヒト腎臓由来のcDNAにおいて発現確認を行った3種のGPCRのうち、2種(T2R14及びT2R16)は発現を検出することができた(図7)。さらにヒト血管内皮組織(臍帯)由来のcDNAにおいて発現確認を行った3種のGPCRのち、1種(T2R16)は発現を検出することができた(図7)。
【0089】
一方、ゲノムDNAにおいて発現確認を行った4種のGPCRのうち、1種類しか発現を検出することができなかった(図5)。
従って、通常は舌組織で発現している味覚受容体タンパク質を、その遺伝子に関しては、他の組織においても検出することができた。
【0090】
〔実施例2〕THTR9の単離
本実施例は、新規なGPCRの単離に関するものである。この新規なGPCRをTHTR9と称する。
(1)THTR9のクローニング
上記実施例1で得られたPCR増幅産物をアガロースゲル精製法により精製後、Invitrogen社のZeroBluntTOPOクローニングキットを用いて付属のマニュアルに従ってクローニングを行った。
【0091】
カナマイシンを含むLB平板培地上にできた89個の大腸菌のコロニーより、10コロニーをカナマイシンを含んだ液体LB培地で一晩振盪培養してTHTR9が挿入されたベクターを持つ大腸菌を増殖した。増殖した大腸菌は遠心操作によって集め、キアゲン社のQIAprep Miniprep kitを用いてプラスミドの精製を行った。精製したベクター中にTHTR9塩基配列の挿入の有無を調べるため、ベクター中のPCR産物挿入部位の上流及び下流に1つずつ存在する制限酵素EcoRI部位を利用して、制限酵素EcoRIで37℃、3時間処理することにより、ベクター中からPCR産物の切り出しをおこなった。アガロースゲル電気泳動によって目的遺伝子と同等の位置にバンドを確認した。挿入塩基配列の確認を行ったところ、培養した10コロニー全てにTHTR9と思われる長さのバンドが確認できた。「THTR9−14」、及び「THTR9−15」というクローンを選びだし、塩基配列確認のためApplied Biosystems社製ABIPRISM310オートシーケンサを用いて塩基配列の確認を行った。シーケンスの結果、そのどちらもTHTR9と同じ塩基配列であることが認められた。
【0092】
(2)塩基配列決定
THTR9の塩基配列の決定には、Applied Biosystems社製ABI PRISM 310オートシーケンサを用いた。キアゲン社のQIAprep Miniprep kitによって精製されたプラスミドは、Applied Biosystems社製のラベリングキット(DNA Sequencing kit BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready reacton)とPCRに使用するサーマルサイクラーを用いてラベリングした。使用するプライマーは、THTR9を増幅する時に用いたプライマー(THTR9/F:配列番号3、THTR9/R:配列番号4)とともに、使用したpCR 4 Blunt−TOPO ベクター中にあるM13系のプライマー(M13 primer,RV, M13 primer M3)の4種類のプライマーを用いてラベリングを行った。プライマーの配列を以下に示す:
Figure 2004049043
ラベリングされた遺伝子は付属のマニュアルに従い調製され、ABI PRISM 310オートシーケンサにセットされ、塩基配列の決定を行った。決定したTHTR9の塩基配列を配列番号1に示す。
【0093】
(3)既知味覚受容体との相同性分析
THTR9と他の味覚受容体との相同性についてはClustalW(http://clustalw.genome.ad.jp/)のサイトを利用した。THTR9とT2R受容体(T2R1,T2R3,T2R4,T2R5,T2R7,T2R8,T2R9,T2R10,T2R13,T2R14,T2R16)についてそれぞれのアミノ酸の配列を上記サイトに入力し、マルチプルアライメントによりその相同性の計算を行った。
相同性分析の結果、図1に示すように、THTR9が既知の味覚受容体と相同性を有することが判明した。
【0094】
〔実施例3〕THTR9のGPCRとしての機能確認とリガンド決定
(1)GPCRとしての機能確認
上記実施例2において得られたクローン番号THTR9−14遺伝子の下流にGα16遺伝子を融合させた。これによってTHTR9−14がどのGタンパク質と共役しても、受容体遺伝子下流に融合されたGα16との共役により、受容体刺激時に細胞内カルシウムの動員がおこることにより、受容体のリガンドが決定できる。
THTR9−14にGタンパク質αサブユニットGα16を融合する方法を以下に示す。
【0095】
THTR9−14をテンプレートにプライマーTH9−SAL/F(ACG CGT CGA CAT GATA ACT TTT CTA CCC:配列番号41)とTHTR9/R(配列番号4)を用いてタカラのEX TaqでPCRを施行した。これによってTHTR9−14の5’側には後のクローニングで使用するSal I部位が組み込まれた。また上記Gα16をテンプレートにTH9−G16(AAA GGAGAG AAG ACT TCA TCT CCA ATG GCC CGC TCG CTG ACC:配列番号42)とG16−3’K(GGA CTA GTT CAC AGC AGG TTG ATC TCG T:配列番号43)の間でPCRを施行した。このPCRによってGα16の5’側にはTHTR9の3’側の8アミノ酸分の塩基配列(THTR9−14の終止コドンは除く)と3’側には後のクローニングで必要になるSpeI部位が組み込まれる。PCR条件は、はじめに95℃3分間で変性したのち、95℃−30秒、54℃−30秒、72℃−1分の条件を25回行い、25回終了した後、72℃で7分間伸長させた。図9Aにおいて、THTR9−14をテンプレートにし、Sal I部位が組み込まれたPCR産物とGα16にTHTR9の3’側の8アミノ酸分の塩基配列とSpe I部位が組み込まれたPCR産物がシングルバンドとして認められた(それぞれレーン3及びレーン2)。
【0096】
THTR9−14とGα16との融合において、次に上記で得られたTHTR9とGα16のPCR産物(図9A中、レーン2及び3)を混合してPCRをタカラのEX Taqを用いて施行した。このとき95℃−30秒、60℃−30秒、72℃−2分を7回くりかえした。この反応液に上記プライマーTH9−SAL/F(配列番号41)とG16−3’K(配列番号43)を加えて再びPCRを施行した。このときのPCR条件は95℃−30秒、54℃30秒、72℃−2分を25回くりかえし、その後72℃で7分間伸長させて終了した。それによって得られたPCR産物は図9Bのレーン2に示した(レーン1はマーカを示している)。
【0097】
図9Bのレーン2のなかで最も濃く、大きさが約2000bpほどのバンドを精製用アガロースゲルを用いて切り出して、Invtrogen社のZero Blunt TOPO PVR Cloning kitを用いてクローニングした。得られたクローンはTHTR9−G16では9クローンであった。ここで制限酵素EcoRIを用いてインサートチェックをしたところ、6クローン中2クローンにインサートが確認された。
得られたクローンについて、ABI PRISM 310を用いてシーケンスを行った。
【0098】
5μgのTHTR9−G16を Spe IとSal Iで消化した。これを精製用アガロースゲルに泳動して、約2000bp前後のバンドの部分のゲルを、カミソリを用いて切り出した。このゲル小片をTAEとともに数cmの透析チューブに入れ、通常使用する電気泳動装置(ミューピッド)中に置き、DNAフラグメントが電気泳動によって陽極側に移動することを利用してアガロースゲル小片と、Sal I/Spe Iフラグメントに分離した。透析チューブ中のTAEに溶出したフラグメントをエタノール沈殿法によって取り出した。ここで得られたフラグメントは15μlのTEによって溶解させ、そのうちの2μlをエチジウムブロマイドを含んだアガロースゲルを用いたミューピッドで電気泳動を行い、UV光源下で、約2000bp付近に目視できるバンドを確認した。
【0099】
pBluescript II KSのマルチクローニングサイトを組み込んだpEF−BOS−KSをSpeIとSal Iで消化した。これを精製用アガロースゲルで泳動し、約6000bp前後のバンドの部分のゲルを、カミソリを用いて切り出し、アガロースゲル小片を上記と同様に処理を行った。エタノール沈殿で得られたフラグメントを上記同様に15μlのTEに溶解して、上記と同様の方法でそのフラグメントが目視できるか否かを確認した。
【0100】
それぞれで得られたインサート、ならびにベクターを1μlづつ混合して、TOYOBOのLigation highを用いて、両フラグメントを16℃にて1時間反応させた。この反応液1μlをTOYOBOのコンピテントセル Competent high DH5αに加え、氷中に30分放置後42℃で30秒間熱ショックをかけて上記ベクターをコンピテントセルに導入した。熱ショック後に900μlのSOCを加えて37℃で40分間培養した後、アンピシリンを含むL/Bプレートに塗布して、37℃で終夜培養した。プレート上にあらわれたコロニーから、10個を滅菌爪楊枝で取り上げ、そのそれぞれをアンピシリンを含む10mlのL/B液体培地に加え、終夜37℃で振盪培養した。増殖した大腸菌液の一部はグリセロールを用いて−20℃に保存した。残りの大腸菌液は4℃で6000回転10分間、遠心分離を行い、そのペレットよりQiagen社のQIAprep Miniprep kitを用いてプラスミドを得た。
インサートの確認は、TH9−SAL/Fプライマー(配列番号41)及びG16−3’Kプライマー(配列番号43)にタカラのEX Taqを用いてPCRを施行した。
【0101】
PCRは、95℃−30秒、54℃30秒、72℃−2分を25回くりかえし、その後72℃で7分間伸長させて終了した。エチジウムブロマイドを含んだアガロースゲルでPCR産物を泳動し、UV光源のもと、約2000bpのPCR産物が確認できるプラスミドを得た。
【0102】
実験に使用するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は10%熱不活化ウシ胎児血清(JRH Biosciences, Lenexa, KS)を含むHam’s F−12培地(Sigma, St. Louis, MO)にペニシリン/ストレプトマイシン(それぞれ50 U/ml及び50μg/ml;Life Technologies, Inc.)を加えて、5%CO存在下37℃で培養した。上記プラスミドのCHO細胞への導入はTransFast kit(Promega Corporation, Madison, WI)を用い、方法はそのマニュアルに従った。上記のプラスミド5μgとpEF−BOSのマルチクローニングサイトにネオマイシン耐性遺伝子を組み込んだプラスミドpEF−neoの2μgを、60mmのディッシュ(Falcon)上で培養したCHO細胞に加えた。1時間後、培養液を通常使用するHam’s F−12培地に交換して48時間培養した。その後G418(Nacalai tesque, Inc. Kyoto)400μg/mlを含む培養液で10日間培養を行い、G418に耐性のある細胞を選択し、THTR9とGα16を安定的に発現した細胞を得た。得られた細胞はクローニングシリンダーを用いて、4クローンをクローニングした。細胞中にTHTR9−G1が発現しているか否かを、それらクローンからTRIZOL(Life Technologies, Inc.)を用いて得られたTotal RNAより、oligo−dTと逆転写酵素Superscript II(Life Technologies, Inc.)を用いたRT−PCRを施行した。上記でも使用したTH9−SAL/Fプライマー(配列番号41)及びG16−3’Kプライマー(配列番号43)を用いて、タカラのEX Taqを用いてPCRを施行した。PCRは95℃−30秒、54℃30秒、72℃−2分を25回くりかえし、その後72℃で7分間伸長させて終了した。エチジウムブロマイドを含んだアガロースゲルでPCR産物を泳動し、UV光源のもと、約2000bpのPCR産物が確認できる細胞を得た。得られた細胞は200μg/ml G418を含む培地で培養した。
【0103】
細胞に発現したGα16をウェスタンブロッティング法によって確認した。60mmのディッシュ(Falcon)上に培養した細胞をダルベッコリン酸緩衝化生理食塩水(PBS;Sigma)を用いて一回洗浄し、細胞をラバーポリスマンを用いて集め0.25mlの1×SDSサンプルバッファー(50 mM Tris−HCl, pH 6.8, 6% 2−メルカプトエタノール, 2% SDS, 0.1% ブロムフェノールブルー, 10%グリセロール)に溶解した。この細胞溶解液をソニケーター(Tomy Sonifier)を10秒間用いて超音波処理を行った。超音波処理を行った細胞溶解液を15000rpmで5分間室温で遠心し、遠心上清を12% SDS−ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行った。泳動が終了したゲルはポリビニリデンジフルオリド膜(0.2μm, FluorotransTM, Pall Corp.)に電気的に転写した。この膜は5%のスキムミルクと0.1% Tween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)を含むPBSでブロッキングした。マウスのGα15のC末端側の17個のアミノ酸(802 QEHLGHPLPQQDGHPGR 855:配列番号44)の配列をもとにして作製されたペプチドに対する家兎抗体(Biologica Co., Nagoya, Japan)を1:1,000に希釈したPBS(5%のスキムミルクと0.1% Tween 20を含む)中に、ゲルを転写した膜を室温で2時間作用させた。
【0104】
その後、この膜は0.1% Tween 20を含むPBSで3回洗い、HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)ラベルの抗ウサギIgG抗体(BioRad, 1:5,000希釈)を含むPBS(0.5%スキムミルクと0.1% Tween 20を含む)に室温で2時間反応させた。0.1% Tween 20を含むPBSで膜を3回洗い、ECL化学発光ウエスタンブロット検出キット(Amersham)を用いてGα16のバンドを確認した。
【0105】
(2)リガンド決定
THTR9発現が確認されたCHO細胞を24ウエルのマルチプレートで培養した。2〜4日前後で細胞数がコンフルエントになった。
今まで使っていた培養液を捨てて、0.5mlのPBSで一回ウエルを洗った。ウエルが乾かないうちにグルコースやフルクトースなどの呈味物質を含む培養液(CHO細胞ではHam F−12を使用)を0.2ml、静かに培養細胞を剥がさないように加えた。5%CO存在下、37℃で4時間培養した(リガンドによる4時間の刺激)。4時間後、培養液を回収し、遠心によって細胞残渣を取り除いて遠心上清中のPGE2をCayman社製のProstaglandin E2 EIA測定キットを用いて測定した。結果は、ウエルあたりのPGE2産生量で比較した。
【0106】
ここでコントロール(呈味物質を添加してない、又は水などリガンドとならない物質を添加して培養した細胞群)と比較して、120〜150%以上CHO細胞からのPGE2産生の増大があった呈味物質について再度同様の測定を行った。その後、濃度応答曲線を作成できるように呈味物質の濃度を変更して再度測定を行った。
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、Gタンパク質共役型受容体遺伝子単離方法において、該Gタンパク質共役型受容体が通常発現している組織以外の組織に由来するRNAを用いることによって、ほとんど入手不可能な組織を用いることなく、ヒトの特定の遺伝子(GPCR)を単離することができる。
また、本発明によれば、将来的に、新規に作成されたデータベースを用いて、既知又は未知を問わずにGPCR遺伝子を単離及び取得することができるため、GPCR遺伝子の取得と解析、GPCRのリガンド決定に有用である。
【0108】
【配列表】
Figure 2004049043
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【0109】
【配列表フリーテキスト】
配列番号3〜36:合成オリゴヌクレオチド
配列番号37:合成オリゴヌクレオチド
配列番号38:合成ペプチド
配列番号39〜43:合成オリゴヌクレオチド
配列番号44:合成ペプチド
【図面の簡単な説明】
【図1A】THTR9のアミノ酸配列と既知の味覚受容体(T2R1、T2R3、T2R4、T2R5、T2R7、T2R8、T2R9、T2R10、T2R13、T2R14及びT2R16)のアミノ酸配列とのマルチプルアライメントを行った結果を示す図である。
【図1B】THTR9のアミノ酸配列と既知の味覚受容体(T2R1、T2R3、T2R4、T2R5、T2R7、T2R8、T2R9、T2R10、T2R13、T2R14及びT2R16)のアミノ酸配列とのマルチプルアライメントを行った結果を示す図である。(図1Aの続き)
【図2】THTR1(A)、THTR9(B)及びTHTR5(C)を基に設計したプライマーを用いて種々の組織由来のcDNAを鋳型として行ったPCRにより増幅された断片の電気泳動写真を示す図である。
1:脳、2:肺、3:心臓、4:胃、5:膵臓、6:腎臓、及び7:胎盤
【図3】THTR1及びTHTR5、並びにT2R1、T2R5及びT2R8を基に設計したプライマーを用いて脳組織由来のcDNAを鋳型として行ったPCRにより増幅された断片の電気泳動写真を示す図である。
【図4】T2R3、T2R4、T2R7、T2R9、T2R10、T2R13、T2R14及びT2R16を基に設計したプライマーを用いて脳組織由来のcDNAを鋳型として行ったPCRにより増幅された断片の電気泳動写真を示す図である。
【図5】THTR1、並びにT2R5、T2R14及びT2R16を基に設計したプライマーを用いてヒトゲノムDNAを鋳型として行ったPCRにより増幅された断片の電気泳動写真を示す図である。
【図6】THTR1及びTHTR9、並びにT2R14及びT2R16を基に設計したプライマーを用いて心臓組織由来のcDNAを鋳型として行ったPCRにより増幅された断片の電気泳動写真を示す図である。
【図7】THTR1、THTR3、THTR5及びTHTR9、並びにT2R14及びT2R16を基に設計したプライマーを用いて脳、臍帯及び腎臓組織由来のcDNAを鋳型として行ったPCRにより増幅された断片の電気泳動写真を示す図である。
レーン1:T2R14(臍帯)、レーン2:T2R16(臍帯)、レーン3:T2R14(腎臓)、レーン4:T2R16(腎臓)、レーン5:THTR3(脳)、レーン6:THTR5(脳)、レーン7:THTR1(臍帯)、レーン8:THTR1(腎臓)、L:マーカー
【図8】THTR1、THTR3、THTR5及びTHTR9、並びにT2R14を基に設計したプライマーを用いて脳及び臍帯組織由来のcDNAを鋳型として行ったPCRにより増幅された断片の電気泳動写真を示す図である。
レーン1:THTR3(脳)、レーン2:THTR5(脳)、レーン3:THTR9(脳)、レーン4:THTR1(臍帯)、レーン5:THTR1(腎臓)、レーン6:T2R14(臍帯)、L:マーカー
【図9】THTR9−14とGα16との融合において得られたPCR断片の電気泳動写真を示す図である。
(A)レーン1:マーカー、レーン2:SalI部位が組み込まれたPCR産物、レーン3:Gα16にTHTR9の3’側の8アミノ酸分の塩基配列とSpeI部位が組み込まれたPCR産物
(B)レーン1:マーカー、レーン2:THTR9とG16αが融合したPCR産物

Claims (15)

  1. Gタンパク質共役型受容体遺伝子を単離する方法であって、以下のステップ:
    (a) 既知のGタンパク質共役型受容体遺伝子若しくはその周辺領域の配列情報、又は推定したGタンパク質共役型受容体遺伝子の配列情報を基にプライマーを設計するステップ、
    (b) 上記設計したプライマーを用いて、該Gタンパク質共役型受容体が発現する組織以外の組織に由来するcDNAライブラリーを鋳型とした増幅反応を行って、得られた増幅断片をクローニングするステップ、及び
    (c) 上記クローニングした遺伝子がGタンパク質共役型受容体としての機能を有するかどうかを確認するステップ、
    を含むことを特徴とするGタンパク質共役型受容体遺伝子の単離方法。
  2. Gタンパク質共役型受容体が舌組織で発現するものである請求項1記載の方法。
  3. Gタンパク質共役型受容体が味覚受容体である請求項1又は2記載の方法。
  4. Gタンパク質共役型受容体が発現する組織以外の組織が脳組織である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 以下の(a)又は(b)のタンパク質。
    (a) 配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質
    (b) 配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された配列を含み、かつ、Gタンパク質共役型受容体として機能するタンパク質
  6. ヒト由来のものである請求項5記載のタンパク質。
  7. 味覚受容体である請求項5又は6記載のタンパク質。
  8. 以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子。
    (a) 配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質
    (b) 配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された配列を含み、かつ、Gタンパク質共役型受容体として機能するタンパク質
  9. 以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子。
    (a) 配列番号1に示される塩基配列からなるDNA
    (b) 配列番号1に示される塩基配列の全部若しくは一部の配列に相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、Gタンパク質共役型受容体として機能するタンパク質をコードするDNA
  10. 請求項8又は9記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
  11. 請求項10記載のベクターを含む形質転換体。
  12. 請求項11記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からGタンパク質共役型受容体タンパク質を採取することを特徴とするGタンパク質共役型受容体タンパク質の製造方法。
  13. 請求項5〜7のいずれか1項に記載のタンパク質又はその部分ペプチドと試験化合物とを接触させたときの結合量又は細胞刺激活性が、
    該タンパク質若しくは部分ペプチドと接触させていない場合又はリガンドではない物質と接触させた場合と比較して120%以上となる、請求項5〜7のいずれか1項に記載のタンパク質に対するリガンド。
  14. 請求項13記載のリガンドを含有することを特徴とする食品用組成物。
  15. 請求項5〜7のいずれか1項に記載のタンパク質又はその部分ペプチドと試験化合物とを接触させ、それらの結合量又は細胞刺激活性を測定することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載のタンパク質に対するリガンドの決定方法。
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