JP2004043539A - ポリエステル組成物およびこの組成物からなるフィルムならびにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールを反応させてポリエステル組成物を製造する方法において、不活性微粒子を含むエチレングリコールスラリーを、エステル化反応またはエステル交換反応終了後から重縮合反応までに添加し、触媒としてポリエステルに可溶なチタン化合物および一般式
R1OC(O)XP(O)(OR2)2
(式中R1,R2は炭素数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−または―CH(Y)−(Yはフェニル基))で表わされるホスホネート化合物を使用し、生成するポリエステル組成物中のチタンとリン濃度、不活性粒子スラリーの添加量、スラリー中の金属濃度を制御することによって、触媒および不活性粒子の析出を抑制する。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル組成物およびこの組成物からなるフィルムならびにそれらの製造方法に関する。更に詳しくは、フィルム製造時の触媒金属および不活性微粒子の凝集に起因する析出異物抑制性に優れ、熱安定性に優れた磁気記録媒体ベースフィルムに好適なポリエステル組成物およびこの組成物からなる二軸配向ポリエステルフィルムならびにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートに代表されるポリエステルは、優れた物理的または化学的特性を有することから、磁気記録媒体用ベースフィルムなどのフィルムに好適に用いられている。磁気用テープにおいては、ベースフィルム表面上の欠点(粗大突起)やフィルム耐熱性が電磁変換特性や走行性に影響を与える為、粗大突起のない高平坦性および耐熱性が要求されている。フィルム表面に粗大突起が形成される原因としては、第一にフィルムを得る製膜工程やその後の加工工程において、フィルムの取扱い性を高めるためにポリエステル中に添加している不活性粒子が凝集し、粗大凝集粒子を形成することが挙げられる。また、第二にポリエステルの製造時に添加する触媒が、得られたポリエステル組成物ならびにフィルム中で析出し、その析出によって粒径の大きな粗大析出粒子を形成することが挙げられる。特に後者の粗大析出粒子は、他の触媒に比べ、重合速度が速く、優れた熱安定性を有するポリエステルが得られることから汎用されているアンチモン化合物で発生しやすい。これらの粗大凝集粒子や粗大析出粒子といった粗大粒子が例えば磁気テープ用のベースフィルム中に存在すると、得られる磁気テープの重要なフィルム品質(例えば電磁変換特性やドロップアウト)を損なうことになる。
【0003】
不活性粒子の凝集を抑制する方法としては、特許第2056014号公報において凝集しにくい不活性粒子の採用、例えば特定の比表面積および細孔容積を持つ多孔質シリカの採用や特開2001−48969号公報において粒子表面ゼータ電位をもつ不活性粒子の採用が開示されており、また特開平2−185522号公報において添加する不活性粒子中の粗大粒子を減らす方法、例えば不活性粒子をスラリーに分散し、スラリー中に存在する粗大粒子を減らしてから、ポリエステルに添加する方法が開示されている。
【0004】
また、触媒の析出を抑制する方法としては、例えば特開平6−340734号公報にカルシウム化合物、マグネシウム化合物、アンチモン化合物およびリン化合物を触媒および安定剤として用い、その含有量および比率を特定の範囲とすることが開示されている。
【0005】
これらの方法によれば、従来のポリエステル組成物に比べ、粗大突起数の比較的少ないフィルムが得られることが報告されている。しかし、これらの触媒を使用した場合、触媒および安定剤の比率に対するポリマー熱安定領域が狭く、またアルミナ、チタニア、炭酸カルシウム等の不活性微粒子を添加する系においては、溶融時に溶出する金属イオン成分に起因する重縮合反応速度の遅延や、得られたポリマーを乾燥・溶融した際にポリマー劣化が大きくなる現象が確認されている。この現象を抑制するには、リン化合物に代表される酸化防止剤を多量に添加する必要があるが、同時に粗大凝集粒子が増加してしまう問題があり改善が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アルミナ、カオリナイト、チタニア、炭酸カルシウムおよびタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性粒子を添加するポリエステル組成物において、触媒および不活性粒子の析出・凝集粒子の発生を抑制し、優れた熱安定性を有するポリエステル組成物の製造方法およびこの組成物からなるフィルムならびにそれらの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、ポリエステル製造時の触媒および酸化防止剤の種類と含有比率を特定化する製造方法により、触媒の析出および不活性粒子の凝集を抑制し、優れた熱安定性を有するポリエステル組成物およびポリエステルフィルムが得られる事を見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、芳香族ジカルボン酸を主とするジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族グリコールを主とするグリコールを反応させてポリエステル組成物を製造する方法において、アルミナ、カオリナイト、チタニア、炭酸カルシウムおよびタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性粒子を含むエチレングリコールスラリーをエステル化反応またはエステル交換反応終了後から重縮合反応前までに添加し、(A)主触媒としてポリエステルに可溶なチタン化合物および(B)リン化合物として下記式(I)で表されるホスホネート化合物を用い、かつ(C)ポリエステル中の該チタン化合物と該リン化合物とを、下記式(1)(2)ともに満足する量を用いることを特徴とするポリエステル組成物の製造方法である。
【0009】
【化3】
R1OC(O)XP(O)(OR2)2 ・・・(I)
(ここで、式中の、R1およびR2は炭素原子数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−または―CH(Y)−(Yはフェニル基を示す。)であり、R1およびR2はそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
【0010】
【数5】
2<P−Ti≦120 ・・・(1)
【0011】
【数6】
0.02≦S*W/(P−Ti)≦0.2 ・・・(2)
(ここで、式(1)(2)中の、Tiは組成物中のポリエステル可溶チタン化合物のチタン元素としての濃度(単位:ppm)、Pは組成物中のリン化合物のリン元素としての濃度(単位:ppm)、Sは不活性粒子スラリーの分離液中に含まれる総金属元素としての濃度(単位:ppm)、Wはポリエステル組成物を基準とした不活性粒子スラリーの添加量(単位:重量%)をそれぞれ示す。)
また、本発明は、前記製造方法によって得られるポリエステル組成物である。さらに、本発明は好ましい態様として、さらに、ポリエステルの全繰返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート成分、またはアルミナ、カオリナイト、チタニア、炭酸カルシウムおよびタルクからなる群より選ばれる不活性粒子の平均粒径が2.0μm以下であって、得られるポリエステル組成物に対して合計で0.01〜10重量%の含有量であるポリエステル組成物およびその製造方法も包含する。
【0012】
また、本発明は、上述のポリエステル組成物からなり、フィルム表面上に存在する長径10μm以上の粗大突起数が10個/cm2以下である二軸配向ポリエステルフィルムであり、上述のポリエステル組成物を溶融状態でシート状に押出し、得られたシート状物を直交する2方向に延伸する、または上述のポリエステル組成物1〜99重量%と他のポリエステル組成物99〜1重量%とを溶融状態で混練してからシート状に押出し、得られたシート状物を直交する2方向に延伸する二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成をさらに詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とする芳香族ポリエステルである。このポリエステルは実質的に線状で、フィルム形成性を有するものであれば特に制限はされないが、溶融成形によるフィルム形成性を有するものが好ましい。ポリエステルを形成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸などを挙げることができ、これらの中でもテレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。また、ポリエステルを形成する脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコールなどの炭素数2〜10のポリメチレングリコールあるいはシクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオールを挙げることができ、これらの中でもエチレングリコールが好ましい。
【0014】
本発明で使用する具体的なポリエステルとしては、全繰返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート成分からなるポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称することがある。)または全繰返し単位の80モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレート成分からなるポリエチレン−2,6−ナフタレート(以下、PENと称することがある。)を特に好ましく挙げることができる。
本発明におけるポリエステルは、表面平坦性や乾熱劣化性を損なわない範囲、例えば全繰返し単位の20モル%未満をエチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレート以外の成分に置き換えた共重合体であってもよい。具体的にはテレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸の一部を、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸などのうち、主たる構成成分以外の成分により形成される芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸としてもよい。また、エチレングリコールの一部をハイドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ジヒドロキシジメチルベンゼンなどの芳香環を有するジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール(ポリオキシアルキレングリコール)などとしてもよい。さらにまた、繰返し単位であるエチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレートの一部を、ヒドロキシ安息香酸などの芳香族オキシ酸または−ヒドロキシカプロン酸などの脂肪族オキシ酸などのオキシカルボン酸に由来する成分としてもよい。さらに、本発明におけるポリエステルは、分子鎖が実質的に線状であるかぎり、全酸成分に対し2モル%以下の量で、例えばトリメリット酸やペンタエリスリトールといった3官能以上のポリカルボン酸やポリヒドロキシ化合物を共重合したものであってもよい。
【0015】
また、本発明で使用するポリエステルは、ο−クロロフェノールを溶液として35℃で測定して求めた固有粘度が約0.5dl/g〜0.8dl/gのものが好ましく、さらに0.55dl/g〜0.75dl/g、特に0.60dl/g〜0.70dl/gの範囲が好ましい。固有粘度が0.50dl/g未満であるとフィルムの耐衝撃性が不足しやすい。他方、固有粘度が0.80dl/gを超えると、原料ポリマーの固有粘度を過剰に引き上げなくてはならず、製造工程が煩雑になりやすい。
【0016】
本発明のポリエステル組成物は、平均粒径が2.0μm以下のアルミナ、カオリナイト、チタニア、炭酸カルシウムおよびタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性粒子を、ポリエステル組成物を基準として合計で0.01〜10重量%含有することが必要である。不活性粒子の含有量が0.01重量%未満だと、本発明におけるチタン化合物やリン化合物の効果が発現しにくくなり、またフィルムの滑り性が乏しいことから、フィルムの製膜工程あるいはその後のフィルムの加工工程での取り扱い性が極めて悪くなる。一方、不活性粒子の含有量が10重量%を超えると、ポリマー製造時の効率が悪くなり、また不活性粒子の凝集を抑制することが極めて困難となる。
【0017】
不活性粒子の平均粒径の上限は2.0μm、好ましくは1.5μm以下である。一方、不活性粒子の平均粒径の下限は特に制限されないが、平均粒径が小さくなると不活性粒子が凝集しやすくなるので、0.01μm以上、さらには0.05μm以上であることが好ましい。不活性粒子の平均粒径が2.0μmを超えると、フィルムの表面平坦性が低下し、磁気テープ用としてフィルム品質に問題が生じる。ここで、平均粒径とは、各粒径の不活性粒子とその存在量との積算曲線から、50体積%に相当する「等価球直径」を指す。
【0018】
本発明で用いられる不活性粒子としては、アルミナ、カオリナイト、チタニア、炭酸カルシウム、タルク、ジルコニアなどの無機粒子が挙げられる。これらの中でも、その表面にポリマー親和性がある水酸基を持つ不活性無機粒子としてアルミナ、カオリナイトおよびチタニアからなる群より得られる少なくとも1種であることが特に好ましい。なお、本発明において、ポリエステル組成物中に含有される不活性粒子は、1種類に限られず、2種類以上であっても良い。
【0019】
本発明におけるポリエステル組成物には、ポリエステル製造時の触媒として、少量でも高い重合活性を有し、かつポリエステルに可溶なチタン化合物を使用することが必要である。ここでポリエステルに可溶なチタン化合物とは、有機チタン化合物を意味し、具体的にはチタニウムテトラブトキシド、トリメリット酸チタン、テトラエトキシチタン、硫酸チタン、塩化チタンを好ましく例示することができる。これらの中でも、特にチタニウムテトラブトキシドおよびトリメリット酸チタンが好ましい。
【0020】
本発明におけるチタン化合物の添加量は、ポリエステル組成物の重量を基準として、チタン元素換算で5〜25ppmの範囲であることが好ましく、より好ましくは6〜22ppmの範囲、特に好ましくは8〜20ppmの範囲である。チタン化合物の添加量が5ppmに満たない場合、ポリエステル製造時の生産性が遅延し、一方25ppmを超えると、フィルム乾燥時または溶融時の熱劣化が激しく、目標とするフィルム品質を得られない。すなわち、本発明の特徴の1つは、触媒量を重合反応を維持できる範囲で、極微量に限定することにある。なお、チタン化合物以外の触媒化合物、例えばアンチモン化合物,ゲルマニウム化合物等をチタン化合物と併用してもよいが、触媒析出や滑剤凝集が発生しやすくなることから、極力避けるべきである。ポリエステルに可溶なチタン化合物以外の触媒を併用する場合は、その含有量をポリエステル組成物の重量を基準として、5ppm以下とすることが好ましい。
【0021】
本発明の特徴の1つは、ポリエステルの酸化防止剤として特定のリン化合物を特定量用いることにあり、以下に詳述する。従来の酸化防止剤を用いた場合、重合反応速度の遅延や乾燥・溶融時のポリマー劣化、滑剤粒子の凝集を同時に抑制することが困難であったが、本発明では下記一般式(I)で表されるホスホネート化合物を使用することで、これらの問題を解消するに至った。
【0022】
【化4】
R1OC(O)XP(O)(OR2)2 ・・・(I)
(ここで、式中の、R1およびR2は炭素原子数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−または―CH(Y)−(Yはフェニル基を示す。)であり、R1およびR2はそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
式(I)で表されるホスホネート化合物の中でも、アルキルホスホネート化合物が好ましく例示され、これらの中でも特にトリエチルホスホノ酢酸が好ましい。
【0023】
本発明のポリエステル組成物におけるリン化合物の添加量は、ポリエステル組成物の重量を基準として7〜145ppmの範囲であることが好ましい。リン化合物の添加量が7ppmに満たない場合、触媒の失活が不十分なため、フィルム乾燥時や溶融時の熱劣化が生じる。また、リン化合物の添加量が145ppmを超える場合、リン化合物自体が粗大凝集粒子となり、フィルム表面の平坦性が低下するといった問題が生じる。
【0024】
本発明の最大の特徴は、ポリエステル組成物中に含まれるリン化合物とチタン化合物との含有量差(P−Ti)、および総金属元素含有量と、リン化合物とチタン化合物との含有量差との比(S*W/(P−Ti))を下記式(1)(2)で表されるように特定範囲化することである。
【0025】
【数7】
2<P−Ti≦120 ・・・(1)
【0026】
【数8】
0.02≦S*W/(P−Ti)≦0.2 ・・・(2)
(ここで、式(1)(2)中の、Tiは組成物中のポリエステル可溶チタン化合物のチタン元素としての濃度(単位:ppm)、Pは組成物中のリン化合物のリン元素としての濃度(単位:ppm)、Sは不活性粒子スラリーの分離液中に含まれる総金属元素としての濃度(単位:ppm)、Wはポリエステル組成物を基準とした不活性粒子スラリーの添加量(単位:重量%)をそれぞれ示す。)
また、ここで、不活性粒子スラリーの分離液とは、遠心分離処理により、不活性粒子を含むエチレングリコールスラリーから不活性粒子を除いた液を指し、不活性粒子スラリーの分離液中に含まれる総金属元素とは、分離液に溶出した金属イオンを指す。
リン化合物とチタン化合物との含有量差(P−Ti)が式(1)を満たすことによって、リン化合物が本来の触媒失活効果を最大限に発揮しつつ、過剰なリン化合物によってフィルム特性の低下を抑制することが可能となる。すなわち、リン化合物とチタン化合物との含有量差(P−Ti)が2ppm以下の場合は、チタン化合物の触媒活性を十分に失活することができず、フィルム乾燥時や溶融時の熱劣化が生じる。また、リン化合物とチタン化合物との含有量差(P−Ti)が120ppmを超える場合、過剰なリン化合物が粗大凝集粒子となり、フィルム表面の平坦性が低下するといった問題が生じる。
【0027】
また、詳細な機構はまだ解明されていないが、不活性粒子スラリー中に含まれる金属量によって、得られるポリエステルの熱劣化性が変化する事が確認されており、総金属元素含有量と、リン化合物とチタン化合物との含有量差との比(S*W/(P−Ti))が式(2)を満たすことによって、チタン触媒を失活させた残りのリン化合物が、溶出金属イオンを補足し、ポリエステルの熱劣化を抑制することが可能となる。すなわち、総金属元素含有量と、リン化合物とチタン化合物との含有量差との比(S*W/(P−Ti))が0.2を超えると、不活性粒子スラリーに含まれる金属によってポリエステルの熱劣化が生じる。
【0028】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、前述のポリエステル組成物からなる二軸配向ポリエステルフィルム、あるいは前述のポリエステル組成物1〜99重量%と他のポリエステル組成物99〜1重量%とのブレンドフィルムのいずれも包含される。本発明におけるブレンドフィルムは、前述のポリエステル組成物30〜99重量%と他のポリエステル組成物70〜1重量%とのブレンドであることがさらに好ましい。また、一方の表面が前述のポリエステル組成物、別の表面が他のポリエステル組成物となるように積層した2層以上の積層フィルムなども本発明に包含される。
【0029】
ここで、他のポリエステル組成物とは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とする芳香族ポリエステルである。このポリエステルは実質的に線状で、フィルム形成性を有するものであれば特に制限はされないが、溶融成形によるフィルム形成性を有するものが好ましい。また、不活性粒子の凝集を抑えやすいことから、前述のポリエステル組成物と同様にポリエステルに可溶なチタン化合物を主触媒として用いていること、および/または不活性粒子を含まないポリエステル組成物であることが好ましい。
【0030】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、前述の粗大粒子の少ないポリエステル組成物で少なくとも一方の表面が形成されており、該ポリエステルフィルム表面上に存在する長径10μm以上の粗大突起数が10個/cm2以下であることが好ましい。粗大突起数が10個を超える場合は、フィルム表面の平坦性が低下し、ベースフィルムに特に平坦な表面を要求する磁気記録媒体に好適に使用することができない。ここで、長径とは粗大突起の粒子径の最大値を指す。
【0031】
次に、本発明のポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について以下に詳述する。
【0032】
本発明におけるポリエステル組成物は、従来より公知のポリエステルを製造する方法で製造できる。例えば、ナフタレンジカルボン酸エステルまたはテレフタル酸エステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合反応を行う方法、または、ナフタレンジカルボン酸またはテレフタル酸とエチレングリコールとを脱水反応、いわゆる直接エステル化反応させた後、重縮合反応を行う方法を採用すればよい。
【0033】
本発明におけるチタン化合物の添加時期は、製造するポリマーの固有粘度が0.2dl/gに到達するまでの間であり、通常、エステル化反応またはエステル交換反応終了後から重縮合反応前までの間である。エステル交換反応を経由して重縮合反応を行うエステル交換法では、エステル交換反応の開始前に、エステル交換反応触媒として添加してもよい。なお、エステル交換反応触媒としてチタン化合物を添加する場合は、反応を加圧下で行うことが、チタン化合物の添加量を少なくできる点から好ましい。
【0034】
本発明におけるリン化合物の添加時期は、特に指定は無く、重縮合反応開始前の任意の段階で、添加することができる。また添加方法は一度に添加しても複数回に分けて添加しても良い。
【0035】
本発明における不活性粒子の添加時期は、不活性粒子の凝集抑制や熱分解による形状変化を抑制する為に、エステル交換反応またはエステル化反応が実質的に終了した後であって、重縮合反応開始前までに添加することが好ましい。
【0036】
以下に、一例としてポリエステル組成物の製造方法について説明する。まず、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールおよびエステル交換反応触媒をエステル交換反応槽(以下、EI槽と称すことがある)に仕込み140〜250℃まで加熱する。この反応は常圧下でも加圧下で行っても良い。次いで必要に応じて溶液又はスラリー形態のリン化合物、不活性粒子、チタン化合物を添加する。この後、重合反応槽(以下、PA槽と称すことがある)に移し、減圧下で250〜300℃まで加熱し、0.5〜0.8dl/gの固有粘度を有するポリエステル組成物(以下、ペレットと称する事がある)を得ることができる。
【0037】
次に、フィルムを製造するために、上述のポリエステル組成物を乾燥した上で、混練押出機に供給し、(Tm)〜(Tm+65)℃(ここで、Tmはポリエステルの融点(℃)を指す)の温度範囲で溶融混練した後、回転冷却ドラム上にシート状に溶融押出し、急冷固化して未延伸フィルムまたはシートを得る。次いで、該未延伸フィルムを縦方向(フィルムの製膜方向)に延伸した後、横方向(フィルムの製膜方向および厚み方向に直交する方向で、フィルムの巾方向と称することもある。)に延伸する、いわゆる、縦・横逐次二軸延伸法(ただし、縦方向と横方向の延伸の順序は逆でもよく、また、さらに縦方向または横方向に再度延伸するものでもよい。)、または、縦方向と横方向に同時に延伸する、いわゆる、同時二軸延伸法で延伸する。この際の延伸温度は70〜180℃の範囲が好ましく、また、延伸倍率は面積延伸倍率で9〜35倍の範囲が好ましい。
【0038】
また、乾燥したポリエステル組成物を、(Tm)〜(Tm+65)℃の温度範囲で溶融混練し、回転冷却ドラム上にシート状に溶融押出する際に、該ポリエステル組成物が、本発明で得られるポリエステル組成物と他のポリエステル組成物との混合物であっても良い。ブレンドにより、不活性粒子の含有量が異なる二軸配向ポリエステルフィルムを何種類か製造する際に、不活性粒子の含有量を変えたポリエステル組成物をそれぞれ重縮合する必要がなくなる。
【0039】
このようにして、フィルム表面上に存在する長径10μm以上の粗大突起数が10個/cm2以下である、厚みが5〜20μmの二軸延伸ポリエステルフィルムが得られ、磁気フィルムなどに好適に使用される。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、特に断らない限り実施例および比較例における「部」、「ppm」および「%(wt.%)」はそれぞれ重量分率を示す。本発明における物性値および特性は、それぞれ以下の方法で測定または定義される。
【0041】
(1)ポリエステルの固有粘度(表中、IVと略記)
オルトクロロフェノール中、35℃で測定した値から求める。
【0042】
(2)ポリエステル組成物中のチタン化合物およびリン化合物を構成する各金属の元素としての濃度
ポリエステルペレット5gを300℃に加熱溶融して、40mmφ、厚み5mmの円形ディスクを作成し、理学電機工業(株)製 蛍光X線装置3270型を用いて、組成物中の触媒金属を構成するチタン化合物のチタン元素濃度および酸化防止剤を構成するリン化合物のリン元素濃度を定量した。
【0043】
(3)不活性粒子スラリー中の金属元素としての濃度
不活性粒子スラリー(エチレングリコール分散体)を(株)日立製作所製 超遠心分離機(55P−7)を用い3万回転で3時間処理し、スラリーから不活性粒子を分離したエチレングリコール液(以下、分離液と呼ぶことがある)を得た。その後、理学電機工業(株)製 蛍光X線装置3270型を用いて分離液中に含有される金属元素全ての元素としての濃度を定量した。
【0044】
(4)ジエチレングリコール量
ポリエステルペレットをCDCl3/CF3COOD混合溶媒にて溶解し、(株)日立製作所製 核磁気共鳴装置(R−1900)1H−NMRにてジエチレングリコール濃度を測定した。
【0045】
(5)不活性微粒子の平均粒径
株式会社島津製作所製、商品名「SACP−4L型セントリフュグル パーティクル サイズ アナライザー(Centrifugal ParticleSize Analyser)」を用い測定した。得られた遠心沈降曲線を基に計算した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線から、50マスパーセントに相当する粒径「等価球直径」を読み取り、この値を上記平均粒径とした(単行本「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、頁242〜247参照)。
【0046】
(6)ポリエステル組成物のガラス転移点(表中Tgと略記)および融点(表中Tmと略記)
TA Instruments社製 DSC2200 Differential Scanning Calorimeterを用い、昇温速度20℃/minで測定した。なお、サンプル量は20mgとした。
【0047】
(7)ポリエステルペレットの乾燥劣化評価
ポリエステルペレットを予め160℃に予熱された熱風乾燥機に入れ、Air雰囲気下で4時間処理した後、上述(1)の方法で固有粘度を測定した。評価は下記の基準で行い、○以上を合格とした。
◎:未処理ペレットに対し、固有粘度の低下が0.003以下
○:未処理ペレットに対し、固有粘度の低下が0.006以下
△:未処理ペレットに対し、固有粘度の低下が0.009以下
×:未処理ペレットに対し、固有粘度の低下が0.012以上
(8)ポリエステルペレットの溶融劣化評価
【0048】
上述(6)で乾燥処理されたポリエステルペレットをガラスフラスコに入れ、予め300℃に昇温したソルトバスに浸漬する。ペレットがフラスコ内で溶融した後、溶融ポリマーを窒素流入下で30分攪拌保持し、上述(1)の方法で固有粘度を測定した。評価は下記の基準で行い、○以上を合格とした。
◎:乾熱処理ペレットに対し、固有粘度の低下が0.002以下
○:乾熱処理ペレットに対し、固有粘度の低下が0.004以下
△:乾熱処理ペレットに対し、固有粘度の低下が0.006以下
×:乾熱処理ペレットに対し、固有粘度の低下が0.008以上
【0049】
(9)ポリエステルフィルム中の不活性粒子の分散率
ポリエステルフィルムを走査型電子顕徴鏡用試料台に固定し、エイコーエンジニアリング(株)製スパッターリング装置(1B−2型イオンコーター装置)を用いて概フィルム表面に下記条件にてイオンエッチング処理を施す。条件は、シリンダージャー内に試料を設置し、約6.65Pa(510−2Torr)の真空状態まで真空度を上げ、電圧0.45kV、電流5mAにて約15分間イオンエッチングを実施する。更に同装置にてフィルム表面に金スパッターを施し、日立製作所製走査型電子顕微鏡(S2150)にて1000倍の倍率のもと、0.01mm2範囲の不活性粒子の分散状態を観察し、測定面積内の全粒子に対する凝集粒子数が30%未満を合格とした。
【0050】
(10)ポリエステルフィルム表面の粗大突起数
5m厚みに白金蒸着処理を施したポリエステルフィルム表面を、株式会社ニコン(NIKON CORP.)製光学顕微鏡「OPTIPHOT」を用いて、微分干渉法により倍率200倍にて1cm5cmの範囲を観察し、1cm2当たりに存在する長径10m以上の粗大突起数を測定した。尚、粗大突起数が10個/cm2以下を合格とした。
【0051】
[実施例1]
テレフタル酸(以下、TAと称することがある。)90部、エチレングリコール(以下、EGと称する。)60部をSUS製容器に仕込み、140℃から250℃に昇温しながらエステル化反応させた後、触媒としてトリメリット酸チタンを、また酸化防止剤としてトリエチルホスホノアセテートを表1に示す元素濃度となるように添加し、また、平均粒径が0.5mのアルミナ粒子を表1に示す量となるように仕込んだ。反応混合物を重合反応器に移し、290℃まで昇温した後、30Pa以下の高真空下にて重縮合反応させ、固有粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート組成物を得た。なお、トリエチルホスホノアセテートを添加してから重縮合で減圧を開始するまでの時間は20分間で、この間の温度は240℃〜265℃で行った。
【0052】
得られたポリエチレンテレフタレート組成物は、ペレットの状態で180℃の温度で充分に真空乾燥した。乾燥したペレットを280℃で溶融状態とし、回転しているキャスティングドラムに溶融状態のポリエチレンテレフタレート組成物を押出して、シート状物を得た。なお、キャスティングドラムは溶融物がキャストされる直前の表面温度が30℃で、その後表面温度は徐々に40℃まで上がっており、また、キャスティングドラムに溶融物がキャストされた直後に、シート状物のキャスティングドラムとは異なる側の位置に、ワイヤー状の電極があり、該電極によってシート状物を静電印加させ、キャスティングドラムに密着させた。このシート状物を135℃で縦方向に3.6倍、155℃で横方向に3.9倍に延伸し、その後230℃で5秒間熱固定処理して厚み14μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0053】
得られたポリエチレンテレフタレート組成物および二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表2に示す。
【0054】
[実施例2]
酸化防止剤であるリン系化合物の含有量、ならびに不活性粒子の種類および平均粒径を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返した。得られたポリエチレンテレフタレート組成物および二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表2に示す。
【0055】
[実施例3]
テレフタル酸ジメチル(以下、DMTと称することがある。)100部、エチレングリコール60部、チタン化合物としてテトラブトキシチタンを表1に示す元素濃度となるようにSUS製容器に仕込み、140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、リン化合物としてトリエチルホスホノアセテートを表1に示す元素濃度となるように添加し、また平均粒径が0.7mのカオリナイト粒子を表1に示す量となるように仕込んだ。重縮合反応および二軸延伸フィルムの製造は実施例1と同じ方法で行った。得られたポリエチレンテレフタレート組成物および二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表2に示す。
【0056】
[実施例4、5]
触媒であるチタン化合物の種類および含有量、ならびに不活性粒子の種類および平均粒径を表1の通りに変更した以外は、実施例3と同じ方法でポリエチレンテレフタレート組成物および二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物および二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表2に示す。
【0057】
[比較例1、2]
触媒として、チタン化合物を用いずに、アンチモン化合物またはゲルマニウム化合物をそれぞれポリエステル組成物を基準として180ppmならびに100ppmずつ用い、酸化防止剤であるリン化合物の添加量、ならびに不活性粒子の含有量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同じ方法でポリエチレンテレフタレート組成物および二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物および二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表2に示す。
【0058】
[比較例3〜6]
触媒金属化合物、酸化防止剤の種類および含有量、不活性粒子の種類、平均粒径ならびに含有量を表1の通りに変更した以外は、実施例3と同じ方法でポリエチレンテレフタレート組成物および二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。尚、三酸化アンチモンの添加量は比較例1に従った。酢酸マンガンと酢酸マグネシウムはエステル交換反応の前にそれぞれポリエステル組成物を基準として60ppm並びに80ppmずつ添加した。得られたポリエチレンテレフタレート組成物および二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表2に示す。
【0059】
[比較例7〜10]
酸化防止剤であるリン化合物の種類および含有量、ならびに不活性粒子の含有量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同じ方法でポリエチレンテレフタレート組成物および二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物および二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表2に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
ここで、表1中の記号は、以下の化合物または元素を意味する。
【0062】
TA:テレフタル酸
DMT:テレフタル酸ジメチル
TMT:トリメリット酸チタン
TBT:テトラブトキシチタン
Sb2O3:三酸化アンチモン
GeO2:二酸化ゲルマニウム
酢酸Mn:酢酸マンガン
酢酸Mg:酢酸マグネシウム
TEPA:トリエチルホスホノ酢酸
PA:正リン酸
Ti:チタン元素
Sb:アンチモン元素
Ge:ゲルマニウム元素
Mn:マンガン元素
Mg:マグネシウム元素
【0063】
【表2】
【0064】
ここで、表2中の記号は、以下の化合物を意味する。
【0065】
DEG:ジエチレングリコール
表2に示すように、触媒としてポリエステルに可溶なチタン化合物および特定のホスホネート化合物を適量用い、また不活性粒子中に含まれる金属濃度とチタン触媒を失活させた残りのリン元素濃度とが適切な範囲であることによって、実施例1〜5に示す通り、乾燥劣化性や溶融劣化性といった熱安定性に優れたポリエステル組成物が得られ、フィルムに製膜した場合、不活性粒子の凝集が抑制され、粗大突起数も少ない表面の平坦性に優れたポリエステルフィルムが得られた。一方、比較例1〜3の場合、触媒としてチタン化合物以外の化合物を用いた結果、熱安定性には優れるものの、触媒に起因して凝集粒子が増大し、それに伴い粗大突起数も増加した。また、比較例4〜6に示すように、触媒としてポリエステル化合物に可溶なチタン化合物とともにチタン化合物以外の化合物を用いた場合、溶融劣化性が低下し、また、チタン化合物以外の触媒のイオン性性質が、不活性粒子表面の電位を変化させたりすることに起因して凝集粒子が増大し、粗大突起数も増加した。また、比較例7および9に示すように、式(2)を満たさない場合、熱安定性に乏しく、また不活性粒子に含まれる金属に起因して凝集粒子が増大し、粗大突起数も増加した。比較例8に示すように、式(1)を満たさない場合、過剰なリン化合物が得られたポリエステル組成物の熱安定性を低下させた。また、比較例10に示すように、リン化合物として特定のホスホネート化合物を用いなかった場合、溶融時の熱安定性に乏しく、粗大突起数も増加した。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、アルミナ、カオリナイト、チタニア、炭酸カルシウムおよびタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性粒子を添加するポリエステル組成物において、ポリエステル製造時の触媒および酸化防止剤の種類と含有比率を特定化する製造方法により、ポリエステルフィルム中の触媒および不活性粒子の析出・凝集粒子の発生を抑制し、優れた熱安定性および不活性粒子の分散性に優れた磁気記録媒体用フィルムに好適なポリエステル組成物およびポリエステルフィルムを効率よく製造することができる。
Claims (9)
- 芳香族ジカルボン酸を主とするジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族グリコールを主とするグリコールを反応させてポリエステル組成物を製造する方法において、アルミナ、カオリナイト、チタニア、炭酸カルシウムおよびタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性粒子を含むエチレングリコールスラリーをエステル化反応またはエステル交換反応終了後から重縮合反応前までに添加し、(A)主触媒としてポリエステルに可溶なチタン化合物および(B)リン化合物として下記式(I)で表されるホスホネート化合物を用い、かつ(C)ポリエステル中の該チタン化合物と該リン化合物とを、下記式(1)(2)ともに満足する量を用いることを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
(ここで、式中の、R1およびR2は炭素原子数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−または―CH(Y)−(Yはフェニル基を示す。)であり、R1およびR2はそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
(ここで、式(1)(2)中の、Tiは組成物中のポリエステル可溶チタン化合物のチタン元素としての濃度(単位:ppm)、Pは組成物中のリン化合物のリン元素としての濃度(単位:ppm)、Sは不活性粒子スラリーの分離液中に含まれる総金属元素としての濃度(単位:ppm)、Wはポリエステル組成物を基準とした不活性粒子スラリーの添加量(単位:重量%)をそれぞれ示す。) - ポリエステルが、ポリエステルの全繰返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート成分であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物の製造方法。
- アルミナ、カオリナイト、チタニア、炭酸カルシウムおよびタルクよりなる群から選ばれる不活性粒子の平均粒径が2.0μm以下であって、得られるポリエステル組成物に対して合計で0.01〜10重量%含有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物の製造方法。
- 芳香族ジカルボン酸を主とするジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族グリコールを主とするグリコールを反応させて得られるポリエステル組成物において、アルミナ、カオリナイト、チタニア、炭酸カルシウムおよびタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性粒子を含み、(A)主触媒としてポリエステルに可溶なチタン化合物および(B)リン化合物として下記式(I)で表されるホスホネート化合物を用い、かつ(C)ポリエステル中の該チタン化合物と該リン化合物とが、下記式(1)(2)ともに満足する製造方法によって得られたことを特徴とするポリエステル組成物。
(ここで、式中の、R1およびR2は炭素原子数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−または―CH(Y)−(Yはフェニル基を示す。)であり、R1およびR2はそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
(ここで、式(1)(2)中の、Tiは組成物中のポリエステル可溶チタン化合物のチタン元素としての濃度(単位:ppm)、Pは組成物中のリン化合物のリン元素としての濃度(単位:ppm)、Sは不活性粒子スラリーの分離液に含まれる総金属元素の濃度(単位:ppm)、Wはポリエステル組成物を基準とした不活性粒子スラリーの添加量(単位:重量%)をそれぞれ示す。) - ポリエステルが、ポリエステルの全繰返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート成分であることを特徴とする請求項4に記載のポリエステル組成物。
- アルミナ、カオリナイト、チタニア、炭酸カルシウムおよびタルクからなる群より選ばれる不活性粒子の平均粒径が2.0μm以下であって、得られるポリエステル組成物に対して合計で0.01〜10重量%含有することを特徴とする請求項4に記載のポリエステル組成物。
- 請求項4〜6のいずれかに記載のポリエステル組成物からなり、フィルム表面上に存在する長径10μm以上の粗大突起数が10個/cm2以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。
- 請求項4〜6のいずれかに記載のポリエステル組成物を溶融状態でシート状に押出し、得られたシート状物を直交する2方向に延伸することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
- 請求項4〜6のいずれかに記載のポリエステル組成物1〜99重量%と、他のポリエステル組成物99〜1重量%とを溶融状態で混練してからシート状に押出し、得られたシート状物を直交する2方向に延伸することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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| JP2002199650A JP2004043539A (ja) | 2002-07-09 | 2002-07-09 | ポリエステル組成物およびこの組成物からなるフィルムならびにそれらの製造方法 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005325201A (ja) * | 2004-05-13 | 2005-11-24 | Teijin Fibers Ltd | ポリエステル製造用触媒およびそれを用いたポリエステル |
| JP2008195774A (ja) * | 2007-02-09 | 2008-08-28 | Nippon Ester Co Ltd | ポリエステル成形品 |
| JP2008251920A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Mitsubishi Plastics Ind Ltd | 液状レジストフォトマスク保護テープ用ポリエステルフィルム |
| JP2015039801A (ja) * | 2013-08-21 | 2015-03-02 | 帝人デュポンフィルム株式会社 | 積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた塗布型磁気記録テープ |
| CN112011035A (zh) * | 2019-05-29 | 2020-12-01 | 北京服装学院 | 一种磁性聚酯及其制备方法以及利用其得到的磁性纤维 |
-
2002
- 2002-07-09 JP JP2002199650A patent/JP2004043539A/ja active Pending
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