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JP2004041121A - アレルギー解析方法及びシステム - Google Patents

アレルギー解析方法及びシステム Download PDF

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JP2004041121A JP2002204785A JP2002204785A JP2004041121A JP 2004041121 A JP2004041121 A JP 2004041121A JP 2002204785 A JP2002204785 A JP 2002204785A JP 2002204785 A JP2002204785 A JP 2002204785A JP 2004041121 A JP2004041121 A JP 2004041121A
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Abstract

【課題】複数種の細胞が混在する系における特定細胞の存在を、該細胞を単離することなく解析する。
【構成】末梢血から抽出した白血球細胞由来RNAをそのまま用いて、測定値に補正をほどこすことにより、ヘルパーT(Th)細胞のバランス(Th1/Th2)と、核酸サンプル中のTh1細胞数/Th2細胞数または患者及び健常者のTh1/Th2データと比較してアレルギーを解析する方法及びシステムを提供する。また、Th1/Th2を調べる上で不可欠な遺伝子群を特定することでアレイ上に載せるDNA断片(オリゴヌクレオチド)数を必要最小限とし、再現性・信頼性の高いアレルギー解析用アレイを用いた解析方法、解析システムを提供する。
【効果】特定細胞を単離することなく、信頼性の高い解析を行うことができる。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の細胞を含む系において特定の細胞の存在をオリゴヌクレオチドアレイを用いた遺伝子発現を介して解析する方法及びシステムに関する。本発明は特に、アレルギーの程度を簡便に評価するためのオリゴヌクレオチドアレイを用いた解析方法及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
生活習慣病やアトピー・アレルギー疾患の増加が、今日の国民の医療負担を増大させる要因の一つとなっている。従来、アレルギー疾患の治療法として局所ステロイド薬があるが、症状を完全に抑えることはできない。その一方で、減感作療法が近年注目されている。これは抗原(例えばダニ抗原)の抽出液を、舌下などに投与する方法である。減感作療法は、アレルギーの原因抗原が明らかな患者に対し、その抗原を繰り返し投与することで、過敏反応を減弱させる治療法であり、抗原としてダニ、スギ花粉などが用いられる。減感作療法は他の薬物療法と比較して副作用が小さく、かつ成功すれば顕著な治療効果が見られるので、アレルギー患者にもたらされる福音は大きい。しかし、治療が成功するか否かは抗原液濃度の最適化にかかっている。治療効果は抗原液濃度が高いほどよいが、副作用を誘発してはならない。個人ごとに異なる最適抗原液濃度を求める方法は現在のところ存在しない。また治療効果が表面に現れない場合に、治療を続けるべきかそれとも別の治療法に切り替えるべきかの診断指標も存在していない。
【0003】
しかしアレルギーは、多くの患者が関連する重要現象である。専門医療機関はもとより、一般の開業医等で手軽にアレルギー治療や診断が可能となれば有益である。そのような観点からアレルギーの治療方針の適否、治療効果を調べることに的を絞った診断機器の開発が求められている。
【0004】
前述の減感作療法の効果発現機序は、ヘルパーT細胞のバランスが変化し、炎症性サイトカインの遊走を抑えるためと考えられている。ヘルパーT細胞は産生するサイトカインの違いから、Th1とTh2と呼ばれる細胞集団に分類することができ、異なる免疫反応を制御している。Th1細胞は主に細胞性免疫反応による細胞内寄生性微生物に対する感染防御に、Th2細胞は体液性免疫反応による細胞外寄生性微生物に対する感染防御に関与している。この2種類の細胞集団はお互いが産生するサイトカインによって相互のバランスを平衡に保つことにより、過剰な反応がおこらないよう相互に制御しあっている。アレルギー疾患等、Th1あるいはTh2反応に起因しておこる疾患の多くは、このバランスが崩れたことによって起こると考えられている。
【0005】
現在までに、Th1とTh2とで発現量の異なる遺伝子が、DNAチップないしは、SAGE(Serial Analysis of Gene Expression)法により調べられ、報告されている。Roggeらは、6000個の遺伝子の載ったDNAチップを用いてTh1とTh2とで発現の異なる215個の遺伝子を報告している(Rogge,L et al., Transcript imaging of the development of human T helper cellsusing oligonucleotide arrays, Nature Genetics 25, 96−101, 2000)。またNagaiら(Nagai, S et al., Comprehensive gene expression profile of human activated Th1− and Th2−polarized cells, International Immunology 13, 367−376, 2000)は、SAGE法を用いてTh1とTh2細胞のそれぞれの転写産物2万個以上を解析し、Th1細胞でより多く発現している遺伝子66個(危険率5%以下)、Th2細胞でより多く発現している遺伝子14個(危険率5%以下)を報告している。両者の報告を総合すると、Th1細胞とTh2細胞では、サイトカイン、成長因子、レセプター、転写因子、細胞接着関連蛋白質、細胞遊走関連蛋白質、イオンチャンネル、トランスポーター、アポトーシス関連蛋白質、信号伝達関連蛋白質、代謝経路関連蛋白質などの蛋白質をコードする多岐に渡る遺伝子で発現量の差が認められている。ただし、両者で報告された遺伝子は、一部を除き、ほとんど一致していない点に注意する必要がある。
【0006】
上記で報告された遺伝子の発現分布を見ることで、Th1/Th2のバランスを測定することは、原理的に可能である。しかし、そのような解析はこれまで医療現場で行われたことはない。その理由の一つは、上記報告があらかじめ所定の方法で血液から単離されたTh1、Th2細胞を用いているためである。実際の医療現場で、被検査者から1度に採血できる妥当な血液の量は、5〜10ccである。その5〜10ccの血液から抽出できるトータルRNA量は、個人差もあるが、高々10μgである。ヒトの場合、トータルRNA量の高々5%がメッセンジャーRNAなので、5〜10ccの血液から抽出可能なメッセンジャーRNAは0.5μgにすぎない。その上、血液は、T細胞のほかに、B細胞やNK細胞などのリンパ球、好中球、好酸球、好塩基球や単球/マクロファージなどの顆粒球などを含んでいる。そのため、5〜10ccの血液から抽出可能なTh1、Th2細胞由来のメッセンジャーRNAは0.05μg以下と、通常DNAチップに用いられるメッセンジャーRNA量の26.0μgと比較して極めて少ない量である。すなわちTh1及びTh2細胞のみを被検査者から取り出して、更にRNAを抽出する検査をルーチンで行うことは技術的に非常に難しい。またTh1とTh2細胞のみを血液から単離するには種々の工程が必要なので、一回の診断コストが高くなってしまい、医療経済の観点からも好ましくない。また各工程での回収率は必ずしも100%とはなり得ないので、前処理工程が増加するほど、診断に用いることのできるRNA量は目減りすることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記難点を解決するためには、ヘルパーT細胞のみから得られるRNAでなく、全血から得られたRNAを用いてTh1細胞とTh2細胞の比率が求められることが望まれる。
【0008】
本発明の目的は、複数種の細胞が混在する系における特定の細胞の存在を、該細胞を単離することなく解析できる方法を提供することである。その好適な一態様として、アレルギーの治療方針の適否、治療効果の程度を簡便、低コストでかつ信頼性高く調べることができるオリゴヌクレオチドアレイを用いた解析方法及び解析システムを提供することにある。T細胞のみを分離して解析するという従来法では、T細胞分離、更に場合によっては培養という操作を行う必要があるので解析費用、解析時間がかかる。またT細胞分離及び培養等の処理により、細胞の遺伝子発現分布が影響を受ける可能性もあるので、できるかぎりT細胞分離は行わない方が望ましい。そこで本発明では、末梢血から抽出した白血球細胞由来RNAをそのまま用いて、補正をほどこすことにより、ヘルパーT(Th)細胞のバランス(Th1細胞とTh2細胞の比率;Th1/Th2)を調べ、核酸サンプル中のTh1細胞数/Th2細胞数または患者及び健常者のTh1/Th2データと比較してアレルギーを解析する方法及びシステムを提供する。また、Th1/Th2を調べる上で不可欠な遺伝子群を特定することでアレイ上に載せるDNA断片(オリゴヌクレオチド)数を必要最小限とし、再現性・信頼性の高いアレルギー解析用アレイを用いた解析方法、解析システムを提供することも目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、オリゴヌクレオチドアレイを用いて、アレルギーの程度を評価するという目標を達成するために検討した結果、Th1細胞とTh2細胞の比率を測定するに際し、白血球中で発現する(1)Th細胞に特異的に発現する遺伝子、(2)B細胞、単球などのT細胞以外の細胞に特異的に発現する遺伝子、(3)Th細胞とその他の細胞で同程度発現している遺伝子、(4)Th1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子などの発現を、好ましくは同一アレイ上で測定することが必要であることを見いだした。特に全血から得られるRNAを用いる際には、上記(1)と(4)の条件を満たす遺伝子、すなわちT細胞に特異的に発現し、かつTh1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子に基づき、Th1細胞とTh2細胞の比率を求める方法、ないしは上記(1)と(2)の発現量、すなわちTh細胞に特異的に発現する遺伝子とT細胞では発現しない遺伝子の発現量および(3)Th細胞とその他の細胞で同程度発現している遺伝子の発現量を用いて、(4)の発現量、すなわちTh1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子の発現量を補正することが望ましい。
【0010】
具体的には、本発明は、Th1細胞とTh2細胞の比率(Th1/Th2)のバランスによりアレルギーを解析する方法において、
ヒト末梢血由来核酸サンプルを蛍光標識し、
前記蛍光標識した核酸サンプルを、Th細胞特異的、Th1細胞特異的、Th2細胞特異的に発現する遺伝子を含む複数のプローブと混合してハイブリダイゼーションを行い、
前記ハイブリダイゼーションを発現量として前記蛍光により検出し、
前記検出された蛍光強度により、Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量をそれぞれ測定し、
前記核酸サンプル中の(Th1細胞数)/(Th2細胞数)又は患者及び健常者におけるTh1/Th2データと、(Th1/Th2)=(Th1細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量)/(Th2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量)とを比較することによりアレルギーを解析することを特徴とするアレルギー解析方法を提供する。
【0011】
核酸サンプルとしては、ヒト末梢血由来の白血球またはT細胞から得られたRNAを鋳型として逆転写酵素反応を行って相補DNA(cDNA)を合成する際に、標識物質を結合ないしは鎖伸長時に取り込ませて標識化したcDNAを用いることができる。
【0012】
本明細書において、「細胞Aで特異的に発現する遺伝子」とは、例えばDNAチップやRT−PCR等の測定方法を用いて、細胞Aで遺伝子発現が統計的有意に認められるが、測定対象検体に含まれる細胞でかつ細胞A以外の細胞での遺伝子発現が、測定下限以下もしくは、統計的有意には認められない遺伝子を言う。
【0013】
本発明の方法において使用する、Th1及びTh2において特異的に発現する遺伝子、Th細胞以外の細胞において特異的に発現する遺伝子、及びTh1及びTh2において発現量に差のある遺伝子の数は、いずれも1以上であり、正確な解析のために好ましくは50〜200個の範囲である。より多数の遺伝子を用いることでより正確に解析することが可能となるが、多すぎると実験操作や補正等の作業量が増大するため、上記範囲の遺伝子数で十分信頼性のある値を得ることができる。Th細胞以外の細胞としては、好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、B細胞及びNK細胞から選択される1種以上の細胞が挙げられる。
【0014】
本明細書において「発現量」とは、当該細胞内におけるメッセンジャーRNA量、もしくは蛋白質量を意味するものとする。複数の遺伝子の発現量としては、各遺伝子の発現量の和、平均値または中央値を用いる。蛍光強度によって発現を測定する場合には、複数のプローブ内での蛍光強度の順位の中央値とすることができる。
【0015】
本発明の方法において、複数のプローブがTh細胞以外の細胞特異的に発現する遺伝子をも含み、核酸サンプルがTh細胞以外の細胞でも発現している場合、Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量を、それぞれ(蛍光強度値)×(α/(α+1))(α:Th細胞特異的に発現している1以上の遺伝子の発現量/Th細胞以外の細胞特異的に発現している1以上の遺伝子の発現量)とすることができる。
【0016】
更に、Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量をそれぞれの蛍光強度の和又は平均値として、β(Th1:Th2=1:1のときに、Th1/Th2=1となるようにする規格化関数)との積をTh1/Th2とすることができる。
あるいは、Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量を、それぞれの複数のプローブ内での蛍光強度の順位の中央値とし、βとの積をTh1/Th2とすることができる。
【0017】
本発明の方法は、例えばサンプル中におけるTh1/Th2を測定することによって、疾患の有無及び/または疾患の程度を判定するために使用することができる。「特定の状態」とは、例えばアレルギー等の疾患の有無及び/または程度を解析する場合であれば、正常な状態等の対照の状態を意味し、正常な場合にTh1/Th2=1であれば、1に対して統計的に有意な差であるか否かを評価する。本発明において使用される統計手法としては、例えばベイズ推定法、ネイマン・ピアソン推定法等が挙げられるが、特に限定するものではない。
【0018】
本明細書において、「同程度に発現する」とは、±10%の発現であることをいう。すなわち、ある遺伝子が2以上の細胞において「同程度に発現する」とは、該遺伝子の2以上の細胞における発現量が±10%の範囲内であることをいう。
【0019】
本発明の方法において使用する複数種の細胞全てにおいて同程度に発現する遺伝子の数は、1以上であり、好ましくは10〜50である。
本発明の方法はまた、1または複数の細胞種の細胞数の全細胞数に対する比率の経時変化を解析することができ、複数種の細胞が混在する系において特定の細胞種の細胞数が上昇または低下したか否かを該細胞を単離することなく解析することができる。
【0020】
上記方法によってサンプル中のTh1/Th2の値を各細胞を単離することなく解析することで、正常の値と比較してThのバランスが異常となっているか否か、またその程度が速やかに判定でき、治療の有効な判断材料を提供することができる。更に、事前に患者及び健常者におけるデータを蓄積することで、Th1/Th2の値と疾患確率との関係を閾値モデルとして表現することができ、検査ごとに得られるTh1/Th2の値から、検査者に対して治療すべきか否かの治療方針を判定することができる。更にまた、ベイズ統計もしくは決定に基づく判定法を用いて診断精度を向上させることが可能である。
【0021】
本発明はまた、Th1細胞とTh2細胞の比率(Th1/Th2)のバランスによりアレルギーを解析するシステムにおいて、
Th細胞特異的、Th1細胞特異的、Th2細胞特異的に発現する遺伝子を含む複数のプローブを固定したオリゴヌクレオチドアレイと、
前記プローブにハイブリダイズした核酸サンプルの蛍光を発現量として検出する検出手段と、
前記核酸サンプル中のTh1細胞数及びTh2細胞数、又は患者及び健常者におけるTh1/Th2をデータとして格納するデータ格納手段と、
前記検出された蛍光強度により、Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量をデータとして格納するデータ格納手段と、
前記核酸サンプル中の(Th1細胞数)/(Th2細胞数)又は前記患者及び健常者におけるTh1/Th2データと、(Th1/Th2)=(Th1細胞で発現する1以上の遺伝子の発現量)/(Th2細胞で発現する1以上の遺伝子の発現量)とを比較するコンピュータとを含むことを特徴とするアレルギー解析システムを提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてより具体的に説明する。
本明細書において「校正用内部標準遺伝子」とは、例えばハウスキーピング遺伝子のことである。ハウスキーピング遺伝子は、細胞の生存に必要な構成タンパク質やエネルギー代謝系の酵素などをコードしている遺伝子であり、分化の異なるどのような細胞でも発現していると考えられる遺伝子である。例えば、βアクチン、GAPDH、HPRT、αチューブリン、トランスフェリン受容体、ユビキチンなどである。白血球等の被検査者サンプルに予め含まれているので、校正の際、内部標準となる。なお内部標準とは、外部から加えなくても予めサンプル中に存在しており、校正の際に標準となるものである。
【0023】
本明細書において「校正用外部標準遺伝子」とは、例えば、測定対象がヒトの場合に、ヒトには存在しない、植物、微生物、昆虫などの遺伝子配列のことである。例えばシロイヌナズナ遺伝子、プラスミドDNA、バクテリオファージDNA、ファイアフライルシフェラーゼ(Firefly luciferase)遺伝子などである。白血球等の被検査者サンプルには含まれていないので、測定時に外部から、既知濃度の外部標準遺伝子を加えることで、校正の際、外部標準となる。なお外部標準とは、予めサンプル中に存在していないので、外部から別途加えることで校正の際に標準となるものである。
【0024】
T細胞について説明する。T細胞はTリンパ球ともいい、末梢血リンパ球の60〜80%を占める亜集団で骨髄の幹細胞に由来し、そのほとんどが胸腺で成熟する。成熟したT細胞の多くはヘルパーT(Th)細胞もしくはキラーT細胞となる。ヘルパーT細胞は、抗体刺激により各種サイトカインを産生してB細胞、T細胞、マクロファージなどに働いて免疫反応の促進、増強を誘導する。キラーT細胞は、移植片、ウイルス感染細胞、腫瘍細胞を認識してこれを傷害する活性を有している。
【0025】
Th1細胞とTh2細胞が産生するサイトカインによって保たれているバランスを遺伝子レベルで表現すれば、複数のTh1/Th2関連遺伝子群のスイッチがオンオフされることで、Th1/Th2関連の蛋白質量が増減し、それら蛋白質活性全体のバランスで生体機能調節がなされていると考えられる。すなわちTh1/Th2関連遺伝子群のオンオフの異常が、結果として蛋白質活性のバランスの異常となり、Th1/Th2のような生体機能調節の異常として現れるのである。遺伝子のオンオフとは、例えば遺伝子発現量の増加ないしは減少により制御されている。遺伝子発現量は、メッセンジャーRNA量、もしくは蛋白質量を指標として測定することができる。現在の技術ではメッセンジャーRNA量を指標とする方が、蛋白質を指標とするより、極めて簡便に測定が行える。そこで、アレルギーを簡便に評価するには、Th1/Th2に関連する複数遺伝子のメッセンジャーRNA発現量の増減を同時に観察すればよい。この目的には、関連遺伝子数が100を超える場合にはDNAアレイ(オリゴヌクレオチドアレイとも呼ばれる)が最も適しているし、関連遺伝子が100以下の場合には、DNAアレイもしくは、RT−PCR(逆転写―ポリメラーゼ連鎖反応)法が適している。尚、本発明において「DNAアレイ」及び「オリゴヌクレオチドアレイ」には、支持体上でオリゴヌクレオチドを合成するものと、増幅した遺伝子断片(オリゴヌクレオチド)を支持体上にスポットして得られるもののいずれも含まれ、名称によって製法が特定されることを意図するものではない。
【0026】
DNAアレイ(オリゴヌクレオチドアレイ)は、複数のDNA断片(オリゴヌクレオチド)を基板上に固定化したものである。それぞれのオリゴヌクレオチドはそれぞれ異なる遺伝子に対応している。測定に際しては、測定すべきサンプル由来のメッセンジャーRNAを鋳型として逆転写酵素反応を行い、相補DNA(cDNA)断片を合成する。また、サンプル量が微量である場合には、PCR等によって増幅しても良い。その逆転写酵素反応またはPCR反応の際に、蛍光物質などの適当な標識物質を結合ないしは鎖伸長時に取り込ませることで、cDNA断片を標識化する(以後、標識されたcDNAを、標識化cDNAと呼ぶ)。基板上に固定化されたオリゴヌクレオチドは、標識化cDNA断片と相補結合する。オリゴヌクレオチドは基板上の異なる座標値に固定化されている。予めどの座標値にどのオリゴヌクレオチドが固定化されているかが分かっていれば、複数の遺伝子のそれぞれについてメッセンジャーRNAの増減を、同時に測定することができる。
【0027】
RT−PCR法は、例えばハウスキーピング遺伝子など、細胞間で発現量変化の少ない遺伝子を基準として、測定対象遺伝子の発現を測定する方法である。RT−PCRにより、測定サンプル由来のメッセンジャーRNAを増幅できるので、DNAアレイ法より少ないサンプル量で測定できることが利点である。
【0028】
図5は、一般的なDNAチップ作成の概略図である。図6にそのフローチャートを示す。まずインターネット等のネットワークより接続可能な公共データベース25もしくはインハウスデータベース26より遺伝子情報(配列情報や機能情報)を取得する。この遺伝子情報にもとづき、遺伝子ごとのプローブ配列を設計するが、この配列設計はプローブ配列設計コンピュータ27により行う。計算された塩基配列28を、核酸合成装置29に入力し、オリゴヌクレオチドプローブを合成する。合成されたプローブセット30を、スポッター31を用いて、DNAチップ(作成途上)33の支持体上にスポットし、DNAチップ34が作成される。
【0029】
図7は、DNAチップデータ解析の概略図である。図8にそのフローチャートを示す。まず被検査者から得られた核酸サンプルを蛍光標識で標識し、蛍光標識サンプル35を作成する。次に、蛍光標識サンプル35を核酸サンプルと配列特異的にハイブリダイズし得る複数のプローブ(オリゴヌクレオチド)を固定したチップ(オリゴヌクレオチドアレイ)36とハイブリダイズする。ハイブリダイズ後のチップ36を蛍光検出器(検出手段)37で検出し、各プローブに対応する蛍光量(蛍光強度)を取得する。取得された蛍光量は、蛍光検出器制御コンピュータ(データ格納手段)38内に、実験データ(遺伝子発現分布データ)39として格納される。次に、実験データ39を実験データ解析コンピュータ40にデータ転送し、本願明細書で開示された方法等で、数式による補正や統計解析を行う。解析結果は、解析者に対し、画面出力もしくはレポート出力の形式で示される。
【0030】
サンプルとしてアレルギーを有するか、または有するおそれのある被験者由来の核酸サンプルを用いる場合、上記の方法及びシステムによってアレルギーの状態の有無及び/または程度を解析することができる。
本発明は、塩基配列の異なる複数のオリゴヌクレオチドを、支持体上の異なる位置に固定化したアレイを用いた解析方法及びシステムであって、該オリゴヌクレオチドが前記(1)から(4)の遺伝子の、あるいは下記の遺伝子の相補配列鎖の、少なくとも20塩基以上の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであることを特徴とするオリゴヌクレオチドアレイを用いた解析方法及びシステムを提供する。
【0031】
(1)−(4)の群とは、以下の群:
(1)細胞1及び細胞2において特異的に発現する遺伝子由来のオリゴヌクレオチド、または該オリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチド、
(2)細胞k(k=3,4,..,n)において特異的に発現する遺伝子由来のオリゴヌクレオチド、または該オリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチド、
(3)前記n種の細胞全てにおいて同程度に発現する遺伝子由来のオリゴヌクレオチド、または該オリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチド、及び
(4)細胞1及び細胞2において発現量に差のある遺伝子由来のオリゴヌクレオチド、または該オリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチド、
である。
【0032】
オリゴヌクレオチドアレイにおいて、固定化する各群に属するオリゴヌクレオチドの数としては、特に限定するものではないが、群(1)、(2)、及び(3)についてはそれぞれ10〜50個、群(4)については50〜200個の範囲とすることが好ましい。
【0033】
さらに、オリゴヌクレオチドを基板上に固定化する際の配置を各群に基づいて区分けして行うことで、オリゴヌクレオチドアレイの測定結果を、測定者が瞬時に視覚的に理解し判定できる。
【0034】
また、本発明は、Th1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子の少なくとも20塩基以上の塩基配列またはその相補配列を有するオリゴヌクレオチド((4)に相当)を固定化したことを特徴とするオリゴヌクレオチドアレイを用いた解析方法及びシステムである。このTh1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子としては、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、転写因子、アポトーシス関連蛋白質、プロテオリシス関連蛋白質、信号伝達関連蛋白質、酵素、イオンチャンネル、トランスポータ、代謝関連蛋白質、細胞接着関連蛋白質、細胞遊走関連蛋白質、アレルギー蛋白質などをコードする多岐に渡る遺伝子がある。具体的な遺伝子名称は例えば、UnigeneのSymbol名でADCY7,AGXT,AKAP1,ALDH3B1,ANXA3,ARCN1,AREG,ARRB2,ATP1A1,ATP6D,ATP6F,BAK1,BIRC3,CACNB3,CASP8, CD2,CD38,CD3D,CD6,CD69,CD97,CDH3,CEBPD,CNK,COPS3,COX5B,CRI1,CSF2,CST3,CTNNB1,DAF,DNTT,DPP4,DTR,E2−EPF,E2F4,EBI2,EDG1,EGR2,ETS1,FACL1,FGD1,FGFR1,LJ20746,FOS,FOXG1A,FUS,GATA1,GATA3,GBP1,GBP2,GC20,GCH1,GNLY,GOT1,GPR6,GPR9,GZMB,GZMK,HIF1A,HNRPA1,HOXA1,HSP105B,HSPA1A,HSPCA,HSXIAPAF1,HT013,ICAM2,ICSBP1,IFI35,IFNG,IL10RA,IL12RB2,IL13,+IL18R1,IL2,IL3,IL9,ILF2,IRF1,IRF7,ITGB7,ITK,JUN,KCNB2,KCNK3,KIAA0239,KLK6,KSR,LDHB,LEP,LIFR,LOC51042,LOC64116,LRP8,LTA,LTB,MAP2K2,MAP3K5,MIG,MKNK1,MRF−1,MSN,MT1H,MYB,NDUFB5,NFATC1,NKG7,NME4,NR4A2,NT5,OSM,P2RX5,PDCD5,PDE4B,PEF,PEMT,PheHB,IM1,PLAUR,PP,PPIF,PPP1R2,PPP2R5D,PRDX1,PRF1,PRKCB1,PRKCH,PSCDBP,PSMB4,PSMC4,PSMC6,PTB,PTGER4,PTPRA,PTPRZ1,RAB32,RDBP,RORA,RPS24,SCYA15,SCYA17,SCYA3,SCYA4,SCYA5,SCYC1,SDH,SELL,SERPINB1,SET,SF3A3,SFRS10,SFRS5,SLA,SPP1,SRM300,STAT1,STIP1,TAF2S,TANK,TAP1,TBXA2R,TIEG,TIMP1,TNFRSF1A,TNFRSF1B,TNFSF10,TNFSF5,UROD,USF2,USP12,USP7,XBP1,YME1L1,YR−29などが挙げられる。表1−6に上記遺伝子をそのGenBank登録番号と共に挙げる。
【0035】
【表1】
Figure 2004041121
【0036】
【表2】
Figure 2004041121
【0037】
【表3】
Figure 2004041121
【0038】
【表4】
Figure 2004041121
【0039】
【表5】
Figure 2004041121
【0040】
【表6】
Figure 2004041121
【0041】
また、本発明は、Th細胞に特異的に発現する遺伝子の少なくとも20塩基以上の塩基配列またはその相補配列を有するオリゴヌクレオチド((1)に相当)を固定化したことを特徴とするオリゴヌクレオチドアレイを用いた解析方法及びシステムである。このようなオリゴヌクレオチドとして、例えば、UnigeneのSymbol名でCD2、CD28、CD3D、CD3E、CD3G、CD3Z、CD8A、CTLA4、MIC2、SEMA4D、THY1、TRA@、TRB@などの遺伝子に由来するものが挙げられる。表7に上記遺伝子をそのGenBank登録番号と共に挙げる。
【0042】
【表7】
Figure 2004041121
【0043】
また、本発明は、Th細胞ではあまり発現がなく、B細胞、単球などのT細胞以外の細胞で発現する遺伝子の少なくとも20塩基以上の塩基配列またはその相補配列を有するオリゴヌクレオチド((2)に相当)を固定化したことを特徴とするオリゴヌクレオチドアレイを用いた解析方法及びシステムである。
【0044】
このようなオリゴヌクレオチドとして、例えば、UnigeneのSymbol名でADAM8、ANPEP、BST1、CD14、CD19、CD22、CD33、CD34、CD36、CD68、CD72、CD74、CD79A、CD79B、CD81、CD86、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM4、CEACAM5、CEACAM8、CSF1R、CSF2RA、CSF2RB、CSF3R、FCGR1A、FCGR3A、FCGR3B、FLT3、GP1BA、GP1BB、GP5、GP9、ICAM2、IGSF2、IL3RA、IL5RA、ITGA2、ITGAM、ITGAV、ITGB3、ITGB4、KIT、LAMP1、LAMP2、LRP1、MS4A2、MST1R、NCAM1、PECAM1、PLAUR、PVR、SELP、SEMA7A、VCAM1などの遺伝子に由来するものが挙げられる。表8−9に上記遺伝子をそのGenBank登録番号と共に挙げる。
【0045】
【表8】
Figure 2004041121
【0046】
【表9】
Figure 2004041121
【0047】
また本発明は、Th細胞とその他の細胞で同程度発現している遺伝子の少なくとも20塩基以上の塩基配列またはその相補配列を有するオリゴヌクレオチド((3)に相当)を固定化したことを特徴とするオリゴヌクレオチドアレイを用いた解析方法及びシステムである。このようなオリゴヌクレオチドとして、例えば、白血球等の被検査者サンプルに予め含まれる内部標準遺伝子、もしくはヒトには存在しない植物、微生物、昆虫などの遺伝子配列を測定時に予め定められた量だけ測定サンプルに加える外部標準遺伝子由来のもの、具体的にはUnigeneのSymbol名でAP1B1,AP1G1,AP1S1,AP1S2,AP1M2,CAMK1,CAMK2A,CAMK2B,CAMK2D,CAMK2G,CD28,CD47,CR1,CREB1,CTLA4,IFNGR1,IL1R1,IL1R2,IL2RB,IL6ST,ITGA1,ITG26,ITGA3,ITGA4,ITGA5,ITGA6,LAT,MAPK13,MAPK2K4,MAPK2K7,NFKB1,NFKB2,RAF1,SLC326,TNFRSF1A,TNFRSF1B及びZAP70などの遺伝子に由来するものが挙げられる。
【0048】
アレルギーの程度を評価するためには、例えばTh1とTh2細胞の比率を高精度に解析する必要があるため、1種類の遺伝子とのみ相補的結合するはずのDNA断片が、他遺伝子とも結合すること(クロスハイブリダイゼーション)は避けなくてはならないことは自明である。これは1枚のアレイ上に固定化する遺伝子数が多くなるほど困難になる。従って、遺伝子数が5千から数万という探索用途のDNAアレイで各遺伝子間のクロスハイブリダイゼーションを皆無にすることは非常に困難である。ブラストアルゴリズムに基づく配列相同性の検討の結果、プローブとして用いるDNA断片の塩基長が1000塩基以下である場合、1000−1500種類以下のDNA断片を同一アレイ上に載せることが好ましいことが判明した。そのため、DNAアレイを使用する目的がアレルギーの程度の評価、診断であれば、アレルギーの作用機序に関連する遺伝子のみを可能なかぎり必要最小限集め、アレイ化することが望ましい。アレルギーと無関係の遺伝子を載せることは、プローブ作成費用の上昇、ひいてはオリゴヌクレオチドアレイの価格上昇につながり好ましくない。また、アレイのプローブとして用いるオリゴヌクレオチドの種類の数を少なく抑えることができることから、1つの種類のオリゴヌクレオチドを複数箇所にプローブとして固定することができ、複数箇所の信号強度を平均化することで信頼性を高めることができる。
【0049】
すなわち、アレルギーの程度を解析するには、
(1)Th細胞に特異的に発現する遺伝子、
(2)Th細胞ではあまり発現がなく、B細胞、単球などのT細胞以外の細胞に特異的に発現する遺伝子、
(3)Th細胞とそれ以外の細胞で同程度発現する遺伝子、及び
(4)Th1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子、
に由来するオリゴヌクレオチドプローブをそれぞれ必要最小限、固定化したDNAアレイを用いて解析することが最も適している。
【0050】
上記の遺伝子由来の配列を持つオリゴヌクレオチドまたはその相補配列をプローブとしてアレイ上に載せるためには、遺伝子配列のどの部分の配列をプローブとするかを決める必要がある。その際考慮しなければならないのが、融解温度(Tm, melting temperature)とクロスハイブリダイゼーションである。DNAアレイ上に固定化された各DNA断片と試料由来DNA断片間での、ハイブリダイゼーションを高精度(ないしは高ストリンジェント、highly stringent)に行うためには、ハイブリダイゼーション温度(Th, hybridization temperature)と固定化DNA断片のTmの関係が重要であり、固定化DNA断片の融解温度とハイブリダイゼーション温度との差異が30℃を超えないことが必要である。また、クロスハイブリダイゼーションは、DNA配列同士のホモロジーが高いために生じるので、クロスハイブリダイゼーションを防ぐためには、特定の固定化DNA断片とハイブリダイズすべき試料由来のDNA断片と、試料由来のDNA断片のうち固定化DNA断片と本来ハイブリダイズしないDNA断片との相同性が十分低いことが必要である。さらには、分子内でミニヘアピン構造をとるような配列や、ヒト遺伝子の場合にAlu配列として知られているような繰り返し配列と相同性が有意に高い部分が含まれないことが望ましい。また、1枚のアレイ上に固定化する遺伝子配列同士のホモロジーを計算するのみならず、ある生物種のDNA配列とGenBank等に登録された対象となる生物種の遺伝子配列とのホモロジーを計算する必要もある。DNAアレイ上に固定化するDNA断片候補の配列と、測定対象試料に含まれている可能性のある遺伝子群のDNA配列とを比較して、ホモロジーが有意に高いDNA配列は、固定化DNA断片としては選択しないことが望ましい。
【0051】
プローブとして固定化するDNA断片は、市販のcDNAライブラリをテンプレートとしてPCR反応により合成することができる。これを所定の濃度(0.1−1.0μg/μl)になるよう調整し、スポッターを用いて、あらかじめポリリジンあるいはアミノシランをコートしたスライドガラス上にスポットすることでオリゴヌクレオチドアレイを作製できる。あるいはまた、プローブは当分野において公知の方法で支持体上で直接合成することもできる。
【0052】
上記オリゴヌクレオチドアレイを用いてアレルギーの程度を調べるには、以下の手順で行うことができる。まず予め、アレルギー症状が見られないボランティア数名のおのおのから末梢血を採取し、白血球細胞からトータルRNAもしくはメッセンジャーRNAを抽出する。例えば、複数名のメッセンジャーRNAを混合することで、健常人の平均的なメッセンジャーRNAのプールができる。このメッセンジャーRNAのプールのことを、本願明細書の以下の記述では、ユニバーサルコントロール(Universal Control)と記載する。次に被検査者の末梢血を採血し、白血球細胞からメッセンジャーRNAを抽出する。オリゴdTプライマーを用いた逆転写反応により被検査者末梢血のメッセンジャーRNAについて、Cy5−dCTP等を用いて標識化cDNAを合成する。またユニバーサルコントロールのメッセンジャーRNAについては、Cy3−dCTP等を用いて異なる標識を有する標識化cDNAを合成する。被検査者cDNA(Cy5標識)とユニバーサルコントロールcDNA (Cy3標識)を混合して同一の前記オリゴヌクレオチドアレイにかけ、所定の温度、時間の間ハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション温度は45−70℃、ハイブリダイゼーション時間は6−18時間が好ましい。ハイブリダイゼーション後、蛍光スキャナーにより各遺伝子をスポットした箇所のCy5とCy3のそれぞれの蛍光強度を比較し、両者での発現量の差を求めることができる。
【0053】
また上記(1)、(2)、(3)、(4)の遺伝子をRT−PCR法や、ノーザンハイブリダイゼーションなどの他の方法により調べることによっても、Th1とTh2細胞、およびそれらからのサイトカイン発現量の比を求めることができる。上記(1)〜(4)を用いてTh1/Th2の発現比を計算する方法は、以下に示す。
【0054】
まず、本明細書において使用される補正方法について説明する際に必要な、いくつかの式を定義する。
本明細書において、Th1/Th2は、
【0055】
【数1】
Th1/Th2=Th1細胞数/Th2細胞数      (式1)
もしくは、
【0056】
【数2】
Th1/Th2=Th1細胞で発現する1以上の遺伝子の発現量/Th2細胞で発現する1以上の遺伝子の発現量            (式2)
のいずれかである。Th細胞と単球との存在比(以後、αとも記す)は、以下の式3により定義できる。
【0057】
【数3】
Th細胞と単球の存在比(α)=Th細胞の存在数/単球の存在数=(Th細胞で特異的に発現している1以上の遺伝子の発現量/Th細胞と単球の両者で同程度発現する1以上の遺伝子の発現量)/(単球細胞で特異的に発現している1以上の遺伝子の発現量/Th細胞と単球の両者で同程度発現する1以上の遺伝子の発現量) (式3)
すると、Th1/Th2は以下のように求めることができる。
【0058】
すなわち、チップ基板上に存在するm個のプローブを考える。それぞれのプローブには別々の遺伝子が対応している。あるプローブが対応する遺伝子(図9ではプローブ遺伝子と記載した)nがTh細胞のみで発現している(Th細胞特異的)か、Th細胞以外でも発現しているか、Th1のみで発現している(Th1細胞特異的)か、Th2細胞のみで発現している(Th2細胞特異的)かによって、図9に示すフローチャートに従って計算式を選択する。
【0059】
例えば、図9に示すように、m個のプローブ中、遺伝子nに関し、Th細胞特異的か否かによって用いる式が異なり、Th細胞だけでなくTh細胞以外でも発現している場合には式4−3〜4−5を用いる。
遺伝子nがTh細胞特異的であり、更にTh1細胞特異的またはTh2細胞特異的に発現するものである場合には、式4−6を用いる。
【0060】
遺伝子nがTh細胞特異的であり、Th1及びTh2細胞のいずれにおいても発現する場合、式4−1、4−2、及び4−5を用いる。
具体的な式4−1から式4−6を下記に示す。
【0061】
【数4】
Th1(n)=Th1細胞で発現する遺伝子nの発現量(遺伝子由来の蛍光強度値)                             (式4−1)
【0062】
【数5】
Th2(n)=Th2細胞で発現する遺伝子nの発現量(遺伝子由来の蛍光強度値)                             (式4−2)
【0063】
【数6】
Th1(n)=Th1細胞で発現する遺伝子nの発現量(遺伝子由来の蛍光強度値)×(α/(α+1))                    (式4−3)
【0064】
【数7】
Th2(n)=Th2細胞で発現する遺伝子nの発現量(遺伝子由来の蛍光強度値)×(α/(α+1))                    (式4−4)
【0065】
測定対象遺伝子の総数をkとすると、
【数8】
Figure 2004041121
によりTh1/Th2を求める。
【0066】
また、β(p,q,r…)はTh1:Th2が1:1のときに、Th1/Th2が1に等しくなるように規格化する関数であり、実験により求められる。βを実験的に求める場合、予めTh1:Th2が既知の比率、例えば、9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8、1:9、となるように調製したサンプル群を用意する。そして、既知の比率に調製したそれぞれのサンプルを用いて、Th1/Th2を測定する。次に、縦軸(Y軸)を予め調製されたTh1/Th2比率、横軸(X軸)を測定により求められたTh1/Th2比率をプロットする。理想的にはY=Xの直線上に各点はプロットされるはずであるが、実際には、ずれが生じる。そこで、上記プロットに対し、最小二乗法などを用いたカーブフィッティングを行い、校正曲線を得る。線形関数でカーブフィッティングを行った場合、例えばY=pX+qの校正曲線が得られたとする。pとqはフィッティングにより得られるパラメータである。すると、式4−5は具体的には、下記の式4−5’のように記述できる。
【0067】
【数9】
Figure 2004041121
フィッティングにより得られた校正曲線が2次関数(Y=pX+q+r)の場合や、3次関数(Y=pX+qX+rX+s)、もしくはその他の非線形関数の場合も同様に、式4−5を修正して用いることができる。
遺伝子nがTh細胞特異的であり、更にTh1細胞特異的またはTh2細胞特異的に発現するものである場合には、以下の式4−6を用いる。
【0068】
【数10】
Th1/Th2=median(Rank(X)、・・・、Rank(Xn1))/median(Rank(Y)、・・・、Rank(Yn1))×β2                      (式4−6)
【0069】
なお、Rank(X)はTh1細胞特異的な遺伝子に対応するプローブ蛍光強度の順位、Rank(Y)はTh2細胞特異的な遺伝子に対応するプローブ蛍光強度の順位、medianは中央値、β2は式4−5と同様の規格化パラメータである。以後、式4−6について説明する。
【0070】
Th1細胞特異的な遺伝子に対応するプローブがn1個あり、それらのプローブ由来の蛍光強度がそれぞれX,X,・・・Xn1だったとする。またTh2細胞特異的な遺伝子に対応するプローブがn2個あり、それらのプローブ由来の蛍光強度がY,Y、・・・Yn2だったとする。バックグラウンドノイズを引けば、理想的には、Th1細胞特異的遺伝子に対応するプローブのTh2細胞サンプル由来の蛍光強度はゼロである。その反対に、Th2細胞特異的遺伝子に対応するプローブのTh1細胞サンプル由来の蛍光強度はゼロである。そのため、Th1細胞特異的な遺伝子に対応するプローブ由来の蛍光強度はTh1細胞サンプル由来であり、Th2細胞特異的な遺伝子に対応するプローブ由来の蛍光強度はTh2細胞サンプル由来となる。しかし、X,X,・・・Xn1の平均値(あるいは中央値)とY,Y、・・・Yn2の平均値(あるいは中央値)を比較しても、Th1/Th2を正確に求めることはできない。なぜなら、Th1細胞特異的遺伝子とTh2細胞特異的遺伝子はそれぞれ異なる遺伝子のため、単純に比較することはできないためである。しかし、チップ上に十分な数のプローブが存在し、蛍光強度が高いプローブから低いプローブまで連続的に存在すれば、蛍光強度を大きい順(降順)もしくは昇順に並び替えた場合、その順位が等しい遺伝子は、細胞中に存在する種々の遺伝子の中で、その発現強度もほぼ等しいことが期待される。そこで、DNAチップ上にある全プローブを蛍光強度の順番に降順に並び替えたときのX,X,・・・Xn1の順番をRank(X)、Rank(X)・・・Rank(Xn1)、Y,Y,・・・Yn1の順番をRank(Y)、Rank(Y)・・・Rank(Yn1)とする。Th1特異的遺伝子とTh2特異的遺伝子は複数存在するので、それぞれ中央値(median)で代表させることとし、例えばmedian(Rank(X)、・・・Rank(Xn1))とmedian(Rank(Y)、・・・Rank(Yn1))の比をTh1/Th2とする。このRankを用いる方法は、特に、Th1/Th2比が1の近傍にある場合に、蛍光強度値を用いるよりも正確である可能性が高い。但し、Th1/Th2比が1から大きく外れる場合には、正確な比率を必ずしも反映しない恐れもある。
【0071】
次にベイズ推定法を用いた統計手法について説明する。予め、同一RNAを二つに分けて、片方をCy3、もう片方をCy5で標識し、同一チップ上で競合ハイブリダイズさせる実験(チップ枚数は5、10枚程度必要)を行うことを考える。この実験のデータは、Cy5/Cy3の平均値=cは1.0であるが、分散σについては未知である正規母集団N(c、σ)から大きさnの無作為標本[Y1,Y2,・・・,Yi,・・・,Yn]を抽出し、その観測値y=(y1, y2, ・・・,yi,・・・,yn)を得たことに相当する。チップ間差、色素間差、ハンドリングの個人差等の誤差要因は、実験間で相関がないと考えられるため[Y1,Y2,・・・,Yi,・・・,Yn]は相互に独立(independently and identically distriuted; i.i.d)と言える。
【0072】
【数11】
Yi〜i.i.d. N(c、σ)=N(1、σ)                            (式5)
【0073】
本ベイズ推定の最終目的は、Yi のσを推定することにある。本推定により母集団N(1、σ)のσを推定すれば、式5より、Yiのσも同一である。ベイズ推定ではσは分布を持つとするので、あくまでσの推定値が得られる。推定値としては、平均、モード(度数が最大となる点)や、信頼区間として最高密度信頼区間(Highest Density Region;HDR)が得られる。90%最高密度区間は、いわば未知母数σの90%区間のうちで最も短く、また事後分布のピーク値(事後モード)を必ず含み、かつ区間の両端における事後密度が等しくなるものである。
【0074】
上記式5が成り立つとき、[Y1,Y2,・・・,Yi,・・・,Yn]の同時確率密度分布(a1 < Y1 ≦ b1, a1 < Y1 ≦ b1,・・・、an < Yn ≦ bnが同時に満たされる確率密度分布)p(y‘|c, σ)は、
【0075】
【数12】
Figure 2004041121
のように正規分布を掛け合わせた形式で書ける。但しΠは積記号である。従って、観測値ベクトルy=(y1, y2, ・・・,yi,・・・,yn)が与えられたときの尤度関数l(σ| y)は、
【0076】
【数13】
Figure 2004041121
または
【数14】
l(σ| y)∝(σ)−n/2  ×exp(−ns/2σ)       (式8)
となる。ただし、sは母平均cを中心とした観測値分布であり、下記の式で表される。
【0077】
【数15】
Figure 2004041121
【0078】
ここで、分散の事前分布p(σ)として、無情報事前分布(noninformative prior distribution)を仮定する。この仮定は母数に関して未知であるとすることで、事前分布についての恣意性を出来る限り排除し、事後分布はできるだけデータによって支配されるようにする点で妥当である。無情報事前分布として、局所一様事前分布を用いるのが一般的である。局所一様分布とは、未知母数を二乗しようが、三乗しようが、対数値をとろうが、事前情報の漠然性を表すために少なくとも局所的には一様に分布するような分布のことである。具体的にはフィッシャー情報量の平方根に比例するように定めればよいことが分かっている。事前分布として局所一様分布を用いるならば、
【0079】
【数16】
p(σ) ∝σ−2                       (式10)
とすれば良い。つまりσの事前分布p(σ)は、σ−2すなわち定数とする。次に事後分布を考える。ベイズの定理より
【0080】
【数17】
p(σ|y) ∝l(σ| y)p(σ)                              (式11)
が成立するので、
【0081】
【数18】
p(σ|y) ∝(σ)−(n/2+1) ×exp (−ns/2σ)          (式12)
より、σの事後分布p(σ|y)は、χ−2(n、ns)と等しい分布になる。なおχ−2(ν、λ)とは、尺度母数λをもつ自由度νの逆カイ二乗分布と呼ばれる分布である。χ−2(ν、λ)の平均はλ/(ν−2)、モード(度数が最大となる点)はλ/(ν+2)となることが分かっているので、
σの点推定値として、
【0082】
【数19】
平均値を基準とした場合:σ=ns/(n−2)        (式13)
【0083】
【数20】
モードを基準した場合:σ=ns/(n+2)         (式14)
を考えることができる。また式12より事後的に、
【0084】
【数21】
ns/σ〜χ(n)                     (式15)
の関係が得られる。式15のχ(n)とは、自由度nのカイ二乗分布である。ここでは、nsが固定値(観測値)、σが確率変数になっている。式15と数表を用いることで、HDRを求めることができる。式13,14,15を用いることで、Th1とTh2の比率のデータが得られたとき、その比率が1.0(対照の状態におけるTh1/Th2の値)と比較してどの程度、統計的有意に異なるかを知ることができる。
【0085】
例えば5回の実験で、y=1.4、y=0.89、y=1.24、y=0.91、y=1.04が得られたとすると、s=0.04788である。平均値を基準とした点推定(式13)より、Yi〜N(1, 0.0798)となる。またモードを基準とした点推定より(式14)より、Yi〜N(1, 0.0342)となる。式15より、σ〜0.2394χ−2(5)、となることから、数表を用いることでσの90%HDRは0.019−0.177となる。
式5から式15までに示したベイズ推定法は統計手法の一つの方法であるので、ベイズ推定法以外の方法、例えば、ネイマン・ピアソン流の推定法を用いてもよい。
【0086】
本ベイズ推定法を用いることで、例えば、全白血球細胞におけるTh細胞の比率を予めX(上記例では1.0)としたとき、次に測定したTh細胞の比率がYだったときに、Th細胞の比率がどの程度、統計的有意に異なるかを知ることができる。全白血球細胞中のT細胞、B細胞などの比率も、被測定者の健康状態を知る上で貴重なデータとなる。もし、全白血球細胞におけるTh細胞の比率に有意な変化があれば、その前になんらかの体調の変化があったと診断することができる。
【0087】
【実施例】
本発明について、一実施例として、被検査者におけるアレルギーの程度の変化を調べる例を模擬したものを記す。アレルギー患者の血液を入手することは困難なので、ここでは、健常人ボランティア末梢血より、Th1、Th2細胞、単球(monocyte)を分離抽出し、それら細胞の混合比を変化させることで、全血を用いた検査を模擬した。単球はTh細胞と同様の遺伝子を多数発現しているので、全血を用いた測定における主要なバイアスとなる。そのため単球を加えた場合でもTh1及びTh2細胞の比率を正確に求めることができれば、全血を測定した場合でも、その他B細胞などが存在することに由来するバイアスを同様の手段で取り除き、正確な測定が行えると考えられる。
【0088】
Th1/Th2の測定値を、(1)Th1とTh2細胞の二者のみ含むサンプルを測定した場合、(2)Th1,Th2細胞に単球細胞を加えたサンプルを測定した場合について記す。Th1とTh2細胞の混合比率はあらかじめ、1:9、2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、8:2、9:1としておく。
【0089】
Th1/Th2は、式1もしくは式2のいずれかであるが、本願明細書の実施例ではサンプル調整においては式1の定義を用いる。そして、測定値については式2の定義を用いることとなる。一般に式1と式2は、細胞1個あたりの遺伝子発現量が検査対象ごとに変化しない場合には一致する。しかし、例えばTh細胞が予め遺伝的な異常を有していて、例えばあるサイトカインの発現量が通常と異なる場合には、式1と式2は必ずしも一致しない。本願明細書では、健常人の血液を用いた結果、式1と式2はほぼ一致したので問題ないが、ある特定の疾患については、健常人の結果がそのままあてはまらない可能性もある。その場合は、それぞれの疾患について、式1と式2を独自に評価した後、本発明を適用すれば良い。
【0090】
また単球細胞で特異的に発現している遺伝子の発現量は、Th細胞でほとんど発現がなく、B細胞、単球などのT細胞以外の細胞で特異的に発現する遺伝子に相当する。例えばTh細胞とB細胞の存在比等も、式3と同様にして求めることができる。
【0091】
なお本願明細書の以下の記載において、Th細胞で特異的に発現している遺伝子の発現量は、Th細胞で特異的に発現している複数遺伝子由来の蛍光強度の平均値とする。同様に単球細胞で特異的に発現している遺伝子の発現量は単球細胞で特異的に発現している複数遺伝子由来の蛍光強度の平均値とし、Th細胞と単球の両者で同程度発現する遺伝子の発現量は、Th細胞と単球の両者で同程度発現する複数遺伝子由来の蛍光強度の平均値とする。
【0092】
Th1/Th2をDNAチップの測定結果より求める際、Th1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子でかつ、Th細胞に特異的に発現する遺伝子のみを用いる方法が考えられる。Th細胞に特異的に発現する遺伝子(UnigeneのSymbol名)は例えば、CD2、CD28、CD3D、CD3E、CD3G、CD3Z、CD8A、CTLA4、MIC2、SEMA4D、THY1、TRA@、TRB@などである。しかし、この範疇に該当する遺伝子数が少ないので、我々のデータ解析の結果、測定値のばらつきが比較的大きいことが分かった。そこで本実施例では以下、Th1/Th2を式4により求めることとした。
【0093】
但し、ヒトゲノムのアノテーション作業が進むことで、Th1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子でかつ、Th細胞に特異的に発現する遺伝子に該当する遺伝子数が、測定ばらつきを十分に低減できる程度、例えば50から200個まで増大することも将来予想される。その場合、Th1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子でかつ、Th細胞に特異的に発現する遺伝子を用いることで十分な測定感度や再現性を達成することが考えられる。その際には式4−1と式4−2のみを用いればよい。以下、実験方法について記す。
尚、本願明細書の式1〜4は、表1〜9の全遺伝子を用いて計算した。
【0094】
1.血液からのTh1細胞、Th2細胞の取得
健常人ボランティアから、ヘパリンコートされた注射針により50mlの全血を採取した。全血に、血清フリーのRPMI1640培地(1%ペニシリン/ストレプトマイシン添加)50mlを加え希釈した。この希釈液を10mlのFicoll−Paqueの入った50ml遠心チューブにいれ、室温下、800gで30分遠心分離した。界面の部分から、末梢血細胞(Peripheral blood mononuclear cell;PBMC)を注意深く採取し、PBS(Phsophate Buffered Saline)で2度洗った。単球は、ゼラチンコート組織培養フラスコに付着させて取り除いた。PBMCにRPMI1640培地+10%FCS+5μg/ml PHAを加えた。Th1細胞の培養には、上記PBMC培地にIL12(1ng/ml)と抗IL4抗体(500μgを5000倍希釈して0.1μg)を加え培養した。培地は3日ごとに交換した。またTh2細胞の培養には、上記PBMC培地にIL4(50ng/ml)と抗IL12抗体(500μgを5000倍希釈して0.1μg)を加え培養した。培地は3日ごとに交換した。この培養条件では、細胞の約3分の2がCD4+、残りの3分の1がCD8+細胞であった。単球、B細胞、NK細胞の混入はほとんどなかった。CD8+細胞を除くために、抗CD8+モノクローナル抗体を加え、4℃で30分間インキュベートした。その後、未結合のモノクローナル抗体を取り除き、ヤギ抗マウスFc特異的抗体が表面コートされた磁性ビーズと結合させた。ビーズ数と細胞数の比率は25:1になるようにした。磁力を用いたビーズトラップにより、CD8+細胞を除くことで、CD8+の残留率は1%以下であった。こうして得られたTh1細胞とTh2細胞は、すぐに使用されるかもしくは、液体窒素中に凍結保存された。保存液組成は、95%培地/5%DMSOとした。
【0095】
2.血液からの単球の取得
健常人ボランティアから、ヘパリンコートされた注射針により50mlの全血を採取した。全血に、血清フリーのRPMI1640培地(1%ペニシリン/ストレプトマイシン添加)50mlを加え希釈した。この希釈液を10mlのFicoll−Paqueの入った50ml遠心チューブにいれ、室温下、800gで30分遠心分離した。界面の部分から、PBMCを注意深く採取し、PBSで2度洗った。その後、PBMCはRPMI640培地+7.5%FCS+100μg/mlストレプトマイシン、100U/mlのペニシリンを加え培養した。PBMCを抗CD14モノクローナル抗体で表面コートされた磁性ビーズと混合してインキュベートし、磁力を用いたビーズトラップにより分離した。この分離された単球を37℃、5%COインキュベータで30分培養し、高純度の単球細胞を得た。CD14を用いたポジティブ染色を行いフローサイトメトリー測定したところ、99%以上が単球細胞であることが確認された。こうして得られた単球細胞は、すぐに使用されるかもしくは、液体窒素中に凍結保存された。保存液組成は、90%培地/10%DMSOとした。
【0096】
3.Th細胞と単球からのトータルRNAの取得とRNA混合液の作成
細胞からのトータルRNAの取得は、ISOGEN(日本ジーン社)を用いて行った。具体的には、Th1、Th2,単球それぞれ5×10個に対し、ISOGEN750mlを加えた。この処理は、細胞膜を壊して内部の核酸を取り出すと共にフェノール抽出を行うことに相当する。4℃、15000rpmで30分間の遠心分離を行った後、上清部分をピペットで注意深くとり、新しいエッペンドルフチューブに移した。その後、クロロホルム抽出を2回、イソプロピル沈殿を1回、70%エタノールでリンスを1回行った。エッペンドルフチューブ底に残ったRNAを、TEバッファーに溶かし、吸光計測を行いRNA濃度を測定した。OD260/OD280は、1.9から2.0であった。こうして得られたTh1細胞由来のトータルRNAとTh2細胞由来のトータルRNAを、RNAの重量比で、1:9、2:8、3:7、4:6,5:5、6:4,7:3、8:2、9:1となるように混合した。単球を加える場合は、白血球内におけるT細胞と単球の存在比率を考慮して両者のRNA重量比が、Th1細胞もしくはTh2細胞:単球=5:4となるようにした。これはヒト血液1リットル当たりに含まれるT細胞数1×10の半分である5×10と、ヒト血液1リットル当たりに含まれる単球/マクロファージ数4×10の比率に相当する。
【0097】
4.DNAアレイの作成
次に、
1.遺伝子配列ファイルの読み込み工程、
2.塩濃度・ハイブリダイゼーション等の実験条件の入力工程、
3.固定化すべきDNA断片の長さ範囲の入力工程、
4.固定化の候補とされた各DNA断片の融解温度を計算し、その融解温度がある一定の範囲を外れているDNA断片を候補リストから除外する工程、
5.特異な高次構造をとる短配列や短繰り返し配列のあるDNA断片を候補リストから除外する工程、
6.Alu配列などの反復配列とのホモロジーの高いDNA断片を候補リストから除外する工程、
7.他遺伝子配列とのホモロジーの高いDNA断片を候補リストから除外する工程等からなるアルゴリズムに従って、特異性が高く、Tmが揃ったオリゴヌクレオチドプローブ793本を設計した。それら793種類のヒト遺伝子プローブと、3種類のヒトに存在しないオリゴヌクレオチド配列(ラムダDNA、pUC18プラスミドDNA、M13mp18DNA)を校正用外部標準遺伝子として加えた796種類のオリゴヌクレオチドを以下に開示する方法でガラス基板上に固定化した。ガラス基板に固定化する際のDNA断片の配置は例えば図1のようにした。図1においては、Th細胞に特異的に発現する遺伝子のプローブDNA(12)、Th細胞ではあまり発現がなく、B細胞、単球などのT細胞以外の細胞に特異的に発現する遺伝子のプローブDNA(13)、Th細胞とその他の細胞で同程度発現している遺伝子のプローブDNA(14)、及びTh1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子配列もしくはその相補配列鎖を有するDNA断片(プローブDNA)(11)をそれぞれ区分けして固定化し、更に、
Th1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子でありかつTh1細胞での発現量がTh2細胞での発現量より大きい遺伝子のプローブDNA(111)、及びTh1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子でありかつTh2細胞での発現量がTh1細胞での発現量より大きい遺伝子のプローブDNA(112)を区分けして固定化してある。
【0098】
プローブの固定化に先立ち、まず、市販のスライドガラス(Gold Seal Brand社製)をアルカリ溶液に室温で2時間浸した。その後、スライドガラスを蒸留水中に移し3回リンスしてアルカリ溶液を完全に除去した。続いて、洗浄したスライドガラスを10%のポリ−L−リジン(シグマ社製)水溶液に1時間浸した後、スライドガラスを引き出しマイクロタイタープレート用遠心機を用いて1分間遠心してポリ−L−リジン水溶液を除去した。次に、スライドガラスを吸引式恒温機に入れ、40℃で5分間乾燥させスライドガラス上にアミノ基を導入した。
【0099】
一方、DNA自動合成機を用いてオリゴヌクレオチドを合成した後、高速液体クロマトグラフィーでオリゴヌクレオチドを精製した。次に、合成・精製された濃度2μMのオリゴヌクレオチド1μlと添加剤等を混合してスポッティング溶液を作成した。調製されたスポッティング溶液をスポッタを用いてスライドガラス上の任意の点にスポッティングした。図2にDNAチップの一般的な構造を示した。図2に示すように、支持体24上に固定化されたDNAプローブ22に対して、蛍光標識された遺伝子23が配列特異的にハイブリダイズし、結合した標識から発せられる蛍光を蛍光検出器21によって検出する。
【0100】
5.測定結果
図3にTh1とTh2細胞の二者のみ含むサンプルを測定してTh1/Th2を評価した例を、図4にTh1及びTh2細胞に単球細胞を加えたサンプルを測定して評価した例を示す。図3(A)はTh1細胞とTh2細胞において発現量の異なる遺伝子のみを用いてTh1/Th2を評価した場合の結果である。図3(B)は式4(式4−1〜4−6)を用いて、Th1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子、Th細胞に特異的に発現する遺伝子、Th細胞ではあまり発現がなく、B細胞、単球などのT細胞以外の細胞に特異的に発現する遺伝子並びにTh細胞とその他の細胞で同程度発現している遺伝子を用いた場合の結果である。図4(A)と図4(B)についても、図3と同様である。また図3、図4それぞれのグラフは、横軸が測定値(Observed)、縦軸が期待値(Expected)を表す。期待値はTh1細胞とTh2細胞の混合比よりもとめたTh1/Th2(式1)を、測定値は遺伝子発現量よりもとめたTh1/Th2(式2)をそれぞれ示す。図3に示すようにTh1とTh2細胞の二者のみ含むサンプルでは、(A)でも(B)でも、Th1/Th2をほぼ等しく測定できていることがわかる。この理由は、式4のα/(α+1)がほぼ1になるためである。しかし、図4に示すように、サンプル中にTh細胞以外の細胞、ここでは単球が存在することにより、図4(A)では、Th1/Th2を正しく測定できず、かつ測定ばらつきも大きいことがわかる。この理由は、α/(α+1)が1に等しくないためである。本例では、Th1細胞もしくはTh2細胞:単球=5:4、すなわちα=5/4であるため、α/(α+1)=0.555となる。この0.555を式4−5に代入して、別途得られているTh1:Th2が1:1のときの規格化パラメータβ=0.92を用いることで、図4(B)に示すように、ほぼ正しいTh1/Th2が測定できることがわかる。これは、単球由来の遺伝子発現の寄与を式4により補正しているためである。このように、Th細胞のみを分離するという操作を行うことなく、Th1/Th2が測定できるので、本法により実験の簡略化、低コスト化、迅速化を達成できる。
【0101】
このように、本発明においては(イ)Th1細胞とTh2細胞とで発現量に差がある遺伝子のみならず、別途(ロ)Th細胞で特異的に発現している遺伝子、(ハ)Th細胞で発現していない遺伝子、(ニ)Th細胞とその他の細胞で同程度発現している遺伝子の発現量変化を知ること、とくに(ロ)、(ハ)、(ニ)の値を用いて(イ)の値を補正したことにより、測定精度を向上させ本発明を完成するに至った。
【0102】
Th1細胞とTh2細胞は様々な免疫疾患に関係している。例えばTh1細胞は慢性関節リュウマチ患者の関節液に有意に浸潤しており、Th2細胞はアトピー性皮膚炎患者の皮膚に選択的に浸潤することが分かっている。アトピー性皮膚炎では、正常人に比較して血中にCCR4を発現するTh2細胞の増加、CXCR3発現のTh1細胞の減少が観察されている(村井と松島、細胞工学 Vol.19、703−707、2000)。その他、Th1/Th2バランス異常と、喘息、エイズ、結核菌感染症、ライム病、インスリン依存性糖尿病、慢性関節リューマチ、多発性硬化症などとの関連性が深いことが指摘されている。Th1/Th2バランスのコントロールによるこれらの疾患の予防や治療が期待されている。
【0103】
Th1細胞で産出されるサイトカインは例えば、IFNガンマ、IL2など複数ある。そしてTh2細胞で産出されるサイトカインも、例えば、IL4、IL5、IL6、IL9,IL10,IL13など複数ある。これら複数のサイトカインのうちもっともTh1細胞とTh2細胞の比率に忠実なのは、IFNガンマ:IL4の比率だといわれている。しかし、IFNガンマとIL4の比率が正常な免疫疾患も少なくない。例えばアトピー皮膚炎と関わりの深いといわれているイデオパシックネフロティック症候群(Idiopathic Nephrotic Syndrome)では、末梢血細胞中のIFNガンマmRNA:IL4mRNAの比率は患者と健常人とで差がない。しかし、末梢血細胞中のIL13mRNAの量が患者で有意に上昇している(Yap, H−K et al., Th1 and Th2 cytokine mRNA profiles in childhood nephrotic syndrome: Evidence for increased IL−14 mRNA expression inrelapse, J. Am. Soc. Nephrol 10, 529−537, 1999)。これはTh1細胞数とTh2細胞数にたとえ差がなくとも、Th1細胞もしくはTh2細胞のいずれかに異常があれば、産出されるサイトカイン量のバランスが崩れることを意味する。その点で、DNAマイクロアレイは、Th1/Th2バランスに関係する数多くの遺伝子を一度に見ることができるので、種々の免疫疾患に対応でき、かつ一回の診断に要する費用が少なくてすむのである。
【0104】
【発明の効果】
末梢血から抽出した白血球細胞由来RNAをそのまま用いて、補正をほどこすことにより、ヘルパーT(Th)細胞のバランス(Th1細胞とTh2細胞の比率;Th1/Th2)を調べ、核酸サンプル中のTh1細胞数/Th2細胞数または患者及び健常者のTh1/Th2データと比較してアレルギーを解析する方法及びシステムを提供することができる。また、Th1/Th2を調べる上で不可欠な遺伝子群を特定することでアレイ上に載せるDNA断片(オリゴヌクレオチド)数を必要最小限とし、再現性・信頼性の高いアレルギー解析用アレイを用いた解析方法、解析システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板へのプローブDNA配置例を示す。
【図2】DNAチップの一般的な構造を示す。
【図3】Th1とTh2細胞の二者のみ含むサンプルを測定してTh1/Th2を評価した例を示す。
【図4】Th1及びTh2細胞に単球細胞を加えたサンプルを測定してTh1/Th2を評価した例を示す。
【図5】DNAチップ作成の概略図を示す。
【図6】DNAチップ作成のフローチャートを示す。
【図7】DNAチップデータ解析の概略図を示す。
【図8】DNAチップデータ解析のフローチャートを示す。
【図9】式4の計算式選択の方法を示すフローチャートを示す。
【符号の説明】
1.基板、2.プローブDNA固定化領域、
11.Th1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子配列もしくはその相補配列鎖を有するDNA断片(プローブDNA)の固定化領域、
12.Th細胞に特異的に発現する遺伝子のプローブDNA、
13.Th細胞ではあまり発現がなく、B細胞、単球などのT細胞以外の細胞に特異的に発現する遺伝子のプローブDNAの固定化領域、
14.Th細胞とその他の細胞で同程度発現している遺伝子のプローブDNAの固定化領域、
111.Th1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子でありかつTh1細胞での発現量がTh2細胞での発現量より大きい遺伝子のプローブDNAの固定化領域、
112.Th1細胞とTh2細胞において発現量に差のある遺伝子でありかつTh2細胞での発現量がTh1細胞での発現量より大きい遺伝子のプローブDNAの固定化領域、
21.蛍光検出器、22.DNAプローブ、23.蛍光標識された遺伝子、24.支持体、
25.公共データベース、26.インハウスデータベース、27.プローブ配列設計コンピュータ、28.プローブ配列、29.核酸合成装置、30.オリゴヌクレオチドプローブセット、31.スポッター、32.スポッター制御コンピュータ、33.チップ(作成途上)、34.チップ(完成後)、
35.蛍光標識サンプル、36.チップ、37.蛍光検出器、38.蛍光検出器制御コンピュータ、39.実験データ、40.実験データ解析コンピュータ

Claims (10)

  1. Th1細胞とTh2細胞の比率(Th1/Th2)のバランスによりアレルギーを解析する方法において、
    ヒト末梢血由来核酸サンプルを蛍光標識し、
    前記蛍光標識した核酸サンプルを、複数のプローブと混合してハイブリダイゼーションを行い、
    前記複数のプローブには、Th細胞特異的、Th1細胞特異的、Th2細胞特異的に発現する遺伝子が含まれており、
    前記ハイブリダイゼーションを発現量として前記蛍光により検出し、
    前記検出された蛍光強度により、Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量をそれぞれ測定し、
    前記核酸サンプル中の(Th1細胞数)/(Th2細胞数)又は患者及び健常者におけるTh1/Th2データと、(Th1/Th2)=(Th1細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量)/(Th2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量)とを比較することによりアレルギーを解析することを特徴とするアレルギー解析方法。
  2. 請求項1記載のアレルギー解析方法において、前記複数のプローブが、Th細胞以外の細胞特異的に発現する遺伝子をも含み、前記核酸サンプルが前記Th細胞以外の細胞でも発現している場合、前記Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量を、それぞれ(蛍光強度値)×(α/(α+1))(α:Th細胞特異的に発現している1以上の遺伝子の発現量/Th細胞以外の細胞特異的に発現している1以上の遺伝子の発現量)とすることを特徴とするアレルギー解析方法。
  3. 請求項2記載のアレルギー解析方法において、前記Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量をそれぞれ前記蛍光強度の和又は平均値とし、β(Th1:Th2=1:1のときに、Th1/Th2=1となるようにする規格化関数)との積をTh1/Th2とすることを特徴とするアレルギー解析方法。
  4. 請求項2記載のアレルギー解析方法において、前記Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量を、それぞれ前記複数のプローブ内での蛍光強度の順位の中央値とし、βとの積をTh1/Th2とすることを特徴とするアレルギー解析方法。
  5. 請求項2記載のアレルギー解析方法において、前記Th細胞以外の細胞が、好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、B細胞及びNK細胞から選択される1種以上の細胞であることを特徴とするアレルギー解析方法。
  6. Th1細胞とTh2細胞の比率(Th1/Th2)のバランスによりアレルギーを解析するシステムにおいて、
    複数のプローブを固定したオリゴヌクレオチドアレイと、
    前記複数のプローブには、Th細胞特異的、Th1細胞特異的、Th2細胞特異的に発現する遺伝子が含まれており、
    前記プローブにハイブリダイズした核酸サンプルの蛍光を発現量として検出する検出手段と、
    前記核酸サンプル中のTh1細胞数及びTh2細胞数、又は患者及び健常者におけるTh1/Th2をデータとして格納するデータ格納手段と、
    前記検出された蛍光強度により、Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量をデータとして格納するデータ格納手段と、
    前記核酸サンプル中の(Th1細胞数)/(Th2細胞数)又は前記患者及び健常者におけるTh1/Th2データと、(Th1/Th2)=(Th1細胞で発現する1以上の遺伝子の発現量)/(Th2細胞で発現する1以上の遺伝子の発現量)とを比較するコンピュータとを含むことを特徴とするアレルギー解析システム。
  7. 請求項6記載のアレルギー解析システムにおいて、前記プローブがTh細胞以外の細胞特異的に発現する遺伝子をも含み、前記核酸サンプルがTh細胞以外の細胞でも発現している場合、前記Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する遺伝子の発現量を、それぞれ(蛍光強度値)×(α/(α+1))(α:Th細胞特異的に発現している1以上の遺伝子の発現量/Th細胞以外の細胞特異的に発現している1以上の遺伝子の発現量)とすることを特徴とするアレルギー解析方法。
  8. 請求項7記載のアレルギー解析システムにおいて、前記Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量をそれぞれ前記蛍光強度の和又は平均値とし、β(Th1:Th2=1:1のときに、Th1/Th2=1となるようにする規格化関数)との積をT1/Th2とすることを特徴とするアレルギー解析システム。
  9. 請求項7記載のアレルギー解析システムにおいて、前記Th1細胞及びTh2細胞特異的に発現する1以上の遺伝子の発現量をそれぞれ前記複数のプローブ内での蛍光強度の順位の中央値とし、βとの積をTh1/Th2とすることを特徴とするアレルギー解析システム。
  10. 請求項7記載のアレルギー解析システムにおいて、前記Th細胞以外の細胞が、好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、B細胞及びNK細胞から選択される1種以上の細胞であることを特徴とするアレルギー解析システム。
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