JP2003328014A - ナノコンポジット磁石粉末の製造方法 - Google Patents
ナノコンポジット磁石粉末の製造方法Info
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- JP2003328014A JP2003328014A JP2002140236A JP2002140236A JP2003328014A JP 2003328014 A JP2003328014 A JP 2003328014A JP 2002140236 A JP2002140236 A JP 2002140236A JP 2002140236 A JP2002140236 A JP 2002140236A JP 2003328014 A JP2003328014 A JP 2003328014A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 充填性、成形性、磁気特性に優れたボンド磁
石用コンパウンドならびボンド磁石を提供する。 【解決手段】 (Fe1-mTm)100-x-y-zQxRyTizM
n(TはCo、Niからなる群から選択された1種以上
の元素、QはB、Cからなる群から選択されBを必ず含
む1種以上の元素、RはLaおよびCeを実質的に含ま
ない1種以上の希土類金属元素、MはAl、Si、V、
Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、H
f、Ta、W、Pt、Pb、AuおよびAgからなる群
から選択された少なくとも1種の金属元素)で、組成比
率x、y、z、nおよびmが、それぞれ、10<x≦2
0原子%、6≦y<10原子%、0.1≦z≦12原子
%、0≦n≦10原子%、および0≦m≦0.5を満足
し、急冷合金を粉砕装置を用いて粉砕し、粒径が106
μm超300μm以下の第1ピークと粒径が106μm
以下の第2ピークの粒度分布を持つ合金粉末が作製され
る。
石用コンパウンドならびボンド磁石を提供する。 【解決手段】 (Fe1-mTm)100-x-y-zQxRyTizM
n(TはCo、Niからなる群から選択された1種以上
の元素、QはB、Cからなる群から選択されBを必ず含
む1種以上の元素、RはLaおよびCeを実質的に含ま
ない1種以上の希土類金属元素、MはAl、Si、V、
Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、H
f、Ta、W、Pt、Pb、AuおよびAgからなる群
から選択された少なくとも1種の金属元素)で、組成比
率x、y、z、nおよびmが、それぞれ、10<x≦2
0原子%、6≦y<10原子%、0.1≦z≦12原子
%、0≦n≦10原子%、および0≦m≦0.5を満足
し、急冷合金を粉砕装置を用いて粉砕し、粒径が106
μm超300μm以下の第1ピークと粒径が106μm
以下の第2ピークの粒度分布を持つ合金粉末が作製され
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボンド磁石用希土
類合金粉末およびボンド磁石用コンパウンドならびにそ
れを用いたボンド磁石に関する。
類合金粉末およびボンド磁石用コンパウンドならびにそ
れを用いたボンド磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、ボンド磁石は、各種モータ、アク
チュエータ、スピーカ、メータ、フォーカスコンバージ
ェンスリング等の電気機器に用いられている。ボンド磁
石とは、磁石用合金粉末(磁石粉末)と結合剤(樹脂や
低融点金属)を混合し、成形固化することによって製造
された磁石である。
チュエータ、スピーカ、メータ、フォーカスコンバージ
ェンスリング等の電気機器に用いられている。ボンド磁
石とは、磁石用合金粉末(磁石粉末)と結合剤(樹脂や
低融点金属)を混合し、成形固化することによって製造
された磁石である。
【0003】従来、ボンド磁石用の磁石粉末として、Ma
gnequench International社(以下、「MQI社」と略
する。)から販売されているFe−R−B系磁石粉末、
いわゆるMQ粉が広く用いられている。MQ粉は、一般
に、Fe100-a-bBaRb(Feは鉄、Bは硼素、Rは、
Pr、Nd、Dy、およびTbからなる群から選択され
た少なくとも1種の希土類元素)の組成式で表され、こ
の組成式中のaおよびbが、1原子%≦a≦6原子%、
および10原子%≦b≦25原子%の関係を満足してお
り、Rの含有率bが高い希土類合金粉末である。
gnequench International社(以下、「MQI社」と略
する。)から販売されているFe−R−B系磁石粉末、
いわゆるMQ粉が広く用いられている。MQ粉は、一般
に、Fe100-a-bBaRb(Feは鉄、Bは硼素、Rは、
Pr、Nd、Dy、およびTbからなる群から選択され
た少なくとも1種の希土類元素)の組成式で表され、こ
の組成式中のaおよびbが、1原子%≦a≦6原子%、
および10原子%≦b≦25原子%の関係を満足してお
り、Rの含有率bが高い希土類合金粉末である。
【0004】MQ粉に代表される従来のボンド磁石用の
合金粉末は、溶融した原料合金(すなわち「合金溶
湯」)を急冷凝固させることによって作製される。この
液体急冷法(メルトクエンチング法)として、メルトス
ピニング法(典型的には単ロール法)が用いられること
が多い。単ロール法は、合金溶湯を回転する冷却ロール
に接触させることによって冷却し凝固させる方法であ
る。この方法による場合、急冷合金の形状は冷却ロール
の表面周速度方向に沿って薄帯(リボン)状に伸びたも
のとなる。このようにして作製した急冷合金薄帯は、熱
処理された後、例えば平均粒径が300μm以下(典型
的には約150μm)になるように粉砕され、永久磁石
用の希土類合金粉末となる。以下では、液体急冷法で作
製された上述の希土類合金粉末を単に「従来の急冷磁石
粉末」と称することとし、後述のナノコンポジット磁石
粉末を含まないものとする。
合金粉末は、溶融した原料合金(すなわち「合金溶
湯」)を急冷凝固させることによって作製される。この
液体急冷法(メルトクエンチング法)として、メルトス
ピニング法(典型的には単ロール法)が用いられること
が多い。単ロール法は、合金溶湯を回転する冷却ロール
に接触させることによって冷却し凝固させる方法であ
る。この方法による場合、急冷合金の形状は冷却ロール
の表面周速度方向に沿って薄帯(リボン)状に伸びたも
のとなる。このようにして作製した急冷合金薄帯は、熱
処理された後、例えば平均粒径が300μm以下(典型
的には約150μm)になるように粉砕され、永久磁石
用の希土類合金粉末となる。以下では、液体急冷法で作
製された上述の希土類合金粉末を単に「従来の急冷磁石
粉末」と称することとし、後述のナノコンポジット磁石
粉末を含まないものとする。
【0005】従来の急冷磁石粉末と樹脂(ここでは、ゴ
ムまたはエラストマを含むものとする。)とを混合し、
ボンド磁石用コンパウンド(以下、単に「コンパウン
ド」と呼ぶ。)が調製される。このコンパウンドには、
潤滑剤やカップリング剤などの添加剤が混合されること
もある。
ムまたはエラストマを含むものとする。)とを混合し、
ボンド磁石用コンパウンド(以下、単に「コンパウン
ド」と呼ぶ。)が調製される。このコンパウンドには、
潤滑剤やカップリング剤などの添加剤が混合されること
もある。
【0006】このコンパウンドを、例えば圧縮成形、押
出し成形や射出成形によって所望形状に成形し、永久磁
石の成形体(「永久磁石体」とも言う。)としてのボン
ド磁石が得られる。また、圧縮成形や押出し成形によっ
て作製されるボンド磁石は、結合剤の含有率が少ないの
で、磁石粉末を腐食から保護するために、さらに表面処
理が施されることもある。
出し成形や射出成形によって所望形状に成形し、永久磁
石の成形体(「永久磁石体」とも言う。)としてのボン
ド磁石が得られる。また、圧縮成形や押出し成形によっ
て作製されるボンド磁石は、結合剤の含有率が少ないの
で、磁石粉末を腐食から保護するために、さらに表面処
理が施されることもある。
【0007】一方、近年、ボンド磁石に用いられる磁石
粉末として、比較的コストが安いという利点から、鉄基
希土類合金(特にFe−R−B系)のナノコンポジット
磁石(「交換スプリング磁石」と言われることもあ
る。)粉末が用いられつつある。Fe−R−B系のナノ
コンポジット磁石は、例えばFe3BやFe23B6等の軟
磁性相である鉄基硼化物の微結晶と硬磁性相であるR2
Fe14B相の微結晶とが同一金属組織内において均一に
分布し、両者が交換相互作用によって磁気的に結合した
鉄基合金永久磁石である(例えば、本願出願人による特
願平11−362103号および特願2000−371
788号参照)。
粉末として、比較的コストが安いという利点から、鉄基
希土類合金(特にFe−R−B系)のナノコンポジット
磁石(「交換スプリング磁石」と言われることもあ
る。)粉末が用いられつつある。Fe−R−B系のナノ
コンポジット磁石は、例えばFe3BやFe23B6等の軟
磁性相である鉄基硼化物の微結晶と硬磁性相であるR2
Fe14B相の微結晶とが同一金属組織内において均一に
分布し、両者が交換相互作用によって磁気的に結合した
鉄基合金永久磁石である(例えば、本願出願人による特
願平11−362103号および特願2000−371
788号参照)。
【0008】ナノコンポジット磁石は、軟磁性相を含み
ながらも、軟磁性相と硬磁性相との間の磁気的結合(交
換相互作用)によって優れた磁気特性を発揮する。ま
た、Nd等の希土類元素Rを含まない軟磁性相が存在す
る結果、全体として希土類元素Rの含有量が低く抑えら
れる(典型的には、Rの含有率が4.5原子%)。この
ことは、磁石の製造コストを低減し、磁石を安定に供給
するうえでも好都合である。また、酸素に対して活性な
Rの含有率が低いので、耐食性にも優れている。なお、
このナノコンポジット磁石も、液体急冷法によって作製
される。このナノコンポジット磁石を所定の方法によっ
て粉砕し、ナノコンポジット磁石粉末を得る。
ながらも、軟磁性相と硬磁性相との間の磁気的結合(交
換相互作用)によって優れた磁気特性を発揮する。ま
た、Nd等の希土類元素Rを含まない軟磁性相が存在す
る結果、全体として希土類元素Rの含有量が低く抑えら
れる(典型的には、Rの含有率が4.5原子%)。この
ことは、磁石の製造コストを低減し、磁石を安定に供給
するうえでも好都合である。また、酸素に対して活性な
Rの含有率が低いので、耐食性にも優れている。なお、
このナノコンポジット磁石も、液体急冷法によって作製
される。このナノコンポジット磁石を所定の方法によっ
て粉砕し、ナノコンポジット磁石粉末を得る。
【0009】ボンド磁石の磁気特性は、ボンド磁石に含
まれる磁石粉末の磁気特性とその充填率に依存する。そ
こで、ボンド磁石の磁気特性を向上するために、磁石粉
末の充填率を向上することが検討されている。
まれる磁石粉末の磁気特性とその充填率に依存する。そ
こで、ボンド磁石の磁気特性を向上するために、磁石粉
末の充填率を向上することが検討されている。
【0010】また、近年は電気機器が小型化し高性能化
するのに伴い、小型で高性能な磁石に対する需要は益々
増大している。例えば、スピンドルモータ用のリング磁
石としては外径が15mm〜20mm、内径が13mm
〜18mm、厚さが1mm〜2mm程度のもの、あるい
は、ステッピングモータ用のリング磁石としては、外径
が4mm〜10mm、内径が2mm〜8mm、厚さが
0.5mm〜1.5mm程度の製品に対する需要が増大
している。
するのに伴い、小型で高性能な磁石に対する需要は益々
増大している。例えば、スピンドルモータ用のリング磁
石としては外径が15mm〜20mm、内径が13mm
〜18mm、厚さが1mm〜2mm程度のもの、あるい
は、ステッピングモータ用のリング磁石としては、外径
が4mm〜10mm、内径が2mm〜8mm、厚さが
0.5mm〜1.5mm程度の製品に対する需要が増大
している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者が検討した結果、上述の従来の急冷磁石粉末および従
来のナノコンポジット磁石粉末には、下記に示す問題が
あることが分かった。
者が検討した結果、上述の従来の急冷磁石粉末および従
来のナノコンポジット磁石粉末には、下記に示す問題が
あることが分かった。
【0012】MQ粉に代表される従来の急冷磁石粉末
は、典型的には、ロール表面周速度を18m/秒以上に
して、厚さ50μm以下(典型的には約20μm〜約4
0μm)の急冷合金薄帯を作製し、この急冷合金薄帯を
熱処理した後、平均粒径が300μm以下(典型的には
約150μm)になるように粉砕することによって製造
されている。このようにして製造された磁石粉末の粒子
の形状は扁平なものとなり、その粉末粒子のアスペクト
比は0.3未満である。なお、アスペクト比は短軸方向
サイズ/長軸方向サイズをあらわすものとする。
は、典型的には、ロール表面周速度を18m/秒以上に
して、厚さ50μm以下(典型的には約20μm〜約4
0μm)の急冷合金薄帯を作製し、この急冷合金薄帯を
熱処理した後、平均粒径が300μm以下(典型的には
約150μm)になるように粉砕することによって製造
されている。このようにして製造された磁石粉末の粒子
の形状は扁平なものとなり、その粉末粒子のアスペクト
比は0.3未満である。なお、アスペクト比は短軸方向
サイズ/長軸方向サイズをあらわすものとする。
【0013】この磁石粉末は、優れた磁気特性を有して
いるものの、磁石粉末の充填率(ボンド磁石の密度/粉
末粒子の密度)は、種々の成形法の内で最も高い成形密
度が得られる圧縮成形法でも、通常、最高で約80%で
ある。
いるものの、磁石粉末の充填率(ボンド磁石の密度/粉
末粒子の密度)は、種々の成形法の内で最も高い成形密
度が得られる圧縮成形法でも、通常、最高で約80%で
ある。
【0014】例えば、従来の急冷磁石粉末を使用し、圧
縮成形法で磁石粉末の充填率が80%を超えるボンド磁
石を成形すると、磁石粉末同士の隙間に入る樹脂の量が
少なくなるため空隙率が高くなり、さらには、磁粉が脱
粒することもある。その結果、使用環境下での酸化によ
って磁気特性が著しく劣化する。この磁気特性の劣化を
防止するために、後工程で、空隙を埋めたり(「封孔処
理」と呼ばれることがある。)、表面に十分な厚さの保
護膜を形成したり(表面処理)する必要が生じる。ま
た、表面処理で樹脂等の厚い保護膜を形成すると、磁石
表面の非磁性層の厚さが増すことを意味するので、磁気
回路における磁気的なギャップが広くなり、磁気エネル
ギーの利用効率を低下させることになる。さらに、コン
パウンドの作製過程や成形過程で、磁石粉末の粒子が破
壊され、新たな表面が露出することによる耐食性の低下
や表面の酸化による磁気特性の低下が起こることもあ
る。
縮成形法で磁石粉末の充填率が80%を超えるボンド磁
石を成形すると、磁石粉末同士の隙間に入る樹脂の量が
少なくなるため空隙率が高くなり、さらには、磁粉が脱
粒することもある。その結果、使用環境下での酸化によ
って磁気特性が著しく劣化する。この磁気特性の劣化を
防止するために、後工程で、空隙を埋めたり(「封孔処
理」と呼ばれることがある。)、表面に十分な厚さの保
護膜を形成したり(表面処理)する必要が生じる。ま
た、表面処理で樹脂等の厚い保護膜を形成すると、磁石
表面の非磁性層の厚さが増すことを意味するので、磁気
回路における磁気的なギャップが広くなり、磁気エネル
ギーの利用効率を低下させることになる。さらに、コン
パウンドの作製過程や成形過程で、磁石粉末の粒子が破
壊され、新たな表面が露出することによる耐食性の低下
や表面の酸化による磁気特性の低下が起こることもあ
る。
【0015】従来の急冷磁石粉末を用いて充填率を改善
するために、例えば、特開昭63−155601号公報
に開示されているように、急冷磁石粉末の粒度分布を制
御する試みがなされているが、十分な充填率を実現でき
ず、また、粒度調整が必要なため、工程費用が増加する
という問題がある。
するために、例えば、特開昭63−155601号公報
に開示されているように、急冷磁石粉末の粒度分布を制
御する試みがなされているが、十分な充填率を実現でき
ず、また、粒度調整が必要なため、工程費用が増加する
という問題がある。
【0016】また、本発明者による検討の結果、従来の
急冷磁石粉末は、希土類元素の含有率が高いので酸化さ
れやすく、粒径の小さな粒子ほど酸化による磁気特性の
低下の程度が大きいので(例えば、MQP−B(最大粒
径300μm以下)の場合、53μm以下の粉末粒子の
残留磁束密度Br(0.79T)は、106μm超12
5μm以下の粉末粒子の残留磁束密度Br(0.90
T)の90%未満となる。)、小さな粒子の分率が増え
るに従い、磁石粉末そのものの磁気特性が低下するとい
う問題があることが分かった。この酸化に起因する磁気
特性の低下を抑制するためには、ボンド磁石用の磁石粉
末に含まれる小さな粒子の分率を抑える必要があり、そ
の結果、充填率を向上するための粒度分布の調整にも制
限があった。
急冷磁石粉末は、希土類元素の含有率が高いので酸化さ
れやすく、粒径の小さな粒子ほど酸化による磁気特性の
低下の程度が大きいので(例えば、MQP−B(最大粒
径300μm以下)の場合、53μm以下の粉末粒子の
残留磁束密度Br(0.79T)は、106μm超12
5μm以下の粉末粒子の残留磁束密度Br(0.90
T)の90%未満となる。)、小さな粒子の分率が増え
るに従い、磁石粉末そのものの磁気特性が低下するとい
う問題があることが分かった。この酸化に起因する磁気
特性の低下を抑制するためには、ボンド磁石用の磁石粉
末に含まれる小さな粒子の分率を抑える必要があり、そ
の結果、充填率を向上するための粒度分布の調整にも制
限があった。
【0017】さらに、従来の急冷磁石粉末は、比較的粒
径の大きな粒子を多く含むので、近年需要が高まってい
る小型磁石を成形することが難しく、また、大きな粒子
が脱粒しやすいという問題もある。
径の大きな粒子を多く含むので、近年需要が高まってい
る小型磁石を成形することが難しく、また、大きな粒子
が脱粒しやすいという問題もある。
【0018】従来の急冷磁石粉末の成形性(特に流動
性)を改善するために、特開平5−315174号公報
は、ガスアトマイズ法で作製された磁石粉末を用いる方
法を提案している。上記公報によると、ガスアトマイズ
法で作製された磁石粉末の粒子は粒状(球状)に近いの
で、この磁石粉末を従来の急冷磁石粉末に添加すること
によって、流動性を改善することができる。しかしなが
ら、ガスアトマイズ法は上述の液体急冷法に比べ冷却速
度が遅いので、従来の組成で充分な磁気特性を発現する
磁石粉末を製造することは困難であり、工業的に利用可
能な方法とは言い難い。
性)を改善するために、特開平5−315174号公報
は、ガスアトマイズ法で作製された磁石粉末を用いる方
法を提案している。上記公報によると、ガスアトマイズ
法で作製された磁石粉末の粒子は粒状(球状)に近いの
で、この磁石粉末を従来の急冷磁石粉末に添加すること
によって、流動性を改善することができる。しかしなが
ら、ガスアトマイズ法は上述の液体急冷法に比べ冷却速
度が遅いので、従来の組成で充分な磁気特性を発現する
磁石粉末を製造することは困難であり、工業的に利用可
能な方法とは言い難い。
【0019】一方、従来のFe−R−B系のナノコンポ
ジット磁石粉末は、希土類元素の含有率が比較的低く、
典型的には硬磁性相の体積比率が30%以下である。そ
のために磁気特性(例えば保磁力HcJ)が従来の急冷磁
石粉末(MQ粉など)に比べ低いので、十分な磁気特性
を有するボンド磁石が得られないという問題があり、例
えばハードディスクドライブ装置(HDD)のモータに
適用することができなかった。
ジット磁石粉末は、希土類元素の含有率が比較的低く、
典型的には硬磁性相の体積比率が30%以下である。そ
のために磁気特性(例えば保磁力HcJ)が従来の急冷磁
石粉末(MQ粉など)に比べ低いので、十分な磁気特性
を有するボンド磁石が得られないという問題があり、例
えばハードディスクドライブ装置(HDD)のモータに
適用することができなかった。
【0020】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、充填性および/または成形性
に優れるとともに磁気特性に優れたナノコンポジット磁
石粉末の製造方法を提供することにある。
であり、その主な目的は、充填性および/または成形性
に優れるとともに磁気特性に優れたナノコンポジット磁
石粉末の製造方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明によるナノコンポ
ジット磁石粉末の製造方法は、組成式が(Fe1-mTm)
100-x-y-zQxRyTizMn(TはCoおよびNiからな
る群から選択された1種以上の元素、QはBおよびCか
らなる群から選択されBを必ず含む1種以上の元素、R
はLaおよびCeを実質的に含まない1種以上の希土類
金属元素、MはAl、Si、V、Cr、Mn、Cu、Z
n、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、
Pb、AuおよびAgからなる群から選択された少なく
とも1種の金属元素)で表現され、組成比率x、y、
z、nおよびmが、それぞれ、10<x≦20原子%、
6≦y<10原子%、0.1≦z≦12原子%、0≦n
≦10原子%、および0≦m≦0.5を満足し、平均厚
さが40μm超90μm以下の急冷合金を用意する工程
と、回転する粉砕部、および前記粉砕部の外周に配置さ
れた複数の開口部を有するスクリーンを備えた粉砕装置
を用いて前記急冷合金を粉砕し、粒径が前記スクリーン
の開口部よりも小さい合金粉末を作製する粉砕工程とを
包含する。
ジット磁石粉末の製造方法は、組成式が(Fe1-mTm)
100-x-y-zQxRyTizMn(TはCoおよびNiからな
る群から選択された1種以上の元素、QはBおよびCか
らなる群から選択されBを必ず含む1種以上の元素、R
はLaおよびCeを実質的に含まない1種以上の希土類
金属元素、MはAl、Si、V、Cr、Mn、Cu、Z
n、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、
Pb、AuおよびAgからなる群から選択された少なく
とも1種の金属元素)で表現され、組成比率x、y、
z、nおよびmが、それぞれ、10<x≦20原子%、
6≦y<10原子%、0.1≦z≦12原子%、0≦n
≦10原子%、および0≦m≦0.5を満足し、平均厚
さが40μm超90μm以下の急冷合金を用意する工程
と、回転する粉砕部、および前記粉砕部の外周に配置さ
れた複数の開口部を有するスクリーンを備えた粉砕装置
を用いて前記急冷合金を粉砕し、粒径が前記スクリーン
の開口部よりも小さい合金粉末を作製する粉砕工程とを
包含する。
【0022】好ましい実施形態では、前記粉砕工程にお
いて、粒径が106μm超300μm以下の範囲に第1
ピークを有し、かつ、粒径が106μm以下の範囲に第
2ピークを有する粒度分布を持つ合金粉末を作製する。
いて、粒径が106μm超300μm以下の範囲に第1
ピークを有し、かつ、粒径が106μm以下の範囲に第
2ピークを有する粒度分布を持つ合金粉末を作製する。
【0023】好ましい実施形態において、前記急冷合金
を用意する工程は、前記組成式で示される合金の溶湯を
用意する工程と、回転する冷却ロールの表面に対して前
記合金溶湯を1.5kg/分以上の供給レートで接触さ
せ、それによってR2T14Q型化合物結晶粒を体積比率
で全体の50%以上含む急冷合金を作製する冷却工程と
を包含する。
を用意する工程は、前記組成式で示される合金の溶湯を
用意する工程と、回転する冷却ロールの表面に対して前
記合金溶湯を1.5kg/分以上の供給レートで接触さ
せ、それによってR2T14Q型化合物結晶粒を体積比率
で全体の50%以上含む急冷合金を作製する冷却工程と
を包含する。
【0024】好ましい実施形態において、磁気的に結合
したR2T14Q型化合物および強磁性鉄基硼化物を含有
しており、しかも、全結晶相の体積比率は全体の95%
以上であり、かつ、アモルファス相の体積比率は全体の
5%以下である。
したR2T14Q型化合物および強磁性鉄基硼化物を含有
しており、しかも、全結晶相の体積比率は全体の95%
以上であり、かつ、アモルファス相の体積比率は全体の
5%以下である。
【0025】好ましい実施形態において、前記R2T14
Q型化合物の体積比率は、全体の65%以上85%以下
である。
Q型化合物の体積比率は、全体の65%以上85%以下
である。
【0026】好ましい実施形態において、前記強磁性鉄
基硼化物は、前記R2T14Q型化合物の粒界に存在して
いる。
基硼化物は、前記R2T14Q型化合物の粒界に存在して
いる。
【0027】好ましい実施形態において、前記R2T14
Q型化合物の平均結晶粒径は10nm以上200nm以
下、前記強磁性鉄基硼化物の平均結晶粒径は1nm以上
100nm以下の範囲内にある。
Q型化合物の平均結晶粒径は10nm以上200nm以
下、前記強磁性鉄基硼化物の平均結晶粒径は1nm以上
100nm以下の範囲内にある。
【0028】好ましい実施形態において、前記合金粉末
を作製する工程の前に、前記急冷合金を粗く粉砕するこ
とによって平均サイズが1mm以下の粗粉砕粉を作製す
る工程を含んでいる。
を作製する工程の前に、前記急冷合金を粗く粉砕するこ
とによって平均サイズが1mm以下の粗粉砕粉を作製す
る工程を含んでいる。
【0029】好ましい実施形態において、前記粗粉砕粉
を作製する工程の後、前記急冷合金の粗粉砕粉または前
記合金粉末を500℃以上900℃の温度で10秒以上
加熱する熱処理工程を更に含む。
を作製する工程の後、前記急冷合金の粗粉砕粉または前
記合金粉末を500℃以上900℃の温度で10秒以上
加熱する熱処理工程を更に含む。
【0030】好ましい実施形態において、前記粉砕装置
は、前記スクリーンの開口部の大きさが200μm超
1.0mm以下の範囲に設定されたパワーミルまたはフ
ェザーミルである。
は、前記スクリーンの開口部の大きさが200μm超
1.0mm以下の範囲に設定されたパワーミルまたはフ
ェザーミルである。
【0031】本発明によるボンド磁石の製造方法は、上
記の方法によって製造されたナノコンポジット磁石粉末
を用意する工程と、前記ナノコンポジット磁石粉末を圧
縮成形し、6.0g/cm3以上の密度を持つ成形体を
作製する工程とを含む。
記の方法によって製造されたナノコンポジット磁石粉末
を用意する工程と、前記ナノコンポジット磁石粉末を圧
縮成形し、6.0g/cm3以上の密度を持つ成形体を
作製する工程とを含む。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明者は、特定組成の希土類合
金に適量のTiを添加し、所定の条件で合金溶湯を急冷
凝固させることにより、優れた磁石特性を示すナノコン
ポジット磁石用急冷合金を作製できることを見出し、特
許第3264664号に開示した。その後、本発明者
は、このナノコンポジット磁石用急冷合金を、その平均
厚さが所定範囲内に調整される条件で作製した後、特定
の粉砕装置で粉砕することにより、6.0g/cm3以
上の高い成形密度を実現できる、成形性に優れた粒度分
布の粉砕粉が得られることを見出し、本発明を想到する
に至った。本発明によれば、粉砕工程の後に粒度分布調
整工程を新たに付加することなく、圧縮成形に最適な粒
度分布を持つナノコンポジット磁石粉末を得ることがで
きる。
金に適量のTiを添加し、所定の条件で合金溶湯を急冷
凝固させることにより、優れた磁石特性を示すナノコン
ポジット磁石用急冷合金を作製できることを見出し、特
許第3264664号に開示した。その後、本発明者
は、このナノコンポジット磁石用急冷合金を、その平均
厚さが所定範囲内に調整される条件で作製した後、特定
の粉砕装置で粉砕することにより、6.0g/cm3以
上の高い成形密度を実現できる、成形性に優れた粒度分
布の粉砕粉が得られることを見出し、本発明を想到する
に至った。本発明によれば、粉砕工程の後に粒度分布調
整工程を新たに付加することなく、圧縮成形に最適な粒
度分布を持つナノコンポジット磁石粉末を得ることがで
きる。
【0033】本発明では、まず、組成式が(Fe
1-mTm)100-x-y-zQxRyTizMnで表現され、平均厚
さが40μm超90μm以下、厚さの標準偏差が15μ
m以下の急冷合金を用意する。ここで、TはCoおよび
Niからなる群から選択された1種以上の元素、QはB
およびCからなる群から選択されBを必ず含む1種以上
の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない1種以
上の希土類金属元素、MはAl、Si、V、Cr、M
n、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、T
a、W、Pt、Pb、AuおよびAgからなる群から選
択された少なくとも1種の金属元素であり、組成比率
x、y、z、nおよびmは、それぞれ、10<x≦20
原子%、6≦y<10原子%、0.1≦z≦12原子
%、0≦n≦10原子%、および0≦m≦0.5を満足
する。
1-mTm)100-x-y-zQxRyTizMnで表現され、平均厚
さが40μm超90μm以下、厚さの標準偏差が15μ
m以下の急冷合金を用意する。ここで、TはCoおよび
Niからなる群から選択された1種以上の元素、QはB
およびCからなる群から選択されBを必ず含む1種以上
の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない1種以
上の希土類金属元素、MはAl、Si、V、Cr、M
n、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、T
a、W、Pt、Pb、AuおよびAgからなる群から選
択された少なくとも1種の金属元素であり、組成比率
x、y、z、nおよびmは、それぞれ、10<x≦20
原子%、6≦y<10原子%、0.1≦z≦12原子
%、0≦n≦10原子%、および0≦m≦0.5を満足
する。
【0034】このような急冷合金は、好ましくは、上記
組成を有する合金の溶湯を用意する工程と、回転する冷
却ロールの表面に対して前記合金溶湯を1.5kg/分
以上の供給レートで接触させ、それによってR2T14Q
型化合物結晶粒の体積比率がα−Fe相の体積比率より
も大きい急冷合金を作製する冷却工程とによって作製さ
れる。
組成を有する合金の溶湯を用意する工程と、回転する冷
却ロールの表面に対して前記合金溶湯を1.5kg/分
以上の供給レートで接触させ、それによってR2T14Q
型化合物結晶粒の体積比率がα−Fe相の体積比率より
も大きい急冷合金を作製する冷却工程とによって作製さ
れる。
【0035】上記の方法で作製される急冷合金は、急冷
凝固直後においても、体積比率で50%以上のR2T14
Q型化合物を含有しているが、アモルファス相も含有し
ているため、結晶化のため熱処理を施すことが好まし
い。急冷直後、または必要に応じて熱処理が施された後
の急冷合金は、磁気的に結合したR2T14Q型化合物お
よび強磁性鉄基硼化物を含有しており、ナノコンポジッ
ト構造が形成されている。好ましい態様では、合金中に
占める全結晶相の体積比率は全体の95%以上であり、
かつ、アモルファス相の体積比率は全体の5%以下であ
る。特に、硬磁性を担うR2T14Q型化合物の体積比率
は、全体の65%以上85%以下であることが望まし
い。
凝固直後においても、体積比率で50%以上のR2T14
Q型化合物を含有しているが、アモルファス相も含有し
ているため、結晶化のため熱処理を施すことが好まし
い。急冷直後、または必要に応じて熱処理が施された後
の急冷合金は、磁気的に結合したR2T14Q型化合物お
よび強磁性鉄基硼化物を含有しており、ナノコンポジッ
ト構造が形成されている。好ましい態様では、合金中に
占める全結晶相の体積比率は全体の95%以上であり、
かつ、アモルファス相の体積比率は全体の5%以下であ
る。特に、硬磁性を担うR2T14Q型化合物の体積比率
は、全体の65%以上85%以下であることが望まし
い。
【0036】このようなナノコンポジット磁石合金中に
含まれる強磁性鉄基硼化物は、R2T14Q型化合物の粒
界に存在しており、好ましい実施形態では、R2T14Q
型化合物の平均結晶粒径は10nm以上200nm以
下、強磁性鉄基硼化物の平均結晶粒径は1nm以上10
0nm以下の範囲内にある。
含まれる強磁性鉄基硼化物は、R2T14Q型化合物の粒
界に存在しており、好ましい実施形態では、R2T14Q
型化合物の平均結晶粒径は10nm以上200nm以
下、強磁性鉄基硼化物の平均結晶粒径は1nm以上10
0nm以下の範囲内にある。
【0037】上記のナノコンポジット磁石粉末は、適量
のTiを添加することによって得られる組織構造を有し
ているため、以下においては「Ti含有ナノコンポジッ
ト磁粉」と称することとする。このTi含有ナノコンポ
ジット磁粉は、上述のような組成および組織を有してい
るので、硬磁性相と軟磁性相とが交換相互作用によって
磁気的に結合しており、希土類元素の含有率が比較的低
いにも拘わらず、従来の急冷磁石粉末と同等またはそれ
以上の優れた磁気特性を有し、さらにはFe3B相を主
相とする従来のナノコンポジット磁石粉末よりも、優れ
た磁気特性を有する(特に保磁力HcJが高い)。具体的
には、本発明によるTi含有ナノコンポジット磁粉は、
最大エネルギー積(BH)max:70kJ/m3以
上、保磁力HcJ:700kA/m以上、残留磁束密度B
r:0.7T以上を実現でき、さらには、最大エネルギ
ー積(BH)max:90kJ/m3以上、保磁力
HcJ:800kA/m以上、残留磁束密度Br:0.8
T以上を実現できる。
のTiを添加することによって得られる組織構造を有し
ているため、以下においては「Ti含有ナノコンポジッ
ト磁粉」と称することとする。このTi含有ナノコンポ
ジット磁粉は、上述のような組成および組織を有してい
るので、硬磁性相と軟磁性相とが交換相互作用によって
磁気的に結合しており、希土類元素の含有率が比較的低
いにも拘わらず、従来の急冷磁石粉末と同等またはそれ
以上の優れた磁気特性を有し、さらにはFe3B相を主
相とする従来のナノコンポジット磁石粉末よりも、優れ
た磁気特性を有する(特に保磁力HcJが高い)。具体的
には、本発明によるTi含有ナノコンポジット磁粉は、
最大エネルギー積(BH)max:70kJ/m3以
上、保磁力HcJ:700kA/m以上、残留磁束密度B
r:0.7T以上を実現でき、さらには、最大エネルギ
ー積(BH)max:90kJ/m3以上、保磁力
HcJ:800kA/m以上、残留磁束密度Br:0.8
T以上を実現できる。
【0038】このように、本発明の製造方法で作製され
るナノコンポジット磁粉は、従来の急冷磁石粉末と同等
以上の磁気特性を有しているので、従来の急冷磁石粉末
(例えばMQ粉)の代わりにボンド磁石用磁粉として用
いることができる。勿論、ボンド磁石用磁粉として、T
i含有ナノコンポジット磁粉のみを用いることが好まし
いが、Ti含有ナノコンポジット磁粉の特徴を損なわな
い程度に従来の急冷磁石粉末などを混合してもよい。
るナノコンポジット磁粉は、従来の急冷磁石粉末と同等
以上の磁気特性を有しているので、従来の急冷磁石粉末
(例えばMQ粉)の代わりにボンド磁石用磁粉として用
いることができる。勿論、ボンド磁石用磁粉として、T
i含有ナノコンポジット磁粉のみを用いることが好まし
いが、Ti含有ナノコンポジット磁粉の特徴を損なわな
い程度に従来の急冷磁石粉末などを混合してもよい。
【0039】さらに、Ti含有ナノコンポジット磁粉
は、上述した組成および組織を有するため、その磁気特
性に粒径依存性が小さいという特徴を有している。例え
ば、53μm以下の粒子の残留磁束密度Brが106μ
m超250μm以下の粒子の残留磁束密度Brと実質的
に同じ(95%以上)ものが得られる。Ti含有ナノコ
ンポジット磁粉は、希土類元素Rの含有率が比較的低い
上に、R2Fe14B相を取り囲むように小さな硼化物相
が分散しており、さらにTiは硼素との親和性が高いの
で硼化物相は他の相よりも多くのTiを含有している。
その結果、Ti含有ナノコンポジット磁粉は、従来の急
冷磁石粉末に比べ耐酸化性に優れている。このように、
従来の急冷磁石粉末は比較的多量の希土類元素Rを含む
ので酸化されやすく、粒径が小さいほど粉末粒子表面の
酸化による磁気特性の低下が顕著であるのに対し、Ti
含有ナノコンポジット磁粉は酸化による磁気特性の劣化
が少なく、磁気特性の粒径依存性が小さい。
は、上述した組成および組織を有するため、その磁気特
性に粒径依存性が小さいという特徴を有している。例え
ば、53μm以下の粒子の残留磁束密度Brが106μ
m超250μm以下の粒子の残留磁束密度Brと実質的
に同じ(95%以上)ものが得られる。Ti含有ナノコ
ンポジット磁粉は、希土類元素Rの含有率が比較的低い
上に、R2Fe14B相を取り囲むように小さな硼化物相
が分散しており、さらにTiは硼素との親和性が高いの
で硼化物相は他の相よりも多くのTiを含有している。
その結果、Ti含有ナノコンポジット磁粉は、従来の急
冷磁石粉末に比べ耐酸化性に優れている。このように、
従来の急冷磁石粉末は比較的多量の希土類元素Rを含む
ので酸化されやすく、粒径が小さいほど粉末粒子表面の
酸化による磁気特性の低下が顕著であるのに対し、Ti
含有ナノコンポジット磁粉は酸化による磁気特性の劣化
が少なく、磁気特性の粒径依存性が小さい。
【0040】本発明では、上記の急冷合金を粉砕するに
際して、図1(a)および(b)に示す粉砕装置を用い
る。この粉砕装置は、パワーミルやフェザーミルと呼ば
れる粉砕装置であり、回転する粉砕部(粉砕刃)10
0、および粉砕部100の外周に配置された複数の開口
部を有するスクリーン102を備えている。スクリーン
102は円筒形状(例えば200mmφ×高さ170m
m)を有しており、多数の開口部がスクリーン102の
略全体に形成されている。スクリーン10における開口
部の配列パターンは任意であり、スクリーン102の高
さ方向に沿って開口部のサイズや形状が変化していても
良い。開口部のサイズは、例えば、200〜700μm
の範囲にある。スクリーン102は、図示されているよ
うな丸穴スクリーンに限定されず、角穴スクリーン、メ
ッシュスクリーン、あるいはヘリンボーンスクリーンな
どであってもよい。
際して、図1(a)および(b)に示す粉砕装置を用い
る。この粉砕装置は、パワーミルやフェザーミルと呼ば
れる粉砕装置であり、回転する粉砕部(粉砕刃)10
0、および粉砕部100の外周に配置された複数の開口
部を有するスクリーン102を備えている。スクリーン
102は円筒形状(例えば200mmφ×高さ170m
m)を有しており、多数の開口部がスクリーン102の
略全体に形成されている。スクリーン10における開口
部の配列パターンは任意であり、スクリーン102の高
さ方向に沿って開口部のサイズや形状が変化していても
良い。開口部のサイズは、例えば、200〜700μm
の範囲にある。スクリーン102は、図示されているよ
うな丸穴スクリーンに限定されず、角穴スクリーン、メ
ッシュスクリーン、あるいはヘリンボーンスクリーンな
どであってもよい。
【0041】粉砕刃100は、回転軸を中心に放射状に
突出する複数枚の硬質ブレードが回転軸に沿って複数段
配置されたものであり、モータなどによって、例えば2
000〜4000rpmの速度で回転することができ
る。
突出する複数枚の硬質ブレードが回転軸に沿って複数段
配置されたものであり、モータなどによって、例えば2
000〜4000rpmの速度で回転することができ
る。
【0042】粉砕刃100が回転している状態にある粉
砕装置に対して、粉砕されるべき急冷合金(粉砕原料)
が上方から投入される。投入された急冷合金は、粉砕刃
100と激しく衝突し、スクリーン102の内周面にも
衝突する。スクリーン102に形成した開口部よりも大
きなサイズに砕かれた急冷合金は、スクリーン102の
外側に飛びだすことができず、粉砕刃100による粉砕
を更に受けることになる。一方、スクリーン102の開
口部よりも小さく粉砕された急冷合金は、その開口部を
介してスクリーン102の外側に飛びだすことができ
る。スクリーン102の外周部には、不図示のスクリー
ンカバーが設けられ、スクリーン102の開口部から飛
び出した粉末の回収が容易になっている。粉砕工程が終
わった後、最終的には、スクリーン102の外側と内側
の両方から回収された粉砕粉が粉末を構成することとな
るため、原料の回収率は略100%に達する。
砕装置に対して、粉砕されるべき急冷合金(粉砕原料)
が上方から投入される。投入された急冷合金は、粉砕刃
100と激しく衝突し、スクリーン102の内周面にも
衝突する。スクリーン102に形成した開口部よりも大
きなサイズに砕かれた急冷合金は、スクリーン102の
外側に飛びだすことができず、粉砕刃100による粉砕
を更に受けることになる。一方、スクリーン102の開
口部よりも小さく粉砕された急冷合金は、その開口部を
介してスクリーン102の外側に飛びだすことができ
る。スクリーン102の外周部には、不図示のスクリー
ンカバーが設けられ、スクリーン102の開口部から飛
び出した粉末の回収が容易になっている。粉砕工程が終
わった後、最終的には、スクリーン102の外側と内側
の両方から回収された粉砕粉が粉末を構成することとな
るため、原料の回収率は略100%に達する。
【0043】このような粉砕装置を用いて上記急冷合金
を粉砕すると、一般には、粒度分布の幅が相対的に広い
粉末が生成される。しかし、本発明で用いる特定組織構
造を有し、かつ、特定の厚さを持つ急冷合金を上記の粉
砕装置で粉砕すると、粒径が106μm超300μm以
下の範囲に第1ピークを有し、かつ、粒径が106μm
以下の範囲に第2ピークを有する粒度分布を持つ合金粉
末を作製することができる。このような2つのピークを
有する双峰性の粒度分布であれば、相対的に大きな粒径
(粒径:106μm超)を持つ粉末粒子が作る隙間の中
に相対的に小さな粒径を持つ粉末粒子が入り込むため、
充填性に優れ、成形密度を大きく向上させることができ
る。
を粉砕すると、一般には、粒度分布の幅が相対的に広い
粉末が生成される。しかし、本発明で用いる特定組織構
造を有し、かつ、特定の厚さを持つ急冷合金を上記の粉
砕装置で粉砕すると、粒径が106μm超300μm以
下の範囲に第1ピークを有し、かつ、粒径が106μm
以下の範囲に第2ピークを有する粒度分布を持つ合金粉
末を作製することができる。このような2つのピークを
有する双峰性の粒度分布であれば、相対的に大きな粒径
(粒径:106μm超)を持つ粉末粒子が作る隙間の中
に相対的に小さな粒径を持つ粉末粒子が入り込むため、
充填性に優れ、成形密度を大きく向上させることができ
る。
【0044】なお、粒径106μm超の粉末粒子が重量
比率で全体の50%以上を占めることが好ましい。本発
明では、粉砕する急冷合金の平均厚さが40μm超90
μm以下の範囲にあり、従来の急冷合金に比べて厚いた
め、粒径が106μm超の粉末粒子は偏平ではなく、等
軸的な形状を持つからである。好ましい実施形態では、
粒径が106μm超の粉末粒子のアスペクト比は0.3
以上1.0以下の範囲内にある。このような比較的大き
く、かつ等軸的な形状を持つ粉末粒子と、その隙間に適
切に収まる大きさの粉末粒子との組み合わせによって、
本発明のナノコンポジット磁石粉末は構成される。
比率で全体の50%以上を占めることが好ましい。本発
明では、粉砕する急冷合金の平均厚さが40μm超90
μm以下の範囲にあり、従来の急冷合金に比べて厚いた
め、粒径が106μm超の粉末粒子は偏平ではなく、等
軸的な形状を持つからである。好ましい実施形態では、
粒径が106μm超の粉末粒子のアスペクト比は0.3
以上1.0以下の範囲内にある。このような比較的大き
く、かつ等軸的な形状を持つ粉末粒子と、その隙間に適
切に収まる大きさの粉末粒子との組み合わせによって、
本発明のナノコンポジット磁石粉末は構成される。
【0045】上述のように、急冷合金の平均厚さは、粉
末粒子の形状(等軸的か扁平化)に強い影響を与える
が、Ti無添加の合金材料を用いて単純に平均厚さの厚
さ急冷合金を作製しようとすると、α−Feなどが析出
するなどして、最終的な磁石特性が大きく劣化してしま
うことになる。Ti添加の効果は、後に詳述する。
末粒子の形状(等軸的か扁平化)に強い影響を与える
が、Ti無添加の合金材料を用いて単純に平均厚さの厚
さ急冷合金を作製しようとすると、α−Feなどが析出
するなどして、最終的な磁石特性が大きく劣化してしま
うことになる。Ti添加の効果は、後に詳述する。
【0046】急冷合金の厚さをどのように設定するか
は、溶湯を冷却ロールに供給するレートや冷却ロールの
表面周速度によって調節されるため、厚さの設定値によ
って溶湯の冷却速度が決定される、この冷却速度によっ
て合金の微細組織構造が左右される。従って、急冷合金
の部位によって厚さがばらつくと、冷却速度の異なる部
位が合金中に存在することとなるため、組織の均一性が
劣化し、急冷の不充分な箇所にはα−Feが析出してし
まうことになる。α−Feの析出・粗大化は、本発明の
ナノコンポジット磁石の磁石特性を劣化させるため、急
冷合金の厚さは均一に制御することが望ましい。このた
め、本発明の好ましい実施形態では、急冷合金の厚さの
標準偏差を15μm以下に制御している。厚さの標準偏
差の好ましい値は13μm以下であり、更に好ましい値
は11μm以下である。
は、溶湯を冷却ロールに供給するレートや冷却ロールの
表面周速度によって調節されるため、厚さの設定値によ
って溶湯の冷却速度が決定される、この冷却速度によっ
て合金の微細組織構造が左右される。従って、急冷合金
の部位によって厚さがばらつくと、冷却速度の異なる部
位が合金中に存在することとなるため、組織の均一性が
劣化し、急冷の不充分な箇所にはα−Feが析出してし
まうことになる。α−Feの析出・粗大化は、本発明の
ナノコンポジット磁石の磁石特性を劣化させるため、急
冷合金の厚さは均一に制御することが望ましい。このた
め、本発明の好ましい実施形態では、急冷合金の厚さの
標準偏差を15μm以下に制御している。厚さの標準偏
差の好ましい値は13μm以下であり、更に好ましい値
は11μm以下である。
【0047】本発明では、上述した組成および組織を有
する急冷合金を、図1に示すような粉砕装置を用いて粉
砕することにより、粉砕直後において所望の粒度分布を
持つナノコンポジット磁石粉末を得ることができる。し
かし、上記の粉砕装置に代えて、ピンミルで粉砕する
と、粒度分布のビーク位置は比較的調整しやすいが、粒
度分布の幅を調節することはできないという問題があ
る。例えば、粒径の大きくなる側に粒度分布のピーク位
置をずらすことにより、平均粒径が大きくなる条件で粉
砕工程を行うと、粉末回収率が著しく低下してしまう。
従って、粒径が大きな粉末粒子(粒径:106μm超)
の占める重量比率を大きくすることが困難である。
する急冷合金を、図1に示すような粉砕装置を用いて粉
砕することにより、粉砕直後において所望の粒度分布を
持つナノコンポジット磁石粉末を得ることができる。し
かし、上記の粉砕装置に代えて、ピンミルで粉砕する
と、粒度分布のビーク位置は比較的調整しやすいが、粒
度分布の幅を調節することはできないという問題があ
る。例えば、粒径の大きくなる側に粒度分布のピーク位
置をずらすことにより、平均粒径が大きくなる条件で粉
砕工程を行うと、粉末回収率が著しく低下してしまう。
従って、粒径が大きな粉末粒子(粒径:106μm超)
の占める重量比率を大きくすることが困難である。
【0048】これに対し、本発明で採用するタイプの粉
砕装置によれば、スクリーンに設けた開口部のサイズを
大きくすることにより、粒径の大きな粉末粒子の割合を
増加させることが簡単に行える、しかも、回収率は略1
00%である。更に、本発明で用いる急冷合金の場合、
相対的な粒径の大きな粉末粒子の隙間に入り込むような
サイズの粉末粒子が適切に形成されるだけではなく、相
対的に小さな粉末粒子も優れれた磁気特性を発揮すると
いう利点がある。これもTi添加の効果によるものと考
えられる。
砕装置によれば、スクリーンに設けた開口部のサイズを
大きくすることにより、粒径の大きな粉末粒子の割合を
増加させることが簡単に行える、しかも、回収率は略1
00%である。更に、本発明で用いる急冷合金の場合、
相対的な粒径の大きな粉末粒子の隙間に入り込むような
サイズの粉末粒子が適切に形成されるだけではなく、相
対的に小さな粉末粒子も優れれた磁気特性を発揮すると
いう利点がある。これもTi添加の効果によるものと考
えられる。
【0049】なお、小型磁石における脱粒などを抑制す
るために、Ti含有ナノコンポジット磁粉の最大粒径は
300μm以下であることが好ましく、250μm以下
であることがさらに好ましい。さらに、粉末粒子の平均
粒径は53μm超125μm以下の範囲内に調整するこ
とが好ましい。このような粒度分布を有するTi含有ナ
ノコンポジット磁粉は、上述した特に小型のリング磁石
の製造に好適に用いられる。
るために、Ti含有ナノコンポジット磁粉の最大粒径は
300μm以下であることが好ましく、250μm以下
であることがさらに好ましい。さらに、粉末粒子の平均
粒径は53μm超125μm以下の範囲内に調整するこ
とが好ましい。このような粒度分布を有するTi含有ナ
ノコンポジット磁粉は、上述した特に小型のリング磁石
の製造に好適に用いられる。
【0050】なお、本願明細書における粒径は、JIS
8801の標準ふるいによって分別することによって求
められたものとする。また、Ti含有ナノコンポジット
磁粉に含まれる粒子の最小粒径は特に限定されるもので
はないが、Ti含有ナノコンポジット磁粉の製造工程に
おいて、粒径が1μm以下の超微粉粒子は除去されやす
く、また、除去することが好ましい。
8801の標準ふるいによって分別することによって求
められたものとする。また、Ti含有ナノコンポジット
磁粉に含まれる粒子の最小粒径は特に限定されるもので
はないが、Ti含有ナノコンポジット磁粉の製造工程に
おいて、粒径が1μm以下の超微粉粒子は除去されやす
く、また、除去することが好ましい。
【0051】本発明によるTi含有ナノコンポジット磁
粉の粒度分布を、粒径が53μm以下の範囲に第2のピ
ークを有するように調整することによって、さらに成形
性を改善することができる。これは、第1ピークを構成
する比較的大きな粒子(粒径が106μm超の粒子を
「第1粒子」と呼ぶこともある。)によって形成される
間隙に、第2ピークを構成する比較的小さな粒子(粒径
が53μm以下の粒子を「第2粒子」と呼ぶこともあ
る。)が効率良く充填されるためと考えられる。
粉の粒度分布を、粒径が53μm以下の範囲に第2のピ
ークを有するように調整することによって、さらに成形
性を改善することができる。これは、第1ピークを構成
する比較的大きな粒子(粒径が106μm超の粒子を
「第1粒子」と呼ぶこともある。)によって形成される
間隙に、第2ピークを構成する比較的小さな粒子(粒径
が53μm以下の粒子を「第2粒子」と呼ぶこともあ
る。)が効率良く充填されるためと考えられる。
【0052】また、この粒度分布による成形性の改善効
果は、第1粒子のアスペクト比(短軸/長軸)が0.3
以上1.0以下であるときに顕著に得られる。すなわ
ち、第1粒子および第2粒子の大きさを制御しても、第
1粒子のアスペクト比(粒径が106μm超の粒子)が
0.3未満であると、第1粒子によって形成される間隙
が扁平な形状となり、第2粒子がその間隙に充填され難
くなるためと考えられる。勿論、第2粒子のアスペクト
比も0.3以上1.0以下であることが好ましい。な
お、第2粒子は第1粒子よりも粒径が小さいので、第2
粒子のアスペクト比を第1粒子のアスペクト比以上とす
ることは容易である。
果は、第1粒子のアスペクト比(短軸/長軸)が0.3
以上1.0以下であるときに顕著に得られる。すなわ
ち、第1粒子および第2粒子の大きさを制御しても、第
1粒子のアスペクト比(粒径が106μm超の粒子)が
0.3未満であると、第1粒子によって形成される間隙
が扁平な形状となり、第2粒子がその間隙に充填され難
くなるためと考えられる。勿論、第2粒子のアスペクト
比も0.3以上1.0以下であることが好ましい。な
お、第2粒子は第1粒子よりも粒径が小さいので、第2
粒子のアスペクト比を第1粒子のアスペクト比以上とす
ることは容易である。
【0053】本発明のTi含有ナノコンポジット磁粉
は、以下に説明するように、ストリップキャスト法を用
いて、アスペクト比が0.3以上、あるいは、0.4以
上の粒子を高い生産性で製造することができる。ストリ
ップキャスト法を用いたTi含有ナノコンポジット磁粉
の製造方法の詳細は、例えば、本願出願人による特願2
001−342692号に記載されている。
は、以下に説明するように、ストリップキャスト法を用
いて、アスペクト比が0.3以上、あるいは、0.4以
上の粒子を高い生産性で製造することができる。ストリ
ップキャスト法を用いたTi含有ナノコンポジット磁粉
の製造方法の詳細は、例えば、本願出願人による特願2
001−342692号に記載されている。
【0054】本発明によるボンド磁石用磁粉に用いられ
るTi含有ナノコンポジット磁粉は、後に詳述するよう
に、Tiの働きによって、従来の急冷磁石粉末よりも遅
い冷却速度(102〜106℃/秒)で合金溶湯を冷却す
ることによっても作製され得るので、ストリップキャス
ト法を用いて従来よりも厚い板厚を有する合金を作製し
ても上記の金属組織を得ることができる。本発明に用い
られるTi含有ナノコンポジットの急冷合金は、微細結
晶粒によって構成されているため、ランダムな方位に沿
って破断しやすく、アスペクト比が0.3以上の等軸的
な(アスペクト比が1に近い)粉末粒子が生成されやす
い。
るTi含有ナノコンポジット磁粉は、後に詳述するよう
に、Tiの働きによって、従来の急冷磁石粉末よりも遅
い冷却速度(102〜106℃/秒)で合金溶湯を冷却す
ることによっても作製され得るので、ストリップキャス
ト法を用いて従来よりも厚い板厚を有する合金を作製し
ても上記の金属組織を得ることができる。本発明に用い
られるTi含有ナノコンポジットの急冷合金は、微細結
晶粒によって構成されているため、ランダムな方位に沿
って破断しやすく、アスペクト比が0.3以上の等軸的
な(アスペクト比が1に近い)粉末粒子が生成されやす
い。
【0055】急冷合金の薄帯を粉砕して得られる合金薄
帯の厚さよりも粒径の大きな粒子の短軸の長さは、合金
薄帯の厚さによって決定されるので、厚い合金薄帯を粉
砕する方がアスペクト比の大きな(1に近い)粒子が得
られる。従って、粒径が106μmを超える粒子の平均
厚さは短軸の長さに相当し、50μm超120μm以下
の範囲内におさまり、アスペクト比が0.4以上1.0
以下の粒子が得られる。
帯の厚さよりも粒径の大きな粒子の短軸の長さは、合金
薄帯の厚さによって決定されるので、厚い合金薄帯を粉
砕する方がアスペクト比の大きな(1に近い)粒子が得
られる。従って、粒径が106μmを超える粒子の平均
厚さは短軸の長さに相当し、50μm超120μm以下
の範囲内におさまり、アスペクト比が0.4以上1.0
以下の粒子が得られる。
【0056】さらに、Ti含有ナノコンポジットの急冷
合金は上述したようにランダムに破壊されやすいので、
粒径の小さいものほどアスペクト比はさらに大きくなる
傾向にあり、粒径が合金薄帯の厚さ以下である粒子は、
より大きなアスペクト比を有する。
合金は上述したようにランダムに破壊されやすいので、
粒径の小さいものほどアスペクト比はさらに大きくなる
傾向にあり、粒径が合金薄帯の厚さ以下である粒子は、
より大きなアスペクト比を有する。
【0057】本発明によれば、上述のような方法で作製
されたTi含有ナノコンポジット磁粉を粉砕工程後に分
級して粒度分布を調整する工程を行わなくとも、成形圧
縮に適した双峰の粒度分布が得られる。
されたTi含有ナノコンポジット磁粉を粉砕工程後に分
級して粒度分布を調整する工程を行わなくとも、成形圧
縮に適した双峰の粒度分布が得られる。
【0058】上述のような方法で作製されたTi含有ナ
ノコンポジット磁粉は、主として、アスペクト比が0.
4以上1.0以下の粉末粒子から構成されているので、
アスペクト比が0.3未満の従来の急冷磁石粉末に比べ
て充填性に優れている。従って、アスペクト比が0.4
以上1.0以下のTi含有ナノコンポジット磁粉を用い
てコンパウンドを調製することによって、従来の急冷磁
石粉末を用いた場合に比較して、磁気特性を低下させる
ことなく、充填性および成形性に優れたコンパウンドを
得ることができる。
ノコンポジット磁粉は、主として、アスペクト比が0.
4以上1.0以下の粉末粒子から構成されているので、
アスペクト比が0.3未満の従来の急冷磁石粉末に比べ
て充填性に優れている。従って、アスペクト比が0.4
以上1.0以下のTi含有ナノコンポジット磁粉を用い
てコンパウンドを調製することによって、従来の急冷磁
石粉末を用いた場合に比較して、磁気特性を低下させる
ことなく、充填性および成形性に優れたコンパウンドを
得ることができる。
【0059】アスペクト比が0.3以上の粒子、特に、
アスペクト比が0.4以上の粒子は、上述したように粒
度分布を調整することによる成形性の改善効果が顕著に
得られるとともに、成形時におけるスプリングバックを
抑制する効果も得られる。その結果、充填率の高い(空
隙率の低い)ボンド磁石を得ることができる。樹脂とし
て熱硬化性樹脂を用い、例えば圧縮成形法で成形する
と、磁粉の充填率が80%以上のボンド磁石を得ること
ができる。
アスペクト比が0.4以上の粒子は、上述したように粒
度分布を調整することによる成形性の改善効果が顕著に
得られるとともに、成形時におけるスプリングバックを
抑制する効果も得られる。その結果、充填率の高い(空
隙率の低い)ボンド磁石を得ることができる。樹脂とし
て熱硬化性樹脂を用い、例えば圧縮成形法で成形する
と、磁粉の充填率が80%以上のボンド磁石を得ること
ができる。
【0060】本発明によるTi含有ナノコンポジット磁
粉を含む磁粉と種々の樹脂とを公知の方法で混合(およ
び/または混練)することによって、ボンド磁石用コン
パウンドを得ることができる。樹脂としては、公知の熱
硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。さら
に、本発明によるTi含有ナノコンポジット磁粉によっ
てコンパウンドの成形性が改善されるので、従来は用い
ることが難しかった高粘度の樹脂を用いることもでき
る。さらに、本発明によるTi含有ナノコンポジット磁
粉を用いると、酸化による磁気特性の低下が少ないの
で、融点または軟化点あるいは硬化温度が高く従来は使
用が困難であった樹脂(例えばポリイミドや耐熱グレー
ド品)を用いることができるので、ボンド磁石の特性
(耐熱性など)を改善することが出来る。
粉を含む磁粉と種々の樹脂とを公知の方法で混合(およ
び/または混練)することによって、ボンド磁石用コン
パウンドを得ることができる。樹脂としては、公知の熱
硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。さら
に、本発明によるTi含有ナノコンポジット磁粉によっ
てコンパウンドの成形性が改善されるので、従来は用い
ることが難しかった高粘度の樹脂を用いることもでき
る。さらに、本発明によるTi含有ナノコンポジット磁
粉を用いると、酸化による磁気特性の低下が少ないの
で、融点または軟化点あるいは硬化温度が高く従来は使
用が困難であった樹脂(例えばポリイミドや耐熱グレー
ド品)を用いることができるので、ボンド磁石の特性
(耐熱性など)を改善することが出来る。
【0061】本発明によるTi含有ナノコンポジット磁
粉を用いると、上述したように、従来と同等もしくはそ
れ以上の充填率を確保しつつ、空隙率(ボイド率)の低
いボンド磁石を提供することができる。従って、多くの
空隙が存在する成形上がりのボンド磁石に表面処理を施
すことによって付随して起こる信頼性の低下などの種々
の不具合の発生を抑制・防止することが出来る。なお、
本明細書における表面処理は、空隙を埋める封孔処理、
表面への保護膜の形成あるいは表面の改質を含むものと
し、公知の表面処理方法を広く用いることができる。
粉を用いると、上述したように、従来と同等もしくはそ
れ以上の充填率を確保しつつ、空隙率(ボイド率)の低
いボンド磁石を提供することができる。従って、多くの
空隙が存在する成形上がりのボンド磁石に表面処理を施
すことによって付随して起こる信頼性の低下などの種々
の不具合の発生を抑制・防止することが出来る。なお、
本明細書における表面処理は、空隙を埋める封孔処理、
表面への保護膜の形成あるいは表面の改質を含むものと
し、公知の表面処理方法を広く用いることができる。
【0062】上述したように、本発明によると、空隙率
が低いボンド磁石が得られるのに加え、磁粉自身の耐食
性が従来の急冷磁石粉末(例えばMQ粉)に比べて高
い。これは、磁粉中の希土類元素含有率が従来の急冷磁
石粉末よりも低く、且つ、上述のような組織を有してい
るためである。従って、従来の急冷磁石粉末を用いたボ
ンド磁石に比べ耐食性において非常に信頼性の高いボン
ド磁石が得られる。
が低いボンド磁石が得られるのに加え、磁粉自身の耐食
性が従来の急冷磁石粉末(例えばMQ粉)に比べて高
い。これは、磁粉中の希土類元素含有率が従来の急冷磁
石粉末よりも低く、且つ、上述のような組織を有してい
るためである。従って、従来の急冷磁石粉末を用いたボ
ンド磁石に比べ耐食性において非常に信頼性の高いボン
ド磁石が得られる。
【0063】また、本発明によると磁粉自体の耐食性が
高く、且つ、空隙率の低いボンド磁石が得られるので、
従来よりも簡易な表面処理によって、十分な耐食信頼性
を得ることも出来る。すなわち、耐食信頼性を犠牲にす
ることなく、表面処理工程を簡略化することによって、
生産効率の向上や、コストの低減を実現することが出来
る。勿論、空隙率の低いボンド磁石は、従来の空隙率が
比較的高いボンド磁石に比べ、機械的強度に優れるとい
う利点も得られる。
高く、且つ、空隙率の低いボンド磁石が得られるので、
従来よりも簡易な表面処理によって、十分な耐食信頼性
を得ることも出来る。すなわち、耐食信頼性を犠牲にす
ることなく、表面処理工程を簡略化することによって、
生産効率の向上や、コストの低減を実現することが出来
る。勿論、空隙率の低いボンド磁石は、従来の空隙率が
比較的高いボンド磁石に比べ、機械的強度に優れるとい
う利点も得られる。
【0064】さらに、ボンド磁石の表面に形成する保護
膜の厚さを従来よりも薄くしても従来と同等以上の機械
的強度および/または耐食信頼性を得ることができる。
従って、磁石の表面に形成される樹脂被膜等の非磁性層
の厚さを従来よりも薄くし、磁気回路に形成される磁気
的なギャップによる磁気エネルギーの利用効率の低下を
抑制することができる。
膜の厚さを従来よりも薄くしても従来と同等以上の機械
的強度および/または耐食信頼性を得ることができる。
従って、磁石の表面に形成される樹脂被膜等の非磁性層
の厚さを従来よりも薄くし、磁気回路に形成される磁気
的なギャップによる磁気エネルギーの利用効率の低下を
抑制することができる。
【0065】以下に、本発明によるボンド磁石用磁粉お
よびそれを用いたコンパウンドならびにボンド磁石をさ
らに詳細に説明する。
よびそれを用いたコンパウンドならびにボンド磁石をさ
らに詳細に説明する。
【0066】〔Ti含有ナノコンポジット磁粉〕本発明
のTi含有ナノコンポジット磁粉は、Tiを含有するF
e−R−B系合金の溶湯を冷却し、それによって凝固し
た急冷合金から形成されている。この急冷凝固合金は、
結晶相を含むものであるが、必要に応じて加熱され、更
に結晶化が進められる。
のTi含有ナノコンポジット磁粉は、Tiを含有するF
e−R−B系合金の溶湯を冷却し、それによって凝固し
た急冷合金から形成されている。この急冷凝固合金は、
結晶相を含むものであるが、必要に応じて加熱され、更
に結晶化が進められる。
【0067】本発明者は、特定範囲の組成を有する鉄基
希土類合金へTiを添加することにより、合金溶湯の冷
却過程で生じやすく優れた磁気特性(特に高い保磁力や
減磁曲線の優れた角形性)の発現を阻害する原因となる
α−Fe相の析出・成長を抑制し、硬磁気特性を担うR
2Fe14B型化合物相の結晶成長を優先的かつ均一に進
行させることができることを見出した。
希土類合金へTiを添加することにより、合金溶湯の冷
却過程で生じやすく優れた磁気特性(特に高い保磁力や
減磁曲線の優れた角形性)の発現を阻害する原因となる
α−Fe相の析出・成長を抑制し、硬磁気特性を担うR
2Fe14B型化合物相の結晶成長を優先的かつ均一に進
行させることができることを見出した。
【0068】Tiを添加しなかった場合、Nd2Fe14
B相の析出・成長に先だってα−Fe相が析出し、成長
しやすい。そのため、急冷合金に対する結晶熱処理が完
了した段階では、軟磁性のα−Fe相が粗大化してしま
い、減磁曲線の角形性が劣化するため、特に(BH)
maxが大きく低下する。
B相の析出・成長に先だってα−Fe相が析出し、成長
しやすい。そのため、急冷合金に対する結晶熱処理が完
了した段階では、軟磁性のα−Fe相が粗大化してしま
い、減磁曲線の角形性が劣化するため、特に(BH)
maxが大きく低下する。
【0069】これに対し、Tiを添加した場合は、α−
Fe相の析出・成長のキネティクス(kinetics)が遅く
なり、析出・成長に時間を要するため、α−Fe相の析
出・成長が完了する前にNd2Fe14B相の析出・成長
が開始すると考えられる。このため、α−Fe相が粗大
化する前にNd2Fe14B相が均一に分散した状態に大
きく成長する。また、TiはBに対する親和性が強く、
鉄基硼化物の中に濃縮されやすいようである。鉄基硼化
物内でTiとBが強く結合することにより、Ti添加は
鉄基硼化物を安定化すると考えられる。
Fe相の析出・成長のキネティクス(kinetics)が遅く
なり、析出・成長に時間を要するため、α−Fe相の析
出・成長が完了する前にNd2Fe14B相の析出・成長
が開始すると考えられる。このため、α−Fe相が粗大
化する前にNd2Fe14B相が均一に分散した状態に大
きく成長する。また、TiはBに対する親和性が強く、
鉄基硼化物の中に濃縮されやすいようである。鉄基硼化
物内でTiとBが強く結合することにより、Ti添加は
鉄基硼化物を安定化すると考えられる。
【0070】本発明によれば、Tiの働きによって鉄基
硼化物やα−Fe相などの軟磁性相が微細化されるとも
に、Nd2Fe14B相が均一に分散し、しかもNd2Fe
14B相の体積比率の高いナノコンポジット組織を得るこ
とができる。その結果、Tiを添加しない場合に比べて
保磁力および磁化(残留磁束密度)が増加し、減磁曲線
の角形性が向上する。
硼化物やα−Fe相などの軟磁性相が微細化されるとも
に、Nd2Fe14B相が均一に分散し、しかもNd2Fe
14B相の体積比率の高いナノコンポジット組織を得るこ
とができる。その結果、Tiを添加しない場合に比べて
保磁力および磁化(残留磁束密度)が増加し、減磁曲線
の角形性が向上する。
【0071】以下、本発明によるTi含有ナノコンポジ
ット磁粉をより詳細に説明する。
ット磁粉をより詳細に説明する。
【0072】本発明によるTi含有ナノコンポジット磁
粉は、好適には、その組成式が(Fe1-mTm)
100-x-y-zQxRyMzで表現される。ここで、TはCoお
よびNiからなる群から選択された1種以上の元素、Q
はB(硼素)またはBおよびC(炭素)からなる群から
選択された1種以上の元素、RはLaおよびCeを実質
的に含まない1種以上の希土類元素、MはTi、Zr、
およびHfからなる群から選択された少なくとも1種の
金属元素であり、Tiを必ず含んでいる。
粉は、好適には、その組成式が(Fe1-mTm)
100-x-y-zQxRyMzで表現される。ここで、TはCoお
よびNiからなる群から選択された1種以上の元素、Q
はB(硼素)またはBおよびC(炭素)からなる群から
選択された1種以上の元素、RはLaおよびCeを実質
的に含まない1種以上の希土類元素、MはTi、Zr、
およびHfからなる群から選択された少なくとも1種の
金属元素であり、Tiを必ず含んでいる。
【0073】組成比率を規定するx、y、z、およびm
は、それぞれ、10<x≦20原子%、6<y<10原
子%、0.1≦z≦12原子%、および0≦m≦0.5
の関係を満足することが好ましい。
は、それぞれ、10<x≦20原子%、6<y<10原
子%、0.1≦z≦12原子%、および0≦m≦0.5
の関係を満足することが好ましい。
【0074】Ti含有ナノコンポジット磁粉は、希土類
元素の組成比率が全体の10原子%未満であるにもかか
わらず、Tiの添加によって磁化(残留磁束密度)がT
iを添加しない場合と同等のレベルを維持するか、また
は増加し、減磁曲線の角形性が向上するという予想外の
効果が発揮される。
元素の組成比率が全体の10原子%未満であるにもかか
わらず、Tiの添加によって磁化(残留磁束密度)がT
iを添加しない場合と同等のレベルを維持するか、また
は増加し、減磁曲線の角形性が向上するという予想外の
効果が発揮される。
【0075】Ti含有ナノコンポジット磁粉では、軟磁
性相のサイズが微細であるため、各構成相が交換相互作
用によって結合し、硬磁性のR2Fe14B型化合物相以
外に鉄基硼化物やα−Feのような軟磁性相が存在して
いても、合金全体としては優れた減磁曲線の角形性を示
すことが可能になる。
性相のサイズが微細であるため、各構成相が交換相互作
用によって結合し、硬磁性のR2Fe14B型化合物相以
外に鉄基硼化物やα−Feのような軟磁性相が存在して
いても、合金全体としては優れた減磁曲線の角形性を示
すことが可能になる。
【0076】Ti含有ナノコンポジット磁粉は、好適に
は、R2Fe14B型化合物相の飽和磁化と同等、また
は、それよりも高い飽和磁化を有する鉄基硼化物やα−
Feを含有している。この鉄基硼化物は、例えば、Fe
3B(飽和磁化1.5T)やFe23B6(飽和磁化1.6
T)である。ここで、R2Fe14B型化合物の飽和磁化
はRがNdのとき約1.6Tであり、α−Feの飽和磁
化は2.1Tである。
は、R2Fe14B型化合物相の飽和磁化と同等、また
は、それよりも高い飽和磁化を有する鉄基硼化物やα−
Feを含有している。この鉄基硼化物は、例えば、Fe
3B(飽和磁化1.5T)やFe23B6(飽和磁化1.6
T)である。ここで、R2Fe14B型化合物の飽和磁化
はRがNdのとき約1.6Tであり、α−Feの飽和磁
化は2.1Tである。
【0077】通常、Bの組成比率xが10原子%を超
え、しかも希土類元素Rの組成比率yが5原子%以上8
原子%以下の範囲にある場合、R2Fe23B3が生成され
るが、このような組成範囲にある原料合金を用いる場合
であっても、本発明のようにTiを添加することによ
り、R2Fe23B3相の代わりに、R2Fe14B相、およ
び、Fe23B6相やFe3B相などの鉄基硼化物相を生成
することができる。すなわち、Tiを添加することによ
ってR2Fe14B相の比率を増加できるとともに、生成
された鉄基硼化物相が磁化向上に寄与する。
え、しかも希土類元素Rの組成比率yが5原子%以上8
原子%以下の範囲にある場合、R2Fe23B3が生成され
るが、このような組成範囲にある原料合金を用いる場合
であっても、本発明のようにTiを添加することによ
り、R2Fe23B3相の代わりに、R2Fe14B相、およ
び、Fe23B6相やFe3B相などの鉄基硼化物相を生成
することができる。すなわち、Tiを添加することによ
ってR2Fe14B相の比率を増加できるとともに、生成
された鉄基硼化物相が磁化向上に寄与する。
【0078】本発明者の実験によると、Tiを添加した
場合だけ、V、Cr、Mn、Nb、Moなどの他の種類
の金属を添加した場合と異なり、磁化の低下が生じず、
むしろ磁化が向上することが初めてわかった。また、T
iを添加した場合には、前述の他の添加元素と比べ、減
磁曲線の角形性が特に良好なものとなった。
場合だけ、V、Cr、Mn、Nb、Moなどの他の種類
の金属を添加した場合と異なり、磁化の低下が生じず、
むしろ磁化が向上することが初めてわかった。また、T
iを添加した場合には、前述の他の添加元素と比べ、減
磁曲線の角形性が特に良好なものとなった。
【0079】また、このようなTi添加効果は、Bが1
0原子%を超える場合に顕著に発揮される。以下、図2
を参照しながら、この点を説明する。
0原子%を超える場合に顕著に発揮される。以下、図2
を参照しながら、この点を説明する。
【0080】図2は、Tiが添加されていないNd−F
e−B磁石合金の最大磁気エネルギー積(BH)maxと
B量との関係を示すグラフである。グラフ中、白いバー
は10原子%以上14原子%以下のNdを含有する試料
のデータを示し、黒いバーは8原子%以上10原子%未
満のNdを含有する試料のデータを示している。これに
対し、図3は、Tiが添加されたNd−Fe−B磁石合
金の最大磁気エネルギー積(BH)maxとBとの関係を
示すグラフである。グラフ中、白いバーは10原子%以
上14原子%以下のNdを含有する試料のデータを示
し、黒いバーは8原子%以上10原子%未満のNdを含
有する試料のデータを示している。
e−B磁石合金の最大磁気エネルギー積(BH)maxと
B量との関係を示すグラフである。グラフ中、白いバー
は10原子%以上14原子%以下のNdを含有する試料
のデータを示し、黒いバーは8原子%以上10原子%未
満のNdを含有する試料のデータを示している。これに
対し、図3は、Tiが添加されたNd−Fe−B磁石合
金の最大磁気エネルギー積(BH)maxとBとの関係を
示すグラフである。グラフ中、白いバーは10原子%以
上14原子%以下のNdを含有する試料のデータを示
し、黒いバーは8原子%以上10原子%未満のNdを含
有する試料のデータを示している。
【0081】図2からわかるように、Tiが添加されて
いない試料では、Ndの含有量にかかわらず、Bが10
原子%を超えて多くなるにつれ、最大磁気エネルギー積
(BH)maxが低下している。さらに、この低下の程度
は、Ndの含有量が8〜10原子%の場合により大きく
なる。このような傾向は従来から知られており、Nd 2
Fe14B相を主相とする磁石合金においては、Bの量を
10原子%以下に設定することが好ましいと考えられて
きた。例えば、米国特許4,836,868号は、Bは
5〜9.5原子%の実施例を開示し、更に、Bの好まし
い範囲として4原子%以上12原子%未満、より好まし
い範囲として4原子%以上10原子%以下の範囲を教示
している。
いない試料では、Ndの含有量にかかわらず、Bが10
原子%を超えて多くなるにつれ、最大磁気エネルギー積
(BH)maxが低下している。さらに、この低下の程度
は、Ndの含有量が8〜10原子%の場合により大きく
なる。このような傾向は従来から知られており、Nd 2
Fe14B相を主相とする磁石合金においては、Bの量を
10原子%以下に設定することが好ましいと考えられて
きた。例えば、米国特許4,836,868号は、Bは
5〜9.5原子%の実施例を開示し、更に、Bの好まし
い範囲として4原子%以上12原子%未満、より好まし
い範囲として4原子%以上10原子%以下の範囲を教示
している。
【0082】これに対して、Tiが添加された試料で
は、図3からわかるように、Bが10原子%を超える或
る範囲で最大磁気エネルギー積(BH)maxが向上して
いる。この向上はNdの含有量が8〜10原子%の場合
に特に顕著である。
は、図3からわかるように、Bが10原子%を超える或
る範囲で最大磁気エネルギー積(BH)maxが向上して
いる。この向上はNdの含有量が8〜10原子%の場合
に特に顕著である。
【0083】このように本発明によれば、Bが10原子
%を超えると磁気特性が劣化するという従来の技術常識
からは予期できない効果をTi添加によって得ることが
可能になる。
%を超えると磁気特性が劣化するという従来の技術常識
からは予期できない効果をTi添加によって得ることが
可能になる。
【0084】次に、Ti含有ナノコンポジット磁粉用の
急冷合金の製造方法を説明する。
急冷合金の製造方法を説明する。
【0085】まず、前述した組成式で表される合金の溶
湯を不活性雰囲気中で冷却し、それによってR2Fe14
B型化合物相を例えば全体の60体積%以上含む急冷合
金を作製する。急冷合金中のR2Fe14B型化合物相の
平均結晶粒径は例えば80nm以下にすることができ
る。この急冷合金に対して、必要に応じて熱処理を行な
えば、急冷合金中に残存していた非晶質を結晶化させる
ことができる。
湯を不活性雰囲気中で冷却し、それによってR2Fe14
B型化合物相を例えば全体の60体積%以上含む急冷合
金を作製する。急冷合金中のR2Fe14B型化合物相の
平均結晶粒径は例えば80nm以下にすることができ
る。この急冷合金に対して、必要に応じて熱処理を行な
えば、急冷合金中に残存していた非晶質を結晶化させる
ことができる。
【0086】メルトスピニング法やストリップキャスト
法などの冷却ロールを用いた急冷法を用い、上記合金溶
湯を圧力1.3kPa以上の雰囲気中で冷却する。それ
により、合金溶湯は、冷却ロールとの接触によって急冷
されるだけでなく、冷却ロールから離れた後も、雰囲気
ガスによる二次冷却効果を受けて適切に冷却される。
法などの冷却ロールを用いた急冷法を用い、上記合金溶
湯を圧力1.3kPa以上の雰囲気中で冷却する。それ
により、合金溶湯は、冷却ロールとの接触によって急冷
されるだけでなく、冷却ロールから離れた後も、雰囲気
ガスによる二次冷却効果を受けて適切に冷却される。
【0087】本発明者の実験によれば、急冷時に雰囲気
ガスの圧力は、1.3kPa以上でしかも常圧(10
1.3kPa)以下に制御することが好ましく、10k
Pa以上90kPa以下の範囲にすることが更に好まし
い。より好ましい範囲は20kPa以上60kPa以下
である。
ガスの圧力は、1.3kPa以上でしかも常圧(10
1.3kPa)以下に制御することが好ましく、10k
Pa以上90kPa以下の範囲にすることが更に好まし
い。より好ましい範囲は20kPa以上60kPa以下
である。
【0088】上記雰囲気ガス圧力のもとで、ロール表面
周速度の好ましい範囲は5m/秒以上20m/秒以下で
ある。ロール表面周速度が20mを超えると、急冷合金
の平均厚さが40μmを下回る厚さとなる。その結果、
粉砕工程で所望の粒度分布を得ることができなくなる。
一方、ロール表面周速度が5m/秒より遅くなると、急
冷合金の平均厚さが90μmを超えてしまい、粉砕工程
で所望の粒度分布が得られなくなる。また、急冷合金中
に含まれるR2Fe14B型化合物相の結晶粒が粗大化す
る可能性がある。その結果、熱処理によってR2Fe14
B型化合物相は更に大きくなり、磁気特性が劣化するお
それがある。
周速度の好ましい範囲は5m/秒以上20m/秒以下で
ある。ロール表面周速度が20mを超えると、急冷合金
の平均厚さが40μmを下回る厚さとなる。その結果、
粉砕工程で所望の粒度分布を得ることができなくなる。
一方、ロール表面周速度が5m/秒より遅くなると、急
冷合金の平均厚さが90μmを超えてしまい、粉砕工程
で所望の粒度分布が得られなくなる。また、急冷合金中
に含まれるR2Fe14B型化合物相の結晶粒が粗大化す
る可能性がある。その結果、熱処理によってR2Fe14
B型化合物相は更に大きくなり、磁気特性が劣化するお
それがある。
【0089】実験によると、ロール表面周速度の更に好
ましい範囲は5m/秒以上20m/秒以下であり、更に
好ましい範囲は7m/秒以上18m/秒以下である。特
に、ロール表面周速度は8m/秒以上16m/秒以下の
範囲内にあることが最も好ましい。
ましい範囲は5m/秒以上20m/秒以下であり、更に
好ましい範囲は7m/秒以上18m/秒以下である。特
に、ロール表面周速度は8m/秒以上16m/秒以下の
範囲内にあることが最も好ましい。
【0090】なお、本発明では、急冷合金中に粗大なα
−Feをほとんど析出させず、微細なR2Fe14B型化
合物相を有する組織、あるいは、微細なR2Fe14B型
化合物相を有する組織とアモルファス相が混在した組織
が作製される。これにより、熱処理後に鉄基硼化物相な
どの軟磁性相が硬磁性相の間(粒界)に微細に分散した
状態または薄く広がった状態で存在する高性能のナノコ
ンポジット永久磁石を得ることができる。なお、本明細
書における「アモルファス相」とは、原子配列が完全に
無秩序化した部分によってのみ構成される相だけではな
く、結晶化の前駆体や微結晶(サイズ:数nm以下)、
または原子クラスタを部分的に含んでいる相をも含むも
のとする。具体的には、X線回折や透過電子顕微鏡観察
によって結晶構造を明確に同定できない相を広く「アモ
ルファス相」と称することにする。
−Feをほとんど析出させず、微細なR2Fe14B型化
合物相を有する組織、あるいは、微細なR2Fe14B型
化合物相を有する組織とアモルファス相が混在した組織
が作製される。これにより、熱処理後に鉄基硼化物相な
どの軟磁性相が硬磁性相の間(粒界)に微細に分散した
状態または薄く広がった状態で存在する高性能のナノコ
ンポジット永久磁石を得ることができる。なお、本明細
書における「アモルファス相」とは、原子配列が完全に
無秩序化した部分によってのみ構成される相だけではな
く、結晶化の前駆体や微結晶(サイズ:数nm以下)、
または原子クラスタを部分的に含んでいる相をも含むも
のとする。具体的には、X線回折や透過電子顕微鏡観察
によって結晶構造を明確に同定できない相を広く「アモ
ルファス相」と称することにする。
【0091】従来、本発明が対象とするような組成に類
似する組成(但しTiを含まない)を有する合金溶湯を
冷却してR2Fe14B型化合物相を60体積%以上含む
ような急冷合金を作製しようとすると、α−Feが多く
析出した合金組織が得られるため、その後の結晶化熱処
理でα−Feが粗大化してしまうという問題があった。
α−Feなどの軟磁性相が粗大化すると、磁気特性が大
きく劣化し、到底実用に耐えるボンド磁石は得られな
い。
似する組成(但しTiを含まない)を有する合金溶湯を
冷却してR2Fe14B型化合物相を60体積%以上含む
ような急冷合金を作製しようとすると、α−Feが多く
析出した合金組織が得られるため、その後の結晶化熱処
理でα−Feが粗大化してしまうという問題があった。
α−Feなどの軟磁性相が粗大化すると、磁気特性が大
きく劣化し、到底実用に耐えるボンド磁石は得られな
い。
【0092】特に本発明で用いる原料合金組成のように
Bの含有量が比較的多い場合、Bが持つ高いアモルファ
ス生成能のため、合金溶湯の冷却速度を遅くしても、結
晶相は生成されにくかった。そのため、従来技術によれ
ば、合金溶湯の冷却速度を充分に低下させてR2Fe14
B型化合物相の体積比率が60%を超えるような急冷凝
固合金を作製しようとすると、従来技術ではR2Fe14
B型化合物相以外にα−Feまたはその前駆体が多く析
出してしまい、その後の結晶化熱処理により、α−Fe
相の粗大化が進行し、磁気特性が大きく劣化してしまっ
た。
Bの含有量が比較的多い場合、Bが持つ高いアモルファ
ス生成能のため、合金溶湯の冷却速度を遅くしても、結
晶相は生成されにくかった。そのため、従来技術によれ
ば、合金溶湯の冷却速度を充分に低下させてR2Fe14
B型化合物相の体積比率が60%を超えるような急冷凝
固合金を作製しようとすると、従来技術ではR2Fe14
B型化合物相以外にα−Feまたはその前駆体が多く析
出してしまい、その後の結晶化熱処理により、α−Fe
相の粗大化が進行し、磁気特性が大きく劣化してしまっ
た。
【0093】以上のことから、従来、ナノコンポジット
磁石磁粉用原料合金の保磁力を増大させるには、合金溶
湯の冷却速度を高め、急冷凝固合金の大部分がアモルフ
ァス相によって占められるような状態にした後、そのア
モルファス相から結晶化熱処理により均一に微細化され
た組織を形成することが好ましいとの常識が存在してい
た。これは、微細な結晶相が分散した合金組織を持つナ
ノコンポジットを得るには、制御しやすい熱処理工程で
アモルファス相から結晶化を行なうべきと考えられてい
たからである。
磁石磁粉用原料合金の保磁力を増大させるには、合金溶
湯の冷却速度を高め、急冷凝固合金の大部分がアモルフ
ァス相によって占められるような状態にした後、そのア
モルファス相から結晶化熱処理により均一に微細化され
た組織を形成することが好ましいとの常識が存在してい
た。これは、微細な結晶相が分散した合金組織を持つナ
ノコンポジットを得るには、制御しやすい熱処理工程で
アモルファス相から結晶化を行なうべきと考えられてい
たからである。
【0094】このため、アモルファス生成能に優れたL
aを原料合金に添加し、その原料合金の溶湯を急冷する
ことによってアモルファス相を主相とする急冷凝固合金
を作製した後、結晶化熱処理でNd2Fe14B相および
α−Fe相の両方を析出・成長させ、いずれの相も数十
nm程度の微細なものとする技術が報告されている(W.
C.Chan, et.al. "THE EFFECTS OF REFRACTORY METALS O
N THE MAGNETIC PROPERTIES OF α-Fe/R2Fe14B-TYPE NA
NOCOMPOSITES", IEEE, Trans. Magn. No. 5, INTERMAG.
99, Kyongiu, Korea pp.3265-3267, 1999)。なお、こ
の論文は、Tiなどの高融点金属元素の微量添加(2原
子%)が磁気特性を向上させることと、希土類元素であ
るNdの組成比率を9.5原子%よりも11.0原子%
に増加させることがNd2Fe14B相およびα−Fe相
の両方を微細化する上で好ましいことを教示している。
上記高融点金属の添加は、硼化物(R2Fe23B3やFe
3B)の生成を抑制し、Nd2Fe14B相およびα−Fe
相の2相のみからなる磁石粉末用原料合金を作製するた
めに行なわれている。
aを原料合金に添加し、その原料合金の溶湯を急冷する
ことによってアモルファス相を主相とする急冷凝固合金
を作製した後、結晶化熱処理でNd2Fe14B相および
α−Fe相の両方を析出・成長させ、いずれの相も数十
nm程度の微細なものとする技術が報告されている(W.
C.Chan, et.al. "THE EFFECTS OF REFRACTORY METALS O
N THE MAGNETIC PROPERTIES OF α-Fe/R2Fe14B-TYPE NA
NOCOMPOSITES", IEEE, Trans. Magn. No. 5, INTERMAG.
99, Kyongiu, Korea pp.3265-3267, 1999)。なお、こ
の論文は、Tiなどの高融点金属元素の微量添加(2原
子%)が磁気特性を向上させることと、希土類元素であ
るNdの組成比率を9.5原子%よりも11.0原子%
に増加させることがNd2Fe14B相およびα−Fe相
の両方を微細化する上で好ましいことを教示している。
上記高融点金属の添加は、硼化物(R2Fe23B3やFe
3B)の生成を抑制し、Nd2Fe14B相およびα−Fe
相の2相のみからなる磁石粉末用原料合金を作製するた
めに行なわれている。
【0095】これに対し、本発明では、添加Tiの働き
により、急冷凝固工程でα−Fe相の析出を抑え、更に
は、結晶化熱処理工程において鉄基硼化物や軟磁性相を
生成させ且つその粗大化を抑制することにより、優れた
磁気特性を有する磁粉を得ることができる。このような
Ti添加の効果を利用することにより、平均厚さが40
μm以上90μm以下の比較的厚い急冷合金を作製した
としても、優れた磁気特性を発現させることが可能とな
る。
により、急冷凝固工程でα−Fe相の析出を抑え、更に
は、結晶化熱処理工程において鉄基硼化物や軟磁性相を
生成させ且つその粗大化を抑制することにより、優れた
磁気特性を有する磁粉を得ることができる。このような
Ti添加の効果を利用することにより、平均厚さが40
μm以上90μm以下の比較的厚い急冷合金を作製した
としても、優れた磁気特性を発現させることが可能とな
る。
【0096】なお、本発明によれば、希土類元素量が比
較的少ない(例えば9原子%以下)原料合金を用いなが
ら、磁化(残留磁束密度)および保磁力が高く、減磁曲
線の角形性にも優れた磁石粉末を製造することができ
る。
較的少ない(例えば9原子%以下)原料合金を用いなが
ら、磁化(残留磁束密度)および保磁力が高く、減磁曲
線の角形性にも優れた磁石粉末を製造することができ
る。
【0097】前述のように、本発明によるTi含有ナノ
コンポジット磁粉用原料合金の保磁力の増加は、Nd2
Fe14B相を冷却工程で優先的に析出・成長させ、それ
によってNd2Fe14B相の体積比率を増加させなが
ら、しかも軟磁性相の粗大化を抑制したことによって実
現する。また、磁化の増加は、Tiの働きにより、急冷
凝固合金中に存在するBリッチな非磁性アモルファス相
から強磁性鉄基硼化物などの硼化物相を生成すること
で、結晶化熱処理後の強磁性相の体積比率を増加させた
ために得られたものと考えられる。
コンポジット磁粉用原料合金の保磁力の増加は、Nd2
Fe14B相を冷却工程で優先的に析出・成長させ、それ
によってNd2Fe14B相の体積比率を増加させなが
ら、しかも軟磁性相の粗大化を抑制したことによって実
現する。また、磁化の増加は、Tiの働きにより、急冷
凝固合金中に存在するBリッチな非磁性アモルファス相
から強磁性鉄基硼化物などの硼化物相を生成すること
で、結晶化熱処理後の強磁性相の体積比率を増加させた
ために得られたものと考えられる。
【0098】上述のようにして得られた原料合金に対し
ては、必要に応じて、結晶化熱処理を行ない、R2Fe
14B型化合物相、硼化物相、およびα−Fe相を含む3
種類以上の結晶相を含有する組織を形成することが好ま
しい。この組織中、R2Fe1 4B型化合物相の平均結晶
粒径は10nm以上200nm以下、硼化物相およびα
−Fe相の平均結晶粒径は1nm以上100nm以下と
なるように熱処理温度および時間を調節する。R2Fe
14B型化合物相の平均結晶粒径は通常30nm以上とな
るが、条件によっては50nm以上になる。硼化物相や
α−Fe相などの軟磁性相の平均結晶粒径は30nm以
下となることが多く、典型的には数nmの大きさにしか
ならない。
ては、必要に応じて、結晶化熱処理を行ない、R2Fe
14B型化合物相、硼化物相、およびα−Fe相を含む3
種類以上の結晶相を含有する組織を形成することが好ま
しい。この組織中、R2Fe1 4B型化合物相の平均結晶
粒径は10nm以上200nm以下、硼化物相およびα
−Fe相の平均結晶粒径は1nm以上100nm以下と
なるように熱処理温度および時間を調節する。R2Fe
14B型化合物相の平均結晶粒径は通常30nm以上とな
るが、条件によっては50nm以上になる。硼化物相や
α−Fe相などの軟磁性相の平均結晶粒径は30nm以
下となることが多く、典型的には数nmの大きさにしか
ならない。
【0099】最終的な磁石粉末用原料合金における軟磁
性相の平均粒径は、R2Fe14B型化合物相(硬磁性
相)の平均結晶粒径よりも小さく、R2Fe14B型化合
物相の粒界に存在している。図4は、この原料合金の金
属組織を模式的に示している。図4からわかるように、
相対的に大きなR2Fe14B型化合物相の間に微細な軟
磁性相が分散して存在している。このようにR2Fe14
B型化合物相の平均結晶粒径が比較的大きくなっても、
軟磁性相の結晶成長は抑制されており平均結晶粒径が充
分に小さいため、各構成相が交換相互作用によって磁気
的に結合し、その結果、軟磁性相の磁化方向が硬磁性相
によって拘束されるので、合金全体としては優れた減磁
曲線の角形性を示すことが可能になる。
性相の平均粒径は、R2Fe14B型化合物相(硬磁性
相)の平均結晶粒径よりも小さく、R2Fe14B型化合
物相の粒界に存在している。図4は、この原料合金の金
属組織を模式的に示している。図4からわかるように、
相対的に大きなR2Fe14B型化合物相の間に微細な軟
磁性相が分散して存在している。このようにR2Fe14
B型化合物相の平均結晶粒径が比較的大きくなっても、
軟磁性相の結晶成長は抑制されており平均結晶粒径が充
分に小さいため、各構成相が交換相互作用によって磁気
的に結合し、その結果、軟磁性相の磁化方向が硬磁性相
によって拘束されるので、合金全体としては優れた減磁
曲線の角形性を示すことが可能になる。
【0100】上述の製造方法において硼化物が生成され
やすい理由は、R2Fe14B型化合物相が大半を占める
凝固合金を作製すると、急冷合金中に存在するアモルフ
ァス相がどうしてもBを過剰に含むこととなるため、こ
のBが結晶化熱処理で他の元素と結合して析出・成長し
やすくなるためであると考えられる。しかし、このBと
他の元素の結合により、磁化の低い化合物が生成される
と、合金全体として磁化が低下してしまう。
やすい理由は、R2Fe14B型化合物相が大半を占める
凝固合金を作製すると、急冷合金中に存在するアモルフ
ァス相がどうしてもBを過剰に含むこととなるため、こ
のBが結晶化熱処理で他の元素と結合して析出・成長し
やすくなるためであると考えられる。しかし、このBと
他の元素の結合により、磁化の低い化合物が生成される
と、合金全体として磁化が低下してしまう。
【0101】本発明者の実験によれば、Tiを添加した
場合だけ、V、Cr、Mn、Nb、Moなどの他の種類
の金属を添加した場合と異なり、磁化の低下が生じず、
むしろ磁化が向上することがわかった。また、M(特に
Ti)を添加した場合には、前述の他の添加元素と比
べ、減磁曲線の角形性が特に良好なものとなった。これ
らのことから、磁化の低い硼化物の生成を抑制する上で
Tiが特に重要な働きをしていると考えられる。特に、
本発明で用いる原料合金の組成範囲のうち、BおよびT
iが比較的に少ない場合は、熱処理によって強磁性を有
する鉄基硼化物相が析出しやすい。この場合、非磁性の
アモルファス相中に含まれるBが鉄基硼化物中に取り込
まれる結果、結晶化熱処理後に残存する非磁性アモルフ
ァス相の体積比率が減少し、強磁性の結晶相が増加する
ため、残留磁束密度Brが向上すると考えられる。
場合だけ、V、Cr、Mn、Nb、Moなどの他の種類
の金属を添加した場合と異なり、磁化の低下が生じず、
むしろ磁化が向上することがわかった。また、M(特に
Ti)を添加した場合には、前述の他の添加元素と比
べ、減磁曲線の角形性が特に良好なものとなった。これ
らのことから、磁化の低い硼化物の生成を抑制する上で
Tiが特に重要な働きをしていると考えられる。特に、
本発明で用いる原料合金の組成範囲のうち、BおよびT
iが比較的に少ない場合は、熱処理によって強磁性を有
する鉄基硼化物相が析出しやすい。この場合、非磁性の
アモルファス相中に含まれるBが鉄基硼化物中に取り込
まれる結果、結晶化熱処理後に残存する非磁性アモルフ
ァス相の体積比率が減少し、強磁性の結晶相が増加する
ため、残留磁束密度Brが向上すると考えられる。
【0102】以下、図5を参照しながら、この点をより
詳細に説明する。
詳細に説明する。
【0103】図5は、Tiを添加した場合、および、T
iに代えてNbなどを添加した場合における急冷凝固合
金の結晶化過程における微細組織の変化を模式的に示す
図である。Tiを添加した場合は、α−Feが析出する
温度よりも高い温度領域において各構成相の粒成長が抑
制されており、優れた硬磁気特性が維持される。これに
対し、Nb、V、Crなどの金属元素を添加した場合
は、α−Feが析出するような比較的高い温度領域で各
構成相の粒成長が著しく進行し、各構成相間に働くの交
換相互作用が弱まってしまう結果、減磁曲線の角形性が
大きく低下する。
iに代えてNbなどを添加した場合における急冷凝固合
金の結晶化過程における微細組織の変化を模式的に示す
図である。Tiを添加した場合は、α−Feが析出する
温度よりも高い温度領域において各構成相の粒成長が抑
制されており、優れた硬磁気特性が維持される。これに
対し、Nb、V、Crなどの金属元素を添加した場合
は、α−Feが析出するような比較的高い温度領域で各
構成相の粒成長が著しく進行し、各構成相間に働くの交
換相互作用が弱まってしまう結果、減磁曲線の角形性が
大きく低下する。
【0104】まず、Nb、Mo、Wを添加した場合を説
明する。この場合、α−Feが析出しない比較的低い温
度領域で熱処理を行なえば、減磁曲線の角形性に優れた
良好な硬磁気特性を得ることが可能である。しかし、こ
のような温度で熱処理を行なった合金では、R2Fe14
B型微細結晶相が非磁性のアモルファス相中に分散して
存在していると推定され、ナノコンポジットの構成は形
成されていないため、高い磁化が期待できない。また、
更に高い温度で熱処理を行なうと、アモルファス相中か
らα−Fe相が析出する。このα−Fe相は、Tiを添
加した場合と異なり、析出後、急激に成長し、粗大化す
る。このため、各構成相間の交換結合が弱くなり、減磁
曲線の角形性が大きく劣化してしまうことになる。
明する。この場合、α−Feが析出しない比較的低い温
度領域で熱処理を行なえば、減磁曲線の角形性に優れた
良好な硬磁気特性を得ることが可能である。しかし、こ
のような温度で熱処理を行なった合金では、R2Fe14
B型微細結晶相が非磁性のアモルファス相中に分散して
存在していると推定され、ナノコンポジットの構成は形
成されていないため、高い磁化が期待できない。また、
更に高い温度で熱処理を行なうと、アモルファス相中か
らα−Fe相が析出する。このα−Fe相は、Tiを添
加した場合と異なり、析出後、急激に成長し、粗大化す
る。このため、各構成相間の交換結合が弱くなり、減磁
曲線の角形性が大きく劣化してしまうことになる。
【0105】一方、Tiを添加した場合は、熱処理によ
り、R2Fe14B型結晶相、鉄基硼化物相、α−Fe
相、およびアモルファス相を含むナノコンポジット構造
が得られ、各構成相が均一に微細化する。また、Tiを
添加した場合は、α−Fe相の成長が抑制される。
り、R2Fe14B型結晶相、鉄基硼化物相、α−Fe
相、およびアモルファス相を含むナノコンポジット構造
が得られ、各構成相が均一に微細化する。また、Tiを
添加した場合は、α−Fe相の成長が抑制される。
【0106】VやCrを添加した場合は、これらの添加
金属がFeに固溶し、Feと反強磁性的に結合するた
め、磁化が大きく低下してしまう。また、VやCrを添
加した場合、熱処理に伴う粒成長が充分に抑制されず、
減磁曲線の角形性が劣化する。
金属がFeに固溶し、Feと反強磁性的に結合するた
め、磁化が大きく低下してしまう。また、VやCrを添
加した場合、熱処理に伴う粒成長が充分に抑制されず、
減磁曲線の角形性が劣化する。
【0107】このようにTiを添加した場合のみ、α−
Fe相の粗大化を適切に抑制し、強磁性の鉄基硼化物を
形成することが可能になる。更に、Tiは、液体急冷時
にFe初晶(後にα−Feに変態するγ−Fe)の析出
を遅らせ、過冷却液体の生成を容易にする元素としてB
やCとともに重要な働きをするため、合金溶湯を急冷す
る際の冷却速度を102℃/秒〜105℃/秒程度の比較
的低い値にしても、α−Feを大きく析出させることな
く、R2Fe14B型結晶相とアモルファス相とが混在す
る急冷合金を作製することが可能になる。このことは、
種々の液体急冷法の中から、特に量産に適したストリッ
プキャスト法の採用を可能にするため、低コスト化にと
って極めて重要である。
Fe相の粗大化を適切に抑制し、強磁性の鉄基硼化物を
形成することが可能になる。更に、Tiは、液体急冷時
にFe初晶(後にα−Feに変態するγ−Fe)の析出
を遅らせ、過冷却液体の生成を容易にする元素としてB
やCとともに重要な働きをするため、合金溶湯を急冷す
る際の冷却速度を102℃/秒〜105℃/秒程度の比較
的低い値にしても、α−Feを大きく析出させることな
く、R2Fe14B型結晶相とアモルファス相とが混在す
る急冷合金を作製することが可能になる。このことは、
種々の液体急冷法の中から、特に量産に適したストリッ
プキャスト法の採用を可能にするため、低コスト化にと
って極めて重要である。
【0108】合金溶湯を急冷して原料合金を得る方法と
して、ノズルやオリフィスによる溶湯の流量制御を行な
わずに溶湯をタンディッシュから直接に冷却ロール上に
注ぐストリップキャスト法は生産性が高く、製造コスト
の低い方法である。R−Fe−B系希土類合金の溶湯を
ストリップキャスト法によっても達成可能な冷却速度範
囲でアモルファス化するには、通常、Bを10原子%以
上添加する必要がある。従来の技術においてBを多く添
加した場合は、急冷合金に対して結晶化熱処理を行った
後、非性磁性のアモルファス相の他、粗大なα−Feや
軟磁性相であるNd2Fe23B3相が析出するため、均質
な微細結晶組織が得られない。その結果、強磁性相の体
積比率が低下し、磁化の低下およびNd2Fe14B相の
存在比率の低下により、保磁力の大幅な低下を招来す
る。しかしながら、本発明のようにTiを添加すると、
上述したようにα−Fe相の粗大化が抑制されるなどの
現象が起こり、予想外に磁化が向上する。
して、ノズルやオリフィスによる溶湯の流量制御を行な
わずに溶湯をタンディッシュから直接に冷却ロール上に
注ぐストリップキャスト法は生産性が高く、製造コスト
の低い方法である。R−Fe−B系希土類合金の溶湯を
ストリップキャスト法によっても達成可能な冷却速度範
囲でアモルファス化するには、通常、Bを10原子%以
上添加する必要がある。従来の技術においてBを多く添
加した場合は、急冷合金に対して結晶化熱処理を行った
後、非性磁性のアモルファス相の他、粗大なα−Feや
軟磁性相であるNd2Fe23B3相が析出するため、均質
な微細結晶組織が得られない。その結果、強磁性相の体
積比率が低下し、磁化の低下およびNd2Fe14B相の
存在比率の低下により、保磁力の大幅な低下を招来す
る。しかしながら、本発明のようにTiを添加すると、
上述したようにα−Fe相の粗大化が抑制されるなどの
現象が起こり、予想外に磁化が向上する。
【0109】なお、急冷合金がアモルファス相を多く含
む場合よりも、Nd2Fe14B相を多く含む状態にある
方が、最終的な磁気特性は高いものが得やすい。急冷合
金中に占めるNd2Fe14B相の体積比率は、全体の半
分以上、具体的には60体積%以上になることが好まし
い。この60体積%という値は、メスバウアースペクト
ル分光法で測定されたものである。
む場合よりも、Nd2Fe14B相を多く含む状態にある
方が、最終的な磁気特性は高いものが得やすい。急冷合
金中に占めるNd2Fe14B相の体積比率は、全体の半
分以上、具体的には60体積%以上になることが好まし
い。この60体積%という値は、メスバウアースペクト
ル分光法で測定されたものである。
【0110】次に、本発明の好ましい実施形態をさらに
具体的に説明する。
具体的に説明する。
【0111】[合金溶湯の急冷装置]本実施形態では、
例えば、図6に示す急冷装置を用いて原料合金を製造す
る。酸化しやすい希土類元素RやFeを含む原料合金の
酸化を防ぐため、不活性ガス雰囲気中で合金製造工程を
実行することが好ましい。不活性ガスとしては、ヘリウ
ムまたはアルゴン等の希ガスや窒素を用いることができ
る。なお、窒素は希土類元素Rと比較的に反応しやすい
ため、ヘリウムまたはアルゴンなどの希ガスを用いるこ
とが好ましい。
例えば、図6に示す急冷装置を用いて原料合金を製造す
る。酸化しやすい希土類元素RやFeを含む原料合金の
酸化を防ぐため、不活性ガス雰囲気中で合金製造工程を
実行することが好ましい。不活性ガスとしては、ヘリウ
ムまたはアルゴン等の希ガスや窒素を用いることができ
る。なお、窒素は希土類元素Rと比較的に反応しやすい
ため、ヘリウムまたはアルゴンなどの希ガスを用いるこ
とが好ましい。
【0112】図6の装置は、真空または不活性ガス雰囲
気を保持し、その圧力を調整することが可能な原料合金
の溶解室1および急冷室2を備えている。図6(a)は
全体構成図であり、図6(b)は、一部の拡大図であ
る。
気を保持し、その圧力を調整することが可能な原料合金
の溶解室1および急冷室2を備えている。図6(a)は
全体構成図であり、図6(b)は、一部の拡大図であ
る。
【0113】図6(a)に示されるように、溶解室1
は、所望の磁石合金組成になるように配合された原料2
0を高温にて溶解する溶解炉3と、底部に出湯ノズル5
を有する貯湯容器4と、大気の進入を抑制しつつ配合原
料を溶解炉3内に供給するための配合原料供給装置8と
を備えている。貯湯容器4は原料合金の溶湯21を貯
え、その出湯温度を所定のレベルに維持できる加熱装置
(不図示)を有している。
は、所望の磁石合金組成になるように配合された原料2
0を高温にて溶解する溶解炉3と、底部に出湯ノズル5
を有する貯湯容器4と、大気の進入を抑制しつつ配合原
料を溶解炉3内に供給するための配合原料供給装置8と
を備えている。貯湯容器4は原料合金の溶湯21を貯
え、その出湯温度を所定のレベルに維持できる加熱装置
(不図示)を有している。
【0114】急冷室2は、出湯ノズル5から出た溶湯2
1を急冷凝固するための回転冷却ロール7を備えてい
る。
1を急冷凝固するための回転冷却ロール7を備えてい
る。
【0115】この装置においては、溶解室1および急冷
室2内の雰囲気およびその圧力が所定の範囲に制御され
る。そのために、雰囲気ガス供給口1b、2b、および
8bとガス排気口1a、2a、および8aとが装置の適
切な箇所に設けられている。特にガス排気口2aは、急
冷室2内の絶対圧を30kPa〜常圧(大気圧)の範囲
内(好ましくは100kPa以下)に制御するため、ポ
ンプに接続されている。溶解室1の圧力を変化させるこ
とにより、ノズル5から出る溶湯の噴射圧を調節するこ
とができる。
室2内の雰囲気およびその圧力が所定の範囲に制御され
る。そのために、雰囲気ガス供給口1b、2b、および
8bとガス排気口1a、2a、および8aとが装置の適
切な箇所に設けられている。特にガス排気口2aは、急
冷室2内の絶対圧を30kPa〜常圧(大気圧)の範囲
内(好ましくは100kPa以下)に制御するため、ポ
ンプに接続されている。溶解室1の圧力を変化させるこ
とにより、ノズル5から出る溶湯の噴射圧を調節するこ
とができる。
【0116】溶解炉3は傾動可能であり、ロート6を介
して溶湯21を貯湯容器4内に適宜注ぎ込む。溶湯21
は貯湯容器4内において不図示の加熱装置によって加熱
される。
して溶湯21を貯湯容器4内に適宜注ぎ込む。溶湯21
は貯湯容器4内において不図示の加熱装置によって加熱
される。
【0117】貯湯容器4の出湯ノズル5は、溶解室1と
急冷室2との隔壁に配置され、貯湯容器4内の溶湯21
を下方に位置する冷却ロール7の表面に流下させる。出
湯ノズル5のオリフィス径は、2.0mm以上4.0m
m以下の範囲内(例えば2.8mm)に設定される。溶
湯21の粘性が大きい場合、溶湯21は出湯ノズル5内
を流れにくくなり、急冷合金の厚さばらつきを招きやす
いが、本実施形態では、オリフィス径を従来に比べて拡
大するとともに、急冷室2を溶解室1よりも充分に低い
圧力状態に保持しているため、溶解室1と急冷室2との
間に大きな圧力差(10kPaを超える差圧)が形成さ
れ、溶湯21の出湯がスムーズに実行される。本実施形
態で用いる装置によれば、合金溶湯の供給レートを1.
5〜10kg/分に設定することができる。供給レート
が10kg/分を超えると、溶湯急冷速度が遅くなり、
粗大なα−Feが析出するという不都合が生じる。合金
溶湯の更に好ましい供給レートは3〜7kg/分であ
り、この場合に、適切なロール周速度にて40μm以上
90μm以下の急冷合金を得ることが可能となる。
急冷室2との隔壁に配置され、貯湯容器4内の溶湯21
を下方に位置する冷却ロール7の表面に流下させる。出
湯ノズル5のオリフィス径は、2.0mm以上4.0m
m以下の範囲内(例えば2.8mm)に設定される。溶
湯21の粘性が大きい場合、溶湯21は出湯ノズル5内
を流れにくくなり、急冷合金の厚さばらつきを招きやす
いが、本実施形態では、オリフィス径を従来に比べて拡
大するとともに、急冷室2を溶解室1よりも充分に低い
圧力状態に保持しているため、溶解室1と急冷室2との
間に大きな圧力差(10kPaを超える差圧)が形成さ
れ、溶湯21の出湯がスムーズに実行される。本実施形
態で用いる装置によれば、合金溶湯の供給レートを1.
5〜10kg/分に設定することができる。供給レート
が10kg/分を超えると、溶湯急冷速度が遅くなり、
粗大なα−Feが析出するという不都合が生じる。合金
溶湯の更に好ましい供給レートは3〜7kg/分であ
り、この場合に、適切なロール周速度にて40μm以上
90μm以下の急冷合金を得ることが可能となる。
【0118】冷却ロール7は、Cu、Fe、またはCu
やFeを含む合金から形成することが好ましい。Cuや
Fe以外の材料で冷却ロールを作製すると、急冷合金の
冷却ロールに対する剥離性が悪くなるため、急冷合金が
ロールに巻き付くおそれがあり好ましくない。冷却ロー
ル7の内径は例えば300〜500mmである。冷却ロ
ール7内に設けた水冷装置の水冷能力は、単位時間あた
りの凝固潜熱と出湯量とに応じて算出し、調節される。
やFeを含む合金から形成することが好ましい。Cuや
Fe以外の材料で冷却ロールを作製すると、急冷合金の
冷却ロールに対する剥離性が悪くなるため、急冷合金が
ロールに巻き付くおそれがあり好ましくない。冷却ロー
ル7の内径は例えば300〜500mmである。冷却ロ
ール7内に設けた水冷装置の水冷能力は、単位時間あた
りの凝固潜熱と出湯量とに応じて算出し、調節される。
【0119】[急冷法]まず、前述の組成式で表現され
る原料合金の溶湯21を作製し、図6の溶解室1の貯湯
容器4に貯える。次に、この溶湯21は出湯ノズル5か
ら減圧Ar雰囲気中の水冷ロール7上に出湯され、冷却
ロール7との接触によって急冷され、凝固する。合金溶
湯の冷却速度は、1×102〜108℃/秒とすることが
好ましく、1×102〜1×106℃/秒とすることが好
ましい。
る原料合金の溶湯21を作製し、図6の溶解室1の貯湯
容器4に貯える。次に、この溶湯21は出湯ノズル5か
ら減圧Ar雰囲気中の水冷ロール7上に出湯され、冷却
ロール7との接触によって急冷され、凝固する。合金溶
湯の冷却速度は、1×102〜108℃/秒とすることが
好ましく、1×102〜1×106℃/秒とすることが好
ましい。
【0120】合金の溶湯21が冷却ロール7によって冷
却される時間は、回転する冷却ロール7の外周表面に合
金が接触してから離れるまでの時間に相当し、その間
に、合金の温度は低下し、凝固する。
却される時間は、回転する冷却ロール7の外周表面に合
金が接触してから離れるまでの時間に相当し、その間
に、合金の温度は低下し、凝固する。
【0121】本実施形態では、ロール表面速度を5m/
秒以上15m/秒以下の範囲内に調節し、かつ、雰囲気
ガスによる二次冷却効果を高めるために雰囲気ガス圧力
を13kPa以上にする。
秒以上15m/秒以下の範囲内に調節し、かつ、雰囲気
ガスによる二次冷却効果を高めるために雰囲気ガス圧力
を13kPa以上にする。
【0122】なお、本発明で用いる合金溶湯の急冷法
は、上述の片ロール法に限定されず、ノズルオリフィス
による流量制御を行なわない急冷方法であるストリップ
キャスト法を用いてもよい。ストリップキャスト法によ
る場合は、ノズルオリフィスを用いないため、溶湯供給
レートを大きくし、かつ、安定化しやすいという利点が
ある。しかし、冷却ロールと溶湯との間に雰囲気ガスを
巻き込みやすく、急冷面側での冷却速度が不均一する可
能性がある。このような問題を解決するには、冷却ロー
ルが置かれた空間の雰囲気圧力を上述した範囲に低下さ
せ、雰囲気ガスの巻き込みを抑制する必要がある。
は、上述の片ロール法に限定されず、ノズルオリフィス
による流量制御を行なわない急冷方法であるストリップ
キャスト法を用いてもよい。ストリップキャスト法によ
る場合は、ノズルオリフィスを用いないため、溶湯供給
レートを大きくし、かつ、安定化しやすいという利点が
ある。しかし、冷却ロールと溶湯との間に雰囲気ガスを
巻き込みやすく、急冷面側での冷却速度が不均一する可
能性がある。このような問題を解決するには、冷却ロー
ルが置かれた空間の雰囲気圧力を上述した範囲に低下さ
せ、雰囲気ガスの巻き込みを抑制する必要がある。
【0123】(実施形態2)次に、ストリップキャスト
法を用いる第2の実施形態を説明する。
法を用いる第2の実施形態を説明する。
【0124】本実施形態では、周速度5m/秒以上20
m/秒未満で回転する冷却ロール上に、単位接触幅あた
りの供給レートを1.2kg/分/cm以上3.0kg
/分/cm以下にして溶湯を連続的に供給する。このよ
うに設定することにより、非晶質組織が60体積%以上
を占める永久磁石粉末用原料合金を作製できる。
m/秒未満で回転する冷却ロール上に、単位接触幅あた
りの供給レートを1.2kg/分/cm以上3.0kg
/分/cm以下にして溶湯を連続的に供給する。このよ
うに設定することにより、非晶質組織が60体積%以上
を占める永久磁石粉末用原料合金を作製できる。
【0125】本実施形態では、適切な溶湯供給レートの
範囲を、上述のように単位接触幅あたりの供給レートで
規定している。ストリップキャスト法の場合、溶湯は冷
却ロールの軸線方向に沿って所定の接触幅を有するよう
に冷却ロールと接触するが、溶湯の冷却条件は上記単位
接触幅あたりの溶湯供給レートに大きく依存するからで
ある。なお、単位接触幅あたりの供給レートとは、典型
的には、溶湯を案内するためのシュート上に供給される
溶湯の供給レート(単位:kg/分)を、シュートの排
出部の幅(すなわち、溶湯の接触幅)(単位:cm)で
除算したものを表している。なお、シュートの排出部が
複数ある場合には、シュートに供給される溶湯の供給レ
ートを、各排出部の幅の合計で除算したものを表す。
範囲を、上述のように単位接触幅あたりの供給レートで
規定している。ストリップキャスト法の場合、溶湯は冷
却ロールの軸線方向に沿って所定の接触幅を有するよう
に冷却ロールと接触するが、溶湯の冷却条件は上記単位
接触幅あたりの溶湯供給レートに大きく依存するからで
ある。なお、単位接触幅あたりの供給レートとは、典型
的には、溶湯を案内するためのシュート上に供給される
溶湯の供給レート(単位:kg/分)を、シュートの排
出部の幅(すなわち、溶湯の接触幅)(単位:cm)で
除算したものを表している。なお、シュートの排出部が
複数ある場合には、シュートに供給される溶湯の供給レ
ートを、各排出部の幅の合計で除算したものを表す。
【0126】単位接触幅あたりの溶湯供給レートが大き
すぎると、冷却ロールによる溶湯の冷却速度が低下し、
その結果、非晶質化が促進せずに結晶化組織を多く含む
急冷合金が作製されてしまいナノコンポジット磁石に適
した原料合金を得ることができなくなってしまう。ま
た、溶湯供給レートが小さすぎると、ストリップキャス
ト法では、冷却ロールに対して溶湯を適切な状態で接触
させることが困難になる。このため、本発明では、単位
接触幅あたりの供給レートを0.3kg/分/cm以上
5.2kg/分/cm以下に設定している。
すぎると、冷却ロールによる溶湯の冷却速度が低下し、
その結果、非晶質化が促進せずに結晶化組織を多く含む
急冷合金が作製されてしまいナノコンポジット磁石に適
した原料合金を得ることができなくなってしまう。ま
た、溶湯供給レートが小さすぎると、ストリップキャス
ト法では、冷却ロールに対して溶湯を適切な状態で接触
させることが困難になる。このため、本発明では、単位
接触幅あたりの供給レートを0.3kg/分/cm以上
5.2kg/分/cm以下に設定している。
【0127】また、後述するように、例えば、接触幅約
2cmの接触部を3箇所設ける接触形態で溶湯を冷却ロ
ールに接触させる場合、供給レートを約0.5kg/分
/cm以上に設定することによって、約3kg/分以上
の処理量を実現することができる。
2cmの接触部を3箇所設ける接触形態で溶湯を冷却ロ
ールに接触させる場合、供給レートを約0.5kg/分
/cm以上に設定することによって、約3kg/分以上
の処理量を実現することができる。
【0128】このように、上記特定範囲の周速度で回転
する冷却ロールに対して上記特定範囲の供給レートで溶
湯を供給することによって、ストリップキャスト法を用
いた場合にも、厚さぱらつきの少ない急冷合金を生産性
高く作製することができる。ストリップキャスト法で
は、メルトスピニング法のように製造コストを著しく増
加させるノズルを使用しないので、ノズルにかかるコス
トが不必要となり、また、ノズルの閉塞事故によって生
産が停止することもない。
する冷却ロールに対して上記特定範囲の供給レートで溶
湯を供給することによって、ストリップキャスト法を用
いた場合にも、厚さぱらつきの少ない急冷合金を生産性
高く作製することができる。ストリップキャスト法で
は、メルトスピニング法のように製造コストを著しく増
加させるノズルを使用しないので、ノズルにかかるコス
トが不必要となり、また、ノズルの閉塞事故によって生
産が停止することもない。
【0129】その後、得られた急冷合金に対して、約5
00℃〜約900℃の温度域にて、結晶化させるための
熱処理(以下、「結晶化熱処理」と呼ぶこともある)を
施すことにより、α−Fe相またはFe3B型化合物の
1種または2種からなるソフト磁性相とR2Fe14B型
結晶構造を有する化合物とが共存する結晶組織が90%
以上を占め、平均結晶粒径が10nm〜50nmであ
る、良好な磁気特性を有するナノコンポジット型永久磁
石を得ることができる。
00℃〜約900℃の温度域にて、結晶化させるための
熱処理(以下、「結晶化熱処理」と呼ぶこともある)を
施すことにより、α−Fe相またはFe3B型化合物の
1種または2種からなるソフト磁性相とR2Fe14B型
結晶構造を有する化合物とが共存する結晶組織が90%
以上を占め、平均結晶粒径が10nm〜50nmであ
る、良好な磁気特性を有するナノコンポジット型永久磁
石を得ることができる。
【0130】以下、図面を参照しながら本実施形態を説
明する。
明する。
【0131】図7は、本実施形態に係る、ストリップキ
ャスト法により急冷合金を作製するための急冷装置を示
す。急冷装置は、その内部を真空状態もしくは不活性ガ
ス雰囲気での減圧状態にすることができるメインチャン
バ30と、このメインチャンバ30に開閉可能なシャッ
タ48を介して接続されるサブチャンバ50とを備え
る。
ャスト法により急冷合金を作製するための急冷装置を示
す。急冷装置は、その内部を真空状態もしくは不活性ガ
ス雰囲気での減圧状態にすることができるメインチャン
バ30と、このメインチャンバ30に開閉可能なシャッ
タ48を介して接続されるサブチャンバ50とを備え
る。
【0132】メインチャンバ30の内部には、合金原料
を溶解するための溶解炉32と、溶解炉32から供給さ
れる合金溶湯23を急冷・凝固させるための冷却ロール
34と、溶解炉32から冷却ロール34に溶湯23を導
く溶湯案内手段としてのシュート(タンディッシュ)3
6と、凝固して冷却ロール34から剥離した薄帯状の合
金を回収するための回収手段40とが設けられている。
を溶解するための溶解炉32と、溶解炉32から供給さ
れる合金溶湯23を急冷・凝固させるための冷却ロール
34と、溶解炉32から冷却ロール34に溶湯23を導
く溶湯案内手段としてのシュート(タンディッシュ)3
6と、凝固して冷却ロール34から剥離した薄帯状の合
金を回収するための回収手段40とが設けられている。
【0133】溶解炉32は、合金原料を溶融することに
よって作製した溶湯23をシュート36に対して略一定
の供給量で供給することができる。この供給量は、溶解
炉32を傾ける動作を制御することなどによって、任意
に調節することができる。
よって作製した溶湯23をシュート36に対して略一定
の供給量で供給することができる。この供給量は、溶解
炉32を傾ける動作を制御することなどによって、任意
に調節することができる。
【0134】冷却ロール34は、その外周面が銅などの
熱伝導性の良好な材料から形成されており、内径30c
m〜100cmで幅が15cm〜100cmの寸法を有
する。冷却ロール34は、不図示の駆動装置によって所
定の回転速度で回転することができる。この回転速度を
制御することによって、冷却ロール34の周速度を任意
に調節することができる。急冷装置による冷却速度は、
冷却ロール34の回転速度などを選択することにより、
約102℃/秒〜約2×104℃/秒の範囲で制御可能で
ある。
熱伝導性の良好な材料から形成されており、内径30c
m〜100cmで幅が15cm〜100cmの寸法を有
する。冷却ロール34は、不図示の駆動装置によって所
定の回転速度で回転することができる。この回転速度を
制御することによって、冷却ロール34の周速度を任意
に調節することができる。急冷装置による冷却速度は、
冷却ロール34の回転速度などを選択することにより、
約102℃/秒〜約2×104℃/秒の範囲で制御可能で
ある。
【0135】シュート36の端部36aは、冷却ロール
34の最頂部とロールの中心とを結ぶ線に対してある程
度の角度θを持った位置に配置される(0°<θ<18
0°、好ましくは0°≦θ≦90°)。シュート36上
に供給された溶湯23は、端部36aから冷却ロール3
4に自重によって供給される。なお、シュート36の溶
湯案内面が水平方向に対して形成する角度(傾斜角度)
は、1〜80°の範囲内に設定することが好ましい。本
実施形態では、角度θを40°に設定するとともに、シ
ュート36については、水平方向に対する溶湯案内面の
傾斜角度を20°に設定している。
34の最頂部とロールの中心とを結ぶ線に対してある程
度の角度θを持った位置に配置される(0°<θ<18
0°、好ましくは0°≦θ≦90°)。シュート36上
に供給された溶湯23は、端部36aから冷却ロール3
4に自重によって供給される。なお、シュート36の溶
湯案内面が水平方向に対して形成する角度(傾斜角度)
は、1〜80°の範囲内に設定することが好ましい。本
実施形態では、角度θを40°に設定するとともに、シ
ュート36については、水平方向に対する溶湯案内面の
傾斜角度を20°に設定している。
【0136】シュート36は、セラミックス等で構成さ
れ、溶解炉32から所定の流量で連続的に供給される溶
湯23を一時的に貯湯するようにして流速を遅延し、溶
湯23の流れを整流することができる。シュート36に
供給された溶湯23における溶湯表面部の流れを選択的
に堰き止めることができる堰き止め板を設ければ、整流
効果を更に向上させることができる。
れ、溶解炉32から所定の流量で連続的に供給される溶
湯23を一時的に貯湯するようにして流速を遅延し、溶
湯23の流れを整流することができる。シュート36に
供給された溶湯23における溶湯表面部の流れを選択的
に堰き止めることができる堰き止め板を設ければ、整流
効果を更に向上させることができる。
【0137】シュート36を用いることによって、冷却
ロール34の胴長方向(軸線方向)において、一定幅に
わたって略均一な厚さに広げた状態で、溶湯23を供給
することができる。シュート36は上記機能に加え、冷
却ロール34に達する直前の溶湯23の温度を調整する
機能をも有する。シュート36上における溶湯23の温
度は、液相線温度よりも100℃以上高い温度であるこ
とが望ましい。溶湯23の温度が低すぎると、急冷後の
合金特性に悪影響を及ぼす初晶が局所的に核発生し、こ
れが凝固後に残存してしまうことがあるからである。シ
ュート36上での溶湯滞留温度は、溶解炉32からシュ
ート36に注ぎ込む時点での溶湯温度やシュート36自
体の熱容量などを調節によって制御することができる
が、必要に応じてシュート加熱設備(不図示)を設けて
も良い。
ロール34の胴長方向(軸線方向)において、一定幅に
わたって略均一な厚さに広げた状態で、溶湯23を供給
することができる。シュート36は上記機能に加え、冷
却ロール34に達する直前の溶湯23の温度を調整する
機能をも有する。シュート36上における溶湯23の温
度は、液相線温度よりも100℃以上高い温度であるこ
とが望ましい。溶湯23の温度が低すぎると、急冷後の
合金特性に悪影響を及ぼす初晶が局所的に核発生し、こ
れが凝固後に残存してしまうことがあるからである。シ
ュート36上での溶湯滞留温度は、溶解炉32からシュ
ート36に注ぎ込む時点での溶湯温度やシュート36自
体の熱容量などを調節によって制御することができる
が、必要に応じてシュート加熱設備(不図示)を設けて
も良い。
【0138】図8は、本実施形態で用いるシュート36
を示す。このシュート36は、冷却ロール34の外周面
に対向するように配置された端部36aにおいて、所定
の間隔W2だけ離して設けられた複数の排出部36bを
有している。この排出部36bの幅(出湯幅)W1は、
好適には0.5mm〜30mmに設定され、より好適に
は0.7mm〜20mmに設定される。本実施形態で
は、出湯幅W1を10mmに設定している。
を示す。このシュート36は、冷却ロール34の外周面
に対向するように配置された端部36aにおいて、所定
の間隔W2だけ離して設けられた複数の排出部36bを
有している。この排出部36bの幅(出湯幅)W1は、
好適には0.5mm〜30mmに設定され、より好適に
は0.7mm〜20mmに設定される。本実施形態で
は、出湯幅W1を10mmに設定している。
【0139】シュート36上に供給された溶湯23は、
冷却ロール34の軸線方向Aに沿って、幅W1と略同一
幅を有した状態で冷却ロール34に接触する。その後、
冷却ロール34に出湯幅W1で接触した溶湯23は、冷
却ロール34の回転に伴って(冷却ロール34に引き上
げられるようにして)ロール周面上を移動し、この移動
過程において冷却される。なお、溶湯漏れを防止するた
めに、シュート36の端部36aと冷却ロール34との
間の距離は、3mm以下に設定されることが好ましい。
隣接する排出部間の間隙W2は、好適には、0.1mm
〜2mmに設定される。
冷却ロール34の軸線方向Aに沿って、幅W1と略同一
幅を有した状態で冷却ロール34に接触する。その後、
冷却ロール34に出湯幅W1で接触した溶湯23は、冷
却ロール34の回転に伴って(冷却ロール34に引き上
げられるようにして)ロール周面上を移動し、この移動
過程において冷却される。なお、溶湯漏れを防止するた
めに、シュート36の端部36aと冷却ロール34との
間の距離は、3mm以下に設定されることが好ましい。
隣接する排出部間の間隙W2は、好適には、0.1mm
〜2mmに設定される。
【0140】このようにして冷却ロール34の外周面に
おける溶湯接触部(溶湯冷却部)を複数の箇所に分離す
れば、冷却ロール34に供給する単位時間あたりの溶湯
量を大きくしながら、各溶湯流れ毎に略均一な条件で冷
却が可能になる。その結果として、40μmを超える厚
さの急冷合金を作製したとしても、厚さばらつきが低減
された急冷合金を安定的に作製することが可能である。
おける溶湯接触部(溶湯冷却部)を複数の箇所に分離す
れば、冷却ロール34に供給する単位時間あたりの溶湯
量を大きくしながら、各溶湯流れ毎に略均一な条件で冷
却が可能になる。その結果として、40μmを超える厚
さの急冷合金を作製したとしても、厚さばらつきが低減
された急冷合金を安定的に作製することが可能である。
【0141】再び、図7を参照する。冷却ロール34の
外周面上で凝固された合金溶湯23は、帯状の凝固合金
23aとなって冷却ロール34から剥離する。剥離した
凝固合金23aは、回収装置40において破砕され回収
される。
外周面上で凝固された合金溶湯23は、帯状の凝固合金
23aとなって冷却ロール34から剥離する。剥離した
凝固合金23aは、回収装置40において破砕され回収
される。
【0142】回収装置40は、薄帯状の凝固合金23a
を破砕するための回転ブレード42を備えている。回転
ブレードは、例えば、ステンレス鋼などから形成された
複数の羽根を有し、不図示の駆動装置によって500〜
1000rpm程度の速さで回転させられる。冷却ロー
ル34を剥離した薄帯状の凝固合金23aは、ガイド部
材44によって、回転ブレード42へと導かれる。スト
リップキャスト法を用いた本実施形態で作製される凝固
合金23aは比較的厚い(40μm〜90μm)ため、
従来のメルトスピニング法によって得られる比較的薄い
凝固合金よりも、回転ブレード42による破砕が容易で
ある。
を破砕するための回転ブレード42を備えている。回転
ブレードは、例えば、ステンレス鋼などから形成された
複数の羽根を有し、不図示の駆動装置によって500〜
1000rpm程度の速さで回転させられる。冷却ロー
ル34を剥離した薄帯状の凝固合金23aは、ガイド部
材44によって、回転ブレード42へと導かれる。スト
リップキャスト法を用いた本実施形態で作製される凝固
合金23aは比較的厚い(40μm〜90μm)ため、
従来のメルトスピニング法によって得られる比較的薄い
凝固合金よりも、回転ブレード42による破砕が容易で
ある。
【0143】また、帯状の凝固合金23aは上述のよう
に比較的厚いため、回転ブレード42によって破砕され
た凝固合金25の形状は、アスペクト比がより1に近づ
けられている。従って、破砕後の凝固合金25を嵩密度
が高い状態で回収容器46内に収容することができる。
凝固合金25は、好適には、少なくとも1g/cm3の
嵩密度で回収される。これにより、回収作業の効率化を
図ることができる。
に比較的厚いため、回転ブレード42によって破砕され
た凝固合金25の形状は、アスペクト比がより1に近づ
けられている。従って、破砕後の凝固合金25を嵩密度
が高い状態で回収容器46内に収容することができる。
凝固合金25は、好適には、少なくとも1g/cm3の
嵩密度で回収される。これにより、回収作業の効率化を
図ることができる。
【0144】所定量の破砕凝固合金25が貯められた回
収容器46は、ベルトコンベアなどの移動手段(不図
示)によって、サブチャンバ50へと送られる。このと
き、シャッタ48が開放される前の段階において、サブ
チャンバ50の内部を予めメインチャンバ30と同様の
真空下または不活性ガスを用いた減圧下にしておくこと
が望ましい。これによりメインチャンバ30内の真空状
態または減圧状態を維持することができる。メインチャ
ンバ30から回収容器46が運び出された後、シャッタ
48は閉じられ、メインチャンバ30の気密性が保たれ
る。
収容器46は、ベルトコンベアなどの移動手段(不図
示)によって、サブチャンバ50へと送られる。このと
き、シャッタ48が開放される前の段階において、サブ
チャンバ50の内部を予めメインチャンバ30と同様の
真空下または不活性ガスを用いた減圧下にしておくこと
が望ましい。これによりメインチャンバ30内の真空状
態または減圧状態を維持することができる。メインチャ
ンバ30から回収容器46が運び出された後、シャッタ
48は閉じられ、メインチャンバ30の気密性が保たれ
る。
【0145】その後、サブチャンバ50内において、不
図示の装置によって、回収容器46には蓋52が被せら
れる。このようにして、回収容器46内に密封された破
砕合金25は、開閉可能なシャッタ54を開けて外部へ
と運び出される。
図示の装置によって、回収容器46には蓋52が被せら
れる。このようにして、回収容器46内に密封された破
砕合金25は、開閉可能なシャッタ54を開けて外部へ
と運び出される。
【0146】以上説明してきたように、本実施形態で
は、特定組成を有する合金溶湯を図7に示した急冷装置
を用いて、ストリップキャスト法により急冷・凝固し、
薄帯状の合金を作製する。合金溶湯は、真空下もしくは
不活性ガス雰囲気での減圧下において、周速度5m/秒
以上20m/秒未満で回転する冷却ロールに対し、単位
接触幅あたりの供給レートが0.3kg/分/cm以
上、5.2kg/分/cm以下で供給される。このよう
にして、60体積%以上の非晶質組織を有する急冷合金
を作製することが可能である。このような高い割合で非
晶質組織を有する原料合金に対して結晶化熱処理を行え
ば、磁気特性の良好なナノコンポジット型磁石を作製す
ることができる。
は、特定組成を有する合金溶湯を図7に示した急冷装置
を用いて、ストリップキャスト法により急冷・凝固し、
薄帯状の合金を作製する。合金溶湯は、真空下もしくは
不活性ガス雰囲気での減圧下において、周速度5m/秒
以上20m/秒未満で回転する冷却ロールに対し、単位
接触幅あたりの供給レートが0.3kg/分/cm以
上、5.2kg/分/cm以下で供給される。このよう
にして、60体積%以上の非晶質組織を有する急冷合金
を作製することが可能である。このような高い割合で非
晶質組織を有する原料合金に対して結晶化熱処理を行え
ば、磁気特性の良好なナノコンポジット型磁石を作製す
ることができる。
【0147】上述のように、冷却ロールの周速度を5m
/秒以上20m/秒未満に設定した理由は、ロール周速
度が5m/秒未満であると、急冷合金の厚さが90μm
を超えてしまう一方、冷却ロールの周速度を20m/秒
以上にすると、急冷合金の厚さが40μmを下回るから
である。
/秒以上20m/秒未満に設定した理由は、ロール周速
度が5m/秒未満であると、急冷合金の厚さが90μm
を超えてしまう一方、冷却ロールの周速度を20m/秒
以上にすると、急冷合金の厚さが40μmを下回るから
である。
【0148】前述のように、本実施形態において単位接
触幅あたりの供給レートを5.2kg/分/cm以下に
している理由は、供給レートが5.2kg/分/cmを
超えると、急冷合金の厚さが90μmを超えて厚くなり
すぎ、また、所定の冷却速度が得られないからである。
単位接触幅あたりの供給レートの適切な範囲は、ロール
周速度、ロール構造などに応じて異なり得るが、4.0
kg/分/cm以下であることが好ましく、3.0kg
/分/cm以下であることが更に好ましい。
触幅あたりの供給レートを5.2kg/分/cm以下に
している理由は、供給レートが5.2kg/分/cmを
超えると、急冷合金の厚さが90μmを超えて厚くなり
すぎ、また、所定の冷却速度が得られないからである。
単位接触幅あたりの供給レートの適切な範囲は、ロール
周速度、ロール構造などに応じて異なり得るが、4.0
kg/分/cm以下であることが好ましく、3.0kg
/分/cm以下であることが更に好ましい。
【0149】また、ロール周速度が5m/秒以上の場
合、単位接触幅あたりの供給レートが0.3kg/分/
cmより小さいと、均一な厚さを有する平均厚さ40μ
m以上の急冷合金を得ることができない。
合、単位接触幅あたりの供給レートが0.3kg/分/
cmより小さいと、均一な厚さを有する平均厚さ40μ
m以上の急冷合金を得ることができない。
【0150】なお、シュート(タンディッシュ)の形状
や、溶湯排出部の幅と本数、溶湯供給レートなどを適切
に選択することによって、得られる薄帯状急冷合金の厚
さ及び幅が適正範囲内になるようにすることも重要であ
る。均一な組織を得るためには、冷却速度を幅方向にわ
たって均一化することも必要であり。そのためには薄帯
状急冷合金の幅を5mm〜40mmの範囲内に設定する
ことが好ましい。
や、溶湯排出部の幅と本数、溶湯供給レートなどを適切
に選択することによって、得られる薄帯状急冷合金の厚
さ及び幅が適正範囲内になるようにすることも重要であ
る。均一な組織を得るためには、冷却速度を幅方向にわ
たって均一化することも必要であり。そのためには薄帯
状急冷合金の幅を5mm〜40mmの範囲内に設定する
ことが好ましい。
【0151】チャンバ内を不活性ガスを用いて減圧状態
にしている場合、鋳造時の不活性ガス雰囲気圧力が高す
ぎると、冷却ロールが高速回転しているときに、ロール
周辺の不活性ガスの巻き込みが生じ、安定した冷却状態
が得られない。一方、雰囲気圧力が低すぎると、ロール
より離れた薄帯状合金が、不活性ガスによって速やかに
冷却されないため、結晶化が進んでしまい、非晶質を多
く含む合金を作製できない。この場合には、結晶化熱処
理後に得られる合金の磁気特性が低下する。これらのこ
とから、不活性ガス圧力は0.13kPa〜100kP
aに調整することが好ましい。
にしている場合、鋳造時の不活性ガス雰囲気圧力が高す
ぎると、冷却ロールが高速回転しているときに、ロール
周辺の不活性ガスの巻き込みが生じ、安定した冷却状態
が得られない。一方、雰囲気圧力が低すぎると、ロール
より離れた薄帯状合金が、不活性ガスによって速やかに
冷却されないため、結晶化が進んでしまい、非晶質を多
く含む合金を作製できない。この場合には、結晶化熱処
理後に得られる合金の磁気特性が低下する。これらのこ
とから、不活性ガス圧力は0.13kPa〜100kP
aに調整することが好ましい。
【0152】このように、メルトスピンニング法やスト
リップキャスト法においては、溶湯供給レートとロール
表面周速度を調整することにより、急冷合金の平均厚さ
を制御することができる。前述したように理想的な粒度
分布を得るには、急冷合金の平均厚さを40μm以上9
0μm以下の範囲に設定する必要がある。
リップキャスト法においては、溶湯供給レートとロール
表面周速度を調整することにより、急冷合金の平均厚さ
を制御することができる。前述したように理想的な粒度
分布を得るには、急冷合金の平均厚さを40μm以上9
0μm以下の範囲に設定する必要がある。
【0153】なお、ロール表面周速度を速くして合金の
平均厚さを40μmよりも薄くすると、従来の急冷磁石
のように、合金の金属組織がロール接触面に垂直な方位
に揃う傾向がある。そのため、その方位に沿って破断し
やすくなり、粉砕によって得られた粉末粒子は、合金の
表面に平行な方向に沿って平たく伸びた形状となりやす
く、アスペクト比が0.3未満の粉末粒子が生成されや
すい。その結果、3.0g/cm3のタップ密度しか得
られず、最終的に6.0g/cm3以上の成形密度は達
成できない。また、平均厚さが90μmを超えると、所
望の粒度分布が得られないという問題が発生する。
平均厚さを40μmよりも薄くすると、従来の急冷磁石
のように、合金の金属組織がロール接触面に垂直な方位
に揃う傾向がある。そのため、その方位に沿って破断し
やすくなり、粉砕によって得られた粉末粒子は、合金の
表面に平行な方向に沿って平たく伸びた形状となりやす
く、アスペクト比が0.3未満の粉末粒子が生成されや
すい。その結果、3.0g/cm3のタップ密度しか得
られず、最終的に6.0g/cm3以上の成形密度は達
成できない。また、平均厚さが90μmを超えると、所
望の粒度分布が得られないという問題が発生する。
【0154】図9(a)は、本実施形態による磁石粉末
の製造方法の粉砕工程前における合金10と、粉砕工程
後の粉末粒子11を模式的に示している。一方、図9
(b)は、従来の急冷磁石粉末の製造方法の粉砕工程前
における合金薄帯12と、粉砕工程後の粉末粒子13を
模式的に示している。
の製造方法の粉砕工程前における合金10と、粉砕工程
後の粉末粒子11を模式的に示している。一方、図9
(b)は、従来の急冷磁石粉末の製造方法の粉砕工程前
における合金薄帯12と、粉砕工程後の粉末粒子13を
模式的に示している。
【0155】図9(a)に示されるように、本実施形態
の場合は、粉砕前の合金10が結晶粒径の小さな等軸晶
によって構成されているため、ランダムな方位に沿って
破断しやすく、等軸的な粉末粒子11が生成されやす
い。これに対し、従来の急冷合金の場合は、図9(b)
に示されるように、合金薄帯12の表面に対してほぼ垂
直な方向に破断しやすいため、粒子13の形状は扁平な
ものとなる。
の場合は、粉砕前の合金10が結晶粒径の小さな等軸晶
によって構成されているため、ランダムな方位に沿って
破断しやすく、等軸的な粉末粒子11が生成されやす
い。これに対し、従来の急冷合金の場合は、図9(b)
に示されるように、合金薄帯12の表面に対してほぼ垂
直な方向に破断しやすいため、粒子13の形状は扁平な
ものとなる。
【0156】このように、Ti含有ナノコンポジットの
急冷合金はランダムな方位に沿って破断しやすいので、
ロール表面周速度を制御し、合金薄帯の厚さを調整する
ことによって、アスペクト比が0.3以上、好ましくは
0.4以上1.0以下の粉末を容易に得ることができ
る。
急冷合金はランダムな方位に沿って破断しやすいので、
ロール表面周速度を制御し、合金薄帯の厚さを調整する
ことによって、アスペクト比が0.3以上、好ましくは
0.4以上1.0以下の粉末を容易に得ることができ
る。
【0157】[熱処理]本実施形態では、熱処理をアル
ゴン雰囲気中で実行する。好ましくは、昇温速度を0.
08℃/秒〜20℃/秒として、500℃以上900℃
以下の温度で30秒以上20分以下の時間保持した後、
室温まで冷却する。この熱処理によって、アモルファス
相中に準安定相の微細結晶が析出・成長し、ナノコンポ
ジット組織構造が形成される。本実施形態によれば、熱
処理の開始時点で既に微細なNd 2Fe14B型結晶相が
全体の60体積%以上存在しているため、α−Fe相や
他の結晶相の粗大化が抑制され、Nd2Fe14B型結晶
相以外の各構成相(軟磁性相)が均一に微細化される。
ゴン雰囲気中で実行する。好ましくは、昇温速度を0.
08℃/秒〜20℃/秒として、500℃以上900℃
以下の温度で30秒以上20分以下の時間保持した後、
室温まで冷却する。この熱処理によって、アモルファス
相中に準安定相の微細結晶が析出・成長し、ナノコンポ
ジット組織構造が形成される。本実施形態によれば、熱
処理の開始時点で既に微細なNd 2Fe14B型結晶相が
全体の60体積%以上存在しているため、α−Fe相や
他の結晶相の粗大化が抑制され、Nd2Fe14B型結晶
相以外の各構成相(軟磁性相)が均一に微細化される。
【0158】なお、熱処理温度が500℃を下回ると、
熱処理後もアモルファス相が多く残存し、急冷条件によ
っては、保磁力が充分なレベルに達しない場合がある。
また、熱処理温度が900℃を超えると、各構成相の粒
成長が著しく、残留磁束密度Brが低下し、減磁曲線の
角形性が劣化する。このため、熱処理温度は500℃以
上900℃以下が好ましいが、より好ましい熱処理温度
の範囲は550℃以上850℃以下である。
熱処理後もアモルファス相が多く残存し、急冷条件によ
っては、保磁力が充分なレベルに達しない場合がある。
また、熱処理温度が900℃を超えると、各構成相の粒
成長が著しく、残留磁束密度Brが低下し、減磁曲線の
角形性が劣化する。このため、熱処理温度は500℃以
上900℃以下が好ましいが、より好ましい熱処理温度
の範囲は550℃以上850℃以下である。
【0159】本実施形態では、雰囲気ガスによる二次冷
却効果のため、急冷合金中に充分な量のNd2Fe14B
型化合物相が均一かつ微細に析出している。このため、
急冷合金に対して敢えて結晶化熱処理を行なわない場合
でも、急冷凝固合金自体が充分な磁気特性を発揮し得
る。そのため、結晶化熱処理は必須の工程ではないが、
これを行なうことが磁気特性向上のためには好ましい。
なお、従来に比較して低い温度の熱処理でも充分に磁気
特性を向上させることが可能である。
却効果のため、急冷合金中に充分な量のNd2Fe14B
型化合物相が均一かつ微細に析出している。このため、
急冷合金に対して敢えて結晶化熱処理を行なわない場合
でも、急冷凝固合金自体が充分な磁気特性を発揮し得
る。そのため、結晶化熱処理は必須の工程ではないが、
これを行なうことが磁気特性向上のためには好ましい。
なお、従来に比較して低い温度の熱処理でも充分に磁気
特性を向上させることが可能である。
【0160】熱処理雰囲気は、合金の酸化を防止するた
め、不活性ガス雰囲気が好ましい。0.1kPa以下の
真空中で熱処理を行っても良い。
め、不活性ガス雰囲気が好ましい。0.1kPa以下の
真空中で熱処理を行っても良い。
【0161】熱処理前の急冷合金中には、R2Fe14B
型化合物相およびアモルファス相以外に、Fe3B相、
Fe23B6、およびR2Fe23B3相等の準安定相が含ま
れていても良い。その場合、本発明におけるTi添加の
効果により、熱処理で、R2Fe23B3相は消失し、R2
Fe14B相の飽和磁化と同等、または、それよりも高い
飽和磁化を示す鉄基硼化物(例えばFe23B6)やα−
Feを結晶成長させることができる。
型化合物相およびアモルファス相以外に、Fe3B相、
Fe23B6、およびR2Fe23B3相等の準安定相が含ま
れていても良い。その場合、本発明におけるTi添加の
効果により、熱処理で、R2Fe23B3相は消失し、R2
Fe14B相の飽和磁化と同等、または、それよりも高い
飽和磁化を示す鉄基硼化物(例えばFe23B6)やα−
Feを結晶成長させることができる。
【0162】本発明の場合、最終的にα−Feのような
軟磁性相が存在していても、Tiの効果によってその粒
成長が抑制されて、組織が微細化されている。その結
果、軟磁性相と硬磁性相とが交換相互作用によって磁気
的に結合するため、優れた磁気特性が発揮される。
軟磁性相が存在していても、Tiの効果によってその粒
成長が抑制されて、組織が微細化されている。その結
果、軟磁性相と硬磁性相とが交換相互作用によって磁気
的に結合するため、優れた磁気特性が発揮される。
【0163】熱処理後におけるR2Fe14B型化合物相
の平均結晶粒径は、単磁区結晶粒径である300nm以
下となる必要があり、10nm以上200nm以下、更
には20nm以上150nm以下であることが好まし
く、20nm以上100nm以下であることが更に好ま
しい。これに対し、硼化物相やα−Fe相の平均結晶粒
径が100nmを超えると、各構成相間に働く交換相互
作用が弱まり、減磁曲線の角形性が劣化するため、(B
H)maxが低下してしまう。これらの平均結晶粒径が1
nmを下回ると、高い保磁力が得られなくなる。以上の
ことから、硼化物相やα−Fe相などの軟磁性相の平均
結晶粒径は1nm以上100nm以下、好ましくは50
nm以下であることが好ましく、30nm以下であるこ
とが更に好ましい。
の平均結晶粒径は、単磁区結晶粒径である300nm以
下となる必要があり、10nm以上200nm以下、更
には20nm以上150nm以下であることが好まし
く、20nm以上100nm以下であることが更に好ま
しい。これに対し、硼化物相やα−Fe相の平均結晶粒
径が100nmを超えると、各構成相間に働く交換相互
作用が弱まり、減磁曲線の角形性が劣化するため、(B
H)maxが低下してしまう。これらの平均結晶粒径が1
nmを下回ると、高い保磁力が得られなくなる。以上の
ことから、硼化物相やα−Fe相などの軟磁性相の平均
結晶粒径は1nm以上100nm以下、好ましくは50
nm以下であることが好ましく、30nm以下であるこ
とが更に好ましい。
【0164】なお、熱処理前に急冷合金の薄帯を粗く切
断または粗粉砕しておいてもよい。熱処理後、得られた
合金粗粉末(または薄帯)を粉砕し、磁粉を作製するこ
とによって、ボンド磁石用磁粉を製造することができ
る。
断または粗粉砕しておいてもよい。熱処理後、得られた
合金粗粉末(または薄帯)を粉砕し、磁粉を作製するこ
とによって、ボンド磁石用磁粉を製造することができ
る。
【0165】[粉砕工程の説明]ボンド磁石用Ti含有
ナノコンポジット磁粉には、最大粒径が300μm以下
のものが用いられる。特に小型磁石における脱粒などを
抑制するために、Ti含有ナノコンポジット磁粉の最大
粒径は250μm以下であることが好ましく、215μ
m以下であることがさらに好ましい。圧縮成形に用いる
場合、平均粒径は50μmから200μmの範囲にある
ことが好ましく、53μm超125μm以下の範囲内に
あることがさらに好ましい。
ナノコンポジット磁粉には、最大粒径が300μm以下
のものが用いられる。特に小型磁石における脱粒などを
抑制するために、Ti含有ナノコンポジット磁粉の最大
粒径は250μm以下であることが好ましく、215μ
m以下であることがさらに好ましい。圧縮成形に用いる
場合、平均粒径は50μmから200μmの範囲にある
ことが好ましく、53μm超125μm以下の範囲内に
あることがさらに好ましい。
【0166】また、上述したように、本発明のTi含有
ナノコンポジット磁粉のうち少なくとも粒径が106μ
mを超える粒子のアスペクト比は、0.3以上1.0以
下であり、好ましくは0.4以上である。
ナノコンポジット磁粉のうち少なくとも粒径が106μ
mを超える粒子のアスペクト比は、0.3以上1.0以
下であり、好ましくは0.4以上である。
【0167】上述したように、本発明の製造方法によれ
ば、Ti含有ナノコンポジット磁粉のアスペクト比およ
び平均粒径を上記の所望の範囲内におさめることができ
るとともに、粉砕工程で2ピークの粒度分布を持った磁
石粉末を作製することができる。
ば、Ti含有ナノコンポジット磁粉のアスペクト比およ
び平均粒径を上記の所望の範囲内におさめることができ
るとともに、粉砕工程で2ピークの粒度分布を持った磁
石粉末を作製することができる。
【0168】[組成の限定理由]Qは、その全量がB
(硼素)から構成されるか、または、BおよびC(炭
素)の組み合わせから構成される。Qの総量に対するC
の割合は0.25以下であることが好ましい。
(硼素)から構成されるか、または、BおよびC(炭
素)の組み合わせから構成される。Qの総量に対するC
の割合は0.25以下であることが好ましい。
【0169】Qの組成比率xが10原子%以下になる
と、急冷時の冷却速度が102℃/秒〜104℃/秒程度
と比較的低い場合、R2Fe14B型結晶相とアモルファ
ス相とが混在する急冷合金を作製することが困難にな
り、その後に熱処理を施しても400kA/m未満のH
cJしか得られない。また、液体急冷法の中でも工程費用
が比較的安いストリップキャスト法を採用できなくな
り、永久磁石の価格が上昇してしまうことになる。一
方、Qの組成比率xが17原子%を超えると、鉄基硼化
物の析出がR2Fe14B相の析出と同時期に開始するた
め、鉄基硼化物が粗大化してしまう。その結果、鉄基硼
化物相がR2Fe14Bの粒界または亜粒界に均一に分散
またはフィルム状に広がったナノコンポジット組織が得
られず、磁気特性が劣化する。
と、急冷時の冷却速度が102℃/秒〜104℃/秒程度
と比較的低い場合、R2Fe14B型結晶相とアモルファ
ス相とが混在する急冷合金を作製することが困難にな
り、その後に熱処理を施しても400kA/m未満のH
cJしか得られない。また、液体急冷法の中でも工程費用
が比較的安いストリップキャスト法を採用できなくな
り、永久磁石の価格が上昇してしまうことになる。一
方、Qの組成比率xが17原子%を超えると、鉄基硼化
物の析出がR2Fe14B相の析出と同時期に開始するた
め、鉄基硼化物が粗大化してしまう。その結果、鉄基硼
化物相がR2Fe14Bの粒界または亜粒界に均一に分散
またはフィルム状に広がったナノコンポジット組織が得
られず、磁気特性が劣化する。
【0170】以上のことから、Qの組成比率xは10原
子%を超え、17原子%以下となるように設定すること
が好ましい。より好ましい組成比率xの上限は、16原
子%であり、更に好ましい組成比率xの上限は15原子
%である。
子%を超え、17原子%以下となるように設定すること
が好ましい。より好ましい組成比率xの上限は、16原
子%であり、更に好ましい組成比率xの上限は15原子
%である。
【0171】なお、Q全体に対するCの比率pは、原子
比で、0以上0.25以下の範囲にあることが好まし
い。TiB2相の析出抑制や金属組織の微細化といった
C添加の効果を得るには、Cの比率pが0.01以上で
あることが好ましい。pが0.01よりも少なすぎる
と、C添加の効果がほとんど得られない。一方、pが
0.25よりも大きくなりすぎると、α−Fe相の生成
量が増大して、磁気特性が劣化するという問題が生じ
る。比率pの下限は、0.02であることが好ましく、
pの上限は0.20以下であることが好ましい。比率p
は0.08以上0.15以下であることが更に好まし
い。
比で、0以上0.25以下の範囲にあることが好まし
い。TiB2相の析出抑制や金属組織の微細化といった
C添加の効果を得るには、Cの比率pが0.01以上で
あることが好ましい。pが0.01よりも少なすぎる
と、C添加の効果がほとんど得られない。一方、pが
0.25よりも大きくなりすぎると、α−Fe相の生成
量が増大して、磁気特性が劣化するという問題が生じ
る。比率pの下限は、0.02であることが好ましく、
pの上限は0.20以下であることが好ましい。比率p
は0.08以上0.15以下であることが更に好まし
い。
【0172】Rは、希土類元素(イットリウムを含む)
の群から選択された1種以上の元素である。Laまたは
Ceが存在すると、R2Fe14B相のR(典型的にはN
d)がLaやCeで置換され、保磁力および角形性が劣
化するため、LaおよびCeを実質的に含まないことが
好ましい。ただし、微量のLaやCe(0.5原子%以
下)が不可避的に混入する不純物として存在する場合は
磁気特性上問題なく、実質的に含まないと言える。より
具体的には、Rは、PrまたはNdを必須元素として含
むことが好ましく、その必須元素の一部をDyおよび/
またはTbで置換してもよい。Rの組成比率yが全体の
6原子%未満になると、保磁力の発現に必要なR2Fe
14B型結晶構造を有する化合物相が充分に析出せず48
0kA/m以上の保磁力HcJを得ることができなくな
る。また、Rの組成比率yが10原子%以上になると、
強磁性を有する鉄基硼化物やα−Feの存在量が低下
し、代わりにBリッチの非磁性相の存在量が増加するた
め、ナノコンポジット構造が形成されず、磁化が低下す
る。故に、希土類元素Rの組成比率yは6原子%以上1
0原子%未満の範囲、例えば、7原子%以上9.5原子
%以下に調節することが好ましい。より好ましいRの範
囲の上限は9.3原子%、更に好ましいRの範囲の上限
は9.0原子%である。好ましいRの範囲の下限は7.
5原子%であり、更に好ましいRの範囲の下限は、8.
0原子%である。本発明では、このようにRの濃度が低
いが、Tiの働きにより、R2Fe14B相が他の相より
も優先的に析出・成長するため、合金溶湯中のRがR2
Fe14B相の生成に有効に利用され、粒界部分ではRが
低濃度化される。その結果、粒界相におけるR濃度が
0.5原子%以下となり、硬磁性相中におけるR濃度
(11原子%程度)に比較して格段に低くなる。Rがこ
のようにして有効に硬磁性相(R2Fe14B相)の形成
に用いられるため、本発明では、Rの組成比率が10原
子%よりも少なく、硬磁性相(R2Fe14B相)の体積
比率が65原子%以上85原子%以下となるにもかかわ
らず、粒界に存在する軟磁性相との交換結合によって優
れた硬磁気特性が発現する。なお、本明細書におけるR
2Fe14B相などの構成相の体積比率は、メスバウアー
スペクトル分光法で測定した値である。
の群から選択された1種以上の元素である。Laまたは
Ceが存在すると、R2Fe14B相のR(典型的にはN
d)がLaやCeで置換され、保磁力および角形性が劣
化するため、LaおよびCeを実質的に含まないことが
好ましい。ただし、微量のLaやCe(0.5原子%以
下)が不可避的に混入する不純物として存在する場合は
磁気特性上問題なく、実質的に含まないと言える。より
具体的には、Rは、PrまたはNdを必須元素として含
むことが好ましく、その必須元素の一部をDyおよび/
またはTbで置換してもよい。Rの組成比率yが全体の
6原子%未満になると、保磁力の発現に必要なR2Fe
14B型結晶構造を有する化合物相が充分に析出せず48
0kA/m以上の保磁力HcJを得ることができなくな
る。また、Rの組成比率yが10原子%以上になると、
強磁性を有する鉄基硼化物やα−Feの存在量が低下
し、代わりにBリッチの非磁性相の存在量が増加するた
め、ナノコンポジット構造が形成されず、磁化が低下す
る。故に、希土類元素Rの組成比率yは6原子%以上1
0原子%未満の範囲、例えば、7原子%以上9.5原子
%以下に調節することが好ましい。より好ましいRの範
囲の上限は9.3原子%、更に好ましいRの範囲の上限
は9.0原子%である。好ましいRの範囲の下限は7.
5原子%であり、更に好ましいRの範囲の下限は、8.
0原子%である。本発明では、このようにRの濃度が低
いが、Tiの働きにより、R2Fe14B相が他の相より
も優先的に析出・成長するため、合金溶湯中のRがR2
Fe14B相の生成に有効に利用され、粒界部分ではRが
低濃度化される。その結果、粒界相におけるR濃度が
0.5原子%以下となり、硬磁性相中におけるR濃度
(11原子%程度)に比較して格段に低くなる。Rがこ
のようにして有効に硬磁性相(R2Fe14B相)の形成
に用いられるため、本発明では、Rの組成比率が10原
子%よりも少なく、硬磁性相(R2Fe14B相)の体積
比率が65原子%以上85原子%以下となるにもかかわ
らず、粒界に存在する軟磁性相との交換結合によって優
れた硬磁気特性が発現する。なお、本明細書におけるR
2Fe14B相などの構成相の体積比率は、メスバウアー
スペクトル分光法で測定した値である。
【0173】Tiは、前述した効果を得るためには必須
の元素であり、保磁力HcJおよび残留磁束密度Brの向
上および減磁曲線の角形性の改善に寄与し、最大エネル
ギ積(BH)maxを向上させる。
の元素であり、保磁力HcJおよび残留磁束密度Brの向
上および減磁曲線の角形性の改善に寄与し、最大エネル
ギ積(BH)maxを向上させる。
【0174】Tiの組成比率zが全体の0.5原子%未
満になると、Ti添加の効果が充分に発現しない。一
方、Tiの組成比率zが全体の6原子%を超えると、結
晶化熱処理後も残存する非磁性相の体積比率が増すた
め、残留磁束密度Brの低下を招来しやすい。以上のこ
とから、Tiの組成比率zは0.5原子%以上6原子%
以下の範囲とすることが好ましい。より好ましいzの範
囲の下限は1.0原子%であり、より好ましいzの範囲
の上限は5原子%である。更に好ましいzの範囲の上限
は4原子%である。
満になると、Ti添加の効果が充分に発現しない。一
方、Tiの組成比率zが全体の6原子%を超えると、結
晶化熱処理後も残存する非磁性相の体積比率が増すた
め、残留磁束密度Brの低下を招来しやすい。以上のこ
とから、Tiの組成比率zは0.5原子%以上6原子%
以下の範囲とすることが好ましい。より好ましいzの範
囲の下限は1.0原子%であり、より好ましいzの範囲
の上限は5原子%である。更に好ましいzの範囲の上限
は4原子%である。
【0175】また、Qの組成比率xが高いほど、Q(例
えば硼素)を過剰に含むアモルファス相が形成されやす
いので、Tiの組成比率zを高くすることが好ましい。
TiはBに対する親和性が強く、硬磁性相の粒界にフィ
ルム状に濃縮される。Bに対するTiの比率が高すぎる
と、非磁性であるTiB2が多く析出することに加え
て、鉄基硼化物の体積比率が減少するため、磁化を低下
させる可能性がある。また、Bに対するTiの比率が低
すぎると、被磁性のBリッチアモルファス相が多く生成
されてしまう。実験によれば、0.05≦z/x≦0.
4を満足させるように組成比率を調節することが好まし
く、0.1≦z/x≦0.35を満足させることがより
好ましい。更に好ましくは0.13≦z/x≦0.3で
ある。
えば硼素)を過剰に含むアモルファス相が形成されやす
いので、Tiの組成比率zを高くすることが好ましい。
TiはBに対する親和性が強く、硬磁性相の粒界にフィ
ルム状に濃縮される。Bに対するTiの比率が高すぎる
と、非磁性であるTiB2が多く析出することに加え
て、鉄基硼化物の体積比率が減少するため、磁化を低下
させる可能性がある。また、Bに対するTiの比率が低
すぎると、被磁性のBリッチアモルファス相が多く生成
されてしまう。実験によれば、0.05≦z/x≦0.
4を満足させるように組成比率を調節することが好まし
く、0.1≦z/x≦0.35を満足させることがより
好ましい。更に好ましくは0.13≦z/x≦0.3で
ある。
【0176】Feは、上述の元素の含有残余を占める
が、Feの一部をCoおよびNiの一種または二種の遷
移金属元素(T)で置換しても所望の硬磁気特性を得る
ことができる。Feに対するTの置換量が50%を超え
ると、0.7T以上の高い残留磁束密度Brが得られな
い。このため、置換量は0%以上50%以下の範囲に限
定することが好ましい。なお、Feの一部をCoで置換
することによって、減磁曲線の角形性が向上するととも
に、R2Fe14B相のキュリー温度が上昇するため、耐
熱性が向上する。CoによるFe置換量の好ましい範囲
は0.5%以上40%以下である。
が、Feの一部をCoおよびNiの一種または二種の遷
移金属元素(T)で置換しても所望の硬磁気特性を得る
ことができる。Feに対するTの置換量が50%を超え
ると、0.7T以上の高い残留磁束密度Brが得られな
い。このため、置換量は0%以上50%以下の範囲に限
定することが好ましい。なお、Feの一部をCoで置換
することによって、減磁曲線の角形性が向上するととも
に、R2Fe14B相のキュリー温度が上昇するため、耐
熱性が向上する。CoによるFe置換量の好ましい範囲
は0.5%以上40%以下である。
【0177】種々の効果を得る為、0〜10原子%程度
の範囲で金属元素Mを添加しても良い。Mは、Al、S
i、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、
Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、AuおよびAgか
らなる群から選択された1種以上の元素である。
の範囲で金属元素Mを添加しても良い。Mは、Al、S
i、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、
Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、AuおよびAgか
らなる群から選択された1種以上の元素である。
【0178】〔コンパウンドおよび磁石体の製造方法の
説明〕上述のようにして得られたTi含有ナノコンポジ
ット磁粉は、樹脂等の結合剤と混合され、ボンド磁石用
コンパウンドが製造される。
説明〕上述のようにして得られたTi含有ナノコンポジ
ット磁粉は、樹脂等の結合剤と混合され、ボンド磁石用
コンパウンドが製造される。
【0179】圧縮成形用のコンパウンドは、例えば、溶
剤で希釈した熱硬化性樹脂と磁粉とを混合し、溶剤を除
去することによって製造される。得られた磁粉と樹脂と
の混合物は、必要に応じて、所定の粒度となるように解
砕される。解砕の条件などを調整することによって、顆
粒状としてもよい。また、粉砕に得られた粉末材料を造
粒してもよい。
剤で希釈した熱硬化性樹脂と磁粉とを混合し、溶剤を除
去することによって製造される。得られた磁粉と樹脂と
の混合物は、必要に応じて、所定の粒度となるように解
砕される。解砕の条件などを調整することによって、顆
粒状としてもよい。また、粉砕に得られた粉末材料を造
粒してもよい。
【0180】Ti含有ナノコンポジット磁粉の耐食性を
向上するために、磁粉の表面に予め化成処理等の公知の
表面処理を施しても良い。さらに、磁粉の耐食性や樹脂
との濡れ性、コンパウンドの成形性をさらに改善するた
めに、シラン系、チタネート系、アルミネート系、ジル
コネート系などの各種カップリング剤、コロイダルシリ
カなどセラミックス超微粒子、ステアリン酸亜鉛やステ
アリン酸カルシウムなどの潤滑剤を使用してもよく、熱
安定剤、難燃剤、可塑剤などを使用してもよい。
向上するために、磁粉の表面に予め化成処理等の公知の
表面処理を施しても良い。さらに、磁粉の耐食性や樹脂
との濡れ性、コンパウンドの成形性をさらに改善するた
めに、シラン系、チタネート系、アルミネート系、ジル
コネート系などの各種カップリング剤、コロイダルシリ
カなどセラミックス超微粒子、ステアリン酸亜鉛やステ
アリン酸カルシウムなどの潤滑剤を使用してもよく、熱
安定剤、難燃剤、可塑剤などを使用してもよい。
【0181】磁石用コンパウンドは用途に応じて、樹脂
の種類および磁粉の配合比率が適宜決められる。樹脂と
しては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂やメラミ
ン樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリアミド(ナイロン6
6、ナイロン6、ナイロン12等)や、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリ
フェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂や、ゴムや
エラストマ、さらには、これらの変性体、共重合体、混
合物などを用いることができる。
の種類および磁粉の配合比率が適宜決められる。樹脂と
しては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂やメラミ
ン樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリアミド(ナイロン6
6、ナイロン6、ナイロン12等)や、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリ
フェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂や、ゴムや
エラストマ、さらには、これらの変性体、共重合体、混
合物などを用いることができる。
【0182】本発明によるTi含有ナノコンポジット磁
粉を用いることによって、従来よりも更に高い(例えば
80%を超える)磁粉充填率を実現することができ、最
大で90%程度まで充填することができる。但し、充填
率を上げすぎると磁粉同士を十分に結合するための樹脂
が不足し、ボンド磁石の機械的な強度の低下や、使用時
の磁粉の脱落が生じる恐れがあるので、磁粉充填率は、
85%以下が好ましい。また、圧縮成形においては本発
明によるTi含有ナノコンポジット磁粉を用いることに
よって、成形体の表面に形成される空隙(ボイド)の量
を減少でき、表面に形成する樹脂被膜への悪影響を抑制
できるという利点が得られる。これらの成形方法には、
適宜、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ゴム等が用いられ
る。
粉を用いることによって、従来よりも更に高い(例えば
80%を超える)磁粉充填率を実現することができ、最
大で90%程度まで充填することができる。但し、充填
率を上げすぎると磁粉同士を十分に結合するための樹脂
が不足し、ボンド磁石の機械的な強度の低下や、使用時
の磁粉の脱落が生じる恐れがあるので、磁粉充填率は、
85%以下が好ましい。また、圧縮成形においては本発
明によるTi含有ナノコンポジット磁粉を用いることに
よって、成形体の表面に形成される空隙(ボイド)の量
を減少でき、表面に形成する樹脂被膜への悪影響を抑制
できるという利点が得られる。これらの成形方法には、
適宜、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ゴム等が用いられ
る。
【0183】〔ボンド磁石の表面処理〕成形上がりのボ
ンド磁石に表面処理を施すことによって、ボンド磁石の
耐食性および耐熱性を改善できる。本発明によるコンパ
ウンドは従来のコンパウンドよりも成形性が優れている
ので、従来と同等もしくはそれ以上の充填率を確保しつ
つ、空隙率(ボイド率)の低いのボンド磁石が得られ
る。従って、多くの空隙が存在する成形上がりのボンド
磁石に表面処理を施すことによって付随して起こる腐食
の問題の発生を抑制・防止することができる。また、ボ
ンド磁石の耐食性が高いので、表面処理を簡略化するこ
とによって低コスト化が図れる。
ンド磁石に表面処理を施すことによって、ボンド磁石の
耐食性および耐熱性を改善できる。本発明によるコンパ
ウンドは従来のコンパウンドよりも成形性が優れている
ので、従来と同等もしくはそれ以上の充填率を確保しつ
つ、空隙率(ボイド率)の低いのボンド磁石が得られ
る。従って、多くの空隙が存在する成形上がりのボンド
磁石に表面処理を施すことによって付随して起こる腐食
の問題の発生を抑制・防止することができる。また、ボ
ンド磁石の耐食性が高いので、表面処理を簡略化するこ
とによって低コスト化が図れる。
【0184】また、成形上がりのボンド磁石が十分な耐
食性を有している場合においても、例えば、モータなど
に使用される圧縮成形されたリング磁石など、組み立て
工程におけるボンド磁石の機械的な破壊を防止したり、
ボンド磁石の表面から脱落した磁粉が飛散することによ
るモータの動作への悪影響を防止することが必要な場合
がある。このような場合には、ボンド磁石の機械強度の
向上や磁粉の脱落防止のために種々の表面処理を施すこ
とが好ましい。
食性を有している場合においても、例えば、モータなど
に使用される圧縮成形されたリング磁石など、組み立て
工程におけるボンド磁石の機械的な破壊を防止したり、
ボンド磁石の表面から脱落した磁粉が飛散することによ
るモータの動作への悪影響を防止することが必要な場合
がある。このような場合には、ボンド磁石の機械強度の
向上や磁粉の脱落防止のために種々の表面処理を施すこ
とが好ましい。
【0185】このような場合においても、保護膜を薄く
できるので、保護膜を含むボンド磁石全体の寸法精度を
向上したり、磁石の有効体積を増加することよって、部
品を小型化することができるという利点も得られる。ま
た、モータに組み込んだ場合には、ロータとステータ間
の磁気的なギャップを小さくできるのでモータ特性を向
上することが可能になる。
できるので、保護膜を含むボンド磁石全体の寸法精度を
向上したり、磁石の有効体積を増加することよって、部
品を小型化することができるという利点も得られる。ま
た、モータに組み込んだ場合には、ロータとステータ間
の磁気的なギャップを小さくできるのでモータ特性を向
上することが可能になる。
【0186】表面処理方法としては、公知の方法を広く
用いることができる。表面処理によって形成される保護
膜は、無機材料(金属、セラミック、無機高分子など)
でも有機材料(低分子、高分子など)や無機・有機複合
材料を用いることもできる。これらの保護膜は、用いる
材料に応じて、種々の方法で形成することがきでる。
用いることができる。表面処理によって形成される保護
膜は、無機材料(金属、セラミック、無機高分子など)
でも有機材料(低分子、高分子など)や無機・有機複合
材料を用いることもできる。これらの保護膜は、用いる
材料に応じて、種々の方法で形成することがきでる。
【0187】例えば、金属膜は、めっき法(電解めっき
および無電解めっき法など)や種々の薄膜堆積技術(真
空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法、イオ
ンビーム法など)さらに、SnやZnなどの低融点の溶
融金属に浸漬し冷却する方法などを採用することができ
る。
および無電解めっき法など)や種々の薄膜堆積技術(真
空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法、イオ
ンビーム法など)さらに、SnやZnなどの低融点の溶
融金属に浸漬し冷却する方法などを採用することができ
る。
【0188】セラミックス材料の膜は、金属膜と同様に
薄膜堆積技術を用いて形成しても良いし、ゾルゲル法を
利用する場合の処理液やアルカリ珪酸塩水溶液などを使
用し、ディッピング法やスプレー法などを用いて形成し
ても良い。また、電気泳動電着法などを採用しても良
い。
薄膜堆積技術を用いて形成しても良いし、ゾルゲル法を
利用する場合の処理液やアルカリ珪酸塩水溶液などを使
用し、ディッピング法やスプレー法などを用いて形成し
ても良い。また、電気泳動電着法などを採用しても良
い。
【0189】樹脂膜は、有機高分子材料を用いて、電着
塗装、スプレー塗装、静電塗装、ディップ塗装、ロール
コート法などの種々の方法を用いて形成できる。また、
同様の方法で、無機高分子材料(例えばシリコーン樹
脂)の膜を形成することもできる。
塗装、スプレー塗装、静電塗装、ディップ塗装、ロール
コート法などの種々の方法を用いて形成できる。また、
同様の方法で、無機高分子材料(例えばシリコーン樹
脂)の膜を形成することもできる。
【0190】また、カップリング剤(シラン系、チタネ
ート系、アルミネート系、ジルコネート系など)やベン
ゾトリアゾールなどの低分子量有機材料を用いて保護膜
を形成することもできる。これらの低分子有機材料は、
溶液としてボンド磁石に種々の方法で付与することがで
きる。
ート系、アルミネート系、ジルコネート系など)やベン
ゾトリアゾールなどの低分子量有機材料を用いて保護膜
を形成することもできる。これらの低分子有機材料は、
溶液としてボンド磁石に種々の方法で付与することがで
きる。
【0191】また、種々の方法で微粒子を被着(堆積)
することによって保護膜を形成することもできる。微粒
子としては、Al、Zn、Ni、Cu、Fe,Co,S
n,Pb,Au,Agなどの金属微粒子、SiO2、A
l2O3、ZrO2、MgO、TiO2、ムライト、チタン
酸塩、けい酸塩などの金属酸化物および複合金属酸化物
(ガラスを含む)、TiN、AlN,BN、TiC、T
iCN、TiB2などのセラミック微粒子、ポリテトラ
フルオロエチレン、アクリル樹脂などの樹脂微粒子、カ
ーボンブラックやMoS2などが挙げられる。
することによって保護膜を形成することもできる。微粒
子としては、Al、Zn、Ni、Cu、Fe,Co,S
n,Pb,Au,Agなどの金属微粒子、SiO2、A
l2O3、ZrO2、MgO、TiO2、ムライト、チタン
酸塩、けい酸塩などの金属酸化物および複合金属酸化物
(ガラスを含む)、TiN、AlN,BN、TiC、T
iCN、TiB2などのセラミック微粒子、ポリテトラ
フルオロエチレン、アクリル樹脂などの樹脂微粒子、カ
ーボンブラックやMoS2などが挙げられる。
【0192】なお、これらの微粒子をボンド磁石の表面
に固定するために、必要に応じてバインダを用いてもよ
い。バインダの材料としては、クロム酸やモリブデン
酸、リン酸およびこれらの塩などの無機材料、カップリ
ング剤などの低分子量有機化合物、有機樹脂などの高分
子化合物などを用いることができる。
に固定するために、必要に応じてバインダを用いてもよ
い。バインダの材料としては、クロム酸やモリブデン
酸、リン酸およびこれらの塩などの無機材料、カップリ
ング剤などの低分子量有機化合物、有機樹脂などの高分
子化合物などを用いることができる。
【0193】ボンド磁石の表面に微粒子を固定する方法
としては、予め微粒子とバインダを混合したものをスプ
レー法やディッピング法などの塗布法を用いてもよい
し、ボンド磁石の表面に予め形成したバインダ層に微粒
子を機械的な力を利用して付着させても良い。また、必
要に応じて、加熱処理を施し、微粒子をさらに強固にボ
ンド磁石表面に固着させても良い。
としては、予め微粒子とバインダを混合したものをスプ
レー法やディッピング法などの塗布法を用いてもよい
し、ボンド磁石の表面に予め形成したバインダ層に微粒
子を機械的な力を利用して付着させても良い。また、必
要に応じて、加熱処理を施し、微粒子をさらに強固にボ
ンド磁石表面に固着させても良い。
【0194】保護膜は成形上がりのボンド磁石に新たな
膜として形成するだけでなく、ボンド磁石の表面を改質
することによって形成してもよい。ボンド磁石表面にお
ける磁粉との反応を利用してもよい。例えば、リン酸処
理、リン酸亜鉛処理、リン酸マンガン処理、リン酸カル
シウム処理、リン酸クロメート処理、クロム酸処理、ジ
ルコニウム酸処理、タングステン酸処理、モリブデン酸
処理などの種々の化成処理を挙げることができる。
膜として形成するだけでなく、ボンド磁石の表面を改質
することによって形成してもよい。ボンド磁石表面にお
ける磁粉との反応を利用してもよい。例えば、リン酸処
理、リン酸亜鉛処理、リン酸マンガン処理、リン酸カル
シウム処理、リン酸クロメート処理、クロム酸処理、ジ
ルコニウム酸処理、タングステン酸処理、モリブデン酸
処理などの種々の化成処理を挙げることができる。
【0195】ここで本発明によるTi含有ナノコンポジ
ット磁粉中の希土類元素(典型的にはNd)の含有率が
低いので、鉄鋼の分野で一般に用いられている化成処理
を用いても、十分な耐食性を得ることができる。
ット磁粉中の希土類元素(典型的にはNd)の含有率が
低いので、鉄鋼の分野で一般に用いられている化成処理
を用いても、十分な耐食性を得ることができる。
【0196】さらには、ボンド磁石の表面を種々の方法
で酸化することによって適当な厚さの酸化膜を形成して
もよい。
で酸化することによって適当な厚さの酸化膜を形成して
もよい。
【0197】また、上述したように、本発明のボンド磁
石は本質的に空隙を少なくできるため、耐食性に優れ、
且つ、各種表面処理に適しているが、過酷な環境で使用
される場合などには、磁石の信頼性をさらに向上するた
めに、種々の封孔処理を行っても良い。
石は本質的に空隙を少なくできるため、耐食性に優れ、
且つ、各種表面処理に適しているが、過酷な環境で使用
される場合などには、磁石の信頼性をさらに向上するた
めに、種々の封孔処理を行っても良い。
【0198】また、上述した表面処理は適宜組み合わせ
てもよく、例えば、異なる材料を用いて積層膜を形成し
てもよい。
てもよく、例えば、異なる材料を用いて積層膜を形成し
てもよい。
【0199】なお、保護膜の厚さは、採用する表面処理
方法およびボンド磁石の用途に応じて適宜設定される
が、上述のモータにおける磁気的なギャップを減少させ
ることによるエネルギー効率の向上効果を得るために
は、保護膜の厚さは25μm以下であることが好まし
く、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10
μm以下である。
方法およびボンド磁石の用途に応じて適宜設定される
が、上述のモータにおける磁気的なギャップを減少させ
ることによるエネルギー効率の向上効果を得るために
は、保護膜の厚さは25μm以下であることが好まし
く、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10
μm以下である。
【0200】
【実施例】まず、Nd8.5Fe75B11Co2C1Ti
2.5(原子比率)の合金組成を有するように、純度9
9.5%以上のNd、Fe、B、Co、C、およびTi
の原料を用いて総量が20キログラム(kg)となるよ
うに秤量し、溶解坩堝に投入した後、高周波溶解によっ
て溶解した。その後、溶解坩堝を傾転し、モリブデンヒ
ータで1250℃に保温されたタンディッシュ坩堝内に
溶湯を注いだ。タンディッシュ坩堝は、底部に直径2.
0mmのオリフィスを有するノズルを備えているため、
合金の溶湯は、オリフィスノズルから下方に排出され
る。
2.5(原子比率)の合金組成を有するように、純度9
9.5%以上のNd、Fe、B、Co、C、およびTi
の原料を用いて総量が20キログラム(kg)となるよ
うに秤量し、溶解坩堝に投入した後、高周波溶解によっ
て溶解した。その後、溶解坩堝を傾転し、モリブデンヒ
ータで1250℃に保温されたタンディッシュ坩堝内に
溶湯を注いだ。タンディッシュ坩堝は、底部に直径2.
0mmのオリフィスを有するノズルを備えているため、
合金の溶湯は、オリフィスノズルから下方に排出され
る。
【0201】原料の溶解は、圧力が10kPaのアルゴ
ン雰囲気下において高周波加熱法を用いて行った。本実
施例では溶湯温度を1400℃に設定した。
ン雰囲気下において高周波加熱法を用いて行った。本実
施例では溶湯温度を1400℃に設定した。
【0202】合金溶湯の湯面を6kPaのアルゴンガス
で加圧することによって、オリフィスの下方0.7mm
の位置にある銅製ロールの外周面に対して溶湯を噴出さ
せた。ロールは、その外周面の温度が室温程度に維持さ
れるように内部が冷却されながら高速で回転する。この
ため、オリフィスから噴出した合金溶湯はロール周面に
接触して熱を奪われつつ、周速度方向に飛ばされること
になる。合金溶湯はオリフィスを介して連続的にロール
周面上に噴出するため、急冷によって凝固した合金は薄
帯状に長く延びたリボンの形態を持つことになる。
で加圧することによって、オリフィスの下方0.7mm
の位置にある銅製ロールの外周面に対して溶湯を噴出さ
せた。ロールは、その外周面の温度が室温程度に維持さ
れるように内部が冷却されながら高速で回転する。この
ため、オリフィスから噴出した合金溶湯はロール周面に
接触して熱を奪われつつ、周速度方向に飛ばされること
になる。合金溶湯はオリフィスを介して連続的にロール
周面上に噴出するため、急冷によって凝固した合金は薄
帯状に長く延びたリボンの形態を持つことになる。
【0203】本実施例で採用する回転ロール法(単ロー
ル法)の場合、冷却速度はロール周速度および単位時間
当たりの溶湯流下量によって規定される。この溶湯流下
量は、オリフィス径(断面積)と溶湯圧力とに依存す
る。本実施例では、流下レートを約4kg/分程度、ロ
ール表面速度を13m/秒に設定し、平均厚さ63μm
程度(厚さの標準偏差15μm以下)の急冷合金を作製
した。
ル法)の場合、冷却速度はロール周速度および単位時間
当たりの溶湯流下量によって規定される。この溶湯流下
量は、オリフィス径(断面積)と溶湯圧力とに依存す
る。本実施例では、流下レートを約4kg/分程度、ロ
ール表面速度を13m/秒に設定し、平均厚さ63μm
程度(厚さの標準偏差15μm以下)の急冷合金を作製
した。
【0204】得られた急冷合金は、急冷装置内の回収槽
上部に設けた粉砕刃にて粗く破断(粗粉砕)した後、回
収した。本実施例では、1620rpmで回転する粉砕
刃を用いて850μm以下のサイズを持つ破片(フレー
ク)に粉砕した。
上部に設けた粉砕刃にて粗く破断(粗粉砕)した後、回
収した。本実施例では、1620rpmで回転する粉砕
刃を用いて850μm以下のサイズを持つ破片(フレー
ク)に粉砕した。
【0205】次に、加熱部がアルゴン雰囲気で満たされ
たロータリーチューブ炉を用い、740℃に保持された
加熱帯を20分間で通過させる熱処理を施した。この
後、パワーミルを用い、加熱処理後の急冷合金を表1に
示す条件で粉砕し、ナノコンポジット磁石合金粉末を得
た。
たロータリーチューブ炉を用い、740℃に保持された
加熱帯を20分間で通過させる熱処理を施した。この
後、パワーミルを用い、加熱処理後の急冷合金を表1に
示す条件で粉砕し、ナノコンポジット磁石合金粉末を得
た。
【0206】
【表1】
【0207】表1における「パンチメタルスクリーン開
孔径」は、パワーミルの粉砕部(粉砕刃)の周囲に設け
られたスクリーンにおける開口部のサイズを意味してい
る。得られたナノコンポジット磁石合金粉末の粒度分布
を表2および図10に示す。
孔径」は、パワーミルの粉砕部(粉砕刃)の周囲に設け
られたスクリーンにおける開口部のサイズを意味してい
る。得られたナノコンポジット磁石合金粉末の粒度分布
を表2および図10に示す。
【0208】
【表2】
【0209】なお、表2および図10において、例えば
「<38」および「<106」は、それぞれ、「粒径3
8μm以下」および「粒径106μm以下」を意味する
ものとする。
「<38」および「<106」は、それぞれ、「粒径3
8μm以下」および「粒径106μm以下」を意味する
ものとする。
【0210】図10から明らかなように、試料No.1
〜3は、粒径が106μm超300μm以下の範囲に第
1ピークを有し、かつ、粒径が106μm以下の範囲に
第2ピークを有する双峰性の粒度分布を有している。な
お、本明細書における「双峰性の粒度分布」とは、粒度
分布に谷が存在し、その谷底の値が粒度分布の最大ピー
ク値の20%以下であることを意味するものとする。最
大ピーク値(LP)に対する谷底の値(LB)の比率(L
B/LP)を試料No.1〜3について計算すると、それ
ぞれ、約10%、約7.5%、約4.5%である。ま
た、粒度分布の谷底を示す粒径は、53μ以上125μ
m以下の範囲に存在している。
〜3は、粒径が106μm超300μm以下の範囲に第
1ピークを有し、かつ、粒径が106μm以下の範囲に
第2ピークを有する双峰性の粒度分布を有している。な
お、本明細書における「双峰性の粒度分布」とは、粒度
分布に谷が存在し、その谷底の値が粒度分布の最大ピー
ク値の20%以下であることを意味するものとする。最
大ピーク値(LP)に対する谷底の値(LB)の比率(L
B/LP)を試料No.1〜3について計算すると、それ
ぞれ、約10%、約7.5%、約4.5%である。ま
た、粒度分布の谷底を示す粒径は、53μ以上125μ
m以下の範囲に存在している。
【0211】次に、振動型磁力計を用いて各試料粉末の
磁気特性を測定したところ、以下の表3に示す磁気特性
が得られた。
磁気特性を測定したところ、以下の表3に示す磁気特性
が得られた。
【0212】
【表3】
【0213】さらに、得られた磁石粉末にエポキシ樹脂
を2重量%加え混合・混練し、圧縮成形ボンド磁石用コ
ンパウンドとした。その後、成形圧力10t/cm2で
10mmφ×7mmの円柱状圧縮ボンド磁石を作製し
た。このボンド磁石について、測定した成形密度と磁気
特性を表4に示す。
を2重量%加え混合・混練し、圧縮成形ボンド磁石用コ
ンパウンドとした。その後、成形圧力10t/cm2で
10mmφ×7mmの円柱状圧縮ボンド磁石を作製し
た。このボンド磁石について、測定した成形密度と磁気
特性を表4に示す。
【0214】
【表4】
【0215】表4からわかるように、試料No.1〜3
のいずれの場合も、成形密度が6g/cm3以上の値が
得られ、その結果、残留磁束密度Brも660mT以上
の高い値が得られた。
のいずれの場合も、成形密度が6g/cm3以上の値が
得られ、その結果、残留磁束密度Brも660mT以上
の高い値が得られた。
【0216】(比較例1)比較例1では、急冷合金を作
製する条件のみを実施例における条件から変化させた。
具体的には、急冷工程時におけるロール表面速度を20
m/秒に設定し、平均厚さ35μm程度の急冷合金を作
製した。その他の条件は、実施例と同様である。
製する条件のみを実施例における条件から変化させた。
具体的には、急冷工程時におけるロール表面速度を20
m/秒に設定し、平均厚さ35μm程度の急冷合金を作
製した。その他の条件は、実施例と同様である。
【0217】実施例で用いたパワーミルによって表1に
示す条件の粉砕を行い、磁石粉末を作製した。得られた
磁石粉末の粒度分布を上記の表2および図10に示し、
磁気特性を表3に示している。比較例1では、実施例と
比べ、明確な双峰性の粒度分布は得られなかった。特
に、最大ピーク値(LP)に対する谷底の値(LB)の比
率(LB/LP)は、比較例1の場合、約23%であり、
20%を超えている。
示す条件の粉砕を行い、磁石粉末を作製した。得られた
磁石粉末の粒度分布を上記の表2および図10に示し、
磁気特性を表3に示している。比較例1では、実施例と
比べ、明確な双峰性の粒度分布は得られなかった。特
に、最大ピーク値(LP)に対する谷底の値(LB)の比
率(LB/LP)は、比較例1の場合、約23%であり、
20%を超えている。
【0218】得られた磁石粉末を用い、実施例1と同様
の方法にて圧縮成形ボンド磁石を作製した。得られた成
形密度と磁気特性を表4に示している。
の方法にて圧縮成形ボンド磁石を作製した。得られた成
形密度と磁気特性を表4に示している。
【0219】表4からわかるように、比較例の成形密度
は、成形密度が6g/cm3に達せず、残留磁束密度Br
も660mT以上の高い値は得られなかった。
は、成形密度が6g/cm3に達せず、残留磁束密度Br
も660mT以上の高い値は得られなかった。
【0220】(比較例2)実施例と同様にして作製した
急冷合金(平均厚さ:約63μm)をピンディスクミル
を用いて粉砕した。ピンディスクミルの回転数は、50
00rpmに設定した。得られた粉末の粒度分布を以下
の表5および図11に示す。
急冷合金(平均厚さ:約63μm)をピンディスクミル
を用いて粉砕した。ピンディスクミルの回転数は、50
00rpmに設定した。得られた粉末の粒度分布を以下
の表5および図11に示す。
【0221】
【表5】
【0222】図11から明らかなように、第1ピークの
粒径は106μm以下であり、しかも、最大ピーク値
(LP)に対する谷底の値(LB)の比率(LB/LP)
は、比較例1の場合、約38%であり、20%を大きく
超えている。また、ピンミルで粉砕した場合は、粒径1
06μm超の粉末粒子が全体に占める割合(重量比率)
が全体の50%を下回っている。このことは、粉末の充
填性を劣化させるため、成形密度を低下させる。
粒径は106μm以下であり、しかも、最大ピーク値
(LP)に対する谷底の値(LB)の比率(LB/LP)
は、比較例1の場合、約38%であり、20%を大きく
超えている。また、ピンミルで粉砕した場合は、粒径1
06μm超の粉末粒子が全体に占める割合(重量比率)
が全体の50%を下回っている。このことは、粉末の充
填性を劣化させるため、成形密度を低下させる。
【0223】
【発明の効果】本発明によると、粉砕工程のあとに特別
の粒度分布調節工程を行わなくとも、成形性に優れたナ
ノコンポジット磁石合金粉末が提供される。
の粒度分布調節工程を行わなくとも、成形性に優れたナ
ノコンポジット磁石合金粉末が提供される。
【0224】本発明の方法によって製造されるナノコン
ポジット磁石合金粉末は、希土類元素含有率が低いにも
拘わらず優れた磁気特性を示すTi含有ナノコンポジッ
ト磁粉であり、且つ、成形性に優れた粒度分布を有する
ので、高性能のボンド磁石を安価に提供することが出来
る。特に、例えば外径が4mm〜20mm、内径が2m
m〜18mm、厚さが0.5mm〜2mm程度の小型の
リング磁石などに好適に用いられ、高性能で信頼性の高
い小型ボンド磁石を提供することができる。
ポジット磁石合金粉末は、希土類元素含有率が低いにも
拘わらず優れた磁気特性を示すTi含有ナノコンポジッ
ト磁粉であり、且つ、成形性に優れた粒度分布を有する
ので、高性能のボンド磁石を安価に提供することが出来
る。特に、例えば外径が4mm〜20mm、内径が2m
m〜18mm、厚さが0.5mm〜2mm程度の小型の
リング磁石などに好適に用いられ、高性能で信頼性の高
い小型ボンド磁石を提供することができる。
【図1】(a)は、本発明で用いる粉砕装置の構成を示
す模式図であり、(b)は、当該粉砕装置に用いられる
スクリーンの一例を示す斜視図である。
す模式図であり、(b)は、当該粉砕装置に用いられる
スクリーンの一例を示す斜視図である。
【図2】Tiが添加されていないNd−Fe−Bナノコ
ンポジット磁石の最大磁気エネルギー積(BH)maxと
硼素濃度との関係を示すグラフである。グラフ中、白い
バーは10〜14原子%のNdを含有する試料のデータ
を示し、黒いバーは8〜10原子%のNdを含有する試
料のデータを示している。
ンポジット磁石の最大磁気エネルギー積(BH)maxと
硼素濃度との関係を示すグラフである。グラフ中、白い
バーは10〜14原子%のNdを含有する試料のデータ
を示し、黒いバーは8〜10原子%のNdを含有する試
料のデータを示している。
【図3】Tiが添加されたNd−Fe−Bナノコンポジ
ット磁石の最大磁気エネルギー積(BH)maxと硼素濃
度との関係を示すグラフである。グラフ中、白いバーは
10〜14原子%のNdを含有する試料のデータを示
し、黒いバーは8〜10原子%のNdを含有する試料の
データを示している。
ット磁石の最大磁気エネルギー積(BH)maxと硼素濃
度との関係を示すグラフである。グラフ中、白いバーは
10〜14原子%のNdを含有する試料のデータを示
し、黒いバーは8〜10原子%のNdを含有する試料の
データを示している。
【図4】本発明による磁石におけるR2Fe14B型化合
物相と(Fe、Ti)−B相を示す模式図である。
物相と(Fe、Ti)−B相を示す模式図である。
【図5】Tiを添加した場合、および、Tiに代えてN
bなどを添加した場合における急冷凝固合金の結晶化過
程における微細組織の変化を模式的に示す図である。
bなどを添加した場合における急冷凝固合金の結晶化過
程における微細組織の変化を模式的に示す図である。
【図6】(a)は、本発明による鉄基希土類合金磁石の
ための急冷合金を製造する方法に用いる装置の全体構成
例を示す断面図であり、(b)は、急冷凝固が行われる
部分の拡大図である。
ための急冷合金を製造する方法に用いる装置の全体構成
例を示す断面図であり、(b)は、急冷凝固が行われる
部分の拡大図である。
【図7】急冷合金を製造する方法に用いるストリップキ
ャスト装置の全体構成例を示す断面図である。
ャスト装置の全体構成例を示す断面図である。
【図8】図7の装置に好適に用いられるシュートの構成
を示す図である。
を示す図である。
【図9】(a)は、本発明に関して粉砕前の合金および
粉砕後の粉末粒子を模式的に示す斜視図であり、(b)
は、従来技術に関して粉砕前の合金および粉砕後の粉末
粒子を模式的に示す斜視図である。
粉砕後の粉末粒子を模式的に示す斜視図であり、(b)
は、従来技術に関して粉砕前の合金および粉砕後の粉末
粒子を模式的に示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例(資料No.1〜3)および
比較例1(資料No.4)の磁粉の粒度分布を示すヒス
トグラムである。
比較例1(資料No.4)の磁粉の粒度分布を示すヒス
トグラムである。
【図11】比較例2の磁粉の粒度分布を示すヒストグラ
ムである。
ムである。
1b、2b、8b、および9b 雰囲気ガス供給口
1a、2a、8a、および9a ガス排気口
1 溶解室
2 急冷室
3 溶解炉
4 貯湯容器
5 出湯ノズル
6 ロート
7 回転冷却ロール
21 溶湯
22 合金薄帯
23 合金溶湯
23a 帯状の凝固合金
30 メインチャンバ
32 溶解炉
34 冷却ロール
36 シュート(タンディッシュ)
40 回収手段
42 回転ブレード
44 ガイド部材
48 シャッタ
50 サブチャンバ
100 粉砕刃
102 開口部の形成されたスクリーン
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
B22F 3/02 B22F 3/02 G
9/04 9/04 C
E
C22C 1/00 C22C 1/00 A
1/02 501 1/02 501
503 503Z
38/00 303 38/00 303D
38/60 38/60
45/02 45/02 A
H01F 1/053 H01F 1/08 A
1/08 41/02 G
41/02 1/04 H
Fターム(参考) 4K017 AA01 AA04 BA06 BB01 BB02
BB04 BB05 BB06 BB07 BB08
BB09 BB13 CA07 DA02 DA04
EA03 EE01 FA04
4K018 AA27 BA18 BB04 BB06 BB07
BB10 BC01 BD01 CA02 KA46
5E040 AA04 AA19 BB03 CA01 HB11
HB17 NN01 NN06 NN18
5E062 CC05 CD05 CE04 CE05 CG03
Claims (11)
- 【請求項1】 組成式が(Fe1-mTm)100-x-y-zQxR
yTizMn(TはCoおよびNiからなる群から選択さ
れた1種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選
択されBを必ず含む1種以上の元素、RはLaおよびC
eを実質的に含まない1種以上の希土類金属元素、Mは
Al、Si、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Z
r、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、Auお
よびAgからなる群から選択された少なくとも1種の金
属元素)で表現され、組成比率x、y、z、nおよびm
が、それぞれ、10<x≦20原子%、6≦y<10原
子%、0.1≦z≦12原子%、0≦n≦10原子%、
および0≦m≦0.5を満足し、平均厚さが40μm超
90μm以下の急冷合金を用意する工程と、 回転する粉砕部、および前記粉砕部の外周に配置された
複数の開口部を有するスクリーンを備えた粉砕装置を用
いて、前記急冷合金を粉砕し、粒径が前記スクリーンの
開口部よりも小さい合金粉末を作製する粉砕工程と、を
包含するナノコンポジット磁石粉末の製造方法。 - 【請求項2】 前記粉砕工程において、粒径が106μ
m超300μm以下の範囲に第1ピークを有し、かつ、
粒径が106μm以下の範囲に第2ピークを有する粒度
分布を持つ合金粉末を作製する請求項1に記載のナノコ
ンポジット磁石粉末の製造方法。 - 【請求項3】 前記急冷合金を用意する工程は、 前記組成式で示される合金の溶湯を用意する工程と、 回転する冷却ロールの表面に対して前記合金溶湯を1.
5kg/分以上の供給レートで接触させ、それによって
R2T14Q型化合物の結晶相を体積比率で全体の50%
以上含む急冷合金を作製する冷却工程と、を包含する請
求項1または2に記載のナノコンポジット磁石粉末の製
造方法。 - 【請求項4】 磁気的に結合したR2T14Q型化合物お
よび強磁性鉄基硼化物を含有しており、しかも、全結晶
相の体積比率は全体の95%以上であり、かつ、アモル
ファス相の体積比率は全体の5%以下である請求項1か
ら3のいずれかに記載のナノコンポジット磁石粉末の製
造方法。 - 【請求項5】 前記R2T14Q型化合物の体積比率は、
全体の65%以上85%以下である請求項4に記載のナ
ノコンポジット磁石粉末の製造方法。 - 【請求項6】 前記強磁性鉄基硼化物は、前記R2T14
Q型化合物の粒界に存在している請求項1から5のいず
れかに記載のナノコンポジット磁石粉末の製造方法。 - 【請求項7】 前記R2T14Q型化合物の平均結晶粒径
は10nm以上200nm以下、前記強磁性鉄基硼化物
の平均結晶粒径は1nm以上100nm以下の範囲内に
ある請求項6に記載のナノコンポジット磁石粉末の製造
方法。 - 【請求項8】 前記合金粉末を作製する工程の前に、前
記急冷合金を粗く粉砕することによって平均サイズが1
mm以下の粗粉砕粉を作製する工程を含んでいる請求項
1から7のいずれかに記載のナノコンポジット磁石粉末
の製造方法。 - 【請求項9】 前記粗粉砕粉を作製する工程の後、前記
急冷合金の粗粉砕粉または前記合金粉末を500℃以上
900℃の温度で10秒以上加熱する熱処理工程を更に
含む請求項8に記載のナノコンポジット磁石粉末の製造
方法。 - 【請求項10】 前記粉砕装置は、前記スクリーンの開
口部の大きさが200μm超1.0mm以下の範囲に設
定されたパワーミルまたはフェザーミルである請求項1
から9のいずれかに記載のナノコンポジット磁石粉末の
製造方法。 - 【請求項11】 請求項1から10のいずれかに記載の
方法によって製造されたナノコンポジット磁石粉末を用
意する工程と、 前記ナノコンポジット磁石粉末を圧縮成形し、6.0g
/cm3以上の密度を持つ成形体を作製する工程と、を
含むボンド磁石の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002140236A JP2003328014A (ja) | 2002-05-15 | 2002-05-15 | ナノコンポジット磁石粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002140236A JP2003328014A (ja) | 2002-05-15 | 2002-05-15 | ナノコンポジット磁石粉末の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003328014A true JP2003328014A (ja) | 2003-11-19 |
Family
ID=29701165
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002140236A Pending JP2003328014A (ja) | 2002-05-15 | 2002-05-15 | ナノコンポジット磁石粉末の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003328014A (ja) |
Cited By (10)
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| EP2527062A1 (en) * | 2004-06-30 | 2012-11-28 | TDK Corporation | Method for producing a rare earth sintered magnet |
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| WO2020022955A1 (en) * | 2018-07-27 | 2020-01-30 | Neo Performance Materials (Singapore) | Alloys, magnetic materials, bonded magnets and methods for producing the same |
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-
2002
- 2002-05-15 JP JP2002140236A patent/JP2003328014A/ja active Pending
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