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JP2003240755A - 透明炭化水素系重合体からなるマイクロチップ - Google Patents

透明炭化水素系重合体からなるマイクロチップ

Info

Publication number
JP2003240755A
JP2003240755A JP2002023743A JP2002023743A JP2003240755A JP 2003240755 A JP2003240755 A JP 2003240755A JP 2002023743 A JP2002023743 A JP 2002023743A JP 2002023743 A JP2002023743 A JP 2002023743A JP 2003240755 A JP2003240755 A JP 2003240755A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
monomer
microchip
repeating unit
polymer
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002023743A
Other languages
English (en)
Inventor
Hubert H Giraut
エッチ ジロー ヒューバート
Itaru Natori
至 名取
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ecole Polytechnique Federale de Lausanne EPFL
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Ecole Polytechnique Federale de Lausanne EPFL
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ecole Polytechnique Federale de Lausanne EPFL, Asahi Kasei Corp filed Critical Ecole Polytechnique Federale de Lausanne EPFL
Priority to JP2002023743A priority Critical patent/JP2003240755A/ja
Publication of JP2003240755A publication Critical patent/JP2003240755A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明で、紫外線領域における吸収の少ない、
微細で表面平滑性が良好で寸法精度の高い上部基板でシ
ールされた流路を有するマイクロチャネルを有する樹脂
製のマイクロチップを提供すること。 【解決手段】 液体試料が流動する微細な流路を有する
下部基板と、平膜からなる上部基板とを少なくとも有す
る、液体試料の光学的計測を行うためのマイクロチップ
であって、少なくとも下部基板が下記式(1)で表され
る透明炭化水素系重合体からなり、且つ、少なくとも下
部基板の流路を有する側の表面を酸素プラズマ処理した
後、下部基板と上部基板を上記透明炭化水素系重合体の
ガラス転移温度(Tg)未満の温度で熱圧着させて得ら
れるマイクロチップ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DNA、タンパク
質等の微量試料の簡便な分析、検出に用いられる樹脂製
マイクロチップに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、微少領域における化学反応や、分
離・分析を行う技術が注目されている。そうした技術の
具体的な応用例として、医療診断に必要な測定を患者近
傍で行うベッドサイド診断、河川・土壌での廃棄物中の
有害物質の測定対象近傍における分析、さらには食品の
調理、収穫、輸入現場における汚染検査など、Point Of
Care(以下、POCと言う。)分析が考えられ、そのた
めの検出法や装置の開発が重要課題となっている。こう
したPOC分析においては、安価で簡便かつ短時間で実
施が可能な微量分析方法が要求される。
【0003】微量試料の分析、検出には、従来から、キ
ャピラリーガスクロマトグラフィー(CGC)、キャピ
ラリー液体クロマトグラフィー(CLC)等で成分を分
離し質量分析計で検出するGCMS、LCMSが広く用
いられてきた。しかしながら、GCMS、LCMSは、
検出器の質量分析計が大きく、患者のベッドサイドでP
OC的に用いるには困難が伴う。また、血液等の患者由
来の検体への接触が問題となることから、こうした場合
の設備は、感染性廃棄物の対象となり、基本的にディス
ポーザブルにすることが求められている。
【0004】以上の問題点を解決するために、10cm
から数cm角程度以下のガラス等のチップ(以下、マイ
クロチップと言う。)表面に溝を刻んで、その溝におけ
る分離、反応を利用して、微量試料の分析を行うμ−T
AS(miniaturized total analysis system)の研究が
進められている。
【0005】μ−TASでは、検体量、検出に必要な試
薬量、検出に用いた消耗品等の廃棄物、廃液の量がいず
れも少なくなる上、検出に必要な時間もおおむね短時間
で済むという利点がある。上記の微量分析装置に用いら
れるマイクロチップには、その加工性や精度の点から、
主としてガラス板や石英板、シリコン板等の無機材料が
用いられている。具体的には、光リソグラフィー技術を
利用して、ガラス基板上にミクロンオーダーの溝を形成
することができる。しかしながら、ガラス基板では表面
加工の手間も含めて生産効率が極めて低くなることから
大量生産時に大きな問題となることが予想される。
【0006】一方、ガラス基板に代えて有機高分子(樹
脂)材料を用いたいわゆる樹脂製チップが、上記の医療
診断用分析装置用チップ用素材として、ガラスよりも生
産性、コスト、或いは廃棄物としての処理等の点で優れ
ていると期待され、樹脂製チップの小型・簡易型分析装
置への適用について研究されている。例えば、透明樹脂
を用いたキャピラリー及び平板からなる電気泳動装置
(特開平2−259557号公報)、毛細管形状のトレ
ンチ(溝)を有する分離用有機ポリマー基板(特開平8
−327597号公報)、アクリル樹脂製チップを用い
た電気泳動分析システム(Anal.Chem.,6
9,P.2626−2630(1997))などを挙げ
ることができる。
【0007】しかしながら、かかる分析装置の測定対象
となる生体物質には、紫外線領域の光に対する吸収しか
もたない、すなわち肉眼的には無色のものも多いため、
医療診断用の分析に用いるためには、紫外線領域の波長
の光を光源とする測定手段が採用できることは非常に重
要な意味を持つ。例えば260nmに吸収を持つDNA
は蛍光標識することなく直接検出が可能になる。
【0008】こうした観点から、これらの技術において
採用されている、ポリメタクリル酸メチル(PMM
A)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(P
S)あるいは、ポリエチレンテレフタレート(PET)
等の一般的な有機高分子材料は、紫外領域において吸収
があるため、従来から汎用に使用されている一般的検出
法である吸光度で、対象物質を検出しようとすると、チ
ップ素材による吸収が極めて大きく、結果として正確な
測定値が得られない。一方、より高感度が期待される検
出法である蛍光標識をする場合においても、PMMA、
PS、PC、PETは含有するカルボニル基や芳香環が
紫外線を吸収し蛍光を発するため、そのバックグラウン
ドで検出感度が大きく低下するという問題がある。
【0009】加えて、光透過性樹脂として従来から採用
されているPMMAやPC等の非晶性ポリマー材料は、
吸水性や射出成形時の分解性等に問題がある。即ち、熱
安定性の面からは、例えばPMMAは200℃という比
較的低い温度で解重合に基づく分解反応が起こり、成形
体中にモノマーが残存する等の問題がある。また、PC
は縮合系ポリマーであるため、特に成形の際にポリマー
中の残存水分による加水分解が懸念されるという欠点が
ある。さらに、PMMA、PC、PET等の樹脂はメタ
ノール、アセトニトリル等の極性溶剤に弱いためμ−T
ASで使用できる溶剤が制限され、用途が限定されると
いう欠点もある。
【0010】これら従来の高分子材料についての欠点を
改良しようとする試みがなされ、新規な高分子材料とし
て、1、3−シクロヘキサジエン(以下、CHDとい
う。)またはCHD誘導体等のCHD系モノマー、ま
た、ジシクロペンタジエン誘導体や種々の多環ノルボル
ネン系モノマーを用いた環状ポリオレフィンが開発さ
れ、これらの樹脂が透明性、耐熱性、耐薬品性、耐水性
等に優れていることが開示されている。そして、特開2
000−39420号公報にはこれらの環状ポリオレフ
ィンを基板として用いた樹脂製マイクロチップが開示さ
れている。マイクロチャネルを形成させる方法として、
超音波融着、熱融着、ホットメルト接着剤やUV接着剤
等の接着剤による接着、粘着剤による粘着、直接又は薄
い弾性シートを介しての圧接等の方法で液体試料が流動
する微細な流路を有する下部基板と平膜からなる上部基
板を張り合わせる方法が開示されている。また、液体試
料が流動する微細な流路を有する基板の形成方法とし
て、射出成形、圧縮成形、押し出し成形等の溶融成形が
開示され、中でも射出成形、特に、10MPa以下の圧
力の炭酸ガス共存下での射出成形が好ましいことが開示
されている。しかしながら、上記発明のマイクロチップ
は下部基板と上部基板の接着性と微細な流路の成形性の
点で問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、透明で、紫
外線領域における吸収の少ない、微細で表面平滑性が良
好で寸法精度の高い上部基板でシールされた流路を有す
る樹脂製のマイクロチップを提供することを課題とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するため、透明炭化水素系重合体を用いて、微細
で表面平滑性が良好で寸法精度の高い流路を保持したま
ま下部基板を上部基板でシールする方法、および、微細
で表面平滑性の良好で寸法精度の高い流路を有する下部
基板の形成方法について鋭意検討し、本発明を完成する
に至った。
【0013】すなわち、本発明は、 [1] 液体試料が流動する微細な流路を有する下部基
板と、上部基板とを少なくとも有する、液体試料の電気
的及び/又は光学的計測を行うためのマイクロチップで
あって、少なくとも下部基板が下記式(1)で表される
透明炭化水素系重合体からなり、且つ、少なくとも下部
基板の流路を有する側の表面を酸素プラズマ処理した
後、下部基板と上部基板を上記透明炭化水素系重合体の
ガラス転移温度(Tg)未満の温度で熱圧着させて得ら
れることを特徴とするマイクロチップ、
【化2】 [式(1)は、重合体の組成式を表す。(A)〜(F)
は、それぞれ高分子主鎖を構成する繰り返し単位を表
す。l〜qは、それぞれ高分子主鎖に含有される繰り返
し単位のwt%を表す。 (A):環状共役ジエン系単量体に由来する少なくとも
一種の繰り返し単位。 (B):環状オレフィン系単量体に由来する少なくとも
一種の繰り返し単位。 (C):ビニル芳香族系単量体に由来する少なくとも一
種の繰り返し単位。 (D):鎖状共役ジエン系単量体に由来する少なくとも
一種の繰り返し単位。 (E):エチレン、α−オレフィン系単量体に由来する
少なくとも一種の繰り返し単位。 (F):その他共重合可能な単量体に由来する少なくと
も一種の繰り返し単位。 ただし、l+m+n+o+p+q=100、50≦m+
p≦100、重合体の数平均分子量は20000以上5
00000以下である。]
【0014】[2] 式(1)で表される透明炭化水素
系重合体が、その主鎖および/または側鎖にシクロへキ
サン環を少なくとも1個含有する上記[1]記載のマイ
クロチップ、
【0015】[3] 式(1)において、(E)として
エチレン単量体、プロピレン単量体、エチルエチレン単
量体、イソプロピルエチレン単量体、及び2−エチルプ
ロピレン単量体から選ばれる少なくとも1種に由来する
繰り返し単位を含み、該繰返し単位の含有量が透明炭化
水素系重合体全量に対し5wt%以上70wt%以下で
ある上記[1]又は[2]記載のマイクロチップ、
【0016】[4] 液体試料が流動する微細な流路
が、レーザーアブレーションにより形成された流路であ
る上記[1]、[2]又は[3]記載のマイクロチッ
プ、
【0017】[5] [1]、[2]、[3]又は
[4]記載のマイクロチップと、質量分析計と連結させ
ることによって得られる、上記マイクロチップの流路を
流れる液体試料の所定成分を分析する装置、である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳細に説明
する。
【0019】本発明における透明炭化水素系重合体は、
環状オレフィン系単量体に由来する繰り返し単位
(B)、及びエチレン、α−オレフィン系単量体に由来
する繰り返し単位(E)を合計で50wt%以上、10
0wt%以下含有することを必須とし、環状共役ジエン
系単量体に由来する繰り返し単位(A)、ビニル系芳香
族単量体に由来する繰り返し単位(C)、鎖状共役ジエ
ン系単量体に由来する繰り返し単位(D)、その他共重
合可能な単量体に由来する繰り返し単位(F)を必要に
応じて含有する。
【0020】本発明における環状共役ジエン系単量体と
は、炭素−炭素結合により構成される5員環以上の環状
共役ジエンである。好ましい環状共役ジエン系単量体
は、炭素−炭素結合により構成される5〜8員環の環状
共役ジエンであり、具体例としては1,3−シクロペン
タジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シク
ロオクタジエン及びこれらの誘導体等を挙げることがで
きる。耐熱性、耐候性等の安定性の点から、特に好まし
い環状共役ジエン系単量体は6員環の環状共役ジエンで
あり、具体例としては1,3−シクロヘキサジエン、
1,3−シクロヘキサジエン誘導体である。これら単量
体は必要に応じ1種でも、2種以上であっても構わな
い。
【0021】本発明における環状共役ジエン系単量体に
由来する繰り返し単位(A)としては、上記環状共役ジ
エン系単量体が重合して形成される、繰り返し単位構造
内に非共役二重結合を含む繰り返し単位が挙げられる。
本発明における環状オレフィン系単量体とは、炭素−炭
素結合により構成される5員環以上の環状オレフィンで
あり、好ましくは5〜8員環の環状オレフィン、特に好
ましくは6員環の環状オレフィンである。この例とし
て、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン
およびこれらの誘導体を例示することができる。また、
環状オレフィン系単量体としてはノルボルネン系構造を
有する化合物を含む。具体例としては、ビシクロ[2,
2,1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4,4,
0,12,5,17,10]−3−ドデセン、ヘキサシクロ
[6,6,1,13,6,02,7,09,14]−4−ヘプタデ
セン、トリシクロ[5,2,1,02,6]−8−デセ
ン、ペンタシクロ[6,5,1,13,6,02,7
9,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6,5,
1,13,6,02,7,09,13]−4−ペンタデセン、ヘプ
タシクロ[8,7,0,12,9,14,7,111,17
3,8,0 12,16]−5−エイコサン、ペンタシクロ
[4,7,0,12,5,08,13,19,12]−3−ペンタ
デセン、トリシクロ[4,4,0,12,5]−3−ウン
デセン、5−カルボキシメチルビシクロ[2,2,1]
ヘプト−2−エン、5−メチル−5−カルボキシメチル
ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン、5−シアノ
ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン、8−カルボ
キシメチルテトラシクロ[4,4,0,12,5
7,10]―3−ドデセン、8−カルボキシエチルテトラ
シクロ[4,4,0,12,5,17,10]−3−ドデセ
ン、8−カルボキシn−プロピルテトラシクロ[4,
4,0,12,5,17,10]−3−ドデセン、8−カルボ
キシイソプロピルテトラシクロ[4,4,0,12,5
7,10]−3−ドデセン、8−カルボキシn−ブチルテ
トラシクロ[4,4,0,12,5,17,10]−3−ドデ
セン、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ
[4,4,0,1 2,5,17,10]−3−ドデセン、8−
メチル−8−カルボキシエチルテトラシクロ[4,4,
0,12,5,17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8
−カルボキシn−プロピルテトラシクロ[4,4,0,
2,5,17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カ
ルボキシイソプロピルテトラシクロ[4,4,0,1
2,5,17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カル
ボキシn−ブチルテトラシクロ[4,4,0,12,5
7,10]−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ
[4,4,0,12,5,17,10]−3−ドデセン、8−
エチルテトラシクロ[4,4,0,12,5,17,10]−
3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4,4,0,
2,5,17,10]−3−ドデセン、6−エチル−1,
4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,
8,8a−オクタヒドロナフタレン、5,10−ジメチ
ルテトラシクロ[4,4,0,12,5,17,10]−3−
ドデセン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、エチルテ
トラシクロドデセン、トリメタノオクタヒドロナフタレ
ン、ペンタ[8,4,0,12,5,19,12,08,13]−
3−ヘキサデセン、ペンタ[7,4,0,12,5,1
9,12,08,13]−3−ペンタデセン、ヘプタシクロ
[8,7,0,13,6,110,17,112,15,02,7,0
11,16]−4−エイコサン、ヘプタシクロ[8,8,
0,14,7,111,13,113,16,03,8,012,17]−5
−ヘンエイコサンなどを挙げることができる。これら単
量体は必要に応じ1種でも、2種以上であっても構わな
い。
【0022】本発明における環状オレフィン系単量体に
由来する繰り返し単位(B)としては、上記環状オレフ
ィン系単量体が重合して形成される繰り返し単位、及び
上記環状共役ジエン系単量体に由来する繰り返し単位
(A)を水素化して得られる繰り返し単位が挙げられ
る。
【0023】本発明におけるビニル系芳香族単量体と
は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチ
ルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、2,5−ジメ
チルスチレン、o−メトキシスチレン、ジビニルベンゼ
ン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、ビニルピ
リジン、1,2−ジメチルスチレン、1,1−ジフェニ
ルエチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペ
ンテン、1,3−ジイソプロペニルベンゼンなどが挙げ
られる。これら単量体は必要に応じ1種でも、2種以上
であっても構わない。
【0024】本発明におけるビニル芳香族系単量体に由
来する繰り返し単位(C)としては上記ビニル芳香族系
単量体が重合して形成される、繰り返し単位構造内に芳
香環を含む繰り返し単位が挙げられる。本発明における
鎖状共役ジエン系単量体とは、炭素数が4〜10であっ
て少なくとも1つ以上の共役ジエン構造を有する炭化水
素化合物である。具体例としては、1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなど
が挙げられる。これら単量体は必要に応じ1種でも、2
種以上であっても構わない。
【0025】本発明における鎖状共役ジエン系単量体に
由来する繰り返し単位(D)としては上記鎖状共役ジエ
ン系単量体が重合して形成される、繰り返し単位構造内
に非共役二重結合を含む繰り返し単位が挙げられる。本
発明におけるエチレン、α−オレフィン系単量体とは、
エチレン、プロピレン、1−ブチレン、4−メチルペン
テン、ビニルシクロへキサンなどが挙げられる。これら
単量体は必要に応じ1種でも、2種以上であっても構わ
ない。
【0026】本発明におけるエチレン、α−オレフィン
系単量体に由来する繰り返し単位(E)としては、上記
エチレン、α−オレフィン系単量体が重合して形成され
る繰り返し単位、及び上記ビニル芳香族系単量体に由来
する繰り返し単位(C)や、鎖状共役ジエン系単量体に
由来する繰り返し単位(D)を水素化して得られる繰り
返し単位が挙げられる。
【0027】本発明におけるその他共重合可能な単量体
とは、アニオン重合によって重合可能な従来公知な単量
体である。メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルビニルケ
トン、α−シアノアクリル酸メチルなどの極性ビニル系
単量体、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、環状
ラクトン、環状ラクタム等の極性単量体、並びにヘキサ
メチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテト
ラシロキサン等のアルキルシクロシロキサン、アルキル
アリールシロキサン等の有機ケイ素化合物を例示するこ
とができる。これら単量体は必要に応じ1種でも、2種
以上であっても構わない。本発明におけるその他共重合
可能な単量体に由来する繰り返し単位(F)としては、
上記その他共重合可能な単量体が重合して形成される繰
り返し単位が挙げられる。
【0028】本発明における透明炭化水素系重合体は、
環状オレフィン系単量体に由来する繰り返し単位(B)
と、エチレン、α−オレフィン系単量体に由来する繰り
返し単位(E)を合計して50wt%以上含有する(5
0≦m+p≦100)。好ましくは70wt%以上、更
に好ましくは90wt%以上である。含有率が50wt
%以上であれば、透明性、耐熱性、耐溶剤性(ここで
は、μ−TASで使用される極性溶剤、特に、水、アセ
トニトリル、アセトン、メタノール等に対する耐溶剤性
を言う。)、吸湿性等の面で好ましい。耐熱性の指標の
一つであるガラス転移温度(Tg)は80℃以上、好ま
しくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更
に好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃で
ある。一方、ガラス転移温度が400℃以上になると溶
融成形温度が非常に高くなり、熱分解等の問題で成形が
困難となるため好ましくない。なお、本発明の式(1)
で表される透明炭化水素系重合体がブロック重合体で相
分離構造を有する場合、ガラス転移温度を2つ以上示す
場合があるが、ここで言うところのガラス転移温度は最
も高いガラス転移温度を言う。また、本発明における透
明炭化水素系重合体はその主鎖及び/又は側鎖にシクロ
へキサン環を少なくとも1個含有することが好ましい。
シクロへキサン環を含有することにより耐熱性、耐候性
等の特性が改良される。
【0029】本発明における透明炭化水素系重合体にお
ける構造は、ブロック構造、ランダム構造の何れであっ
ても構わない。但し、塗工成膜に使用する各種溶剤への
溶解性や溶融成形時の流動特性の点でランダム構造が好
ましい。特に、式(1)において、(B)の結合構造が
(E)とのランダム構造で、90≦m+p≦100及び
0.1≦m/p≦9を満足する透明炭化水素系重合体
は、耐溶剤性、吸湿性、耐熱性、耐候性、塗工成膜性、
溶融成形性の点でバランスに優れており好ましい。m/
pが0.1以上であれば、環状オレフィン系単量体に由
来する繰り返し単位の組成割合が増加することから、良
好な耐熱性を示す。また9以下であると環状オレフィン
系単量体に由来する繰り返し単位同士の結合が適度な長
さになることから、十分な溶媒溶解性を発現させること
ができる。耐熱性と溶媒溶解性の兼合いから0.6≦m
/p≦5であることが更に好ましい。式(1)におい
て、(E)としてエチレン単量体、プロピレン単量体、
エチルエチレン単量体、イソプロピルエチレン単量体、
及び2−エチルプロピレン単量体から選ばれる少なくと
も1種に由来する繰り返し単位を含み、且つ該繰返し単
位の含有量が透明炭化水素系重合体全量に対し5wt%
以上であると、耐衝撃性が改善され、さらに、酸素プラ
ズマ処理した後の熱圧着性が向上するため好ましい。含
有量が70wt%を超えると耐熱性が損なわれるため好
ましくない。また、エチレン単量体、プロピレン単量
体、エチルエチレン単量体、イソプロピルエチレン単量
体、及び2−エチルプロピレン単量体から選ばれる少な
くとも1種に由来する繰り返し単位は、ブロック状態で
あることが好ましい。
【0030】本発明における透明炭化水素系重合体の数
平均分子量としてはポリスチレン換算平均数分子量で2
0000以上、500000以下であり、さらに好まし
くは30000以上、200000以下である。200
00以上であると高分子材料としての強度、耐衝撃性を
発現することができる。また500000より小さいと
溶媒溶解時の溶液粘度を適切に調整することができる。
【0031】本発明における透明炭化水素系重合体は、
光線透過率(ASTM D1003)が85%以上、好
ましくは、90%以上であり、かつ、光波長領域240
〜400nmの紫外部における光線透過率の最小値が1
00μm厚の平膜で50%以上、好ましくは70%以
上、さらに好ましくは80%以上である。50%未満で
あると紫外線吸収に起因する蛍光のバックグラウンドの
ために蛍光標識法における検出感度が低下する。
【0032】本発明における液体試料としては、マイク
ロチップにおける微細な流路(マイクロチャンネル)を
スムーズに流れる試料であれば、溶液であっても分散液
であってもよく、蛍光標識したデオキシリボ核酸(DN
A)、タンパク質等の分散水溶液、あるいは、有機(メ
タノール、アセトニトリル等)分散溶液、リン酸、酢酸
等の緩衝液を例として挙げることができる。
【0033】本発明における光学的計測の方法として
は、吸光度法(例えばN.Kuroda,et.a
l.,J.Chromatogr.,Vol.798
P.325−334(1998))、蛍光分光法(例え
ばS.C.Jakobson,et.al.,Ana
l.Chem.,Vol.66 P.4127−413
2(1994)、特開平2−245655号公報)、化
学発光法(例えばM.F.Regehr,et.a
l.,J.Capillary Electropho
r,Vol.3 P.117−124(1996))等
が一般的である。化学発光法、蛍光法は、それぞれ被検
出物質が、酸化剤などとの反応、励起光により励起状態
の化合物となり、この状態から、基底状態になるときの
エネルギーが光として放出されるのを検出する方法であ
る。一方、吸光度法は、被検出物質を含む溶液に光を入
射し透過光強度を測定し、その入射強度に対する透過光
強度の比を求める方法である。感度的には一般的に吸光
度法、蛍光法、化学発光法の順に高くなる。
【0034】また、別の計測方法としては、励起レーザ
ー光で液体中の試料を励起していわゆる熱レンズを形成
させ、プローブレーザー光でその熱レンズの変化を検出
する光熱変換法(熱レンズ法)が挙げられる。プローブ
レーザー光の検出は、フォトダイオード、CCDカメ
ラ、光電子倍増管などで行うことができる。
【0035】本発明における電気的計測の方法として
は、電極、イオン電極等を用いた電気化学的計測やマイ
クロチップをガスクロマト分析計、液体クロマト分析
計、質量分析計に連結することで可能となるガス計測、
液体計測、質量計測(ナノスプレー)等を挙げることが
できる。
【0036】本発明における下部基板と上部基板の形状
は特に限定はされないが、通常は平板状である。下部基
板の厚さは通常10〜5000μmである。一方、上部
基板の厚さは通常1〜500μmであり、好ましくは1
〜100μmである。下部基板、上部基板の何れも本発
明の透明炭化水素系重合体からなることが好ましい。但
し、下部基板に比べて上部基板は薄いため、蛍光のバッ
クグラウンドによる検出感度の低下が著しくない範囲で
上部基板として透明炭化水素系重合体以外もの、例え
ば、PET、PC、PMMA、PSを使用することも可
能である。
【0037】本発明における下部基板は液体試料が流動
する微細な流路を有する。微細な流路の断面形状は特に
限定されない。四角形、台形、三角形等の多角形の形
状、半円形、半楕円形等いずれの形状でもよいが、四角
形、台形が好ましい。寸法は最大幅が1〜5000μ
m、最大深さが0.1〜2000μm、断面積が1〜1
0,000,000μm2が好ましい。更に好ましく
は、最大幅2〜500μm、最大深さ1〜200μm、
断面積2〜100000μm2である。
【0038】この流路の寸法精度は、極微料成分の分析
や定量分析等を行う上で操作の精度及び装置間の再現性
を得るために、設計寸法に対し、幅及び深さが±5%以
内、断面積が±7%以内であることが好ましい。また、
高精度の定量分析を行うためには、幅及び深さが±2%
以内、断面積が±4%以内の寸法精度が更に好ましい。
【0039】一方、本発明における上部基板は、下部基
板と向き合う面に液体試料が流動する微細な流路が形成
されていても良いし、また単なる平膜であっても良い。
本発明における透明炭化水素系重合体は公知の方法によ
って、マイクロチップ用の平板に成形加工することがで
きる。すなわち射出成形、圧縮成形、押し出し成形等を
採用することができる。
【0040】また、本発明の透明炭化水素系重合体は、
溶解可能な溶媒に溶解し、スピンコート、ディップコー
ト、ブレードコート、ロールコートなど適切な塗布法で
基材にコート後、乾燥によりフィルムを得る公知のキャ
スト成膜法により、平膜に加工することが可能である。
好ましい溶解可能な溶媒としてはシクロヘキサン、トル
エン、デカリン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、
シクロヘキサノン、1,1−ジメトキシシクロヘキサン
が挙げられ、これらは1種であっても2種以上であって
もよい。溶解可能な溶媒からキャスト成膜加工を実施す
ることで、耐熱性、表面硬度、耐衝撃性のバランスに優
れ、表面平滑性が高い平膜を得ることが可能である。
【0041】本発明において、微細な流路を形成する方
法として、下部基板を射出成形、圧縮成形、押し出し成
形、金型キャビテイへの充填工程中に二酸化炭素を10
MPa以下の圧力で充填させておいて射出成形するなど
の方法で成形する際に同時に流路を形成する方法、微細
な流路が形成された金型を樹脂に押しつけることによっ
て形成するエンボス加工による方法、エッチング加工や
フォトリソグラフ加工により形成する方法、マスクで覆
ってプラズマ処理により形成する方法、レーザーアブレ
ーションを用いて流路を形成する方法などが挙げられ
る。その中でも、レーザーアブレーションを用いて形成
する方法は寸法精度が良好で表面平滑性の高い流路を簡
単に形成させることができることから好ましい。また、
レーザーアブレーションを用いて基板に微細な流路を形
成させる方法は、その処理条件を変えることにより電気
浸透流を制御することができることからも好ましい方法
である。
【0042】レーザーアブレーションの好ましい条件と
して、波長は152〜308nm、10〜3000mj
/パルス、50Hzを挙げることができる。下部基板は
X,Yステッパーに固定され、通常フォトマスクと1
0:1レンズを通してUV−レーザーパルスを照射す
る。流路を形成する場合、下部基板は通常水平方向に
0.15mm/s又は0.2mm/sの速度で移動させ
る。一方、液体試料のリザーバーは平膜を移動させない
で十分なパルスを照射することにより形成することがで
きる。
【0043】本発明においては、少なくとも下部基板の
表面を酸素プラズマ処理した後、下部基板と上部基板を
上記透明炭化水素系重合体のガラス転移温度未満の温度
で熱圧着させてマイクロチップを作成する。本発明にお
いては、少なくとも下部基板の微細な流路が形成された
側の表面を酸素プラズマ処理する必要があるが、下部基
板と上部基板の両基板を酸素プラズマ処理することが、
接着がより良くなること、および電気浸透流をより高く
することが出来ることなどから好ましい。
【0044】本発明においては、酸素プラズマ処理した
後、上記透明炭化水素系重合体のガラス転移温度(T
g)未満の温度で熱圧着させる。酸素プラズマ処理方法
は、基板表面をプラズマストリッパーを用い、通常圧力
0.5〜200Pa、酸素ガス流量100〜500ml
/min、電力100〜500W、時間1〜1000s
ecの条件で処理する。
【0045】その後直ぐに基板に用いた透明炭化水素系
重合体のガラス転移温度(Tg)より1〜300℃、好
ましくは20〜150℃低い温度、速度0.1〜1m/
minでラミネーターを用い熱圧着する。本発明の式
(1)で表される透明炭化水素系重合体がブロック重合
体で相分離構造を有する場合、Tgを2つ以上示す場合
があるが本発明で言うところのTgは最も高いガラス転
移温度を言う。
【0046】本発明において、液体試料は電気浸透、電
気泳動等の界面動電現象、毛管現象、圧力等により駆動
される。本発明で酸素プラズマ処理によって電気浸透流
が大きく増加することが分かった。表面分析( X線光
電子分光法)の結果、基板の表面は酸化され、表面組成
は酸素/炭素の比が10〜30/70〜90と大幅に増
加し、表面の変性が電気浸透流の向上に寄与していると
考えられる。通常、電気浸透流を高くするためにスルホ
ン酸基やカルボン酸基等の極性基を有する他の有機ポリ
マーで流路の表面を被覆する方法が知られているが、本
発明の場合、酸素プラズマ処理により基板の熱圧着温度
の低減と電気浸透流の向上を1工程で行うことが可能と
なる。以上の観点より、表面組成は酸素/炭素の比が1
0/90以上、更には20/80以上が好ましい。
【0047】また、マスクを用いて本発明の酸素プラズ
マ処理を局部的、部分的に行うことにより、処理された
表面の密着性を上げ、タンパク質、相補的デオキシリボ
核酸等のバイオケミカル種や感光性化合物等の化学種を
基板表面にパターニングすることが出来る。そのため、
タンパク質、デオキシリボ核酸分析用のマイクロチップ
や光を電気信号に変換し検出するマイクロチップを作成
することができ、各種センサーや情報記憶用デバイスへ
の展開が可能となる。
【0048】本発明において用いる透明炭化水素系重合
体は、いかなる製造方法によって得られたものであって
もよく、特に制限を受けるものではないが、反応温度、
重合収率、触媒コスト、さらに重合体の分子量、分子量
分布、及び一次構造制御の観点から、工業的に最も好ま
しい重合方法として以下に記載した方法が挙げられる。
【0049】1(1A)族金属を含有する有機金属化合
物と、該有機金属化合物と錯体形成能を有する有機化合
物(錯化剤)とを組み合わせて重合触媒とする方法を用
いると、透明炭化水素系単量体の重合がリビング重合的
に進行するため、透明炭化水素系重合体が定量的に得ら
れる。しかも他の共重合モノマーを導入することも可能
である。
【0050】この重合方法では反応がリビング的に進行
するため、透明炭化水素系重合体の分子量調節が自由に
行え、目的に応じた分子量設計が可能である。また、重
合触媒の選定でブロック共重合体、ランダム共重合体の
何れも合成することができる。上記環状共役ジエン系単
量体の重合法に用いられる重合触媒は、1(1A)族金
属を含有する有機金属化合物及びそれと錯体形成能を有
する有機化合物(錯化剤)によって構成される。
【0051】該有機金属化合物に用いることが可能な1
(1A)族金属とは、リチウム、ナトリウム、カリウ
ム、ルビジウム、セシウム、フランシウムであり、特に
好ましい1族金属としてリチウムおよびナトリウムを例
示することができる。これらは一種でも、必要に応じて
二種以上の混合物であっても構わない。
【0052】本発明の環状共役ジエン系単量体の重合方
法において、重合触媒として特に好ましく用いられる有
機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物とは、少なく
とも炭素原子を一個以上含有する有機分子に結合する一
個又は二個以上のリチウム原子若しくはナトリウム原子
を含有する従来公知の化合物である。例えばメチルリチ
ウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso
−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブ
チルリチウム、tert−ブチルリチウム、ペンチルリ
チウム、ヘキシルリチウム、アリルリチウム、シクロヘ
キシルリチウム、フェニルリチウム、ヘキサメチレンジ
リチウム、1,3−ビス(1−リチウム−1,3,3−
トリメチル−ブチル)ベンゼン、シクロペンタジエニル
リチウム、インデニルリチウム、ブタジエニルジリチウ
ム、イソプレニルジリチウム等、又はポリブタジエニル
リチウム、ポリイソプレニルリチウム、ポリスチリルリ
チウム等の高分子鎖の一部にリチウム原子を含有するオ
リゴマー若しくは高分子等の、従来公知の有機リチウ
ム、或るいはナフタレンナトリウム、α−メチルスチレ
ンナトリウムリビング4量体、n−アミルナトリウム
等、又はポリブタジエニルナトリウム、ポリイソプレニ
ルナトリウム、ポリスチリルナトリウム等の高分子鎖の
一部にナトリウム原子を含有するオリゴマー若しくは高
分子等の、従来公知の有機ナトリウムを例示することが
できる。
【0053】特に好ましい有機リチウム化合物として
は、n−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウムを例
示することができ、有機ナトリウム金属としてはナフタ
レンナトリウム、α−メチルスチレンナトリウムリビン
グ4量体を例示することができる。本発明における重合
触媒の使用量は、目的とする分子量、高分子構造を得る
ために必要な量を適宜選択することができる。
【0054】1族金属を含有する有機金属化合物と錯体
形成能を有する有機化合物(錯化剤)としては、アミン
類、エーテル類、チオエーテル類が好ましく、またこれ
らの錯化剤は一種でも、必要に応じて二種以上の混合物
であっても構わない。本発明に用いられる錯化剤として
工業的観点から好ましいのはエーテル類、アミン類であ
る。エーテル類は分子中に1個以上の酸素原子を含んだ
エーテル類、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテ
ル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テト
ラヒドロピラン、ジメトキシエチレングリコール、ジエ
トキシエチレングリコール、ジオキサン、トリオキサ
ン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、1,
1−ジメトキシシクロヘキサン、1,1−ジエトキシシ
クロへキサンなどを例示することができる。アミン類の
中では第三(三級)アミン類が最も好ましい。好ましい
第三アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエ
チルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N,
N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,
N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミ
ン、テトラメチルジエチレントリアミン、1,8−ジア
ザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、ジアザビシ
クロ[2,2,2]オクタン、4,4’−ビピリジル等
が挙げられるが、工業的に採用できる最も好ましい第三
アミン化合物としては、テトラメチルエチレンジアミン
(TMEDA)が挙げられる。
【0055】上記有機金属化合物と錯化剤からなる重合
触媒の調製方法は特に制限されるものではなく、必要に
応じて従来公知の技術を採用することができる。例え
ば、不活性ガス雰囲気下に有機金属化合物を有機溶媒に
溶解し、これにアミン類の溶液を添加して一定時間保っ
た後、重合触媒(錯体)を単離することなく、モノマー
を添加して重合を行うことも可能である。有機金属化合
物と錯化剤のモル比は有機金属化合物をMモル、錯化剤
をNモルとするとM/N=20/1〜1/20の範囲で
あることが高収率で高分子量体を得る上で好ましい。
【0056】重合方法も特に制限されるものではなく、
気相重合、塊状重合、又は溶液重合等を採用することが
できる。溶液重合の場合に使用できる重合溶媒として
は、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘ
プタンの様な脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチル
シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン、シクロヘプタン、デカリンの様な脂環式炭化水素、
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの様な
芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ンの様なエーテル類が挙げられる。これらの重合溶媒は
一種でも、又は二種以上の混合物であっても構わない。
【0057】重合は−100〜120℃、最も好ましく
は0〜100℃の範囲の温度で実施することができる。
さらに工業的観点からは、室温(20℃)〜80℃の範
囲で実施することが有利である。重合系の圧力は上記重
合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持するのに十
分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものでは
ない。重合反応に要する時間は、目的又は重合条件によ
って種々異なったものになるため特に限定することはで
きないが、通常は48時間以内であり、特に好適には1
〜10時間である。また重合系の雰囲気は乾燥した窒
素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気であるこ
とが望ましい。
【0058】該透明炭化水素系重合体は、重合反応終了
後に適当な水素化触媒を使用して、環状共役ジエン系単
量体に由来する繰り返し単位構造内に含まれる非共役二
重結合、ビニル芳香族系単量体に由来する繰り返し単位
構造内に含まれる芳香環、鎖状共役ジエン系単量体に由
来する繰り返し単位構造内に含まれる非共役二重結合が
水素化された構造をとることが可能である。
【0059】該非共役二重結合、芳香環の水素化率は通
常90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましく
は97%以上である。非共役二重結合、芳香環が多く残
存すると光波長領域240〜400nmの紫外部におけ
る光線透過率、熱安定性、耐候性が低下したりするため
好ましくない。
【0060】該透明炭化水素系重合体は、光線透過率、
熱安定性、耐候性等の物性に悪影響を及ぼさない範囲
で、上記水素化する以外に従来公知の炭素−炭素二重結
合に対する付加反応を行い、置換基、官能基を導入する
ことができる。好ましい置換基、官能基としては、アル
キル基、アリール基、シラノール基、水酸基、カルボン
酸基、エステル基、酸無水物基、エポキシ基、カルボン
酸塩基、アミノ基、アミド基、イミド基、イミノ基、オ
キサゾリン基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、イソシア
ノ基、シアナト基、イソシアナト基、シリル基、シリル
エステル基、シリルエーテル基、チオール基、スルフィ
ド基、チオカルボン酸基、スルホン酸基を例示すること
ができる。
【0061】水素化反応は該透明炭化水素系重合体及び
水素化触媒の存在下に、水素雰囲気下において実施され
る。反応形式は従来公知の方法を採用することができ
る。例えば、バッチ式、セミバッチ式、連続式又はそれ
らの組み合わせ等のいずれも採用することができる。水
素化反応触媒としては、従来公知の均一触媒及び不均一
触媒のいずれも用いることができ、特にその種類、量は
制限されない。
【0062】水素化触媒に含有される金属として工業的
に特に好ましいものとしては、チタン、コバルト、ニッ
ケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等が挙げられ
る。これらの金属はエーテル、アミン、チオール、ホス
フィン、カルボニル、オレフィン、ジエン等の官能基を
有する有機化合物(配位子)と組み合わせた均一触媒と
して使用してもよいし、また活性炭、アルミナ、硫酸バ
リウム、シリカ、チタニア、ゼオライト、架橋ポリスチ
レン等の担体に担持させて不均一触媒として使用しても
構わない。工業的観点から好ましいのは水素化触媒回収
可能な不均一触媒である。本発明において、水素化反応
における水素化触媒の使用量は、水素化条件によって適
宜選択されるが、一般には重合体に対して金属濃度とし
て10wtppm〜50wt%の範囲である。
【0063】水素化反応に用いる溶媒として好ましいも
のとしては、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタンの様な脂肪族炭化水素、シクロペンタ
ン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシ
クロヘキサン、シクロヘプタン、デカリンの様な脂環式
炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベン
ゼンの様な芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフランの様なエーテル類が挙げられる。これらの
水素化反応溶媒は一種でも、又は二種以上の混合物であ
っても構わない。
【0064】水素化反応の温度は0〜300℃の範囲で
あり、好ましくは30〜200℃、更に好ましくは90
〜200℃である。水素化反応の圧力は、通常0.1〜
25MPaの範囲であり、特に好ましくは0.5〜15
MPaである。水素化反応に要する時間は、重合体溶液
の濃度、反応系の温度、圧力とも関係するために特に限
定することはできないが、通常5分〜240時間であ
る。
【0065】本発明の透明炭化水素系重合体を反応溶液
から分離回収する方法としては、重合体を反応溶液から
回収する際に通常使用される方法を採用することができ
る。例えば反応溶液と水蒸気を直接接触させることで重
合溶媒を蒸発除去させる水蒸気凝固法、重合溶媒と混合
可能な重合体の貧溶媒に添加して重合体を沈澱させる方
法、反応溶液を薄膜状にした上で加熱を行い溶媒を留去
させる方法、ベント付き押出機で溶媒を留去しながらペ
レット化まで行う方法などを例示することができ、透明
炭化水素系重合体及び用いた溶媒の性質に応じて最適な
方法を採用することが可能である。
【0066】更に重合開始剤に含有される金属、アミン
類、水素化触媒金属などを極めて低減させた高純度の透
明炭化水素系重合体を得ることが必要な場合は、該透明
炭化水素系重合体溶液中の金属イオンを適当なキレート
化剤で水可溶化した上で高純度イオン交換水との交流接
触にて抽出除去する方法、イオン交換樹脂カラムによる
イオン性不純物除去方法、二酸化炭素超臨界法を使用し
た金属イオン及び低分子アミン除去方法を必要に応じて
実施することが可能である。
【0067】また、本発明の透明炭化水素系重合体の分
離回収時には該共重合体の熱的安定性、紫外線などに対
する安定性及び難燃性を向上させるため、光線透過率等
の物性に悪影響を及ぼさない範囲内で公知の安定剤及び
酸化防止剤、具体的にはフェノール系、有機ホスフェー
ト系、有機ホスファイト系、アミン系、イオウ系、ケイ
素含有系、ハロゲン系等の種々の安定剤、酸化防止剤、
難燃剤を添加することが可能である。これら安定剤、酸
化防止剤、難燃剤の一般的添加量は、重合体100重量
部に対し、0.001から5重量部の範囲から選択され
る。
【0068】
【実施例】以下に、実施例及び比較例によって本発明を
更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施
例に限定されるものではない。なお、本発明に用いた単
量体、炭化水素化合物溶媒、エーテル化合物は事前に不
活性ガス下で蒸留精製したものを使用した。数平均分子
量及び重量平均分子量分布としてはゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準
ポリスチレン換算の値を示す。各単量体の転化率はガス
クロマトグラフィーにより求めた。高分子のガラス転位
温度(Tg)は熱天秤で求めた。水素化率は核磁気共鳴
(NMR)解析で求めた。溶解性試験は各種溶媒、室温
下にて各種濃度の溶解性を目視で判定した。
【0069】ガスクロマトグラフィー測定 β,β’−オキシジプロピオニトリルをカラム充填物に
したパックドカラム、検出器には水素炎イオン化検出器
を使用している(株)島津製作所製GC−14を用い
た。移動相はHe、カラム温度90℃、インジェクショ
ン及びディテクター部の温度は200℃で行った。実際
の各成分の転化率を求めるにあたり内部標準としてエチ
ルベンゼンを使用した。
【0070】ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
測定 合成例で示した重合後の高分子の数平均分子量測定、重
量分子量分布測定には、Showdexカラム(K−8
02、同804、同805)を付した東ソー製HLC−
8020型装置を使用した。測定はテトラヒドロフラン
移動相、カラム温度40℃の条件で行った。分子量は標
準ポリスチレンサンプルの溶出時間から作成した検量線
から、ポリスチレン換算分子量として算出した。合成例
で示した水素化後の高分子はテトラヒドロフランへの溶
解度が低いため高分子ラボラトリー社製PL−210高
温GPCを用いて測定した。移動相はo−ジクロロベン
ゼン、カラム温度は130℃とした。
【0071】ガラス転位温度(Tg)の測定方法 ガラス転移温度は熱天秤(以後、DSCという。)(パ
ーキンエルマー社製DSC−7)を用い、毎分10℃の
昇温速度で測定した。
【0072】水素化率の測定方法 NMR装置(日本電子(株)製 JEOL−EX27
0)を使用して水素化率を求めた。測定溶媒:o−ジク
ロロベンゼン−d4、濃度:12.5mg/0.5c
3、温度:135℃。
【0073】表面分析 UV−レーザーアブレーション後、酸素プラズマ処理後
の表面をX線光電子分光法(以後、XPSという。)
(Kratos Axis Ultra X−ray
photoelectron spectromete
r)で分析した。
【0074】電気浸透流測定 高電圧発生装置(CZE1000,Spellman社
製)を用い、Huang等の方法(Anal.Che
m.,1988,60,P.1837−1838)で電
気浸透流を測定した。測定条件はリン酸緩衝液13.4
mM濃度、pH=7、流路長2cm、電圧300Vであ
る。
【0075】蛍光測定 蛍光スキャナー(Molecular Dynamic
s社製)を用いて蛍光を測定した。励起光として450
nmの光を用い、530nm蛍光を測定した。また、液
体試料として18mMnoリン酸緩衝液にフルオレッセ
イン(Fluka社製)を114mM溶かしたものを用
いた。
【0076】電気泳動分析 高電圧発生装置(CZE1000,Spellman社
製)を用い、CCD(電荷転送素子)カメラ(CF 8
/4,Kappa社製)付きの共焦点顕微鏡(Axio
vert 25,Lamp HPO 100/2W Z
eiss社製)で検出を行った。検出データはIMAQ
ボードでコンピューター処理した。電気泳動分析用の試
薬として、フルオレッセイン(Fluka社製)及びフ
ルオレッセイン バイオティン(シグマ社製)、フルオ
レッセイン イソシアネート デキストラン 4000
コンジュゲート(Fluka社製)(70μM)を用
いた。
【0077】合成例1 (CHD/α−MS/Bdコポリマー)5dm3高圧反
応器を乾燥窒素で十分に乾燥、脱酸素を実施した。次い
で反応溶媒としてシクロヘキサン1755g、テトラヒ
ドロフラン21.3gを加え、更に1,3−ブタジエン
(以後、Bdという)148.5gを加えて、攪拌を実
施しながら内部温度を40℃に昇温した。0.8規定
1,3−ビス(1−リチウム−1,3,3−トリメチル
ブチル)ベンゼン/トリエチルアミン等モル混合物のシ
クロヘキサン溶液(以後、DiLiという)18.36
gを加え重合を開始した。重合温度を40℃から45℃
で制御し、1時間攪拌を続けた。1時間後冷却を開始
し、反応器を内部温度5℃にまで急冷却した。この時点
で反応液の一部をサンプリングしBdが完全に重合し、
Bdモノマーが消費されたことを確認した。次いで絶乾
状態のテトラヒドロフラン608.6gを加え、α−メ
チルスチレン(以後、α−MSという。)110g、シ
クロヘキサジエン(以後、CHDという)341gを順
に添加した。反応中の温度は5℃から15℃で制御し
た。12時間後メタノール1.6gで反応を停止した。
反応溶液を20倍容量のメタノールに加え再沈回収を実
施し、減圧乾燥により高分子を得、ガラス転移温度(T
g)を測定した。CHDの転化率は93.1%、α−M
Sは83.3%であった。Tgは2点測定され、低温側
が−44℃、高温側が157℃であった。数平均分子量
は68700であった。
【0078】次いで乾燥窒素下にてこの重合液1300
gと、シクロへキサン1350gに分散させたエヌ・イ
−・ケムキャット社製5%パラジウムアルミナ粉体55
0g(平均粒子径40μm)とを混合し、5dm3高圧
反応器に加えた。高純度窒素、次いで高純度水素で十分
に内部ガスを置換し、反応器内部を7.85MPaにし
た。その後、水素圧を保ちながら、徐々に反応器内部温
度を上昇させ160℃に到達後8時間反応を継続した。
内部温度を室温まで冷却後、窒素下にて0.2μmPT
FEメンブランを使用した加圧濾過器でパラジウムアル
ミナ粉体触媒を除去し、透明な高分子溶液を得た。濾過
後の高分子溶液を全容積の4倍のアセトンに注ぎ込み、
析出後、回収を実施した。回収高分子は真空乾燥器で乾
燥し、残留溶媒を除去し、CHD水素化率98%、α−
MS水素化率92%、Bd水素化率100%の回収高分
子を得た。
【0079】ガラス転移温度は二つ認められ水素化後の
ポリマーが相分離構造を維持していることを示した。低
温側のガラス転移温度は−44℃、高温側のガラス転移
温度は209℃であった。水素化後のポリマー30gを
トルエン70gに溶解し、ガラス上にドクターブレード
を用いてコーティングし、3日間室温(25℃)で乾燥
させた。その後、ガラス板より剥離し、真空乾燥器にて
180℃で8時間乾燥を行い、厚さが0.030±0.
002mmの範囲にある平膜(以後、0.03mmの平
膜という。)と0.10±0.01mmの範囲にある平
膜(以後、0.1mmの平膜という。)を得た。
【0080】合成例2 (ノルボルネン開環重合体)市販の透明炭化水素系重合
体であるノルボルネンの開環重合体でシクロペンタンと
エチレンの交互共重合体(日本ゼオン(株)製 ゼオノ
ア1600R)30gをトルエン70gに溶解し、ガラ
ス上にドクターブレードを用いてコーティングし、3日
間室温(25℃)で乾燥させた。その後、ガラス板から
剥離し、真空乾燥器にて160℃で8時間乾燥を行い、
厚さが0.03±0.002mmの範囲の平膜(以後、
0.03mmの平膜という。)と0.100±0.01
mmの範囲にある平膜(以後、0.1mmの平膜とい
う。)を得た。
【0081】実施例1 合成例1で得られた厚さ0.1mmの平膜を用いて、ま
ずUV−レーザーアブレーションによる流路の形成を行
い、下部基板を得た。UVレーザー(Lambda P
hysikLPX 205i,ドイツ製)とX,Yステ
ッパー(Microcontrol,フランス製)を用
いた。平膜をX,Yステッパーに固定し、フォトマスク
と10:1レンズを通して約150nmのUV−レーザ
ーパルスを200mj/パルス、50Hzの条件で照射
した。平膜は水平方向に0.15mm/s又は0.20
mm/sの速度で移動し、長さ40mm、最大幅40μ
m、深さ40μmの直線とダブルT字の流路を形成し
た。図1に形成された下部基板の流路の顕微鏡写真を示
す。レーザーアブレーションにより表面平滑性の高い長
方形の流路が形成された。一方、上部基板として合成例
1で得られた厚さ0.03mmの平膜を用い、下部基
板、上部基板が同じ組成の透明炭化水素系重合体となる
ように組み合わせた。両基板の接着する面の全体を、そ
れぞれプラズマストリッパー(MICRO−ONDES
TEPLA300)を用い、圧101Pa、酸素ガス
流量400ml/min、電力500W、時間15se
cの条件で酸素プラズマ処理した。その後直ぐに温度1
30℃、速度0.2m/minでラミネータ(RLM4
19P、スイス製)を用い、該両基板を酸素プラズマ処
理した面同士が合わさるように熱圧着した。Tgより数
十℃低い温度で良好に接着できることを流路の断面を顕
微鏡で観察することで確認した。図2A〜Cに上部基板
を熱圧着した後の流路の断面の顕微鏡写真を示す。PE
密着層を使用していないため溶融した密着層のはみ出し
のない極めて綺麗な流路が形成されていることが分かっ
た。また、酸素プラズマ処理前後の表面をX線光電子分
光法(以後、XPSという。)(Kratos Axis社製 Ult
ra)で分析した結果、酸素/炭素の比が9.7/96.
9から23.8/76.2と大きく増加しており表面の
変性が確認された。
【0082】実施例2 実施例1で得られたマイクロチップを用いて電気浸透流
を測定した。電気浸透流は6.56×10-82-1
-1を示し、後述する比較例2でPE密着層を用いて作成
されたマイクロチップの電気浸透流5.22×10-8
2-1-1より高い値を示した。これは酸素プラズマ処
理によるマイクロチップ表面の変性で電気浸透流が高く
なっていると考えられる。
【0083】実施例3 実施例1で得られたマイクロチップの蛍光測定の結果を
図3Bに示す。比較例1の結果とともに図3に示す。比
較例1でPETとPE密着層を用いて作成されたマイク
ロチップはPETに起因する蛍光によるバックグラウン
ドで黒く見えているのに対し、実施例1で得られたマイ
クロチップは白く見えていることから蛍光によるバック
グラウンドがほとんど無いことが分かる。その結果、よ
り高感度で蛍光資料の分析が可能となる。
【0084】実施例4 実施例1で得られたマイクロチップの電気泳動分析の結
果を図4に示す。テストサンプルとして、フルオレッセ
イン(Fluka社製)及びフルオレッセイン バイオティ
ン(シグマ社製)を用いた。緩衝液としてリン酸緩衝液
10mMを使用した。また、230μmダブルT字の流
路を採用した。電気泳動の結果、上記2成分が極めて良
好に、また、極めて短時間で分離できることを確認し
た。
【0085】実施例5 合成例2で得られた厚さ0.1mmと厚さ0.03mm
の平膜を用いて実施例1と同様な方法により作成したマ
イクロチップを用いて電気浸透流を測定した。電気浸透
流は6.32×10-82-1-1を示し、後述の比較
例2でPE密着層を用いて作成されたマイクロチップの
電気浸透流4.72×10-82-1- 1より高い値を
示した。これは酸素プラズマ処理によるマイクロチップ
表面の変性効果で電気浸透流が高くなっていると考えら
れる。
【0086】実施例6 合成例1で得られた厚さ0.1mmと0.03mmの平
膜を用いてプラズマ処理条件の電力を200Wとした以
外は実施例1と同様な方法でマイクロチップを作成し
た。実施例2と同様な方法で電気浸透流を測定し、5.
50×10-82-1-1の値を得た。
【0087】実施例7 合成例2で得られた厚さ0.1mmと0.03mmの平
膜を用いてプラズマ処理条件の電力を200Wとした以
外は実施例5と同様な方法でマイクロチップを作成し
た。実施例2と同様な方法で電気浸透流を測定し、5.
28×10-82-1-1の値を得た。
【0088】実施例8 合成例1及び2で得られた厚さ0.1mm平膜を用い、
実施例1と同様な方法により流路を形成し下部基板を得
た。この下部基板を実施例1と同様な条件で酸素プラズ
マ処理を行った後、上部基板として厚さ0.03mmの
PET平膜、密着層として厚さ0.03mmのPE平膜
を用いて、温度125℃、速度0.2m/minでラミ
ネータを用いて熱圧着しマイクロチップを得た。電気浸
透流を測定した結果、合成例1から作成したマイクロチ
ップは5.98×10-82-1-1を合成例2から作
成したマイクロチップは5.60×10-82-1-1
の値を示した。
【0089】実施例9 実施例1と全く同じ方法でマイクロチップを作成し、ロ
ット間のばらつきを見た。その結果を表1に示す。流路
長2cmの液体試料移送に要する時間にほとんどばらつ
きが無く、再現性の高いことが分かる。
【0090】実施例10 実施例1で得られたマイクロチップを質量分析計(Fi
nnigan社製)に連結した装置(ナノスプレー)で
ミオグロビン1mg/mlの試料を計測した。その結果
を図5に示す。全シグナルのピーク強度は108(ミオ
グロビンを添加しない試料の計測結果の図6より、バッ
クグラウンドは105)と極めて高く、しかも安定な計
測結果が得られている。
【0091】比較例1 厚さ0.1mmのPETを用い、実施例1と同様な方法
により流路を形成し下部基板を得た。この下部基板と上
部基板として厚さ0.03mmのPETフィルム、密着
層として厚さ0.03mmのPEフィルムを用いて、温
度125℃、速度0.2m/minでラミネータを用い
て熱圧着しマイクロチップを得た。流路の断面を顕微鏡
で観察した写真を図2Dに示す。接着は達成されてはい
るが、流路に溶融した密着層のはみ出しが認められた。
さらに実施例3と同様な方法により蛍光測定を行った結
果を図3Aに示す。
【0092】比較例2 合成例1及び2で得られた厚さ0.1mm平膜を用い、
実施例1と同様な方法により流路を形成し下部基板を得
た。この下部基板と上部基板として厚さ0.03mmの
PET平膜、密着層として厚さ0.03mmのPE平膜
を用いて、比較例1と同様な方法で熱圧着しマイクロチ
ップを得た。電気浸透流を測定した結果、合成例1から
作成したマイクロチップは5.22×10-82-1
-1を合成例2から作成したマイクロチップは4.72×
10-82-1-1の値を示した。
【0093】
【表1】
【0094】
【発明の効果】本発明によって、透明で、紫外線領域に
おける吸収の少ない、微細で表面平滑性の良好で寸法精
度の高い流路を有する樹脂製のマイクロチップを提供す
ることができる。また、酸素プラズマ処理により電気浸
透流を高くすることができるため液体試料の速やかな移
送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のUV−レーザーアブレーションによ
り形成された流路の右上からの顕微鏡写真である。
【図2】(A)実施例1の下部基板に形成された流路の
断面の顕微鏡写真、(B)実施例1の酸素プラズマ処理
をした後に熱圧着して形成された流路の断面の顕微鏡写
真、(C)(A)の拡大顕微鏡写真、及び(D)比較例
1のPE密着層を用い、PET平膜を上部基板として熱
圧着して形成された流路の断面の顕微鏡写真である。
【図3】実施例1及び実施例2及び比較例1で得られた
マイクロチップの蛍光測定の顕微鏡写真である。(A)
比較例1、(B)実施例1。
【図4】実施例1で得られたマイクロチップの電気泳動
分析のグラフ図である。
【図5】実施例10で得られたマイクロチップ質量分析
装置(ナノスプレー)のミオグロビン1mg/mlの計
測結果のグラフ図である。
【図6】実施例10で得られたマイクロチップ質量分析
装置(ナノスプレー)のミオグロビンを添加しない試料
の計測結果(バックグラウンド)のグラフ図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/26 331K (72)発明者 ヒューバート エッチ ジロー スイス国、シーエイチ − 1088 ローザ ンヌ (72)発明者 名取 至 静岡県富士市鮫島2番地の1 旭化成株式 会社内 Fターム(参考) 4F073 AA01 BA06 BA07 BB02 BB03 CA01 HA11 4J100 AA02Q AA03Q AA04Q AA17Q AA20Q AB01S AB02S AB03S AB04S AB07S AB08S AB13S AB16S AQ12S AR04P AR05P AR09P AR10P AR11P AR15R AR17R AR18R AS01T AS02T AS03T AS04T BA05S BC43S BC69S CA03 CA04 CA05 CA06 DA36 DA62 DA65 HE29 JA17 JA24

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体試料が流動する微細な流路を有する
    下部基板と、上部基板とを少なくとも有する、液体試料
    の電気的及び/又は光学的計測を行うためのマイクロチ
    ップであって、少なくとも下部基板が下記式(1)で表
    される透明炭化水素系重合体からなり、且つ少なくとも
    下部基板の流路を有する側の表面を酸素プラズマ処理し
    た後、下部基板と上部基板を上記透明炭化水素系重合体
    のガラス転移温度(Tg)未満の温度で熱圧着させて得
    られることを特徴とするマイクロチップ。 【化1】 [式(1)は、重合体の組成式を表す。(A)〜(F)
    は、それぞれ高分子主鎖を構成する繰り返し単位を表
    す。l〜qは、それぞれ高分子主鎖に含有される繰り返
    し単位のwt%を表す。 (A):環状共役ジエン系単量体に由来する少なくとも
    一種の繰り返し単位。 (B):環状オレフィン系単量体に由来する少なくとも
    一種の繰り返し単位。 (C):ビニル芳香族系単量体に由来する少なくとも一
    種の繰り返し単位。 (D):鎖状共役ジエン系単量体に由来する少なくとも
    一種の繰り返し単位。 (E):エチレン、α−オレフィン系単量体に由来する
    少なくとも一種の繰り返し単位。 (F):その他共重合可能な単量体に由来する少なくと
    も一種の繰り返し単位。 ただし、l+m+n+o+p+q=100、50≦m+
    p≦100、重合体の数平均分子量は20000以上5
    00000以下である。]
  2. 【請求項2】 式(1)で表される透明炭化水素系重合
    体が、その主鎖及び/又は側鎖にシクロへキサン環を少
    なくとも1個含有する請求項1記載のマイクロチップ。
  3. 【請求項3】 式(1)において、(E)としてエチレ
    ン単量体、プロピレン単量体、エチルエチレン単量体、
    イソプロピルエチレン単量体、及び2−エチルプロピレ
    ン単量体から選ばれる少なくとも1種に由来する繰り返
    し単位を含み、該繰返し単位の含有量が透明炭化水素系
    重合体全量に対し5wt%以上70wt%以下である請
    求項1又は2記載のマイクロチップ。
  4. 【請求項4】 液体試料が流動する微細な流路が、レー
    ザーアブレーションにより形成された流路である請求項
    1、2又は3記載のマイクロチップ。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載のマイクロ
    チップと、質量分析計と連結させることによって得られ
    る、上記マイクロチップの流路を流れる液体試料の所定
    成分を分析する装置。
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