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JP2003033185A - エノン還元酵素 - Google Patents

エノン還元酵素

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JP2003033185A
JP2003033185A JP2001222379A JP2001222379A JP2003033185A JP 2003033185 A JP2003033185 A JP 2003033185A JP 2001222379 A JP2001222379 A JP 2001222379A JP 2001222379 A JP2001222379 A JP 2001222379A JP 2003033185 A JP2003033185 A JP 2003033185A
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ketone
enzyme
enone reductase
polynucleotide
protein
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Hiroaki Yamamoto
浩明 山本
Kunihiro Kimoto
訓弘 木本
Motoko Hayashi
素子 林
Yasushi Kawai
靖 河合
Norihiro Tokito
宣博 時任
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Daicel Chemical Industries Ltd
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、新規なエノン還元酵素、該酵素をコ
ードする遺伝子を提供することを課題とする。さらに、
本発明は、該酵素の活性を利用してα,β−不飽和ケト
ンの炭素−炭素2重結合を選択的に還元する方法、特に
高い光学純度を持つ光学活性ケトンの製造方法の提供を
課題とする。 【解決手段】クライベロマイセス・ラクティス (Kluyve
romyces lactis) がα,β−不飽和ケトンのα,β−不
飽和結合をNADP依存的に選択的に還元すること、ケトン
の還元活性を実質的に持たないこと、3-Methyl-4-(3-py
ridyl)-3-buten-2-oneなどを還元してほぼ100% ee の
(S)体光学活性ケトンを生成することを確認した。更
に、該酵素をコードする遺伝子を単離した。そしてこの
酵素やそのホモログ、あるいはこれらを産生する細胞等
によって、α,β−不飽和ケトンの炭素−炭素2重結合
の選択的な還元が可能となることを見出した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α,β−不飽和ケ
トン(以下、エノン (enone) と略す)のα,β−不飽
和結合の還元に有用な、新規なエノン還元酵素、該酵素
をコードするDNA、該酵素の製造方法、該酵素ならびに
該酵素に相同性を有する蛋白質を用いたα,β−不飽和
ケトンの炭素−炭素2重結合を選択的に還元する方法、
特に光学活性ケトンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ケトンは、有機合成における原料として
極めて汎用性の高い化合物である。また、ケトンは、医
薬品合成において重要な光学活性中間体である光学活性
アルコール、光学活性アミンの原料としても重要な化合
物である。特に光学活性ケトンは、様々な医薬品の合成
原料として有用である。これらのケトンの前駆体とし
て、例えば、アルデヒドとケトンの縮合反応により得ら
れるα,β−不飽和ケトンが有用である。
【0003】例えば、アセトアルデヒドと2−ブタノン
を縮合することにより3−メチル−3−ペンテン−2−
オン(3-methyl-3-penten-2-one; J. Amer. Chem. So
c., 81, 1117-1119 (1959))を容易に調製することがで
きる。
【0004】種々のケトンは、α,β−不飽和カルボニ
ル化合物の、α,β−不飽和結合を選択的に還元するこ
とにより得ることができる。カルボニル基の還元反応を
伴わずに、α,β−不飽和結合のみを選択的に還元する
方法としては、Ni触媒やPd-C触媒を用いた水素添加反応
などが知られている(「接触水素化反応」p135、東京化
学同人 (1987))。これらの方法は、反応を継続するこ
とによりカルボニル基も還元される、環境に対して負荷
の大きい金属を触媒として利用する、高圧の水素を利用
するなどの問題がある。カルボニル基の還元は、ケトン
の収率の低下を意味している。
【0005】一方、生物学的な反応によってα,β−不
飽和ケトンの炭素−炭素2重結合を選択的に還元する方
法としては、次のような生物を用いた方法が報告されて
いる。 ・植物細胞(J. Nat. Prod. 56, 1406-1409 (1993)) ・パン酵母(Tetrahedron Lett. 52, 5197-5200 (1978)
, Bull. Chem. Soc. Jpn. 64, 3473-3475 (1991) , Te
trahedron Asym. 6, 2143-2144 (1995)他) ・カビ(J. Org. Chem. 47, 792-798 (1982)) しかしこれらの方法では、カルボニル基の還元反応を伴
う、反応性が低い、細胞の大量調製が困難など問題があ
る。
【0006】この他にα,β−不飽和カルボニル化合物
の還元酵素としては、以下のような酵素が報告されてい
る。これらの酵素は、いずれも基質特異性が明らかにさ
れていない、あるいはα,β−不飽和結合の還元におけ
る立体選択性が低い、もしくは、明らかにされていな
い、といった理由により、工業的な利用には不向きであ
る。 クロストリジウム・チロブチリカム(Clostridium tyrob
utyricum)由来の2−エノエート還元酵素 (2-enoate re
ductase, E.C.1.3.1.31) (J. Biotechnol. 6,13-29 (1
987)) クロストリジウム・クライベリ (Clostridium kluyver
i) 由来のアクリロイル−CoA還元酵素 (acryloyl-CoA r
eductase) (Biol. Chem. Hoppe-Seyler 366, 953-961
(1985) ) Kluyveromyces lactis由来のエノン還元酵素-I (KLER1,
特願2001-049363) パン酵母より精製されたエノン還元酵素YER−2(京
都大学・河合ら、第4回生体触媒シンポジウム講演要旨
集p58 (2001) ) パン酵母より精製されたエノン還元酵素EI及びEII
(Eur. J. Biochem. 255, 271-278 (1998)) サッカロミセス・カールズバーゲンシス (Saccharomyce
s carlesbergensis) 由来の旧黄色酵素 (Old Yellow En
zyme-1, 以下、OYE1と略す) タバコ(Nicotiana tabacum)細胞由来のエノン還元酵
素(ベルベノン還元酵素(verbenone reductase, 別名
p90)(J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1993,1426-1
427、Chem. Lett. 2000, 850-851) タバコ(Nicotiana tabacum)細胞由来のエノン還元酵
素であるカルボン還元酵素(別名、エノン還元酵素−
I、もしくはp44、Phytochemistry 31, 2599-2603
(1992) タバコ(Nicotiana tabacum)細胞由来のエノン還元酵
素であるエノン還元酵素−II 、p74(Phytochemi
stry 31, 2599-2603 (1992))、植物の1種ユーグレナ
・グラシリス(Euglena gracilisPhytochemistry 49, 4
9-53 (1998))やアスタシア・ロンガ(Astasia longa)
から精製されたエノン還元酵素(Phytochemistry 49, 4
9-53 (1998)) ラット肝臓より精製されたエノン還元酵素(Arch. Bioc
hem. Biophys. 282, 183-187 (1990))
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、α,β−不
飽和ケトンのα,β−不飽和結合を選択的に還元し、
α,β−飽和ケトン、特に高い光学純度を持つ光学活性
ケトンを生成する酵素活性を有する新規なエノン還元酵
素、該酵素をコードする遺伝子を提供することを課題と
する。さらに、本発明は、該酵素並びに該酵素を生産す
る生物を利用してα,β−不飽和ケトンの炭素−炭素2
重結合を選択的に還元する方法、特に高い光学純度を持
つ光学活性ケトンの製造方法の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、エノン還
元活性を有する酵素の探索を目的に、メチルビニルケト
ンから2−ブタノンを生成する酵素をスクリーニングし
た結果、クライベロマイセス・ラクティス (Kluyveromy
ces lactis) が目的とする活性を有することを見出し
た。次に、クライベロマイセス・ラクティスの菌体より
目的とする活性を有する酵素を精製し、その性質を明ら
かにした。この酵素は、α,β−不飽和ケトンのα,β
−不飽和結合をβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオ
チドリン酸依存的に選択的に還元すること、ケトンの還
元活性を実質的に持たないこと、本酵素が3-Methyl-4-
(3-pyridyl)-3-buten-2-oneなどを還元してほぼ100% ee
の(S)体光学活性ケトンを生成することを確認した。
【0009】次に本発明者らは、該酵素の部分アミノ酸
配列を解析した結果、ゲノム配列からの予想ORFとして
報告されているKluyveromyces Yellow Enzyme (KYE1; Y
east11, 459-465 (1995)) と一致することを見いだし
た。更に、この予想ORFをクローニングし、大腸菌によ
り発現させ、その発現産物の活性を確認することによ
り、この予想ORFが本発明の酵素KLER2をコードする遺伝
子であることを確認した。そしてこの酵素やそのホモロ
グ、あるいはこれらを産生する細胞等によって、α,β
−不飽和ケトンの炭素−炭素2重結合の選択的な還元が
可能となることを見出し本発明を完成した。以下、β−
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸はNADP、
β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドはNAD、そ
してこれらの還元型をNADPHあるいはNADHと記載する。
【0010】すなわち本発明は、次のエノン還元酵素、
該酵素をコードするDNA、該酵素の製造方法、該酵素な
らびに該酵素に相同性を有する蛋白質を用いたα,β−
不飽和ケトンの炭素−炭素2重結合を選択的に還元し、
特に光学活性ケトンを生産する方法に関する。 〔1〕 次の(A)から(C)に示す理化学的性質を有
する、エノン還元酵素。 (A)作用 還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン
酸を電子供与体として、α,β−不飽和ケトンの炭素−
炭素2重結合を還元し、対応する飽和炭化水素を生成す
る。 (B)基質特異性 (1) 電子供与体としては、還元型β−ニコチンアミドア
デニンジヌクレオチドよりも還元型β−ニコチンアミド
アデニンジヌクレオチドリン酸に対して、有意に高い活
性を有する。 (2)不飽和ケトンの炭素−炭素2重結合を還元するが、
実質的にケトンの還元活性は無い。 (3) 3-Methyl-4-(3-pyridyl)-3-buten-2-oneのα,β−
不飽和結合を選択的に還元し、90% ee以上の (S)-3-met
hyl-4-(3-pyridyl)-3-butan-2-oneを生成する。 (C)分子量 ドデシル硫酸ナトリウム −ポリアクリルアミドゲル電
気泳動により約47,000。ゲル濾過により約92,
000。 〔2〕 更に次に示す理化学的性質(D)−(E)を有
する〔1〕に記載のエノン還元酵素。 (D)作用pH pH 5.0−8.0 (E)至適温度 37−45℃ 〔3〕 クライベロマイセス(Kluyveromyces)属に由
来する〔1〕に記載の新規エノン還元酵素。 〔4〕 クライベロマイセス属に属する微生物がクライ
ベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)で
あることを特徴とする、〔3〕に記載の新規エノン還元
酵素。 〔5〕 クライベロマイセス属に属し、〔1〕に記載の
エノン還元酵素生産能を有する微生物を培養することを
特徴とする〔1〕に記載のエノン還元酵素を取得する方
法。 〔6〕 クライベロマイセス属に属する微生物が、クラ
イベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)
である、〔5〕に記載の方法。 〔7〕 下記(a)から(e)のいずれかに記載のポリ
ヌクレオチド。 (a)配列番号:1に記載の塩基配列を含むポリヌクレ
オチド、(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列をコ
ードするポリヌクレオチド、(c)配列番号:2に記載
のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が
置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配
列からなり、下記の理化学的性状(A)および(B)を
有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド、(d)配
列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド
とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、下記
の理化学的性状(A)および(B)を有する蛋白質をコ
ードするポリヌクレオチド、(e)配列番号:2に記載
のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸
配列からなり、下記の理化学的性状(A)および(B)
を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド、 (A)作用 還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン
酸を電子供与体として、α,β−不飽和ケトンの炭素−
炭素2重結合を還元し、対応する飽和炭化水素を生成す
る。 (B)基質特異性 (1) 電子供与体としては、還元型β−ニコチンアミドア
デニンジヌクレオチドよりも還元型β−ニコチンアミド
アデニンジヌクレオチドリン酸に対して、有意に高い活
性を有する。 (2)不飽和ケトンの炭素−炭素2重結合を還元するが、
実質的にケトンの還元活性は無い。 (3) 3-Methyl-4-(3-pyridyl)-3-buten-2-oneのα,β−
不飽和結合を選択的に還元し、90% ee以上の (S)-3-met
hyl-4-(3-pyridyl)-3-butan-2-oneを生成する。 〔8〕 〔7〕に記載のポリヌクレオチドによってコー
ドされる蛋白質。
〔9〕 〔7〕に記載のポリヌクレオチドが挿入された
組換えベクター。 〔10〕 更にβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオ
チドリン酸を補酵素とする酸化還元反応を触媒すること
ができる脱水素酵素をコードするポリヌクレオチドが挿
入された、
〔9〕に記載の組換えベクター。 〔11〕 酸化還元反応を触媒することができる脱水素
酵素が、グルコース脱水素酵素であることを特徴とする
〔10〕記載の組換えベクター。 〔12〕 〔7〕に記載のポリヌクレオチド、または
〔9〕に記載のベクターを発現可能に保持した形質転換
体。 〔13〕 〔12〕に記載の形質転換体を培養する工程
を含む〔8〕に記載の蛋白質の製造方法。 〔14〕 〔1〕に記載のエノン還元酵素、〔8〕に記
載の蛋白質、該酵素または蛋白質を産生する微生物、お
よび該微生物の処理物、からなる群から選択されるいず
れかの酵素活性物質を、α,β不飽和ケトンに作用さ
せ、生成するケトンを回収する工程を含む、α,β−不
飽和ケトンの炭素−炭素2重結合を選択的に還元し、飽
和ケトンを生産する方法。 〔15〕〔1〕に記載のエノン還元酵素、〔8〕に記載
の蛋白質、該酵素または蛋白質を産生する微生物、およ
び該微生物の処理物、からなる群から選択されるいずれ
かの酵素活性物質を、α位、および/またはβ位に置換
基を有するα,β不飽和ケトンに作用させ、生成する光
学活性ケトンを回収する工程を含む、α,β−不飽和ケ
トンの炭素−炭素2重結合を選択的に還元し、光学活性
飽和ケトンを生産する方法。 〔16〕微生物が、〔12〕に記載の形質転換体である
〔15〕に記載の方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、次の(A)−(C)に
示す理化学的性質を有するエノン還元酵素を提供する。 (A)作用 還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン
酸を電子供与体として、α,β−不飽和ケトンの炭素−
炭素2重結合を還元し、対応する飽和炭化水素を生成す
る。 (B)基質特異性 (1) 電子供与体としては、NADHよりもNADPHに対して、
有意に高い活性を有する。 (2)不飽和ケトンの炭素−炭素2重結合を還元するが、
実質的にケトンの還元活性は無い。 (3) 3-Methyl-4-(3-pyridyl)-3-buten-2-oneのα,β−
不飽和結合を選択的に還元し、90% ee以上の (S)-3-met
hyl-4-(3-pyridyl)-3-butan-2-oneを生成する。 (C)分子量 ドデシル硫酸ナトリウム −ポリアクリルアミドゲル電
気泳動により約47,000。ゲル濾過により約92,
000。
【0012】本発明のエノン還元酵素は、望ましくは更
に次の理化学的的性質(D)−(E)を備える。 (D)作用pH pH 5.0−8.0 (E)至適温度 37−45℃
【0013】本発明の酵素のNADPHに対する反応性がNAD
Hに対する反応性に比較して有意に高いとは、少なくと
も2倍以上、好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍
以上高い活性を言う。NADPHとNADHに対する反応性は、
実施例に示すような方法によって比較することができ
る。すなわち、同一のα,β−不飽和ケトンを基質と
し、両者を用いてケトンを生成させる。このときに消費
されるNADPH、あるいはNADHの量を比較すれば、反応性
を比較することができる。
【0014】また本発明において、エノン還元酵素が基
質に対して実質的に作用しないこととは、具体的には、
メチルビニルケトンにおけるオレフィンに対する還元活
性の1%以下であることを言う。またα,β−不飽和結
合の選択的な還元とは、オレフィンを還元するための条
件下で、ケトンが実質的に還元されないことを言う。本
発明において、ケトン部分が還元された生成物が、たと
えば基質の5%以下、通常2%以下、望ましくは1%以
下であるときに、ケトンが実質的に還元されないと言
う。ケトン部分を還元する活性は、たとえば2−ブタノ
ンに被検酵素を作用させ、還元生成物の量を定量するこ
とにより比較することができる。還元生成物の量は、NA
DPHの減少を指標として知ることもできる。
【0015】本発明の酵素は、該酵素を産生する微生物
から通常の蛋白質の精製方法により、精製することがで
きる。例えば、菌体を破砕後、プロタミン硫酸沈澱を行
い、その遠心分離上清を硫酸アンモニウムを用いて塩析
し、更に、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロ
マトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、
ゲルろ過などを組み合わせることにより、精製すること
ができる。
【0016】本発明において、エノンに対する還元活性
は、次のようにして確認することができる。本発明にお
いてエノンとは、α,β不飽和ケトンを意味する。 エノンに対する還元活性測定法:50mM リン酸カリウム
緩衝液(pH 6.5)、0.2mM NADPH、20mM メチル
ビニルケトン及び酵素を合む反応液中30℃で反応さ
せ、NADPHの減少にともなう340 nmの吸光度の減少を
測定する。1Uは、1分間に1μmolのNADPHの減少を触
媒する酵素量とした。また、蛋白質の定量は、バイオラ
ッド製蛋白質アッセイキットを用いた色素結合法により
行った。
【0017】上記のような理化学的性状を持つエノン還
元酵素は、たとえばクライベロマイセス属酵母の培養物
より精製することができる。クライベロマイセス属酵母
としては、クライベロマイセス・ラクティス(Kluyvero
myces lactis)が特に本発明によるエノン還元酵素の産
生能に優れる。本発明のエノン還元酵素を得るために利
用することができるクライベロマイセス・ラクティス
は、たとえば、IFO0433、IFO 1012、I
FO 1267、IFO 1673、IFO 1903と
して財団法人発酵研究所より入手することができる。
【0018】上記微生物は、YM培地等の真菌の培養に用
いられる一般的な培地で培養される。十分に増殖させた
後に菌体を回収し、2−メルカプトエタノールやフェニ
ルメタンフルホニルフルオリド等の還元剤やプロテアー
ゼ阻害剤を加えた緩衝液中で破砕して無細胞抽出液とす
る。無細胞抽出液から、蛋白質の溶解度による分画(有
機溶媒による沈澱や硫安などによる塩析など)や、陽イ
オン交換、陰イオン交換、ゲルろ過、疎水性クロマトグ
ラフィーや、キレート、色素、抗体などを用いたアフィ
ニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせるこ
とにより精製することができる。たとえば、フェニル−
セファロースを用いた疎水クロマトグラフィー、MonoQ
を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー、フェニル−
スーパーロースを用いた疎水クロマトグラフィー等を経
て電気泳動的にほぼ単一バンドにまで精製することがで
きる。
【0019】クライベロマイセス・ラクティスから精製
することができる本発明によるエノン還元酵素は、上記
理化学的性質(A)−(C)、および(D)−(F)を
有する。クライベロマイセス・ラクティスから精製する
ことができる本発明によるエノン還元酵素は、公知の
α,β−不飽和カルボニル化合物の還元酵素に対して、
明らかに新規な酵素である。
【0020】たとえば、α,β−不飽和カルボニル化合
物の還元酵素としては、クロストリジウム・チロブチリ
カム(Clostridium tyrobutyricum)由来の2−エノエ
ート還元酵素 (2-enoate reductase, E.C.1.3.1.31) が
知られている。本酵素は、NADH依存的に(E)−2−メ
チル−2−ブテン酸を還元し、(R)−2−メチル酪酸
を生成する(J. Biotechnol. 6, 13-29 (1987))。また
本酵素は、カルボニル残基がカルボン酸、アルデヒド、
あるいはケト酸の場合に基質とするが、ケトン体に対す
る活性は報告されていない。更に、分子量は、ゲル濾過
において80万−94万であり、本発明の酵素(ドデシ
ル硫酸ナトリウム−ゲル電気泳動 (以下、SDS-PAGEと略
す)で43,000、ゲル濾過で42,000)とは明確に異なる。
【0021】また、クロストリジウム・クライベリ (Cl
ostridium kluyveri) 由来のアクリロイル−CoA還元酵
素 (acryloyl-CoA reductase) がエチルビニルケトン還
元活性を有することが報告されている(Biol. Chem. Ho
ppe-Seyler 366, 953-961 (1985) )が、本酵素は補酵
素として還元型メチルビオローゲンを利用し、分子量は
ゲル濾過で28,400、SDS-PAGEで14,200であり本発明の酵
素とは異なる。
【0022】また、本発明者により出願されているクラ
イベロマイセス・ラクティスよりクローニングしたエノ
ン還元酵素(特願2001-049363、以下 KLER1と略す)
は、本発明のエノン還元酵素(以下、KLER2と略す)と
同様に、クライベロマイセス・ラクティスが生産する酵
素であるが、分子量(KLER1は、ゲル濾過による分子量
は約42,000、SDS-PAGEによるモノマーの分子量が約43,0
00のモノマー酵素であるが、KLER2は、ゲル濾過におけ
る分子量が約92,000、SDS-PAGEによるモノマーの分子量
が約47,000の2量体酵素である)、基質特異性(KLER1
は、環状のエノンである2−シクロヘキセノンに対して
実質的に反応しないが、KLER2は環状のエノンも基質と
なりうる)、などが明確に異なる酵素である。
【0023】また、パン酵母より複数のエノン還元酵素
が精製され報告されている。京都大学の河合らは、パン
酵母よりエノン還元酵素(YER−2)を精製し、酵素
化学的性質を報告している(第4回生体触媒シンポジウ
ム講演要旨集p58 (2001) )。本酵素は、本発明の酵素
と同様に3-Methyl-4-(3-pyridyl)-3-buten-2-oneのα,
β−不飽和結合を選択的に還元し、 (S)-3-methyl-4-(3
-pyridyl)-3-butan-2-oneを生成することが報告されて
いるが、その分子量 (ゲル濾過で38,000、SDS-PAGEで4
1,000)は本発明の酵素と異なる。Wannerらは、同じパン
酵母より2種類のエノン還元酵素(EI及びEII)の
精製と性質を報告している(Eur. J. Biochem. 255, 27
1-278 (1998))。EI(ゲル濾過における分子量が75,00
0、SDS-PAGEによる分子量が37,000及び34,000のヘテロ2
量体)、EII (EI(ゲル濾過における分子量が130,000、
SDS-PAGEによる分子量が56,000及び64,000のヘテロ2量
体)ともに分子量などが本発明の酵素とは異なる。
【0024】また、サッカロミセス・カールズバーゲン
シス(Saccharomyces carlesbergensis)やサッカロミ
セス・セレビジアエ (Saccharomyces cerevisiae) 由来
の旧黄色酵素(Old Yellow Enzyme, 以下OYE1と略す)
が、NADPH酸化活性を有すると共に電子受容体として酸
素だけでなく、Cyclohex-2-enone を電子受容体 として
利用し、cyclohexanone を生成することが報告されてい
る(J. Biol. Chem. 268,6097-6106 (1993) )。また、Sa
ccharomyces cerevisiae より同様な活性を有するOYE2,
OYE3がクローニングされている。OYE1遺伝子がクロー
ニングされ、その塩基配列、予想アミノ酸配列が明らか
にされており、本発明のエノン還元酵素KLER2と高いホ
モロジーを有することが明らかとなった(BLAST progra
mを用いたホモロジーサーチの結果、71% identity, 84%
similarity)。この OYE1によるエノンへの水添反応
は、α-炭素に対して Re-面より、β-炭素に対して Si-
面より優先して起こることが推定されている(Biochemi
stry 34, 4246-4256 (1995))。しかし、生成するケト
ンの光学純度は具体的に示されておらず、OYE1 を用い
た光学活性ケトンの製造方法が工業的に必要な純度 (少
なくとも90%ee以上) を満足するか否かは明らかにされ
ていない。
【0025】植物では、タバコ(Nicotiana tabacum)
の細胞より多数のエノン還元酵素(ベルベノン還元酵素
(別名p90)、カルボン還元酵素(別名、エノン還元
酵素−I、別名p44)、エノン還元酵素−II、p7
4)が精製され、その性質が報告されている。ベルベノ
ン還元酵素 (verbenone reductase, p90) は、その
分子量 (ゲル濾過における分子量が90,000、SDS-PAGEに
よる分子量が45,000)が本発明の酵素に近いが、3-Methy
l-4-(3-pyridyl)-3-buten-2-oneに対する還元活性、立
体選択性などは不明であり、また、還元反応の最適pH
が7.2であり、本発明の酵素の6.2とは明らかに異な
る。
【0026】エノン還元酵素-I (p44) は、ゲル濾過に
おける分子量が44,000、SDS-PAGEによる分子量が22,00
0)であり、また、主にNADHを利用することから本発明
の酵素とは異なる。エノン還元酵素−IIは、α,β−
不飽和ケトンのβ位炭素に水素を有さない化合物( (R)
-pulegone)も基質になること、ゲル濾過における分子
量が132,000、SDS-PAGEによる分子量が22,000及び45,00
0であること(Phytochemistry 31,2599-2603 (1992))
から本発明の酵素とは異なる。p74はゲル濾過におけ
る分子量が74,000、SDS-PAGEによる分子量が37,000であ
ることから、これらの酵素は明らかに本発明の酵素とは
異なる。
【0027】また、植物の1種ユーグレナ・グラシリス
(Euglena gracilis; ゲル濾過、SDS-PAGEによる分子量
が共に55,000;)やアスタシア・ロンガ(Astasia long
a;ゲル濾過,、SDS-PAGEによる分子量が共に35,000もし
くは36,000)からもエノン還元酵素が精製されている
(Phytochemistry 49, 49-53 (1998))が、これらの酵
素はいずれも補酵素としてNADHを利用すること、その分
子量が明らかに本発明の酵素とは異なる。
【0028】また、動物ではラット肝臓よりエノン還元
酵素が精製されている(Arch. Biochem. Biophys. 282,
183-187 (1990))。この酵素は、ゲル濾過,、SDS-PAGE
による分子量が共に39,500であり、本発明の酵素とは明
らかに異なる。
【0029】なお本発明の精製酵素の部分アミノ酸配列
は、予想ORFとして報告されているKYE1 (Yeast 11, 459
-465 (1995)と一致した。KYE1は、ゲノムの塩基配列か
らの予想ORFがOYE1とホモロジーを有するためにKluyver
omyces Yellow Enzyme-1 (KYE1) と命名されたものであ
る。KYE1の機能に関しては、KYE1を破壊した遺伝子と天
然の遺伝子を併せ持つ二倍体 (diploid) の粗酵素液に
おけるNADPH 脱水素酵素活性 (チトクロムC及びメナジ
オン存在下におけるNADPH酸化活性) の減少が測定され
ているのみである。つまりKYE1によりコードされる蛋白
質自身が直接NADPH脱水素酵素活性を有することは示さ
れていない。また、KYE1によりコードされる蛋白質の酵
素化学的性質、特に、この蛋白質がエノンに対する還元
活性を有すること、その還元反応が極めて高い立体選択
性を有すること、などは明らかにされていない。
【0030】本発明は、エノン還元酵素およびそのホモ
ログをコードするポリヌクレオチドに関する。本発明に
おいて、ポリヌクレオチドは、DNAやRNAのような天然に
存在するポリヌクレオチドであることもできるし、人工
的に合成されたヌクレオチド誘導体を含むポリヌクレオ
チドであっても良い。
【0031】本発明のエノン還元酵素をコードするポリ
ヌクレオチドは、たとえば配列番号:1に示す塩基配列
を含む。配列番号:1に示す塩基配列は、配列番号:2
に示すアミノ酸配列を含む蛋白質をコードしており、こ
のアミノ酸配列を含む蛋白質は、本発明によるエノン還
元酵素の好ましい態様を構成する。
【0032】なお本発明のポリヌクレオチドは、配列番
号:2に記載のアミノ酸配列をコードすることができる
あらゆる塩基配列を含む。1つのアミノ酸に対応するコ
ドンは、1〜6存在することから、配列番号:2に記載の
アミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNAは、配列
番号:1のみとは限らず、配列番号:1に記載されるDN
Aと等価とみなすことができるDNAは複数存在する。
【0033】本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:
2に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数のア
ミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたア
ミノ酸配列を含み、かつ、前記理化学的性状(A)およ
び(B)を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド
を含む。当業者であれば、配列番号:1に記載のDNAに
部位特異的変異導入法(Nucleic Acid Res. 10,pp.6487
(1982) , Methods inEnzymol. 100, pp.448 (1983), M
olecular Cloning 2nd Ed., Cold Spring Harbor Labor
atory Press (1989) , PCR A Practical Approach IRL
Press pp.200(1991) )などを用いて、適宜置換、欠
失、挿入、および/または付加変異を導入することが可
能である。
【0034】また、本発明のポリヌクレオチドは、配列
番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェ
ントな条件でハイブリダイズできるポリヌクレオチドで
あって、かつ前記理化学的性状(A)および(B)を有
する蛋白質をコードするポリヌクレオチドも含む。スト
リンジェントな条件でハイブリダイズできるポリヌクレ
オチドとは、配列番号:1に記載中の任意の少なくとも
20個、好ましくは少なくとも30個、たとえば40、
60または100個の連続した配列を一つまたは複数選
択したDNAをプローブDNAとし、たとえばECL direct nuc
leic acid labeling and detection system (Amersham
Pharmaica Biotech社製)を用いて、マニュアルに記載の
条件(wash:42℃、0.5x SSCを含むprimary wash buffe
r)において、ハイブリダイズするポリヌクレオチドを
指す。
【0035】ストリンジェントな条件下で配列番号:1
に記載の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズするこ
とができるポリヌクレオチドには、配列番号:1と類似
する塩基配列を含むものが含まれる。このようなポリヌ
クレオチドは、配列番号:2のアミノ酸配列からなる蛋
白質と機能的に同等な蛋白質をコードしている可能性が
高い。したがって当業者は、このようなポリヌクレオチ
ドの中から、本明細書の記載に基づいて、エノン還元酵
素活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを
選択することができる。
【0036】さらに、本発明のポリヌクレオチドは、配
列番号:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90
%、好ましくは少なくとも95%以上のホモロジーを有
し、かつ前記理化学的性状(A)および(B)を有する
蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含む。蛋白質の
ホモロジー検索は、たとえばSWISS-PROT、PIRなどの蛋
白質のアミノ酸配列に関するデータベースやDNA Databa
nk of JAPAN(DDBJ)、EMBL、Gene-BankなどのDNAに関す
るデータベース、DNA配列を元にした予想アミノ酸配列
に関するデータベースなどを対象に、FASTA programやB
LAST programなどを用いて、たとえば、インターネット
上で行うことができる。配列番号:2に記載のアミノ酸
配列を用いてSWISS-PROTを対象にBLAST programを用い
てホモロジー検索を行った結果、既知の蛋白質の中でも
っとも高いホモロジーを示したのは、Saccharomyces ca
rlesbergensis Old Yellow Enzyme 1 (OYE1の71%(Ide
ntity)、84%(Positives)であった。本発明の90%以上の
ホモロジーとは、たとえば、BLAST programを用いたPos
itiveの相同性の値を示す。
【0037】これらのポリヌクレオチドによってコード
され、アミノ酸配列に変異を含む蛋白質は、前記理化学
的性状(A)および(B)を有する限り、本発明のエノ
ン還元酵素のホモログに含まれる。本発明のポリヌクレ
オチドは、本発明のエノン還元酵素の遺伝子工学的な製
造に有用である。あるいは本発明のポリヌクレオチドに
よって、α,β−不飽和ケトンからのα,β―飽和ケト
ンの製造に有用なエノン還元酵素活性を有する微生物を
遺伝子工学的に作り出すことができる。
【0038】本発明は、配列番号:2に記載のアミノ酸
配列を有し、かつエノン還元酵素活性を有する蛋白質、
及びそのホモログを含む。配列番号:2に示すアミノ酸
配列を含む蛋白質は、本発明によるエノン還元酵素の好
ましい態様を構成する。
【0039】本発明のエノン還元酵素のホモログとは、
配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1もしく
は複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付
加されたアミノ酸配列を含む。当業者であれば、配列番
号:1に記載のDNAに部位特異的変異導入法(Nucleic A
cid Res. 10,pp.6487 (1982) , Methods in Enzymol.10
0,pp.448 (1983), Molecular Cloning 2ndEdt., Cold S
pring Harbor Laboratory Press (1989) , PCR A Pract
ical Approach IRL Press pp.200 (1991) )などを用い
て、適宜置換、欠失、挿入、および/または付加変異を
導入することによりエノン還元酵素のホモログをコード
するDNAを得ることができる。そのエノン還元酵素のホ
モログをコードするDNAを宿主に導入して発現させるこ
とにより、配列番号:2に記載のエノン還元酵素のホモ
ログを得ることが可能である。
【0040】さらに、本発明のエノン還元酵素のホモロ
グとは、配列番号:2に示されるアミノ酸配列と少なく
とも90%、好ましくは95%以上のホモロジーを有する
蛋白質をいう。蛋白質のホモロジー検索は、たとえばSW
ISS-PROT、PIRなどの蛋白質のアミノ酸配列に関するデ
ータベースやDNA Databank of JAPAN(DDBJ)、EMBL、Gen
e-BankなどのDNAに関するデータベース、DNA配列を元に
した予想したアミノ酸配列に関するデータベースなどを
対象に、FASTA programやBLAST programなどを用いて、
たとえば、インターネット上で行うことができる。配列
番号:2に記載のアミノ酸配列を用いてDDBJを対象にBL
AST programを用いてホモロジー検索を行った結果、既
知の蛋白質の中でもっとも高いホモロジーを示したの
は、Saccharomyces carlesbergensis Old Yellow Enzy
me 1 (OYE1の71%(Identity)、84%(Positives)であっ
た。本発明の90%以上のホモロジーとは、たとえば、BLA
ST programを用いたPositiveの相同性の値を示す。
【0041】本発明のエノン還元酵素をコードするポリ
ヌクレオチドは、たとえば、以下のような方法によって
単離することができる。
【0042】本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:
1に記載された塩基配列に基づいて他の生物からPCRク
ローニングやハイブリダイズによって単離することもで
きる。配列番号:1に記載の塩基配列は、クライベロマ
イセス・ラクティスより単離された遺伝子のものであ
る。配列番号:1に記載の塩基配列を利用してPCR用
プライマーをデザインし、クライベロマイセス属酵母等
の微生物から、エノン還元酵素活性を有する蛋白質をコ
ードするポリヌクレオチドを得ることができる。
【0043】また前記理化学的性質(A)−(C)を有
するエノン還元酵素を単離し、その構造的特徴をもと
に、本発明のポリヌクレオチドを得ることもできる。本
発明の酵素を精製後、N末端アミノ酸配列を解析し、さ
らに、リジルエンドペプチダーゼ、V8プロテアーゼな
どの酵素により切断後、逆相液体クロマトグラフィーな
どによりペプチド断片を精製後プロテインシーケンサー
によりアミノ酸配列を解析することにより複数のアミノ
酸配列を決めることができる。
【0044】部分的なアミノ酸配列が明らかになれば、
それをコードする塩基配列を推定することができる。推
定された塩基配列、あるいは配列番号:1に示す塩基配
列を元にPCR用のプライマーを設計し、酵素生産株の染
色体DNAもしくは、cDNAライブラリーを鋳型として、PCR
を行うことにより本発明のDNAの一部を得ることができ
る。
【0045】さらに、得られたDNA断片をプローブとし
て、酵素生産株の染色体DNAの制限酵素消化物をファー
ジ、プラスミドなどに導入し、大腸菌を形質転換して得
られたライブラリーやcDNAライブラリーを利用して、コ
ロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイ
ゼーションなどにより、本発明のDNAを得ることができ
る。
【0046】また、PCRにより得られたDNA断片の塩基配
列を解析し、得られた配列から、既知のDNAの外側に伸
長させるためのPCRプライマーを設計し、酵素生産株の
染色体DNAを適当な制限酵素で消化後、自己環化反応に
よりDNAを鋳型として逆PCRを行うことにより(Genetics
120, 621-623 (1988))、また、RACE法(Rapid Amplif
ication of cDNA End、「PCR実験マニュアル」p25-33,
HBJ出版局)などにより本発明のDNAを得ることも可能で
ある。
【0047】なお本発明のDNAは、以上のような方法に
よってクローニングされたゲノムDNA、あるいはcDNAの
他、合成によって得ることもできる。
【0048】このようにして単離された、本発明による
エノン還元酵素をコードするDNAを公知の発現ベクター
に挿入することにより、エノン還元酵素発現ベクターが
提供される。そして、この発現ベクターで形質転換した
形質転換体を培養することにより、本発明のエノン還元
酵素を組換え体から得ることができる。あるいは本発明
によるエノン還元酵素をコードするDNAをゲノムに組み
込んだ形質転換体を培養することにより、本発明のエノ
ン還元酵素を組換え体から得ることもできる。
【0049】本発明の組換えベクターは、本発明のエノ
ン還元酵素をコードするDNAとともにNADPを補酵素とし
酸化反応を触媒する脱水素酵素をコードするポリヌクレ
オチドが挿入された組換えベクターも含む。これらの脱
水素酵素として、グルコース脱水素酵素、グルタミン酸
脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、グ
ルコース−6−リン酸脱水素酵素、ホスホグルコン酸脱
水素酵素、アルコール脱水素酵素、グリセロール脱水素
酵素などが挙げられる。これらの酵素は、本発明のエノ
ン還元酵素の補酵素であるNADPHを、NADP+ から再生す
る際に利用することができる。
【0050】本発明においてNADPHを補酵素とするエノ
ン還元酵素を発現させるために、形質転換の対象となる
微生物は、NADPHを補酵素とするエノン還元酵素活性を
有するポリペプチドをコードするDNAを含む組み換えベ
クターにより形質転換され、NADPHを補酵素とするエノ
ン還元酵素活性を発現することができる生物であれば特
に制限はない。利用可能な微生物としては、たとえば以
下のような微生物を示すことができる。 エシェリヒア(Escherichia)属 バチルス(Bacillus)属 シュードモナス(Pseudomonas)属 セラチア(Serratia)属 ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属 コリネバクテリイウム(Corynebacterium)属 ストレプトコッカス(Streptococcus)属 ラクトバチルス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系
の開発されている細菌 ロドコッカス(Rhodococcus)属 ストレプトマイセス(Streptomyces)属など宿主ベクター
系の開発されている放線菌 サッカロマイセス(Saccharomyces)属 クライベロマイセス(Kluyveromyces)属 シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属 チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属 ヤロウイア(Yarrowia)属 トリコスポロン(Trichosporon)属 ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属 ピキア(Pichia)属 キャンディダ(Candida)属などの宿主ベクター系の開発
されている酵母 ノイロスポラ(Neurospora)属 アスペルギルス(Aspergillus)属 セファロスポリウム(Cephalosporium)属 トリコデルマ(Trichoderma)属などの宿主ベクター系の
開発されているカビ
【0051】形質転換体の作製のための手順および宿主
に適合した組み換えベクターの構築は、分子生物学、生
物工学、遺伝子工学の分野において慣用されている技術
に準じて行うことができる(例えば、Sambrookら、モレ
キュラー・クローニング、Cold Spring Harbor Laborat
ories)。微生物中などにおいて、本発明のNADPを補
酵素とするエノン還元酵素遺伝子を発現させるために
は、まず微生物中において安定に存在するプラスミドベ
クターやファージベクター中にこのDNAを導入し、その
遺伝情報を転写・翻訳させる必要がある。そのために
は、転写・翻訳を制御するユニットにあたるプロモータ
ーを本発明のDNA鎖の5'-側上流に、より好ましくはター
ミネーターを3'-側下流に、それぞれ組み込めばよい。
このプロモーター、ターミネーターとしては、宿主とし
て利用する微生物中において機能することが知られてい
るプロモーター、ターミネーターを用いる必要がある。
これら各種微生物において利用可能なベクター、プロモ
ーター、ターミネータ−などに関して「微生物学基礎講
座8遺伝子工学・共立出版」、特に酵母に関しては、Ad
v. Biochem. Eng. 43, 75-102 (1990)、Yeast 8, 423-4
88 (1992)、などに詳細に記述されている。
【0052】例えばエシェリヒア属、特に大腸菌エシェ
リヒア・コリ(Escherichia coli)においては、プラスミ
ドベクターとして、pBR、pUC系プラスミドを利用でき、
lac(β−ガラクトシダーゼ)、trp(トリプトファンオペ
ロン)、tac、trc (lac、trpの融合)、λファージ PL、P
Rなどに由来するプロモーターなどが利用できる。ま
た、ターミネーターとしては、trpA由来、ファージ由
来、rrnBリボソーマルRNA由来のターミネーターなどを
用いることができる。これらの中で、市販のpSE420(In
vitrogen製)のマルチクローニングサイトを一部改変し
たベクターpSE420D(特開2000-189170に記載)が好適に
利用できる。
【0053】バチルス属においては、ベクターとしてpU
B110系プラスミド、pC194系プラスミドなどが利用可能
であり、染色体にインテグレートすることもできる。ま
た、プロモーター、ターミネーターとしてapr(アルカリ
プロテアーゼ)、npr(中性プロテアーゼ)、amy(α−アミ
ラーゼ)などが利用できる。
【0054】シュードモナス属においては、シュードモ
ナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・
セパシア(Pseudomonas cepacia)などで宿主ベクター系
が開発されている。トルエン化合物の分解に関与するプ
ラスミドTOLプラスミドを基本にした広宿主域ベクター
(RSF1010などに由来する自律的複製に必要な遺伝子を含
む)pKT240などが利用可能であり、プロモーター、ター
ミネーターとして、リパーゼ(特開平5-284973)遺伝子
などが利用できる。
【0055】ブレビバクテリウム属特に、ブレビバクテ
リウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactof
ermentum)においては、pAJ43(Gene 39, 281 (1985))な
どのプラスミドベクターが利用可能である。プロモータ
ー、ターミネーターとしては、大腸菌で使用されている
プロモーター、ターミネーターがそのまま利用可能であ
る。
【0056】コリネバクテリウム属、特にコリネバクテ
リウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に
おいては、pCS11(特開昭57-183799)、pCB101(Mol. Gen.
Genet. 196, 175 (1984)などのプラスミドベクターが
利用可能である。
【0057】ストレプトコッカス(Streptococcus)属に
おいては、pHV1301(FEMS Microbiol.Lett. 26, 239 (19
85)、pGK1(Appl. Environ. Microbiol. 50, 94 (198
5))などがプラスミドベクターとして利用可能である。
【0058】ラクトバチルス(Lactobacillus)属におい
ては、ストレプトコッカス属用に開発されたpAMβ1(J.
Bacteriol. 137, 614 (1979))などが利用可能であ
り、プロモーターとして大腸菌で利用されているものが
利用可能である。
【0059】ロドコッカス(Rhodococcus)属において
は、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodoch
rous)から単離されたプラスミドベクターが使用可能で
ある (J.Gen. Microbiol. 138,1003 (1992) )。
【0060】ストレプトマイセス(Streptomyces)属にお
いては、HopwoodらのGenetic Manipulation of Strepto
myces: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Labo
ratories (1985)に記載の方法に従って、プラスミドを
構築することができる。特に、ストレプトマイセス・リ
ビダンス(Streptomyces lividans)においては、pIJ486
(Mol. Gen. Genet. 203, 468-478, 1986)、pKC1064(Gen
e 103,97-99 (1991) )、pUWL-KS (Gene 165,149-150 (1
995) )が使用できる。また、ストレプトマイセス・バー
ジニア(Streptomyces virginiae)においても、同様のプ
ラスミドを使用することができる(Actinomycetol. 11,
46-53 (1997) )。
【0061】サッカロマイセス(Saccharomyces)属、特
にサッカロマイセス・セレビジアエ(Saccharomyces cer
evisiae) においては、YRp系、YEp系、YCp系、YIp系プ
ラスミドが利用可能であり、染色体内に多コピー存在す
るリボソームDNAとの相同組み換えを利用したインテグ
レーションベクター(EP 537456など)は、多コピーで
遺伝子を導入でき、かつ安定に遺伝子を保持できるため
極めて有用である。また、ADH(アルコール脱水素酵
素)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵
素)、PHO(酸性フォスファターゼ)、GAL(β−ガラクトシ
ダーゼ)、PGK(ホスホグリセレートキナーゼ)、ENO(エノ
ラーゼ)などのプロモーター、ターミネーターが利用可
能である。
【0062】クライベロマイセス属、特にクライベロマ
イセス・ラクティス(Kluyveromyceslactis)において
は、サッカロマイセス・セレビジアエ由来2μm系プラス
ミド、pKD1系プラスミド(J. Bacteriol. 145, 382-390
(1981))、キラー活性に関与するpGKl1由来プラスミ
ド、クライベロマイセス属における自律増殖遺伝子KARS
系プラスミド、リボソームDNAなどとの相同組み換えに
より染色体中にインテグレート可能なベクタープラスミ
ド(EP 537456など)などが利用可能である。また、AD
H、PGKなどに由来するプロモーター、ターミネーターが
利用可能である。
【0063】シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyc
es)属においては、シゾサッカロマイセス・ポンベ由来
のARS (自律複製に関与する遺伝子)及びサッカロマイセ
ス・セレビジアエ由来の栄養要求性を相補する選択マー
カーを含むプラスミドベクターが利用可能である(Mol.
Cell. Biol. 6, 80 (1986))。また、シゾサッカロマ
イセス・ポンベ由来のADHプロモーターなどが利用でき
る(EMBO J. 6, 729 (1987))。特に、pAUR224は、宝酒
造から市販されており容易に利用できる。
【0064】チゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyc
es)においては、チゴサッカロマイセス・ロウキシ (Zyg
osaccharomyces rouxii)由来の pSB3(Nucleic Acids R
es.13, 4267 (1985))などに由来するプラスミドベクタ
ーが利用可能であり、サッカロマイセス・セレビジアエ
由来 PHO5 プロモーターや、チゴサッカロマイセス・ロ
ウキシ由来 GAP-Zr(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱
水素酵素)のプロモーター(Agri. Biol. Chem. 54, 252
1 (1990))などが利用可能である。
【0065】ピキア(Pichia)属においては、ピキア・パ
ストリス(Pichia pastoris)などにピキア由来自律複製
に関与する遺伝子 (PARS1、PARS2)などを利用した宿主
ベクター系が開発されており(Mol. Cell. Biol. 5, 33
76 (1985))、高濃度培養とメタノールで誘導可能な AO
X など強いプロモーターが利用できる(Nucleic Acids
Res. 15, 3859 (1987))。また、ピキア・アンガスタ(P
ichia angusta、旧名ハンゼヌラ・ポリモルファ Hansen
ula polymorpha)において宿主ベクター系が開発されて
いる。ベクターとしては、ピキア・アンガスタ由来自律
複製に関与する遺伝子(HARS1、HARS2)も利用可能であ
るが、比較的不安定であるため、染色体への多コピーイ
ンテグレーションが有効である(Yeast 7, 431-443 (19
91))。また、メタノールなどで誘導される AOX(アル
コールオキシダーゼ)、FDH(ギ酸脱水素酵素)のプロモ
ーターなどが利用可能である。
【0066】キャンディダ(Candida)属においては、キ
ャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)、キャンデ
ィダ・アルビカンス(Candida albicans)、キャンディダ
・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・
ウチルス (Candida utilis) などにおいて宿主ベクター
系が開発されている。キャンディダ・マルトーサにおい
てはキャンディダ・マルトーサ由来ARSがクローニング
され(Agri. Biol. Chem.51, 51, 1587 (1987))、これ
を利用したベクターが開発されている。また、キャンデ
ィダ・ウチルスにおいては、染色体インテグレートタイ
プのベクターは強力なプロモーターが開発されている
(特開平 08-173170)。
【0067】アスペルギルス(Aspergillus)属において
は、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger)、ア
スペルギルス・オリジー (Aspergillus oryzae) などが
カビの中で最もよく研究されており、プラスミドや染色
体へのインテグレーションが利用可能であり、菌体外プ
ロテアーゼやアミラーゼ由来のプロモーターが利用可能
である(Trends in Biotechnology 7, 283-287 (198
9))。
【0068】トリコデルマ(Trichoderma)属において
は、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を利
用したホストベクター系が開発され、菌体外セルラーゼ
遺伝子由来プロモーターなどが利用できる(Biotechnol
ogy 7, 596-603 (1989))。
【0069】また、微生物以外でも、植物、動物におい
て様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に蚕を
用いた昆虫(Nature 315, 592-594 (1985))や菜種、ト
ウモロコシ、ジャガイモなどの植物中に大量に異種蛋白
質を発現させる系が開発されており、好適に利用でき
る。
【0070】また、上記の方法で得られる本発明のエノ
ン還元酵素を発現する形質転換体は、本発明の酵素の製
造や、以下に述べるα,β−不飽和ケトンの炭素−炭素
2重結合の選択的還元によるα,β−飽和ケトンの製造
に用いることができる。
【0071】すなわち本発明は、前記エノン還元酵素、
該酵素または蛋白質を産生する微生物、および該微生物
の処理物、からなる群から選択されるいずれかの酵素活
性物質をα,β不飽和ケトンに作用させる工程を含む、
α,β−不飽和ケトンの炭素−炭素2重結合を選択的に
還元する方法に関する。本発明の酵素、酵素を含む培養
物、その処理物が反応溶液と接触させることにより、目
的とする酵素反応を行わせることができる。
【0072】本発明の方法において、エノン還元酵素と
しては、配列番号:2に記載されたアミノ酸配列からな
る蛋白質、そのホモログ、あるいは前記理化学的性質
(A)−(C)を有するエノン還元酵素を用いることが
できる。エノン還元酵素は、精製されたものの他、粗精
製酵素として用いることもできる。更に本発明において
は、エノン還元酵素として、エノン還元酵素の産生能を
有する細胞を用いることもできる。本発明において使用
するエノン還元酵素生産能を有する細胞は、NADPH依存
性エノン還元酵素生産能を有するクライベロマイセス属
に属するすべての菌株、突然変異株、変種、遺伝子操作
技術の利用により作成された本発明の酵素生産能を獲得
した形質転換体を含む。
【0073】なお、酵素と反応溶液の接触形態はこれら
の具体例に限定されるものではない。反応溶液は、基質
や酵素反応に必要な補酵素であるNADPHを酵素活性の発
現に望ましい環境を与える適当な溶媒に溶解したもので
ある。本発明におけるエノン還元酵素を含む微生物の処
理物には、具体的には界面活性剤やトルエンなどの有機
溶媒処理によって細胞膜の透過性を変化させた微生物、
あるいはガラスビーズや酵素処理によって菌体を破砕し
た無細胞抽出液やそれを部分精製したものなどが含まれ
る。
【0074】本発明におけるα,β−不飽和ケトンは限
定されない。たとえば、次の一般式Iで表される化合物
を、α,β−不飽和ケトンとして示すことができる。
【0075】一般式I
【化1】
【0076】式中、R1は、水素、アルキル基、アリル
基、アルケニル基、アラルキル基、またはアルコキシ基
(ただし、アルキル基、アリル基、アルケニル基、アラ
ルキル基、およびアルコキシ基は置換されていても良
い)を、R2、R3、およびR4は、水素、または置換されて
いても良い短鎖アルキル基を示す。
【0077】R1における前記アルキル基、アリル基、ア
ルケニル基、アラルキル基、およびアルコキシ基として
は、たとえば炭素数1〜8のものが挙げられる。またこ
れらの置換基は、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、アル
コキシ基等で置換されていても良い。一方、R2-R4にお
ける短鎖アルキル基とは、たとえばメチル、エチル、ブ
チル、またはプロピルを挙げることができる。これらの
短鎖アルキル基も、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、ア
ルコキシ基等で置換されていても良い。なおR2-R4は、
独立して、または同時に前記置換基であることができ
る。
【0078】具体的には、R1-R4として以下に示す置換
基からなる化合物が本発明における基質化合物として望
ましい。 R1=H、メチル基、エチル基、フェニル基、3−ピリジル
基、2−ピリジル基、3−ニトロフェニル基、3−メト
キシフェニル基、および4−メトキシフェニル基 R2=H、メチル基、およびエチル基 R3=H、メチル基、およびエチル基 R4=H、メチル基、およびエチル基
【0079】より具体的には、メチルビニルケトン、エ
チルビニルケトン、3−ペンテン−2−オン、3−メチ
ル−3−ペンテン−2−オン、2−ヘキセノン、2−メ
チル−2−ヘキセノン、3−メチル−4−(3−ピリジ
ル)−3−ブテン−2−オン、3−メチル−4−フェニ
ル−3−ブテン−2−オン、3−メチル−4−(3−ニ
トロフェニル)−3−ブテン−2−オン等が好適に用い
られる。
【0080】更に、本発明の酵素、または、該酵素を産
生する微生物もしくはその処理物をα−置換を有する
α,β−不飽和ケトンに作用させることにより、光学活
性な飽和ケトンの合成にも利用できる。例えば、3−メ
チル−4−(3−ピリジル)−3−ブテン−2−オンよ
り(S)−3−メチル−4−(3−ピリジル)−ブタン
−2−オン、3−メチル−4−(3−ニトロフェニル)
−3−ブテン−2−オンより(S)−3−メチル−4−
(3−ニトロフェニル)−3−ブタン−2−オン等を合
成することができる。
【0081】前記本発明によるケトン製造方法において
は、NADPHの再生系を組み合わせることができる。エノ
ン還元酵素による還元反応に付随して、NADPHからNADP+
が生成する。NADP+からNADPHへの再生は、微生物の含有
するNADP+からNADPHを再生する酵素(系)によって行う
ことができる。これらNADP還元能は、反応系にグルコ
ースまたはエタノールを添加することにより、増強する
ことが可能である。また、NADP+からNADPHを生成する能
力を有する酵素、例えば、グルコース脱水素酵素、グル
タミン酸脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、リンゴ酸脱水素
酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、ホスホグル
コン酸脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、グリセロー
ル脱水素酵素などを含む微生物、その処理物、ならびに
部分精製もしくは精製酵素を用いてNADPHの再生を行う
ことができる。例えば、上記グルコース脱水素酵素の場
合には、グルコースからδ−グルコノラクトンへの変換
を利用することにより、NADPHの再生が行われる。
【0082】これらのNADPH再生に必要な反応を構成す
る成分は、本発明によるケトンの製造のための反応系に
添加、もしくは固定化したものを添加することができ
る。あるいはNADPHの交換が可能な膜を介して接触させ
ることができる。
【0083】また、本発明のDNAを含む組換えベクター
で形質転換した微生物を、生存した状態で前記ケトンの
製造方法に利用する場合には、NADPH再生のための付加
的な反応系を不要とできる場合がある。すなわち、NADP
H再生活性の高い微生物を宿主として用いることによ
り、形質転換体を用いた還元反応において、NADPH再生
用の酵素を添加することなく効率的な反応が行える。さ
らに、NADPH再生に利用可能なグルコース脱水素酵素、
ギ酸脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、アミノ酸脱水
素酵素、有機酸脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素など)
などの遺伝子を、本発明のNADPH依存性エノン還元酵素
をコードするDNAと同時に宿主に導入することによっ
て、より効率的なNADPH再生酵素とNADPH依存性エノン還
元酵素の発現、還元反応を行うことも可能である。これ
らの2つもしくはそれ以上の遺伝子の宿主への導入に
は、大腸菌においては不和合性をさけるために複製起源
の異なる複数のベクターに別々に遺伝子を導入した組み
換えベクターにより宿主を形質転換する方法や、単一の
ベクターに両遺伝子を導入する方法、片方、もしくは、
両方の遺伝子を染色体中に導入する方法などを利用する
ことができる。
【0084】本発明におけるNADPH再生に利用可能なグ
ルコース脱水素酵素として、バシラス・サブチルス(Ba
cillus subtilis)に由来するグルコース脱水素酵素を
示すことができる。この酵素をコードする遺伝子は既に
単離されている。あるいは既に明らかにされているその
塩基配列に基づいて、PCRやハイブリダイズスクリーニ
ングによって、当該微生物から取得することもできる。
【0085】単一のベクター中に複数の遺伝子を導入す
る場合には、プロモーター、ターミネーターなど発現制
御に関わる領域をそれぞれの遺伝子に連結する方法やラ
クトースオペロンのような複数のシストロンを含むオペ
ロンとして発現させることも可能である。
【0086】本発明の酵素を用いた還元反応は、水中
で、あるいは水に溶解しにくい有機溶媒と水との2相中
で実施することができる。水に溶解しにくい有機溶媒と
しては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、
クロロホルム、n-ヘキサン、イソオクタンなどを用いる
ことができる。あるいは、エタノール、アセトン、ジメ
チルスルホキシド、アセトニトリル等の有機溶媒と水性
媒体との混合系中で行うこともできる。
【0087】本発明の反応は、固定化酵素、膜リアクタ
ー等を利用して行うことも可能である。特に、本反応の
基質となるα,β−不飽和ケトンは水に対して難溶性の
物が多いために、ポリプロピレンなどの疎水性の膜を介
して本発明の酵素、本発明の酵素を含む微生物、その処
理物を含む水相と基質α,β−不飽和ケトンを含む有機
溶媒相を接触させ、反応させることにより基質及び生成
物による阻害作用を低減させることができる。
【0088】本発明のエノン還元酵素による酵素反応
は、以下の条件で行うことができる。 ・反応温度:4-55℃、好ましくは15-45℃ ・pH:4-9、好ましくは5.0-8.0、さらに好ましくはpH6.
0-7.0 ・基質濃度:0.01-90%、好ましくは0.1-20%
【0089】基質とするニトリル化合物の水性媒体に対
する溶解度が著しく小さい場合には、反応液中に界面活
性剤を加えることもできる。界面活性剤としては、 0.1
〜5.0 重量%のTriton X-100、あるいはTween 60などが
用いられる。基質の溶解度を向上させるために、有機溶
媒との混合溶媒の利用も効果的である。具体的には、例
えば、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド
などを添加することにより反応を効率よく行うことがで
きる。あるいは、水に溶解しにくい有機溶媒中や、水に
溶解しにくい有機溶媒と水性媒体との2相系において、
本発明の反応を行うことができる。水に溶解しにくい有
機溶媒としては、たとえば酢酸エチル、酢酸ブチル、ト
ルエン、クロロホルム、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ン、オクタン、あるいは1−オクタノール等を用いるこ
とができる。
【0090】この基質濃度に対して、本発明のエノン還
元酵素、あるいは該酵素活性を持つ微生物、および/ま
たはそれらの処理物からなる酵素活性物質は、たとえば
1mU/mL〜100U/mL、好ましくは100mU/mL以上の酵
素活性量とすることにより、酵素反応を効率的に進める
ことができる。また酵素活性物質として微生物菌体を利
用するときには、基質に対する微生物の使用量は、乾燥
菌体として0.01〜5.0 重量%相当量とするのが好まし
い。酵素や、菌体などの酵素活性物質は、反応液に溶
解、あるいは分散させることにより、基質と接触させる
ことができる。あるいは、化学結合や包括などの手法に
よって固定化した酵素活性物質を用いることもできる。
更に、基質は透過できるが、酵素分子や菌体の透過を制
限する多孔質膜で基質溶液と酵素活性物質を隔てた状態
で反応させることもできる。
【0091】反応系には必要に応じて補酵素NADPまた
はNADPHを0.001 mM-100 mM、好ましくは、0.01-10 mM添
加することができる。また、基質は反応開始時に一括し
て添加することも可能であるが、反応液中の基質濃度が
高くなりすぎないように連続的、もしくは非連続的に添
加することが望ましい。
【0092】NADPH再生のために反応系に添加される化
合物、例えばグルコース脱水素酵素を利用する場合のグ
ルコース、ギ酸脱水素酵素を利用する場合のギ酸、アル
コール脱水素酵素を利用する場合のエタノールもしくは
2-プロパノール、グルタミン酸脱水素酵素を利用する場
合のL−グルタミン酸、リンゴ酸脱水素酵素を利用する
場合のL−リンゴ酸、等は、基質α,β−不飽和ケトン
に対してモル比で0.1-20、好ましくは0.5-5倍過剰に添
加することができる。NADPH再生用の酵素、例えばグル
コース脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、アルコール脱水素
酵素、アミノ酸脱水素酵素、有機酸脱水素酵素(リンゴ
酸脱水素酵素など)等は、本発明のNADPH依存性エノン
還元酵素に比較して酵素活性で0.1-100倍、好ましくは
0.5-20倍程度添加することができる。
【0093】本発明のα,β−不飽和ケトンの還元によ
り生成するケトンの精製は、菌体、蛋白質の遠心分離、
膜処理等による分離、溶媒抽出、蒸留、クロマトグラフ
ィー等を適当に組み合わせることにより行うことができ
る。
【0094】これら各種合成反応に利用する本発明の酵
素は、精製酵素に限定されず、部分精製酵素、本酵素を
含む微生物菌体、その処理物も含まれる。なお本発明に
おける処理物とは、菌体、精製酵素、あるいは部分精製
酵素などを様々な方法で固定化処理したものを総称して
示す用語である。以下、実施例により本発明を更に詳し
く説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0095】
【実施例】[実施例1]エノン還元酵素の精製 クライベロマイセス・ラクティス IFO 1267株を
1.2LのYM培地(グルコース20g/L、酵母エキ
ス3g/L、麦芽エキス3g/L、ペプトン5g/L、
pH 6.0)で培養し、遠心分離により菌体を調製し
た。得られた湿菌体を50mMリン酸カリウム緩衝液(p
H8.0)、0.02%2−メルカプトエタノール及び
2mMフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)
で澱懸し、ビードビーター(Biospec社製)により破砕
後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を
得た。この無細胞抽出液にプロタミン硫酸を添加し、遠
心分離により除核酸した上清を得た。その上清に硫安を
30%飽和になるまで添加し、30%硫安を含む標準緩
衝液(10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、0.
01% 2−メルカプトエタノール、10% グリセロー
ル)で平衡化したフェニル−セファロースHP(2.6
cm×10cm)に添加し、硫安濃度を30%−0%の勾配
溶出を行った。
【0096】NADPH依存性メチルビニルケトン還元活性
は、勾配溶出部分に2つのピークがみられた。これらの
ピークのうち前方に溶出したピーク部分を回収し、限外
濾過により濃縮した。濃縮した酵素液を標準緩衝液に対
して透析した後、同緩衝液で平衡化したMonoQ(0.5
cm× 5cm)に添加した。標準緩衝液でカラムを洗浄し
た後、0−0.5M塩化ナトリウムの勾配溶出を行っ
た。溶出した活性画分を回収し、限外濾過により濃縮し
た。
【0097】濃縮酵素液に硫安を30%飽和添加し、3
0%飽和硫安を含む標準緩衝液で平衡化したフェニル−
スーパーロース(0.5cm×5cm)に添加した。同緩衝
液で洗浄後、30%−0%飽和硫安で勾配溶出を行っ
た。溶出した活性画分を回収した。濃縮した酵素液を標
準緩衝液に対して透析した後、同緩衝液で平衡化したブ
ルー・セファロース(5mL)に添加した。標準緩衝液で
カラムを洗浄した後、0−0.5M塩化ナトリウムの勾
配溶出を行った。溶出した活性画分を回収し、限外濾過
により濃縮した。
【0098】ブルー・セファロースにより得られた活性
画分を、SDS-PAGEにより解析した結果、ほぼ単一バンド
であった(図1)。精製酵素のメチルビニルケトンに対
する比活性は約1.3 U/mgであった。精製の要約を表
1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】[実施例2]エノン還元酵素の分子量測定 実施例1で得られた酵素のサブユニットの分子量をSDS-
PAGEにより求めた結果、約47,000であった。ま
た、スーパーデックスG200のゲルろ過カラムを用い
て分子量を測定したところ、約92,000であった。
これらの結果より、本発明のエノン還元酵素はホモダイ
マーと予想された。
【0101】[実施例3]エノン還元酵素の至適pH リン酸カリウム緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、酢酸ナト
リウム緩衝液、ブリットン・ロビンソンの広域緩衝液を
用いてpHを変化させて、実施例1で得られた酵素のメチ
ルビニルケトン還元活性を調べ、最大活性を100とし
た相対活性で表し、図2に示した。反応の至適pHは6.
2であり、pH5.0−8.0の極めて広い範囲で最大
活性の80%以上の活性を示した。
【0102】[実施例4]エノン還元酵素の至適温度 実施例1で得られた酵素を標準反応条件のうち温度だけ
を変化させて、メチルビニルケトン還元活性を測定し、
最大活性を100とした相対活性で表し、図3に示し
た。反応の至適温度は37℃であり、37−45℃にお
いて最大活性の80%以上の活性を示した。
【0103】[実施例5]エノン還元酵素の基質特異性 実施例1で得られた酵素を種々のエノン、ケトン、およ
びアルデヒドと反応させ、その還元反応の活性をメチル
ビニルケトンの還元を100とした相対活性で表し、表
2に示した。
【0104】
【表2】
【0105】[実施例6]エノン還元酵素の部分アミノ
酸配列 実施例1で得られた酵素を用いて、SDS−PAGEのゲルよ
り、エノン還元酵素を含むゲル断片を切り出し、2回洗
浄後、リジルエンドペプチダーゼを用いて、35℃で終夜
イン・ゲル・ダイジェションを行った。消化したペプチ
ドを逆相HPLC (東ソー製TSK gel ODS-80-Ts、2.0
mm × 250mm) を用い、0.1% トリフルオロ酢酸 (TF
A) 中でアセトニトリルのグラジエント溶出によりペプ
チドを分離し、分取した。
【0106】分取したペプチドピーク2種を lep_59、l
ep_78とし、それぞれプロテインシーケンサー(Hewlett
Packard G1005A Protein Sequencer System) により
アミノ酸配列の解析を行った。lep_59、lep_78のアミノ
酸配列をそれぞれ配列番号:3,4で示した。このアミ
ノ酸配列を用いてSWISS-PROTを対象にBLASTプログラム
を用いてホモロジー検索を行った結果、クライベロマイ
セス・ラクティスのNADPH-Dehydrogenaseと予想されて
いるORF (KYE1)と一致した。
【0107】 配列番号:3:lep_59 Met-Ser-Ala-Glu-Gly-Tyr-Ile-Asp-Tyr-Pro-Thr-Tyr 配列番号:4:lep_65 Arg-Leu-Ala-Tyr-Val-Asp-Leu-Val-Glu-Pro-Arg-Val
【0108】[実施例7]クライベロマイセス・ラクテ
ィスからの染色体DNAの精製 クライベロマイセス・ラクティス IFO 1267株を
YM培地で培養し、菌体を調製した。菌体からの染色体
DNAの精製は、Meth. Cell Biol. 29, 39-44(1975)
に記載の方法により行った。
【0109】[実施例8]エノン還元酵素遺伝子のクロ
ーニング DDBJに登録されているKYE1 (SWISS-PROT Accession N
o., P40952) に対応するDNA配列 (DDBJ Accession No.,
L37452) を基にPCR用プライマーKYE1-ND(配列番
号:5)、KYE1-Cu(配列番号:6) を合成した。プライ
マーを各25pmol、dNTP10nmol、クライベロ
マイセス・ラクティス由来染色体DNA50ng、Pfu
DNA polymerase用緩衝液 (STRATAGENE製)、Pfu DNA pol
ymerase 2U (STRATAGENE製)を含む50μLの反応液を
用い、変性(95℃、45秒) 、アニール(50℃、
1分)、伸長(75℃、6分)を30サイクル、GeneAmp
PCR System 2400 (アプライド・バイオシステムズ・ジ
ャパン製)を用いてPCRを行った結果、特異的な増幅
産物が得られた。
【0110】得られたDNA断片を、フェノール/クロ
ロホルム抽出後、エタノール沈殿として回収した。DN
A断片を制限酵素Afl III、XbaIで2重消化し、アガロー
スゲル電気泳動を行い、目的とするバンドの部分を切り
出し、Sephaglas BandPrep Kit(ファルマシア製)により
精製した。得られたDNA断片を、NcoI、XbaIで2重消
化したpSE420DとTakara LigationKitを用いて、ライゲ
ーションした。ライゲーションしたDNAにより大腸菌JM1
09株を形質転換し、アンピシリン(50mg/L)を含むL
B培地で生育し、得られた形質転換株よりプラスミドを
FlexiPrepにより精製した。
【0111】プラスミドの挿入DNA部分の塩基配列を解
析した。DNA塩基配列の解析には、BigDye Terminato
r Cycle Sequencing FS ready Reaction Kit (パーキン
エルマー製)を用いてPCRを行い、DNAシーケンサ
ーABI PRISMTM310 (パーキンエルマー製)により行っ
た。得られたDNA塩基配列を配列番号1に、コードする
タンパク質の配列は配列番号2に示す。DNA配列からの
ORF検索、予想アミノ酸配列への翻訳などは、Genety
x-WIN(ソフトウェア開発株式会社製)を用いて行っ
た。その結果、DDBJには766-GTT(Val)と登録されていた
が、766-GGT(Gly)であった。それ以外は、完全に一致し
ていた。得られたプラスミドはpSE-KYE1とした。
【0112】 KYE1-ND/配列番号:5 ACGACATGTCATTTATGAACTTTGAAC KYE1-Cu/配列番号:6 TGTTCTAGATTATTTCTTGTAACCCTTGGC
【0113】[実施例9]組換えエノン還元酵素の部分
精製 エノン還元酵素を発現するプラスミドpSE-KYE1で形質転
換された大腸菌HB101株をアンピシリンを含む50mLの
液体LB培地で終夜30℃培養し、0.1mM IPTGを加
え、さらに4時間培養を行った。
【0114】菌体を遠心分離により集菌した後、0.02%
2-メルカプトエタノール、2mM PMSF、10%グリセリンを
含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)30mLに懸
濁し、密閉式超音波破砕装置UCD-200TM(コスモバイオ
製)を用いて3分間処理を4回繰り返すことで、菌体を破
砕した。菌体破砕液を遠心分離し、その上清を菌体抽出
液中として回収した。この無細胞抽出液にプロタミン硫
酸を添加し、遠心分離により除核酸した上清を得た。そ
の上清に硫安を30%飽和になるまで添加し、30%硫
安を含む緩衝液(10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.
5)、0.01% 2−メルカプトエタノール、10%
グリセロール)で平衡化したフェニル−セファロースH
P(2.6cm×10cm)に添加し、硫安濃度を30%−
0%の勾配溶出を行った。NADPH依存性メチルエノン還
元活性は、勾配溶出部分にピークがみられ、この溶出し
たピーク部分を回収し、限外濾過により濃縮した。部分
精製酵素のメチルビニルケトンに対する比活性は約1.
68 U/mgであった。精製の要約を表3に示す。
【0115】
【表3】
【0116】[実施例10]宿主のみとの比較 実施例9で得られた組換えエノン還元酵素の種々の基質
に対する活性を測定した。また、該プラスミドを含まな
い大腸菌HB101株を50mLのLB培地で終夜培養し、0.1
mM IPTG添加後さらに4時間培養した菌体を、実施例9と
同様に破砕して種々の基質に対する活性を測定した。結
果を表4に示す。
【0117】
【表4】
【0118】[実施例11]組換えエノン還元酵素を用
いた3−ペンタノンの合成 実施例9において得られた組換えエノン還元酵素0.5
U(エチルビニルケトンに対して)、200mMリン酸カ
リウム緩衝液(pH 6.5)、44mgNADPH、0.2%
エチルビニルケトンを含む反応液1mLで、25℃で終
夜反応させた。生成した3−ペンタノンをガスクロマト
グラフィーで定量し、出発原料であるエチルビニルケト
ンに対する収率を求めた。ガスクロマトグラフィーの条
件は以下のとおりである。すなわち、Porapak
PS(Waters、mesh 50-80、3.2mm×210cm)を用
い、カラム温度を130℃とし、水素炎イオン化検出器
(FID)を利用して分析した。その結果、反応収率1
00%で3−ペンタノンが生成していた。
【0119】[参考例1]4-(3-ピリジル)-3-メチル-3-
ブテン-2-オンの合成 ニコチンアルデヒド25 mmolと2-ブタノン50 mmolを酢酸
35 mLに溶解させ、撹拌しながら濃硫酸4 mLを滴下し、5
0℃に加熱した。4時間後、水50 mLを加え、20%水酸化ナ
トリウム水溶液で塩基性にした。水層を酢酸エチルで抽
出し、有機層をあわせて飽和塩化ナトリウム水溶液で洗
浄後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。溶媒を
減圧下で除去し、濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィーによって精製し、4-(3-ピリジル)-3-メチル-
3-ブテン-2-オンを収率75%で得た。
【0120】[参考例2]4-(3-ニトロフェニル)-3-メ
チル-3-ブテン-2-オンの合成 3-ニトロベンズアルデヒド25 mmolと2-ブタノン50 mmol
を酢酸35 mLに溶解させ、撹拌しながら濃硫酸2 mLを滴
下した。22時間後、水50 mLを加え、20%水酸化ナトリウ
ム水溶液で中和した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機
層をあわせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化
ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムを用い
て乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、濃縮残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、4-(3-
ニトロフェニル)-3-メチル-3-ブテン-2-オンを収率81%
で得た。
【0121】[参考例3]ラセミ体4-(3-ピリジル)-3-
メチル-2-ブタノンの合成 4-(3-ピリジル)-3-メチル-3-ブテン-2-オン0.91 mmolを
エタノール5 mLに溶解させ、5%パラジウム炭素10 mgを
加え、水素雰囲気下で4日間撹拌した。濾過によってパ
ラジウム炭素を除いた後、濾液を減圧下で濃縮した。濃
縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって
精製し、ラセミ体4-(3-ピリジル)-3-メチル-2-ブタノン
を収率84%で得た。
【0122】[参考例4]ラセミ体4-(3-ニトロフェニ
ル)-3-メチル-2-ブタノンの合成 乾燥テトラヒドロフラン30 mLを氷浴上で0 ℃に冷却
し、塩化銅(I)20 mmolと水素化リチウムアルムニウム5
mmolを加えて激しく撹拌した。10分後、4-(3-ニトロフ
ェニル)-3-メチル-3-ブテン-2-オン5 mmolを加え、更に
1時間撹拌した。ごく少量の水を加えた後、濾過し、濾
液を減圧化で濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーによって精製し、ラセミ体4-(3-ニト
ロフェニル)-3-メチル-2-ブタノンを収率12%で得た。
【0123】[実施例12]組換えエノン還元酵素によ
る(S)−3−メチル−4−(3−ピリジル)−2−ブ
タノンの合成 実施例9において得られた組換えエノン還元酵素0.5
U(3−メチル−4−(3−ピリジル)−3−ブテン−
2−オンに対する還元活性として)、200mMリン酸カ
リウム緩衝液(pH 6.5)、44mg NADPH、0.2
% 3−メチル−4−(3−ピリジル)−3−ブテン−
2−オン(参考例1で調製) を含む反応液1mLで、2
5℃で終夜反応させた。反応後、1mLの酢酸エチルで抽
出した後、生成した3−メチル−4−(3−ピリジル)
−2−ブタノンをガスクロマトグラフィーで定量し、出
発原料である3−メチル−4−(3−ピリジル)−3−
ブテン−2−オンに対する収率を求めた。
【0124】ガスクロマトグラフィーの条件は以下のと
おりである。すなわち、Cp−Cyclodextri
n−β−2,3,6−M−19(ジーエルサイエンス、
0.25mm×25m)を用い、カラム温度を150℃、
注入温度を250℃、検出器温度を260℃とし、水素
炎イオン化検出器(FID)を利用して分析した。キャ
リアーガスはヘリウムとし、流速1.6mL/minに設定し
た。この条件下において、参考例3で合成したラセミ体
を分析した結果、R体は12.59分、S体は12.7
4分に検出された。その結果、反応の収率は100%で
あり、得られた3−メチル−4−(3−ピリジル)−2
−ブタノンの光学純度は99%ee以上のS体であっ
た。
【0125】[実施例13]組換えエノン還元酵素によ
る(S)−3−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−2
−ブタノンの合成 実施例9において得られた組換えエノン還元酵素0.5
U(3−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3−ブテ
ン−2−オンに対する活性として)、200mMリン酸カ
リウム緩衝液(pH 6.5)、44mg NADPH、0.2
% 3−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3−ブテ
ン−2−オン(参考例2で調製した) を含む反応液1m
Lで、25℃で終夜反応させた。反応後、1mLの酢酸エ
チルで抽出した後、生成した3−メチル−4−(3−ニ
トロフェニル)−2−ブタノンをガスクロマトグラフィ
ーで定量し、出発原料である3−メチル−4−(3−ニ
トロフェニル)−3−ブテン−2−オンに対する収率を
求めた。
【0126】ガスクロマトグラフィーの条件は、カラム
温度を160℃にした以外は実施例12と同様にした。
この条件下において、参考例4で合成したラセミ体を分
析した結果、R体は46.67分、S体は48.25分
に検出された。その結果、反応の収率は100%であ
り、得られた3−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−
2−ブタノンの光学純度は99%ee以上のS体であっ
た。
【0127】
【発明の効果】エノンを還元し、ケトンおよび光学活性
なケトンを製造する新規な酵素が提供された。本発明の
エノン還元酵素は、α,β−不飽和ケトンの炭素−炭素
2重結合を還元し、対応する飽和炭化水素を生成する。
その光学特異性はきわめて高く、たとえば3-Methyl-4-
(3-pyridyl)-3-buten-2-oneを基質としたとき、その
α,β−不飽和結合を選択的に還元し、90% ee以上の
(S)-3-methyl-4-(3-pyridyl)-3-butan-2-oneを生成す
る。このような光学純度の高い光学活性ケトンの酵素的
な製造方法を実現した意義は大きい。
【0128】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> DAICEL CHEMICAL INDUSTRIES, LTD. <120> Enone reductase. <130> D1-A0108 <140> <141> <160> 6 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 1197 <212> DNA <213> Kluyveromyces lactis <400> 1 atgtcattta tgaactttga accaaagcca ttggctgata ctgatatctt caaaccaatc 60 aagattggta acactgaatt gaagcacagg gttgtcatgc ctgcattgac aagaatgaga 120 gcgttgcatc caggcaacgt tccaaaccct gactgggctg ttgaatatta cagacaacgt 180 tcccaatatc caggtactat gattatcact gaaggtgctt tcccatcagc tcagtcaggt 240 ggttacgata acgcaccagg tgtttggagc gaagaacaac tggctcaatg gagaaagatc 300 ttcaaggcaa ttcacgacaa caagtctttt gtttgggtac aattgtgggt tctaggtaga 360 caagcttttg ctgataactt ggcaagagat ggattgcgtt atgatagtgc ttccgatgaa 420 gtgtacatgg gtgaagatga aaaggaacgt gccatcagat ctaacaaccc tcagcatggt 480 atcaccaagg atgaaattaa gcagtatatc agggactatg ttgatgctgc taagaagtgt 540 atcgatgctg gtgcagatgg tgttgaaatc cattccgcta acggttattt gttgaatcaa 600 ttcctagacc caatctccaa caaaagaact gatgaatacg gtggatccat tgagaaccgt 660 gctagattcg tcttggaagt cgtcgatgcc gttgtcgatg ccgttggtgc cgaaagaacc 720 agtatcagat tctcaccata cggtgtattt ggtaccatgt caggtggttc agaccctgtc 780 ttggtggctc aattcgccta tgtacttgct gaattggaaa agagggcaaa ggctggtaag 840 agattagcat acgtcgattt agtcgaacct cgtgtcacat cgccattcca accggaattt 900 gaaggctggt ataaaggtgg taccaatgaa ttcgtatact ctgtttggaa gggtaacgtg 960 ctaagagttg gtaactacgc tttggaccca gatgctgcca ttacggactc aaagaatcca 1020 aacactttga tcggttacgg tagagccttc attgccaacc cagatcttgt tgaacgtctc 1080 gaaaagggtt tgccattgaa tcaatacgat agaccctctt tctacaaaat gtctgcggaa 1140 gggtatatcg actacccaac atacgaggaa gctgttgcca agggttacaa gaaataa 1197 <210> 2 <211> 398 <212> PRT <213> Kluyveromyces lactis <400> 2 Met Ser Phe Met Asn Phe Glu Pro Lys Pro Leu Ala Asp Thr Asp Ile 1 5 10 15 Phe Lys Pro Ile Lys Ile Gly Asn Thr Glu Leu Lys His Arg Val Val 20 25 30 Met Pro Ala Leu Thr Arg Met Arg Ala Leu His Pro Gly Asn Val Pro 35 40 45 Asn Pro Asp Trp Ala Val Glu Tyr Tyr Arg Gln Arg Ser Gln Tyr Pro 50 55 60 Gly Thr Met Ile Ile Thr Glu Gly Ala Phe Pro Ser Ala Gln Ser Gly 65 70 75 80 Gly Tyr Asp Asn Ala Pro Gly Val Trp Ser Glu Glu Gln Leu Ala Gln 85 90 95 Trp Arg Lys Ile Phe Lys Ala Ile His Asp Asn Lys Ser Phe Val Trp 100 105 110 Val Gln Leu Trp Val Leu Gly Arg Gln Ala Phe Ala Asp Asn Leu Ala 115 120 125 Arg Asp Gly Leu Arg Tyr Asp Ser Ala Ser Asp Glu Val Tyr Met Gly 130 135 140 Glu Asp Glu Lys Glu Arg Ala Ile Arg Ser Asn Asn Pro Gln His Gly 145 150 155 160 Ile Thr Lys Asp Glu Ile Lys Gln Tyr Ile Arg Asp Tyr Val Asp Ala 165 170 175 Ala Lys Lys Cys Ile Asp Ala Gly Ala Asp Gly Val Glu Ile His Ser 180 185 190 Ala Asn Gly Tyr Leu Leu Asn Gln Phe Leu Asp Pro Ile Ser Asn Lys 195 200 205 Arg Thr Asp Glu Tyr Gly Gly Ser Ile Glu Asn Arg Ala Arg Phe Val 210 215 220 Leu Glu Val Val Asp Ala Val Val Asp Ala Val Gly Ala Glu Arg Thr 225 230 235 240 Ser Ile Arg Phe Ser Pro Tyr Gly Val Phe Gly Thr Met Ser Gly Gly 245 250 255 Ser Asp Pro Val Leu Val Ala Gln Phe Ala Tyr Val Leu Ala Glu Leu 260 265 270 Glu Lys Arg Ala Lys Ala Gly Lys Arg Leu Ala Tyr Val Asp Leu Val 275 280 285 Glu Pro Arg Val Thr Ser Pro Phe Gln Pro Glu Phe Glu Gly Trp Tyr 290 295 300 Lys Gly Gly Thr Asn Glu Phe Val Tyr Ser Val Trp Lys Gly Asn Val 305 310 315 320 Leu Arg Val Gly Asn Tyr Ala Leu Asp Pro Asp Ala Ala Ile Thr Asp 325 330 335 Ser Lys Asn Pro Asn Thr Leu Ile Gly Tyr Gly Arg Ala Phe Ile Ala 340 345 350 Asn Pro Asp Leu Val Glu Arg Leu Glu Lys Gly Leu Pro Leu Asn Gln 355 360 365 Tyr Asp Arg Pro Ser Phe Tyr Lys Met Ser Ala Glu Gly Tyr Ile Asp 370 375 380 Tyr Pro Thr Tyr Glu Glu Ala Val Ala Lys Gly Tyr Lys Lys 385 390 395 <210> 3 <211> 12 <212> PRT <213> Kluyveromyces lactis <400> 3 Met Ser Ala Glu Gly Tyr Ile Asp Tyr Pro Thr Tyr 1 5 10 <210> 4 <211> 12 <212> PRT <213> Kluyveromyces lactis <400> 4 Arg Leu Ala Tyr Val Asp Leu Val Glu Pro Arg Val 1 5 10 <210> 5 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 5 acgacatgtc atttatgaac tttgaac 27 <210> 6 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 6 tgttctagat tatttcttgt aacccttggc 30
【図面の簡単な説明】
【図1】SDS−PAGEにおけるパターンを示す図で
ある。レーン1は分子量マーカー、レーン2は実施例1
で得られた酵素を示す。
【図2】実施例1で得られた酵素のメチルビニルケトン
還元活性のpH依存性を示す図である。
【図3】実施例1で得られた酵素のメチルビニルケトン
還元活性の温度依存性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/06 C12R 1:645 C12P 7/26 C12N 15/00 ZNAA //(C12N 9/06 5/00 A C12R 1:645) (72)発明者 林 素子 京都府京都市伏見区桃山町本多上野35番地 2エトワール桜井1401 (72)発明者 河合 靖 滋賀県大津市青山2丁目9番15号 (72)発明者 時任 宣博 京都府宇治市五ケ庄官有地 京都大学職員 宿舎354号 Fターム(参考) 4B024 AA03 BA08 CA03 DA06 GA11 4B050 CC01 CC03 DD02 LL05 4B064 AG37 CA02 CA19 CA21 CB17 CC24 CD05 DA16 4B065 AA26X AA72Y AB01 AC14 BA02 BB07 CA09 CA28 CA44

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の(A)から(C)に示す理化学的性
    質を有する、エノン還元酵素。 (A)作用 還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン
    酸を電子供与体として、α,β−不飽和ケトンの炭素−
    炭素2重結合を還元し、対応する飽和炭化水素を生成す
    る。 (B)基質特異性 (1) 電子供与体としては、還元型β−ニコチンアミドア
    デニンジヌクレオチドよりも還元型β−ニコチンアミド
    アデニンジヌクレオチドリン酸に対して、有意に高い活
    性を有する。 (2)不飽和ケトンの炭素−炭素2重結合を還元するが、
    実質的にケトンの還元活性は無い。 (3) 3-Methyl-4-(3-pyridyl)-3-buten-2-oneのα,β−
    不飽和結合を選択的に還元し、90% ee以上の (S)-3-met
    hyl-4-(3-pyridyl)-3-butan-2-oneを生成する。 (C)分子量 ドデシル硫酸ナトリウム −ポリアクリルアミドゲル電
    気泳動により約47,000。ゲル濾過により約92,
    000。
  2. 【請求項2】 更に次に示す理化学的性質(D)−
    (E)を有する請求項1に記載のエノン還元酵素。 (D)作用pH pH 5.0−8.0 (E)至適温度 37−45℃
  3. 【請求項3】 クライベロマイセス(Kluyveromyces)
    属に由来する請求項1に記載の新規エノン還元酵素。
  4. 【請求項4】 クライベロマイセス属に属する微生物が
    クライベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lact
    is)であることを特徴とする、請求項3に記載の新規エ
    ノン還元酵素。
  5. 【請求項5】 クライベロマイセス属に属し、請求項1
    に記載のエノン還元酵素生産能を有する微生物を培養す
    ることを特徴とする請求項1に記載のエノン還元酵素を
    取得する方法。
  6. 【請求項6】 クライベロマイセス属に属する微生物
    が、クライベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces
    lactis)である、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 下記(a)から(e)のいずれかに記載
    のポリヌクレオチド。 (a)配列番号:1に記載の塩基配列を含むポリヌクレ
    オチド、(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列をコ
    ードするポリヌクレオチド、(c)配列番号:2に記載
    のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が
    置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配
    列からなり、下記の理化学的性状(A)および(B)を
    有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド、(d)配
    列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド
    とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、下記
    の理化学的性状(A)および(B)を有する蛋白質をコ
    ードするポリヌクレオチド、(e)配列番号:2に記載
    のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸
    配列からなり、下記の理化学的性状(A)および(B)
    を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド、 (A)作用 還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン
    酸を電子供与体として、α,β−不飽和ケトンの炭素−
    炭素2重結合を還元し、対応する飽和炭化水素を生成す
    る。 (B)基質特異性 (1) 電子供与体としては、還元型β−ニコチンアミドア
    デニンジヌクレオチドよりも還元型β−ニコチンアミド
    アデニンジヌクレオチドリン酸に対して、有意に高い活
    性を有する。 (2)不飽和ケトンの炭素−炭素2重結合を還元するが、
    実質的にケトンの還元活性は無い。 (3) 3-Methyl-4-(3-pyridyl)-3-buten-2-oneのα,β−
    不飽和結合を選択的に還元し、90% ee以上の (S)-3-met
    hyl-4-(3-pyridyl)-3-butan-2-oneを生成する。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のポリヌクレオチドによ
    ってコードされる蛋白質。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載のポリヌクレオチドが挿
    入された組換えベクター。
  10. 【請求項10】 更にβ-ニコチンアミドアデニンジヌ
    クレオチドリン酸を補酵素とする酸化還元反応を触媒す
    ることができる脱水素酵素をコードするポリヌクレオチ
    ドが挿入された、請求項9に記載の組換えベクター。
  11. 【請求項11】 酸化還元反応を触媒することができる
    脱水素酵素が、グルコース脱水素酵素であることを特徴
    とする請求項10記載の組換えベクター。
  12. 【請求項12】 請求項7に記載のポリヌクレオチド、
    または請求項9に記載のベクターを発現可能に保持した
    形質転換体。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の形質転換体を培養
    する工程を含む請求項8に記載の蛋白質の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1に記載のエノン還元酵素、請
    求項8に記載の蛋白質、該酵素または蛋白質を産生する
    微生物、および該微生物の処理物、からなる群から選択
    されるいずれかの酵素活性物質を、α,β不飽和ケトン
    に作用させ、生成するケトンを回収する工程を含む、
    α,β−不飽和ケトンの炭素−炭素2重結合を選択的に
    還元し、飽和ケトンを生産する方法。
  15. 【請求項15】請求項1に記載のエノン還元酵素、請求
    項8に記載の蛋白質、該酵素または蛋白質を産生する微
    生物、および該微生物の処理物、からなる群から選択さ
    れるいずれかの酵素活性物質を、α位、および/または
    β位に置換基を有するα,β不飽和ケトンに作用させ、
    生成する光学活性ケトンを回収する工程を含む、α,β
    −不飽和ケトンの炭素−炭素2重結合を選択的に還元
    し、光学活性飽和ケトンを生産する方法。
  16. 【請求項16】微生物が、請求項12に記載の形質転換
    体である請求項15に記載の方法。
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