JP2003000239A - 酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した生理活性物質の効率的なスクリーニング方法 - Google Patents
酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した生理活性物質の効率的なスクリーニング方法Info
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- JP2003000239A JP2003000239A JP2001150480A JP2001150480A JP2003000239A JP 2003000239 A JP2003000239 A JP 2003000239A JP 2001150480 A JP2001150480 A JP 2001150480A JP 2001150480 A JP2001150480 A JP 2001150480A JP 2003000239 A JP2003000239 A JP 2003000239A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ガンやアレルギーなどのヒト疾患の治療に有
用な生理活性物質のスクリーニングを、酵母遺伝子群の
過剰発現アッセイ系を利用した効率的なスクリーニング
方法によって行うことを目的とする。 【解決手段】 本発明は、酵母の遺伝子群を利用して過
剰発現アッセイ系を構築し、これを用いて、微生物の培
養液やケミカルライブラリー化合物の中から、活性物質
を効率的にスクリーニングする方法に関わるものであ
る。また、生理活性物質が有する複数の活性の有無を、
複数のアッセイを並列的に実施することにより検定でき
るという特徴を有している。
用な生理活性物質のスクリーニングを、酵母遺伝子群の
過剰発現アッセイ系を利用した効率的なスクリーニング
方法によって行うことを目的とする。 【解決手段】 本発明は、酵母の遺伝子群を利用して過
剰発現アッセイ系を構築し、これを用いて、微生物の培
養液やケミカルライブラリー化合物の中から、活性物質
を効率的にスクリーニングする方法に関わるものであ
る。また、生理活性物質が有する複数の活性の有無を、
複数のアッセイを並列的に実施することにより検定でき
るという特徴を有している。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】ガンやアレルギーなどのヒト
疾患の治療に有用な生理活性物質のスクリーニングを、
酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した生理活性
物質の効率的なスクリーニング方法に関する。
疾患の治療に有用な生理活性物質のスクリーニングを、
酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した生理活性
物質の効率的なスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬研究開発において、いわゆるインビ
トロ試験法による生理活性物質のスクリーニングは、細
胞から分離、精製したタンパクを用いることが多い。こ
の場合に、単一の生理活性をスクリーニングするような
ケースでは、このような従来の方法でも有用であろう。
しかしながら、生理活性物質が単一の化合物であったと
しても、通常は複数の生理活性を有している場合や、そ
れが薬物の副作用というマイナス面を有している場合も
多い。このような問題点が、開発がかなり進んだ段階で
見出された場合には、時間および経済的損失は大きい。
できるだけ早い段階で、生理活性物質が有する活性を幅
広く把握しておくことが重要である。
トロ試験法による生理活性物質のスクリーニングは、細
胞から分離、精製したタンパクを用いることが多い。こ
の場合に、単一の生理活性をスクリーニングするような
ケースでは、このような従来の方法でも有用であろう。
しかしながら、生理活性物質が単一の化合物であったと
しても、通常は複数の生理活性を有している場合や、そ
れが薬物の副作用というマイナス面を有している場合も
多い。このような問題点が、開発がかなり進んだ段階で
見出された場合には、時間および経済的損失は大きい。
できるだけ早い段階で、生理活性物質が有する活性を幅
広く把握しておくことが重要である。
【0003】タンパクを用いるアッセイ系では、生理活
性物質の細胞膜透過性を評価することはできない。従っ
て、生理活性物質の細胞膜透過性と生理活性の両方を評
価するためのアッセイ系としては、従来から、ヒトや動
物の細胞が用いられることが多い。しかし、動物細胞は
酵母細胞に比べると取扱いが難しく、増殖も遅い。ま
た、遺伝子工学的手法を使うのが難しいという問題点を
有している。動物細胞の代わりに、真核生物であって遺
伝子工学的手法や分子生物学的手法が駆使でき、増殖も
早く、さらに取扱いが容易である宿主細胞の利用が好ま
しい。また、生理活性物質の活性の有無の判定が容易で
あることも重要である。このような細胞レベルのアッセ
イ系を複数セット揃えて、並列的にアッセイを行うこと
により、医薬研究開発の早い段階から、生理活性物質が
有する種々の活性の状況を把握しておくことにより、効
率的な医薬開発が期待できる。
性物質の細胞膜透過性を評価することはできない。従っ
て、生理活性物質の細胞膜透過性と生理活性の両方を評
価するためのアッセイ系としては、従来から、ヒトや動
物の細胞が用いられることが多い。しかし、動物細胞は
酵母細胞に比べると取扱いが難しく、増殖も遅い。ま
た、遺伝子工学的手法を使うのが難しいという問題点を
有している。動物細胞の代わりに、真核生物であって遺
伝子工学的手法や分子生物学的手法が駆使でき、増殖も
早く、さらに取扱いが容易である宿主細胞の利用が好ま
しい。また、生理活性物質の活性の有無の判定が容易で
あることも重要である。このような細胞レベルのアッセ
イ系を複数セット揃えて、並列的にアッセイを行うこと
により、医薬研究開発の早い段階から、生理活性物質が
有する種々の活性の状況を把握しておくことにより、効
率的な医薬開発が期待できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】遺伝学のモデル生物と
して発展してきた酵母の全ゲノム情報から、いくつもの
ヒトの疾患原因遺伝子を含む相同遺伝子が発見され、さ
らに分子レベルで類似するタンパク機能ネットワークが
解明されたことにより、酵母がヒトの病気や生命現象の
モデル生物となりうることが示された。そこで、ガンや
アレルギーなどのヒト疾患の治療に有用な生理活性物質
を、酵母遺伝子の過剰発現アッセイ系を利用したスクリ
ーニング方法により効率化することを試みた結果、本発
明に至った。
して発展してきた酵母の全ゲノム情報から、いくつもの
ヒトの疾患原因遺伝子を含む相同遺伝子が発見され、さ
らに分子レベルで類似するタンパク機能ネットワークが
解明されたことにより、酵母がヒトの病気や生命現象の
モデル生物となりうることが示された。そこで、ガンや
アレルギーなどのヒト疾患の治療に有用な生理活性物質
を、酵母遺伝子の過剰発現アッセイ系を利用したスクリ
ーニング方法により効率化することを試みた結果、本発
明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】生物は、外界の環境変化
に伴う様々な刺激を感知し、それに対処するために、情
報を細胞内に伝達する機構を備えている。この機構は細
胞内情報伝達経路と呼ばれ、増殖や分化に重要な役割を
持っている。この経路に異常が生じると、ガン化やアレ
ルギーなどの免疫疾患を引き起こすと考えられている。
ガン化した細胞では、成長因子などによる調節に関係な
く、常に情報伝達経路が活性化された状態になってい
る。従って、異常な情報伝達経路の活性化を特異的に阻
害できる生理活性物質が発見できれば、それは、ガンや
免疫疾患などの疾病の治療に効果を示すことが期待でき
る。このような情報伝達経路は、ヒトのような高等動物
ばかりでなく、酵母などの微生物にも存在している。
に伴う様々な刺激を感知し、それに対処するために、情
報を細胞内に伝達する機構を備えている。この機構は細
胞内情報伝達経路と呼ばれ、増殖や分化に重要な役割を
持っている。この経路に異常が生じると、ガン化やアレ
ルギーなどの免疫疾患を引き起こすと考えられている。
ガン化した細胞では、成長因子などによる調節に関係な
く、常に情報伝達経路が活性化された状態になってい
る。従って、異常な情報伝達経路の活性化を特異的に阻
害できる生理活性物質が発見できれば、それは、ガンや
免疫疾患などの疾病の治療に効果を示すことが期待でき
る。このような情報伝達経路は、ヒトのような高等動物
ばかりでなく、酵母などの微生物にも存在している。
【0006】出芽酵母、サッカロミセス セレビジエ
(Saccharomyces cerevisiae)におけるシグナル伝達経
路としては、フェロモンシグナル伝達経路が良く知られ
ている。フェロモンの刺激が細胞膜上の受容体で感知さ
れると、細胞内のα、β、γの3つのサブユニットから
成る三量体Gタンパク質のαサブユニット(Gpa1)
が解離し、残りのβ/γサブユニット(Ste4/St
e18)が下流に信号を送る。その信号により、Ste
5やSte20、Ste11、Ste7、Fus3/K
ss1と順次活性化され、接合に必要な遺伝子群の転写
因子であるSte12などが活性化されて接合に至る
(図1)。これに似た情報伝達経路(図2)は、植物や
哺乳動物からヒトに至るまで存在し、真核生物で基本的
な性質として広く保存されている(Brunet A. et al. ,
Essay Biochem. 32,1-16,1977)。そこで遺伝子操作に
より、この酵母の情報伝達経路を恒常的に活性化させた
状態にし、それを解除させる生理活性物質を、さまざま
な遺伝子的方法や分子生物学的方法を駆使して、効率的
にスクリーニングする方法を検討した。
(Saccharomyces cerevisiae)におけるシグナル伝達経
路としては、フェロモンシグナル伝達経路が良く知られ
ている。フェロモンの刺激が細胞膜上の受容体で感知さ
れると、細胞内のα、β、γの3つのサブユニットから
成る三量体Gタンパク質のαサブユニット(Gpa1)
が解離し、残りのβ/γサブユニット(Ste4/St
e18)が下流に信号を送る。その信号により、Ste
5やSte20、Ste11、Ste7、Fus3/K
ss1と順次活性化され、接合に必要な遺伝子群の転写
因子であるSte12などが活性化されて接合に至る
(図1)。これに似た情報伝達経路(図2)は、植物や
哺乳動物からヒトに至るまで存在し、真核生物で基本的
な性質として広く保存されている(Brunet A. et al. ,
Essay Biochem. 32,1-16,1977)。そこで遺伝子操作に
より、この酵母の情報伝達経路を恒常的に活性化させた
状態にし、それを解除させる生理活性物質を、さまざま
な遺伝子的方法や分子生物学的方法を駆使して、効率的
にスクリーニングする方法を検討した。
【0007】フェロモン情報伝達経路を標的とする場合
は、フェロモンを与えた酵母を利用すれば増殖停止が誘
導でき、それに生理活性物質を添加することで酵母の増
殖を回復できる場合には、目的とする生理活性物質をス
クリーニングできたということになる。フェロモン情報
伝達経路に関しては、これまでに、過剰発現により情報
伝達経路を活性化する様々な遺伝子が取得されている。
その中には、STE4、STE5、STE12などの遺
伝子、STE20およびSTE11遺伝子の部分欠失体
であるSTE20ΔNおよびSTE11ΔN、突然変異
体であるSTE11−4およびSTE7−259Dなど
が知られている。従って、生理活性物質のスクリーニン
グに適したプロモーターの下流に、これらの遺伝子を連
結させて、これらの遺伝子を過剰発現させることによ
り、フェロモン情報伝達経路を活性化させることができ
る。これにより、酵母は接合のために増殖を停止する。
生理活性物質の共存下で酵母の増殖が回復した場合に
は、この生理活性物質は、フェロモン情報伝達経路に作
用する薬物としての活性を有することになる。
は、フェロモンを与えた酵母を利用すれば増殖停止が誘
導でき、それに生理活性物質を添加することで酵母の増
殖を回復できる場合には、目的とする生理活性物質をス
クリーニングできたということになる。フェロモン情報
伝達経路に関しては、これまでに、過剰発現により情報
伝達経路を活性化する様々な遺伝子が取得されている。
その中には、STE4、STE5、STE12などの遺
伝子、STE20およびSTE11遺伝子の部分欠失体
であるSTE20ΔNおよびSTE11ΔN、突然変異
体であるSTE11−4およびSTE7−259Dなど
が知られている。従って、生理活性物質のスクリーニン
グに適したプロモーターの下流に、これらの遺伝子を連
結させて、これらの遺伝子を過剰発現させることによ
り、フェロモン情報伝達経路を活性化させることができ
る。これにより、酵母は接合のために増殖を停止する。
生理活性物質の共存下で酵母の増殖が回復した場合に
は、この生理活性物質は、フェロモン情報伝達経路に作
用する薬物としての活性を有することになる。
【0008】本発明は、酵母遺伝子の過剰発現を特徴と
するものであり、フェロモンシグナル伝達経路に関与す
る遺伝子だけに限定されるものではない。例えばBNI
1遺伝子、GIN4遺伝子、GIN11遺伝子も利用で
きる。これらの遺伝子を過剰発現させると、酵母の増殖
停止を引き起こすことが知られている。BNI1は酵母
の形態形成に関与する遺伝子、GIN4は細胞周期と形
態形成を調節する遺伝子、GIN11はテロメアに近接
した遺伝子である。これらの遺伝子も、ガンの悪性化や
不死化に関わる遺伝子と考えられる。なぜならばガン細
胞の悪性化では、まず細胞の増殖や分化を調節する細胞
内情報伝達経路に異常が生じ、細胞分裂が繰り返される
ようになった後、次には細胞の老化に異常が生じて細胞
が不死化する。さらに形態制御に異常をきたすと、組織
から離れてガン細胞の転移が起こる。これらの異常を治
す生理活性物質は、新しい抗ガン剤となるはずである。
するものであり、フェロモンシグナル伝達経路に関与す
る遺伝子だけに限定されるものではない。例えばBNI
1遺伝子、GIN4遺伝子、GIN11遺伝子も利用で
きる。これらの遺伝子を過剰発現させると、酵母の増殖
停止を引き起こすことが知られている。BNI1は酵母
の形態形成に関与する遺伝子、GIN4は細胞周期と形
態形成を調節する遺伝子、GIN11はテロメアに近接
した遺伝子である。これらの遺伝子も、ガンの悪性化や
不死化に関わる遺伝子と考えられる。なぜならばガン細
胞の悪性化では、まず細胞の増殖や分化を調節する細胞
内情報伝達経路に異常が生じ、細胞分裂が繰り返される
ようになった後、次には細胞の老化に異常が生じて細胞
が不死化する。さらに形態制御に異常をきたすと、組織
から離れてガン細胞の転移が起こる。これらの異常を治
す生理活性物質は、新しい抗ガン剤となるはずである。
【0009】シグナル伝達経路と同様にして、細胞骨格
や細胞周期制御、テロメアなどの異常を標的とした薬物
の開発を行うことができる。細胞骨格の主要な構成成分
は、アクチンフィラメント、中間径フィラメント、微小
管という3種類の繊維構造からできており、これらが細
胞外シグナルや細胞周期、細胞分化に応答し再構築され
て、細胞接着、形態形成、運動、分裂、極性形成といっ
た高次機能を制御していると考えられている( Hall,
A. , Science 279,509-514,1998 )。ヒトの細胞におい
て、このファミリーの下流の標的分子であるmDiaタ
ンパクは、アクチン細胞骨格を介した細胞極性や細胞質
分裂に機能しているが、酵母におけるBni1タンパク
とその構造や機能が非常に類似している(Watanabe ,
N. et al. , EMBO J. 16,3044-3056,1997)。Bni
1タンパクは、Rhoファミリー(Rho1、Cdc4
2)、アクチン、アクチン結合タンパク(プロフィリ
ン、Bud6)および極性タンパク(Spa2)と相互
作用すると考えられている(Ozaki-Kuroda, K. et al.
, Mol. Cell. Biol. 21,827-839,2001)。BNI1遺
伝子の過剰発現は、形態の異常を引き起こして増殖停止
することが知られており、シグナル伝達経路と同様に、
これを用いることで細胞骨格制御の異常を標的とした薬
物の開発を行うことができる。またBNI1遺伝子と同
様に、細胞骨格制御に関わるが、異なった機能を有する
GIN4遺伝子を用いることで、細胞周期チェックポイ
ント機構を標的とすることもできる。Gin4タンパク
は、母細胞と娘細胞との間のくびれにおけるセプチンの
会合に機能しているが、またそれがSwe1タンパクを
介した細胞周期のG2/M期の形態チェックポイント機
構にも関連している(Longtine, M. S. et al. , Mol.
Cell. Biol. 20,4049-4061,2000)。形態チェックポイ
ントとは、出芽時の芽の形成の遅れなど細胞骨格制御の
異常を感知して、細胞周期の進行を阻害する機構であ
る。
や細胞周期制御、テロメアなどの異常を標的とした薬物
の開発を行うことができる。細胞骨格の主要な構成成分
は、アクチンフィラメント、中間径フィラメント、微小
管という3種類の繊維構造からできており、これらが細
胞外シグナルや細胞周期、細胞分化に応答し再構築され
て、細胞接着、形態形成、運動、分裂、極性形成といっ
た高次機能を制御していると考えられている( Hall,
A. , Science 279,509-514,1998 )。ヒトの細胞におい
て、このファミリーの下流の標的分子であるmDiaタ
ンパクは、アクチン細胞骨格を介した細胞極性や細胞質
分裂に機能しているが、酵母におけるBni1タンパク
とその構造や機能が非常に類似している(Watanabe ,
N. et al. , EMBO J. 16,3044-3056,1997)。Bni
1タンパクは、Rhoファミリー(Rho1、Cdc4
2)、アクチン、アクチン結合タンパク(プロフィリ
ン、Bud6)および極性タンパク(Spa2)と相互
作用すると考えられている(Ozaki-Kuroda, K. et al.
, Mol. Cell. Biol. 21,827-839,2001)。BNI1遺
伝子の過剰発現は、形態の異常を引き起こして増殖停止
することが知られており、シグナル伝達経路と同様に、
これを用いることで細胞骨格制御の異常を標的とした薬
物の開発を行うことができる。またBNI1遺伝子と同
様に、細胞骨格制御に関わるが、異なった機能を有する
GIN4遺伝子を用いることで、細胞周期チェックポイ
ント機構を標的とすることもできる。Gin4タンパク
は、母細胞と娘細胞との間のくびれにおけるセプチンの
会合に機能しているが、またそれがSwe1タンパクを
介した細胞周期のG2/M期の形態チェックポイント機
構にも関連している(Longtine, M. S. et al. , Mol.
Cell. Biol. 20,4049-4061,2000)。形態チェックポイ
ントとは、出芽時の芽の形成の遅れなど細胞骨格制御の
異常を感知して、細胞周期の進行を阻害する機構であ
る。
【0010】また、染色体末端テロメア領域のX−エレ
メントのDNA配列であるGIN11を用いれば、テロ
メアの異常を標的とすることができる。この領域は、ど
の染色体にも非常に良く保存されているが、その機能は
まったく分かっていない(Louis, E. J. et al. , Gene
tics 136,789-802,1994)。しかしテロメア領域は、若
い細胞でサイレンシングにより転写抑制が行われている
が、老いた細胞ではテロメアの短小化に伴い、サイレン
シングに機能を持つタンパクが解離して分裂停止を示す
ことから、これらの機能への関与があると考えられる
(Kennedy, B. K.et al. , Cell 89, 381-391,1997)。
メントのDNA配列であるGIN11を用いれば、テロ
メアの異常を標的とすることができる。この領域は、ど
の染色体にも非常に良く保存されているが、その機能は
まったく分かっていない(Louis, E. J. et al. , Gene
tics 136,789-802,1994)。しかしテロメア領域は、若
い細胞でサイレンシングにより転写抑制が行われている
が、老いた細胞ではテロメアの短小化に伴い、サイレン
シングに機能を持つタンパクが解離して分裂停止を示す
ことから、これらの機能への関与があると考えられる
(Kennedy, B. K.et al. , Cell 89, 381-391,1997)。
【0011】このように、過剰発現により増殖を停止さ
せる、様々な酵母の遺伝子を用いることにより、シグナ
ル伝達経路、細胞骨格制御、チェックポイント機構、そ
してテロメアの異常など、ガンに特徴的な異常と類似の
異常を、酵母で人為的に作り出すことができた。この異
常による増殖停止を標的として、それを抑制する生理活
性物質の効率的なスクリーニング方法を開発することが
できた。ただし、本発明に利用可能な遺伝子群は、これ
までに記述した遺伝子に限定されるものではない。酵母
のゲノム情報から得られる新規遺伝子を、本発明の酵母
遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した生理活性物質
の効率的なスクリーニング方法に用いることが可能であ
る。
せる、様々な酵母の遺伝子を用いることにより、シグナ
ル伝達経路、細胞骨格制御、チェックポイント機構、そ
してテロメアの異常など、ガンに特徴的な異常と類似の
異常を、酵母で人為的に作り出すことができた。この異
常による増殖停止を標的として、それを抑制する生理活
性物質の効率的なスクリーニング方法を開発することが
できた。ただし、本発明に利用可能な遺伝子群は、これ
までに記述した遺伝子に限定されるものではない。酵母
のゲノム情報から得られる新規遺伝子を、本発明の酵母
遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した生理活性物質
の効率的なスクリーニング方法に用いることが可能であ
る。
【0012】目的とする遺伝子を過剰発現させるために
は、遺伝子組換えによって得られるプラスミドで、酵母
を形質転換させる方法が有用である。用いるプラスミド
に関しては、酵母で利用可能なものであれば、特に制限
はない。また、過剰発現用のプロモーターに関しては、
酵母細胞内で機能するプロモーターであれば、特に制限
はない。発現のコントロールの容易さという点では、培
地にガラクトースを添加することにより、過剰発現を誘
導できるGAL10プロモーターが適している。しか
し、GAL10プロモーターの場合は、培地中にグルコ
ースが共存していると、GAL10プロモーターからの
発現が極端に抑制されてしまうという短所があり、目的
とする生理活性物質以外のものも選択されてしまうた
め、2次的なスクリーニングが必要となる場合もある。
は、遺伝子組換えによって得られるプラスミドで、酵母
を形質転換させる方法が有用である。用いるプラスミド
に関しては、酵母で利用可能なものであれば、特に制限
はない。また、過剰発現用のプロモーターに関しては、
酵母細胞内で機能するプロモーターであれば、特に制限
はない。発現のコントロールの容易さという点では、培
地にガラクトースを添加することにより、過剰発現を誘
導できるGAL10プロモーターが適している。しか
し、GAL10プロモーターの場合は、培地中にグルコ
ースが共存していると、GAL10プロモーターからの
発現が極端に抑制されてしまうという短所があり、目的
とする生理活性物質以外のものも選択されてしまうた
め、2次的なスクリーニングが必要となる場合もある。
【0013】CUP1プロモーターを利用した過剰発現
は、GAL10プロモーターのようにグルコースに影響
されないこと、遺伝子の発現量を培地中の銅イオン(C
u++)濃度で調節できるという点で、特に有効である。
また、用いる遺伝子によって、培地中の銅イオン濃度の
最適範囲は異なっている。従って、それぞれのアッセイ
系において、培地に添加する銅イオン濃度の最適範囲を
求めておく必要がある。
は、GAL10プロモーターのようにグルコースに影響
されないこと、遺伝子の発現量を培地中の銅イオン(C
u++)濃度で調節できるという点で、特に有効である。
また、用いる遺伝子によって、培地中の銅イオン濃度の
最適範囲は異なっている。従って、それぞれのアッセイ
系において、培地に添加する銅イオン濃度の最適範囲を
求めておく必要がある。
【0014】自然界には数多くの物質が存在しており、
それらの活性を調べることにより医薬品の開発が行われ
ている。抗生物質のスクリーニングが、微生物の代謝産
物で行われてきたように、微生物は様々な化合物を産生
している。従って、目的とする生理活性物質も微生物の
培養液をスクリーニングすることで発見できる。また、
最近は、人工的に基本骨格を様々な官能基で修飾して合
成した化合物のライブラリーが頻繁に用いられている。
それは構造が既知の化合物から活性物質をスクリーニン
グすることで、活性物質の単離・精製や構造決定に必要
な時間と労力を省くことができ、また化合物を大量に入
手しやすいので、大きな進展が期待できる。本発明の効
率的なスクリーニング方法は、微生物の代謝産物や化合
物ライブラリーなどからの医薬開発候補物質のスクリー
ニング、特に一次スクリーニングに有用であるが、医薬
開発候補物質が絞り込まれた段階で、その候補化合物が
主薬効のほかに、どのような活性を有しているかを検定
する場合にも、同様に有用である。
それらの活性を調べることにより医薬品の開発が行われ
ている。抗生物質のスクリーニングが、微生物の代謝産
物で行われてきたように、微生物は様々な化合物を産生
している。従って、目的とする生理活性物質も微生物の
培養液をスクリーニングすることで発見できる。また、
最近は、人工的に基本骨格を様々な官能基で修飾して合
成した化合物のライブラリーが頻繁に用いられている。
それは構造が既知の化合物から活性物質をスクリーニン
グすることで、活性物質の単離・精製や構造決定に必要
な時間と労力を省くことができ、また化合物を大量に入
手しやすいので、大きな進展が期待できる。本発明の効
率的なスクリーニング方法は、微生物の代謝産物や化合
物ライブラリーなどからの医薬開発候補物質のスクリー
ニング、特に一次スクリーニングに有用であるが、医薬
開発候補物質が絞り込まれた段階で、その候補化合物が
主薬効のほかに、どのような活性を有しているかを検定
する場合にも、同様に有用である。
【0015】以上のように、本発明では、酵母の遺伝子
群を利用して過剰発現アッセイ系を構築し、これを用い
て微生物の培養液やケミカルライブラリー化合物の中か
ら、生理活性物質を効率的にスクリーニングする方法に
関わるものである。また、生理活性物質が有する種々の
活性の有無を、複数のアッセイを並列的に実施すること
により把握できるという特徴を有している。
群を利用して過剰発現アッセイ系を構築し、これを用い
て微生物の培養液やケミカルライブラリー化合物の中か
ら、生理活性物質を効率的にスクリーニングする方法に
関わるものである。また、生理活性物質が有する種々の
活性の有無を、複数のアッセイを並列的に実施すること
により把握できるという特徴を有している。
【0016】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を、実施例にも
とづき図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実
施例のみに限定されるものではない。
とづき図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実
施例のみに限定されるものではない。
【0017】
【実施例1】Bni1タンパクのC末端側(1227−
1953アミノ酸残基の部分)だけをコードする遺伝子
BNI1ΔNをGAL10プロモーターの下流に連結し
たプラスミドpGA47を用いて、酵母W303−1A
株を形質転換した。BNI1ΔNが過剰発現されている
形質転換株は、ガラクトース培地で生育させると、形態
異常を引き起こして増殖を停止するため、これを指標と
して目的の形質転換株RAK284を単離した。
1953アミノ酸残基の部分)だけをコードする遺伝子
BNI1ΔNをGAL10プロモーターの下流に連結し
たプラスミドpGA47を用いて、酵母W303−1A
株を形質転換した。BNI1ΔNが過剰発現されている
形質転換株は、ガラクトース培地で生育させると、形態
異常を引き起こして増殖を停止するため、これを指標と
して目的の形質転換株RAK284を単離した。
【0018】RAK284株の増殖を阻害する物質とし
ては、放線菌の培養液を用いた。これらは、放線菌の培
養液に等量のメタノールを加えて細胞を破砕したもので
ある。なお、放線菌培養液の保存は−20℃以下で行っ
た。Bni1過剰発現アッセイプレートは、RAK28
4株を −L液体培地(YNB 1.7g , (NH4)2SO4 5g , glu
cose 20g , -L drop out mix 0.5g に蒸留水を加えて1
リットルに調製)の2mlに懸濁し、28℃で一晩回転
振盪培養した後、酵母菌体の濁度をOD600=1.0に
調整した。なお、-L drop out mix の組成は、0.5g ade
nine sulfate,2g L-histidine HCl, 2g L-lysine HCl,
2g L-methionine, 2g uracil および L-tryptophan で
ある。1%agar−Lgal培地をオートクレーブ
後、約50℃まで冷却した。OD600=1.0の酵母菌
体を1/1000量添加してプレートを作成した。微生
物培養液を、それぞれ10μlスポットし、28℃で5
〜6日間培養した後、酵母の生育状況を調べた。
ては、放線菌の培養液を用いた。これらは、放線菌の培
養液に等量のメタノールを加えて細胞を破砕したもので
ある。なお、放線菌培養液の保存は−20℃以下で行っ
た。Bni1過剰発現アッセイプレートは、RAK28
4株を −L液体培地(YNB 1.7g , (NH4)2SO4 5g , glu
cose 20g , -L drop out mix 0.5g に蒸留水を加えて1
リットルに調製)の2mlに懸濁し、28℃で一晩回転
振盪培養した後、酵母菌体の濁度をOD600=1.0に
調整した。なお、-L drop out mix の組成は、0.5g ade
nine sulfate,2g L-histidine HCl, 2g L-lysine HCl,
2g L-methionine, 2g uracil および L-tryptophan で
ある。1%agar−Lgal培地をオートクレーブ
後、約50℃まで冷却した。OD600=1.0の酵母菌
体を1/1000量添加してプレートを作成した。微生
物培養液を、それぞれ10μlスポットし、28℃で5
〜6日間培養した後、酵母の生育状況を調べた。
【0019】放線菌324株の培養液をスクリーニング
した結果、SNA23016、SNA23027、SN
A23028、SNA23029、SNA23036、
SNA23037、SNA23040、SNA2304
4、SNA23052、SNA23055、SNA23
062、SNA23068、SNA23075、SNA
23080、SNA23081、SNA23082、S
NA23083、SNA23084、SNA2308
5、SNA23086、SNA23087、SNA23
088、SNA23089、SNA23090、SNA
23091、SNA23092、SNA23093、S
NA23094、SNA23095、SNA2309
6、SNA23097、SNA23098、SNA23
099、SNA23109、SNA23113、SNA
23117、SNA23136、SNA23137、S
NA23142、SNA23159、SNA2316
2、SNA23172、SNA23181、SNA23
182、SNA23186、SNA23203、SNA
23204、SNA23229、SNA23230、S
NA23234、SNA23236、SNA2325
7、SNA23262、SNA23263、SNA23
264、SNA23265、SNA23268、SNA
23271、SNA23278、SNA23288、S
NA23295の61株の培養液で、酵母の増殖停止の
解除活性を示した。これは非特異的な増殖停止解除では
ない。このことからBNI1過剰発現を利用したスクリ
ーニングは、非常に高い確率で活性物質を選択できるこ
とが示された。
した結果、SNA23016、SNA23027、SN
A23028、SNA23029、SNA23036、
SNA23037、SNA23040、SNA2304
4、SNA23052、SNA23055、SNA23
062、SNA23068、SNA23075、SNA
23080、SNA23081、SNA23082、S
NA23083、SNA23084、SNA2308
5、SNA23086、SNA23087、SNA23
088、SNA23089、SNA23090、SNA
23091、SNA23092、SNA23093、S
NA23094、SNA23095、SNA2309
6、SNA23097、SNA23098、SNA23
099、SNA23109、SNA23113、SNA
23117、SNA23136、SNA23137、S
NA23142、SNA23159、SNA2316
2、SNA23172、SNA23181、SNA23
182、SNA23186、SNA23203、SNA
23204、SNA23229、SNA23230、S
NA23234、SNA23236、SNA2325
7、SNA23262、SNA23263、SNA23
264、SNA23265、SNA23268、SNA
23271、SNA23278、SNA23288、S
NA23295の61株の培養液で、酵母の増殖停止の
解除活性を示した。これは非特異的な増殖停止解除では
ない。このことからBNI1過剰発現を利用したスクリ
ーニングは、非常に高い確率で活性物質を選択できるこ
とが示された。
【0020】放線菌培養液中の活性物質の性質を知るた
めの手段の一つとして、活性物質をブタノールまたは酢
酸エチルで抽出した画分を用いて、同様に増殖停止の解
除活性を測定した。活性のあった培養液のいくつかを、
ブタノールまたは酢酸エチルと1:1で混合し、静置後
に上層の溶媒抽出液と、その下層の水層とを、二倍体の
アッセイ培地にスポットした。28℃で5〜6日間培養
して、酵母の増殖を調べた(表1)。増殖停止解除活性
を示した物質は、ブタノ−ルで抽出されるものや、酢酸
エチルで抽出されるものなど、様々であることがわかっ
た。このBNI1過剰発現を利用したスクリーニングに
より、細胞骨格制御に作用すると思われる生理活性物質
を含む培養液を選別できることが示された。
めの手段の一つとして、活性物質をブタノールまたは酢
酸エチルで抽出した画分を用いて、同様に増殖停止の解
除活性を測定した。活性のあった培養液のいくつかを、
ブタノールまたは酢酸エチルと1:1で混合し、静置後
に上層の溶媒抽出液と、その下層の水層とを、二倍体の
アッセイ培地にスポットした。28℃で5〜6日間培養
して、酵母の増殖を調べた(表1)。増殖停止解除活性
を示した物質は、ブタノ−ルで抽出されるものや、酢酸
エチルで抽出されるものなど、様々であることがわかっ
た。このBNI1過剰発現を利用したスクリーニングに
より、細胞骨格制御に作用すると思われる生理活性物質
を含む培養液を選別できることが示された。
【0021】
【表1】
【0022】
【実施例2】実施例1のアッセイ系は、GAL10プロ
モーターにより、遺伝子の過剰発現を行った。GAL1
0プロモーターは、もともとガラクトースを資化すると
きに発現する遺伝子のプロモーター領域であるため、ガ
ラクトースより先に資化されるグルコースが存在する
と、その発現は極端に抑制される。このことから、目的
とする物質ではないものを多く選択してしまい、二次的
なアッセイが必要であった。さらに、遺伝子の過剰発現
が非常に強い致死性を持つ場合は、活性物質のスクリー
ニングの感度が悪くなると考えられる。この問題を解決
するために、GAL10プロモーターを、外界の銅スト
レスにより発現が誘導されるCUP1プロモーターへ変
更した。このプロモーターは、GAL10プロモーター
ほどに発現量は高くないものの、培地中の銅濃度で発現
量を調節でき、また培地中のグルコースで発現が解除さ
れないという利点がある。
モーターにより、遺伝子の過剰発現を行った。GAL1
0プロモーターは、もともとガラクトースを資化すると
きに発現する遺伝子のプロモーター領域であるため、ガ
ラクトースより先に資化されるグルコースが存在する
と、その発現は極端に抑制される。このことから、目的
とする物質ではないものを多く選択してしまい、二次的
なアッセイが必要であった。さらに、遺伝子の過剰発現
が非常に強い致死性を持つ場合は、活性物質のスクリー
ニングの感度が悪くなると考えられる。この問題を解決
するために、GAL10プロモーターを、外界の銅スト
レスにより発現が誘導されるCUP1プロモーターへ変
更した。このプロモーターは、GAL10プロモーター
ほどに発現量は高くないものの、培地中の銅濃度で発現
量を調節でき、また培地中のグルコースで発現が解除さ
れないという利点がある。
【0023】そこで、CUP1プロモーターに、過剰発
現で増殖阻害を示すGIN11を連結したプラスミドを
用いて、グルコースの影響を調べてみた。ガラクトース
培地中ではGAL10プロモーターによるGIN11の
過剰発現で酵母は増殖を停止したが、培地中にグルコー
スを添加することにより増殖停止は解除された。一方、
銅含有培地中でのCUP1プロモーターによるGIN1
1の過剰発現により酵母は増殖停止したが、培地中にグ
ルコースを添加しても増殖停止は解除されなかった。従
って、GAL10プロモーターよりもCUP1プロモー
ターの方が、本発明の過剰発現系に用いるプロモーター
としては適していることが示された。
現で増殖阻害を示すGIN11を連結したプラスミドを
用いて、グルコースの影響を調べてみた。ガラクトース
培地中ではGAL10プロモーターによるGIN11の
過剰発現で酵母は増殖を停止したが、培地中にグルコー
スを添加することにより増殖停止は解除された。一方、
銅含有培地中でのCUP1プロモーターによるGIN1
1の過剰発現により酵母は増殖停止したが、培地中にグ
ルコースを添加しても増殖停止は解除されなかった。従
って、GAL10プロモーターよりもCUP1プロモー
ターの方が、本発明の過剰発現系に用いるプロモーター
としては適していることが示された。
【0024】
【実施例3】GIN4遺伝子を用いることで、細胞周期
チェックポイント機構も標的とすることができる。Gi
n4タンパクは、Cdc42、Nap1、Cla4と相
互作用している。また、C末端領域でセプチンと相互作
用し、それとともに母細胞と娘細胞の間のくびれに局在
して、セプチンの会合に機能していると考えられてい
る。セプチン機能の異常は、細胞周期のG2/M期の形
態チェックポイント機構にも関与しており、Gin4の
異常などによりセプチン機能に異常をきたすと、それを
Hsl1やHsl7が感知して、そのシグナルがSwe
1に伝達されると細胞周期のG2からM期進行の遅延が
起こると考えられている。従って、Gin4は細胞骨格
形成や細胞周期制御に関わるタンパクであり、Gin4
ΔN過剰発現による異常な活性化を抑制する物質は、ガ
ンの転移やチェックポイント機構に関連した細胞周期制
御の異常に効果を示すことが期待できる。Gin4のN
末端側を削除したGin4ΔNを過剰発現させると酵母
は形態異常を引き起こし、増殖停止をすることが知られ
ている(Akada, R. et al. , Mol. Gen. Genet. 254,26
7-274,1997)。
チェックポイント機構も標的とすることができる。Gi
n4タンパクは、Cdc42、Nap1、Cla4と相
互作用している。また、C末端領域でセプチンと相互作
用し、それとともに母細胞と娘細胞の間のくびれに局在
して、セプチンの会合に機能していると考えられてい
る。セプチン機能の異常は、細胞周期のG2/M期の形
態チェックポイント機構にも関与しており、Gin4の
異常などによりセプチン機能に異常をきたすと、それを
Hsl1やHsl7が感知して、そのシグナルがSwe
1に伝達されると細胞周期のG2からM期進行の遅延が
起こると考えられている。従って、Gin4は細胞骨格
形成や細胞周期制御に関わるタンパクであり、Gin4
ΔN過剰発現による異常な活性化を抑制する物質は、ガ
ンの転移やチェックポイント機構に関連した細胞周期制
御の異常に効果を示すことが期待できる。Gin4のN
末端側を削除したGin4ΔNを過剰発現させると酵母
は形態異常を引き起こし、増殖停止をすることが知られ
ている(Akada, R. et al. , Mol. Gen. Genet. 254,26
7-274,1997)。
【0025】プラスミドp303CUPGIN4を構築
して、それを酵母W303−1A株に導入することで、
CUP1プロモーターによるGIN4過剰発現株RAK
817を作成した。この株を銅含有培地(1% agar -L -
H 培地)に添加して、アッセイを行った。培地の銅イオ
ン濃度が0.7、0.5、0.2、0.1、0.05m
Mであるアッセイ培地を作成して、28℃で4日間培養
した。バックグラウンドで生えてくる酵母を観察するこ
とでGin4ΔNの発現量を判断し、スクリーニングに
最適な培地銅イオン濃度を比較検討した。その結果、少
しバックグラウンドが生えてくる程度の0.1mMの銅
含有培地が適当であると決定した(図3)。
して、それを酵母W303−1A株に導入することで、
CUP1プロモーターによるGIN4過剰発現株RAK
817を作成した。この株を銅含有培地(1% agar -L -
H 培地)に添加して、アッセイを行った。培地の銅イオ
ン濃度が0.7、0.5、0.2、0.1、0.05m
Mであるアッセイ培地を作成して、28℃で4日間培養
した。バックグラウンドで生えてくる酵母を観察するこ
とでGin4ΔNの発現量を判断し、スクリーニングに
最適な培地銅イオン濃度を比較検討した。その結果、少
しバックグラウンドが生えてくる程度の0.1mMの銅
含有培地が適当であると決定した(図3)。
【0026】
【実施例4】GIN4過剰発現アッセイを用いて、微生
物培養液の中から、GIN4の異常な活性化を抑制する
生理活性物質のスクリーニングを行った。放線菌387
株の培養液をスクリーニングした結果、SNA2301
6、SNA23027、SNA23028、SNA23
029、SNA23036、SNA23037、SNA
23040、SNA23044、SNA23052、S
NA23055、SNA23075、SNA2307
7、SNA23080、SNA23081、SNA23
082、SNA23083、SNA23084、SNA
23085、SNA23086、SNA23087、S
NA23088、SNA23089、SNA2309
1、SNA23092、SNA23093、SNA23
094、SNA23095、SNA23096、SNA
23097、SNA23098、SNA23099、S
NA23109、SNA23136、SNA2313
7、SNA23162、SNA23343、SNA23
371の37株の培養液で、増殖停止の解除活性が示さ
れた。
物培養液の中から、GIN4の異常な活性化を抑制する
生理活性物質のスクリーニングを行った。放線菌387
株の培養液をスクリーニングした結果、SNA2301
6、SNA23027、SNA23028、SNA23
029、SNA23036、SNA23037、SNA
23040、SNA23044、SNA23052、S
NA23055、SNA23075、SNA2307
7、SNA23080、SNA23081、SNA23
082、SNA23083、SNA23084、SNA
23085、SNA23086、SNA23087、S
NA23088、SNA23089、SNA2309
1、SNA23092、SNA23093、SNA23
094、SNA23095、SNA23096、SNA
23097、SNA23098、SNA23099、S
NA23109、SNA23136、SNA2313
7、SNA23162、SNA23343、SNA23
371の37株の培養液で、増殖停止の解除活性が示さ
れた。
【0027】さらに活性物質を、ブタノ−ルまたは酢酸
エチルで抽出して、脂溶性であるか否かを調べた。スク
リーニングで増殖停止解除活性を示した物質は、ブタノ
−ルで抽出されたものや酢酸エチルで抽出されたものな
ど、様々であることが分かった。また、BNI1のとき
と同じような活性を示す培養液もあれば、異なった活性
を示すものもあった。GIN4過剰発現を利用したスク
リーニングにより、細胞骨格制御やチェックポイント機
構に作用すると思われる生理活性物質を含む培養液を数
多く取得することができた。またそれらには、表1に示
したBNI1過剰発現アッセイで活性を示す物質とは異
なる物質もあることがわかった(表2)。
エチルで抽出して、脂溶性であるか否かを調べた。スク
リーニングで増殖停止解除活性を示した物質は、ブタノ
−ルで抽出されたものや酢酸エチルで抽出されたものな
ど、様々であることが分かった。また、BNI1のとき
と同じような活性を示す培養液もあれば、異なった活性
を示すものもあった。GIN4過剰発現を利用したスク
リーニングにより、細胞骨格制御やチェックポイント機
構に作用すると思われる生理活性物質を含む培養液を数
多く取得することができた。またそれらには、表1に示
したBNI1過剰発現アッセイで活性を示す物質とは異
なる物質もあることがわかった(表2)。
【0028】
【表2】
【0029】
【実施例5】スクリーニングにGIN11を利用するこ
とで、テロメアをターゲットにしたスクリーニングを行
うことができる。GIN11は染色体末端テロメア領域
のX−エレメントのDNA配列であることが分かってい
る(Akada, R. et al. , Mol. Gen. Genet. 254,267-27
4,1997)。GIN11を過剰発現すると酵母は増殖停止
を示すが、GIN11にはオープンリーディングフレー
ムが含まれておらず、過剰発現による増殖停止はGIN
11がRNAとして機能していると考えられている。テ
ロメアは、複製毎に短縮が見られ、ある程度まで短くな
ると細胞分裂が停止することから、細胞の絶対的な分裂
回数を制御していると言われている。この分裂回数制御
の異常はガン細胞の不死化と関係がある。GIN11の
領域はどの染色体にも非常に保存されているが、その機
能はまったく分かっていない。しかし、老いた細胞では
テロメアの短縮化に伴い、テロメアのサイレンシングに
機能を持つタンパク質が解離して分裂停止を引き起こす
ことから、GIN11がこれらの機能と関係があると考
えられる。従って、GIN11の過剰発現による異常を
抑制する生理活性物質は、ガンの不死化や老化に効果を
示すことが期待できる。
とで、テロメアをターゲットにしたスクリーニングを行
うことができる。GIN11は染色体末端テロメア領域
のX−エレメントのDNA配列であることが分かってい
る(Akada, R. et al. , Mol. Gen. Genet. 254,267-27
4,1997)。GIN11を過剰発現すると酵母は増殖停止
を示すが、GIN11にはオープンリーディングフレー
ムが含まれておらず、過剰発現による増殖停止はGIN
11がRNAとして機能していると考えられている。テ
ロメアは、複製毎に短縮が見られ、ある程度まで短くな
ると細胞分裂が停止することから、細胞の絶対的な分裂
回数を制御していると言われている。この分裂回数制御
の異常はガン細胞の不死化と関係がある。GIN11の
領域はどの染色体にも非常に保存されているが、その機
能はまったく分かっていない。しかし、老いた細胞では
テロメアの短縮化に伴い、テロメアのサイレンシングに
機能を持つタンパク質が解離して分裂停止を引き起こす
ことから、GIN11がこれらの機能と関係があると考
えられる。従って、GIN11の過剰発現による異常を
抑制する生理活性物質は、ガンの不死化や老化に効果を
示すことが期待できる。
【0030】プラスミドp306CGM86を酵母に導
入することで、CUP1プロモーターによるGIN11
過剰発現株RAK806を作成した。この株を培地に添
加してアッセイを行った。培地の銅イオン濃度が0.
7、0.5、0.2、0.1、0.05mMであるアッ
セイ培地を作成して、28℃で4日間培養した。バック
グラウンドで生えてくる酵母を観察することでGIN1
1の発現量を判断し、スクリーニングに最適な培地銅イ
オン濃度を比較検討した。その結果、少しバックグラウ
ンドが生えてくる程度の0.2mMの銅含有培地が適当
であると決定した。
入することで、CUP1プロモーターによるGIN11
過剰発現株RAK806を作成した。この株を培地に添
加してアッセイを行った。培地の銅イオン濃度が0.
7、0.5、0.2、0.1、0.05mMであるアッ
セイ培地を作成して、28℃で4日間培養した。バック
グラウンドで生えてくる酵母を観察することでGIN1
1の発現量を判断し、スクリーニングに最適な培地銅イ
オン濃度を比較検討した。その結果、少しバックグラウ
ンドが生えてくる程度の0.2mMの銅含有培地が適当
であると決定した。
【0031】GIN11過剰発現アッセイを用いて、微
生物培養液の中からGIN11の異常な活性化を抑制す
る生理活性物質のスクリーニングを行った。SNA23
001からSNA23905までの放線菌999株の培
養液をスクリーニングした結果、SNA23905の一
株の培養液が、増殖停止の解除活性を示した。
生物培養液の中からGIN11の異常な活性化を抑制す
る生理活性物質のスクリーニングを行った。SNA23
001からSNA23905までの放線菌999株の培
養液をスクリーニングした結果、SNA23905の一
株の培養液が、増殖停止の解除活性を示した。
【0032】GIN11過剰発現アッセイで増殖停止解
除活性を示した物質を、ブタノ−ルまたは酢酸エチルと
混合して、それらに抽出されるか調べた。その結果、S
NA23905の培養液に含まれる活性物質は、ブタノ
−ルや酢酸エチルで抽出されなかったことから、水溶性
の物質であることが分かった(表3)。
除活性を示した物質を、ブタノ−ルまたは酢酸エチルと
混合して、それらに抽出されるか調べた。その結果、S
NA23905の培養液に含まれる活性物質は、ブタノ
−ルや酢酸エチルで抽出されなかったことから、水溶性
の物質であることが分かった(表3)。
【0033】
【表3】
【0034】
【実施例6】本発明で開発したスクリーニングシステム
を用いて、ケミカルライブラリー化合物のスクリーニン
グを行った結果、細胞骨格制御に作用すると思われる様
々な化合物が取得できた。そこで、これらの化合物の酵
母細胞への作用を解析することにした。今回、BNI1
過剰発現を利用したスクリーニングにおいて活性を示し
た38種の化合物のうち、再度アッセイを行って再現性
が得られた30種について作用の解析を行った。Bni
1タンパクはアクチンを介した細胞骨格制御に関わるタ
ンパクであることから、BNI1過剰発現を利用したス
クリーニングで取得された化合物が、細胞骨格制御に作
用していることが考えられる。そこで、これらの化合物
が酵母の形態に影響を与えるか調べた。Bni1は様々
な細胞骨格制御に関わっている。そこで、その内の栄養
増殖中の出芽や、接合時の突起(シュムー)形成を顕微
鏡で観察することにした。
を用いて、ケミカルライブラリー化合物のスクリーニン
グを行った結果、細胞骨格制御に作用すると思われる様
々な化合物が取得できた。そこで、これらの化合物の酵
母細胞への作用を解析することにした。今回、BNI1
過剰発現を利用したスクリーニングにおいて活性を示し
た38種の化合物のうち、再度アッセイを行って再現性
が得られた30種について作用の解析を行った。Bni
1タンパクはアクチンを介した細胞骨格制御に関わるタ
ンパクであることから、BNI1過剰発現を利用したス
クリーニングで取得された化合物が、細胞骨格制御に作
用していることが考えられる。そこで、これらの化合物
が酵母の形態に影響を与えるか調べた。Bni1は様々
な細胞骨格制御に関わっている。そこで、その内の栄養
増殖中の出芽や、接合時の突起(シュムー)形成を顕微
鏡で観察することにした。
【0035】5aa液体培地(YNB 1.7g , (NH4)2SO4 5
g , glucose 20g , 5aa mix 0.5gに蒸留水を加えて1リ
ットルに調製)の180μlに、スクリーニングで活性
のあったライブラリーの化合物(1mM)を2μl加
え、W303−1A株を20μl植菌して28℃で培養
した。なお 5aa mix の組成は、0.5g adenine sulfate,
2g L-histidine HCl, 4g L-leucine, 2g uracil およ
び L-tryptophan である。4時間後、8時間後に出芽に
おける形態を顕微鏡で観察した。DMSO(Dimethyl s
ulfoxide)を与えて培養したコントロールと比較した
が、出芽における形態に差は見つからなかった。
g , glucose 20g , 5aa mix 0.5gに蒸留水を加えて1リ
ットルに調製)の180μlに、スクリーニングで活性
のあったライブラリーの化合物(1mM)を2μl加
え、W303−1A株を20μl植菌して28℃で培養
した。なお 5aa mix の組成は、0.5g adenine sulfate,
2g L-histidine HCl, 4g L-leucine, 2g uracil およ
び L-tryptophan である。4時間後、8時間後に出芽に
おける形態を顕微鏡で観察した。DMSO(Dimethyl s
ulfoxide)を与えて培養したコントロールと比較した
が、出芽における形態に差は見つからなかった。
【0036】次に、酵母にフェロモンと化合物の両方を
与え、シュムー形成における形態の変化を観察すること
にした。α-factor の濃度がそれぞれ10、1、0.
1、0.01 mg/mlになるように5aa液体培地
に添加した後、フェロモンに感受性の高いRAK21株
を植菌した。28℃で8時間培養した後に、細胞がシュ
ムーを形成しているか調べた。その結果α-factor の濃
度が10および1mg/mlのとき、細胞がシュムーを
形成していた。そこで、α-factor の濃度の条件を1m
g/mlとして実験を行うことにした。
与え、シュムー形成における形態の変化を観察すること
にした。α-factor の濃度がそれぞれ10、1、0.
1、0.01 mg/mlになるように5aa液体培地
に添加した後、フェロモンに感受性の高いRAK21株
を植菌した。28℃で8時間培養した後に、細胞がシュ
ムーを形成しているか調べた。その結果α-factor の濃
度が10および1mg/mlのとき、細胞がシュムーを
形成していた。そこで、α-factor の濃度の条件を1m
g/mlとして実験を行うことにした。
【0037】5aa液体培地 160μlに、10mg
/mlのα-factorを20μl、ライブラリーの化合物
を2μl加え、それにRAK21株を20μl植菌し
た。28℃で8時間培養した後、顕微鏡で観察すると、
10B6や12H1などのいくつかの化合物では、シュ
ムーが形成されていない細胞が見られた(図4)。そこ
で8時間の培養液100μlにホルマリン10μlを懸
濁して細胞を固定化した。また、残った培養液20ml
を分取して、メチレンブルーで染色した。これらを用い
て細胞の生死を観察した。シュムーを形成した細胞と、
形成していない細胞の数を測定し、シュムーの形成率を
百分率で算出した(表4)。ライブラリーの化合物10
B6、12H1、24F5、30E3、36E4、39
E3、55D7、70G4、70H5、70B6、70
G6、70H6そして74G6はシュムー形成を強く阻
害した。このうち、39E3と70G4は細胞のほとん
どがメチレンブルーで染色されたので、形態変化を起こ
す前に細胞が死んでしまったと考えられる。
/mlのα-factorを20μl、ライブラリーの化合物
を2μl加え、それにRAK21株を20μl植菌し
た。28℃で8時間培養した後、顕微鏡で観察すると、
10B6や12H1などのいくつかの化合物では、シュ
ムーが形成されていない細胞が見られた(図4)。そこ
で8時間の培養液100μlにホルマリン10μlを懸
濁して細胞を固定化した。また、残った培養液20ml
を分取して、メチレンブルーで染色した。これらを用い
て細胞の生死を観察した。シュムーを形成した細胞と、
形成していない細胞の数を測定し、シュムーの形成率を
百分率で算出した(表4)。ライブラリーの化合物10
B6、12H1、24F5、30E3、36E4、39
E3、55D7、70G4、70H5、70B6、70
G6、70H6そして74G6はシュムー形成を強く阻
害した。このうち、39E3と70G4は細胞のほとん
どがメチレンブルーで染色されたので、形態変化を起こ
す前に細胞が死んでしまったと考えられる。
【0038】
【表4】
【0039】
【実施例7】BNI1過剰発現を利用したスクリーニン
グで活性のあった化合物のいくつかは、フェロモンシグ
ナルによるシュムー形成を抑制するものがあった。そこ
でこれらの化合物が、フェロモンを与えることによって
引き起こされる細胞周期のG1期での増殖停止を解除で
きるかを調べた。
グで活性のあった化合物のいくつかは、フェロモンシグ
ナルによるシュムー形成を抑制するものがあった。そこ
でこれらの化合物が、フェロモンを与えることによって
引き起こされる細胞周期のG1期での増殖停止を解除で
きるかを調べた。
【0040】1%agar 5aa培地にα-factor、R
AK21株を添加して作成したプレートに、スクリーニ
ングで活性のあった化合物をスポットした。28℃で6
日培養した後、酵母の生育状態を観察した(表5)。ラ
イブラリーの化合物10B6、12H1、24D5、3
0C11、36E4および39E3は、α-factorによ
るG1停止を解除する活性が強かった。
AK21株を添加して作成したプレートに、スクリーニ
ングで活性のあった化合物をスポットした。28℃で6
日培養した後、酵母の生育状態を観察した(表5)。ラ
イブラリーの化合物10B6、12H1、24D5、3
0C11、36E4および39E3は、α-factorによ
るG1停止を解除する活性が強かった。
【0041】
【表5】
【0042】
【実施例8】細胞骨格の主要な構成成分はアクチンやチ
ューブリンであり、それが重合や脱重合することで機能
している。従って、BNI1過剰発現を利用したスクリ
ーニングで活性のあった化合物は、それらの機構に影響
を与えるかもしれない。ラトランキュリン−A(Latrun
culin-A)はアクチンモノマーに結合し、アクチンの重
合を阻害して細胞の増殖を阻害する薬剤である。化合物
にアクチンの重合を促進するような作用があれば、ラト
ランキュリン−Aの増殖阻害に対して拮抗作用を示し、
反対にアクチン重合を抑制するような作用があれば、相
乗・相加作用を示すと考えられる。また、チューブリン
の重合阻害剤であるベノミル(Benomyl)を用いれば、
アクチン重合同様、チューブリン重合における作用を調
べることができる。そこで酵母を添加して作成したプレ
ートに、これらの薬剤と化合物を同時にスポットして、
ラトランキュリン−Aやベノミルによる増殖阻止円(ハ
ロ)の形状を調べることにした。
ューブリンであり、それが重合や脱重合することで機能
している。従って、BNI1過剰発現を利用したスクリ
ーニングで活性のあった化合物は、それらの機構に影響
を与えるかもしれない。ラトランキュリン−A(Latrun
culin-A)はアクチンモノマーに結合し、アクチンの重
合を阻害して細胞の増殖を阻害する薬剤である。化合物
にアクチンの重合を促進するような作用があれば、ラト
ランキュリン−Aの増殖阻害に対して拮抗作用を示し、
反対にアクチン重合を抑制するような作用があれば、相
乗・相加作用を示すと考えられる。また、チューブリン
の重合阻害剤であるベノミル(Benomyl)を用いれば、
アクチン重合同様、チューブリン重合における作用を調
べることができる。そこで酵母を添加して作成したプレ
ートに、これらの薬剤と化合物を同時にスポットして、
ラトランキュリン−Aやベノミルによる増殖阻止円(ハ
ロ)の形状を調べることにした。
【0043】W303−1A株を1%agar 5aa
培地に添加してプレートを作成した。そこに1mMのラ
トランキュリン−Aと化合物をそれぞれ10mmの間隔
で3μlスポットした。28℃で培養後、ハロの形状を
観察した。化合物10B6、24D5、30C11、3
6E4、55D7、70G4、70H5、70G6、7
0H6で拮抗作用を示した(図5 および 表6)。これ
らの化合物はアクチンの重合を促進させる作用をしてい
ると考えられる。またBNI1で活性のあった化合物1
2H1は、強い相乗作用を示した。これはアクチンの重
合を阻害する作用があると考えられる。
培地に添加してプレートを作成した。そこに1mMのラ
トランキュリン−Aと化合物をそれぞれ10mmの間隔
で3μlスポットした。28℃で培養後、ハロの形状を
観察した。化合物10B6、24D5、30C11、3
6E4、55D7、70G4、70H5、70G6、7
0H6で拮抗作用を示した(図5 および 表6)。これ
らの化合物はアクチンの重合を促進させる作用をしてい
ると考えられる。またBNI1で活性のあった化合物1
2H1は、強い相乗作用を示した。これはアクチンの重
合を阻害する作用があると考えられる。
【0044】
【表6】
【0045】W303−1A株を1%agar 5aa
培地に添加してプレートを作成した。そこに1mg/m
lのベノミルと化合物をそれぞれ10mmの間隔で3μ
lスポットした。28℃で培養後、ハロの形状を観察し
た。化合物70G4、70G5、70H5、70G6で
強い拮抗作用を示した。この化合物はチューブリンの重
合を促進させる作用をしていると考えられる。
培地に添加してプレートを作成した。そこに1mg/m
lのベノミルと化合物をそれぞれ10mmの間隔で3μ
lスポットした。28℃で培養後、ハロの形状を観察し
た。化合物70G4、70G5、70H5、70G6で
強い拮抗作用を示した。この化合物はチューブリンの重
合を促進させる作用をしていると考えられる。
【0046】
【実施例9】さらにスクリーニングの系を広げるため
に、過剰発現により増殖停止を示す遺伝子を取得して、
実施例9〜13に示すような、新しいスクリーニング系
の開発を行った。
に、過剰発現により増殖停止を示す遺伝子を取得して、
実施例9〜13に示すような、新しいスクリーニング系
の開発を行った。
【0047】Boi1はBem1結合タンパクとして同
定され、細胞増殖や出芽の過程において機能する。Be
m1はフェロモンシグナル伝達径路のSte20に結合
しており、シグナル伝達に関係している。また、アクチ
ン細胞骨格や、Cdc24に結合しており、それらを介
して細胞骨格制御にも関わっている。従って、Boi1
の異常な活性化を抑制する物質は、ガンの転移や過剰増
殖に効果を示すと考えられる。BOI1遺伝子を過剰発
現させると、酵母は増殖停止をすることが知られている
(Akada, R. et al. , Mol. Gen. Genet. 254,267-274,
1997)。そこで、この遺伝子を利用したスクリーニング
システムを開発した。
定され、細胞増殖や出芽の過程において機能する。Be
m1はフェロモンシグナル伝達径路のSte20に結合
しており、シグナル伝達に関係している。また、アクチ
ン細胞骨格や、Cdc24に結合しており、それらを介
して細胞骨格制御にも関わっている。従って、Boi1
の異常な活性化を抑制する物質は、ガンの転移や過剰増
殖に効果を示すと考えられる。BOI1遺伝子を過剰発
現させると、酵母は増殖停止をすることが知られている
(Akada, R. et al. , Mol. Gen. Genet. 254,267-274,
1997)。そこで、この遺伝子を利用したスクリーニング
システムを開発した。
【0048】プラスミドp306CUPBOI1を構築
して、それをW303−1A株に導入することでCUP
1プロモーターによるBOI1過剰発現株RAK155
5を作成した。この株を銅含有培地に添加してアッセイ
を行うことにした。培地の銅イオン濃度が0.08、
0.06、0.04、0.02mMであるアッセイ培地
を作成して、28℃で4日間培養した。バックグラウン
ドで生えてくる酵母を観察することでBOI1の発現量
を調べ、スクリーニングに最適な培地銅イオン濃度を比
較検討した。その結果、少しバックグラウンドが生えて
くる程度の0.04mMの銅含有培地が適当であると判
断した。
して、それをW303−1A株に導入することでCUP
1プロモーターによるBOI1過剰発現株RAK155
5を作成した。この株を銅含有培地に添加してアッセイ
を行うことにした。培地の銅イオン濃度が0.08、
0.06、0.04、0.02mMであるアッセイ培地
を作成して、28℃で4日間培養した。バックグラウン
ドで生えてくる酵母を観察することでBOI1の発現量
を調べ、スクリーニングに最適な培地銅イオン濃度を比
較検討した。その結果、少しバックグラウンドが生えて
くる程度の0.04mMの銅含有培地が適当であると判
断した。
【0049】
【実施例10】Gin12タンパクはSpb42とも言
われ、紡錘体極の構成要素である。従って、GIN12
遺伝子の過剰発現による異常な活性化を抑制する物質
は、細胞分裂の異常に効果を示すことが期待できる。こ
の遺伝子を過剰発現させると、細胞周期のG2/M期で
停止することが知られている(Akada, R. et al. , Mo
l.Gen. Genet. 254,267-274,1997)。そこでこの遺伝子
を利用したスクリーニングシステムを開発することにし
た。
われ、紡錘体極の構成要素である。従って、GIN12
遺伝子の過剰発現による異常な活性化を抑制する物質
は、細胞分裂の異常に効果を示すことが期待できる。こ
の遺伝子を過剰発現させると、細胞周期のG2/M期で
停止することが知られている(Akada, R. et al. , Mo
l.Gen. Genet. 254,267-274,1997)。そこでこの遺伝子
を利用したスクリーニングシステムを開発することにし
た。
【0050】プラスミドp306CUPGIN12を構
築して、それをW303−1A株に導入することでCU
P1プロモーターによるGIN12過剰発現株RAK1
554を作成した。この株を銅含有培地に添加してアッ
セイを行うことにした。培地の銅イオン濃度が、0.
6、0.4、0.2、0.1mMであるアッセイ培地を
作成し、28℃で4日間培養して、バックグラウンドで
生えてくる酵母を観察することでGIN12の発現量を
調べ、スクリーニングに最適な培地銅イオン濃度を比較
検討した。その結果、少しバックグラウンドが生えてく
る程度の0.4mMの銅含有培地が適当であると判断し
た。
築して、それをW303−1A株に導入することでCU
P1プロモーターによるGIN12過剰発現株RAK1
554を作成した。この株を銅含有培地に添加してアッ
セイを行うことにした。培地の銅イオン濃度が、0.
6、0.4、0.2、0.1mMであるアッセイ培地を
作成し、28℃で4日間培養して、バックグラウンドで
生えてくる酵母を観察することでGIN12の発現量を
調べ、スクリーニングに最適な培地銅イオン濃度を比較
検討した。その結果、少しバックグラウンドが生えてく
る程度の0.4mMの銅含有培地が適当であると判断し
た。
【0051】
【実施例11】Tpk3タンパクはcAMP依存性タン
パク質キナーゼの触媒サブユニットであり、細胞内のシ
グナル伝達に関係する。Gタンパク連結型の受容体は、
小型細胞内シグナル分子の濃度を変化させる一連の過程
を活性化して、シグナルを伝達する。受容体に細胞外リ
ガンドが結合すると、細胞内のコンフォーメーション変
化によりGタンパクが結合し、その結果、膜に結合した
酵素が活性化され、cAMPの濃度を増幅させて下流へ
とシグナルを伝達する。従って、TPK3の過剰発現に
よる異常を抑制する生理活性物質を探索することによ
り、シグナル伝達の阻害剤が得られると考えられる。T
PK3遺伝子の過剰発現は、酵母の増殖停止を引き起こ
すことが知られている(Akada, R. et al. , Mol. Gen.
Genet. 254,267-274,1997)。そこで、この遺伝子を利
用したスクリーニングシステムを、開発することにし
た。
パク質キナーゼの触媒サブユニットであり、細胞内のシ
グナル伝達に関係する。Gタンパク連結型の受容体は、
小型細胞内シグナル分子の濃度を変化させる一連の過程
を活性化して、シグナルを伝達する。受容体に細胞外リ
ガンドが結合すると、細胞内のコンフォーメーション変
化によりGタンパクが結合し、その結果、膜に結合した
酵素が活性化され、cAMPの濃度を増幅させて下流へ
とシグナルを伝達する。従って、TPK3の過剰発現に
よる異常を抑制する生理活性物質を探索することによ
り、シグナル伝達の阻害剤が得られると考えられる。T
PK3遺伝子の過剰発現は、酵母の増殖停止を引き起こ
すことが知られている(Akada, R. et al. , Mol. Gen.
Genet. 254,267-274,1997)。そこで、この遺伝子を利
用したスクリーニングシステムを、開発することにし
た。
【0052】プラスミドpCUP306TPK3を構築
して、それをW303−1A株に導入することで、CU
P1プロモーターによるTPK3過剰発現株RAK15
53を作成した。この株を銅含有培地に添加して、アッ
セイを行うことにした。培地の銅イオン濃度が、0.
8、0.6、0.4、0.2mMであるアッセイ培地を
作成して、28℃で4日間培養し、バックグラウンドで
生えてくる酵母を観察することでTPK3の発現量を調
べ、スクリーニングに最適な培地銅イオン濃度を比較検
討した。その結果、少しバックグラウンドが生えてくる
程度の0.6mMの銅含有培地が適当であると判断し
た。
して、それをW303−1A株に導入することで、CU
P1プロモーターによるTPK3過剰発現株RAK15
53を作成した。この株を銅含有培地に添加して、アッ
セイを行うことにした。培地の銅イオン濃度が、0.
8、0.6、0.4、0.2mMであるアッセイ培地を
作成して、28℃で4日間培養し、バックグラウンドで
生えてくる酵母を観察することでTPK3の発現量を調
べ、スクリーニングに最適な培地銅イオン濃度を比較検
討した。その結果、少しバックグラウンドが生えてくる
程度の0.6mMの銅含有培地が適当であると判断し
た。
【0053】
【実施例12】Abp1タンパクはアクチンパッチの構
成要素であり、出芽時のアクチンに結合してアクチンフ
ィラメントを安定化させていると考えられる。遺伝子A
BP1の過剰発現はアクチン細胞骨格を異常にして、異
常な出芽パターンを示すことが分かっている(Liu , H.
et al. , Genetics 132,665-673,1992)。このことか
ら、ABP1の過剰発現による異常を抑制する物質は、
ガンの浸潤や転移などの細胞骨格形成異常に効果を示す
ことが期待できる。そこで、この遺伝子を利用したスク
リーニングシステムを開発することにした。
成要素であり、出芽時のアクチンに結合してアクチンフ
ィラメントを安定化させていると考えられる。遺伝子A
BP1の過剰発現はアクチン細胞骨格を異常にして、異
常な出芽パターンを示すことが分かっている(Liu , H.
et al. , Genetics 132,665-673,1992)。このことか
ら、ABP1の過剰発現による異常を抑制する物質は、
ガンの浸潤や転移などの細胞骨格形成異常に効果を示す
ことが期待できる。そこで、この遺伝子を利用したスク
リーニングシステムを開発することにした。
【0054】W303−1A株の染色体DNAを鋳型と
したPCRにより、ABP1を取得して、プラスミドp
306CUPABP1を構築した。これをW303−1
A株に導入することでCUP1プロモーターによるAB
P1過剰発現株RAK1557を作成した。この株を銅
含有培地に添加してアッセイを行うことにした。培地の
銅イオン濃度が、0.8、0.6、0.4、0.2mM
であるアッセイ培地を作成し、28℃で4日間培養し
て、バックグラウンドで生えてくる酵母を観察すること
でABP1の発現量を調べ、スクリーニングに最適な培
地銅イオン濃度を比較検討した。その結果、少しバック
グラウンドが生えてくる程度の0.6mMの銅含有培地
が適当であると判断した。
したPCRにより、ABP1を取得して、プラスミドp
306CUPABP1を構築した。これをW303−1
A株に導入することでCUP1プロモーターによるAB
P1過剰発現株RAK1557を作成した。この株を銅
含有培地に添加してアッセイを行うことにした。培地の
銅イオン濃度が、0.8、0.6、0.4、0.2mM
であるアッセイ培地を作成し、28℃で4日間培養し
て、バックグラウンドで生えてくる酵母を観察すること
でABP1の発現量を調べ、スクリーニングに最適な培
地銅イオン濃度を比較検討した。その結果、少しバック
グラウンドが生えてくる程度の0.6mMの銅含有培地
が適当であると判断した。
【0055】
【実施例13】Kar1タンパクは紡錘体極の構成要素
であり、分裂や接合において微小管が機能するためにこ
のタンパクは重要である。KAR1遺伝子の過剰発現は
致死性を示し、母細胞だけが、非常に大きく丸くなった
状態で増殖を停止することが知られている(Rose M. D.
et al. , Cell 48,1047-1060,1987)。従って、KAR
1過剰発現による異常を抑制する物質は、細胞核の分裂
や融合に作用する生理活性物質であることが期待でき
る。
であり、分裂や接合において微小管が機能するためにこ
のタンパクは重要である。KAR1遺伝子の過剰発現は
致死性を示し、母細胞だけが、非常に大きく丸くなった
状態で増殖を停止することが知られている(Rose M. D.
et al. , Cell 48,1047-1060,1987)。従って、KAR
1過剰発現による異常を抑制する物質は、細胞核の分裂
や融合に作用する生理活性物質であることが期待でき
る。
【0056】W303−1A株の染色体DNAを鋳型と
したPCRによりKAR1を取得して、プラスミドp3
06CUPKAR1を構築した。これをW303−1A
株に導入することでCUP1プロモーターによるKAR
1過剰発現株RAK1558を作成した。この株を銅含
有培地に添加して、アッセイを行うことにした。培地の
銅イオン濃度が、0.8、0.6、0.4、0.2mM
であるアッセイ培地を作成し、28℃で4日間培養し
て、バックグラウンドで生えてくる酵母を観察すること
でKAR1の発現量を調べ、スクリーニングに最適な培
地銅イオン濃度を比較検討した。その結果、少しバック
グラウンドが生えてくる程度の0.6mMの銅含有培地
が適当であると判断した。
したPCRによりKAR1を取得して、プラスミドp3
06CUPKAR1を構築した。これをW303−1A
株に導入することでCUP1プロモーターによるKAR
1過剰発現株RAK1558を作成した。この株を銅含
有培地に添加して、アッセイを行うことにした。培地の
銅イオン濃度が、0.8、0.6、0.4、0.2mM
であるアッセイ培地を作成し、28℃で4日間培養し
て、バックグラウンドで生えてくる酵母を観察すること
でKAR1の発現量を調べ、スクリーニングに最適な培
地銅イオン濃度を比較検討した。その結果、少しバック
グラウンドが生えてくる程度の0.6mMの銅含有培地
が適当であると判断した。
【0057】
【実施例14】本発明の生理活性物質のスクリーニング
システムが、既知の薬剤に対し、どのような活性を検出
できるかを検定した(表7 および 表8)。本実施例で
用いた過剰発現アッセイ系の組み合せは、あくまでも一
つの例であって、試験対象とする薬剤の種類および性質
によって、最適の組み合わせを選択すべきものである。
システムが、既知の薬剤に対し、どのような活性を検出
できるかを検定した(表7 および 表8)。本実施例で
用いた過剰発現アッセイ系の組み合せは、あくまでも一
つの例であって、試験対象とする薬剤の種類および性質
によって、最適の組み合わせを選択すべきものである。
【0058】用いた薬剤は、シグナル伝達の阻害剤とし
てラディシコール(Radicicol)、ハービマイシン−A
(Herbimycin-A)、ワートマンニン(Wortmannin)、
マニュマイシン−A(Manumycin-A)、Y23497、
U0126、PD98059、 細胞骨格形成の阻害剤
として ラトランキュリン−Aとベノミルである。
てラディシコール(Radicicol)、ハービマイシン−A
(Herbimycin-A)、ワートマンニン(Wortmannin)、
マニュマイシン−A(Manumycin-A)、Y23497、
U0126、PD98059、 細胞骨格形成の阻害剤
として ラトランキュリン−Aとベノミルである。
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】STE11過剰発現アッセイでは数種の薬
剤で活性が見られ、特にラディシコールでは非常に強い
活性を示した。BNI1やBOI1過剰発現アッセイで
も、数種の薬剤で活性が見られ、特にワートマンニン、
マニュマイシン−Aが非常に強い活性を示した。さらに
BNI1過剰発現アッセイでは、ラトランキュリン−A
やベノミルも非常に強い活性を示した。また、TPK3
過剰発現アッセイにおいても、数種の薬剤が活性を示し
た。GIN4、GIN11、GIN12そしてABP1
過剰発現アッセイでは、本実施例で使用した薬剤は、活
性を有していないことが判明した。
剤で活性が見られ、特にラディシコールでは非常に強い
活性を示した。BNI1やBOI1過剰発現アッセイで
も、数種の薬剤で活性が見られ、特にワートマンニン、
マニュマイシン−Aが非常に強い活性を示した。さらに
BNI1過剰発現アッセイでは、ラトランキュリン−A
やベノミルも非常に強い活性を示した。また、TPK3
過剰発現アッセイにおいても、数種の薬剤が活性を示し
た。GIN4、GIN11、GIN12そしてABP1
過剰発現アッセイでは、本実施例で使用した薬剤は、活
性を有していないことが判明した。
【0062】ラディシコールはHsp90と結合し、H
sp90タンパクを不安定化させる。また、細胞のトラ
ンスフォーメーションに効果を示すことが知られてい
る。この薬剤は、STE11のアッセイ系とTPK3の
アッセイ系で、強い活性が検出できた。また、Srcキ
ナーゼ阻害剤であるハービマイシン−Aも、STE11
およびTPK3のアッセイ系で検出できた。Rasファ
ルネシルトランスフェラーゼ阻害薬であるマニュマイシ
ン−Aは、BNI1、STE4、BOI1およびTPK
3の系で検出できた。PI3キナーゼ阻害剤として知ら
れるワートマンニンは、BNI1,BOI1の系で強い
活性が検出された。またROCKタンパクの特異的阻害
剤であるY−23479は、今回のアッセイ系の組み合
せでは、活性が検出されなかった。
sp90タンパクを不安定化させる。また、細胞のトラ
ンスフォーメーションに効果を示すことが知られてい
る。この薬剤は、STE11のアッセイ系とTPK3の
アッセイ系で、強い活性が検出できた。また、Srcキ
ナーゼ阻害剤であるハービマイシン−Aも、STE11
およびTPK3のアッセイ系で検出できた。Rasファ
ルネシルトランスフェラーゼ阻害薬であるマニュマイシ
ン−Aは、BNI1、STE4、BOI1およびTPK
3の系で検出できた。PI3キナーゼ阻害剤として知ら
れるワートマンニンは、BNI1,BOI1の系で強い
活性が検出された。またROCKタンパクの特異的阻害
剤であるY−23479は、今回のアッセイ系の組み合
せでは、活性が検出されなかった。
【0063】アクチンモノマーに結合してアクチン重合
を阻害するラトランキュリン−Aは、BNI1のアッセ
イ系で強い活性を検出できた。またチューブリン重合を
阻害するベノミルも、BNI1の系で強い活性を検出で
きた。従って、細胞骨格制御に関わるBNI1の異常を
治す薬の中には、細胞骨格形成に直接作用するものもあ
ることが判明した。BNI1の系においては、Gタンパ
クファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬のようなシグ
ナル伝達の阻害剤から、細胞骨格形成の直接的な阻害剤
までにわたる、細胞骨格制御に関わるタンパクの阻害剤
が、幅広く検出できることが判明した。
を阻害するラトランキュリン−Aは、BNI1のアッセ
イ系で強い活性を検出できた。またチューブリン重合を
阻害するベノミルも、BNI1の系で強い活性を検出で
きた。従って、細胞骨格制御に関わるBNI1の異常を
治す薬の中には、細胞骨格形成に直接作用するものもあ
ることが判明した。BNI1の系においては、Gタンパ
クファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬のようなシグ
ナル伝達の阻害剤から、細胞骨格形成の直接的な阻害剤
までにわたる、細胞骨格制御に関わるタンパクの阻害剤
が、幅広く検出できることが判明した。
【0064】BNI1とBOI1の過剰発現アッセイ系
では、シグナル伝達阻害剤に対して、同じような反応を
示した。しかし、BNI1過剰発現アッセイでは、細胞
骨格形成阻害剤であるラトランキュリン−Aやベノミル
の活性を検出できるのに対して、BOI1過剰発現アッ
セイでは検出できない。このような事実をふまえて、新
規薬剤のスクリーニングにおいて、本発明に示したよう
な複数のアッセイ系の中から目的にあったアッセイ系の
みを選択し、並列してスクリーニングを行うことによ
り、効率的なスクリーニングが行えるという利点を示す
ことができた。それだけでなく、単一の活性を有する化
合物であるか、それとも複数の活性を有する化合物であ
るかを、同時に知ることができた。従って、本発明の効
率的なスクリーニング方法の使用にあたり、適切なる複
数のアッセイ系の選択と並列的な実行により、目的とす
る生理活性物質の活性に関する豊富な情報が得られると
いう点で大きなメリットを有しており、医薬研究開発の
効率化に大きく寄与することができる。
では、シグナル伝達阻害剤に対して、同じような反応を
示した。しかし、BNI1過剰発現アッセイでは、細胞
骨格形成阻害剤であるラトランキュリン−Aやベノミル
の活性を検出できるのに対して、BOI1過剰発現アッ
セイでは検出できない。このような事実をふまえて、新
規薬剤のスクリーニングにおいて、本発明に示したよう
な複数のアッセイ系の中から目的にあったアッセイ系の
みを選択し、並列してスクリーニングを行うことによ
り、効率的なスクリーニングが行えるという利点を示す
ことができた。それだけでなく、単一の活性を有する化
合物であるか、それとも複数の活性を有する化合物であ
るかを、同時に知ることができた。従って、本発明の効
率的なスクリーニング方法の使用にあたり、適切なる複
数のアッセイ系の選択と並列的な実行により、目的とす
る生理活性物質の活性に関する豊富な情報が得られると
いう点で大きなメリットを有しており、医薬研究開発の
効率化に大きく寄与することができる。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、ガンやアレルギーなど
のヒト疾患の治療に有用な生理活性物質のスクリーニン
グを、酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用したス
クリーニング方法によって、効率的に行うことが可能で
ある。
のヒト疾患の治療に有用な生理活性物質のスクリーニン
グを、酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用したス
クリーニング方法によって、効率的に行うことが可能で
ある。
【0066】また、酵母の増殖の有無を指標として生理
活性物質の活性を判定することを特徴とするため、試験
結果の判定が容易である。遺伝子の過剰発現にCUP1
プロモーターを用いる場合には、培地中のグルコースの
影響を受けることなく、明確で効率的なスクリーニング
結果が得られる。
活性物質の活性を判定することを特徴とするため、試験
結果の判定が容易である。遺伝子の過剰発現にCUP1
プロモーターを用いる場合には、培地中のグルコースの
影響を受けることなく、明確で効率的なスクリーニング
結果が得られる。
【0067】過剰発現アッセイに用いる酵母の遺伝子
を、STE、BNI、GIN、TPK、BOI、AB
P、KARから選択することにより、シグナル伝達経
路、細胞骨格制御機構などに作用する生理活性物質の効
率的なスクリーニングが可能であるだけでなく、選抜さ
れた化合物が有している複数の活性を検定できることか
ら、医薬研究開発の効率化に寄与することが期待でき
る。
を、STE、BNI、GIN、TPK、BOI、AB
P、KARから選択することにより、シグナル伝達経
路、細胞骨格制御機構などに作用する生理活性物質の効
率的なスクリーニングが可能であるだけでなく、選抜さ
れた化合物が有している複数の活性を検定できることか
ら、医薬研究開発の効率化に寄与することが期待でき
る。
【図1】酵母のフェロモン情報伝達経路を示す図であ
る。
る。
【図2】酵母と動物細胞の細胞内情報伝達経路の共通性
を示す図である。
を示す図である。
【図3】GIN4過剰発現アッセイ系における培地中の
銅イオン濃度の影響を示す写真である。
銅イオン濃度の影響を示す写真である。
【図4】化合物10B6および12H1の添加により突
起(シュムー)形成が阻害されていることを示す写真で
ある。
起(シュムー)形成が阻害されていることを示す写真で
ある。
【図5】ラトランキュリン−Aハロアッセイにおける、
ラトランキュリン−Aと化合物の効果の比較を示す写真
である。
ラトランキュリン−Aと化合物の効果の比較を示す写真
である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 2G045 BB20 BB24 CB01 CB21 FA16
4B024 AA01 BA50 BA80 CA06 DA12
EA04 FA02 GA11
4B063 QA20 QQ06 QR76 QR80 QS05
QS25 QX01
4B065 AA72X AA72Y AB01 AC20
BA02 BB02 CA46
Claims (6)
- 【請求項1】 酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利
用した生理活性物質の効率的なスクリーニング方法。 - 【請求項2】 酵母の増殖の有無を指標として生理活性
物質の活性を判定することを特徴とする、請求項1に記
載の酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した生理
活性物質の効率的なスクリーニング方法。 - 【請求項3】 遺伝子の過剰発現にCUP1プロモータ
ーを用いることを特徴とする、請求項1または請求項2
に記載の酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した
生理活性物質の効率的なスクリーニング方法。 - 【請求項4】 培地中の銅イオン濃度をコントロールす
ることにより酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を最適
化することを特徴とする、請求項3に記載の酵母遺伝子
群の過剰発現アッセイ系を利用した生理活性物質の効率
的なスクリーニング方法。 - 【請求項5】 スクリーニングに用いる遺伝子がST
E、BNI、GIN、TPK、BOI、ABP、KAR
から選択される複数の遺伝子であることを特徴とする酵
母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した生理活性物
質の効率的なスクリーニング方法。 - 【請求項6】 スクリーニングに用いる遺伝子がGIN
12、ABP1、KAR1、BOI1、TPK3 から
選択される複数の遺伝子であることを特徴とする酵母遺
伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した生理活性物質の
効率的なスクリーニング方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001150480A JP2003000239A (ja) | 2001-05-21 | 2001-05-21 | 酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した生理活性物質の効率的なスクリーニング方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001150480A JP2003000239A (ja) | 2001-05-21 | 2001-05-21 | 酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した生理活性物質の効率的なスクリーニング方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003000239A true JP2003000239A (ja) | 2003-01-07 |
Family
ID=18995481
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001150480A Pending JP2003000239A (ja) | 2001-05-21 | 2001-05-21 | 酵母遺伝子群の過剰発現アッセイ系を利用した生理活性物質の効率的なスクリーニング方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003000239A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2013535185A (ja) * | 2010-07-05 | 2013-09-12 | ウニヴェルシテート フュア ボーデンクルトゥーア ウィーン | 生産細胞株 |
-
2001
- 2001-05-21 JP JP2001150480A patent/JP2003000239A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2013535185A (ja) * | 2010-07-05 | 2013-09-12 | ウニヴェルシテート フュア ボーデンクルトゥーア ウィーン | 生産細胞株 |
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