JP2002332550A - プレス成形性に優れた高クロム鋼板およびその製造方法 - Google Patents
プレス成形性に優れた高クロム鋼板およびその製造方法Info
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- JP2002332550A JP2002332550A JP2002011232A JP2002011232A JP2002332550A JP 2002332550 A JP2002332550 A JP 2002332550A JP 2002011232 A JP2002011232 A JP 2002011232A JP 2002011232 A JP2002011232 A JP 2002011232A JP 2002332550 A JP2002332550 A JP 2002332550A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 プレス成形性に優れた高クロム鋼板およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 この鋼板は、mass%で、C:0.000
5〜0.005%、N:0.0005〜0.015%、
Cr:16〜18%、Si:0.01〜0.2%、M
n:0.01〜0.2%、P<0.02%、S<0.0
1%、Al:0.005〜0.1%、Ti:96×(C
/12+N/14)〜0.25%を、0.9Si+0.
5Mn+8.6P+2Ti≦0.75%を満たすよう含
有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼であり、
製品板を圧延方向と平行、垂直、45°の3方向に引張
試験した際に、いずれの方向においても、降伏伸びが
0.05%未満、かつ、下降伏強度もしくは0.2%耐
力が260MPa未満であることを特徴とする。
の製造方法を提供する。 【解決手段】 この鋼板は、mass%で、C:0.000
5〜0.005%、N:0.0005〜0.015%、
Cr:16〜18%、Si:0.01〜0.2%、M
n:0.01〜0.2%、P<0.02%、S<0.0
1%、Al:0.005〜0.1%、Ti:96×(C
/12+N/14)〜0.25%を、0.9Si+0.
5Mn+8.6P+2Ti≦0.75%を満たすよう含
有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼であり、
製品板を圧延方向と平行、垂直、45°の3方向に引張
試験した際に、いずれの方向においても、降伏伸びが
0.05%未満、かつ、下降伏強度もしくは0.2%耐
力が260MPa未満であることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレス成形性に優
れた高クロム鋼板およびその製造方法に関する。
れた高クロム鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼に代表される
高クロム鋼板は、厨房用、家電用等、プレス成形をして
用いられている場合が多い。しかし、高クロム鋼板を成
形した場合には、普通鋼(炭素鋼)に比べてポンチやダ
イスの摩耗損傷が著しく早い。この原因は、高クロム鋼
板の強度が普通鋼に比べて著しく高いことにあるためで
あり、従って、高クロム鋼板の強度を低下できれば、プ
レス成形時の摩耗損傷を抑制できると考えられる。高ク
ロム鋼(フェライト系ステンレス鋼)を軟質化する研究
はこれまでに行われており、特開昭62−30852号
公報、特開昭63−47353号公報が知られている。
しかしいずれの知見を用いても、プレス時の摩耗損傷を
軽減出来なかった。
高クロム鋼板は、厨房用、家電用等、プレス成形をして
用いられている場合が多い。しかし、高クロム鋼板を成
形した場合には、普通鋼(炭素鋼)に比べてポンチやダ
イスの摩耗損傷が著しく早い。この原因は、高クロム鋼
板の強度が普通鋼に比べて著しく高いことにあるためで
あり、従って、高クロム鋼板の強度を低下できれば、プ
レス成形時の摩耗損傷を抑制できると考えられる。高ク
ロム鋼(フェライト系ステンレス鋼)を軟質化する研究
はこれまでに行われており、特開昭62−30852号
公報、特開昭63−47353号公報が知られている。
しかしいずれの知見を用いても、プレス時の摩耗損傷を
軽減出来なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、プレス成形
時のポンチ、ダイスの摩耗損傷を抑制できる鋼板を、1
7%Crをベースにした高クロム鋼板およびその製造方
法で提供することを目的とする。
時のポンチ、ダイスの摩耗損傷を抑制できる鋼板を、1
7%Crをベースにした高クロム鋼板およびその製造方
法で提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】高クロム鋼板の代表鋼種
であるSUS430は、Crが17%程度添加されてい
る。Crは固溶強化元素であるため、Cr量を低減する
ことで強度は低下できると考えられるが、耐食性を確保
するためには必須元素である。そこで本発明者らは、1
7%Cr鋼をベースとして、プレス成形用のポンチ及び
ダイスの摩耗損傷性に及ぼす材料特性の影響を調査し、
下記の知見を得た。 降伏点伸びが高い場合には、摩耗損傷が大きい。 下降伏応力もしくは0.2%耐力が260MPaを超
える場合に、摩耗損傷が著しく大きくなる。 圧延に平行、垂直、45°の3方向のいずれも降伏点
伸び及び下降伏応力もしくは0.2%耐力が低い場合
に、摩耗損傷が抑制される。
であるSUS430は、Crが17%程度添加されてい
る。Crは固溶強化元素であるため、Cr量を低減する
ことで強度は低下できると考えられるが、耐食性を確保
するためには必須元素である。そこで本発明者らは、1
7%Cr鋼をベースとして、プレス成形用のポンチ及び
ダイスの摩耗損傷性に及ぼす材料特性の影響を調査し、
下記の知見を得た。 降伏点伸びが高い場合には、摩耗損傷が大きい。 下降伏応力もしくは0.2%耐力が260MPaを超
える場合に、摩耗損傷が著しく大きくなる。 圧延に平行、垂直、45°の3方向のいずれも降伏点
伸び及び下降伏応力もしくは0.2%耐力が低い場合
に、摩耗損傷が抑制される。
【0005】さらに、材料特性と成分及び製造方法の関
係を調査し、下記の知見を得た。 降伏点伸びは、C,Nを析出物として固定することで
低減できる。 下降伏応力もしくは0.2%耐力は、固溶強化元素で
あるSi,Mn,P,Tiの影響が大きく、いずれも添
加量が多いほど大きくなる。 最終焼鈍後の調質圧延の圧下率が高い場合には、0.
2%耐力が大きく上昇する。
係を調査し、下記の知見を得た。 降伏点伸びは、C,Nを析出物として固定することで
低減できる。 下降伏応力もしくは0.2%耐力は、固溶強化元素で
あるSi,Mn,P,Tiの影響が大きく、いずれも添
加量が多いほど大きくなる。 最終焼鈍後の調質圧延の圧下率が高い場合には、0.
2%耐力が大きく上昇する。
【0006】本発明は上記知見に基づいて完成されたも
のであって、その要旨とするところは以下の通りであ
る。 (1)鋼成分として、mass%で、 C :0.0005〜0.005%、N :0.0005〜0.015%、 Cr:16〜18%、 Si:0.01〜0.2%、 Mn:0.01〜0.2%、 P :0.02%未満、 S :0.01%未満、 Al:0.005〜0.1%、 Ti:96×(C/12+N/14)〜0.25% を含有し、かつ下記(1)式を満足し、残部が鉄及び不
可避的不純物からなる鋼であり、製品板を圧延方向と平
行、垂直、45°の3方向に引張試験した際に、いずれ
の方向においても、降伏伸びが0.05%未満、かつ、
下降伏強度もしくは0.2%耐力が260MPa未満で
あることを特徴とするプレス成形性に優れた高クロム鋼
板。 0.9Si+0.5Mn+8.6P+2Ti≦0.75% ……(1) (2)鋼成分として、さらにmass%で、Mg:0.
0001〜0.01%を含有することを特徴とする前記
(1)に記載のプレス成形性に優れた高クロム鋼板。 (3)鋼成分として、さらにmass%で、B:0.0
005〜0.005%を含有することを特徴とする前記
(1)又は(2)に記載のプレス成形性に優れた高クロ
ム鋼板。 (4)鋼成分として、さらにmass%で、Co:0.
1〜3%、V:0.1〜3%の1種もしくは2種を含有
することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれか
1項に記載のプレス成形性に優れた高クロム鋼板。 (5)前記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の高
クロム鋼板を製造するに際し、熱間圧延後、焼鈍及び酸
洗の組み合わせ工程を経て結晶粒度番号を6〜8に調整
した後に、圧下率が0.5%未満の調質圧延を行うこと
を特徴とするプレス成形性に優れた高クロム鋼板の製造
方法。
のであって、その要旨とするところは以下の通りであ
る。 (1)鋼成分として、mass%で、 C :0.0005〜0.005%、N :0.0005〜0.015%、 Cr:16〜18%、 Si:0.01〜0.2%、 Mn:0.01〜0.2%、 P :0.02%未満、 S :0.01%未満、 Al:0.005〜0.1%、 Ti:96×(C/12+N/14)〜0.25% を含有し、かつ下記(1)式を満足し、残部が鉄及び不
可避的不純物からなる鋼であり、製品板を圧延方向と平
行、垂直、45°の3方向に引張試験した際に、いずれ
の方向においても、降伏伸びが0.05%未満、かつ、
下降伏強度もしくは0.2%耐力が260MPa未満で
あることを特徴とするプレス成形性に優れた高クロム鋼
板。 0.9Si+0.5Mn+8.6P+2Ti≦0.75% ……(1) (2)鋼成分として、さらにmass%で、Mg:0.
0001〜0.01%を含有することを特徴とする前記
(1)に記載のプレス成形性に優れた高クロム鋼板。 (3)鋼成分として、さらにmass%で、B:0.0
005〜0.005%を含有することを特徴とする前記
(1)又は(2)に記載のプレス成形性に優れた高クロ
ム鋼板。 (4)鋼成分として、さらにmass%で、Co:0.
1〜3%、V:0.1〜3%の1種もしくは2種を含有
することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれか
1項に記載のプレス成形性に優れた高クロム鋼板。 (5)前記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の高
クロム鋼板を製造するに際し、熱間圧延後、焼鈍及び酸
洗の組み合わせ工程を経て結晶粒度番号を6〜8に調整
した後に、圧下率が0.5%未満の調質圧延を行うこと
を特徴とするプレス成形性に優れた高クロム鋼板の製造
方法。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。なお、下記の説明における%とはmass%を示す
ものである。C,N:C,Nを多量に添加すると、それ
らを固定するための必要Ti量が増加する。Tiは降伏
応力もしくは0.2%耐力を増加させるため、C,Nは
共に低く抑える必要がある。それぞれの上限は、精錬能
力を考慮してC:0.005%、N:0.015%とし
た。一方、下限は精錬段階でのコストを考慮した場合に
はそれぞれ0.0005%である。
る。なお、下記の説明における%とはmass%を示す
ものである。C,N:C,Nを多量に添加すると、それ
らを固定するための必要Ti量が増加する。Tiは降伏
応力もしくは0.2%耐力を増加させるため、C,Nは
共に低く抑える必要がある。それぞれの上限は、精錬能
力を考慮してC:0.005%、N:0.015%とし
た。一方、下限は精錬段階でのコストを考慮した場合に
はそれぞれ0.0005%である。
【0008】Cr:本発明では17%をベースとした高
クロム鋼板のプレス成形性を考えている。精錬での許容
範囲としては±1%が考えられ、16〜18%の範囲と
した
クロム鋼板のプレス成形性を考えている。精錬での許容
範囲としては±1%が考えられ、16〜18%の範囲と
した
【0009】Si,Mn:Si,Mnは降伏応力もしく
は0.2%耐力を抑える観点から低い方が好ましく、上
限を0.2%とした。下限は不純物として混入する最低
レベルの0.01%とした。
は0.2%耐力を抑える観点から低い方が好ましく、上
限を0.2%とした。下限は不純物として混入する最低
レベルの0.01%とした。
【0010】P:Pは強力な固溶強化元素であるため、
極力低い方が好ましい。但し、Fe−Cr原料からの混
入も考えられるため、0.02%未満とした。
極力低い方が好ましい。但し、Fe−Cr原料からの混
入も考えられるため、0.02%未満とした。
【0011】S:Sは多量に添加すると耐食性を劣化さ
せるため0.01%未満とした。
せるため0.01%未満とした。
【0012】Al:Alは脱酸元素として活用される
が、0.1%を超えると成形性、製造性を低下させるた
め、0.1%を上限とした。但し、不純物レベルとして
0.005%程度混入するため、これを下限とした。
が、0.1%を超えると成形性、製造性を低下させるた
め、0.1%を上限とした。但し、不純物レベルとして
0.005%程度混入するため、これを下限とした。
【0013】Ti:TiはC,Nを確実に固定できるレ
ベルとして、化学量論組成の2倍、すなわち、96×
(C/12+N/14)を下限とした。但し、添加量が
多い場合には鋼板の強度を増加させるため、上限を0.
25%とした。
ベルとして、化学量論組成の2倍、すなわち、96×
(C/12+N/14)を下限とした。但し、添加量が
多い場合には鋼板の強度を増加させるため、上限を0.
25%とした。
【0014】上記基本成分に加え、以下の成分を必要に
応じて添加することができる。Mg:Mgは凝固組織を
細かくし、成形性を向上する効果がある。その効果を発
揮するのは0.0001%以上でありこれを下限とし
た。また多量に添加してもその効果は飽和するため、
0.010%を上限とした。本発明におけるMg量と
は、精錬時に添加され、鋼板製造後に鋼中に残存してい
る量を示しており、不純物としてスラグ等から混入する
ものではない。好ましい範囲は0.0002〜0.00
3%である。
応じて添加することができる。Mg:Mgは凝固組織を
細かくし、成形性を向上する効果がある。その効果を発
揮するのは0.0001%以上でありこれを下限とし
た。また多量に添加してもその効果は飽和するため、
0.010%を上限とした。本発明におけるMg量と
は、精錬時に添加され、鋼板製造後に鋼中に残存してい
る量を示しており、不純物としてスラグ等から混入する
ものではない。好ましい範囲は0.0002〜0.00
3%である。
【0015】B:加工性、特に二次加工性を向上させる
元素である。0.0005%以上添加することで効果が
現れる。しかし0.005%より多くてもその効果は飽
和する。
元素である。0.0005%以上添加することで効果が
現れる。しかし0.005%より多くてもその効果は飽
和する。
【0016】Co,V:これらは、高クロム鋼に少量添
加した場合には、下降伏強度(又は0.2%耐力)を増
加させることなく加工性を向上させる元素である。その
効果が発揮される下限はそれぞれ0.1%である。但
し、それぞれ3%超添加すると強度を大きく増加させる
ため、3%を上限とした。
加した場合には、下降伏強度(又は0.2%耐力)を増
加させることなく加工性を向上させる元素である。その
効果が発揮される下限はそれぞれ0.1%である。但
し、それぞれ3%超添加すると強度を大きく増加させる
ため、3%を上限とした。
【0017】その他の元素:上記以外の元素は、不可避
的不純物として混入する以外に添加はしない。特にNb
は下降伏応力を著しく上昇させるため、0.02%未満
とすることが好ましい。
的不純物として混入する以外に添加はしない。特にNb
は下降伏応力を著しく上昇させるため、0.02%未満
とすることが好ましい。
【0018】Si,Mn,P,Ti:前述のように規定
した元素のうち、固溶強化元素であるSi,Mn,P,
Tiの4元素については、下記(1)式 0.9Si+0.5Mn+8.6P+2Ti≦0.75 ……(1) の関係式を満足することが必要になる。式の左辺が0.
75を超えると下降伏応力が大きくなり、成形時のポン
チの摩耗損傷が大きくなる。
した元素のうち、固溶強化元素であるSi,Mn,P,
Tiの4元素については、下記(1)式 0.9Si+0.5Mn+8.6P+2Ti≦0.75 ……(1) の関係式を満足することが必要になる。式の左辺が0.
75を超えると下降伏応力が大きくなり、成形時のポン
チの摩耗損傷が大きくなる。
【0019】調質圧延率:調質圧延は、熱間圧延後、焼
鈍及び酸洗の組み合わせ工程を経た後に実施される。こ
れにより降伏点伸びを抑制する効果があるが、圧延率が
0.5%以上であると、材料の下降伏応力もしくは0.
2%耐力が大きく上昇するため、0.5%未満とした。
圧延率は、鋼板圧延方向の伸び率に換算しても良い。成
分によっては降伏点伸びが発生しない場合があるため、
下限は特に設ける必要はない。
鈍及び酸洗の組み合わせ工程を経た後に実施される。こ
れにより降伏点伸びを抑制する効果があるが、圧延率が
0.5%以上であると、材料の下降伏応力もしくは0.
2%耐力が大きく上昇するため、0.5%未満とした。
圧延率は、鋼板圧延方向の伸び率に換算しても良い。成
分によっては降伏点伸びが発生しない場合があるため、
下限は特に設ける必要はない。
【0020】結晶粒度番号:調質圧延前の結晶粒度番号
を6〜8に調整する必要がある。粒度番号が8より大き
いと下降伏応力(0.2%耐力)が増加するため、8を
上限とした。逆に6より小さいとプレス成形時に肌荒れ
が生じるため6を下限とした。結晶粒度番号を前記のよ
うにするためには、冷間圧延率や焼鈍温度を適宜調整す
ればよい。結晶粒度番号はJIS記載の方法に準じて測
定すればよい。
を6〜8に調整する必要がある。粒度番号が8より大き
いと下降伏応力(0.2%耐力)が増加するため、8を
上限とした。逆に6より小さいとプレス成形時に肌荒れ
が生じるため6を下限とした。結晶粒度番号を前記のよ
うにするためには、冷間圧延率や焼鈍温度を適宜調整す
ればよい。結晶粒度番号はJIS記載の方法に準じて測
定すればよい。
【0021】降伏点伸び及び下降伏応力もしくは0.2
%耐力:圧延方向と平行、垂直及び45°の3方向のい
ずれかの降伏点伸びが、0.05%以上あると、成形時
のポンチの摩耗が激しくなるため0.05%未満とし
た。下降伏応力は、前述の3方向とも260MPa未満
にすることで、成形時のポンチ及びダイスの摩耗損傷を
軽減できるためこれを上限とした。下降伏応力は低い方
が摩耗損傷が抑制できると考えられ、3方向とも230
MPaとすることが好ましい。降伏点伸び及び下降伏応
力は、JISに準ずる方法で測定すればよい。降伏点が
存在しない場合には、下降伏応力の代わりに0.2%耐
力を用いることとする。
%耐力:圧延方向と平行、垂直及び45°の3方向のい
ずれかの降伏点伸びが、0.05%以上あると、成形時
のポンチの摩耗が激しくなるため0.05%未満とし
た。下降伏応力は、前述の3方向とも260MPa未満
にすることで、成形時のポンチ及びダイスの摩耗損傷を
軽減できるためこれを上限とした。下降伏応力は低い方
が摩耗損傷が抑制できると考えられ、3方向とも230
MPaとすることが好ましい。降伏点伸び及び下降伏応
力は、JISに準ずる方法で測定すればよい。降伏点が
存在しない場合には、下降伏応力の代わりに0.2%耐
力を用いることとする。
【0022】また製造工程は、熱間圧延後に焼鈍、冷延
を組み合わせた工程を経ることが必要である。これは熱
間圧延後に1回以上の冷間圧延及び焼鈍を行うことを意
味しており、熱延板焼鈍を行っても行わなくても良い
し、冷間圧延途中に焼鈍しても良い。但し、調質圧延前
には焼鈍することが必要である。
を組み合わせた工程を経ることが必要である。これは熱
間圧延後に1回以上の冷間圧延及び焼鈍を行うことを意
味しており、熱延板焼鈍を行っても行わなくても良い
し、冷間圧延途中に焼鈍しても良い。但し、調質圧延前
には焼鈍することが必要である。
【0023】本発明は、前述の成分限定を行い、調質圧
延前の結晶粒度番号及び調質圧延率を規定することで、
初めて圧延方向と平行、垂直及び45°の3方向の降伏
点伸び及び下降伏応力(0.2%耐力)を満足する鋼板
を製造でき、成形時のポンチ及びダイスの摩耗損傷を抑
制できる。
延前の結晶粒度番号及び調質圧延率を規定することで、
初めて圧延方向と平行、垂直及び45°の3方向の降伏
点伸び及び下降伏応力(0.2%耐力)を満足する鋼板
を製造でき、成形時のポンチ及びダイスの摩耗損傷を抑
制できる。
【0024】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。 [実施例1]表1に示すフェライト系ステンレス鋼を溶
製し、熱間圧延後、焼鈍、冷間圧延の組み合わせによっ
て結晶粒度番号を6〜8に調整した。これに0.1%の
調質圧延を施したのち、引張試験(圧延方向と平行、垂
直及び45°の3方向)及び実験室でのプレス成形試験
(同一鋼種で10回ずつ)を行った。表2に引張試験結
果及びプレス試験後のポンチの摩耗状況を調査した結果
を示す。本発明鋼はプレス成形後のポンチの摩耗が極め
て少なく、目視では認められないレベルであった。
製し、熱間圧延後、焼鈍、冷間圧延の組み合わせによっ
て結晶粒度番号を6〜8に調整した。これに0.1%の
調質圧延を施したのち、引張試験(圧延方向と平行、垂
直及び45°の3方向)及び実験室でのプレス成形試験
(同一鋼種で10回ずつ)を行った。表2に引張試験結
果及びプレス試験後のポンチの摩耗状況を調査した結果
を示す。本発明鋼はプレス成形後のポンチの摩耗が極め
て少なく、目視では認められないレベルであった。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】[実施例2]表1に示すフェライト系ステ
ンレス鋼の内数種を熱間圧延後、焼鈍、冷間圧延の組み
合わせによって結晶粒度番号を変え、また調質圧延率を
変えて製品板を作製した。これらの鋼板を引張試験(圧
延方向と平行、垂直及び45°の3方向)及び実験室で
のプレス成形試験(同一鋼種で10回ずつ)を行った。
表3に引張試験結果、プレス試験後のポンチの摩耗状況
と鋼板の表面状態を調査した結果を示す。本発明鋼はプ
レス成形後のポンチの摩耗がほとんど無く、鋼板表面の
肌荒れも生じなかった。
ンレス鋼の内数種を熱間圧延後、焼鈍、冷間圧延の組み
合わせによって結晶粒度番号を変え、また調質圧延率を
変えて製品板を作製した。これらの鋼板を引張試験(圧
延方向と平行、垂直及び45°の3方向)及び実験室で
のプレス成形試験(同一鋼種で10回ずつ)を行った。
表3に引張試験結果、プレス試験後のポンチの摩耗状況
と鋼板の表面状態を調査した結果を示す。本発明鋼はプ
レス成形後のポンチの摩耗がほとんど無く、鋼板表面の
肌荒れも生じなかった。
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、鋼成分と圧延方向と平
行、垂直、45°の3方向の強度を限定することによ
り、高クロム鋼板のプレス成形性を向上でき、プレス成
形時のポンチ、ダイスの摩耗損傷を抑制できる。また通
常の設備により、結晶粒度番号及び調質圧延率を規定す
ることのみによって、このプレス成形性に優れた高クロ
ム鋼板の製造方法をも提供でき、産業上の価値は極めて
高い。
行、垂直、45°の3方向の強度を限定することによ
り、高クロム鋼板のプレス成形性を向上でき、プレス成
形時のポンチ、ダイスの摩耗損傷を抑制できる。また通
常の設備により、結晶粒度番号及び調質圧延率を規定す
ることのみによって、このプレス成形性に優れた高クロ
ム鋼板の製造方法をも提供でき、産業上の価値は極めて
高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/32 C22C 38/32 (72)発明者 菊池 正夫 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内 (72)発明者 濱田 純一 光市大字島田3434番地 新日本製鐵株式会 社光製鐵所内 (72)発明者 小山 祐司 北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日本製鐵 株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 菅野 浩至 北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日本製鐵 株式会社八幡製鐵所内 Fターム(参考) 4E002 AA07 AD06 BC05 BD09 BD10 CB01 4K037 EA01 EA02 EA04 EA10 EA12 EA14 EA15 EA18 EA23 EA25 EA27 EA31 EA32 EB01 EB02 EB03 FG01
Claims (5)
- 【請求項1】 鋼成分として、mass%で、 C :0.0005〜0.005%、 N :0.0005〜0.015%、 Cr:16〜18%、 Si:0.01〜0.2%、 Mn:0.01〜0.2%、 P :0.02%未満、 S :0.01%未満、 Al:0.005〜0.1%、 Ti:96×(C/12+N/14)〜0.25%を含
有し、かつ下記(1)式を満足し、残部が鉄及び不可避
的不純物からなる鋼であり、製品板を圧延方向と平行、
垂直、45°の3方向に引張試験した際に、いずれの方
向においても、降伏伸びが0.05%未満、かつ、下降
伏強度もしくは0.2%耐力が260MPa未満である
ことを特徴とするプレス成形性に優れた高クロム鋼板。 0.9Si+0.5Mn+8.6P+2Ti≦0.75% ……(1) - 【請求項2】 鋼成分として、さらにmass%で、 Mg:0.0001〜0.01%を含有することを特徴
とする請求項1に記載のプレス成形性に優れた高クロム
鋼板。 - 【請求項3】 鋼成分として、さらにmass%で、 B :0.0005〜0.005% を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプ
レス成形性に優れた高クロム鋼板。 - 【請求項4】 鋼成分として、さらにmass%で、 Co:0.1〜3%、 V :0.1〜3%の1種もしくは2種を含有すること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプ
レス成形性に優れた高クロム鋼板。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の高
クロム鋼板を製造するに際し、熱間圧延後、焼鈍及び酸
洗の組み合わせ工程を経て結晶粒度番号を6〜8に調整
した後に、圧下率が0.5%未満の調質圧延を行うこと
を特徴とするプレス成形性に優れた高クロム鋼板の製造
方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002011232A JP2002332550A (ja) | 2001-03-06 | 2002-01-21 | プレス成形性に優れた高クロム鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001061141 | 2001-03-06 | ||
| JP2001-61141 | 2001-03-06 | ||
| JP2002011232A JP2002332550A (ja) | 2001-03-06 | 2002-01-21 | プレス成形性に優れた高クロム鋼板およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2002332550A true JP2002332550A (ja) | 2002-11-22 |
Family
ID=26610665
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002011232A Pending JP2002332550A (ja) | 2001-03-06 | 2002-01-21 | プレス成形性に優れた高クロム鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2002332550A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008138270A (ja) * | 2006-12-05 | 2008-06-19 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 加工性に優れた高強度ステンレス鋼板およびその製造方法 |
-
2002
- 2002-01-21 JP JP2002011232A patent/JP2002332550A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008138270A (ja) * | 2006-12-05 | 2008-06-19 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 加工性に優れた高強度ステンレス鋼板およびその製造方法 |
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| A02 | Decision of refusal |
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