JP2002363644A - 靭性と疲労強度とに優れた高張力鋼の製造方法 - Google Patents
靭性と疲労強度とに優れた高張力鋼の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、平均フェライト粒径が1〜3μm
以下の超細粒組織を鋼材の全厚にわたって達成し,極め
て優れた靭性,脆性き裂伝播停止特性,溶接継手疲労特
性とを同時に有する,引張強度が約490MPa級以上
の高張力鋼材を得る方法である。 【解決手段】 所定の成分構成のミクロ組織を有する鋼
に対して,300℃〜圧延温度まで0.1〜50℃/s
の昇温速度で加熱し,Ac1変態点〜(Ac3変態点−10
0℃)の昇温途上,あるいは,該温度で1〜600s保
持後,圧延を開始し,累積圧下率が50〜90%の圧延
を行うに際して,圧延中の鋼の温度が(A c1変態点−5
0℃)〜(Ac3変態点−50℃)の範囲内であることを
基本要件とする製造方法を適用することにより,混粒度
の少ない1〜3μmの超細粒組織を得ることができ,極
めて優れた靭性,脆性き裂伝播停止特性,溶接継手疲労
特性とを達成する。
以下の超細粒組織を鋼材の全厚にわたって達成し,極め
て優れた靭性,脆性き裂伝播停止特性,溶接継手疲労特
性とを同時に有する,引張強度が約490MPa級以上
の高張力鋼材を得る方法である。 【解決手段】 所定の成分構成のミクロ組織を有する鋼
に対して,300℃〜圧延温度まで0.1〜50℃/s
の昇温速度で加熱し,Ac1変態点〜(Ac3変態点−10
0℃)の昇温途上,あるいは,該温度で1〜600s保
持後,圧延を開始し,累積圧下率が50〜90%の圧延
を行うに際して,圧延中の鋼の温度が(A c1変態点−5
0℃)〜(Ac3変態点−50℃)の範囲内であることを
基本要件とする製造方法を適用することにより,混粒度
の少ない1〜3μmの超細粒組織を得ることができ,極
めて優れた靭性,脆性き裂伝播停止特性,溶接継手疲労
特性とを達成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,低温靱性あるいは
/及び疲労強度が必要とされる構造部材に用いられる高
張力鋼材の製造方法に関するものである。この方法で製
造した鋼材は,例えば,海洋構造物,圧力容器,造船,
橋梁,建築物,ラインパイプなどの溶接鋼構造物一般に
用いることができるが,特に低温靱性あるいは/及び疲
労強度を必要とする海洋構造物,造船,橋梁等の構造物
用鋼板として有用である。また,その他,構造部材とし
て用いられ,低温靱性あるいは/及び疲労強度が要求さ
れる鋼管素材,あるいは形鋼にも適用可能である。
/及び疲労強度が必要とされる構造部材に用いられる高
張力鋼材の製造方法に関するものである。この方法で製
造した鋼材は,例えば,海洋構造物,圧力容器,造船,
橋梁,建築物,ラインパイプなどの溶接鋼構造物一般に
用いることができるが,特に低温靱性あるいは/及び疲
労強度を必要とする海洋構造物,造船,橋梁等の構造物
用鋼板として有用である。また,その他,構造部材とし
て用いられ,低温靱性あるいは/及び疲労強度が要求さ
れる鋼管素材,あるいは形鋼にも適用可能である。
【0002】
【従来の技術】厚鋼板に代表される高張力鋼材は構造部
材として用いられるため,構造物の安全性確保の観点か
ら,低温靱性を要求される。高張力鋼材において,低温
靱性を向上させる方法は種々提案されているが,他の特
性劣化を生じることなく低温靱性を向上させる方法とし
ては,結晶粒径の微細化がほぼ唯一の方法である。
材として用いられるため,構造物の安全性確保の観点か
ら,低温靱性を要求される。高張力鋼材において,低温
靱性を向上させる方法は種々提案されているが,他の特
性劣化を生じることなく低温靱性を向上させる方法とし
ては,結晶粒径の微細化がほぼ唯一の方法である。
【0003】本発明者らはすでにフェライト粒径を3μ
m程度以下に超細粒化して低温靭性を飛躍的に向上させ
る技術を,特開平8−60239号公報,特開平10−
121132号公報等で開示している。本技術の要件は
いずれも,でオーステナイト域及びオーステナイト/フ
ェライト二相域における加熱・熱間圧延条件の最適化に
より,変態フェライトを微細化した上で,該フェライト
を加工により再結晶せしめて超微細粒を得ることにあ
る。該技術は,実際上は1〜3μm程度の超細粒化を達
成するために適した手段であり,2mmVノッチシャル
ピー衝撃試験の破面遷移温度(vTrs)で−100℃
〜−120℃程度の靭性を安定的に得るには十分な技術
であるが,さらにそれ以上の低温靭性を達成するために
は,新たな技術が必要であった。
m程度以下に超細粒化して低温靭性を飛躍的に向上させ
る技術を,特開平8−60239号公報,特開平10−
121132号公報等で開示している。本技術の要件は
いずれも,でオーステナイト域及びオーステナイト/フ
ェライト二相域における加熱・熱間圧延条件の最適化に
より,変態フェライトを微細化した上で,該フェライト
を加工により再結晶せしめて超微細粒を得ることにあ
る。該技術は,実際上は1〜3μm程度の超細粒化を達
成するために適した手段であり,2mmVノッチシャル
ピー衝撃試験の破面遷移温度(vTrs)で−100℃
〜−120℃程度の靭性を安定的に得るには十分な技術
であるが,さらにそれ以上の低温靭性を達成するために
は,新たな技術が必要であった。
【0004】さらなる低温靱性の向上の手段の一つとし
ては特開平2000−8123号公報に開示されている
ように,1パス当たりの圧下率を含めた圧延条件の精密
な制御によって平均α粒径をさらに一段階微細化するこ
とで可能となる。しかし,このような方法の場合,圧延
条件の精密・厳格な制御が必要であり,また,累積圧下
率だけでなく1パス当たりの圧下率も低温で大圧下とす
る必要があり,圧延機への負荷増大,生産性の低下等の
問題も生じる。
ては特開平2000−8123号公報に開示されている
ように,1パス当たりの圧下率を含めた圧延条件の精密
な制御によって平均α粒径をさらに一段階微細化するこ
とで可能となる。しかし,このような方法の場合,圧延
条件の精密・厳格な制御が必要であり,また,累積圧下
率だけでなく1パス当たりの圧下率も低温で大圧下とす
る必要があり,圧延機への負荷増大,生産性の低下等の
問題も生じる。
【0005】さらなる靱性向上の別の方法としては,既
存の方法では達成が困難な鋼材の部位による粒径のばら
つきを極限的に低減する,すなわち,より均一な超細粒
組織を達成する方法が考えられる。本方法によれば,1
μm以下といった極端な超細粒組織とすることなく,平
均粒径が1〜3μm程度でも,フェライトの加工・再結
晶を利用した従来の超細粒化方法において達成できるレ
ベルを凌駕した靱性を達成することが可能と考えられる
が,特開平8−60239号公報,特開平10−121
132号公報等で示されているような,平均粒径が1〜
3μm程度のフェライト粒径を得るいための,従来の方
法では,加工前組織をある程度細粒化しておいても,結
晶方位により再結晶の難易度の差が存在するために,再
結晶後の組織の粒径の不均一さが不可避であった。
存の方法では達成が困難な鋼材の部位による粒径のばら
つきを極限的に低減する,すなわち,より均一な超細粒
組織を達成する方法が考えられる。本方法によれば,1
μm以下といった極端な超細粒組織とすることなく,平
均粒径が1〜3μm程度でも,フェライトの加工・再結
晶を利用した従来の超細粒化方法において達成できるレ
ベルを凌駕した靱性を達成することが可能と考えられる
が,特開平8−60239号公報,特開平10−121
132号公報等で示されているような,平均粒径が1〜
3μm程度のフェライト粒径を得るいための,従来の方
法では,加工前組織をある程度細粒化しておいても,結
晶方位により再結晶の難易度の差が存在するために,再
結晶後の組織の粒径の不均一さが不可避であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,本発明者ら
がすでに開示している加工・再結晶による超細粒化技術
をさらに発展させることにより,複雑な熱間加工あるい
は熱処理工程を必要とせずに,かつ,特殊なせまい範囲
の化学組成に限定することなく,混粒度の極めて少な
い,平均フェライト粒径が1〜3μm以下の超細粒組織
を鋼材の全厚にわたって達成し,優れた機械的性質を有
する,引張強度が約490MPa級以上の高張力鋼材を
製造するための方法を提供するものである。
がすでに開示している加工・再結晶による超細粒化技術
をさらに発展させることにより,複雑な熱間加工あるい
は熱処理工程を必要とせずに,かつ,特殊なせまい範囲
の化学組成に限定することなく,混粒度の極めて少な
い,平均フェライト粒径が1〜3μm以下の超細粒組織
を鋼材の全厚にわたって達成し,優れた機械的性質を有
する,引張強度が約490MPa級以上の高張力鋼材を
製造するための方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】今までの本発明者らの研
究結果によれば,熱間圧延段階でのフェライトの加工・
再結晶によって得られる結晶粒径に支配的な影響を及ぼ
すのは,オーステナイト/フェライト二相域〜フェライ
ト単相域での累積圧下率と圧延前の組織の微細さであ
る。特に,オーステナイトがフェライト相中に適正量存
在すると,フェライトの再結晶がより容易に生じる。同
じオーステナイト分率であれば個々のオーステナイト粒
が微細で,均一に分散しているほど再結晶が均一に生
じ,フェライト粒径も微細になるが,本発明者らはオー
ステナイトが存在することによるフェライトの再結晶の
促進機構の詳細な研究の中で,昇温中〜昇温後の圧延に
よって,効率的なオーステナイトの微細均一分散とその
結果としての均一なフェライト超細粒組織の達成が可能
なことを初めて見出した。
究結果によれば,熱間圧延段階でのフェライトの加工・
再結晶によって得られる結晶粒径に支配的な影響を及ぼ
すのは,オーステナイト/フェライト二相域〜フェライ
ト単相域での累積圧下率と圧延前の組織の微細さであ
る。特に,オーステナイトがフェライト相中に適正量存
在すると,フェライトの再結晶がより容易に生じる。同
じオーステナイト分率であれば個々のオーステナイト粒
が微細で,均一に分散しているほど再結晶が均一に生
じ,フェライト粒径も微細になるが,本発明者らはオー
ステナイトが存在することによるフェライトの再結晶の
促進機構の詳細な研究の中で,昇温中〜昇温後の圧延に
よって,効率的なオーステナイトの微細均一分散とその
結果としての均一なフェライト超細粒組織の達成が可能
なことを初めて見出した。
【0008】オーステナイトの微細分散の手段として,
特開平7−126797号公報に開示されているよう
に,オーステナイト/フェライト二相域加工前の組織を
マルテンサイトないしはベイナイトの単相組織,あるい
は両組織の混合組織,または,フェライトの組織中の割
合を限定したフェライトを含む混合組織,さらにはフェ
ライト粒径を規定したフェライト単相やマルテンサイ
ト,ベイナイト,パーライトとの混合組織とすることに
より超細粒化が容易となるが,本発明はそれよりもさら
に有効な方法で,一定の微細組織を適切な昇温速度で二
相域まで加熱し,直ちにないしは一定の保持時間以内で
圧延ないしは加工を加えると,各圧延パスごとに新たな
サイトから微細なオーステナイトが生成するために,フ
ェライトへの歪導入がより均一になり,かつフェライト
/オーステナイト界面積が顕著に増加して,フェライト
の再結晶が非常に均一となり,かつ安定的に平均フェラ
イト粒径が1〜3μmの超細粒組織が得られる。
特開平7−126797号公報に開示されているよう
に,オーステナイト/フェライト二相域加工前の組織を
マルテンサイトないしはベイナイトの単相組織,あるい
は両組織の混合組織,または,フェライトの組織中の割
合を限定したフェライトを含む混合組織,さらにはフェ
ライト粒径を規定したフェライト単相やマルテンサイ
ト,ベイナイト,パーライトとの混合組織とすることに
より超細粒化が容易となるが,本発明はそれよりもさら
に有効な方法で,一定の微細組織を適切な昇温速度で二
相域まで加熱し,直ちにないしは一定の保持時間以内で
圧延ないしは加工を加えると,各圧延パスごとに新たな
サイトから微細なオーステナイトが生成するために,フ
ェライトへの歪導入がより均一になり,かつフェライト
/オーステナイト界面積が顕著に増加して,フェライト
の再結晶が非常に均一となり,かつ安定的に平均フェラ
イト粒径が1〜3μmの超細粒組織が得られる。
【0009】なお,本発明の,フェライトの加工・再結
晶を利用した製造方法で達成された,混粒度の少ない均
一な超細粒組織の種々機械的性質を調査したところ,同
一組成で,通常の熱間圧延,焼きならし,あるいは焼入
・焼戻しにより製造された鋼に比べて,母材の疲労き裂
伝播速度が1/5〜1/10程度まで遅延し,廻し溶接
継手の疲労寿命で評価しても,ほぼ1/2以下とするこ
とが可能であることが知見された。従って,本発明によ
り製造された鋼は低温靱性と高疲労強度とを同時に満足
することが可能であり,低温靱性あるいは/及び疲労強
度が要求される用途に極めて有用である。
晶を利用した製造方法で達成された,混粒度の少ない均
一な超細粒組織の種々機械的性質を調査したところ,同
一組成で,通常の熱間圧延,焼きならし,あるいは焼入
・焼戻しにより製造された鋼に比べて,母材の疲労き裂
伝播速度が1/5〜1/10程度まで遅延し,廻し溶接
継手の疲労寿命で評価しても,ほぼ1/2以下とするこ
とが可能であることが知見された。従って,本発明によ
り製造された鋼は低温靱性と高疲労強度とを同時に満足
することが可能であり,低温靱性あるいは/及び疲労強
度が要求される用途に極めて有用である。
【0010】本発明は以上の新たな知見に基づいて発明
するに至ったものであり,その要旨は以下に示す通りで
ある。(1)質量%で,C:0.01〜0.2% Si:0.01〜1% Mn:0.1〜2% Al:0.001〜0.1% N:0.001〜0.01%を含有し,不純物として,
P:0.02%以下,S:0.01%以下を含有し,残
部が鉄および不可避不純物からなり,以下の〜のい
ずれかの組織を有する鋼を,300℃以上を0.1〜5
0℃/sの昇温速度で加熱し,Ac1変態点〜(Ac3変態
点−100℃)の昇温途上で圧延を開始し,累積圧下率
が50〜90%の圧延を行うに際して,圧延中の鋼の温
度が(Ac1変態点−50℃)〜(Ac3変態点−50℃)
の範囲内であることを特徴とする靭性と疲労強度とに優
れた高張力鋼の製造方法。 マルテンサイト単相組織,あるいはベイナイト単相組
織,あるいは両者の混合組織 フェライトの割合が20%未満であり,且つ,フェラ
イトとマルテンサイト,あるいはフェライトとベイナイ
ト,あるいはフェライト,マルテンサイト,ベイナイト
3者の混合組織 フェライトの割合が20%以上で,その平均粒径が2
0μm以下であり,且つ,フェライト単相組織,あるい
はフェライトとマルテンサイト,ベイナイト,パーライ
トの内,1種または2種以上からなる混合組織
するに至ったものであり,その要旨は以下に示す通りで
ある。(1)質量%で,C:0.01〜0.2% Si:0.01〜1% Mn:0.1〜2% Al:0.001〜0.1% N:0.001〜0.01%を含有し,不純物として,
P:0.02%以下,S:0.01%以下を含有し,残
部が鉄および不可避不純物からなり,以下の〜のい
ずれかの組織を有する鋼を,300℃以上を0.1〜5
0℃/sの昇温速度で加熱し,Ac1変態点〜(Ac3変態
点−100℃)の昇温途上で圧延を開始し,累積圧下率
が50〜90%の圧延を行うに際して,圧延中の鋼の温
度が(Ac1変態点−50℃)〜(Ac3変態点−50℃)
の範囲内であることを特徴とする靭性と疲労強度とに優
れた高張力鋼の製造方法。 マルテンサイト単相組織,あるいはベイナイト単相組
織,あるいは両者の混合組織 フェライトの割合が20%未満であり,且つ,フェラ
イトとマルテンサイト,あるいはフェライトとベイナイ
ト,あるいはフェライト,マルテンサイト,ベイナイト
3者の混合組織 フェライトの割合が20%以上で,その平均粒径が2
0μm以下であり,且つ,フェライト単相組織,あるい
はフェライトとマルテンサイト,ベイナイト,パーライ
トの内,1種または2種以上からなる混合組織
【0011】(2)質量%で,C:0.01〜0.2% Si:0.01〜1% Mn:0.1〜2% Al:0.001〜0.1% N:0.001〜0.01%を含有し,不純物として,
P:0.02%以下,S:0.01%以下を含有し,残
部が鉄および不可避不純物からなり,以下の〜のい
ずれかの組織を有する鋼を,300℃以上を0.1〜5
0℃/sの昇温速度で加熱し,Ac1変態点〜(Ac3変態
点−100℃)の温度で1〜600s保持後,圧延を開
始し,累積圧下率が50〜90%の圧延を行うに際し
て,圧延中の鋼の温度が(Ac1変態点−50℃)〜(A
c3変態点−50℃)の範囲内であることを特徴とする靭
性と疲労強度とに優れた高張力鋼の製造方法。 マルテンサイト単相組織,あるいはベイナイト単相組
織,あるいは両者の混合組織 フェライトの割合が20%未満であり,且つ,フェラ
イトとマルテンサイト,あるいはフェライトとベイナイ
ト,あるいはフェライト,マルテンサイト,ベイナイト
3者の混合組織 フェライトの割合が20%以上で,その平均粒径が2
0μm以下であり,且つ,フェライト単相組織,あるい
はフェライトとマルテンサイト,ベイナイト,パーライ
トの内,1種または2種以上からなる混合組織
P:0.02%以下,S:0.01%以下を含有し,残
部が鉄および不可避不純物からなり,以下の〜のい
ずれかの組織を有する鋼を,300℃以上を0.1〜5
0℃/sの昇温速度で加熱し,Ac1変態点〜(Ac3変態
点−100℃)の温度で1〜600s保持後,圧延を開
始し,累積圧下率が50〜90%の圧延を行うに際し
て,圧延中の鋼の温度が(Ac1変態点−50℃)〜(A
c3変態点−50℃)の範囲内であることを特徴とする靭
性と疲労強度とに優れた高張力鋼の製造方法。 マルテンサイト単相組織,あるいはベイナイト単相組
織,あるいは両者の混合組織 フェライトの割合が20%未満であり,且つ,フェラ
イトとマルテンサイト,あるいはフェライトとベイナイ
ト,あるいはフェライト,マルテンサイト,ベイナイト
3者の混合組織 フェライトの割合が20%以上で,その平均粒径が2
0μm以下であり,且つ,フェライト単相組織,あるい
はフェライトとマルテンサイト,ベイナイト,パーライ
トの内,1種または2種以上からなる混合組織
【0012】(3)圧延終了後,2〜100℃/sの冷
却速度で20℃〜650℃まで加速冷却することを特徴
とする前記(1)または(2)に記載の靱性と疲労強度
とに優れた高張力鋼の製造方法。 (4)圧延後さらに,加熱温度が300℃以上,Ac1変
態点以下の焼戻しを施すことを特徴とする前記(1)〜
(3)のいずれかに記載の靭性と疲労強度とに優れた高
張力鋼の製造方法。
却速度で20℃〜650℃まで加速冷却することを特徴
とする前記(1)または(2)に記載の靱性と疲労強度
とに優れた高張力鋼の製造方法。 (4)圧延後さらに,加熱温度が300℃以上,Ac1変
態点以下の焼戻しを施すことを特徴とする前記(1)〜
(3)のいずれかに記載の靭性と疲労強度とに優れた高
張力鋼の製造方法。
【0013】(5)さらに,質量%で,Ni:0.1〜
5% Cu:0.1〜1.5% Cr:0.01〜2% Mo:0.01〜2% W:0.01〜2% Ti:0.003〜0.1% V:0.005〜0.5% Nb:0.003〜0.2% Zr:0.003〜0.1% Ta:0.005〜0.2% B:0.0002〜0.005% の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記
(1)〜(4)のいずれかに記載の靭性と疲労強度とに
優れた高張力鋼の製造方法。
5% Cu:0.1〜1.5% Cr:0.01〜2% Mo:0.01〜2% W:0.01〜2% Ti:0.003〜0.1% V:0.005〜0.5% Nb:0.003〜0.2% Zr:0.003〜0.1% Ta:0.005〜0.2% B:0.0002〜0.005% の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記
(1)〜(4)のいずれかに記載の靭性と疲労強度とに
優れた高張力鋼の製造方法。
【0014】(6)さらに,質量%で,Mg:0.00
05〜0.01% Ca:0.0005〜0.01% Y:0.005〜0.1% のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする
前記(1)〜(5)のいずれかに記載の靭性と疲労強度
とに優れた高張力鋼の製造方法。
05〜0.01% Ca:0.0005〜0.01% Y:0.005〜0.1% のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする
前記(1)〜(5)のいずれかに記載の靭性と疲労強度
とに優れた高張力鋼の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明は,熱間圧延段階でのフェライトの加工・
再結晶によってフェライト粒径を超微細化させることを
基本技術としている。より容易にかつ均一に超細粒化さ
せるためには,フェライトとオーステナイトとが共存す
る二相域で圧延を施すことが好ましく,本発明も硬質相
としてのオーステナイトを有効活用することを基本要件
としている。すなわち,フェライトの超細粒化のために
は,フェライトへの加工を加える段階で,加工前の組織
を微細化するとともに,適正量のオーステナイトを存在
させることが前提となる。ただし,フェライトの加工・
再結晶によってフェライト粒径が1〜3μm程度の超細
粒組織を得るために従来の技術以上に,より容易にかつ
均一に超細粒化させるためには,該基本要件に加えて,
さらに,個々のオーステナイト粒子を極力微細かつ高密
度に分散させることが重要である。
する。本発明は,熱間圧延段階でのフェライトの加工・
再結晶によってフェライト粒径を超微細化させることを
基本技術としている。より容易にかつ均一に超細粒化さ
せるためには,フェライトとオーステナイトとが共存す
る二相域で圧延を施すことが好ましく,本発明も硬質相
としてのオーステナイトを有効活用することを基本要件
としている。すなわち,フェライトの超細粒化のために
は,フェライトへの加工を加える段階で,加工前の組織
を微細化するとともに,適正量のオーステナイトを存在
させることが前提となる。ただし,フェライトの加工・
再結晶によってフェライト粒径が1〜3μm程度の超細
粒組織を得るために従来の技術以上に,より容易にかつ
均一に超細粒化させるためには,該基本要件に加えて,
さらに,個々のオーステナイト粒子を極力微細かつ高密
度に分散させることが重要である。
【0016】本発明は,オーステナイト粒子を微細分散
させるためには,適正な加工前組織を有する鋼に対し
て,昇温中あるいは一定以内の保持中に加工する昇温加
工ないしは昇温圧延を加えることによって,非平衡状態
からオーステナイトを生成させることが有効であるとの
新たな知見に基づいている。すなわち,具体的には,適
正な化学組成を有し,以下の〜に該当する組織を有
する鋼を,300℃〜圧延温度まで0.1〜50℃/s
の昇温速度で加熱し,Ac1変態点〜(Ac3変態点−10
0℃)の昇温途上,あるいは,該温度で1〜600s保
持後,圧延を開始し,累積圧下率が50〜90%の圧延
を行うに際して,圧延中の鋼の温度が(Ac1変態点−5
0℃)〜(Ac3変態点−50℃)の範囲内であることを
基本要件とする。 マルテンサイト単相組織,あるいはベイナイト単相組
織,あるいは両者の混合組織 フェライトの割合が20%未満であり,且つ,フェラ
イトとマルテンサイト,あるいはフェライトとベイナイ
ト,あるいはフェライト,マルテンサイト,ベイナイト
3者の混合組織 フェライトの割合が20%以上で,その平均粒径が2
0μm以下であり,且つ,フェライト単相組織,あるい
はフェライトとマルテンサイト,ベイナイト,パーライ
トの内,1種または2種以上からなる混合組織
させるためには,適正な加工前組織を有する鋼に対し
て,昇温中あるいは一定以内の保持中に加工する昇温加
工ないしは昇温圧延を加えることによって,非平衡状態
からオーステナイトを生成させることが有効であるとの
新たな知見に基づいている。すなわち,具体的には,適
正な化学組成を有し,以下の〜に該当する組織を有
する鋼を,300℃〜圧延温度まで0.1〜50℃/s
の昇温速度で加熱し,Ac1変態点〜(Ac3変態点−10
0℃)の昇温途上,あるいは,該温度で1〜600s保
持後,圧延を開始し,累積圧下率が50〜90%の圧延
を行うに際して,圧延中の鋼の温度が(Ac1変態点−5
0℃)〜(Ac3変態点−50℃)の範囲内であることを
基本要件とする。 マルテンサイト単相組織,あるいはベイナイト単相組
織,あるいは両者の混合組織 フェライトの割合が20%未満であり,且つ,フェラ
イトとマルテンサイト,あるいはフェライトとベイナイ
ト,あるいはフェライト,マルテンサイト,ベイナイト
3者の混合組織 フェライトの割合が20%以上で,その平均粒径が2
0μm以下であり,且つ,フェライト単相組織,あるい
はフェライトとマルテンサイト,ベイナイト,パーライ
トの内,1種または2種以上からなる混合組織
【0017】本発明においては,「300℃〜圧延温度
まで0.1〜50℃/sの昇温速度で加熱し,Ac1変態
点〜(Ac3変態点−100℃)の昇温途上,あるいは,
該温度で1〜600s保持後,圧延を開始し,累積圧下
率が50〜90%の圧延を行うに際して,圧延中の鋼の
温度が(Ac1変態点−50℃)〜(Ac3変態点−50
℃)の範囲内であることを特徴とする二相域での昇温圧
延によって,主としてフェライトの加工・再結晶組織を
超細粒化させるが,該昇温圧延に入る前の組織を適正化
する必要がある。すなわち,圧延によってフェライトの
再結晶を容易に且つ均一に生じさせるためには,昇温圧
延時の再結晶核生成サイトとオーステナイトの生成サイ
トとが均一且つ多量に存在する必要があり,そのために
好ましい組織が上記〜を満足する組織形態となる。
まで0.1〜50℃/sの昇温速度で加熱し,Ac1変態
点〜(Ac3変態点−100℃)の昇温途上,あるいは,
該温度で1〜600s保持後,圧延を開始し,累積圧下
率が50〜90%の圧延を行うに際して,圧延中の鋼の
温度が(Ac1変態点−50℃)〜(Ac3変態点−50
℃)の範囲内であることを特徴とする二相域での昇温圧
延によって,主としてフェライトの加工・再結晶組織を
超細粒化させるが,該昇温圧延に入る前の組織を適正化
する必要がある。すなわち,圧延によってフェライトの
再結晶を容易に且つ均一に生じさせるためには,昇温圧
延時の再結晶核生成サイトとオーステナイトの生成サイ
トとが均一且つ多量に存在する必要があり,そのために
好ましい組織が上記〜を満足する組織形態となる。
【0018】〜の好ましい組織形態の条件は詳細な
実験により求めたもので,以下に説明する。 のマルテンサイト単相組織,あるいはベイナイト単相
組織,あるいは両者の混合組織では,旧オーステナイト
粒界だけでなく,微細なラス境界が再結晶核生成サイト
とオーステナイトの生成サイトとして機能するため,再
結晶を容易に且つ均一に生じさせるために好ましい組織
形態である。
実験により求めたもので,以下に説明する。 のマルテンサイト単相組織,あるいはベイナイト単相
組織,あるいは両者の混合組織では,旧オーステナイト
粒界だけでなく,微細なラス境界が再結晶核生成サイト
とオーステナイトの生成サイトとして機能するため,再
結晶を容易に且つ均一に生じさせるために好ましい組織
形態である。
【0019】一方,フェライトは粒内に下部組織をほと
んど持たないため,一般的には再結晶核生成サイトやオ
ーステナイトの生成サイトはフェライト粒界のみとな
り,再結晶が生じ難く,また不均一になりやすく,好ま
しくない。そのため,鋼の組成から,フェライトの存在
が不可避である場合は,組織に対するフェライトの割合
を一定以下に限定するか,フェライト粒径を微細化する
必要がある。フェライトの割合が20%未満で,残部が
マルテンサイトかベイナイトの一方,あるいは両方であ
れば,フェライト粒径が粗大でも構わない。これは,フ
ェライトの割合が20%未満であれば,加工が軟質相で
あるフェライトに集中するため,フェライトでも再結晶
やオーステナイトの核生成が十分均一に生じ得るためで
ある。
んど持たないため,一般的には再結晶核生成サイトやオ
ーステナイトの生成サイトはフェライト粒界のみとな
り,再結晶が生じ難く,また不均一になりやすく,好ま
しくない。そのため,鋼の組成から,フェライトの存在
が不可避である場合は,組織に対するフェライトの割合
を一定以下に限定するか,フェライト粒径を微細化する
必要がある。フェライトの割合が20%未満で,残部が
マルテンサイトかベイナイトの一方,あるいは両方であ
れば,フェライト粒径が粗大でも構わない。これは,フ
ェライトの割合が20%未満であれば,加工が軟質相で
あるフェライトに集中するため,フェライトでも再結晶
やオーステナイトの核生成が十分均一に生じ得るためで
ある。
【0020】一方,フェライトの割合が20%以上であ
ると,粗大なフェライトでは再結晶やオーステナイトの
核生成サイトが不均一になるのを避けられないため,フ
ェライト粒径を微細化する必要がある。圧延前組織にお
けるフェライト粒径が20μm以下であれば,フェライ
ト以外の組織形態によらず,再結晶が容易且つ均一に生
じ,結果,最終的に均一な超細粒組織が達成される。従
って,本発明ではフェライトの割合が20%以上である
場合には該フェライトの粒径を20μm以下に限定す
る。フェライト粒径が20μm超であると,昇温圧延に
よってオーステナイトを微細に分散させても混粒度の小
さい均一な超細粒組織を達成することは困難である。以
上が,昇温圧延前組織の要件であるが,該組織要件に関
しては,化学組成が本発明を満足していれば,その達成
手段は問わない。
ると,粗大なフェライトでは再結晶やオーステナイトの
核生成サイトが不均一になるのを避けられないため,フ
ェライト粒径を微細化する必要がある。圧延前組織にお
けるフェライト粒径が20μm以下であれば,フェライ
ト以外の組織形態によらず,再結晶が容易且つ均一に生
じ,結果,最終的に均一な超細粒組織が達成される。従
って,本発明ではフェライトの割合が20%以上である
場合には該フェライトの粒径を20μm以下に限定す
る。フェライト粒径が20μm超であると,昇温圧延に
よってオーステナイトを微細に分散させても混粒度の小
さい均一な超細粒組織を達成することは困難である。以
上が,昇温圧延前組織の要件であるが,該組織要件に関
しては,化学組成が本発明を満足していれば,その達成
手段は問わない。
【0021】次に,昇温加工条件の限定条件を説明す
る。前記〜の適正な組織を有する鋼に昇温途上ある
いは適性範囲での保持後に昇温圧延を施すが,所定の圧
延温度に達するまでの昇温速度は,300℃から圧延温
度までの平均で0.1〜50℃/sとする必要がある。
これは,昇温中のオーステナイトの生成を抑制して,昇
温圧延の各圧延パスごとに新たなサイトから微細なオー
ステナイトを生成させるための条件で,該昇温速度が
0.1℃/s未満であると,昇温中,各温度で平衡に近
いオーステナイト相が生成するため,圧延によって誘起
されるオーステナイトがほとんどなく,オーステナイト
の微細分散は困難となり,結果,均一な超細粒化は図ら
れない。一方,昇温速度は大きいほど,非平衡度が増
し,昇温加工時のオーステナイト生成がより容易に生
じ,オーステナイト相の微細分散には好ましいが,50
℃/s超では効果が飽和する一方で,工業的に鋼全体を
均一昇温することが困難となるため,本発明では該昇温
速度の上限を50℃/sとする。
る。前記〜の適正な組織を有する鋼に昇温途上ある
いは適性範囲での保持後に昇温圧延を施すが,所定の圧
延温度に達するまでの昇温速度は,300℃から圧延温
度までの平均で0.1〜50℃/sとする必要がある。
これは,昇温中のオーステナイトの生成を抑制して,昇
温圧延の各圧延パスごとに新たなサイトから微細なオー
ステナイトを生成させるための条件で,該昇温速度が
0.1℃/s未満であると,昇温中,各温度で平衡に近
いオーステナイト相が生成するため,圧延によって誘起
されるオーステナイトがほとんどなく,オーステナイト
の微細分散は困難となり,結果,均一な超細粒化は図ら
れない。一方,昇温速度は大きいほど,非平衡度が増
し,昇温加工時のオーステナイト生成がより容易に生
じ,オーステナイト相の微細分散には好ましいが,50
℃/s超では効果が飽和する一方で,工業的に鋼全体を
均一昇温することが困難となるため,本発明では該昇温
速度の上限を50℃/sとする。
【0022】上記昇温速度で昇温した後,圧延開始温度
をAc1変態点〜(Ac3変態点−100℃)として,昇温
途上直ちに,あるいは,該圧延開始温度で1〜600s
保持後に,累積圧下率が50〜90%圧延を行う。該圧
延工程において,フェライトに加工による転位が多量に
導入され,その結果,再結晶を生じて超細粒組織が形成
されるが,圧延前及び圧延中にオーステナイトが微細か
つ高密度に生成することによって,再結晶が均一に生じ
るため,混粒度が小さい均一な超細粒組織が達成され
る。圧延開始温度の下限をAc1変態点とするのは,圧延
前及び圧延中がオーステナイトを生成するために必要な
ためで,開始温度がAc1変態点未満であると,該温度で
保持しても十分なオーステナイトの生成が見込めず,ま
た,圧延中に加工で誘起されて生成するオーステナイト
の量も微少に止まるため,均一超細粒化が期待できな
い。
をAc1変態点〜(Ac3変態点−100℃)として,昇温
途上直ちに,あるいは,該圧延開始温度で1〜600s
保持後に,累積圧下率が50〜90%圧延を行う。該圧
延工程において,フェライトに加工による転位が多量に
導入され,その結果,再結晶を生じて超細粒組織が形成
されるが,圧延前及び圧延中にオーステナイトが微細か
つ高密度に生成することによって,再結晶が均一に生じ
るため,混粒度が小さい均一な超細粒組織が達成され
る。圧延開始温度の下限をAc1変態点とするのは,圧延
前及び圧延中がオーステナイトを生成するために必要な
ためで,開始温度がAc1変態点未満であると,該温度で
保持しても十分なオーステナイトの生成が見込めず,ま
た,圧延中に加工で誘起されて生成するオーステナイト
の量も微少に止まるため,均一超細粒化が期待できな
い。
【0023】一方,本発明においては,圧延開始温度の
上限を(Ac3変態点−100℃)とする。これは,フェ
ライトの再結晶を超細粒化の基本とする本発明において
は,圧延前のフェライト相を十分確保する必要があるた
めで,圧延開始温度が(Ac3変態点−100℃)以下で
あれば,本発明においては,圧延中にオーステナイト相
が過度に増加することがなく,実質的に均一な超細粒再
結晶フェライトが得られる。圧延開始温度が(Ac3変態
点−100℃)を超えると,圧延前のオーステナイト相
が過剰となり,該オーステナイトから変態で生じるフェ
ライト粒は再結晶フェライトに比べて粗粒となり,混粒
度が増加して靱性,疲労特性の両方に悪影響を及ぼす。
上限を(Ac3変態点−100℃)とする。これは,フェ
ライトの再結晶を超細粒化の基本とする本発明において
は,圧延前のフェライト相を十分確保する必要があるた
めで,圧延開始温度が(Ac3変態点−100℃)以下で
あれば,本発明においては,圧延中にオーステナイト相
が過度に増加することがなく,実質的に均一な超細粒再
結晶フェライトが得られる。圧延開始温度が(Ac3変態
点−100℃)を超えると,圧延前のオーステナイト相
が過剰となり,該オーステナイトから変態で生じるフェ
ライト粒は再結晶フェライトに比べて粗粒となり,混粒
度が増加して靱性,疲労特性の両方に悪影響を及ぼす。
【0024】昇温圧延前あるいは昇温圧延中にオーステ
ナイトを微細かつ高密度に生成させることが本発明の最
も重要な要件であるが,そのための必要条件が,前述の
ように,昇温速度を適性範囲に限定することに加えて,
昇温途上あるいは,圧延前に保持する場合には,保持時
間を1〜600sに限定することである。300℃から
圧延温度までの平均で0.1〜50℃/sの昇温速度で
昇温した場合,平衡状態に比べてオーステナイト生成が
大きく抑制される。オーステナイトが抑制されたままの
状態から圧延を開始することで,種々のサイトから微細
なオーステナイトが高密度に生成し,硬質のオーステナ
イトが存在することによって,引き続く圧延工程におい
てフェライトへの歪が均一に導入され,かつ該オーステ
ナイトが再結晶サイトとして機能し,その結果,均一な
フェライトの超細粒化が達成される。
ナイトを微細かつ高密度に生成させることが本発明の最
も重要な要件であるが,そのための必要条件が,前述の
ように,昇温速度を適性範囲に限定することに加えて,
昇温途上あるいは,圧延前に保持する場合には,保持時
間を1〜600sに限定することである。300℃から
圧延温度までの平均で0.1〜50℃/sの昇温速度で
昇温した場合,平衡状態に比べてオーステナイト生成が
大きく抑制される。オーステナイトが抑制されたままの
状態から圧延を開始することで,種々のサイトから微細
なオーステナイトが高密度に生成し,硬質のオーステナ
イトが存在することによって,引き続く圧延工程におい
てフェライトへの歪が均一に導入され,かつ該オーステ
ナイトが再結晶サイトとして機能し,その結果,均一な
フェライトの超細粒化が達成される。
【0025】圧延開始あるいは圧延中にまで引き続いて
非平衡状態を保って,オーステナイト相の生成を抑制す
るためには,昇温途中から直ちに圧延を開始するか,保
持する場合でも600s以下とする必要がある。保持時
間が600s超であると,保持中にオーステナイトが平
衡状態に近い割合まで生成し,その場合のオーステナイ
トは本発明に比べて粗大となるため,均一超細粒化が不
十分となる。保持時間は短くても構わないが,保持工程
を確実に制御できる条件として,本発明では,昇温圧延
前に保持を行う場合の保持時間の下限は1sとする。
非平衡状態を保って,オーステナイト相の生成を抑制す
るためには,昇温途中から直ちに圧延を開始するか,保
持する場合でも600s以下とする必要がある。保持時
間が600s超であると,保持中にオーステナイトが平
衡状態に近い割合まで生成し,その場合のオーステナイ
トは本発明に比べて粗大となるため,均一超細粒化が不
十分となる。保持時間は短くても構わないが,保持工程
を確実に制御できる条件として,本発明では,昇温圧延
前に保持を行う場合の保持時間の下限は1sとする。
【0026】300℃〜圧延温度まで0.1〜50℃/
sの昇温速度で加熱し,Ac1変態点〜(Ac3変態点−1
00℃)の昇温途上であるいは圧延開始前に1〜600
s保持した後,圧延を開始するが,該圧延の累積圧下率
は50〜90%とする。累積圧下率が50%未満である
と,他の要件が本発明を満足していても,全面再結晶組
織が得られず,均一な超細粒化が望めない。累積圧下率
は大きいほど好ましいが,90%を超えても効果が飽和
するためと,過度な累積圧下率にした場合,製造できる
板厚限定され,形状や生産性にも不利であるとの,実用
的見地から,本発明では,累積圧下率の上限を90%と
する。
sの昇温速度で加熱し,Ac1変態点〜(Ac3変態点−1
00℃)の昇温途上であるいは圧延開始前に1〜600
s保持した後,圧延を開始するが,該圧延の累積圧下率
は50〜90%とする。累積圧下率が50%未満である
と,他の要件が本発明を満足していても,全面再結晶組
織が得られず,均一な超細粒化が望めない。累積圧下率
は大きいほど好ましいが,90%を超えても効果が飽和
するためと,過度な累積圧下率にした場合,製造できる
板厚限定され,形状や生産性にも不利であるとの,実用
的見地から,本発明では,累積圧下率の上限を90%と
する。
【0027】本発明の圧延温度域では,加えられた加工
歪はほぼ蓄積されるので,各パスの圧下率の大小は問わ
ない。ただし,後述の圧延中での温度履歴の要件は満足
する必要がある。また,各圧延パスの間隔を不必要に長
くとることは,歪の回復が生じて,折角導入した加工歪
が組織微細化に有効利用されないため,好ましくない。
各パスの間隔は好ましくは30s以内とすべきである。
歪はほぼ蓄積されるので,各パスの圧下率の大小は問わ
ない。ただし,後述の圧延中での温度履歴の要件は満足
する必要がある。また,各圧延パスの間隔を不必要に長
くとることは,歪の回復が生じて,折角導入した加工歪
が組織微細化に有効利用されないため,好ましくない。
各パスの間隔は好ましくは30s以内とすべきである。
【0028】上記のように,本発明においては昇温加工
に関わる,昇温速度,圧延前保持時間,圧延開始温度,
累積圧下率を限定するが,さらに,均一超細粒化を確実
にするために,圧延開始温度を限定することに加えて,
鋼の温度が圧延中のいずれの段階でも(Ac1変態点−5
0℃)〜(Ac3変態点−50℃)の範囲内に収まるよう
にする必要がある。圧延開始温度が,Ac1変態点〜(A
c3変態点−100℃)であれば圧延前〜圧延中にオース
テナイトが微細・高密度に生成して,超細粒化に有効に
働くが,本発明は多パス圧延を前提としており,圧延の
各パスが超細粒化に有効に働くために,また,下記に述
べる,その他の理由により,圧延開始以降の各パスの圧
延温度を,(Ac1変態点−50℃)〜(Ac3変態点−5
0℃)の範囲内に収まるようにする必要がある。
に関わる,昇温速度,圧延前保持時間,圧延開始温度,
累積圧下率を限定するが,さらに,均一超細粒化を確実
にするために,圧延開始温度を限定することに加えて,
鋼の温度が圧延中のいずれの段階でも(Ac1変態点−5
0℃)〜(Ac3変態点−50℃)の範囲内に収まるよう
にする必要がある。圧延開始温度が,Ac1変態点〜(A
c3変態点−100℃)であれば圧延前〜圧延中にオース
テナイトが微細・高密度に生成して,超細粒化に有効に
働くが,本発明は多パス圧延を前提としており,圧延の
各パスが超細粒化に有効に働くために,また,下記に述
べる,その他の理由により,圧延開始以降の各パスの圧
延温度を,(Ac1変態点−50℃)〜(Ac3変態点−5
0℃)の範囲内に収まるようにする必要がある。
【0029】すなわち,(Ac1変態点−50℃)未満に
圧延中の温度が低下すると,材質の異方性が拡大するこ
と,鋼の形状が悪化する点で,好ましくない。また,超
細粒化に対しては,累積圧下の効果が蓄積されるため,
1部の圧延パスが(Ac1変態点−50℃)未満になって
も構わないが,大半のパスが(Ac1変態点−50℃)未
満となると,再結晶が生じ難くなる可能性があるため,
本発明では,圧延中の温度の下限を(Ac1変態点−50
℃)以上とする。
圧延中の温度が低下すると,材質の異方性が拡大するこ
と,鋼の形状が悪化する点で,好ましくない。また,超
細粒化に対しては,累積圧下の効果が蓄積されるため,
1部の圧延パスが(Ac1変態点−50℃)未満になって
も構わないが,大半のパスが(Ac1変態点−50℃)未
満となると,再結晶が生じ難くなる可能性があるため,
本発明では,圧延中の温度の下限を(Ac1変態点−50
℃)以上とする。
【0030】一方,圧延中の温度が(Ac3変態点−50
℃)を超えることは,超細粒化に直接悪影響を及ぼし,
好ましくない。すなわち,圧延中に(Ac3変態点−50
℃)を超えると,オーステナイト相が過剰に増加して加
工組織が解消される。また,加工されたフェライトの粒
成長が無視できないことにより,超細粒化が不十分とな
る懸念がある。加工組織の解消は特に疲労強度に悪影響
を及ぼす。
℃)を超えることは,超細粒化に直接悪影響を及ぼし,
好ましくない。すなわち,圧延中に(Ac3変態点−50
℃)を超えると,オーステナイト相が過剰に増加して加
工組織が解消される。また,加工されたフェライトの粒
成長が無視できないことにより,超細粒化が不十分とな
る懸念がある。加工組織の解消は特に疲労強度に悪影響
を及ぼす。
【0031】以上が,本発明の製造方法に関する基本要
件であるが,圧延後は,強度の調整のために,必要に応
じて,圧延終了後,加速冷却および/または焼戻しを施
すことができる。加速冷却を行う場合は,2〜100℃
/sの冷却速度で20℃〜650℃まで加速冷却する。
加速冷却の冷却速度が2℃/s未満では,加速冷却によ
る組織制御効果が十分でなく,一方,100℃/s超で
は,本発明の成分範囲では加速冷却の効果が飽和すると
ともに,残留応力が過大となったり,鋼板の平坦度が悪
化するため好ましくない。従って,本発明では加速冷却
の冷却速度を2〜100℃/sに限定する。
件であるが,圧延後は,強度の調整のために,必要に応
じて,圧延終了後,加速冷却および/または焼戻しを施
すことができる。加速冷却を行う場合は,2〜100℃
/sの冷却速度で20℃〜650℃まで加速冷却する。
加速冷却の冷却速度が2℃/s未満では,加速冷却によ
る組織制御効果が十分でなく,一方,100℃/s超で
は,本発明の成分範囲では加速冷却の効果が飽和すると
ともに,残留応力が過大となったり,鋼板の平坦度が悪
化するため好ましくない。従って,本発明では加速冷却
の冷却速度を2〜100℃/sに限定する。
【0032】圧延後,あるいは圧延後さらに加速冷却を
行った後に焼戻しを施す場合は,加熱温度を300℃以
上,Ac1変態点以下に限定する。焼戻しの加熱温度が3
00℃未満であると,材質に及ぼす焼戻しの効果が十分
でなく,焼戻しの意義が失われる。一方,加熱温度がA
c1変態点を超えると,オーステナイト相が生成して超細
粒組織が解消されるため,好ましくない。従って,本発
明では焼戻しにおける加熱温度を300℃〜Ac1変態点
に限定する。なお,焼戻しの保持時間や冷却条件につい
ては,材質への影響は加熱温度に比べて非常に小さく,
現実的な条件範囲では特に規定する必要はないが,組織
の粗大化抑制のためには,冷却条件としては放冷または
放冷以上の冷却速度の冷却方法がより好ましく,保持時
間は,加熱温度が500℃以下では48h以下,500
℃超では4h以下が好ましい。なお,疲労特性を重視し
て,廻し溶接継手での疲労寿命を,確実に通常組織の鋼
の1/2以下とするためには,圧延後に加速冷却を施
し,かつ,焼戻しを施さないか,焼戻しを施す場合は加
熱温度を600℃以下にすることがより好ましい。
行った後に焼戻しを施す場合は,加熱温度を300℃以
上,Ac1変態点以下に限定する。焼戻しの加熱温度が3
00℃未満であると,材質に及ぼす焼戻しの効果が十分
でなく,焼戻しの意義が失われる。一方,加熱温度がA
c1変態点を超えると,オーステナイト相が生成して超細
粒組織が解消されるため,好ましくない。従って,本発
明では焼戻しにおける加熱温度を300℃〜Ac1変態点
に限定する。なお,焼戻しの保持時間や冷却条件につい
ては,材質への影響は加熱温度に比べて非常に小さく,
現実的な条件範囲では特に規定する必要はないが,組織
の粗大化抑制のためには,冷却条件としては放冷または
放冷以上の冷却速度の冷却方法がより好ましく,保持時
間は,加熱温度が500℃以下では48h以下,500
℃超では4h以下が好ましい。なお,疲労特性を重視し
て,廻し溶接継手での疲労寿命を,確実に通常組織の鋼
の1/2以下とするためには,圧延後に加速冷却を施
し,かつ,焼戻しを施さないか,焼戻しを施す場合は加
熱温度を600℃以下にすることがより好ましい。
【0033】以上が,本発明の目的とする,混粒度の極
めて少ない,平均フェライト粒径が1〜3μm以下の超
細粒組織を得るための,製造方法に関わる要件の限定理
由であるが,該組織を得るために,また,引張強度が約
490MPa級以上の高張力鋼において,極めて優れた
靭性,脆性き裂伝播停止特性を達成し,さらに同時に良
好な溶接継手疲労特性を達成するためには,組織要件と
は別に,化学組成も同時に限定する必要がある。
めて少ない,平均フェライト粒径が1〜3μm以下の超
細粒組織を得るための,製造方法に関わる要件の限定理
由であるが,該組織を得るために,また,引張強度が約
490MPa級以上の高張力鋼において,極めて優れた
靭性,脆性き裂伝播停止特性を達成し,さらに同時に良
好な溶接継手疲労特性を達成するためには,組織要件と
は別に,化学組成も同時に限定する必要がある。
【0034】以下に化学組成の限定理由を述べる。先
ず,Cは鋼の強度を向上させる有効な成分として含有す
るもので,0.01%未満では構造用鋼に必要な強度の
確保が困難であるが,0.20%を超える過剰の含有は
母材及び溶接部の靱性や耐溶接割れ性を低下させるた
め,0.01〜0.2%の範囲とした。次に,Siは,
脱酸元素として,また,母材の強度確保に有効な元素で
あるが,0.01%未満の含有では脱酸が不十分とな
り,また強度確保に不利である。逆に1%を超える過剰
の含有は粗大な酸化物を形成して延性や靱性の劣化を招
く。そこで,Siの範囲は0.01〜1%とした。ま
た,Mnは母材の強度,靱性の確保に必要な元素であ
り,最低限0.1%以上含有する必要があるが,過剰に
含有すると,硬質相の生成や粒界脆化等により母材靭性
や溶接部の靱性,さらに溶接割れ性など劣化させるた
め,材質上許容できる範囲で上限を2%とした。
ず,Cは鋼の強度を向上させる有効な成分として含有す
るもので,0.01%未満では構造用鋼に必要な強度の
確保が困難であるが,0.20%を超える過剰の含有は
母材及び溶接部の靱性や耐溶接割れ性を低下させるた
め,0.01〜0.2%の範囲とした。次に,Siは,
脱酸元素として,また,母材の強度確保に有効な元素で
あるが,0.01%未満の含有では脱酸が不十分とな
り,また強度確保に不利である。逆に1%を超える過剰
の含有は粗大な酸化物を形成して延性や靱性の劣化を招
く。そこで,Siの範囲は0.01〜1%とした。ま
た,Mnは母材の強度,靱性の確保に必要な元素であ
り,最低限0.1%以上含有する必要があるが,過剰に
含有すると,硬質相の生成や粒界脆化等により母材靭性
や溶接部の靱性,さらに溶接割れ性など劣化させるた
め,材質上許容できる範囲で上限を2%とした。
【0035】Alは脱酸,加熱オーステナイト粒径の細
粒化等に有効な元素であるが,効果を発揮するためには
0.001%以上含有する必要がある。一方,0.1%
を超えて過剰に含有すると,粗大な酸化物を形成して延
性を極端に劣化させるため,0.001%〜0.1%の
範囲に限定する必要がある。NはAlやTiと結びつい
てオーステナイト粒微細化に有効に働くため,微量であ
れば機械的特性向上に有効である。また,工業的に鋼中
のNを完全に除去することは不可能であり,必要以上に
低減することは製造工程に過大な負荷をかけるため好ま
しくない。そのため,工業的に制御が可能で,製造工程
への負荷が許容できる範囲として下限を0.001%と
する。過剰に含有すると,固溶Nが増加し,延性や靱性
に悪影響を及ぼす可能性があるため,許容できる範囲と
して上限を0.01%とする。
粒化等に有効な元素であるが,効果を発揮するためには
0.001%以上含有する必要がある。一方,0.1%
を超えて過剰に含有すると,粗大な酸化物を形成して延
性を極端に劣化させるため,0.001%〜0.1%の
範囲に限定する必要がある。NはAlやTiと結びつい
てオーステナイト粒微細化に有効に働くため,微量であ
れば機械的特性向上に有効である。また,工業的に鋼中
のNを完全に除去することは不可能であり,必要以上に
低減することは製造工程に過大な負荷をかけるため好ま
しくない。そのため,工業的に制御が可能で,製造工程
への負荷が許容できる範囲として下限を0.001%と
する。過剰に含有すると,固溶Nが増加し,延性や靱性
に悪影響を及ぼす可能性があるため,許容できる範囲と
して上限を0.01%とする。
【0036】Pは不純物元素であり,鋼の諸特性に対し
て有害であるため,極力低減する方が好ましいが,本発
明においては,実用上悪影響が許容できる量として,上
限を0.02%とする。Sも基本的には不純物元素であ
り,特に鋼の延性,靱性さらには疲労特性に悪影響が大
きいため,低減が好ましい。実用上,悪影響が許容でき
る量として,上限を0.01%に限定する。ただし,S
は微量範囲では,微細硫化物を形成して溶接熱影響部
(HAZ)靱性向上に寄与するため,HAZ靱性を考慮
する場合は,0.0005〜0.005%の範囲で添加
することは好ましい。
て有害であるため,極力低減する方が好ましいが,本発
明においては,実用上悪影響が許容できる量として,上
限を0.02%とする。Sも基本的には不純物元素であ
り,特に鋼の延性,靱性さらには疲労特性に悪影響が大
きいため,低減が好ましい。実用上,悪影響が許容でき
る量として,上限を0.01%に限定する。ただし,S
は微量範囲では,微細硫化物を形成して溶接熱影響部
(HAZ)靱性向上に寄与するため,HAZ靱性を考慮
する場合は,0.0005〜0.005%の範囲で添加
することは好ましい。
【0037】以上が本発明の鋼材の基本成分の限定理由
であるが,本発明においては,強度・靱性の調整のため
に,必要に応じて,Ni,Cu,Cr,Mo,W,T
i,V,Nb,Zr,Ta,Bの1種または2種以上を
含有することができる。
であるが,本発明においては,強度・靱性の調整のため
に,必要に応じて,Ni,Cu,Cr,Mo,W,T
i,V,Nb,Zr,Ta,Bの1種または2種以上を
含有することができる。
【0038】Niは母材の強度と靱性を同時に向上で
き,非常に有効な元素であるが,効果を発揮するために
は0.1%以上の添加が必要である。Ni量は増加する
ほど母材の強度・靱性を向上させるが,5%を超えるよ
うな過剰な添加では,効果が飽和する一方で,HAZ靱
性や溶接性の劣化を生じる懸念があり,また,高価な元
素であるため,経済性も考慮して,本発明においてはN
iの上限を5%とする。CuもNiとほぼ同様の効果を
有する元素であるが,効果を発揮するるためには0.1
%以上の添加が必要であり,1.5%超の添加では熱間
加工性やHAZ靱性に問題を生じるため,本発明におい
ては,0.1〜1.5%の範囲に限定する。
き,非常に有効な元素であるが,効果を発揮するために
は0.1%以上の添加が必要である。Ni量は増加する
ほど母材の強度・靱性を向上させるが,5%を超えるよ
うな過剰な添加では,効果が飽和する一方で,HAZ靱
性や溶接性の劣化を生じる懸念があり,また,高価な元
素であるため,経済性も考慮して,本発明においてはN
iの上限を5%とする。CuもNiとほぼ同様の効果を
有する元素であるが,効果を発揮するるためには0.1
%以上の添加が必要であり,1.5%超の添加では熱間
加工性やHAZ靱性に問題を生じるため,本発明におい
ては,0.1〜1.5%の範囲に限定する。
【0039】Crは固溶強化,析出強化により強度向上
に有効な元素であり,効果を生じるためには0.01%
以上必要であるが,Crは過剰に添加すると焼き入れ硬
さの増加,粗大析出物の形成等を通して,母材やHAZ
の靱性に悪影響をおよぼすため,許容できる範囲とし
て,上限を2%に限定する。Mo,WもCrと同様に,
固溶強化,析出強化によって強度を高めるに有効な元素
であるが,各々,効果を発揮でき,他特性に悪影響をお
よぼさない範囲として,Mo,Wともに,0.01〜2
%に限定する。
に有効な元素であり,効果を生じるためには0.01%
以上必要であるが,Crは過剰に添加すると焼き入れ硬
さの増加,粗大析出物の形成等を通して,母材やHAZ
の靱性に悪影響をおよぼすため,許容できる範囲とし
て,上限を2%に限定する。Mo,WもCrと同様に,
固溶強化,析出強化によって強度を高めるに有効な元素
であるが,各々,効果を発揮でき,他特性に悪影響をお
よぼさない範囲として,Mo,Wともに,0.01〜2
%に限定する。
【0040】Tiはオーステナイト中に安定なTiNを
形成して母材だけでなくHAZの加熱オーステナイト粒
径微細化に寄与するため,強度向上に加えて靱性向上に
も有効な元素である。ただし,その効果を発揮するため
には,0.003%以上含有させる必要がある一方,
0.1%を超えて過剰に含有させると,粗大なTiNを
形成して靱性を逆に劣化させるため,本発明において
は,0.003〜0.1%の範囲に限定する。Vは析出
強化により母材の強度向上に有効な元素であるが,効果
を発揮するためには0.005%以上必要である。添加
量が多くなるほど強化量も増加するが,それに伴って,
母材靱性,HAZ靱性が劣化し,かつ,析出物が粗大化
して強化の効果も飽和する傾向となるため,強化量に対
して靱性劣化が小さい範囲として,上限を0.5%とす
る。
形成して母材だけでなくHAZの加熱オーステナイト粒
径微細化に寄与するため,強度向上に加えて靱性向上に
も有効な元素である。ただし,その効果を発揮するため
には,0.003%以上含有させる必要がある一方,
0.1%を超えて過剰に含有させると,粗大なTiNを
形成して靱性を逆に劣化させるため,本発明において
は,0.003〜0.1%の範囲に限定する。Vは析出
強化により母材の強度向上に有効な元素であるが,効果
を発揮するためには0.005%以上必要である。添加
量が多くなるほど強化量も増加するが,それに伴って,
母材靱性,HAZ靱性が劣化し,かつ,析出物が粗大化
して強化の効果も飽和する傾向となるため,強化量に対
して靱性劣化が小さい範囲として,上限を0.5%とす
る。
【0041】Nbは析出強化および変態強化により微量
で高強度化に有効な元素であり,また,オーステナイト
の加工・再結晶挙動に大きな影響を及ぼすため,母材靱
性向上にも有効である。効果を発揮するためには,0.
003%以上は必要である。ただし,0.2%を超えて
過剰に添加すると,靱性を極端に劣化させるため,本発
明においては,0.003〜0.2%の範囲に限定す
る。Zrも主として析出強化により強度向上に有効な元
素であるが,効果を発揮するためには0.003%以上
必要である。一方,0.1%を超えて過剰に添加すると
粗大な析出物を形成して靱性に悪影響をおよぼすため,
上限を0.1%とする。TaもNbと同様の効果を有
し,適正量の添加により強度,靱性の向上に寄与する
が,0.005%未満では効果が明瞭には生ぜず,0.
2%を超える過剰な添加では粗大な析出物に起因した靱
性劣化が顕著となるため,範囲を0.005〜0.2%
とする。
で高強度化に有効な元素であり,また,オーステナイト
の加工・再結晶挙動に大きな影響を及ぼすため,母材靱
性向上にも有効である。効果を発揮するためには,0.
003%以上は必要である。ただし,0.2%を超えて
過剰に添加すると,靱性を極端に劣化させるため,本発
明においては,0.003〜0.2%の範囲に限定す
る。Zrも主として析出強化により強度向上に有効な元
素であるが,効果を発揮するためには0.003%以上
必要である。一方,0.1%を超えて過剰に添加すると
粗大な析出物を形成して靱性に悪影響をおよぼすため,
上限を0.1%とする。TaもNbと同様の効果を有
し,適正量の添加により強度,靱性の向上に寄与する
が,0.005%未満では効果が明瞭には生ぜず,0.
2%を超える過剰な添加では粗大な析出物に起因した靱
性劣化が顕著となるため,範囲を0.005〜0.2%
とする。
【0042】Bは極微量で焼入性を高める元素であり,
高強度化に有効な元素である。Bは固溶状態でオーステ
ナイト粒界に偏析することによって焼入性を高めるた
め,極微量でも有効であるが,0.0002%未満では
粒界への偏析量を十分に確保できないため,焼入性向上
効果が不十分となったり,効果にばらつきが生じたりし
やすくなるため好ましくない。一方,0.005%を超
えて添加すると,鋼片製造時や再加熱段階で粗大な析出
物を形成する場合が多いため,焼入性向上効果が不十分
となったり,鋼片の割れや析出物に起因した靱性劣化を
生じる危険性も増加する。そのため,本発明において
は,Bの範囲を0.0002〜0.005%とする。
高強度化に有効な元素である。Bは固溶状態でオーステ
ナイト粒界に偏析することによって焼入性を高めるた
め,極微量でも有効であるが,0.0002%未満では
粒界への偏析量を十分に確保できないため,焼入性向上
効果が不十分となったり,効果にばらつきが生じたりし
やすくなるため好ましくない。一方,0.005%を超
えて添加すると,鋼片製造時や再加熱段階で粗大な析出
物を形成する場合が多いため,焼入性向上効果が不十分
となったり,鋼片の割れや析出物に起因した靱性劣化を
生じる危険性も増加する。そのため,本発明において
は,Bの範囲を0.0002〜0.005%とする。
【0043】さらに,本発明においては,延性の向上,
継手靱性の向上のために,必要に応じて,Mg,Ca,
Yの1種または2種以上を含有することができる。M
g,Ca,Yはいずれも硫化物の熱間圧延中の展伸を抑
制して延性特性向上に有効である。酸化物を微細化させ
て継手靱性の向上にも有効に働きく。その効果を発揮す
るための下限の含有量は,Mgは0.0005%,Ca
は0.0005%,Yは0.005%である。一方,過
剰に含有すると,硫化物や酸化物の粗大化を生じ,延
性,靱性,さらに疲労特性の劣化を招くため,上限を各
々,Mg,Caは0.01%,Yは0.1%とする。
継手靱性の向上のために,必要に応じて,Mg,Ca,
Yの1種または2種以上を含有することができる。M
g,Ca,Yはいずれも硫化物の熱間圧延中の展伸を抑
制して延性特性向上に有効である。酸化物を微細化させ
て継手靱性の向上にも有効に働きく。その効果を発揮す
るための下限の含有量は,Mgは0.0005%,Ca
は0.0005%,Yは0.005%である。一方,過
剰に含有すると,硫化物や酸化物の粗大化を生じ,延
性,靱性,さらに疲労特性の劣化を招くため,上限を各
々,Mg,Caは0.01%,Yは0.1%とする。
【0044】
【実施例】次に,本発明の効果を実施例によってさらに
具体的に述べる。実施例に用いた供試鋼の化学組成を表
1,2に示す。各供試鋼は造塊後,分塊圧延により,あ
るいは連続鋳造により鋼片となしたものである。表1,
2の内,鋼片番号1〜10は本発明の化学組成範囲を満
足しており,鋼片番号11〜13は本発明の化学組成範
囲を満足していない。
具体的に述べる。実施例に用いた供試鋼の化学組成を表
1,2に示す。各供試鋼は造塊後,分塊圧延により,あ
るいは連続鋳造により鋼片となしたものである。表1,
2の内,鋼片番号1〜10は本発明の化学組成範囲を満
足しており,鋼片番号11〜13は本発明の化学組成範
囲を満足していない。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】表1,2の化学組成の鋼片を表3,4,5
に示す条件により板厚25mmの鋼板に製造し,室温の
引張特性,2mmVノッチシャルピー衝撃特性,脆性き
裂の伝播停止特性としてESSO特性,さらに溶接継手
の疲労特性を調査した。 なお,熱間圧延前の鋼片段階
での組織(組織分率,フェライト粒径)は,鋳造まま
か,あるいは焼きならし,焼入焼戻し処理を適宜施すこ
とによって調整した。
に示す条件により板厚25mmの鋼板に製造し,室温の
引張特性,2mmVノッチシャルピー衝撃特性,脆性き
裂の伝播停止特性としてESSO特性,さらに溶接継手
の疲労特性を調査した。 なお,熱間圧延前の鋼片段階
での組織(組織分率,フェライト粒径)は,鋳造まま
か,あるいは焼きならし,焼入焼戻し処理を適宜施すこ
とによって調整した。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】鋼片段階での組織分率の測定は,表面下1
mm〜板厚中心部まで連続撮影した光学顕微鏡組織写真
を画像解析装置にかけて行った。また,フェライト粒径
は表面下1mm,板厚の1/4,板厚中心部について切
断法により求め,平均した値を用いた。引張試験片及び
シャルピー衝撃試験片は板厚中心部から圧延方向に直角
(C方向)に採取した。 シャルピー衝撃特性は50%
破面遷移温度(vTrs)で評価した。脆性き裂の伝播
停止特性は全厚の温度勾配型ESSO試験で測定し,K
ca値が400kgf・mm-3/2なる温度(TKca400)
で評価した。
mm〜板厚中心部まで連続撮影した光学顕微鏡組織写真
を画像解析装置にかけて行った。また,フェライト粒径
は表面下1mm,板厚の1/4,板厚中心部について切
断法により求め,平均した値を用いた。引張試験片及び
シャルピー衝撃試験片は板厚中心部から圧延方向に直角
(C方向)に採取した。 シャルピー衝撃特性は50%
破面遷移温度(vTrs)で評価した。脆性き裂の伝播
停止特性は全厚の温度勾配型ESSO試験で測定し,K
ca値が400kgf・mm-3/2なる温度(TKca400)
で評価した。
【0052】疲労試験は,構造物の溶接止端部から疲労
き裂が発生し,母材部を伝播する場合の疲労特性を評価
するために,図1に示す廻し溶接継手について行った。
試験片は,鋼板から鋼板長手方向長さ:300mm,幅
方向長さ:80mm,板厚:25mm(全厚),のサイ
ズで試験板を採取し,幅:10mm,長さ:30mm,
高さ:30mmのリブ板を炭酸ガス溶接(CO2 溶接)
により,試験板の中央に廻し溶接で溶接した。この際の
炭酸ガス溶接は,化学組成が,C:0.06mass
%,Si:0.5mass%,Mn:1.4mass
%,である1.4mm径の溶接ワイヤを用いて,電流:
270A,電圧:30V,溶接速度:20cm/min
で行った。疲労試験は,荷重支点のスパンを,下スパ
ン:70mm,上スパン:220mmとして,最大荷重
(Pmax):5500kgfで応力比(R):0.1
の繰り返し応力負荷を加え,疲労寿命を測定した。各鋼
板の機械的性質を表6に示す。
き裂が発生し,母材部を伝播する場合の疲労特性を評価
するために,図1に示す廻し溶接継手について行った。
試験片は,鋼板から鋼板長手方向長さ:300mm,幅
方向長さ:80mm,板厚:25mm(全厚),のサイ
ズで試験板を採取し,幅:10mm,長さ:30mm,
高さ:30mmのリブ板を炭酸ガス溶接(CO2 溶接)
により,試験板の中央に廻し溶接で溶接した。この際の
炭酸ガス溶接は,化学組成が,C:0.06mass
%,Si:0.5mass%,Mn:1.4mass
%,である1.4mm径の溶接ワイヤを用いて,電流:
270A,電圧:30V,溶接速度:20cm/min
で行った。疲労試験は,荷重支点のスパンを,下スパ
ン:70mm,上スパン:220mmとして,最大荷重
(Pmax):5500kgfで応力比(R):0.1
の繰り返し応力負荷を加え,疲労寿命を測定した。各鋼
板の機械的性質を表6に示す。
【0053】
【表6】
【0054】表3,4,5,6のうちの鋼板番号A1〜
A14は,本発明の化学組成を有する鋼片番号1〜10
を用いて,本発明の製造方法により製造して,本発明の
要件を全て満足させた鋼板であり,いずれも良好な継手
疲労特性と強度,靭性(2mmVノッチシャルピー衝撃
特性),さらに脆性き裂伝播停止特性(ESSO試験特
性)とが同時に達成されていることが明らかである。
A14は,本発明の化学組成を有する鋼片番号1〜10
を用いて,本発明の製造方法により製造して,本発明の
要件を全て満足させた鋼板であり,いずれも良好な継手
疲労特性と強度,靭性(2mmVノッチシャルピー衝撃
特性),さらに脆性き裂伝播停止特性(ESSO試験特
性)とが同時に達成されていることが明らかである。
【0055】一方,鋼板番号B1〜B10は,本発明の
いずれかの要件を満足していない方法により製造された
比較の鋼板であり,本発明によ製造された鋼板に比べ
て,靱性,脆性き裂伝播停止特性,継手疲労特性の一部
あるいは全てが劣っていることが明白である。鋼板番号
B1〜B3は,化学組成が本発明を満足していないため
に,本発明の方法で製造しても良好な特性を達成できな
かった例である。
いずれかの要件を満足していない方法により製造された
比較の鋼板であり,本発明によ製造された鋼板に比べ
て,靱性,脆性き裂伝播停止特性,継手疲労特性の一部
あるいは全てが劣っていることが明白である。鋼板番号
B1〜B3は,化学組成が本発明を満足していないため
に,本発明の方法で製造しても良好な特性を達成できな
かった例である。
【0056】すなわち,鋼板番号B1は,C量が過剰な
ために,超細粒化は達成されているものの,靱性(vT
rs),脆性き裂伝播停止特性,継手疲労特性のいずれ
もが,本発明に比べて大幅に劣っている。鋼板番号B2
は,Mn量が過剰なために,超細粒化は達成されている
ものの,脆性き裂伝播停止特性が大きく劣化している。
靱性,継手疲労特性も,本発明に比べて明確に劣ってい
る。鋼板番号B3は,不純物としてのP量が過剰に含有
されているために,超細粒化は達成されているものの,
靱性,脆性き裂伝播停止特性,継手疲労特性のいずれも
が,本発明に比べて大幅に劣っている。
ために,超細粒化は達成されているものの,靱性(vT
rs),脆性き裂伝播停止特性,継手疲労特性のいずれ
もが,本発明に比べて大幅に劣っている。鋼板番号B2
は,Mn量が過剰なために,超細粒化は達成されている
ものの,脆性き裂伝播停止特性が大きく劣化している。
靱性,継手疲労特性も,本発明に比べて明確に劣ってい
る。鋼板番号B3は,不純物としてのP量が過剰に含有
されているために,超細粒化は達成されているものの,
靱性,脆性き裂伝播停止特性,継手疲労特性のいずれも
が,本発明に比べて大幅に劣っている。
【0057】鋼板番号B4〜B10は,化学組成は本発
明を満足しているものの,表3,4,5に関わる製造方
法の一部が本発明を満足していないために良好な特性を
達成できなかった例である。すなわち,鋼板番号B4
は,昇温圧延前の鋼片段階での組織要件が本発明を満足
していない,すなわち,フェライトが20%以上存在す
る組織において,該フェライトの粒径が20μm超と粗
大になっているため,超細粒化が十分でなく靱性,脆性
き裂伝播停止特性,継手疲労特性のいずれもが,本発明
に比べて大幅に劣っている。鋼板番号B5は,圧延温度
が過大で,開始温度がAc3変態点を超えてしまっている
ため,オーステナイトの熱間圧延となってしまってお
り,本発明のフェライトの加工・再結晶を利用した場合
に比べて,最終のフェライト粒径が顕著に粗大となって
いる。そのため,靱性,脆性き裂伝播停止特性,継手疲
労特性のいずれもが,本発明に比べて大幅に劣ってい
る。
明を満足しているものの,表3,4,5に関わる製造方
法の一部が本発明を満足していないために良好な特性を
達成できなかった例である。すなわち,鋼板番号B4
は,昇温圧延前の鋼片段階での組織要件が本発明を満足
していない,すなわち,フェライトが20%以上存在す
る組織において,該フェライトの粒径が20μm超と粗
大になっているため,超細粒化が十分でなく靱性,脆性
き裂伝播停止特性,継手疲労特性のいずれもが,本発明
に比べて大幅に劣っている。鋼板番号B5は,圧延温度
が過大で,開始温度がAc3変態点を超えてしまっている
ため,オーステナイトの熱間圧延となってしまってお
り,本発明のフェライトの加工・再結晶を利用した場合
に比べて,最終のフェライト粒径が顕著に粗大となって
いる。そのため,靱性,脆性き裂伝播停止特性,継手疲
労特性のいずれもが,本発明に比べて大幅に劣ってい
る。
【0058】鋼板番号B6は,圧延温度が低すぎて,フ
ェライト単相域での加工に終始しており,本発明を特徴
づけている,二相域加工による超細粒化の発現効果を活
用できておらず,最終フェライト粒径は微細になってい
ない。従って,靱性,脆性き裂伝播停止特性が著しく劣
る。鋼板番号B7は,圧延に至るまでの昇温速度が過少
であるため,オーステナイトが昇温中に平衡状態に近い
状態で生成するため,圧延中での微細・高密度な生成が
生ぜず,その結果,超細粒化が十分でなく,靱性,脆性
き裂伝播停止特性,継手疲労特性のいずれもが本発明に
比べて劣っている。
ェライト単相域での加工に終始しており,本発明を特徴
づけている,二相域加工による超細粒化の発現効果を活
用できておらず,最終フェライト粒径は微細になってい
ない。従って,靱性,脆性き裂伝播停止特性が著しく劣
る。鋼板番号B7は,圧延に至るまでの昇温速度が過少
であるため,オーステナイトが昇温中に平衡状態に近い
状態で生成するため,圧延中での微細・高密度な生成が
生ぜず,その結果,超細粒化が十分でなく,靱性,脆性
き裂伝播停止特性,継手疲労特性のいずれもが本発明に
比べて劣っている。
【0059】鋼板番号B8は,圧延における累積圧下率
が不足しているため,再結晶が十分生じておらず,その
結果,平均粒径が粗大であり,特に,靱性,脆性き裂伝
播停止特性の低下が大きい。鋼板番号B9は,圧延中に
鋼板の温度が高くなりすぎた例であり,超細粒化が十分
でないため,靱性,脆性き裂伝播停止特性,継手疲労特
性のいずれもが本発明に比べて劣っている。鋼板番号B
10は,圧延中に鋼板の温度が低くなりすぎた例であ
り,再結晶の神鋼が不十分なために,フェライト粒径が
若干粗大となっており,特に,靱性,脆性き裂伝播停止
特性が本発明に比べて大きく劣っている。
が不足しているため,再結晶が十分生じておらず,その
結果,平均粒径が粗大であり,特に,靱性,脆性き裂伝
播停止特性の低下が大きい。鋼板番号B9は,圧延中に
鋼板の温度が高くなりすぎた例であり,超細粒化が十分
でないため,靱性,脆性き裂伝播停止特性,継手疲労特
性のいずれもが本発明に比べて劣っている。鋼板番号B
10は,圧延中に鋼板の温度が低くなりすぎた例であ
り,再結晶の神鋼が不十分なために,フェライト粒径が
若干粗大となっており,特に,靱性,脆性き裂伝播停止
特性が本発明に比べて大きく劣っている。
【0060】以上の実施例から,本発明によれば,極め
て優れた低温靭性,脆性き裂伝播停止特性とを有しなが
ら,優れた継手疲労特性を得ることが可能であることが
明白である。
て優れた低温靭性,脆性き裂伝播停止特性とを有しなが
ら,優れた継手疲労特性を得ることが可能であることが
明白である。
【0061】
【発明の効果】本発明は,引張強さが約490MPa級
以上の高張力鋼材において,極めて良好な靱性,脆性き
裂伝播停止特性,継手疲労特性を同時に付与するために
有効な手段であり,安全性が重要視される,海洋構造
物,圧力容器,造船,橋梁,建築物,ラインパイプなど
の溶接鋼構造物用鋼材を大幅なコスト上昇を招かずに製
造することを可能にする点で,産業上の有用性は極めて
大きい。
以上の高張力鋼材において,極めて良好な靱性,脆性き
裂伝播停止特性,継手疲労特性を同時に付与するために
有効な手段であり,安全性が重要視される,海洋構造
物,圧力容器,造船,橋梁,建築物,ラインパイプなど
の溶接鋼構造物用鋼材を大幅なコスト上昇を招かずに製
造することを可能にする点で,産業上の有用性は極めて
大きい。
【図1】実施例における溶接継手疲労特性評価のため
の,廻し溶接4点曲げ試験方法の概念図である。
の,廻し溶接4点曲げ試験方法の概念図である。
フロントページの続き (72)発明者 白幡 浩幸 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製 鐵株式会社大分製鐵所内 Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA05 AA11 AA12 AA14 AA15 AA16 AA19 AA20 AA21 AA22 AA23 AA24 AA27 AA29 AA31 AA35 AA36 AA39 BA01 BA02 CA01 CD02 CD03
Claims (6)
- 【請求項1】 質量%で,C:0.01〜0.2% Si:0.01〜1% Mn:0.1〜2% Al:0.001〜0.1% N:0.001〜0.01%を含有し,不純物として,
P:0.02%以下,S:0.01%以下を含有し,残
部が鉄および不可避不純物からなり,以下の〜のい
ずれかの組織を有する鋼を,300℃以上を0.1〜5
0℃/sの昇温速度で加熱し, Ac1変態点〜(Ac3変態
点−100℃)の昇温途上で圧延を開始し,累積圧下率
が50〜90%の圧延を行うに際して,圧延中の鋼の温
度が(Ac1変態点−50℃)〜(Ac3変態点−50℃)
の範囲内であることを特徴とする靭性と疲労強度とに優
れた高張力鋼の製造方法。 マルテンサイト単相組織,あるいはベイナイト単相組
織,あるいは両者の混合組織。 フェライトの割合が20%未満であり,且つ,フェラ
イトとマルテンサイト,あるいはフェライトとベイナイ
ト,あるいはフェライト,マルテンサイト,ベイナイト
3者の混合組織。 フェライトの割合が20%以上で,その平均粒径が2
0μm以下であり,且つ,フェライト単相組織,あるい
はフェライトとマルテンサイト,ベイナイト,パーライ
トの内,1種または2種以上からなる混合組織。 - 【請求項2】 質量%で,C:0.01〜0.2% Si:0.01〜1% Mn:0.1〜2% Al:0.001〜0.1% N:0.001〜0.01%を含有し,不純物として,
P:0.02%以下,S:0.01%以下を含有し,残
部が鉄および不可避不純物からなり,以下の〜のい
ずれかの組織を有する鋼を,300℃以上を0.1〜5
0℃/sの昇温速度で加熱し,Ac1変態点〜(Ac3変態
点−100℃)の温度で1〜600s保持後,圧延を開
始し,累積圧下率が50〜90%の圧延を行うに際し
て,圧延中の鋼の温度が(Ac1変態点−50℃)〜(A
c3変態点−50℃)の範囲内であることを特徴とする靭
性と疲労強度とに優れた高張力鋼の製造方法。 マルテンサイト単相組織,あるいはベイナイト単相組
織,あるいは両者の混合組織。 フェライトの割合が20%未満であり,且つ,フェラ
イトとマルテンサイト,あるいはフェライトとベイナイ
ト,あるいはフェライト,マルテンサイト,ベイナイト
3者の混合組織。 フェライトの割合が20%以上で,その平均粒径が2
0μm以下であり,且つ,フェライト単相組織,あるい
はフェライトとマルテンサイト,ベイナイト,パーライ
トの内,1種または2種以上からなる混合組織 - 【請求項3】 圧延終了後,2〜100℃/sの冷却速
度で20℃〜650℃まで加速冷却することを特徴とす
る請求項1または2のいずれかに記載の靱性と疲労強度
とに優れた高張力鋼の製造方法。 - 【請求項4】 圧延後さらに,加熱温度が300℃以
上,Ac1変態点以下の焼戻しを施すことを特徴とする請
求項1〜3のいずれかに記載の靭性と疲労強度とに優れ
た高張力鋼の製造方法。 - 【請求項5】 さらに,質量%で,Ni:0.1〜5% Cu:0.1〜1.5% Cr:0.01〜2% Mo:0.01〜2% W:0.01〜2% Ti:0.003〜0.1% V:0.005〜0.5% Nb:0.003〜0.2% Zr:0.003〜0.1% Ta:0.005〜0.2% B:0.0002〜0.005% の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
項1〜4のいずれかに記載の靭性と疲労強度とに優れた
高張力鋼の製造方法。 - 【請求項6】 さらに,質量%で,Mg:0.0005
〜0.01% Ca:0.0005〜0.01% Y:0.005〜0.1% のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする
請求項1〜5のいずれかに記載の靭性と疲労強度とに優
れた高張力鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001175091A JP2002363644A (ja) | 2001-06-11 | 2001-06-11 | 靭性と疲労強度とに優れた高張力鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001175091A JP2002363644A (ja) | 2001-06-11 | 2001-06-11 | 靭性と疲労強度とに優れた高張力鋼の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2002363644A true JP2002363644A (ja) | 2002-12-18 |
Family
ID=19016284
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001175091A Withdrawn JP2002363644A (ja) | 2001-06-11 | 2001-06-11 | 靭性と疲労強度とに優れた高張力鋼の製造方法 |
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| Country | Link |
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| JP (1) | JP2002363644A (ja) |
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-
2001
- 2001-06-11 JP JP2001175091A patent/JP2002363644A/ja not_active Withdrawn
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