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JP2002226935A - トリウムタングステン合金、トリウムタングステン線、その製造方法、トリウムタングステン線コイル、ならびに電子管用陰極構体 - Google Patents

トリウムタングステン合金、トリウムタングステン線、その製造方法、トリウムタングステン線コイル、ならびに電子管用陰極構体

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JP2002226935A
JP2002226935A JP2001026521A JP2001026521A JP2002226935A JP 2002226935 A JP2002226935 A JP 2002226935A JP 2001026521 A JP2001026521 A JP 2001026521A JP 2001026521 A JP2001026521 A JP 2001026521A JP 2002226935 A JP2002226935 A JP 2002226935A
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thorium
tungsten
wire
compound
powder
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JP2001026521A
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Yasuhiko Nakano
野 康 彦 中
Hideaki Baba
場 英 昭 馬
Hitoshi Aoyama
山 斉 青
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平均粒径が0.3μm以下の粒子状で分散し
てなるトリウムタングステン(Th−W)合金、Th−
W線、その製造法、及び耐変形性が改善されたコイル、
並びに電子管用陰極構体の提供。 【解決手段】 Wマトリクス中にTh及び/又はTh化
合物が粒子状で分散してなるTh−W合金であって、前
記Th及び/又は化合物の含有量が0.5重量%以上で
ありかつこのTh及び/又はTh化合物粒子の平均粒径
が0.3μm以下である、Th−W合金、上記Th−W
合金よりなる、Th−W線、金属W粉末とTh及び/又
はTh化合物溶液を混合し、前記混合物を還元性雰囲気
中で加熱還元して、W粉末中にトリウム及び/又はTh
化合物粒子を分散させた粉末を製造し、前記粉末を成
形、焼結して焼結体を製造した後、前記焼結体に対し圧
延、伸線加工を施すことからなる、Th−W線の製造
法、上記のTh−W線よりなるコイル、及び一対の支持
部材間に加熱線条が支持されてなる電子管用陰極構体で
あって、前記加熱線条が上記Th−W線よりなる、電子
管用陰極構体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トリウムタングス
テン合金、トリウムタングステン線、その製造方法、ト
リウムタングステン線コイル、ならびに電子管用陰極構
体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりタングステンおよびタングステ
ン合金は、その優れた耐熱性および機械的強度から各種
の用途において使用されている。特にトリウムを添加し
たトリウムタングステン合金(トリエーテッドタングス
テン)は、電子管用陰極構体や電子管等の各種フィラメ
ントやコイル材料などとして広く利用されている(例え
ば、特開昭61−12615号公報)。このようなトリ
ウムタングステン合金において、トリウムはタングステ
ンからなるマトリクス中にトリウム単体あるいは酸化ト
リウム(ThO)等のトリウム化合物の状態で粒子状
で分散している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のこのようなトリ
ウムタングステン合金はそれなりに有用なものではあ
る。しかし、用途によっては未だ機械的強度が充分でな
い場合があって、必ずしも満足できるものとは言えなか
った。特にトリウムタングステン合金をコイル状に加工
したものにあっては、使用時の振動等による変形が大き
く特性劣化が比較的早い段階から生じてしまうので実用
上問題となる場合があった。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、耐変形性特性に優れたトリウムタングステン合金、
トリウムタングステン合金線、およびその製造方法、さ
らには前記トリウムタングステン線よりなるトリウムタ
ングステン線コイルおよび前記トリウムタングステン線
を加熱線条に用いた電子管陰極構体を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のト
リウムタングステン合金に見られた変形はトリウム粒子
のタングステンマトリクス中での分散状態に起因するこ
とを見出し、タングステンマトリクスにおけるトリウム
粒子の分散状態を適正化することによって、上記の問題
点が解決されることを見出した。
【0006】そして、本発明者らは、所定のタングステ
ン原料を使用することおよび製造条件を特定化すること
によって、トリウム粒子の分散状態を適正化されたトリ
ウムタングステン合金、トリウムタングステン線および
トリウムタングステン線コイル、ならびに特性劣化が抑
制された電子管用陰極構体が得られることを見出した。
従って、本発明によるタングステン合金は、タングス
テンからなるマトリクス中にトリウムおよび/またはト
リウム化合物が粒子状で分散してなるトリウムタングス
テン合金であって、前記トリウムおよび/またはトリウ
ム化合物の含有量が0.5重量%以上でありかつこのト
リウムまたはトリウム化合物の粒子の平均粒径が0.3
μm以下であること、を特徴とするものである。
【0007】そして、本発明によるトリウムタングステ
ン線は、上記のトリウムタングステン合金よりなるこ
と、を特徴とするものである。
【0008】そして、本発明によるトリウムタングステ
ン線の製造方法は、金属タングステン粉末とトリウムお
よび/またはトリウム化合物溶液を混合し、前記混合物
を還元性雰囲気中で加熱還元して、タングステン粉末中
にトリウムおよび/またはトリウム化合物粒子を分散さ
せた粉末を製造し、前記粉末を成形、焼結して焼結体を
製造した後、前記焼結体に対し圧延、伸線加工を施すこ
と、を特徴とするものである。そして、本発明によるト
リウムタングステン線コイルは、上記のトリウムタング
ステン線よりなること、を特徴とするものである。
【0009】そして、本発明による電子管用陰極構体
は、一対の支持部材間に加熱線条が支持されてなる電子
管用陰極構体であって、前記加熱線条が上記のトリウム
タングステン線よりなること、を特徴とするものであ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明によるトリウムタングステン合金は、タングステ
ンからなるマトリクス中にトリウムおよび/またはトリ
ウム化合物が粒子状で分散してなるトリウムタングステ
ン合金であって、前記トリウムおよび/またはトリウム
化合物の含有量が0.5重量%以上でありかつこのトリ
ウムおよび/またはトリウム化合物の粒子の平均粒径が
0.3μm以下であるものである。この本発明によるト
リウムタングステン合金は、そこに存在しているトリウ
ムまたはトリウム化合物の量、ならびにトリウム及び/
又はトリウム化合物が粒子状で分散してなるという要件
から明らかになるように連続マトリクスである。
【0011】尚、本発明によるトリウムタングステン合
金は、タングステンのみからなるマトリクス中にトリウ
ムまたはトリウム化合物のみが粒子状で分散してなるト
リウムタングステン合金のみに限定されるものではな
く、例えば、(イ)そのマトリックスとしてタングステ
ンと他の合金化元素からなるタングステン合金、および
(ロ)トリウムおよび/またはトリウム化合物以外の他
の成分が分散粒子として共存しているのもの、を排除し
ない。上記(イ)における「合金化元素」としては、コ
バルト(Co)あるいはカリウム(K)等を含有するこ
とが可能であり、さらに原料および製造過程に不可避的
に存在することになる不可避的成分(具体的にはアルミ
ニウム(Al)、シリコン(Si)等)を例示すること
ができる。このような不可避的成分の含有量は、本発明
によるトリウムタングステン合金に対し、総量で0.1
重量%以下程度であることが好ましい。また、上記
(ロ)における「トリウムおよび/またはトリウム化合
物以外の他の成分」の典型例としては、従来からタング
ステン合金においてドープ剤として用いられてきた金属
酸化物(例えば、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、
酸化ランタン、酸化セリウムおよび酸化スカンジニウム
等)を例示することができる。尚、本発明ではトリウム
および/またはトリウム化合物を使用すればよく、他の
ドープ剤の併用は必須でないことは言うまでもない。
【0012】本発明によるトリウムタングステン合金で
使用されるトリウムおよび/またはトリウム化合物と
は、トリウム(Th)、酸化トリウム(ThO)およ
び硝酸トリウム(Th(NO)を例示することが
できる。これらは2種以上混合して使用することもでき
る。本発明では、トリウム(Th)および酸化トリウム
(ThO)が特に好ましい。
【0013】本発明によるトリウムタングステン合金に
おける、トリウムおよびトリウム化合物の含有量は、こ
れを配合するタングステンに対し0.5重量%以上であ
る。含有量が0.5重量%未満であると、強度向上効果
が得られず、本発明の変形改善効果が実質的に見られな
い。本発明の目的である耐変形特性改善の観点からはト
リウムおよびトリウム化合物の上限を定める理由は特に
ないが、トリウムおよび/またはトリウム化合物の含有
量が過度に多いとトリウムタングステン合金の加工性が
悪くなる傾向が見られ、トリウムタングステン線等に加
工にする際に破断等を生じやすくなる。よって、本発明
におけるトリウムおよび/またはトリウム化合物の含有
量は、通常、0.5重量%以上、2.2重量%以下であ
り、好ましくは0.5〜2重量%、である。
【0014】前記の通り、本発明によるタングステン合
金は、タングステンからなるマトリクス中にトリウムま
たはトリウム化合物が粒子状で分散してなるものであっ
て、前記トリウムまたはトリウム化合物の粒子の平均粒
径が0.3μm以下であるものである。
【0015】このような本発明によるトリウムタングス
テン合金を使用すれば、耐変形特性の向上が達成されて
耐変形性改善されたタングステン線を得ることができ
る。これは、トリウムおよび/またはトリウム化合物が
このような微小な粒子で分散していることによってトリ
ウムおよび/またはトリウム化合物の適正分散が得られ
たことによるものと考えられる。
【0016】トリウムおよび/またはトリウム化合物か
らなる分散粒子が平均粒径0.3μmを超える場合、ト
リウムおよび/またはトリウム化合物の絶対量(即ち、
配合量)が同じであるならば、分散粒子の点数(即ち、
分散粒子数)は少なくなることになる。従って、そのよ
うな場合、トリウムおよび/またはトリウム化合物の適
正分散が得られず、本発明の主目的である耐変形特性の
向上が図れない。
【0017】本発明は、上記トリウムタングステン合金
を線材として使用することにより耐変形性特性に優れた
トリウムタングステン線を製造することができる。
【0018】このトリウムタングステン線においても、
本発明のトリウムタングステン合金合金で規定するトリ
ウムおよび/またはトリウム化合物の含有量、さらにそ
れらの粒子の平均粒径は適用されるものである。
【0019】本発明においては、特に線経の細いトリウ
ムタングステン線に適用することが好ましく、具体的に
は1mm以下の線材に適用されることで、耐変形特性の
改善効果を顕著に得ることが可能になる。上記のトリウ
ムタングステン合金よりなるトリウムタングステン線
は、例えば下記のような方法によって製造することがで
きる。
【0020】金属タングステン粉末とトリウムおよび/
またはトリウム化合物溶液を混合し、前記混合物を還元
性雰囲気中で加熱還元して、タングステン粉末中にトリ
ウムおよび/またはトリウム化合物粒子を分散させた粉
末を製造し、前記粉末を成形、焼結して焼結体を製造し
た後、前記焼結体に対し圧延、伸線加工を施すことを特
徴とする、トリウムタングステン線の製造方法。本発明
は、このようなトリウムタングステン線の製造方法に関
するものでもある。
【0021】本発明によるトリウムタングステン線の製
造方法においては、金属タングステン粉末(およびこれ
とトリウム及び/又はトリウム化合物とからなる)混合
物を、還元性雰囲気中で加熱還元することが特に重要で
ある。
【0022】従来法のように、タングステン酸化物(W
)とトリウムおよび/またはトリウム化合物の粉末
とからなる混合物を、還元条件に付してタングステンの
還元を行う場合(あるいはタングステンとトリウム、ト
リウム化合物の両者の還元を行う場合)には、この還元
に際してトリウムおよび/またはトリウム化合物粒子の
成長が避けられず、その結果、トリウムおよび/または
トリウム化合物の粒子の平均粒径が0.3μm以下であ
るトリウムタングステン合金(即ち、本発明によるトリ
ウムタングステン合金)を得ることは出来ない。
【0023】金属タングステン粉末を使用する本発明で
は、従来法のようなタングステン酸化物(WO)の還
元を何等考慮することなくトリウムおよび/またはトリ
ウム化合物の還元に最も適した還元条件を設定すること
ができるので、そしてこのトリウムおよび/またはトリ
ウム化合物の還元に最も適した還元条件は従来法におけ
る通常の還元条件よりも温和な還元条件であることか
ら、本発明では粒径増大が抑制されたトリウムおよびト
リウム化合物粒子の適正分散が実現されて、その結果と
して上記目的が達成される。
【0024】本発明において使用される金属タングステ
ン粉末としては、平均粒径が1〜5μmのものが好まし
く、平均粒径が1.5〜3.5μmのものが特に好まし
い。
【0025】なお、本発明における金属タングステン粉
末は、トリウムおよび/またはトリウム化合物と混合
し、この混合物を焼成に付す段階において、金属タング
ステン粉末、特に好ましくは上記粒径範囲内のもの、に
なっていることが好ましい。よって、使用するタングス
テン粉末が金属タングステンでない場合あるいは上記好
ましい粒径のものでない場合には、混合ないし焼成に先
立って、上記の好ましい粒径の金属タングステン粉末を
生成させるための処理に付しておくことができる。
【0026】また、本発明において使用されるトリウム
および/またはトリウム化合物は、本発明の目的・効果
が達成されるならば固体状(例えば粉末ないし粒状の形
態)で前記の金属タングステン粉末と配合することも可
能であるが、溶液状で前記金属タングステン粉末と配合
するのが一般的でありかつ好ましい。その場合の溶液と
しては硝酸溶液が特に好ましい。
【0027】本発明によるトリウムタングステン線の製
造方法における還元は、水素ガス、一酸化炭素等の還元
性雰囲気中で加熱して行われる。ここで、この還元の際
の加熱温度は、400〜950℃、好ましくは400〜
800℃、である。また、加熱時間は、2〜6時間、好
ましくは3〜5時間、である。加熱温度が上記範囲外で
ある場合には還元を充分に行うことが難しくなる。還元
性雰囲気としては、水素雰囲気が特に好ましい。
【0028】金属タングステン粉末とトリウムからなる
混合物は、上記の加熱還元処理の後、定法に従って、タ
ングステン粉末中にトリウムおよび/またはトリウム化
合物粒子を分散させた粉末を製造し、前記粉末を成形、
焼結して焼結体を製造した後、前記焼結体に対し圧延、
伸線加工を施すことによって、トリウムタングステン線
とすることができる。ここで、圧延は、一回の加工で5
〜20%の減面率になるように設定するのが好ましい。
減面率がこれより小さいと材料表面部と中心部との加工
歪みが大きくなることでクラック発生要因となる場合が
あり、一方、減面率が20%を越えると、加工時の割れ
発生の要因となることがあって、好ましくない。圧延加
工時の加熱温度が500℃より低いと加工時の割れ発生
の要因となり、1600℃より越えると材料の酸化によ
る損失量が著しく、そして加工ダイスの摩耗が早くなる
ので、好ましくない。
【0029】圧延加工の途中段階において、必要に応じ
て熱処理を実施してトリウムタングステンを再結晶させ
ることができる。この熱処理の処理温度は2000〜2
300℃が好ましい。2000℃未満ではトリウムタン
グステンが再結晶せず、2300℃超過では材料が脆く
なるので好ましくない。伸線加工は、一回の加工で5〜
35%の減面率になるように設定するのが好ましい。減
面率がこれより小さいと材料表面部と中心部との加工歪
みが大きくなることでクラック発生要因となる場合があ
り、一方、減面率が35%を越えると、伸線加工時に線
径時が細くなり、極端な場合は断線が発生することがあ
る。伸線加工時の温度は、550〜1300℃が好まし
い。550℃未満では加工時にクラック発生しやすくな
り、1300℃超過では加工時の線径が細くなりダイス
の摩耗が激しくなる。
【0030】このようにして、タングステンマトリクス
中にトリウムおよび/またはトリウム化合物が平均粒径
0.3μm以下の粒子状で分散してなるトリウムタング
ステン合金からなるトリウムタングステン線を得ること
ができる。
【0031】このようなトリウムタングステン線からな
るコイルは、後記の実施例に記載されているように、耐
変形性が改善されたものである。
【0032】そして、このようなトリウムタングステン
線コイルは、図1に示されるような、一対の支持部材2
間に加熱線条1が支持されてなる電子管用陰極構体(例
えば、電子レンジ用のマグネトロンの陰極後構体)にお
ける加熱線条1として、特に有用なものである。本発明
は、また、一対の支持部材2間に加熱線条1が支持され
てなる電子管用陰極構体であって、加熱線条1が上記ト
リウムタングステン線よりなる電子管用陰極構体に関す
るものでもある。
【0033】
【実施例】<実施例1〜15>金属タングステン粉末
(平均粒径3μm)に硝酸トリウム溶液を添加して、両
者をよく混合した。硝酸トリウム溶液の添加量は、目的
とするトリウム量により算出した。表1に示されるよう
なトリウム量が異なるトリウムタングステン合金が得ら
れるように複数の混合物(試料No.11〜13、No.1
8〜20、No.25〜27、No.32〜34、No.39
〜41)を調製した。
【0034】上記の各混合物を大気雰囲気中で400〜
900℃で加熱して、硝酸トリウムを酸化トリウムとし
た。更に、この粉末を水素雰囲気中で、表1に示される
温度範囲で還元した。この粉末を13mm×13mm×
600mmの角形金型により成形した後、通電により2
600℃に加熱して焼結させた。
【0035】得られた焼結体を、1回の加工で10%の
減面率になるように設定し、焼結体からの総加工率が7
5%となるまで圧延加工した。この圧延加工時の温度は
1300℃であった。この加工の途中で2300℃の熱
処理を2回実施した。
【0036】次いで、1回の加工で15〜20%の減面
率になるように設定し、線径が1mmになるまで伸線加
工した。加工の進行につれて、加熱温度を1300℃か
ら500℃まで徐々に低下させた。
【0037】得られたトリウムタングステン線0.5m
mから内径3mm、長さ10mmのコイルを製造した。
同様にして、同一の試料から合計100個のコイルを製
造した。
【0038】製造したコイルを水平にし両端を把持し、
5Vの電圧(これは定格の140%に相当する)をかけ
た状態で、振幅5mm、5Gの振動を12時間を与え
た。振動を与え終わった100個のコイルの変形を調べ
た。コイル変形は、コイルを水平にした時のたわみ量を
計り、100個のコイルのうちたわみ量が1mm以上で
あるコイルがいくつあるかによって評価した。
【0039】結果は、表1に示されるとおりである。表
1には、トリウムタングステン合金のトリウム量および
合金中のトリウム粒子の粒子径も示されている。ここ
で、タングステン合金のトリウム量は、JIS H14
05に定める塩素水素ガス揮散重量法によって分析した
ときのものであり、合金中のトリウム粒子の粒子径は、
トリウムタングステン線を2mm間隔で3ケ所切断し、
その切断面を研磨後、研磨面の幅0.4mm、長さ0.
4mmの視野を200倍で観察し、露出したトリウム粒
子の大きさを面積基準で算出したときの平均値である。
【0040】<比較例1〜34>金属タングステン粉末
の代わりにタングステン酸化物を用い、実施例と同様に
して、表1に示されるトリウム量のタングステン混合物
(試料No.1〜10、No.14〜17、No.21〜2
4、No.28〜31、No.35〜38、No.42〜4
9)の調製し、表1に示される通りの温度で変水素雰囲
気中で還元し、成形し、焼結した。そして、実施例と同
様に圧延加工および伸線加工をしてコイルを製造した。
製造したコイルについて、同様にコイル変形を評価し
た。結果は、表1に示されるとおりである。
【0041】
【表1】
【表2】 表1に示されるように、金属タングステンとトリウムと
からなる混合物を400〜800℃の温度で還元処理さ
れて得られる合金は、トリウムが平均粒径0.3μm以
下の粒子状で分散してなるものであり、そしてこのよう
なトリウムタングステン合金から得られたトリウムタン
グステン線は耐変形性が改善されたものである。
【0042】上記本発明に係る実施例のトリウムタング
ステン線を、常法によりコイル形状に加工し、図1に示
す電子管用陰極構体の加熱線条として用いたところ、従
来に比し、特性の劣化が抑制された。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、タングステンからなる
マトリクス中にトリウムおよび/またはトリウム化合物
が平均粒径0.3μm以下の粒子状で分散してなるトリ
ウムタングステン合金が得られる。
【0044】このトリウムタングステン合金は、線材の
形成の特に適したものであり、そしてこのようなトリウ
ムタングステン線から製造されたコイルは耐変形性が改
善されたものである。
【0045】そして、このトリウムタングステン線コイ
ルを加熱線条として適用してなる本発明による電子管用
陰極構体は、優れた耐久性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による電子管用陰極構体の断
面図である。
【符号の説明】
1 加熱線条 2 支持部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 23/04 H01J 23/04 // C22B 5/12 C22B 5/12 34/36 34/36 60/02 60/02 (72)発明者 青 山 斉 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 4K001 AA29 AA32 BA05 DA10 4K018 AA20 AB01 AD20 BA09 BB02 BB04 BC01 BC09 BD10 DA14 DA21 DA23 EA02 EA22 4K020 AA22 AC07 BB32 BC01 5C029 CC01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タングステンからなるマトリクス中にトリ
    ウムおよび/またはトリウム化合物が粒子状で分散して
    なるトリウムタングステン合金であって、前記トリウム
    および/またはトリウム化合物の含有量が0.5重量%
    以上でありかつこのトリウムおよび/またはトリウム化
    合物の粒子の平均粒径が0.3μm以下であることを特
    徴とする、トリウムタングステン合金。
  2. 【請求項2】トリウムおよび/またはトリウム化合物の
    含有量が、0.5〜2重量%であることを特徴とする、
    請求項1に記載のトリウムタングステン合金。
  3. 【請求項3】トリウムおよび/またはトリウム化合物の
    粒子の平均粒径が0.3μm以下であることを特徴とす
    る、請求項1または請求項2に記載のトリウムタングス
    テン合金。
  4. 【請求項4】トリウム化合物が酸化トリウムであること
    を特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のト
    リウムタングステン合金。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載のトリ
    ウムタングステン合金よりなることを特徴とする、トリ
    ウムタングステン線。
  6. 【請求項6】線径が1mm以下のものであることを特徴
    とする、請求項5に記載のトリウムタングステン線。
  7. 【請求項7】請求項5または請求項6に記載のトリウム
    タングステン線の製造方法であって、金属タングステン
    粉末とトリウムおよび/またはトリウム化合物溶液を混
    合し、前記混合物を還元性雰囲気中で加熱還元して、タ
    ングステン粉末中にトリウムおよび/またはトリウム化
    合物粒子を分散させた粉末を製造し、前記粉末を成形、
    焼結して焼結体を製造した後、前記焼結体に対し圧延、
    伸線加工を施すことを特徴とする、トリウムタングステ
    ン線の製造方法。
  8. 【請求項8】トリウムおよび/またはトリウム化合物の
    加熱還元を400〜800℃の温度で行なうことを特徴
    とする、請求項7に記載のトリウムタングステン線の製
    造方法。
  9. 【請求項9】請求項5または請求項6に記載のトリウム
    タングステン線よりなることを特徴とする、タングステ
    ン線コイル。
  10. 【請求項10】一対の支持部材間に加熱線条が支持され
    てなる電子管用陰極構体であって、前記加熱線条が請求
    項7または請求項8に記載のトリウムタングステン線よ
    りなることを特徴とする、電子管用陰極構体。
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