JP2002167660A - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents
摺動部材及びその製造方法Info
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Abstract
おいて、基材表面に対する硬質炭素被膜の付着性を確実
に高める。 【解決手段】 基材1の表面に、硬質炭素の薄膜を形成
し、続いて薄膜上からイオンを注入することにより、1
×1016/cm2以上のイオンが基材内部に注入される
ようにして被膜中の原子と注入した原子と基材を構成す
る原子の混合層3を形成し、その後混合層3の上面に硬
質炭素被膜2を形成する。
Description
製造方法に関する。
(DLC)に代表される硬質炭素は、自己潤滑性を有す
るために摩擦係数が小さく、且つ硬度が非常に高い(H
v1000〜5000)ゆえに摩耗しにくい。そのた
め、これらの硬質炭素被膜を軸受等の摺動部材に適用す
ることが期待されている。
法)やCVD法(化学気相蒸着法)を用いることによっ
て、真空容器内に設置された基材上に形成することが可
能である。
セラミック、WC系超硬合金等には付着性が良く、摺動
部品への適用が始まっている。しかし、鉄鋼やその他の
合金材料等一般機械の軸受等を構成する基材の上に硬質
炭素被膜を形成しようとした場合には、被膜の付着性が
悪く、荷重を掛けて摺動させた際に容易に基材から剥離
してしまい、このために硬質炭素被膜のもつ潤滑性を利
用できないという問題を有していた。
な研究が行われている。なかでも、イオン注入技術を利
用した方法では、被膜/基材界面において、被膜中の原
子、注入した原子、基材を構成する原子の混合層を形成
することができ、付着性改善に有力な方法の一つと考え
られている。
の付着性をイオン注入法を用いて改善しようとした場
合、イオン注入の仕方等の条件によって付着性の度合が
大きく異なってしまうが、このようなイオン注入条件等
の技術を明確に規定したものは存在していない。
は、イオン注入法により、基材と硬質カーボン膜との界
面部分に炭素原子と注入原子との混合層を形成すること
が記載されている。そして、イオン注入の際における加
速電圧は、基材内部までの充分なイオン注入を考慮する
と、特に50keV以上であることが好ましいとされて
いる。
0keV以上に設定することを規定したのみでは、硬質
炭素被膜の付着性を良好に向上させられない場合があ
り、又、加速電圧を高め過ぎた場合には、X線による被
曝の防護構造や加速電源・絶縁構造の大型化等、装置コ
ストが大幅に高くなってしまう等の問題を有していた。
鉄合金基材上に、イオン注入法とCVD法により硬質炭
素被膜を形成して高荷重摩擦試験を実施した結果では、
イオンの注入量が少ない場合には硬質炭素被膜の付着性
が向上できないことが得られた。
あり、イオン注入法を用いた硬質炭素被膜の形成におい
て、基材表面に対する硬質炭素被膜の付着性を確実に高
めることができるようにした摺動部材及びその製造方法
に関するものである。
に、1×1016/cm2以上のイオンが注入されるよう
にして被膜中の原子と注入した原子と基材を構成する原
子の混合層を介して硬質炭素被膜が形成されていること
を特徴とする摺動部材、に係るものである。
を形成し、続いて該薄膜上からイオンを注入することに
より、1×1016/cm2以上のイオンが基材内部に注
入されるようにして被膜中の原子と注入した原子と基材
を構成する原子の混合層を形成し、その後混合層の上面
に硬質炭素被膜を形成することを特徴とする摺動部材の
製造方法、に係るものである。
形成しつつイオンを注入することにより、1×1016/
cm2以上のイオンが基材内部に注入されるようにして
被膜中の原子と注入した原子と基材を構成する原子の混
合層を形成した後、混合層の上面に硬質炭素被膜を形成
することを特徴とする摺動部材の製造方法、に係るもの
である。
の飽和侵入域が形成されるようにしている。
/cm2以上のイオンが注入されるように形成した混合
層を介して、基材の表面に硬質炭素被膜を形成するよう
にしているので、飽和侵入域が形成される状態で基材表
面に炭素原子が侵入・拡散し、これによって基材と硬質
炭素被膜の付着性を格段に高めることができる。又、イ
オン注入時の加速電圧を必要以上に高めることなく有効
な混合層を形成できるので、装置の大型化を防ぐことが
できる。
を図面に基づいて説明する。
を示す断面図であり、例えばニッケル・クロム・鉄合金
(インコネル718相当材)からなる基材1の表面に、
硬質炭素被膜2が形成されており、基材1と硬質炭素被
膜2との界面部分には、硬質炭素被膜2を構成する炭素
原子の一部と注入原子とが基材1内に入り込んだ混合層
3(以下、イオンミキシング層と言う)が形成されてい
る。一方、図2は、従来一般に行われている蒸着の技術
を示したものであり、基材1の表面には硬質炭素被膜2
が形成されているが、この場合には基材1と硬質炭素被
膜2との界面部分にイオンミキシング層3はほとんど形
成されていない。
いられる製造装置の一例を示したものであり、真空チャ
ンバ4の内部に、基材1を支持する支持装置5が設けら
れており、支持装置5は基材1を支持した状態で回転で
きるようになっていてもよい。
利用したECR法(電子サイクロトロン共鳴法)により
プラズマを発生させるプラズマ源7と、イオン源から静
電的に引き出したイオンビームを基材1に照射するイオ
ン照射装置6とを備えている。図3は、イオンビームを
用いたイオン注入法を示しているが、イオン注入法には
この他、プラズマ中に置かれた基材に負のパルス電圧を
印加することで基材へイオンを注入するようにしたプラ
ズマイオン注入法等がある。
素被膜を形成する試験を種々実施した結果、イオン注入
時、注入するイオンの数を調節することにより、比較的
低いエネルギーでのイオン注入でも付着性に優れた硬質
炭素被膜を得ることができることを見出した。
1×1016/cm2以上のイオンを注入することによっ
て形成されるイオンミキシング層を介して形成した硬質
炭素被膜は、付着性を著しく高めることができた。
を予め形成してその上から炭素イオン(C+)を注入し
た場合の、基材表面付近における基材深さ方向の組成割
合をオージェ電子分光法(AES)によって調べた組成
図であり、図4は、イオン注入量を3×1015/cm2
に調整した場合、図5は、イオン注入量を1×1016/
cm2に調整した場合、図6はイオン注入量を7×10
16/cm2に調製した場合である。
オンイオン(Ne+)を注入量が5×1016/cm2にな
るように注入した場合の基材表面付近における基材深さ
方向の組成割合を示した組成図である。
速電圧を30keVとした場合を示している。又、図4
〜図7におけるイオン注入法は、基材表面にCVD法に
よって0.01ミクロン以下の硬質炭素の薄膜を形成し
た後、その上からイオン注入するという操作を3回繰返
して行った場合を示している。尚、この条件では、注入
されたイオンのほとんどは、硬質炭素の薄膜を貫通し
て、基材内へ注入されていると考えてよい。
CVD法により硬質炭素の薄膜を形成した場合の基材表
面付近における基材深さ方向の組成割合を示した組成図
である。
けるプラズマ源7を用いたCVD法により基材1上に硬
質炭素の薄膜を形成した後、イオン照射装置6によりイ
オン注入を実施し、その後、再びプラズマ源7を用いた
CVD法によって薄膜上に硬質炭素被膜を一体に形成す
る方法により行った。
ては、図3のイオンビームを用いた注入法の場合には、
イオン照射装置6から基材1へ照射されるイオン電流値
を元に注入時間を加減することで、イオン注入量を調節
した。一方、イオン注入法にプラズマイオン注入法を用
いた場合には、プラズマから基材へ流れるイオン電流を
元にイオンの注入量を調節できる。
015/cm2とした場合の基材表面付近のオージュ電子
分光法(AES)で得た組成図では、基材に対する炭素
原子の侵入量は少なく、侵入曲線もなだらかになってい
る。
量を1×1016/cm2とした場合の基材表面付近の組
成図では、炭素原子成分が約40%近傍において、その
割合が殆ど変化せずに基材に深く侵入しており、この部
分はイオン注入による、ニッケル・クロム・鉄合金(イ
ンコネル718相当材)への炭素拡散の上限である飽和
侵入域Aを形成していると考えられる。
7×1016/cm2とした場合の基材表面付近の組成図
では、図5の場合より更に深い位置まで炭素原子が基材
に侵入しており、深い範囲まで飽和侵入域Aが形成され
ている。
(Ne+)を用いてイオン注入量を5×1016/cm2と
した場合の基材表面付近の組成図でも、飽和侵入域Aが
形成されている。
合の基材表面付近の組成図では、基材に対する炭素原子
の侵入量は非常に少なく、侵入曲線もなだらかになって
いる。
変化させて試験を行ったところ、図5〜図7に示すよう
に、イオン注入量を調節することにより、基材表面付近
に飽和侵入域Aを形成できることが判明した。そして、
このような飽和侵入域Aが形成されるようにイオンの注
入を行うと、硬質炭素被膜と基材との付着性が著しく高
まり、よって高荷重による摩擦力を繰返し受けても剥離
の問題を防止できことがわかった。
が基材表面内部に注入されるようにすれば、付着性に優
れた硬質炭素被膜が形成できることが判明した。
よって飽和侵入域Aが形成された硬質炭素被膜と、図8
に示したイオン注入を行わず、基材に対する炭素原子の
侵入が僅かである硬質炭素被膜とを、摩擦試験により付
着性を比較評価した結果を示す線図である。摩擦試験は
25Nを負荷したSiCボールを用いて摩擦速度を10
0mm/secとし、大気中で試験を行った。又、オー
ジェ電子分光法(AES)により作成した試料の界面付
近の組成変化を調べた。
していない図8による硬質炭素被膜は、約10000回
の摩擦で、被膜が完全に基材から剥離したのに対し、図
5に示した飽和侵入域Aが形成される条件でイオをン注
入した硬質炭素被膜では、約0.1以下の摩擦係数を保
ったまま40000回の摩擦に耐えた。同様の結果が飽
和侵入域Aが形成された図6、7の条件でイオン注入し
た場合でも得られている。
うに約1×1016/cm2以上のイオン注入量を保持し
て形成したイオンミキシング層3を介して硬質炭素被膜
2を形成した摺動部材によれば、飽和侵入域Aが形成さ
れるように基材1表面に炭素原子が侵入・拡散し、硬質
炭素被膜2の炭素原子と基材1を構成する原子との結合
する接触面積が実質的に上限値付近まで増大することに
なり、これによって付着性が格段に増加すると考えられ
る。即ち、硬質炭素被膜の剥離は、硬質炭素被膜の炭素
原子と基材を構成する原子との結合力が弱い部分から生
じ易いと考えられることから、前記したような飽和侵入
域Aにて接触面積が増加することは付着性を向上させる
上で非常に有効と考えられる。
による薄膜を形成してその薄膜の上からイオン注入を行
った後に、硬質炭素被膜を形成する場合について説明し
たが、図3に示したプラズマ源7を用いたCVD法によ
る蒸着と、イオン照射装置6によるイオン注入とを同時
に行う方法を用いても、イオン注入時に、1×1016/
cm2以上のイオンが基材内部に注入される条件で行え
ば、前記形態例と同様のイオンミキシング層を形成して
同様の作用を奏することができる。
ム・鉄合金である場合について説明したが、これに限る
ことなく種々の基材を用いることができる。又、注入す
るイオンについても、炭素イオン(C+)、ネオン(Ne
+)について例示したが、炭化水素イオン、炭素を含む
化合物イオン、更には、窒素N、アルゴンAr、クリプ
トンKr、キセノンXe等の不活性ガスのイオンも適用
することができる。
上のイオン注入量を保持して形成するようにしたイオン
ミキシング層を介して、基材の表面に硬質炭素被膜を形
成するようにしているので、飽和侵入域が形成される状
態で基材表面に炭素原子が侵入・拡散し、これによって
基材と硬質炭素被膜の付着性を格段に高められる効果が
ある。又、イオン注入時の加速電圧を必要以上に高める
ことなく有効なイオンミキシング層を形成できるので、
装置の大型化を防ぐことができる効果がある。
を形成した摺動部材の断面図である。
概略側断面図である。
注入した場合の、基材表面付近における基材深さ方向の
組成割合を示した組成図である。
の本発明の有効な例を示す組成図である。
の有効な例を示す組成図である。
例を示す組成図である。
質炭素被膜と、イオン注入を行わない硬質炭素被膜と
を、摩擦試験により付着性を比較評価した結果を示す線
図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 基材の表面に、1×1016/cm2以上
のイオンが注入されるようにして被膜中の原子と注入し
た原子と基材を構成する原子の混合層を介して硬質炭素
被膜が形成されていることを特徴とする摺動部材。 - 【請求項2】 基材の表面に、硬質炭素の薄膜を形成
し、続いて該薄膜上からイオンを注入することにより、
1×1016/cm2以上のイオンが基材内部に注入され
るようにして被膜中の原子と注入した原子と基材を構成
する原子の混合層を形成し、その後混合層の上面に硬質
炭素被膜を形成することを特徴とする摺動部材の製造方
法。 - 【請求項3】 基材の表面に、硬質炭素被膜を形成しつ
つイオンを注入することにより、1×1016/cm2以
上のイオンが基材内部に注入されるようにして被膜中の
原子と注入した原子と基材を構成する原子の混合層を形
成した後、混合層の上面に硬質炭素被膜を形成すること
を特徴とする摺動部材の製造方法。 - 【請求項4】 混合層の形成時に炭素の飽和侵入域が形
成されていることを特徴とする請求項2、又は3記載の
摺動部材の製造方法。
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Citations (3)
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2000
- 2000-11-29 JP JP2000362747A patent/JP2002167660A/ja active Pending
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