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JP2002038298A - 光触媒用チタン陽極酸化被膜の生成方法 - Google Patents

光触媒用チタン陽極酸化被膜の生成方法

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Publication number
JP2002038298A
JP2002038298A JP2000224374A JP2000224374A JP2002038298A JP 2002038298 A JP2002038298 A JP 2002038298A JP 2000224374 A JP2000224374 A JP 2000224374A JP 2000224374 A JP2000224374 A JP 2000224374A JP 2002038298 A JP2002038298 A JP 2002038298A
Authority
JP
Japan
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titanium
film
bath
anodic oxide
fine powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000224374A
Other languages
English (en)
Inventor
Seishiro Ito
征司郎 伊藤
Atsushi Kuraki
淳 倉木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daiwa House Industry Co Ltd
Original Assignee
Daiwa House Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daiwa House Industry Co Ltd filed Critical Daiwa House Industry Co Ltd
Priority to JP2000224374A priority Critical patent/JP2002038298A/ja
Publication of JP2002038298A publication Critical patent/JP2002038298A/ja
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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚膜型チタン陽極酸化被膜において、高活性
の光触媒作用を発揮し、優れた抗菌、消臭、防汚効果が
得られる光触媒用チタン陽極酸化被膜の生成方法を提供
する。 【解決手段】 リン酸、硫酸、および過酸化水素を含む
電解浴に、酸化チタンの微粉体を添加した浴中で、チタ
ンに一次陽極酸化によって陽極酸化被膜を形成させる。
この被膜を形成させたチタンを、フッ化水素アンモニウ
ムと過酸化水素の混合浴中で再陽極酸化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種建築材料や
その他の機器、材料、例えば、建築物のうち、外装材、
調理用器具、食器類、衛生機器、その他に下水管等の土
木用材料などに使用される光触媒用チタン陽極酸化被膜
の生成方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】チタン
は、実用金属中最も耐蝕性が強く、比重も鉄鋼などと比
較して小さく、比強度藻非常に優れている金属であり、
工場プラント用建築資材、医療用材料などに広く使用さ
れてきた。そして、近年、その高い耐蝕性により屋根材
を始めとして、建築材料への利用が急速に進んでいる。
また、1970年代に発見された、酸化チタン(TiO
2 )の有する光触媒作用による自浄、空気清浄化、殺菌
作用が、近年の環境問題の顕著化に伴い注目を浴びてお
り、建築材料分野においても実用化に向けた研究が進ん
でいる。つまり、酸化チタンに太陽光や照明器具などか
らの紫外線を照射すると、光エネルギーが化学エネルギ
ーに変換されて、有機物などを分解する光触媒作用を発
揮し、オフィス、住宅室内で発生する代表的アレルゲン
であるホルムアルデヒドの分解除去の他にも、抗菌、消
臭および防汚効果が得られる。
【0003】金属チタン表面に酸化チタン被膜を形成さ
せる方法には、熱酸化法、化学酸化法、陽極酸化法など
があるが、中でも、皮膜の均一性、再現性などに優れた
陽極酸化法が一般に利用されている。チタンの陽極酸化
に関する研究は古くから行われているが、得られる皮膜
の大部分は、1μm以下の薄膜で、色も干渉色を示し、
実用上、耐久性に問題がある。一方、本発明者の一人の
伊藤らは、リン酸(H3 PO4 )と硫酸(H2 SO4
の浴およびこれに過酸化水素(H2 2 )を添加した浴
からなる2成分または3成分系の混合浴中で、チタンを
火花放電が発生する電圧以上の電圧で陽極酸化すると、
数μm以上の厚さを有する硬い灰色系の厚膜型陽極酸化
皮膜が形成され、この皮膜の主成分はアナタース型Ti
2 であることを報告している(「色材」61,599(1989
、「材料技術」10,152(1992)、他)。しかし、この皮
膜は、アナタース型TiO2 を主成分としているにもか
かわらず、光触媒活性を示さないことが確認されてい
る。
【0004】チタンを陽極酸化すると、通常、Tin
2n-1、(nは正の整数)で示される、TiOやTi2
3 などの低次酸化チタンが副生することが知られており
(T.Shibata,Y.C.Zhu:Denki Kagaku,61,853(1993) 他,
)、また、FoxらはTiO2 微粒子中に生成したT
3+イオンが量子効率を低下させる働きがあることを報
告している(T.Torimoto,R.J.Fox,M.A.Fox:J.Electroch
em.Soc.,143,3712(1996)。この量子効率の低下は光触媒
活性の低下を意味しており、この低次酸化チタンの存在
がこの厚膜型陽極酸化皮膜の光触媒活性の発現を阻害す
る原因となっていると考えられる。
【0005】そこで、本発明者は、リン酸、硫酸、およ
び過酸化水素の混合浴から作製した厚膜型チタン陽極酸
化被膜を、低次酸化チタンを選択的に溶解し易いフッ化
水素アンモニウムを含む過酸化水素の溶液中で再陽極酸
化して改善したところ、期待どおり、可視光線による光
触媒活性を発現させることができた。この再陽極酸化に
よる光触媒用チタン陽極酸化被膜の生成方法について
は、先に出願した(特願平11−42857号)。すな
わち、チタンに一次陽極酸化被膜を生成した後、この被
膜の生成されたチタンを、フッ化水素アンモニウム、フ
ッ化水素酸、もしくはフッ化アンモニウム、などのフッ
化物イオンを含む電解浴、またはこれに過酸化水素を含
む電解浴に浸漬して再陽極酸化を行う方法である。
【0006】しかし、先の出願の再陽極酸化による発明
方法では、可視光線による光触媒活性を示すものの、工
業的な使用を考えると、光触媒活性がいま一つ不十分で
あった。
【0007】この発明の目的は、上記の課題を解消して
光触媒活性の高活性化を得ること、つまり厚膜型チタン
陽極酸化被膜において、紫外線、可視光線の如何を問わ
ず高活性の光触媒作用を発揮し、優れた抗菌、消臭、防
汚効果が得られる光触媒用チタン陽極酸化被膜の生成方
法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の光触媒用チタ
ン陽極酸化被膜の生成方法は、リン酸(H3 PO4 )、
硫酸(H2 SO4 )、および過酸化水素(H2 2 )を
含む電解浴に、酸化チタン(TiO2 )の微粉体を添加
した浴中で、チタンに一次陽極酸化によって陽極酸化被
膜を生成させた後、この被膜が形成されたチタンを、フ
ッ化水素アンモニウム(NH4 HF2 )と過酸化水素
(H2 2 )の混合浴中で再陽極酸化する方法である。
この方法で得られる被膜の光触媒活性を評価した。その
結果、TiO2 微粉体の添加によって皮膜のL* 値(明
度)は大幅に増加し、それに対応してアセトアルデヒド
の気相光酸化分解反応における見かけの分解速度定数k
も大幅に増大することがわかった。これは、TiO2
粉体が一次陽極酸化時に皮膜中に副生する低次酸化チタ
ンの生成を抑制するとともに、二次陽極酸化時にも皮膜
中の低次酸化チタンが溶出して減少し、さらに、添加し
た微粒子が皮膜表面に固着し、これらが、相まって光触
媒活性の飛躍的な向上に寄与したものと結論づけられ
る。
【0009】上記酸化チタン微粉体は、アナタース型を
主体とする酸化チタンの微粉体であっても良く、またル
チル型を主体とする酸化チタンの微粉体であっても良
い。アナタース型酸化チタン微粉体を添加した浴から作
製した被膜は、この微粉体を添加しない浴から得た被膜
よりも、格段に大きな光触媒活性を示す。ルチル型酸化
チタン微粉体を添加した浴から作製した被膜の場合は、
アナタース型のそれと比較すると、かなり小さいが、添
加しない浴から得た被膜よりも光触媒活性が高くなる。
上記酸化チタン微粉体は、例えば、平均粒子径が、数n
m〜数百nmであることが好ましく、より好ましくは、
5nm〜300nmである。一次陽極酸化によって得る
陽極酸化被膜は、膜厚が数μm以上の厚膜型陽極酸化被
膜としても良い。再陽極酸化の電解浴電圧は、一次陽極
酸化の電解浴電圧よりも低くすることが好ましい。
【0010】
【実施例】(1)チタン陽極酸化皮膜の高活性化を目指
して、H3 PO4 ‐H2 SO4 ‐H2 2 浴に市販の各
種TiO2 微粉体を添加して陽極酸化を行い、そのとき
の電解挙動を調べるとともに、この皮膜に再陽極酸化を
施し、このものの光触媒活性を評価した。以下、実験方
法および実験結果を説明する。
【0011】(2.1)陽極酸化 使用したチタン材はJISH‐4600に規定される第
1種の工業別純チタン板である。厚膜型皮膜を得るため
の陽極酸化は、チタン板(30W ×50L ×0.4T
m)をn−へキサンに浸漬して脱脂したのち、水洗、乾
燥後、0.3MのH3 PO4 ‐1.5MのH2 SO4
0.3MのH2 2 系電解浴(以下、この浴を基本浴と
する)にTiO2 微粉体を100g添加して行った(一
次陽極酸化)。電解方法は、3.0Adm-2の直流定電
流電解で200Vまで昇圧し、その後、定電圧電解に切
り換えて上記電圧(200V)に保持する方法とした。
全電解時間は30min、浴温度は303K、対極は試
験片と同じチタン板、極間距離は5cmである。
【0012】この実験で用いたTiO2 微粉体の平均粒
子径、比表面積、基本浴にTiO2微粉体を100g添
加したときの電解液の導電率およびTiO2 微粉体のア
セトアルデヒドに対する気相光酸化分解反応における見
かけの分解速度定数k/h-1-1を表1に示す。いずれ
のTiO2 もテイカ(株)製のもので、AMT−100
は脱臭光触媒用、AMT‐600は一般光触媒用、JA
‐1とJRは一般顔料用、MT‐150は主に化粧品用
である。これらのTiO2 はすべて表面無処理品であ
る。
【0013】再陽極酸化は、厚膜型陽極酸化皮膜材を、
0.03MのNH4 HF2 と0.3MのH2 2 との混
合浴中で、一次陽極酸化の場合と同様の方法で行った
(二次陽極酸化)。ただし、このときの最終浴電圧は1
50V、全電解時間は5min、浴温度は303Kとし
た。
【0014】(2.2)測定 電解挙動に関する知見を得るために電位−時間曲線およ
び電流‐電位曲線を測定した。また、得られた皮膜に対
しては、膜厚測定、色の測定、走査型電子顕微鏡(SE
M)観察、X線回折(XRD)測定、電子スピン共鳴
(ESR)スペクトル測定および光触媒活性評価を行っ
た。
【0015】(2.2.1)電位−時間曲線、電位‐電
流曲線 TiO2 微粉体添加にともなう電解挙動の変化を調べる
ため、電位−時間曲線、電流−電位曲線を測定した。測
定には北斗電工(株)製ボテンショスタット/ガルバノ
スタットHA−3001Aを用いた。なお、電位−時間
曲線測定時の電流密度は3.0Adm-2で、電流−電位
曲線測定時の昇圧速度は0.5Vsec -1である。参照電
極はAg/AgCl電極とした。
【0016】(2.2.2)膜厚 TiO2 微粉体の添加が膜厚に及ぼす影響を調べるため
に膜厚測定を行った。測定にはCMI製高周波渦電流方
式の膜厚計CGX−B2を用いた。 (2.2.3)測色 陽極酸化が皮膜の色彩に及ぼす影響を調べるために色の
測定を行った。測定はミノルタ製色彩色差計CR−30
0用いてL* ,a* ,b* 表色法で行ったが、本実験で
得られた皮膜は、すべて灰色〜灰白色系の無彩色皮膜で
あるため、L*値(明度指数)のみを表示した。
【0017】(2.2.4)SEM観察 二次陽極酸化が皮膜の形状に及ぼす影響を調べるために
表面SEM観察を行った。測定は日本電子製走査型電子
顕微鏡JEM‐5200を用いて加速電圧15kVで行
った。 (2.2.5)XRD測定 TiO2 微粉体添加が皮膜の結晶系に与える影響を調べ
るためにXRD測定を行った。測定は、理学電機(株)
製超強力X線回折装置RINT2500を用いて、Cu
−Kα線、管電圧40kV‐管電流80mAの条件下で
行った。
【0018】(2.2.6)光触媒活性評価 陽極酸化皮膜の光触媒活性は、アセトアルデヒドの気相
光酸化分解反応により評価した。その方法はつぎのとお
りである。試験片(照射面積15cm2 )を640ml
の反応容器中に入れて密閉したのち、5mmHgまで減
圧し、これにN 2 ガスで薄めたアセトアルデヒド標準ガ
スを300mmHgまで導入後、さらに空気を導入して
系内を常圧に戻し、この状態で吸着平衡に達したことを
確認後、光照射を開始した。光照射後、15minごと
に反応容器内のガスを採取し、ガスクロマトグラフによ
りアセトアルデヒドの減少量を定量した。光源はWac
om製キセノンランプで、光量は320〜400nmの
積算値で2.5mWcm-2である。使用したガスクロマ
トグラフは島津製作所製GC‐9である。なお、表1に
示したTiO2 微粉体の光触媒能も同様に評価したが、
このときの光量は500μWcm-2で、kは粉体1.0
g相当量に対する値である。
【0019】(2.2.7)ESRスペクトル測定 皮膜中の低次酸化チタン含有量の変化を調べるためにE
SRスペクトル測定を行った。測定には日本電子製電子
スピン共鳴装置TE200を用い、測定条件は、マイク
ロ波発振周波数100KHz、測定磁場230〜430
mT、測定温度173Kとした。なお、測定試料は皮膜
から膜成分のみを十分に注意しながら削り取ったものと
した。
【0020】(3)結果および考察 (3.1)陽極酸化 TiO2 微粉体添加浴を用いて陽極酸化したときの電位
−時間曲線を図1に示す。TiO2 無添加の基本浴で
は、電解開始直後から約100Vまでは陽極表面から激
しくガスが発生し、電位が100Vを超えたあたりから
陽極のチタン板表面の各所で火花放電が認められるよう
になり、電解開始後、約12minで最終電位である2
00Vまで到達した。得られた陽極酸化皮膜材は、チタ
ンの金属光沢が失われ、表面全体が均一な濃い灰色の皮
膜で覆われていた。しかし、TiO2添加浴では、浴が
白濁しているため、目視による火花放電は確認できなか
った。また、この図から、同じ結晶系のTiO2 でも粒
子径の小さいものを添加した浴の方が電位の上昇速度が
速いのがわかる。これは、電解液の導電率の違いによる
ものと思われる(表1)。また、基本浴では、TiO2
添加浴と比較して、高電位域での電位の揺らぎが大きく
なっている。このことは、基本浴の方が火花放電が大き
く激しいことを示唆しているものと思われる。
【0021】
【表1】
【0022】電流‐電位曲線を図2に示す。基本浴で
は、15Vあたりに明確なピークがみられる。これは、
薄いnmレベルの絶縁皮膜の生成に基づくものと考えら
れる。その後、30V程度の間、電流値は安定を保って
いるが、45V付近になると急激に電流値が不安定とな
っている。これは、先の絶縁皮膜が破壊することに基づ
くものと思われ、50V過ぎからは、電流値の変化が激
しくなり、100V付近、すなわち、目視によって火花
放電が認められるようになる電位付近から、より一層激
しさが増し、電位の上昇とともに電流値の変動も激しく
なっている。TiO2 微粉体を添加した浴のうち、JA
‐1は基本浴と類似した電解挙動を示しているのがわか
る。JR添加浴は、約150V付近までは、基本浴と似
た電解挙動を示しているが、その後は、基本浴よりも電
流値が安定しているのがわかる。粒子径が小さいAMT
−100やMT‐150は基本浴とは異なる電解挙動を
示し、両者とも絶縁破壊電圧以上における電流値の上下
幅が他のものより小さくなっているのがわかる。これ
は、これらの系における火花放電の規模が小さくなって
いることを示唆しており、特にMT‐150を添加した
浴において、その傾向が顕著であるといえる。AMT‐
600添加浴はJA−1とMT‐150の中間的な挙動
を示している。
【0023】(3.2)皮膜厚さ 2.1で述べた方法で作製した陽極酸化皮膜の皮膜厚さ
を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】基本浴から生成した皮膜の厚さは5.5μ
mであり、これを二次陽極酸化すると、0.5μm減少
して5.0μmとなった。また、TiO2 微粉体を添加
した浴では、粒子径の小さなものほど皮膜が薄くなって
いる。これは、後で述べるSEM像からわかるように、
粒子径の小さなTiO2 を添加して得た皮膜は、基本浴
や粒子径の大きなものを添加した浴からの皮膜と比較し
て、孔径が明らかに小さくなっていた。このことは、先
の電流−電位曲線の結果と合わせて考えると、火花放電
の小規模化を示唆している。チタンの多孔質陽極酸化皮
膜は、マクロ的には、絶縁皮膜の生成と火花放電にとも
なう皮膜破壊の繰り返しにより成長していくものとされ
ている。したがって、粒子径の小さなTiO2 の添加に
よる皮膜厚さの減少の原因は、火花放電が抑制された結
果といえる。
【0026】(3.3)測色 陽極酸化皮膜のL* 値の測定結果を図3に示す。基本浴
から作製した一次陽極酸化皮膜のL* 値は53.9で、
二次陽極酸化処理後は60.2となり、かなり白さが増
しているのがわかる。低次酸化チタンを主成分とする皮
膜は青色〜黒色系の皮膜であることがわかっており、白
色化の原因は、皮膜中の低次酸化チタンが二次陽極酸化
処理によって優先的に溶出したためといえる。TiO2
微粉体を添加した浴から作製した陽極酸化皮膜は、いず
れも基本浴から作製した皮膜よりL* 値が大きくなって
いる。また、粒子径の小さなTiO2 を用いた場合ほ
ど、一次陽極酸化皮膜のL* 値と二次陽極酸化皮膜のL
* 値との差が大きくなっている。これは、一次陽極酸化
時に、小さな粒子径のTiO2 ほど皮膜の内部に取り込
まれやすく、表面の色彩にあまり影響を与えにくいと考
えられること、大きな粒子では皮膜内部にまで侵入でき
ず、表面にその一部が露出したままになり、一次陽極酸
化の段階では粒子の大きなTiO2 を用いて得た皮膜の
方がL* 値が大きくなると考えられること、また、Ti
2 の隠ぺい力は粒子径が200〜300nmで最大に
なること、二次陽極酸化後は、一次陽極酸化時に取り込
まれたTiO2 粒子が表面に露出すると考えられること
などが原因と思われる。なお、JR添加浴から得た皮膜
がかなりの白さを有しているのは、使用したTiO2
中でこのものが最も隠ぺい力が大きいことに起因してい
るものと思われる。
【0027】(3.4)SEM観察 陽極酸化皮膜表面のSEM写真を図4〜図9に示す。基
本浴から作製した一次陽極酸化皮膜には直径0.5〜
1.5μm程度の孔がみられる。二次陽極酸化皮膜に
は、一次陽極酸化皮膜にはみられなかった直径0.1〜
0.3μm程度の微細な孔が新たに発生しているのがわ
かる(図4)。この微細孔の生成は低次酸化チタンの溶
出などに基づくものと思われる。AMT‐100添加浴
からの一次陽極酸化皮膜では、基本浴から得た皮膜と大
きく異なり、孔径が小さくなり、直径1μm以下となっ
ている。微細なTiO2が析出している様子も伺える。
このものを二次陽極酸化して得た皮膜では、TiO2
子が一面に固着している(図5)。これは、一次陽極酸
化によって内部に取り込まれたTiO2 が、二次陽極酸
化によって、一部溶出するが、不溶のものは皮膜表面に
露出することに基づくものである。AMT‐600につ
いてもAMT‐100と類似のことがいえるが、AMT
‐100よりは溶出量がはるかに少ない。これはTiO
2 の性質の違いである(図6)。
【0028】JA‐1添加浴からの一次陽極酸化皮膜
は、AMT‐100や600と異なり、粒子が表面に固
着していることを除けば、基本浴からの皮膜に比較的近
い形状をしている(図7)。これは、JA‐1の粒子径
がAMT‐100や600と比較して圧倒的に大きいた
め、皮膜内部に取り込まれず、表面に固着したものと思
われる。MT−150を添加した浴から作製した陽極酸
化皮膜には(図8)、皮膜の全面に微粒子が固着してい
る。また、AMT−100添加浴からの皮膜と同様、孔
径が小さくなる傾向がみられる。また、孔数がAMT−
100添加浴からの皮膜より少なくなる傾向もみられ
る。しかし、このものもAMT−100よりも溶出しに
くいのがわかる。JR添加浴から作製された皮膜は、粒
子径が近いJA‐1と比較的よく似た皮膜を形成してい
るのがわかる(図9)。
【0029】(3.5)XRD測定 基本浴、AMT‐100およびMT‐150添加浴から
作製した一次陽極酸化皮膜材のXRDパターンを図10
に示す。基本浴から作製した皮膜は、チタンとアナター
スのピークのみを示していることから、アナタースが主
成分といえる。AMT‐100添加浴から作製した皮膜
は、基本浴から作製した皮膜と同様、チタンとアナター
スのピークのみを示しているが、基本浴と比較してチタ
ンのピークに対するアナタースのピークの相対強度が大
きくなっているのがわかる。これは、先ほどのSEM観
察の結果からもわかるように、陽極酸化時にAMT−1
00が皮膜に取り込まれるためと思われる。MT−15
0では、チタン、アナタースのほかにルチルのピークも
確認できるが、ルチルのピークはMT‐150に基づく
ものと考えられる。
【0030】(3.6)アセトアルデヒドの光気相酸化
分解 各種電解浴から作製した二次陽極酸化皮膜材のアセトア
ルデヒドに対する光酸化分解試験の結果を図11に示
す。図には示していないが、チタン板、873Kで表面
を熱酸化したチタン板、およびすべての一次陽極酸化皮
膜材はいずれも光触媒活性を示さなかった。しかし、図
からわかるように、二次陽極酸化皮膜材は光触媒活性が
発現し、しかも、添加するTiO2 微粉体の種類によっ
て活性が大きく異なっている。このうち、AMT‐10
0、AMT−600、JA‐1といったアナタース型T
iO2 を添加した浴から作製した皮膜は、基本浴から得
た皮膜よりも格段に大きな光触媒活性を示し、なかでも
AMT‐600がもっとも高い活性を示している。これ
は、AMT‐600自体のアセトアルデヒドに対する光
触媒能が他のTiO2 と比較して抜群に高いことに起因
していると思われる(表1)。また、ルチル型TiO2
を添加した浴から作製した皮膜でも、アナタース型のそ
れと比較するとかなり小さいが、活性は示している。
【0031】(3.7)ESRスペクトル測定 各種陽極酸化皮膜のESRスペクトルを測定し、そのス
ペクトルのピーク部分の面積を積分処理して求め、それ
から計算した皮膜中の低次酸化チタンに基づくラジカル
数(■、●印)と、図10の結果から求めたk/h
-1(○印)をプロットしたものを図11に示す。なお、
k値が光触媒活性の指標となることはよく知られてい
る。
【0032】基本浴から作製した一次陽極酸化皮膜中に
もっとも多くの低次酸化チタンが含まれているが、Ti
2 微粉体を添加した浴から作製した一次陽極酸化皮膜
中ではかなり減少している。したがって、TiO2 が皮
膜中の低次酸化チタンの副生を抑制する効果があるとい
える。これは、電位−時間曲線、電流−電位曲線の結果
からもわかるように、TiO2 の添加は火花放電を小規
模にする働きがあることが主な原因と考えられる。ま
た、このことは、放電の際に発生する局部的な発熱を抑
えることにつながり、これも、低次酸化チタン副生の抑
制に関与していると考えられる。これらの皮膜を二次陽
極酸化すると、いずれの皮膜も低次酸化チタンの含有量
がさらに減少している。これに対して、kはAMT‐6
00添加浴>MT−150添加浴>基本浴から作製した
皮膜の順となっている。AMT‐600とMT−150
の低次酸化チタンの含有量は大差ないにもかかわらず、
kの値が大きく異なっているが、これは、AMT‐60
0自身の光触媒活性に起因しているといえる(表1)。
ただし、3.6で述べたように、一次陽極酸化の段階で
は、たとえAMT−600を添加した浴を用いても光触
媒活性は発現せず、光触媒活性の発現には、必ず二次陽
極酸化処理を行う必要があるといえる。
【0033】
【発明の効果】この発明の光触媒用チタン陽極酸化被膜
の生成方法は、リン酸、硫酸、および過酸化水素を含む
電解浴に、酸化チタンの微粉体を添加した浴中で、チタ
ンに一次陽極酸化によって陽極酸化被膜を形成させた
後、これを、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素の混
合浴中で再陽極酸化する方法であり、高活性の光触媒作
用を発揮し、優れた抗菌、消臭、防汚効果が得られる厚
膜型の光触媒用チタン陽極酸化被膜を生成させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基本浴および各種酸化チタン添加浴槽における
電位−時間曲線を示すグラフである。
【図2】基本浴および各種酸化チタン添加浴槽における
電流−電位曲線を示すグラフである。
【図3】陽極酸化被膜のL* 値を示すグラフである。
【図4】基本浴から作製した陽極酸化被膜のSEM写真
である。
【図5】AMT−100添加浴から作製した陽極酸化被
膜のSEM写真である。
【図6】AMT−600添加浴から作製した陽極酸化被
膜のSEM写真である。
【図7】JA−1添加浴から作製した陽極酸化被膜のS
EM写真である。
【図8】MT−150添加浴から作製した陽極酸化被膜
のSEM写真である。
【図9】JR添加浴から作製した陽極酸化被膜のSEM
写真である。
【図10】陽極酸化被膜のXRDパターンを示すグラフ
である。
【図11】再陽極酸化被膜に対する光照射にともなうア
セトアルデヒド量の変化を示すグラフである。
【図12】各種陽極酸化被膜中のラジカル数とk値のグ
ラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸、硫酸、および過酸化水素を含む
    電解浴に、酸化チタンの微粉体を添加した浴中で、チタ
    ンに一次陽極酸化によって陽極酸化被膜を生成した後、
    この被膜の生成されたチタンを、過酸化水素アンモニウ
    ムと過酸化水素の混合浴中で再陽極酸化する光触媒用チ
    タン陽極酸化被膜の生成方法。
  2. 【請求項2】 上記酸化チタン微粉体が、アナタース型
    を主体とする酸化チタンの微粉体である請求項1記載の
    光触媒用チタン陽極酸化被膜の生成方法。
  3. 【請求項3】 上記酸化チタン微粉体が、ルチル型を主
    体とする酸化チタンの微粉体である請求項1記載の光触
    媒用チタン陽極酸化被膜の生成方法。
  4. 【請求項4】 上記酸化チタン微粉体は、平均粒子径
    が、数nm〜数百nmである請求項1ないし請求項3の
    いずれかに記載の光触媒用チタン陽極酸化被膜の生成方
    法。
  5. 【請求項5】 一次陽極酸化によって得る陽極酸化被膜
    は、膜厚が数μm以上の厚膜型陽極酸化被膜である請求
    項1ないし請求項4のいずれかに記載の光触媒用チタン
    陽極酸化被膜の生成方法。
  6. 【請求項6】 再陽極酸化の電解浴最終電圧は、一次陽
    極酸化の電解浴最終電圧よりも低くする請求項1ないし
    請求項5のいずれかに記載の光触媒用チタン陽極酸化被
    膜の生成方法。
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