JP2002034565A - 細菌dnaを特異的に認識する受容体タンパク質 - Google Patents
細菌dnaを特異的に認識する受容体タンパク質Info
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Abstract
特異的に認識する受容体タンパク質や、それをコードす
る遺伝子DNAや、細菌性伝染病に対する宿主免疫細胞
の応答性を調べる上で有用な実験モデル動物を提供する
こと。 【解決手段】 非メチル化CpG配列を有する細菌DN
Aを特異的に認識する受容体タンパク質をコードするD
NAを、BLASTサーチによりスクリーニングし、各
種TLRと高い相似性を有する多くのESTクローンを
スクリーニングし、これらをプローブにして、マウス・マ
クロファージcDNAライブラリーから完全長cDNA
を単離し、cDNAの塩基配列を解析してLRR及びT
IR領域などの保存領域が存在するTLR9であること
を確認した後、ノックアウトマウスを作製し、TLR9
が細菌DNAの非メチル化CpG配列を含むオリゴヌク
レオチドの受容体タンパク質であることを確認した。
Description
配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タン
パク質、該受容体タンパク質の遺伝子及びそれらの利用
に関する。
ョウバエの胚発生中の背腹軸の決定(Cell 52, 269-27
9, 1988、Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 12, 393-416, 1
996)、また成体における抗真菌性免疫応答に必要であ
ることが知られている(Cell 86,973-983, 1996)。か
かるTollは、細胞外領域にロイシンリッチリピート
(LRR)を有するI型膜貫通受容体であり、この細胞
質内領域は、哺乳類インターロイキン−1受容体(IL
−1R)の細胞質内領域と相同性が高いことが明らかと
なっている(Nature 351, 355-356, 1991、Annu. Rev.
Cell Dev. Biol. 12, 393-416, 1996、J. Leukoc. Bio
l. 63, 650-657, 1998)。
れるTollの哺乳類のホモログが同定され、TLR2
やTLR4など現在までに6つのファミリーが報告され
ている(Nature 388, 394-397, 1997、Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 95, 588-593, 1998、Blood 91, 4020-402
7, 1998、Gene 231, 59-65, 1999)。このTLRファミ
リーは、上記IL−1Rと同様にアダプタータンパク質
であるMyD88を介し、IL−1R結合キナーゼ(I
RAK)をリクルートし、TRAF6を活性化し、下流
のNF−κBを活性化することが知られている(J. Ex
p. Med. 187, 2097-2101, 1998、Mol. Cell 2, 253-25
8, 1998、Immunity 11, 115-122, 1999)。また、哺乳
類におけるTLRファミリーの役割は、細菌の共通構造
を認識するパターン認識受容体(PRR:pattern reco
gnition receptor)として、先天的な免疫認識に関わっ
ているとも考えられている(Cell 91, 295-298, 199
7)。
子パターン(PAMP:pathogen-associated molecula
r pattern)の一つは、グラム陰性菌の外膜の主成分で
あるリポ多糖(LPS)であって(Cell 91, 295-298,
1997)、かかるLPSが宿主細胞を刺激して宿主細胞に
TNFα、IL−1及びIL−6等の各種炎症性サイト
カインを産生させること(Adv. Immunol. 28, 293-450,
1979、Annu. Rev. Immunol. 13, 437-457, 1995)や、
LPS結合タンパク質(LBP:LPS-bindingprotein)
により捕獲されたLPSが細胞表面上のCD14に引き
渡されることが知られている(Science 249, 1431-143
3, 1990、Annu. Rev. Immunol. 13, 437-457, 1995)。
本発明者らは、TLR4のノックアウトマウスを作製
し、TLR4ノックアウトウスが上記グラム陰性菌の外
膜の主成分であるLPSに不応答性であること(J. Imm
unol. 162, 3749-3752, 1999 )や、TLR2ノックア
ウトマウスを作製し、TLR2ノックアウトマウスのマ
クロファージがグラム陽性菌細胞壁やその構成成分であ
るペプチドグリカンに対する反応性が低下すること(Im
munity, 11, 443-451, 1999 )を報告している。
A)や非メチル化CpG配列を含むオリゴヌクレオチド
が、マウス及びヒトの免疫細胞を刺激すること(Trends
Microbiol. 4, 73-76, 1996、 Trends Microbiol. 6, 49
6-500, 1998)や、IL−12及びIFNγの放出に支配
されるTヘルパー1細胞(Th1)様炎症性応答を刺激
すること(EMBO J. 18, 6973-6982, 1999、 J. Immunol.
161, 3042-3049, 1998、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 9
6, 9305-9310, 1999)から、CpG配列を含むオリゴヌ
クレオチドは、癌、アレルギー及び伝染病のワクチンを
含むワクチン戦略のアジュバントとしての使用可能性が
提唱されている(Adv. Immunol. 73, 329-368, 1999、 Cu
rr. Opin. Immunol. 12, 35-43, 2000、 Immunity 11, 1
23-129, 1999)。このように臨床実用において効果が期待
されるにも関わらず、非メチル化CpG配列を含む細菌
DNAが免疫細胞を活性化する分子メカニズムはよくわ
かっていない。
化されていないCpGモチーフを含有するバクテリア由
来DNAは免疫細胞を非常に活性化し、Th1の応答を
誘導するが、その分子レベルでの活動はあまり理解され
ていない。本発明の課題は、細菌DNAの非メチル化C
pG配列を含むオリゴヌクレオチドの分子レベルでの作
用を明らかにすることができる、非メチル化CpG配列
を有する細菌DNAを特異的に認識するTLRファミリ
ーのメンバー受容体タンパク質TLR9や、それをコー
ドするDNAや、細菌性伝染病に対する宿主免疫細胞の
応答性を調べる上で有用な実験モデル動物を提供するこ
とにある。
るパターン認識受容体として、先天的な免疫認識に関わ
っている哺乳類におけるTLRファミリーは、現在まで
に6つのメンバー(TLR1−6)が公表されており(N
ature 388, 394-397, 1997、 Proc. Natl. Acad. Sci.
USA, 95, 588-593, 1998、Gene 231, 59-65, 1999)、T
LR7及びTLR8の新たな2つのメンバーがGenBank
に登録されている(登録番号AF240467及びAF
246971)。また、TLR9についても完全長cD
NAが見い出されGenBankに登録されている(登録番号A
F245704)が、その機能については知られていな
かった。
する細菌DNAを特異的に認識するTLRファミリーの
メンバー受容体タンパク質をコードするDNAを、BL
ASTサーチによりスクリーニングし、既に同定されて
いる各種TLRと高い相似性を有する多くのシークエン
ス・タグ(EST)クローンをスクリーニングし、これ
らの遺伝子フラグメントをプローブにして、マウス・マク
ロファージcDNAライブラリーから完全な長さを有す
るcDNAを単離し、これを用いてヒトcDNAも単離
した。次に、これらcDNAの塩基配列を解析し、この
TLRファミリーにLRR及びTIR領域などの保存領
域が存在するTLR9であることを確認した。そこで、こ
のTLR9ノックアウトマウスを作製し、TLR9が細
菌DNAの非メチル化CpG配列を含むオリゴヌクレオ
チドの受容体タンパク質であることを明らかにし、本発
明を完成するに至った。
を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク
質をコードするDNA(請求項1)や、非メチル化Cp
G配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タ
ンパク質が、以下の(a)又は(b)のタンパク質であるこ
とを特徴とする請求項1記載のDNA(a)配列番号2に
示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(b)配列番号
2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個の
アミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列
からなり、かつ非メチル化CpG配列を有する細菌DN
Aに対して反応性を有するタンパク質(請求項2)や、
配列番号1に示される塩基配列又はその相補的配列並び
にこれらの配列の一部または全部を含むことを特徴とす
る請求項1記載のDNA(請求項3)や、請求項3記載
の遺伝子を構成するDNAとストリンジェントな条件下
でハイブリダイズすることを特徴とする請求項1記載の
DNA(請求項4)や、非メチル化CpG配列を有する
細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質が、以
下の(a)又は(b)のタンパク質であることを特徴とする
請求項1記載のDNA(a)配列番号4に示されるアミノ
酸配列からなるタンパク質(b)配列番号4に示されるア
ミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠
失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、か
つ非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して反
応性を有するタンパク質(請求項5)や、配列番号3に
示される塩基配列又はその相補的配列並びにこれらの配
列の一部または全部を含むことを特徴とする請求項1記
載のDNA(請求項6)や、請求項6記載の遺伝子を構
成するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズすることを特徴とする請求項1記載のDNA(請求
項7)に関する。
する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質
(請求項8)や、配列番号2に示されるアミノ酸配列か
らなることを特徴とする請求項8記載のタンパク質(請
求項9)や、配列番号2に示されるアミノ酸配列におい
て、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付
加されたアミノ酸配列からなることを特徴とする請求項
8記載のタンパク質(請求項10)や、配列番号4に示
されるアミノ酸配列からなることを特徴とする請求項8
記載のタンパク質(請求項11)や、配列番号4に示さ
れるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸
が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなる
ことを特徴とする請求項8記載のタンパク質(請求項1
2)に関する。
記載のタンパク質と、マーカータンパク質及び/又はペ
プチドタグとを結合させた融合タンパク質(請求項1
3)や、請求項8〜12のいずれか記載のタンパク質と
特異的に結合する抗体(請求項14)や、抗体がモノク
ローナル抗体であることを特徴とする請求項14記載の
抗体(請求項15)や、請求項8〜12のいずれか記載
のタンパク質を発現することができる発現系を含んでな
る宿主細胞(請求項16)に関する。
する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質を
コードする遺伝子が過剰発現することを特徴とする非ヒ
ト動物(請求項17)や、非メチル化CpG配列を有す
る細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質をコ
ードする遺伝子機能が染色体上で欠損したことを特徴と
する非ヒト動物(請求項18)や、非メチル化CpG配
列を有する細菌DNAに対して不反応性であることを特
徴とする請求項18記載の非ヒト動物(請求項19)
や、齧歯目動物が、マウスであることを特徴とする請求
項17〜19のいずれか記載の非ヒト動物(請求項2
0)に関する。
する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質を
コードする遺伝子機能が染色体上で欠損した細胞に、請
求項1〜7のいずれか記載のDNAを導入することを特
徴とする非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対
して反応性を有するタンパク質を発現する細胞の調製方
法(請求項21)や、請求項21記載の非メチル化Cp
G配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タ
ンパク質を発現する細胞の調製方法により得られること
を特徴とする非メチル化CpG配列を有する細菌DNA
を特異的に認識する受容体タンパク質を発現する細胞
(請求項22)に関する。
ル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する
受容体タンパク質を発現している細胞をインビトロで培
養し、TLR9活性を測定・評価することを特徴とする
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認
識する受容体タンパク質のアゴニスト又はアンタゴニス
トのスクリーニング方法(請求項23)や、非メチル化
CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容
体タンパク質をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損
した非ヒト動物に被検物質を投与し、該非ヒト動物から
得られるマクロファージ又は脾臓細胞のTLR9活性を
測定・評価することを特徴とする非メチル化CpG配列
を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク
質のアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方
法(請求項24)や、非メチル化CpG配列を有する細
菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質をコード
する遺伝子が過剰発現した非ヒト動物に被検物質を投与
し、該非ヒト動物から得られるマクロファージ又は脾臓
細胞のTLR9活性を測定・評価することを特徴とする
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認
識する受容体タンパク質のアゴニスト又はアンタゴニス
トのスクリーニング方法(請求項25)や、非ヒト動物
が、マウスであることを特徴とする請求項24又は25
記載の非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対し
て反応性を有するタンパク質のアゴニスト又はアンタゴ
ニストのスクリーニング方法(請求項26)に関する。
か記載の非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特
異的に認識する受容体タンパク質のアゴニスト又はアン
タゴニストのスクリーニング方法により得られる非メチ
ル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する
受容体タンパク質のアゴニスト又はアンタゴニスト(請
求項27)や、非メチル化CpG配列を有する細菌DN
Aを特異的に認識する受容体タンパク質の全部又はその
一部を有効成分として含有する医薬組成物(請求項2
8)や、請求項27記載のアゴニスト又はアンタゴニス
トを有効成分として含有する医薬組成物(請求項29)
や、検体中の非メチル化CpG配列を有する細菌DNA
を特異的に認識する受容体タンパク質をコードするDN
Aと、請求項3記載のDNAとの塩基配列を比較するこ
とができる、請求項3記載のDNAを含むことを特徴と
する非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的
に認識する受容体タンパク質をコードするDNA配列の
欠失、置換及び/又は付加に関連する疾病の診断キット
(請求項30)に関する。
配列を有する細菌DNAとしては、T細胞、B細胞、抗
原提示細胞等の免疫細胞を活性化し、免疫応答を誘導す
ることができる、メチル化されていないCpGモチーフ
を有するオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)等のバ
クテリアに由来するDNAであればどのようなものでも
よく、エセリシア・コリ、クレブシェラ・ニューモニ
エ、シュードモナス・アエルギノサ、サルモネラ・チフ
ィムリウム、セラチア・マルセッセンス、フレクスナー
赤痢菌、ビブリオ・コレレェ、サルモネラ・ミネソタ、
ポルフィロモナス・ジンジバリス、スタフィロコッカス
・アウレウス、コリネバクテリウム・ジフテリア、ノカ
ルジア・コエリアカ、ストレプトコッカス・ニューモニ
アなどのバクテリア由来のDNAを具体的に挙げること
ができる。
DNAを特異的に認識する受容体タンパク質としては、
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認
識することができるタンパク質であれば特に制限される
ものではなく、例えば、配列表の配列番号2で示される
ヒト由来のTLR9や、配列番号2で示されるアミノ酸
配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換
若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ上記非
メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識
することができるタンパク質や、これらの組換えタンパ
ク質を具体的に挙げることができる。かかる非メチル化
CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容
体タンパク質は、そのDNA配列情報等に基づき公知の
方法で調製することができる。
する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質を
コードするDNAとしては、配列表の配列番号2で示さ
れるヒト由来のTLR9をコードするDNA、例えば配
列番号1で示されるものや、配列番号2で示されるアミ
ノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、
置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ上
記非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に
認識することができるタンパク質をコードするDNA
や、これらDNAとストリンジェントな条件下でハイブ
リダイズし、かつ上記非メチル化CpG配列を有する細
菌DNAを特異的に認識することができるタンパク質を
コードするDNAも包含され、これらはそのDNA配列
情報等に基づき、例えばマウス由来のTLR9において
はマウスRAW264.7cDNAライブラリーや12
9/SvJマウス遺伝子ライブラリーなどから公知の方
法により調製することができる。
その相補的配列並びにこれらの配列の一部又は全部をプ
ローブとして、マウス由来のDNAライブラリーに対し
てストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーション
を行ない、該プローブにハイブリダイズするDNAを単
離することにより、受容体タンパク質TLR9と同効な
目的とする免疫誘導非メチル化CpG配列を有する細菌
DNAを特異的に認識する受容体タンパク質をコードす
るDNAを得ることもできる。かかるDNAを取得する
ためのハイブリダイゼーションの条件としては、例え
ば、42℃でのハイブリダイゼーション、及び1×SS
C、0.1%のSDSを含む緩衝液による42℃での洗
浄処理を挙げることができ、65℃でのハイブリダイゼ
ーション、及び0.1×SSC,0.1%のSDSを含
む緩衝液による65℃での洗浄処理をより好ましく挙げ
ることができる。なお、ハイブリダイゼーションのスト
リンジェンシーに影響を与える要素としては、上記温度
条件以外に種々の要素があり、当業者であれば、種々の
要素を適宜組み合わせて、上記例示したハイブリダイゼ
ーションのストリンジェンシーと同等のストリンジェン
シーを実現することが可能である。
ト等の非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異
的に認識する受容体タンパク質に、マーカータンパク質
及び/又はペプチドタグを結合させたものをいい、マー
カータンパク質としては、従来知られているマーカータ
ンパク質であればどのようなものでもよく、例えば、ア
ルカリフォスファターゼ、抗体のFc領域、HRP、G
FPなどを具体的に挙げることができ、また本発明にお
けるペプチドタグとしては、Mycタグ、Hisタグ、
FLAGタグ、GSTタグなどの従来知られているペプ
チドタグを具体的に例示することができる。かかる融合
タンパク質は、常法により作製することができ、Ni−
NTAとHisタグの親和性を利用した非メチル化Cp
G配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タ
ンパク質の精製や、非メチル化CpG配列を有する細菌
DNAを特異的に認識する受容体タンパク質の検出や、
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認
識する受容体タンパク質に対する抗体の定量や、その他
当該分野の研究用試薬としても有用である。
菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質に特異的
に結合する抗体としては、モノクローナル抗体、ポリク
ローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体等
の免疫特異的な抗体を具体的に挙げることができ、これ
らは上記非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特
異的に認識する受容体タンパク質を抗原として用いて常
法により作製することができるが、その中でもモノクロ
ーナル抗体がその特異性の点でより好ましい。かかるモ
ノクローナル抗体等の非メチル化CpG配列を有する細
菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質に特異的
に結合する抗体は、例えば、TLR9の変異又は欠失に
起因する疾病の診断やTLR9の制御分子機構を明らか
にする上で有用である。
を特異的に認識する受容体タンパク質に対する抗体は、
慣用のプロトコールを用いて、動物(好ましくはヒト以
外)に該非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特
異的に認識する受容体タンパク質若しくはエピトープを
含む断片、又は該タンパク質を膜表面に発現した細胞を
投与することにより産生され、例えばモノクローナル抗
体の調製には、連続細胞系の培養物により産生される抗
体をもたらす、ハイブリドーマ法(Nature 256, 495-49
7, 1975)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ
法(ImmunologyToday 4, 72, 1983)及びEBV−ハイ
ブリドーマ法(MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THE
RAPY, pp.77-96, Alan R.Liss, Inc., 1985)など任意
の方法を用いることができる。以下に非メチル化CpG
配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タン
パク質として、マウス由来のTLR9を例に挙げてマウ
ス由来のTLR9に対して特異的に結合するモノクロー
ナル抗体、すなわち抗mTLR9モノクローナル抗体の
作製方法を説明する。
抗mTLR9モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを
インビボ又はインビトロで常法により培養することによ
り生産することができる。例えば、インビボ系において
は、齧歯動物、好ましくはマウス又はラットの腹腔内で
培養することにより、またインビトロ系においては、動
物細胞培養用培地で培養することにより得ることができ
る。インビトロ系でハイブリドーマを培養するための培
地としては、ストレプトマイシンやペニシリン等の抗生
物質を含むRPMI1640又はMEM等の細胞培養培
地を例示することができる。
ブリドーマは、例えば、マウス等から得られた受容体タ
ンパク質TLR9を用いてBALB/cマウスを免役
し、免疫されたマウスの脾臓細胞とマウスNS−1細胞
(ATCC TIB−18)とを、常法により細胞融合
させ、免疫蛍光染色パターンによりスクリーニングする
ことにより、抗mTLR9モノクローナル抗体産生ハイ
ブリドーマを作出することができる。また、かかるモノ
クローナル抗体の分離・精製方法としては、タンパク質
の精製に一般的に用いられる方法であればどのような方
法でもよく、アフィニティークロマトグラフィー等の液
体クロマトグラフィーを具体的に例示することができ
る。
を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク
質に対する一本鎖抗体をつくるためには、一本鎖抗体の
調製法(米国特許第4,946,778号)を適用することがで
きる。また、ヒト化抗体を発現させるために、トランス
ジェニックマウス又は他の哺乳動物等を利用したり、上
記抗体を用いて、その非メチル化CpG配列を有する細
菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質を発現す
るクローンを単離・同定したり、アフィニティークロマ
トグラフィーでそのポリペプチドを精製することもでき
る。非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的
に認識する受容体タンパク質に対する抗体は、非メチル
化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受
容体タンパク質の分子機構を明らかにする上で有用であ
る。
等の抗体に、例えば、FITC(フルオレセインイソシ
アネート)又はテトラメチルローダミンイソシアネート
等の蛍光物質や、125I、32P、35S又は3H等のラジオ
アイソトープや、アルカリホスファターゼ、ペルオキシ
ダーゼ、β−ガラクトシダーゼ又はフィコエリトリン等
の酵素で標識したものや、グリーン蛍光タンパク質(G
FP)等の蛍光発光タンパク質などを融合させた融合タ
ンパク質を用いることによって、上記非メチル化CpG
配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タン
パク質の機能解析を行うことができる。また免疫学的測
定方法としては、RIA法、ELISA法、蛍光抗体
法、プラーク法、スポット法、血球凝集反応法、オクタ
ロニー法等の方法を挙げることができる。
を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク
質を発現することができる発現系を含んでなる宿主細胞
に関する。かかる非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAを特異的に認識する受容体タンパク質をコードする
遺伝子の宿主細胞への導入は、Davisら(BASIC METHODS
IN MOLECULAR BIOLOGY, 1986)及びSambrookら(MOLEC
ULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold S
pring Harbor Laboratory Press, Cold SpringHarbor,
N.Y., 1989)などの多くの標準的な実験室マニュアルに
記載される方法、例えば、リン酸カルシウムトランスフ
ェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェ
クション、トランスベクション(transvection)、マイク
ロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェ
クション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレ
ープローディング (scrape loading)、弾丸導入(ballis
tic introduction)、感染等により行うことができる。
そして、宿主細胞としては、大腸菌、ストレプトミセ
ス、枯草菌、ストレプトコッカス、スタフィロコッカス
等の細菌原核細胞や、酵母、アスペルギルス等の真菌細
胞や、ドロソフィラS2、スポドプテラSf9等の昆虫
細胞や、L細胞、CHO細胞、COS細胞、HeLa細
胞、C127細胞、BALB/c3T3細胞(ジヒドロ
葉酸レダクターゼやチミジンキナーゼなどを欠損した変
異株を含む)、BHK21細胞、HEK293細胞、B
owesメラノーマ細胞、卵母細胞等の動植物細胞など
を挙げることができる。
pG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体
タンパク質を宿主細胞内で発現させることができる発現
系であればどのようなものでもよく、染色体、エピソー
ム及びウイルスに由来する発現系、例えば、細菌プラス
ミド由来、酵母プラスミド由来、SV40のようなパポ
バウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏
痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、レトロウイルス由来
のベクター、バクテリオファージ由来、トランスポゾン
由来及びこれらの組合せに由来するベクター、例えば、
コスミドやファージミドのようなプラスミドとバクテリ
オファージの遺伝的要素に由来するものを挙げることが
できる。これら発現系は、発現を起こさせるだけでな
く、発現を調節する制御配列を含んでいてもよい。
細胞の細胞膜、またかかる細胞を培養して得られる非メ
チル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識す
る受容体タンパク質は、後述するように本発明のスクリ
ーニング方法に用いることができる。例えば、細胞膜を
得る方法としては、F. Pietri-Rouxel(Eur. J. Bioche
m., 247, 1174-1179, 1997)らの方法などを用いること
ができ、また、かかる非メチル化CpG配列を有する細
菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質を細胞培
養物から回収し精製するには、硫酸アンモニウムまたは
エタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換
クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフ
ィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニテ
ィークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロ
マトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含
めた公知の方法、好ましくは、高速液体クロマトグラフ
ィーが用いられる。特に、アフィニティークロマトグラ
フィーに用いるカラムとしては、例えば、抗TLR9モ
ノクローナル抗体等の抗非メチル化CpG配列を有する
細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質抗体を
結合させたカラムや、上記TLR9等の非メチル化Cp
G配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タ
ンパク質に通常のペプチドタグを付加した場合は、この
ペプチドタグに親和性のある物質を結合したカラムを用
いることにより、これらの非メチル化CpG配列を有す
る細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質を得
ることができる。
列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパ
ク質をコードする遺伝子が過剰発現する非ヒト動物と
は、野生型非ヒト動物に比べてかかる非メチル化CpG
配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タン
パク質を大量に産生する非ヒト動物をいい、また、非メ
チル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識す
る受容体タンパク質をコードする遺伝子機能が染色体上
で欠損した非ヒト動物とは、染色体上の非メチル化Cp
G配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タ
ンパク質をコードする遺伝子の一部若しくは全部が破壊
・欠損・置換等の遺伝子変異により不活性化され、非メ
チル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識す
る受容体タンパク質を発現する機能を失なった非ヒト動
物をいう。そして、本発明における非ヒト動物として
は、ウサギや、マウス、ラット等の齧歯目動物などの非
ヒト動物を具体的に挙げることができるが、これらに限
定されるものではない。
列を有する細菌DNAに対して不反応性とは、細菌DN
Aによる刺激に対する生体又は生体を構成する細胞、組
織若しくは器官の反応性が低下しているか、あるいはほ
ぼ失われていることを意味する。したがって、本発明に
おいて非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対し
て不反応性の非ヒト動物とは、細菌DNAによる刺激に
対して、生体又は生体を構成する細胞、組織若しくは器
官の反応性が低下しているか、あるいはほぼ失われてい
るマウス、ラット、ウサギ等のヒト以外の動物をいう。
また、細菌DNAによる刺激としては、細菌DNAを生
体に投与するインビボでの刺激や、生体から分離された
細胞に細菌DNAを接触させるインビトロでの刺激等を
挙げることができ、具体的には、TLR9ノックアウト
マウス等のTLR9遺伝子機能が染色体上で欠損した非
ヒト動物を挙げることができる。
くるホモ接合体非ヒト動物には、非メチル化CpG配列
を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク
質欠損型又は過剰発現型とその同腹の野生型とが含ま
れ、これらホモ接合体非ヒト動物における欠損型又は過
剰発現型とその同腹の野生型を同時に用いることによっ
て個体レベルで正確な比較実験をすることができること
から、野生型の非ヒト動物、すなわち非メチル化CpG
配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タン
パク質をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損又は過
剰発現する非ヒト動物と同種の動物、さらには同腹の動
物を、例えば下記に記載する本発明のスクリーニングに
際して併用することが好ましい。かかる非メチル化Cp
G配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タ
ンパク質をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損又は
過剰発現する非ヒト動物の作製方法を、非メチル化Cp
G配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タ
ンパク質のノックアウトマウスやトランスジェニックマ
ウスを例にとって以下説明する。
列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパ
ク質をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損したマウ
ス、すなわち非メチル化CpG配列を有する細菌DNA
を特異的に認識する受容体タンパク質ノックアウトマウ
スは、マウス遺伝子ライブラリーからPCR等の方法に
より得られた遺伝子断片を用いて、上記非メチル化Cp
G配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タ
ンパク質をコードする遺伝子をスクリーニングし、スク
リーニングされた非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAを特異的に認識する受容体タンパク質をコードする
遺伝子をウイルスベクター等を用いてサブクローンし、
DNAシーケンシングにより特定する。このクローンの
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認
識する受容体タンパク質をコードする遺伝子の全部又は
一部をpMC1ネオ遺伝子カセット等に置換し、3′末
端側にジフテリアトキシンAフラグメント(DT−A)
遺伝子や単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(H
SV−tk)遺伝子等の遺伝子を導入することによっ
て、ターゲットベクターを作製する。
線状化し、エレクトロポレーション(電気穿孔)法等に
よってES細胞に導入し、相同的組換えを行い、その相
同的組換え体の中から、G418やガンシクロビア(G
ANC)等の抗生物質により相同的組換えを起こしたE
S細胞を選択する。また、この選択されたES細胞が目
的とする組換え体かどうかをサザンブロット法等により
確認することが好ましい。その確認されたES細胞のク
ローンをマウスの胚盤胞中にマイクロインジェクション
し、かかる胚盤胞を仮親のマウスに戻し、キメラマウス
を作製する。このキメラマウスを野生型のマウスとイン
タークロスさせると、ヘテロ接合体マウスを得ることが
でき、また、このヘテロ接合体マウスをインタークロス
させることによって、本発明の非メチル化CpG配列を
有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質
ノックアウトマウスを作製することができる。また、非
メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識
する受容体タンパク質ノックアウトマウスが生起してい
るかどうかを確認する方法としては、例えば、上記の方
法により得られたマウスからRNAを単離してノーザン
ブロット法等により調べたり、またこのマウスの発現を
ウエスタンブロット法等により調べる方法がある。
ウスが非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対し
て不応答性であることは、例えば、CpG ODNをT
LR9ノックアウトマウスのマクロファージ、単核細
胞、樹状細胞などの免疫細胞にインビトロ又はインビボ
で接触せしめ、かかる細胞におけるTNF−α、IL−
6、IL−12、IFN−γ等の産生量や、脾臓B細胞
の増殖応答や、脾臓B細胞表面でのCD40、CD8
0、CD86、MHCクラスII等の抗原の発現量や、N
F−κB、JNK、IRAK等のTLR9のシグナル伝
達経路における分子の活性化を測定することにより確認
することができる。そして、本発明のTLR9ノックア
ウトマウスは、非メチル化CpG配列を有する細菌DN
A等の作用機序の解明や細菌感染に対するワクチン開発
に有用なモデルとすることができる。
を特異的に認識する受容体タンパク質のトランスジェニ
ックマウスは、TLR9等の非メチル化CpG配列を有
する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質を
コードするcDNAにチキンβ−アクチン、マウスニュ
ーロフィラメント、SV40等のプロモーター、及びラ
ビットβ−グロビン、SV40等のポリA又はイントロ
ンを融合させて導入遺伝子を構築し、該導入遺伝子をマ
ウス受精卵の前核にマイクロインジェクションし、得ら
れた卵細胞を培養した後、仮親のマウスの輸卵管に移植
し、その後被移植動物を飼育し、産まれた仔マウスから
前記cDNAを有する仔マウスを選択することによりか
かるトランスジェニックマウスを創製することができ
る。また、cDNAを有する仔マウスの選択は、マウス
の尻尾等より粗DNAを抽出し、導入した非メチル化C
pG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体
タンパク質をコードする遺伝子をプローブとするドット
ハイブリダイゼーション法や、特異的プライマーを用い
たPCR法等により行うことができる。
する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質を
コードするDNAの全部あるいは一部を用いると、非メ
チル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識す
る受容体タンパク質の欠失又は異常に起因する疾病等の
遺伝子治療に有効な細胞を調製することができる。本発
明におけるこれら細胞の調製方法としては、非メチル化
CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容
体タンパク質をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損
した細胞に、上記本発明のDNAの全部あるいは一部を
トランスフェクション等により導入し、非メチル化Cp
G配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タ
ンパク質を発現する細胞を得る方法を挙げることがで
き、特に、かかる非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAを特異的に認識する受容体タンパク質を発現する細
胞としては、上記DNA等が染色体にインテグレイトさ
れ、ステイブルにTLR9活性を示す細胞を用いること
が好ましい。
有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質
をコードするDNA、非メチル化CpG配列を有する細
菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質とマーカ
ータンパク質及び/又はペプチドタグとを結合させた融
合非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に
認識する受容体タンパク質に対する抗体、非メチル化C
pG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体
タンパク質を発現することができる発現系を含んでなる
宿主細胞、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを
特異的に認識する受容体タンパク質をコードする遺伝子
が過剰発現する非ヒト動物、非メチル化CpG配列を有
する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質を
コードする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動
物、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的
に認識する受容体タンパク質を発現する細胞等を用いる
と、本発明の非メチル化CpG配列を有する細菌DNA
を特異的に認識する受容体タンパク質のアゴニスト又は
アンタゴニストや、非メチル化CpG配列を有する細菌
DNAに対する反応性の抑制物質又は促進物質をスクリ
ーニングすることができる。これらのスクリーニングに
より得られたものは、細菌感染症に対する抑制物質又は
促進物質や、アレルギー性疾患若しくは癌に対する抑制
剤、予防剤又は治療薬や、遺伝子治療等において副作用
を抑制剤又は阻害剤や、TLR9活性の欠失又は異常に
起因する疾病等の診断・治療に有用な物質である可能性
がある。
配列を有する細菌DNAと特異的に反応し、細胞内にシ
グナルを伝達する機能をいい、シグナル伝達機能として
は、TNF−α、IL−6、IL−12、IFN−γ等
のサイトカインを産生する機能や、亜硝酸イオンを産生
する機能や、細胞を増殖する機能や、細胞表面において
CD40、CD80、CD86、MHCクラスII等の抗
原を発現する機能や、NF−κB、JNK、IRAK等
のTLR9のシグナル伝達経路における分子を活性化さ
せる機能などを具体的に例示することができるが、これ
らに限定されるものではない。
菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質のアゴニ
スト又はアンタゴニストのスクリーニング方法として
は、被検物質の存在下、マクロファージ、脾臓細胞又は
樹状細胞などの免疫細胞、非メチル化CpG配列を有す
る細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質を発
現している細胞、非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAを特異的に認識する受容体タンパク質を発現する細
胞等の非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対し
て反応性を有するタンパク質を発現している細胞をイン
ビトロで培養し、TLR9活性を測定・評価する方法
や、野生型非ヒト動物、非メチル化CpG配列を有する
細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質をコー
ドする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物、又
は、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的
に認識する受容体タンパク質をコードする遺伝子が過剰
発現した非ヒト動物に被検物質を投与し、該非ヒト動物
から得られるマクロファージ、脾臓細胞、又は樹状細胞
などの免疫細胞のTLR9活性を測定・評価する方法等
を具体的に挙げることができる。
性の程度を測定・評価するに際し、対照として野生型非
ヒト動物、特に同腹の野生型非ヒト動物の測定値と比較
・評価することが個体差によるバラツキをなくすること
ができるので好ましい。このことは、以下に示す非メチ
ル化CpG配列を有する細菌DNAに対する反応性の抑
制物質又は促進物質のスクリーニングにおいても同様で
ある。
DNAに対する反応性の抑制物質又は促進物質のスクリ
ーニング方法としては、被検物質と非メチル化CpG配
列を有する細菌DNAとの存在下、非メチル化CpG配
列を有する細菌DNAに対して反応性を有するタンパク
質、又は該タンパク質を発現している細胞膜をインビト
ロでインキュベーションし、該タンパク質との反応性を
測定・評価する方法や、非メチル化CpG配列を有する
細菌DNAに対して反応性を有するタンパク質をコード
する遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物から得
られるマクロファージ又は脾臓細胞と被検物質とをあら
かじめインビトロで接触せしめた後、該マクロファージ
又は脾臓細胞を非メチル化CpG配列を有する細菌DN
Aの存在下で培養し、該マクロファージ若しくは脾臓細
胞のマクロファージ活性又は脾臓細胞活性の程度を測定
・評価する方法や、非メチル化CpG配列を有する細菌
DNAに対して反応性を有するタンパク質をコードする
遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物から得られ
るマクロファージ又は脾臓細胞と非メチル化CpG配列
を有する細菌DNAとをあらかじめインビトロで接触せ
しめた後、該マクロファージ又は脾臓細胞を被検物質の
存在下で培養し、該マクロファージ若しくは脾臓細胞の
マクロファージ活性又は脾臓細胞活性の程度を測定・評
価する方法や、非メチル化CpG配列を有する細菌DN
Aに対して反応性を有するタンパク質をコードする遺伝
子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物にあらかじめ被
検物質を投与した後、該非ヒト動物から得られるマクロ
ファージ又は脾臓細胞を非メチル化CpG配列を有する
細菌DNAの存在下で培養し、該マクロファージ若しく
は脾臓細胞のマクロファージ活性又は脾臓細胞活性の程
度を測定・評価する方法や、非メチル化CpG配列を有
する細菌DNAに対して反応性を有するタンパク質をコ
ードする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物に
あらかじめ被検物質を投与した後、該非ヒト動物を細菌
により感染させ、該非ヒト動物から得られるマクロファ
ージ若しくは脾臓細胞のマクロファージ活性又は脾臓細
胞活性の程度を測定・評価する方法や、非メチル化Cp
G配列を有する細菌DNAに対して反応性を有するタン
パク質をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損した非
ヒト動物をあらかじめ細菌により感染させた後、該非ヒ
ト動物から得られるマクロファージ又は脾臓細胞を被検
物質の存在下で培養し、該マクロファージ若しくは脾臓
細胞のマクロファージ活性又は脾臓細胞活性の程度を測
定・評価する方法や、非メチル化CpG配列を有する細
菌DNAに対して反応性を有するタンパク質をコードす
る遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物をあらか
じめ細菌により感染させた後、該非ヒト動物に被検物質
を投与し、該非ヒト動物から得られるマクロファージ若
しくは脾臓細胞のマクロファージ活性又は脾臓細胞活性
の程度を測定・評価する方法や、非メチル化CpG配列
を有する細菌DNAに対して反応性を有するタンパク質
をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動
物にあらかじめ被検物質を投与した後、該非ヒト動物を
細菌により感染させ、該非ヒト動物におけるマクロファ
ージ活性又は脾臓細胞活性の程度を測定・評価する方法
や、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して
反応性を有するタンパク質をコードする遺伝子機能が染
色体上で欠損した非ヒト動物をあらかじめ細菌により感
染させた後、該非ヒト動物に被検物質を投与し、該非ヒ
ト動物におけるマクロファージ活性又は脾臓細胞活性の
程度を測定・評価する方法などを具体的に挙げることが
できる。また、これらのスクリーニング方法に用いる非
メチル化CpG配列を有する細菌DNAとしては、Cp
G ODN(TCC−ATG−ACG−TTC−CTG
−ATG−CT:配列番号5)を用いることが好ましい
が、これに限定されるのもではない。
配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タン
パク質をコードするDNA配列を、本発明の非メチル化
CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容
体タンパク質をコードするDNA配列と比較することか
らなる、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特
異的に認識する受容体タンパク質の活性又は発現と関連
する疾病の診断に用いられる診断キットに関する。非メ
チル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識す
る受容体タンパク質をコードするDNAの変異型の検出
は、遺伝子に変異がある個体をDNAレベルで見い出す
ことにより行うことができ、非メチル化CpG配列を有
する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質の
過少発現、過剰発現又は変異発現により生ずる疾病の診
断に有効である。かかる検出に用いられる検体として
は、被験者の細胞、例えば血液、尿、唾液、組織等の生
検から得ることができるゲノムDNAや、RNA又はc
DNAを具体的に挙げることができるがこれらに限定さ
れるものではなく、かかる検体を使用する場合、PCR
等により増幅したものを用いることもできる。そして、
塩基配列の欠失や挿入変異は、正常な遺伝子型と比較し
たときの増幅産物のサイズの変化により検出でき、また
点突然変異は増幅DNAを標識非メチル化CpG配列を
有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質
をコードする遺伝子とハイブリダイズさせることで同定
することができる。このように、非メチル化CpG配列
を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク
質をコードする遺伝子の変異を検出することで、非メチ
ル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する
受容体タンパク質の活性又は発現と関連する疾病の診断
又は判定をすることができる。
する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質を
コードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又
は一部からなる非メチル化CpG配列を有する細菌DN
Aを特異的に認識する受容体タンパク質の活性又は発現
と関連する疾患の診断用プローブ、及び当該プローブ及
び/又は本発明の非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAを特異的に認識する受容体タンパク質に特異的に結
合する抗体を含有してなる非メチル化CpG配列を有す
る細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質の活
性又は発現と関連する疾患の診断キットに関する。前記
診断用プローブとしては、非メチル化CpG配列を有す
る細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質をコ
ードするDNA(cDNA)又はRNA(cRNA)の
アンチセンス鎖の全部又は一部であり、プローブとして
成立する程度の長さ(少なくとも20ベース以上)を有
するものであれば特に制限されるものではない。かかる
プローブ及び/又は本発明の非メチル化CpG配列を有
する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質に
特異的に結合する抗体を細菌感染症等のような症状の疾
患の診断薬の有効成分とするためには、プローブが分解
されないような適当なバッファー類や滅菌水に溶解する
ことが好ましい。また、これらの診断薬を用いた、免疫
染色法(Dev.Biol. 170, 207-222, 1995、J. Neurobio
l. 29, 1-17, 1996)や、In situハイブリダイゼーシ
ョン法(J. Neurobiol. 29, 1-17, 1996)や、in si
tu PCR法等の方法により細菌感染症等のような症状の疾
患を診断することもできる。
の非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に
認識する受容体タンパク質の全部又はその一部や、上記
受容体タンパク質のアゴニストやアンタゴニストを含む
ものであれば、どのようなものでもよい。具体的には、
細菌感染症に対するワクチンや、癌に対するワクチン
や、気管支喘息をはじめとするアレルギー疾患の治療薬
や、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた治療や遺
伝子治療において障害となるCpGモチーフの存在によ
る副作用の克服剤・抑制剤・阻害剤などを挙げることが
できる。
配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タン
パク質をコードするDNA配列の欠失、置換及び/又は
付加に関連する疾病の診断キットとしては、TLR9を
コードするDNAを含むものであればどのようなもので
もよく、かかるTLR9をコードするDNAと検体中の
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認
識する受容体タンパク質をコードするDNAとの塩基配
列を比較することにより、非メチル化CpG配列を有す
る細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質をコ
ードするDNA配列の欠失、置換及び/又は付加に関連
する疾病、例えば、癌、アレルギー、伝染病等の診断が
可能となる。
的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれら実施例
により限定されるものではない。 実施例1(TLR9のクローニング) ヒトTLR4のDNA配列情報を用いて、GenBankをサ
ーチした結果、相同性がきわめて高いマウスEST(登
録番号AA273731;マウス)を見い出した。この
マウスESTのPCR増幅産物をプローブとして、マウ
スRAW264.7cDNAライブラリーをスクリーニ
ングし、完全なTLR9オープンリーディングフレーム
を含む配列番号3に示される完全長のcDNAクローン
を単離した。このマウスTLR9のDNA配列情報を用
いてGenBankをサーチし、高い相同性を有するヒトゲノ
ム配列を見い出した。このヒトゲノム配列に基づいて、
cDNA端部を増幅し、U937細胞(J. Immunol. 16
3, 5039-5048, 1999)から、配列番号1に示される塩基
配列を有する完全長のヒトTLR9のcDNAを単離し
た。
作製) 129/SvJマウス遺伝子ライブラリー(ストラタジ
ーン社製)からTLR9ゲノムDNAを単離し、pBlues
cript II SK(+)ベクター(ストラタジーン社製)中でサ
ブクローンし、制限酵素マッピング及びDNA配列決定
により特定した。ターゲッティングベクターは、LRR
(ロイシンリッチリピート)領域の一部分をコードする
1.0kbのフラグメントを、ネオマイシン耐性遺伝子
カセット(pMC1-neo;ストラタジーン社製)に置換し、
負の選択マーカーとして単純ヘルペスウィルスチミジン
キナーゼ(HSV−TK)を挿入することにより構築し
た(図1)。このターゲッティングベクターを線状化
し、胎生14.1日目の胚幹細胞(ES細胞)にエレク
トポレーションし、G418及びガンシクロビアに抵抗
性を示す292個のクローンを選択し、PCR法及びサ
ザンブロット法により14個のクローンをスクリーニン
グした。
た3個の標的ESクローンを、C57BL/6マウスの
胚盤胞中にマイクロインジェクションしキメラマウスを
作製した。この雄のキメラマウスをC57BL/6雌マ
ウスと交配させ、ヘテロ接合体F1マウスを作製し、か
かるヘテロ接合体F1マウスをインタークロスすること
によってホモ接合体マウス(TLR9ノックアウトマウ
ス:TLR9-/-)を得た(図2)。なお、ホモ接合体
マウスの確認は、マウスの尾から抽出した各ゲノムDN
AをScaIでダイジェストし、図1に示すプローブを
用いたサザンブロット法により行った。本発明のTLR
9ノックアウトマウス(TLR9-/-)はメンデルの法
則に従い作製することができ、12週目までは顕著な異
常を示さなかった。
が生起していることを確認するため、野生型マウス(+
/+)及びTLR9ノックアウトマウス(−/−)の脾
臓細胞から抽出した全RNA(10μg)を電気泳動に
かけナイロン膜に移して、[ 32P]で標識したTLR9
のC−末端フラグメント若しくはN−末端フラグメン
ト、又はβ−アクチン(β−actin)に特異的なc
DNAを用いてノーザンブロット分析を行った(図
3)。これらの結果から、TLR9mRNAのN−末端
フラグメントはTLR9ノックアウトマウスの脾臓細胞
からは検出されなかった。また、C−末端フラグメント
をプローブとした場合、変異マウス由来のTlr9の転
写は野生型マウス由来のものとほぼ同じサイズのものが
検出されたが、生産量においては少ないことがわかっ
た。そこで、変異マウスから得られた脾臓細胞のmRN
Aを用いてRT−PCR法を行い、得られた生成物の配
列分析を行った。この結果、転写されたTlr9遺伝子
にはneo遺伝子が含まれており、このneoの挿入に
よって、TLR9のN−末端部位にストップコドンが出
現し、変異マウスにおいて機能的なTLR9タンパク質
が発現しないことがわかった(図4)。なお、TLR9
ノックアウトマウスのリンパ細胞をフローサイトメトリ
ーで測定した結果、異常成分は見られなかった。
クアウトマウス(TLR9-/-)のそれぞれの腹腔内に
4%のチオグリコール酸培地(DIFCO社製)を2m
lずつ注入し、3日後に各マウスの腹腔内から腹膜滲出
細胞を単離し、これらの細胞を10%のウシ胎仔血清
(GIBCO社製)を添加したRPMI1640培地
(GIBCO社製)中で37℃にて2時間培養し、氷温
のハンクス緩衝液(Hank's buffered salt solution:
HBSS;GIBCO社製)で洗浄することにより非付
着細胞を取り除き、付着細胞を腹膜マクロファージとし
て以下の実験に使用した。
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対する応答
性) 最近、CpG ODN(oligodeoxynucleotide)の応答
性は、TLRを介するシグナル伝達経路の中のアダプタ
ータンパク質であるMyD88に依存していることが明
らかになった。このMyD88ノックアウトマウスはC
pG ODNに対して応答しないが、TLR2ノックア
ウトマウスやTLR4ノックアウトマウスは正常にCp
G ODNに対して応答する。これらのことは、CpG
ODNがTLR2及びTLR4以外のTLRによって
認識されることを示している。そこで、TLR9ノックア
ウトマウスのCpG ODNに対する応答性を調べてみ
た。まず、腹腔マクロファージにおける炎症性サイトカ
インの産生量を以下のように測定した。
ージをINFγ(30unit/ml)の存在下又は非
存在下において、図5に示された各種濃度のCpG O
DN(0.1又は1.0μM;TIB MOLBIOL社製;TC
C−ATG−ACG−TTC−CTG−ATG−C
T)、PGN(10μg/ml;Sigma and Fluka社
製;スタフィロコッカス・アウレウス由来)、LPS
(1.0μg/ml;Sigma社製;サルモネラ・ミネソ
タRe−595由来)といっしょに24時間培養した。
培養後、培養上清中のTNFα、IL−6及びIL−1
2 p40の各濃度をELISA法により測定した。こ
の結果を図5に示す。これらの結果から、野生型マウス
(Wild−type)のマクロファージはCpG O
DNに応答してTNFα、IL−6及びIL−12を産
生し、さらにIFNγ及びCpG ODNで刺激する
と、TNFα、IL−6及びIL−12の産生量が増加
することがわかった。しかし、TLR9ノックアウトマ
ウス(TLR9-/-)由来のマクロファージは、IFN
γの存在下でさえ、CpG ODNに対する応答におい
て検出可能なレベルの炎症性サイトカインを産生してい
なかった。また、野生型マウス及びTLR9ノックアウ
トマウス由来のマクロファージは、LPS又はPGNに
対する応答によりTNFα、IL−6及びIL−12を
ほぼ同程度産生することがわかった(図5)。なお、そ
れぞれの実験結果はn=3の平均値を示す。図中のN.
D.は検出できなかったことを示す。
野生型マウス(Wild−type)及びTLR9ノッ
クアウトマウス(TLR9-/-)の脾臓細胞の応答性に
ついて調べてみた。それぞれのマウスの脾臓細胞(1×
105)を単離し、図6に示す各種濃度のCpG OD
N又はLPSにより96ウェルプレート内で培養して脾
臓細胞を刺激した。培養から40時間後に1μCiの[
3H]−チミジン(デュポント社製)を添加して更に8
時間培養し、[3H]の摂取量をβシンチレーションカ
ウンター(パッカード社製)で測定した(図6)。この
結果から、野生型マウスの脾臓細胞では、CpG OD
NやLPSの投与量に依存して細胞増殖反応を促進して
いたが、TLR9ノックアウトマウスの脾臓細胞では、
いかなる濃度のCpG ODN刺激においてもCpG
ODNによる細胞増殖反応は見られなかった。また、C
pG ODNに応答して、野生型マウス由来のB細胞表
面の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIIの発
現が増加した。しかし、TLR9ノックアウトマウス由
来のB細胞ではCpG ODNに誘導されたMHCクラ
スIIの発現の増加は見られなかった。以上のことから、
TLR9ノックアウトマウスのマクロファージやB細胞
は、CpG ODNに対する応答性を特異的に欠如して
いることがわかった。
ア由来DNAは樹状細胞を潜在的に刺激し、Th1細胞
の発達をサポートすることが知られている(EMBO J. 1
8, 6973-6982, 1999、J. Immunol. 161, 3042-3049, 19
98、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 9305-9310, 199
9)。そこでCpG ODN誘導サイトカインの産生
と、骨髄由来の樹状細胞の表面分子のアップレギュレー
ションを分析した。野生型マウス(Wild−typ
e)又はTLR9ノックアウトマウス(TLR9-/-)
の骨髄細胞を、10ng/mlのマウス顆粒球マクロフ
ァージ−コロニー刺激因子(Peprotech社製)を含む1
0%のウシ胎仔血清を添加したRPMI1640培地で
培養し(J. Exp. Med. 176, 1693-1702, 1992)、培養
後6日目に未成熟の樹状細胞を回収し、0.1μMのC
pG ODN又は0.1μg/mlのLPSの存在下若
しくは非存在下において、10%のウシ胎仔血清を添加
したRPMI1640培地中で2日間培養した。培養
後、上清中のIL−12 p40の濃度をELISA法
で測定した(図7)。この結果から、野生型マウス由来
の樹状細胞はCpG ODNに応答してIL−12を産
生したが、TLR9ノックアウトマウス由来の樹状細胞
においては、CpG ODNはIL−12の産生を誘導
しなかった。
ファージ−コロニー刺激因子(Peprotech社製)を含む
10%のウシ胎仔血清を添加したRPMI1640培地
で培養し、6日目に回収された樹状細胞を、CD40、
CD80、CD86及びMHCクラスIIに対する、それ
ぞれのビオチン化抗体により染色し、フィコエリトリン
(phycoerythrin:PE;ファーミンジェ
ン社製)で標識したストレプトアビジンで発展させ、こ
れらの細胞をセルクエストソフトウェア(ベクトンディ
ッキンソン社製)により蛍光活性化セルソーターキャリ
バー(FACS Calibur)で分析した(図8)。この結果か
ら、CpG ODNで刺激すると、野生型マウス由来の
樹状細胞表面においては、CD40、CD80、CD8
6及びMHCクラスIIの発現を促進していたが、TLR
9ノックアウトマウス由来の樹状細胞表面では、CpG
ODNに対する応答によりこれらの分子の発現を促進
しなかった(図8)。LPSによる刺激では、野生型マ
ウス由来の樹状細胞もTLR9ノックアウトマウス由来
の樹状細胞も同様の応答がみられた。以上の結果から、
TLR9はCpG ODNの細胞応答に不可欠な受容体
であることがわかった。
来のマクロファージのCpG ODNに対する応答によ
るNF−κB、JNK及びIRAKの活性化) TLRのシグナルは、アダプター分子であるMyD88
を介してセリン/トレオニンキナーゼであるIRAKを
活性化し、次いでMAPキナーゼ及びNF−κBを活性
化することが知られている(Immunity 11, 115-122, 19
99)。そこでCpG ODNが、かかる細胞内シグナル
伝達分子を活性化するかどうかを調べてみた。実施例3
により調製した野生型マウス及びTLR9ノックアウト
マウスの腹腔マクロファージ(1×106cells)を、
1.0μMのCpG ODN又は1.0μg/mlのサ
ルモネラ・ミネソタRe−595のLPSで図9に示さ
れた時間刺激し、各マウスのマクロファージから核蛋白
質を抽出し、NF−κBのDNA結合部位を含む特異的
プローブといっしょにインキュベートし、電気泳動を行
い、オートラジオグラフィーにより視覚化した(図
9)。
と、野生型マウス由来のマクロファージではNF−κB
のDNA結合活性が増加するのに対し、TLR9ノック
アウトマウス由来のマクロファージではNF−κBのD
NA結合活性は増加しなかった。TLR9ノックアウト
マウス由来のマクロファージをLPSで刺激したもの
は、野生型マウス由来のマクロファージをLPSで刺激
したものと同様のNF−κBの活性化が見られた。以上
の結果から、CpG ODNの誘導によるNF−κBの
活性がTLR9ノックアウトマウス由来のマクロファー
ジにおいて特異的に欠損していることがわかる。なお、
図中の矢印はNF−κBと特異的プローブとの複合物の
位置を示し、矢頭は特異的プローブのみの位置を示して
いる。
時間、CpG ODN又はLPSで刺激した野生型マウ
ス及びTLR9ノックアウトマウスのマクロファージ
を、溶解緩衝液(最終濃度で1.0%のトリトンX−1
00、137mMのNaCl、20mMのトリス−HC
l、5mMのEDTA、10%のグリセロール、1mM
のPMSF、20μg/mlのアプロチニン、20μg
/mlのロイペプチン、1mMのNa3VO4及び10m
Mのβ−グリセロリン酸を含有する緩衝液;pH8.
0)中にて溶解し、この細胞溶解物を抗JNK抗体(サ
ンタクルス社製)又は抗IRAK抗体(林原生化学研究
所株式会社製)で免疫沈降して、文献(Immunity 11, 1
15-122, 1999)記載のように、インビトロキナーゼアッ
セイを行い、GST−c−Jun溶解蛋白質(GST−
c−Jun)を基質としたJNK活性及びIRAKの活
性を測定した(図10,11における上段;GST−c
−Jun,Auto)。
クリルアミドゲル電気泳動により分離させ、ニトロセル
ロース膜に移し、この膜を抗JNK抗体(サンタクルス
社製)又は抗IRAK抗体(Transduction Laboratorie
s社製)でブロットして、エンハンスド・ケミルミネッ
センス装置(デュポント社製)を使用して視覚化した
(図10,11における下段;WB)。以上の結果か
ら、CpG ODNは野生型マウス由来のマクロファー
ジのJNK及びIRAKを活性化するが、TLR9ノッ
クアウトマウス由来のマクロファージでは全く活性化し
ないことがわかった(図10,11)。したがって、C
pG ODNを介する情報伝達はTLR9に依存してい
ることがわかった。
含有するバクテリア由来DNAは免疫細胞を非常に活性
化し、Th1の応答を誘導するが、そのバクテリア由来
DNAを認識する受容体は知られていなかった。本発明
により、細菌DNAの非メチル化CpG配列を含むオリ
ゴヌクレオチドの受容体が明らかとなったことから、非
メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識
するTLRファミリーのメンバー受容体タンパク質TL
R9や、それをコードする遺伝子DNA等は、細菌性疾
病等の診断や、治療に用いることができ、またTLR9
ノックアウト動物を用いると、バクテリア由来DNAの
分子レベルにおける作用機作を明らかにすることが可能
となる。
マウスの遺伝子地図を示す図である。
ブロット分析の結果を示す図である。
胞におけるノーザンブロット分析の結果を示す図であ
る。
マウスのアミノ酸配列の比較結果を示す図である。
型マウスにおけるCpG ODN、PGN又はLPS誘
導によるTNFα、IL−6又はIL12の産生量の結
果を示す図である。
型マウスにおけるCpG ODN又はLPS誘導による
細胞増殖応答の結果を示す図である。
型マウスにおけるCpG ODN又はLPS誘導による
IL−12の産生量の結果を示す図である。
型マウスにおけるCpG ODN又はLPS誘導による
CD40、CD80、CD86及びMHCクラスIIの発
現量の結果を示す図である。
型マウスにおけるCpG ODN又はLPS誘導による
NF−κBの活性化の結果を示す図である。
生型マウスにおけるCpG ODN又はLPS誘導によ
るJNKの活性化の結果を示す図である。
生型マウスにおけるCpG ODN又はLPS誘導によ
るIRAKの活性化の結果を示す図である。
Claims (30)
- 【請求項1】 非メチル化CpG配列を有する細菌DN
Aを特異的に認識する受容体タンパク質をコードするD
NA。 - 【請求項2】 非メチル化CpG配列を有する細菌DN
Aを特異的に認識する受容体タンパク質が、以下の(a)
又は(b)のタンパク質であることを特徴とする請求項1
記載のDNA。 (a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパ
ク質 (b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若
しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された
アミノ酸配列からなり、かつ非メチル化CpG配列を有
する細菌DNAに対して反応性を有するタンパク質 - 【請求項3】 配列番号1に示される塩基配列又はその
相補的配列並びにこれらの配列の一部または全部を含む
ことを特徴とする請求項1記載のDNA。 - 【請求項4】 請求項3記載の遺伝子を構成するDNA
とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすること
を特徴とする請求項1記載のDNA。 - 【請求項5】 非メチル化CpG配列を有する細菌DN
Aを特異的に認識する受容体タンパク質が、以下の(a)
又は(b)のタンパク質であることを特徴とする請求項1
記載のDNA。 (a)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパ
ク質 (b)配列番号4に示されるアミノ酸配列において、1若
しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された
アミノ酸配列からなり、かつ非メチル化CpG配列を有
する細菌DNAに対して反応性を有するタンパク質 - 【請求項6】 配列番号3に示される塩基配列又はその
相補的配列並びにこれらの配列の一部または全部を含む
ことを特徴とする請求項1記載のDNA。 - 【請求項7】 請求項6記載の遺伝子を構成するDNA
とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすること
を特徴とする請求項1記載のDNA。 - 【請求項8】 非メチル化CpG配列を有する細菌DN
Aを特異的に認識する受容体タンパク質。 - 【請求項9】 配列番号2に示されるアミノ酸配列から
なることを特徴とする請求項8記載のタンパク質。 - 【請求項10】 配列番号2に示されるアミノ酸配列に
おいて、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しく
は付加されたアミノ酸配列からなることを特徴とする請
求項8記載のタンパク質。 - 【請求項11】 配列番号4に示されるアミノ酸配列か
らなることを特徴とする請求項8記載のタンパク質。 - 【請求項12】 配列番号4に示されるアミノ酸配列に
おいて、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しく
は付加されたアミノ酸配列からなることを特徴とする請
求項8記載のタンパク質。 - 【請求項13】 請求項8〜12のいずれか記載のタン
パク質と、マーカータンパク質及び/又はペプチドタグ
とを結合させた融合タンパク質。 - 【請求項14】 請求項8〜12のいずれか記載のタン
パク質と特異的に結合する抗体。 - 【請求項15】 抗体がモノクローナル抗体であること
を特徴とする請求項14記載の抗体。 - 【請求項16】 請求項8〜12のいずれか記載のタン
パク質を発現することができる発現系を含んでなる宿主
細胞。 - 【請求項17】 非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAを特異的に認識する受容体タンパク質をコードする
遺伝子が過剰発現することを特徴とする非ヒト動物。 - 【請求項18】 非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAを特異的に認識する受容体タンパク質をコードする
遺伝子機能が染色体上で欠損したことを特徴とする非ヒ
ト動物。 - 【請求項19】 非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAに対して不反応性であることを特徴とする請求項1
8記載の非ヒト動物。 - 【請求項20】 齧歯目動物が、マウスであることを特
徴とする請求項17〜19のいずれか記載の非ヒト動
物。 - 【請求項21】 非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAを特異的に認識する受容体タンパク質をコードする
遺伝子機能が染色体上で欠損した細胞に、請求項1〜7
のいずれか記載のDNAを導入することを特徴とする非
メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して反応性
を有するタンパク質を発現する細胞の調製方法。 - 【請求項22】 請求項21記載の非メチル化CpG配
列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパ
ク質を発現する細胞の調製方法により得られることを特
徴とする非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特
異的に認識する受容体タンパク質を発現する細胞。 - 【請求項23】 被検物質の存在下、非メチル化CpG
配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タン
パク質を発現している細胞をインビトロで培養し、TL
R9活性を測定・評価することを特徴とする非メチル化
CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容
体タンパク質のアゴニスト又はアンタゴニストのスクリ
ーニング方法。 - 【請求項24】 非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAを特異的に認識する受容体タンパク質をコードする
遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物に被検物質
を投与し、該非ヒト動物から得られるマクロファージ又
は脾臓細胞のTLR9活性を測定・評価することを特徴
とする非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異
的に認識する受容体タンパク質のアゴニスト又はアンタ
ゴニストのスクリーニング方法。 - 【請求項25】 非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAを特異的に認識する受容体タンパク質をコードする
遺伝子が過剰発現した非ヒト動物に被検物質を投与し、
該非ヒト動物から得られるマクロファージ又は脾臓細胞
のTLR9活性を測定・評価することを特徴とする非メ
チル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識す
る受容体タンパク質のアゴニスト又はアンタゴニストの
スクリーニング方法。 - 【請求項26】 非ヒト動物が、マウスであることを特
徴とする請求項24又は25記載の非メチル化CpG配
列を有する細菌DNAに対して反応性を有するタンパク
質のアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方
法。 - 【請求項27】 請求項23〜26のいずれか記載の非
メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識
する受容体タンパク質のアゴニスト又はアンタゴニスト
のスクリーニング方法により得られる非メチル化CpG
配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タン
パク質のアゴニスト又はアンタゴニスト。 - 【請求項28】 非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAを特異的に認識する受容体タンパク質の全部又はそ
の一部を有効成分として含有する医薬組成物。 - 【請求項29】 請求項27記載のアゴニスト又はアン
タゴニストを有効成分として含有する医薬組成物。 - 【請求項30】 検体中の非メチル化CpG配列を有す
る細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質をコ
ードするDNAと、請求項3記載のDNAとの塩基配列
を比較することができる、請求項3記載のDNAを含む
ことを特徴とする非メチル化CpG配列を有する細菌D
NAを特異的に認識する受容体タンパク質をコードする
DNA配列の欠失、置換及び/又は付加に関連する疾病
の診断キット。
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