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JP2002065160A - ロールイン用油脂組成物 - Google Patents

ロールイン用油脂組成物

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JP2002065160A
JP2002065160A JP2000252318A JP2000252318A JP2002065160A JP 2002065160 A JP2002065160 A JP 2002065160A JP 2000252318 A JP2000252318 A JP 2000252318A JP 2000252318 A JP2000252318 A JP 2000252318A JP 2002065160 A JP2002065160 A JP 2002065160A
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oil
fat
roll
weight
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JP2000252318A
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健一 橋爪
Yasuo Okutomi
保雄 奥冨
Toru Kajimura
徹 梶村
Yasushi Shishido
康司 宍戸
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Adeka Corp
Original Assignee
Asahi Denka Kogyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可塑性範囲が広く、低温での伸展性に優れ、
なおかつ経日的にも硬さが変化せず、安定なロールイン
用油脂組成物を提供する。 【解決手段】 直接β型結晶である油脂を含有し、配合
油のSFC(固体脂含量)が10℃で20〜60%、2
0℃で10〜40%であることを特徴とするロールイン
用油脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直接β型結晶であ
り、好ましくは微細結晶である油脂を利用した低温での
伸展性に優れたロールイン用油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
マーガリン、ショートニング等の可塑性油脂に使用され
る油脂は" マーガリンショートニングラード” (P3
24、中澤君敏著:株式会社光琳発行)に記載の『マー
ガリン、ショートニングは常温で結晶性脂肪をもつ可塑
性物質と定義されるが、そのためその物理性は主に稠
度、可塑性及び結晶構造に関連する。物理的にその結晶
状態はAlfaは蝋状(アセトグリセリドの如き)、B
etaは粗結晶、そしてBeta−primeは微粒状
である。融点ではAlfa、Beta−prime、B
etaの順に高くなる。マーガリン、ショートニング組
成の望ましい結晶状態はBeta−primeといわれ
ている。』の通り、その結晶状態はβプライム型のもの
が良好とされ、用いられてきた。
【0003】βプライム型の油脂結晶は微細結晶をと
り、乳化安定性に寄与し、良好な稠度を示す。反面この
βプライム型結晶はエネルギー的には準安定形であるた
め、保存条件等が適切でない場合等には、さらにエネル
ギー的に安定なβ型結晶へと転移現象を引き起こすとい
う欠点があった。このβ型結晶は最安定形であるため、
これ以上の転移現象を起こすことはないが、一般に結晶
サイズが大きく、グレイニングやブルームと呼ばれる粗
大結晶粒を形成し、ザラつきや触感の悪さを呈し、製品
価値の全くないものになってしまう。
【0004】βプライム型を経由するβ型結晶であって
も、結晶サイズの比較的小さなものも知られている。例
えば、カカオ脂のV型結晶がこれに相当し、実質はSO
S、POS等の対称型トリグリセリドのβ2型結晶であ
る。しかしながら、これらの結晶サイズの比較的小さな
β型結晶を得るには、テンパリングと呼ばれる特殊な熱
処理工程を経る必要があったり、所定温度まで冷却した
後、結晶核となる特定成分を加える等、極めて煩雑な工
程を要するものであった。結果として通常のロールイン
用油脂組成物を製造するような急冷可塑化工程では、当
該結晶は得られないのが実状である。また、カカオ脂の
V型結晶は可塑性に乏しいものである。
【0005】一方、βプライム型で最安定形の油脂でさ
え経日的に硬くなる傾向があり、結晶の析出方法や保存
方法等を細かく管理しなければならなかった。
【0006】上記のような課題を解決するため、エネル
ギー的にも安定で且つ微細な結晶を得る目的で、これ迄
にも種々の提案がなされてきた。特公昭51−9763
号公報には、特定のトリグリセリド比率とすることによ
り、β型結晶を得る方法が開示されている。また、特公
昭58―13128号公報では、エステル交換反応によ
り油脂のグレイニングを抑制する方法が、そして特開平
10−295271号公報には、高融点油脂を配合する
ことにより微細な結晶を維持させる方法がそれぞれ開示
されている。
【0007】しかし、上記特公昭51―9763号公報
の方法では、β型結晶を得るのにテンパリング操作が必
要とされ、特公昭58−13128号公報及び特開平1
0−295271号公報の方法では、得られた組成物は
経日的に硬くなる傾向があり、ロールイン用油脂組成物
として安定性の点で十分に満足の得られるものではなか
った。
【0008】従って、本発明の目的は、可塑性範囲が広
く、低温での伸展性に優れ、なおかつ経日的にも硬さが
変化せず、安定なロールイン用油脂組成物を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、直接β型結晶
である油脂を含有し、配合油のSFC(固体脂含量)が
10℃で20〜60%、20℃で10〜40%であるこ
とを特徴とするロールイン用油脂組成物を提供すること
により、上記目的を達成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のロールイン用油脂
組成物について詳細に説明する。
【0011】本発明のロールイン用樹脂組成物は、上述
のように、直接β型結晶である油脂を含有し、配合油の
SFC(固体脂含量)が10℃で20〜60%、20℃
で10〜40%である。
【0012】上記の直接β型結晶である油脂とは、油脂
の結晶化現象の本質であるトリグリセリド分子のパッキ
ング状態からして、エネルギー的に準安定形のβプライ
ム型をとらず、最安定形のβ型結晶のみが存在する油脂
を指す。即ち、本発明に用いる直接β型結晶である油脂
は如何なる冷却条件であっても、β型結晶として析出す
る。厳密にいうと結晶析出直後は、一度α型結晶を経由
するが、このα型結晶はエネルギー的に非常に不安定で
あるため、速やかにβ型結晶へと転移を起こし、実質的
にはβ型結晶として存在する。また、本発明に用いる直
接β型結晶である油脂は、油脂の結晶化工程においてテ
ンパリング等の特殊な熱処理を必要としない。
【0013】本発明では上記の直接β型結晶である油脂
を含有することが必要であり、直接β型結晶でない油
脂、例えばβプライム型で最安定形の油脂のみを用いた
場合には、経日的に硬くなる傾向があり、結晶の析出方
法や保存方法等を細かく管理しなければロールイン用油
脂組成物としては好ましくないものとなる。
【0014】また、本発明では、直接β型結晶が微細結
晶であることが好ましい。上記の微細結晶とは、油脂の
結晶が微細であり、口にしたり、触った際にもザラつき
を感ずることのない結晶であることを意味し、好ましく
は20μm以下、さらに好ましくは10μm以下、最も
好ましくは3μm以下のサイズの油脂結晶を指す。上記
サイズとは、結晶の最大部位の長さを示すものである。
【0015】本発明のロールイン用油脂組成物は、上記
のような微細結晶を実質的に含有することが好ましい。
この「実質的に」とは、全ての直接β型結晶のうち、微
細結晶を90重量%以上含有することをを指す。
【0016】結晶のサイズが20μmを超えた油脂結晶
を用いた場合には、口にしたり、触った際にザラつきを
感じやすく、液状油成分を保持することが困難となり製
品の油滲みを起こし易く、水相成分を有する油中水型乳
化とした際には、水相成分を油脂結晶により、形成され
る3次元構造中に維持できない恐れがある。
【0017】本発明では、直接β型結晶である油脂を用
いることが必須である。微細結晶であっても、直接β型
結晶でない油脂、例えば、βプライム型結晶を経由する
ような油脂を用いた場合には、βプライム型結晶は、エ
ネルギー的に準安定形であるため、保存条件等が適切で
ない場合等には、さらにエネルギー的に安定な最安定形
のβ型結晶へと転移現象を引き起こす恐れがある。この
結果として出来たβ型結晶は20μmを超えたサイズを
有する油脂結晶であるため、上記に記載した如き理由に
より、ロールイン用油脂組成物としては全く好ましくな
いものとなる。また、微細結晶で且つβプライム型で最
安定形の油脂であり、β型への結晶転移を起こさない油
脂を用いた場合も、経日的に硬くなる傾向があり、ロー
ルイン用油脂組成物としては安定性の点で十分に満足の
得られないものとなる。
【0018】本発明で用いられる油脂の種類としては、
βプライム型を経由しない直接β型結晶をとるものであ
れば、どの様なものでも構わない。
【0019】このような油脂としては、例えばパーム
油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、
ナタネ油、米油、ひまわり油、サフラワー油、牛脂、乳
脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、シア脂、サル脂、マ
ンゴ脂、コクム脂、イリッペ脂等の各種植物油脂、動物
油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換か
ら選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂から
選ばれた1種又は2種以上を挙げることができる。これ
らのうち大豆油、ひまわり油、シア脂、シア脂分別油、
サル脂分別油の中から選ばれた1種又は2種以上を水素
添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以
上の処理を施した油脂を用いるのが好ましい。さらに好
ましくは、ハイオレイックひまわり硬化油、シア分別軟
部油の硬化油又はこの硬化油の分別硬部油、サル分別軟
部油の硬化油又はこの硬化油の分別硬部油、大豆極度硬
化油とひまわり油とのエステル交換油の分別軟部油とシ
ア分別硬部油との組合せを用いることが望ましい。
【0020】本発明のロールイン用油脂組成物におい
て、上記の直接β型結晶であり、好ましくは微細結晶で
ある油脂をロールイン用油脂組成物の全油脂分中、好ま
しくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以
上、最も好ましくは30重量%以上使用する。直接β型
結晶である油脂の含有量が、ロールイン用油脂組成物の
全油脂分中、5重量%未満であると経日的に20μmを
超えたサイズを有するβ型結晶が出現し易く、経日的に
硬くなりやすい。
【0021】また、本発明のロールイン用油脂組成物に
おいて、直接β型結晶でない油脂を用いても良い。直接
β型結晶でない油脂を用いる場合、直接β型結晶でない
油脂は、ロールイン用油脂組成物の全油脂分中、好まし
くは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以
下、最も好ましくは70重量%以下である。
【0022】また、本発明のロールイン用油脂組成物
は、配合油のSFCが10℃で20〜60%、20℃で
10〜40%、好ましくは10℃で20〜50%、20
℃で10〜20%となるように配合する必要がある。S
FCが10℃で20%未満、又は20℃で10%未満の
ときはロールイン用油脂組成物として軟らかすぎてパフ
性の良好なペストリーが得られない。一方、SFCが1
0℃で60%を超える、又は20℃で40%を超える
と、伸展性が悪く広い温度範囲で可塑性を得ることがで
きない。
【0023】このときのSFCは、次のようにして測定
する。即ち、配合油を60℃に30分保持し、油脂を完
全に融解し、そして0℃に30分保持して固化させる。
さらに25℃に30分保持し、テンパリングを行い、そ
の後、0℃に30分保持する。これをSFCの各測定温
度に30分保持後、SFCを測定する。
【0024】その他、本発明のロールイン用油脂組成物
に含有させることができる成分としては、例えば、水、
乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、
酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコー
ル類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β―カロ
チン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロー
ル、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白とい
った植物蛋白、卵及び各種卵加工品、水、着香料、乳製
品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、
果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカ
オマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、
魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
【0025】上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エ
ステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン
有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステ
アロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウ
ム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、サポニン
類等が挙げられ、この中から選ばれた1種又は2種以上
を用いることができる。上記乳化剤の配合量は、特に制
限はないが、本発明のロールイン用油脂組成物中、好ま
しくは0.05〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜
1重量%である。また、本発明のロールイン用油脂組成
物において、上記乳化剤が必要でなければ、乳化剤を用
いなくてもよい。
【0026】上記増粘安定剤としては、グアーガム、ロ
ーカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、ア
ルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タ
マリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セル
ロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉
等が挙げられ、この中から選ばれた1種又は2種以上を
用いることができる。上記増粘安定剤の配合量は、特に
制限はないが、本発明のロールイン用油脂組成物中、好
ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5重量
%である。また本発明のロールイン用油脂組成物におい
て、上記増粘安定剤が必要でなければ、増粘安定剤を用
いなくてもよい。
【0027】次に、本発明のロールイン用油脂組成物の
製造方法を説明する。本発明のロールイン用油脂組成物
は、その製造方法が特に制限されるものではなく、直接
β型結晶である油脂を含有し、SFC(固体脂含量)が
10℃で20〜60%、20℃で10〜40%である配
合油に、必要により水相を混合乳化する。そして、次に
殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法はタンクでのバッ
チ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を
用いた連続式でも構わない。次に、冷却可塑化する。本
発明において冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以
上、さらに好ましくは−5℃/分以上とする。この際、
徐冷却より急速冷却の方が好ましいが、本発明では徐冷
却であっても、微細なβ型結晶をとり、可塑性範囲が広
く、低温での伸展性に優れ、経日的にも硬さが変化せず
安定したロールイン用油脂組成物を得ることができる。
冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、
例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター
等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げら
れ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの
組み合わせ等が挙げられる。
【0028】また、本発明のロールイン用油脂組成物を
製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含
気させても、させなくても構わない。
【0029】得られた本発明のロールイン用油脂組成物
は、マーガリンタイプでもショートニングタイプでもど
ちらでもよく、またその乳化形態は、油中水型、水中油
型、及び二重乳化型のいずれでも構わない。さらに、本
発明の油脂組成物は、その形状に関して、シート状、ブ
ロック状、円柱状等の形状としてもよい。各々の形状に
ついての好ましいサイズは、シート状:縦50〜100
0mm、横50〜1000mm、厚さ1〜50mm、ブ
ロック状:縦50〜1000mm、横50〜1000m
m、厚さ50〜500mm、円柱状:直径1〜25m
m、長さ5〜100mmである。
【0030】本発明のロールイン用油脂組成物は、デニ
ッシュ、クロワッサン、パイ、フライドパイ等のペスト
リーに使用することができる。また、本発明のロールイ
ン用油脂組成物の上記用途における使用量は、使用用途
により異なるものであり、特に限定されるものではな
い。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの実施例により何等制限さ
れるものではない。
【0032】〔ペストリーの配合及び製法〕ペストリー
は下記に示す配合及び製法により製造し、評価に供し
た。 (配合) 強 力 粉 70 重量部 薄 力 粉 30 重量部 食 塩 1.3重量部 砂 糖 2 重量部 脱脂粉乳 3 重量部 練り込み油脂 5 重量部 水 54 重量部 ロールイン用油脂組成物 80 重量部
【0033】(製法)ロールイン用油脂組成物以外の原
料を、縦型ミキサーにて低速及び中速でミキシングした
後、冷蔵庫内で生地をリタードした。この生地にロール
イン用油脂組成物をのせ、常法によりロールイン(4つ
折り4回)し、成型(縦100mm×横100mm×厚
さ3mm)、焼成した。
【0034】〔実施例1〕ハイオレイックひまわり油を
原料とし、DL−メチオニンの存在下で異性化水素添加
を行い融点40℃の硬化油(a)を得た。硬化油(a)
をDSCにより結晶転移の有無を確認したところ、βプ
ライム型をとらない直接β型結晶油脂であった。確認の
ため、硬化油(a)を60℃以上の温度で完全融解した
後、5℃で結晶析出させたものを2θ:17〜26の範
囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングスト
ロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油
脂結晶はβ型をとることが確認された。また光学顕微鏡
で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以
下の微細な結晶であった。
【0035】上記硬化油(a)80重量%と、大豆油2
0重量%とを混合した。この配合油のSFCは10℃で
39%、20℃で29%であった。この配合油に乳化剤
としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシ
チン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と水1
6重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法に
より、油中水型の乳化物(b)とし、急冷可塑化工程
(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンを得た。得ら
れたマーガリンは光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油
脂結晶であり、X線回折測定でもβ型をとることを確認
した。また得られたマーガリンは5℃のレオメーター値
が2800g/cm2 と低温でも軟らかくて可塑性範囲
が広く、伸展性に優れ、且つ製造から1ヶ月経過後での
5℃のレオメーター値も2800g/cm2 と経日的に
も硬さが変化せず安定したロールイン用油脂組成物であ
った。
【0036】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、上記の配合と製法にて、ペストリーを得た。得られ
たペストリーの浮き倍率(焼成後のペストリーの厚みを
焼成前の生地厚で除した値;焼成品10個の平均値)
は、11.2倍であった。これより得られたペストリー
はパフ性の良好なものであることが分かる。
【0037】〔実施例2〕通常の急冷可塑化工程での冷
却速度は−20℃/分以上であるが、実施例1で用いた
乳化物(b)をさらに緩慢な冷却条件(冷却速度にして
−1℃/分)下で、冷却可塑化した。得られたマーガリ
ンは通常の急冷可塑化時と同様に、3μm以下の微細な
β型結晶をとり、5℃のレオメーター値が3000g/
cm2 と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、伸展性
に優れ、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオメー
ター値も3000g/cm2 と経日的にも硬さが変化せ
ず安定したロールイン用油脂組成物であった。
【0038】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、10.7倍であった。これより
得られたペストリーはパフ性の良好なものであることが
分かる。
【0039】〔実施例3〕シア分別軟部油を原料とし、
ニッケル触媒を用いて水素添加を行い沃素価59の硬化
油(c)を得た。硬化油(c)をDSCにより結晶転移
の有無を確認したところ、βプライム型をとらない直接
β型結晶油脂であった。確認のため、硬化油(c)を6
0℃以上の温度で完全融解した後、5℃で結晶析出させ
たものを2θ:17〜26の範囲でX線回折測定を実施
したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応す
る強い回折線が得られ、この油脂結晶はβ型をとること
が確認された。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイ
ズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であっ
た。
【0040】上記硬化油(c)60重量%と、大豆油4
0重量%とを混合した。この配合油のSFCは10℃で
36%、20℃で30%であった。この配合油に乳化剤
としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシ
チン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と水1
6重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法に
より、油中水型の乳化物(d)とし、急冷可塑化工程
(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンを得た。得ら
れたマーガリンは光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油
脂結晶であり、X線回折測定でもβ型をとることを確認
した。また得られたマーガリンは5℃のレオメーター値
が2700g/cm2 と低温でも軟らかくて可塑性範囲
が広く、伸展性に優れ、且つ製造から1ヶ月経過後での
5℃のレオメーター値も2700g/cm2 と経日的に
も硬さが変化せず安定したロールイン用油脂組成物であ
った。
【0041】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、14.9倍であった。これより
得られたペストリーはパフ性の良好なものであることが
分かる。
【0042】〔実施例4〕通常の急冷可塑化工程での冷
却速度は−20℃/分以上であるが、実施例3で用いた
乳化物(d)をさらに緩慢な冷却条件(冷却速度にして
−1℃/分)下で、冷却可塑化した。得られたマーガリ
ンは通常の急冷可塑化時と同様に、3μm以下の微細な
β型結晶をとり、5℃のレオメーター値が2850g/
cm2 と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、伸展性
に優れ、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオメー
ター値も2850g/cm2 と経日的にも硬さが変化せ
ず安定したロールイン用油脂組成物であった。
【0043】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合・製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、14.6倍であった。これより
得られたペストリーはパフ性の良好なものであることが
分かる。
【0044】〔実施例5〕サル分別軟部油を原料とし、
DL−メチオニンの存在下の異性化水素添加を行い沃素
価54の硬化油とし、次いで、この硬化油をドライ分別
により分画し、分別硬部油(e)を得た。分別硬部油
(e)をDSCにより結晶転移の有無を確認したとこ
ろ、βプライム型をとらない直接β型結晶油脂であっ
た。確認のため、分別硬部油(e)を60℃以上の温度
で完全融解した後、5℃で結晶析出させたものを2θ:
17〜26の範囲でX線回折測定を実施したところ、
4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折線
が得られ、この油脂結晶はβ型をとることが確認され
た。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察し
たところ、3μm以下の微細な結晶であった。
【0045】上記分別硬部油(e)40重量%と、大豆
油60重量%とを混合した。この配合油のSFCは10
℃で32%、20℃で27%であった。この配合油に乳
化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%と
レシチン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と
水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常
法により、油中水型の乳化物(f)とし、急冷可塑化工
程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンを得た。得
られたマーガリンは光学顕微鏡下で、3μm以下の微細
油脂結晶であり、X線回折測定でもβ型をとることを確
認した。また得られたマーガリンは5℃のレオメーター
値が1300g/cm2 と低温でも軟らかくて可塑性範
囲が広く、伸展性に優れ、且つ製造から1ヶ月経過後で
の5℃のレオメーター値も1300g/cm2 と経日的
にも硬さが変化せず安定したロールイン用油脂組成物で
あった。
【0046】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、10.5倍であった。これより
得られたペストリーはパフ性の良好なものであることが
分かる。
【0047】〔実施例6〕通常の急冷可塑化工程での冷
却速度は−20℃/分以上であるが、実施例5で用いた
乳化物(f)をさらに緩慢な冷却条件(冷却速度にして
−1℃/分)下で、冷却可塑化した。得られたマーガリ
ンは通常の急冷可塑化時と同様に、3μm以下の微細な
β型結晶をとり、5℃のレオメーター値が1600g/
cm2 と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、伸展性
に優れ、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオメー
ター値も1600g/cm2 と経日的にも硬さが変化せ
ず安定したロールイン用油脂組成物であった。
【0048】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、10.5倍であった。これより
得られたペストリーはパフ性の良好なものであることが
分かる。
【0049】〔実施例7〕大豆極度硬化油とひまわり油
とを、重量比で1対4として混合したものを原料とし、
ナトリウムメトキシド触媒の存在下でエステル交換反応
に付し、反応油を得た。次いで、この反応油を溶剤分別
により分画し、分別軟部油を得た。この分別軟部油80
重量%と、シア分別硬部油20重量%とを混合し、混合
油(g)を得た。混合油(g)をDSCにより結晶転移
の有無を確認したところ、βプライム型をとらない直接
β型結晶油脂であった。確認のため、混合油(g)を6
0℃以上の温度で完全融解した後、5℃で結晶析出させ
たものを2θ:17〜26の範囲でX線回折測定を実施
したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応す
る強い回折線が得られ、この油脂結晶はβ型をとること
が確認された。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイ
ズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であっ
た。
【0050】上記混合油(g)70重量%と大豆油30
重量%とを混合した。この配合油のSFCは10℃で4
0%、20℃で22%であった。この配合油に乳化剤と
してステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチ
ン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と水16
重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法によ
り、油中水型の乳化物(h)とし、急冷可塑化工程(−
20℃/分以上)にかけ、マーガリンを得た。得られた
マーガリンは光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結
晶であり、X線回折測定でもβ型をとることを確認し
た。また得られたマーガリンは5℃のレオメーター値が
1750g/cm2 と低温でも軟らかくて可塑性範囲が
広く、伸展性に優れ、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1750g/cm2 と経日的にも
硬さが変化せず安定したロールイン用油脂組成物であっ
た。
【0051】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、13.6倍であった。これより
得られたペストリーはパフ性の良好なものであることが
分かる。
【0052】〔実施例8〕通常の急冷可塑化工程での冷
却速度は−20℃/分以上であるが、実施例7で用いた
乳化物(h)をさらに緩慢な冷却条件(冷却速度にして
−1℃/分)下で、冷却可塑化した。得られたマーガリ
ンは通常の急冷可塑化時と同様に、3μm以下の微細な
β型結晶をとり、5℃のレオメーター値が2100g/
cm2 と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、伸展性
に優れ、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオメー
ター値も2100g/cm2 と経日的にも硬さが変化せ
ず安定したロールイン用油脂組成物であった。
【0053】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、14.0倍であった。これより
得られたペストリーはパフ性の良好なものであることが
分かる。
【0054】〔実施例9〕魚油を原料とし、ニッケル触
媒を用いて水素添加を行い、融点30℃の魚油硬化油を
得た。この魚油硬化油をDSCにより結晶転移の有無を
確認したところ、βプライム型をとる油脂であった。確
認のため、この魚油硬化油を60℃以上の温度で完全融
解した後、5℃で結晶析出させたものを2θ:17〜2
6の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.2オン
グストロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、
この油脂結晶はβプライム型をとることが確認された。
【0055】上記魚油硬化油70重量%と実施例1で用
いた硬化油(a)30重量%とを混合した。この配合油
のSFCは10℃で39%、20℃で27%であった。
次いで、この配合油を、急冷可塑化工程(−20℃/分
以上)にかけ、ショートニングを得た。得られたショー
トニングは光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶
であり、X線回折測定でもβ型をとることを確認した。
また得られたショートニングは5℃のレオメーター値が
1900g/cm2 と低温でも軟らかくて可塑性範囲が
広く、伸展性に優れ、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1900g/cm2 と経日的にも
硬さが変化せず安定したロールイン用油脂組成物であっ
た。
【0056】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、10.7倍であった。これより
得られたペストリーはパフ性の良好なものであることが
分かる。
【0057】〔実施例10〕通常の急冷可塑化工程での
冷却速度は−20℃/分以上であるが、実施例9で用い
た魚油硬化油70重量%と硬化油(a)30重量%の混
合物をさらに緩慢な冷却条件(冷却速度にして−1℃/
分)下で、冷却可塑化した。得られたショートニングは
通常の急冷可塑化時と同様に、3μm以下の微細なβ型
結晶をとり、5℃のレオメーター値が2300g/cm
2 と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、伸展性に優
れ、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオメーター
値も2300g/cm2 と経日的にも硬さが変化せず安
定したロールイン用油脂組成物であった。
【0058】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、10.4倍であった。これより
得られたペストリーはパフ性の良好なものであることが
分かる。
【0059】〔実施例11〕実施例1で用いた油中水型
の乳化物(b)を、実施例1と同様に、急冷可塑化(−
20℃/分以上)にかけ、マーガリンを得た。次いで、
このマーガリンを直径5mm、長さ40mmの円柱状に
成型した。得られたマーガリンは、光学顕微鏡下で、3
μm以下の微細油脂結晶であり、X線回折測定でもβ型
をとることを確認した。また得られたマーガリンは5℃
のレオメーター値が2500g/cm 2 と低温でも軟ら
かくて可塑性範囲が広く、伸展性に優れ、且つ製造から
1ヶ月経過後での5℃のレオメーター値も2500g/
cm2 と経日的にも硬さが変化せず安定したロールイン
用油脂組成物であった。
【0060】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、11.5倍であった。これより
得られたペストリーはパフ性の良好なものであることが
分かる。
【0061】(製法)ロールイン用油脂組成物以外の原
料を、縦型ミキサーにて低速及び中速でミキシングした
後、ロールイン用油脂組成物を添加し、低速で混合し、
生地を得た。そして、冷蔵庫内でこの生地をリタードし
た。この生地に、常法により折り畳み(4つ折り4
回)、成型(縦100mm×横100mm×厚さ3m
m)、焼成した。
【0062】〔比較例1〕魚油を原料とし、ニッケル触
媒を用いて水素添加を行い、融点45℃の魚油硬化油を
得た。この魚油硬化油をDSCにより結晶転移の有無を
確認したところ、βプライム型をとる油脂であった。確
認のため、この魚油硬化油を60℃以上の温度で完全融
解した後、5℃で結晶析出させたものを2θ:17〜2
6の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.2オン
グストロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、
この油脂結晶はβプライム型をとることが確認された。
【0063】上記魚油硬化油55重量%と大豆油45重
量%とを混合した。この配合油のSFCは10℃で37
%、20℃で30%であった。次いで、この配合油に乳
化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%と
レシチン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と
水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常
法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−
20℃/分以上)にかけ、マーガリンを得た。得られた
マーガリンはX線回折測定でもβプライム型をとること
を確認した。
【0064】このマーガリンは、製造直後の段階で5℃
のレオメーター値が2000g/cm2 であったのに対
し、1ヶ月経過後には5℃のレオメーター値が3000
g/cm2 となり、経日的に硬くなることが認められ、
安定性の乏しいロールイン用油脂組成物であった。
【0065】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、8.0倍であった。これより、
このロールイン用油脂組成物を用いても、パフ性の良好
なペストリーは得られないことが分かる。
【0066】〔比較例2〕コーン油を原料とし、ニッケ
ル触媒を用いて水素添加を行い、融点36℃のコーン硬
化油を得た。このコーン硬化油をDSCにより結晶転移
の有無を確認したところ、βプライム型をとる油脂であ
った。確認のため、このコーン硬化油を60℃以上の温
度で完全融解した後、5℃で結晶析出させたものを2
θ:17〜26の範囲でX線回折測定を実施したとこ
ろ、4.2オングストロームの面間隔に対応する強い回
折線が得られ、この油脂結晶はβプライム型をとること
が確認された。
【0067】上記コーン硬化油70重量%と大豆油30
重量%とを混合した。この配合油のSFCは10℃で3
5%、20℃で20%であった。次いで、この配合油に
乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%
とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%
と水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを
常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程
(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンを得た。得ら
れたマーガリンはX線回折測定でもβプライム型をとる
ことを確認した。
【0068】さらに、このマーガリンは急冷可塑化直後
の時点では、光学顕微鏡下で5μm以下の微細結晶を呈
していたが、1ヶ月経過後には30μmにも達する粗大
結晶へと転移を起こし、非常にザラつきを感ずる製品価
値の全くないものとなった。また、同時にこのマーガリ
ンは、製造直後の段階で5℃のレオメーター値が150
0g/cm2 であったのに対し、1ヶ月経過後には5℃
のレオメーター値が2400g/cm2 となり、経日的
に硬くなることが認められ、安定性の乏しいロールイン
用油脂組成物であった。
【0069】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、7.9倍であった。これより、
このロールイン用油脂組成物を用いても、パフ性の良好
なペストリーは得られないことが分かる。
【0070】〔比較例3〕比較例1で用いた融点45℃
の魚油硬化油18重量%とシア分別硬部油32重量%及
び大豆油50重量%とを混合した。この混合油をDSC
により結晶転移の有無を確認したところ、βプライム型
をとる油脂であった。確認のため、この混合油を60℃
以上の温度で完全融解した後、5℃で結晶析出させたも
のを2θ:17〜26の範囲でX線回折測定を実施した
ところ、4.2オングストロームと4.6オングストロ
ームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油脂
結晶はβプライム型とβ型の混在をとることが確認され
た。
【0071】上記混合油のSFCは10℃で44%、2
0℃で41%であった。次いで、この混合油に乳化剤と
してステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチ
ン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と水16
重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法によ
り、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃
/分以上)にかけ、マーガリンを得た。得られたマーガ
リンはX線回折測定でもβプライム型とβ型の混在であ
ることを確認した。
【0072】さらに、このマーガリンは急冷可塑化直後
の時点では、光学顕微鏡下で5μm以下の微細結晶を呈
していたが、1ヶ月経過後には30μmにも達する粗大
結晶へと転移を起こし、非常にザラつきを感ずる製品価
値の全くないものとなった。また、同時にこのマーガリ
ンは、製造直後の段階で5℃のレオメーター値が900
g/cm2 であったのに対し、1ヶ月経過後には5℃の
レオメーター値が2800g/cm2 となり、経日的に
硬くなることが認められ、安定性の乏しいロールイン用
油脂組成物であった。また、その可塑性範囲は著しく狭
いもので満足のいくものではなかった。
【0073】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、7.5倍であった。これより、
このロールイン用油脂組成物を用いても、パフ性の良好
なペストリーは得られないことが分かる。
【0074】〔比較例4〕実施例3で用いた硬化油
(c)単独でのSFCは10℃で70%、20℃で61
%であった。この硬化油(c)に乳化剤としてステアリ
ン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重量
%を混合溶解した油相81重量%と水16重量%、食塩
1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型
の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)に
かけ、マーガリンを得た。得られたマーガリンは光学顕
微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であり、X線回折
測定でもβ型をとることを確認した。しかし、得られた
マーガリンは5℃のレオメーター値が9800g/cm
2 と非常に硬く、可塑性範囲が狭く、伸展性に劣るもの
であった。
【0075】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合、製法によりペストリーを得
た。得られたペストリーの浮き倍率を実施例1と同様の
方法で計測したところ、7.1倍であった。これより、
このロールイン用油脂組成物を用いても、パフ性の良好
なペストリーは得られないことが分かる。
【0076】これらの結果から明らかなように、βプラ
イム型結晶油脂を用いた比較例1及び2の組成物では、
経日的な変化が認められ結晶安定性の点で問題がある。
また比較例3に示した組成物では一部β結晶を示したも
のの、直接β型結晶ではなく、微細結晶でもないため、
結晶安定性に乏しく、可塑性範囲が著しく狭いものであ
った。さらに、比較例4に示した組成物では直接β型結
晶である油脂を用いているが、そのSFCが10℃で2
0〜60%、20℃で10〜40%の範囲になく、伸展
性の悪いものであった。これら比較例1〜4の組成物を
用いても、パフ性の良好なペストリーは得られない。
【0077】これに対し、直接β型結晶で且つ微細結晶
である油脂を用いた実施例1〜8及び11の組成物では
可塑性範囲が広く、低温でも軟らかく、伸展性に優れ、
なおかつ経日的に硬さが変化することのない、結晶安定
性に優れたロールイン用油脂組成物であった。さらに直
接β型結晶で、且つ微細結晶である油脂とβプライム型
結晶である油脂とを併用した実施例9及び実施例10の
組成物においても、可塑性範囲が広く、低温でも軟らか
く、伸展性に優れ、なおかつ経日的に硬さが変化するこ
とのない、結晶安定性に優れたロールイン用油脂組成物
であった。さらに実施例1〜10のロールイン用組成物
を用いることで、パフ性の良好なペストリーが得られ
る。
【0078】
【発明の効果】本発明のロールイン用油脂組成物は、可
塑性範囲が広く、低温での伸展性に優れ、なおかつ経日
的にも硬さが変化せず、安定なものである。さらに本発
明のロールイン用油脂組成物を用いることにより、パフ
性の良好なペストリーを提供することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年8月30日(2000.8.3
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】また、このロールイン用油脂組成物を用
い、実施例1と同様の配合にて以下のような製法で、
ストリーを得た。得られたペストリーの浮き倍率を実施
例1と同様の方法で計測したところ、11.5倍であっ
た。これより得られたペストリーはパフ性の良好なもの
であることが分かる。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年9月29日(2000.9.2
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】〔実施例1〕ハイオレイックひまわり油を
原料とし、DL−メチオニンの存在下で異性化水素添加
を行い融点40℃の硬化油(a)を得た。硬化油(a)
をDSCにより結晶転移の有無を確認したところ、βプ
ライム型をとらない直接β型結晶油脂であった。確認の
ため、硬化油(a)を60℃以上の温度で完全融解した
後、5℃で結晶析出させたものを2θ:17〜26
範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングス
トロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この
油脂結晶はβ型をとることが確認された。また光学顕微
鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm
以下の微細な結晶であった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】〔実施例3〕シア分別軟部油を原料とし、
ニッケル触媒を用いて水素添加を行い沃素価59の硬化
油(c)を得た。硬化油(c)をDSCにより結晶転移
の有無を確認したところ、βプライム型をとらない直接
β型結晶油脂であった。確認のため、硬化油(c)を6
0℃以上の温度で完全融解した後、5℃で結晶析出させ
たものを2θ:17〜26の範囲でX線回折測定を実
施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応
する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβ型をとるこ
とが確認された。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサ
イズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であっ
た。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】〔実施例5〕サル分別軟部油を原料とし、
DL−メチオニンの存在下の異性化水素添加を行い沃素
価54の硬化油とし、次いで、この硬化油をドライ分別
により分画し、分別硬部油(e)を得た。分別硬部油
(e)をDSCにより結晶転移の有無を確認したとこ
ろ、βプライム型をとらない直接β型結晶油脂であっ
た。確認のため、分別硬部油(e)を60℃以上の温度
で完全融解した後、5℃で結晶析出させたものを2θ:
17〜26の範囲でX線回折測定を実施したところ、
4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折線
が得られ、この油脂結晶はβ型をとることが確認され
た。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察し
たところ、3μm以下の微細な結晶であった。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】〔実施例7〕大豆極度硬化油とひまわり油
とを、重量比で1対4として混合したものを原料とし、
ナトリウムメトキシド触媒の存在下でエステル交換反応
に付し、反応油を得た。次いで、この反応油を溶剤分別
により分画し、分別軟部油を得た。この分別軟部油80
重量%と、シア分別硬部油20重量%とを混合し、混合
油(g)を得た。混合油(g)をDSCにより結晶転移
の有無を確認したところ、βプライム型をとらない直接
β型結晶油脂であった。確認のため、混合油(g)を6
0℃以上の温度で完全融解した後、5℃で結晶析出させ
たものを2θ:17〜26の範囲でX線回折測定を実
施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応
する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβ型をとるこ
とが確認された。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサ
イズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であっ
た。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】〔実施例9〕魚油を原料とし、ニッケル触
媒を用いて水素添加を行い、融点30℃の魚油硬化油を
得た。この魚油硬化油をDSCにより結晶転移の有無を
確認したところ、βプライム型をとる油脂であった。確
認のため、この魚油硬化油を60℃以上の温度で完全融
解した後、5℃で結晶析出させたものを2θ:17〜2
の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.2オ
ングストロームの面間隔に対応する強い回折線が得ら
れ、この油脂結晶はβプライム型をとることが確認され
た。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正内容】
【0062】〔比較例1〕魚油を原料とし、ニッケル触
媒を用いて水素添加を行い、融点45℃の魚油硬化油を
得た。この魚油硬化油をDSCにより結晶転移の有無を
確認したところ、βプライム型をとる油脂であった。確
認のため、この魚油硬化油を60℃以上の温度で完全融
解した後、5℃で結晶析出させたものを2θ:17〜2
の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.2オ
ングストロームの面間隔に対応する強い回折線が得ら
れ、この油脂結晶はβプライム型をとることが確認され
た。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正内容】
【0066】〔比較例2〕コーン油を原料とし、ニッケ
ル触媒を用いて水素添加を行い、融点36℃のコーン硬
化油を得た。このコーン硬化油をDSCにより結晶転移
の有無を確認したところ、βプライム型をとる油脂であ
った。確認のため、このコーン硬化油を60℃以上の温
度で完全融解した後、5℃で結晶析出させたものを2
θ:17〜26の範囲でX線回折測定を実施したとこ
ろ、4.2オングストロームの面間隔に対応する強い回
折線が得られ、この油脂結晶はβプライム型をとること
が確認された。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正内容】
【0070】〔比較例3〕比較例1で用いた融点45℃
の魚油硬化油18重量%とシア分別硬部油32重量%及
び大豆油50重量%とを混合した。この混合油をDSC
により結晶転移の有無を確認したところ、βプライム型
をとる油脂であった。確認のため、この混合油を60℃
以上の温度で完全融解した後、5℃で結晶析出させたも
のを2θ:17〜26の範囲でX線回折測定を実施し
たところ、4.2オングストロームと4.6オングスト
ロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油
脂結晶はβプライム型とβ型の混在をとることが確認さ
れた。
フロントページの続き (72)発明者 梶村 徹 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 (72)発明者 宍戸 康司 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 Fターム(参考) 4B026 DC06 DG01 DG11 DH01 DH02 DH03 DL03 DX02 DX05 4B032 DB13 DE05 DK09 DK18 DK66 DL01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直接β型結晶である油脂を含有し、配合
    油のSFC(固体脂含量)が10℃で20〜60%、2
    0℃で10〜40%であることを特徴とするロールイン
    用油脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記直接β型結晶が実質的に微細結晶と
    して存在する請求項1記載のロールイン用油脂組成物。
  3. 【請求項3】 上記微細結晶の最大部位の長さが、20
    μm以下である請求項2記載のロールイン用油脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 上記直接β型結晶である油脂を、全油脂
    分中、5重量%以上含有する請求項1、2又は3記載の
    ロールイン用油脂組成物。
  5. 【請求項5】 マーガリンタイプである請求項1、2、
    3又は4記載のロールイン用油脂組成物。
  6. 【請求項6】 ショートニングタイプである請求項1、
    2、3又は4記載のロールイン用油脂組成物。
  7. 【請求項7】 直接β型結晶である油脂を含有し、SF
    C(固体脂含量)が10℃で20〜60%、20℃で1
    0〜40%である配合油を、冷却、可塑化することを特
    徴とするロールイン用油脂組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6の何れかに記載のロールイ
    ン用油脂組成物を用いたベーカリー類。
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