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JP2001501211A - 転移細胞への抗癌薬の輸送用加水分解性プロドラッグ - Google Patents

転移細胞への抗癌薬の輸送用加水分解性プロドラッグ

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JP2001501211A
JP2001501211A JP10515981A JP51598198A JP2001501211A JP 2001501211 A JP2001501211 A JP 2001501211A JP 10515981 A JP10515981 A JP 10515981A JP 51598198 A JP51598198 A JP 51598198A JP 2001501211 A JP2001501211 A JP 2001501211A
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hydrolyzable
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terminal amino
aminoethylthio
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JP10515981A
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ファイアストーン,レイモンド
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ブリストル―マイヤーズ・スクイブ・カンパニー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、転移細胞の細胞膜に位置するプロテアーゼによって活性化されて、転移細胞が吸収しうる活性な抗癌薬を生成する加水分解性プロドラッグを提供する。本発明の加水分解性プロドラッグは一般に、立体障害の発生を防止するのに十分な長さの自己犠牲スペーサーを介して治療薬に共有結合した、転移細胞の表面に位置したペプチド加水分解酵素の基質である、末端アミノ基をキャップしたペプチドから成り、上記治療薬としては、たとえば抗癌薬(ドキソルビシン、タキソール、カンプトテシン、マイトマイシンC、エスペラマイシンなど)であって、また加水分解性プロドラッグの基質を加水分解するペプチド加水分解酵素は、たとえばカテプシンBである。

Description

【発明の詳細な説明】 転移細胞への抗癌薬の輸送用加水分解性プロドラッグ 発明の背景 本発明は、転移細胞への治療薬、特に抗癌薬の輸送(delivery、デリバリー) 用加水分解プロドラッグに関する。 転移は癌の特徴である。転移しない腫瘍は、“良性”と呼ばれるが、それは、 本当に転移する“悪性”腫瘍と比較して、短い生存の気配(a threat of surviv al)を装うからである〔マクガイアの「New Eng.J.Med.」(320:525、 1989年)参照〕。 転移は、ほとんどの細胞がうまく完結できないという一連の事象を必然的に伴 う〔サンチェスの「Am.J.Med.Sci.」(292:376、1986年);ポステ の「Nature」(283:139、1980年)参照〕。転移細胞は、一次腫瘍から 離脱し、血液での通過中の免疫系による攻撃をまぬがれて生きのび、変動する血 流の剪断力に抵抗しながらどこかでとどまり、基底膜に透通して、それらが増殖 しうる安全な避難所に到達し、そして最後に、生長する転移腫瘍の食物の要求が 、拡散によって局部的に利用できるものを上回るとき、それら自体の血液供給を もたらさなければならない。転移細胞は、腫瘍(それ自体、異質性が高い)の代 表的なサンプルではなく〔ポステの「Ann.New York Acad.Sci.」(397:3 4、1982年);ヘプナーの「Cancer Res.」(44:2259、1984年); フィドラーの「Science」(217:998、1982年)参照〕、むしろ一次腫 瘍の年齢と共に増大する小さな亜母集団を構成する〔フィドラーの「Cancer Res .」(50:6130、1990年);「Science」(197:873、1977年) ;カーベルの「Int.J.Cancer」(487:118、1991年)参照〕。各転移 はクローンであるが、急速に多様化する〔フィドラーの「Cancer Treat.Rep.」 (68:193、1984年)参照〕。 転移は非常に小さく、このため化学療法に比較的に影響されやすいが、現代の 薬物に対し大量の投薬にも拘らず抵抗性が高く、たとえば2および3期乳癌(広 がり(spread)のシグナルを送るリンパ節関与)の生存率は、1期(広がりなし )と比較して非常に低い。広がりがないと、生存率は70%またはそれ以上;広 がりがあると、生存率は10%以下である〔マクガイアの「New Eng.J.Med.」 (320:525、1989年)参照〕。転移を殺すのに対する抑制は、単に生存 を少し延ばすことができるだけで、同時に、癌は概して時がたって診断されるの で、転移は既に起っている。従って、癌療法において一次腫瘍切除の前後のいず れかで、特別に病巣を除去する手段の必要が高まっている〔フィシャーの「Canc er Res.」(483:1488、1983年);ジャクイラット編「Neo-Adjuvant Chemotherapy」(リベイ・アンド・カンパニー、ロンドン、1986年);ボナド ンナの「J.Nat.Cancer Inst.」(82:1539、1990年);フィヒトナー の「Anti-Cancer Res.」(7:227、1987年)参照〕。 好ましくは、このような抗転移薬剤は、多種の転移に対して使用でき、かつそ の活性を転移によって分けられないという一次腫瘍細胞の特性に依存すべきでな い。また好ましくは、このような抗転移薬剤は、特に、多様薬物処置からなる養 生法を既に受けることがある患者において、容易に吸収されかつ無毒性であるべ きである。 発明の概要 本発明者は、上述のニーズに適合する、加水分解性プロドラッグ形態の抗転移 薬剤を開発した。一般に、本発明に係る加水分解性プロドラッグは、立体障害の 発生を防止するのに十分な長さの自己犠牲(self-immolating)スペーサー(spa cer)を介して治療薬に共有結合し、末端アミノ基をキャップしたペプチドから 成る。この末端アミノ基をキャップしたペプチドは、転移細胞の表面に位置する ペプチド加水分解酵素の基質である。 典型例として、ペプチド加水分解酵素はカテプシンBまたはコラーゲナーゼIV である。 典型例として、末端アミノ基をキャップしたペプチドは、ベンジルオキシカル ボニルフエニルアラニルリシン、ベンジルオキシカルボニルバリニルリシン、D- フェニルアラニルフェニルアラニルリシン、ベンジルオキシカルボニルバリニル シトルリン、t-ブチルオキシカルボニルフェニルアラニルリシン、ベンジルオキ シカルボニルアラニルアルギニルアルギニン、ベンジルオキシカルボニルフェニ ルアラニル-N-トシルアルギニン、2-アミノエチルチオ−スクシンイミドプロピ オニルバリニルシトルリン、2-アミノエチルチオ−スクシンイミドプロピオニ ルリシルフェニルアラニルリシン、アセチルフェニルアラニルリシン、またはベ ンジルオキシカルボニルフェニルアラニル-O-ベンゾイルトレオニンである。 典型例として、治療薬は抗癌薬である。抗癌薬はドキソルビシン、マイトマイ シンC、タキソール(taxol)、エスペラマイシン(esperamycin)、またはカン プトテシン(camptothecin)が好ましい。特に好ましい抗癌薬はドキソルビシン である。 典型例として、スペーサーはp-アミノベンジルカルボニル(“PABC”)または ビス(ヒドロキシメチル)スチレンもしくは“BHMS”のビス−カルバメートp−N H-Ph-CH=(CH2OCO-)2である。 加水分解性プロドラッグはさらに、治療薬に共有結合したコロニーの設立にお いて転移細胞が付着するタンパク質から誘導されたペプチドを包含することがで きる。このペプチドの典型例は、RGD-誘導活性ペプチドまたはYIGSR-誘導活性ペ プチドである。好ましいペプチドは、YIGSR(SEQ ID NO:1)またはGRGDS(SEQ ID N O:2)である。 本発明に係る好ましい加水分解性プロドラッグとしては、ベンジルオキシカル ボニルフェニルアラニルリシル-p-アミノベンジルカルバモイルドキソルビシン アセチルフェニルアラニルリシル-p-アミノベンジルカルバモイルドキソルビシ ン、アセチルフェニルアラニルリシル-p-アミノベンジルカルバモイルマイトマ イシンC、ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニルリシル-p-アミノベンジル カルボニル-7-パクリタキセル(paclitaxel)、アセチルフェニルアラニルリシ ル-p-アミノベンジルカルボニルカンプトテシン、2-アミノエチルチオ-スクシ ンイミドプロピオニルバリニルシトルリニル-BHMS-ジドキソルビシン、2-アミ ノエチルチオ-スクシンイミドプロピオニル-リシルフェニルアラニルリシル-BHM S-ジドキソルビシン、ベンジルオキシカルボニルバリニルリシル-p-アミノベン ジルカルバモイルドキソルビシン、D-フェニルアラニルフェニルアラニルリシル -p-アミノベンジルカルバモイルドキソルビシン、およびベンジルオキシカ ルボニルバリニルシトルリニル-p-アミノベンジルカルバモイルドキソルビシン が挙げられる。 本発明の他の観点によれば、治療薬を転移細胞に輸送する方法に係り、該方法 は (1)本発明に係る加水分解性プロドラッグを転移細胞と接触させ; (2)転移細胞の表面に位置するペプチド加水分解酵素が加水分解性プロドラ ッグを加水分解するのを可能ならしめ、かつ該プロドラッグから治療薬を放出せ しめ;次いで (3)治療薬が転移細胞に入るのを可能ならしめる 工程から成る。 さらに本発明の他の観点からは、 (1)本発明に係る加水分解性プロドラッグ;および (2)医薬的に許容しうる担体 から成る医薬組成物に関連する。 図面の簡単な説明 本発明の上記および他の特徴、態様および利点については、以下に示す説明、 添付の請求の範囲および図面を参照することにより、より具体的に理解されるで あろう。 図1は、加水分解性プロドラッグAc-Phe-Lys-PABC-Doxの合成における、初期 段階の構造式や反応条件を示す図; 図2は、Ac-Phe-Lys-PABC-Doxの合成における、最終段階の同様な図; 図3は、ドキソルビシン残基のカップリング前のAc-Phe-Lys-PABC-Doxの合成 における中間体を用いて着手する、加水分解性プロドラッグAc-Phe-PABC-MMCの 合成の同様な図; 図4は、加水分解性プロドラッグZ-Phe-Lys-PABC-パクリタキセルの合成の初 期段階の同様な図; 図5は、加水分解性プロドラッグZ-Phe-Lys-PABC-パクリタキセルの合成の最 終段階の同様な図; 図6は、加水分解性プロドラッグCA-SP-Lys-Phe-Lys-BHMS-Dox2の合成の初期 段階の同様な図; 図7は、CA-SP-Lys-Phe-Lys-BHMS-Dox2の合成の中間段階の同様な図; 図8は、CA-SP-Lys-Phe-Lys-BHMS-Dox2の合成の最終段階の同様な図; 図9は、高いカテプシンB分泌細胞であるBT-20腫瘍細胞、および低いカテプ シンB分泌細胞であるMCF-10A腫瘍細胞をカテプシン抑制因子CA-074の存在 または非存在下、数種の加水分解性プロドラッグや対照化合物で殺すことを示す 表; 図10は、数種の加水分解性プロドラッグや対照化合物を用い、BT-20腫瘍 細胞を各種の時間およびプロドラッグ濃度で殺すことを示す表; 図11は、加水分解性プロドラッグCA-SP-Lys-Phe-Lys-BHMS-Dox2を用い、BT- 20およびMCF-10A腫瘍細胞を各種の時間およびプロドラッグ濃度で殺すこと を示す表;および 図12は、カテプシンBの存在または非存在下、生理的条件における本発明に 係る加水分解性プロドラッグの安定性を示す表 である。 発明の説明 転移細胞に対し特異的な薬剤を開発する1つの新しいアプローチは、転移細胞 自体の特性、特に該薬剤が体内に広がり、かつ特定の組織に付着するのを可能な らしめる、転移細胞が持つ特性を利用するものである。 かかる特性の1つは、転移細胞の基底膜に透通しうる能力であって〔サンチェ スの「Am.J.Med.Sci.」(292:376、1986年);ポステの「Nature」 (283:139、1980年)参照〕、一次腫瘍の末梢細胞〔プールの「Nature 」(273:545、1978年);シャムバージャーの「Nature」(213:6 17、1967年);グラフの「Lab.Invest.」(45:587、1981年); バイシの「Inv.Metas.」(4:13、1984年);ダフィの「Eur.J.Cancer Clin.Oncol.」(23:583、1987年)参照〕や実質的に正常でない体細胞 によってのみ割り当てられる(shared). 転移細胞がこれを行うのは、それらが媒体(medium)に分泌する加水分解酵素 によるか〔ダフィの「Eur.J.Can.Clin.Oncol.」(23:583、1987 年);マクカイの「Cancer Res.」(50:5997、1990年);ゴールドファ ーブの「Sem.Thromb.Hemostas.」(12:294、1986年);パイアトラス の「Gynec.Oncol.」(7:1、1979年)参照〕、あるいはそれらの形質膜に おいてである〔シルベンの「Virchows Arch.B.」(17:97、1974年); スローンの「Biomed.Biochim.Acta.」(50:549、1991年);ケレンの 「Cancer Res.」(48:1416、1989年);パイアトラスの「J.Biol.Che m.」(256:8536、1981年);ウェイスの「Proc.Am.Assoc.Cancer R es.」(31:73、1990年);スローンの「Bio.Chem.Hoppe-Seyler」(3 71Suppl.:193、1990年);ロズインの「Cancer Res.」(47:662 0、1987年);スローンの「Proc.Natl.Acad.Sci.」(83:2483、1 986年)参照〕。腫瘍はタンパク分解性であり〔フィッシャーの「Arch.Entw .Mech.Arg.」(104:210、1925年);ダフィの「Eur.J.Cancer Clin .Oncol.」(23:583、1987年);シュトラウリら編「Proteinase and Tumor Invasion(プロテイナーゼおよび腫瘍浸潤)」(レイブン・プレス、ニュー ヨーク、1980年)参照〕、その強さは転移傾向と相関関係がある〔ダフィの 「Eur.J.Cancer Clin.Oncol.」(23:583、1987年);シルベンの「V irchows Arch.B.」(17:97、1974年);スローンの「Biomed.Biochim .Acta.」(50:549、1991年);ケレンの「Cancer Res.」(48:14 16、1989年);パイアトラスの「J.Biol.Chem.」(256:8536、1 981年);ウェイスの「Proc.Am.Assoc.Cancer Res.」(31:73、199 0年);スローンの「Bio.Chem.Hoppe-Seyler」(371Suppl.:193、19 90年);ロズインの「Cancer Res.」(47:6620、1987年);スローン の「Proc.Natl.Acad.Sci」(83:2483、1986年);シーハンの「Can cer Res.」(49:3809、1989年);コッペルの「Exp.Cell Biol.」(5 2:293、1984年);スローンの「Science」(212:1151、198 1年);スローンの「Cancer Res.」(45:3636、1985年);ナカジマの 「Ce1l.Biochem.」(36:157、1988年);ナカジマの「Science」(22 0:611、1983年);キアンの「Cancer Res.」(49:4870、198 9年);ヘンドリクスの「Molec.Cell Probes」(6: 59、1992年)参照〕。転移する細胞によって分泌されることが知られてい る酵素としては、カテプシンB〔スローンの「Biomed.Biochim.Acta.」(50: 549、1991年);ケレンの「Cancer Res.」(48:1416、1989年) ;パイアトラスの「J.Biol.Chem.」(256:8536、1981年);ウェイ スの「Proc.Am.Assoc.Cancer Res.」(31:73、1990年);スローンの 「Bio.Chem.Hoppe-Seyler」(371Suppl.:193、1990年);ロズイン の「Cancer Res.」(47:6620、1987年);スローンの「Proc.Natl.Ac ad.Sci.」(83:2483、1986年);シーハンの「Cancer Res.」(49: 3809、1989年);コッペルの「Exp.Cell Biol.」(52:293、19 84年);スローンの「Science」(212:1151、1981年);スローンの 「Cancer Res.」(45:3636、1985年);ナカジマの「Cell.Biochem」 (36:157、1988年);ナカジマの「Science」(220:611、198 3年);キアンの「Cancer Res」(49:4870、1989年)参照〕、カテプ シンD〔モントクーリアの「Cancer Res.」(50:6045、1990年);バシ シュタの「Brit.J.Surg.」(72:386、1985年)参照〕、カテプシンL 〔ロズインの「Biochem.Biophys.Res.Comm.」(164:556、1989年) ;バシシュタの「Brit.J.Surg.」(72:386、1985年)参照〕、カテプ シンH〔バシシュタの「Brit.J.Surg.」(72:386、1985年)参照〕、 コラーゲナーゼIV〔ゴールドファーブの「Sem.Thromb.Hemostas.」(12:29 4、1986年);ヘンドリクスの「Molec.Cell.Probes」(6:59、1992 年)参照〕、ウロキナーゼ型プラスミノゲン賦活物質〔ゴールドファーブの「Sem .Throm.Hemostas.」(12:294、1986年);マルツカの「Inv.Metas. 」(11:181、1991年)参照〕、β−グルクロニダーゼ(ヘパラナーゼ) 〔ロズインの「Cancer Res.」(47:6620)1987年);ナカジマの「Ce1l .Biochem.」(36:157、1988年);ナカジマの「Science」(220:6 11、1983年)参照〕、ゼラチナーゼ〔アオヤマの「Proc.Natl.Acad.Sci .」(87:8996、1990年)参照〕、グアニジノベンゾターゼ〔スティー ブンの「Anti-Cancer Res.」(11:143、1991年)参照〕、および不定の (undefined)トリプシン酵素〔ゴールドファ ーブの「Sem.Thromb.Hemostas.」(12:294、1986年)参照〕が挙げら れる。多くの研究によれば、悪性細胞によって同じ患者の近くの正常細胞と比較 して、酵素分泌の非常な増加が報告されている〔プールの「Nature」(273: 545、1978年);シーハンの「Cancer Res.」(49:3809、1989 年);ロズインの「Biochem.Biophys.Res.Comm.」(164:556、1989 年);ワタナベの「Hepato-Gastro-Enterology」(34:126、1987年); マーナンの「Cancer Res.」(51:1137、1991年);チョーハンの「Can cer Res.」(51:1478、1991年);ダーディの「Brit.J.Surg.」(7 2:378、1985年);セドの「J.Cancer Res.Clin.Oncol.」(117: 249、1991年);ラーの「Int.J.Cancer」(50:36、1992年); デングラーの「Biomed.Biochim.Acta.」(50:555、1991年)参照〕。 これら酵素の潜在的な用途は、転移病巣の部位の細胞毒性薬を非マスキングす る(unmask)ことである。好ましい薬物は、細胞によって容易に摂取されるもの 、たとえばドキソルビシン〔アドリアマイシン(ADM)としても公知〕、マイト マイシンC(MMC)、タキソール、カンプトテシン(CPT)およびエスペラマイシ ン、並びにこれらの薬物の誘導体である。このような抗癌薬はたとえば、かなり の疎水性成分を有するため、転移細胞の形質膜を通過することができる。他の抗 癌薬は、適当な疎水性成分で誘導化して(derivatize)、転移細胞の形質膜の脂 質二層(bilayer)に対するその透過性を改善することができる。 本発明に係るプロドラッグに関して特に有用な酵素はカテプシンBであるが、 主な理由は、そのための多数のペプチド基質が既に知られているエキソペプチダ ーゼ〔タカハシの「J.Biol.Chem.」(261:9375、1986年);コガの 「J.Biochem.」(110:179、1991年)参照〕であるからである〔ジン グル編「Lysosomes」(ノース−オランダ、アムステルダム、1977年);シュ トラウリら編「Proteinases and Tumor Invasion」(レイブン・プレス、ニュー ヨーク、1980年);ニューベルジャー編「Hydro1ytic Enzymes(加水分解酵素 )」(エルセビア、アムステルダム、1987年)参照〕。カテプシンBは、細胞内 のいたるところに存在するリソソーム酵素であるが〔ジングル編 「Lysosomes」(ノース−オランダ、アムステルダム、1997年);シュトラウ リら編「Proteinases and Tumor Invasion」(レイブン・プレス、ニューヨーク 、1980年);ニューベルジャー編「Hydrolytic Enzymes」(エルセビア、アム ステルダム、1987年)参照〕、ほとんど正常に分泌しない。小量のカテプシ ンBが本当にエキソサイトーシスまたは非プログラム(unprogrammed)細胞死中 に飛散すれば、中性pHで15分以内に全ての活性を失なう〔シーハンの「Cancer Res.」(49:3809、1989年);ジングル編「Lysosomes」(ノース−オ ランダ・パブリッシング・カンパニー、アムステルダム、1977年);バック の「Biochem.J.」(282:273、1992年)参照〕。カテプシンBは、正常 細胞とは全く異なり癌と強い会合が存在し〔ダフィの「Eur.J.Cancer Clin.O ncol.」(23:583、1987年);ゴールドファーブの「Sem.Thromb.Hemo stas.」(12:294、1986年);パイアトラスの「Gynecol.Oncol.」(7 :1、1979年)参照〕、これは同じ患者内で少なくなく〔プールの「Nature 」(273:545、1978年);ワタナベの「Hepato-Gastro-Enterology」( 34:126、1987年);マーナンの「Cancer Res.」(51:1137、1 991年);ダーディの「Brit.J.Surg.」(72:378、1985年);セド の「J.Cancer Res.Clin.Oncol.」(117:249、1991年);ラーの「I nt.J.Cancer」(50:36、1992年);デングラーの「Biomed.Biochim. Acta.」(50:555、1991年)参照〕、そしてその分泌は、患者や動物の 細胞の転移傾向、および病気の悪性度と相関関係がある〔ダフィの「Eur.J.Ca ncer Clin.Oncol.」(23:583、1987年);ゴールドフアーブの「Sem. Thromb.Hemostas.」(12:294、1986年);パイアトラスの「Gynecol. Oncol.」(7:1、1979年);スローンの「Biomed.Biochim.Acta.」(50 :549、1991年);ケレンの「Cancer Res.」(48:1416、1989 年);パイアトラスの「J.Biol.Chem.」(256:8536、1981年);ウ ェイスの「Proc.Am.Assoc.Cancer Res.」(31:73、1990年);スロー ンの「Bio.Chem.Hoppe-Seyler」(371 Suppl.:193、1990年);ロズ インの「Cancer Res.」(47:6620、1987年);スローンの「Proc.Nat l.Acad.Sci.」(83:2483、1986年);シーハンの 「Cancer Res.」(49:3809、1989年):コッペルの「Exp.Cell Biol. 」(52:293、1984年);スローンの「Science」(212:1151、1 981年);スローンの「Cancer Res.」(45:3636、1985年);ナカジ マの「Cell.Biochem.」(36:157、1988年);ナカジマの「Science」( 220:611、1983年);キアンの「Cancer Res.」(49:4870(19 89年);ラーの「Int.J.Cancer」(50:36、1992年)参照)。カテプシ ンBはpH7で、多くの細胞外マトリックス(基質)成分を分解し、該成分として タイプIVコラーゲン〔バックの「Biochem.J.〕(282:273、1992年) ;マシイジェウィッツの「Biomed.Biochim.Acta.」(50:561、1991 年);マシイジェウィッツの「Int.J.Cancer」(43:478、1989年)参 照〕、ラミニン〔バックの「Biochem.J.」(282:273、1992年)参照 〕、およびフィブロネクチン〔バックの「Biochem.J.」(282:273、19 92年)参照〕が包含される。一般に、pH5と異なりpH7で安定でないが、腫瘍 のカテプシンBはpH7で安定であり〔シーハンの「Cancer Res.」(49:380 9、1989年);バックの「Biochem.J.」(282:273、1992年;ス ローンの「Cancer Metastas.Rev.」(3:249、1984年)参照〕、特に細 胞の形質膜内で保持されるときに安定である〔ロズインの「Cancer Res.」(47 :6620、1987年、参照〕。実際に、悪性細胞はカテプシンBをその形質 膜に分泌する。 形質膜は明らかに、輸送されるべき潜伏性細胞毒性薬を賦活するのに非常に望 ましい場所であり、該輸送は標的細胞へできるだけまっすぐにのみならず、転移 する細胞の遺伝学的に高い不安定性に基づき〔フィドラーの「Cancer Treat.Re p.」(68:193、1984年)参照〕、大多数と同じくらいカテプシンBを示 さないと思われる近くの癌細胞にも向けられる。 I.加水分解性プロドラッグ 本発明に従って、治療薬を転移する細胞に輸送する好ましい薬剤は、立体障害 の発生を防止するのに十分な長さの自己犠牲スペーサーを介して治療薬に共有結 合し、末端アミノ基をキャップしたペプチドから成る加水分解性プロドラッグで ある。末端アミノ基をキャップしたペプチドは、転移細胞の表面に位置するペプ チド加水分解酵素の基質である。 典型例として、ペプチド加水分解酵素はカテプシンBまたはコラーゲナーゼIV であって、好ましいペプチド加水分解酵素はカテプシンBである。 ペプチド加水分解酵素がカテプシンBの場合、ペプチド加水分解酵素の基質と して作用する末端アミノ基をキャップしたペプチドはたとえば、ベンジルオキシ カルボニルフェニルアラニルリシン、ベンジルオキシカルボニルバリニルリシン 、D-フェニルアラニルフェニルアラニルリシン、ベンジルオキシカルボニルバリ ニルシトルリン、t-ブチルオキシカルボニルフェニルアラニルリシン、ベンジル オキシカルボニルアラニルアルギニルアルギニン、ベンジルオキシカルボニルフ ェニルアラニル-N-トシルアルギニン、2-アミノエチルチオ-スクシンイミドプ ロピオニルバリニルシトルリン、2-アミノエチルチオ-スクシンイミドプロピオ ニルリシルフェニルアラニルリシン、アセチルフェニルアラニルリシン、および ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニル-O-ベンゾイルトレオニンの1つで ある。また、これらのペプチドの、誘導化する基がカテプシンBによるペプチド の開裂を干渉しない誘導体も使用することができる。別法として、これらペプチ ドの末端アミノ基をキャップする基を、公知の他のもので置換することができる 。 好ましくは、末端アミノ基をキャップしたペプチドはベンジルオキシカルボニ ルフエニルアラニルリシンまたはアセチルフェニルアラニルリシンである。 カテプシンBの他の好適な基質は公知である。たとえば、対になつた塩基性残 基を含有する基質を、カテプシンBで加水分解することができる〔J.K.マクドナ ルド・アンド・S.エリスの「Life Sci.」(17:1269−1276、1975 年)参照〕。 本発明に係る加水分解性プロドラッグの場合、末端アミノ残基は“キャップド ”または保護基で保護されなければならない。かかる保護基はペプチド化学で周 知であり、たとえばベンジルオキシカルボニル(カルボベンゾキシとしても公知 で、一般にZと略す)、アセチル、2-アミノエチルチオ−スクシンイミドプロピ オニル、t-ブチルオキシカルボニル、およびM.ボダンスキーの「Principles of Peptide Synthesis(ペプチド合成の原理)」(2版、スプリンガー-ベルラグ、ベ ルリン、1993年)に開示の如き他の末端アミノ保護基が挙 げられる。これらの基としては、トリフェニルメチル、p-メトキシベンジルオキ シカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、ビフェニルイルイソプロピルオ キシルカルボニル、ホルミル、イソニコチニルオキシカルボニル、O-ニトロフエ ニルスルフェニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、ベンジル基の芳 香族環を置換したベンジルオキシカルボニルの誘導体、または場合により、ベン ジル基のフェニル部が別のフランもしくはピリジンなどの完全芳香性成分、フタ ロイル、ジチアスクシニル、p-トルエンスルホニル(トシル)、およびその他の 基で置換されたものが包含される。 別法として、末端アミノ保護基はD-フェニルアラニンなどのD-アミノ酸であっ てよい。末端アミノ保護基がD-アミノ酸のとき、D-アミノ酸のカルボキシル基は 、末端アミノ基保護ペプチドの末端アミノ残基と共にペプチド結合を形成する。 好ましくは、末端アミノ基保護ペプチドのペプチド部がフェニルアラニルリシ ンのとき、末端アミノ基保護ペプチドがベンジルオキシカルボニルフェニルアラ ニルリシンまたはアセチルフェニルアラニルシリンとなるように、保護基はベン ジルオキシカルボニルまたはアセチルである。 加水分解性プロドラッグは、末端アミノ基保護ペプチドと治療薬間の立体障害 の発生を防止するのに充分な長さのスペーサーを有する。スペーサーが余りに短 いと、治療薬は、ペプチド加水分解酵素の基質とペプチド加水分解酵素の活性部 位との結合を、立体障害によって妨害するかもしれない。特に好適なスペーサー は、p-アミノベンジルカルボニル(“PABC”)である。これは、約10オングス トロームの長さを有する。 また、ベンジル基の芳香族成分が置換された化合物などの、p-アミノベンジル カルボニルの誘導体も使用可能である。 別法として、他のスペーサー基も使用しうる。スペーサーの長さは、約10オ ングストローム以上であるべきであるが、かなり長い長さのスペーサーも使用で き、かつ該スペーサーはたとえば追加の脂肪族または芳香族成分を含むことがで きる。一般に、このようなスペーサーは、それ自体の立体障害をもたらさないよ うに、相対的に分枝すべきでない。スペーサーの末端の化学的官能基は変化しう るが、一端はペプチド加水分解酵素の基質の末端カルボキシル残基と反応可能で ある。典型例として、これはアミノ基である。スペーサーの末端の他の官能基は 、治療薬と反応することができる。1つの好ましい具体例において、この官能基 は薬物のアミノ基で反応して、スペーサーの一部としてカルバメートまたはウレ タン結合を形成する。 他の好ましいスペーサーは、ビス(ヒドロキシメチル)スチレン(“BHMS”) のビスカルバメートであって、構造式:p-NH-Ph-CH=(CH2OCO-)2を有する。また 、このスペーサーは薬物のアミノ基でも反応して、カルバメートまたはウレタン 結合を形成する.このスペーサーは二官能で、ドキソルビシンなどの2つの薬物 成分を結合することができる。 かかるスペーサーは、自己犠牲の性質を有することが好ましい。自己犠牲スペ ーサーは、ペプチド結合のペプチド加水分解酵素による加水分解のあとに、治療 薬に結合するスペーサーの残部(residual portion)がさらに、水性媒体中自然 の非酵素加水分解によつて開裂して、元の非共役薬物にもどるものである。PABC およびBHMSは共に自己犠牲である。たとえば、スペーサーがP-アミノベンジルカ ルボニル(“PABC”)で治療薬がドキソルビシンの場合、ペプチド結合のカテプシ ンBによる加水分解後に、薬物に結合したままでいるスペーサーの部分は続いて 、自然の加水分解を受けて、p-アミノベンジルアルコール、二酸化炭素、および ドキソルビシンとなる。 典型例として、治療薬は抗癌薬である。しかしながら、他の治療薬を本発明に 係る加水分解性プロドラッグに含ませることができ、また転移細胞に輸送するこ とができる。本発明に係る加水分解性プロドラッグに含ませる好ましい抗癌薬と しては、ドキソルビシン、タキソール、カンプトテシン、マイトマイシンCおよ びエスペラマイシン、並びにこれらの誘導体が挙げられる。疎水性成分を有し、 かつ転移細胞によって吸収されうるか、または疎水性成分で誘導化されうる他の 抗癌薬も使用することができる。 従って、本発明に係る特に好ましい加水分解性プロドラッグとしては、ベンジ ルオキシカルボニルフェニルアラニルリシル−p−アミノベンジルカルバモイル ドキソルビシン、アセチルフェニルアラニルリシル−p−アミノベンジルカルバ モイルドキソルビシン、アセチルフェニルアラニルリシル−p−アミノベンジル カルバモイルマイトマイシンC、ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニルリ シル−p−アミノベンジルカルボニル−7−パクリタキセル、アセチルフェニル アラニルリシル−p−アミノベンジルカルボニルカンプトテシン、2−アミノエ チルチオ−スクシンイミドプロピオニル−バリニルシトルリニル−ビス(ヒドロ キシメチル)スチリル−ビスドキソルビシン、2−アミノエチルチオ−スクシン イミドプロピオニル−リシルフェニルアラニルリシル−ビス(ヒドロキシメチル )スチリル−ビスドキソルビシン、ベンジルオキシカルボニルバリニルリシル− p−アミノベンジルカルバモイルドキソルビシン、D-フェニルアラニルフェニル アラニルリシル−p−アミノベンジルカルバモイルドキソルビシン、およびベン ジルオキシカルボニルバリニルシトルリニル−p−アミノベンジルカルバモイル ドキソルビシンが包含される。 本発明に係る加水分解性プロドラッグの合成は、当該分野で周知の縮合反応に よって行うことができる。合成の具体例を実施例1〜6に示す。一般に、スペー サーPABCを用いる合成手順は、 (1)通常のペプチド合成法により、末端アミノを持つアミノ酸残基のα−ア ミノ基を保護しおよび該アミノ酸の反応性側鎖を適当に保護した、ペプチド加水 分解酵素の基質であるペプチドを合成し; (2)末端カルボキシルを持つアミノ酸のカルボキシル基にp−アミノベンジ ル成分を結合し、 (3)治療薬の共有結合のためp−アミノベンジル成分を賦活し; (4)一定の反応性側鎖を同様に保護して有しうる、治療薬を共有結合し;次 いで (5)ペプチドおよび治療薬の残った保護基を脱離する ことから成る。 一般に、スペーサーBHMSを用いる合成手順は、 (1)通常のペプチド合成法により、上記と同様な適当な保護基を用いて、ペ プチド加水分解酵素の基質であるペプチドを合成し; (2)ペプチドの末端カルボキシルを持つアミノ酸のカルボキシル基にBHMS成 分を結合し; (3)治療薬のカップリング反応のためBHMS成分を賦活し; (4)賦活したBHMS成分に治療薬をカップリング反応させ; (5)アミノ酸側鎖、たとえばリシンのε−アミノ基の保護基を脱離し;次い で (6)末端アミノブロック基を修飾(変性)して、所望のキャップ基を存在さ せる ことから成る。 別法として、ペプチド加水分解酵素による開裂の基質がトリペプチドまたは3 つ以上のアミノ酸を持つペプチドである場合、カルボキシル末端のスペーサーへ のカップリング反応後、ペプチドのアミノ末端を延長することができる。これに は、ペプチドの末端アミノ保護基を脱離し、付加するアミノ酸のカルボキシル基 を賦活(活性化)し、次いでそれを脱ブロックアミノ基にカップリング反応させ て、ペプチド結合を形成することが必要である。より長いペプチドが望まれる場 合、上記の処置を繰返すことができる。次いで、完成したペプチドに治療薬をカ ップリング反応させ、上述の如く、加水分解性プロドラッグの合成を完了する。 本発明による1つの具体例において、加水分解性プロドラッグはさらに、転移 細胞に付着するタンパク質から誘導されるペプチドを包含する。かかるペプチド としては、タンパク質フィブロネクチン(GRGDS)(SEQ ID NO:1)〔ハンフリーズ の「Science」(233:467、1986年);オールデンの「Ann.New York A cad.Sci.」(421、1989年);デドハーの「Bio Essays」(12:583、 1990年)参照〕およびラミニン(YIGSR)(SEQ ID NO:2)〔イワモトの「Scien ce」(238:1132、1987年);サイキの「Brit.J.Cancer」(59:1 94、1989年)参照〕から誘導されるペプチドを包含する。 典型例として、ペプチドは、ペプチド加水分解酵素の基質である末端アミノ基 をキャップしたペプチドのアミノ側に対し、直接アミドとして、あるいはペプチ ドを受容するよう修飾された、キャップする基のベンジルオキシカルボニル、ア セチル、マレイミドプロピオニル等への結合を介して間接的に共有結合する。結 合は、ペプチドのアミノもしくはカルボキシル基、または場合によってはペプチ ドの官能基、たとえばアスパラギン酸のカルボキシル、セリンのヒドロキシルあ るいは他の残基の他の官能基を介してのものであってよい。選定ペプチドや治療 薬に応じて、種々の架橋試薬を使用することができる。たとえば、ジシクロヘキ シルカルボジイミドなどのカルボジイミドは、カルボキシル基とアミンのアミド 結合を形成しうる。他の反応性基は公知で、たとえばG.T.ハーマンソンの「Bioc onjugate Techniques」(アカデミック・プレス、サンディエゴ、1996年);S .S.ウオングの「Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking」(CRC プレス、フロリダ州ボカ・レイトン、1991年);およびT.E.クレイトン編 「Protein Function:A Practical Approach」(IRLプレス、オックスフォード、 1989年)に記載されている。ペプチドは、チオール基がマレイミド基に付加 するシステインを介してマレイミドプロピオニルキャップに、あるいはグリシン のアミノ基のアシル化を介してグリシンもしくは他のアミノ酸キャップ(アセチ ルキャップにとって代わる)に、またはペプチドをベンジルオキシカルボニルキ ャップのp位に結合させることにより、もしくは公知の他の方法で結合すること ができる。これらのペプチド、たとえばYIGSR(SEQ ID NO:2)のプロドラッグへの 結合は、他のアミノ酸から成るあるいはそうでないかもしれない結合の干渉を伴 なうあるいはそうでなくてもよい。 また他の共役結合または架橋法を用いて、ラミニンまたはフィブロネクチンか らのペプチドなどのペプチドを、加水分解性プロドラッグの他の部分に結合する ことができる。ほとんどの場合、ペプチドの自己犠牲スペーサーへの結合は、ペ プチド加水分解酵素による基質の加水分解を妨げるかあるいは立体障害をもたら すであろう。 フィブロネクチンおよびラミニンペプチドから誘導される多くのペプチドは、 加水分解性プロドラッグに結合することができる。 これらのペプチドは、その構造およびフィブロネクチンまたはラミニン配列へ の相同性の観点から、以下の通りに分類することができる。 フィブロネクチン誘導ペプチドとしては、 (1)フィブロネクチン配列から誘導されるGRDGS(SEQ ID NO:1)ペンタペプチ ド〔I.ハーダンらの「Int.J.Cancer」(55:1023〜1028、1993 年),“非ペプチド系Arg-Gly-Asp擬態による、ネズミの肺および腫瘍誘発病的 状態における転移細胞の転移増殖の抑制”参照〕; (2)保存的アミノ酸置換を持つフイブロネクチンペンタペプチド配列の誘導 体、たとえばGRGES(SEQ ID NO:3)〔R.J.トレスラーらの「Cancer Commun.」( 1:55〜63、1989年),“RGD含有ペプチドポリマーによるラージ細胞リ ンパ腫および肝洞様毛細血管内皮細胞の付着抑制と転移潜在能の相関関係:イン テグリン(Integrin)依存および非依存付着メカニズムの役割”参照〕; (3)この配列から誘導される切断ペプチド、たとえばRGDおよびRGDS(SEQ ID NO:4)〔I.サイキらの「Japan J.Cancer Res.」(81:660〜667、19 90年),“高分子量Arg-Gly-Asp(RGD)ペプチド、ポリ(RDG)およびその類縁体の 抗転移および抗侵襲効果”参照〕; (4)アミノ酸置換を持つ切断ペプチド、たとえばRGDT(SEQIDNO:5)〔I.サイ キらの上記文献(1990年)参照〕、並びにRGEおよびRGET(SEQIDNO:6); (5)フィブロネクチン配列から誘導される延長ペプチド、たとえばGRGDSP(S EQ ID NO:7)〔M.D.Pierschbacher & E.Ruoslahtiの「J.Biol.Chem.」(26 2:17294〜17298、1987年),“細胞付着における結合特異性に 関するArg-Gly-Asp-Xaa配列の立体化学の影響”参照〕およびGRGDSPA(SEQ ID NO :8)〔H.クマガイらの「Biochem.Biophys.Res.Commun.」(177:74〜82 、1991年),“細胞付着および腫瘍転移に関する環式RGDペプチドの効果”参 照〕; (5)アミノ酸置換を持つ延長ペプチド、たとえばGRGDXPC(ここで、XはM,C, H,Y,GまたはP以外の天然産出L-アミノ酸である)〔M.D.Pierschbacher & E.R uoslahtiの上記文献(1987年)参照〕、GRGDNPC(SEQ ID NO:9)〔A.ハウタ ネンらの「J.Biol.Chem.」(264:1437〜1442、1989年),“フ ィブロネクチン受容体による見分けに関するRGD配列およびそのコンテクストの 変性効果”参照〕、GRGDAPC(SEQ ID NO:10)〔M.D.Pierschbacher & E.Ruos lahtiの「Proc.Nath.Acad.Sci.USA」(81:5985〜5988、1984 年),“付着促進活性を保持するフィブロネクチンの細胞見分け部位の変化”参 照〕、GRGDXPA(ここで、XはM,C,H,Y,GまたはP以外の天然産出L −アミノ酸である)〔M.D.Pierschbacher & E.Ruoslahtiの上記文献(198 7年)およびH.クマガイらの上記文献(1991年)に報告の結果に類似によ る〕、GRGDSG(SEQ ID NO:11)〔M.ノミズらの「Cancer Res.」(53:345 9〜3461、1993年),“Tyr-IIe-Gly-Ser-Arg(YIGSR)ペプチドのマルチ マー形態は、腫瘍生長および転移の抑制を高める”参照〕、GRGDXG(ここで、Xは M,C,H,Y,GまたはP以外の天然産出L-アミノ酸である)〔M.D.Pierschbacher & E .Ruoslahtiの上記文献(1987年)およびM.ノミズらの上記文献(1993年 )に報告の結果に類似による〕、およびGRDGXPA(ここで、XはM,C,H,Y,GまたはP 以外の天然産出L-アミノ酸である〔M.D.Pierschbacher & E.Ruoslahtiの上記 文献(1987年)およびH.クマガイらの上記文献(1991年)に報告の結果 に類似による〕、並びに4位のD残基をEに代えた類似ペプチド〔R.J.トレスラ ーらの上記文献(1989年)の結果に類似による〕; (6)天然産出L-アミノ酸の1つに代えてD-アミノ酸をもつ延長置換ペプチド 、たとえばG(dR)GDSPおよびGRGD(dS)P〔M.D.Pierschbacher & E.Ruoslahtiの 上記文献(1987年)参照〕; (7)c(GRGDSPA)、c(GRGDSP)、c(GRGDS)、c(GRGD)およびc(RGDS)を包含する 環化(c)ペプチド〔H.クマガイらの上記文献(1991年)参照〕; (8)天然産出L-アミノ酸の1つに代えてD-アミノ酸を持つ環化ペプチド、た とえばc(RGD(dF)V)およびc(RGDF(dV))〔M.オウマイレイらの「FBES Lett.」(2 91:50〜54、1991年),“環式ペンタペプチドの中に限られるArg-Gly -Asp”参照〕; (9)ペプチドのオリゴマー、たとえばオリゴ(RGD)(1.5kDa分子量)〔J.ム ラタらの「Int J.Peptide Protein Res.」(38:212〜217、1991年 ),“ポリ(RGD)の分子特性およびその転移黒色腫細胞に対する結合能”参照〕 、(GRGDS)4(SEQ ID NO:12)、(GRGES)4(SEQ ID NO:13)および(GRGDS)(GRGES)2(GR GDS)(SEQ ID NO:14)〔R.J.トレスラーらの上記文献(1989年)参照〕; (10)ペプチドのポリマー、たとえばポリ(RGD)(10kDa分子量)〔J.ム ラタらの上記文献(1991年)参照〕、ポリ(RGDT)(10kDa分子量)〔I.サ イキらの上記文献(1990年)参照〕、およびコポリ(RGD,YIGSR)(10kDa 分子量)〔I.サイキらの上記文献(1989年)参照〕; (11)分枝ペプチド、たとえば(AcGRGDSG)16K8K4K2 KG-OH〔M.ノミズらの 上記文献(1993年)参照〕;および (12)ペニシラミンを組み入れる環式ペプチド、たとえばG(Pen)GRGDSPC〔M .D.Pierschbacher & E.Ruoslahtiの上記文献(1987年)参照〕 が挙げられる。上記種類(1)〜(12)の誘導体を包含する、転移細胞の付着 ブロックに活性を有するRGD配列の誘導体は一般的に、本明細書では“RGD-誘導 活性ペプチド”と称せられ、また本発明の技術的範囲に属する。 ラミニン誘導ペプチドとしては、 (1)ラミニン配列から誘導されるYIGSR(SEQIDNO:2)ペンタペプチド〔J.ム ラタらの上記文献(1989年)参照〕; (2)保存的アミノ酸置換を持つラミニンペンタペプチド配列の誘導体、たと えばYCGSR(SEQ ID NO:15)〔K.カワサキらの「Chem.Pharm.Bull.」(42: 917〜921、1994年),“アミノ酸およびペプチド XXI.ポリ(エチレ ングリコール)ハイブリッドを包含するラミニン関連ペプチド類縁体およびそれ らの実験転移に関する抑制効果”参照〕; (3)この配列から誘導される切断ペプチド、たとえばYIGS(SEQ ID NO:16) 〔K.カワサキらの上記文献(1994年)参照〕; (4)延長配列、たとえばCDPGYIGSR(SEQ ID NO:17)〔K.カワサキらの上記 文献(1994年)参照〕; (5)アミノ酸置換を持つ置換ペプチドおよび延長配列を包含するペプチド( ここで、D−アミノ酸が天然産出L-アミノ酸の1つに代用)、たとえばCDPGYI(dA )SRおよびYIG(dA)SR〔G.J.オスセイマーらの「J.Biol.Chem.」(267:2 5120〜25125、1992年),“NMRはラミニンペプチド11の溶液構造 を限定した”参照〕; (6)分枝ペプチド、たとえば(Ac-YIGSRG)16K8K4K2 KG-OH、(YIGSRG)16K8K4K2 KG-OH、(Ac-YIGSRG)8K4K2KG-OH、および(Ac-YIGSRG)4K2KG-OH〔M.ノミズらの 上記文献(1992年)参照〕;および (7)ペプチドのポリマー、たとえばポリ(YIGSR)(10kDa分子量)〔I.サ イキらの上記文献(1989年)参照〕 が挙げられる。上記種類(1)〜(7)の誘導体を包含する、転移細胞の付着ブ ロックに活性に有するYIGSR配列の誘導体は一般的に、本明細書では“YIGSR-誘 導活性ペプチド”と称せられ、また本発明の技術的範囲に属する。 II.転移細胞に治療薬を輸送する方法 本発明の付加的観点は、転移細胞への治療薬の輸送方法に係る。かかる方法は 、典型例として、 (1)立体障害の発生を防止するのに十分な長さの自己犠牲スペーサーを介し て治療薬に共有結合し、末端アミノ基をキャップしたペプチドからなる加水分解 性プロドラッグを、転移細胞と接触させ(ここで、末端アミノ基をキャップした ペプチドは、転移細胞の表面に位置するペプチド加水分解酵素の基質である); (2)転移細胞の表面に位置するペプチド加水分解酵素が加水分解性プロドラ ッグを加水分解するのを可能ならしめ、かつ該プロドラッグから治療薬を放出せ しめ;次いで (3)治療薬が転移細胞に入るのを可能ならしめる 工程からなる。 典型例として、治療薬は上述の如く抗癌薬である。 典型例として、加水分解性プロドラッグは、該プロドラッグが酵素加水分解の 非存在下で安定である条件の下で、転移細胞に輸送される。典型例として、かか るプロドラッグはカテプシンBなどのペプチド加水分解酵素の非存在下、pH7. 4、37℃のプラスマにおいて少なくとも6日間安定である。場合によっては、 プロドラッグはカテプシンBの非存在下、16日以上または20日以上も安定で ある。このようにプロドラッグは、インビトロまたはインビボのいずれにおいて も、転移細胞に輸送することができる。典型例として、本発明の加水分解性プロ ドラッグは、転移細胞の少なくとも一部を殺すのに十分な量で投与される。 本発明の加水分解性プロドラッグは、通常の投与方法を用いてインビボ投与す ることができ、かかる投与方法としては、これらに限定されるものでないが、静 脈内、腹腔内、経口またはリンパ内の方法が挙げられる。別法として、他の注入 手段を使用することができる。一般に、経口または腹腔内投与が好ましい。組成 物は種々の投与形態で投与することができ、該形態としては、これらに限定され るものでないが、液体溶液もしくは懸濁液、錠剤、丸剤、粉剤、坐剤、ポリマー マイクロカプセルもしくはマイクロベシクル(micro vesicles)、リポソーム、お よび注射液もしくは注入液が挙げられる。好ましい投与形態は、投与方法および 投与量に依存する。 本発明に係る投与用医薬組成物は、当該分野で公知の通常の医薬的に許容しう る担体や佐剤、たとえばヒト血清アルブミン、イオン交換体、アルミナ、レシチ ン、緩衝物質(ホスフェートなど)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウ ム、および塩もしくは電解質(プロタミン・スルフェートなど)を含有すること ができる。本発明の方法で用いる加水分解性プロドラッグの最も有効な投与方法 および投薬生活規制は、病気のきびしさや経過、患者の健康、治療に対する応答 、個々の一次腫瘍の特定種の転移細胞形質、転移の場所、薬物動態学上の要因( たとえば投与される加水分解性プロドラッグの代謝および/または排出に影響を 及ぼすことができる患者の肝臓および/または腎臓の状態)、および治療する医 者の判断に依存する。従って、投薬量は個々の患者に合せて規定すべきである。 次に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。これらの実施例は、単 に例示のためのもので、本発明の技術的範囲を制限するものではない。 実施例1 Ac-Phe-Lys-PABC-CPTの合成 本発明に係る加水分解性プロドラッグの一例は、アセチルフェニルアラニルリ シル−p−アミノベンジルカルボニルカンプトテシン(Ac-Phe-Lys-PABC-CPT)で ある。 Fmoc-Phe-Lys-Boc-PABC-CPT の合成 カンプトテシン(534mg、1.53ミリモル)を14mlの塩化メチレンに懸 濁する。これに3.09mlの1.93M-Cl2CO(トルエン中)およびピリジン(0 .14ml、1.68ミリモル)を加える。生成するスラリーを一夜攪拌した後、 溶媒と試薬を減圧除去する。生成する固体を塩化メチレンに再懸濁し、溶媒を減 圧除去して、過剰Cl2COの完全な除去を確実にする。このステップをもう2回繰 返 す。最後に物質を3.0mlの塩化メチレンに懸濁し、次いでピペットで、Fmoc-P he-Lys(Boc)-PABOH(1.61g、2.27ミリモル)の5.0ml懸濁液を加える 。(この中間生成物において、Fmocとは9−フルオレニルメチルオキシカルボニ ル保護基を、およびBOCとはt-ブチルオキシカルボニル基を指称する。)反応液 を4時間攪拌し、次いで分液漏斗に移し、別途塩化メチレンで希釈する。有機層 を飽和水性重炭酸ナトリウムおよび飽和塩化ナトリウムで洗い、次いで硫酸ナト リウム上で乾燥する。溶液を濾過し、溶媒を減圧除去する。生成物をカラムクロ マトグラフィー(シリカ2×12インチ、塩化メチレン/エタノール=98:2 )で単離し、固体で単離する。 Ac-Phe-Lys(Boc)-PABC-CPT の合成 第1段階の反応液から単離した化合物のFmoc-Phe-Lys(Boc)-PABC-CPTは、アセ チル基の代わりに9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(“Fmoc”)基を有 し、かつブチルオキシカルボニル(“Boc”)ブロック基(blocking group)で 保護したリシンのε−アミノ基を有する。最初のステップは、末端アミノ基の9 −フルオレニルメチルオキシカルボニルブロック基のアセチルブロック基への変 換である。この変換を行うため、Fmoc-Phe-Lys−(Boc)-PABC-CPT(200mg、0 .18ミリモル)を6.0mlの塩化メチレンに懸濁し、1.0mlのジエチルアミ ンを加える。懸濁液は徐々に溶解して溶液となり、これを3h(時間)攪拌する 。溶媒とジエチルアミンを減圧除去する。生成する泡状固体を塩化メチレンに再 溶解し、次いで無水酢酸(0.068ml、0.72ミリモル)およびジイソプロ ピルエチルアミン(0.13モル)を加える。反応混合物を一夜攪拌し、分液漏 斗に移し、pH7緩衝剤で洗う。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、溶 媒を減圧除去する。生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ2×3インチ、 塩化メチレン/エタノール=7:3〜95:5の勾配)で精製して、110mg( 収率67%)の物質を黄色固体で得る。 Ac-Phe-Lys-PABC-CPT の合成 合成の最終ステップは、加水分解性基質のリシンのε−アミノ基上のブチルオ キシカルボニル保護基の脱離である。Ac-Phe-Lys−(Boc)-PABC-CPT(20mg、0 .02ミリモル)を0.5mlのジクロロメタンに懸濁し、これに0.5mlのジク ロ ロ酢酸を加える。生成する明黄色溶液を3h攪拌した後、これを50mlのジエ チルエーテルに加えて、生成物を沈殿せしめる。固体を濾別して、15mg(収率 83%)の淡黄色固体を得る。マススペクトロスコピィーエレクトロスプレー・ イオン化法(MS-ESI)で算出したMH+(C45H46N6O9)の分子量は815.3であ った。実測値は815.5。 実施例2 CA-SP-Val-Cit-BHMS-Dox2の合成 本発明に係る加水分解性プロドラッグの他の例は、二官能の自己犠牲スペーサ ーBHMS(p-NH-Ph-CH=(CH2OCO-)2)を使用する。この二官能スペーサーは、2つの ドキソルビシン分子と結合することができる。またこの化合物は、スクシンイミ ドプロピオニル(SP)基を介してバリン残基に結合する2−アミノエチルチオの キャップ基(CA)を有する。 MP-Val-Cit-BHMS(OTES)2 の合成 この化合物合成の最初のステップは、MP-Val-Cit-BHMS-(OTES)2(ここで、MP はマレイミドプロピオニルおよびTESはトリエチルシリルである)の合成である 。出発物質のVal-Cit-BHMS-(OTES)2(500mg、0.76ミリモル)を2.0ml のジメチルホルムアミドに溶解した後、ジイソプロピルエチルアミン(0.20 ml、1.14ミリモル)およびN-スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネ ート(303mg、1.14ミリモル)を加える。2h攪拌後、反応混合物を分液 漏斗に移し、塩化メチレン(200ml)で希釈し、水(200ml×2)で洗う。 有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、同時にメタノールを加えて生成物を可溶化 せしめ、濾過し、溶媒を減圧除去する。生成物をカラムクロマトグラフィー(1 .5×10cmのシリカカラム、塩化メチレン/メタノール=95:5)で精製し て、250mg(収率41%)の生成物を固体で得る。M-H(C40H66N6O8SI2)のESI- MS計画値は813.4であった。実測値は813.4。 MP-Val-Cit-BHMS-(OPNP)2 の合成 合成の次のステップは、トリエチルシリル(TES)基のp−ニトロフェニル(PN P)基への変換である。このステップの場合、MP-Val-Cit-BHMS-(OTES)2(500 mg、0.61ミリモル)とジ(p-ニトロフェニル)カーボネートを10mlフ ラスコに入れ、2.0mlのジメチルホルムアミドに溶解する。フッ化セシウム( 220mg、1.4ミリモル)を加え、反応混合物を1h攪拌する。次いで溶液を 分液漏斗に移し、100mlの塩化メチレンで希釈し、水(200ml×3)で洗う 。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、溶媒を除去して、420mg(収 率75%)の生成物を固体で得る。 MP-Val-Cit-BHMS-(Dox)2 の合成 次のステップは、ドキソルビシン分子のカップリングである。このステップの 場合、MP-Val-Cit-BHMS-(OPNP)2(420mg、0.46ミリモル)を4.0mlの ジメチルホルムアミドに溶解し、これにジイソプロピルエチルアミン(0.40 ml、2.3ミリモル)およびドキソルビシン塩酸塩(665mg、1.15ミリモ ル)を加える。反応液を1h攪拌した後、メタノールより沈殿せしめる。生成す る固体を濾別し、4.8×10cmのシリカカラムにて、トリクロロメタン/メタ ノール=90:10〜85:15の勾配を用いるカラムクロマトグラフィーで精 製して、315mg(収率32%)の生成物を赤色固体で単離する。M-H(C84H92N8 O32)のESI-MS計算値は1723.6で、実測値は1723.6であった。CA-SP-Val-Cat-BHMS-(Dox)2 の合成 合成の最終ステップは、システアミンをマレイミドプロピオニル成分と反応さ せて、ペプチドのアミノ末端に2−アミノエチルチオ−スクシンイミドプロピル キャプ基を生成することである。MP-Val-BHMS-(Dox)2(74mg、0.043ミリ モル)を1.0mlのメタノールに懸濁する。ジメチルホルムアミド(15滴)を 加えた後、システアミン塩酸塩(8mg、0.07ミリモル)を加える。0.5h 攪拌後、約10mlのジエチルエーテルの添加で生成物を沈殿させて、80mgの赤 色固体を得る。この物質をジメチルホルムアミドに再溶解し、ジクロロメタンよ り沈殿せしめ、56mg(収率73%)の生成物を赤色固体で得る。MH+(C86H100N9 O32S)のESI-MS計算値は1802.8であった。実測値1802.7。 実施例3 Ac-Phe-Lys-PABC-Doxの合成 Fmoc-Lys(MMT) の合成 加水分解性プロドラッグAc-Phe-Lys-PABC-Doxの合成の最初のステップは、 Fmoc-Lys(MMT)の合成である。このリシンは、そのα−アミノ基を保護基9−フ ルオレニルメトキシカルボニルで保護し、そのε−アミノ基をブロック基モノメ トキシトリチルで保護している。アルゴン下室温のFmoc-Lys塩酸塩(23.78 g、56.42ミリモル)および乾燥塩化メチレン(250ml)の攪拌懸濁液を 、トリメチルシリルクロリド(15ml、2.1当量)およびジイソプロピルエチ ルアミン(10.3ml、1.05当量)で処理する。混合物を1h加熱還流し、 その間に均質となり、次いで0℃に冷却する。ジイソプロピルエチルアミン(3 1ml、3.1当量)を加えた後、p−アニシルジフェニルメチルクロリド(18 .29g、1.05当量)を加える。反応液を室温で14h攪拌する。溶媒を蒸 発し、残渣を酢酸エチルとpH5緩衝剤(0.05Mビフタレート)間に分配する 。有機相を、さらにpH5緩衝剤、水および塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥 し、蒸発して淡黄色泡状物(34.71g、収率96%)を得る。プロトン核磁 気共鳴(NMR)をCDCl3中で行ったところ、δ1.26および1.68(m,2Hお よび4H)、2.45(m,2H)、3.71(s,3H)、4.05−4.40(m ,4H)、6.81(d,2H)、および7.15−7.77(m,20H)であっ た。MS-FABのピークは、641(MH)+、663(M+Na)+、および679(M+K)+であ った。HRMS計算値641.3015、実測値641.3001であった。構造を 図1に示す。 Lys(MMT) の合成 次のステップは、リシンのε−アミノ残基の9−フルオレニルメトキシカルボ ニル基を脱離して、この基を縮合に利用することである。Fmoc-Lys(MMT)(5. 25g、8.19ミリモル)を塩化メチレン/アセトニトリル(1:1、80ml )中、室温にてジエチルアミンで処理する。1.5h後、溶媒を蒸発する。残渣 を60℃にてアセトニトリル(50ml×2)でフラッシし、次いでジエチルエー テル(80ml)と共にトリチュレートする。生成する固体を濾取し、ジエチルエ ーテルで洗い、次いで塩化メチレン/メタノール(1:1)にできる限り溶解す る。幾らかの副生固体を濾去し、濾液を減圧濃縮する。生成する淡黄褐色固体を 4h減圧乾燥する(3.221g、収率94%)。 生成構造を図1に示す。 Ac-Phe-Lys(MMT) の合成 合成の次のステップは、フェニルアラニル残基とリシンのα−アミノ末端との 縮合である。フェニルアラニル残基は、それ自体のα−アミノ末端をアセチル基 で保護している。水(25ml)およびジメトキシエタン(70ml)中のLys(MMT) (4.0940g、9.781ミリモル)および水酸化リチウム・モノ水和物(4 10.4mg、1当量)の攪拌溶液を室温にて、Ac-Phe-0Su(2.9763g、1当 量)/ジメトキシエタン(70ml)の溶液で処理する(ここで、Acとはα−アミ ノ基をブロックするアセチル基を、Suとはスクシンイミジル基を指称する)。攪 拌混合物は、数時間内で徐々に均質となる。16h後、回転エバポレーターにて 、できるだけ多くのジメトキシエタンを除去する。残渣を酢酸エチルとpH4緩衝 剤間に分配する。有機相を、さらにpH4緩衝剤、水および塩水で洗い、硫酸ナト リウム上で乾燥し、蒸発して淡黄色固体(5.347g、収率90%)を得る。 この構造を図1に示す。 Ac-Phe-Lys(MMT)-PABOH の合成 合成の次のステップは、p−アミノベンジル成分を付加して、自己犠牲リンカ ーを導入することである。塩化メチレン(120ml)中のAc-Phe-Lys(MMT)(5. 3096g、8.736ミリモル)およびジ−t−ブチルピロカーボネート(2.8 601g、1.5当量)の攪拌混合物を室温にて、ピリジン(0.741ml、1 .05当量)で処理する。15分後、p-アミノベンジルアルコール(1.61 40g、1.5当量)を加える。攪拌を16h続け、次いで溶媒を蒸発する。残渣 を1h減圧乾燥し、次いでジエチルエーテルと共にトリチュレートする。生成す る固体を濾取し、ジエチルエーテルで繰返して洗い、風乾する(5.2416g 、収率84%)。 この化合物を図1に示す。 Ac-Phe-Lys(MMT)-PABC-PNP の合成 次のステップは、PABOHのベンジルアルコール成分のヒドロキシルの活性化で あって、PABOHをp−ニトロフェニルエステルに変換することによる。Ac-Phe-Lys (MMT)-PABOH(5.861g、7.134ミリモル)、ビス−p−ニトロフェニルカ ーボネート(6.511g、3当量)および新たに活性化した粉末シーブ(10g )の混合物をアルゴン下室温にて、乾燥塩化メチレン(120ml)、次いでジイ ソプロピルエチルアミン(3.71ml、3当量)で処理する。混合物を室温で1 6h攪拌し、次いで濾過する。濾液を蒸発し、残渣を数時間減圧乾燥し、次いで 塩化メチレン(20ml)に溶解する。これに穏やかな攪拌下、ジエチルエーテル (40ml)を加える。生成する固体を濾取し、エーテル/塩化メチレン(2:1 )で繰返して洗い、風乾する(4.1966g、収率67%)。 この化合物を図1に 示す。 Ac-Phe-Lys(MMT)-PABC-Dox の合成 合成の次のステップは、抗癌薬であるドキソルビシン成分のカップリングであ る。ジメチルホルムアミド(60ml)中のAc-Phe-Lys(MMT)-PABC-PNP(1.10 06g、1.253ミリモル)およびドキソルビシン塩酸塩(7.634mg、1. 05当量)の攪拌混合物を室温にて、ジイソプロピルエチルアミン(0.23ml 、1.05当量)で処理する。2h後、混合物を酢酸エチル(400ml)に注ぐ 。この溶液を水で4回洗い、次いで蒸発して、オレンジ色固体を得、シリカにて 塩化メチレン/メタノール〔(1)20:1および(2)15:1〕で溶離する クロマトグラフィーに付して、生成物をオレンジ色固体で得る。(959.8mg 、収率60%)。 この化合物を図2に示す。 Ac-Phe-Lys-PABC-Dox・HCl の合成 最終ステップは、リシン残基のε−アミノ基を保護するモノメトキシトリチル 基を脱離して、本発明に係る最終の加水分解性プロドラッグを生成することであ る。塩化メチレン(50ml)中のAc-Phe-Lys(MMT)-PABC-Dox(1.8932g、1 .476ミリモル)およびアニソール(16ml、100当量)の攪拌懸濁液を室 温にて、ジクロロ酢酸(1.22ml、10当量)で処理する。1.5h後、混合 物を酢酸エチル(400ml)に注ぎ、生成する懸濁液を1h攪拌する。オレンジ 色固体を濾取し、酢酸エチルで繰返し洗い、次いでメタノール(80ml)に溶解 す る。溶液をAG2−X8イオン交換樹脂のカラム(50g、塩素型)に通してゆっく りと溶離する。オレンジ色画分を集め、溶媒を蒸発する。残渣を塩化メチレンと 共にトリチュレートし、生成する固体を濾取し、塩化メチレンで洗い、減圧乾燥 する(1.5138g、収率98%)。 この化合物の構造を図2に示す。 実施例4 Ac-Phe-Lys-PABC-MMC の合成 アセチルキャップ基および抗癌薬としてマイトマイシンC(MMC)を持つ本発明に 係る加水分解性プロドラッグを類似の方法で合成した。カテプシンBのペプチド 基質は、Phe-Lysである。 Ac-Phe-Lys(MMT)-PABC-MMC の合成 前に製造した活性化中間体Ac-Phe-Lys(MMT)-PABC-PNP(614.1mg、0.6 994ミリモル)、マイトマイシンc(245.5mg、1.05当量)、ヒドロ キシベンゾトリアゾール(945.1mg、10当量)および新たに活性化した粉 末シーブ(4g)の混合物をアルゴン下室温にて、ジメチルホルムアミド(15m l)およびジイソプロピルエチルアミン(1.22ml、10当量)で処理する。 2h後、混合物を酢酸エチル(150ml)で希釈し、溶液を水(4回)および塩 水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発する。残渣をシリカにて、塩化メチ レン/メタノール(15:1)で溶離するクロマトグラフィーに付して、生成物 をパープル色固体で得る(501.0mg、収率67%)。 この化合物を図3に示す。 Ac-Phe-Lys-PABC-MMC ・ClCH2CO2Hの合成 加水分解性プロドラッグの合成の最終ステップは、リシン残基のε−アミノ基 をブロックするモノメトキシトリチル基の脱離である。塩化メチレン(18ml) 中のAc-Phe-Lys(MMT)-PABC-MMC(269.5mg、0.2511ミリモル)およびア ニソール(2.73ml、100当量)の撹拌懸濁液を室温にて、1Mクロロ酢酸 /塩化メチレン(2.5ml、10当量)で処理する。3.5h後、ジエチルエー テル(30ml)を加える。生成する懸濁液を1h攪拌し、次いでパープル色固体 を濾取し、ジエチルエーテルで洗い、減圧乾燥する(218.3mg、収率97% )。 この構造を図3に示す。 実施例5 Z-Phe-Lys-PABC-7-パクリタキセルの合成Z-Phe-Lys(MMT) の合成 合成の最初のステップは、フェニルアラニル成分と、そのε−アミノ基がモノ メトキシトリチル(MMT)残基で保護された、リシン成分とのカップリングである 。カップリングは、フェニルアラニンのスクシンイミジル誘導体を用いて行い、 これによって、カルボキシル基を活性化する。ジメチルホルムアミド(80ml) 中のLys(MMT)(7.4001g、17.68ミリモル)およびZ-Phe-0Su(7.00 84g、1当量)(“Su”とはスクシンイミジル基を指称する)の攪拌混合物を室 温にて、ジイソプロピルエチルアミン(9.2ml、3当量)で処理する。3h後 、反応液を酢酸エチル(400ml)で希釈し、溶液をpH4緩衝剤(2回)、水( 2回)、塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発して黄色泡状物を得る。 この泡状物がスパチュラで十分に砕くことができる固体になるまで、核泡状物を 塩化メチレンで数回フラッシする(11.2597g、収率91%)。 この合成ステップから生じた化合物を図4に示す。 Z-Phe-Lys(MMT)-PABOH の合成 次のステップは、パクリタキセルへの結合のためリシン残基のカルボキシル基 のp-アミノベンジル成分の付加である。塩化メチレン(400ml)中のZ-Phe-Ly s(MMT)(7.8703g、11.24ミリモル)およびジ−t−ブチルピロカーボネ ート(3.6816g、1.5当量)の攪拌混合物を室温にて、ピリジン(0. 955ml、1.05当量)で処理する。20分後、p-アミノベンジルアルコール (2.0775g、1.5当量)を加える。混合物を室温で一夜攪拌し、次いで 溶媒を蒸発する。残渣を減圧乾燥し、次いでジエチルエーテルと共にトリチュレ ートする。生成する固体を濾取し、ジエチルエーテルで繰返し洗う(6.267 4g、収率69%)。 得られる構造を図4に示す。 2’−モノメトキシトリチルーパクリタキセルの合成 次のステップは、保護されたパクリタキセル誘導体2'−モノメトキシトリチ ル−パクリタキセルの合成である。塩化メチレン(14ml)中のパクリタキセル (0.51g、0.597ミリモル)およびp-アニシルジフェニルメチルクロリ ド(4.63g、25当量)の攪拌溶液を窒素下室温にて、ピリジン(1.23m l、25当量)で処理する。室温で、16h後、溶媒を蒸発し、残渣を酢酸エチル に溶解する。溶液を冷pH5緩衝剤(100ml×2)、水および塩水で洗い、乾燥 し、蒸発する。残渣をシリカにて、3%メタノール/塩化メチレンで溶離するク ロマトグラフィーに付して、生成物を白色固体で得る(482mg、収率72%) 。生成物を図5に示す。 Z-Phe-Lys(MMT)-PABC- 7-パクリタキセル-2'-OMMTの合成 次のステップは、パクリタキセル成分の保護されたペプチドの結合である。塩 化メチレン(10ml)中の2’−モノメトキシトリチル−パクリタキセル(1. 5251g、1.354ミリモル)の攪拌溶液をアルゴン下0℃にて、ジイソプ ロピエチルアミン(0.236ml、1当量)、ピリジンおよびジホスゲン(0. 09ml、0.55当量)で処理する。10分後、氷浴を取除き、混合物を室温で 4h攪拌する。次いで粗クロロホルメート溶液を、塩化メチレン(20ml)中のZ -Phe-Lys(MMT)-PABOH(1.1560g、1.06当量)およびジイソプロピルエチ ルアミン(0.236ml、1当量)の攪拌溶液に加える。混合物を室温で2h攪 拌し、次いで溶媒を蒸発する。残渣を酢酸エチルとpH5緩衝剤間に分配する。有 機相を水および塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発する。残渣をシリ カにてクロマトグラフィーに付し(カラムは0.1%トリエチルアミン含有の溶 剤中に準備し、塩化メチレン/酢酸エチル=4:1で溶離)、生成物を無色ガラ ス状物で得る(1.9307g、収率73%)。生成物を図5に示す。 Z-Phe-Lys-PABC- 7-パクリタキセル・Cl2CHCO2Hの合成 最終ステップは、リシンおよびパクリタキセル成分のε−アミノ基上の保護モ ノメトキシトリチル残基の脱離である。塩化メチレン(50ml)中のZ-Phe-]Lys (MMT)-PABC-7-パクリタキセル-2'-OWT(1.192g、0.6086ミリモル )およびアニソール(13.2ml、100当量)の攪拌溶液を室温にて、ジクロ ロ酢酸(100ml、20当量)で処理する。1.75h後、ジエチルエーテル( 80ml)を加え、生成する懸濁液を2h攪拌し、4℃で一夜貯蔵する。次いで白 色固体を濾取し、ジエチルエーテルで繰返し洗い、風乾する(894.1mg、収 率95%)。 生成物を図5に示す。 実施例6 CA-SP-Lys-Phe-Lys-BHMS-Dox2 ビス(ヒドロキシメチル)p-アミノスチレン(BHMS)の合成 二官能加水分解性プロドラッグCA-SP-Lys-Phe-Lys-BHMS-Dox2の合成の最初の ステップは、二官能スペーサー:ビス(ヒドロキシメチル)p-アミノスチレン(BH MS)の合成である。テトラヒドロフラン(950ml)およびメタノール(950ml )の混合物中の2−(p-ニトロベンジリデン)-プロパン-1,3-ジオール(60. 29g、0.2885モル)〔P.バネールらの「Eur.J.Med.Chem.」(26:7 09、1991年)参照〕の攪拌溶液に、N2雰囲気下30℃にてレーニーニッケ ル(5.28ml、H2O中50%スラリー)およびヒドラジン・モノ水和物(21m l、1.5当量)を加える。激しいガス発生が見られ、反応温度が47℃に上昇 する。30分と1.5h後に追加のヒドラジン・モノ水和物(21ml、1.5当 量)を加え、その間反応温度を45〜50℃に維持する。次いで反応液を室温ま で冷却せしめ、触媒をセライト(celite)パッドで濾去する。濾液から溶媒を除 去し、生成物を黄色固体で得る(51.43g、収率99.6%)。酢酸エチル より結晶化したサンプルの融点119℃。赤外分光(KBr)ピーク:3368、 1628、1510および1022cm-1 この構造を図6に示す。 Fmoc-Phe-Lys(MMT)BHMS の合成 合成の次のステップは、リンカー成分の一部であるBHMSと、そのα−アミノ末 端を9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基でブロックし、かつリシル 残基のε−アミノ基をモノメトキシトリチル(MMT)基でブロックしたペプチドP he-Lysのカップリングである。塩化メチレン(400ml)とメタノール(100 ml)の混合物中のFmoc-Phe-Lys(MMT)-OH(62.0g、78.3ミリモル)、ビス( ヒドロキシメチル)p-アミノスチレン(14.4g、1.1当量)および1−エトキ シカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)(28.9g、1 .5当量)の攪拌溶液を、室温で一夜攪拌させる。溶媒を除去し、残渣をジエチ ルエーテルと共にトリチュレートして、生成物を淡色固体で得る(47.3g、 収率50%)。IR(KBr):3284、1692、1644および1510cm-1この構造を図6に示す。 H-Phe-Lys(MMT)-BHMS の合成 合成の次のステップは、ペプチドのアミノ末端のFmocブロック基の脱離により 、さらなるカップリングに利用できるアミノ基を生成することである。ジメチル ホルムアミド(15ml)中のFmoc-Phe-Lys(MMT)-BHMS(2.66g、2.81ミリ モ ル)およびジエチルアミン(7ml)の攪拌溶液を、室温で5分間攪拌した後、溶 媒を除去する。残渣をシリカゲルにてクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタ ノール=98:2〜92:8の溶離勾配)に付して、生成物を黄褐色固体で得る (0.77g、収率38%)。 この構造を図6に示す。 H-Lys(MMT)-Phe-Lys(MMT)-BHMS の合成 次のステップは、アミノ末端リシル残基の付加である。この付加は、そのα− アミノ末端をFmocでブロックし、ε−アミノ基をモノメトキシトリチル基でブロ ックし、およびカルボキシル基を活性化したリシンを、スクシンイミジル(Su) 成分と反応させることによって行う。乾燥ジメチルホルムアミド(5ml)中のH- Phe-Lys(MMT)-BHMS(0.770g、1.06ミリモル)およびFmoc-Lys(MMT)-OSu( 0.860g、1.1当量)の溶液を、室温で2h攪拌させる。次いでこれを酢酸 エチルで希釈し、水洗する。有機相をセライトで濾過し、塩水で洗い、硫酸ナト リウム上で乾燥する。溶媒の除去によって固体を得、これを塩化メチレン(10 ml)とジエチルアミン(10ml)の混合物に溶解する。室温で3h後、溶媒を除 去し、残渣をシリカゲルにて、塩化メチレン/メタノール=99:1〜91:9 の溶離勾配を用いるクロマトグラフィーに付して、生成物を黄褐色固体で得る( 0.661g、収率56%)。 この構造を図6に示す。 MP-Lys(MMT)-Phe-Lys(MMT)-BHMS のPNPカーボネート誘導体の合成 次のステップは,ドキソルビシン成分のリンカーへのカップリングのための、 p-ニトロフェニル(PNP)カーボネート誘導体の合成である。同時に、ペプチドの アミノ末端を、N-スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネートとの反応で 活性化する。乾燥ジメチルホルムアミド(5ml)中のH-Lys(MMT)-Phe-Lys(MMT)-BH MS(0.661g、0.59ミリモル)およびN-スクシンイミジル−3−マレイミ ドプロピオネート(0.172g、1.1当量)の攪拌混合物を、室温で2h攪拌さ せる。これを酢酸エチルで希釈し、水、塩水で洗い、次いで硫酸ナトリウム上で 乾燥する。溶媒を除去し、残渣を乾燥テトラヒドロフラン(10ml)に溶解する 。これを氷浴で冷却し、ジイソプロピルエチルアミン(0.82ml)8当量)、 p-ニトロフェニルクロロホルメート(0.713g、6当量)およびピリジン(0. 024ml、0.5当量)を加える。反応液を1h攪拌させた後、水を加えて反応を 抑え、塩化メチレンで抽出する。有機抽出物をコンバインし、水、飽和重炭酸ナ トリウム水溶液、水で洗い、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を除去し 、残渣を塩化メチレン(8ml)に溶解する。ジエチルエーテルを加えて沈殿させ 、生成物を黄褐色固体で得る(0.472g、収率50%)。 この構造を図7に示す。 MP-Lys(MMT)-Phe-Lys(MMT)-BHMS-Dox2 の合成 合成の次のステップは、2つのドキソルビシン成分の活性化リンカーへのカッ プリングである。乾燥ジメチルホルムアミド(9ml)中のMP-Lys(MMT)-Phe-Lys( MMT)-BHMSのp-ニトロフェニルカーボネート誘導体(0.472g、0.294ミ リモル)およびドキソルビシン塩酸塩(0.340g、2当量)の攪拌混合物を 、ジイソプロピルエチルアミン(0.153ml、3当量)で処理する。7h後、 溶液を約3mlに濃縮する。次いでこれを、メタノール(20ml)の攪拌溶液に滴 下する。生成する沈殿物を集め、メタノールおよびジエチルエーテルで洗い、粗 生成物を赤色固体(527mg)で得る。これを、メタノール/塩化エチレンの2 %溶液5mlに溶解し、シリカゲルカラムにてクロマトグラフィー(塩化メチレン /メチルアルコール=99:1〜93:7の溶離勾配)に付して、純粋物質を赤 色固体で得る(0.308g、収率43%)。 生成構造を図7に示す。 MP-Lys-Phe-Lys-BHMS-Dox2 の合成 合成の次のステップは、リシン残基のε−アミノ成分上のモノメトキシトリチ ルブロック基の脱離である。塩化メチレン(20ml)中のMP-Lys(MMT)-Phe-Lys( MMT)-BHMS(Dox)2(0.300g、0.124ミリモル)およびアニソール(2.7m l、200当量)の攪拌懸濁液を室温にて、ジクロロ酢酸(0.205ml、20当 量)で処理する。1.5h後、混合物を酢酸エチル(20ml)に注ぐ。生成物が 微細赤色固体で分離する。これを遠心分離で集め、酢酸エチルで洗い、乾燥する (0.252g、収率95%)。 この生成構造を図8に示す。 CA-SP-Lys-Phe-Lys-BHMS-Dox2 の合成 合成の最終ステップは、システアミンをマレイミドプロピオニル基と反応させ て、アミノ末端キャップを生成することである。メタノール(1ml)中のシステ アミン塩酸塩(0.012g、3.3当量)の溶液に、MP-Lys-Phe-Lys-BHMS-Dox2 (0.068g、0.032ミリモル)を加える。1h後、混合物を濾過し、約0 .5mlに濃縮する。ジエチルエーテルを加え、沈殿物を遠心分離で集める。これ をジエチルエーテルで洗い、乾燥して生成物を赤色固体で得る(0.063g、収 率88%)。 この構造を図8に示す。 実施例7 加水分解性プロドラッグの細胞毒性アッセイ 材料と方法 細胞培養: 10%ウシ胎児血清、ペニシリン(100U/ml)およびストレプトマイシン( 100μg/ml)/5% CO2を補充した、37℃のE-MEM-10(最小必須培地、 アール塩)に、BT−20細胞株を維持する。5%ウマ血清、EGF(20ng/ml)、 インスリン(0.5μg/ml)、ヒドロコルチゾン(0.5μg/ml)、ペニシリ ン(100U/ml)およびストレプトマイシン(100μg/ml)/5%CO2を補充 した、37℃のDMEM/ハムのF12に、MCF10A細胞株を維持する。コーニング( corning)組織培養のマルチウェル平板(multiwell plates)(24ウェル/平板 )に、2mlの維持培地中105細胞/16mmウェルを播種し、播種の48h後に再 度栄養補給し、48h後の細胞毒性アッセイの使用に供え、この場合細胞は丁度 コンフルエンシィ(confluency)に到達する。 水性培地における加水分解性プロドラッグおよび抗癌薬の可溶化 加水分解性プロドラッグ並びに抗癌薬ドキソルビシン、タキソール、マイトマ イシンCおよびカンプトテシンの濃厚ストック(200mM)を、100%ジメチ ルスルホキシド中で調製する。ジメチルスルホキシドで33.33mMに希釈した 後、E-MEM−0%(血清なしのE-MEM)の添加で部分水和を行って、75%ジメチ ルスルホキシド/25%EMEM−0%の溶媒に25mMの薬物またはプロドラッグを生 成する。EMEM−0%中1:1000の希釈により、DMSOビヒクル濃度0.075 %の25μM濃度を得る。E-MEM−0を用い、25μMプレパラートの遂次1: 10希釈を行う。この薬物およびプロドラッグの段階水和は、水性不溶性化合物 の培養中細胞への輸送を容易にする。 細胞毒性アッセイおよびE−64またはCA−074による抑制 MCF10A(低カテプシンB分泌体)およびBT-20(高カテプシンB分泌体)を 用いる細胞毒性アッセイ・プロトコルおよびL-トランス−エポキシスクシニル− ロイシルアミド(4−グアニド)ブタン(システイン・プロテアーゼ抑制因子) またはCA−074〔N-(L−3−トランス−プロピルカルバモイルオキシラン−2 −カルボニル)−L−イソロイシル−L−プロリン〕(特殊なカテプシンB抑制因子) による細胞毒性の抑制を、化合物、モル濃度、暴露時間、および抑制因子の存在 もしくは非存在に関して生じるバリエーションのみで標準化する。栄養補給後に 細胞壁から維持培地を吸引し、細胞を2ml/ウェルのHanks平衡塩溶液 (HBSS)で2回洗う。2回目の洗浄後、1.0mlのE-MEM−0(フェノール赤色 指示薬を持たない培地)は、化学療法作用物質、加水分解性プロドラッグ誘導体 、培養基単独または可溶化ビヒクル対照(0.1%ジメチルスルホキシド)を含 有する。抑制因子を用いるアッセイの場合、抗癌薬または加水分解性プロドラッ グの添加の30〜60分前に、E64、CA-074を含有または抑制因子を含有し ないE-MEM-0を加える。細胞壁から培地を吸引し、表示のモル濃度および組合せ において抗癌薬、加水分解性プロドラッグ、抑制因子、培養基単独またはビヒク ル対照を含有する新しいE-MEM-0と交換する。薬物/プロドラッグの添加後表示 の時間にわたって、5%CO2中37℃にて培養を継続する。各1.0ml含有のウ ェルに対し、50μlの0.5%トリパンブルー/HBSSを加え、平板を穏やかに 渦運動させて、染料を混ぜ、平板を5分間そのままにしておき、次いで死細胞( ブルーに染まる)の百分率を読む。この例において、以下に示す化合物を用いた :化合物(1)はAc-Phe-Lys-PABC-Dox;化合物(2)はAc-Phe-Lys-PABC-MMC; 化合物(3)はAc-Phe-Lys-PABC-CPT;化合物(4)はZ-Phe-Lys-PABC-7-パク リタキセル;化合物(5)はCA-SP-Val-Cit-BHMS-Dox2;化合物(6)はCA-SP-L ys-Phe-Lys-BHMS-Dox2;化合物(7)はZ-Phe-Lys-Dox;および化合物(8)は 2−ヒドロキシエチルチオ-SP-D-Phe-Lys-PABC-Doxである。これらの化合物にお いて、MMCはマイトマイシンC、CPTはカンプトテシン、Zはベンジルオキシカルボ ニル、CAは2−アミノエチルチオ、SPはスクシンイミドプロピオニル、PABCはp −アミノベンジルカルボニル、およびBHMSはp-NH-Ph-CH=C(CH2OCO-)2である。 図9に示す結果において、プロドラッグを100μMで用い、CA-074(カ テプシンB-特異的抑制因子)を40μMで用い、BT−20(高カテプシンB分泌 細胞)およひびMCF−10(低カテプシンB分泌細胞)を用い、化合物(1),( 2),(7)および(8)に対して24時間の細胞死(cell kill)%を示す。 25μM薬物の各実験において、化合物(1)および(2)の4μM−CA−07 4による抑制率はそれぞれ、60%および75%であった。これらの結果から、 高カテプシンB分泌細胞は、低カテプシンB分泌細胞と比べてより容易に殺される ことが認められる。高カテプシンB分泌細胞の細胞殺は、CA-074によって抑制 される。 低カテプシンB分泌細胞の細胞殺は、CA-074によって抑制されない。このこと は、たとえ効果がなくても、低分泌体の細胞殺に帰すると考えられるか、これは 外部に分泌したカテプシンBの活性の結果としてでなく、むしろ全ての細胞がカ テプシンBを持つリソソーム内での薬物の非特異的なエンドサイトーシスによる ものである。CA−074はこの細胞殺を抑制しないが、その理由は、それがリソ ソームに入らないからである。化合物(7)および(8)は、化合物(1)およ び(2)より細胞毒性の弱い作用物質である対照化合物である。何故なら、それ らはその個々の構造のため、活性薬物に対するカテプシンB仲介加水分解の影響 を受ける可能性が少ないからである。化合物(7)は、酵素開裂を容易にするPA BC-自己犠牲リンカーがなく、かさばるドキソルビシン成分をカテプシンBの活性 部位に置く可能性のある立体障害をもたらす。化合物(8)は、自然なL-配置の 代わりに不自然なDにアミノ酸を有する。 図10には、BT−20細胞について各種の時間およびプロドラッグ濃度におけ る細胞殺%が示されている。40μMで存在するCA-074の結果を( )内に 記す。結果から、全ての試験化合物は、用量および時間に依存するBT−20(+ カテプシンB)の細胞殺を示すことが認められる。カテプシンB抑制因子CA−07 4は、細胞毒性を強く抑制する。化合物(8)はD配置にアミノ酸を含有する化 合物であるが、これは活性が極めて低い。 図11に示す結果は、BT-20(高カテプシンB分泌)細胞およびMCF−10A( 低カテプシンB分泌)細胞の両方に関して、化合物(6)を用いた各種時間およ びプロドラッグ濃度の細胞殺%である。( )内の結果は、E-64(10μM) ,広域スペクトルシステイン・プロテアーゼ抑制因子を加えた場合である。(他 の実験により、E−64および培養基単独は、24時間後にBT-20の10%細胞 殺を起すことが認められる。) これらの結果から、2つのドキソルビシン成分がプロドラッグに結合した化合 物(6)は、用量および時間に依存するBT-20(高カテプシンB分泌)の細胞殺 を起すことが認められる。MCF−10A(低カテプシンB分泌)の細胞殺の効果は 、非常に少ない。システイン・プロテアーゼ抑制因子E-64は、細胞毒性を強く 抑制する。 最後に、腫瘍細胞は実際に、十分なカテプシンBを分泌して十分な細胞毒性薬 を放出し、細胞を有効に殺す。カテプシンBの分泌が少ない腫瘍細胞は、加水分 解性プロドラッグに対して抵抗する。これらの細胞は、カテプシンBを全く分泌 しない正常な細胞の代理である。カテプシンB抑制因子は、プロドラッグの細胞 毒性を強く減少させ、このことは、カテプシンBがプロドラッグの非マスキング (unmasking)の主な手段であることを示す。自己犠牲リンカーPABCまたはBHMS がないプロドラッグは、細胞毒性が非常に低く、このことは、それが活性薬物を 放出する酵素、思うにカテプシンBであることを示す。その理由は、自己犠牲リ ンカーが無いと立体障害をもたらすからである。加えて、不自然なD配置にアミ ノ酸を持つプロドラッグは細胞毒性が非常に低く、これもカテプシンBの役割を 示す。 実施例8 加水分解性プロドラッグの安定性 図12に、PABC−自己犠牲リンカーを用いてドキソルビシンに結合した、本発 明に係る幾つかの加水分解性プロドラッグの安定性を示す。こられの加水分解性 プロドラッグは、カテプシンB触媒作用下37℃、pH7.4にて、抗癌薬を妥当 な速度で放出し、かつ同条件下新たに引抜いたヒトプラスマ中に何日もあるいは 何週間も安定である。 発明の利点 本発明は、ペプチド加水分解酵素を表面に分泌する癌細胞、特に転移細胞を処 置する有効な方法を提供する。本発明の加水分解性プロドラッグは、多種の転移 に対して使用でき、かつその活性は、転移によって分けられない一次腫瘍細胞の 特性に依存しない。本発明の加水分解性プロドラッグは、容易に吸収されかつ毒 性がない。 本発明の特定の好ましいバージョンに関してかなり詳しく説明したが、他のバ ージョンも可能である。すなわち、添付の請求の範囲の精神および技術的範囲は 、本明細書にある好ましいバージョンの記載に限定されるべきではない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 5/09 C07K 5/09 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD, MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.立体障害の発生を防止するのに十分な長さの自己犠牲スペーサーを介して 治療薬に共有結合し、末端アミノ基をキャップしたペプチドから成り、該末端ア ミノ基をキャップしたペプチドは、転移細胞の表面に位置するペプチド加水分解 酵素の基質であることを特徴とする加水分解性プロドラッグ。 2.ペプチド加水分解酵素が、カテプシンBおよびコラーゲナーゼIVの群から 選ばれる請求の範囲1に記載の加水分解性プロドラッグ。 3.ペプチド加水分解酵素がカテプシンBである請求の範囲2に記載の加水分 解性プロドラッグ。 4.末端アミノ基をキャップしたペプチドが、ベンジルオキシカルボニルフェ ニルアラニルリシン、ベンジルオキシカルボニルバリニルリシン、D-フェニルア ラニルフェニルアラニルリシン、ベンジルオキシカルボニルバリニルシトルリン 、t-ブチルオキシルカルボニルフェニルアラニルリシン、ベンジルオキシカルボ ニルアラニルアルギニルアルギニン、ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニ ル-N−トシルアルギニン、2-アミノエチルチオ-スクシンイミドプロピオニルバ リニルシトルリン、2-アミノエチルチオ-スクシンイミドプロピオニルリシルフ ェニルアラニルリシン、アセチルフェニルアラニルリシン、またはベンジルオキ シカルボニルフェニルアラニル−O-ベンゾイルトレオニンである請求の範囲3に 記載の加水分解性プロドラッグ。 5.末端アミノ基をキャップしたペプチドが、ベンジルオキシカルボニルフェ ニルアラニルリシンである請求の範囲4に記載の加水分解性プロドラッグ。 6.末端アミノ基をキャップしたペプチドが、アセチルフェニルアラニルリシ ンである請求の範囲4に記載の加水分解性プロドラッグ。 7.末端アミノ基をキャップしたペプチドが、2−アミノエチルチオ−スクシ ンイミドプロピオニルバリニルシトルリンである請求の範囲4に記載の加水分解 性プロドラッグ。 8.末端アミノ基をキャップしたペプチドが、2−アミノエチルチオ−スクシ ンイミドプロピオニルリシルフェニルアラニルリシンである請求の範囲4に記載 の加水分解性プロドラッグ。 9.治療薬が抗癌薬である請求の範囲1に記載の加水分解性プロドラッグ。 10.抗癌薬が、ドキソルビシン、マイトマイシンC、タキソール、エスペラ マイシンまたはカンプトテシンである請求の範囲9に記載の加水分解性プロドラ ッグ。 11.抗癌薬がドキソルビシンである請求の範囲10に記載の加水分解性プロ ドラッグ。 12.自己犠牲スペーサーが、p−アミノベンジルカルボニルおよびp−NH-Ph −CH=(CH2OCO-)2の群から選ばれる請求の範囲1に記載の加水分解性プロドラッ グ。 13.スペーサーがp−アミノベンジルカルボニルである請求の範囲11に記 載の加水分解性プロドラッグ。 14.治療薬に共有結合したコロニーの設立において転移細胞が付着するタン パク質から誘導されたペプチドをさらに包含する請求の範囲1に記載の加水分解 性プロドラッグ。 15.ペプチドが、RGD−誘導活性ペプチドまたはYIGSR−誘導活性ペプチドで ある請求の範囲14に記載の加水分解性プロドラッグ。 16.ペプチドが、YIGSR(SEQ ID NO:1)またはGRGDS(SEQ ID NO:2)である請求 の範囲14に記載の加水分解性プロドラッグ。 17.ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニルリシル−p−アミノベンジ ルカルバモイルドキソルビシン。 18.アセチルフェニルアラニルリシル−p−アミノベンジルカルバモイルド キソルビシン。 19.アセチルフェニルアラニルリシル−p−アミノベンジルカルバモイルマ イトマイシンC。 20.ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニルリシル−p−アミノベンジ ルカルボニル−7−パクリタキセル。 21.アセチルフェニルアラニルリシル−p−アミノベンジルカルボニルカン プトテシン。 22.2−アミノエチルチオ−スクシンイミドプロピオニル−バリニルシトル リニル−ビス(ヒドロキシメチル)スチリル−ビス−ドキソルビシン。 23.2−アミノエチルチオ−スクシンイミドプロピオニル−リシルフェニル アラニルリシル−ビス(ヒドロキシメチル)スチリル−ビス−ドキソルビシン。 24.ベンジルオキシカルボニルバリニルリシル−p−アミノベンジルカルバ モイルドキソルビシン。 25.D−フェニルアラニルフェニルアラニルリシル−p−アミノベンジルカル バモイルドキソルビシン。 26.ベンジルオキシカルボニルバリニルシトルリニル−p−アミノベンジル カルバモイルドキソルビシン。 27.治療薬を転移細胞に輸送する方法であって、 (a)立体障害の発生を防止するのに十分な長さの自己犠牲スペーサーを介し て治療薬に共有結合し、末端アミノ基をキャップしたペプチドからなる加水分解 性プロドラッグを、転移細胞と接触させ(ここで、末端アミノ基をキャップした ペプチドは、転移細胞の表面に位置するペプチド加水分解酵素の基質である); (b)転移細胞の表面に位置するペプチド加水分解酵素が加水分解性プロドラ ッグを加水分解するのを可能ならしめ、かつ該プロドラッグから治療薬を放出せ しめ;次いで (c)治療薬が転移細胞に入るのを可能ならしめる 工程からなる方法。 28.ペプチド加水分解酵素が、カテプシンBおよびコラーゲナーゼIVの群か ら選ばれる請求の範囲27に記載の方法。 29.ペプチド加水分解酵素がカテプシンBである請求の範囲28に記載の方 法。 30.末端アミノ基をキャップしたペプチドが、ベンジルオキシカルボニルフ ェニルアラニルリシン、ベンジルオキシカルボニルバリニルリシン、D-フェニル アラニルフェニルアラニルリシン、ベンジルオキシカルボニルバリニルシトルリ ン、t−ブチルオキシカルボニルフェニルアラニルリシン、ベンジルオキシカル ボニルアラニルアルギニルアルギニン、ベンジルオキシカルボニルフェニルアラ ニル−N−トシルアルギニン、2−アミノエチルチオ−スクシンイミドプロピオ ニルバリニルシトルリン、2−アミノエチルチオ−スクシンイミドプロピオニル リシルフェニルアラニルリシン、アセチルフェニルアラニルリシン、またはベン ジルオキシカルボニルフェニルアラニル−O−ベンゾイルトレオニンである請求 の範囲29に記載の方法。 31.末端アミノ基をキャップしたペプチドがベンジルオキシカルボニルフェニ ルアラニルリシンである請求の範囲30に記載の方法。 32.末端アミノ基をキャップしたペプチドがアセチルフェニルアラニルリシ ンである請求の範囲30に記載の方法。 33末端アミノ基をキャップしたペプチドが2−アミノエチルチオ−スクシン イミドプロピオニルバリニルシトルリンである請求の範囲30に記載の方法。 34.末端アミノ基をキャップしたペプチドが2−アミノエチルチオ−スクシ ンイミドプロピオニルリシルフェニルアラニルリシンである請求の範囲30に記 載の方法。 35.治療薬が抗癌薬である請求の範囲27に記載の方法。 36.抗癌薬が、ドキソルビシン、マイトマイシンC、タキソール、エスペラ マイシン、またはカンプトテシンである請求の範囲35に記載の方法。 37.抗癌薬がドキソルビシンである請求の範囲36に記載の方法。 38.スペーサーが、p−アミノベンジルカルボニルおよびp−NH−Ph−CH=(C H2OCO-)2の群から選ばれる請求の範囲27に記載の方法。 39.スペーサーがp−アミノベンジルカルボニルである請求の範囲38に記 載の方法。 40.加水分解性プロドラッグがさらに、治療薬に共有結合したコロニーの設 立において転移細胞が付着するタンパク質から誘導されたペプチドを包含する請 求の範囲27に記載の方法。 41.ペプチドが、RGD−誘導活性ペプチドまたはYIGSR−誘導活性ペプチドで ある請求の範囲40に記載の方法。 42.ペプチドが、YIGSR(SEQ ID NO:1)またはGRGDS(SEQ ID NO:2)である請 求の範囲41に記載の方法。 43.加水分解性プロドラッグが、ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニ ルリシル−p−アミノベンジルカルバモイルドキソルビシン、アセチルフェニル アラニルリシル−p−アミノベンジルカルバモイルドキソルビシン、アセチルフ ェニルアラニルリシル−p−アミノベンジルカルバモイルマイトマイシンC、ベン ジルオキシカルボニルフェニルアラニルリシル−p−アミノベンジルカルボニル −7−パクリタキセル、アセチルフェニルアラニルリシル−p−アミノベンジル カルボニルカンプトテシン、2−アミノエチルチオ−スクシンイミドプロピオニ ル−バリニルシトルリニル−ビス(ヒドロキシメチル)スチリル−ビス−ドキソル ビシン、2−アミノエチルチオ−スクシンイミドプロピオニル−リシルフェニル アラニルリシル−ビス(ヒドロキシメチル)スチリル−ビス−ドキソルビシン、ベ ンジルオキシカルボニルバリニルリシル−p−アミノベンジルカルバモイルドキ ソルビシン、D-フェニルアラニルフェニルアラニルリシル−p−アミノベンジル カルバモイルドキソルビシン、またはベンジルオキシカルボニルバリニルシトル リニル−p−アミノベンジルカルバモイルドキソルビシンである請求の範囲27 に記載の方法。 44.(a)請求の範囲1に記載の加水分解性プロドラッグ;および (b)医薬的に許容しうる担体 から成る医薬組成物。 45.加水分解性プロドラッグがさらに、治療薬に共有結合したコロニーの設 立において転移細胞が付着するタンパク質から誘導されたペプチドを包含する請 求の範囲44に記載の医薬組成物。 46.ペプチドが、RGD−誘導活性ペプチドまたはYIGSR−誘導活性ペプチドで ある請求の範囲45に記載の医薬組成物。 47.ペプチドが、YIGSR(SEQ ID NO:1)またはGRGDS(SEQ ID NO:2)である請求 の範囲46に記載の医薬組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007527421A (ja) * 2004-02-23 2007-09-27 ジェネンテック・インコーポレーテッド 複素環式自壊的リンカーおよび結合体
JP2011519864A (ja) * 2008-04-30 2011-07-14 イミュノジェン・インコーポレーテッド クロスリンカーおよびそれらの使用
JP2016000723A (ja) * 2014-05-23 2016-01-07 日本化薬株式会社 新規なグルタミン酸誘導体およびその用途

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