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JP2001329002A - 修飾ヒアルロン酸ゲルとその製造方法及びそれを含有する医用材料 - Google Patents

修飾ヒアルロン酸ゲルとその製造方法及びそれを含有する医用材料

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Publication number
JP2001329002A
JP2001329002A JP2000154943A JP2000154943A JP2001329002A JP 2001329002 A JP2001329002 A JP 2001329002A JP 2000154943 A JP2000154943 A JP 2000154943A JP 2000154943 A JP2000154943 A JP 2000154943A JP 2001329002 A JP2001329002 A JP 2001329002A
Authority
JP
Japan
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hyaluronic acid
modified hyaluronic
gel
modified
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000154943A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Himeda
康一 姫田
Toshihiko Umeda
俊彦 梅田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denki Kagaku Kogyo KK filed Critical Denki Kagaku Kogyo KK
Priority to JP2000154943A priority Critical patent/JP2001329002A/ja
Publication of JP2001329002A publication Critical patent/JP2001329002A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 架橋剤等を使用することなく、安全性、生体
適合性に優れ、及び溶解性が制御された修飾ヒアルロン
酸ゲル及びそれを含有する医用材料を提供すること。 【解決手段】 中性水溶液に難溶性であることを特徴と
する修飾ヒアルロン酸単独で形成された修飾ヒアルロン
酸ゲルを構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な修飾ヒアル
ロン酸ゲル及びその製造方法に関し、更に特にそれらの
生体適合性の良好な医用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒアルロン酸は、β−D−N−アセチル
グルコサミンとβ−D−グルクロン酸が交互に結合した
直鎖状の高分子多糖である。ヒアルロン酸は哺乳動物の
結合組織に分布するほか、ニワトリのとさか、連鎖球菌
の夾膜などにも存在が知られている。ニワトリのとさ
か、臍帯等が抽出材料として用いられているほか、連鎖
球菌の培養物からも精製物が調整されている。天然産の
ヒアルロン酸は、分子量について多分散性であるが、種
及び臓器特異性をもたず、生体に移植または注入した場
合であっても優れた生体適合性を示すことが知られてい
る。
【0003】我々は、ヒアルロン酸の水溶液を特定のp
Hに調整し、該水溶液を凍結し、次いで解凍することを
少なくとも1回行うことによって、ヒアルロン酸ゲルが
得られ、こうして得られたヒアルロン酸ゲルの水中での
溶解速度が極めて遅いことを見出している(特開平10
−117564号)。また、このゲルを用いることで癒
着防止材をはじめとする各種の医用材料が提供できるこ
とも確認した。
【0004】これまでに、ヒアルロン酸を化学的に修飾
して任意の置換基を導入する方法が各種考案されてい
る。この一例としては、ヒアルロン酸のテトラブチルア
ンモニウム塩がジメチルスルフォキシド等の有機溶媒に
溶解する特徴を利用したヒアルロン酸の化学的修飾方法
が開示されている(特開平3−105003号)。ま
た、ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩をジメ
チルスルフォキシド中で、トリエチルアミンとヨウ化2
−クロロ−1−メチルピリジニウムを加え反応させ、ヒ
アルロン酸のカルボキシル基と水酸基間でエステル結合
を形成させる方法も開示されている(欧州特許0341
745A1)。更には、エステル結合により乳酸やピル
ビン酸などの有機酸を導入する方法も考案されている
(特開平6−016702号、特開平6−298804
号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】我々は、上記のヒアル
ロン酸ゲルを検討する過程で、ヒアルロン酸になんらか
の修飾基を導入しても、その酸性凍結によるゲル化が妨
げられないことを見出した。また、このような修飾ヒア
ルロン酸ゲル組成物は、そのゲルの難溶性を利用し、薬
物送達システムの担体として利用可能であることも確認
している。以前の我々の検討ではゲル化の際に任意の薬
物を系に混在させることで薬物をとりこんだゲルを提案
しているが(特開平11−043287号)、直接薬剤
をヒアルロン酸に結合させた修飾ヒアルロン酸ゲルを用
いれば、ゲルの溶解と薬物の放出を一致させることがで
きる。また、今回製造した桂皮酸をヒアルロン酸に結合
させたヒアルロン酸ゲルは、ヒアルロン酸単独のゲルよ
りも溶解性が低く、安定なものが得られており、特定の
修飾基の導入でヒアルロン酸ゲルの特徴である難溶性を
変化させることが可能である。そして、特定の修飾基の
導入によるヒアルロン酸ゲルは溶解性の制御が可能であ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、(1)
中性水溶液に難溶性であることを特徴とする修飾ヒアル
ロン酸単独で形成された修飾ヒアルロン酸ゲル、(2)
ヒアルロン酸の水酸基に置換基が導入されたことを特徴
とする(1)記載の修飾ヒアルロン酸ゲル、(3)置換
基が桂皮酸である修飾ヒアルロン酸を用いたことを特徴
とする(2)記載の修飾ヒアルロン酸ゲル、(4)桂皮
酸のヒアルロン酸への導入率が0.05質量%以上であ
ることを(3)記載の特徴とする修飾ヒアルロン酸ゲ
ル、(5)中性の25℃の水溶液中で1日での溶解率が
25%以下であることを特徴とする(1)〜(4)のい
ずれか1項に記載の修飾ヒアルロン酸ゲル、(6)修飾
ヒアルロン酸の促進酸加水分解条件下で修飾ヒアルロン
酸ゲルを処理することで可溶化された修飾ヒアルロン酸
中に、分岐度が0.5以上の分子量フラクションを部分
的に含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1
項に記載の修飾ヒアルロン酸ゲル、(7)修飾ヒアルロ
ン酸の水溶液を、pH3.5以下に調整し、該水溶液を
凍結し、次いで解凍することを少なくとも1回行うこと
を特徴とする修飾ヒアルロン酸ゲルの製造方法、(8)
修飾ヒアルロン酸と、修飾ヒアルロン酸濃度5質量%以
上にする水、及びヒアルロン酸のカルボキシル基と等モ
ル以上の酸成分とを共存させ、該共存状態を保持するこ
とにより修飾ヒアルロン酸ゲルを形成することを特徴と
する修飾ヒアルロン酸ゲルの製造方法、(9)修飾ヒア
ルロン酸と、修飾ヒアルロン酸濃度5質量%以上にする
水、及び修飾ヒアルロン酸のカルボキシル基と等モル以
上の酸成分との共存下で、該共存状態を−10℃〜30
℃で保持して修飾ヒアルロン酸ゲルを形成することを特
徴とする(8)記載の修飾ヒアルロン酸ゲルの製造方
法、(10)修飾ヒアルロン酸と、修飾ヒアルロン酸濃
度5質量%以上にする水、及び修飾ヒアルロン酸のカル
ボキシル基と等モル以上の酸成分との共存下で、該共存
状態を−10℃〜30℃で保持して修飾ヒアルロン酸ゲ
ルを形成し、該ゲルを中和に用いる溶液で処理すること
を特徴とする修飾ヒアルロン酸ゲルの製造方法、(1
1)修飾ヒアルロン酸が桂皮酸修飾ヒアルロン酸である
ことを特徴とする(7)〜(10)のいずれか1項に記
載の修飾ヒアルロン酸ゲルの製造方法、(12)次の
(a)、(b)の要件を満たす修飾ヒアルロン酸単独で
形成されたゲルを含有することを特徴とする医用材料、
(a)中性の25℃の水溶液中で1日での溶解率が25
%以下である、(b)ヒアルロン酸の促進酸加水分解条
件下で修飾ヒアルロン酸ゲルを処理することで可溶化さ
れた修飾ヒアルロン酸が分岐構造を有し、該可溶化され
た修飾ヒアルロン酸中に分岐度が0.5以上の分子量フ
ラクションを部分的に含む、(13)修飾ヒアルロン酸
単独で形成されたゲルが、シート状、フィルム状、破砕
状、スポンジ状、塊状、繊維状、又はチューブ状からな
る群より選択した1種であることを特徴とする(12)
記載の医用材料、(14)医用材料が癒着防止材、創傷
被覆材、又は薬物送達システム(DDS)を目的とした
薬物担体からなる群より選択した1種であることを特徴
とする(13)記載の医用材料である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるヒアルロン酸は、動物組織から抽出
したものでも、また発酵法で製造したものでもその起源
を問うことなく使用できる。発酵法で使用する菌株は自
然界から分離されるストレプトコッカス属等のヒアルロ
ン酸生産能を有する微生物、又は特開昭63−1233
92号公報に記載したストレプトコッカス・エクイFM
−100(微工研菌寄第9027号) 、特開平2−23
4689号公報に記載したストレプトコッカス・エクイ
FM−300(微工研菌寄第2319号) のような高収
率で安定にヒアルロン酸を生産する変異株が望ましい。
上記の変異株を用いて培養、精製されたものが用いられ
る。
【0008】本発明の修飾ヒアルロン酸とは、ヒアルロ
ン酸の任意の部位に置換基を導入したものをいう。ヒア
ルロン酸はβ−D−N−アセチルグルコサミンとβ−D
−グルクロン酸から構成されるが、このどちらへ置換基
を導入してもよく、また部位も限定されるものではな
い。修飾ヒアルロン酸の合成方法も特に限定されるもの
ではなく、修飾ヒアルロン酸のゲル化が妨げら得れない
限りエステル化、アシル化をはじめとする種々の合成法
が適応できる。置換基の導入率もヒアルロン酸1分子あ
たり1ユニット以上の修飾が行われていればよく、また
修飾ヒアルロン酸のゲル化が妨げられないまでに導入率
を上げることもできる。
【0009】ゲルとは、新版高分子辞典(朝倉書店 昭
和63年)によれば、「あらゆる溶媒に不溶の三次元網
目構造をもつ高分子及びその膨潤体」と定義されてい
る。理化学辞典(岩波書店 第4版 昭和62年)によ
れば、「ゾル(コロイド溶液)がジェリー状に固化した
もの」と定義されている。
【0010】本発明でいう修飾ヒアルロン酸ゲルとは、
中性水溶液に難溶性であることを特徴とし、この修飾ヒ
アルロン酸ゲルを中性水溶液中に投入すると、ゲル化し
ていない修飾ヒアルロン酸と比較して有意の難溶性を示
す。難溶性は、中性の25℃の水溶液中でのゲルの形態
の保持とゲルの溶解率で規定する。ここで、中性水溶液
とは、pH7に調整された緩衝能を有する生理的食塩水
である。本発明でいう修飾ヒアルロン酸ゲルは、アルカ
リ性水溶液中、例えばpH11のアルカリ性緩衝水溶液
中に投入すると速やかに溶解する特徴も有する。
【0011】本発明でいう修飾ヒアルロン酸ゲルとは、
三次元網目構造をもつ高分子及びその膨潤体である。三
次元網目構造は修飾ヒアルロン酸の架橋構造によって形
成されている。
【0012】本発明でいう修飾ヒアルロン酸ゲルは、ヒ
アルロン酸の促進酸加水分解反応条件下で修飾ヒアルロ
ン酸ゲルを処理することで分解、可溶化することができ
る。可溶化された修飾ヒアルロン酸が架橋構造を保持し
ている場合、分岐点を有する修飾ヒアルロン酸として高
分子溶液論的に直鎖状の修飾ヒアルロン酸と区別するこ
とができる。
【0013】本発明でいうヒアルロン酸の促進酸加水分
解反応条件としては、水溶液のpH1.5、温度60℃
が適当である。ヒアルロン酸のグリコシド結合の加水分
解による主鎖切断反応が、中性の水溶液中と比較して、
酸性やアルカリ性の水溶液中で著しく促進される。更に
酸加水分解反応は、反応温度が高い方が促進される。
【0014】本発明でいう修飾ヒアルロン酸ゲルの促進
酸加水分解の反応時間は、修飾ヒアルロン酸ゲルの構
造、例えば原料ヒアルロン酸の分子量と分子量分布、架
橋度によって大きく左右される。可溶化された修飾ヒア
ルロン酸の割合が大きく、分岐度が大きくなる反応条件
を選択できる。反応条件が弱い場合は、可溶化された修
飾ヒアルロン酸の割合が小さく、逆に反応条件が強い場
合は、可溶化された修飾ヒアルロン酸の分子量が著しく
小さくなるので、分岐度測定が困難になる。また、分岐
点自体が分解する可能性も増大する。反応条件は、目視
で確認できる修飾ヒアルロン酸ゲルがほとんど消失する
反応時間、または可溶化された修飾ヒアルロン酸の割合
が50%以上になる反応時間が好ましい。
【0015】本発明に用いられるヒアルロン酸および修
飾ヒアルロン酸の分子量は、約1×105 〜約1×10
7 ダルトンの範囲内のものが好ましい。また、上記範囲
内の分子量をもつものであれば、より高分子量のものか
ら、加水分解処理等をして得た低分子量のものでも同様
に好ましく使用できる。なお、本発明にいうヒアルロン
酸および修飾ヒアルロン酸は、そのアルカリ金属塩、例
えば、ナトリウム、カリウム、リチウムの塩をも包含す
る概念で使用される。
【0016】本発明に用いられる修飾ヒアルロン酸の水
溶液は、修飾ヒアルロン酸の粉末と水を混合し、撹拌し
て得られる。この修飾ヒアルロン酸の濃度は5.0質量
%以下が水溶液の処理上好都合である。分子量が2×1
6 ダルトン以上の修飾ヒアルロン酸を使用する場合
は、濃度は2.5質量%以下が好ましい。
【0017】修飾ヒアルロン酸の水溶液のpHを調整す
るために使用する酸は、pH3.5以下に調整できる酸
であれば、いずれの酸も使用することができる。酸の使
用量を低減するために、好ましくは強酸、例えば、塩
酸、硝酸、硫酸等を使用することが望ましい。
【0018】修飾ヒアルロン酸の水溶液のpHは、ヒア
ルロン酸のカルボキシル基が充分な割合でプロトン化す
るpHに調整する。酸型のヒアルロン酸の解離の平衡定
数は、ヒアルロン酸濃度の無限希釈のときlogK0
4.25である(Acta Chimica Hungarica - Models in
Chemistry 129(5) 671-683 1992)。調整されるpHは
ヒアルロン酸塩の対イオンの種類、ヒアルロン酸の分子
量、水溶液濃度、凍結及び解凍の条件、並びに生成する
ゲルの強さ等の諸特性により適宜決められるが、本発明
では、pH3.5以下に調整することが必要である。好
ましくは、pH2.5以下である。
【0019】凍結、解凍は修飾ヒアルロン酸の調製され
た酸性水溶液を、任意の容器に入れた後、所定の温度で
凍結させ、凍結が終わった後、所定の温度で解凍させる
操作を少なくとも1回行う。凍結、解凍の温度と時間
は、容器の大きさ、水溶液量により修飾ヒアルロン酸の
酸性水溶液が凍結、解凍する温度と時間の範囲内で適宜
決められるが、一般には、氷点以下の凍結温度、氷点以
上の解凍温度が好ましい。凍結、解凍時間を短くできる
ことから、更に好ましくは−5℃以下の凍結温度、5℃
以上の解凍温度が選ばれる。また、時間は、その温度で
凍結、解凍が終了する時間以上であれば特に制限されな
い。
【0020】修飾ヒアルロン酸の調製された酸性水溶液
を凍結し、次いで解凍する操作の繰り返し回数は、使用
する修飾ヒアルロン酸の分子量、水溶液濃度、水溶液の
pH、凍結及び解凍の温度と時間、並びに生成するゲル
の強さ等の諸特性により適宜決められる。通常は1回以
上繰り返すことが好ましい。また、凍結、解凍の操作を
繰り返すごとに、その凍結、解凍の温度及び時間を変え
ても構わない。
【0021】修飾ヒアルロン酸の調整された酸性溶液の
凍結解凍により得られた修飾ヒアルロン酸ゲルは、修飾
ヒアルロン酸の酸加水分解を避けるために、酸性に調整
するために用いた酸等の成分を中和する必要がある。中
和は、通常は生理的あるいは薬学的に許容な溶液によっ
て行う。修飾ヒアルロン酸ゲルの機能を損なわないもの
であれば特に制限はないが、例えば、生理食塩水、リン
酸緩衝液等が好適に用いられる。
【0022】また、中和の方法は、特に制限はないが、
通常は、バッチ法、濾過法、カラム等に充填して通液す
る方法等が用いられる。これらの中和条件は、中和液
量、回数等を含めて、中和したい成分を目標の濃度以下
にできる条件であればよく、修飾ヒアルロン酸ゲルの形
態や用途により適宜選択することが可能である。
【0023】この中和に用いる溶液で処理された修飾ヒ
アルロン酸ゲルは、その使用目的に応じて、溶媒中に浸
漬した状態、溶媒を含ませた湿潤状態、風乾、減圧乾燥
あるいは凍結乾燥等の処理を経た乾燥状態で医用材料と
して供される。
【0024】次に、凍結を行わずに5質量%以上になる
ように固体修飾ヒアルロン酸と酸溶液を混合し、放置す
ることによる該修飾ヒアルロン酸ゲルの製造法について
述べる。用いる修飾ヒアルロン酸の由来や分子量、用い
る酸の種類などは凍結・解凍によってゲル化させる場合
(凍結法)におけるそれと全く同様である。更にゲルを
形成させた後の中和、洗浄法やその後の処理についても
凍結法で製造する場合と異なるものではない。
【0025】修飾ヒアルロン酸と酸溶液の混合は、修飾
ヒアルロン酸の酸加水分解をさけるためになるべく低温
下で処理することが望ましい。しかし、高温下であって
も極短時間で混和が終了する場合には、そのような条件
下であっても修飾ヒアルロン酸ゲルを得ることは可能で
ある。また、酸溶液が凍結するような氷点以下の条件に
おける混合であっても修飾ヒアルロン酸と酸溶液の均一
混合体が得ることができれば、修飾ヒアルロン酸ゲルを
得ることができる。また、混合が不均一であった場合に
は混合されていない部分では当然ゲル化しないという現
象が起こりうるが、その後の洗浄操作(中和)により未
反応分を除去して修飾ヒアルロン酸ゲルを調製すること
も可能である。修飾ヒアルロン酸と酸溶液の混合体を一
定温下で放置し、ゲル化を進行させ修飾ヒアルロン酸ゲ
ルを得ることができるが、放置温度と放置時間は一義的
に定義されるものではない。放置温度が低ければ酸加水
分解を抑制でき、修飾ヒアルロン酸分子の主鎖の分解を
抑制できるが、ゲル化速度が低下する傾向がより強くな
るために、求める物性を考慮して決定されるものであ
る。
【0026】本発明でいう修飾ヒアルロン酸ゲルは、修
飾ヒアルロン酸の促進酸加水分解反応条件下で修飾ヒア
ルロン酸ゲルを処理することで分解、可溶化することが
できる。可溶化された修飾ヒアルロン酸が架橋構造を保
持している場合、分岐点を有する修飾ヒアルロン酸とし
て高分子溶液論的に直鎖状の修飾ヒアルロン酸と区別す
ることができる。
【0027】本発明でいう修飾ヒアルロン酸の促進酸加
水分解反応条件としては、水溶液のpH1.5、温度6
0℃が適当である。ヒアルロン酸のグリコシド結合の加
水分解による主鎖切断反応が、中性の水溶液中と比較し
て、酸性やアルカリ性の水溶液中で著しく促進される。
更に酸加水分解反応は、反応温度が高い方が促進され
る。
【0028】本発明ではGPC−MALLS法を用い、
GPCで分離された分子量フラクションの分子量と分岐
度をオンラインで連続的に測定した。本発明では、同一
溶出体積のフラクションの可溶化された修飾ヒアルロン
酸の分子量と対照となる直鎖状修飾ヒアルロン酸の分子
量を比較して分岐度を計算する溶出体積法を使って分岐
度の測定を行った。分岐度は可溶化された修飾ヒアルロ
ン酸の高分子鎖1コ当たりに存在する分岐点の数であ
り、可溶化された修飾ヒアルロン酸の分子量に対してプ
ロットされる。このGPC−MALLS法を用いた溶出
体積法による分岐度測定についてはPCT/JP98/03536号に
詳しく述べられている。
【0029】可溶化された修飾ヒアルロン酸は、GPC
溶媒で希釈して濃度を調製し、0.2μmのメンブラン
フィルターでろ過した後測定に供した。本発明でいう修
飾ヒアルロン酸ゲル中に、修飾ヒアルロン酸の促進酸加
水分解条件下でも安定に存在する架橋構造がある場合、
可溶化された修飾ヒアルロン酸に分岐構造が高分子溶液
論的に確認される。本発明でいう修飾ヒアルロン酸ゲル
の分岐度は0.5以上である。
【0030】次に以上のようにして製造された修飾ヒア
ルロン酸ゲルの医療用途に利用する際の加工方法につい
て述べる。修飾ヒアルロン酸ゲルの成形加工等の処理
は、作製時には、容器や手法の選択によりシート状、フ
ィルム状、破砕状、スポンジ状、塊状、繊維状、及びチ
ューブ状の所望の形態の修飾ヒアルロン酸ゲルの作製が
可能である。例えば、板上にキャスティングして凍結す
ることによりフィルム状及びシート状の形態が得られる
し、水と混和しない有機溶剤と激しく混合撹拌しながら
凍結解凍することにより破砕状の形態が得られる。
【0031】修飾ヒアルロン酸ゲルの作製後の加工とし
ては、機械的粉砕による微細な破砕状や、圧延によるフ
ィルム化、紡糸等が例示される。一方、特に成形加工の
ための処理を行わなくても、適切な作製条件を選ぶこと
により目的の形状の修飾ヒアルロン酸ゲルが得られる場
合もある。例えば、修飾ヒアルロン酸濃度が0.1%以
下、好ましくは0.05%以下の調整された酸性溶液の
凍結解凍により、微細繊維片状の修飾ヒアルロン酸ゲル
が得られる。
【0032】本発明で得られた修飾ヒアルロン酸ゲル
は、一般の生体内分解性医用材料及びヒアルロン酸が用
いられる分野であれば特に制限なく使用することができ
る。例えば、癒着防止剤、薬理活性物質の担体、創傷被
覆剤、人工皮膚、組織置換型生体組織修復剤、関節注入
剤、外科手術用縫合糸、止血剤、人工臓器、人工細胞外
マトリックス又は人工基底膜、診断・治療に用いる医療
器具・医療用具等の生物医学的製品又は医薬組成物への
使用が挙げられる。
【0033】修飾ヒアルロン酸ゲルの各種成形加工品
は、単一形態での使用は当然ながら、異なるヒアルロン
酸ゲル形態との混合又は併用、更にゲル化されていない
ヒアルロン酸との混合又は併用による組合せ処方により
効果の増強が期待できる。例えば、腹腔内術後癒着防止
剤としてシート状修飾ヒアルロン酸ゲルとヒアルロン酸
溶液の併用による効果は、局所効果と腹腔内全体効果が
期待できる。また、関節注入剤として破砕状修飾ヒアル
ロン酸ゲルとヒアルロン酸溶液の混合による効果は、即
時効果と遅延効果が期待できる。
【0034】以下に、本発明で得られた修飾ヒアルロン
酸ゲルの医用材料としての有用性を、薬理活性物質の徐
放用担体としての使用を例に挙げて説明する。本発明で
得られた修飾ヒアルロン酸ゲルは、その構造中に薬理活
性物質を結合させてその薬理活性物質を徐放化させる担
体として用いることが可能である。この場合、薬理活性
物質の種類、使用形態、使用部位、必要持続時間に応じ
て修飾ヒアルロン酸ゲルの分解性に代表される性質や形
状をコントロールすることにより、種々の薬理活性物質
に、また、種々の使用形態に適用可能となる。適当な製
剤化と併せて、目的に応じた薬理活性物質の放出が可能
な医薬品製剤が得られる。徐放化製剤の投与方法として
は、経口、経皮、経粘膜、注射、及び体内埋込等が挙げ
られる。
【0035】次に、本発明の癒着防止材について説明す
る。本発明で得られた修飾ヒアルロン酸ゲルの癒着防止
材は、シート状、フィルム状、破砕状、スポンジ状、塊
状、繊維状、及びチューブ状等の形態で外科手術に用い
られる。用いられる形態としては、フィルム状又はシー
ト状として外科手術部位に直接貼付するのが好ましい。
または、微細破砕状として注射器で外科手術部位に塗布
するのが好ましい。または、ゲル又はフィルム状として
腹腔鏡で手術部位に貼塗するのが好ましい。これらの医
用材料に適応する場合には、炎症忌避などの観点から無
菌の材料が必要とされる。修飾ヒアルロン酸ゲル医用材
料については、バイオクリーンルーム等の無菌系で修飾
ヒアルロン酸の合成をし、それをゲル化することで、そ
うした無菌材料が調製可能である。また、製造後に熱滅
菌や放射線滅菌に供する事でも同様な材料が製造可能で
ある。
【0036】さらに、生理活性物質結合した修飾ヒアル
ロン酸の調整された酸性溶液で凍結解凍を行うことによ
り、生理活性物質を包含した修飾ヒアルロン酸ゲルの癒
着防止材を得ることも可能である。修飾ヒアルロン酸ゲ
ルの癒着防止材は、癒着が生じるいかなる動物にも適用
でき、哺乳動物、特に人間に於いて好適に手術後の癒着
を防止することができる。
【0037】生体内の投与場所は腹腔、胸腔内の各種臓
器、腱鞘、頭蓋、神経、及び眼球、等に係わる、腹部手
術、婦人科手術、胸部手術、腱や靭帯に係わる整形外科
手術、硬膜に係わる神経外科手術など、特に制限される
ものではない。
【0038】本発明で得られた修飾ヒアルロン酸ゲルの
癒着防止材の投与時期は、術後の癒着を防止できるどの
時期でも良く、手術中又は手術終了時に投与できるが、
特に手術終了の直前に投与するのが好ましい。
【0039】次に、本発明の創傷被覆材について説明す
る。臨床における適用範囲は、外傷による組織断裂・欠
損、熱傷創、潰瘍創、褥瘡等の形成外科分野の創傷の
他、耳鼻科分野における外傷、中耳炎等による鼓膜穿
孔、さらに血管、神経における創傷が想定される。ま
た、適用部位に応じ、その形状をシート状、フィルム
状、破砕状、スポンジ状、塊状、繊維状、又はチューブ
状から選択することが可能である。
【0040】以下、実施例により本発明を更に詳しく説
明する。なお、本発明はこれにより限定されるものでは
ない。
【0041】
【実施例】実施例1 分子量が2×106 ダルトンのヒアルロン酸ナトリウム
80mgを水20mlとジオキサン10mlの混合溶液
に溶解した。氷冷上で攪拌しながら桂皮酸クロリド14
4μl、トリエチルアミン139μlを加え、更に4−
ジメチルアミノピリジン122mgを2mlジオキサン
に溶解したものを加え、室温で1時間反応させた。反応
終了後、エタノール析出により修飾ヒアルロン酸を分離
・洗浄し、これを凍結乾燥することで白色の修飾ヒアル
ロン酸粉末を得た。修飾ヒアルロン酸の合成の確認につ
いては、GPC分析によって評価を行った。すなわち、
リン酸緩衝液を溶媒として、高分子分画用カラムである
SHODEX社806カラムを用いてサンプルを溶出さ
せ、UV検出器により桂皮酸を、そしてRI検出器によ
りヒアルロン酸を検出した。桂皮酸はヒアルロン酸に比
べて非常に低分子量であるために、ヒアルロン酸と桂皮
酸の混合物を分析した場合には、まずヒアルロン酸が溶
出し、その後に桂皮酸が溶出してくる。しかし、合成し
た修飾ヒアルロン酸を分析してみると、両者がまったく
同時に溶出していることが確認され、桂皮酸がヒアルロ
ン酸に化学的に結合した桂皮酸修飾ヒアルロン酸が合成
されていることが確認できた。この分析によると結合率
は0.25質量%だった。また、GPC以外にも熱分解
GC/MS(装置:日本電子製DX303とフロンティ
アラボ製PY−2020D、カラム:DB−1HT、熱
分解温度590℃)によっても、熱分解生成物の桂皮酸
エチルの検出から桂皮酸修飾ヒアルロン酸の結合評価も
行い、桂皮酸修飾ヒアルロン酸が合成されていることが
確認できた。
【0042】実施例2 分子量が2×106 ダルトンのヒアルロン酸ナトリウム
80mgを水20mlとジオキサン10mlの混合溶液
に溶解した。氷冷上で攪拌しながら桂皮酸クロリド72
μl、トリエチルアミン139μlを加え、更に4−ジ
メチルアミノピリジン122mgを2mlジオキサンに
溶解したものを加え、室温で1時間反応させた。反応終
了後、エタノール析出により修飾ヒアルロン酸を分離・
洗浄し、これを凍結乾燥することで白色の桂皮酸修飾ヒ
アルロン酸粉末を得た。得られた白色粉末を水に溶解
し、これをGPC分析した。UV検出器で置換基を、R
I検出器でヒアルロン酸をそれぞれ定量し結合率を評価
した。結合率は0.1質量%だった。
【0043】実施例3 実施例2で製造した修飾ヒアルロン酸ナトリウムを蒸留
水に溶解し、1質量%の修飾ヒアルロン酸の水溶液を調
整した。この水溶液のpHを、1mmol/l塩酸でp
H1.5に調整した。修飾ヒアルロン酸の酸性水溶液1
5mlを30mlのガラスビンに入れ、−20℃に設定
した冷凍庫に入れた。65時間放置した後、25℃で解
凍した。その結果、スポンジ状の修飾ヒアルロン酸ゲル
が得られた。次いでこのゲルを、100mmol/lの
リン酸緩衝液(pH6.8)に何度か浸漬させ、ゲルを
完全に中和した後に、−20℃で凍結し、凍結乾燥して
スポンジ状の修飾ヒアルロン酸を得た。該スポンジ状の
修飾ヒアルロン酸を修飾ヒアルロン酸ゲルの溶解性試験
に用いた。
【0044】実施例4 実施例3に於いて、修飾ヒアルロン酸濃度を0.1質量
%にして修飾ヒアルロン酸の水溶液を調整した。そし
て、実施例3と同様の操作を行った。その結果、スポン
ジ状の修飾ヒアルロン酸ゲルが得られた。
【0045】実施例5 実施例3に於いて、分子量が6×105 ダルトンの修飾
ヒアルロン酸ナトリウムを溶解して修飾ヒアルロン酸の
水溶液を調整した。実施例1と同様に調整し、−20℃
に設定した冷凍庫に入れた。6時間以上の凍結と25℃
で2時間以上の解凍を5回繰り返した。その結果、スポ
ンジ状の修飾ヒアルロン酸ゲルが得られた。
【0046】実施例6 実施例3に於いて、凍結温度を−10℃に設定した。7
7時間その雰囲気で放置した後、25℃で解凍した。そ
の結果、スポンジ状の修飾ヒアルロン酸ゲルが得られ
た。
【0047】実施例7 修飾ヒアルロン酸1gを乳鉢に取り、5mlの1mmo
l/l硝酸溶液を添加し、容器を氷冷しながら5分間乳
棒でかき混ぜて、修飾ヒアルロン酸と酸を混合した。こ
れをビニール袋に移し替え、4℃で4日間放置した。そ
の後これを取り出し100mmol/lのリン酸緩衝液
(pH6.8)500mlに浸漬させ、液を6時間おき
に数回、同じ溶液で置換して完全にゲルを中和して、修
飾ヒアルロン酸ゲルを得た。
【0048】比較例1 実施例3に於いて、修飾ヒアルロン酸の水溶液のpHを
調整せずに、凍結し、解凍することを8回繰り返した。
その結果、修飾ヒアルロン酸の水溶液の変化は起こらな
かった。すなわち、ゲル化しなかった。
【0049】比較例2 実施例3で調整した修飾ヒアルロン酸の水溶液を使っ
て、60℃で風乾し、厚さ約100μmのキャストフィ
ルムを得た。該キャストフィルムを修飾ヒアルロン酸ゲ
ルの溶解性試験に用いた。
【0050】参考例1 実施例3で修飾ヒアルロン酸のかわりに修飾を行ってい
ないヒアルロン酸を用いて、同一の条件下でスポンジ状
のヒアルロン酸ゲルシートを製造し、ヒアルロン酸ゲル
の溶解性試験に用いた。
【0051】実施例8 修飾ヒアルロン酸ゲルの分岐度測定 実施例3〜7で得られた修飾ヒアルロン酸ゲルを、pH
1.5の塩酸水溶液15mlに浸漬し、60℃、6時間
の加水分解を行った。ゲルは加水分解により可溶化さ
れ、これをGPC溶媒で2倍に希釈して濃度を0.05
質量%に調製し、0.2μmのメンブランフィルターで
ろ過した後、0.1ml注入してGPC−MALLSの
測定を行った。実施例3〜7で得られた修飾ヒアルロン
酸ゲルの分岐度は、いずれも0.5以上であった。
【0052】実施例9 修飾ヒアルロン酸ゲルの溶解性試験 生理的食塩水に50mmol/l濃度でリン酸緩衝成分
を加え、pH7のリン酸緩衝生理的食塩水を調整した。
上記の実施例で得られたスポンジ状の修飾ヒアルロン酸
ゲルを蒸留水で水洗し、ろ紙上で脱水した。乾燥重量で
150mgの修飾ヒアルロン酸を含む修飾ヒアルロン酸
ゲルに対して、50mlのリン酸緩衝生理的食塩水の割
合で、修飾ヒアルロン酸ゲルをリン酸緩衝生理的食塩水
中に浸漬した。また、比較例の修飾ヒアルロン酸固形物
は、乾燥重量で150mgを50mlのリン酸緩衝生理
的食塩水中に浸漬した。そして、25℃でリン酸緩衝生
理的食塩水中に溶出する修飾ヒアルロン酸の割合を、リ
ン酸緩衝生理的食塩水中の修飾ヒアルロン酸濃度から求
めた。従って、中性の25℃の水溶液中での修飾ヒアル
ロン酸ゲルの溶解性は、上記試験により規定されるもの
である。
【0053】修飾ヒアルロン酸濃度の測定 リン酸緩衝生理的食塩水中の修飾ヒアルロン酸の濃度
は、GPCを使って、RI検出器のピーク面積から求め
た。
【0054】上記に従い、具体的に実施例3の修飾ヒア
ルロン酸ゲル及び比較例2の修飾ヒアルロン酸固形物の
溶解性試験を行った。また、参考までに参考例1のヒア
ルロン酸ゲルの溶解性試験も行った。その結果を表1に
示す。
【0055】
【表1】
【0056】例えば、実験No.1の実施例3で得られ
た修飾ヒアルロン酸ゲルの溶解率を調べると、1日経過
後では、0%(検出限界以下)の溶解率であり、3日経
過後では4.8±2.0%の溶解率であり、更に7日経
過後では14.3±7.7%の溶解率であった。即ち、
7日経過しても85.7%の修飾ヒアルロン酸ゲルが残
存していた。スポンジ状の形態も保持されていた。それ
に対して、実験No.2の比較例2で得られた厚さ約1
00μmのキャストフィルムの溶解率を調べると、1日
経過後では、100%の溶解率であり、完全に溶解し
た。また、4日経過後、及び7日経過後も100%溶解
している状態を維持していた。さらに修飾をしていない
ヒアルロン酸ゲル(実験No.3)と比較すると水中で
の溶解速度が遅く、有意に安定であった。よって、比較
例(実験No.2)で得られた修飾ヒアルロン酸固形物
の水中での溶解速度が極めて速いのに対して、本発明で
得られた修飾ヒアルロン酸ゲル(実験No.1)の水中
での溶解速度が極めて遅いことが見出される。これよ
り、本願発明で得られた修飾ヒアルロン酸ゲルは、生体
内滞留時間が長いことが示唆される。
【0057】実施例10 ラット盲腸擦過モデルのおける癒着防止試験 癒着誘導法 ラット(SD、メス、9週齢以上)下肢に麻酔剤(ケラ
タン溶液)を筋注し麻酔後、仰向けに固定してイソジン
にて腹部皮膚を消毒後、剪毛を行った。ラット腹筋を正
中線に沿って開腹し、盲腸を腹腔内から取りだし、盲腸
を有孔(φ16mm)テフロン(登録商標)シートで固
定した。孔から露出した盲腸部分にガーゼをかぶせた回
転棒(φ13mm)を押し当て約120回擦過した(片
面2カ所)。擦過部に実施例3で得た修飾ヒアルロン酸
ゲル組成物を原料として作製したフィルム状癒着防止材
約4cm×4cm片をあて、盲腸を元に戻して木綿糸で
縫合を行った。また、癒着防止材を処置せず、そのまま
盲腸を戻したものをコントロールとした。こうした処置
はコントロールを含めた各実験で10匹づつのラットを
用いた。術後一週間程度で剖検し、癒着防止効果を評価
した。その結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】表2より、無処置で癒着の形成割合が10
匹中9匹であるのに対して修飾ヒアルロン酸ゲルシート
を処置した物はいずれも5匹にまで発生率が低下してい
る。更に癒着スコア平均値も低減されていた。また、こ
れらの修飾ヒアルロン酸ゲルシートを処置した部位には
炎症等の発生は見られなかった。
【0060】実施例11 ゲル創傷被覆材のラット皮膚欠損モデルによる創傷治療
効果試験 7週令(約200g)のウィスター(Wistar)系、雌性
ラットの背部の毛を刈り、エーテル麻酔下で眼科用ハサ
ミを用いて背部皮膚部分を直径2cmの円状に取り除
き、完全皮膚欠損創を作製した。医療用不織布ガーゼ
(40×40mm:2枚重ね)のみを適応した無処置
群、実施例3で得た修飾ヒアルロン酸ゲルを用いて作成
したゲルシート(30×30mm)を創面に被覆後、医
療用不織布ガーゼ(40×40mm:2枚重ね)を適応
した処置群を設定した。各群6匹のラットを用いた。医
療用不織布ガーゼは粘着包帯で設定し、更にテーピング
で固定した。治療効果は、創面積の経時的変化を測定す
ることで比較した。すなわち、初期創面の面積に対する
面積比を次の式によって求め、その経時的変化を調べ
た。その結果を表3に示す。 面積比(%)={(観察日の創面の長径×短径)/(初
期創面の長径×短径)}×100
【0061】
【表3】
【0062】表3より難水溶性となった修飾ヒアルロン
酸ゲルシートが創傷治療効果を増強することがわかっ
た。
【0063】
【発明の効果】以上、本発明によれば、難水溶性の修飾
ヒアルロン酸ゲルが得られる。ヒアルロン酸ゲルの溶解
性は桂皮酸修飾で低下することより、ヒアルロン酸ゲル
の溶解性を制御する方法として有用である。特に本発明
の難水溶性の修飾ヒアルロン酸ゲルにより、(1)癒着
防止材として理想的な生体内貯留性及び極めて高い安全
性が得られる、(2)創面での滞留時間を大幅に改善す
ることで術後癒着を顕著に抑制できる、(3)更には薬
剤を直接結合させた修飾ヒアルロン酸ゲルによる薬物送
達システムの担体としての応用が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C076 AA09 AA95 EE37 FF31 4C081 AA06 AA07 AA12 AA14 BB06 CD081 4C086 EA21 EA22 EA25 MA01 MA04 MA28 MA67 NA14 ZC80 4C090 AA02 AA04 AA09 BA67 BB76 BB97 CA19 CA38 DA10 DA22 DA23

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中性水溶液に難溶性であることを特徴と
    する修飾ヒアルロン酸単独で形成された修飾ヒアルロン
    酸ゲル。
  2. 【請求項2】 ヒアルロン酸の水酸基に置換基が導入さ
    れたことを特徴とする請求項1記載の修飾ヒアルロン酸
    ゲル。
  3. 【請求項3】 置換基が桂皮酸である修飾ヒアルロン酸
    を用いたことを特徴とする請求項2記載の修飾ヒアルロ
    ン酸ゲル。
  4. 【請求項4】 桂皮酸のヒアルロン酸への導入率が0.
    05質量%以上であることを特徴とする請求項3記載の
    修飾ヒアルロン酸ゲル。
  5. 【請求項5】 中性の25℃の水溶液中で1日での溶解
    率が25%以下であることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の修飾ヒアルロン酸ゲル。
  6. 【請求項6】 修飾ヒアルロン酸の促進酸加水分解条件
    下で修飾ヒアルロン酸ゲルを処理することで可溶化され
    た修飾ヒアルロン酸中に、分岐度が0.5以上の分子量
    フラクションを部分的に含むことを特徴とする請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の修飾ヒアルロン酸ゲル。
  7. 【請求項7】 修飾ヒアルロン酸の水溶液を、pH3.
    5以下に調整し、該水溶液を凍結し、次いで解凍するこ
    とを少なくとも1回行うことを特徴とする修飾ヒアルロ
    ン酸ゲルの製造方法。
  8. 【請求項8】 修飾ヒアルロン酸と、修飾ヒアルロン酸
    濃度5質量%以上にする水、及びヒアルロン酸のカルボ
    キシル基と等モル以上の酸成分とを共存させ、該共存状
    態を保持することにより修飾ヒアルロン酸ゲルを形成す
    ることを特徴とする修飾ヒアルロン酸ゲルの製造方法。
  9. 【請求項9】 修飾ヒアルロン酸と、修飾ヒアルロン酸
    濃度5質量%以上にする水、及び修飾ヒアルロン酸のカ
    ルボキシル基と等モル以上の酸成分との共存下で、該共
    存状態を−10℃〜30℃で保持して修飾ヒアルロン酸
    ゲルを形成することを特徴とする請求項8記載の修飾ヒ
    アルロン酸ゲルの製造方法。
  10. 【請求項10】 修飾ヒアルロン酸と、修飾ヒアルロン
    酸濃度5質量%以上にする水、及び修飾ヒアルロン酸の
    カルボキシル基と等モル以上の酸成分との共存下で、該
    共存状態を−10℃〜30℃で保持して修飾ヒアルロン
    酸ゲルを形成し、該ゲルを中和に用いる溶液で処理する
    ことを特徴とする修飾ヒアルロン酸ゲルの製造方法。
  11. 【請求項11】 修飾ヒアルロン酸が桂皮酸修飾ヒアル
    ロン酸であることを特徴とする請求項7〜10のいずれ
    か1項に記載の修飾ヒアルロン酸ゲルの製造方法。
  12. 【請求項12】 次の(a)、(b)の要件を満たす修
    飾ヒアルロン酸単独で形成されたゲルを含有することを
    特徴とする医用材料。 (a)中性の25℃の水溶液中で1日での溶解率が25
    %以下である、(b)ヒアルロン酸の促進酸加水分解条
    件下で修飾ヒアルロン酸ゲルを処理することで可溶化さ
    れた修飾ヒアルロン酸が分岐構造を有し、該可溶化され
    た修飾ヒアルロン酸中に分岐度が0.5以上の分子量フ
    ラクションを部分的に含む。
  13. 【請求項13】 修飾ヒアルロン酸単独で形成されたゲ
    ルが、シート状、フィルム状、破砕状、スポンジ状、塊
    状、繊維状、又はチューブ状からなる群より選択した1
    種であることを特徴とする請求項12記載の医用材料。
  14. 【請求項14】 医用材料が癒着防止材、創傷被覆材、
    又は薬物送達システム(DDS)を目的とした薬物担体
    からなる群より選択した1種であることを特徴とする請
    求項13記載の医用材料。
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