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JP2001264282A - 金属材表面のゼータ電位測定方法およびゼータ電位測定装置、金属材の表面特性の評価方法 - Google Patents

金属材表面のゼータ電位測定方法およびゼータ電位測定装置、金属材の表面特性の評価方法

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Publication number
JP2001264282A
JP2001264282A JP2000073625A JP2000073625A JP2001264282A JP 2001264282 A JP2001264282 A JP 2001264282A JP 2000073625 A JP2000073625 A JP 2000073625A JP 2000073625 A JP2000073625 A JP 2000073625A JP 2001264282 A JP2001264282 A JP 2001264282A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal material
zeta potential
aqueous solution
contact
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000073625A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazumi Yanagisawa
佳寿美 柳澤
Setsu Nishizawa
節 西澤
Reiko Tahara
麗子 太原
Tatsuya Osako
達也 大迫
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2000073625A priority Critical patent/JP2001264282A/ja
Publication of JP2001264282A publication Critical patent/JP2001264282A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属材表面の正確なゼータ電位を測定可能
とするゼータ電位測定方法およびゼータ電位測定装置を
提供すること、そして、これらのゼータ電位測定に基づ
く金属材の表面特性の評価方法を提供することを目的と
する。 【解決手段】 誘電率を一定にする電解質を含む水溶
液C をセル1 内に収容し、該水溶液C に金属材X を接触
させるとともに、ゼータ電位が既知の帯電させたモニタ
ー粒子B を前記水溶液中に配し、金属材が接触していな
い水溶液中と金属材が接触している水溶液C 中とのモニ
ター粒子B の移動速度の変化から、この移動速度の変化
に対応したゼータ電位を金属材表面のゼータ電位として
測定する方法であって、金属材X の水溶液接触側表面の
一部を絶縁することによって、水溶液中のモニター粒子
B を帯電せしめ、水溶液中のモニター粒子B の前記移動
速度の変化を検出することである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材表面のゼー
タ電位測定方法およびゼータ電位測定装置、金属材の表
面特性の評価方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゼータ電位 (ζ電位) は、例えば、コロ
イド粒子などの溶液中にある物質 (固体) 表面の帯電状
態を表し、物質表面の帯電状態 (表面特性) を評価する
手段として、コロイド科学の分野などで汎用されてい
る。より具体的には、紙パルプ、写真、塗料、油脂、セ
メント等の分野で、個々のコロイド溶液の凝集や分散状
態を、コロイド粒子のゼータ電位を測定して、これらコ
ロイド粒子と溶液との相互関係である種々の特性を評価
することが行われ、特開平10-121039 号、特開平8-1697
38号、特開平7-116484号、特開平7-45600 号、特開平6-
48735 号、特開平6-220 号、特開平5-337351号、特開平
5-67601 号等の公報にも、測定法などとともに開示され
ている。
【0003】このゼータ電位 (ζ電位) は、「ゼータ電
位 微粒子界面の物理化学」( サイエンティスト社、19
95年1 月31日発行) 等にも開示されている通り、コロイ
ド粒子の電気泳動、電気浸透、流動電位、沈降電位等の
界面動電現象から得られる電位として測定可能である。
【0004】コロイド粒子表面のゼータ電位の電気泳動
による測定原理を図1 に模式的に示す。図1 において、
セル1 中の溶液 (分散液) C に一定の電場 (±) をか
け、粒子A を分散させると、粒子A 表面の一定のゼータ
電位 [図1 では電荷が (−)]を有するように帯電し、こ
の帯電状態 (ζ) に従い、速度U で対極の電極方向へ移
動する。
【0005】溶液中のこのコロイド粒子A の移動速度U
(図1 では電極 (+) 方向への移動速度) の検出から、
コロイド粒子表面A のゼータ電位ζは次式1 、U= (εE
ζ)/ (4 πη) で求められる (但し、ε; 溶液の誘電
率、E;溶液の電場、ζ; コロイド粒子A 表面のゼータ電
位、η; 溶液の粘度) 。
【0006】一方、金属材の表面処理の分野において、
金属材の表面処理に用いられるのが前記コロイド粒子の
ような場合、コロイド粒子表面のゼータ電位と、表面処
理される金属材表面のゼータ電位との関係が分かれば、
金属材の表面処理性を評価することができる。表面処理
の中には、実際に表面処理して評価試験することが難し
い場合や、高価乃至長時間を要する場合が有るので、実
際に表面処理することなく、素材金属の評価をすること
ができれば、素材の表面処理性改善等に迅速に反映させ
ることができる。
【0007】この点は、前記金属材の表面処理性だけで
はなく、金属材の耐食性、或いは金属材の表面の耐汚染
性(特定物質による金属材表面の汚染のされやすさ)等
の、金属材の他の表面特性についてもいうことができ
る。
【0008】金属材の表面処理の一例として、自動車用
Al合金展伸材の表面処理性がある。自動車用Al合金展伸
材は、近年、パネル用にAl合金圧延板や、フレームやメ
ンバー類用にAl合金押出形材等の使われつつある。これ
らのAl合金展伸材は、従来から使用されている鋼材と同
様に、自動車の製造ラインにおいて、車体として、成
形、組み立て、接合後に、リン酸亜鉛などの塗装下地処
理を施された後、カチオン電着塗装処理や中塗り、上塗
りなどの塗装を施される。
【0009】この際、Al合金展伸材のリン酸亜鉛処理性
が悪いと、その後に塗装により形成される塗膜の密着性
が低下する。そしてこの結果、塗装後に糸錆状の腐食や
塗膜のふくれが生じ、自動車としての耐食性や外観性を
低下させる可能性がある。このため、前記自動車の製造
ラインに乗せる前に、素材製造側において、Al合金展伸
材のリン酸亜鉛処理性を評価して、素材のリン酸亜鉛処
理性の改善に反映させる必要がある。
【0010】このような場合に、Al合金展伸材を、素材
製造側には設備の無い、リン酸亜鉛処理することなく、
リン酸亜鉛処理性を評価する方法に、Al合金展伸材表面
のゼータ電位を用いることができれば、かなり有用な技
術となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これまでのゼ
ータ電位の測定は、前記コロイド科学の分野における、
溶液中の、粒子か絶縁性の板表面のゼータ電位に限ら
れ、Alや鉄などの導電性の金属材表面のゼータ電位を測
定した公知例は、これまでに無かった。
【0012】この理由は、まず、ゼータ電位による特性
評価は、前記コロイド科学の分野に限られ、Alや鉄など
の導電性の金属材表面の特性をゼータ電位により評価す
るまでに応用はされていなかった、或いは、その必要性
が無かったためと推考される。
【0013】そして、次に、Alや鉄などの導電性の金属
材表面のゼータ電位を測定する手法が確立されていなか
ったことも、その理由の一つである。これは、金属材表
面のゼータ電位を測定することが、前記コロイド科学分
野におけるコロイド粒子自体の表面電位を直接測定する
よりも、困難であることによる。
【0014】例えば、金属材表面のゼータ電位を測定し
ようとする場合、コロイド粒子のように、溶液中を金属
板を電気泳動 (移動) させるわけにはいかない。このた
め、代わりに、金属材表面のゼータ電位と、自らの表面
のゼータ電位 (既知乃至測定可能) とが相互作用して、
溶液中の移動速度が変化するようなモニター粒子を用い
る。
【0015】即ち、図2 に示す通り、セル1 の底部 (一
部) を金属板X にて構成して溶液Cに臨ませる。そし
て、電場などの他の測定条件を同じとした際の、前記金
属板Xが接触する溶液C 中のモニター粒子B の移動速度
と、金属板X が無いセルの場合の溶液C 中のモニター粒
子B の移動速度との比較を行う。そして、両移動速度の
変化量から、前記式1 により、この移動速度の変化量に
対応した金属板X 表面のゼータ電位の量を求める。即
ち、モニター粒子B の移動速度から、間接的に求めるこ
とが、金属材表面のゼータ電位を測定する場合の基本的
な原理となる。
【0016】しかし、このような測定原理に基づき、実
際に導電性の金属材表面のゼータ電位を測定しようとす
る場合、図3(a)に示す通り、電極5a、5bに荷電して、セ
ルX内の溶液C 中のモニター粒子B の表面を帯電させよ
うとしても、金属材 (板)Eの方が専ら帯電してしまう。
この結果、肝心のモニター粒子B の表面の方が帯電しな
い乃至しにくいために、導電性の金属材X の表面のゼー
タ電位を測定することができないという問題が生じる。
【0017】これに対し、この導電性の金属材の方の帯
電を防止して、モニター粒子表面の方を帯電させる手段
が、これまでは無かった乃至想到しえなかったために、
導電性の金属材の正確なゼータ電位を測定することは不
可能である、というのが一般的な通説であった。
【0018】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、金属材表面の正確なゼータ
電位を測定可能とする、ゼータ電位測定方法およびゼー
タ電位測定装置を提供すること、そして、これらのゼー
タ電位測定に基づく金属材の表面特性の評価方法を提供
することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明金属材表面のゼータ電位測定方法 (請求項1)
の要旨は、誘電率を一定にする電解質を含む水溶液をセ
ル内に収容し、該水溶液に金属材を接触させるととも
に、ゼータ電位が既知の帯電させたモニター粒子を前記
水溶液中に配し、金属材が接触していない水溶液中と金
属材が接触している水溶液中とのモニター粒子の移動速
度の変化から、この移動速度の変化に対応したゼータ電
位を金属材表面のゼータ電位として測定する方法であっ
て、金属材の水溶液接触側表面の一部を絶縁することに
よって、水溶液中のモニター粒子を帯電せしめ、水溶液
中のモニター粒子の前記移動速度の変化を検出すること
である。
【0020】また、本発明金属材表面のゼータ電位測定
装置 (請求項5)の要旨は、ゼータ電位が既知のモニター
粒子を分散させるとともに誘電率を一定にするための電
解質を含む水溶液を収容するセルと、前記モニター粒子
を帯電させるための電極と、前記水溶液に金属材を接触
させる固定手段と、金属材が接触していない水溶液中と
金属材が接触している水溶液中とのモニター粒子の移動
速度の変化を検出する手段とを有し、この移動速度の変
化量に対応したゼータ電位を金属材表面のゼータ電位と
して測定する装置であって、金属材の水溶液接触側表面
の一部を絶縁する手段を設けてモニター粒子を帯電せし
め、水溶液中のモニター粒子の前記移動速度の変化を検
出することである。
【0021】これら本発明の要旨によって、導電性の金
属材の溶液接触側表面の一部を絶縁することにより、電
極を荷電させても、金属材の方が帯電しにくくなり、溶
液中のモニター粒子の表面の方を、移動速度測定に充分
な量だけ、帯電させることが可能となる。そして、この
モニター粒子と金属材との相互関係 (モニター粒子の移
動速度の金属材による変化) から、前記した金属材の測
定原理によって、既知のモニター粒子の表面のゼータ電
位から、金属材表面のゼータ電位を求めることが可能と
なる。
【0022】また、これによって測定可能となった金属
材表面のゼータ電位を用いて、金属材の表面特性の評価
に用いることが可能となる (請求項7 に対応) 。
【0023】金属材の表面特性の評価をより正確に行う
ためには、ゼータ電位による評価を、金属材の表面と係
わる特定の物質、或いは、この特定物質に代わる物質表
面のゼータ電位と、金属材の表面のゼータ電位との比較
により行うことが好ましい(請求項8 に対応) 。
【0024】そして、この金属材の表面特性の評価は、
金属材の表面処理性、金属材の耐食性、金属材の表面の
耐汚染性などに適用されて、特に有用である (請求項9
に対応) 。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の具体的な実施の形態を以
下に説明する。まず、本発明の基本的な測定原理は、前
記図3(a)で説明した通りである。即ち、ゼータ電位が既
知の帯電させたモニター粒子B をセル1 内の水溶液C 中
に配して、通常の金属材X が接触していない水溶液中と
金属材X が接触している水溶液C 中での、モニター粒子
B の移動速度の変化から、この移動速度の変化量に対応
した金属材表面のゼータ電位の量を測定する。
【0026】ここにおいて、本発明の特徴は、図3(b)に
示す通り、導電性の金属材X の水溶液接触側表面に、水
溶液と接する隙間 (窓)Dを有する絶縁性のスペーサE を
配置して、導電性の金属材X の、例えば両端部側の表面
を部分的に絶縁する。
【0027】これによって、セルを荷電しても、導電性
の金属材X は帯電しにくくなり、モニター粒子B の表面
が、測定に充分な量、帯電することが可能となる。そし
て、金属材が接触していない水溶液中と、金属材が接触
している水溶液中 (前記隙間D の部分に対応する水溶液
中) におけるモニター粒子B の移動速度の変化から、こ
の隙間D の部分における移動速度の変化量に対応した金
属材X 表面のゼータ電位 (帯電) 量を求めることができ
る。
【0028】まず、金属材X 表面のゼータ電位の求め方
の原理を説明する。今、金属材が接触していない通常の
水溶液中のモニター粒子B 表面のゼータ電位ζ1 は次式
2 、U1= ( εE ζ1)/ (4πη) で求められる (但し、U
1; 金属材が接触していない通常の溶液中のモニター粒
子B の移動速度、ε; 水溶液の誘電率、E;水溶液の電
場、ζ1;モニター粒子B 表面のゼータ電位、η; 水溶液
の粘度) 。また、金属材が接触している水溶液中のモニ
ター粒子B 表面のゼータ電位ζ2 は次式3 、U2= (εE
ζ2)/ (4πη) で求められる (但し、U2; 金属材が接触
している水溶液中のモニター粒子B の移動速度、ε; 水
溶液の誘電率、E;水溶液の電場、ζ2;モニター粒子B 表
面のゼータ電位、η; 水溶液の粘度) 。したがって、金
属材X 表面のゼータ電位 (ζ) は、金属材が接触してい
ない水溶液中と金属材が接触している水溶液中とのモニ
ター粒子の移動速度の変化から、この移動速度の変化に
対応して、ζ2 −ζ1 で求められる。
【0029】ただ、実際の機器分析で、金属材X 表面の
ゼータ電位を、再現性良く正確に求めるためには、通常
のコロイド粒子表面のゼータ電位の測定にも用いる、電
気浸透流 (水溶液側の流速) の因子 (影響) を考慮する
必要が有り、この点を含めて、金属材X 表面のゼータ電
位の求め方につき、以下により詳細に説明する。
【0030】即ち、図7 に模式的に示す通り、セル壁A
、B 間 (セル壁B が金属材X 表面)の溶液に電場をかけ
ると、帯電した金属材X の表面 (壁面) の影響で水溶液
に電気浸透流と呼ばれる水溶液の流れが生じる。この電
気浸透流は、水溶液中のモニター粒子の移動速度に影響
する。
【0031】今、金属材X の壁面B からZ だけ離れたモ
ニター粒子の観測される (見かけの) 移動速度をU obs
(Z) 、金属材が接触 (存在) していない場合の水溶液中
のモニター粒子の観測される移動速度をUp、金属材X の
壁面B からZ だけ離れた位置での前記電気浸透流の速度
をU osm (Z) とすると、これらの間には、次式2 、U
obs (Z)=U osm (Z) +Up、書き換えると、U osm (Z)=U
obs (Z) −Up、の関係が成り立つ。このモニター粒子の
移動速度の観測 (測定) は後述する通り、レーザーによ
り行う。
【0032】ここで、金属材X の表面 (壁面) はZ=0 で
あるので、金属材X の表面の電気浸透流の速度U
osm (0) は、任意の位置での前記電気浸透流の速度U
osm (Z) から、公知の流体力学的な外挿法 (例えば森、
岡本の式) によって求めることができる。したがって、
金属材X 表面のゼータ電位 (ζZ=0)は、このU osm (0)
を、前記式1 のU= (εE ζ)/ (4 πη) のU に代入し
て、式1 のζとして求めることができる。
【0033】なお、図7 に示す通り、個々のモニター粒
子B の移動速度は金属材X やセルからの距離によっても
影響を受けるので、移動速度を正確に測定するために
は、ゼータ電位測定において公知なように、金属材X や
セルからの距離の違う一定位置にある個々のモニター粒
子B の平均的な移動速度を測定するか、あるいは前記し
た通り、個々のモニター粒子B の移動速度を外挿して、
移動速度を測定することが好ましい。
【0034】図5(a)、(b) に、前記図3(b)をより具体化
した、本発明の金属材表面のゼータ電位測定装置の正面
図 (一部断面) を示す。なお、図5(a)は金属材表面のゼ
ータ電位測定用のセルユニットの全体を示し、図5(b)は
図5(a)の要部を拡大した正面図 (一部断面) を示す。
【0035】図5(a)において、金属材表面のゼータ電位
測定用のセルは、基本的に、石英セル1a、樹脂製のセル
1bと、これらのセルに刻設された流路2(モニター粒子B
を分散させた電解質を含む水溶液C を収容する) とから
なり、図示しないセルホルダー内に収容および支持され
ている。この他、ゼータ電位測定装置は、このセルに取
り付けられ前記モニター粒子を帯電させるための白金電
極5a、5bと、前記水溶液に対し、石英セル1aセルの金属
材を接触、固定させるための、伝熱シート6 、恒温ブロ
ック7 、押さえネジ8 等の公知の固定手段と、図示しな
い水溶液中とモニター粒子の移動速度の変化を検出する
レーザー等の検出手段とを有する。
【0036】なお、石英セル1aには、底部の一部が開放
して、金属材X の表面と接触するように、水溶液C の
(水平) 流路2aが設けられている。また、流路2aは、端
部で(垂直) 流路2b、2cと連通しており、流路2b、2c
は、更に各々、水溶液C のセルへの導入口3 、導出口4
連通している。石英セル1aに設けたこれら流路の透視状
の斜視図を図4(b)に示す。
【0037】したがって、石英セル1aの底部から、水溶
液C の( 水平) 流路2aに、金属材Xを固定手段8 等によ
って押し当てることによって、水溶液C と金属材X の水
溶液C 側の表面との接触が確保される。そして、これら
のような基本的な構成までは、従来乃至市販のゼータ電
位測定装置と同じである。
【0038】図5(b)は、本発明に係る金属材表面のゼー
タ電位測定装置の特徴的な構成を示している。即ち、図
5(b)では、金属材X の水溶液C と接触する側の表面の一
部を絶縁する手段として、金属材X の水溶液C と接触す
る側に、前記図3(b)に示した、樹脂やゴムなどの絶縁性
のスペーサーE を設けている。このスペーサーE は、導
電性の金属材X の水溶液C 接触側表面に、水溶液C と接
する隙間 (窓)Dを有しており、この隙間D の部分を除い
て、導電性の金属材X の水溶液C と接触する側の表面を
絶縁している。
【0039】これによって、白金電極5a、5bにより、セ
ルと水溶液C を荷電しても、導電性の金属材X は帯電し
にくく、水溶液C 中のモニター粒子B の表面が、測定に
充分な量、帯電することが可能となる。
【0040】そして、帯電したモニター粒子B の水溶液
C 中の移動の際、通常の (金属材Xと絶縁されている部
分の) 水溶液C 中と、金属材X とが接触している水溶液
C 中(前記隙間D の部分に対応する水溶液中) での、モ
ニター粒子B の移動速度をレーザー等の検出手段により
測定する。
【0041】更に、これらモニター粒子B の移動速度か
ら、電気浸透流 (溶液側の流速) を考慮した、前記金属
材X 表面のゼータ電位の求め方により、モニター粒子B
の移動速度の変化量に対応した金属材X 表面のゼータ電
位 (帯電) 量の算出が可能となる。
【0042】なお、金属材X の絶縁は、図5(a)、(b) の
ような手段の他に、スペーサーE の水溶液C と接触する
側の一部に、前記隙間D に相当するような大きさの金属
材Xを埋設しておき、石英セル1aの底部から水溶液C の
流路2 に、スペーサーE を押し当てるような手段を採用
しても良い。この場合でも、金属材X を埋設した部分以
外のスペーサー部分は絶縁性であるため、白金電極5a、
5bにより、セルと水溶液C を荷電しても、導電性の金属
材X は帯電しにくく、水溶液C 中のモニター粒子B の表
面が、ゼータ電位を測定可能な量、帯電することが可能
となる。
【0043】この際、スペーサーE に設ける隙間D やス
ペーサーE に埋設させる場合の金属材X の長さ (幅)
は、モニター粒子B の移動速度の変化がレーザー等で検
出可能な量以上生じるように設定することが好ましい。
また、スペーサーE に設ける隙間D やスペーサーE に埋
設させる場合の金属材X の長さ (幅) をあまり大きくし
すぎると、水溶液C の電気分解による気泡や液の流れが
生じて、モニター粒子Bの移動速度への外乱となるの
で、この点から前記大きさの上限が決まる。
【0044】そして、前記図5(a)、(b) の場合と同様
に、 帯電したモニター粒子B の水溶液C 中の移動の
際、モニター粒子B の、通常の水溶液C 中と、金属材X
とが接触している水溶液C 中での移動速度を、レーザー
等の検出手段により測定して、この移動速度の変化量に
対応した金属材X 表面のゼータ電位 (帯電) 量の算出が
可能となる。
【0045】この際、モニター粒子を分散させる水溶液
としては、従来のゼータ電位測定方法と同様に、誘電率
を一定にするために一定量でかつ微量の電解質を含むこ
とが必要である。この塩化物としては、従来のゼータ電
位測定方法と同様に、それ自身に化学吸着能の無い、Na
Cl、KCl 、NaClO4より選択されるものであることが好ま
しい (請求項2 に対応) 。そして、これら電解質の濃度
は、1 〜100mmol/l(dm 3)の微量範囲から選択することが
好ましい。
【0046】また、モニター粒子としては、従来のゼー
タ電位測定方法に使用されている、粒径300 〜700nm の
レベルの市販の、ポリスチレン等のラテックス粒子 (ヒ
ドロキシプロピルセルロースでコーティングしたもの)
などが好ましい (請求項3 に対応) 。ラテックス粒子が
小さすぎると、移動速度をレーザー光で検出できなくな
り、一方、大きすぎると、レーザー光を散乱したりし
て、移動速度検出の外乱となる。なお、モニター粒子の
水溶液中への添加( 分散) 量は、レーザーによる移動速
度の検出感度から定まり、市販のゼータ電位測定測定装
置毎に最適量が異なるとともに定まっており、本発明で
もこれに従う。
【0047】(装置を用いた金属材の表面のゼータ電位
測定手順)この装置を用いた、金属材の表面のゼータ電
位( ζ電位) の測定手順を、以下に説明する。まず、石
英セル1aに刻設された (水平) 流路2aに接触して金属材
を設置、固定済みの図5(a)、(b) の装置において、流路
2a内に、導入口3 および流路2bを通じて、モニター粒子
B を分散させた電解質を含む水溶液C を導入および収容
する。
【0048】そして、白金電極5a (+) 、5b (−) によ
り、セルと水溶液C を荷電して、水溶液C 中のモニター
粒子B の表面のみを帯電させる。この際の帯電量は、モ
ニター粒子B の移動速度の変化がレーザー等で検出可能
な量以上となるようにすることが好ましい。また、水溶
液C の電気分解によリ発生した気泡による液の乱れが生
じて、モニター粒子B の移動速度への外乱とならないよ
うな帯電量とすることが好ましい。
【0049】この帯電によって、水溶液C 中のモニター
粒子B は、流路2a内を、白金電極5a(+) から白金電極5
b (−) の方向 (図5 の左から右) に移動する。この帯
電したモニター粒子B の移動の際に、通常の (金属材X
と絶縁されている部分の) 水溶液C 中と、金属材X とが
接触している水溶液C 中 (前記隙間D の部分に対応する
水溶液中) との、モニター粒子B の移動速度を、レーザ
ーにより測定する。
【0050】(金属材の表面特性の評価方法)金属材の表
面処理性、金属材の耐食性、金属材表面の耐汚染性等
の、金属材の表面特性の評価に、本発明の適用の仕方に
ついて、以下に説明する。
【0051】金属材の表面特性の場合、金属材の表面処
理性においては表面処理される特定の物質 (コロイド粒
子等) 、金属材の耐食性においては腐食物質、金属材表
面の耐汚染性においては汚染物質等の表面のゼータ電位
と、金属材の表面ゼータ電位とが、金属材の表面特性と
相関することが必要である。
【0052】例えば、リン酸亜鉛処理の前処理として用
いられる、リン酸チタンのコロイド分散液によるAl合金
材の処理は、Al合金材表面へのリン酸チタンの付着性
(リン酸チタンのコロイド分散液によるAl合金材の処理
性) は、Al合金材表面の電荷とリン酸チタン表面の電荷
との静電気的な吸着反応に基づく。このような場合、Al
合金材表面のゼータ電位は、Al合金材表面へのリン酸チ
タンの付着性 (表面処理性) と深く相関する。したがっ
て、リン酸チタン処理の場合には、Al合金材表面のゼー
タ電位により、リン酸チタン処理の表面処理性が評価で
きる。
【0053】ただ、Al合金材表面へのリン酸チタンの付
着性が向上するほど、これに続く処理である、Al合金材
表面へのリン酸亜鉛の反応性も良くなり、リン酸亜鉛の
付着率が向上するという相関がある。したがって、この
ような場合には、Al合金材表面へのリン酸チタンの付着
性を、両者のゼータ電位により評価することが、Al合金
材のリン酸亜鉛処理性自体を評価することにつながる。
【0054】即ち、直接評価の対象とする表面処理性な
どの金属材の表面特性 (表面反応性) の、ゼータ電位に
よる評価ができないとしても、ゼータ電位と相関し、更
に、直接評価の対象とする表面処理性などの表面特性に
相関するような表面反応や表面処理 (金属材の前処理や
別の表面処理、別の腐食物質、別の汚染物質等) を選択
すれば、直接評価の対象とする金属材の表面特性も、ゼ
ータ電位による評価が可能となる。
【0055】言い換えると、金属材の表面と係わる特定
の物質、或いは、この特定物質に代わりうる物質の、表
面のゼータ電位と、金属材の表面ゼータ電位との比較に
より金属材の表面特性の評価が可能となる。
【0056】(ゼータ電位による評価)ゼータ電位による
評価は、前記した通り、基本的に、金属材の表面処理、
金属材の耐食性、金属材の表面の耐汚染性等において、
金属材の表面と係わる特定の物質、或いは、この特定物
質に代わる物質の表面のゼータ電位と、金属材の表面の
ゼータ電位との比較により行う。
【0057】このゼータ電位による評価は、基本的に、
以下のように行う。まず、金属材の表面と特定の物質表
面とのゼータ電位とが、プラスとプラス、マイナスとマ
イナスなど、同じ符号の場合には、両者のゼータ電位の
積が小さいほど、静電的な反発力が減少し、特定の物質
が金属材の表面に吸着( 付着) しやすい。また、金属材
の表面と特定の物質表面とのゼータ電位とが、プラスと
マイナスの異なる符号の場合には、両者のゼータ電位の
差が大きいほど、静電的な反発力が増加し、特定の物質
が金属材の表面に吸着( 付着) しやすい。
【0058】したがって、特定の物質が金属材の表面に
吸着( 付着) しにくくしたい場合には、金属材の表面と
特定の物質表面とのゼータ電位とが同じ符号で、両者の
ゼータ電位の積を大きくするか、ゼータ電位が異なる符
号で、両者のゼータ電位の差が小さくなるように、金属
材表面および/ または特定の物質表面を制御する。
【0059】なお、比較すべきゼータ電位は、金属材の
表面と係わる特定物質、或いは、これに代わる物質の場
合には、これらの物質が、実際に、金属材の表面と係わ
る雰囲気乃至浴液中と同じpHの前記測定水溶液における
ゼータ電位とされることが好ましい。また、金属材の表
面ゼータ電位も、実際に、前記物質が金属材の表面と係
わる雰囲気乃至浴液と同じpHの前記測定水溶液における
ゼータ電位であることが好ましい。
【0060】例えば、表面処理性評価の場合、表面処理
される特定の物質 (コロイド粒子等) の表面の当該表面
処理浴液乃至雰囲気のpHと同じ、前記水溶液におけるゼ
ータ電位と、当該表面処理浴液乃至雰囲気のpHと同じ、
前記水溶液における金属材の表面ゼータ電位との比較に
より行う。
【0061】前記した方法および装置において測定され
るゼータ電位は、まず、雰囲気乃至浴液中のpHにより大
きく影響を受けて、測定値が大きく変化する。測定され
るゼータ電位は、この他、共存する微量イオン量やイオ
ン全体の量にも影響される。後者のイオン量はゼータ電
位の測定精度乃至再現性に影響し、前者のpHはゼータ電
位による評価が、実際の表面処理性などの特性評価と相
関するか否かの問題に係わる。このため、特定物質或い
はこれに代わる物質と、金属材の表面との、比較すべき
ゼータ電位の測定pH条件が異なった場合、ゼータ電位の
比較による表面特性の評価自体に、大きな誤差が生じる
こととなる。
【0062】したがって、ゼータ電位の比較による金属
材表面の特性の評価を行う場合には、前記した方法およ
び装置において測定されるゼータ電位測定の際の、特に
pH等の測定条件は、これらの実際の条件と同じpH値或い
はpH範囲とすることが好ましい。また、比較すべき、金
属材表面のゼータ電位と、対象となる特定物質表面のゼ
ータ電位の測定も、前記pH等を含め、同じ測定条件とす
ることが好ましい。
【0063】
【実施例】(実施例1)以下に、本発明の実施例として、
まず、本発明を、自動車用のAl合金板表面のゼータ電位
測定による、Al合金展伸材のリン酸亜鉛処理性の評価に
適用した例を示す。なお、リン酸亜鉛処理性の評価とし
て、リン酸亜鉛処理の前処理としての、リン酸チタン処
理性を選択した。
【0064】即ち、リン酸チタン処理におけるリン酸チ
タン粒子表面のゼータ電位と、Al合金材表面のゼータ電
位との相互関係から、Al合金展伸材のリン酸チタン処理
性とリン酸亜鉛処理性の評価を行った。
【0065】また、処理性を評価する金属材 (Al合金展
伸材) としては、JIS 乃至 AA 5052(以下JIS 乃至 AA
は省略) Al合金圧延板と6016Al合金圧延板を選択した。
そして、これらAl合金圧延板より供試材を採取し、共通
して、60℃×30秒間5%NaOHに浸漬後、50℃×30秒間5%H2
SO4 に浸漬するエッチングを伴う洗浄を行った。その
後、洗浄後の供試材表面のゼータ電位とリン酸チタン表
面のゼータ電位を測定した。
【0066】ゼータ電位の測定は、前記した図5 で示し
た測定装置により行った。即ち、石英セルに刻設した水
平流路 (容量5ml)に収容した電解質を含む水溶液に、測
定対象Al合金板X (長さ 60mm ×幅20mm×厚み3mm)を接
触させた。Al合金板X の絶縁は、Al合金板X の表面 (溶
液側) に、溶液と接する隙間D(長さ2 mm×奥行き10mm)
を有するポリプロピレン製スペーサE(長さ60 mm ×幅30
mm ×厚み45μm)を配置して、Al合金板X の両端部側の
表面を部分的に絶縁した。
【0067】モニター粒子B としてはゼータ電位が既知
の前記ヒドロキシプロピルセルロースでコーティングし
たポリスチレン製のラテックス粒子 (大塚電子製) を選
択し、10mmol/dm3のNaCl電解質を含む水溶液に適量分散
させた。そして、セルに対して20 mV の電場をかけて、
帯電したラテックス粒子を溶液中を移動させ、前記隙間
D の部分におけるラテックス粒子の移動速度の変化をレ
ーザーにより検出して、この隙間D の部分における移動
速度の変化量に対応したAl合金板X 表面のゼータ電位
を、前記した方法により測定、算出した。
【0068】図5 に、測定した、リン酸チタンのコロイ
ド分散液中の、5052Al合金板と 6016Al 合金板の表面の
ゼータ電位を示す。また、図5 には、直接測定が可能
な、リン酸チタンのコロイド分散液中のリン酸チタン表
面のゼータ電位も示す。なお、図5 では、リン酸チタン
のコロイド分散液のpHの変化 (横軸) に対応した、各々
のAl合金板の表面のゼータ電位の変化を示している。
【0069】5052系Al合金板は5000系Al合金の中でも成
形性が良く、自動車パネル材として汎用されている。ま
た、6016系Al合金板は6000系Al合金の中でも成形性が良
く、自動車パネル材として汎用されている各々代表的な
Al合金である。そして、試験に用いたAl合金板は常法の
圧延工程と条件により製造したもので、各々のAl合金分
野のAl合金板を代表するものである。
【0070】図5 において、通常、自動車車体の表面処
理に用いられる、リン酸チタンのコロイド分散液のpH9
の付近について見ると、リン酸チタン表面のゼータ電位
が−60mVであるのに対し、5052Al合金板表面のゼータ電
位は−10mV、6016Al合金板の表面のゼータ電位は−40mV
である。これによると、5052Al合金板表面のゼータ電位
の、リン酸チタン表面のゼータ電位との積は600(mV)2
あるのに対し、6016Al合金板の表面のゼータ電位の、リ
ン酸チタン表面のゼータ電位との絶対値の積は2400(mV)
2 となる。つまり、リン酸チタン表面のゼータ電位との
積は、5052Al合金板表面のゼータ電位の方が、6016Al合
金板表面のゼータ電位よりも小さい。
【0071】この結果は、実際に、Al合金材表面をリン
酸チタンのコロイド分散液 (pH9)にて処理試験した際
の、Al合金材表面へのリン酸チタンの付着性と良く対応
していた。即ち、実際の処理試験の結果も、5052など50
00系Al合金板の方が、6016など6000系Al合金板よりもリ
ン酸チタンの付着性が良い。そして、その後のリン酸亜
鉛処理試験においても、5000系Al合金板の方が6000系Al
合金板よりもリン酸亜鉛の付着性が良く、更に、その後
の耐糸さび性腐食試験の結果でも、5000系Al合金板の方
が6000系Al合金板よりも耐糸さび性に優れていた。
【0072】即ち、この傾向は、常法の圧延や押出工程
と熱処理条件 (T4、T6等) により製造した6000系 (Al-M
g-Si系) Al合金展伸材全般について言うことができる。
そして、6000系 (Al-Mg-Si系) Al合金展伸材の、リン酸
チタンのコロイド分散液にて処理した際の、リン酸チタ
ンの付着性が低い理由は、6000系Al合金展伸材表面のゼ
ータ電位と、リン酸チタン表面との静電反発力が大きい
ことによるものと推考される。
【0073】前記した通り、Al合金材表面へのリン酸チ
タンの付着は、Al合金材表面への静電気的な吸着反応で
ある。したがって、リン酸チタンが6000系Al合金展伸材
表面に吸着付着する際に、6000系Al合金展伸材表面のゼ
ータ電位が、リン酸チタン表面のゼータ電位−60mV(pH
9) に対し、逆のプラスのゼータ電位、或いは、マイナ
スであってもその積が小さくなるようなゼータ電位であ
れば、静電吸着が働き、リン酸チタンが6000系Al合金展
伸材表面により良く付着する方向に働く。
【0074】しかし、実際の6000系Al合金展伸材表面の
ゼータ電位は、例えば6016合金の−40mV(pH9) 程度であ
る。このため、リン酸チタン表面のゼータ電位−60mV(p
H9)に対し、同じマイナスであるとともに、その積は大
きい。この結果、Al合金材表面に付着しようとするリン
酸チタンと6000系Al合金展伸材表面とは静電反発が働
き、リン酸チタンが付着しにくい方向に働く。
【0075】この結果から、リン酸チタン表面のマイナ
スのゼータ電位に対し、6000系Al合金展伸材表面のゼー
タ電位を、プラス側に上げるように、表面を調整すれ
ば、リン酸チタンの付着性、リン酸チタンの処理性が向
上することが分かる。
【0076】(実施例2)次に、本発明の実施例2 とし
て、Al合金材表面のゼータ電位測定による、JIS3004Al
合金製配管材の、冷却水としての海水による、耐汚染性
を評価した例を以下に示す。
【0077】耐汚染性を評価するJIS 3004Al合金配管材
より供試材を採取し、海水を模擬した塩化ナトリウム(N
aCl)水溶液中 (塩酸および/ または水酸化ナトリウムに
よりpHを調節) での供試材表面のゼータ電位を実施例1
と同じ要領にて測定した。
【0078】そして、別途、JIS 3004Al合金製配管中
に、防錆剤( 有機酸) を含む海水を流し続けた際に、配
管のエッチング等により生成したスラッジ (主成分はAl
および合金成分の複合酸化物や水酸化物の混合体) を実
際に採取し、前記NaCl水溶液中のスラッジ表面のゼータ
電位を、実施例1 と同じ要領にて測定した。但し、スラ
ッジ表面のゼータ電位は、金属材X を用いず、前記図1
で示した測定原理で行った。
【0079】図6 に、測定した供試材表面のゼータ電位
と、スラッジ表面のゼータ電位を示す。なお、図6 で
は、図5 と同様に、NaCl水溶液のpHの変化 (横軸) に対
応したゼータ電位の変化を示している。
【0080】この図6 から分かる通り、スラッジ表面の
ゼータ電位は−20mVでpHに拠らず一定である。これに対
し、3004Al合金材表面のゼータ電位はpHが3 での+60mV
から、pHが11での−50mVまで大きく変化している。
【0081】この図6 から言えることは、海水のpHの領
域であるpH6 〜7 の部分では、3004Al合金材表面のゼー
タ電位は−10〜20mVであり、前記スラッジ表面のゼータ
電位−20mVと同じ符号を有する。したがって、この海水
のpHの領域では、3004Al合金材表面とスラッジとは吸着
反応を生じにくく、スラッジによる配管の汚染は生じに
くいと評価される。
【0082】しかし、海水に防錆剤( 有機酸) を含ませ
た場合には、海水のpHが低下する。この場合、例えば海
水のpHが4 以下の部分では、3004Al合金材表面のゼータ
電位は+30mV以上であり、スラッジ表面のゼータ電位−
20mVと逆の符号を有する。この結果、海水のpHが4 以下
となる部分では、3004Al合金材表面とスラッジとは吸着
反応を生じやすいことが分かる。即ち、この結果は、海
水に防錆剤( 有機酸)を含ませた場合には、Al合金配管
材表面に、スラッジが付着して、Al合金材表面を汚染し
やすいことを示している。
【0083】したがって、図6 からは、海水に防錆剤を
含ませる場合には、Al合金配管材として、改良されたAl
合金材 (想定) のゼータ電位を示す通り、前記pH4 以下
の部分で、Al合金材表面とスラッジとが吸着反応を生じ
にくいように、ゼータ電位が下がるような表面状態とす
るような必要があることを示している。即ち、図6 から
は、海水に防錆剤を含ませる場合には、Al合金材の表面
処理や合金設計 (合金成分の変更) を行って、pH4 以下
の部分でのAl合金材表面のゼータ電位を下げる必要があ
ると評価できる。
【0084】以上の実施例から、本発明によれば、金属
材表面のゼータ電位測定が可能となり、これによって、
ゼータ電位による金属材の表面特性の評価が可能となる
ことが分かる。
【0085】なお、前記実施例では、Al合金展伸材表面
のゼータ電位測定と、ゼータ電位によるAl合金展伸材の
リン酸亜鉛処理性や対汚染性の評価について説明した。
しかし、本発明は、ジュラルミン等を含むAl合金展伸材
以外にも、導電性であれば、Al合金の鋳造材、或いは、
他の金属材である、銅や銅合金材料、ステンレスを含め
た鉄鋼材料、チタン材料、溶接材料 (棒、ワイヤ) など
の表面のゼータ電位測定等にも適用可能である。
【0086】また、金属表面特性の評価方法としては、
静電気的な吸着反応が反応の主体である、前記金属材の
表面処理性、前記金属材の耐食性、前記金属材表面の耐
汚染性等の評価に用いることが可能である。より具体的
には、金属材のメッキ、化成処理、被覆等の表面処理物
質の付着性、金属材表面のゴミや不純物或いは汚染物
質、腐食物質などの特定物質の汚染性、金属材表面の他
の特定物質との親和性、Al合金や銅合金或いは鉄鋼など
の材料表面の、流体や冷熱媒体との親和性や耐食性の評
価などに幅広く適用可能である。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、金属材表面の正確なゼ
ータ電位を測定可能とする、ゼータ電位測定方法を提供
することが可能となる。したがって、金属材の表面処理
性、金属材の耐食性、或いは金属材の表面の耐汚染性な
どの分野において、素材金属材の表面特性を評価するこ
とが可能となる。また、実際に表面処理や腐食、或いは
汚染せずとも、素材金属の評価を行うことが可能とな
る。したがって、素材の表面特性の改善等に迅速に反映
させることができる等、金属材の新しい用途の拡大を図
ることができる点で、多大な工業的な価値を有するもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゼータ電位 (ζ) の測定原理を模式的に示す説
明図である。
【図2】導電性の金属材表面のゼータ電位の測定原理を
模式的に示す説明図である。
【図3】本発明に係る、金属材表面のゼータ電位の測定
方法を示す説明図であり、図3(a)は測定不可の場合、図
3(b)は測定可能な場合を示す。
【図4】本発明に係る、金属材表面のゼータ電位の測定
装置の一態様を示す説明図である。
【図5】6016Al合金板と比較のための5052Al合金板の表
面のゼータ電位を示す説明図である。
【図6】3004Al合金板とエッチングスラッジ表面のゼー
タ電位を示す説明図である。
【図7】本発明に係る、金属材表面のゼータ電位の測定
方法を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1:セル、2: 流路、3:導入口、4:導出口、5:白金電極、
6:伝熱シート、7:恒温ブロック、8:押さえネジ、X:金属
板、A:コロイド粒子、B:モニター粒子、C:水溶液、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太原 麗子 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社コベルコ科研西神事業所内 (72)発明者 大迫 達也 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社コベルコ科研西神事業所内 Fターム(参考) 2G055 AA01 BA09 FA06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電率を一定にする電解質を含む水溶液
    をセル内に収容し、該水溶液に金属材を接触させるとと
    もに、ゼータ電位が既知の帯電させたモニター粒子を前
    記水溶液中に配し、金属材が接触していない水溶液中と
    金属材が接触している水溶液中とのモニター粒子の移動
    速度の変化から、この移動速度の変化に対応したゼータ
    電位を金属材表面のゼータ電位として測定する方法であ
    って、金属材の水溶液接触側表面の一部を絶縁すること
    によって、水溶液中のモニター粒子を帯電せしめ、水溶
    液中のモニター粒子の前記移動速度の変化を検出するこ
    とを特徴とする金属材表面のゼータ電位測定方法。
  2. 【請求項2】 前記電解質が、NaCl、KCl 、NaClO4より
    選択されるものである請求項1に記載の金属材表面のゼ
    ータ電位測定方法。
  3. 【請求項3】 前記モニター粒子がラテックス粒子であ
    る請求項2に記載の金属材表面のゼータ電位測定方法。
  4. 【請求項4】 前記金属材の水溶液接触側表面に、水溶
    液と接する隙間を有する絶縁性のスペーサを配置する請
    求項1乃至3のいずれか1項に記載の金属材表面のゼー
    タ電位測定方法。
  5. 【請求項5】 ゼータ電位が既知のモニター粒子を分散
    させるとともに誘電率を一定にするための電解質を含む
    水溶液を収容するセルと、前記モニター粒子を帯電させ
    るための電極と、前記水溶液に金属材を接触させる固定
    手段と、金属材が接触していない水溶液中と金属材が接
    触している水溶液中とのモニター粒子の移動速度の変化
    を検出する手段とを有し、この移動速度の変化量に対応
    したゼータ電位を金属材表面のゼータ電位として測定す
    る装置であって、金属材の水溶液接触側表面の一部を絶
    縁する手段を設けてモニター粒子を帯電せしめ、水溶液
    中のモニター粒子の前記移動速度の変化を検出すること
    を特徴とする金属材表面のゼータ電位測定装置。
  6. 【請求項6】 前記金属材の電解質を含む水溶液接触側
    表面に、この水溶液と接する隙間を有する絶縁性のスペ
    ーサを配置した請求項5に記載の金属材表面のゼータ電
    位測定装置。
  7. 【請求項7】 請求項1から4までの方法または請求項
    5から6までの装置により測定されたゼータ電位を、金
    属材の表面特性の評価に用いることを特徴とする金属材
    の表面特性の評価方法。
  8. 【請求項8】 ゼータ電位による評価を、金属材の表面
    と係わる特定の物質、或いは、この特定物質に代わる物
    質表面のゼータ電位と、金属材の表面のゼータ電位との
    比較により行う請求項7に記載の金属材の表面特性の評
    価方法。
  9. 【請求項9】 前記表面特性が、金属材の表面処理性、
    金属材の耐食性、金属材の表面の耐汚染性、から選択さ
    れるものである請求項7または8に記載の金属材の表面
    特性の評価方法。
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